JP3862075B2 - 樹脂組成物、それを用いた積層体、自動車用部品およびそれらの製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、それを用いた積層体、自動車用部品およびそれらの製造方法 Download PDF

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    • Y10T428/1352Polymer or resin containing [i.e., natural or synthetic]

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明樹脂の光線透過率を低減することなく剛性向上、熱膨張率低減、表面硬度向上を実現しうる無機微粒子連結体を配合した樹脂組成物、それを用いた高剛性で表面硬度を向上し、かつ成形品のソリを抑え外観品質の向上を実現しうる積層体、およびそれらの製造方法に関し、自動車用の窓ガラス、内外装部品等に好適に用いうるものである。
【0002】
【従来の技術】
窓ガラスは自動車の外形面積の大部分を占め、運転上および外観上重要な部品である。各種折曲ガラスの出現によって形状自由度が大きくなり、使用面積が増加しており、窓ガラスの軽量化と安全性の向上が要求されている。そこで、無機ガラスに代わり樹脂製ウィンドウの検討が各種なされているが、無機ガラスに比べて弾性率が小さいため面積の大きな窓ガラス部品には適用が困難である。
【0003】
また、樹脂製ウィンドウに補強材としてガラス繊維を添加すると、剛性は向上するが、ガラス繊維の径が約10μm、長さも約200μmもあるため可視光線が透過しないで反射して不透明となる。このため安全上の視界確保に適さず使用が困難である。
【0004】
また、樹脂製ウィンドウは、無機ガラスに比べて表面硬度が小さいため、ワイパーで擦ると傷がつき車両用フロント窓部品には適用が困難である。これに対して有機シラン系薬剤で表面硬化処理を行なった例があるが、この処理でも表面硬度が不足し、長時間使用すると傷が付き、透明性が不足するので使用が困難であった。
【0005】
また、樹脂製ウィンドウの剛性向上と表面硬度確保のために無機ガラスを積層すると、夏に樹脂層と無機ガラス層との熱膨張差によって界面剥離を生じ視界確保が不十分となり使用が困難であった。
【0006】
また、最近の電子部品の樹脂製記憶デスクの表面硬化と剛性向上を目的にシリカのスパッタリングを行う例があるが、これは、樹脂基盤表面に真空中でシリカ原子を付けるものであり、大きな部品には適用できず、生産性が低い。
【0007】
また、樹脂製ウィンドウは強度、剛性が無機ガラスに比べ小さいため、大きな窓ガラスに使用するには、無機ガラスよりも厚さを増すことが必要となり、軽量化の効果が少なくなる。そのため、樹脂製ウィンドウの強度、剛性を向上させることが課題となる。
【0008】
これらの課題の解決手段として、特開平11−343349号公報には、透明樹脂に無機のシリカ微粒子を混合した例が記載されている。しかしこれらの樹脂材料を製品に適用する場合、無機材料に比べ軽量でかつ成形の自由度が大きいという利点はあるが、一方で弾性率が小さいため剛性が低く、高温時に成形時の残留応力が戻りソリが発生し外観品質が低下し、また硬度が低いため表面が傷つき易いという難点がある。このため、例えば透明な樹脂材料は、自動車ではヘッドランプやサンルーフなどの比較的低剛性でかつ表面処理のしやすい小物部品には採用されているものの、自動車外装のかなりの面積を占める窓ガラスについては所定の機能を満足するものがまだなく本格的な採用までには至っていない。
【0009】
また、窓ガラス以外の自動車外装樹脂部品、あるいは内装樹脂部品では、高温時の残留応力の戻りによるソリや隙間の狭小化等の外観品質の低下、衝撃に対する割れ等の耐衝撃性、燃費の面からの使用部品の軽量化など、高剛性、軽量化、耐衝撃性、高温時の変形といった物性向上やコストダウン要求が厳しさを増している。これら物性の向上に対する要求に対しては、従来は単一樹脂の改良で対応してきたが、年々要求項目が増してきており、これらを全て満足させることが困難となったため積層化による改良が検討されつつある。積層化することで目的に適合する機能を複数の樹脂の持つ特性を有効に組み合わせて達成し、さらに低コストで高付加価値の商品を生み出すことができるからである。また周辺部品との一体成形等で部品数を削減しコスト削減にも対応できる。
【0010】
このような積層体における物性向上として、例えば特開平6−316045号公報では、3種の透明樹脂を積層して耐衝撃性を向上しているが、透明性維持のために樹脂中に高温時の熱膨張を抑制する充填剤等が配合されておらず、夏期の高温にさらされる自動車の内外装部品に適用するには部品の伸長による凹凸あるいは膨張によるソリ等の外観品質が低下するといった問題がある。
【0011】
また、特開平11−343349号公報では透明樹脂に可視光線波長以下の径を有する微細なシリカを配合した樹脂ウィンドウが開示されているが、樹脂内に混合もしくは表層部に塗布し、強度や剛性を向上させているが、単層構造のため外部からの衝撃に対し耐衝撃性が不足し、熱歪みによる成形体のそり等の不具合が発生する。
【0012】
また、特開平6−71826号公報には、アクリル樹脂やポリカーボネート系樹脂等を積層した樹脂ウィンドウが開示されているが、特開平6−316045号公報と同様に樹脂の透明性を維持するために、熱膨張を抑制する充填剤の配合はなく、熱膨張を抑えるには限界がある。また透明性を保持するためガラス繊維等の剛性向上の充填剤の添加ができず、剛性を向上しようとすると板厚を増すため重量増加を招き軽量化が進まないといった問題点もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれら従来の問題点に鑑みてなされたものであり、一層の剛性向上、熱膨張率の低減を達成できる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0014】
また、有機樹脂は無機材料に比べて剛性が小さいため、例えば自動車の窓ガラス、ドアー、車体外板部等の大型部品に適用する場合は厚みを増す必要があるが、そのような対応では形状の自由度は確保できるものの樹脂化の大きな狙いである軽量化の効果が薄れる。このため、本発明の1つの課題は樹脂材料の厚さを増加せず剛性を向上させ軽量化を図ることである。
【0015】
また、樹脂材料は無機材料に比べて高温時に成形時の残留応力が開放され熱変形が大きいため、例えば透明樹脂材料で自動車の窓ガラスのような大型の部品に適用しようとする場合は、外周部の鋼材との熱ひずみを逃がす構造設計をする必要がある。熱変形による伸長を吸収する構造が充分でない時は、樹脂ガラス表面に波打ちが発生したり樹脂ガラスそのものが割れたりする問題が発生する。このため、本発明の2つ目の課題は、樹脂材料の熱変形を低減させることである。
【0016】
また、樹脂材料は鋼材に比べ硬さが低く、自動車の窓ガラス、外板あるいは人が触れる内装材また建材等で外部にさらされる部位に適用するには、異物接触による樹脂表面の擦傷性を向上させことが必要である。高剛性、低熱膨張、耐擦傷性の特性を有する樹脂材を設計仕様に合わせ自由に形状加工ができまた低コストで実現できる樹脂材料およびその製造方法を提供することが要望されている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて鋭意検討した結果、無機微粒子連結体を樹脂中に均一に分散した複合樹脂組成物であって、該無機微粒子連結体は円柱状の無機微粒子がその長さ方向に複数個連結し、鎖状または網目状を成した形状を有していることを特徴とする樹脂組成物によって上記課題を解決するに至った。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る樹脂組成物およびその製造方法によれば、特定の微小なシリカ化合物を分散させることで、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し得る樹脂組成物を提供できる。本発明の樹脂組成物は車両用の外装部品や外板の用途、樹脂ウィンドウ用途として有用であり、その他にも建材や電子機器等の筐体にも利用できる。
【0019】
本発明は、疎水化処理した無機微粒子連結体を樹脂中に均一に分散した複合樹脂組成物であって、該無機微粒子連結体は円柱状の無機微粒子がその長さ方向に複数個連結し、鎖状または網目状の形状であることを特徴とする樹脂組成物であり、樹脂への均一分散が可能であり、配合によって樹脂に高剛性、低熱膨張、耐擦傷性の特性および透明性を付与し得る。
【0020】
本発明は、上記樹脂組成物(A)と熱可塑性樹脂(B)とを少なくとも1層づつ積層した熱可塑性樹脂積層体であって、該樹脂組成物(A)と該熱可塑性樹脂(B)とが交互に積層されていることを特徴とする熱可塑性樹脂積層体であり、上記樹脂組成物(A)を含む積層体とすることで、特に透明性に優れ、かつ高剛性、低熱膨張、耐擦傷性が向上し、高温時にもソリの発生が抑制された積層体となる。
【0021】
本発明は、上記熱可塑性樹脂積層体を用いた車両用内外装部品成形体、車両用外板または樹脂ウィンドウであり、透明性、剛性に優れ、高温時にソリなどが抑制された上記樹脂組成物(A)や上記積層体を使用することで、大型かつ剛性に対する要求性の強い車両用途に有効に使用でき、特に視野の確保に強い要求性のある樹脂ウィンドウとしても有効に使用できる。
【0022】
また本発明は、溶剤に分散させた疎水化処理した無機微粒子連結体と、溶剤に溶解させた樹脂とを混合することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であり、該方法によれば、特定の無機微粒子連結体が均一に分散した透明性、剛性に優れる樹脂組成物(A)を簡便に製造することができる。
【0023】
本発明は、樹脂のモノマーを重合させる過程中に、溶剤に分散させた疎水化処理した無機微粒子連結体を混合することを特徴とする、上記樹脂組成物の製造方法であり、該方法によっても、特定の無機微粒子連結体が均一に分散した透明性、剛性に優れる樹脂組成物(A)を簡便に製造することができる。
【0024】
また本発明は、加熱成形および/または加圧成形により積層することを特徴とする上記熱可塑性樹脂積層体の製造方法であり、加熱成形および/または加圧成形によって簡便に積層体を製造することができる。
【0025】
上記積層体を金型に挿入し、射出成形法または圧縮成形法で充填樹脂と該挿入積層体の外周部とを一体で成形すると、上記樹脂組成物や上記積層体は成形性に優れるため、金型に挿入し、射出成形法または圧縮成形法で充填樹脂と該挿入積層体の外周部とを一体で成形することができ、不要の工程を増加させることなく自動車用内外装部品成形体が製造できる。
【0026】
本発明の樹脂組成物によって樹脂製ワイパーシステム、樹脂製ドアミラーステイ、樹脂製ピラー、熱線付き樹脂製ウィンドウ、樹脂製ミラー、樹脂製ランプリフレクター、樹脂製エンジンルーム内カバーおよびケース、エンジンルーム内カバーおよびケース、樹脂製冷却装置部品を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、疎水化処理した無機微粒子連結体を樹脂中に均一に分散した複合樹脂組成物であって、該無機微粒子連結体は円柱状の無機微粒子がその長さ方向に複数個連結し、鎖状または網目状の形状であることを特徴とする樹脂組成物である。樹脂製ウィンドウの強度、剛性を向上させるためには、樹脂を構成している高分子の分子構造から考えて高強度で、剛直な分子を使用することが必要であるが、これは結晶化し易く、結晶性が高くなると透明性が低下する。このため透明な樹脂の強度、剛性を改良するのに、透明性を確保しうる疎水化処理した無機微粒子連結体を樹脂中に均一に分散混合する手段を用いた。
【0028】
該疎水化化処理した無機微粒子連結体に使用する無機微粒子連結体とは、円柱状の無機微粒子がその長さ方向に複数個連結し鎖状または条件によっては網目状の形状となるものである。一般に繊維強化理論によれば、引張り強度、弾性率の向上は、繊維の長さと太さの比が一定値以上で効果が大きいとされ、この効果は応力方向に繊維長さが揃うときに大きいものである。さらに網目状の場合には、あらゆる応力方向に繊維が配列している場合と同等の効果が得られ、強度特性が等方性となる。
