JP4438617B2 - 高圧放電ランプ用給電装置 - Google Patents
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Description
給電装置は、スイッチング素子Qxを有するチョッパー回路1と、コイルLxやコンデンサCxを含む平滑回路2と、点灯始動用スタータ回路3、スイッチング素子Qxを駆動する制御回路4より構成される。
制御回路4は、放電ランプ10の点灯電圧や点灯電流は、抵抗R1、R2、R3によって検出して、点灯電力を換算して求めるともに、基準電力値と比較してスイッチング素子Qxをフィードバック制御する。
チョッパー回路1において制御された電流は、平滑回路2において直流出力となり放電ランプ10に供給される。
ここで、グロー放電状態が存在する時間は、点灯条件などにより種々変化するものであり、数マイクロ秒で終わる場合もあれば数十ミリ秒あるいはそれ以上継続する場合もある。
また、グロー放電状態から速やかにアーク放電状態に移行させるために、コンデンサCxと並列に小容量のコンデンサを設ける技術も、例えば、特許第3188873号などに存在する。
この状態から放電ランプを点灯始動させると、電極に付着した水銀を起点としてアーク放電が生じやすくなる。このアーク放電は、前記した熱によるアーク放電とは異なり、一時的な特殊なアーク放電といえるもので、電極に付着している水銀が蒸発して枯渇すると消えてしまうという不安定なものである。
つまり、通常の放電ランプであれば、点灯始動(絶縁破壊)後にグロー放電状態を経てアーク放電状態へと移行するが、封入水銀量の大きい放電ランプにあっては、グロー放電状態において、一時的に上記特殊アークという状態を経験するわけである。
このように特殊アークを生じると、放電ランプを安定に点灯させることができず、点灯初期の段階で消灯(立ち消え)してしまう。
また、別の構成として、スイッチング素子を含むチョッパー回路と、このチョッパー回路の出力端に接続された少なくとも一つの平滑用コンデンサと電圧検出用抵抗を含む平滑回路と、チョッパー回路のスイッチング素子を駆動するフィードバック系制御回路と、点灯始動時に高電圧パルスを発生するスタータ回路とを有しており、前記平滑回路の出力端に、交流電流を生成するフルブリッジ回路が接続されるとともに、このフルブリッジ回路を構成するスイッチング素子の少なくとも1つに、抵抗と第二スイッチ素子の直列回路が並列に接続されるとともに、スタータ回路と高圧放電ランプの直列回路と並列にコンデンサが接続されており、前記抵抗と第二スイッチ素子の直列回路は、スタータ回路とコンデンサと高圧放電ランプから形成される閉回路の外に接続される構成において、前記制御回路は、少なくとも点灯始動時において、前記第二スイッチ素子をオンするとともに、放電ランプが安定した後は前記第二スイッチ素子がオフすることを特徴とする。
給電装置はチョッパー回路1、平滑回路2、起動器であるスタータ回路3、制御回路4より構成される。給電装置と放電ランプ10により点灯装置が構成される。
チョッパ−回路1は、スイッチング素子Qxと、スイッチング素子Qxを制御する駆動回路Gxと、ダイオードDxを有し、直流電源Vdcからの直流電流を所定のスイッチング周期に対応した電流値に変換する。平滑回路2の出力端に直列に抵抗Rxと第二スイッチ素子SW(以下、単に「スイッチ素子」ともいう)の並列回路が接続される。
平滑回路2は、チョッパ−回路1の出力を平滑するもので、コイルLx、コンデンサCxを有する。
スタータ回路3はイグナイタトランスTr1を有し、放電ランプ10の点灯始動時に高電圧パルスを発生する。
抵抗R1、R2、R3は、放電ランプ10の点灯電圧、点灯電流を検出するもので、抵抗R1、R2より点灯電圧を検出して、抵抗R3より点灯電流を検出する。
放電ランプ10は、後述するが、封入水銀量が0.15mg/mm3以上である。
また、図4と比較して、スイッチング素子Qxがマイナスラインに接続されているが、回路機能上相違するものではない。
まず、スタータ回路3により、トランスTr11に高電圧パルスを発生させると、放電ランプ10の電極間がブレークダウンして放電が開始する。高電圧パルスは数値例をあげると数KV〜数十KV程度である。
絶縁破壊後の放電ランプはグロー放電状態であるが、一時的に特殊アーク放電を生ずる。
