JP2004265714A - 高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置および照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】始動時から始動後へ移行する間に放電が不安定になるのを防止した高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置は、直流電源DCと、直流電源DCの出力端に直流入力端が接続したインバータDC/ACと、インバータDC/ACの交流出力端に接続した高圧金属蒸気放電ランプHPLと、高圧金属蒸気放電ランプHPLを始動させるイグナイタIGと、インバータDC/ACを高圧金属蒸気放電ランプHPLの始動時には低周波で動作させ、かつ、始動直後から点灯周波数を連続的に高くしていき、安定点灯時には所定の点灯周波数にする制御手段CCとを具備している。
【選択図】図2
【解決手段】高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置は、直流電源DCと、直流電源DCの出力端に直流入力端が接続したインバータDC/ACと、インバータDC/ACの交流出力端に接続した高圧金属蒸気放電ランプHPLと、高圧金属蒸気放電ランプHPLを始動させるイグナイタIGと、インバータDC/ACを高圧金属蒸気放電ランプHPLの始動時には低周波で動作させ、かつ、始動直後から点灯周波数を連続的に高くしていき、安定点灯時には所定の点灯周波数にする制御手段CCとを具備している。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高圧金属蒸気放電ランプを室温以下の低温始動をする際に、電極温度が低いので、放電を安定させるために、インバータを直流運転したり、安定点灯時より低周波で運転したりして、極性反転の時間を遅らせ、始動後に安定点灯時の点灯周波数に戻すように構成された高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置は既知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2882020号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような従来の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置においては、放電を安定させるためには効果的であるが、直流または低周波交流の運転状態から安定点灯時の点灯周波数に切り換える際に、アークが動いて放電が不安定になりやすく、その結果明るさのちらつきの原因になりやすいという問題がある。
【0004】
本発明は、始動時から始動後へ移行する間に放電が不安定になるのを防止した高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置は、高圧金属蒸気放電ランプを付勢するインバータの動作を制御する制御手段が、インバータを高圧金属蒸気放電ランプの始動時には低周波で動作させ、かつ、始動直後から点灯周波数を連続的に高くしていき、安定点灯時には所定の点灯周波数にするように構成されていることによって特徴付けられている。
【0006】
<制御手段について> 制御手段は、少なくとも上記のようにインバータの動作を制御する手段である。すなわち、制御手段により制御されてインバータは、高圧金属蒸気放電ランプの始動時には低周波交流を出力する。このときの「低周波」とは、安定点灯時の周波数に比較して低いことを意味し、一般的には100Hz未満、好ましくは1以上、かつ、100Hz未満、より好適には5〜25Hzの範囲である。すなわち、高圧金属蒸気放電ランプの室温以下の低温状態での始動時において、周波数が100Hz以下であれば、電極における放電の起点がほぼ安定するし、始動時の電極物質のスパッタリングによる電極の偏減りが実際上問題にならなくなる。しかし、25Hz以下であれば、より一層放電が安定しやすくなる。また、始動時の周波数は、放電の安定の観点からすれば、1Hz未満であっても問題ないが、実際上制御手段の回路設計の難度が増すとともに電極のスパッタリングによる片減りに対する不安がある。このため、始動時の周波数の下限は、1Hz以上であるのが好ましい。さらに、周波数が5Hz以上であれば、回路設計も容易になる。したがって、5〜25Hzの範囲が好適である。
【0007】
他方、安定点灯時の周波数は、一般的には100〜1000Hz、好適には300〜500Hzの範囲である。周波数が1000Hzを超えると、一般的には音響的共鳴現象が発生しやすくなるので、注意しなければならない。しかし、500Hz以下であれば、実際上音響的共鳴現象の問題はなくなる。また、周波数が100Hz未満になると、交流電圧の極性の切り換えによる放電電流の反転に伴って高圧金属蒸気放電ランプの明るさの変化がちらつきとして人の眼に感じられやすくなるので、好ましくない。しかし、周波数が300Hz以上であれば、全く問題がない。
【0008】
本発明において、始動時の上述した相対的な低周波から安定点灯時の上述した相対的な高周波に至るまでの周波数の変化は、連続して行われなければならない。しかし、その連続の態様については、直線的に変化する態様および曲線的に変化する態様のいずれであってもよい。
【0009】
次に、インバータの動作周波数を連続的に変化させるための制御手段の構成について説明する。本発明において、インバータの動作周波数を連続的に変化させるための制御手段の具体的な構成は、既知の手段を用いて当業者が容易に構成することができるので、特段限定されない。例えば、インバータを他励式に構成するとともに、インバータのスイッチング素子を駆動するドライブ回路に対して制御信号を供給する低周波発振回路、例えば矩形波発生回路を制御手段内に配設する。そして、低周波発振回路の発振周波数を連続的に変化させるように構成する。発振周波数を連続的に変化させるには、例えばCR発振回路の抵抗Rの部分を電子ボリュームで構成し、電子ボリュームの制御端子に連続的に変化する制御信号を入力するようにすればよい。制御手段にマイクロコンピュータを用いる場合、時間に対する信号出力を任意の変化率で連続的に変化する制御信号を容易に発生することができる。
【0010】
また、制御手段は、以上説明したインバータの動作周波数の制御を行うのに加えて、所望により以下の制御を行うように構成することが許容される。
1.(始動1周期後のランプ電流増加制御について) 始動1周期後にインバータの出力電流すなわち高圧金属蒸気放電ランプのランプ電流を数m秒または約10Hz程度の間だけ若干増加するように制御手段を構成する。これにより、電極のスパッタリングによる電極の消耗および放電容器の管壁の黒化を抑制するとともに、アークの立ち消えを防止するのに効果的である。
2.(光量の立上りを早くする制御について) 高圧金属蒸気放電ランプをその光量の立上りが早くなるように点灯させる場合、始動時すなわち点灯開始時に定格ランプ電力より大きな電力すなわち最大電力を投入し、その後光量の立上りに伴って順次低減していき、やがて定格ランプ電力に到達させて始動後約1分間程度の間までに安定点灯状態に移行する。この場合、点灯開始から安定点灯までの経過を時間で区分すれば、最大電力を投入する第1の時間帯およびランプ電力を順次低減する第2の時間帯に大別することができる。なお、以下に定義する水銀フリーランプの場合、第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発する時間帯が介在する。すなわち、「水銀フリーランプ」とは、メタルハライドランプにおいて、発光金属のハロゲン化物に加えて主としてランプ電圧を形成するために、従来は水銀を封入しているランプ(以下、便宜上「水銀入りランプ」という。)であったが、近時、主として車両用前照灯として開発されたもので、水銀に代えて比較的蒸気圧が高い例えば亜鉛Znなどの金属ハロゲン化物を封入した高圧金属蒸気放電ランプをいう。