【0029】
本発明で使用する無機微粒子連結体は、透明性を確保するために可視光線波長である380nm以下の最大長さ有することが望ましく、さらには28〜350nmであるとよい。
【0030】
この連結体をなす無機微粒子は、円柱状であり強度および弾性率向上のために円柱の(長さ)/(太さ)が2.5〜350であることが好ましく、さらには太さ1〜20nmであること、また長さは7〜200nmであることが好ましい。本発明で使用する無機微粒子連結体としては、これらの無機微粒子が複数個長さ方向に化学結合したものが好適なものとなる。なお、ここで「太さ」とは連結体を成す円柱状の微粒子の直径を表わし、「長さ」とは該円柱状の微粒子の最も長い部分の寸法を表わす。
【0031】
本発明に用いる無機微粒子は、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、チタン酸カリウム、ウイスカー、カーボンナノチューブ、合成マイカ等が好適に使用できるが、特にシリカすなわち酸化ケイ素が最も好適に使用できる。シリカは透明性を有し、低比重で、その表面の改質が容易で樹脂との相互作用を持たせることが可能だからである。このような無機微粒子連結体を製造するには、例えば、ケイ酸ナトリウム(Na2O・SiO2:水ガラス)を原料とし、イオン交換によってナトリウムを除去して、核ゾル(約5nm)を得て、これらの微小粒子を液中で単独で成長させ、10〜100nmの鎖状シリカとする。この際、該微粒子の成長過程で網目状シリカも得られる。この溶液を濃縮すれば、網目状または鎖状の無機微粒子連結体のコロイダルシリカが得られる。無機微粒子としては市販品を使用することもでき、例えは日産化学(株)のスノーテックス−UP、これをイオン交換でナトリウムを除去したスノーテックスOUPなどの鎖状シリカが好ましく使用できる。図1に鎖状シリカの200,000倍の電子顕微鏡写真を示す。
【0032】
本発明では、特に疎水化処理した無機微粒子連結体を使用するが、このような疎水化処理としては、特に限定されず、例えばトリメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシランなどのシリコーン化合物で上記無機微粒子連結体をアルキル化する方法などがある。例えば、無機微粒子連結体がシリカからなる場合には、シリカの水酸基をトリメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシランなどのシリル化剤で処理してアルキル基を導入する。シリル化剤によって脱塩酸が生じ、反応が進む。この際、アミンを添加すると塩酸を塩酸塩にして反応を促進することもできる。
【0033】
このように、疎水化処理によって表面にアルキル基を有する無機微粒子連結体を用いると、樹脂(例えばポリメチルメタクリレートなど)の官能基との相互作用が良好となり、無機微粒子連結体の分散性に優れ、得られた樹脂組成物は透明性、剛性等の特性を向上させることができる。該無機微粒子連結体は、使用する疎水化処理剤の種類を適宜選択することで、その表面に至適なアルキル基その他の疎水性基を導入することができる。
【0034】
本発明において、該疎水化処理した無機微粒子連結体を分散する樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの透明な有機高分子のオリゴマー、及びポリマー樹脂および共重合樹脂であることが好ましい。これらは透明性が高く、例えば樹脂ウィンドウ用途に好適に用いることができるからである。
【0035】
本発明の樹脂組成物は、該樹脂に対する無機微粒子連結体の配合率が、1〜99質量%であるとよい。1質量%を下回ると該無機微粒子連結体配合の効果が少なく、その一方、99質量%を越えると無機微粒子連結体が凝集を起こし、得られる樹脂組成物を不透明にする場合がある。
【0036】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては特に制限はないが、溶剤に分散させた疎水化処理した無機微粒子連結体と、溶剤に溶解させた樹脂とを混合することで製造することができる。すなわち、本発明の第二は、溶剤に分散させた疎水化処理した無機微粒子連結体と、溶剤に溶解させた樹脂とを混合することを特徴とする、前記記載の樹脂組成物の製造方法である。本発明の樹脂組成物を得る上で、該無機微粒子連結体を粉末のまま溶融した樹脂に混練すると凝集を生じ、得られる樹脂組成物が不透明となってしまう。このため、溶剤分散の該無機微粒子連結体と溶剤に溶解させた透明な樹脂とを混合して、凝固用溶剤等を添加して両者の混合組成物を得るのである。
【0037】
該無機微粒子連結体を分散する溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のパラフィン系炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサンなどのシクロパラフィン系炭化水素;メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼンなどの芳香族系炭化水素等がある。該無機微粒子連結体の溶解液中の濃度としては特に制限はないが、混合の均一性や操作性の点から10〜45質量%であることが好ましい。
【0038】
また、樹脂溶液は、樹脂の種類によって溶解する溶媒を適宜選択することができ、例えば、メチルメタクリレートなどを単量体主成分に含む(メタ)アクリル系高分子材料の場合には、アセトン、アニリン、キシレン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、トルエン、そしてメチルエチルケトンなどの芳香族系やケトン系の有機溶媒を好ましく使用することができる。本発明では、該樹脂溶液と該無機微粒子連結体とを混練後、溶媒を除去することで樹脂組成物を調製することができる。なお、凝固用溶剤としては、エタノール、メタノール、ブタノールなどのアルコール類がある。
【0039】
また別の好適な製造方法として、溶剤分散の該無機微粒子連結体を樹脂の重合過程で混合させ、凝固用溶剤で該無機微粒子連結体と樹脂の混合組成物を得る方法がある。すなわち、本発明の第三は、該樹脂のモノマーを重合させる過程中に、溶剤に分散させた疎水化処理した無機微粒子連結体を混合することを特徴とする、上記記載の樹脂組成物の製造方法である。具体的には、該無機微粒子連結体を樹脂の重合過程で混合させ、凝固用溶剤で該無機微粒子連結体と樹脂の混合組成物を得る。この製法によれば、無機微粒子連結体のアルキル基等の疎水化部分と樹脂(例えばポリメチルメタクリレートなど)の官能基とが相互作用し、無機微粒子連結体と樹脂とを溶剤中で溶解混合したものに比べて該無機微粒子連結体の分散性が良好となり、要求される諸特性もより良好となるからである。なお重合反応は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合、および沈殿重合のいずれでもよい。ただし沈殿重合の場合は、溶媒は重合ポリマーを溶解しないものを選定することが必要である。例えば、上記各種製法に用いる溶剤は、該無機微粒子連結体を分散させ、かつアクリル系樹脂、ポリカーボート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの合成原料モノマー、及び又は各ポリマーの溶剤とする。また、機微粒子連結体の表面がアルキル基を有する場合は、無機微粒子連結体を良好に分散し、モノマーおよび重合体を溶解する有機溶剤を使用すると、要求諸項目を満足する良好な樹脂組成物を得ることができる。
【0040】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて透明性を阻害しない様々な添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、エネルギー消剤、難燃剤、顔料、着色剤等を添加してもよい。
【0041】
本発明の第四は、上記記載の樹脂組成物(以下、樹脂組成物(A)とも称する。)と熱可塑性樹脂(B)とを少なくとも1層づつ積層した熱可塑性樹脂積層体であって、該樹脂組成物(A)と該熱可塑性樹脂(B)とが交互に積層されていることを特徴とする熱可塑性樹脂積層体である。各樹脂層が接着剤等で接合された場合には、単層の特性は接着層で緩衝または吸収されて隣接樹脂層への影響が低下し、単層の特性を積層体全体に波及させることができない。しかしながら、本発明の積層体は、各樹脂層を熱溶着するものであり、単層が有している剛性等の特性を活かし熱変形等単層が持つ短所をカバーし積層体の剛性向上させ、高温時における各層の残留応力によるソリ等を積層体全体で抑制することができる。
【0042】
このような積層体においては、樹脂組成物(A)の上記無機微粒子連結体の配合量を変えた層を組み合わせることで、該積層体に種々の特性を持たせることができる。例えば、該積層体の最表層に上記無機微粒子連結体の配合量が高い層を設けることで、耐擦傷性を高めることができる。また、最上層と最下層における上記無機微粒子連結体の配合量を多くすることで、剛性を高くし、かつ上層および下層の拘束力を持たせ高温時の残留応力による熱変形を抑えることもできる。更に、中間層に上記無機微粒子連結体の配合量を多くすることで、剛性を高くし、より熱変形抑止力を高めることもできる。加えて、上層における無機微粒子連結体の配合量を多くし、下層には無機微粒子連結体の配合量を少なくして該積層体に無機微粒子連結体の配合量の勾配を設けたことで、剛性分布を変えて熱変形によるソリの方向を制御することができ、また上層に無機微粒子連結体の配合量を少なくさせることも可能である。すなわち、上記樹脂組成物(A)と該熱可塑性樹脂(B)とを熱溶着して積層体を得ることで、各単層が有している特性を引き出し積層体の弾性率を高くし剛性向上を図ることができ、かつ最表層やそれに隣接する層の無機微粒子連結体配合量を増すことで耐擦傷性を高めることができ、拘束力を有する層を形成することで熱変形を抑制しソリや変形による表面の凹凸を解消し、外観品質を向上することができる。さらに、上記無機微粒子連結体を配合することで、各樹脂層の熱膨張を低く抑え、積層体自体の低熱膨張化を達成することができる。各樹脂層の熱溶着がなく接着剤等で接合されていると、単層の特性は、接着層で緩衝あるいは吸収され隣接樹脂層への影響が低下し単層の特性を積層体全体に波及させることができない。
【0043】
無機微粒子連結体の配合は、積層体各層に配合することも、また表層あるいは下層のみといった一部の樹脂層に配合することもできる。積層体の剛性を向上させる観点から各層に配合するのがより好ましい。用途に応じ上層から下層へ配合量の勾配を設けることもできる。いずれにしても、該樹脂組成物(A)と熱可塑性樹脂(B)とを少なくとも1層づつ積層した熱可塑性樹脂積層体であって、該樹脂組成物(A)と熱可塑性樹脂(B)とが交互に積層されていること場合には、高剛性、低熱膨張、耐擦傷性が向上し、高温時にもソリの発生が抑制された積層体となる。
【0044】
また、熱可塑性樹脂(B)としては、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、熱可塑性ポリウレタン樹脂等を積層することができ、特にポリカーボネート系樹脂を使用することが好ましい。ここにポリカーボネート系樹脂は、ビスフェノールAに代表される二価のフェノール系化合物から誘導される重合体で、ホスゲン法、エステル交換法、あるいは固相重合法のいずれにより製造されたものでもよい。更に、従来からあるポリカーボネート系樹脂の他にエステル交換法で重合したポリカーボネート系樹脂でもよい。
【0045】
該積層体の厚さは、0.5〜10mm、より好ましくは1〜5mmである。0.5mm未満では無機微粒子連結体の配合量を増しても賦形後に形状維持が困難となる場合がある。また10mmを越すと中間層を拘束できず高温時のソリが発生し外観品質が劣る場合がある。なお、積層体の各樹脂層の厚さは、用途、要求性能により上記範囲内で好適な厚さを選択できる。
