JP3852307B2 - 光源装置 - Google Patents

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  • Circuit Arrangements For Discharge Lamps (AREA)
  • Non-Portable Lighting Devices Or Systems Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プロジェクタ用の光源として使用される、高圧水銀放電ランプを用いた光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタやDLP(TM)(テキサスインスツルメンツ社)プロジェクタ等の光学装置ための光源装置においては、高輝度放電ランプ(HIDランプ)が使用される。
しかし、近年、前記光学装置を明るいものとするために、従来よりも放電ランプに封入する水銀量を多くすることが求められて来ている。
また、光源が点光源に近いほど放電ランプから放射される光の利用効率が向上するため、ランプの放電発光領域を小さくすることを目的として、放電ランプの電極間隙を短くすることが求められて来ている。
ところが、このように封入する水銀量を多く、電極間隙を短くすると、ランプを消灯して温度が下がったときに、気化していた水銀が電極上で液体に凝結し、両極の電極の間隙を架橋してしまう現象、あるいは、水銀が凝結したときには架橋しなくても、装置の運搬時等の振動などにより水銀が電極の間隙に移動し架橋してしまう現象が発生する。
【0003】
この現象が発生してしまうと、電極の間隙が水銀により短絡されてしまうため、電極間で放電を発生することができず、ランプの点灯が不可能になってしまう問題があった。
そしてもし、給電装置に過電流保護機能が無い場合は、過電流によって給電装置が破損してしまう問題があった。
【0004】
過電流保護機能を有する給電装置の場合は、破損することは無いが、このような現象が発生していることは、装置の操作者にはわからないため、実際には、ランプまたは装置に多少の衝撃を加えることにより、電極間隙を架橋している水銀を落とせば、架橋短絡が解消して使用可能になるものを、装置の故障として処理されてしまう問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術が抱える問題、すなわち、水銀ランプを有する光源装置において、放電ランプの電極の間隙に水銀が架橋短絡した場合に、装置の故障と区別がつかず、光源装置が使用不能になる問題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の請求項1の発明は、一対の電極が対向配置された放電ランプと、この放電ランプの主たる放電のために電極に放電電流を供給するための給電装置とを接続してなる光源装置であって、前記放電ランプは、放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mg以上の水銀を含み電極間隔が1.2mm以下であって、前記給電装置は、前記放電ランプに対して無負荷開放電圧を発生しようとしたときに、前記一対の電極の間隙における水銀による架橋短絡を検知する機能と、水銀による架橋短絡以外の要因による短絡現象と区別した後に前記水銀による架橋短絡の発生を表示する機能を有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項2の発明は、一対の電極が対向配置された放電ランプと、この放電ランプの主たる放電のための電極に放電電流を供給するための給電装置とを接続してなる光源装置であって、前記放電ランプは、放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mg以上の水銀を含み電極間隔が1.2mm以下であって、前記給電装置は、前記放電ランプに対して無負荷開放電圧を発生しようとしたときに、前記一対の電極の間隙における水銀による架橋短絡を検知する機能と、前記水銀による架橋短絡を解消するために前記放電ランプに振動または衝撃を与える手段を有することを特徴とするものである
【0009】
本発明の請求項3の発明は、前記水銀による架橋短絡を解消するために、前記放電ランプを加熱する手段を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項4の発明は、前記放電ランプを加熱する手段が、前記主たる放電のための電極以外の補助電極を設け、前記主たる放電のための両極の電極の何れかと前記補助電極の間に放電を生じせしめるものであることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項5の発明は、前記架橋短絡解消手段が、前記一対の電極の間隙に磁場を印加し、かつ架橋短絡している水銀に電流を流すことにより、架橋短絡している水銀に作用するローレンツ力により架橋短絡している水銀を移動せしめるものであることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
図1に、放電ランプ(Ld)に直流電圧を印加して放電させる方式の本発明の光源装置の構成の、簡略化された一例を示す。給電装置(Ex)において、降圧チョッパ型のバラスト回路(Bx)は、PFC等のDC電源(Mx)より端子(T11、T12)を介して電圧の供給を受けて動作する。
前記バラスト回路(Bx)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によってDC電源(Mx)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lx)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ、この電圧が端子(T21、T22)、端子(T31、T32)を介して放電ランプ(Ld)に印加され、前記放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。
【0013】
なお、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間は、前記スイッチ素子(Qx)を通じた電流により、直接的に前記平滑コンデンサ(Cx)への充電と負荷である前記放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、前記チョークコイル(Lx)に電流の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qx)がオフ状態の期間は、前記チョークコイル(Lx)に電流の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dx)を介して前記平滑コンデンサ(Cx)への充電と前記放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
