JP2005071630A - 高圧放電ランプ点灯装置および照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可制御直流電源の直流電圧出力を高精度に制御するとともに寿命判定を可能にした高圧放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】高圧放電ランプ点灯装置は、可制御直流電源CDCと、可制御直流電源CDCから出力される直流電圧を交流電圧に変換するフルブリッジ形インバータHINVと、フルブリッジ形インバータHINVから出力される交流電圧の印加により付勢されて点灯する高圧放電ランプHPDLと、点灯時の高圧放電ランプHPDLのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成し、可制御直流電源CDCに供給することにより可制御直流電源CDCの出力を制御する制御手段CCとを具備している。
【選択図】図1
【解決手段】高圧放電ランプ点灯装置は、可制御直流電源CDCと、可制御直流電源CDCから出力される直流電圧を交流電圧に変換するフルブリッジ形インバータHINVと、フルブリッジ形インバータHINVから出力される交流電圧の印加により付勢されて点灯する高圧放電ランプHPDLと、点灯時の高圧放電ランプHPDLのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成し、可制御直流電源CDCに供給することにより可制御直流電源CDCの出力を制御する制御手段CCとを具備している。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電圧を交流電圧に変換して得た交流電圧により付勢される高圧放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧放電ランプを電子化された点灯装置を用いて点灯する場合、直流電圧をフルブリッジ形インバータにより交流電圧に変換して高圧放電ランプに印加する。そして、高圧放電ランプを所望の電力で点灯させるためにランプ電圧およびランプ電圧の少なくとも一方を検出し、さらに検出信号から制御信号を形成して、当該制御信号を用いて直流電源から出力される直流電圧を所望に制御するように構成している。
【0003】
ランプ電圧またはランプ電流を検出して直流電圧を制御するための制御信号を形成する場合、ランプ電圧またはランプ電流を積分回路により平均化した値として検出するのが従来一般的であった。上記の構成においては、ランプ電圧またはランプ電流の立ち上がり時に生じる過渡現象の部分も平均値に含まれる。したがって、安定状態のランプ電圧またはランプ電流のみを検出して正確な帰還制御を行ったり、過渡現象のみを検出して例えば高圧放電ランプの寿命判定を行ったりすることができない。
【0004】
これに対して、フルブリッジ形インバータの極性反転に同期して反転初期の過渡現象部分をマスクして過渡現象以外の期間のランプ電圧を検出するようにした構成が提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1ににおいては、従来においては昇圧チョッパ回路の平滑回路にチョークコイルを挿入して過渡電圧発生を抑制する必要があったが、特許文献1の発明によれば、チョークコイルを用いる必要がなくなる旨記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−321388号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1のように過渡現象の部分をマスクする構成の場合、安定時のランプ電圧を検出することはできるが、過渡現象部分をマスクしてしまうために、ランプ電圧の過渡現象部分を利用して、高精度で、しかも迅速な直流電圧の制御を行ったり、また過渡現象部分を検出して高圧放電ランプの寿命判定をも行うなど多様な制御を行ったりするといったことができない。したがって、特許文献1に記載された構成では、柔軟性がないという問題がある。
【0006】
本発明は、ランプ電圧および/またはランプ電流の極性反転に伴う過渡現象部分および安定部分をサンプリングして可制御直流電源の直流電圧出力を高精度に制御するとともに寿命判定を可能にした高圧放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記に加えて所望により高圧放電ランプの寿命判定を可能にした高圧放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧放電ランプ点灯装置は、可制御直流電源と;可制御直流電源から出力される直流電圧を交流電圧に変換するフルブリッジ形インバータと;フルブリッジ形インバータから出力される交流電圧の印加により付勢されて点灯する高圧放電ランプと;点灯時の高圧放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングし、可制御直流電源に供給することにより可制御直流電源の出力を制御する制御手段と;を具備していることを特徴としている。
【0009】
本発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0010】
<可制御直流電源について> 可制御直流電源は、後述するフルブリッジ形インバータに対して交流に変換されるべき直流電力を所要値の電圧で、かつ、安定に供給するとともに、フルブリッジ形インバータの交流出力電力、したがって高圧放電ランプに投入される交流電力を調節するための手段である。また、可制御直流電源は、商用交流電源などの交流電源から得た整流化直流電源、バッテリー電源などの直流電源と、DC−DCコンバータとで構成することができる。なお、DC−DCコンバータは、その構成態様を選ばないが、例えばチョッパ機能を有するスイッチングレギュレータなどが所要値の電圧で、かつ、可変直流電力を安定して得るのに有益なので、好適である。チョッパ機能を有するスイッチングレギュレータとしては、昇圧チョッパまたは降圧チョッパなどを用いることができる。
【0011】
また、可制御直流電源に付設する上記のDC−DCコンバータは、フルブリッジ形インバータの駆動周波数に比較して高い周波数、例えば50k〜100kHz、好適には70〜80kHzで駆動される。このため、ランプ電圧またはランプ電流のサンプリングの際にDC−DCコンバータの駆動と同期させることが可能となる。
【0012】
<フルブリッジ形インバータについて> フルブリッジ形インバータは、直流を交流に変換するDC−ACコンバータの一種であり、矩形波の交流電圧を出力する場合に好適な手段である。そして、出力された交流電圧は、点灯維持用電圧として後述する高圧放電ランプの一対の電極間に印加される。高圧放電ランプに印加する交流電圧の波形は、矩形波であると音響的共鳴現象を抑制するのに好適であることは既知である。
【0013】
また、負特性を有する高圧放電ランプを安定に点灯するには限流インピーダンス手段が必要であるが、限流インピーダンス手段は、フルブリッジ形インバータの出力側および入力側のいずれに挿入されていてもよい。例えば、可制御直流電源としてスイッチングレギュレータを用いる場合、構成要素の一部であるインダクタがスイッチングにより限流作用をも担当するので、見かけ上の限流インピーダンス手段を省略することができる。したがって、このような構成の場合、限流インピーダンス手段は、フルブリッジ形インバータの入力側に挿入されていることになる。
【0014】
さらに、フルブリッジ形インバータは、高圧放電ランプの安定点灯時において、音響的共鳴現象の発生を回避するために比較的低い周波数、例えば比較的小形の高圧放電ランプの場合には一般的には100〜1000Hz、好適には300〜500Hzの範囲である。周波数が1000Hzを超えると、一般的には音響的共鳴現象が発生しやすくなるので、注意しなければならない。しかし、500Hz以下であれば、実際上音響的共鳴現象の問題はなくなる。また、周波数が100Hz未満になると、交流電圧の極性の切り換えによる放電電流の反転に伴って高圧放電ランプの明るさの変化がちらつきとして人の眼に感じられやすくなるので、好ましくない。しかし、周波数が300Hz以上であれば、全く問題がない。
【0015】
しかし、点灯直後から安定点灯に至るまでの間は、さらに低い周波数または直流を出力するように特別な制御を行うことができる。例えば、点灯直後には直流点灯または数Hzで駆動したり、点灯直後に1〜数10Hzでその後徐々に周波数を増加するように駆動したりすることができる。なお、点灯直後の低周波は、安定点灯時の周波数に比較して低いことを意味し、一般的には100Hz未満、好ましくは1以上、かつ、100Hz未満、より好適には5〜25Hzの範囲である。すなわち、高圧金属蒸気放電ランプの室温以下の低温状態での始動時において、周波数が100Hz以下であれば、電極における放電の起点がほぼ安定するし、始動時の電極物質のスパッタリングによる電極の偏減りが実際上問題にならなくなる。しかし、25Hz以下であれば、より一層放電が安定しやすくなる。また、始動時の周波数は、放電の安定の観点からすれば、1Hz未満であっても問題ないが、実際上制御手段の回路設計の難度が増すとともに電極のスパッタリングによる片減りに対する不安がある。このため、始動時の周波数の下限は、1Hz以上であるのが好ましい。さらに、周波数が5Hz以上であれば、回路設計も容易になる。したがって、5〜25Hzの範囲が好適である。
【0016】
本発明において、始動時の上述した相対的な低周波から安定点灯時の上述した相対的な高周波に至るまでの周波数の変化は、断続的または連続して行われるように構成することができる。なお、フルブリッジ形インバータの動作周波数の制御は、後述する制御手段により行われるように構成することができる。しかし、要すれば、後述する制御手段とは別の制御回路により制御するように構成することもできる。
【0017】
<高圧放電ランプについて> 本発明において用いることのできる高圧放電ランプは、金属蒸気またはガスを主体とする放電媒体の高圧放電(超高圧放電を含む。)により発光する高圧放電ランプである。金属蒸気を主体とする放電媒体を封入したメタルハライドランプからなる高圧放電ランプとしては、放電媒体に水銀を含むいわゆる水銀入りランプと、水銀に代えて第2のハロゲン化物を含むいわゆる水銀フリーランプとが実用的であり、本発明に用いる高圧放電ランプは、そのいずれであってもよい。
【0018】