【0046】
本発明の積層体の製造方法としては特に制限はないが、加熱成形や加圧成形により積層体を製造することが好ましい。すなわち、本発明の第五は、加熱成形および/または加圧成形により積層することを特徴とする上記積層体の製造方法である。
【0047】
例えばこのような第1の方法として、樹脂組成物(A)や熱可塑性樹脂(B)などの種類に応じた押し出し機を用い、これらを加熱溶融した溶融樹脂を共押し出し、積層数に応じたスリットを設けたTダイでシート状に成形し、隣接する各樹脂層を熱溶着させる方法である。押し出し機とTダイの温度をほぼ同じ温度に維持し、各樹脂(B)または樹脂組成物(A)からなるシートが合流して積層体を形成する際には各シートの接合面は極く薄い固化膜を形成しているが、合流後に樹脂内部の熱で接合面が再溶融され、接合面に樹脂組成物(A)と樹脂(B)とが拡散した混合層が形成されることで各層が互いに強固に結合した積層体となる。
【0048】
第2の方法は、上記樹脂組成物(A)または上記樹脂(B)の単層シート状物または第1の方法で製造した積層体を、加熱板を有するプレス機を用いて加熱し、次いで圧縮成形して積層体を製造する方法である。該単層シート状物を複数枚積層してから圧縮成形することで、本発明の積層体を製造することができる。第2の方法では、接合面に相当する面に脱着可能なパネルヒーターを挿入し、接合面の表面温度を高め表面を溶融状態にした後、パネルヒーターを取り出し圧縮成形することが好ましい。
【0049】
第3の方法は、2色射出成形機で金型を前後に移動できキャビティ容積を可変できる金型を使用して、樹脂組成物(A)の単層シートを射出成形後、直ちに金型を後退し、後退で形成されたキャビティ空間に後退中あるいは後退直後に樹脂(B)を充填する。樹脂組成物(A)の表層にごく薄い固化膜が形成されるが、樹脂(B)をその上に充填することで、接合面の樹脂組成物(A)固化膜が充填した溶融樹脂(B)の熱で再溶融し、接合面に樹脂組成物(A)と樹脂(B)とが拡散混合した層を形成し、強固な接合面を形成する。この工程を繰り返して所定の積層構造の積層体を形成する。金型温度、射出する樹脂温度は、通常の射出成形より20〜50℃高く設定すると熱溶着された積層体を得ることができる。積層体のサイズ、積層数等から上記の製造方法から好適な方法を選択できる。
【0050】
なお、該積層体を構成する樹脂組成物(A)や樹脂(B)に必要に応じて透明性を阻害しない様々な添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、エネルギー消剤、難燃剤等を添加して、これらの特性を有する積層体とすることができ、また積層体の下層を顔料または着色剤を含有する着色層とし、これに透明層を積層させて着色層と透明層とを有する積層体にすることもできる。
【0051】
本発明の第六は、上記記載の樹脂組成物または熱可塑性樹脂積層体を用いた車両用内外装部品成形体、車両用外板および樹脂ウィンドウである。
【0052】
本発明の樹脂組成物または積層体は、透明性と剛性とに優れ、かつ高温にもソリなどが少ないために、車両用の外装部品や車両用外板の用途に好適である。例えば、図2で示すような、ドアモール1、ドアミラーのフレーム枠2、ホイールキャップ3、スポイラー4、バンパー5、ウィンカーレンズ6、ピラーガーニッシュ7、リアフィニッシャー8、ヘッドランプカバー(図示せず)等の車両用外装部品成形体、図3a、図3bで示すような、フロントフェンダー21、ドアパネル22、ルーフパネル23、フードパネル24、トランクリッド25、バックドアパネル(図示せず)等の車両用外板が挙げられる。例えば、図4で示すような、車両のフロントガラス(図示せず)、サイドガラス31、リアガラス32等に適用できる。
【0053】
上記したように本発明では、更に、顔料等の着色剤を樹脂組成物(A)に混練したり、上記積層体に着色層を挿入して所望の色調を有する部品を得ることも可能である。また、本発明の積層体は、着色剤を含まない透明な積層体、または透明層と着色層とからなる積層体であってもよい。このため、上記記載の自動車以外でも美観、平滑性、透明感等の外観品質が要求され、かつ高剛性や表面の耐擦傷性を求められる用途、例えば建造物の外装材、内装材、鉄道車両の内装材等にも使用できる。
【0054】
このような車両用部品や建築用内装材などを含む各種部材の製造方法としては、射出成形、真空圧空成形等を部品に合わせて適宜選択すればよい。一般的なガラス繊維強化樹脂は、せん断応力を繰り返し受けることによってガラス繊維が壊れるためにその物性が徐々に低下しリサイクル性も低いが、本発明の樹脂組成物(A)は上記無機微粒子連結体を用いているためせん断応力を受けにくく、物性の低下を抑えることができる。
【0055】
その他、本発明の積層体を用いて、真空成形法、真空圧空法、加熱圧縮法、ブロー成形法等の公知の樹脂成形法によって賦形し、樹脂ガラス、自動車用外板等の外装部品、あるいは自動車用内装部品を成形することもできる。また、上記積層体を金型に挿入し、射出成形法または圧縮成形法で充填樹脂と該挿入積層体の外周部とを一体で成形して自動車用内外装部品成形体を製造することもできる。一体成形によれば、複雑な工程を必要とせずに目的の部材をうる事ができる。
【0056】
本発明の第七は、上記樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ワイパーシステム、樹脂製ドアミラーステイ、樹脂製ピラーである。本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、透明性にも優れるため、例えばワイパーシステムやピラー等のような視界の向上が要求される部品の用途に好適である。
【0057】
従来のワイパーシステムは、黒色塗装仕上げの鋼鉄と黒色のゴムで構成され、低速作動時に視界が妨げられる場合があった。また、従来のドアミラーステイは、外板と同色もしくは黒色塗装仕上げの樹脂製であり、右左折時の視界が妨げられる場合があった。また、従来のピラーは鋼鉄製であり、フロントピラー、センターピラーは通常走行時や右左折時、リアピラーは後方移動時や後方確認時に視界が妨げられる場合があった。この場合、これらの部品に透明な樹脂材料を使用すれば視界は向上するが、高い剛性や耐熱性、熱時/成形時の寸法安定性を満たすことは困難で、従来の透明樹脂材料では上記問題の解決は難しかった。しかしながら本発明の樹脂組成物は、高剛性、低熱膨張率、低熱収縮率を有する透明材であり、該樹脂組成物を用いることで上記問題が解決された。しかも、部品の透明化は、視界向上だけでなく意匠性の向上にも寄与し得る。
【0058】
一例として図5にワイパーシステムの模式図を示す。ワイパーシステムはワイパーアーム(41)とワイパーブレード(42)から構成され、ワイパーアーム固定用ナット穴(45)を中心として半弧を描くように作動する。ワイパーブレード(42)は、一般に弾性を有する支持部分(43)と軟らかいゴム部分(44)とから構成され、本発明のワイパーシステムにおいては、ワイパーアーム、ワイパーブレード、ワイパーブレード支持部分の少なくとも1つに本発明の樹脂組成物を透明材として用いたものである。なお、本発明のワイパーシステムにおいては、該ゴム部分として耐久性が高く比較的透明性の高いシリコンゴム等を用いることが好ましい。また、ワイパーブレードの支持部分として、本発明の樹脂組成物に適量のアクリルゴム成分を加えた樹脂組成物を用いて調製してもよい。ワイパーブレードの支持部分に適度な弾性を与えることができるからである。このような樹脂組成物としては、例えば、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、アクリルゴム(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルやその共重合体等で、例えば日本ゼオン社製NipolAR31がある。)を1〜30質量部添加したものがある。
【0059】
本発明のドアミラーステイや樹脂製ピラーとしては、本発明の樹脂組成物を透明材としてドアミラーステイやピラーに成形したものの他、本発明の樹脂組成物を他の樹脂と積層した多層積層体で構成してもよい。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けたものである。多層積層体とすることで、本発明の樹脂組成物以外の他の付加機能を付加することができる。多層積層体を用いる場合の各層の厚さは、最終的な成形品の厚さと積層数から至適な厚さを選択することができる。このような多層積層体とする場合の他の樹脂としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン/メチルメタアクリレート共重合体がある。なお、該多層積層体として、前記本発明の熱可塑性樹脂積層体を使用することもできる。本発明の樹脂組成物や上記多層積層体を用いてドアミラーステイや樹脂製ピラーを製造する方法は特に限定されない。また、ドアミラーステイやピラーを単独の部品としても成形する他、ドアミラーステイやピラーとして使用できるのであれば、例えば後記する一体成形体の製造方法等によって、ドアミラーステイとフロントピラーや各ピラーと樹脂ルーフパネルとの一体成形体とすることもできる。
【0060】
本発明の第八は、透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が上記樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂成形体である。本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性を有し、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性にも優れるため、透明部と不透明部とを有し、これらを一体に成形した樹脂成形体の用途にも好適に使用できる。このような樹脂成形体を、自動車部品を例に説明する。
【0061】
自動車には、各種ランプ類やカバー、ガラス等の透明な部品と、外板や各種内装部品のような不透明な部品が混在している。これらの部品にはそれぞれ透明性、剛性、耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、耐薬品性等、異なる様々な特性が要求されるため、従来の樹脂材料ではこれら透明な部品と不透明な部品との一体化は難しかった。しかし本発明の樹脂組成物は、射出成形、真空圧空成形などによって容易に成形できるため、本発明の樹脂組成物を透明材として使用して、高剛性、高耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、高耐薬品性を確保しつつ、透明な部分と不透明な部分とを一体成形させ、部品点数及び工程数の削減、部品重量を低下させることができる。また、透明部と不透明部の一体形成により、従来分割されていた外形線が一つの連続するラインで形成できるため、部品外観の向上が図れる。より具体的には、透明性を必要とするヘッドランプはその周囲に存在するバンパ、フロントグリル、フェンダ、フードといった不透明の別の部品と接している。これらを一体成形すると部品点数の削減が可能となり、一体化された部品を組み付ければよいため、組み立て時の工程数も削減できる。特に、本発明の樹脂組成物は耐熱性に優れるため、ランプの熱源が近くて樹脂が溶融するなどの問題もない。従来のヘッドランプはポリカーボネート樹脂製でできているため耐光性が低く、太陽光に暴露されると黄変するため表層コーティングが必要であった。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いるとこのような問題も解決される。
【0062】