【0014】
スタータ(Ui)においては、抵抗(Ri)を介して、ランプ電圧(VL)によってコンデンサ(Ci)が充電される。ゲート駆動回路(Gi)を活性化すると、サイリスタ等よりなるスイッチ素子(Qi)が導通することにより、前記コンデンサ(Ci)がトランス(Ki)の1次側巻線(Pi)を通じて放電し、2次側巻線(Hi)に高電圧パルスを発生する。
【0015】
前記スタータ(Ui)の前記2次側巻線(Hi)に発生した高電圧は、前記バラスト回路(Bx)の出力電圧に重畳されて電極(E1,E2)間に印加され、放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において絶縁破壊を発生させ、放電を始動することができる。
【0016】
給電制御回路(Fx)はあるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)を生成し、前記ゲート駆動信号(Sg)は、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子に加えられることにより、前記したDC電源(Mx)よりの電流のオン・オフが制御される。前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間を流れるランプ電流(IL)と、電極(E1,E2)間に発生するランプ電圧(VL)とは、電流検出手段(Ix)と、電圧検出手段(Vx)とによって、検出できるように構成される。
なお、前記電流検出手段(Ix)については、シャント抵抗を用いて、また前記電圧検出手段(Vx)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。
【0017】
前記電流検出手段(Ix)よりのランプ電流信号(Si)、および前記電圧検出手段(Vx)よりのランプ電圧信号(Sv)は、給電制御回路(Fx)に入力され、その時点における放電ランプ(Ld)の放電状態の別、すなわち非放電状態であるか、グロー放電状態であるか、アーク放電状態であるかなどに基づいて、ランプ電流(IL)やランプ電圧(VL)が、あるいはこれら電流と電圧の積であるランプ電力が、その目標値との差が減少するように、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比がフィードバック的に制御される。
【0018】
以下において、請求項1の発明の作用について説明する。
前記給電装置(Ex)が、外部からの、例えばプロジェクタ等の光学装置本体からの点灯指令信号(Sa)を受けて、ランプを点灯しようとする際の点灯シーケンスの最初は、放電ランプに無負荷開放電圧と呼ばれる、例えば300V〜1000V程度の電圧を印加することであり、これが完了すると、前記スタータ(Ui)を動作させ、放電を開始させる。放電開始後は、一般に、有限時間のグロー放電や過渡的なアーク放電を経由して、最終的に熱電子放出によるアーク放電に移行する。
【0019】
前記無負荷開放電圧発生時は、前記給電装置(Ex)は、前記ランプ電圧信号(Sv)がランプの無負荷開放電圧に対応する目標値に一致するように前記スイッチ素子(Qx)を制御しようとする。
【0020】
ところが、前記した、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡が発生している場合は、ランプ電圧(VL)が上昇せず、ほとんど0Vを保持するため、前記ランプ電圧信号(Sv)は、目標値を大きく下回り、目標値を達成させることができない。
【0021】
このような場合は、大きなランプ電流が流れて前記ランプ電流信号(Si)が大きくなるため、ランプ電流(IL)の上限値ILmaxを設け、これに対応する前記ランプ電流信号(Si)の上限値を定めて、これを前記ランプ電流信号(Si)が超えようとする場合は、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比を減じるように制御する。このため、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の短絡が生じても、前記給電装置(Ex)が破損することがない。
【0022】
このように、前記給電装置(Ex)が前記無負荷開放電圧を発生しようとしたときに、前記ランプ電圧信号(Sv)が前記電極(E1,E2)の短絡に対応する低い電圧しか示さないことを検出した場合は、前記した前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したものとするよう、給電制御回路(Fx)を構成する。
【0023】
そして、水銀による架橋短絡を検知した場合は、ブザー等の発音やLEDランプ等の発光素子の点灯などの情報発行手段により、その旨を表示する。なお、ここで言う表示とは、本発明の光源装置から外部への信号すなわち架橋短絡検知信号(Ss)の送出をも含む。
【0024】
例えば、プロジェクタ等の光学装置本体が、給電制御回路(Fx)から前記架橋短絡検知信号(Ss)を受けたとき、操作者への水銀による架橋短絡の発生の通知のための前記したようなLEDランプ等の発光素子の点灯などの情報発行手段による表示を、光学装置本体が行なうようにしてもよい。
【0025】
以上説明したように光源装置を構成することにより、本発明の光源装置は、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の水銀による架橋短絡が生じても破損することなく、外部に対して水銀による架橋短絡が生じていることを表示し、適切な処置を促し、結果として装置を正常な状態に戻すことに貢献することができる。
【0026】
ここまでに述べた範囲の本発明の構成によれば、装置を正常な状態に戻すことに貢献できるが、操作者による介入を必要とする。しかし、請求項2の発明によれば、光源装置は、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における前記水銀による架橋短絡を検知し、前記水銀による架橋短絡を解消するための架橋短絡解消手段を有し、前記水銀による架橋短絡を検知したときに前記架橋短絡解消手段を作動させるため、操作者による介入を必要とすることなく、自動的に装置を正常な状態に戻すことができる。
【0027】
当然ながら、ここで述べた前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における前記水銀による架橋短絡を検知するための機構の実現に関しては、前記した請求項1の発明の作用についての説明において述べた前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における前記水銀による架橋短絡を検知するための構成を利用することができる。
【0028】
