JP4940664B2 - 放電ランプ点灯装置およびプロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、プロジェクタにおいて使用される、高圧放電ランプ、特に高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の高輝度放電ランプを点灯するための放電ランプ点灯装置、および前記放電ランプ点灯装置を用いたプロジェクタに関する。
例えば、液晶プロジェクタやDLP(TM)プロジェクタのような画像表示用などの光学装置のためのプロジェクタにおいては、高輝度放電ランプ(HIDランプ)が使用される。前記したプロジェクタには、ダイクロイックプリズム等によりR,G,Bの3原色を分離し、各色毎に設けた空間変調素子によって各3原色別の画像を発生させ、ダイクロイックプリズム等により光路を再合成してカラー画像を表示する方式のものがある。また他方では、R,G,Bの3原色の透過色を有するカラーホイールからなるフィルタを回転させ、このフィルタ、すなわち動的色フィルタに光源からの光を通すことにより各3原色の光束を順次発生させ、これに同期させて空間変調素子を制御することにより、各3原色別の画像を時間分割によって順次発生させ、カラー画像を表示する方式のものもある。
前記したような放電ランプを点灯させる放電ランプ点灯装置においては、先ず、始動に際しては、ランプに無負荷開放電圧と呼ばれる電圧を印加した状態で、高電圧を印加して放電空間内に絶縁破壊を発生させてグロー放電を経てアーク放電に移行させ、最終的に、安定な定常点灯を実現するように動作する。アーク放電に移行直後は、例えば10V程度の低い値であったランプの放電電圧は、温度上昇に伴って徐々に上昇し、定常点灯状態では一定電圧で安定する。通常、放電ランプ点灯装置は、所定のランプ投入電力を実現するために必要なランプ電流を出力できるよう、入力電源の出力をランプの放電電圧に適合させるコンバータを有しており、また、ランプ電圧、すなわちコンバータの出力電圧を検出し、この情報に基づいて、例えば目標電力を検出電圧で除算した商の値によって、目標ランプ電流を決定する仕組を有している。
放電ランプの駆動の方式に関しては、前記コンバータによってランプを点灯させる直流駆動方式と、前記コンバータの後段にインバータをさらに具備することによって周期的極性反転を行う交流駆動方式とがある。直流駆動方式の場合は、ランプからの光束もまた直流的、すなわち時間的に変化しないため、基本的に、前記したプロジェクタの両方の方式において、全く同様に適用することができるという大きな利点がある。これに対し、交流駆動方式の場合は、極性反転周波数という、直流駆動方式には無い自由度を利用して、放電ランプの電極の消耗や成長を制御できる可能性があるという利点がある反面、後述するように、極性反転が存在すること自体に起因する不利な点がある。
通常は、交流駆動のための極性反転の度毎に、ランプ電流において緩慢な変化、あるいは逆にオーバーシュートや振動などの過渡現象が生じ、これがほぼそのままランプからの光束の瞬断やオーバーシュート、振動などの変動として現れるため、前記したプロジェクタのうち、時間分割方式のものに適用しようとする場合は、画像を時間分割によって順次発生させるタイミングと、ランプの交流駆動の極性反転のタイミングとのズレ、すなわちビート周波数で表示画像に変動が現れ、ビート周波数によっては非常に目障りなものとなってしまうという問題があるため、インバータの極性反転タイミングのカラーホイール回転に対する同期をとるなどの工夫を行わなければならず、放電ランプ点灯装置が複雑化する欠点がある。
さらに、DLP方式のプロジェクタにおいては、表示画像の各画素の色毎の輝度を空間変調素子の各画素の動作のデューティサイクル比で制御するため、交流駆動方式の場合は、前記したタイミングの同期をとる場合でも、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの変動期間が長い場合は、その期間の光を利用しないように工夫するか、変動を打ち消すように空間変調素子の各画素の動作を制御するように工夫することが必要となる。前者の工夫の場合は、光の有効利用効率が低下する欠点があり、後者の工夫の場合は、プロジェクタ装置における空間変調素子の制御が非常に複雑になってしまう欠点がある。
ところで、直流駆動方式と交流駆動方式の別にはよらず、前記した時間分割方式のプロジェクタには、さらにもう一つの問題が発生する場合があることを我々は見出した。ランプから発せられた光のうちのカラーホイールで透過しなかったスペクトル成分、すなわち透過光の補色成分がカラーホイールで反射されるが、光学系のなかでのランプとカラーホイールの配置によっては、反射された光が光学系を逆行してランプに戻り、放電プラズマ部やそれに対向する電極に集光される場合があり、このとき、戻り光によってランプ電圧が下がってしまう、すなわち変調を受けてしまう現象が発生する。しかも、前記したランプ電圧の変調量は戻り光のスペクトルによって変化するため、カラーホイールの回転に伴って、前記したランプ電圧の変調量が周期的な変動を示すことになる。
ランプ電圧の変調量は、透過色が赤(R)のときが最も大きく、緑(G)、青(B)の順に続き、さらにカラーホイールのなかに透過色が白、すなわち全透過の領域が存在する場合は、戻り光は非常に少ないため、ランプ電圧の変調はほとんど生じない。例えば、石英ガラスから成るバルブ内に放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mgから0.3mgの水銀と、臭素およびアルゴンガスを封入し、タングステンの電極を有する、定格電力が200W、定常点灯状態のランプ電圧が85Vの高圧水銀ランプをDLPプロジェクタ光学系に実装して測定した結果は、ランプ電圧の変調量は、透過色が赤のとき約3%、透過色が白のとき約0%であった。
問題は、この戻り光によるランプ電圧の変調が、実際に放電プラズマ空間への電力投入にかかわる成分には対応せず、ランプの外部から測定した電極間の電圧にのみ現れる見かけ上のものであることである。外部から測定される電極間の電圧は、(発光に寄与する)放電プラズマ空間への電力投入にかかわる成分と、(発光に寄与しない)電力投入にかかわらない陰極降下の成分とからなるが、前記した見かけ上のランプ電圧の変調が生じる理由は、変動する戻り光が前者の成分に影響を及ぼすときは、現象が比較的緩慢であるために平均的にしか現れないのに対し、光照射による電極の表面加熱現象は比較的高速であるために、後者の成分に影響を及ぼすときは、電極表面加熱の状況が、ほぼそのまま現れるからであると推測される。
このように、変動する戻り光によるランプ電圧の変調は見かけ上のものであるため、放電ランプ点灯装置において、前記したように、単純に、ランプ電圧、すなわちコンバータの出力電圧に基づいて目標ランプ電流を決定した場合は、ランプ電力は所望の安定で一定の値ではなく、戻り光によるランプ電圧の変調の影響を受けて、周期的に変動する成分が重畳された波形を有するものになってしまう。そのため、ランプから発せられる光束も、同様に周期的に変動する成分が重畳された、戻り光によるランプ電圧の変調に起因する光束の変動を含むものになってしまい、プロジェクタの投影画像の明るさの均一性への悪影響として現れる問題が発生する。
ここで、カラーホイールの回転は空間変調素子の制御に同期しているため、前記した戻り光によるランプ電圧の変調に起因する光束の変動があったとしても、その変動もまたカラーホイールの回転に同期しており、空間変調素子の制御に同期しているためにプロジェクタの投影画像への影響は、表示色の僅かな不忠実となって現れるだけで無視できる程度のものでしかない、と考えられるかも知れない。
しかし、交流駆動方式の放電ランプ点灯装置の場合は、この変動とランプの交流駆動の極性反転のタイミングとのズレがあれば、前記の場合と同様に、そのビート周波数でプロジェクタの投影画像に目障りなチラツキが現れる。また、交流駆動方式の場合であっても直流駆動方式の場合であっても、ランプ電圧を検出し目標ランプ電流を決定する動作がカラーホイールの回転に同期していなければ、この変動は、カラーホイールの回転に対してジッタを伴った非再現的なものになってしまい、空間変調素子による時分割による画素の輝度変調の結果に対し非再現的擾乱を与え、プロジェクタの投影画像に目障りなチラツキが現れる。
したがって、前記した戻り光によるランプ電圧の変調に起因する光束の変動の下では、このようなチラツキ現象は、インバータの極性反転タイミングのカラーホイール回転に対する同期と、ランプ電圧を検出し目標ランプ電流を決定する動作のカラーホイール回転に対する同期の両方をとることによって回避することができると考えられるかも知れない。
ところが、カラーホイールの回転には揺動、すなわち回転軸のブレが常に生じ、またブレの大きさも常に変動しており、これは、カラーホイールの面の角度に、常に変動するブレを含んでいることを意味する。このようなカラーホイールの面ブレがあっても、本来の使用目的であるカラーホイールの透過光線の角度は、カラーホイールが平行平板と見なせる限りブレないし、透過光線の位置のブレは、カラーホイールの屈折率が極端に大きかったり、厚さが極端に厚くない限り無視できるため、コストをかけてカラーホイールの回転の揺動精度を高めることは行われない。