【0011】
(第1の時間帯における制御について) 第1の時間帯は、始動時の制御が行われる。始動時の制御は、文字どおり高圧金属蒸気放電ランプの始動時すなわち点灯開始時に行う制御であって、許容最低照度までの光量の立上りを早くするのが主な目的である。このために、最大電力を投入する。水銀フリーランプにおいて、最大電力は、定格ランプ電力の約2倍の電力に設定するのが一般的である。これに対して、水銀フリーランプにおいては、最大電力を定格ランプ電力の2倍より大きくて3倍未満の範囲で適当な値のランプ電力を設定するのが好ましい。すなわち、定格ランプ電力が35Wの場合、76〜110W程度の範囲で高圧金属蒸気放電ランプを点灯させるのがよい。始動時は、主として希ガスであるキセノンによる放電が生起していて、そのガス圧がほぼ一定ないし徐々に上昇する程度であるから、定電流点灯の場合、投入されるランプ電力はほぼ一定となる。また、始動時の制御により高圧金属蒸気放電ランプは、希ガスの放電によって定格点灯時における光出力の約50%程度の光出力を生じる。なお、始動時の制御すなわち最大電力を投入する制御が行なわれる時間は、一般的には1〜5秒程度、好適には2〜4秒程度である。実際には、水銀入りランプと水銀フリーランプとで異なる。前者の場合、始動時の最大電力投入時間は、1〜2秒程度であるが、後者の場合は、2〜5秒程度である。
【0012】
(第2の時間帯における制御について) 第2の時間帯における制御は、定格ランプ電力へ落ち着かせるためにランプ電力を順次低減する制御である。この時間帯は、始動後1分間程度の間である。
【0013】
(金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御について) 水銀フリーランプにおいては、上述した第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときが存在する。このときには以下説明する制御を行うのが好ましい。すなわち、金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御は、ランプ電力を絞り込んで金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくなくて、しかも、急激に増大することのないようにするのが重要である。しかし、ランプ電力の絞込みのタイミングが早すぎて、金属ハロゲン化物が急激に蒸発する前に大きく絞り込むと、光出力が安定時のそれより大幅に低下してしまうので、絞込みのタイミングまたは絞込みの程度を適切に行なう必要がある。なお、金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに「光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくない」とは、安定時の光出力の2倍、好適には1.5倍を超えない範囲をいう。
【0014】
<本発明におけるその他の構成要素について> 本発明におけるその他の構成要素は、直流電源、インバータ、高圧金属蒸気放電ランプおよびイグナイタである。以下、これらの構成要素の態様について説明する。
【0015】
(直流電源について) 直流電源は、後述するインバータに対して交流に変換されるべき直流電力を所要値の電圧で、かつ、安定に供給するための手段である。直流電源は、商用交流電源などの交流電源から得た整流化直流電源、バッテリー電源などその構成態様を選ばない。また、所要値の電圧で、かつ、安定した直流電力を得るために、必要に応じて安定化直流電源を付加することができる。例えば、チョッパ機能を有するスイッチングレギュレータなどをバッテリー電源や整流化直流電源などに付加した構成の直流電源を用いるのが実際的である。なお、チョッパ機能としては、昇圧チョッパまたは降圧チョッパなどを用いることができる。
【0016】
(インバータについて) インバータは、直流を交流に変換するDC−AC間変換手段であり、その動作は前述したように制御手段により制御される。そして、後述する高圧金属蒸気放電ランプに対して交流電力を供給する。高圧金属蒸気放電ランプに印加する交流電圧の波形は、矩形波であると音響的共鳴現象を抑制するのに好適であることは既知であるが、矩形波を発生するにはフルブリッジ形インバータを用いるのがよい。しかし、本発明において、用いるインバータは、所望によりフルブリッジ形インバータだけでなく、ハーフブリッジ形インバータ、一石形インバータなどであってもよい。
【0017】
また、負特性を有する高圧金属蒸気放電ランプを安定に点灯するには限流インピーダンス手段が必要であるが、限流インピーダンス手段は、インバータの出力側および入力側のいずれに挿入されていてもよい。例えば、直流電源電圧値を所望に制御したり、アクティブフィルタ作用をさせたりするために、スイッチングレギュレータを用いる場合、構成要素の一部であるインダクタがスイッチングにより限流作用をも担当するので、見かけ上の限流インピーダンス手段を省略することができる。したがって、このような構成の場合、限流インピーダンス手段は、インバータの入力側に挿入されていることになる。
【0018】
(高圧金属蒸気放電ランプについて) 高圧金属蒸気放電ランプは、その放電媒体の中の金属蒸気の高圧放電により発光する高圧放電ランプである。そして、放電媒体に水銀を含むいわゆる水銀入りランプと、水銀に代えて第2のハロゲン化物を含むいわゆる水銀フリーランプとがあり、本発明に用いる高圧金属蒸気放電ランプは、そのいずれであってもよい。以下、水銀フリーランプにおける放電媒体についてさらに詳細に説明する
水銀フリーランプにおける放電媒体は、希ガスならびに第1および第2の金属ハロゲン化物であり、本質的に水銀が封入されていない。「本質的に水銀が封入されていない」とは、水銀を全く封入していないだけでなく、気密容器の内容積1cc当たり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀が存在していることを許容するという意味である。しかし、水銀を全く封入しないことは環境上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって放電ランプの電気特性を維持する場合、電極間距離が比較的小さくて小形の高圧金属蒸気放電ランプにおいては、気密容器の内容積1cc当たり20〜40mg、さらに場合によっては50mg以上封入していたことからすれば、水銀量が実質的に少ないといえる。
【0019】
希ガスは、好適にはキセノンである。希ガスを封入している理由は、始動ガスとして作用するとともに、点灯直後の光量の立上りを早め、さらに安定点灯中のバッファガスとして作用させるためである。このために、希ガスは、高い圧力、例えば一般的には5〜20気圧、好適には8〜16気圧で封入されている。この範囲であれば、点灯直後4秒までの光量の立上りを早めて自動車用前照灯装置に必要なその前面の代表点での光度8000cdを容易に得ることができる。
【0020】
車両用前照灯に用いるのに好適な白色発光のための第1の金属ハロゲン化物としては、例えばナトリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属、例えばジスプロシウムDyなどからなるグリープの中から選択された少なくとも1種、好適には2種を含む発光金属のハロゲン化物を用いることができる。また、ナトリウムNa、スカンジウムScおよびインジウムIのハロゲン化物を発光金属のハロゲン化物として封入することもできる。
【0021】