このような樹脂組成物の製造方法としては特に制限させるものではない。例えば、透明性が必要とされる部品として自動車用ガラスがあり、ドアに付属するサイドガラス、バックドアガラス、リアフェンダーとルーフに接着してあるリアクウォーターガラス、リアガラス等と称呼されている。サイドガラスやバックドアガラスは、ドアアウターとドアインナーとの間にガラスが配置される構造である。予めドアアウターとドアインナーとを用いて内部に中空部を形成させ、該中空部に本発明の樹脂組成物を流し込むことで、ドアアウター・ドアインナー・ガラスを一体に成形することができる。同様にして、ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスとを一体化することもできる。本発明の樹脂成形体を図6で示すが、上記ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスとを一体化した樹脂成形体に限らず、ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体(51)、ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体(52)、ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体(53)、バックドア・ガラス一体樹脂成形体(54)、ドア・ガラス一体樹脂成形体(55)等がある。なお、ドアロックやワイパーモーター等は後工程で部品の中空部に設置すればよい。
【0063】
更に、自動車用内装材としてインストルメントパネルの場合には、従来から、計器類、その透明なカバー、クラスターリッドが別部品で作られている。しかしながら本発明の樹脂組成物を用いて透明樹脂部と不透明樹脂部とを一体で成形すると、予めインストルメントパネル(61)と計器類のカバー(62)との一体化によってインストルメントパネルに数種の部品を集約させ、部品点数を削減しかつ軽量化を図ることができる。図7にこのようなインストルメントパネルの模式図を示す。
【0064】
また、本発明の樹脂組成物を使用して、樹脂成形体の一部が透明部であり他の部分が不透明である、高強度・高剛性を保持した部材とすることもできる。例えば、ルーフの一部に本発明の樹脂組成物を用いると該部分を透明にすることができ、ガラス製サンルーフを設けなくとも透明なルーフとすることができる。なお、上記樹脂成形体において、不透明部は着色していてもよい。
【0065】
本発明における透明部と不透明部とを有する樹脂成形体において、着色した不透明部の樹脂成形体を得るには、着色した原料樹脂を用いる方法、不透明部に塗装または印刷して着色する方法、または不透明樹脂として着色シートを使用する方法等がある。
【0066】
着色した原料樹脂の調製方法としては、原料樹脂に予め顔料を分散させておく方法の他、原料樹脂ペレットと顔料ペレットを同時に溶融・混練させ、射出成形機を用いて金型内に射出して着色樹脂を得る方法がある。該着色樹脂を用いて本発明の樹脂成形体を製造するには、続いて金型を開き、または溶融樹脂通過経路を新たに作り、別のシリンダを用いて金型の空隙部に透明溶融樹脂を射出すればよい。これによって透明部と着色した不透明部とを有する樹脂成形体を製造することができる。なお、不透明樹脂を先に射出するか透明樹脂を先に射出するかはどちらでも良い。
【0067】
塗装または印刷により着色した不透明部を形成するには、予め透明樹脂を溶融して目的の樹脂成形体を形成し、その後該樹脂成形体の表面または裏面から塗装または印刷を施して着色および不透明性を確保する方法である。溶融樹脂の賦形前に塗装または印刷を施し、その後に賦形することもできる。
【0068】
不透明樹脂として着色シートを使用する場合には、予め着色された不透明シートを予備賦形しておき金型内に配置し、続いて溶融透明樹脂を金型内に注入し、樹脂を冷却固化させ、その後に金型より取り出せば、本発明の樹脂成形体を得ることができる。
【0069】
また、上記方法によれば、例えばルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体として、ガラス部が透明部であり、ルーフとフェンダとが不透明である樹脂成形体に限られず、ガラスの上部とルーフの一部が透明部であり、フェンダとガラスおよびルーフの残部が不透明の樹脂成形体とすることもできる。
【0070】
更に、本発明の透明部と不透明部とが一体成形された樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物と顔料とによって構成できるが、本発明の樹脂組成物と他の樹脂とを積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、多層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さは、樹脂成形体の用途に応じて適宜選択することができる。
【0071】
本発明の第九は、本発明の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする熱線付き樹脂製ウィンドウ、樹脂製ミラー、樹脂製ランプリフレクター、樹脂製エンジンルーム内カバーおよびケース、樹脂製冷却装置部品である。
【0072】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性にも優れるため、例えば樹脂製ウィンドウや樹脂製ミラー、ランプリフレクター、エンジンルーム内カバーおよびケース等の部品の用途に好適であり、部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。更に本発明の樹脂組成物を透明材として用いることで、透明性が要求される部品の材料代替が可能になり、防曇性や視界の向上が図られる。例えば、図8に示すリアウィンドウ(73)、ドアウィンドウ(72)、フロントウィンドウ(71)などの樹脂製ウィンドウは、防曇機能を付与するため成形体の内部や表面に加熱可能な熱線ヒータを設けることがある。従来の透明樹脂材料を用いた場合には、熱線ヒータによる樹脂材料の耐熱性や熱膨張が課題となるが、本発明の樹脂組成物を用いるとこれらの問題がない。また、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するので、フロントウィンドウ(71)、ドアウィンドウ(72)、リヤウィンドウ(73)等の大型部品に応用可能で軽量化することができる。尚、熱線ヒータの形成方法としては、例えばフィルム化された熱線部をインサート成形する方法や、室内側表面に熱線部を蒸着・塗布・印刷法等により形成する方法等が挙げられる。また、本発明の透明樹脂を用いて樹脂製サイドミラー(74)(図8参照)を製造すると、従来のガラスや透明樹脂を用いた場合に比べ軽量化ができ、これに熱線ヒータを設ければ防曇機能を付与することも可能になる。図8に示したサイドミラー以外にも車室内のルームミラー等にも適用可能である。
【0073】
また、図9に自動車ランプの横断面図を示す。車体側基体(81)に固定されたアウタ部材(82)の内部にリフレクター(83)が配置され、該リフレクターにはバルブ(84)と光軸調整器(85)が連結し、該アウタ部材ははさらにアウタレンズ(86)が嵌合されている。従来の樹脂材料を用いてリフレクターを構成すると、耐熱性・線膨張率・線膨張異方性に劣る場合があったが、本発明の樹脂組成物を用いるとこれらの問題が解決できる。特に、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するため軽量で高耐熱性が確保でき、かつ寸法安定性と表面平滑性に優れるランプリフレクターとでき、ヘッドランプ、フォグランプ、リアコンビランプ等のリフレクター、またはヘッドランプのサブリフレクター等に好適に使用できる。尚、反射部の形成方法としては、例えば該部材を製造する際に反射膜部をインサート成形する方法や、該部材を射出成形・プレス成形により成形後に、反射部に蒸着膜を形成させる方法等がある。
【0074】
また、本発明の樹脂組成物を使用して、エンジンルーム内カバーおよびケースに応用することができる。エンジンルーム内を図10および図11に示す。本発明の樹脂組成物は透明性、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れるため、温度条件の厳しいエンジンルーム内において使用可能で、かつ軽量な部品とすることができる。このような部品として、例えばラジエーター(91)、冷却液リザーブタンク(92)、ウオシャータンクインレット(93)、電気部品ハウジング(94)、ブレーキオイルタンク(95)、シリンダーヘッドカバー(96)、エンジンボディー(101)、タイミングチェーン(102)、ガスケット(103)、フロントチェーンケース(104)などがある。しかも、本発明の樹脂組成物は透明であるため、上記ウオッシャータンクインレット、電気部品ハウジング、ブレーキオイルタンク、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルトカバー等のタンクあるいはカバー内の視認性を向上させることができる。
【0075】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れたより軽量な部品とすることができることから、自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品用途に好適に使用される。このような樹脂製冷却装置部品を図12、13に示す。例えば、図12に示すウォーターパイプ(111)、O−リング(112)、ウォーターポンプハウジング(113)、ウォーターポンプインペラ(114)、ウォーターポンプ(115)、ウォーターポンププーリ(116)、図13に示すウォーターパイプ(121)、サーモスタットハウジング(122)、サーモスタット(123)、ウォーターインレット(124)等のラジエータータンクのトップおよびベースなどのラジエータータンク部品、バルブなどの部品が挙げられる。該樹脂組成物を使用すると軽量化、耐薬品性向上、燃費向上が図られるため、その実用価値が高い。
【0076】
尚、本発明の上記各部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、各層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0077】
本発明の第十は、上記樹脂組成物を含んで成る、大気と連通した中空構造および/あるいは密閉された中空構造を有することを特徴とする樹脂一体成形体である。上記のように、本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えばドアやルーフ、フード等のような中空構造を有する部品の用途に好適である。自動車の外板および内外装部品は、鋼板と樹脂パネルより構成され、かつ部品内部に補機等を装着する中空構造を有している部品が多い。例えば、側面ドアおよびバックドアは、外側および内側を鋼板で中空構造を構成し、塗装を経て組み立て工程で内側鋼板に樹脂パネルを取り付け、中空構造内に各種補機等を取り付けている。また、ルーフ、フード、トランクリッド、バックドア等は、外板および補強レインホース等を鋼板で構成し、塗装後に内側に樹脂部品を取り付けている。これらの中空構造を有する部品は大型であり、剛性や寸法安定性も要求されるため、従来の樹脂材料では一体成形が難しかった。しかしながら、高剛性、低熱膨張率、低熱収縮率を有する本発明の樹脂組成物を使用すると一体成形が可能となり、これらの部品の部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。
【0078】
本発明の樹脂一体成形体は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。多層積層体を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。なお、このような多層積層体として、本発明の熱可塑性樹脂積層体を使用することもできる。
【0079】
本発明の樹脂一体成形体は、最表面層に表皮材、意匠印刷層等の加飾層を設けることで意匠性、触感、質感を高め商品性を向上することができる。たとえば起毛シート、エンボス紋様シート、レーザー紋様シート、木目調シート等の表皮材を最表面層に設けた成形体は、ルーフ室内側、ピラーガーニッシュ類、インストルメントパネル等に用いることができる。前述の多層積層体を用いた場合には、意匠印刷層はその中間層に設けてもよく、表層を透明材とすることで光沢感、深み感を高めることができる。