しかしながら、カラーホイールからの反射光については、反射光線の反射角が回転軸のブレ角の2倍に増幅されるため、戻り光によるランプ電圧の変調量は安定ではなく、したがってこれに起因するランプから発せられる光束の変動も安定なものではないため、プロジェクタの投影画像に目障りなチラツキが現れるなどの、プロジェクタの投影画像の明るさの均一性への悪影響として現れる。そしてこの悪影響は、前記したインバータの極性反転タイミングのカラーホイール回転に対する同期と、ランプ電圧を検出し目標ランプ電流を決定する動作のカラーホイール回転に対する同期の両方をとったとしても、完全に回避することは不可能である。
したがって、プロジェクタの投影画像を高品位なものとするためには、前記した戻り光によるランプ電圧の変調に起因する光束の変動が生じないようにすることが必要であり、そのために、動的色フィルタからの戻り光の発生を光学的に防止できない場合は、目標ランプ電流を決定する仕組において、この変動の発生を回避するための工夫、例えば、ランプ電圧、すなわちコンバータの出力電圧の検出に関する工夫などが必要であることがわかる。以上において、主として動的色フィルタが回転カラーホイールである場合について述べたが、このような状況は、他の方式の動的色フィルタ、例えば、回転カラープリズムなどの方式の場合においても同様である。安定な電力制御などのために、ランプ電圧や電流の検出の仕方に工夫を加える技術が従来より提案されてきた。
例えば、特開平10−321388号には、直流電源から供給された電力を交流変換して放電ランプへ供給するHブリッジ回路、Hブリッジ回に印加されるランプ電圧に基づいて直流電源から放電ランプへの供給電力を制御する手段を備え、極性反転時に、ランプに過渡電圧を印加するもので、過渡電圧が発生している時間を除いてランプ電圧をサンプリングするために、過渡電圧が発生している期間においては、ランプ電圧をマスクする手段を有するものが記載されている。
また、特開平11−283766号には、インバータの極性切り換え直後に電流がオーバーシュートするのを防止し、チラツキを無くすために、高圧放電灯の電力が一定となるようにして直流電圧を出力する限流回路、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ、放電灯電流を検出する放電灯電流検出回路、放電灯電圧を検出する放電灯電圧検出回路、放電灯電圧に基づいて目標電流を演算する制御回路、放電灯電流をホールドして出力するホールド回路を備え、ホールド回路から出力された放電灯電流が目標電流と一致するように限流回路を制御するものが記載されている。
さらに、特開2004−296119号には、交流矩形波電圧・電流の極性反転時における電圧・電流のオーバーシュートを抑制し、放電灯の長寿命化を図るために、入力電力をスイッチングして直流電力に変換して出力するコンバータ、コンバータから供給される直流電力を交流矩形波電力に変換して出力するインバータ、電力演算部と制御目標値設定部と補正信号生成部とコンバータ制御信号発生部とパルス幅制御部とを含む制御部を備え、電力演算部はコンバータ出力側で検出された電圧検出信号と電流検出信号から電力を演算して電力検出信号を生成し、制御目標値設定部は直流電力を目標値に制御する出力電力指令値を出力し、コンバータ制御信号発生部は出力電力指令値と補正信号と電力検出信号とが供給されて補正信号による補正を受けた出力電力指令値に対する電力検出信号の誤差に対応する信号を出力し、パルス幅制御部はコンバータ制御信号発生部からの信号に基づいてコンバータにパルス幅制御を与えるものにおいて、補正信号生成部は、電力検出信号に応じて出力電力指令値を補正する補正信号を生成して補正信号を交流矩形波電力の極性反転に同期して出力するものが記載されている。
さらに、特開2005−071630号には、可制御直流電源、可制御直流電源の直流電圧を交流電圧に変換するフルブリッジ形インバータ、可制御直流電源の出力を制御する制御手段を備えた照明装置において、可制御直流電源の直流電圧出力を高精度に制御し、寿命判定を可能にするために、制御手段は、点灯時の放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成して可制御直流電源に供給するものが記載されている。
特開平10−321388号 特開平11−283766号 特開2004−296119号 特開2005−071630号
しかしながら、前記した戻り光によるランプ電圧の変調に起因する光束の変動の問題は、極性反転時のオーバーシュートなどの電気的な過渡現象の有無によらず、目標ランプ電流を決定するために必要なランプ電圧それ自体が、既に余計な変調成分によって擾乱されていることに起因するため、これら従来技術によっては解決することが不可能であった。
本発明が解決しようとする課題は、動的色フィルタを有するプロジェクタにおいて、前記したように、動的色フィルタで反射された光が光学系を逆行してランプに戻ることにより、ランプ電圧が戻り光のスペクトルに依存する周期的な変調を受ける現象が発生する状況においても、プロジェクタの投影画像に目障りなチラツキが現れる現象を回避することにある。
本発明の請求項1の放電ランプ点灯装置は、放電ランプにより発生された光束(Ox1)を動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換し前記色順次光束(Ox2)を利用して画像を投影表示するプロジェクタにおいて前記放電ランプ(Ld)を始動し、点灯するための放電ランプ点灯装置(Ex)であって、前記放電ランプ点灯装置は、前記放電ランプ(Ld)に電力を供給するための給電回路(Ux)と、前記放電ランプ(Ld)の電圧を検出しランプ電圧検出信号(Sv)を生成するランプ電圧検出手段(Vx)と、前記放電ランプ(Ld)の電流を検出しランプ電流検出信号(Si)を生成するランプ電流検出手段(Ix)と、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得して目標ランプ電流信号(St)を生成する目標ランプ電流信号生成回路(Up)と、前記目標ランプ電流信号(St)と前記ランプ電流検出信号(Si)との差異が小さくなるように、前記給電回路をフィードバック制御する給電能力制御回路(Ud)とを有し、少なくとも前記放電ランプ(Ld)の定常点灯状態において、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間にわたる複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得し、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成することを特徴とするものである。
本発明の請求項2の放電ランプ点灯装置は、請求項1の発明において、前記目標ランプ電流信号(St)の生成に際しては、前記目標ランプ電流信号(St)の値の更新動作は、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間を待って間欠的に開始され、更新されていない期間においては、前回に更新された値が保持されるように生成されることを特徴とするものである。
本発明の請求項3の放電ランプ点灯装置は、請求項2の発明において、前記更新動作に際しては、保持されている値から更新される値まで、徐々に変化させて更新することを特徴とするものである。
本発明の請求項4の放電ランプ点灯装置は、請求項1から3の発明において、前記放電ランプ(Ld)に印加する電圧を極性反転して前記放電ランプ(Ld)を交流駆動するためのインバータ(Ui)をさらに有するものにおいて、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するに際しては、前記インバータ(Ui)の極性反転タイミングに同期させて前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得することを特徴とするものである。
本発明の請求項5の放電ランプ点灯装置は、請求項4の発明において、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するタイミングを前記インバータ(Ui)の極性反転の直前とすることを特徴とするものである。

本発明の請求項6の放電ランプ点灯装置は、請求項1から5の発明において、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の平均値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成することを特徴とするものである。
本発明の請求項7の放電ランプ点灯装置は、請求項1から5の発明において、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の最大値または最小値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成することを特徴とするものである。
本発明の請求項8の放電ランプ点灯装置は、請求項2の発明において、前記更新動作に際して、保持されている値と更新しようとする値との差異が所定の下限値以下である場合は、前記更新動作を省略することを特徴とするものである。

