JP4876521B2 - 放電ランプ点灯装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放電ランプ、特に高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の高輝度放電ランプを点灯するための放電ランプ点灯装置に関する。
例えば、液晶プロジェクタやDLP(TM)プロジェクタのような画像表示用などの光学装置のための光源装置においては、高輝度放電ランプ(HIDランプ)が使用される。
前記したプロジェクタには、ダイクロイックプリズム等によりR,G,Bの3原色を分離し、各色毎に設けた空間変調素子によって各3原色別の画像を発生させ、ダイクロイックプリズム等により光路を再合成してカラー画像を表示する方式のものがある。
また他方では、R,G,Bの3原色を有する色フィルタを回転させ、光源からの光をこのフィルタに通すことにより各3原色の光束を順次発生させ、これに同期させて空間変調素子を制御することにより、各3原色別の画像を時間分割によって順次発生させ、カラー画像を表示する方式のものもある。
この種のランプを始動する場合、ランプに無負荷開放電圧と呼ばれる電圧を印加した状態で、高電圧を印加して放電空間内に絶縁破壊を発生させ、グロー放電を経てアーク放電に移行させる。
ランプに高電圧を印加する方法として、イグナイタを用いて主放電のための電極に高電圧を重畳する方法、すなわち直列トリガ方式の他に、主放電のための電極以外の補助電極を放電空間に接しないように設け、前記補助電極に高電圧を印加する方法、すなわち外部トリガ方式がある。
外部トリガ方式には、直列トリガ方式にない種々の利点があり、特に高電圧トランスを含む高電圧発生部を給電回路部から分離し、放電ランプの近傍に設置する場合に、放電ランプ点灯装置の小型軽量化、低ノイズ化、安全性の向上、低コスト化等に有利な利点を最大限に享受できる。
一方、定常点灯時における放電ランプの駆動の方式に関しては、直流駆動方式と交流駆動方式とがある。直流駆動方式の場合は、ランプからの光束もまた直流的、すなわち時間的に変化しないため、基本的に、前記したプロジェクタの両方の方式において、全く同様に適用することができるという大きな利点がある。これに対し、交流駆動方式の場合は、極性反転周波数という、直流駆動方式には無い自由度を利用して、放電ランプの電極の消耗や成長を制御できる可能性があるという利点がある反面、極性反転が存在すること自体に起因する不利な点がある。
通常は、交流駆動のための極性反転の度毎に、ランプからの光束の瞬断やオーバーシュート、振動などの変動が含まれるため、前記したプロジェクタのうち、時間分割方式のものに適用しようとする場合は、画像を時間分割によって順次発生させるタイミングと、ランプの交流駆動の極性反転のタイミングとのズレ、すなわちビート周波数で表示画像に変動が現れ、ビート周波数によっては非常に目障りなものとなってしまうという問題があるため、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとるなどの工夫を行わなければならず、放電ランプ点灯装置が複雑化する欠点がある。
さらに、DLP方式のプロジェクタにおいては、表示画像の各画素の色毎の輝度を空間変調素子の各画素の動作のデューティサイクル比で制御するため、交流駆動方式の場合は、前記したタイミングの同期をとる場合でも、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの変動期間が長い場合は、その期間の光を利用しないように工夫するか、変動を打ち消すように空間変調素子の各画素の動作を制御するように工夫することが必要となる。前者の工夫の場合は、光の有効利用効率が低下する欠点があり、後者の工夫の場合は、プロジェクタ装置における空間変調素子の制御が非常に複雑になってしまう欠点がある。
放電ランプの交流駆動方式に関する前記した欠点を回避するには、極性反転時の光束の変動を小さくすればよいが、これは容易なことではなかった。それは、放電ランプ点灯装置に対しては、ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することが要求されるからである。
始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することのためには、前記した直列トリガ方式または外部トリガ方式による高電圧の印加によって、放電空間内に絶縁破壊を発生させる際に、ランプに印加する無負荷開放電圧を高めることが効果的であることが知られている。交流駆動方式の場合にこれを達成する方法として、始動時に直列共振現象を発生させてランプに印加する電圧を高めながら、イグナイタを動作させて放電空間内に絶縁破壊を発生させること、所謂共振アシストが従来から行われている。
図14は、従来の直列共振による共振アシストに関して原理を説明する図である。
この図の放電ランプ点灯装置は、放電ランプ(Ld)に給電する給電回路(Ux’)と、その出力電圧を極性反転するための、スイッチ素子(Q1’,Q2’,Q3’,Q4’)から成るフルブリッジ方式のインバータ(Ui’)と、共振コイル(Lr)と共振コンデンサ(Cr)とスタータ回路(Ut”)とを備え、始動時は、前記インバータ(Ui’)を、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスと前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量の積の値で決まる共振周波数もしくはそれに近い周波数で極性反転駆動し、これにより生ずるLC直列共振現象により前記共振コンデンサ(Cr)の両端子間に高い電圧を発生させ、この部分に対して並列に接続された、前記スタータ回路(Ut”)とともに前記放電ランプ(Ld)に高い電圧を印加するものである。
しかしながら、LC直列共振を利用した従来技術では、前記した課題である始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することについては解決できるものの、前記したもう一方の課題であるランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることについては、十分な解決ができていなかった。以下において、その理由を簡単に説明する。
前記したように、LC共振周波数は、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスと前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量の積の値で決まるため、もし、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスを小さく抑えたければ、前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量を大きな値にしなければならなくなる。何となれば、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスと前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量の両方を小さくするならば、共振周波数が極めて高くなってしまい、前記インバータ(Ui’)を動作させることが困難になってしまうからである。しかし、前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量を大きな値にすると、共振現象により十分な電圧の高まりを得ようとするならば、前記共振コイル(Lr)と前記共振コンデンサ(Cr)の直列接続回路に流れる電流、すなわち共振電流が非常に大きな値となってしまうという問題に直面することになる。
例えばスイッチ素子(Q1’)とスイッチ素子(Q3’)がオン状態であるときは、図14において破線で示す経路(L01)のように、この共振電流は、前記給電回路(Ux’)や前記インバータ(Ui’)を含めて、回路全体を流れる。そのため、各部の回路素子は、大きな共振電流に耐えられるように、電流定格の大きなものを使用する必要があり、装置の大型化やコストの増大が避けられなくなる。
共振周波数が極めて高くなってしまうとしても、高次共振で動作させるならば、前記インバータ(Ui’)の動作周波数を低く抑えた上で、前記共振コンデンサ(Cr)の静電容量を小さい値にする方策も考えられる。しかし、この場合でも、前記したように、共振電流は図14の破線で示す経路(L01)を流れ、このとき特にスイッチ素子のオン抵抗が比較的大きいため、共振回路としてのQ値が小さい。そのため、共振の減衰が激しく、高次共振は利用できないことがわかる。
