JP2005015519A - 樹脂組成物とその製造方法 - Google Patents

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Katsuhiko Suzuki
克彦 鈴木
Yasuaki Kai
康朗 甲斐
Kenji Uesugi
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Abstract

【課題】透明性を維持したまま弾性率及び強度が向上する樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂を多価アルコールにより分解して、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂を形成する。次いで、所定の溶媒中で、前記ポリエステル樹脂と表面に官能基を有する酸化化合物とを混合し、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが水素結合を形成してなる、前記ポリエステル樹脂と前記酸化化合物とを含む樹脂組成物を形成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性・強度、耐衝撃性などの機械的物性に優れた樹脂組成物に関するものであり、自動車用の内外装部品や外板の用途として有用な樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、透明樹脂中にナノ無機充填材が含んでなることにより剛性、強度、耐衝撃性が向上し、かつ透明性を有するナノ複合熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
透明樹脂は無機ガラスと比べ、耐衝撃性、軽量性、成形性に優れているため、様々な工業用品、日用品に使用されており、例えばカメラレンズ、コンタクトレンズなどの光学的用途、透明性が必要とされる自動車用部品、電気機器部品等に使用されている。透明樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂等がある。自動車用部品の中で樹脂ガラスは、無機ガラスに比べ耐衝撃性、軽量性、成形性に優れる特徴を有しているため、その用途や使用量も増加している。しかしながら、乗員保護、車両性能向上の観点から、車両用部品に求められる性能は益々高くなっている。
【0003】
これらの剛性・強度等の物性を改良するために、特開平11−343349号公報には、透明な非結晶の有機高分子に、剛性の向上等を目的として可視光線波長以下の径を有する微細なシリカを配合した透明樹脂組成物からなる樹脂製ウィンドウが開示されている。前記透明樹脂組成物は、透明な非結晶の有機高分子を生成する過程で溶剤に分散させたシリカ微粒子を添加して反応系を形成し、次いで凝固剤溶剤で沈降させることでシリカ微粒子と有機高分子とを含む透明樹脂組成物をうるものである。高分子生成のための重合反応としては懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合のいずれであってもよく、透明な非結晶の有機高分子を生成するモノマーとしては、メタクリル酸メチル等が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メタクリル酸メチル等を用いたアクリル系樹脂は衝撃力に弱く、車両の外板やウインドシールドに適用した場合、飛び石などにより割れてしまう問題があった。ポリカーボネート樹脂は耐衝撃性が高く、飛び石等で割れることは無いため、自動車の前照灯に使用されている。しかし、弾性率がそれほど大きくないため、大きな自動車用部品に適用した場合、部品としての剛性を高くすることができず、車両全体として要求される性能を向上させることが難しい。ポリカーボネート樹脂にフィラーなどの充填材を混ぜると弾性率は向上するが、一方、透明性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題について鑑みてなされたものであり、透明性を維持したまま弾性率及び強度が向上する樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は前記樹脂組成物を利用した種々の成形体及び部品、並びにこれら成形体及び部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、
分子末端に水酸基を有したポリエステル樹脂と、
前記ポリエステル樹脂の末端の水酸基と水素結合を形成する官能基を表面に有する酸化化合物と、
を含むことを特徴とする、樹脂組成物に関する。
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、分子末端に水酸基を有したポリエステル樹脂と、このポリエステル樹脂の末端の水酸基と水素結合を形成する官能基を有する酸化化合物とから樹脂組成物を形成させることにより、上記問題が解決されることを見出し本発明に至った。
【0009】
末端に水酸基を有するポリエステル樹脂中に、官能基を有する酸化化合物を分散させると、前記ポリエステル樹脂の末端の前記水酸基と前記酸化化合物の前記官能基の間で水素結合が生じる。この水素結合の結合力により、前記ポリエステル樹脂と前記酸化化合物との界面において相互作用力が働き、この結果、前記ポリエステル樹脂と前記酸化化合物とが強固に結びつき、樹脂組成物としての弾性率・強度が向上する。したがって、透明性を維持したまま弾性率及び強度が向上する樹脂組成物を提供することができる。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、上述した樹脂組成物中に、分子末端に水酸基を有しない追加のポリエステル樹脂を含有させることもできる。この場合、前記追加のポリエステル樹脂が有する高い耐衝撃性などに依存して、目的とする前記樹脂組成物の耐衝撃性などを向上させることができる。
【0011】
本発明の詳細及びその他の特徴、並びに樹脂塑性物の製造方法及び成形体、部品、さらにこれらの製造方法については以下の発明の実施の形態で説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(ポリエステル樹脂)
本発明の樹脂組成物は、分子末端に水酸基を有したポリエステル樹脂を含む。この分子末端に水酸基を有したポリエステル樹脂としては、ポリカーボネートのジオール、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのジオール、ポリアリレート、ポリカプロラクタム、ポリ乳酸などのジオールを例示することができる。特に、耐衝撃性などの機械的特性に優れるため、前記ポリエステル樹脂はポリカーボネート樹脂から構成することが好ましく、したがって、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂としては、ポリカーボネートのジオールが好ましい。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、上述した分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂と、以下に詳述する酸化化合物とから構成するが、好ましくは、分子末端に水酸基を有しない追加のポリエステル樹脂を含む。この場合、目的とする樹脂組成物は、前記追加のポリエステル樹脂が有する高い耐衝撃性などの特性に依存して、耐衝撃性などの機械的特性が向上する。
【0014】
前記追加のポリエステル樹脂は、上記同様に、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどから構成することができるが、好ましくは高い機械的特性を有するポリカーボネート樹脂から構成する。
【0015】
前記追加のポリエステル樹脂を含有させる場合、前記水酸基を有するポリエステル樹脂は、前記追加のポリエステル樹脂の100重量部に対して0.1〜50重量部の割合で含有させることが好ましい。前記ポリエステル樹脂の含有割合が0.1重量部未満であると、酸化化合物とポリカーボネートとの相互作用力が小さくなり、目的とする樹脂組成物中において弾性率の向上が見られない。また、前記ポリエステル樹脂の含有割合が50重量部を超えると、目的とする前記樹脂組成物中において、前記追加のポリエステル樹脂による耐衝撃性などの向上の効果がほとんど認められない。
【0016】
(酸化化合物)
本発明の樹脂組成物は、上述したポリエステル樹脂の末端の水酸基と水素結合を結合すべく、表面に官能基を有する酸化化合物を含む。前記官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、エポキシ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、及びスルホン基を例示することができる。このような官能基の中でも、水酸基、アミノ基、エポキシ基、及びエーテル基が好ましく、特にはアミノ基が好ましい。アミノ基は、酸化化合物の表面に付加させやすく、ポリカーボネートの水酸基と強い化学結合力を持たせることができる。
【0017】
酸化化合物としては、金属酸化物を用いることができ、アルミニウム、アンモチン、砒素、バリウム、べリリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ニオブ、パラジウム、白金、カリウム、ロジウム、ルテニウム、シリコン、銀、ナトリウム、ストロンチウム、タンタル、タリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、及びジルコニウムなどの金属の酸化物が挙げられる。このうち1つを用いても良いし、または2つ以上からなる酸化物を使用しても良い。この中でも金属酸化物であるシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナが取り扱いやすく適している。
【0018】
また、前記酸化化合物は、上述した官能基の他に疎水基を有することができる。この場合、前記疎水基は前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と反発するようになり、この結果、前記酸化化合物は前記ポリエステル樹脂中に均一に分散するようになる。したがって、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが樹脂組成物の全体に亘って均一に水素結合するようになり、前記樹脂組成物の透明性、並びに弾性率及び強度を簡易に向上させることができるようになる。
【0019】
前記疎水基としては、アルキル基、アリル基、及びアリール基を例示することができる。これらは単独あるいは2以上を組み合わせて用いることもできる。さらに、前記アルキル基などは鎖状に存在していても良い。但し、前記主鎖において水酸基やエーテル基などの極性基を含有させると、全体として極性を呈するようになるので、これらの極性基を含有させないことが要求される。また、分子に枝分かれがあっても良いし、二重結合があっても良い。分子量が高くなると立体障害や樹脂中での粒子の動きやすさが低下するため、分子量の低いものが好ましい。
【0020】
前記酸化化合物における前記疎水基の割合は、前記疎水基及び前記極性基の全体に対して30%から70%であることが好ましい。前記疎水基の割合が30%未満の場合は、上述した前記疎水基含有の効果を十分に発揮することができない場合がある。また、前記疎水基の割合が70%を超えた場合は、前記酸化化合物表面の官能基と前記ポリエステル樹脂の末端水酸基との水素結合が樹脂組成物全体で見た場合に不十分となり、前記樹脂組成物の弾性率や強度などを十分に向上させることができない場合がある。
【0021】
また、目的とする樹脂組成物において特に高い透明性が要求される場合においては、樹脂組成物内に含有させる前記酸化化合物の各辺がナノオーダーであることが好ましい。具体的には、一辺の長さが1〜200nmであることが好ましく、さらには1〜100nmであることが好ましい。また、その長径が可視光線波長の最小値以下、すなわち380nm以下であることが好ましい。これによって、前記酸化化合物からなる充填材を含む樹脂組成物の可視光域での透明性をより向上させることができるようになる。
【0022】