本発明の請求項9のプロジェクタは、放電ランプにより発生された光束(Ox1)を動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換し前記色順次光束(Ox2)を利用して画像を投影表示するプロジェクタであって、前記放電ランプ(Ld)を始動し、点灯するための放電ランプ点灯装置が請求項1から8に記載の放電ランプ点灯装置(Ex)であることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、少なくとも前記放電ランプ(Ld)の定常点灯状態において、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間にわたる複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得し、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成するように構成したことにより、前記目標ランプ電流信号を生成するために参照されるランプ電圧情報が、戻り光のそれぞれのスペクトルに対応するランプ電圧のそれぞれの変調量には無頓着となるため、結果として、動的色フィルタで反射された光が光学系を逆行してランプに戻ることにより、ランプ電圧が戻り光のスペクトルに依存する周期的な変調を受ける現象が発生する状況においても、プロジェクタの投影画像に目障りなチラツキが現れる現象を回避することを達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、前記目標ランプ電流信号(St)の生成に際しては、前記目標ランプ電流信号(St)の値の更新動作は、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間を待って間欠的に開始され、更新されていない期間においては、前回に更新された値が保持されるように生成されるように構成したことにより、前記目標ランプ電流信号の生成の頻度を低下したことによる処理の単純化を達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項3の発明によれば、前記更新動作に際しては、保持されている値から更新される値まで、徐々に変化させて更新するように構成したことにより、決定された前記目標ランプ電流信号の値と、その直前の更新動作において決定された前記目標ランプ電流信号の値との間の差異がある場合でも、ランプの明るさに急激な変化が現れることを防止して滑らかに変化させることを達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項4の発明によれば、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するに際しては、前記インバータ(Ui)の極性反転タイミングに同期させて前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するように構成したことにより、極性反転時のランプ電圧や電流において、オーバーシュートなどの過渡現象が発生する場合でも、前記ランプ電圧検出信号を取得する動作が再現的になることにより、前記した過渡現象の影響を受けにくくすることを達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項5の発明によれば、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するタイミングを前記インバータ(Ui)の極性反転の直前とするように構成したことにより、取得する前記ランプ電圧検出信号における、前記した過渡現象の影響を最小にすることを達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項6の発明によれば、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の平均値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成するように構成したことにより、決定された前記目標ランプ電流信号の値と、その直前の更新動作において決定された前記目標ランプ電流信号の値との間の差異が少ない、安定な前記目標ランプ電流信号の値を決定することを達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項7の発明によれば、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の最大値または最小値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成するように構成したことにより、簡単な処理によって前記目標ランプ電流信号の値を決定することを達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項8の発明によれば、前記更新動作に際して、保持されている値と更新しようとする値との差異が所定の下限値以下である場合は、前記更新動作を省略するように構成したことにより、不要不急の前記目標ランプ電流信号の値の更新動作が抑制され、非常に安定なランプ電流制御を達成した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
請求項9の発明によれば、前記放電ランプ(Ld)を始動し、点灯するための放電ランプ点灯装置が請求項1から8に記載の放電ランプ点灯装置(Ex)であるように構成したことにより、投影画像に目障りなチラツキが現れる現象を回避することを達成したプロジェクタを提供することができる。
以上のように、本発明によれば、動的色フィルタで反射された光が光学系を逆行してランプに戻ることにより、ランプ電圧が戻り光のスペクトルに依存する周期的な変調を受ける現象が発生する状況においても、プロジェクタの投影画像に目障りなチラツキが現れる現象を回避することができる。
先ず、本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示すブロック図である図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。放電ランプ(Ld)には、その放電始動のためのスタータ(Ue)が接続してある。 この図の場合は、前記放電ランプ(Ld)の封体の外部に設けた補助電極(Et)に高電圧を印加する、いわゆる外部トリガ方式の場合を示すが、トリガ方式の別、あるいはトリガ手段の設置位置や有無は、本発明の本質には無関係である。
降圧チョッパや昇圧チョッパなどの方式のスイッチング回路などから構成される給電回路(Ux)は、放電ランプ(Ld)の状態あるいは点灯シーケンスに応じて、適合する電圧・電流を出力し、前記放電ランプ(Ld)の主放電のための電極(E1,E2)を介して前記放電ランプ(Ld)に給電するように接続する。なお、ランプの始動に際して、無負荷開放電圧用として前記給電回路(Ux)が出力する電圧は典型的には200〜300V程度、グロー放電時のランプ電圧は典型的には100〜200V、アーク放電移行直後のランプ電圧は10V程度であり、前記給電回路(Ux)は、グロー放電時およびアーク放電時には、流れる電流が規定の制限電流値ILmaxを超えないように制御されることが望ましい。
アーク放電移行直後はランプ電圧が低いため、前記制限電流値ILmaxの範囲内では規定の電力をランプに投入することはできないが、ランプの温度の上昇とともにランプ電圧が徐々に上昇し、前記制限電流値ILmaxの範囲内で規定の電力をランプに投入することができるようになると、規定の電力に対応した目標ランプ電流を、ランプ電圧に応じて決定し、これが実現されるように動作する。以降、前記給電回路(Ux)は、ランプ電圧が安定して定常点灯状態に入ってからも、この動作を継続する。
このような動作を実現するため、前記給電回路(Ux)の出力電流、すなわちランプ電流(IL)はランプ電流検出手段(Ix)により検出され、ランプ電流検出信号(Si)が生成されて出力される。給電能力制御回路(Ud)には、前記ランプ電流検出信号(Si)と、この信号の制御目標値である目標ランプ電流信号(St)とが入力され、前記給電能力制御回路(Ud)は、これら2つの信号を比較する。そして、もし前記前記ランプ電流検出信号(Si)が前記目標ランプ電流信号(St)より小さい場合は、前記ランプ電流(IL)が増加するように、逆に前記ランプ電流検出信号(Si)が前記目標ランプ電流信号(St)より大きい場合は、前記ランプ電流(IL)が減少するように、前記給電回路(Ux)へのゲート駆動信号(Sg)の出力をフィードバック制御することにより、前記ランプ電流検出信号(Si)と前記目標ランプ電流信号(St)とが一致するように制御する。
一方、給電回路(Ux)の出力電圧、すなわちランプ電圧(VL)はランプ電圧検出手段(Vx)により検出され、ランプ電圧検出信号(Sv)が生成されて目標ランプ電流信号生成回路(Up)に入力される。前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を用いて、前記放電ランプ(Ld)に投入されている負荷電力値が予め定めた目標電力値になるように、前記目標ランプ電流信号(St)を決定し更新する。