なお、前記水銀による架橋短絡を解消するための前記架橋短絡解消手段の実装に関しては、例えば、プロジェクタ等の光学装置本体が、水銀による架橋短絡を解消するための
前記架橋短絡解消手段を実装しており、前記した請求項1の発明の作用についての説明において述べたものと同様に、本発明の光源装置から外部への架橋短絡検知信号(Ss)の送出を受けて、前記光学装置本体が、前記架橋短絡解消手段の動作を起動するように光学装置を構成しても、本発明は良好に作用する。
【0029】
この発明においては、装置は前記放電ランプ(Ld)に振動または衝撃を与えるものであるため、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において架橋短絡状態にある、比重の大きい水銀を、慣性の法則に従って前記電極(E1,E2)の間隙から飛散せしめて移動させ、巧妙かつ効率的に前記架橋短絡を解消することができる。
【0030】
前記放電ランプ(Ld)に振動または衝撃を与えるに際しては、前記電極(E1,E2)の並びの軸方向に対して、概ね垂直の方向に振動または衝撃を与えると効果的である。
【0031】
なお、前記放電ランプ(Ld)に振動または衝撃を与えるに際しては、前記放電ランプ(Ld)に対して直接に振動または衝撃を与えるものだけでなく、前記放電ランプ(Ld)をその内部に保持する、例えば、反射鏡やランプハウスなどに振動または衝撃を与え、結果として前記放電ランプ(Ld)に振動または衝撃を与えるように構成しても本発明は良好に作用する。
【0032】
次に、請求項4の発明について説明する。
この発明においては、装置は前記放電ランプ(Ld)を加熱するものであるため、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において架橋短絡状態にある水銀を蒸発せしめ、巧妙かつ効率的に前記架橋短絡を解消することができる。
【0033】
図2に記載のように、この発明においては、前記主たる放電のための電極(E1,E2)以外に、補助電極(Et)を放電ランプ(Ld)のランプ封体(Be)の外面に接して配置し、補助電極給電回路(Ue)により、前記主たる放電のための両極の電極(E1,E2)の何れかと前記補助電極(Et)の間に高電圧を印加する。
【0034】
このような構成であるため、前記主たる放電のための電極(E1,E2)が水銀によって架橋短絡していても、放電ランプ(Ld)内の放電空間に誘電体バリア放電により放電を発生させることができる。
【0035】
誘電体バリア放電とは、一対の電極により、誘電体を介して、放電空間に強い電界が印加されることにより、放電空間内のガスに絶縁破壊を発生させる形式の放電である。
この発明の場合は、ランプ封体(Be)のガラスを介して、水銀架橋短絡によって一体となっている前記主たる放電のための電極(E1,E2)と、ランプ封体(Be)のガラスの内面との間で放電が発生するため、前記主たる放電のための電極(E1,E2)が水銀により架橋短絡が発生しているか否かに無関係に放電させることができる。ただし、誘電体バリア放電を維持するためには、電極に印加される電圧は、パルス列や交流である必要がある。
【0036】
この放電により前記放電ランプ(Ld)を加熱するものであるため、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において架橋短絡状態にある水銀を蒸発せしめ、巧妙かつ効率的に前記架橋短絡を解消することができる。
【0037】
さらに、前記補助電極(Et)の間に高電圧を印加することにより、誘電体バリア放電を発生させることができるため、図1に記載のような前記スタータ(Ui)によらなくても、前記主たる放電のための両極の電極(E1,E2)に水銀による架橋短絡が発生していない場合は直ちに、水銀による架橋短絡が発生している場合は架橋短絡が解消後に、前記誘電体バリア放電を種として、前記両極の電極(E1,E2)の間で主たる放電を誘起することができる。
【0038】
したがって、架橋短絡解消手段がスタータを兼ねていることになり、図1に記載のような前記スタータ(Ui)を設ける必要がなく、装置を小型、軽量、低コストに実現する上で、非常に有効な発明であることがわかる。
【0039】
図2には補助電極として、放電空間に接しないものを記載したが、これが放電空間に接するように、封体の内部に構成することもできる。
【0040】
この場合は、例えば、図1のバラスト回路(Bx)の出力の端子(T31)を、例えばリレー等のスイッチにより、陽極の電極(E2)または補助電極の何れかに切替えて接続できるようにし、主たる放電のための両極の電極(E1,E2)の間隙の水銀による架橋短絡を検知していない場合は端子(T31)を陽極の電極(E2)に、水銀による架橋短絡を検知している場合は端子(T31)を補助電極に接続し、放電を起動する。
【0041】
水銀による架橋短絡を検知し、端子(T31)を補助電極に接続した場合、放電が始動すれば、適当な時間を待って端子(T31)の接続を電極(E2)に切替え、そのまま放電が継続したら、主たる放電の始動が成功したものとすればよい。端子(T31)の接続を電極(E2)に切替えたとき、水銀による架橋短絡を検知した場合は、上記シーケンスを繰り返すことにより、最終的に主たる放電を始動することができる。
【0042】
ただし、この場合は、陰極の電極(E1)と補助電極が水銀により架橋されることのないように十分な距離をとることが必要である。
以上、本発明の作用について説明したが、前記した放電ランプの電極の間隙において水銀による架橋短絡が発生する問題は、ランプに封入される水銀量が多くなるほど、また電極間隔が短くなるほど発生し易くなるため、本発明は、例えば、放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mg以上の水銀を含み、電極間隔が1.2mm以下である放電ランプを用いた光源装置において特に有効である。
【0043】
なお、ここでは、放電ランプに放電電流を供給するための給電装置の構造に関しては、前記図1に記載のような、放電ランプに直流電圧を印加して放電させる方式のための給電装置に関して述べたが、放電ランプに交流電圧を印加して放電させる方式のための給電装置においても本発明の作用は全く同様に発揮される。
【0044】
【実施例】
先ず、本発明の請求項1の発明に基づく、第1の実施例について説明する。
図3は、前記した図1に記載の前記給電制御回路(Fx)の簡略化された構成を示すものである。
前記ランプ電圧信号(Sv)は、総合制御部(Xpu)のなかのAD変換器(Adc)に入力されて、適当な桁数を有するディジタルのランプ電圧データ(Sxv)に変換され、マイクロプロセッサユニット(Mpu)に入力される。
【0045】
ここで、マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、CPUやプログラムメモリ、データメモリ、クロックパルス発生回路、タイムカウンタ、ディジタル信号の入出力のためのIO制御器などを含む。