したがって、LC直列共振を利用する限り、前記共振コイル(Lr)のインダクタンスを小さくすることはできず、必然的に大きな値のものが必要になってしまう。しかしながら、ランプの始動を終えて定常点灯状態に入り、ランプの光を利用する段階では、前記共振コイル(Lr)の大きいインダクタンスは非常に邪魔な存在になってしまう。すなわち、前記共振コイル(Lr)の大きいインダクタンスが、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの不都合な現象を助長し、結果として前記した課題であるランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることについては、解決ができずに残ることになる。
特開平03−030291号 特開2003−217888号 特開2004−327117号
本発明が解決しようとする課題は、放電ランプを交流点灯する際に、ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することを達成した放電ランプ点灯装置を提供することにある。
本発明の請求項1の放電ランプ転倒装置は、一対の主放電のための電極(E1,E2)が対向配置された放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置であって、前記放電ランプ(Ld)に給電する給電回路(Ux)と、前記給電回路(Ux)の後段に設置され前記放電ランプ(Ld)に印加する電圧を極性反転させるインバータ(Ui)と、1次側巻線(Ph)および2次側巻線(Sh)を有する共振トランス(Th)と、共振コンデンサ(Ch)と、周期電圧印加手段(Uj)とを有し、前記共振トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)は、前記インバータ(Ui)の出力と前記放電ランプ(Ld)の主放電のための前記電極とを接続する経路の途中に介挿され、前記共振コンデンサ(Ch)は、前記共振トランス(Th)の前記1次側巻線(Ph)に並列に接続されて並列共振回路(Nh)を構成し、前記周期電圧印加手段(Uj)は、前記並列共振回路(Nh)に接続されており、前記周期電圧印加手段(Uj)は、前記放電ランプ(Ld)の始動期間において前記並列共振回路(Nh)に共振現象を生じる周波数で動作せしめられ、前記周期電圧印加手段(Uj)は、共振駆動用電源(Mh)と、共振駆動電流制限手段(Zh)と、共振駆動スイッチ素子(Kh)とが直列に接続されて構成され、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)のオン状態のときに前記並列共振回路(Nh)に電圧を印加する とともに、前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数に対し、前記並列共振回路(Nh)の共振周波数が2次以上の高次の共振となるように構成したことを特徴とするものである。
また、前記周期電圧印加手段(Uj)は、共振駆動用電源(Mh)と、共振駆動電流制限手段(Zh)と、1次側巻線(Pd)と2次側巻線(Sd)とを有する共振駆動トランス(Td)と、トランス駆動スイッチ素子(Kd)とを有し、前記共振駆動用電源(Mh)と前記1次側巻線(Pd)と前記トランス駆動スイッチ素子(Kd)とが接続され、前記トランス駆動スイッチ素子(Kd)の周期的動作によって前記2次側巻線(Sd)を介して前記並列共振回路(Nh)に電圧を印加することを特徴とするものである。
また、前記共振駆動電流制限手段(Zh)はインダクタンス素子を含んでおり、前記共振駆動電流制限手段(Zh)が前記並列共振回路(Nh)に電流を供給しない期間において、前記インダクタンス素子に流れていた電流に対応する磁気エネルギーを前記共振駆動用電源(Mh)に回生する方向の回生ダイオード(Dz)を前記共振駆動電流制限手段(Zh)に接続したことを特徴とするものである。
また、前記共振駆動電流制限手段(Zh)は、1次側巻線(Pz)と2次側巻線(Sz)とを有する電流制限回生トランス(Tz)の前記1次側巻線(Pz)であり、さらに、前記1次側巻線(Pz)が前記並列共振回路(Nh)に電流を供給しない期間において、前記1次側巻線(Pz)に流れていた電流に対応する磁気エネルギーを、前記共振駆動用電源(Mh)に回生する方向の回生ダイオード(Dsz)を前記2次側巻線(Sz)に対して直列に接続したことを特徴とするものである。
また、前記周期電圧印加手段(Uj)は、共振駆動用電源(Mh)と、1次側巻線(Py)と2次側巻線(Sy)とを有する共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)と、トランス駆動スイッチ素子(Ky)と回生ダイオード(Dsy)とを有し、前記共振駆動用電源(Mh)と前記1次側巻線(Py)と前記トランス駆動スイッチ素子(Ky)とが直列に接続され、前記共振駆動用電源(Mh)と前記並列共振回路(Nh)と前記2次側巻線(Sy)と前記回生ダイオード(Dsy)とが直列に接続されるように構成することにより、前記トランス駆動スイッチ素子(Ky)のオン状態のときに前記共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)に磁気エネルギーを蓄積し、前記トランス駆動スイッチ素子(Ky)のオフ状態のときに前記共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)に蓄積された磁気エネルギーを前記回生ダイオード(Dsy)を介して共振駆動用電源(Mh)に回生するとともに、前記並列共振回路(Nh)に電圧を印加することを特徴とするものである。
また、前記共振駆動用電源(Mh)は、DC電源(Mv)と接続されて電流供給を受けるための電流供給ダイオード(Dm)と、平滑コンデンサ(Cm)とを有し、前記周期電圧印加手段(Uj)から回生されるエネルギーによって前記平滑コンデンサ(Cm)の充電電位が昇圧されることを特徴とするものである。
また、前記並列共振回路(Nh)の電圧波形のうちの、前記周期電圧印加手段(Uj)の電圧印加能力を超えない期間のみにおいて、前記周期電圧印加手段(Uj)と前記並列共振回路(Nh)との間に電流が流れる方向の振幅制限防止ダイオード(Dk)を接続したことを特徴とするものである。
また、前記インバータ(Ui)がスイッチ素子を含み、該スイッチ素子が前記トランス駆動スイッチ素子を兼ねることを特徴とするものである。
また、前記インバータ(Ui)より後段における、前記放電ランプ(Ld)の主放電電流の経路に沿うインダクタンス成分の合計が170μH以下となるように構成したことを特徴とするものである。
また、前記放電ランプ(Ld)が主放電のための前記電極(E1,E2)以外の補助電極(Et)を前記放電空間に接しないように設けたものであって、放電ランプ点灯装置は、前記補助電極(Et)に高電圧を印加するためのスタータ回路(Ut)をさらに有し、前記スタータ回路(Ut)には、前記電極(E1,E2)に流れる主放電電流が実質的に流れないように構成されたことを特徴とするものである。
また、前記並列共振回路(Nh)の動作状態を検出し、前記並列共振回路(Nh)の共振周波数に対する前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数との差異に対応する同調度信号を生成する同調度検出手段と、前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数を規定する動作周波数データを初期化または保持することと前記同調度信号に基づいて前記動作周波数データを増加または減少することができる動作周波数データ保持増減手段とをさらに有し、前記動作周波数データ保持増減手段は、放電ランプ点灯装置の始動シーケンスの開始段階においては前記動作周波数データを初期化し、前記放電ランプ(Ld)が放電していない期間において前記動作周波数データを増加または減少し、前記放電ランプ(Ld)が放電している期間においては前記動作周波数データを保持することを特徴とするものである。
また、前記同調度検出手段は、前記並列共振回路(Nh)の電圧の振幅に対応する量に基づいて前記同調度信号を生成することを特徴とするものである。