前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、少なくとも定常点灯状態においては、前記目標ランプ電流信号(St)を決定するに際し、動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間にわたって、複数の時点において前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得し、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)から1個の代表値を生成し、前記目標ランプ電流信号(St)を生成するように構成される。
このように構成したことにより、前記目標ランプ電流信号を生成するために参照されるランプ電圧情報が、戻り光のそれぞれのスペクトルに対応するランプ電圧のそれぞれの変調量には無頓着となるため、結果として、動的色フィルタで反射された光が光学系を逆行してランプに戻ることにより、ランプ電圧が戻り光のスペクトルに依存する周期的な変調を受ける現象が発生する状況においても、プロジェクタの投影画像に目障りなチラツキが現れる現象を回避することができる。
次に、発明を実施するための形態について、より具体的な構成を示した図面を用いて説明する。図2は、DC駆動方式による、本発明の放電ランプ点灯装置(Ex)の一つの形態を簡略化して示すものである。
本発明の放電ランプ点灯装置(Ex)において、降圧チョッパ回路を基本とした給電回路(Ux)は、PFC等のDC電源(Mx)より電圧の供給を受けて動作し、放電ランプ(Ld)への給電量調整を行う。前記給電回路(Ux)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によってDC電源(Mx)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lx)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ、この電圧が放電ランプ(Ld)に印加され、放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。なお、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間は、スイッチ素子(Qx)を通じた電流により、直接的に平滑コンデンサ(Cx)への充電と負荷である放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、チョークコイル(Lx)に磁束の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qx)がオフ状態の期間は、チョークコイル(Lx)に磁束の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dx)を介して放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
前記降圧チョッパ型の給電回路(Ux)においては、前記スイッチ素子(Qx)の動作周期に対する、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間の比、すなわちデューティサイクル比により、前記放電ランプへの給電量を調整することができる。ここでは、あるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)が給電制御回路(Fx)によって生成され、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子を制御することにより、前記したDC電源(Mx)よりの電流のオン・オフが制御される。
トリガ回路(Uj)においては、抵抗(Rj)を介して、ランプ電圧(VL)によってコンデンサ(Cj)が充電される。例えば、後述するマイクロプロセッサユニット(Mpu)などで生成されるトリガ信号(Sj)を受けてゲート駆動回路(Gj)を活性化すると、サイリスタ等よりなるスイッチ素子(Qj)が導通することにより、前記コンデンサ(Cj)がトランス(Kj)の1次側巻線(Pj)を通じて放電し、2次側巻線(Hj)に高電圧パルスを発生する。前記2次側巻線(Hj)に発生した高電圧は、給電回路(Ux)の出力電圧に重畳されて電極(E1,E2)間に印加され、放電ランプ(Ld)の放電を始動することができる。この図のトリガ方式は、図1のトリガ方式とは異なるが、前記したように、トリガ方式は、本発明の本質には無関係である。
前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間を流れるランプ電流(IL)と、電極(E1,E2)間に発生するランプ電圧(VL)とは、ランプ電流検出手段(Ix)と、ランプ電圧検出手段(Vx)とによって、検出できるように構成される。 なお、前記ランプ電流検出手段(Ix)については、シャント抵抗を用いて、また前記ランプ電圧検出手段(Vx)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。前記ランプ電流検出手段(Ix)よりのランプ電流検出信号(Si)、および前記ランプ電圧検出手段(Vx)よりのランプ電圧検出信号(Sv)は、それぞれ前記給電制御回路(Fx)の給電能力制御回路(Ud)と目標ランプ電流信号生成回路(Up)に入力される。
図3は、図2に記載の前記給電制御回路(Fx)の簡略化された構成を示すものである。前記ランプ電圧検出信号(Sv)は、目標ランプ電流信号生成回路(Up)のなかのAD変換器(Adc)に入力されて、適当な桁数を有するディジタルのランプ電圧データ(Sxv)に変換され、マイクロプロセッサユニット(Mpu)に入力される。ここで、マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、CPUやプログラムメモリ、データメモリ、クロックパルス発生回路、タイムカウンタ、ディジタル信号の入出力のためのIO制御器などを含む。
前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記ランプ電圧データ(Sxv)を参照した計算や、その時点の系の状態に応じた条件判断に基づき、後述する給電能力制御回路(Ud)のための、目標ランプ電流データ(Sxt)を生成する。とりわけ、少なくとも定常点灯状態においては、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間にわたって、複数の時点において、前記AD変換器(Adc)を介して前記ランプ電圧データ(Sxv)を取得し、取得した複数個の前記ランプ電圧データ(Sxv)から1個の代表値を生成し、目標ランプ電流データ(Sxt)を生成する。
ここで、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期とは、例えば、回転カラーホイールの場合で言えば、必ずしもカラーホイールの回転周期を意味しない。何となれば、カラーホイールの1回転に、例えば、色順次周期の2周期分や3周期分の色パターンが形成されるようにカラーホイールを構成する場合もあるからである。
前記目標ランプ電流データ(Sxt)は、DA変換器(Dac)によって、アナログの目標ランプ電流信号(St)に変換され、給電能力制御回路(Ud)に入力される。さらに、許容されるランプ電流(IL)の上限値ILmaxを規定するためのランプ電流上限信号(Sk)が、ランプ電流上限信号発生回路(Uc)により発生され、給電能力制御回路(Ud)に入力される。
前記給電能力制御回路(Ud)内においては、前記目標ランプ電流信号(St)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad1)とダイオード(Dd1)を介して、さらに、前記ランプ電流上限信号(Sk)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad2)とダイオード(Dd2)を介して、ともにプルアップ抵抗(Rd1)の一端に接続され、チョッパ駆動目標信号(Sd2)が生成される。 なお、前記プルアップ抵抗(Rd1)の他端は適当な電圧を有する基準電圧源(Vd1)に接続される。したがって前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、前記目標ランプ電流信号(St)に対応する信号(Sd3)または前記ランプ電流上限信号(Sk)に対応する信号(Sd4)のうちの、何れか大きくない方が選択された信号となる。
すなわち、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)によって生成された前記目標ランプ電流信号(St)が、不適当であった場合でも、前記給電能力制御回路(Ud)内において、ハードウェア的に、ランプ電流(IL)が前記ランプ電流上限信号(Sk)を超えないように、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)が制限されることになる。
因みに、前記したAD変換器(Adc)やマイクロプロセッサユニット(Mpu)を介した制御は、動作速度が遅い(もしくは速いものとすると高コストとなる)ため、例えばランプの放電状態が急変するなどの事態が生じた場合には、その動作遅れによって、前記した目標ランプ電流信号(St)の不適当が発生し得るため、このような電流制限機能をハードウェア的に構成することは、ランプや給電装置の保護の観点からも有益なことである。