第2の金属ハロゲン化物は、ランプ電圧形成ようの放電媒体である。この金属ハロゲン化物は、蒸気圧が相対的に高くて、かつ、可視域における発光が相対的に少ない金属のハロゲン化物からなる。第2の金属ハロゲン化物に用いる金属としては、例えばマグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfからなるグループの中から選択された1種または複数種の金属を用いることができる。
【0022】
以上説明したように、水銀フリーランプは、その放電媒体として従来の水銀に代えて第2の金属ハロゲン化物を封入しているため、定格ランプ電力の2倍より大きいランプ電力で点灯を開始すると、暫くして第1および第2の金属ハロゲン化物が急激に蒸発する。そして、その際に格別の制御を行わない場合、光出力が著しく大きくて、しかも急激に増大するという特性を有している。
【0023】
(高圧金属蒸気放電ランプのその他の構成について)
本発明において点灯する高圧金属蒸気放電ランプにおいて必須要件ではないが、所望により以下の構成を加味することにより、特に車両用前照灯装置の場合に効果的である。
1.(気密容器について) 気密容器は、その内部に放電空間が形成されるとともに、放電空間を包囲する部分の肉厚が比較的大きくて、耐火性で、かつ、透光性の材料たとえば石英ガラス、透光性セラミックスなどからなる。放電空間は、好ましくはほぼ円柱状をなし、軸方向の中央部の肉厚がその両側の肉厚より大きい。
2.(電極について) 電極は、気密容器の両端内部にその一対が対向して封装され、好ましくは電極間距離が5mm以下、好適には4.2±0.6mmになるように設定される。また、始動時に直流点灯を行なうことが許容されるが、一対の電極は、アノードとして作用するときに、定格ランプ電力の約2倍以上のランプ電力が供給された際であっても、例えば電極の先端に軸部より径大の球状部分を形成することにより、これに耐えるように構成することができる。
3.(定格ランプ電力について) 定格ランプ電力は、一般的には250W以下、好ましくは100W以下、最適には60W以下である。また、自動車用前照灯装置に用いる高圧金属蒸気放電ランプの場合においては、一般的には80W以下、好ましくは60W以下、最適には約35W程度である。
4.(外管について) 外管は、内部に放電空間を備えた気密容器を外側から包囲するように配設される透光性容器状手段であり、気密容器から外部へ放射される紫外線を遮断したり、気密容器を保護したりする。外管の内部は、外気に連通していてもよいし、気密になっていてもよい。
【0024】
<本発明の作用について> 本発明においては、制御手段が前述の構成を備えているので、以下に示す作用とそれに伴う効果を奏する。
高圧金属蒸気放電ランプの始動時には、インバータから相対的に低周波の交流電圧が出力されて高圧金属蒸気放電ランプに印加される。そのため、印加電圧の極性反転までの時間が長くなるので、放電の起点が安定する。その結果、明るさのちらつきが生じにくくなる。また、電極物質のスパッタリングが少なくなって電極の消耗や電極物質のスパッタリングに起因する放電容器の黒化の発生が抑制される。さらに、始動時に電極に印加される電圧が交流であるから、始動のたびに陰極として作用する電極が一対の電極の双方に分散される。その結果、電極の偏減りがなくなる。
高圧金属蒸気放電ランプの始動時から安定点灯に至るまで高圧金属蒸気放電ランプに印加される交流電圧の周波数が連続的に変化して安定点灯時の点灯周波数に移行する。そのため、始動から安定点灯に至るまで回路的な切り換えを行う必要がない。したがって、回路的な切り換えを行う際に発生しやすいアークの瞬間的な揺れが生じなくなる。その結果、明るさのちらつきが低減する。
【0025】
請求項2の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0026】
本発明において、「照明装置」とは、高圧放電ランプの発光を利用するあらゆる装置を含む広い概念であり、したがって液晶プロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタなどの光投射装置、自動車用ヘッドライト、照明器具、表示装置および光ファイバー照明装置などであることを許容する。もちろん、照明器具は屋内用および屋外用のいずれであってもよい。
【0027】
そうして、本発明においては、請求項1の発明におけるのと同様な作用、効果を奏する照明装置を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1ないし図4は、本発明の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置における一実施の形態としての自動車前照灯用高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置を示し、図1は回路ブロック図、図2は回路図、図3は高圧金属蒸気放電ランプの主要部を示す正面図、図4は各部の電圧、電流波形図である。各図において、DCは直流電源、Cは平滑コンデンサ、DC/DCはスイッチングレギュレータ、DC/ACはインバータ、IGはイグナイタ、HPLは高圧金属蒸気放電ランプ、CCは制御手段である。
【0030】
直流電源DCは、自動車の12Vバッテリーからなる。
【0031】
平滑コンデンサCは、直流電源DCに並列接続して入力電圧に変動があっても平滑化された直流電圧をスイッチングレギュレータDC/DCに供給する。
【0032】
スイッチングレギュレータDC/DCは、昇圧チョッパを主体として構成されていて、平滑化された直流電圧を入力して、高圧金属蒸気放電ランプHPLの点灯に必要な電圧まで昇圧した直流電圧を出力する。また、後述する制御手段CCと協働して直流出力電圧の安定化作用を行う。
【0033】
インバータDC/ACは、フルブリッジ形インバータからなり、スイッチングレギュレータDC/DCから出力される直流電圧を交流に変換する。このインバータDC/ACは、図2に示すように、4個のMOSFETQ1〜Q4をブリッジ接続してなり、その直流入力端がスイッチングレギュレータDC/ACの直流出力端に接続している。また、4個のMOSFETQ1〜Q4に対してゲートドライブ回路GDCが配設されている。そして、ゲートドライブ回路GDCは、一方の対角関係にある一対のMOSFETQ1、Q3に対して直接ゲートドライブ信号を供給するが、他方の対角関係にある一対のMOSFETQ2、Q4に対してはNOT回路LCを介してゲートドライブ信号を供給する。したがって、MOSFETQ1、Q3とMOSFETQ2、Q4は、互いに位相が180°ずれたゲートドライブ信号によって交互にスイッチングを行う。なお、ゲートドライブ回路GDCは、後述する制御手段CCから送出される矩形波の制御信号に同期してゲートドライブ信号を発生する。また、MOSFETQ1〜Q4のドレイン−ソース間にダイオードDが逆並列接続しているが、これはMOSFETQ1〜Q4の寄生容量である。
【0034】
イグナイタIGは、インバータDC/ACの交流出力を電源として作動するとともに、後述する制御手段CCから送出される起動信号に基づいて作動を開始して、高電圧パルス電圧を発生して、高圧金属蒸気放電ランプHPLの一対の電極3、3間に印加する。
【0035】
高圧金属蒸気放電ランプHPLは、図3に示す構造を備えている。すなわち、高金属蒸気放電ランプHPLは、気密容器1、放電媒体、封着金属箔2、一対の電極3、3および外部導入線4を備えて構成されている。
【0036】
気密容器1は、包囲部1a、および一対の封止部1b、1bにより構成されている。包囲部1aは、中空の紡錘形状に成形されてなり、内部に軸方向に細長い円柱状の放電空間1cが形成されている。一対の封止部1b、1bは、包囲部1aの両端に一体に形成されている。
【0037】
封着金属箔2は、リボン状のモリブデン箔からなり、減圧封止法により気密容器1の一対の封止部1b、1bの内部に気密に埋設されている。
【0038】