【0046】
マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記ランプ電圧データ(Sxv)を参照した計算や、その時点の系の状態に応じた条件判断に基づき、後述するチョッパ能力制御回路(Ud)のための、チョッパ能力制御目標データ(Sxt)を生成する。前記チョッパ能力制御目標データ(Sxt)は、DA変換器(Dac)によって、アナログのチョッパ能力制御目標信号(St)に変換され、チョッパ能力制御回路(Ud)に入力される。
【0047】
さらに、許容されるランプ電流(IL)の上限値ILmaxを規定するためのランプ電流上限信号(Sk)が、ランプ電流上限信号発生回路(Uc)により発生され、チョッパ能力制御回路(Ud)に入力される。
【0048】
前記チョッパ能力制御回路(Ud)内においては、前記チョッパ能力制御目標信号(St)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad1)とダイオード(Dd1)を介して、さらに、前記ランプ電流上限信号(Sk)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad2)とダイオード(Dd2)を介して、ともにプルアップ抵抗(Rd1)の一端に接続され、チョッパ駆動目標信号(Sd2)が生成される。
【0049】
なお、前記プルアップ抵抗(Rd1)の他端は適当な電圧を有する基準電圧源(Vd1)に接続される。
【0050】
したがって、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、前記チョッパ能力制御目標信号(St)に対応する信号(Sd3)または前記ランプ電流上限信号(Sk)に対応する信号(Sd4)のうちの、何れか大きくない方が選択された信号となる。
【0051】
すなわち、前記総合制御部(Xpu)が、例えば、定格電力に対応する定数を前記ランプ電圧データ(Sxv)で除算して、定格電力を達成するためのランプ電流(IL)の値を算出し、この値に対応するものとして生成するなど、何らかの方法で前記チョッパ能力制御目標信号(St)を生成したとして、仮にこれが不適当であった場合でも、前記チョッパ能力制御回路(Ud)内において、ハードウェア的に、ランプ電流(IL)が前記ランプ電流上限信号(Sk)を超えないように、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)が制限されることになる。
【0052】
因みに、前記したAD変換器(Adc)やマイクロプロセッサユニット(Mpu)を介した制御は、動作速度が遅い(もしくは速いものとすると高コストとなる)ため、例えばランプの放電状態が急変するなどの事態が生じた場合には、その動作遅れによって、前記したチョッパ能力制御目標信号(St)の不適当が発生し得るため、このような電流制限機能をハードウェア的に構成することは、ランプや給電装置の保護の観点からも有益なことである。
【0053】
一方、前記ランプ電流信号(Si)は、必要に応じて設ける増幅器またはバッファ(Ad3)とダイオード(Dd3)を介して、一端がグランド(Gndx)に接続されたプルダウン抵抗(Rd5)の他端に接続され、制御対象信号(Sd5)が生成される。
【0054】
さらに、前記ランプ電圧信号(Sv)は、比較器(Cmv)によって、前記した無負荷開放電圧に対応する電圧を有する基準電圧源(Vd2)の電圧と比較され、もし、前記ランプ電圧信号(Sv)が、無負荷開放電圧より高い場合は、トランジスタ(Qd1)がオフまたは能動状態になり、適当な電圧源(Vd3)から、抵抗(Rd4)とダイオード(Dd4)を介して、前記プルダウン抵抗(Rd5)に電流を流すことにより、前記制御対象信号(Sd5)の水準を上げるように動作する。
【0055】
逆に、前記ランプ電圧信号(Sv)が、無負荷開放電圧より低い場合は、前記トランジスタ(Qd1)がオン状態になるため、前記電圧源(Vd3)からの電流は短絡され、前記制御対象信号(Sd5)は、前記ランプ電流信号(Si)に対応するものとなる。
【0056】
何となれば、前記のプルダウン抵抗(Rd5)とダイオード(Dd3)、ダイオード(Dd4)よりなる回路は、各ダイオードのアノード側の信号(Sd6)と信号(Sd7)の何れか小さくない方に対応する電圧が選択されてプルダウン抵抗(Rd5)に発生するからである。
【0057】
なお、前記比較器(Cmv)については、その出力端子と非反転入力端子に正帰還抵抗を挿入する(図示を省略)などして、比較動作にヒステリシスを持たせることにより、比較出力が変化する際の意図しない発振現象を防止することができる。
【0058】
このように構成したことにより、たとえ出力電流がほとんど停止して、前記ランプ電流信号(Si)がほとんど入らない状態であっても、前記ランプ電圧信号(Sv)が、前記無負荷開放電圧より高くなろうとすると、前記制御対象信号(Sd5)が急速に上昇することにより、ランプ電圧(VL)は、概略無負荷開放電圧以下に、常にハードウェア的に制限される。
【0059】
前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)は、抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)で分圧されて、演算増幅器(Ade)の反転入力端子に入力される。一方、前記制御対象信号(Sd5)は、前記演算増幅器(Ade)の非反転入力端子に入力される。そして、前記演算増幅器(Ade)の出力信号(Sd1)は、積分コンデンサ(Cd1)とスピードアップ抵抗(Rd6)を介して反転入力端子にフィードバックされているため、前記演算増幅器(Ade)は、前記チョッパ駆動目標信号(Sd2)の抵抗(Rd2)と抵抗(Rd3)による分圧電圧に対する、前記制御対象信号(Sd5)の電圧の差を積分する、誤差積分回路としてはたらく。
【0060】
時定数を決めるための抵抗(Rd0)とコンデンサ(Cd0)が接続された発振器(Osc)は、図4のaに示すような鋸歯状波信号(Sd0)を発生し、この鋸歯状波信号(Sd0)と、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)とは、比較器(Cmg)で比較される。
【0061】
ただし、比較に際しては、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)に対してオフセット電圧(Vd4)を加えた信号(Sd8)と前記鋸歯状波信号(Sd0)とが比較される。
前記鋸歯状波信号(Sd0)の電圧が前記信号(Sd8)の電圧よりも高い期間においてハイレベルとなる前記ゲート駆動信号(Sg)が生成され、前記チョッパ能力制御回路(Ud)から出力される。
【0062】