ここで、グロー放電のときはランプ電圧が高く、アーク放電のときはランプ電圧は低くなる。つまり、一時的に特殊アーク放電が生じてグロー放電状態に戻ると、ランプ電圧は低い状態から高い状態へと変化する。この変化はきわめて短い時間で発生することから制御回路4を介したフィードバック系制御では追随できず、これが原因となって、放電ランプが立ち消えとなってしまう。数値で一例を示すと、ランプ電圧が上昇した場にフィードバック系制御で反応できる時間は、200μ秒程度であり、一方、放電ランプの立ち消えを防止するには、少なくとも100μ秒以内における反応を必要とする。
すなわち、特殊アーク放電が生じることなく、急激な電圧変化が生じていないときは主にスイッチング素子Qxを介して電流供給を行うとともに、急激な電圧変化が生じたときには高い電圧にチャージされた平滑コンデンサCxの電荷を抵抗Rxを介してランプに電流供給を行うわけである。
スイッチ素子SWは、MOSFET、バイポーラトランジスタ、リレーなどスイッチ機能を有する素子であれば、とくに限定することなく採用できる。
また、抵抗Rxは、始動性向上のために接続されており、たとえば、90オーム程度のものが採用される。
前記したように、封入水銀量が0.15mg/mm3以上という放電ランプにあっては、点灯始動させる際に電極に水銀が付着していることが多い。そして、この水銀を起点として放電が発生したならば、その瞬間はグロー放電というよりはアーク放電(これを便宜上、「特殊アーク」と称している)に近い状態となる。
しかも、電極に付着している水銀が、特殊アークの起点となった場合は、比較的短時間で水銀は蒸発してしまう。この際、次の放電アークが別の水銀(電極の他の部位に付着している水銀)から生じるか、あるいは陰極からの放電にうまく遷移してくれれば放電を維持することが可能となるが、いずれからも良好に継続できない場合は、放電ランプは立ち消えとなる。
従って、グロー放電から特殊アーク、あるいは特殊アークからグロー放電に変化する場合、電極間電圧はケタ違いに変化していることとなる。
フルブリッジ回路5は、ブリッジ状に接続されたトランジスタやFETからなるスイッチング素子Q1〜Q4と、スイッチング素子Q1〜Q4の駆動回路G1〜G4から構成される。スイッチング素子Q1〜Q4の切替により交流矩形波電流を放電ランプ10に対して供給する。
点灯始動時に直流を流し、その後、交流点灯に移行するタイプの例で説明する。
フルブリッジ回路5は、ブリッジ状に接続されたトランジスタやFETからなるスイッチング素子Q1〜Q4と、スイッチング素子Q1〜Q4の駆動回路G1〜G4から構成される。スイッチング素子Q1〜Q4の切替により交流矩形波電流を放電ランプ10に対して供給する。具体的には、例えば点灯始動時にはスイッチング素子Q1,Q4のペアをオンにし、Q2,Q3のペアをオフにして、スイッチング素子Q1→トランスTr11→放電ランプ10→抵抗Rx→スイッチング素子Q4の経路で電流を流す。放電ランプ安定時には、スイッチング素子Q1,Q4のペアと、Q2,Q3のペアを交互にオン・オフして、スイッチング素子Q1→トランスTr11→放電ランプ10→スイッチ素子SW→スイッチング素子Q4の経路で流れる電流と、スイッチング素子Q3→スイッチ素子SW→放電ランプ10→トランスTr11→スイッチング素子Q2の経路で流れる電流とを交互に生成する。
抵抗Rxとスイッチ素子SWの機能は前記と同様である。
放電ランプ10は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された概略球形の発光部11を有し、この発光部11には、一対の電極20が互いに対向して配置する。また、発光部11の両端部から伸びるよう封止部12が形成され、これらの封止部12内には、通常モリブデンよりなる導電用金属箔13が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されている。一対の電極20は軸部が、金属箔13に溶接されて電気的に接続され、また、金属箔13の他端には、外部に突出する外部リード14が溶接されている。