一対の電極3、3は、軸部3aが直棒状をなし、かつ、アークの起点となる先端3bが軸部3aの直径の1/2以下の半径の半球状の曲面を電極軸部の先端の全体に形成している。そして、基端部3cが気密容器1の一対の封止部1b、1bに埋設して支持され、先端部側が気密容器1の包囲部1aの両端から放電空間1c内に突出することにより、電極間距離5mm以下になるように対向している。また、一対の電極3、3は、それぞれ基端が封着金属箔2の一端に接続している。
【0039】
外部導入線4は、先端が封着金属箔2の他端に溶接されて、気密容器1の封止部1bから外部へ導出されている。
【0040】
気密容器1a内には、放電媒体として発光金属およびランプ電圧形成用の金属のハロゲン化物およびキセノンが封入されている。
【0041】
<高圧金属蒸気放電ランプの仕様例>
気密容器1 :石英ガラス製で、外径7mm、内径2.7mm、包囲部の長さ7.0mm
電極3 :タングステン製で、軸部の直径0.35mm、アークの起点となる先端の曲面の半径0.175mm、電極間距離4. 2mm、突出長1.4mm
放電媒体
金属ハロゲン化物:ScI3−NaI−ZnI2−InBr=0.4mg
キセノン :25℃で13気圧
電気特性 :ランプ電力35W、ランプ電圧42V(いずれも安定時)
制御手段CCは、ランプ電圧検出手段LVD、ランプ電流検出手段LCD、実ランプ電力演算部LWCおよびその他制御部OCCを備え、スイッチングレギュレータDC/DC、インバータDC/ACおよびイグナイタIGを関連的に制御する。
【0042】
ランプ電圧検出手段LVDは、スイッチングレギュレータDC/DCの直流出力端間に接続された可変抵抗器VRからなり、可変抵抗器VRの出力端に高圧放電ランプHPLのランプ電圧に比例した分電圧が得られる。ランプ電流検出手段LCDは、スイッチングレギュレータDC/DCの直流出力およびインバータDC/ACの直流入力端の間に直列に挿入された抵抗器R1からなり、抵抗器R1の電圧降下がランプ電流に比例する。
【0043】
実ランプ電力演算部LWCは、ランプ電圧検出手段LVDおよびランプ電流検出手段LCDのそれぞれの検出出力に基づいて実ランプ電力を演算する。その他制御部OCCは、予め目標ランプ電力を点灯時間に対するテーブルデータとしてメモリ部分に記憶しており、点灯時間の経過に伴って目標ランプ電力を順次読み出して、実ランプ電力と比較演算し、差分に応じてスイッチングレギュレータDC/DCの出力を増減させることにより、目標ランプ電力に沿ったランプ電力を高圧金属蒸気放電ランプHPLに投入する。なお、実ランプ電力演算部LWCおよびその他制御部OCCは、マイクロコンピュータを主体として一体的に構成されている。
【0044】
また、その他制御部OCCは、直流電源DCの投入によりインバータDC/ACが起動した後において、イグナイタIGを作動開始させる。そうして、イグナイタIGから高電圧パルスが発生すると、高電圧パルスは、高圧金属蒸気放電ランプHPLの一対の電極3、3間に印加される。その結果、高圧金属蒸気放電ランプHPLは、始動すなわち点灯を開始する。
【0045】
さらに、その他制御部OCCは、矩形波発振器を内蔵しているとともに、矩形波発振器の発振周波数に対する制御プログラムを内蔵している。そして、インバータDC/ACのゲートドライブ回路GDCに対して始動時には低周波の矩形波からなる制御信号を送出し、その後制御信号の周波数を連続的に増大させて、やがて安定点灯に到達した際には所定の点灯周波数まで増大した制御信号を送出するように構成されている。
【0046】
さらにまた、その他制御部OCCは、図4(a)に示すように、スイッチングレギュレータDC/DCを制御して、始動の1周期後からランプ電流が順次減流するように構成することができる。あるいは、図4(b)に示すように、スイッチングレギュレータDC/DCを制御して、始動の1周期後から数m秒の間、ランプ電流を若干増加させ、その後減流させるように構成することもできる。なお、VGDは、ゲートドライブ信号であり、上段の波形は一対のMOSFETQ1、Q3に対して供給するゲートドライブ信号、下段の波形は一対のMOSFETQ2、Q4に対して供給するゲートドライブ信号である。
【0047】
図5および図6は、本発明の照明装置における一実施の形態としての自動車用前照灯装置を示し、図5は背面側斜視図、図6は高圧金属蒸気放電ランプを示す正面図である。各図において、11は車両用前照灯装置本体、12は高圧金属蒸気放電ランプ、13A、13Bは高圧放電ランプ点灯装置である。
【0048】
車両用前照灯本体11は、前面透過パネル11a、リフレクタ11b、11c、ランプソケット11dおよび取付部11eなどから構成されている。前面レンズ11aは、自動車の外面と合わせた形状をなし、所要の光学的手段たとえばプリズムを備えている。リフレクタ11b、11cは、各高圧金属蒸気放電ランプ12ごとに配設されていて、それぞれに要求される配光特性を得るように構成されている。ランプソケット11dは、高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置の出力端に接続し、高圧金属蒸気放電ランプ12の口金12dに接続する。取付部11eは、車両用前照灯装置本体11を自動車などの車両の所定の位置に取り付けるための手段である。
【0049】
高圧金属蒸気放電ランプ12は、発光管12a、外管12b、リード線12cおよび口金12dなどから構成されている。発光管12aは、図3に示す構造を備え、一方の端部で口金12dに指示されている。外管12bは、発光管12aの外側を包囲している。リード線12cは、発光管12aの他方の端部から導出され、発光管12aに沿って口金に接続している。なお、12c1は、絶縁チューブである。口金12dは、車両用前照灯装置本体11のリフレクタ11b、11cに、その背面から装着されるとともに、口金12dの背面からランプソケット11dを接続する。そうして、2灯の高圧金属蒸気放電ランプ12が車両用前照灯装置本体11に装着されて、4灯式の車両用前照灯装置が構成される。各高圧金属蒸気放電ランプ12の発光部は、前照灯装置本体11のリフレクタ11b、11cの焦点にほぼ位置する。
【0050】
高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置13A、13Bは、その高圧金属蒸気放電ランプを除いた残余の部分からなり、それぞれ図1に示す構成を備えていて、金属製容器13a内に収納されているとともに、高圧金属蒸気放電ランプ12を付勢して点灯させる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、インバータを高圧金属蒸気放電ランプの始動時には低周波で動作させ、かつ、始動直後から点灯周波数を連続的に高くしていき、安定点灯時には所定の点灯周波数にする制御手段を具備していることにより、始動時から始動後へ移行する間に放電が不安定になるのを防止した高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0052】
請求項2の発明によれば、車両用前照灯装置本体と、車両用前照灯装置本体に配設された請求項1記載の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置とを具備していることにより、請求項1の効果を有する車両用前照灯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置における一実施の形態としての自動車前照灯用高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置を示す回路ブロック図
【図2】同じく回路図
【図3】同じく高圧金属蒸気放電ランプの主要部を示す正面図
【図4】同じく各部の電圧、電流波形図
【図5】本発明の照明装置における一実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す背面側斜視図