しかしながら、水銀フリーランプは、点灯直後の金属蒸気圧が水銀入りランプのそれに比較して低いので、点灯直後に安定時のランプ電流に対して数倍のランプ電流を数秒間継続して通流させ、その後徐々に安定時のランプ電流へ低減していくような制御を必要する。そして、この間の制御を適切に行うためには、ランプ電圧およびランプ電流の少なくとも一方を高い精度で検出し、その検出信号に基づいて制御信号を作成して迅速な制御を行う必要があるので、本発明は、水銀フリーランプを点灯するのに好適である。以下、水銀フリーランプにおける放電媒体ついて説明する。
【0019】
水銀フリーランプにおける放電媒体は、希ガスならびに第1および第2の金属ハロゲン化物であり、本質的に水銀が封入されていない。「本質的に水銀が封入されていない」とは、水銀を全く封入していないだけでなく、気密容器の内容積1cc当たり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀が存在していることを許容するという意味である。しかし、水銀を全く封入しないことは環境上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって放電ランプの電気特性を維持する場合、電極間距離が比較的小さくて小形の高圧金属蒸気放電ランプにおいては、気密容器の内容積1cc当たり20〜40mg、さらに場合によっては50mg以上封入していたことからすれば、水銀量が実質的に少ないといえる。
【0020】
希ガスは、キセノンを主体とするのが好適である。希ガスを封入している理由は、始動ガスとして作用するとともに、点灯直後の光量の立ち上がりを早め、さらに安定点灯中のバッファガスとして作用させるためである。このために、希ガスは、高い圧力、例えば一般的には5〜20気圧、好適には8〜16気圧で封入されている。この範囲であれば、点灯直後4秒までの光量の立ち上がりを早めて自動車用前照灯装置に必要なその前面の代表点での光度8000cdを容易に得ることができる。
【0021】
車両用前照灯に用いるのに好適な白色発光のための第1の金属ハロゲン化物としては、例えばナトリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属、例えばジスプロシウムDyなどからなるグリープの中から選択された少なくとも1種、好適には2種を含む発光金属のハロゲン化物を用いることができる。また、ナトリウムNa、スカンジウムScおよびインジウムIのハロゲン化物を発光金属のハロゲン化物として封入することもできる。
【0022】
第2の金属ハロゲン化物は、ランプ電圧形成ようの放電媒体である。この金属ハロゲン化物は、蒸気圧が相対的に高くて、かつ、可視域における発光が相対的に少ない金属のハロゲン化物からなる。第2の金属ハロゲン化物に用いる金属としては、例えばマグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfからなるグループの中から選択された1種または複数種の金属を用いることができる。また、上記の金属、例えば亜鉛Znに加えてインジウムInを添加することができる。
【0023】
以上説明したように、水銀フリーランプは、その放電媒体として従来の水銀に代えて第2の金属ハロゲン化物を封入しているため、定格ランプ電力の2.2〜3倍の大きいランプ電力で点灯を開始すると、暫くして第1および第2の金属ハロゲン化物が急激に蒸発する。そして、その際に格別の制御を行わない場合、光出力が著しく大きくて、しかも急激に増大するという特性を有している。
【0024】
<制御手段について> 制御手段は、点灯時の高圧放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成し、可制御直流電源に供給することにより可制御直流電源の出力を制御する手段である。なお、「ランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方」とは、ランプ電圧またはランプ電流のみ、またはランプ電圧およびランプ電流の両方についてサンプリングすることができるという意味である。
【0025】
過渡現象部分を含めてサンプリングするには、ランプ電圧またはランプ電流の立ち上がりから少なくともランプ電圧またはランプ電流が安定するまで、あるいは所望によりランプ電圧またはランプ電流の立ち下りまで、連続的にサンプリングを行えるように構成するのがよい。例えば、ランプ電圧またはランプ電流の立ち上がりからランプ電圧またはランプ電流の立ち下りまでをサンプリング期間としてその間サンプリングを可能にするとともに、サンプリングデータからそれらの変化を監視して安定するまでの間サンプリングを継続するように構成することができる。そして、安定時に得たサンプリングデータに基づいて制御信号を形成することができる。なお、ランプ電圧またはランプ電流の安定時以外のサンプリングをも行った場合において、制御信号の形成に関しては、安定時以外のサンプリングデータを切り捨てるように構成することができる。しかし、要すれば、ランプ電圧またはランプ電流の過渡現象部分とランプ電圧またはランプ電流の安定時とをサンプリングするように構成することも許容される。
【0026】
また、上記の構成に代えて極性反転に伴う過渡現象部分を検出した時にタイマ動作を開始するようにタイマを配設して、所定時間経過したときのタイマの時限動作によりサンプリングを開始するように構成することができる。これによりランプ電圧またはランプ電流が安定する時間帯になったときからサンプリングを行うようにすることができる。
【0027】
制御信号は、可制御直流電源の出力電圧を所要に制御するために用いられる。この制御により高圧放電ランプに投入されるランプ電力を制御することが可能になる。このような制御のために、制御信号は、制御手段に内蔵されるテーブルデータとサンプリング値から認識されたランプ電圧またはランプ電流とを比較してその差に基づいて形成されるように構成することができる。
【0028】
一方、ランプ電圧またはランプ電流の過渡現象部分のサンプリングは、適当な時定数、好ましくは150μ秒以下、より好適には100μs以下の時定数を有するフィルタを用いることにより容易に検出することができる。また、過渡現象部分のサンプリング値は、これをサンプリングのタイミングを決定する信号として利用することができる。例えば、ランプ電圧またはランプ電流の過渡現象を検出に基づいてタイマを作動させ、サンプリング値を得るためのサンプリングを開始するように構成することができる。なお、タイマは、例えば4ms以内で所望の時間をサンプリング期間として設定可能にすることができる。
【0029】
また、過渡現象部分のサンプリング値は、これの変化を継続して監視するなどにより、高圧放電ランプの寿命を判定することが可能になる。さらに、フルブリッジ形インバータの出力の半周期ごとに、過渡現象部分を含む極性反転直後とその後の極性反転直前の2回にわたりサンプリングを行うことにより、検出精度を高めることもできる。
【0030】
さらに、制御手段は、以上説明した可制御直流電源の出力直流電圧の制御を行うのに加えて、所望により以下の制御を行うように構成することが許容される。1.(始動1周期後のランプ電流増加制御について) 始動1周期後にインバータの出力電流すなわち高圧放電ランプのランプ電流を数m秒または約10Hz程度の間だけ若干増加するように制御手段を構成する。これにより、電極のスパッタリングによる電極の消耗および放電容器の管壁の黒化を抑制するとともに、アークの立ち消えを防止するのに効果的である。
2.(光量の立ち上がりを早くする制御について) 高圧放電ランプをその光量の立ち上がりが早くなるように点灯させる場合、始動時すなわち点灯開始時に定格ランプ電力より大きな電力すなわち最大電力を投入し、その後光量の立ち上がりに伴って順次低減していき、やがて定格ランプ電力に到達させて始動後約1分間程度の間までに安定点灯状態に移行する。この場合、点灯開始から安定点灯までの経過を時間で区分すれば、最大電力を投入する第1の時間帯およびランプ電力を順次低減する第2の時間帯に大別することができる。なお、以下に定義する水銀フリーランプの場合、第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発する時間帯が介在する。すなわち、「水銀フリーランプ」とは、メタルハライドランプにおいて、発光金属のハロゲン化物に加えて主としてランプ電圧を形成するために、従来は水銀を封入しているランプ(以下、便宜上「水銀入りランプ」という。)であったが、近時、主として車両用前照灯として開発されたもので、水銀に代えて比較的蒸気圧が高い例えば亜鉛Znなどの金属ハロゲン化物を封入した高圧放電ランプをいう。
【0031】
(第1の時間帯における制御について) 第1の時間帯は、始動時の制御が行われる。始動時の制御は、文字どおり高圧金属蒸気放電ランプの始動時すなわち点灯開始時に行う制御であって、許容最低照度までの光量の立ち上がりを早くするのが主な目的である。このために、最大電力を投入する。水銀フリーランプにおいて、最大電力は、定格ランプ電力の約2倍の電力に設定するのが一般的である。これに対して、水銀フリーランプにおいては、最大電力を定格ランプ電力の2.0〜3倍の範囲で適当な値のランプ電力を設定するのが好ましい。すなわち、定格ランプ電力が35Wの場合、70〜105W程度の範囲で高圧金属蒸気放電ランプを点灯させるのがよい。始動時は、主として希ガスであるキセノンによる放電が生起していて、そのガス圧がほぼ一定ないし徐々に上昇する程度であるから、定電流点灯の場合、投入されるランプ電力はほぼ一定となる。また、始動時の制御により高圧金属蒸気放電ランプは、希ガスの放電によって定格点灯時における光出力の約50%程度の光出力を生じる。なお、始動時の制御すなわち最大電力を投入する制御が行なわれる時間は、一般的には1〜5秒程度、好適には2〜4秒程度である。実際には、水銀入りランプと水銀フリーランプとで異なる。前者の場合、始動時の最大電力投入時間は、1〜2秒程度であるが、後者の場合は、2〜5秒程度である。
【0032】
(第2の時間帯における制御について) 第2の時間帯における制御は、定格ランプ電力へ落ち着かせるためにランプ電力を順次低減する制御である。この時間帯は、始動後1分間程度の間である。
【0033】