本発明になる放電ランプ点灯装置は、放電ランプを交流点灯する際にも、ランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることと同時に、始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することを達成することができる。
先ず、本発明の放電ランプ点灯装置の一つの形態を簡略化して示すブロック図である図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
降圧チョッパや昇圧チョッパなどの方式のスイッチング回路などから構成される給電回路(Ux)は、放電ランプ(Ld)の状態あるいは点灯シーケンスに応じて、適合する電圧・電流を出力する。フルブリッジ回路などから構成されるインバータ(Ui)は、前記給電回路(Ux)の出力電圧を、例えば周期的に反転した交流電圧に変換して出力し、前記放電ランプ(Ld)の一対の主放電のための電極(E1,E2)に対し、共振トランス(Th)の2次側巻線(Sh)を介して印加される。
なお、ランプの始動に際して、無負荷開放電圧用として前記給電回路(Ux)が出力する電圧は典型的には200〜300V程度、グロー放電時のランプ電圧は典型的には100〜200V、アーク放電移行直後のランプ電圧は10V程度であり、前記給電回路(Ux)は、グロー放電時およびアーク放電時には、流れる電流が規定の制限電流値を超えないように制御される。
前記共振トランス(Th)の1次側巻線(Ph)には共振コンデンサ(Ch)が並列に接続され、この共振コンデンサ(Ch)と前記1次側巻線(Ph)とで並列共振回路(Nh)を構成する。このときの共振周波数は、主として前記共振コンデンサ(Ch)の静電容量と前記1次側巻線(Ph)のインダクタンスの積に依存して計算される。ただし、前記2次側巻線(Sh)側に、浮遊静電容量などの何らかのコンデンサ成分が含まれる場合は、前記した共振周波数の計算結果に補正が加わる。
始動時においては、前記並列共振回路(Nh)に対して、周期電圧印加手段(Uj)から周期的な電圧が印加される。前記周期電圧印加手段(Uj)の電圧の周波数に対して、前記した共振周波数が、基本波共振もしくは高次共振の関係、もしくはそれに近い関係になるとき、前記並列共振回路(Nh)には共振電流が流れ、前記1次側巻線(Ph)には高い電圧が発生する。前記1次側巻線(Ph)に発生した電圧に対し、前記2次側巻線(Sh)において、その巻数比に応じて変圧された電圧を誘起する。
例えば、ノード(T32)に対するノード(T31)の電圧が200Vであり、前記2次側巻線(Sh)に発生する交流電圧が、ピーク−ピーク値で±800Vであるならば、ノード(T42)とノード(T41)の間、すなわち前記放電ランプ(Ld)の主放電のための前記電極(E1,E2)には、−600〜1000Vの電圧が印加される。したがって、この状態において、図1には省略されている、前記した直列トリガ方式または外部トリガ方式による高電圧印加手段を併用すれば、前記した課題である始動時に放電ランプの確実な点灯性を確保することについて解決することができる。
ここで、注目すべきは、先に説明した図14の直列共振方式における共振回路の経路(L01)と比較した、本発明における共振経路、すなわち前記並列共振回路(Nh)の小ささである。この共振経路には、前記共振コンデンサ(Ch)と前記1次側巻線(Ph)のみが含まれるだけで、スイッチ素子などの余計なものは一切含まれない。したがって、前記した直列共振方式においては共振の減衰が激しく高次共振は利用できない問題があったのに対し、本発明においては共振経路の損失を極めて小さくすることができ、高次共振も容易に実現可能である。
そのため、共振周波数が高くなっても、周期電圧印加手段(Uj)の周波数は低く抑えることができるため、前記共振コンデンサ(Ch)の静電容量と前記1次側巻線(Ph)のインダクタンスの両方を小さくすることができる。前記共振コンデンサ(Ch)の静電容量を小さくできることは、共振電流を小さくできることを意味し、回路素子の小型化、低損失化、低コスト化に貢献する。
一方、本発明において前記1次側巻線(Ph)のインダクタンスを小さくできることは、前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスをも小さくできることを意味する。先に説明した図14の直列共振方式においては、共振コイルの大きいインダクタンスが、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの不都合な現象を助長する問題があったが、本発明においては、前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスを小さくできるため、前記した極性反転時の光束のオーバーシュートや振動などの不都合な現象が抑制され、結果として前記した課題であるランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることについても解決できることがわかる。
前記したDLP方式のプロジェクタ用の光源として用いる場合の、前記2次側巻線(Sh)の実用上の問題が無いインダクタンスの上限値を調べるため、135Wの放電ランプ(Ld)と、インバータの後段に種々のインダクタンスを有するコイルを挿入した放電ランプ点灯装置を、実際にプロジェクタに搭載し、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとらない動作条件にて、表示画質を観察・評価した実験によると、プレゼンテーション用のフロントプロジェクション型DLPプロジェクタの場合に、挿入インダクタンスが80μH以下であれば、実用上の問題が無いことが確認された。また、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとるならば、挿入インダクタンスをさらに増しても、170μH以下であれば、実用上の問題が無いことが確認された。
ただし、リアプロジェクション型テレビジョン用のDLPプロジェクタ用途の場合は、中間調画質要求が厳しいため、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとるか、または挿入インダクタンスを55μH以下とすることが望ましい。この用途のときは、色フィルタの回転に対するインバータの極性反転タイミングの同期をとる場合でも、挿入インダクタンスは120μH以下とすることが望ましいとの結果を得ている。
なお、前記1次側巻線(Ph)の巻数に対する前記2次側巻線(Sh)の巻数比を大きくするほど、トランスとしての昇圧能力が増して、前記2次側巻線(Sh)に誘起される電圧を高める点では有利であるが、この巻数比を大きくするほど、前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスが大きくなるため、設計においては、前記共振トランス(Th)の前記した昇圧能力と前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスのバランスを考慮する必要がある。
なお、前記した本発明の放電ランプ点灯装置の形態において、簡略化して示すさらなるブロック図である図2に記載のように、前記共振トランス(Th)は、2次巻線が1個のみを有するものに限定されるものではなく、前記2次側巻線(Sh)の他に2次側巻線(Sh’)をさらに有し、前記2次側巻線(Sh)を前記放電ランプ(Ld)の一方の前記電極(E1)に接続し、前記2次側巻線(Sh’)を前記放電ランプ(Ld)の他方の前記電極(E2)に接続するように構成することもできる。この場合、前記一方の電極(E1)が前記2次側巻線(Sh)から印加される電圧波形の位相と、前記他方の電極(E2)が前記2次側巻線(Sh’)から印加される電圧波形の位相とは、逆位相であるように接続する。
このように構成することにより、もし、図1の放電ランプ点灯装置の前記共振トランス(Th)の前記1次側巻線(Ph)と、図2の放電ランプ点灯装置の前記共振トランス(Th)の前記1次側巻線(Ph)の巻数が同じで、図1の放電ランプ点灯装置の前記共振トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)と、図2の放電ランプ点灯装置の前記共振トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)および前記2次側巻線(Sh’)の巻数が同じであるならば、図2の放電ランプ点灯装置の方が図1の放電ランプ点灯装置のものよりも、前記放電ランプ(Ld)への電圧の印加能力が2倍に増強されることになり有利である。このことは、もし前記放電ランプ(Ld)への印加電圧が同じでよいのであれば、図1の放電ランプ点灯装置のものの場合に比べて、各部の電圧を半分にすることができることを意味するため、回路素子の耐圧設計が容易となる利点がある。