前記したように、前記信号(Sd8)は誤差積分回路の出力信号(Sd1)にオフセットを加えたものであるため、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)が仮に零であったとしても、前記ゲート駆動信号(Sg)のデューティサイクル比は、100%より小さいある最大値、すなわち最大デューティサイクル比DXmax以下になるように構成されている。
【0063】
図4のaおよびbには、前記誤差積分回路の出力信号(Sd1)、およびこれに対してオフセットを加えた信号(Sd8)、前記鋸歯状波信号(Sd0)と前記ゲート駆動信号(Sg)の関係が示されている。
【0064】
前記給電制御回路(Fx)から出力された前記ゲート駆動信号(Sg)が、前記ゲート駆動回路(Gx)に入力されることにより、結果として、前記ランプ電流信号(Si)および前記ランプ電圧信号(Sv)が、スイッチ素子(Qx)の動作にフィードバックされたフィードバック制御系が完成する。
【0065】
なお、前記図3に記載のチョッパ能力制御回路(Ud)の構成に際しては、前記演算増幅器(Ade)や発振器(Osc)、比較器(Cmg)などが集積された市販の集積回路として、テキサスインスツルメンツ社製TL494などを利用することができる。
【0066】
この光源装置において、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)が、前記チョッパ能力制御目標信号(St)の適当な値を生成し、前記した比較器(Cmv)により比較監視される回路部の働きにより無負荷開放電圧を出力しようとしたとき、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡が発生している場合は、ランプ電圧(VL)が上昇せず、ほとんど0Vを保持するため、前記ランプ電圧信号(Sv)は、目標値を達成させることができず、低い水準に留まる。
【0067】
また、このような状態でも、前記したように、ランプ電流上限信号発生回路(Uc)に許容されるランプ電流(IL)の上限値ILmaxに対応する値が設定されているため、ランプ電流(IL)が上限値ILmaxを超えようとすると、それを阻止するようにフィードバック制御されるため、給電装置(Ex)が過電流により破損することがない。
【0068】
前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記AD変換器(Adc)によって、前記ランプ電圧信号(Sv)を監視しており、前記ランプ電圧信号(Sv)が前記電極(E1,E2)の短絡に対応する低い電圧しか示さないことを検出した場合は、前記した前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したものとして、架橋短絡検知信号(Ss)を送出するようにプログラムされている。
このようにして、第1の実施例の光源装置は、前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知し、架橋短絡検知信号(Ss)を送出することによってその旨を表示することができる。
【0069】
なお、前記ランプ電圧信号(Sv)が、低いランプ電圧(VL)に対応する値しか示さない現象として、前記した前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡と、それ以外の要因、例えば、平滑コンデンサ(Cx)の短絡などの現象とを区別できるようにする場合は、図5に示す第2の実施例に記載のように、ランプの電流経路に直列に、スイッチ素子(Swc)を付加し、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記したような水銀による架橋短絡の候補現象を検知した場合は、出力切断信号(Sc)を出力し、前記スイッチ素子(Swc)を開いて再度無負荷開放電圧の出力を試行し、これに成功した場合は、確かに前記した前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したとして処理し、前記スイッチ素子(Swc)を開いた状態においても、再度の無負荷開放電圧の出力に成功しない場合は、故障として処理するようにすればよい。
【0070】
一方、放電ランプに交流電圧を印加して放電させる方式のための給電装置として、前記図1に記載のような、放電ランプに直流電圧を印加して放電させる方式のための給電装置における、バラスト回路(Bx)の後に、極性を反転させるためのフルブリッジインバータを追加することにより構成した第3の実施例の簡略化された図を図6に示す。
【0071】
通常は、FET等によるスイッチ素子(Q1)とスイッチ素子(Q4)のみを導通させる状態と、スイッチ素子(Q2)とスイッチ素子(Q3)のみを導通させる状態の2状態を交互に繰り返す動作をさせる。その際、スイッチ素子(Q1)とスイッチ素子(Q2)とが、スイッチ素子(Q3)とスイッチ素子(Q4)とが同時に導通しないように、前記2状態の間には、例えば何れのスイッチ素子も導通させない、短い期間が挿入される。このような、各スイッチ素子の制御は、インバータ制御回路(Fh)からの信号に基づき、各スイッチ素子に付属のゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)を介して行なわれる。
【0072】
このようなフルブリッジインバータを有する光源装置の場合は、前記放電ランプ(Ld’)の電極(E1’,E2’)の間隙における水銀による架橋短絡と、それ以外の要因による現象を区別するに際しては、前記図5の実施例の場合について記載した、スイッチ素子(Swc)を開いて再度無負荷開放電圧の出力を試行する動作の代わりに、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、インバータ停止信号(Sf)を出力し、前記インバータ制御回路(Fh)の動作を切換えて、全てのスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)を非導通状態にして、あるいは、スイッチ素子(Q1)とスイッチ素子(Q3)のみを導通させる状態にして、あるいは、スイッチ素子(Q2)とスイッチ素子(Q4)のみを導通させる状態にして、再度無負荷開放電圧の出力を試行するようにすればよい。
【0073】
このようにして、前記図5に記載のようなスイッチ素子(Swc)を追加することなく、全く同様に、再度の無負荷開放電圧の出力に成功した場合は、確かに前記放電ランプ(Ld’)の前記電極(E1’,E2’)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したとして処理することができる。
【0074】
図7は、本発明の第4の実施例を示す簡略化された図である。
この図においては、放電ランプ(Ld)は、ランプからの発光を特定の方向に向けて出力するための反射鏡(Y1)、反射鏡(Y1)の前面を覆う光出力窓(Y2)と一体化されて構成されている。