【0080】
また、本発明の中空構造を有する樹脂一体成形体は、中空部に気体、液体、固体あるいはこれらの混合物を封入することで断熱性能、遮音性能を向上させることができる。封入材としては、透明性が要求される場合は窒素、アルゴン、二酸化炭素、空気等の気体が好ましく、透明性が要求されない場合は前述の気体の他、封入時の加熱で液体状を示し封入後の常温では固体状になるパラフィン、ワックス等が好ましい。上記封入材により、夏期には車室内から冷熱の逃げ、外気の高熱の侵入を、冬期には温熱の逃げ、外気の冷熱の侵入を抑制し快適な車室内環境を維持できる。また二重壁で内に中空部を有する構造により、外部からの騒音エネルギーを緩和あるいは吸収し、静粛な車室内環境を確保できる。またフードに本構成体を適用すると、エンジンルームからの放射音、放射熱を低減できる。
【0081】
本発明の中空構造を有する一体成形体の製造方法は特に限定されず、一般的な真空圧空成形法、射出成形法、ブロー成形法、プレス成形法等を用いることができるが、例えば次の方法を好適に用いることができる。
【0082】
一つ目の方法では、まず加圧流体導入経路を備えたホルダーに、本発明の樹脂組成物より成る2枚の樹脂シートを固定し、公知の方法でホルダーをシールして2枚のシート間に密閉空間を形成する。各シートを荷重たわみ温度以上に加熱し開放状態の金型にセットし、次いで軟化したシートの外周部を金型で押圧して溶着する。溶着しつつあるいは溶着後に、2枚のシートの間の密閉空間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/または拡張後、金型を閉状態にして成形体が冷却するまで加圧流体圧を保持し中空構造を形成する。好ましくは真空引き孔を設けた金型を用い、シート拡張時に真空吸引を併用し金型面とシートの密着を高める。真空引きを用いると成形体の転写性を向上できる。すなわち、本発明の第十一は、上記樹脂組成物を含んで成る樹脂シート2枚を加熱し、これを開状態の金型に挿入し、シート外周部を押圧し、外周部を溶着する前あるいは溶着後にシート間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/または拡張後、金型を閉状態にし、加圧流体圧を保持し中空構造を形成することを特徴とする樹脂一体成形体の製造方法である。
【0083】
二つ目の方法は、閉状態の金型内に溶融した本発明の樹脂組成物を充填しつつ、あるいは充填後に金型を後退しキャビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。
【0084】
三つ目の方法は、開状態の金型キャビティ面に本発明の樹脂組成物を含んで成る樹脂シートを1枚もしくは2枚インサートし、金型を閉状態で2枚のシート間もしくは1枚のシート背面に溶融樹脂を充填しつつ/または充填後、キャビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成する樹脂一体成形体の製造方法である。開状態の金型片面のキャビティ面に、たとえば本発明の樹脂組成物より成る樹脂シートを1枚インサートし、背面に溶融樹脂を充填しつつ、あるいは充填後に金型を後退しキャビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法、または2枚の樹脂シートを用い金型両面のキャビティ面にシートをインサートし、シート間に溶融樹脂を充填しキャビティ容積を拡大し加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。使用する充填樹脂としては、本発明の樹脂組成物を含んでなるシートと密着する樹脂であればよく、好ましくは本発明の樹脂組成物と溶解度パラメータ(SP値)が近いものが良い。このような充填樹脂としては、上記熱可塑性樹脂積層体において使用する熱可塑性樹脂(D)のいずれか1種以上を使用することができる。
【0085】
本発明の中空構造を有する樹脂一体成形体の適用部品としては、図14、15に示すように、例えばフード(131)、ドア(132)、バックドア(133)、ルーフ(134)、フェンダー(135)、ウィンドウ(136)、トランクリッド(137)、センターコンソールボックス(141)、ピラーガーニッシュ(142)、インストルメントパネル(143)、ヘッドライニング等を挙げることができる。これらの部品はインナー/アウターおよび付帯する部品やレインホース等を同時にかつ一体で成形でき、部品数の低減および工程数を短縮することができる。更に中空部に気体、液体、固体あるいはこれらの混合物を封入することで付加的な機能を付与することができる。例えばフードではレインホースとの一体化や遮音・遮熱機能の付与が可能であり、ルーフではヘッドライニングとの一体化や断熱・遮音機能の付与が可能であり、ドアやフェンダーではインナー/アウターの一体化が可能である。
【0086】
本発明の第十二は、上記樹脂組成物を含んで成る、異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、ひとつの部品に少なくともこれら二種類以上の機能を付与したことを特徴とする一体成形部品である。ここに異なる機能とは、例えば、インストルメントパネルのような表示機能、エアコンダクトなどのような通風機能、ルーフレール等の固定機能などをいう。本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性等の多彩な機能を有するため、種々の機能の確保が期待される部材に応用することができ、これらを一体成形することで異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、ひとつの部品に二種類以上の機能が付与された一体成形部品とすることができる。これによって大型部品の一体化、いわゆるモジュール化やインテグレーション(統合化)に好適であり、高品質を維持しながら部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。例えば、大型内装部品である図16に示すインストルメントパネルは、現在、パネル部(151)とエアコンのエアダクトやケース(152)、クロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)を別々に作り、これらを車の製造ラインで組み立てている。従来の樹脂材料でパネル部とエアコンのエアダクトやケースを一体成形しようとすると、大型かつ複雑な形状の部品のため成形収縮によるヒケや歪み、熱時の膨張などが課題となるが、本発明の樹脂組成物を用いることでこのような課題が解決可能となる。また、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するので、このような一体成形により部品全体を構造体とすることが可能で、従来スチールが使用されているクロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)を廃することが可能である。また本発明の樹脂組成物を用いることでスチールでは後付けする必要があったブラケット等も一体成形可能となる。また一体成形時に金型内に表皮材等の加飾材を投入しインサート成形することにより、加飾材との一体成形も可能になる。同様の効果は例えばドアに適用した場合でも得られる。現在のドアインナーパネルはスチール製が主で、ここにサイドウィンドウ用のガイドレールやレギュレータ、ドアロック、スピーカ等の各種部品が製造ラインで組み付けられる。本発明の樹脂組成物を用いることでドアインナーパネル、ガイドレール、スピーカハウジング等を一体成形することができる。
【0087】
図17に本発明の一体成形部品の他の例を示す。図17に示すように、大型外装部品であるルーフレール(161)を例にすると、前述した本発明の樹脂組成物製のルーフパネル(162)との一体成形が可能となる。ルーフレールは重量がかかり温度的にも厳しい環境で使用されるため、従来の樹脂材料では特に剛性と耐熱性が課題となっていた。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いるとこのような課題が解決可能となる。同様の効果は例えばスポイラーに適用した場合でも得られ、前述した本発明の樹脂組成物製のトランクリッドとの一体成形が可能である。
【0088】
図18に大型車体部品であるラジエーターコアを示す。現在フロントエンドモジュールとして樹脂製のラジエーターコアが世にでつつあるが、本発明の樹脂組成物を用いると、更に耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れたより軽量な部品とすることができ、ファンシュラウドやブラケット等も一体成形することができる。特に、本発明の樹脂組成物を用いると、ラジエーターのリザーバタンク、ヘッドランプカバー等の透明部を一体成形することができ、加えて、従来は別体であったバンパ補強材の一体化も可能となる。また、エンジンルーム内部品であるエアクリーナーやスロットルチャンバー等を例にすると、耐熱性と耐薬品性に優れ低線膨張の本発明の樹脂組成物を用いることで、これらを一体化することができる。従来からこのような一体化は試みられているが、エンジンルーム内は高温かつオイル等の薬品による厳しい環境であり、従来の樹脂材料ではこの対策が課題となっているが、本発明の樹脂組成物を用いるとこのような課題が解決可能となる。同様の効果はインテークマニホールドやシリンダヘッドカバーに適用した場合でも得られ、前述の部品とともに一体成形することも可能である。
【0089】
本発明の一体成形部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。このような多層積層体として、上記熱可塑性樹脂積層体がある。
【0090】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、一体成形部品とした場合には、例えばスロットルチャンバーのような可動部と非可動部を有する部品の用途に好適である。すなわち、自動車の吸排気系部品やエアコンユニット内には、可動部と非可動部を有する部品が多数用いられている。これらの部品は主に空気などの気体の流れを制御するものであり、気体を流路となる筒状の部品と気体の流れを制御する開閉可能な蓋から構成され、例えばスロットルチャンバーやエアコンユニット内の各ドアが例示できるが、これらの部品では気密性が重要である。従来の樹脂材料を用いてこれらの部品の筒状部分と蓋部分を成形すると、成形収縮率や熱膨張率が大きいため、寸法精度が上げられず、開閉部分の気密性が課題となる。また、特にエンジンルーム内の部品に適用する場合、耐熱性も要求されるため、この点も課題となった。しかし、低熱膨張率、低熱収縮率、高耐熱性を有する本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの課題が解決可能となり、気密性に優れた部品とすることができる。更に本発明の樹脂組成物は高剛性なためこれらの部品の軽量化とそれによるレスポンスの向上が可能となる。
【0091】
本発明の可動部と非可動部を有する成形体は、例えば射出成形法を用いて可動部と非可動部を別々に成形した後、これらを組み立ててもよいが、例えば二色成形法等の方法で可動部と非可動部を一体成形することが好ましい。気密性がより向上し、また工程数や部品数の低減が可能になるためである。図19に示すスロットルチャンバーを例に取ると、例えば次の方法で製造することができる。
【0092】
スロットルチャンバーは非可動部である筒状のチャンバー部(181)と可動部である開閉バルブ(182)および開閉バルブ(183)とを有する。まず、二色成形用金型内に、開閉バルブ用金属製シャフトをセットし、次に円筒状のチャンバーを射出成形し、続いて円盤状の開閉バルブを成形するためにスライドコアを後退して円盤状の開閉バルブを射出成形する。このとき金属製シャフトと円盤状の開閉バルブが一体化される。本発明によれば、可動部が気体流動を制御する開閉蓋であり非可動部は流動気体を導入する筒状成形品にも、好ましく応用することができる。