次に、本発明の放電ランプ点灯装置の他の形態を簡略化して示すブロック図である図3を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、前記周期電圧印加手段(Uj)の構成の一つを示すもので、図1との関連がわかり易いよう、前記共振トランス(Th)および前記共振コンデンサ(Ch)、前記放電ランプ(Ld)などをも合わせて記載してある。
本発明の前記並列共振回路(Nh)に周期的な電圧を印加するためには、前記並列共振回路(Nh)と共振駆動用電源(Mh)とを接続および切断する動作を、周期的に繰り返すように構成することで実現できる。そのためには、MOSFETやバイポーラトランジスタなどによる共振駆動スイッチ素子(Kh)を用いることが好適である。これはゲート駆動回路(Gkh)により制御される。ただし、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)がオン状態になった瞬間において、前記共振コンデンサ(Ch)を通じて共振駆動電流にサージ電流が混入する可能性があるため、抵抗などの共振駆動電流制限手段(Zh)を挿入することが望ましい。
前記共振駆動スイッチ素子(Kh)のオン・オフ動作の周波数は、前記並列共振回路(Nh)共振周波数を、共振動作の次数で除した周波数(したがって基本波共振させる場合は共振周波数付近の周波数)に近い周波数とすればよい。また、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)のオン・オフ動作周期のなかのオン時間の長さについては、共振動作の次数によらず、前記並列共振回路(Nh)の共振振動の半周期以下の適当な時間が望ましく、具体的には、実際の回路に基づいて、最適な時間長さを決定するとよい。
なお、前記共振駆動用電源(Mh)については、最も簡単には適当なDC電源を用いればよく、また前記給電回路(Ux)の出力をそのまま用いることもできる。
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の他の形態を簡略化して示す図4を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、周期電圧印加手段(Uj)の構成の一つを示すもので、図1との関連がわかり易いよう、前記共振トランス(Th)および前記共振コンデンサ(Ch)、前記放電ランプ(Ld)などをも合わせて記載してある。
先の図3のものでは、並列共振回路(Nh)には、最大でも共振駆動用電源(Mh)の電圧が印加されるに過ぎず、前記共振駆動用電源(Mh)の電圧によっては、放電ランプ(Ld)に十分な電圧を与えられないこともある。また、共振駆動スイッチ素子(Kh)と並列共振回路(Nh)とは直流的に接続されていなければならないが、スイッチ素子が設置される回路上の位置によっては、スイッチ素子と並列共振回路(Nh)とが直流的に接続されなければならないことが不都合な場合もある。実際、このスイッチ素子をインバータ(Ui)のスイッチ素子に兼ねさせようとする場合にこのような状況になる可能性がある。
このような場合は、1次側巻線(Pd)と2次側巻線(Sd)とを有する共振駆動トランス(Td)を設け、前記1次側巻線(Pd)を、ゲート駆動回路(Gkd)で制御されるトランス駆動スイッチ素子(Kd)で駆動し、前記2次側巻線(Sd)を介して並列共振回路(Nh)に電圧を印加するようにする。その際、前記1次側巻線(Pd)と前記2次側巻線(Sd)の巻数比を適当に設定することにより、前記並列共振回路(Nh)に印加する電圧を所望の値にすることができ、また前記1次側巻線(Pd)と前記2次側巻線(Sd)とが絶縁されたトランス構造とすることにより、前記並列共振回路(Nh)と前記トランス駆動スイッチ素子(Kd)とが直流的に接続されないものとすることができる。
前記共振駆動トランス(Td)は、1次巻線を1個のみ有するものに限定されるものではなく、本図の構成の場合は、前記共振駆動トランス(Td)には、もう一つの1次側巻線(Pd’)を追加し、前記トランス駆動スイッチ素子(Kd)がオフ状態になったときに、トランスに蓄積されていた磁気エネルギーを、ダイオード(Dd)を介した電流によって前記共振駆動用電源(Mh)に回生するとともに、前記共振駆動トランス(Td)をリセットしている。また、トランス駆動スイッチ素子は、1個のみに限定されるものではなく、複数のスイッチ素子によって機能が実現されるものでも構わない。例えば、後述する、インバータ(Ui)のスイッチ素子がそれを兼ねる実施例では、2個のスイッチ素子によって前記共振駆動トランス(Td)の駆動機能を実現している。
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の他の形態を簡略化して示す図5を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、共振駆動電流制限手段(Zh)の構成の一つを示すもので、図1との関連がわかり易いよう、前記共振トランス(Th)および前記共振コンデンサ(Ch)、前記放電ランプ(Ld)などをも合わせて記載してある。
前記したように、共振駆動電流制限手段(Zh)として抵抗を用いることもできるが、これに流す実効電流値によっては、その損失、したがって発熱が大きく、実現が困難になる場合がある。そのような場合は、前記共振駆動電流制限手段(Zh)を、コイルなどのインダクタンス素子を含むインピーダンス素子とし、電流制限機能を、そのインピーダンスによって少なくとも部分的に担わせ、ゲート駆動回路(Gkh)により制御される共振駆動スイッチ素子(Kh)がオフ状態になって並列共振回路(Nh)への電流の供給を停止したときに、回生ダイオード(Dz)を介した電流として前記インダクタンス素子の磁気エネルギーを共振駆動用電源(Mh)の側に回生する構成とすることにより、前記した困難を解決することができる。
なお、前記インダクタンス素子が単純コイルである場合は、電流を回生する経路の前記共振駆動用電源(Mh)の側への接続先としては、前記共振駆動用電源(Mh)の出力のノード(Tmo)を避けることが望ましい。何となれば、前記インダクタンス素子と前記回生ダイオード(Dz)とで閉ループが構成され、循環電流が流れ続けるからである。
したがって、電流を回生する経路の前記共振駆動用電源(Mh)の側への接続先としては、例えばスイッチ素子等によって前記出力のノード(Tmo)と隔てられた部分とするとよい。実際、後述する実施例に示すように、前記共振駆動用電源(Mh)を前記給電回路(Ux)の出力のノード(T11)から得る場合は、前記給電回路(Ux)の入力のノード(T01)に回生することができる。
なお、前記共振駆動電流制限手段(Zh)は、コイルなどのインダクタンス素子以外にも、コンデンサや抵抗などを併用するものとすることができる。コイルは共振駆動電流の流れ始めの期間での電流立上りが遅いが、逆にコンデンサはこの期間での電流立上りが早いため、コンデンサはと抵抗を直列したものをコイルに並列接続したものが、特に有効に利用できる。
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の他の形態を簡略化して示す図6を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、共振駆動電流制限手段(Zh)の構成の一つを示すもので、図1との関連がわかり易いよう、前記共振トランス(Th)および前記共振コンデンサ(Ch)、前記放電ランプ(Ld)などをも合わせて記載してある。
本図の構成は、電流制限回生トランス(Tz)の1次側巻線(Pz)のインダクタンスによって共振駆動電流の制限を行い、またゲート駆動回路(Gkh)により制御される共振駆動スイッチ素子(Kh)がオフ状態になって並列共振回路(Nh)への電流の供給を停止したときに、回生ダイオード(Dsz)を介した電流として前記電流制限回生トランス(Tz)の磁気エネルギーを、2次側巻線(Sz)から共振駆動用電源(Mh)に回生するものである。この場合は、前記1次側巻線(Pz)と前記回生ダイオード(Dsz)とによる閉ループが構成されないため、前記共振駆動用電源(Mh)の出力ノードを含めた任意の部分に対して回生先を設けることができる利点がある。