水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長400〜700nmという放射光を得るためのもので、0.15mg/mm3以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時150気圧以上で極めて高い蒸気圧となる。また、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧200気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の放電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクター装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入され、点灯始動性を改善するためのものである。
ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入され、ハロゲンの封入量は、10−6〜10−2μmol/mm3の範囲から選択される。その機能はハロゲンサイクルを利用した長寿命化も存在するが、本発明の放電ランプのように極めて小型で高い内圧を有するものは、このようなハロゲンを封入することが放電容器の失透防止を主目的としている。
なお、直流点灯用の放電ランプの場合は、電極20は陰極と陽極で異なる形状、体積のものとなる。
また、この種の放電ランプは、小型化するプロジェクター装置に内蔵されるものであり、装置の全体寸法が極めて小型化される一方で高い光量が要求されることから、発光管部内の熱的影響は極めて厳しいものとなり、ランプの管壁負荷値は0.8〜2.0W/mm2、具体的には1.3W/mm2となる。
このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することがプロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載された場合に、演色性の良い放射光を提供することができる。
図2の回路がフルブリッジ回路5の出力端に直列に、抵抗Rxとスイッチ素子SWの並列回路を接続しているのに対し、図5は平滑回路とフルブリッジの間に直列に抵抗Rxとスイッチ素子SWの並列回路が接続されている点で相違している。いずれも抵抗Rxとスイッチ素子SWの並列回路がランプ10と直列接続される点では同様であり、抵抗Rxとスイッチ素子SWの機能も同様である。
しかしながら、インダクタンスが小さくなると、コンデンサCxの容量を小さくしたとしてもインダクタンスに蓄えられるエネルギーが小さくなり、結果放出エネルギーも小さくなり、始動性を改善することはできなくなり、放電ランプの点灯始動性が低下しかねない。コンデンサは負荷の急激な電圧変化に追従することができず、また、インダクタンスは本来追従機能を有するがインダクタンスを小さくすることで機能は大きく低下するからである。
そして、このような場合において、チョッパー出力に直列すなわちランプ10と直列に抵抗Rxを設けると、コンデンサCxの値如何にかかわらず始動性を確保できる利点を有する。
また、スタータ回路3は、放電ランプ電流経路に高圧トランスを接続する方式に限定されず、放電ランプ10の外面にトリガワイヤを配置し高圧トランスに放電ランプ電流が流れない高圧トランスから放電ランプに始動用高電圧を印加する方式(いわゆる外部トリガ方式)であってもかまわない。
抵抗Rxとして、40Ω、50Ω、60Ω、70Ω、100Ω、200Ω、300Ω、および抵抗Rxをショートした場合(すなわち、抵抗Rxを接続しない従来回路の場合)の各々について放電ランプの点灯状態を確認した。
各実験は、放電ランプが安定に点灯している状態から消灯させて、その後、1分後、1分30秒後、2分後、2分30秒後に放電ランプを再点灯(スタータを起動)させた。
この再点灯起動によって、放電ランプが再点灯できるか否かを測定した。
放電ランプは、図3および段落0022に記載したものであって、定格電力120W、定格電圧75V、定格電流1.6A、電極間距離1.0mmの交流点灯型放電ランプを採用した。また、回路は、図2に示した回路構成を採用し、始動時電流(少なくともスイッチがオフしている間のチョッパー回路出力電流)は1Aとした。
すべての放電ランプは消灯1分後および2分30秒後の再起動により点灯した。消灯後の時間経過が小さいため放電ランプが再起動しやすい状態(アーク放電状態)だからと考えられる。
消灯2分後の再起動について、抵抗Rxをショート(図6の抵抗Rxなしに相当)した場合と、抵抗Rxが40Ω、50Ωの場合はそれぞれ点灯できなかった。しかし、抵抗Rxが60Ω以上の場合は抵抗値にかかわらず点灯することができた。60Ω以上の抵抗Rxを接続することで放電ランプがグロー放電状態であっても再点灯できることを証明している。
