JP4942272B2 - ヒータ支持構造及びガラス板曲げ成形のための加熱炉 - Google Patents

ヒータ支持構造及びガラス板曲げ成形のための加熱炉 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒータ支持構造及びガラス板曲げ成形のための加熱炉に関し、特に自動車の風防ガラスに使用される合わせガラス用素板ガラスの曲げ成形に好適なヒータ支持構造及びガラス板曲げ成形のための加熱炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の風防ガラスは、所定の寸法形状に切断されたガラス板を曲げ型上に載置し、加熱炉内で軟化点付近(550〜650℃)の温度まで加熱することにより自重で所定形状に曲げ成形している。
【0003】
ここで、ガラス板を加熱する加熱炉は、内部が複数のゾーンに区分けされており、各ゾーンにはそれぞれ複数のブロックに細分化されたヒータが設けられている。そして、各ヒータはブロックごとに個別に温度制御がなされており、所定の温度分布が形成されるように制御されている。ガラス板は、この細分化されたヒータに加熱されることによりガラス面内に温度分布が形成され、所定の形状に曲げ成形される。
【0004】
ところで、従来の加熱炉の各ゾーンの天井面に配設されている天井ヒータは、円筒状に形成された発熱体を支持フレームに複数並列して配置することにより構成されている。
【0005】
しかしながら、従来のように円筒状の発熱体を並列配置した構成の天井ヒータは、熱がこもり各発熱体間で伝熱しやすく、明確な温度分布の形成が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決し、温度制御に優れたヒータ支持構造及び炉内の温度分布生成能力を向上できるガラス板曲げ成形のための加熱炉を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、搬送過程で加熱を行う加熱炉用ヒータの支持構造であって、板状の電気抵抗発熱体と前記電気抵抗発熱体に通電する通電手段とを備えたヒータと、前記電気抵抗発熱体が装着される被装着物と、前記被装着物の表面に所定の距離を隔てて配設され、前記電気抵抗発熱体の縁部を支持する電気的絶縁性の第1および第2の支持体と、を備え、前記電気抵抗発熱体は、前記被装着物側に凸の形状を有し、かつ前記被装着物から離隔して配設され、前記電気抵抗発熱体は、弾性を有し、かつ湾曲によって生じた反発力により縁部が前記第1および第2の支持体に支持され、前記第1および第2の支持体と前記電気抵抗発熱体とで一つのユニットを構成し、複数の前記ユニットを、各ユニットが互いに並列するように配設してなり、前記湾曲を有した電気抵抗発熱体は、輻射熱をフォーカスする湾曲面を備え、該湾曲面は、該電気抵抗発熱体の長手方向と平行な軸を中心とする円弧面であり、前記各ユニットが互いに並列配設されることにより、前記湾曲面が複数備えられていることを特徴とするヒータ支持構造を提供する。
【0008】
また、本発明の態様として以下に示すものを提供する。すなわち、隣接した二つの前記電気抵抗発熱体は、一つの前記支持体によって共通して支持され、前記各ユニットは、前記支持体によって区切られている上記のヒータ支持構造を提供する。また、前記湾曲を有した電気抵抗発熱体は、輻射熱をフォーカスする湾曲面を備え、該湾曲面は、該電気抵抗発熱体の長手方向と平行な軸を中心とする円弧面であり、前記各ユニットが互いに並列配設されることにより、前記湾曲面が複数備えられているヒータ支持構造を提供する。また、前記電気抵抗発熱体は、一定の間隔で設けられた複数のスリットを有する金属シートからなり、蛇行状の抵抗線を備えているヒータ支持構造を提供する。
【0009】
さらに、ガラス板を載置するための曲げ型が配設され、上記ガラス板を加熱手段によって加熱し所定形状に曲げ成形する加熱炉であって、記加熱炉には、前記ガラス板を搬送する搬送手段を備え、前記加熱手段は、上記ヒータ支持構造を含むことを特徴とするガラス板曲げ成形のための加熱炉を提供する。
また、前記加熱炉がガラス板の搬送方向に沿って複数のゾーンに分割されているガラス板曲げ成形のための加熱炉を提供する。
また、前記複数のゾーンは温度制御がなされており、所定の温度分布が形成されるように制御されているガラス板曲げ成形のための加熱炉を提供する。