(金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御について) 水銀フリーランプにおいては、上述した第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときが存在する。このときには以下説明する制御を行うのが好ましい。すなわち、金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御は、ランプ電力を絞り込んで金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくなくて、しかも、急激に増大することのないようにするのが重要である。しかし、ランプ電力の絞込みのタイミングが早すぎて、金属ハロゲン化物が急激に蒸発する前に大きく絞り込むと、光出力が安定時のそれより大幅に低下してしまうので、絞込みのタイミングまたは絞込みの程度を適切に行う必要がある。なお、金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに「光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくない」とは、安定時の光出力の2倍、好適には1.5倍を超えない範囲をいう。
【0034】
<本発明の作用について> 本発明においては、制御手段が前述の構成を備えているので、以下に示す作用とそれに伴う効果を奏する。
【0035】
極性反転に伴う過渡現象部分を含めてランプ電圧またはランプ電流をサンプリングし、過渡現象部分を含む立ち上がり時からサンプリングを開始して、ランプ電圧またはランプ電流が安定した時のサンプリング値を用いて制御信号を作成することができるので、可制御直流電源を迅速に、かつ、高精度で制御することができ、またランプ電圧またはランプ電流の安定が早いほど制御が早くなる。
【0036】
サンプリングした全てのサンプリング値を用いることなく、ランプ電圧またはランプ電流の安定時のサンプリング値のみを用いてその他のサンプリング値を切り捨てることにより、可制御直流電源を迅速に、かつ、高精度で制御することができる。
【0037】
極性反転に伴う過渡現象部分を検出した時にサンプリングを開始し、タイマにより予め設定された時間の経過後にサンプリングを開始するように構成することにより、サンプリング時間を短縮して、演算速度を向上させることができる。
【0038】
サンプリングした過渡現象部分を監視することにより、高圧放電ランプの寿命を判定することができる。この場合、フルブリッジ形インバータ出力の半周期ごとの極性反転直後と反転直前と2回サンプリングを行い、それぞれの検出値を比較することにより、高圧放電ランプの作動状態の判定がより一層正確に行うことができる。
【0039】
サンプリングタイミングを可制御直流電源の駆動と同期させることにより、過渡現象を安定して検出することができる。
【0040】
請求項2の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0041】
本発明において、「照明装置」とは、高圧放電ランプの発光を利用するあらゆる装置を含む広い概念であり、したがって自動車用前照灯、照明器具、液晶プロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタなどの光投射装置、表示装置および光ファイバー照明装置などであることを許容する。もちろん、照明器具は屋内用および屋外用のいずれであってもよい。
【0042】
自動車用前照灯の場合、前照灯本体の背面における高圧放電ランプ装着部の開閉扉の部分にイグナイタを内蔵した高圧放電ランプ点灯装置を取り付けるとともに、要すれば高圧放電ランプのソケットを高圧放電ランプ点灯装置の前面に一体的に配設することができる。また、所望により反射鏡を高圧放電ランプ点灯装置の前面側に固定することもできる。しかし、ランプソケットまたは/および反射鏡を高圧放電ランプ点灯装置とは別に前照灯本体の内部に収納してもよい。また、高圧放電ランプ点灯装置の外面に放熱フィンを一体的に形成することができる。しかし、放熱フィンは、これを高圧放電ランプ点灯装置の収納容器の外面に配設することができる。上記のいずれかの構成を具備することにより、高圧放電ランプ点灯装置の放熱を促進することができる。
【0043】
そうして、高圧放電ランプ点灯装置を前照灯本体の開閉蓋の部分に取り付けたことにより、イグナイタと高圧放電ランプとの間を接続して高電圧パルスが印加される高圧絶縁電線を最短距離にすることができるとともに、使用中に高圧絶縁電線が外部に露出するのを回避することができる。
【0044】
また、高圧放電ランプ点灯装置の前面側にランプソケットまたは/および反射鏡を配設することにより、開閉蓋を外側へ開放すれば、高圧放電ランプまたは/および反射鏡の交換を容易に行うことができる。
【0045】
そうして、本発明においては、請求項1の発明におけるのと同様な作用、効果を奏する照明装置を得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0047】
図1ないし図7は、本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第1の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示し、図1は回路ブロック図、図2は主要部を示す回路図、図3は高圧放電ランプの正面図、図4はワイヤバルブの拡大側面図、図5は回路部分の実装配置図、図6は高圧放電ランプのランプ電圧波形図、図7はフルブリッジ形インバータの駆動信号、可制御直流電源の駆動信号およびサンプリング信号の波形図である。
【0048】
図1ないし図5において、高圧放電ランプ点灯装置は、可制御直流電源CDC、フルブリッジ形インバータHINV、高圧放電ランプHPDL、制御手段CCおよびイグナイタIGを具備している
<可制御直流電源CDC> 可制御直流電源CDCは、バッテリーBT、平滑コンデンサSCおよび昇圧チョッパBUTからなる。バッテリーBT、平滑コンデンサSCおよび昇圧チョッパBUTの入力端は、互いに並列接続している。バッテリーBTは、自動車の12Vバッテリーからなる。平滑コンデンサSCは、バッテリーBTの出力電圧に脈動的な変動があっても平滑化された直流電圧を昇圧チョッパBUTに供給する。昇圧チョッパBUTは、平滑化されたバッテリーBTの出力電圧を入力して、高圧放電ランプHPDLの点灯に必要な電圧まで昇圧した直流電圧を出力する。また、後述する制御手段CCにより制御されて直流出力電圧の制御と安定化作用を行う。
【0049】
<フルブリッジ形インバータHINV> フルブリッジ形インバータHINVは、可制御直流電源CDCから出力される直流電圧を入力して交流電圧に変換して、高圧放電ランプHPDLの一対の電極間に印加する。また、フルブリッジ形インバータHINVは、図2に示すように、4個のMOSFETQ1〜Q4をフルブリッジ接続してなり、その直流入力端が可制御直流電源CDCの直流出力端に接続している。また、4個のMOSFETQ1〜Q4に対してゲートドライブ回路GDCが配設されている。そして、ゲートドライブ回路GDCは、一方の対角関係にある一対のMOSFETQ1、Q3に対して直接ゲートドライブ信号を供給するが、他方の対角関係にある一対のMOSFETQ2、Q4に対してはNOT回路NCを介してゲートドライブ信号を供給する。したがって、MOSFETQ1、Q3とMOSFETQ2、Q4は、互いに位相が180°ずれたゲートドライブ信号によって交互にスイッチングを行う。なお、ゲートドライブ回路GDCは、後述する制御手段CCから送出される矩形波の制御信号に同期してゲートドライブ信号を発生する。また、MOSFETQ1〜Q4のドレイン−ソース間にダイオードDが逆並列接続しているが、これはMOSFETQ1〜Q4の寄生容量である。
【0050】
<高圧放電ランプHPDL> 高圧放電ランプHPDLは、図3および図4に示す構造を備えている。すなわち、高圧放電ランプHPDLは、発光管IT、外管OT、遮光膜SF、絶縁チューブITおよび口金Bを備えている。
【0051】
発光管ITは、図4に示すように、気密容器1、放電媒体、封着金属箔2、一対の電極3、3および外部導入線4を備えて構成されている。気密容器1は、包囲部1a、一対の封止部1b、1bおよび封止管1dにより構成されている。包囲部1aは、外形が紡錘形状に成形されてなり、内部に軸方向に細長いほぼ円柱状の放電空間1cが形成されている。一対の封止部1b、1bは、包囲部1aの両端に一体に形成されている。封止管1dは、図4において左側の封止部1bの外端に連続して形成されている。封着金属箔2は、リボン状のモリブデン箔からなり、減圧封止法およびピンチシール法の併用により気密容器1の一対の封止部1b、1bの内部に気密に埋設されている。
【0052】
また、一対の電極3、3は、軸部3aが直棒状をなし、かつ、アークの起点となる先端部3bが気密容器1の包囲部1aの内部に離間対向して配設され、中間部が封止部1bに緩く支持され、さらに基端が封着金属箔2に溶接されている。そして、電極間距離5mm以下になっている。外部導入線4は、先端が封着金属箔2の他端に溶接されて、気密容器1の封止部1bから外部へ導出されている。包囲部1a内には、放電媒体として発光金属およびランプ電圧形成用の金属のハロゲン化物およびキセノンが封入されている。
【0053】
外管OTは、紫外線カット性能を備えており、内部に発光管ITを収納していて、先端側の縮径部5が発光管ITの封止部1a1の図に示す位置にガラス溶着している。また、他方の縮径部6は、封止管1dにガラス溶着して支持されている。しかし、外管OTの内部は気密ではなく、外気に連通している。
【0054】
絶縁チューブTは、電流導入導体4を被覆している。
【0055】
口金Bは、自動車前照灯用として規格化されているもので、放電容器ITおよび外管OTを中心軸に沿って植立して支持していて、自動車前照灯の背面に着脱可能に装着されるように構成されている。また、口金Bは、その前面から管軸方向に突出して外管OTの基端部を包持する支持バンド7を備えている。
【0056】
(高圧放電ランプの仕様例)
気密容器1 :石英ガラス製で、外径7mm、内径2.7mm、包囲部の長さ7.0mm
電極3 :タングステン製で、軸部の直径0.35mm、電極間距離4.2mm、突出長1.4mm
放電媒体
金属ハロゲン化物:ScI3−NaI−ZnI2−InBr=0.4mg
キセノン :25℃で10気圧
電気特性 :ランプ電力35W、ランプ電圧42V(いずれも安定時)
<制御手段CC> 制御手段CCは、図2に示すように、ランプ電圧検出回路VLD、ランプ電流検出回路ILD、駆動制御回路DCCおよび記憶演算回路MACからなる。そして、点灯時の高圧放電ランプHPDLのランプ電圧およびランプ電流を、それらの極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成し、可制御直流電源CDCに供給することにより可制御直流電源CDCの出力を制御する。また、図1に示すように、フルブリッジ形インバータHINVおよびイグナイタIGをも制御するとともに、高圧放電ランプHPDLの寿命判定を行う。すなわち、フルブリッジ形インバータHINVに対しては、高圧放電ランプHPDLの点灯開始時すなわち始動時から安定点灯時までの駆動周波数制御を行う。イグナイタIGに対しては点灯開始時に動作制御を行う。