【0093】
本発明の樹脂組成物は、炭化水素系燃料の遮断性、ガスバリア性、耐薬品性に優れるため、炭化水素系燃料を収納する部品または容器、例えば、車両用の燃料タンク等の一連の燃料系部品、灯油容器等家庭用品の用途に好適である。図20に、このような部品や容器である、自動車等の車両における樹脂製燃料タンクを示す。フィラーチューブ(191)を介して炭化水素系燃料であるガソリンが燃料タンク(192)に注入・貯蔵され、ついで当該ガソリンが燃料ポンプ(193)によりエンジン(194)に圧送される形式の燃料系システムとなっている。燃料系部品において本発明の樹脂組成物が適用できる部品としては、燃料タンク(192)、フィラーキャップ(195)、ベントチューブ(196)、フューエルホース(197)、フューエルカットオフバルブ、デリバリーパイプ、エバポチューブ、リターンチューブ、フューエルセンダーモデュール等が挙げられる。燃料タンクはこれら車両の燃料系システム部品の中で最大規模の部品である。近年樹脂化が進み、部品形状の自由度増の効果により金属製に比べ貯蔵燃料量が約10リットルほど増大、かつ重量も25%程度軽減された。この利点から燃料タンクの樹脂化への期待が一層高まっている。ここで燃料タンクの樹脂化の現状と課題について詳述する。
【0094】
従来から、母材樹脂としてオレフィン系のHDPE(高密度ポリエチレン)が使用され、その工法として吹き込み法で成形が行われてきた。これらの材料と工法には大きな変化はなかったが、タンクの層構造は大きく変化した。例えば、当初は単層型燃料タンクであったが、炭化水素の蒸散規制法の施行に伴い、炭化水素の透過低減のため燃料タンクの多層化が余儀なくされた。その結果、現在燃料タンクはHDPE/PA(ポリアミド)またはHDPE/EVOH(エチレン酢酸ビニル共重合体)の両端をHDPEで構成する3種5層からなる多層構造タンクが主流となった。この場合の成形は、従来と同じ吹き込成形である。
【0095】
上記単層型燃料タンクにおいて、タンクから多くの炭化水素系燃料が透過するのは両者の相溶性が良いことが原因と考えられる。相溶の尺度であるSP値はHDPEが7.9、炭化水素系燃料が6〜8であり、両者は同じ領域にある。一方、多層体からなるタンクに用いるPAのSP値は13.6で、炭化水素系燃料とのSP値の開きが大きく、換言すれば相溶性が悪い領域にある。このことから多層体燃料タンクにおけるPA材は、炭化水素系燃料のタンク外への透過を阻止するバリアー層として設置されたのである。しかしながら、該多層体燃料タンクの創出により炭化水素の蒸散規制法を満たす技法が確立されたが、成形工程が煩雑で大幅な価格上昇を招いた。加えて複数の樹脂の積層構造体としたためリサイクルの円滑性が失われ、リサイクル社会という時代の要請に応えがたい新たな課題を残した。
【0096】
これに対し、本発明の樹脂組成物中の改質シリカ組成物はシラノール基を残しているためSP値は11を超え、前述のPAやEVOHに相当する炭化水素系燃料の透過阻止の機能がある。また、本発明の樹脂組成物の主たる成分は、アクリル等の極性基を有するSP値が11以上の樹脂が主体であり、炭化水素系燃料としてのガソリンとは馴染みにくく、換言すれば相溶性が悪い材料構成となり、燃料タンクとしてより望ましい材料である。従って、本発明の樹脂組成物を用いれば、単層型でも炭化水素の蒸散法規制を満たす車両用の燃料タンクを提供することができることが判明した。これによって製造コストの低減が図れ、かつリサイクルの社会的要請に応えることもできるようになった。なお、車両用の燃料タンク以外にも、本発明の樹脂組成物は灯油容器等家庭用品に用いることもできる。これにより灯油の大気への蒸散が軽減され、地球環境の保全に寄与することができる。
【0097】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各種評価は以下の方法により、特記しない場合には、「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。
【0098】
(評価方法:単層透明樹脂組成物)
(1)全光線透過率は、ヘイズメータ(村上色彩研究所製 HM―65)で計測した。75%以上を合格とした。
【0099】
(2)無機微粒子連結体の分散状態は、透過電子顕微鏡(日立製作所(株)製H−800)で観測した。
【0100】
(3)曲げ強度・弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製 DCS−10T)で計測した。曲げ強度108MPa以上を合格とした。
【0101】
(4)線膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製 TMA120C)で計測した。
【0102】
(評価方法:積層体)
(1)全光線透過率(%):ヘイズメーター(HM−65 村上色彩研究所製)で測定した。○:≧90、×:<90 として評価した。
【0103】
(2)ロックウエル硬度:ロックウエル硬度計(Mスケール)で測定した。○:≧95、×:<95として評価した。
【0104】
(3)曲げ弾性率:オートグラフ(DCS−10T 島津製作所製)で測定した。○:≧3500MPa、×:<3500MPaとして評価した。
【0105】
(4)耐衝撃性:200×200mmの積層体を180×180mmの枠で全周固定し、JIS−R3212の耐衝撃性試験法相当の鋼球を高さを変え自由落下させ亀裂が発生する高さを測定した。○:≧3m、×:<3mとして評価した。
【0106】
(5)層間の剥離有無:作成した積層体を約90度に折り曲げて層間の剥離有無を目視で判断した。○:剥離無し、×:剥離有りとして評価した。
【0107】
(6)ソリの有無:積層体より100×50mmの試験片を切り出し、110℃オーブン×2H→室温×2H以上放冷のサイクルを10回繰り返した後のソリの有無を目視で判断した(n=3)。○:ソリ無し、×:ソリ有りとして評価した。
【0108】
(実施例1)
ケイ酸ナトリウム(水ガラス)を原料とし、イオン交換によりナトリウムを除去して、核となるゾル(約5nm)を得て、これらの微小粒子を液中で単独で成長させ、太さ5〜10nm、長さ90〜350nmの鎖状シリカを得た。この鎖状シリカに、シリル化剤で処理してアルキル基を付加し、メチルエチルケトンに溶解してシリカ溶液を得た。
【0109】
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、これに先に調製したシリカ溶液を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得た。
【0110】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。また球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、鎖状のシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きい価を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0111】
(実施例2)
ケイ酸ナトリウム(水ガラス)を原料とし、イオン交換によりナトリウムを除去して、核となるゾル(約5nm)を得て、これらの微小粒子を液中で単独で成長させ、太さ5〜10nm、長さ90〜350nmの鎖状シリカを得た。この鎖状シリカに、シリル化剤で処理してアルキル基を付加し、メチルエチルケトンに溶解してシリカ溶液を得た。
【0112】
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々に先に調製したシリカ溶液を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得た。
【0113】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。さらに実施例1の組成物に比べて、線膨張率が小さく、より良好な結果を示した。また、球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、鎖状のシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きい価を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0114】
(実施例3)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ30〜80nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得た。
【0115】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、実施例1に示した樹脂組成物に比べて、曲げ強度は低下した。これは、シリカ微粒子連結体の長さが短いからである。しかし、球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、鎖状のシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きい価を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0116】
(実施例4)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ350〜500nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤エタノールで沈降させ、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得た。
【0117】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、メタクリルに比べ透明性は劣るが良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし実施例1に比べ、曲げ強度は優れるが、分散性が劣るため透明性は劣り、硬度もやや劣る。これは、シリカ微粒子連結体の長さが、可視光線波長の長さより大きいためである。しかし球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、鎖状のシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きい価を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0118】
(実施例5)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ1〜5nm,長さ90〜350nm,シリカ微粒子長さ7〜50nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させると、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得る。
【0119】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0120】
(実施例6)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ10〜20nm,長さ90〜350nm,シリカ微粒子長さ7〜50nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤へキサンで沈降させると、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得る。
【0121】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0122】