【0075】
これには、前記した前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡解消手段としての振動発生体または衝撃発生体(Y3)と、これからの振動または衝撃を反射鏡(Y1)に伝えるための連結体(Y4)が付加されている。
【0076】
例えば、前記第1〜3の実施例に記載のような本発明の給電装置の構成によって、前記した前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したときに、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記振動発生体または衝撃発生体(Y3)を駆動するための駆動回路(Gy)に活性化信号(Sy)を送出してこれを活性化し、前記振動発生体または衝撃発生体(Y3)を作動させる。
【0077】
なお、前記した振動発生体としては、超音波振動子や、携帯電話等に用いられているような小型バイブレータが使用でき、また、前記した衝撃発生体としては、ソレノイドなどが使用できる。
【0078】
このように光源装置を構成することによって、本発明の作用について説明したように前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において架橋短絡を生じていた水銀を飛散せしめて移動させ、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における架橋短絡を解消することができる。
【0079】
図8は、本発明の第5の実施例を示す簡略化された図である。
この図においては、放電ランプ(Ld)は、ランプからの発光を特定の方向に向けて出力するための反射鏡(Y1)、反射鏡(Y1)の前面を覆う光出力窓(Y2)と一体化されて構成されている。
【0080】
これには、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡解消手段としての加熱手段である加熱用ランプ(Y5)が付加されている。前記加熱用ランプ(Y5)としては、例えばハロゲンランプ等が使用できる。
【0081】
前記加熱用ランプ(Y5)からの光は、反射鏡(Y6)などを設置して集光することにより、加熱の効率化を図ることが望ましく、また、前記加熱用ランプ(Y5)および前記反射鏡(Y6)は、前記放電ランプ(Ld)から発した光束を妨げないように配置することが望ましい。
【0082】
図8においては、前記放電ランプ(Ld)のための前記反射鏡(Y1)は、例えば、光軸に垂直な面への射影が四角形になるようにするために、反射鏡(Y1)の反射面に平面部(Y11)が存在する場合を描いてあり、この反射面の平面部(Y11)を利用して、前記加熱用ランプ(Y5)の光を前記放電ランプ(Ld)に照射し、前記加熱用ランプ(Y5)を巧妙に加熱するものである。
【0083】
前記反射鏡(Y1)の反射面の前記平面部(Y11)は、放電ランプ(Ld)からの発光を特定の方向に向けて出力するに際しては寄与しないため、前記平面部(Y11)に穴をあけ、そこから前記加熱用ランプ(Y5)の光を前記放電ランプ(Ld)に照射してもよい。
【0084】
例えば、前記第1〜3の実施例に記載のような本発明の給電装置の構成によって、前記した前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したときに、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記加熱用ランプ(Y5)に通電するための加熱ランプ用電源(Gp)に活性化信号(Sp)を送出してこれを活性化し、前記加熱用ランプ(Y5)の機能を発現させる。
【0085】
このように光源装置を構成することによって、本発明の作用について説明したように前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において架橋短絡を生じていた水銀を蒸発させ、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における架橋短絡を解消することができる。
【0086】
なお、前記加熱用ランプ(Y5)は、前記放電ランプ(Ld)の加熱機能以外にも、その発光スペクトルに含まれる比較的高いエネルギーを有する光子による、前記放電ランプ(Ld)の放電空間内のガスに対する電離作用により、前記放電ランプ(Ld)が始動され易くし、結果として、スタータが発生すべき電圧を低下せしめる機能も有している。
【0087】
図9は、本発明の第6の実施例を示す簡略化された図であり、特願2000−075434、および特願2000−335804の明細書に記載の発明を応用したものであるため、これら発明の効果を継承するものである。
【0088】
放電ランプ(Ld)の封体の光取出しの妨げにならない部分、例えばシール部に導電線を巻回したヒータ部(H1,H2)を設け、これに必要に応じて設けられる導電線による接続線(K1,K2)を介してヒータ用電源(Hp)から通電し、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡解消手段としての加熱手段として機能するように構成されている。
【0089】
例えば、前記第1〜3の実施例に記載のような本発明の給電装置の構成によって、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したときに、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記ヒータ用電源(Hp)に活性化信号(Sh)を送出してこれを活性化し、前記ヒータ部(H1,H2)の機能を発現させる。
【0090】
このように光源装置を構成することによって、本発明の作用について説明したように前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において架橋短絡を生じていた水銀を蒸発させ、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における架橋短絡を解消することができる。
【0091】
本発明の作用についての説明においても引用したところの図2は、本発明の第6の実施例を示す簡略化された図である。補助電極給電回路(Ue)の構成については、一例として、フライバックインバータと呼ばれる回路を用いる場合について記載してある。
【0092】
前記補助電極給電回路(Ue)においては、DC電源(Mx)プラス端子に接続されたトランス(Ke)の1次側巻線(Pe)が、ゲート駆動回路(Ge)により駆動されるFET等によるスイッチ素子(Qe)により、断続的に通電される。前記スイッチ素子(Qe)がオン状態である期間に前記トランス(Ke)に蓄積されていたエネルギーが前記スイッチ素子(Qe)がオフ状態になったときに、前記トランス(Ke)の2次側巻線(He)に解放されて、前記2次側巻線(He)に高電圧を発生する。