本図においては、前記1次側巻線(Pz)の配置位置として、前記共振駆動用電源(Mh)の出力ノードに接続される位置とする場合を記載しているが、この位置に限定されるものではない。前記1次側巻線(Pz)の配置位置として、例えば、並列共振回路(Nh)と共振駆動スイッチ素子(Kh)との間に設定することもできる。
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の他の形態を簡略化して示す図7を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、周期電圧印加手段(Uj)の構成の一つを示すもので、図1との関連がわかり易いよう、前記共振トランス(Th)および前記共振コンデンサ(Ch)、前記放電ランプ(Ld)などをも合わせて記載してある。
本図の構成は、ゲート駆動回路(Gky)に制御されるトランス駆動スイッチ素子(Ky)がオン状態である期間に、共振駆動用電源(Mh)から共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)の1次側巻線(Py)に電流を流して、前記共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)に磁気エネルギーを蓄積し、前記トランス駆動スイッチ素子(Ky)がオフ状態になったときに、所謂フライバック動作によって、2次側巻線(Sy)から回生ダイオード(Dsy)を介した電流として前記共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)に蓄積された磁気エネルギーを前記共振駆動用電源(Mh)に回生するとともに、並列共振回路(Nh)に電圧を印加するものである。
この場合、前記1次側巻線(Py)と前記2次側巻線(Sy)の巻数比を適当に設定することにより、前記並列共振回路(Nh)に印加する電圧を所望の値にすることができ、また前記1次側巻線(Py)と前記2次側巻線(Sy)とが絶縁されたトランス構造とすることにより、前記並列共振回路(Nh)と前記トランス駆動スイッチ素子(Ky)とが直流的に接続されないものとすることができ、回路構成の自由度が高まる利点がある。
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の他の形態を簡略化して示す図8を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。本図は、周期電圧印加手段(Uj)、および共振駆動用電源(Mh)の構成の一つを示すもので、図1との関連がわかり易いよう、前記共振トランス(Th)および前記共振コンデンサ(Ch)、前記放電ランプ(Ld)などをも合わせて記載してある。
本図の構成においては、共振駆動用電源(Mh)は、DC電源(Mv)からの出力を電流供給ダイオード(Dm)と平滑コンデンサ(Cm)を介して並列共振回路(Nh)に電流を供給するものとしている。また、共振駆動電流制限手段(Zh)などは、それに含まれるトランスから蓄積された磁気エネルギーを回生するものによって構成されている。
このように構成することにより、トランスに磁気エネルギーを蓄積する期間においては、前記並列共振回路(Nh)に対して前記平滑コンデンサ(Cm)から電荷が放出され、その電圧が低下する傾向にあるが、前記電流供給ダイオード(Dm)を介した前記DC電源(Mv)からの電荷の補充があるため、前記平滑コンデンサ(Cm)の電圧低下量は、前記DC電源(Mv)の出力インピーダンスに依存した量に制限される。一方、蓄積された磁気エネルギーが前記平滑コンデンサ(Cm)に回生されるときは、前記電流供給ダイオード(Dm)によって前記DC電源(Mv)への電流の逆流が阻止されるため、前記平滑コンデンサ(Cm)の電圧が前記DC電源(Mv)の電圧よりも昇圧されることになる。
このように前記共振駆動用電源(Mh)の電圧が昇圧されることは、放電ランプ(Ld)への印加電圧を高める上で有利に作用する。このときの昇圧の程度については、この周期電圧印加手段(Uj)の動作の1周期内において、前記並列共振回路(Nh)などにおいて消費されるエネルギーと、前記平滑コンデンサ(Cm)に回生されるエネルギーと、前記DC電源(Mv)の出力インピーダンスによって決まる。なお、前記DC電源(Mv)は、前記給電回路(Ux)の出力ノード、あるいは前記給電回路(Ux)の入力ノードなどから得ることができる。
さらに本図の構成においては、振幅制限防止ダイオード(Dk)が周期電圧印加手段(Uj)の一部としての共振駆動スイッチ素子(Kh)に接続されており、これにより共振現象の増強、すなわち放電ランプ(Ld)への印加電圧をより高める効果を得ることができる。何となれば、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)が例えばMOSFETである場合は、ソース端子からドレイン端子に向かって順方向となる寄生ダイオードが素子自体に内蔵されている(図示を省略)ため、共振現象が成長してノード(Tnh)の電位が負になろうとしても、もし前記振幅制限防止ダイオード(Dk)が無ければ、前記寄生ダイオードによって、ノード(Tnh)の電位は概ね零ボルトにクランプされてしまうが、前記振幅制限防止ダイオード(Dk)の設置によって前記したクランプ現象が阻止されるからである。
なお、バイポーラトランジスタのような、前記寄生ダイオードが存在しない素子であっても、一般に逆電圧の印加により素子が破損される恐れがあるため、前記寄生ダイオードに相当するダイオードを、逆並列に接続することが望ましく、結果的に前記振幅制限防止ダイオード(Dk)を接続することで共振現象の増強効果が得られることになる。
次に、発明を実施するための形態について、より具体的な構成を示した実施例図面を用いて説明する。図9は、本発明の放電ランプ点灯装置で使用することのできる給電回路(Ux)の簡略化された一例を示すものである。降圧チョッパ回路を基本とした給電回路(Ux)は、PFC等のDC電源(Mx)より電圧の供給を受けて動作し、放電ランプ(Ld)への給電量調整を行う。前記給電回路(Ux)においては、FET等のスイッチ素子(Qx)によって前記DC電源(Mx)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lx)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ、この電圧が放電ランプ(Ld)に印加され、放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。
なお、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間は、スイッチ素子(Qx)を通じた電流により、直接的に平滑コンデンサ(Cx)への充電と負荷である放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、チョークコイル(Lx)に磁束の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qx)がオフ状態の期間は、チョークコイル(Lx)に磁束の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dx)を介して平滑コンデンサ(Cx)への充電と放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
前記降圧チョッパ型の給電回路(Ux)においては、前記スイッチ素子(Qx)の動作周期に対する、前記スイッチ素子(Qx)がオン状態の期間の比、すなわちデューティサイクル比により、前記放電ランプへの給電量を調整することができる。ここでは、あるデューティサイクル比を有するゲート駆動信号(Sg)が給電制御回路(Fx)によって生成され、ゲート駆動回路(Gx)を介して、前記スイッチ素子(Qx)のゲート端子を制御することにより、前記したDC電源(Mx)よりの電流のオン・オフが制御される。
前記放電ランプ(Ld)の電極(E1,E2)間を流れるランプ電流と、電極(E1,E2)間に発生するランプ電圧とは、ランプ電流検出手段(Ix)と、ランプ電圧検出手段(Vx)とによって、検出できるように構成される。なお、前記ランプ電流検出手段(Ix)については、シャント抵抗を用いて、また前記ランプ電圧検出手段(Vx)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。