一方、前記ランプ電流検出信号(Si)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad3)とダイオード(Dd3)を介して、一端がグランド(Gndx)に接続されたプルダウン抵抗(Rd5)の他端に接続され、制御対象信号(Sd5)が生成される。
さらに、前記ランプ電圧検出信号(Sv)は、比較器(Cmv)によって、前記した無負荷開放電圧に対応する電圧を有する基準電圧源(Vd2)の電圧と比較され、もし、前記ランプ電圧検出信号(Sv)が、無負荷開放電圧より高い場合は、トランジスタ(Qd1)がオフまたは能動状態になり、適当な電圧源(Vd3)から、抵抗(Rd4)とダイオード(Dd4)を介して、前記プルダウン抵抗(Rd5)に電流を流すことにより、前記制御対象信号(Sd5)の水準を上げるように動作する。逆に前記ランプ電圧検出信号(Sv)が、無負荷開放電圧より低い場合は、前記トランジスタ(Qd1)がオン状態になるため、前記電圧源(Vd3)からの電流は短絡され、前記制御対象信号(Sd5)は、前記ランプ電流検出信号(Si)に対応するものとなる。何となれば、前記のプルダウン抵抗(Rd5)とダイオード(Dd3)、ダイオード(Dd4)よりなる回路は、各ダイオードのアノード側の信号(Sd6)と信号(Sd7)の何れか小さくない方に対応する電圧が選択されてプルダウン抵抗(Rd5)に発生するからである。
このように構成したことにより、たとえ出力電流がほとんど停止して、前記ランプ電流検出信号(Si)がほとんど入らない状態であっても、前記ランプ電圧検出信号(Sv)が、前記無負荷開放電圧より高くなろうとすると、前記制御対象信号(Sd5)が急速に上昇することにより、ランプ電圧(VL)は、概略無負荷開放電圧以下に、常にハードウェア的に制限される。
前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)で分圧されて、演算増幅器(Ade)の反転入力端子に入力される。 一方、前記制御対象信号(Sd5)は、前記演算増幅器(Ade)の非反転入力端子に入力される。 そして、前記演算増幅器(Ade)の出力信号(Sd1)は、積分コンデンサ(Cd1)とスピードアップ抵抗(Rd6)を介して反転入力端子にフィードバックされているため、前記演算増幅器(Ade)は、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)の抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)による分圧電圧に対する、前記制御対象信号(Sd5)の電圧の差を積分する、誤差積分回路としてはたらく。
時定数を決めるための抵抗(Rd0)とコンデンサ(Cd0)が接続された発振器(Osc)は、図4のaに示すような鋸歯状波信号(Sd0)を発生し、この鋸歯状波信号(Sd0)と、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)とは、比較器(Cmg)で比較される。ただし比較に際しては、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)に対してオフセット電圧(Vd4)を加えた信号(Sd8)と前記鋸歯状波信号(Sd0)とが比較される。前記鋸歯状波信号(Sd0)の電圧が前記信号(Sd8)の電圧よりも高い期間においてハイレベルとなる前記ゲート駆動信号(Sg)が生成され、前記給電能力制御回路(Ud)から出力される。
前記したように、前記信号(Sd8)は誤差積分回路の出力信号(Sd1)にオフセットを加えたものであるため、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)が仮に零であったとしても、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比は、100%より小さいある最大値、すなわち最大デューティサイクル比DXmax以下になるように構成されている。図4のaおよびbには、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)、およびこれに対してオフセットを加えた信号(Sd8)、前記鋸歯状波信号(Sd0)と前記ゲート駆動信号(Sg)の関係が示されている。
前記給電制御回路(Fx)から出力された前記ゲート駆動信号(Sg)が、前記ゲート駆動回路(Gx)に入力されることにより、結果として、前記ランプ電流検出信号(Si)および前記ランプ電圧検出信号(Sv)が、スイッチ素子(Qx)の動作にフィードバックされたフィードバック制御系が完成する。なお、図3に記載の給電能力制御回路(Ud)の構成に際しては、前記演算増幅器(Ade)や発振器(Osc)、比較器(Cmg)などが集積された市販の集積回路として、テキサスインスツルメンツ社製TL494などを利用することができる。
以上のように構成された本発明の放電ランプ点灯装置の動作について、その形態を時系列的に示すタイムチャートである図5に基づいて説明する。図5のaは、前記ランプ電圧検出信号(Sv)の波形を概念的に示すもので、基本的には前記放電ランプ(Ld)の電圧と相似である。前記した動的色フィルタからランプへの戻り光に起因するランプ電圧の変調の影響を受けて、前記ランプ電圧検出信号(Sv)が変動する様子を模式的に描いてある。
前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、時間的に離散した10点の時刻(t0〜t9)において、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を前記AD変換器(Adc)を介して、図5のbに示すように、ディジタルの前記ランプ電圧データ(Sxv)の値として、10個のランプ電圧データ値(d0〜d9)を取得する。ここで、最初の時刻(t0)と最後の時刻(t9)との時間間隔の長さは、動的色フィルタ(Of)の色順次周期(To)以上である。
前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、前記ランプ電圧データ値(d0〜d9)に基づいて、1個の代表値を生成し、図5のcに示すように、前記目標ランプ電流データ(Sxt)の値として、1個の目標ランプ電流データ値(f1)を生成する。そして、前記DA変換器(Dac)を介して、図5のdに示すように、アナログの前記目標ランプ電流信号(St)に変換し、給電能力制御回路(Ud)に入力する。
前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)における前記目標ランプ電流信号(St)の生成が、このように行われることによって、前記目標ランプ電流信号を生成するために参照されるランプ電圧情報が、戻り光のそれぞれのスペクトルに対応するランプ電圧のそれぞれの変調量には無頓着となるため、前記ランプ電圧検出信号(Sv)に含まれる変調成分は、前記目標ランプ電流信号(St)には含まれないようになる。
図5に示した動作においては、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、前記目標ランプ電流データ値(f1)の生成後は、次の目標ランプ電流データ値(f2)の生成のために、最後の前記時刻(t9)に引き続く時刻(t0’〜t9’)においてランプ電圧データ値(d0’〜d9’)の取得動作を開始する様子を描いてある。しかし、最後の前記時刻(t9)より前に、引き続くデータ値の取得動作の最初の前記時刻(t0’)を配置し、例えば、最初の前記時刻(t0’)を前記時刻(t1)と同一とした形態とすることも可能である。この場合は、ランプ電圧データ値(d0’〜d8’)は前記ランプ電圧データ値(d1〜d9)をそのまま使えるため、新たに前記AD変換器(Adc)を介して取得するものはランプ電圧データ値(d9’)のみでよく、したがって、前記目標ランプ電流データ値(f2)は、前記ランプ電圧データ値(d1〜d9)と前記ランプ電圧データ値(d9’)とに基づいて生成する、移動データ参照方式とすればよい。
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の動作の他の形態を時系列的に示すタイムチャートである図6に記載(この図のa,b,c,dが示す対象は図5のものと同様)のように、前記目標ランプ電流データ値(f1)の生成後は、最後の前記時刻(t9)から休止期間(τi)を隔てて、次の目標ランプ電流データ値(f2)の生成のための最初の前記時刻(t0’)を配置する形態、すなわち、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の更新動作周期(Ts)でもって前記目標ランプ電流信号(St)の値の更新動作を間欠的に開始する形態も可能である。
このようにすることにより、前記目標ランプ電流信号の生成の頻度を低下したことによる処理の単純化が行われ、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)の処理負荷の低減が可能となる。