(実施例7)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ10〜20nm,長さ50〜350nm,シリカ微粒子長さ50〜100nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤へキサンで沈降させると、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得る。
【0123】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0124】
(実施例8)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ10〜20nm,長さ100〜350nm,シリカ微粒子長さ50〜100nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤へキサンで沈降させると、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得る。
【0125】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0126】
(実施例9)
ポリメタクリル酸メチル100部をメチルエチルケトン溶剤に溶解し、この溶液にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm)を滴下しながら混合させて、その後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させると、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得た。
【0127】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、メタクリルに比べ、透明性は劣るが、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、シリカ微粒子連結体の分散性が悪いため、実施例1の組成物に比べ、透明性、硬度、曲げ強度、曲げ弾性率は劣る。しかし球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、鎖状のシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きい価を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表2に示す。
【0128】
(実施例10)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させると、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率10/90の混合組成物を得た。
【0129】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、メタクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、実施例1の組成物に比べ、曲げ強度、曲げ弾性率、硬度、および線膨張率の向上は少なかった。これは、シリカ微粒子連結体の配合量が少ないためである。しかし、球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、鎖状のシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きい価を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表2に示す。
【0130】
(実施例11)
重合開始剤AIBNをメタクリル酸メチルモノマー(1モル/リットル)に対し0.5モル%添加、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm)を滴下しながら重合反応させて、約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させると、シリカ微粒子連結体とメタクリル樹脂の組成比率70/30の混合組成物を得た。
【0131】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、メタクリルに比べ、透明性曲げ強度は劣るが、表面硬度向上、曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。
【0132】
しかし、実施例1の組成物に比較して、透明性や曲げ強度は劣った。これはシリカ微粒子連結体の配合量が多すぎるため、シリカ微粒子連結体の凝集や欠陥が増加するためである。しかし、球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、鎖状のシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きい価を示した。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表2に示す。
【0133】
(比較例1)
メタクリル酸メチル100部に過酸化ベンゾイル0.5部を混合、90℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のシリカ微粒子(粒径10〜20nm)を滴下しながら重合反応させて、約1時間後に凝固用溶剤エタノールで沈降させると、シリカ微粒子とメタクリル樹脂の組成比率30/70の混合組成物を得た。
【0134】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好であるが、実施例1〜7の鎖状のシリカ微粒子連結体配合のメタクリル樹脂に比べ、曲げ弾性率が低い値を示した。この試験片で得られた全光線透過率、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表2に示す。
【0135】
(比較例2)
メタクリル酸メチル100部に過酸化ベンゾイル0.5部を混合、90℃に加熱し、重合反応させて、約1時間後に凝固用溶剤エタノールで沈降させると、メタクリル樹脂を得る。
【0136】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。この試験片で得られた全光線透過率、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表2に示す。
【0137】
(実施例12)
実施例1の樹脂組成物とポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス製のユーピロンE200U)を2台の押し出し機で3つのスリットを持つTダイを使い積層体を調製した。上層はシリカ含有アクリル樹脂層(樹脂(A))、中間層はシリカを含まないポリカーボネート系樹脂層(樹脂(B))、下層は上層と同じシリカ含有アクリル樹脂層(樹脂(A))の3層構造で、各層の厚さは1/3/1mmの構成をもつ積層体を得た。評価結果を表3に示す。
【0138】
(実施例13)
無機微粒子連結体の配合量を1質量%にした以外は、実施例12と同じ条件で積層体を得て評価した。評価結果を表3に示す。
【0139】
(実施例14)
無機微粒子連結体の量を10質量%にした以外は、実施例12と同じ条件で積層体を得て評価した。評価結果を表3に示す。
【0140】
(実施例15)
押し出し機の吐量を下げ、またTダイのスリット間隙を調整し、表層の樹脂(A)厚さをを0.1mmに、中間層の樹脂(B)を0.3mmに、下層の樹脂(A)を0.1mmにした以外は実施例12と同じ条件で積層体を得て評価した。
【0141】
評価結果を表3に示す。
【0142】
(実施例16)
押し出し機の吐量を増し、またTダイのスリット間隙を調整して、表層の樹脂(A)を2mm厚さに、中間層の樹脂(B)を6mm厚さに、下層の樹脂(A)を2mm厚さにした以外は実施例12と同じ条件で積層体を得て評価した。評価結果を表3に示す。
【0143】
(実施例17)
無機微粒子連結体の長さが200〜250nmのものを用い、樹脂への配合量を5質量%にした以外は実施例1と同じ条件で積層体を得て評価した。評価結果を表3に示す。
【0144】
(実施例18)
押し出し機の吐量を調整し、またTダイを5層の積層が可能なTダイにして樹脂(A)と樹脂(B)が交互に積層された5層の積層体得た。樹脂層構成は、A/B/A/B/Aで各層の厚さは、0.7/1.5/0.6/1.5/0.7mmにした以外は、実施例1と同じ条件で積層体を得て評価した。評価結果を表3に示す。
【0145】
(比較例3)
無機微粒子連結体を配合しないアクリル樹脂(以下、樹脂(C)と称する)を用いた以外は実施例12と同じ条件で5mm厚さの3層積層体を得て評価した。評価結果を表3に示す。
【0146】
(結果)
実施例1〜7に係る本発明のシリカ微粒子連結体を配合した樹脂組成物は、可視光線波長よりも小さいシリカ微粒子連結体を凝集することなく、透明な非結晶の樹脂に分散配合することによって、透明樹脂の光線透過率を低減することなく、透明樹脂単独に比べて、剛性向上、熱膨張率低減、表面硬度向上を得ることができた。また、球状のシリカ微粒子を配合したメタクリル樹脂に比べ、本発明に係るシリカ微粒子連結体配合の樹脂組成物は曲げ弾性率が大きかった。
【0147】
また、実施例8〜14に示す様に本発明の樹脂組成物を積層することにより成形体の耐衝撃性を高め、温度によるソリを抑えることができた。
【0148】
このため、この樹脂組成物を用いて、射出成形、押出成形、ブロー成形により上記の特性を持つデザイン自由度の大きい成形品を得ることが可能である。また、無機ガラスの自動車ウィンドウは周囲を機械加工で仕上げることが必要であるが、射出成形でウィンドウを成形すると、周囲の加工は不必要で生産性が向上する。
【0149】
【表1】
Figure 0003862075
【0150】
【表2】
Figure 0003862075
【0151】
【表3】
Figure 0003862075

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、網目状シリカを分散した無機微粒子連結体の電子顕微鏡で観察した図である。
【図2】 図2は、本発明に係る樹脂組成物(A)の車両用外装部品用途の一例を示す説明図である。
【図3】 図3a、図3bは、本発明に係る樹脂組成物(A)の車両用外板用途の一例を示す説明図である。
【図4】 図4は、本発明に係る樹脂組成物(A)の樹脂ウィンドウ用途の一例を示す説明図である。
【図5】 図5は、本発明に係る樹脂製ワイパーシステの模式図である。
【図6】 図6は、本発明に係る樹脂製ドアミラーステイの車両用外装部品用途の一例を示す説明図である。
【図7】 図7は、本発明に係る透明樹脂部と不透明樹脂部とを一体で成形したインストルメントパネルを示す図である。
【図8】 図8は、本発明に係る樹脂製ミラー、樹脂製ウィンドウを示す図である。
【図9】 図9は、本発明の樹脂製ランプリフレクターを用いたヘッドランプ部を示す横断面図である。
【図10】 図10は、本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例を示す説明図である。
【図11】 図11は、本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例を示す説明図である。
【図12】 図12は、本発明に係る樹脂組成物を用いた樹脂製冷却装置部品の一例を示す図である。
【図13】 図13は、本発明に係る樹脂組成物を用いた樹脂製冷却装置部品の一例を示す図である。
【図14】 図14は、本発明に係る樹脂組成物を用いた中空構造を有する樹脂一体成形体の一例を示す図である。
【図15】 図15は、本発明に係る樹脂組成物を用いた中空構造を有する樹脂一体成形体の一例を示す図である。
【図16】 図16は、本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の一例を示す説明図である。
【図17】 図17は、本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の一例を示す説明図である。