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物を製造するに際しては、最初に、ポリエステル樹脂を多価アルコールにより分解して、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂を形成する。例えば、トリクロロベンゼン中に、ポリエステル樹脂及び2価アルコール、並びに触媒としての酢酸亜鉛を添加し、次いで加熱溶解することにより、前記ポリエステル樹脂の主鎖を分断し、末端に水酸基を有するポリエステル樹脂を形成する。前記ポリエステル樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合は、前記2価アルコールとして、ビスフェノールAを用いる。
【0023】
次いで、表面に官能基を有する酸化化合物を準備する。このような酸化化合物は、所定の表面処理剤を用いた表面処理によって作製する。
【0024】
前記酸化化合物を通常の状態で保持することにより、前記酸化化合物表面には水酸基が存在するようになるので、前記酸化化合物を通常の態様に従って使用するようにすれば、その表面に官能基としての水酸基を有することになる。
【0025】
前記酸化化合物の前記表面に、例えば前記官能基としてアミノ基を形成する場合は、アミノアルキルアルコキシシラン系化合物、アミノアルキルクロロシラン系化合物等の有機ケイ酸化合物からなる表面処理剤を用いて表面処理することができる。アミノアルキルアルコキシシラン系化合物の例としては、N−2−(アミノエチル)3一アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、アミノアルキルクロロシラン系化合物の例としては、3−アミノプロピルジメチルクロロシラン、4−アミノプチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
【0026】
前記官能基としてエポキシ基を形成する場合は、(3−グリシドキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、5,6−エポキシへキシルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシランなどの表面処理剤を用いて表面処理することができる。
【0027】
前記官能基としてエーテル基を形成する場合は、2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]へプタメチルトリシロキサン、2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、3−メトキシプロピルトリエトキシシランなる表面処理剤を用いて表面処理することができる。
【0028】
その他のアミド基、イミノ基などを官能基を形成する場合においても、これら官能基を有する表面処理剤を用いることによって、前記酸化化合物表面に前記官能基を形成することができる。
【0029】
なお、上述した有機ケイ素化合物は、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
また、上述した疎水基導入のための表面改質剤及び極性基導入のための表面改質剤は、所定の有機溶媒中などに予め含有させておき、前記有機溶媒中に前記酸化化合物を浸漬させることによって表面処理を行い、前記酸化化合物の表面に前記疎水基及び前記極性基を形成した後、得られた充填材を熱可塑性樹脂中に含有及び分散させる、あるいはモノマーを含有した有機溶媒中に含有させて重合することによって、目的とする樹脂組成物を得ることができるようになる。
【0031】
前記酸化化合物表面に疎水基を形成する場合も、前記酸化化合物の表面を所定の表面処理剤で処理することができる。この場合、n−ブチルトリクロロシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−デシルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−へプチルトリクロロシラン、n−へキサデシルトリクロロシラン、n−へキサデシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−へキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n一へキシルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルメトキシクロロシラン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、ドコシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、エチルメチルジクロロシラン、n−へプチルメチルジクロロシラン、n−へキシルメチルジクロロシラン、メチルペンチルジクロロシラン、n−オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリ−n−プロピルクロロシランなどの有機ケイ素化合物からなる表面処理剤を用いることができる。
【0032】
上述した表面処理は、例えばアルコールやトリクロロベンゼンなどの溶媒に上述した表面処理剤を配合した溶液中に、上記酸化化合物を浸漬することによって行うことができる。なお、前記官能基の形成と前記疎水基の形成とは、それぞれの表面処理剤を含んだ複数の溶液を準備し、前記酸化化合物を前記溶液中に順次浸漬させることによって、別々に行うこともできるし、形成すべき官能基及び疎水基に対応した表面処理剤を含んだ単一の溶液を準備し、前記酸化化合物を前記単一溶液中に浸漬させることによって、前記官能基及び前記疎水基を同時に形成することもできる。
【0033】
次いで、上述のようにして作製した分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂と、表面に官能基及び必要に応じて疎水基を形成した酸化化合物とを、例えばトリクロロベンゼン中に分散させるとともに混合撹拌し、得られた溶液を多量のエタノール中に投入することによって沈殿させ、前記トリクロロベンゼンと分離することにより、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが水素結合してなる樹脂組成物を得ることができる。
【0034】
なお、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂をトリクロロベンゼン中に分散させた後、この溶液を多量のエタノール中に投入して沈殿させ、得られたポリエステル樹脂粉末と前記酸化化合物とを溶融混練することによっても目的とする樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
また、上述した分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂に加えて、分子末端に水酸基を有しない追加のポリエステル樹脂を配合させる場合は、例えばトリクロロベンゼン中に、前記ポリエステル樹脂、前記酸化化合物、及び前記追加のポリエステル樹脂を分散させ、混合撹拌した後、得られた溶液を多量のエタノール中に投入することによって沈殿させ、前記トリクロロベンゼンと分離することにより、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが水素結合するとともに、このような水素結合を形成することなく存在する前記追加のポリエステル樹脂を含む樹脂組成物を得ることができる。
【0036】
なお、上述のように、トリクロロベンゼン中に分散させ、エタノール中で沈殿させて得たポリエステル樹脂粉末と、前記酸化化合物と、前記追加のポリエステル樹脂とを溶融混練することによっても目的とする樹脂組成物を得ることができる。
【0037】
(成形体及び部品)
本発明の樹脂組成物は、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し、また熱膨張率が低く、高温時にソリなどを抑制し得るという特性を兼ね備えているため、これらの機能が要求される部材に好適であり、例えば、内装材では計器盤の透明カバー並びに外装材では窓ガラス(ウィンドウ)やヘッドランプ、サンルーフ及びコンビネーションランプカバー類などの、自動車や家電そして住宅に用いられる透明部材・備品に適している。
【0038】
特に、本発明の樹脂組成物は、軽量化と成形の自由度が要求される無機ガラス代替用途としての樹脂製ウィンドウ(特に、熱線付き樹脂製ウィンドウ);車両用内外装部品成形体及び車両用外板;樹脂製ワイパーシステム;樹脂製ドアミラーステイ;樹脂製ビラー;樹脂成形体;樹脂製ミラー;樹脂製ランプリフレクター;樹脂製エンジンルーム内カバー及びケース;樹脂製冷却装置部品;大気と連通した中空構造及び/又は密閉された中空構造を有する樹脂一体成形体;一の部品に異なる2種以上の機能が付与される一体成形部品;可動部と非可動部を有する成形体;ならびに炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器などの用途において、その効果を有効に発揮できる。
以下、本発明の樹脂塑性物の用途について詳述する。
【0039】
<車両用内外装部品成形体及び車両用外板>
本発明に係る樹脂組成物用途の一つとしては、車両用内外装部品成形体及び車両用外板を挙げることができる。本発明の樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、剛性に優れ、さらに高耐熱性であり、熱膨張率が低く、熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、車両用の内外装部品成形体や車両用外板の用途に好適である。
【0040】
図1及び図2(a)は、セダン系自動車のリアサイドからの外観斜視図であり、図2(b)は、前記セダン系自動車の平面図である。車両用の内外装部品成形体としては、図1に示すような、ドアモール1、ドアミラーのフレーム枠2、ホイールキャップ3、スポイラー4、バンパー5、ウインカーレンズ6、ピラーガーニツシュ7、リアフイニツシヤー8、ヘッドランプカバー(図示せず)等を例示することができる。車両用外板としては、図2(a)や図2(b)で示すような、フロントフェンダー21、ドアパネル22、ルーフパネル23、フードパネル24、トランクリッド25、バックドアパネル(図示せず)等を例示することができる。
【0041】
<樹脂製ワイパーシステム、樹脂製ドアミラーステイ及び樹脂製ピラー>
本発明の樹脂組成物の用途の一つとして、樹脂製ワイパーシステム、樹脂製ドアミラーステイ及び樹脂製ピラーを挙げることができる。上述したように、本発明の樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、剛性に優れ、さらに高耐熱性であり、熱膨張率が低く、熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、ワイパーシステム等のような視界の向上が要求される部品の用途に好適である。
【0042】
従来のワイパーシステムは、黒色塗装仕上げの鋼鉄と黒色のゴムで構成され、低速作動時に視界が妨げられるという課題があった。また、従来のドアミラーステイは、外板と同色もしくは黒色塗装仕上げの樹脂製であり、右左折時の視界が妨げられるという課題があった。また、従来のビラーは鋼鉄製であり、フロントビラー、センタービラーは通常走行時や右左折時、リアビラーは後方移動時や後方確認時に視界が妨げられるという課題があった。
【0043】
これらの部品に透明な樹脂材料を使用できれば視界は向上するが、高い剛性や耐熱性、熱時/成形時の寸法安定性も要求されることから、従来の透明樹脂材料では実現が難しかった。これに対して、透明性に優れ、高剛性、低熱膨張率、低熱収縮率を有する本発明の樹脂組成物を上記したような透明材として用いることで、これらの課題が解決可能となり、透明な上記部品が得られる。これらの部品の透明化は視界向上だけでなく、意匠性の向上にも寄与できると期待される。
【0044】
本発明のワイパーシステムの一実施態様を、図3に模式的に示す。図3に示されるように、ワイパーシステム30は、ワイパーアーム31とワイパーブレード32から構成され、ワイパーアーム固定用ナット穴33を中心として半弧を描くように作動する。ワイパーブレード32は、弾性を有する支持部品と軟らかいゴム部品とから構成されている。
【0045】