【0057】
次に、可制御直流電源CDCに対する制御信号の形成について説明する。可制御直流電源CDCに対しては、高圧放電ランプHPDLの点灯直後からランプ電圧およびランプ電流をサンプリングしてサンプリング値に基づいて制御信号を形成してこれを供給する。なお、図6はランプ電圧Vlを示し、立ち上がり時に過渡現象部分VTがあるが、当該過渡現象部分VTから立ち下り時までサンプリングが行われる。サンプリングは、図7に示すように、可制御直流電源CDCの駆動信号と同期して行われる。なお、図中(a)はフルブリッジ形インバータHINVの駆動信号、(b)は可制御直流電源CDCの駆動信号、(c)はサンプリング信号である。しかし、制御信号は、記憶演算回路MACにおいて、ランプ電圧およびランプ電流の各周期中のそれらが安定した時点のサンプリング値を用いて形成されて、駆動制御回路DCCを経由して可制御直流電源CDCの駆動信号を制御する。これにより、可制御直流電源CDCの直流電圧出力が適切に変化する。
【0058】
高圧放電ランプHPDLの寿命制御は、ランプ電圧の立ち上がり時の過渡現象部分VTを記憶演算回路MACにおいて監視することにより行われる。すなわち、高圧放電ランプHPDLの寿命末期になると、始動電圧が高くなって過渡現象部分VTが高くなるので、それが所定値を超えた時に寿命と判定される。
【0059】
<イグナイタIG> イグナイタIGは、フルブリッジ形インバータHINVから出力される交流電圧が印加されて作動するとともに、制御手段CCから送出される起動信号に基づいて高電圧パルス電圧を発生して、高圧放電ランプHPDLの一対の電極3、3間に印加することにより一対の電極3、3間の絶縁破壊を行って高圧放電ランプHPDLを始動させる。
【0060】
また、イグナイタIGは、図5に示すように、絶縁性合成樹脂モールドmpの内部に収納されていて、点灯回路LCと一緒に配線基板PBに実装されているが、さらに絶縁性合成樹脂モールドmpの周囲に銅の薄板からなる導電性テープctが巻装されている。導電性テープctを上記のように巻装することにより、優れたシールド作用が生じて、イグナイタIGの内部から高電圧パルスのエネルギーが外部へ放射されるのを効果的に阻止して、点灯回路LCの実装密度を高めることができるので、装置の小形化を図ることができるとともに、しかもイグナイタIGが安価になり、高圧放電ランプ点灯装置全体としてのコストダウンを図ることができる。なお、点灯回路LCは、可制御直流電源CDC、フルブリッジ形インバータHINVおよび制御手段からなる。
【0061】
これに対して、従来は、イグナイタIGの内部から高電圧パルスのエネルギーが外部へ放射されるのを阻止するために、シールドケースを用いてその内部にイグナイタIGを収納したり、イグナイタIGの周囲にシールド板を配置したりしていた。ところが、このような従来構造であると、装置の大形化を招くとともに、コストアップになっていた。
【0062】
図8および図9は、本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第2の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示し、図8は高圧放電ランプのランプ電圧波形図、図9はサンプリングのフローチャートである。図8において、図6と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0063】
本実施の形態は、サンプリングの態様が第1の実施の形態と異なる。すなわち、制御手段CCは、その内部にタイマ(図示しない。)を内蔵し、図8に示すランプ電圧波形の立ち上がり部分の過渡現象部分VTを検出したときに、上記タイマの作動を開始させ、かつ、タイマの時限が時間t1に連続するサンプリング期間t2になったときに、サンプリングを開始するように制御する。なお、タイマは、その時限が0〜4msの間を自由に可変できるものを用いている。また、上記過渡現象部分VTは、100μs以下の時定数を有するフィルタを介してサンプリングを行うように構成されている。
【0064】
そうして、時間幅tのランプ電圧Vlのうち、過渡現象部分VTを検出してから時間t1が経過して時間t2になると、ランプ電圧が安定するので、制御信号を形成するためのサンプリングを開始すれば、速やかに安定したランプ電圧Vlのサンプリング値を得ることができる。なお、サンプリング期間t2は、半周期のランプ電圧波形の時間幅tから最初の時間t1を減算した値である。
【0065】
制御信号を形成するためのサンプリングは、図9に示すフローチャートに示すような手順で行われる。すなわち、上記のようにタイマが作動して時間t1が終了したときから時間t2の間サンプリングが行われる。サンプリングを行い、次にサンプリングにより得たサンプリング値が安定しているか判断され、Yesであれば、そのときのサンプリング値を用いて制御信号が形成される。Noであれば、さらにサンプリング中であるか判断され、サンプリング期間中であれば、再びサンプリングが行われ、上記の手順が繰り返される。サンプリング期間が終了すると、サンプリングは終了される。
【0066】
図10は、本発明の照明装置における第1の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す背面側斜視図である。図において、自動車用前照灯HLは、前照灯装置本体21、高圧放電ランプHPDL、高圧放電ランプ点灯装置OCから構成されている。
【0067】
前照灯本体21は、前面透過パネル21a、リフレクタ21b、21c、ランプソケット21dおよび取付部21eなどから構成されている。前面透過パネル21aは、自動車の外面と合わせた形状をなし、所要の光学的手段たとえばプリズムを備えている。リフレクタ21b、21cは、高圧放電ランプHPDLごとに配設されていて、それぞれに要求される配光特性を得るように構成されている。ランプソケット21dは、高圧放電ランプ点灯装置OCの出力端に接続し、高圧放電ランプHPDLの口金21dに接続する。取付部21eは、前照灯装置本体21を自動車などの車両の所定位置に取り付けるための手段である。
【0068】
高圧放電ランプHPDLは、図3および図4に示すものと同一である。なお、高圧放電ランプHPDLは、前照灯装置本体21のリフレクタ21b、21c内に、その背面から装着されるとともに、背面から外部に露出する口金にランプソケット21dを接続する。そうして、2灯の高圧放電ランプHPDLが前照灯装置本体21に装着されて、4灯式の自動車用前照灯装置HLが構成される。各高圧放電ランプHPDLの発光部は、前照灯装置本体21のリフレクタ21b、21cの焦点にほぼ位置する。
【0069】
高圧放電ランプ点灯装置OCは、その高圧放電ランプHPDLを除いた残余の部分からなり、それぞれ図1に示す構成を備えていて、金属製容器22内に収納されているとともに、高圧放電ランプHPDLを付勢して点灯させる。
【0070】
以下、図11および図12を参照して本発明の照明装置のその他の実施の形態について説明する。なお、各図において、図10と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0071】
図11は、本発明の照明装置における第2の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図である。本実施の形態においては、高圧放電ランプ点灯装置OCを内部に収納した金属製容器22を前照灯装置本体21の背面に配設された開閉扉に配設するとともに、金属製容器22の前面にランプソケット21dおよびリフレクタ21bを装着している。なお、符号23はバッテリーに接続する電源リード線である。
【0072】
図12は、本発明の照明装置における第3の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図である。本実施の形態においては、図11に示す第2の実施の形態との対比において、ランプソケット21dおよびリフレクタ21bを金属製容器22の前面から離間させて前照灯装置本体21の内部に配置している。ランプソケット21dと高圧放電ランプ点灯装置OCとの間を接続する高圧ケーブル24は、前照灯装置本体21の内部に配設される。
【0073】
そうして、上記の第2および第3の実施の形態においては、いずれも高電圧パルスが印加される高圧ケーブルが外部に露出しない。
【0074】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、制御手段が点灯時の高圧放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成するので、可制御直流電源の直流電圧出力を高精度に制御するとともに寿命判定を可能にした高圧放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0075】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第1の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示す回路ブロック図
【図2】同じく主要部を示す回路図
【図3】同じく高圧放電ランプの正面図
【図4】同じくワイヤバルブの拡大側面図
【図5】同じく回路部分の実装配置図
【図6】同じく高圧放電ランプのランプ電圧波形図
【図7】同じくフルブリッジ形インバータの駆動信号、可制御直流電源の駆動信号およびサンプリング信号の波形図
【図8】本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第2の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示す高圧放電ランプのランプ電圧波形図
【図9】同じくサンプリングのフローチャート
【図10】本発明の照明装置における第1の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す背面側斜視図
【図11】本発明の照明装置における第2の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図
【図12】本発明の照明装置における第3の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図
【符号の説明】