前記ランプ電流検出手段(Ix)よりのランプ電流検出信号(Si)、および前記ランプ電圧検出手段(Vx)よりのランプ電圧検出信号(Sv)は、前記給電制御回路(Fx)に入力される。前記給電制御回路(Fx)は、ランプ始動時の、ランプ電流が流れていない期間においては、無負荷開放電圧をランプに印加するために所定の電圧を出力するよう、前記ゲート駆動信号(Sg)をフィードバック的に生成する。ランプが始動して放電電流が流れると、目標ランプ電流が出力されるよう前記ゲート駆動信号(Sg)をフィードバック的に生成する。ここで前記目標ランプ電流は、前記放電ランプ(Ld)の電圧に依存して、前記放電ランプ(Ld)に投入される電力が所定の電力となるような値を基本とする。ただし、始動直後は、前記放電ランプ(Ld)の電圧が低く、定格電力を供給できないため、前記目標ランプ電流は、初期制限電流と呼ばれる一定の制限値を超えないように制御される。そして温度上昇とともに前記放電ランプ(Ld)の電圧が上昇し、所定の電力投入に必要な電流が前記初期制限電流以下になると、前記した所定の電力投入が実現できる状態に滑らかに移行する。
図10は、本発明の放電ランプ点灯装置で使用することのできるインバータ(Ui)の簡略化された一例を示すものである。インバータ(Ui)は、FET等のスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)を用いたフルブリッジ回路により構成してある。それぞれのスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)は、それぞれのゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)により駆動され、前記ゲート駆動回路(G1,G2,G3,G4)は、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)がオン状態の位相においては、他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)はオフ状態に維持され、逆に他方の対角要素の前記スイッチ素子(Q2)と前記スイッチ素子(Q4)がオン状態の位相においては、一方の対角要素の前記スイッチ素子(Q1)と前記スイッチ素子(Q3)はオフ状態に維持されるよう、インバータ制御回路(Uf)により生成されるインバータ制御信号(Sf1,Sf2)により制御される。前記した2つの位相の切換えを行うときは、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)の全てがオフ状態になる、デッドタイムと呼ばれる期間が挿入される。
なお、前記スイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)が例えばMOSFETである場合は、ソース端子からドレイン端子に向かって順方向となる寄生ダイオードが素子自体に内蔵されている(図示を省略)が、バイポーラトランジスタのような、前記寄生ダイオードが存在しない素子の場合は、前記した位相の切換え時、またはデッドタイムの期間において、インバータ(Ui)の後段に存在しているインダクタンス成分に起因する誘導電流が流れようとすることにより、逆電圧の発生により素子が破損される恐れがあるため、前記寄生ダイオードに相当するダイオードを、逆並列に接続することが望ましい。
図11は、先に図3および図6、図8に基づいて説明した技術を組合わせた、本発明の放電ランプ点灯装置の構成を簡略化して示す図である。
周期電圧印加手段(Uj)の共振駆動用電源は、DC電源としての前記給電回路(Ux)から給電を受け、電流供給ダイオード(Dm)と平滑コンデンサ(Cm)とを介して、共振トランス(Th)の1次側巻線(Ph)と共振コンデンサ(Ch)からなる並列共振回路(Nh)に対し、電圧を印加する。MOSFET等を用いた共振駆動スイッチ素子(Kh)は、ゲート駆動回路(Gkh)の制御を受けて周期的にオンとオフの状態を繰り返す。前記並列共振回路(Nh)には、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)がオン状態のときに、電流制限回生トランス(Tz)の1次側巻線(Pz)を介して駆動電流が供給される。前記共振駆動スイッチ素子(Kh)がオフ状態になると、前記電流制限回生トランス(Tz)に蓄積されていた磁気エネルギーが、その2次側巻線(Sz)から回生ダイオード(Dsz)を介する電流として前記平滑コンデンサ(Cm)に回生される。
また、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)は、振幅制限防止ダイオード(Dk)を介して前記並列共振回路(Nh)に電圧を印加するようにしているため、前記並列共振回路(Nh)の共振現象が成長して前記振幅制限防止ダイオード(Dk)のアノード側の電位が負になる期間が発生したときも、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)の寄生ダイオードによる負電位のクランプ現象を前記振幅制限防止ダイオード(Dk)が阻止するため、前記並列共振回路(Nh)の共振現象の成長が促進される。そして、前記振幅制限防止ダイオード(Dk)と前記電流供給ダイオード(Dm)、前記平滑コンデンサ(Cm)、前記回生ダイオード(Dsz)の協働により、効果的に前記平滑コンデンサ(Cm)の電圧が昇圧され、前記並列共振回路(Nh)の共振現象の成長がさらに促進される。
このような前記周期電圧印加手段(Uj)の動作により、前記並列共振回路(Nh)の共振現象が成長して、前記共振トランス(Th)の前記1次側巻線(Ph)の電圧振幅が増大し、したがって2次側巻線(Sh)には高い交流電圧が発生する。この高い電圧は、インバータ(Ui)の出力のノード(T31,T32)に現れている、前記給電回路(Ux)からの無負荷開放電圧に重畳され、ノード(T41,T42)に接続された放電ランプ(Ld)の主放電のための電極(E1,E2)に印加される。
外部トリガ方式の前記放電ランプ(Ld)には、主放電のための前記電極(E1,E2)以外の補助電極(Et)が放電空間に接しないように設けられている。前記補助電極(Et)には、スタータ回路(Ut)のスタータトランス(Tt)の2次側巻線(St)で発生する高電圧パルスが印加されるように構成されている。前記スタータ回路(Ut)においては、DC電源としての前記給電回路(Ux)からの無負荷開放電圧を受けて、抵抗(Rt)および前記スタータトランス(Tt)の1次側巻線(Pt)を介して、比較的ゆっくりとコンデンサ(Ct)が充電される。前記コンデンサ(Ct)の充電電圧が所定電圧に達すると、サイダック等の電圧感応素子で構成されたスイッチ素子(Qt)がオン状態に移行し、前記コンデンサ(Ct)の電圧は、前記1次側巻線(Pt)にパルス的に印加され、前記スタータトランス(Tt)の前記2次側巻線(St)に高電圧パルスが発生するように動作する。なお、前記スイッチ素子(Qt)には、後述する図12のスタータ回路(Ut’)部に記載されているような、SCRなどのトリガ端子を有するものを利用することもできる。
前記したように、前記放電ランプ(Ld)の主放電のための前記電極(E1,E2)に前記共振トランス(Th)からの高い交流電圧が印加された状態で、前記したように、前記放電ランプ(Ld)の前記補助電極(Et)に前記スタータトランス(Tt)からの高電圧パルスが印加されることにより、非常に高い確度で前記放電ランプ(Ld)の主放電を始動することが可能となる。前記放電ランプ(Ld)の主放電が開始後は、もし、放電の立消えが発生する心配が無い場合は、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)の周期的なオン・オフ動作を停止させてもよい。
しかし、放電の立消えが発生する可能性がある条件または期間においては、前記放電ランプ(Ld)の主放電が開始後も、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)の周期的なオン・オフ動作を継続するようにしてもよい。この場合、前記放電ランプ(Ld)の主放電中は、前記電極(E1,E2)間のインピーダンスは低くなるため、前記並列共振回路(Nh)のQ値が低下し、前記共振トランス(Th)は高い電圧を発生しないが、放電の立消えが発生したときは、前記並列共振回路(Nh)のQ値が高い状態に回復するため、直ちに前記並列共振回路(Nh)の共振現象が成長して前記共振トランス(Th)に高い交流電圧が発生し、再始動が試行されるように動作する。