本発明のワイパーシステムにおいては、ワイパーアーム31とワイパーブレード32の支持部品の少なくとも一つに本発明の樹脂組成物を透明材として用いたものである。なお、本発明のワイパーシステムにおけるワイパーブレード32のゴム部品については、耐久性が高く比較的透明性の高いシリコンゴム等を用いるのが好ましい。また、ワイパーブレード32の支持部品は、本発明の樹脂組成物に適量のアクリルゴム成分を加えた樹脂−ゴム混合組成物を用いて調製してもよい。これによって、ワイパーブレードの支持部品に適度な弾性を与えることができるからである。
【0046】
このような樹脂−ゴム混合組成物としては、例えば、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、アクリルゴム成分(アクリル酸エチル、アクリル酸プチルやその共重合体等で、例えば日本ゼオン株式会社製Nipol AR31がある)を1〜30質量部添加したものがある。
【0047】
ドアミラーステー及びピラーに対しては、本発明の樹脂組成物のみを透明材として用いてもよいが、例えば、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は、少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層(1層以上)にも前記樹脂組成物から成る層を設けることができる。このように多層積層体とすることで、本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。
【0048】
多層積層体を用いる場合の各層の厚さは、最終的な成形品の厚さと積層数から至適な厚さを選択することができる。このような多層積層体とする場合の他の樹脂材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン/メチルメタアクリレート共重合体等がある。
【0049】
また、製造方法や構成は特に限定されず、それぞれ単独の部品としてもよいし、例えば、ドアミラーステー及びフロントピラー、あるいは各ピラー及び樹脂ルーフパネルを、後述する一体成形体の製造方法等によって一体化してもよい。
【0050】
<樹脂成形体>
本発明に係る樹脂組成物の用途の一つとしては、透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする。本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性、耐衝撃性にも優れるため、透明部と不透明部を併せもつ部品の用途に好適である。透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成る樹脂成形体を適用してなる例として、自動車部品を例に説明する。
【0051】
自動車には、例えば、各種ランプ類やカバー、ガラスのような透明な部品と、例えば、外板や各種内装部品のような不透明な部品が混在している。これらの部品にはそれぞれ透明性、剛性、耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、耐薬品性等、異なる様々な特性が要求されるため、従来、樹脂材料ではこれら透明な部品と不透明な部品の一体化は難しかった。
【0052】
これに対して、高剛性、高耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、高耐薬品性という特徴を有する本発明の樹脂組成物を少なくとも透明材として使用することで、これらの課題が解決可能になる。さらに、透明な部品と不透明な部品を一体成形することにより部品点数及び工程数の削減、部品重量の低下が可能になる。また、数種の部品を一体で形成できるため、従来分割されていた外形線が一つの連続するラインで形成できることから、部品外観の向上が図れる。
【0053】
例えば、透明性を必要とするヘッドランプは、その周囲に存在するバンパ、フロントグリル、フェンダ、フードといった別々の(透明又は不透明な)部品と接している。これら透明部・不透明部を一体成形することにより部品点数の削減が可能である。さらに、従来は個々の部品を一つずつ組みつけていたが、一体化された部品一つを組み付ければよいため、組み立て時の工程数も削減できる。
【0054】
また、本発明の樹脂組成物は、高い耐熱性を有するため、ランプの熱源が近くても樹脂が溶けてしまうなどの問題も発生しない。従来のヘッドランプは、ポリカーボネート樹脂製でできており、耐光性が低く、太陽光に暴露されると黄変するため、表層にコーティングしなければならなかったが、本発明の材料(樹脂組成物)を用いることにより、このような課題も解決される。
【0055】
また、例えば、透明性を必要とする自動車用ガラスには、ドアに付属するサイドガラスとバックドアガラス、リアフェンダーとルーフに接着してあるリアクウォーターガラスとリアガラス等がある。本発明の樹脂組成物を少なくとも透明部に用いることにより、これらとガラスとの一体成形部品を得ることができる。例えば、サイドガラスとバックドアガラスとは、ドアアウターとドアインナーとの間にガラスが配置されているが、本発明の材料(樹脂組成物)を用いて内部に中空部を形成することにより、ドアアウター・ドアインナー・ガラスを一体型でかつ同時に成形することができ、部品点数を削減することができる。
【0056】
さらには、予めドアアウターとドアインナーとを用いて内部に中空部を形成させ、前記中空部に本発明の樹脂組成物を流し込むことで、ドアアウター・ドアインナー・ガラスを一体的に成形することができる。なお、ドアロック、ワイパーモーター等は後工程で部品の中空部に設置する。同様にして、ピラーガーニツシュとリアクウォーターガラスとを一体化することもできる。
【0057】
また、例えば、本発明の材料(樹脂組成物)が持つ透明かつ高強度・高剛性の特徴を利用して、構造用部品の部分的な透明化にも適用できる。例えば、ルーフの一部に本発明の樹脂組成物を用いると前記部分を透明にすることができる。したがって、ガラス製サンルーフを設けなくとも透明なルーフを得ることができる。このように、本発明の樹脂組成物を使用することによって、樹脂成形体の一部が透明部であり他の部分が不透明部である、高強度・高剛性を保持した構造用部品を形成することもできる。なお、不透明部は着色していてもよい。
【0058】
図4は、ワゴン車のリアサイドからの外観斜視図である。図4に示すワゴン車は、透明部と不透明部とを有する樹脂成形体である、ランプフード・フェンダー一体樹脂成形体41、ピラーガーニツシュ・ガラス一体樹脂成形体42、ルーフフェンダ・ガラス一体樹脂成形体43、バックドア・ガラス一体樹脂成形体44及びドア・ガラス一体樹脂成形体45等を有している。本発明の樹脂組成物は、これらの樹脂成形体の透明部に適用することができる。例えば、ランプフード・フェンダー一体樹脂成形体41のランプフードなどに適用することができる。このように本発明の樹脂組成物を用いれば、部品点数を削減することができ、部品取り付けの工程数を削減することができる。
【0059】
図5は、透明樹脂部と不透明樹脂部とを一体で成形したインストルメントパネル及び計器類のカバーを示す模式図である。前記透明樹脂部に対して本発明の樹脂組成物を適用するようにすれば、前記透明樹脂部と前記不透明樹脂部とを一体的に成形できるため、予めインストルメントパネル51と計器類のカバー52とを同時に(一体的に)成形しておき、インストルメントパネル51に数種の部品を集約することで、部品点数を削減し、かつ軽量化を図ることができる。
【0060】
なお、透明部と不透明部とを有する樹脂成形体において、着色した不透明部の樹脂成形体を得るには、着色した原料樹脂を用いる方法、不透明部に塗装又は印刷して着色する方法、又は不透明樹脂として着色シートを使用する方法等がある。
【0061】
着色した原料樹脂の調製方法としては、原料樹脂に予め顔料を分散させておく方法の他、原料樹脂ペレットと顔料ベレットを同時に溶融・混練させ、射出成形機を用いて金型内に射出して着色樹脂を得る方法がある。前記着色樹脂を用いて前記樹脂成形体を製造するには、前記着色樹脂を含む前記金型を開き、又は溶融樹脂通過経路を新たに作製して、別のシリンダを用い、前記金型の空隙部に透明溶融樹脂を射出すればよい。これによって透明部と着色した不透明部とを有する樹脂成形体を製造することができる。なお、不透明樹脂を先に射出するか透明樹脂を先に射出するかはどちらでも良い。
【0062】
塗装又は印刷により着色した不透明部を形成するには、予め透明樹脂を溶融して目的の樹脂成形体を形成し、その後前記樹脂成形体の表面あるいは裏面から塗装あるいは印刷を施して、着色及び不透明性を確保する。溶融樹脂の賦形前に塗装又は印刷を施し、その後に賦形することもできる。
【0063】
不透明樹脂として着色シートを使用する場合には、予め着色された不透明シートを予備賦形し、次いで、金型内に配置する。次いで、溶融透明樹脂を前記金型内に注入し、冷却固化した後に前記金型より取り出せば、本発明の樹脂成形体を得ることができる。
【0064】
また、上記方法によれば、例えばルーフフェンダ・ガラス一体樹脂成形体として、ガラス部が透明部であり、ルーフとフェンダとが不透明である樹脂成形体に限られず、ガラスの上部とルーフの一部とが透明部であり、フェンダとガラス及びルーフの残部とが不透明の樹脂成形体とすることもできる。
【0065】
更に、本発明の透明部と不透明部とが一体成形された樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物のみ(一部、顔料等により着色する場合を含む)によって構成できるが、例えば、本発明の樹脂組成物と他の樹脂とを積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも前記樹脂組成物層を設けることができる。このように多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、多層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さは、樹脂成形体の用途に応じて適宜選択することができる。
【0066】
<樹脂ウインドウ、樹脂製ミラー、樹脂製ランプリフレクター、樹脂製エンジンルーム内カバー及びケース、樹脂製冷却装置部品>
本発明に係る樹脂組成物の用途の一つとしては、前記樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ウィンドウ、特に好ましくは熱線付き樹脂製ウィンドウ、樹脂製ミラー、樹脂製ランプリフレクター、樹脂製エンジンルーム内カバー及びケース、樹脂製冷却装置部品である。
【0067】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性にも優れるため、例えば樹脂製ウィンドウや樹脂製ミラー、ランプリフレクター、エンジンルーム内カバー及びケース等の部品の用途に好適であり、部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。更に本発明の樹脂組成物を透明材として用いることで、透明性が要求される部品の材料代替が可能になり、防曇性や視界の向上が図られる。
【0068】
図6は、本発明に係る樹脂製ミラー、樹脂製ウィンドウを示す説明図であって、これらの車両用部品の位置を解説したセダン系自動車の平面図である。例えば、図6に示すように、リアウィンドウ63、ドアウィンドウ(サイドウィンドウ)62、フロントウィンドウ61などの樹脂製ウィンドウは、防曇機能を付与するため、成形体の内部あるいは表面に加熱可能な熱線ヒータを設けることがある。このような場合では、ウィンドウは、風雨を防ぐための部品として、図6のように車両の前面と後面そして側面のドアに設置されるが、その使用面積は3〜4mと大きく、また、従来の無機ガラスの場合では、重量が30〜35kgと重いため、本発明の樹脂組成物を使用することにより、軽量化が期待できる。
【0069】
また、従来の透明樹脂材料を用いた場合には、熱線ヒータによる樹脂材料の耐熱性や熱膨張が課題となるが、本発明の樹脂組成物は加熱時/成形時の寸法安定性に優れるため、本発明の樹脂組成物を用いるとこれらの問題がない。さらに、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するので、図6におけるようなフロントウィンドウ61、ドアウィンドウ62、リヤウィンドウ63等の大型部品に応用可能で軽量化することができる。
【0070】
なお、熱線ヒータの形成方法としては、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、フィルム化された熱線部をインサート成形する方法や、室内側表面に熱線部を蒸着・塗布・印刷法等により形成する方法等が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するので、フロントウィンドウ、ドアウィンドウ、リヤウィンドウ等の大型部品にも適用可能で、軽量化が可能となる。