BT…バッテリー、BUT…昇圧チョッパ、CC…制御手段、CDC…可制御直流電源段、HINV…フルブリッジ形インバータ、HPDL…高圧放電ランプ、IG…イグナイタ、SC…平滑コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電圧を交流電圧に変換して得た交流電圧により付勢される高圧放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧放電ランプを電子化された点灯装置を用いて点灯する場合、直流電圧をフルブリッジ形インバータにより交流電圧に変換して高圧放電ランプに印加する。そして、高圧放電ランプを所望の電力で点灯させるためにランプ電圧およびランプ電圧の少なくとも一方を検出し、さらに検出信号から制御信号を形成して、当該制御信号を用いて直流電源から出力される直流電圧を所望に制御するように構成している。
【0003】
ランプ電圧またはランプ電流を検出して直流電圧を制御するための制御信号を形成する場合、ランプ電圧またはランプ電流を積分回路により平均化した値として検出するのが従来一般的であった。上記の構成においては、ランプ電圧またはランプ電流の立ち上がり時に生じる過渡現象の部分も平均値に含まれる。したがって、安定状態のランプ電圧またはランプ電流のみを検出して正確な帰還制御を行ったり、過渡現象のみを検出して例えば高圧放電ランプの寿命判定を行ったりすることができない。
【0004】
これに対して、フルブリッジ形インバータの極性反転に同期して反転初期の過渡現象部分をマスクして過渡現象以外の期間のランプ電圧を検出するようにした構成が提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1ににおいては、従来においては昇圧チョッパ回路の平滑回路にチョークコイルを挿入して過渡電圧発生を抑制する必要があったが、特許文献1の発明によれば、チョークコイルを用いる必要がなくなる旨記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−321388号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1のように過渡現象の部分をマスクする構成の場合、安定時のランプ電圧を検出することはできるが、過渡現象部分をマスクしてしまうために、ランプ電圧の過渡現象部分を利用して、高精度で、しかも迅速な直流電圧の制御を行ったり、また過渡現象部分を検出して高圧放電ランプの寿命判定をも行うなど多様な制御を行ったりするといったことができない。したがって、特許文献1に記載された構成では、柔軟性がないという問題がある。
【0006】
本発明は、ランプ電圧および/またはランプ電流の極性反転に伴う過渡現象部分および安定部分をサンプリングして可制御直流電源の直流電圧出力を高精度に制御するとともに寿命判定を可能にした高圧放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記に加えて所望により高圧放電ランプの寿命判定を可能にした高圧放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧放電ランプ点灯装置は、可制御直流電源と;可制御直流電源から出力される直流電圧を交流電圧に変換するフルブリッジ形インバータと;フルブリッジ形インバータから出力される交流電圧の印加により付勢されて点灯する高圧放電ランプと;点灯時の高圧放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングし、可制御直流電源に供給することにより可制御直流電源の出力を制御する制御手段と;を具備していることを特徴としている。
【0009】
本発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0010】
<可制御直流電源について> 可制御直流電源は、後述するフルブリッジ形インバータに対して交流に変換されるべき直流電力を所要値の電圧で、かつ、安定に供給するとともに、フルブリッジ形インバータの交流出力電力、したがって高圧放電ランプに投入される交流電力を調節するための手段である。また、可制御直流電源は、商用交流電源などの交流電源から得た整流化直流電源、バッテリー電源などの直流電源と、DC−DCコンバータとで構成することができる。なお、DC−DCコンバータは、その構成態様を選ばないが、例えばチョッパ機能を有するスイッチングレギュレータなどが所要値の電圧で、かつ、可変直流電力を安定して得るのに有益なので、好適である。チョッパ機能を有するスイッチングレギュレータとしては、昇圧チョッパまたは降圧チョッパなどを用いることができる。
【0011】
また、可制御直流電源に付設する上記のDC−DCコンバータは、フルブリッジ形インバータの駆動周波数に比較して高い周波数、例えば50k〜100kHz、好適には70〜80kHzで駆動される。このため、ランプ電圧またはランプ電流のサンプリングの際にDC−DCコンバータの駆動と同期させることが可能となる。
【0012】
<フルブリッジ形インバータについて> フルブリッジ形インバータは、直流を交流に変換するDC−ACコンバータの一種であり、矩形波の交流電圧を出力する場合に好適な手段である。そして、出力された交流電圧は、点灯維持用電圧として後述する高圧放電ランプの一対の電極間に印加される。高圧放電ランプに印加する交流電圧の波形は、矩形波であると音響的共鳴現象を抑制するのに好適であることは既知である。
【0013】
また、負特性を有する高圧放電ランプを安定に点灯するには限流インピーダンス手段が必要であるが、限流インピーダンス手段は、フルブリッジ形インバータの出力側および入力側のいずれに挿入されていてもよい。例えば、可制御直流電源としてスイッチングレギュレータを用いる場合、構成要素の一部であるインダクタがスイッチングにより限流作用をも担当するので、見かけ上の限流インピーダンス手段を省略することができる。したがって、このような構成の場合、限流インピーダンス手段は、フルブリッジ形インバータの入力側に挿入されていることになる。
【0014】
さらに、フルブリッジ形インバータは、高圧放電ランプの安定点灯時において、音響的共鳴現象の発生を回避するために比較的低い周波数、例えば比較的小形の高圧放電ランプの場合には一般的には100〜1000Hz、好適には300〜500Hzの範囲である。周波数が1000Hzを超えると、一般的には音響的共鳴現象が発生しやすくなるので、注意しなければならない。しかし、500Hz以下であれば、実際上音響的共鳴現象の問題はなくなる。また、周波数が100Hz未満になると、交流電圧の極性の切り換えによる放電電流の反転に伴って高圧放電ランプの明るさの変化がちらつきとして人の眼に感じられやすくなるので、好ましくない。しかし、周波数が300Hz以上であれば、全く問題がない。
【0015】
しかし、点灯直後から安定点灯に至るまでの間は、さらに低い周波数または直流を出力するように特別な制御を行うことができる。例えば、点灯直後には直流点灯または数Hzで駆動したり、点灯直後に1〜数10Hzでその後徐々に周波数を増加するように駆動したりすることができる。なお、点灯直後の低周波は、安定点灯時の周波数に比較して低いことを意味し、一般的には100Hz未満、好ましくは1以上、かつ、100Hz未満、より好適には5〜25Hzの範囲である。すなわち、高圧金属蒸気放電ランプの室温以下の低温状態での始動時において、周波数が100Hz以下であれば、電極における放電の起点がほぼ安定するし、始動時の電極物質のスパッタリングによる電極の偏減りが実際上問題にならなくなる。しかし、25Hz以下であれば、より一層放電が安定しやすくなる。また、始動時の周波数は、放電の安定の観点からすれば、1Hz未満であっても問題ないが、実際上制御手段の回路設計の難度が増すとともに電極のスパッタリングによる片減りに対する不安がある。このため、始動時の周波数の下限は、1Hz以上であるのが好ましい。さらに、周波数が5Hz以上であれば、回路設計も容易になる。したがって、5〜25Hzの範囲が好適である。
【0016】
本発明において、始動時の上述した相対的な低周波から安定点灯時の上述した相対的な高周波に至るまでの周波数の変化は、断続的または連続して行われるように構成することができる。なお、フルブリッジ形インバータの動作周波数の制御は、後述する制御手段により行われるように構成することができる。しかし、要すれば、後述する制御手段とは別の制御回路により制御するように構成することもできる。
【0017】
<高圧放電ランプについて> 本発明において用いることのできる高圧放電ランプは、金属蒸気またはガスを主体とする放電媒体の高圧放電(超高圧放電を含む。)により発光する高圧放電ランプである。金属蒸気を主体とする放電媒体を封入したメタルハライドランプからなる高圧放電ランプとしては、放電媒体に水銀を含むいわゆる水銀入りランプと、水銀に代えて第2のハロゲン化物を含むいわゆる水銀フリーランプとが実用的であり、本発明に用いる高圧放電ランプは、そのいずれであってもよい。
【0018】
しかしながら、水銀フリーランプは、点灯直後の金属蒸気圧が水銀入りランプのそれに比較して低いので、点灯直後に安定時のランプ電流に対して数倍のランプ電流を数秒間継続して通流させ、その後徐々に安定時のランプ電流へ低減していくような制御を必要する。そして、この間の制御を適切に行うためには、ランプ電圧およびランプ電流の少なくとも一方を高い精度で検出し、その検出信号に基づいて制御信号を作成して迅速な制御を行う必要があるので、本発明は、水銀フリーランプを点灯するのに好適である。以下、水銀フリーランプにおける放電媒体ついて説明する。
【0019】
水銀フリーランプにおける放電媒体は、希ガスならびに第1および第2の金属ハロゲン化物であり、本質的に水銀が封入されていない。「本質的に水銀が封入されていない」とは、水銀を全く封入していないだけでなく、気密容器の内容積1cc当たり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀が存在していることを許容するという意味である。しかし、水銀を全く封入しないことは環境上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって放電ランプの電気特性を維持する場合、電極間距離が比較的小さくて小形の高圧金属蒸気放電ランプにおいては、気密容器の内容積1cc当たり20〜40mg、さらに場合によっては50mg以上封入していたことからすれば、水銀量が実質的に少ないといえる。
【0020】