【図6】同じく高圧金属蒸気放電ランプを示す正面図
【符号の説明】
DC…直流電源、DC/DC…スイッチングレギュレータ、CC…制御手段、DC/AC…インバータ、IG…イグナイタ、HPL…高圧金属蒸気放電ランプ、VLD…ランプ電圧検出手段、ILD…ランプ電流検出手段、GDC…ゲートドライブ回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高圧金属蒸気放電ランプを室温以下の低温始動をする際に、電極温度が低いので、放電を安定させるために、インバータを直流運転したり、安定点灯時より低周波で運転したりして、極性反転の時間を遅らせ、始動後に安定点灯時の点灯周波数に戻すように構成された高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置は既知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2882020号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような従来の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置においては、放電を安定させるためには効果的であるが、直流または低周波交流の運転状態から安定点灯時の点灯周波数に切り換える際に、アークが動いて放電が不安定になりやすく、その結果明るさのちらつきの原因になりやすいという問題がある。
【0004】
本発明は、始動時から始動後へ移行する間に放電が不安定になるのを防止した高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置およびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置は、高圧金属蒸気放電ランプを付勢するインバータの動作を制御する制御手段が、インバータを高圧金属蒸気放電ランプの始動時には低周波で動作させ、かつ、始動直後から点灯周波数を連続的に高くしていき、安定点灯時には所定の点灯周波数にするように構成されていることによって特徴付けられている。
【0006】
<制御手段について> 制御手段は、少なくとも上記のようにインバータの動作を制御する手段である。すなわち、制御手段により制御されてインバータは、高圧金属蒸気放電ランプの始動時には低周波交流を出力する。このときの「低周波」とは、安定点灯時の周波数に比較して低いことを意味し、一般的には100Hz未満、好ましくは1以上、かつ、100Hz未満、より好適には5〜25Hzの範囲である。すなわち、高圧金属蒸気放電ランプの室温以下の低温状態での始動時において、周波数が100Hz以下であれば、電極における放電の起点がほぼ安定するし、始動時の電極物質のスパッタリングによる電極の偏減りが実際上問題にならなくなる。しかし、25Hz以下であれば、より一層放電が安定しやすくなる。また、始動時の周波数は、放電の安定の観点からすれば、1Hz未満であっても問題ないが、実際上制御手段の回路設計の難度が増すとともに電極のスパッタリングによる片減りに対する不安がある。このため、始動時の周波数の下限は、1Hz以上であるのが好ましい。さらに、周波数が5Hz以上であれば、回路設計も容易になる。したがって、5〜25Hzの範囲が好適である。
【0007】
他方、安定点灯時の周波数は、一般的には100〜1000Hz、好適には300〜500Hzの範囲である。周波数が1000Hzを超えると、一般的には音響的共鳴現象が発生しやすくなるので、注意しなければならない。しかし、500Hz以下であれば、実際上音響的共鳴現象の問題はなくなる。また、周波数が100Hz未満になると、交流電圧の極性の切り換えによる放電電流の反転に伴って高圧金属蒸気放電ランプの明るさの変化がちらつきとして人の眼に感じられやすくなるので、好ましくない。しかし、周波数が300Hz以上であれば、全く問題がない。
【0008】
本発明において、始動時の上述した相対的な低周波から安定点灯時の上述した相対的な高周波に至るまでの周波数の変化は、連続して行われなければならない。しかし、その連続の態様については、直線的に変化する態様および曲線的に変化する態様のいずれであってもよい。
【0009】
次に、インバータの動作周波数を連続的に変化させるための制御手段の構成について説明する。本発明において、インバータの動作周波数を連続的に変化させるための制御手段の具体的な構成は、既知の手段を用いて当業者が容易に構成することができるので、特段限定されない。例えば、インバータを他励式に構成するとともに、インバータのスイッチング素子を駆動するドライブ回路に対して制御信号を供給する低周波発振回路、例えば矩形波発生回路を制御手段内に配設する。そして、低周波発振回路の発振周波数を連続的に変化させるように構成する。発振周波数を連続的に変化させるには、例えばCR発振回路の抵抗Rの部分を電子ボリュームで構成し、電子ボリュームの制御端子に連続的に変化する制御信号を入力するようにすればよい。制御手段にマイクロコンピュータを用いる場合、時間に対する信号出力を任意の変化率で連続的に変化する制御信号を容易に発生することができる。
【0010】
また、制御手段は、以上説明したインバータの動作周波数の制御を行うのに加えて、所望により以下の制御を行うように構成することが許容される。
1.(始動1周期後のランプ電流増加制御について) 始動1周期後にインバータの出力電流すなわち高圧金属蒸気放電ランプのランプ電流を数m秒または約10Hz程度の間だけ若干増加するように制御手段を構成する。これにより、電極のスパッタリングによる電極の消耗および放電容器の管壁の黒化を抑制するとともに、アークの立ち消えを防止するのに効果的である。
2.(光量の立上りを早くする制御について) 高圧金属蒸気放電ランプをその光量の立上りが早くなるように点灯させる場合、始動時すなわち点灯開始時に定格ランプ電力より大きな電力すなわち最大電力を投入し、その後光量の立上りに伴って順次低減していき、やがて定格ランプ電力に到達させて始動後約1分間程度の間までに安定点灯状態に移行する。この場合、点灯開始から安定点灯までの経過を時間で区分すれば、最大電力を投入する第1の時間帯およびランプ電力を順次低減する第2の時間帯に大別することができる。なお、以下に定義する水銀フリーランプの場合、第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発する時間帯が介在する。すなわち、「水銀フリーランプ」とは、メタルハライドランプにおいて、発光金属のハロゲン化物に加えて主としてランプ電圧を形成するために、従来は水銀を封入しているランプ(以下、便宜上「水銀入りランプ」という。)であったが、近時、主として車両用前照灯として開発されたもので、水銀に代えて比較的蒸気圧が高い例えば亜鉛Znなどの金属ハロゲン化物を封入した高圧金属蒸気放電ランプをいう。
【0011】
(第1の時間帯における制御について) 第1の時間帯は、始動時の制御が行われる。始動時の制御は、文字どおり高圧金属蒸気放電ランプの始動時すなわち点灯開始時に行う制御であって、許容最低照度までの光量の立上りを早くするのが主な目的である。このために、最大電力を投入する。水銀フリーランプにおいて、最大電力は、定格ランプ電力の約2倍の電力に設定するのが一般的である。これに対して、水銀フリーランプにおいては、最大電力を定格ランプ電力の2倍より大きくて3倍未満の範囲で適当な値のランプ電力を設定するのが好ましい。すなわち、定格ランプ電力が35Wの場合、76〜110W程度の範囲で高圧金属蒸気放電ランプを点灯させるのがよい。始動時は、主として希ガスであるキセノンによる放電が生起していて、そのガス圧がほぼ一定ないし徐々に上昇する程度であるから、定電流点灯の場合、投入されるランプ電力はほぼ一定となる。また、始動時の制御により高圧金属蒸気放電ランプは、希ガスの放電によって定格点灯時における光出力の約50%程度の光出力を生じる。なお、始動時の制御すなわち最大電力を投入する制御が行なわれる時間は、一般的には1〜5秒程度、好適には2〜4秒程度である。実際には、水銀入りランプと水銀フリーランプとで異なる。前者の場合、始動時の最大電力投入時間は、1〜2秒程度であるが、後者の場合は、2〜5秒程度である。