【0071】
また、本発明の透明樹脂を用いて樹脂製サイドミラー64(図6参照)を製造すると、従来のガラスや透明樹脂を用いた場合に比べ軽量化ができ、これに熱線ヒータを設ければ防曇機能を付与することも可能になる。図6に示したサイドミラー以外にも車室内のルームミラー等にも適用可能である。
【0072】
上記したように、本発明の樹脂組成物は、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し、また熱膨張率が低く、高温時にソリなどを抑制し得るという特性を兼ね備えているために、安全性と機能面で解決すべき課題があるためまだ本格的な採用までには至っていなかったウィンドウやミラーなどの様々な用途にも適用することができる。これにより、従来要望の高かった車両の軽量化及びデザインの自由度の拡大が達成できる。
【0073】
また、近年、ワンボックス型のRV車の普及が目覚しくウィンドウの占める割合が増大してきており、軽量化と乗員の視認性と快適性向上から、ウィンドウの樹脂化に対する要求は益々強くなってきている。本発明の樹脂組成物により成形される透明樹脂製ガラスは、これら自動車用ウィンドウに要求される機能を備えており、車両の軽量化と快適性向上に貢献できるものである。なお、上記記載の樹脂ウィンドウ以外でも美観、平滑性、透明感等の外観品質が要求され、かつ高剛性や表面の耐擦傷性を求められる用途、例えば、建造物の外装材、内装材、鉄道車両の内装材等にも使用できる。
【0074】
また、図7に自動車ランプの横断面図を示す。図7に示すように、車体側基体71に固定されたアウタ部材72の内部にリフレクター73が配置され、リフレクター73にはバルブ74と光軸調整器75が連結され、アウタ部材72は、さらにアウタレンズ76が嵌合されている。従来の樹脂材料を用いてリフレクター73を構成すると、耐熱性・線膨張率・線膨張異方性に劣る場合があったが、本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの課題が解決できる。特に、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するため軽量で高耐熱性が確保でき、かつ寸法安定性と表面平滑性に優れるランプリフレクターとすることができ、ヘッドランプ、フオグランプ、リアコンビランプ等のリフレクター、又はヘッドランプのサブリフレクター等に好適に使用できる。
【0075】
なお、反射部の形成方法としては、例えば、前記部材を製造する際に反射膜をインサート成形する方法や、前記部材を射出成形・プレス成形により成形した後に、前記反射部に蒸着膜を形成させる方法等がある。
【0076】
また、本発明の樹脂組成物を使用して、エンジンルーム内カバー及びケースに応用することができる。エンジンルーム内を図8及び図9に示す。本発明の樹脂組成物は透明性、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れるため、温度条件の厳しいエンジンルーム内において使用可能で、かつ軽量な部品とすることができる。このような部品としては、例えば、ラジエーター81、冷却液リザーブタンク82、ウォシヤータンクインレット83、電気部品ハウジング84、ブレーキオイルタンク85、シリンダーヘッドカバー86、エンジンボディー91、タイミングチェーン92、ガスケット93、フロントチェーンケース94などがある。しかも、本発明の樹脂組成物は透明であるため、上記ウォッシヤータンクインレツト、電気部品ハウジング、ブレーキオイルタンク、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルトカバー等のタンクあるいはカバー内の視認性を向上させることができる。
【0077】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れたより軽量な部品とすることができることから、自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品用途に好適に使用される。このような樹脂製冷却装置部品を図10、11に示す。例えば、図10に示すウォータパイプ101、O−リング102、ウォータポンプハウジング103、ウォータポンプインペラ(羽車)104、ウォータポンプ105、ウォータポンププーリ106、図11に示すウォータパイプ111、サーモスタットハウジング112、サーモスタット113、ウォータインレット114等のラジェタータンクのトップ及びベースなどのラジェタータンク部品、冷却液リザーブタンク、バルブなどの部品が挙げられる。前記樹脂組成物を使用すると軽量化、耐薬品性向上、燃費向上が図られるため、その実用価値が高い。
【0078】
なお、本発明の上記各部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも前記樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、各層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0079】
<中空構造及び/又は密閉された中空構造を有する樹脂一体成形体>
本発明に係る樹脂組成物の用途の一つとして、前記樹脂組成物を含んで成る、大気と連通した中空構造及び/又は密閉された中空構造を有する樹脂一体成形体を例示することができる。上記のように、本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えば、ドアやルーフ、フード等のような中空構造を有する部品の用途に好適である。本発明の樹脂一体成形体としては、自動車の外板及び内外装部品が好ましく挙げられる。
【0080】
この際、自動車の外板及び内外装部品は、鋼板と樹脂パネルより構成され、かつ部品内部に補機等を装着する中空構造を有している部品が多い。例えば、側面ドア及びバックドアは、外側及び内側を中空構造を有する銅板で構成し、塗装を経て組み立て工程で内側銅板に樹脂パネルを取り付け、中空構造内に各種補機等を取り付けている。また、ルーフ、フード、トランクリッド、バックドア等は、外板及び補強レインホース等を鋼板で構成し、塗装後に内側に樹脂部品を取り付けている。これらの中空構造を有する部品は大型であり、剛性や寸法安定性も要求されるため、従来の樹脂材料では一体成形が難しかった。しかしながら、高剛性、低熱膨張率、低熱収縮率を有する本発明の樹脂組成物を使用すると一体成形が可能となり、これらの部品の部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。
【0081】
上述した樹脂一体成形体は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも前記樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。多層積層体を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0082】
前記樹脂一体成形体は、最表面層に表皮材、意匠印刷層等の加飾層を設けることで意匠性、触感、質感を高め商品性を向上することができるため、一体成形体の最表層が加飾材で構成されることが好ましい。例えば、起毛シート、エンボス紋様シート、レーザー紋様シート、木目調シート等の表皮材を最表面層に設けた成形体は、ルーフ室内側、ピラーガーニッシュ類、インストルメントパネル等に用いることができる。前述の多層積層体を用いた場合には、意匠印刷層はその中間層に設けてもよく、表層を透明材とすることで光沢感、深み感を高めることができる。
【0083】
本発明の中空構造を有する一体成形体において、中空構造は、気体、液体若しくは固体、又はこれらの2種以上からなる混合物が充填、封入されることが好ましい。これによって、前記一体成形品の断熱性能、遮音性能を向上させることができるからである。
【0084】
具体的な充填・封入材料としては、特に制限されず、公知の充填・封入材が使用できる。例えば、透明性が要求される場合には、窒素、アルゴン、二酸化炭素、空気等の気体が好ましく、透明性が要求されない場合には、前述の気体の他、封入時の加熱で液状を示しかつ封入後の常温では固体状になるパラフィン、ワックス等が好ましい。
【0085】
上記封入材により、夏期には車室内から冷熱の逃げ、外気の高熱の侵入を抑制することができ、冬期には温熱の逃げ、外気の冷熱の侵入を抑制して快適な車室内環境を維持できる。また二重壁で内に中空部を有する構造により、外部からの騒音エネルギーを緩和、あるいは吸収し静粛な車室内環境を達成できる。また、フードに本発明の樹脂一体成形体を適用することでエンジンルームからの放射音、放射熱を低減できる。
【0086】
本発明の中空構造を有する一体成形体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法が適用できるが、例えば、一般的な真空圧空成形法、射出成形法、ブロー成形法、プレス成形法等を用いることができる、また、例えば、下記第一から第三の方法が好適に用いられる。
【0087】
第一の方法としては、加圧流体導入経路を備えたホルダーに、2枚の本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートを固定し、公知の方法でホルダーをシールして2枚のシート間に密閉空間を形成する。各シートを荷重たわみ温度以上に加熱し、開放状態の金型に挿入した後に、軟化したシートの外周部を金型で押圧して溶着する。この際、外周部を溶着する前あるいは溶着する間、又は溶着した後に、好ましくは溶着する前又は溶着した後に、2枚のシート間の密閉空間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/又は拡張後、金型を閉状態にして成形体が冷却するまで加圧流体圧を保持し、これにより中空構造を形成する。
【0088】
好ましくは、真空引き孔を設けた金型を用い、シート拡張時に真空吸引を併用して、金型面とシートとの密着性を高める。真空吸引を用いることによって、得られる一体成形体の転写性を向上できる。すなわち、前記樹脂一体成形体の代表的な1つの製造方法としては、本発明の樹脂組成物を含んでなる樹脂シート2枚を加熱し、これを開状態の金型に挿入し、シート外周部を押圧し、外周部を溶着する前あるいは溶着した後にシート間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/又は拡張した後に、金型を閉状態にし、加圧流体圧を保持し中空構造を形成する。
【0089】
第二の方法としては、閉状態の金型内に溶融した本発明の樹脂組成物を充填しつつあるいは充填した後、前記金型を後退して、キヤビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。すなわち、閉状態の金型内に溶融した本発明の樹脂組成物を充填しつつ/又は充填後、キヤビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入して、中空構造を形成するものである。
【0090】
第三の方法としては、金型片面のキヤビティ面に本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートを1枚インサートし、背面に溶融樹脂を充填しつつ、あるいは充填後に金型を後退しキヤビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法、あるいは2枚の樹脂シートを用い金型両面のキヤビティ面にシートをインサートし、シート間に溶融樹脂を充填しキヤビティ容積を拡大し加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。すなわち、開状態の金型キヤビティ面に本発明の樹脂組成物を含んでなる樹脂シートを1枚もしくは2枚インサートし、金型を閉状態で前記1枚のシートの背面あるいは前記2枚のシート間に溶融樹脂を充填しつつ又は充填した後、キヤビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成するものである。
【0091】