また、前記加熱手段の前記ヒータ支持構造によって支持される各電気抵抗発熱体には、温度センサが設けられ、該温度センサの検出値に基づいて前記各電気抵抗発熱体への供給電圧量が制御されているガラス板曲げ成形のための加熱炉を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るヒータ支持構造及びガラス板曲げ成形のための加熱炉の好ましい実施の形態について詳説する。
【0011】
図1は、本発明に係るヒータが適用された合わせガラス用素板ガラスの曲げ成形装置の一例を示す全体構成図である。本例において、合わせガラス用素板ガラスの曲げ成形装置10は2階建てに構築されており、その両端部において1階部分と2階部分とがエレベータ22、24によって連結されている。この合わせガラス用素板ガラスの曲げ成形装置10の1階部分は曲げ型20の復路10Aを構成しており、2階部分が加熱炉10Bを構成している。
【0012】
加熱炉10Bは、ガラス板の搬送方向に沿って5つのゾーンに分割されている。すなわち、ガラス板を常温から軟化温度付近まで加熱する加熱ゾーンNo.1〜No.2と、実際にガラス板を曲げ成形する成形ゾーンNo.3〜No.4と、曲げ成形されたガラス板を除冷する除冷ゾーンNo.5とに分割されている。そして、この加熱炉10Bの各ゾーンには、それぞれ天井面、床面及び両側面にヒータが設置されており、各々個別にコンピュータ12によって温度管理がなされている。
【0013】
曲げ成形前のガラス板(図示せず)は、エレベータ22上で曲げ型20の上に載置され、その後、曲げ型20とともにエレベータ22の上昇移動によって待機室28まで搬送される。そして、曲げ型20とともに搬送コンベア30によって加熱ゾーンNo.1〜No.2と成形ゾーンNo.3〜No.4とをタクト搬送され、その搬送過程で加熱されることによって軟化される。
【0014】
ここで、ガラス板が載置されている曲げ型20は、曲げ成形するガラス板の輪郭形状に沿ったリング状に形成されている。このため、ガラス板は加熱によって軟化することにより、その重力作用によって曲げ型20に沿った形状に曲げ成形される。
【0015】
曲げ成形されたガラス板は搬送コンベア32によって除冷ゾーンNo.5に搬送され、ここで所定の温度まで冷却された後、出口室34に搬送される。出口室34に搬送されたガラス板はエレベータ24によって下降され、取り出し用のアーム36上に載せられた後、アーム36の搬送動作によって図示しない後工程に搬送される。
【0016】
ガラス板が取り外された曲げ型20は、1階に設けられた搬送コンベア38によって上述の経路とは逆方向に搬送され、エレベータ22の位置まで搬送される。そして、エレベータ22上で曲げ成形前のガラス板が載置されるまで待機する。
【0017】
なお、エレベータ22は、ガラス板が加熱ゾーンNo.1に搬送されると1階まで下降し、搬送コンベア38で搬送されてきた曲げ型20が載置されるまでその位置に待機する。
【0018】
図2は、加熱炉10Bの各ゾーンNo.1〜No.5の天井部分に配置される天井ヒータ40の一部を下方から見た図である。同図に示すように、天井ヒータ40は、複数の電気抵抗発熱体42、42、…を被装着物である支持フレーム44に並列配置することにより構成されている。支持フレーム44は、加熱炉10Bの天井部分に、配置、固定されている。
【0019】
図3は、図2の3−3線断面図である。天井ヒータ40を構成する電気抵抗発熱体42は、Fe−Cr−Al系合金やニッケルクロム合金等の電気抵抗及び弾性を有する材料で形成され、その形状は板状であり、少なくとも天井ヒータとして支持された状態では、支持フレーム44側に凸の円弧状(または放物形状などの湾曲形状)をなしている。また、この電気抵抗発熱体42は、その両縁部に一定の間隔をもって複数のスリット42a、42a、…が交互に形成されており、蛇行状の回路を構成している。
【0020】
また、各電気抵抗発熱体42はセラミック等で形成された電気的絶縁性を有する支持碍子46を介して支持フレーム44に取り付けられている。支持碍子46は、各電気抵抗発熱体42、42、…の間に配置されており、各電気抵抗発熱体42、42、…の両側部を全長に渡って支持する。この支持碍子46は板状に形成されており、その先端両側面部に長手方向に沿って支持溝48、48が形成されている(支持フレーム44の両端に位置する支持碍子46は一方側の側面にのみ支持溝48が形成されている)。各電気抵抗発熱体42、42、…は、この支持碍子46、46、…の支持溝48、48、…に、その両側部を嵌め合わせることにより、隣り合う電気抵抗発熱体42、42、…同士が分離された状態で支持される。