【0012】
(第2の時間帯における制御について) 第2の時間帯における制御は、定格ランプ電力へ落ち着かせるためにランプ電力を順次低減する制御である。この時間帯は、始動後1分間程度の間である。
【0013】
(金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御について) 水銀フリーランプにおいては、上述した第1の時間帯と第2の時間帯の間に金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときが存在する。このときには以下説明する制御を行うのが好ましい。すなわち、金属ハロゲン化物が急激に蒸発するときの制御は、ランプ電力を絞り込んで金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくなくて、しかも、急激に増大することのないようにするのが重要である。しかし、ランプ電力の絞込みのタイミングが早すぎて、金属ハロゲン化物が急激に蒸発する前に大きく絞り込むと、光出力が安定時のそれより大幅に低下してしまうので、絞込みのタイミングまたは絞込みの程度を適切に行なう必要がある。なお、金属ハロゲン化物が急激に蒸発したときに「光出力が安定時のそれに比較して著しく大きくない」とは、安定時の光出力の2倍、好適には1.5倍を超えない範囲をいう。
【0014】
<本発明におけるその他の構成要素について> 本発明におけるその他の構成要素は、直流電源、インバータ、高圧金属蒸気放電ランプおよびイグナイタである。以下、これらの構成要素の態様について説明する。
【0015】
(直流電源について) 直流電源は、後述するインバータに対して交流に変換されるべき直流電力を所要値の電圧で、かつ、安定に供給するための手段である。直流電源は、商用交流電源などの交流電源から得た整流化直流電源、バッテリー電源などその構成態様を選ばない。また、所要値の電圧で、かつ、安定した直流電力を得るために、必要に応じて安定化直流電源を付加することができる。例えば、チョッパ機能を有するスイッチングレギュレータなどをバッテリー電源や整流化直流電源などに付加した構成の直流電源を用いるのが実際的である。なお、チョッパ機能としては、昇圧チョッパまたは降圧チョッパなどを用いることができる。
【0016】
(インバータについて) インバータは、直流を交流に変換するDC−AC間変換手段であり、その動作は前述したように制御手段により制御される。そして、後述する高圧金属蒸気放電ランプに対して交流電力を供給する。高圧金属蒸気放電ランプに印加する交流電圧の波形は、矩形波であると音響的共鳴現象を抑制するのに好適であることは既知であるが、矩形波を発生するにはフルブリッジ形インバータを用いるのがよい。しかし、本発明において、用いるインバータは、所望によりフルブリッジ形インバータだけでなく、ハーフブリッジ形インバータ、一石形インバータなどであってもよい。
【0017】
また、負特性を有する高圧金属蒸気放電ランプを安定に点灯するには限流インピーダンス手段が必要であるが、限流インピーダンス手段は、インバータの出力側および入力側のいずれに挿入されていてもよい。例えば、直流電源電圧値を所望に制御したり、アクティブフィルタ作用をさせたりするために、スイッチングレギュレータを用いる場合、構成要素の一部であるインダクタがスイッチングにより限流作用をも担当するので、見かけ上の限流インピーダンス手段を省略することができる。したがって、このような構成の場合、限流インピーダンス手段は、インバータの入力側に挿入されていることになる。
【0018】
(高圧金属蒸気放電ランプについて) 高圧金属蒸気放電ランプは、その放電媒体の中の金属蒸気の高圧放電により発光する高圧放電ランプである。そして、放電媒体に水銀を含むいわゆる水銀入りランプと、水銀に代えて第2のハロゲン化物を含むいわゆる水銀フリーランプとがあり、本発明に用いる高圧金属蒸気放電ランプは、そのいずれであってもよい。以下、水銀フリーランプにおける放電媒体についてさらに詳細に説明する
水銀フリーランプにおける放電媒体は、希ガスならびに第1および第2の金属ハロゲン化物であり、本質的に水銀が封入されていない。「本質的に水銀が封入されていない」とは、水銀を全く封入していないだけでなく、気密容器の内容積1cc当たり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀が存在していることを許容するという意味である。しかし、水銀を全く封入しないことは環境上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって放電ランプの電気特性を維持する場合、電極間距離が比較的小さくて小形の高圧金属蒸気放電ランプにおいては、気密容器の内容積1cc当たり20〜40mg、さらに場合によっては50mg以上封入していたことからすれば、水銀量が実質的に少ないといえる。
【0019】
希ガスは、好適にはキセノンである。希ガスを封入している理由は、始動ガスとして作用するとともに、点灯直後の光量の立上りを早め、さらに安定点灯中のバッファガスとして作用させるためである。このために、希ガスは、高い圧力、例えば一般的には5〜20気圧、好適には8〜16気圧で封入されている。この範囲であれば、点灯直後4秒までの光量の立上りを早めて自動車用前照灯装置に必要なその前面の代表点での光度8000cdを容易に得ることができる。
【0020】
車両用前照灯に用いるのに好適な白色発光のための第1の金属ハロゲン化物としては、例えばナトリウムNa、スカンジウムScおよび希土類金属、例えばジスプロシウムDyなどからなるグリープの中から選択された少なくとも1種、好適には2種を含む発光金属のハロゲン化物を用いることができる。また、ナトリウムNa、スカンジウムScおよびインジウムIのハロゲン化物を発光金属のハロゲン化物として封入することもできる。
【0021】
第2の金属ハロゲン化物は、ランプ電圧形成ようの放電媒体である。この金属ハロゲン化物は、蒸気圧が相対的に高くて、かつ、可視域における発光が相対的に少ない金属のハロゲン化物からなる。第2の金属ハロゲン化物に用いる金属としては、例えばマグネシウムMg、鉄Fe、コバルトCo、クロムCr、亜鉛Zn、ニッケルNi、マンガンMn、アルミニウムAl、アンチモンSb、ベリリウムBe、レニウムRe、ガリウムGa、チタンTi、ジルコニウムZrおよびハフニウムHfからなるグループの中から選択された1種または複数種の金属を用いることができる。
【0022】
以上説明したように、水銀フリーランプは、その放電媒体として従来の水銀に代えて第2の金属ハロゲン化物を封入しているため、定格ランプ電力の2倍より大きいランプ電力で点灯を開始すると、暫くして第1および第2の金属ハロゲン化物が急激に蒸発する。そして、その際に格別の制御を行わない場合、光出力が著しく大きくて、しかも急激に増大するという特性を有している。
【0023】
(高圧金属蒸気放電ランプのその他の構成について)
本発明において点灯する高圧金属蒸気放電ランプにおいて必須要件ではないが、所望により以下の構成を加味することにより、特に車両用前照灯装置の場合に効果的である。
1.(気密容器について) 気密容器は、その内部に放電空間が形成されるとともに、放電空間を包囲する部分の肉厚が比較的大きくて、耐火性で、かつ、透光性の材料たとえば石英ガラス、透光性セラミックスなどからなる。放電空間は、好ましくはほぼ円柱状をなし、軸方向の中央部の肉厚がその両側の肉厚より大きい。