上記態様において、シート間あるいはシートの背面に充填される樹脂の種類は、本発明の樹脂組成物からなるシートと密着する樹脂であれば特に制限されないが、好ましくは、前記シートを構成する本発明の樹脂組成物と接する樹脂と同種の樹脂、又は本発明の樹脂組成物とSP値が近いものが使用される。このような充填樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、熱可塑性ポリウレタン樹脂等が挙げられ、特にポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
【0092】
前記ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAに代表される二価のフェノール系化合物から誘導される重合体で、ホスゲン法、エステル交換法、あるいは固相重合法のいずれにより製造されたものでもよい。更に、従来からあるポリカーボネート樹脂の他にエステル交換法で重合したポリカーボネート樹脂でもよい。
【0093】
また、上述した加圧流体の種類についても特に制限されず、樹脂シートの成分等を考慮して公知の加圧流体から選択することができる。例えば、空気、窒素ガス等の気体、水やシリコンオイル等の液体などが好ましく使用される。
【0094】
本発明の中空構造を有する樹脂一体成形体の適用部品としては、図12、13に示すように、例えば、フード121、ドア122、バックドア123、ルーフ124、フェンダー125、ウィンドウ126、トランクリッド127、センターコンソールボックス131、ビラーガーニツシュ132、インストルメントパネル133、ヘッドライニング(図示せず)等を挙げることができる。これらの部品はインナー/アウター及び付帯する部品やレインホース等を同時かつ一体的に成形することができ、部品数の低減及び工程数を短縮することができる。
【0095】
更に中空部に気体、液体、固体あるいはこれらの混合物を封入することで、断熱性能、遮音性能等の付加的な機能を付与することができる。例えば、フードではレインホースとの一体化や遮音・遮熱機能の付与が可能であり、ルーフではヘッドライニングとの一体化や断熱・遮音機能の付与が可能であり、ドアやフェンダーではインナー/アウターの一体化が可能である。
【0096】
<2種類以上の機能を有する一体成形部品>
本発明に係る樹脂組成物の用途の一つとしては、前記樹脂組成物を含んで成る、異なる機能を有する2種類以上の部品を統合することを可能にし、単一の部品に異なる2種類以上の機能が付与される一体成形部品である。ここに異なる機能とは、例えば、インストルメントパネルのような表示機能、エアコンダクトなどのような通風機能、ルーフレール等の固定機能などをいう。
【0097】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性等の多彩な機能を有するため、種々の機能の確保が期待される部材に応用することができ、これらを一体成形することで異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、単一の部品に2種類以上の機能が付与された一体成形部品とすることができる。これによって大型部品の一体化、いわゆるモジュール化やインテグレーション(統合化)に好適であり、高品質を維持しながら部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。
【0098】
例えば、大型内装部品であるインストルメントパネルは、現在、パネル部とエアコンのエアダクトやケース、クロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)などとを別々に作り、これらを車の製造ラインで組み立てている。従来の樹脂材料でパネル部とエアコンのエアダクトやケースとを一体成形しようとすると、得られる成形部品は大型化し、かつ複雑な形状を有するようになるため、成形収縮によるヒケや歪み、熱時の膨張などが課題となるが、本発明の樹脂組成物を用いることでこのような課題が解決可能となる。
【0099】
また、本発明の樹脂組成物は上記したように高耐熱性を有し、加熱時/成形時の寸法安定性に優れているので、本発明の樹脂組成物を含んで成る一体成形部品であるインストルメントパネルは、図14に示すように、パネル部141とエアコンのエアダクトやケース142を一体成形により部品全体を構造体とすることが可能で、従来スチールが使用されているクロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)を廃することが可能である。
【0100】
さらに、本発明の樹脂組成物を用いることで、スチールでは後付けする必要があったブラケット等も一体成形可能となる。また、一体成形時に金型内に表皮材等の加飾材を投入しインサート成形することにより、加飾材との一体成形も可能になる。同様の効果は、例えば、ドアに適用した場合でも得られる。現在のドアインナーパネルはスチール製が主で、ここにサイドウィンドウ用のガイドレールやレギュレータ、ドアロック、スピーカ等の各種部品が製造ラインで組み付けられる。本発明の樹脂組成物を用いることでドアインナーパネル、ガイドレール、スピーカハウジング等を一体成形部品とすることができる。
【0101】
図15に本発明の一体成形部品の他の例を示す。図15に示すように、大型外装部品であるルーフレール151を例にすると、前述した本発明の樹脂組成物製のルーフパネル152との一体成形が可能となる。ルーフレールは重量がかかり、また温度的にも厳しい環境で使用されるため、従来の樹脂材料では特に剛性と耐熱性(耐寒性を含む)が課題となっていた。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いることで、このような課題が解決可能となる。同様の効果は、例えば、スボイラーに適用した場合でも得られ、前述した本発明の樹脂組成物製のトランクリッドとの一体成形が可能である。
【0102】
また、図16に示すように、大型車体部品であるラジエタコアを例にすると、現在フロントエンドモジュールとして樹脂製のラジエタコアが世に出つつあるが、本発明の樹脂組成物を用いることで更に耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れた、より軽量な部品とすることができ、又はンシュラウドやブラケット等も一体成形可能となる。また、本発明では、樹脂組成物を透明材として用いることも可能であり、このような場合には、例えば、ラジェタのリザーバタンク、ヘッドランプカバー等の透明部材を含めて一体成形することも可能である。さらに、従来は別体であったバンパ補強材をも含めて一体成形することも可能となる。
【0103】
また、エンジンルーム内部品であるエアクリーナーやスロットルチヤンバー等を例にすると、耐熱性と耐薬品性に優れ、低熱線膨張の本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの一体成形が可能となる。従来よりこのような一体化は試みられているが、エンジンルーム内は高温かつオイル等の薬品による厳しい環境であり、従来の樹脂材料ではこの対策が課題になるが、本発明の樹脂組成物を用いることでこのような課題が解決可能となる。同様の効果は、インテークマニホールドやシリンダヘッドカバーに適用した場合でも得られ、前述の部品とともに一体成形することも可能である。
【0104】
本発明の一体成形部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも前記樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる
【0105】
<可動部と非可動部とを有する成形体>
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えば、スロットルチヤンバーのような可動部と非可動部を有する部品の用途に好適である。したがって、本発明に係る樹脂組成物の用途の一つとして、本発明の樹脂組成物を含んで成る可動部と非可動部とを有する成形体を例示することができる。
【0106】
自動車の吸排気系部品やエアコンユニット内には、可動部と非可動部とを有する部品が多数用いられている。これらの部品は、主に空気などの気体の流れを制御するためのものであり、非可動部として気体の流路となる、即ち、流動気体を導入する筒状の部品(成形体)と、可動部としての、気体流動を制御する開閉可能な蓋から構成され、例えば、スロットルチヤンバーやエアコンユニット内の各ドアが挙げられ、これらの部品では気密性が重要となる。
【0107】
従来の樹脂材料を用いてこれらの部品の筒状部分と蓋部分を成形しようとすると、成形収縮率や熱膨張率が大きいため、寸法精度が上げられず、開閉部分の気密性が課居であった。また、特にエンジンルーム内の部品に適用する場合、耐熱性も要求されるため、この点も課題となった。しかしながら、低熱膨張率、低熱収縮率、高耐熱性を有する本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの課題が解決可能となり、気密性に優れた部品とすることができる。また、本発明の樹脂組成物は高剛性であるため、これらの樹脂組成物を用いることにより、部品の軽量化とそれによるレスボンスの向上が可能となる。
【0108】
本発明の可動部と非可動部を有する成形体の製造方法は、特に制限されず公知の方法が使用できる。本発明の可動部と非可動部を有する成形体は、例えば、射出成形法を用いて可動部と非可動部を別々に成形した後、これらを組み立てる方法を使用してもよいが、例えば、二色成形法等の方法で可動部と非可動部を一体成形することが好ましい。これによって、気密性がより向上し、また工程数や部品数の低減が可能になるためである。図17に示すスロットルチヤンバーを例に取ると、例えば、下記方法で製造可能である。
【0109】
スロットルチヤンバーは、非可動部である筒状のチャンバー部171と、可動部である開閉バルブ172及び開閉バルブシャフト173とを有する。まず、二色成形用金型内に、開閉バルブ用金属製シャフトをセットし、次いで、円筒状のチヤンバーを射出成形し、次いで円盤状の開閉バルブを成形するためにスライドコアを後退させて円盤状の開閉バルブを射出成形する。このとき金属製シャフトと円盤状の開閉バルブとが一体化される。本発明によれば、可動部が気体流動を制御する開閉蓋であり非可動部が流動気体を導入する筒状成形品である場合にも、好ましく応用することができる。
【0110】
<炭化水素系燃料収納用の部品又は容器>
本発明の樹脂組成物は、炭化水素系燃料の遮断性、ガスバリア性、耐薬品性に優れるため、炭化水素系燃料を収納する部品又は容器、炭化水素系燃料を収納する部品又は容器、例えば、燃料タンク等の炭化水素系燃料を収納する車両用の一連の燃料系部品、灯油容器等の家庭用品の用途に好適である。したがって、本発明に係る樹脂組成物の用途の一つとして、本発明の樹脂組成物を含んで成る炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器を例示することができる。
【0111】
図18に、前述した炭化水素系燃料の収納容器の一例として、自動車等の車両における樹脂製燃料タンクを示す。フイラーチューブ181を介して炭化水素系燃料であるガソリンが燃料タンク182に注入・貯蔵され、次いで、前記ガソリンが燃料ポンプ183によりエンジン(図示せず;符号184としてのみ表示する)に圧送される形式の燃料系システムとなっている。
【0112】
図18に示す樹脂製燃料タンクにおいて、本発明の樹脂組成物が適用できる部品としては、燃料タンク本体182、フイラーキャップ185、ペントチューブ186、フューエルホース187、フューエルカットオフバルブ(図示せず)、デリバリーパイプ(図示せず)、エバポチューブ(図示せず)、リターンチューブ(図示せず)、フューエルセンダーモデュール(図示せず)等が挙げられる。
【0113】
燃料タンク本体はこれら車両の燃料系システム部品の中で最大規模の部品である。近年においては、燃料タンク本体を樹脂化する試みがなされ、部品形状の自由度増の効果により、金属製の燃料タンク本体に比較して、貯蔵燃料量が約10リットルほど増大させることができ、重量を25%程度軽減することができた。このような利点から燃料タンクの樹脂化への期待が一層高まっている。
【0114】
ここで、燃料タンクの樹脂化の現状と課題について詳述する。従来から、母材樹脂としてオレフイン系のHDPE(高密度ポリエチレン)が使用され、その工法として吹き込み法で成形が行われてきた。これらの材料と工法には大きな変化はなかったが、タンクの層構造は大きく変化した。例えば、当初は単層型燃料タンクであったが、炭化水素の蒸散規制法の施行に伴い、炭化水素の透過低減のため燃料タンクの多層化が余儀なくされた。その結果、現在燃料タンクはHDPE/PA(ポリアミド)又はHDPE/EVOH(エチレン酢酸ビニル共重合体)の両端をHDPEで構成する3種5層からなる多層構造タンクが主流となっている。この場合の成形は、従来と同じ吹き込成形である。