希ガスは、キセノンを主体とするのが好適である。希ガスを封入している理由は、始動ガスとして作用するとともに、点灯直後の光量の立ち上がりを早め、さらに安定点灯中のバッファガスとして作用させるためである。このために、希ガスは、高い圧力、例えば一般的には5〜20気圧、好適には8〜16気圧で封入されている。この範囲であれば、点灯直後4秒までの光量の立ち上がりを早めて自動車用前照灯装置に必要なその前面の代表点での光度8000cdを容易に得ることができる。
【0021】
車両用前照灯に用いるのに好適な白色発光のための第1の金属ハロゲン化物としては、例えばナトリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属、例えばジスプロシウムDyなどからなるグリープの中から選択された少なくとも1種、好適には2種を含む発光金属のハロゲン化物を用いることができる。また、ナトリウムNa、スカンジウムScおよびインジウムIのハロゲン化物を発光金属のハロゲン化物として封入することもできる。
【0022】
第2の金属ハロゲン化物は、ランプ電圧形成ようの放電媒体である。この金属ハロゲン化物は、蒸気圧が相対的に高くて、かつ、可視域における発光が相対的に少ない金属のハロゲン化物からなる。第2の金属ハロゲン化物に用いる金属としては、例えばマグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfからなるグループの中から選択された1種または複数種の金属を用いることができる。また、上記の金属、例えば亜鉛Znに加えてインジウムInを添加することができる。
【0023】
以上説明したように、水銀フリーランプは、その放電媒体として従来の水銀に代えて第2の金属ハロゲン化物を封入しているため、定格ランプ電力の2.2〜3倍の大きいランプ電力で点灯を開始すると、暫くして第1および第2の金属ハロゲン化物が急激に蒸発する。そして、その際に格別の制御を行わない場合、光出力が著しく大きくて、しかも急激に増大するという特性を有している。
【0024】
<制御手段について> 制御手段は、点灯時の高圧放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成し、可制御直流電源に供給することにより可制御直流電源の出力を制御する手段である。なお、「ランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方」とは、ランプ電圧またはランプ電流のみ、またはランプ電圧およびランプ電流の両方についてサンプリングすることができるという意味である。
【0025】
過渡現象部分を含めてサンプリングするには、ランプ電圧またはランプ電流の立ち上がりから少なくともランプ電圧またはランプ電流が安定するまで、あるいは所望によりランプ電圧またはランプ電流の立ち下りまで、連続的にサンプリングを行えるように構成するのがよい。例えば、ランプ電圧またはランプ電流の立ち上がりからランプ電圧またはランプ電流の立ち下りまでをサンプリング期間としてその間サンプリングを可能にするとともに、サンプリングデータからそれらの変化を監視して安定するまでの間サンプリングを継続するように構成することができる。そして、安定時に得たサンプリングデータに基づいて制御信号を形成することができる。なお、ランプ電圧またはランプ電流の安定時以外のサンプリングをも行った場合において、制御信号の形成に関しては、安定時以外のサンプリングデータを切り捨てるように構成することができる。しかし、要すれば、ランプ電圧またはランプ電流の過渡現象部分とランプ電圧またはランプ電流の安定時とをサンプリングするように構成することも許容される。
【0026】
また、上記の構成に代えて極性反転に伴う過渡現象部分を検出した時にタイマ動作を開始するようにタイマを配設して、所定時間経過したときのタイマの時限動作によりサンプリングを開始するように構成することができる。これによりランプ電圧またはランプ電流が安定する時間帯になったときからサンプリングを行うようにすることができる。
【0027】
制御信号は、可制御直流電源の出力電圧を所要に制御するために用いられる。この制御により高圧放電ランプに投入されるランプ電力を制御することが可能になる。このような制御のために、制御信号は、制御手段に内蔵されるテーブルデータとサンプリング値から認識されたランプ電圧またはランプ電流とを比較してその差に基づいて形成されるように構成することができる。
【0028】
一方、ランプ電圧またはランプ電流の過渡現象部分のサンプリングは、適当な時定数、好ましくは150μ秒以下、より好適には100μs以下の時定数を有するフィルタを用いることにより容易に検出することができる。また、過渡現象部分のサンプリング値は、これをサンプリングのタイミングを決定する信号として利用することができる。例えば、ランプ電圧またはランプ電流の過渡現象を検出に基づいてタイマを作動させ、サンプリング値を得るためのサンプリングを開始するように構成することができる。なお、タイマは、例えば4ms以内で所望の時間をサンプリング期間として設定可能にすることができる。
【0029】
また、過渡現象部分のサンプリング値は、これの変化を継続して監視するなどにより、高圧放電ランプの寿命を判定することが可能になる。さらに、フルブリッジ形インバータの出力の半周期ごとに、過渡現象部分を含む極性反転直後とその後の極性反転直前の2回にわたりサンプリングを行うことにより、検出精度を高めることもできる。
【0030】
さらに、制御手段は、以上説明した可制御直流電源の出力直流電圧の制御を行うのに加えて、所望により以下の制御を行うように構成することが許容される。1.(始動1周期後のランプ電流増加制御について) 始動1周期後にインバータの出力電流すなわち高圧放電ランプのランプ電流を数m秒または約10Hz程度の間だけ若干増加するように制御手段を構成する。これにより、電極のスパッタリングによる電極の消耗および放電容器の管壁の黒化を抑制するとともに、アークの立ち消えを防止するのに効果的である。
2.(光量の立ち上がりを早くする制御について) 高圧放電ランプをその光量の立ち上がりが早くなるように点灯させる場合、始動時すなわち点灯開始時に定格ランプ電力より大きな電力すなわち最大電力を投入し、その後光量の立ち上がりに伴って順次低減していき、やがて定格ランプ電力に到達させて始動後約1分間程度の間までに安定点灯状態に移行する。この場合、点灯開始から安定点灯までの経過を時間で区分すれば、最大電力を投入する第1の時間帯およびランプ電力を順次低減する第2の時間帯に大別することができる。なお、以下に定義する水銀フリーランプの場合、第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発する時間帯が介在する。すなわち、「水銀フリーランプ」とは、メタルハライドランプにおいて、発光金属のハロゲン化物に加えて主としてランプ電圧を形成するために、従来は水銀を封入しているランプ(以下、便宜上「水銀入りランプ」という。)であったが、近時、主として車両用前照灯として開発されたもので、水銀に代えて比較的蒸気圧が高い例えば亜鉛Znなどの金属ハロゲン化物を封入した高圧放電ランプをいう。
【0031】
(第1の時間帯における制御について) 第1の時間帯は、始動時の制御が行われる。始動時の制御は、文字どおり高圧金属蒸気放電ランプの始動時すなわち点灯開始時に行う制御であって、許容最低照度までの光量の立ち上がりを早くするのが主な目的である。このために、最大電力を投入する。水銀フリーランプにおいて、最大電力は、定格ランプ電力の約2倍の電力に設定するのが一般的である。これに対して、水銀フリーランプにおいては、最大電力を定格ランプ電力の2.0〜3倍の範囲で適当な値のランプ電力を設定するのが好ましい。すなわち、定格ランプ電力が35Wの場合、70〜105W程度の範囲で高圧金属蒸気放電ランプを点灯させるのがよい。始動時は、主として希ガスであるキセノンによる放電が生起していて、そのガス圧がほぼ一定ないし徐々に上昇する程度であるから、定電流点灯の場合、投入されるランプ電力はほぼ一定となる。また、始動時の制御により高圧金属蒸気放電ランプは、希ガスの放電によって定格点灯時における光出力の約50%程度の光出力を生じる。なお、始動時の制御すなわち最大電力を投入する制御が行なわれる時間は、一般的には1〜5秒程度、好適には2〜4秒程度である。実際には、水銀入りランプと水銀フリーランプとで異なる。前者の場合、始動時の最大電力投入時間は、1〜2秒程度であるが、後者の場合は、2〜5秒程度である。
【0032】
(第2の時間帯における制御について) 第2の時間帯における制御は、定格ランプ電力へ落ち着かせるためにランプ電力を順次低減する制御である。この時間帯は、始動後1分間程度の間である。
【0033】
(金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御について) 水銀フリーランプにおいては、上述した第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときが存在する。このときには以下説明する制御を行うのが好ましい。すなわち、金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御は、ランプ電力を絞り込んで金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくなくて、しかも、急激に増大することのないようにするのが重要である。しかし、ランプ電力の絞込みのタイミングが早すぎて、金属ハロゲン化物が急激に蒸発する前に大きく絞り込むと、光出力が安定時のそれより大幅に低下してしまうので、絞込みのタイミングまたは絞込みの程度を適切に行う必要がある。なお、金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに「光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくない」とは、安定時の光出力の2倍、好適には1.5倍を超えない範囲をいう。
【0034】
<本発明の作用について> 本発明においては、制御手段が前述の構成を備えているので、以下に示す作用とそれに伴う効果を奏する。
【0035】
極性反転に伴う過渡現象部分を含めてランプ電圧またはランプ電流をサンプリングし、過渡現象部分を含む立ち上がり時からサンプリングを開始して、ランプ電圧またはランプ電流が安定した時のサンプリング値を用いて制御信号を作成することができるので、可制御直流電源を迅速に、かつ、高精度で制御することができ、またランプ電圧またはランプ電流の安定が早いほど制御が早くなる。
【0036】
サンプリングした全てのサンプリング値を用いることなく、ランプ電圧またはランプ電流の安定時のサンプリング値のみを用いてその他のサンプリング値を切り捨てることにより、可制御直流電源を迅速に、かつ、高精度で制御することができる。