2.(電極について) 電極は、気密容器の両端内部にその一対が対向して封装され、好ましくは電極間距離が5mm以下、好適には4.2±0.6mmになるように設定される。また、始動時に直流点灯を行なうことが許容されるが、一対の電極は、アノードとして作用するときに、定格ランプ電力の約2倍以上のランプ電力が供給された際であっても、例えば電極の先端に軸部より径大の球状部分を形成することにより、これに耐えるように構成することができる。
3.(定格ランプ電力について) 定格ランプ電力は、一般的には250W以下、好ましくは100W以下、最適には60W以下である。また、自動車用前照灯装置に用いる高圧金属蒸気放電ランプの場合においては、一般的には80W以下、好ましくは60W以下、最適には約35W程度である。
4.(外管について) 外管は、内部に放電空間を備えた気密容器を外側から包囲するように配設される透光性容器状手段であり、気密容器から外部へ放射される紫外線を遮断したり、気密容器を保護したりする。外管の内部は、外気に連通していてもよいし、気密になっていてもよい。
【0024】
<本発明の作用について> 本発明においては、制御手段が前述の構成を備えているので、以下に示す作用とそれに伴う効果を奏する。
高圧金属蒸気放電ランプの始動時には、インバータから相対的に低周波の交流電圧が出力されて高圧金属蒸気放電ランプに印加される。そのため、印加電圧の極性反転までの時間が長くなるので、放電の起点が安定する。その結果、明るさのちらつきが生じにくくなる。また、電極物質のスパッタリングが少なくなって電極の消耗や電極物質のスパッタリングに起因する放電容器の黒化の発生が抑制される。さらに、始動時に電極に印加される電圧が交流であるから、始動のたびに陰極として作用する電極が一対の電極の双方に分散される。その結果、電極の偏減りがなくなる。
高圧金属蒸気放電ランプの始動時から安定点灯に至るまで高圧金属蒸気放電ランプに印加される交流電圧の周波数が連続的に変化して安定点灯時の点灯周波数に移行する。そのため、始動から安定点灯に至るまで回路的な切り換えを行う必要がない。したがって、回路的な切り換えを行う際に発生しやすいアークの瞬間的な揺れが生じなくなる。その結果、明るさのちらつきが低減する。
【0025】
請求項2の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0026】
本発明において、「照明装置」とは、高圧放電ランプの発光を利用するあらゆる装置を含む広い概念であり、したがって液晶プロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタなどの光投射装置、自動車用ヘッドライト、照明器具、表示装置および光ファイバー照明装置などであることを許容する。もちろん、照明器具は屋内用および屋外用のいずれであってもよい。
【0027】
そうして、本発明においては、請求項1の発明におけるのと同様な作用、効果を奏する照明装置を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1ないし図4は、本発明の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置における一実施の形態としての自動車前照灯用高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置を示し、図1は回路ブロック図、図2は回路図、図3は高圧金属蒸気放電ランプの主要部を示す正面図、図4は各部の電圧、電流波形図である。各図において、DCは直流電源、Cは平滑コンデンサ、DC/DCはスイッチングレギュレータ、DC/ACはインバータ、IGはイグナイタ、HPLは高圧金属蒸気放電ランプ、CCは制御手段である。
【0030】
直流電源DCは、自動車の12Vバッテリーからなる。
【0031】
平滑コンデンサCは、直流電源DCに並列接続して入力電圧に変動があっても平滑化された直流電圧をスイッチングレギュレータDC/DCに供給する。
【0032】
スイッチングレギュレータDC/DCは、昇圧チョッパを主体として構成されていて、平滑化された直流電圧を入力して、高圧金属蒸気放電ランプHPLの点灯に必要な電圧まで昇圧した直流電圧を出力する。また、後述する制御手段CCと協働して直流出力電圧の安定化作用を行う。
【0033】
インバータDC/ACは、フルブリッジ形インバータからなり、スイッチングレギュレータDC/DCから出力される直流電圧を交流に変換する。このインバータDC/ACは、図2に示すように、4個のMOSFETQ1〜Q4をブリッジ接続してなり、その直流入力端がスイッチングレギュレータDC/ACの直流出力端に接続している。また、4個のMOSFETQ1〜Q4に対してゲートドライブ回路GDCが配設されている。そして、ゲートドライブ回路GDCは、一方の対角関係にある一対のMOSFETQ1、Q3に対して直接ゲートドライブ信号を供給するが、他方の対角関係にある一対のMOSFETQ2、Q4に対してはNOT回路LCを介してゲートドライブ信号を供給する。したがって、MOSFETQ1、Q3とMOSFETQ2、Q4は、互いに位相が180°ずれたゲートドライブ信号によって交互にスイッチングを行う。なお、ゲートドライブ回路GDCは、後述する制御手段CCから送出される矩形波の制御信号に同期してゲートドライブ信号を発生する。また、MOSFETQ1〜Q4のドレイン−ソース間にダイオードDが逆並列接続しているが、これはMOSFETQ1〜Q4の寄生容量である。
【0034】
イグナイタIGは、インバータDC/ACの交流出力を電源として作動するとともに、後述する制御手段CCから送出される起動信号に基づいて作動を開始して、高電圧パルス電圧を発生して、高圧金属蒸気放電ランプHPLの一対の電極3、3間に印加する。
【0035】
高圧金属蒸気放電ランプHPLは、図3に示す構造を備えている。すなわち、高金属蒸気放電ランプHPLは、気密容器1、放電媒体、封着金属箔2、一対の電極3、3および外部導入線4を備えて構成されている。
【0036】
気密容器1は、包囲部1a、および一対の封止部1b、1bにより構成されている。包囲部1aは、中空の紡錘形状に成形されてなり、内部に軸方向に細長い円柱状の放電空間1cが形成されている。一対の封止部1b、1bは、包囲部1aの両端に一体に形成されている。
【0037】
封着金属箔2は、リボン状のモリブデン箔からなり、減圧封止法により気密容器1の一対の封止部1b、1bの内部に気密に埋設されている。
【0038】
一対の電極3、3は、軸部3aが直棒状をなし、かつ、アークの起点となる先端3bが軸部3aの直径の1/2以下の半径の半球状の曲面を電極軸部の先端の全体に形成している。そして、基端部3cが気密容器1の一対の封止部1b、1bに埋設して支持され、先端部側が気密容器1の包囲部1aの両端から放電空間1c内に突出することにより、電極間距離5mm以下になるように対向している。また、一対の電極3、3は、それぞれ基端が封着金属箔2の一端に接続している。
【0039】
外部導入線4は、先端が封着金属箔2の他端に溶接されて、気密容器1の封止部1bから外部へ導出されている。
【0040】
気密容器1a内には、放電媒体として発光金属およびランプ電圧形成用の金属のハロゲン化物およびキセノンが封入されている。
【0041】
<高圧金属蒸気放電ランプの仕様例>
気密容器1 :石英ガラス製で、外径7mm、内径2.7mm、包囲部の長さ7.0mm
電極3 :タングステン製で、軸部の直径0.35mm、アークの起点となる先端の曲面の半径0.175mm、電極間距離4. 2mm、突出長1.4mm
放電媒体
金属ハロゲン化物:ScI3−NaI−ZnI2−InBr=0.4mg
キセノン :25℃で13気圧
電気特性 :ランプ電力35W、ランプ電圧42V(いずれも安定時)