あるいは、放電ランプの放電状態は前記ランプ電圧検出信号(Sv)により識別可能であるから、放電中は前記共振駆動スイッチ素子(Kh)の動作を停止させ、立消えを検出した場合は前記共振駆動スイッチ素子(Kh)の動作を再開させるように制御するようにしてもよい。
本図で示した外部トリガ方式のランプの場合、主放電のための電流経路には、前記スタータトランス(Tt)の前記2次側巻線(St)は含まれない。したがって、定常点灯状態において前記インバータ(Ui)より後段に含まれるインダクタンス成分は、前記共振トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)のみであるから、外部トリガ方式を採用することは、前記した課題であるランプ印加電圧の極性反転時の光束の変動を小さくすることの解決に非常に好適であることがわかる。
なお、ノード(T11)とノード(T21)との間に設けたチョークコイル(Ls)は、放電開始時においては、前記給電回路(Ux)の出力電圧は、無荷開放電圧用の電圧から放電ランプ(Ld)が規定するアーク放電の低いランプ電圧まで急激に低下しなければならないが、このときに、前記平滑コンデンサ(Cx)の蓄積電荷などに起因して流れる可能性のある突入電流を低減するためのものである。また、コンデンサ(Cs)およびダイオード(Ds)、抵抗(Rs1,Rs2)は、前記した突入電流を増加することなく、定常点灯時の前記共振トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)のインダクタンスに起因する、前記インバータ(Ui)の極性反転時のランプ電流の瞬断やオーバーシュート、振動などをさらに低減するために設けたもので、前記抵抗(Rs1,Rs2)は突入電流低減と振動のダンピングのため、前記ダイオード(Ds)は、前記コンデンサ(Cs)への充電時と放電時とで、作用する抵抗値を変えるためのものである。
これらの定数は、実際に回路を動作させて試行錯誤的に決定すればよい。本明細書の他の図の放電ランプ点灯装置においては、前記チョークコイル(Ls)、前記コンデンサ(Cs)、前記ダイオード(Ds)、前記抵抗(Rs1,Rs2)などの記載は省略されているが、必要に応じて、適宜設けることが望ましい。
ここで、参考のために図11(および図9)の放電ランプ点灯装置の構成に現れる回路素子定数の組合せの一例を記載しておく。
Lx:1.08mH
Cx:470nF
Ls:388μH
Cs:1μF
Rs1:22Ω
Rs2:33Ω
Cm:100nF
Ph:8.6μH
Sh:38μH
Ch:33nF
Pz:66μH
Sz:66μH
このときの前記並列共振回路(Nh)の共振周波数は約300kHzで、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)は、前記共振周波数が3次共振となる周波数で動作させ、始動時の前記給電回路(Ux)の出力電圧を200Vのときに、前記放電ランプ(Ld)には、ピーク値800V以上の電圧を印加することができた。
なお、前記スタータトランス(Tt)の前記2次側巻線(St)から前記放電ランプ(Ld)の前記補助電極(Et)に至る経路は高電圧であるため短い程有利であり、図において、ノード(T41,T4a,T4b,T42)を結ぶ一点鎖線よりランプ側の部分を放電ランプ点灯装置から分離して、一つのユニットに構成することが有利である。
前記したように、前記並列共振回路(Nh)の共振周波数は、前記共振コンデンサ(Ch)の静電容量の値と前記1次側巻線(Ph)のインダクタンスの値の積に依存して決まるが、部品にはバラツキが存在するし、これに前記共振トランス(Th)の2次側の環境、すなわち接続されるケーブルの長さや、ケーブルと他の導体との近接の程度などの影響が加わるため、共振周波数を予め厳密に設定することは困難である。
したがって、実際に前記周期電圧印加手段(Uj)の動作を開始してから、共振現象が強まるように、前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数をスイープしフィードバック制御する、自動同調の方法が実用的である。この場合、想定されるバラツキ分を見越して、共振周波数よりも確実に高い周波数を周波数初期値として、周波数を下げる方向にスイープする、あるいは逆に、共振周波数よりも確実に低い周波数を周波数初期値として、周波数を上げる方向にスイープするように制御するとよい。
自動同調を行うためには、共振周波数に対する前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数の合い具合、すなわち同調度を検出して同調度信号を生成する同調度検出手段を備える必要があるが、これは、例えば前記並列共振回路(Nh)の電圧の振幅を測定することにより検出することができる。このときの振幅の測定は、前記並列共振回路(Nh)の電圧の最大値、または最小値をホールドする回路により実現することができる。あるいは、前記同調度検出手段は、前記周期電圧印加手段(Uj)の動作と前記並列共振回路(Nh)の動作の位相に基づいて検出するものとすることができる。
前記した自動同調を行うためには、少なくとも前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数をスイープする機能について、次のような構成により実現することができる。
すなわち、前記周期電圧印加手段(Uj)は、共振駆動発振器を有し、その発振周波数、すなわち動作周波数をこれに対応する動作周波数データを設定することにより発現できるように構成した上で、放電ランプ点灯装置の始動シーケンスの開始段階においては前記した周波数初期値によって前記動作周波数データを初期化し、放電開始前なとのランプに放電は発生していない期間においては経時的に前記動作周波数データを増加または減少(あるいは増加も減少もせずに保持)し、最初の放電発生時、もしくは立消え後の再始動放電発生時のランプに放電は発生している期間においては前記動作周波数データを保持するように構成する。
このように構成することにより、放電ランプの放電が開始したときは動作周波数の記憶を保持しておき、もし、放電の立消えが発生した場合は、保持しておいた動作周波数の記憶に基づいて、直ちに放電ランプの放電開始前の同調状態を再現することができ、したがって、同調状態を見出すための周波数スイープ動作を初期状態から再試行する時間を節約することができるため、立消え後の再始動の成功確率を向上できる。
このような放電ランプ点灯装置の実現のためには、前記共振駆動発振器は一方の極性(例えばハイレベル)の期間が概略一定で、他方の極性(例えばローレベル)の期間が可変のVCO(電圧信号などの周波数制御信号で発振周波数を制御できる発振器)で構成し、前記動作周波数データとしての周波数制御信号を生成するための動作周波数データ保持増減手段は、ランプの放電期間は出力を保持し、ランプの非放電期間は前記同調度信号の極性(例えばハイレベルとローレベルの別)に基づいて出力を増減する積分回路で構成すればよい。なお、前記した一方の極性の期間としては、先に図3に関連して記載した、前記並列共振回路(Nh)の共振振動の半周期以下の適当な時間に設定することが好適である。
あるいは、前記動作周波数データ保持増減手段は、適当なクロック信号が入力されるアップダウンカウンタを用いて、ランプの放電期間は前記クロック信号を無効にすることによって値を保持し、ランプの非放電期間は前記クロック信号を有効にして前記同調度信号の極性に基づいてアップカウントまたはダウンカウントを行うよう構成し、前記アップダウンカウンタのカウントデータをDA変換して、前記周波数制御信号として前記VCOに供給するように構成してもよい。
さらに、前記アップダウンカウンタの前記した動作を実行するようプログラムされたマイクロプロセッサを用いて構成してもよい。また、マイクロプロセッサのタイマ・カウンタ機能を利用して、前記アップダウンカウンタおよび前記VCOの前記した動作を実行するようプログラムされたマイクロプロセッサを用いて構成してもよい。
図12は、先に図4に基づいて説明した技術、およびインバータのスイッチ素子に前記トランス駆動スイッチ素子を兼ねさせる技術を組合わせた、本発明の放電ランプ点灯装置の構成を簡略化して示す図である。