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の動作の他の形態を時系列的に示すタイムチャートである図7に記載(この図のa,b,c,dが示す対象は図5のものと同様)のように、前記目標ランプ電流信号(St)の値の前記更新動作に際しては、保持されている値から更新される値まで、徐々に変化させて更新する形態も可能である。
この形態の場合、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、前記目標ランプ電流データ値(f1)を生成したとき、もしこの値が、これより一つ前の更新動作による目標ランプ電流データ値(f0)と差異を有する場合は、前記目標ランプ電流データ(Sxt)の値を、前記目標ランプ電流データ値(f0)から前記目標ランプ電流データ値(f1)まで、変化時間間隔(τf)をもって一定の差分値ずつ段階的に変化させ、同様に、前記目標ランプ電流データ値(f2)を生成したとき、もしこの値が、これより一つ前の更新動作による目標ランプ電流データ値(f1)と差異を有する場合は、前記目標ランプ電流データ(Sxt)の値を、前記目標ランプ電流データ値(f1)から前記目標ランプ電流データ値(f2)まで、変化時間間隔(τf)をもって一定の差分値づつ段階的に変化させる。
このようにすることにより、決定された前記目標ランプ電流信号の値と、その直前の更新動作において決定された前記目標ランプ電流信号の値との間の差異がある場合でも、ランプの明るさに急激な変化が現れることを防止して滑らかに変化させることができる。なお、前記変化時間間隔(τf)の長さ、および段階的に変化させるときの前記差分値の大きさは、ランプの明るさが滑らかに変化して、視覚上の障害にならない適当な値を選択すればよい。また、図7の形態の場合は、前記目標ランプ電流データ値の前記差異の大きさによって変化時間(τs1,τs2)が変化するが、この変化時間(τs1,τs2)を一定にするよう、段階的に変化させるときの変化率を調整するようにしてもよい。
本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示す図である図8を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。ここまでは、主として直流駆動方式の放電ランプ点灯装置について説明したが、本発明の特徴は、交流駆動方式の放電ランプ点灯装置に対しても適用可能である。図8は、給電回路(Ux)の後段にフルブリッジ方式のインバータ(Ui)を設けるものを示す。
インバータ(Ui)は、FET等のスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)を用いたフルブリッジ回路により構成してある。それぞれのスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)は、それぞれのゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)により駆動され、前記ゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)は、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)がオン状態の位相においては、他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)はオフ状態に維持され、逆に他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)がオン状態の位相においては、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)はオフ状態に維持されるよう、インバータ制御回路(Uf)により生成されるインバータ制御信号(Sf1,Sf2)により制御される。前記した2つの位相の切換えを行うときは、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)の全てがオフ状態になる、デッドタイムと呼ばれる期間が挿入される。
なお、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)が例えばMOSFETである場合は、ソース端子からドレイン端子に向かって順方向となる寄生ダイオードが素子自体に内蔵されている(図示を省略)が、バイポーラトランジスタのような、前記寄生ダイオードが存在しない素子の場合は、前記した位相の切換え時、またはデッドタイムの期間において、インバータ(Ui)の後段に存在しているインダクタンス成分に起因する誘導電流が流れようとすることにより、逆電圧の発生により素子が破損される恐れがあるため、前記寄生ダイオードに相当するダイオードを、逆並列に接続することが望ましい。
トリガ駆動回路(Ue1)においては、抵抗(Re)を介して、前記給電回路(Ux)の出力電圧によってコンデンサ(Ce)が充電される。 例えば、後述するマイクロプロセッサユニット(Mpu)などで生成されるトリガ信号(図示を省略)を受けてゲート駆動回路(Ge)を活性化すると、サイリスタ等よりなるスイッチ素子(Qe)が導通することにより、前記コンデンサ(Ce)が高電圧トランス(Te)の1次側巻線(Pe)を通じて放電し、2次側巻線(He)に高電圧パルスを発生する。前記2次側巻線(He)に発生した高電圧は、放電ランプ(Ld)の補助電極(Et)に印加され、前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間の放電を始動することができる。
また、高電圧トランス(Te)が作動したときに主たる放電のための前記電極(E1,E2)に印加される、無負荷開放電圧を増強するためのトランス(Th)を追加することにより、放電ランプ(Ld)の点灯性を改善する工夫を施してある。トリガ駆動回路(Ue1)に対し、コンデンサ(Ch)が追加されて、コンデンサ(Ce)とともに抵抗(Re)とスイッチ素子(Qe)との接続ノードに接続され、前記トランス(Th)の1次側巻線(Ph)を介して前記コンデンサ(Ch)が充電されるように構成されている。したがって、高電圧トランス(Te)の1次側巻線(Pe)にパルス電流が流れて補助電極(Et)に高電圧パルスが印加されるときは、同様に前記トランス(Th)の前記1次側巻線(Ph)にパルス電流が流れて、2次側巻線(Sh)に電圧が発生し、給電回路(Ux)から前記電極(E1,E2)に印加される無負荷開放電圧に重畳される。
その結果、放電ランプ(Ld)の点灯性が改善される。なお、前記トランス(Th)については、前記2次側巻線(Sh)に発生する電圧波形が、前記補助電極(Et)に印加される高電圧パルスと好適なタイミングおよび極性となるよう、前記1次側巻線(Ph)および前記2次側巻線(Sh)のインダクタンス値および巻線方向を設定すればよい。
なお、前記トランス(Th)はインバータ(Ui)より後段に設けられているため、前記インバータ(Ui)の極性反転の位相と前記トランス(Th)の作動タイミングが無制御であれば、前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)が発生する電圧が重畳されることにより、前記電極(E1,E2)に印加される電圧の絶対値が、逆に低くなってしまうことも起こり得る。したがって、前記電極(E1,E2)に印加される電圧の絶対値が高められるタイミングで前記トランス(Th)が作動するよう、前記トリガ信号を前記インバータ(Ui)の極性反転の位相に同期させるか、始動時においては、前記インバータ(Ui)の極性反転動作を、前記トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)が発生する電圧の極性に適合した条件で停止させるようにしてもよい。
交流駆動方式の放電ランプ点灯装置においては、ランプ電圧検出手段(Vx)およびランプ電流検出手段(Ix)は、図8に示すように前記インバータ(Ui)よりも前段に設け、ランプ電圧検出信号(Sv)およびランプ電流検出信号(Si)は、それぞれランプ電圧とランプ電流の絶対値に対応する信号として取得することが好適である。
本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態を簡略化して示す図である図9を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。交流駆動方式の放電ランプ点灯装置においては、前記したように、交流駆動のための極性反転の度毎に、ランプ電流において緩慢な変化、あるいは逆にオーバーシュートや振動などの過渡現象が生じ、放電ランプ(Ld)のインピーダンスに依存して、ランプ電圧にも同様のオーバーシュートや振動が現れ、前記ランプ電圧検出信号(Sv)に過渡的な擾乱が混入してしまう不都合が発生する可能性がある。
この不都合を回避するために、図9に示すように、インバータの極性反転タイミングを与える極性反転指令信号(Seo)は、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)において生成され、前記AD変換器(Adc)を介した前記ランプ電圧データ(Sxv)を取得するタイミングが、前記極性反転指令信号(Seo)と一定の時間的隔たりを有するものとなるように前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)を構成する。