【0115】
単層型燃料タンクにおいて、このタンクから多くの炭化水素系燃料が透過するのは両者の相溶性が良いのが原因である。相溶の尺度である溶解度パラメータ(以下SP値)はHDPEが7.9、炭化水素系燃料が6〜8であり、両者は同じ領域にある。一方、多層タンクに用いるPAのSP値は13.6で、炭化水素系燃料とのSP値の開きが大きい、換言すれば相溶性が悪い領域にある。これらより多層燃料タンクにおけるPA材は炭化水素系燃料のタンク外への透過を阻止するバリアー層として設置されたものである。
【0116】
前記多層燃料タンクの創出により炭化水素の蒸散規制法を満たす技法が確立されたものの成形工程が煩雑となって大幅な価格上昇を招いた。上記問題に加えて、複数の樹脂の積層構造としたため、リサイクルの円滑性が失われ、リサイクル社会という時代の要請に応えがたい新たな課題を残した。
【0117】
これに対して、本発明の樹脂組成物中の表面改質したシリカ化合物は、シラノール基を残しているためSP値は11を超え、前述のPAやEVOHに相当する炭化水素系燃料の透過阻止の機能がある。また、本発明の樹脂組成物の主たる成分は、アクリル等の極性基を有するSP値が11以上の樹脂が主体であり、炭化水素系燃料としてのガソリンとは馴染みにくい、換言すれば相溶性が悪い材料構成となっているため、燃料タンクとしてより望ましい材料である。
【0118】
従って、本発明の樹脂組成物を用いれば、単層型でも炭化水素の蒸散法規制を満たす車両用の燃料タンクを提供することができる。これにより課題である製造コストの低減が図れ、かつリサイクルの社会的要請に応えることできるようになる。この際、本発明の樹脂組成物は、単層型又は必要であれば多層型のいずれの場合であっても、従来と同様、吹き込成形によって車両用燃料タンクに成形することが使用できる。
【0119】
なお、車両用の燃料タンクに比べると効果はやや低いものの、本発明の樹脂組成物は、灯油容器等の家庭用品に用いることもできる。これにより灯油の大気への蒸散が軽減され、地球環境の保全に寄与することができる。
【0120】
上記したように本発明では、更に、顔料等の着色剤を樹脂組成物に混練したり、着色層を挿入して所望の色調を有する部品を得ることも可能である。このため、上記記載の自動車以外でも美観、平滑性、透明感等の外観品質が要求され、かつ高剛性や表面の耐擦傷性を求められる用途、例えば、建造物の外装材、内装材、鉄道車両の内装材等にも使用できる。
【0121】
このような車両用部品や建築用内装材などを含む各種部材の製造方法としては、上記で詳述したような、射出成形及び真空圧空成形等を部品や用途に合わせて適宜選択すればよい。一般的なガラス繊維強化樹脂は、せん断応力を繰り返し受けることによってガラス繊維が壊れるためにその物性が徐々に低下し、リサイクル性も低いが、本発明の樹脂組成物は、上記表面改質したシリカ化合物を用いているため、せん断応力を受けにくく、物性の低下を抑えることができる。
【0122】
本発明の樹脂組成物に含まれる酸化化合物表面の官能基はFT−IR測定における官能基由来のシグナルの観測及び元素分析の炭素、窒素比率を確認することから分析可能である。いずれ一方の分析では不確実なおそれもあるのでFT−IRと元素分析の両方を実行し、それによって官能基の比率を決定することがより好ましい。
【0123】
【実施例】
次に、本発明に係る樹脂組成物およびその製造方法の実施例について詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0124】
(実施例1)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の121重量部と、ビスフェノールAの6.8重量部と、酢酸亜鉛の0.6重量部とを1、2、4−トリクロロベンゼンの600重量部中に懸濁させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。
【0125】
(2)コンポジット材料の製造
水酸基を有するコロイダルシリカ(日産化学(株)製;スノーテックス ST−O)の12重量部を噴霧乾燥させた後、1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、次いで両末端水酸基ポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液を加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0126】
(実施例2)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の121重量部と、ビスフェノールAの6.8重量部と、酢酸亜鉛の0.6重量部とを、1、2、4−トリクロロベンゼンの600重量部中に懸濁させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。
【0127】
(2)官能基を有するシリカ粒子の製造
コロイダルシリカ(日産化学(株)製;スノーテックス ST−O)12重量部を、95%エタノール水溶液の150重量部及び3−アミノプロピルテトラエトキシシランの2重量部の混合溶液に添加し、室温で2時間放置した。エタノールで洗浄後、120℃/1時間加熱し、官能基としてアミノ基を表面に有する粉末シリカ微粒子を得た。
【0128】
(3)コンポジット材料の製造
前記粉末シリカ微粒子を1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、次いで前記両末端水酸基ポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液を加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0129】
(実施例3)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の121重量部と、ビスフェノールAの6.8重量部と、酢酸亜鉛の0.6重量部とを、1、2、4−トリクロロベンゼン600重量部中に懸濁させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。
【0130】
(2)官能基と疎水基を有するシリカ粒子の製造
コロイダルシリカ(日産化学(株)製;スノーテックス ST−O)の12重量部を、イソプロピルアルコール150重量部、並びにメトキシトリメチルシラン及び0.1mol/Lの硝酸水0.2重量部の混合溶液に加え、室温で2時間放置した。エタノールで洗浄後、120℃で1時間加熱した。次いで、得られた粉末を、95%エタノール水溶液の150重量部及び3−アミノプロピルテトラエトキシシランの2重量部の混合溶液に添加し、室温で2時間放置した。次いで、エタノールで洗浄後、120℃で1時間加熱し、表面に疎水基としてのメチル基及び官能基としてのアミノ基が形成された粉末シリカ微粒子を得た。
【0131】
(3)コンポジット材料の製造
前記シリカ微粒子を1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、次いで前記両末端水酸基ポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液を加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0132】
(実施例4)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の36.3重量部と、ビスフェノールAの2.0重量部と、酢酸亜鉛の0.2重量部とを、1、2、4−トリクロロベンゼンの180重量部中に懸濁させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。
【0133】
(2)コンポジット材料の製造
水酸基を有するコロイダルシリカ(日産化学(珠)製;スノーテックス ST−O)12重量部を噴霧乾燥させた後、1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、次いで前記両末端水酸基ポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液と、ポリカーボネート樹脂の84重量部とを1、2、4−トリクロロベンゼン420重量部に溶解した溶液を加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0134】
(実施例5)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の36.3重量部と、ビスフェノールAの2.0重量部と、酢酸亜鉛の0.2重量部とを、1、2、4−トリクロロベンゼンの180重量部中に懸濁させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。
【0135】
(2)官能基を有するシリカ粒子の製造
コロイダルシリカ(日産化学(株)製;スノーテックス ST−O)の12重量部を95%エタノール水溶液150重量部と、3−アミノプロピルテトラエトキシシランの2重量部との混合溶液に添加し、室温で2時間放置した。エタノールで洗浄後、120℃で1時間加熱し、官能基としてアミノ基を有する粉末シリカ微粒子を得た。
【0136】
(3)コンポジット材料の製造
前記シリカ微粒子を1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、次いで前記両末端水酸基ポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液と、ポリカーボネート樹脂の84重量部とを1、2、4−トリクロロベンゼンの420重量部に溶解した溶液を加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0137】
(実施例6)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の36.3重量部と、ビスフェノールAの2.0重量部と、酢酸亜鉛の0.2重量部とを、1、2、4−トリクロロベンゼンの180重量部中に懸濁させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。
【0138】
(2)官能基と疎水基を有するシリカ粒子の製造
コロイダルシリカ(日産化学(株)製;スノーテックス ST−O)の12重量部を、イソプロピルアルコール150重量部、並びにメトキシトリメチルシラン及び0.1mol/Lの硝酸水0.2重量部の混合溶液に加え、室温で2時間放置した。エタノールで洗浄後、120℃/1時間加熱した。次いで、得られた粉末を95%エタノール水溶液の150重量部及び3−アミノプロピルテトラ工トキシシランの2重量部の混合溶液に添加し、室温で2時間放置した。エタノールで洗浄後、120℃/1時間加熱し、粉末シリカ微粒子を得た。
【0139】
(3)コンポジット材料の製造
前記シリカ微粒子を1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、前記両末端水酸基ポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液と、ポリカーボネート樹脂の84重量部を1、2、4−トリクロロベンゼンの420重量部に溶解した溶液とを加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0140】
(実施例7)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の72.6重量部と、ビスフェノールAの4.0重量部と、酢酸亜鉛の0.4重量部とを、1、2、4−トリクロロベンゼンの360重量部中に懸濁させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。
【0141】
(2)コンポジット材料の製造