消灯2分30秒後の再起動について、抵抗Rxをショートした場合と、抵抗Rxが40Ωの場合は、放電ランプを再点灯できなかった。一方、抵抗Rxが50Ω以上の各々の場合は放電ランプを再点灯することができた。この結果、抵抗Rxを介して流れる電流値が、ある値以上であれば再点灯できることが示される。
なお、図6の電圧とは、始動時電流での抵抗Rxの電圧を意味する。
また、抵抗Rxの印加される電圧値が、上記実験においては50V以上の場合は、より高い確率で放電を維持できることが判明している。
抵抗Rxとスイッチ素子SWの直列回路は、フルブリッジ回路5を構成するスイッチング素子Q1と並列に接続される。
定常点灯時は、段落[0019]に記載したように、スイッチング素子Q1とQ4のペアと、スイッチング素子Q2,Q3のペアが交互にオンすることで、放電ランプに交流の電流が流れる。
点灯始動時は、放電ランプ10に対して直流電流を供給して、放電ランプの点灯が安定した後に(すなわち、定常点灯になったら)交流点灯に移行させる。
具体的な回路動作は、フルブリッジ回路5を構成する4つのスイッチ素子のうち、スイッチング素子Q4だけをオンするとともに、その他のスイッチング素子Q1,Q2,Q3はオフさせ、スイッチング素子Q1と並列に接続した第二のスイッチ素子SWをオンさせる。
そして、放電ランプ10に絶縁破壊が生じると、チョッパー回路1から供給される電流は、抵抗Rx→第二スイッチ素子SW→トランスTr11→放電ランプ10→スイッチング素子Q4の経路で直流電流が流れる。
この実施形態は、放電ランプ10に直列に接続された抵抗Rxを介して放電ランプ10に電流を供給することで、フィードバック系よりも迅速な電流供給を可能としている。
なお、抵抗Rxとスイッチ素子SWの直列回路は、フルブリッジ回路5を構成するスイッチング素子のいずれに並列に接続させてもよく、接続されるスイッチング素子との関係で、点灯始動時にオンさせるスイッチング素子が決定する。
2 平滑回路
3 スタータ回路
4 フルブリッジ回路
10 放電ランプ
20 電極
21 始動性改善回路
Claims (3)
- 0.15mg/mm3以上の水銀が封入された高圧放電ランプに対する給電装置において、
スイッチング素子を含むチョッパー回路と、このチョッパー回路の出力端に接続された少なくとも一つの平滑用コンデンサと電圧検出用抵抗を含む平滑回路と、チョッパー回路のスイッチング素子を駆動するフィードバック系制御回路と、点灯始動時に高電圧パルスを発生するスタータ回路とを有しており、
前記平滑回路の出力端に、抵抗と第二スイッチ素子の並列回路が高圧放電ランプに直列に接続されるとともに、
前記スタータ回路と高圧放電ランプの直列回路と並列にコンデンサが接続されており、
前記並列回路は、スタータ回路とコンデンサと高圧放電ランプから形成される閉回路の外に接続される構成において、
前記制御回路は、少なくとも点灯始動時において、前記第二スイッチ素子をオンするとともに、放電ランプが安定した後は前記第二スイッチ素子がオフすることを特徴とする高圧放電ランプ用給電装置。 - 前記平滑回路の出力側に、交流電流を生成するフルブリッジ回路が接続されたことを特徴とする請求項1の高圧放電ランプ用給電装置。
- 0.15mg/mm3以上の水銀が封入された高圧放電ランプに対する給電装置において、
スイッチング素子を含むチョッパー回路と、このチョッパー回路の出力端に接続された少なくとも一つの平滑用コンデンサと電圧検出用抵抗を含む平滑回路と、チョッパー回路のスイッチング素子を駆動するフィードバック系制御回路と、点灯始動時に高電圧パルスを発生するスタータ回路とを有しており、
前記平滑回路の出力端に、交流電流を生成するフルブリッジ回路が接続されるとともに、
このフルブリッジ回路を構成するスイッチング素子の少なくとも1つに、抵抗と第二スイッチ素子の直列回路が並列に接続されるとともに、
スタータ回路と高圧放電ランプの直列回路と並列にコンデンサが接続されており、
前記抵抗と第二スイッチ素子の直列回路は、スタータ回路とコンデンサと高圧放電ランプから形成される閉回路の外に接続される構成において、
前記制御回路は、少なくとも点灯始動時において、前記第二スイッチ素子をオンするとともに、放電ランプが安定した後は前記第二スイッチ素子がオフすることを特徴とする高圧放電ランプ用給電装置。
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