【0093】
前記トランス(Ke)の前記2次側巻線(He)で発生させた高電圧は放電ランプ(Ld)の主たる放電のための電極(E1)と補助電極(Et)との間に印加される。このため、本発明の作用についての説明においても記載したように、前記放電ランプ(Ld)内の放電空間において、誘電体バリア放電を発生させ、加熱することができる。
【0094】
例えば、前記第1〜3の実施例に記載のような本発明の給電装置の構成によって、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したときに、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、ゲート駆動回路(Ge)を動作させるための断続的もしくは略周期的なゲート駆動信号(Sb)を発生するゲート信号生成回路(Osb)を活性化し、前記誘電体バリア放電を発生させる。
【0095】
このように光源装置を構成することによって、本発明の作用について説明したように前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙において架橋短絡を生じていた水銀を蒸発させ、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における架橋短絡を解消することができる。
【0096】
なお、前記補助電極給電回路(Ue)として、ここではフライバックインバータを用いるものを示したが、パルス列、または交流の高電圧を発生できるものであれば、他の方式のものでもよい。
また、図1に記載のスタータ(Ui)と同様の回路でも実現不可能ではないが、加熱のために高頻度で動作させる必要があるため、前記したインバータの方が好適である。
【0097】
図10は、前記架橋短絡解消手段として、ローレンツ力を応用する手段を用いる、本発明の第7の実施例を示す簡略化された図である。
この図においては、放電ランプ(Ld)は、ランプからの発光を特定の方向に向けて出力するための反射鏡(Y1)、反射鏡(Y1)の前面を覆う光出力窓(Y2)と一体化されて構成されている。
【0098】
フェライトなどの磁性材料からなる磁芯(W1)には励磁コイル(W2)が巻かれ、これに電流を流すことにより、放電ランプ(Ld)の両極の電極(E1,E2)の電極間隙部(P)に磁場(B)が、両極の電極の軸に対して概ね垂直な方向に印加されるようにしてある。
【0099】
駆動給電回路(Un)は、抵抗(Rn)を介してコンデンサ(Cn)を充電され、サイリスタ等のスイッチ素子(Qn)がゲート駆動回路(Gn)によって活性化されると、前記励磁コイル(W2)に電流を流すとともに、放電ランプ(Ld)の前記電極間隙部(P)にパルス電流を流すことができる。
【0100】
例えば、前記第1〜3の実施例に記載のような本発明の給電装置の構成によって、前記放電ランプ(Ld)の前記電極(E1,E2)の間隙における水銀による架橋短絡を検知したときに、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)は、前記ゲート駆動回路(Gn)を動作させるためのゲート駆動信号(Sn)を発生する。
【0101】
このように光源装置を構成することによって、架橋短絡を生じている水銀にパルス電流が流されるとともに、水銀中のパルス電流に概ね垂直な方向にパルス的な磁場(B)が印加されるから、架橋短絡を生じている水銀には、その内部の電流の方向と磁場の方向の両方に垂直な方向(図10の紙面に垂直な方向)にパルス的なローレンツ力が作用し、結果として、水銀が両極の電極の軸に対して概ね垂直な方向にはじき飛ばされ、架橋短絡を解消することができる。
【0102】
この実施例では、前記励磁コイル(W2)と放電ランプ(Ld)とを直列に接続し、一つの駆動給電回路(Un)によって同じ電流を流すものとしたが、これを並列にしたり、前記励磁コイル(W2)用と放電ランプ(Ld)用とそれぞれの駆動給電回路を設けるようにしてもよい。
【0103】
また、この実施例では、磁場(B)の発生手段として、前記磁芯(W1)と前記励磁コイル(W2)による電磁石を用いたが、永久磁石を用いたり、電磁石と永久磁石を併用するようにしてもよい。
なお、この実施例の図においては、スタータ(Uj)により補助電極(Et)に高電圧を印加するものを記載してあるが、本発明の作用においては、スタータの方式の詳細は重要でないため、図1に記載のような、放電ランプに直列に高電圧を印加する方式のものでもよい。
【0104】
本明細書に記載の回路構成は、本発明の光源装置の動作や機能、作用を説明するために、必要最少限のものを記載したものである。
したがって、実施例で説明した回路動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計において、積極的に遂行されることを前提としている。
【0105】
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因から給電装置のFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。
【0106】
また、本発明になる光源装置の構成は、本明細書の実施例に記載の回路方式のものに限定されるものではない。
本発明における水銀による架橋短絡の検知機構は、本明細書に記載のもの以外のものでもよく、例えば、ランプ電圧信号(Sv)とランプ電流信号(Si)との比、すなわち、ランプ電圧(VL)とランプ電流(IL)との比を計算し、ランプが示す電気抵抗の値から架橋短絡発生の有無を判断するようなものなど、架橋短絡を検知する機構や原理は、使用するランプや給電装置の回路に適したものを採用することができる。
【0107】
実施例においては、架橋短絡の検知の判断や、架橋短絡解消手段の起動などのシーケンス制御は、マイクロプロセッサユニット(Mpu)により行われる場合を記載したが、これについては、前記マイクロプロセッサユニット(Mpu)を廃して、より単純な制御回路に代えるような簡素化などの光源装置の構成の多様化のもとでも、本発明の効果は良好に発揮される。
【0108】
また、水銀による架橋短絡を解消するための架橋短絡解消手段は、本明細書に記載のもの以外のものでもよく、例えば、図10に記載の駆動給電回路(Un)のような、電荷を蓄積したコンデンサから、サイリスタ等のスイッチ素子を介して架橋短絡を生じている水銀にパルス電流を流し、水銀を急速に加熱して、はじき飛ばすようなものとすることも可能である。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の技術が抱える、水銀ランプを有する光源装置において、放電ランプの電極の間隙に水銀が架橋短絡した場合に、装置の故障と区別がつかず、光源装置が使用不能になる問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の光源装置の構成を示す図である。