インバータ制御回路(Uf)では、前記極性反転指令信号(Seo)は、例えばモノステーブルマルチバイブレータによって構成された、タイマ回路(TMe1)に入力され、前記したデッドタイムの期間に対応する信号(Sed)を生成する。該信号(Sed)は、入力端子が自身の反転出力に接続された遅延フリップフロップ(FFe1)のクロック信号入力端子に入力される。該遅延フリップフロップ(FFe1)の出力信号および反転出力信号は、それぞれNORゲート(Ge1,Ge2)のそれぞれの一方の入力端子に入力され、該NORゲート(Ge1,Ge2)のそれぞれの他方の入力端子には、前記信号(Sed)が入力され、極性反転時のデッドタイムが設けられた、インバータ制御信号(Sf1,Sf2)を生成する。
このように構成することにより、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するに際しては、前記インバータ(Ui)の極性反転タイミングに同期させて前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得する動作を実現することができる。前記した過渡的な擾乱は、極性反転動作に同期して発生するため、前記ランプ電圧検出信号(Sv)の取得動作もまた、極性反転動作に同期させて行うことにより、極性反転時のランプ電圧や電流において、オーバーシュートなどの過渡現象が発生する場合でも、前記ランプ電圧検出信号を取得する動作が再現的になることにより、前記した過渡現象の影響を受けにくくすることができる。
先に、前記ランプ電圧データ(Sxv)を取得するタイミングが、前記極性反転指令信号(Seo)と一定の時間的隔たりを有するものとなるように前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)を構成するべき旨を記載したが、極性反転時のオーバーシュートや振動の影響は、極性反転からの経過時間が長くなるほど小さくなるため、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するタイミングを前記インバータ(Ui)の極性反転の直前とすることが好適である。このようにすることにより、取得する前記ランプ電圧検出信号における、前記した過渡現象の影響を最小にすることができる。
前記ランプ電圧データ(Sxv)、すなわち前記ランプ電圧検出信号(Sv)から1個の代表値を生成するに際しては、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の平均値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成するように前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)を構成することにより、決定された前記目標ランプ電流信号の値と、その直前の更新動作において決定された前記目標ランプ電流信号の値との間の差異が少ない、安定な前記目標ランプ電流信号の値を決定することができる。この場合、前記した移動データ参照方式は、所謂移動平均演算となる。
また、前記ランプ電圧検出信号(Sv)から1個の代表値を生成するに際しては、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の最大値または最小値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成するように前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)を構成することにより、簡単な処理によって前記目標ランプ電流信号の値を決定することができる。
前記した取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の平均値に基づく、あるいは最大値または最小値に基づくなどの処理により生成された1個の代表値を生成することは、図5のaに記載のような動的色フィルタからランプへの戻り光に起因するランプ電圧の変調を滑らかにならす操作にほかならない。しかし、取得する前記ランプ電圧検出信号(Sv)の個数が小さいと、このランプ電圧の変調の影響が残る場合があるため、この影響を完全に排除したいときは、取得する前記ランプ電圧検出信号(Sv)の個数を大きくする必要がある。
このようなときは、取得する前記ランプ電圧検出信号(Sv)の個数を大きくせずとも、前記更新動作に際して、保持されている値と更新しようとする値との差異が所定の下限値以下である場合は、前記更新動作を省略するように前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)を構成することにより、不要不急の前記目標ランプ電流信号の値の更新動作が抑制され、非常に安定なランプ電流制御ができ、動的色フィルタからランプへの戻り光に起因するランプ電圧の変調の影響をほぼ完全に排除される。
前記更新動作を省略したとしても、例えば、ランプ電圧が徐々に上昇または下降するような、傾向的な変化がある場合は、保持されている値と更新しようとする値との差異が累積して徐々に大きくなり、やがては前記更新動作が実行される。そのため、少々のランプ電力の誤差が一時的に発生する可能性があるが、前記した、差異の所定の下限値の大きさを適当に設定することにより、この誤差を所望の範囲に限定することができる。
図10は、本発明のプロジェクタの一つの形態を簡略化して示すブロック図である。本発明の放電ランプ点灯装置(Ex)によって始動・点灯される放電ランプ(Ld)から発せられた光束(Ox1)は、必要に応じて設けられる、凹面鏡や集光レンズ等を含むコンデンサ光学系(Oc)を通過した光束(Ox1’)を経て、回転カラーホイールなどの動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換される。前記色順次光束(Ox2)は、DMD(TM)やLCD、LCOS(反射型の液晶表示パネル)などを用いた空間変調素子(Om)によって色順次の画像光束(Ox3)に変調され、投影レンズ(Op)によって、プロジェクタと一体の、あるいはプロジェクタの外部に設けられたスクリーン(Os)に投影画像が形成される。
前記放電ランプ(Ld)は本発明の放電ランプ点灯装置(Ex)によって点灯されるため、前記した、戻り光によるランプ電圧の変調に起因する光束の変動の影響により、投影画像に目障りなチラツキが現れる現象を回避することができる。
なお、本発明を実施する場合、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)が前記目標ランプ電流信号(St)を生成するに際しては、前記したように取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の平均値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成する代わりに、例えば、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号のそれぞれに対して目標ランプ電流信号の候補値を生成し、これら候補値の平均値に基づいて前記目標ランプ電流信号を生成するようにしてもよい。
また、前記したように取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の最大値または最小値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成する代わりに、例えば、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号のそれぞれに対して目標ランプ電流信号の候補値を生成し、これら候補値の最大値または最小値に基づいて前記目標ランプ電流信号を生成するようにしてもよい。
また、本発明の構成において、さらに前記インバータ(Ui)の極性反転タイミングやランプ電圧検出信号(Sv)の取得のタイミングを、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期に対して同期させる技術と併用しても構わない。
本明細書に記載の回路構成は、本発明の放電ランプ点灯装置の動作や機能、作用を説明するために、必要最少限のものを記載したものである。したがって、説明した回路構成や動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計時に遂行されることを前提としている。
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因からFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。本発明になる放電ランプ点灯装置の構成は、本明細書に記載の回路方式のものに限定されるものではなく、また、記載の波形やタイミング図に限定されるものではない。