【0037】
極性反転に伴う過渡現象部分を検出した時にサンプリングを開始し、タイマにより予め設定された時間の経過後にサンプリングを開始するように構成することにより、サンプリング時間を短縮して、演算速度を向上させることができる。
【0038】
サンプリングした過渡現象部分を監視することにより、高圧放電ランプの寿命を判定することができる。この場合、フルブリッジ形インバータ出力の半周期ごとの極性反転直後と反転直前と2回サンプリングを行い、それぞれの検出値を比較することにより、高圧放電ランプの作動状態の判定がより一層正確に行うことができる。
【0039】
サンプリングタイミングを可制御直流電源の駆動と同期させることにより、過渡現象を安定して検出することができる。
【0040】
請求項2の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0041】
本発明において、「照明装置」とは、高圧放電ランプの発光を利用するあらゆる装置を含む広い概念であり、したがって自動車用前照灯、照明器具、液晶プロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタなどの光投射装置、表示装置および光ファイバー照明装置などであることを許容する。もちろん、照明器具は屋内用および屋外用のいずれであってもよい。
【0042】
自動車用前照灯の場合、前照灯本体の背面における高圧放電ランプ装着部の開閉扉の部分にイグナイタを内蔵した高圧放電ランプ点灯装置を取り付けるとともに、要すれば高圧放電ランプのソケットを高圧放電ランプ点灯装置の前面に一体的に配設することができる。また、所望により反射鏡を高圧放電ランプ点灯装置の前面側に固定することもできる。しかし、ランプソケットまたは/および反射鏡を高圧放電ランプ点灯装置とは別に前照灯本体の内部に収納してもよい。また、高圧放電ランプ点灯装置の外面に放熱フィンを一体的に形成することができる。しかし、放熱フィンは、これを高圧放電ランプ点灯装置の収納容器の外面に配設することができる。上記のいずれかの構成を具備することにより、高圧放電ランプ点灯装置の放熱を促進することができる。
【0043】
そうして、高圧放電ランプ点灯装置を前照灯本体の開閉蓋の部分に取り付けたことにより、イグナイタと高圧放電ランプとの間を接続して高電圧パルスが印加される高圧絶縁電線を最短距離にすることができるとともに、使用中に高圧絶縁電線が外部に露出するのを回避することができる。
【0044】
また、高圧放電ランプ点灯装置の前面側にランプソケットまたは/および反射鏡を配設することにより、開閉蓋を外側へ開放すれば、高圧放電ランプまたは/および反射鏡の交換を容易に行うことができる。
【0045】
そうして、本発明においては、請求項1の発明におけるのと同様な作用、効果を奏する照明装置を得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0047】
図1ないし図7は、本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第1の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示し、図1は回路ブロック図、図2は主要部を示す回路図、図3は高圧放電ランプの正面図、図4はワイヤバルブの拡大側面図、図5は回路部分の実装配置図、図6は高圧放電ランプのランプ電圧波形図、図7はフルブリッジ形インバータの駆動信号、可制御直流電源の駆動信号およびサンプリング信号の波形図である。
【0048】
図1ないし図5において、高圧放電ランプ点灯装置は、可制御直流電源CDC、フルブリッジ形インバータHINV、高圧放電ランプHPDL、制御手段CCおよびイグナイタIGを具備している
<可制御直流電源CDC> 可制御直流電源CDCは、バッテリーBT、平滑コンデンサSCおよび昇圧チョッパBUTからなる。バッテリーBT、平滑コンデンサSCおよび昇圧チョッパBUTの入力端は、互いに並列接続している。バッテリーBTは、自動車の12Vバッテリーからなる。平滑コンデンサSCは、バッテリーBTの出力電圧に脈動的な変動があっても平滑化された直流電圧を昇圧チョッパBUTに供給する。昇圧チョッパBUTは、平滑化されたバッテリーBTの出力電圧を入力して、高圧放電ランプHPDLの点灯に必要な電圧まで昇圧した直流電圧を出力する。また、後述する制御手段CCにより制御されて直流出力電圧の制御と安定化作用を行う。
【0049】
<フルブリッジ形インバータHINV> フルブリッジ形インバータHINVは、可制御直流電源CDCから出力される直流電圧を入力して交流電圧に変換して、高圧放電ランプHPDLの一対の電極間に印加する。また、フルブリッジ形インバータHINVは、図2に示すように、4個のMOSFETQ1〜Q4をフルブリッジ接続してなり、その直流入力端が可制御直流電源CDCの直流出力端に接続している。また、4個のMOSFETQ1〜Q4に対してゲートドライブ回路GDCが配設されている。そして、ゲートドライブ回路GDCは、一方の対角関係にある一対のMOSFETQ1、Q3に対して直接ゲートドライブ信号を供給するが、他方の対角関係にある一対のMOSFETQ2、Q4に対してはNOT回路NCを介してゲートドライブ信号を供給する。したがって、MOSFETQ1、Q3とMOSFETQ2、Q4は、互いに位相が180°ずれたゲートドライブ信号によって交互にスイッチングを行う。なお、ゲートドライブ回路GDCは、後述する制御手段CCから送出される矩形波の制御信号に同期してゲートドライブ信号を発生する。また、MOSFETQ1〜Q4のドレイン−ソース間にダイオードDが逆並列接続しているが、これはMOSFETQ1〜Q4の寄生容量である。
【0050】
<高圧放電ランプHPDL> 高圧放電ランプHPDLは、図3および図4に示す構造を備えている。すなわち、高圧放電ランプHPDLは、発光管IT、外管OT、遮光膜SF、絶縁チューブITおよび口金Bを備えている。
【0051】
発光管ITは、図4に示すように、気密容器1、放電媒体、封着金属箔2、一対の電極3、3および外部導入線4を備えて構成されている。気密容器1は、包囲部1a、一対の封止部1b、1bおよび封止管1dにより構成されている。包囲部1aは、外形が紡錘形状に成形されてなり、内部に軸方向に細長いほぼ円柱状の放電空間1cが形成されている。一対の封止部1b、1bは、包囲部1aの両端に一体に形成されている。封止管1dは、図4において左側の封止部1bの外端に連続して形成されている。封着金属箔2は、リボン状のモリブデン箔からなり、減圧封止法およびピンチシール法の併用により気密容器1の一対の封止部1b、1bの内部に気密に埋設されている。
【0052】
また、一対の電極3、3は、軸部3aが直棒状をなし、かつ、アークの起点となる先端部3bが気密容器1の包囲部1aの内部に離間対向して配設され、中間部が封止部1bに緩く支持され、さらに基端が封着金属箔2に溶接されている。そして、電極間距離5mm以下になっている。外部導入線4は、先端が封着金属箔2の他端に溶接されて、気密容器1の封止部1bから外部へ導出されている。包囲部1a内には、放電媒体として発光金属およびランプ電圧形成用の金属のハロゲン化物およびキセノンが封入されている。
【0053】
外管OTは、紫外線カット性能を備えており、内部に発光管ITを収納していて、先端側の縮径部5が発光管ITの封止部1a1の図に示す位置にガラス溶着している。また、他方の縮径部6は、封止管1dにガラス溶着して支持されている。しかし、外管OTの内部は気密ではなく、外気に連通している。
【0054】
絶縁チューブTは、電流導入導体4を被覆している。
【0055】
口金Bは、自動車前照灯用として規格化されているもので、放電容器ITおよび外管OTを中心軸に沿って植立して支持していて、自動車前照灯の背面に着脱可能に装着されるように構成されている。また、口金Bは、その前面から管軸方向に突出して外管OTの基端部を包持する支持バンド7を備えている。
【0056】
(高圧放電ランプの仕様例)
気密容器1 :石英ガラス製で、外径7mm、内径2.7mm、包囲部の長さ7.0mm
電極3 :タングステン製で、軸部の直径0.35mm、電極間距離4.2mm、突出長1.4mm
放電媒体
金属ハロゲン化物:ScI3−NaI−ZnI2−InBr=0.4mg
キセノン :25℃で10気圧
電気特性 :ランプ電力35W、ランプ電圧42V(いずれも安定時)
<制御手段CC> 制御手段CCは、図2に示すように、ランプ電圧検出回路VLD、ランプ電流検出回路ILD、駆動制御回路DCCおよび記憶演算回路MACからなる。そして、点灯時の高圧放電ランプHPDLのランプ電圧およびランプ電流を、それらの極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成し、可制御直流電源CDCに供給することにより可制御直流電源CDCの出力を制御する。また、図1に示すように、フルブリッジ形インバータHINVおよびイグナイタIGをも制御するとともに、高圧放電ランプHPDLの寿命判定を行う。すなわち、フルブリッジ形インバータHINVに対しては、高圧放電ランプHPDLの点灯開始時すなわち始動時から安定点灯時までの駆動周波数制御を行う。イグナイタIGに対しては点灯開始時に動作制御を行う。
【0057】
次に、可制御直流電源CDCに対する制御信号の形成について説明する。可制御直流電源CDCに対しては、高圧放電ランプHPDLの点灯直後からランプ電圧およびランプ電流をサンプリングしてサンプリング値に基づいて制御信号を形成してこれを供給する。なお、図6はランプ電圧Vlを示し、立ち上がり時に過渡現象部分VTがあるが、当該過渡現象部分VTから立ち下り時までサンプリングが行われる。サンプリングは、図7に示すように、可制御直流電源CDCの駆動信号と同期して行われる。なお、図中(a)はフルブリッジ形インバータHINVの駆動信号、(b)は可制御直流電源CDCの駆動信号、(c)はサンプリング信号である。しかし、制御信号は、記憶演算回路MACにおいて、ランプ電圧およびランプ電流の各周期中のそれらが安定した時点のサンプリング値を用いて形成されて、駆動制御回路DCCを経由して可制御直流電源CDCの駆動信号を制御する。これにより、可制御直流電源CDCの直流電圧出力が適切に変化する。
【0058】
高圧放電ランプHPDLの寿命制御は、ランプ電圧の立ち上がり時の過渡現象部分VTを記憶演算回路MACにおいて監視することにより行われる。すなわち、高圧放電ランプHPDLの寿命末期になると、始動電圧が高くなって過渡現象部分VTが高くなるので、それが所定値を超えた時に寿命と判定される。
【0059】