【0021】
このように一つの電気抵抗発熱体42とそれを支持する二つの支持碍子46とで一つのユニットが構成され、各加熱ゾーンには複数ユニットが配設されている。各電気抵抗発熱体42は、湾曲によって生じた反発力を利用して支持溝48に支持され、この湾曲によって生じた凸形状(電気抵抗発熱体42の断面形状)が支持フレーム44側に位置するように配設されている。電気抵抗発熱体42は、その面積に対して厚さが薄くかつ複数のスリット42aを有する金属シートで形成されているため、本実施例のように、スリット42aの長手方向に沿って円弧状に湾曲させることができる。このようにして、形状を保持したまましっかりと支持することができる。また、各電気抵抗発熱体42と天井面44aとの間には一定の空間が保持されているため、各電気抵抗発熱体42による発熱が支持フレーム44の天井面44aに直接伝わることがない。そのため、電気抵抗発熱体42の周辺構造(支持フレーム44やその天井面44aなど)への蓄熱を抑制でき、各ヒータの放射熱量を応答性よく変更できる。
【0022】
各支持碍子46はホルダ50、50を介して支持フレーム44に着脱自在に取り付けられている。支持碍子46の上部にはホルダ50、50に取り付けるための取付部52、52が形成されている。この取付部52、52は支持碍子46の上部両側面部から張り出して形成されている。支持碍子46は、この取付部52、52を同じ断面形状を有するホルダ50、50の開口部50aに嵌め合わせることによりホルダ50、50に取り付けられる。ホルダ50の上面部には、ボルト54が一体的に固着されており、このボルト54を支持フレーム44の天井面44aに形成されたボルト孔56に挿通し、ナット60で固定することにより、ホルダ50は支持フレーム44に取り付けられる。
【0023】
なお、図4は図3の4−4線断面図を示す。リード線62は支持フレーム44上に一体成形されたリード線支持フレーム64にリード線支持碍子66、66を介して支持されている。各電気抵抗発熱体42の両端部には、このリード線62が連結されており、このリード線62から供給される電圧量を制御することにより、各電気抵抗発熱体42の発熱量が制御される。
【0024】
また、図3、4において、各電気抵抗発熱体42には温度センサ68が設けられている。各電気抵抗発熱体42は、この温度センサ68の検出値に基づいて供給電圧量が制御される。
【0025】
上記のごとく構成された本実施例の合わせガラス用素板ガラスの曲げ成形装置の天井ヒータの作用は次の通りである。
【0026】
加熱炉10Bの各ゾーンNo.1〜No.5に配置されている天井ヒータ40は、曲げ成形しようとするガラス板の形状に基づいて所定の温度分布が形成されている。すなわち、各天井ヒータ40は、各電気抵抗発熱体42、42、…の温度が個別に制御されており、曲げ成形するガラス板の形状に合致した温度分布が形成されている。ガラス板は、この所定の温度分布が形成された加熱炉10Bの各ゾーンNo.1〜No.5を搬送される過程で加熱されて軟化し、曲げ型20に沿った形状に曲げ成形される。
【0027】
この際、天井ヒータ40は、各電気抵抗発熱体42、42、…が板状に形成されているため、放熱性が高く、熱が籠もりにくい構造となっている。また、各天井ヒータ40は、隣り合う電気抵抗発熱体42、42、…同士が支持碍子46、46、…によって分離されているため、隣り合う電気抵抗発熱体42、42、…間で伝熱しにくい構造となっている。さらに各電気抵抗発熱体42は、支持フレーム44側に凸の円弧状をなしているため、熱輻射をガラス板の局所にフォーカスできる。このため、境界部で明確な温度分布が形成でき、ガラス板を所定形状に正確に曲げ成形できる。
【0028】
また、各天井ヒータ40は、上記のように放熱性が高く、熱が籠もりにくい構造であるため、設定温度の変化に対して応答性が高く、迅速に所望の温度分布を成形できる。したがって、曲げ形状が異なるガラス板が順次搬送されてくる場合であっても、それに対応する温度分布を迅速に成形できるので、生産性が向上する。
【0029】