さらに、例えば、前記図1における前記給電制御回路(Fx)の前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、ランプ電圧(VL)に対応する前記ランプ電圧検出信号(Sv)をAD変換し、これに基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を設定するものとしたが、ランプ電流(IL)に対応する前記ランプ電流検出信号(Si)についてもこれをAD変換し、得られた電流値が目標電流値に一致するように前記目標ランプ電流信号(St)を補正して設定することにより、各回路素子パラメータのバラツキの影響を補正するような高精度化や高機能化、あるいは逆に、例えば、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)を廃して、より単純な制御回路に代えるような簡素化などの光源装置の構成の多様化のもとでも、本発明の効果は良好に発揮される。
本発明の放電ランプ点灯装置を簡略化して示すブロック図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態を簡略化して示す図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の動作の一形態を簡略化して示すタイミング図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の動作の一形態を簡略化して示すタイムチャートを表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の動作の一形態を簡略化して示すタイムチャートを表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の動作の一形態を簡略化して示すタイムチャートを表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態を簡略化して示す図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図を表す。 本発明のプロジェクタの実施例の一形態の簡略化されたブロック図を表す。
符号の説明
Ad1 バッファ
Ad2 バッファ
Ad3 バッファ
Adc AD変換器
Ade 演算増幅器
Cd0 コンデンサ
Cd1 積分コンデンサ
Ce コンデンサ
Ch コンデンサ
Cj コンデンサ
Cmg 比較器
Cmv 比較器
Cx 平滑コンデンサ
Dac DA変換器
Dd1 ダイオード
Dd2 ダイオード
Dd3 ダイオード
Dd4 ダイオード
Dx フライホイールダイオード
E1 電極
E2 電極
Et 補助電極
Ex 放電ランプ点灯装置
FFe1 遅延フリップフロップ
Fx 給電制御回路
G1 ゲート駆動回路
G2 ゲート駆動回路
G3 ゲート駆動回路
G4 ゲート駆動回路
Ge ゲート駆動回路
Ge1 NORゲート
Ge2 NORゲート
Gj ゲート駆動回路
Gndx グランド
Gx ゲート駆動回路
He 2次側巻線
Hj 2次側巻線
IL ランプ電流
Ix ランプ電流検出手段
Kj トランス
Ld 放電ランプ
Lx チョークコイル
Mpu マイクロプロセッサユニット
Mx DC電源
Oc コンデンサ光学系
Of 動的色フィルタ
Om 空間変調素子
Op 投影レンズ
Os スクリーン
Osc 発振器
Ox1 光束
Ox1’ 光束
Ox2 色順次光束
Ox3 画像光束
Pe 1次側巻線
Ph 1次側巻線
Pj 1次側巻線
Q1 スイッチ素子
Q2 スイッチ素子
Q3 スイッチ素子
Q4 スイッチ素子
Qd1 トランジスタ
Qe スイッチ素子
Qj スイッチ素子
Qx スイッチ素子
Rd0 抵抗
Rd1 プルアップ抵抗
Rd2 抵抗
Rd3 抵抗
Rd4 抵抗
Rd5 プルダウン抵抗
Rd6 スピードアップ抵抗
Re 抵抗
Rj 抵抗
Sd0 鋸歯状波信号
Sd1 出力信号
Sd2 チョッパ駆動目標信号
Sd3 信号
Sd4 信号
Sd5 制御対象信号
Sd6 信号
Sd7 信号
Sd8 信号
Sed 信号
Seo 極性反転指令信号
Sf1 インバータ制御信号
Sf2 インバータ制御信号
Sg ゲート駆動信号
Sh 2次側巻線
Si ランプ電流検出信号
Sj トリガ信号
Sk ランプ電流上限信号
St 目標ランプ電流信号
Sv ランプ電圧検出信号
Sxt 目標ランプ電流データ
Sxv ランプ電圧データ
T11 ノード
T12 ノード
T21 ノード
T22 ノード
T31 ノード
T32 ノード
T41 ノード
T42 ノード
TMe1 タイマ回路
Te 高電圧トランス
Th トランス
To 色順次周期
Ts 更新動作周期
Uc ランプ電流上限信号発生回路
Ud 給電能力制御回路
Ue スタータ
Ue1 トリガ駆動回路
Uf インバータ制御回路
Ui インバータ
Uj トリガ回路
Up 目標ランプ電流信号生成回路
Ux 給電回路
VL ランプ電圧
Vd1 基準電圧源
Vd2 基準電圧源
Vd3 電圧源
Vd4 オフセット電圧
Vx ランプ電圧検出手段
d0〜d9 ランプ電圧データ値
d0’〜d9’ ランプ電圧データ値
f0 目標ランプ電流データ値
f1 目標ランプ電流データ値
f2 目標ランプ電流データ値
t0〜t9 時刻
t0’〜t9’ 時刻
τf 変化時間間隔
τi 休止期間
τs1 変化時間
τs2 変化時間

Claims (9)

  1. 放電ランプにより発生された光束(Ox1)を動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換し前記色順次光束(Ox2)を利用して画像を投影表示するプロジェクタにおいて前記放電ランプ(Ld)を始動し、点灯するための放電ランプ点灯装置(Ex)であって、
    前記放電ランプ点灯装置は、前記放電ランプ(Ld)に電力を供給するための給電回路(Ux)と、前記放電ランプ(Ld)の電圧を検出しランプ電圧検出信号(Sv)を生成するランプ電圧検出手段(Vx)と、前記放電ランプ(Ld)の電流を検出しランプ電流検出信号(Si)を生成するランプ電流検出手段(Ix)と、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得して目標ランプ電流信号(St)を生成する目標ランプ電流信号生成回路(Up)と、前記目標ランプ電流信号(St)と前記ランプ電流検出信号(Si)との差異が小さくなるように、前記給電回路をフィードバック制御する給電能力制御回路(Ud)とを有し、
    少なくとも前記放電ランプ(Ld)の定常点灯状態において、前記目標ランプ電流信号生成回路(Up)は、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間にわたる複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得し、取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成することを特徴とする放電ランプ点灯装置。
  2. 前記目標ランプ電流信号(St)の生成に際しては、前記目標ランプ電流信号(St)の値の更新動作は、前記動的色フィルタ(Of)の色順次周期の長さ以上の期間を待って間欠的に開始され、更新されていない期間においては、前回に更新された値が保持されるように生成されることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
  3. 前記更新動作に際しては、保持されている値から更新される値まで、徐々に変化させて更新することを特徴とする請求項2に記載の放電ランプ点灯装置。
  4. 前記放電ランプ(Ld)に印加する電圧を極性反転して前記放電ランプ(Ld)を交流駆動するためのインバータ(Ui)をさらに有するものにおいて、前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するに際しては、前記インバータ(Ui)の極性反転タイミングに同期させて前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得することを特徴とする請求項1から3に記載の放電ランプ点灯装置。
  5. 前記ランプ電圧検出信号(Sv)を取得するタイミングを前記インバータ(Ui)の極性反転の直前とすることを特徴とする請求項4に記載の放電ランプ点灯装置。
  6. 取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の平均値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成することを特徴とする請求項1から5に記載の放電ランプ点灯装置。
  7. 取得した複数個の前記ランプ電圧検出信号(Sv)の最大値または最小値に基づいて前記目標ランプ電流信号(St)を生成することを特徴とする請求項1から5に記載の放電ランプ点灯装置。
  8. 前記更新動作に際して、保持されている値と更新しようとする値との差異が所定の下限値以下である場合は、前記更新動作を省略することを特徴とする請求項2に記載の放電ランプ点灯装置。
  9. 放電ランプにより発生された光束(Ox1)を動的色フィルタ(Of)により色順次光束(Ox2)に変換し前記色順次光束(Ox2)を利用して画像を投影表示するプロジェクタであって、前記放電ランプ(Ld)を始動し、点灯するための放電ランプ点灯装置が請求項1から8に記載の放電ランプ点灯装置(Ex)であることを特徴とするプロジェクタ。
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