水酸基を有するコロイダルシリカ(日産化学(株)製;スノーテックス ST−O)の12重量部を噴霧乾燥させた後、1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、前記両末端水酸基ポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液と、ポリカーボネート樹脂の48重量部を1、2、4−トリクロロベンゼンの240重量部に溶解した溶液とを加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0142】
(実施例8)
水酸基を有するコロイダルシリカに代えて、水酸基を有するチタニア微粉末(昭和電工(株)製;スーパータイタニア F−5(粒径20nm)の12重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。
【0143】
(実施例9)
水酸基を有するコロイダルシリカに代えて、水酸基を有するジルコニア(住友大阪セメント(株)製;高純度ジルコニア OZC−3YF(粒径50nm))の12重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
【0144】
(実施例10)
(1)両末端水酸基ポリカーボネートの製造
水酸基を有するコロイダルシリカに代えて、水酸基を有するアルミナ(昭和電工(株)製;ウルトラファインアルミナ UFA)の12重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
【0145】
(実施例11)
水酸基を有するコロイダルシリカの配合量を12重量部から72重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
【0146】
(実施例12)
水酸基を有するコロイダルシリカの配合量を12重量部から120重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
【0147】
(比較例1)
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)を比較例として用いた。
【0148】
(比較例2)
市販のポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製;ML400)の121重量部を、1、2、4−トリクロロベンゼンの600重量部中に溶解させて、180℃/3時間の加熱攪拌をした。次いで、水酸基を有するコロイダルシリカ(日産化学(株)製;スノーテックス ST−O)の120重量部を噴霧乾燥させた後、1、2、4−トリクロロベンゼンの200重量部中に分散させ、次いでポリカーボネートの1、2、4−トリクロロベンゼン溶液を加え、1時間混合攪拌した後、大過剰のメタノールに投入し、沈殿濾別して樹脂組成物を得た。
【0149】
(評価)
実施例1〜12及び比較例1、2で得た生成物を射出成形することにより、それぞれの試験片に加工し、以下の物性評価を行なった。評価結果を表1にまとめる。
・全光線透過率:ヘイズメータ(村上色彩研究所製 HM−65)を使用し計測した。
・曲げ弾性率:オートグラフ(島津製作所(株)製 DSC−10)を使用し弾性率を計測した。
・耐衝撃性:Izod衝撃試験機((株)安田精機製作所製 258−ZA)を使用して衝撃強度を測定した。
【0150】
【表1】
Figure 2005015519
【0151】
実施例1〜7で得られた樹脂組成物は、比較例1のポリカーボネート樹脂のみに対して、衝撃強度の低下は小さく、弾性率の大きな向上が認められた。また、酸化化合物の官能基は、水酸基よりもアミノ基の方がより高い弾性率を示した。さらに、実施例1〜3及び実施例4〜7を比較すると、分子末端に水酸基を有するポリカーボネート樹脂に加えて、水酸基を有しない追加のポリカーボネート樹脂を加えた場合に、曲げ弾性率及び衝撃強度が共に増大していることが分かる。
【0152】
また、実施例1、及び実施例8〜10を比較すると、酸化化合物としてシリカ以外の、チタニア、ジルコニア、アルミナを用いた場合においても同様の高い弾性率を有することが判明した。さらに、実施例1、及び実施例11〜12を比較すると、酸化化合物であるシリカの含有量の増大に伴って、曲げ弾性率が向上していることが分かる。
【0153】
一方、比較例2では、分子末端に水酸基を有しないポリカーボネート樹脂にシリカを分散させたものであるが、比較例1に示すポリカーボネート樹脂単独の場合に比べて、弾性率の向上が認められるものの、衝撃強度は大きく低下した。なお、全光線透過率の測定によれば、実施例1〜12、比較例1、2において、いずれの場合も透明性を維持していた。
【0154】
以上、本発明を具体例を挙げながら発明の実施の形態に即して詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変更や変形が可能である。
【0155】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、分子末端に水酸基を有したポリエステル樹脂中に、ポリカーボネート樹脂の末端の水酸基と水素結合を形成する官能基を有する酸化化合物を分散させることにより、透明でかつ弾性率の高い、強度・剛性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂組成物の車両用外装部品用途の一例として、ドアモール、ドアミラーのフレーム枠、ホイールキャップ、スボイラー、バンパー、ウインカーレンズ及びビラーガーニツシュを示す説明図であって、これらの車両用外装部品の位置を解説したセダン系自動車のリアサイドからの外観斜視図である。
【図2】本発明に係る樹脂組成物の車両用外板用途の一例として、フロントフェンダー、ドアパネル、ルーフパネル、フロントパネル及びリアパネルを示す説明図であって、図2(a)は、これらの車両用外板の位置を解説したセダン系自動車のリアサイドからの斜視図であり、図2(b)は、セダン系自動車の平面図である。
【図3】本発明に係る樹脂製ワイパーシステムの模式図である。
【図4】本発明に係る透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成る樹脂成形体の車両用外装部品用途の一例として、ランプ・フード・フェンダーー体樹脂成形体、ビラーガーニツシュ・ガラスー体樹脂成形体、ルーフ・フェンダ・ガラスー体樹脂成形体、バックドア・ガラスー体樹脂成形体及びドア・ガラスー体樹脂成形体を示す説明図であって、これらの車両用外装部品の位置を解説したワゴン車のリアサイドからの外観斜視図である。
【図5】本発明に係る透明樹脂部と不透明樹脂部とを一体で成形したインストルメントパネル及び計器類のカバーを示す模式図である。
【図6】本発明に係る樹脂製ミラー、樹脂製ウィンドウを示す説明図であって、これらの車両用部品の位置を解説したセダン系自動車の平面図である。
【図7】本発明の樹脂製ランプリフレクターを示す横断面図である。
【図8】本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例として、ラジエーター、冷却液リザーブタンク、ウォシヤータンクインレット、電気部品ハウジング、ブレーキオイルタンク及びシリンダーヘッドカバーを示す説明図であって、自動車のフードパネルを取り外した状態でのエンジンルーム内の概略斜視図である。
【図9】本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例として、エンジンボディー、タイミングチェーン、ガスケット及びフロントチェーンケースを示す説明図であって、これらの各部品構成がわかるようにした分解斜視図である。
【図10】本発明に係る樹脂組成物を用いてなる樹脂製冷却装置部品の一例として、ウォータパイプ、O−リング、ウォータポンプハウジング、ウォータポンプインペラ(羽車)、ウォータポンプ及びウォータポンププーリを示すセ説明図であって、これらの各部品構成がわかるようにした分解斜視図である。
【図11】本発明に係る樹脂組成物を用いてなる樹脂製冷却装置部品の他の一例として、ウォータパイプ、サーモスタットハウジング、サーモスタット、及びウォータインレットを示す図であって、これらの各部品構成がわかるようにした分解斜視図である。
【図12】本発明に係る樹脂組成物を用いた、中空構造を有する樹脂一体成形体の一例として、フード、ドア、バックドア、ルーフ、フェンダー、ウィンドウ及びトランクリッドを示す説明図であって、図12(a)は、これらの位置を示すためのセダン系自動車のドアを開いた状態でのリアサイドからの外観斜視図であり、図12(b)は、ワンボックスカーのリアサイドからの外観斜視図である。
【図13】本発明に係る樹脂組成物を用いた、中空構造を有する樹脂一体成形体の他の一例として、センターコンソールボックス、ビラーガーニツシュ及びインストルメントパネルを示す説明図であって、図13(a)は、センターコンソールボックス位置を示す自動車の車室内の前席の斜視図であり、図13(b)は、ビラーガーニツシュ及びインストルメントパネル位置を示す自動車の車室内斜視図である。
【図14】本発明に係る樹脂組成物を用いた、ひとつの部品に異なる2種類以上の機能が付与される一体成形部品の一例として、インストルメントパネル部とエアコンのエアダクトやケースとの一体成形部品を示す説明図である。
【図15】本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の他の一例として、ルーフレールとルーフパネルとの一体成形部品を示す説明図であって、自動車のルーフ部分の外観斜視図である。
【図16】本発明に係る樹脂組成物を用いた、ひとつの部品に異なる2種類以上の機能が付与される一体成形部品の他の一例として、ラジエタコアの一体成形部品を示す説明図である。
【図17】本発明に係る樹脂組成物を用いた可動部と非可動部を有する成形体の一例として、チヤンバーの可動部である開閉バルブと、非可動部である開閉バルブ及び開閉バルブシャフトを有する成形体を示す図であって、図17(a)は、これらチヤンバー部、開閉バルブ及び開閉バルブシャフトを有する成形体の横断面図であり、図17(b)は、図17(a)のA−A線に沿って切断し上部から見た前記チヤンバー部の断面図である。
【図18】本発明に係る樹脂組成物の車両用外装部品用途の一例として、燃料タンク及びその周辺の燃料系部品を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ドアモール
2 ドアミラーのフレーム枠
3 ホイールキャップ
4 スボイラー
5 バンパー
6 ウインカーレンズ
7 ピラーガーニツシュ
8 リアフイニツシヤー
21 フロントフェンダー
22 ドアパネル
23 ルーフパネル
24 フードパネル
25 トランクリッド
30 ワイパーシステム
31 ワイパーアーム
32 ワイパープレード
33 ワイパーアーム固定用ナット穴
41 ランプフード・フェンダー一体樹脂成形体
42 ピラーガーニツシュ・ガラス一体樹脂成形体
43 ルーフフェンダ・ガラス一体樹脂成形体
44 バックドア・ガラス一体樹脂成形体
45 ドア・ガラス一体樹脂成形体
51 インストルメントパネル
52 計器類のカバー
61 フロントウィンドウ
63 リアウィンドウ
71 車体側基体
73 リフレクター
75 光軸調整器
81 ラジエーター
62 ドアウィンドウ
64 サイドミラー
72 アウタ部材
74 バルブ
75 アウタレンズ
82 冷却液リザーブタンク
83 ウォシヤータンクインレット
84 電気部品ハウジング
86 シリンダーヘッドカバー
92 タイミングチェーン
94 フロントチェーンケース
85 ブレーキオイルタンク
91 エンジンボディー
93 ガスケット
101 ウォータパイプ
102 O−リング
103 ウォータポンプハウジング
104 ウォータポンプインペラ(羽車)
105 ウォータポンプ
106 ウォータポンププーリ
111 ウォータパイプ
112 サーモスタットハウジング
113 サーモスタット
114 ウォータインレット
121 フード
122 ドア
123 バックドア
124 ルーフ
125 フェンダー
126 ウィンドウ
127 トランクリッド
131 センターコンソールボックス
132 ピラーガーニツシュ
133 インストルメントパネル
141 パネル部
142 エアコンのエアダクトやケース
151 ルーフレール
152 ルーフパネル
171 チヤンバー部
172 開閉バルブ
173 開閉バルブシャフト
181 フイラーチューブ
182 燃料タンク
183 燃料ポンプ
185 フイラーキャップ
186 ペントチューブ
187 フューエルホース
188 空気室

Claims (53)

  1. 分子末端に水酸基を有したポリエステル樹脂と、