上記の実施態様では、ヒータをガラス板曲げ成形のための加熱炉用ヒータとして使用する例を示した。しかしながら、本発明の適用分野はこれに限られるものでなく、ヒータ群の各ヒータに温度分布を設ける種々の用途に使用できる。また、上記実施例では、蛇行状の形状を有した電気抵抗発熱体を用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、碍子によって支持可能な形状であればその他のものであってもよいことは明らかである。すなわち、スリットの入れ方は上記に限られないし、電気抵抗発熱体が部分的に折れ曲がるなどしてもよい。また、加熱炉内におけるヒータの配置位置および加熱ゾーンの位置は、ユーザの用途に応じて、適宜決めることができる。また、上記実施態様では、電気抵抗発熱体は支持フレームを介して加熱炉の天井部分に取り付けられているが、加熱炉の天井面に直接取り付けられていてもよい。その場合は、加熱炉の天井が、被装着物に相当する。なお、支持フレームを介して電気抵抗発熱体を支持フレームに取り付ければ、ガラス板とヒータとの距離を調整できるため、好ましい。
【0030】
本発明によれば、天井ヒータを構成する発熱体を板状に形成し、被装着物から離隔して設置することにより、発熱体の放熱性が向上し、熱が籠もりにくくなるとともに、応答性が向上する。また、各発熱体間を支持体によって分離することにより、各発熱体間で伝熱しにくくなる。さらに各電気抵抗発熱体42は、支持フレーム44側に凸の円弧状をなしているため、熱輻射をガラス板の局所にフォーカスできる。これにより、各発熱体間の境界部で明確な温度差を形成でき、正確な温度分布が生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合わせガラス用素板ガラスの曲げ成形装置の全体構成図である。
【図2】天井ヒータの一部を下方から見た図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。

Claims (7)

  1. 搬送過程で加熱を行う加熱炉用ヒータの支持構造であって、
    板状の電気抵抗発熱体と前記電気抵抗発熱体に通電する通電手段とを備えたヒータと、
    前記電気抵抗発熱体が装着される被装着物と、
    前記被装着物の表面に所定の距離を隔てて配設され、前記電気抵抗発熱体の縁部を支持する電気的絶縁性の第1および第2の支持体と、
    を備え、
    前記電気抵抗発熱体は、前記被装着物側に凸の形状を有し、かつ前記被装着物から離隔して配設され、
    前記電気抵抗発熱体は、弾性を有し、かつ湾曲によって生じた反発力により縁部が前記第1および第2の支持体に支持され、
    前記第1および第2の支持体と前記電気抵抗発熱体とで一つのユニットを構成し、複数の前記ユニットを、各ユニットが互いに並列するように配設してなり、
    前記湾曲を有した電気抵抗発熱体は、輻射熱をフォーカスする湾曲面を備え、該湾曲面は、該電気抵抗発熱体の長手方向と平行な軸を中心とする円弧面であり、前記各ユニットが互いに並列配設されることにより、前記湾曲面が複数備えられていることを特徴とするヒータ支持構造。
  2. 隣接した二つの前記電気抵抗発熱体は、一つの前記支持体によって共通して支持され、
    前記各ユニットは、前記支持体によって区切られている請求項1に記載のヒータ支持構造。
  3. 前記電気抵抗発熱体は、一定の間隔で設けられた複数のスリットを有する金属シートからなり、蛇行状の抵抗線を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒータ支持構造。
  4. ガラス板を載置するための曲げ型が配設され、前記ガラス板を加熱手段によって加熱し所定形状に曲げ成形する加熱炉であって、
    前記加熱炉には、前記ガラス板を搬送する搬送手段を備え、
    前記加熱手段は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のヒータ支持構造を含むことを特徴とするガラス板曲げ成形のための加熱炉。
  5. 前記加熱炉がガラス板の搬送方向に沿って複数のゾーンに分割されている請求項4に記載のガラス板曲げ成形のための加熱炉。
  6. 前記複数のゾーンは温度制御がなされており、所定の温度分布が形成されるように制御されている請求項5に記載のガラス板曲げ成形のための加熱炉。
  7. 前記加熱手段の前記ヒータ支持構造によって支持される各電気抵抗発熱体には、温度センサが設けられ、該温度センサの検出値に基づいて前記各電気抵抗発熱体への供給電圧量が制御されている請求項4〜6のいずれかに記載のガラス板曲げ成形のための加熱炉。
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