【図2】請求項5の発明の光源装置の構成を示す図である。
【図3】請求項1の発明の光源装置の給電制御回路の構成を示す図である。
【図4】請求項1の発明の光源装置の給電装置の動作を説明する図である。
【図5】請求項1の発明の改良の実施例を示す図である。
【図6】請求項1の発明の改良の実施例を示す図である。
【図7】請求項3の発明の実施例を示す図である。
【図8】請求項4の発明の実施例を示す図である。
【図9】請求項4の発明の実施例を示す図である。
【図10】請求項6の発明の実施例を示す図である。
【符号の説明】
Ad1 バッファ
Ad2 バッファ
Ad3 バッファ
Adc AD変換器
Ade 演算増幅器
B 磁場
Be ランプ封体
Bx バラスト回路
Cd0 コンデンサ
Cd1 積分コンデンサ
Ci コンデンサ
Cmg 比較器
Cmv 比較器
Cn コンデンサ
Cx 平滑コンデンサ
Dac DA変換器
Dd1 ダイオード
Dd2 ダイオード
Dd3 ダイオード
Dd4 ダイオード
Dx フライホイールダイオード
E1 電極
E1’ 電極
E2 電極
E2’ 電極
Et 補助電極
Ex 給電装置
Fh インバータ制御回路
Fx 給電制御回路
G1 ゲート駆動回路
G2 ゲート駆動回路
G3 ゲート駆動回路
G4 ゲート駆動回路
Ge ゲート駆動回路
Gi ゲート駆動回路
Gn ゲート駆動回路
Gndx グランド
Gp 加熱ランプ用電源
Gx ゲート駆動回路
Gy 駆動回路
H1 ヒータ部
H2 ヒータ部
He 2次側巻線
Hi 2次側巻線
Hp ヒータ用電源
IL ランプ電流
Ix 電流検出手段
K1 接続線
K2 接続線
Ke トランス
Ki トランス
Ld 放電ランプ
Ld’ 放電ランプ
Lx チョークコイル
Mpu マイクロプロセッサユニット
Mx DC電源
Osb ゲート信号生成回路
Osc 発振器
P 電極間隙部
Pe 1次側巻線
Pi 1次側巻線
Q1 スイッチ素子
Q2 スイッチ素子
Q3 スイッチ素子
Q4 スイッチ素子
Qd1 トランジスタ
Qe スイッチ素子
Qi スイッチ素子
Qn スイッチ素子
Qx スイッチ素子
Rd0 抵抗
Rd1 プルアップ抵抗
Rd2 抵抗
Rd3 抵抗
Rd4 抵抗
Rd5 プルダウン抵抗
Rd6 スピードアップ抵抗
Ri 抵抗
Rn 抵抗
Sa 点灯指令信号
Sb ゲート駆動信号
Sc 出力切断信号
Sd0 鋸歯状波信号
Sd1 出力信号
Sd2 チョッパ駆動目標信号
Sd3 信号
Sd4 信号
Sd5 制御対象信号
Sd6 信号
Sd7 信号
Sd8 信号
Sf インバータ停止信号
Sg ゲート駆動信号
Sh 活性化信号
Si ランプ電流信号
Sk ランプ電流上限信号
Sn ゲート駆動信号
Sp 活性化信号
Ss 架橋短絡検知信号
St チョッパ能力制御目標信号
Sv ランプ電圧信号
Swc スイッチ素子
Sxt チョッパ能力制御目標データ
Sxv ランプ電圧データ
Sy 活性化信号
T11 端子
T12 端子
T21 端子
T22 端子
T31 端子
T32 端子
Uc ランプ電流上限信号発生回路
Ud チョッパ能力制御回路
Ue 補助電極給電回路
Ui スタータ
Uj スタータ
Un 駆動給電回路
VL ランプ電圧
Vd1 基準電圧源
Vd2 基準電圧源
Vd3 電圧源
Vd4 オフセット電圧
Vx 電圧検出手段
W1 磁芯
W2 励磁コイル
Xpu 総合制御部
Y1 反射鏡
Y11 平面部
Y2 光出力窓
Y3 衝撃発生体
Y4 連結体
Y5 加熱用ランプ
Y6 反射鏡

Claims (5)

  1. 一対の電極が対向配置された放電ランプと、この放電ランプの主たる放電のために電極に放電電流を供給するための給電装置とを接続してなる光源装置であって、
    前記放電ランプは、放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mg以上の水銀を含み電極間隔が1.2mm以下であって、
    前記給電装置は、前記放電ランプに対して無負荷開放電圧を発生しようとしたとき、前記一対の電極の間隙における水銀による架橋短絡を検知する機能と、水銀による架橋短絡以外の要因による短絡現象と区別した後に前記水銀による架橋短絡の発生を表示する機能を有することを特徴とする光源装置。
  2. 一対の電極が対向配置された放電ランプと、この放電ランプの主たる放電のための電極に放電電流を供給するための給電装置と、を接続してなる光源装置であって、
    前記放電ランプは、放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mg以上の水銀を含み電極間隔が1.2mm以下であって、
    前記給電装置は、前記放電ランプに対して無負荷開放電圧を発生しようとしたとき、前記一対の電極の間隙における水銀による架橋短絡を検知する機能と、前記水銀による架橋短絡を解消するために前記放電ランプに振動または衝撃を与える手段を有することを特徴とする光源装置。
  3. 一対の電極が対向配置された放電ランプと、この放電ランプの主たる放電のための電極に放電電流を供給するための給電装置と、を接続してなる光源装置であって、
    前記放電ランプは、放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mg以上の水銀を含み電極間隔が1.2mm以下であって、
    前記給電装置は、前記放電ランプに対して無負荷開放電圧を発生しようとしたとき、前記一対の電極の間隙における水銀による架橋短絡を検知する機能と、前記水銀による架橋短絡を解消するために前記放電ランプを加熱する手段を有することを特徴とする光源装置。
  4. 前記加熱する手段は、前記主たる放電のための電極以外の補助電極を設け、前記主たる放電のための両極の電極の何れかと前記補助電極の間に放電を生じせしめるものであることを特徴とする請求項3に記載の光源装置
  5. 一対の電極が対向配置された放電ランプと、この放電ランプの主たる放電のための電極に放電電流を供給するための給電装置と、を接続してなる光源装置であって、
    前記放電ランプは、放電空間の容積1立方ミリメートルあたり0.15mg以上の水銀を含み電極間隔が1.2mm以下であって、
    前記給電装置は、前記放電ランプに対して無負荷開放電圧を発生しようとしたとき、前記一対の電極の間隙における水銀による架橋短絡を検知する機能と、前記水銀による架橋短絡を解消するために架橋短絡解消手段を有し、この架橋短絡解消手段は、前記一対の電極の間隙に磁場を印加し、かつ架橋短絡している水銀に電流を流すことにより、架橋短絡している水銀に作用するローレンツ力により架橋短絡している水銀を移動せしめるものであることを特徴とする光源装置。
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