【図18】 図18は、本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の一例を示す説明図である。
【図19】 図19は、本発明に係る樹脂組成物を用いた可動部と非可動部を有する成形体の一例を示す図であり、図19Aは該成形体の横断面図、図19Bは該成形体の上面図である。
【図20】 図20は、本発明に係る樹脂組成物の車両用外装部品用途の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ドアモール、2…ドアミラーのフレーム枠、3…ホイールキャップ、4…スポイラー、5…バンパー、6…ウィンカーレンズ、7…ピラーガーニッシュ、8…リアフィニッシャー、21…フロントフェンダー、22…ドアパネル、23…ルーフパネル、31…サイドガラス、32…リアガラス、41…ワイパーアーム、42…ワイパーブレード、43…弾性を有する支持部分、44…軟らかいゴム部分、45…ワイパーアーム固定用ナット穴、51…ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体、52…ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体、53…ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体、54…バックドア・ガラス一体樹脂成形体、55…ドア・ガラス一体樹脂成形体、61…インストルメントパネル、62…計器類のカバー、71…フロントウィンドウ、72…ドアウィンドウ、73…リヤウィンドウ、74…樹脂製サイドミラー、81…車体側基体、82…アウタ部材、83…リフレクター、84…バルブ、85…光軸調整器、86…アウタレンズ、91…ラジエーター、92…冷却液リザーブタンク、93…ウオシャータンクインレット、94…電気部品ハウジング、95…ブレーキオイルタンク、96…シリンダーヘッドカバー、101…エンジンボディー、102…タイミングチェーン、103…ガスケット、104…フロントチェーンケース、111…ウォーターパイプ、112…O−リング、113…ウォーターポンプハウジング、114…ウォーターポンプインペラ、115…ウォーターポンプ、116…ウォーターポンププーリ、121…ウォーターパイプ、122…サーモスタットハウジング、123…サーモスタット、124…ウォーターインレット、131…フード、132…ドア、133…バックドア、134…ルーフ、135…フェンダー、136…ウィンドウ、137…トランクリッド、141…センターコンソールボックス、142…ピラーガーニッシュ、143…インストルメントパネル、151…パネル部、152…エアコンのエアダクトおよびケース、161…ルーフレール、162…ルーフパネル、181…チャンバー部、182…開閉バルブ、183…開閉バルブ、191…フィラーチューブ、192…燃料タンク、193…燃料ポンプ、194…エンジン、195…フィラーキャップ、196…ベントチューブ、197…フューエルホース、198…空気室。

Claims (46)

  1. 疎水化処理した無機微粒子連結体を樹脂中に均一に分散した複合樹脂組成物であって、該樹脂は、ポリメチルメタクリレートであり、該無機微粒子連結体は円柱状の無機微粒子がその長さ方向に複数個連結し、鎖状または網目状の形状であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 該無機微粒子連結体の最大長さが380nm以下であることを特徴とする、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 該無機微粒子連結体を構成する無機微粒子は、(長さ)/(太さ)が2.5〜350であることを特徴とする、請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 該無機微粒子は、太さが1〜20nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 該無機微粒子は、長さが7〜200nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 該樹脂に対する無機微粒子連結体の配合率が、1〜99質量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 該無機微粒子連結体は、表面にアルキル基を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 該無機微粒子が、酸化ケイ素からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の樹脂組成物(A)と熱可塑性樹脂(B)とを少なくとも1層づつ積層した熱可塑性樹脂積層体であって、該樹脂組成物(A)と該熱可塑性樹脂(B)とが交互に積層されていることを特徴とする熱可塑性樹脂積層体。
  10. 該透明樹脂組成物(A)の層と該熱可塑性樹脂(B)の層とが熱溶着されていることを特徴とする請求項記載の熱可塑性樹脂積層体。
  11. 該熱可塑性樹脂(B)が、ポリカーボネート系樹脂であることを特徴とする請求項9または10に記載の熱可塑性樹脂積層体。
  12. 積層数が3層以上の奇数の場合において、該積層体の最上層と最下層とが共に該樹脂組成物(A)で、または該熱可塑性樹脂(B)で構成されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂組成物または熱可塑性樹脂積層体を用いた車両用内外装部品成形体、車両用外板または樹脂ウィンドウ。
  14. 溶剤に分散させた疎水化処理した無機微粒子連結体と、溶剤に溶解させた樹脂とを混合することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  15. 樹脂のモノマーを重合させる過程中に、溶剤に分散させた疎水化処理した無機微粒子連結体を混合することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  16. 加熱成形および/または加圧成形により積層することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体の製造方法。
  17. 請求項9〜12のいずれかに記載の熱可塑性樹脂積層体を金型に挿入し、射出成形法または圧縮成形法で充填樹脂と該挿入積層体の外周部とを一体で成形することを特徴とする、車両用内外装部品成形体の製造方法。
  18. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ワイパーシステム。
  19. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ドアミラーステイ。
  20. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ピラー。
  21. 透明部と不透明部を有する樹脂成形体において、少なくとも透明部が請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂成形体。
  22. 透明部と不透明部が一体成形されたことを特徴とする請求項21記載の樹脂成形体。
  23. 不透明部が樹脂中に分散した顔料により着色され形成されることを特徴とする請求項21または22記載の樹脂成形体。
  24. 上記樹脂成形部品の不透明部が成形前あるいは成形後に塗装もしくは印刷され形成されることを特徴とする請求項21または22記載の樹脂成形体。
  25. 上記樹脂成形部品の不透明部が着色シートを用いて形成されることを特徴とする請求項21または22記載の樹脂成形体。
  26. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする熱線付き樹脂製ウィンドウ。
  27. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ミラー。
  28. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ランプリフレクター。
  29. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製エンジンルーム内カバーおよびケース。
  30. 透明であることを特徴とする請求項29記載のエンジンルーム内カバーおよびケース。
  31. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製冷却装置部品。
  32. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成る、大気と連通した中空構造および/あるいは密閉された中空構造を有することを特徴とする樹脂一体成形体。
  33. 中空構造が、気体または液体または固体あるいはこれらの混合物が充填され封入されていることを特徴とする請求項32記載の樹脂一体成形体。
  34. 一体成形体の最表層が、加飾材で構成されていることを特徴とする請求項32または33記載の樹脂一体成形体。
  35. 樹脂一体成形体は、自動車の外板あるいは内外装部品であることを特徴とする請求項32〜34記載の樹脂一体成形体。
  36. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成る樹脂シート2枚を加熱し、これを開状態の金型に挿入し、シート外周部を押圧し、外周部を溶着する前あるいは溶着後にシート間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/または拡張後、金型を閉状態にし、加圧流体圧を保持し中空構造を形成することを特徴とする請求項32〜35記載の樹脂一体成形体の製造方法。
  37. 閉状態の金型内に溶融した請求項1〜記載の樹脂組成物を充填しつつ/または充填後、キャビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成する請求項32〜35記載の樹脂一体成形体の製造方法。
  38. 開状態の金型キャビティ面に請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成る樹脂シートを1枚もしくは2枚インサートし、金型を閉状態で2枚のシート間もしくは1枚のシート背面に溶融樹脂を充填しつつ/または充填後、キャビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成する請求項32〜35のいずれかに記載の樹脂一体成形体の製造方法。
  39. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成る、異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、ひとつの部品に少なくともこれら二種類以上の機能を付与したことを特徴とする一体成形部品。
  40. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする可動部と非可動部を有する成形体。
  41. 二色成形により可動部と非可動部が一体で得られることを特徴とする請求項40記載の成形体。
  42. 可動部が気体流動を制御する開閉蓋で、非可動部は流動気体を導入する筒状成形品であることを特徴とする請求項40または41記載の成形体。
  43. 請求項1〜記載の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器。
  44. 車両用の一連の燃料系部品であることを特徴とする請求項43記載の炭化水素系燃料収納部品。
  45. 車両用の燃料タンクであることを特徴とする請求項43または44記載の炭化水素系燃料収納部品。
  46. 吹き込み成形法で成形された車両用の燃料タンクであることを特徴とする請求項45記載の炭化水素系燃料収納部品。
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