    前記ポリエステル樹脂の末端の水酸基と水素結合を形成する官能基を表面に有する酸化化合物と、
    を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記酸化化合物は疎水基を有することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記酸化化合物の前記官能基は、水酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、エポキシ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、及びスルホン基からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記酸化化合物の前記疎水基は、アルキル基、アリル基、及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記酸化化合物の前記疎水基の割合が、前記酸化化合物の、前記官能基及び前記疎水基の全体に対して30%〜70%であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  6. 前記酸化化合物は、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  7. 前記酸化化合物の含有量が、0.1〜50質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  8. 前記酸化化合物は、少なくともその一辺の長さが1nm〜200nmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  9. 前記酸化化合物の平均一次粒径が、380nm以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  10. 前記ポリエステル樹脂は、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  11. 分子末端に水酸基を有しない追加のポリエステル樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  12. 前記ポリエステル樹脂の割合が、前記追加のポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部であることを特徴とする、請求項11に記載の樹脂組成物。
  13. 前記追加のポリエステル樹脂は、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の樹脂組成物。
  14. ポリエステル樹脂を多価アルコールにより分解して、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂を形成する工程と、
    所定の溶媒中で、前記ポリエステル樹脂と表面に官能基を有する酸化化合物とを混合し、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが水素結合を形成してなる、前記ポリエステル樹脂と前記酸化化合物とを含む樹脂組成物を形成する工程と、
    を具えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
  15. ポリエステル樹脂を多価アルコールにより分解して、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂を形成する工程と、
    前記ポリエステル樹脂と表面に官能基を有する酸化化合物とを溶融混練し、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが水素結合を形成してなる、前記ポリエステル樹脂と前記酸化化合物とを含む樹脂組成物を形成する工程と、
    を具えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
  16. ポリエステル樹脂を多価アルコールにより分解して、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂を形成する工程と、
    所定の溶媒中で、前記ポリエステル樹脂と、表面に官能基を有する酸化化合物と、分子末端に水酸基を有しない追加のポリエステル樹脂とを混合し、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが水素結合を形成してなる、前記ポリエステル樹脂と、前記酸化化合物と、前記追加のポリエステル樹脂とを含む樹脂組成物を形成する工程と、
    を具えることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
  17. ポリエステル樹脂を多価アルコールにより分解して、分子末端に水酸基を有するポリエステル樹脂を形成する工程と、
    前記ポリエステル樹脂と、表面に官能基を有する酸化化合物と、分子末端に水酸基を有しない追加のポリエステル樹脂とを溶融混練し、前記ポリエステル樹脂の前記水酸基と、前記酸化化合物の前記官能基とが水素結合を形成してなる、前記ポリエステル樹脂と、前記酸化化合物と、前記追加のポリエステル樹脂とを含む樹脂組成物を形成する工程と、
    を具えることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
  18. 前記酸化化合物における前記官能基は、前記官能基を有する表面処理剤を用いて処理することにより形成することを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
  19. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、車両用内外装部品成形体。
  20. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、車両用外板。
  21. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂製ワイパーシステム。
  22. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂製ドアミラーステイ。
  23. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂製ピラー。
  24. 透明部と不透明部を有する樹脂成形体において、少なくとも透明部が請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂成形体。
  25. 透明部と不透明部が一体成形されたことを特徴とする、請求項24に記載の樹脂成形体。
  26. 不透明部が樹脂中に分散した顔料により着色され形成されることを特徴とする、請求項24又は25に記載の樹脂成形体。
  27. 上記樹脂成形部品の不透明部が成形前又は成形後において、塗装又は印刷されて形成されることを特徴とする、請求項24又は25に記載の樹脂樹成体。
  28. 上記樹脂成形部品の不透明部が着色シートを用いて形成されることを特徴とする、請求項24又は25に記載の樹脂成形体。
  29. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、熱線付き樹脂製ウィンドウ。
  30. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂製ミラー。
  31. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂製ランプリフレクター。
  32. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂製エンジンルーム内カバー
  33. 前記樹脂組成物を含む部分が透明であることを特徴とする、請求項32に記載の樹脂性エンジンルーム内カバー。
  34. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂性エンジンルーム内ケース。
  35. 前記樹脂組成物からなる部分が透明であることを特徴とする、請求項34に記載の樹脂性エンジンルーム内ケース。
  36. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、樹脂製冷却装置部品。
  37. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含み、大気と連通した中空構造及び/又は密閉された中空構造を有することを特徴とする、樹脂一体成形体。
  38. 前記中空構造内には、気体、液体、固体又はこれら少なくとも2以上の混合物が充填され封入されていることを特徴とする、請求項37に記載の樹脂一体成形体。
  39. 最表層が、加飾材で構成されていることを特徴とする、請求項37又は38に記載の樹脂一体成形体。
  40. 請求項37〜39のいずれか一に記載の樹脂一体成形体からなることを特徴とする、自動車の外板。
  41. 請求項37〜39のいずれか一に記載の樹脂一体成形体からなることを特徴とする、内外装部品。
  42. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含む二枚の樹脂シートを加熱し、前記樹脂シートを開状態の金型に挿入し、シート外周部を押圧して外周部を溶着する前又は溶着した後に、前記シート間に加圧流体を注入し、前記シートを拡張する間又は拡張後において、前記金型を閉状態にし、前記加圧流体圧を保持して中空構造を形成することを特徴とする、請求項37〜39のいずれか一に記載の樹脂一体成形体の製造方法。
  43. 閉状態の金型内に請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を溶融させて充填する間又は充填した後に、前記金型のキヤビティ容積を拡大しながら、加圧流体を溶融樹脂内に注入して中空構造を形成することを特徴とする、請求項37〜39のいずれか一に記載の樹脂一体成形体の製造方法。
  44. 開状態の金型キヤビティ面に請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含む一枚又は二枚の樹脂シートを挿入し、前記金型を閉状態にして、前記樹脂シートの背面に溶融樹脂を充填する間又は充填した後に、前記金型のキヤビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入して中空構造を形成することを特徴とする、請求項37〜39のいずれか一に記載の樹脂一体成形体の製造方法。
  45. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含む、異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、単一の部品に少なくともこれら二種類以上の機能を付与したことを特徴とする、一体成形部品。
  46. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含み、可動部と非可動部とを有することを特徴とする、成形体。
  47. 前記可動部及び前記非可動部は、二色成形により一体的に形成することを特徴とする、請求項46に記載の成形体。
  48. 前記可動部は気体流動を制御する開閉蓋であり、前記非可動部は流動気体を導入する筒状成形品であることを特徴とする、請求項46又は47に記載の成形体。
  49. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、炭化水素系燃料を収納する部品。
  50. 車両用の一連の燃料系部品を構成することを特徴とする、であることを特徴とする、請求項49に記載の炭化水素系燃料収納部品。
  51. 請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、炭化水素系燃料を収納する容器。
  52. 車両用の燃料タンクを構成することを特徴とする、請求項51に記載の炭化水素系燃料収納部品。
  53. 前記車両用の燃料タンクは、吹き込み成形法で成形されたことを特徴とする、請求項52に記載の炭化水素系燃料収納部品。
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