制御手段CCは、ランプ電圧検出手段LVD、ランプ電流検出手段LCD、実ランプ電力演算部LWCおよびその他制御部OCCを備え、スイッチングレギュレータDC/DC、インバータDC/ACおよびイグナイタIGを関連的に制御する。
【0042】
ランプ電圧検出手段LVDは、スイッチングレギュレータDC/DCの直流出力端間に接続された可変抵抗器VRからなり、可変抵抗器VRの出力端に高圧放電ランプHPLのランプ電圧に比例した分電圧が得られる。ランプ電流検出手段LCDは、スイッチングレギュレータDC/DCの直流出力およびインバータDC/ACの直流入力端の間に直列に挿入された抵抗器R1からなり、抵抗器R1の電圧降下がランプ電流に比例する。
【0043】
実ランプ電力演算部LWCは、ランプ電圧検出手段LVDおよびランプ電流検出手段LCDのそれぞれの検出出力に基づいて実ランプ電力を演算する。その他制御部OCCは、予め目標ランプ電力を点灯時間に対するテーブルデータとしてメモリ部分に記憶しており、点灯時間の経過に伴って目標ランプ電力を順次読み出して、実ランプ電力と比較演算し、差分に応じてスイッチングレギュレータDC/DCの出力を増減させることにより、目標ランプ電力に沿ったランプ電力を高圧金属蒸気放電ランプHPLに投入する。なお、実ランプ電力演算部LWCおよびその他制御部OCCは、マイクロコンピュータを主体として一体的に構成されている。
【0044】
また、その他制御部OCCは、直流電源DCの投入によりインバータDC/ACが起動した後において、イグナイタIGを作動開始させる。そうして、イグナイタIGから高電圧パルスが発生すると、高電圧パルスは、高圧金属蒸気放電ランプHPLの一対の電極3、3間に印加される。その結果、高圧金属蒸気放電ランプHPLは、始動すなわち点灯を開始する。
【0045】
さらに、その他制御部OCCは、矩形波発振器を内蔵しているとともに、矩形波発振器の発振周波数に対する制御プログラムを内蔵している。そして、インバータDC/ACのゲートドライブ回路GDCに対して始動時には低周波の矩形波からなる制御信号を送出し、その後制御信号の周波数を連続的に増大させて、やがて安定点灯に到達した際には所定の点灯周波数まで増大した制御信号を送出するように構成されている。
【0046】
さらにまた、その他制御部OCCは、図4(a)に示すように、スイッチングレギュレータDC/DCを制御して、始動の1周期後からランプ電流が順次減流するように構成することができる。あるいは、図4(b)に示すように、スイッチングレギュレータDC/DCを制御して、始動の1周期後から数m秒の間、ランプ電流を若干増加させ、その後減流させるように構成することもできる。なお、VGDは、ゲートドライブ信号であり、上段の波形は一対のMOSFETQ1、Q3に対して供給するゲートドライブ信号、下段の波形は一対のMOSFETQ2、Q4に対して供給するゲートドライブ信号である。
【0047】
図5および図6は、本発明の照明装置における一実施の形態としての自動車用前照灯装置を示し、図5は背面側斜視図、図6は高圧金属蒸気放電ランプを示す正面図である。各図において、11は車両用前照灯装置本体、12は高圧金属蒸気放電ランプ、13A、13Bは高圧放電ランプ点灯装置である。
【0048】
車両用前照灯本体11は、前面透過パネル11a、リフレクタ11b、11c、ランプソケット11dおよび取付部11eなどから構成されている。前面レンズ11aは、自動車の外面と合わせた形状をなし、所要の光学的手段たとえばプリズムを備えている。リフレクタ11b、11cは、各高圧金属蒸気放電ランプ12ごとに配設されていて、それぞれに要求される配光特性を得るように構成されている。ランプソケット11dは、高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置の出力端に接続し、高圧金属蒸気放電ランプ12の口金12dに接続する。取付部11eは、車両用前照灯装置本体11を自動車などの車両の所定の位置に取り付けるための手段である。
【0049】
高圧金属蒸気放電ランプ12は、発光管12a、外管12b、リード線12cおよび口金12dなどから構成されている。発光管12aは、図3に示す構造を備え、一方の端部で口金12dに指示されている。外管12bは、発光管12aの外側を包囲している。リード線12cは、発光管12aの他方の端部から導出され、発光管12aに沿って口金に接続している。なお、12c1は、絶縁チューブである。口金12dは、車両用前照灯装置本体11のリフレクタ11b、11cに、その背面から装着されるとともに、口金12dの背面からランプソケット11dを接続する。そうして、2灯の高圧金属蒸気放電ランプ12が車両用前照灯装置本体11に装着されて、4灯式の車両用前照灯装置が構成される。各高圧金属蒸気放電ランプ12の発光部は、前照灯装置本体11のリフレクタ11b、11cの焦点にほぼ位置する。
【0050】
高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置13A、13Bは、その高圧金属蒸気放電ランプを除いた残余の部分からなり、それぞれ図1に示す構成を備えていて、金属製容器13a内に収納されているとともに、高圧金属蒸気放電ランプ12を付勢して点灯させる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、インバータを高圧金属蒸気放電ランプの始動時には低周波で動作させ、かつ、始動直後から点灯周波数を連続的に高くしていき、安定点灯時には所定の点灯周波数にする制御手段を具備していることにより、始動時から始動後へ移行する間に放電が不安定になるのを防止した高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0052】
請求項2の発明によれば、車両用前照灯装置本体と、車両用前照灯装置本体に配設された請求項1記載の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置とを具備していることにより、請求項1の効果を有する車両用前照灯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置における一実施の形態としての自動車前照灯用高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置を示す回路ブロック図
【図2】同じく回路図
【図3】同じく高圧金属蒸気放電ランプの主要部を示す正面図
【図4】同じく各部の電圧、電流波形図
【図5】本発明の照明装置における一実施の形態としての自動車用前照灯装置を示す背面側斜視図
【図6】同じく高圧金属蒸気放電ランプを示す正面図
【符号の説明】
DC…直流電源、DC/DC…スイッチングレギュレータ、CC…制御手段、DC/AC…インバータ、IG…イグナイタ、HPL…高圧金属蒸気放電ランプ、VLD…ランプ電圧検出手段、ILD…ランプ電流検出手段、GDC…ゲートドライブ回路
Claims (2)
- 直流電源と;
直流電源の出力端に直流入力端が接続したインバータと;
インバータの交流出力端に接続した高圧金属蒸気放電ランプと;
高圧金属蒸気放電ランプを始動させるイグナイタと;
インバータを高圧金属蒸気放電ランプの始動時には低周波で動作させ、かつ、始動直後から点灯周波数を連続的に高くしていき、安定点灯時には所定の点灯周波数にする制御手段と;
を具備していることを特徴とする高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置。 - 照明装置本体と;
照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧金属蒸気放電ランプ点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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