<イグナイタIG> イグナイタIGは、フルブリッジ形インバータHINVから出力される交流電圧が印加されて作動するとともに、制御手段CCから送出される起動信号に基づいて高電圧パルス電圧を発生して、高圧放電ランプHPDLの一対の電極3、3間に印加することにより一対の電極3、3間の絶縁破壊を行って高圧放電ランプHPDLを始動させる。
【0060】
また、イグナイタIGは、図5に示すように、絶縁性合成樹脂モールドmpの内部に収納されていて、点灯回路LCと一緒に配線基板PBに実装されているが、さらに絶縁性合成樹脂モールドmpの周囲に銅の薄板からなる導電性テープctが巻装されている。導電性テープctを上記のように巻装することにより、優れたシールド作用が生じて、イグナイタIGの内部から高電圧パルスのエネルギーが外部へ放射されるのを効果的に阻止して、点灯回路LCの実装密度を高めることができるので、装置の小形化を図ることができるとともに、しかもイグナイタIGが安価になり、高圧放電ランプ点灯装置全体としてのコストダウンを図ることができる。なお、点灯回路LCは、可制御直流電源CDC、フルブリッジ形インバータHINVおよび制御手段からなる。
【0061】
これに対して、従来は、イグナイタIGの内部から高電圧パルスのエネルギーが外部へ放射されるのを阻止するために、シールドケースを用いてその内部にイグナイタIGを収納したり、イグナイタIGの周囲にシールド板を配置したりしていた。ところが、このような従来構造であると、装置の大形化を招くとともに、コストアップになっていた。
【0062】
図8および図9は、本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第2の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示し、図8は高圧放電ランプのランプ電圧波形図、図9はサンプリングのフローチャートである。図8において、図6と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0063】
本実施の形態は、サンプリングの態様が第1の実施の形態と異なる。すなわち、制御手段CCは、その内部にタイマ(図示しない。)を内蔵し、図8に示すランプ電圧波形の立ち上がり部分の過渡現象部分VTを検出したときに、上記タイマの作動を開始させ、かつ、タイマの時限が時間t1に連続するサンプリング期間t2になったときに、サンプリングを開始するように制御する。なお、タイマは、その時限が0〜4msの間を自由に可変できるものを用いている。また、上記過渡現象部分VTは、100μs以下の時定数を有するフィルタを介してサンプリングを行うように構成されている。
【0064】
そうして、時間幅tのランプ電圧Vlのうち、過渡現象部分VTを検出してから時間t1が経過して時間t2になると、ランプ電圧が安定するので、制御信号を形成するためのサンプリングを開始すれば、速やかに安定したランプ電圧Vlのサンプリング値を得ることができる。なお、サンプリング期間t2は、半周期のランプ電圧波形の時間幅tから最初の時間t1を減算した値である。
【0065】
制御信号を形成するためのサンプリングは、図9に示すフローチャートに示すような手順で行われる。すなわち、上記のようにタイマが作動して時間t1が終了したときから時間t2の間サンプリングが行われる。サンプリングを行い、次にサンプリングにより得たサンプリング値が安定しているか判断され、Yesであれば、そのときのサンプリング値を用いて制御信号が形成される。Noであれば、さらにサンプリング中であるか判断され、サンプリング期間中であれば、再びサンプリングが行われ、上記の手順が繰り返される。サンプリング期間が終了すると、サンプリングは終了される。
【0066】
図10は、本発明の照明装置における第1の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す背面側斜視図である。図において、自動車用前照灯HLは、前照灯装置本体21、高圧放電ランプHPDL、高圧放電ランプ点灯装置OCから構成されている。
【0067】
前照灯本体21は、前面透過パネル21a、リフレクタ21b、21c、ランプソケット21dおよび取付部21eなどから構成されている。前面透過パネル21aは、自動車の外面と合わせた形状をなし、所要の光学的手段たとえばプリズムを備えている。リフレクタ21b、21cは、高圧放電ランプHPDLごとに配設されていて、それぞれに要求される配光特性を得るように構成されている。ランプソケット21dは、高圧放電ランプ点灯装置OCの出力端に接続し、高圧放電ランプHPDLの口金21dに接続する。取付部21eは、前照灯装置本体21を自動車などの車両の所定位置に取り付けるための手段である。
【0068】
高圧放電ランプHPDLは、図3および図4に示すものと同一である。なお、高圧放電ランプHPDLは、前照灯装置本体21のリフレクタ21b、21c内に、その背面から装着されるとともに、背面から外部に露出する口金にランプソケット21dを接続する。そうして、2灯の高圧放電ランプHPDLが前照灯装置本体21に装着されて、4灯式の自動車用前照灯装置HLが構成される。各高圧放電ランプHPDLの発光部は、前照灯装置本体21のリフレクタ21b、21cの焦点にほぼ位置する。
【0069】
高圧放電ランプ点灯装置OCは、その高圧放電ランプHPDLを除いた残余の部分からなり、それぞれ図1に示す構成を備えていて、金属製容器22内に収納されているとともに、高圧放電ランプHPDLを付勢して点灯させる。
【0070】
以下、図11および図12を参照して本発明の照明装置のその他の実施の形態について説明する。なお、各図において、図10と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0071】
図11は、本発明の照明装置における第2の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図である。本実施の形態においては、高圧放電ランプ点灯装置OCを内部に収納した金属製容器22を前照灯装置本体21の背面に配設された開閉扉に配設するとともに、金属製容器22の前面にランプソケット21dおよびリフレクタ21bを装着している。なお、符号23はバッテリーに接続する電源リード線である。
【0072】
図12は、本発明の照明装置における第3の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図である。本実施の形態においては、図11に示す第2の実施の形態との対比において、ランプソケット21dおよびリフレクタ21bを金属製容器22の前面から離間させて前照灯装置本体21の内部に配置している。ランプソケット21dと高圧放電ランプ点灯装置OCとの間を接続する高圧ケーブル24は、前照灯装置本体21の内部に配設される。
【0073】
そうして、上記の第2および第3の実施の形態においては、いずれも高電圧パルスが印加される高圧ケーブルが外部に露出しない。
【0074】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、制御手段が点灯時の高圧放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成するので、可制御直流電源の直流電圧出力を高精度に制御するとともに寿命判定を可能にした高圧放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0075】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第1の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示す回路ブロック図
【図2】同じく主要部を示す回路図
【図3】同じく高圧放電ランプの正面図
【図4】同じくワイヤバルブの拡大側面図
【図5】同じく回路部分の実装配置図
【図6】同じく高圧放電ランプのランプ電圧波形図
【図7】同じくフルブリッジ形インバータの駆動信号、可制御直流電源の駆動信号およびサンプリング信号の波形図
【図8】本発明の高圧放電ランプ点灯装置における第2の実施の形態としての自動車前照灯用の高圧放電ランプ点灯装置を示す高圧放電ランプのランプ電圧波形図
【図9】同じくサンプリングのフローチャート
【図10】本発明の照明装置における第1の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す背面側斜視図
【図11】本発明の照明装置における第2の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図
【図12】本発明の照明装置における第3の実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す概念図
【符号の説明】
BT…バッテリー、BUT…昇圧チョッパ、CC…制御手段、CDC…可制御直流電源段、HINV…フルブリッジ形インバータ、HPDL…高圧放電ランプ、IG…イグナイタ、SC…平滑コンデンサ
Claims (2)
- 可制御直流電源と;
可制御直流電源から出力される直流電圧を交流電圧に変換するフルブリッジ形インバータと;
フルブリッジ形インバータから出力される交流電圧の印加により付勢されて点灯する高圧放電ランプと;
点灯時の高圧放電ランプのランプ電圧およびランプ電流の少なくともいずれか一方を、その極性反転時の過渡現象部分を含めてサンプリングして制御信号を形成し、可制御直流電源に供給することにより可制御直流電源の出力を制御する制御手段と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 照明装置本体と;
照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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EP1809081A2 (en) * | 2006-01-13 | 2007-07-18 | Ushiodenki Kabushiki Kaisha | Discharge lamp ignition device and projector |
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2003
- 2003-08-25 JP JP2003208561A patent/JP2005071630A/ja active Pending
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