本図の放電ランプ点灯装置においては、放電ランプ(Ld)の始動時においては、インバータ(Ui)の動作周波数を、並列共振回路(Nh)の基本波または高次の共振を励起する周波数で動作させるものである。例えばスイッチ素子(Q3)とスイッチ素子(Q4)とは交互にオン状態とオフ状態を繰り返すため、これらによって、偏励磁防止用のコンデンサ(Cd)を介して共振駆動トランス(Td)の1次側巻線(Pd)を駆動させる。(スイッチ素子(Q1,Q2)を利用してもよい)このとき、前記スイッチ素子(Q3,Q4)のオン時間のデューティ比は、前記並列共振回路(Nh)の励起したい次数に適合した値に設定する必要がある。ただし、前記共振駆動トランス(Td)とインバータ(Ui)との結合を開閉制御するためのスイッチ素子(Kc)がオン状態を維持するよう、ゲート駆動回路(Gkc)を制御しておく。
前記共振駆動トランス(Td)の2次側巻線(Sd)には必要な電圧変換が施された周期的電圧が発生するため、共振駆動電流制限手段としての抵抗(Rzh)を介して、共振トランス(Th)の1次側巻線(Ph)と共振コンデンサ(Ch)からなる並列共振回路(Nh)に電圧を印加し、前記共振トランス(Th)の2次側巻線(Sh)に高い交流電圧を発生させることができる。
本図においては、直列トリガ方式のスタータ回路(Ut’)とランプを搭載する放電ランプ点灯装置を記載してある。前記スタータ回路(Ut’)においては、DC電源としての前記給電回路(Ux)からの無負荷開放電圧を受けて、抵抗(Rt’)およびスタータトランス(Tt’)の1次側巻線(Pt’)を介して、比較的ゆっくりとコンデンサ(Ct’)が充電される。前記コンデンサ(Ct’)の充電電圧が所定電圧に達した後に、SCR等で構成されたスイッチ素子(Qt’)が、ゲート駆動回路(Gt’)の制御を受けてオン状態に移行し、前記コンデンサ(Ct’)の電圧は、前記1次側巻線(Pt’)にパルス的に印加され、前記スタータトランス(Tt’)の前記2次側巻線(St’)に高電圧パルスが発生するように動作する。
放電ランプ(Ld)に直列接続された前記共振トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)からの高い交流電圧を印加した状態で、同じく放電ランプ(Ld)に直列接続された前記スタータトランス(Tt’)の前記2次側巻線(St’)に高電圧パルスを重畳することにより、非常に高い確度で前記放電ランプ(Ld)の主放電を始動することが可能となる。前記放電ランプ(Ld)の主放電が開始し、放電の立消えが発生する心配が無くなった段階で、ゲート駆動回路(Gkc)を制御してスイッチ素子(Kc)がオフ状態にし、また必要なタイミングで、インバータ(Ui)の動作周波数を定常点灯状態に適合する周波数に変更する。
なお、ここでは、前記共振駆動トランス(Td)と前記インバータ(Ui)との結合を開閉制御するための前記スイッチ素子(Kc)を設ける実施例を示したが、定常点灯状態における前記インバータ(Ui)の動作周波数が低周波であり、前記コンデンサ(Cd)の大きさとも関連して、前記共振駆動トランス(Td)と前記インバータ(Ui)との結合を保ったままでも、定常点灯状態の動作に支障が無い場合は、前記スイッチ素子(Kc)を省略することもできる。
また、本図のように直列トリガ方式を用いる場合は、前記した外部トリガ方式と異なり、定常点灯時においても前記スタータ回路(Ut’)の前記2次側巻線(St’)に電流が流れるため、これのインダクタンスはできるだけ小さく設定することが有利である。なお、前記インバータ(Ui)の出力のノード(T31,T32)に接続されたコンデンサ(Cpt)は、前記共振トランス(Th)または前記スタータ回路(Ut’)の動作時に、サージ電圧などの高い電圧が前記インバータ(Ui)のスイッチ素子(Q1,Q2,Q3,Q4)に印加されて破損することを防止するためのものである。
図13は、先に図3および図5に基づいて説明した技術を組合わせた、本発明の放電ランプ点灯装置の構成を簡略化して示す図である。
本図の放電ランプ点灯装置においては、前記給電回路(Ux)を共振駆動用電源として利用し、共振駆動電流制限手段としてのコイル(Lz)を介して、並列共振回路(Nh)に電圧を印加する構成としている。共振駆動スイッチ素子(Kh)がオン状態において前記コイル(Lz)に蓄積された磁気エネルギーを、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)がオフ状態になったときに、回生ダイオード(Dz)を介した電流として、前記給電回路(Ux)の入力側である前記DC電源(Mx)の出力のノード(T01)に回生するように動作する。
本明細書に記載の回路構成は、本発明の放電ランプ点灯装置の動作や機能、作用を説明するために、必要最少限のものを記載したものである。
したがって、説明した回路構成や動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計時に遂行されることを前提としている。
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因からFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。本発明になる放電ランプ点灯装置の構成は、本明細書に記載の回路方式のものに限定されるものではない。
本発明の放電ランプ点灯装置を簡略化して示すブロック図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置を簡略化して示すブロック図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態を簡略化して示すブロック図を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の一部の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。 本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態の簡略化された構成を表す。 従来の放電ランプ点灯装置の一形態の簡略化された構成を表す。
符号の説明
Cd コンデンサ
Ch 共振コンデンサ
Cm 平滑コンデンサ
Cpt コンデンサ
Cr 共振コンデンサ
Cs コンデンサ
Ct コンデンサ
Ct’ コンデンサ
Cx 平滑コンデンサ
Dd ダイオード
Dk 振幅制限防止ダイオード
Dm 電流供給ダイオード
Ds ダイオード
Dsy 回生ダイオード
Dsz 回生ダイオード
Dx フライホイールダイオード
Dz 回生ダイオード
E1 電極
E2 電極
Et 補助電極
Fx 給電制御回路
G1 ゲート駆動回路
G2 ゲート駆動回路
G3 ゲート駆動回路
G4 ゲート駆動回路
Gkc ゲート駆動回路
Gkd ゲート駆動回路
Gkh ゲート駆動回路
Gky ゲート駆動回路
Gt’ ゲート駆動回路
Gx ゲート駆動回路
Ix ランプ電流検出手段
Kc スイッチ素子
Kd トランス駆動スイッチ素子
Kh 共振駆動スイッチ素子
Ky トランス駆動スイッチ素子
L01 経路
Ld 放電ランプ
Lr 共振コイル
Ls チョークコイル
Lx チョークコイル
Lz コイル
Mh 共振駆動用電源
Mv DC電源
Mx DC電源
Nh 並列共振回路
Pd 1次側巻線
Pd’ 1次側巻線
Ph 1次側巻線
Pt 1次側巻線
Pt’ 1次側巻線
Py 1次側巻線
Pz 1次側巻線
Q1 スイッチ素子
Q1’ スイッチ素子
Q2 スイッチ素子
Q2’ スイッチ素子
Q3 スイッチ素子
Q3’ スイッチ素子
Q4 スイッチ素子
Q4’ スイッチ素子
Qt スイッチ素子
Qt’ スイッチ素子
Qx スイッチ素子
Rs1 抵抗
Rs2 抵抗
Rt 抵抗
Rt’ 抵抗
Rzh 抵抗
Sd 2次側巻線
Sf1 インバータ制御信号
Sf2 インバータ制御信号
Sg ゲート駆動信号
Sh 2次側巻線
Sh’ 2次側巻線
Si ランプ電流検出信号
St 2次側巻線
St’ 2次側巻線
Sv ランプ電圧検出信号
Sy 2次側巻線
Sz 2次側巻線
T01 ノード
T11 ノード
T21 ノード
T22 ノード
T31 ノード
T32 ノード
T41 ノード
T42 ノード
T4a ノード
T4b ノード
Td 共振駆動トランス
Th 共振トランス
Tmo ノード
Tnh ノード
Tt スタータトランス
Tt’ スタータトランス
Ty 共振駆動エネルギー供給トランス
Tz 電流制限回生トランス
Uf インバータ制御回路
Ui インバータ
Ui’ インバータ
Uj 周期電圧印加手段
Ut スタータ回路
Ut’ スタータ回路
Ut” スタータ回路
Ux 給電回路
Ux’ 給電回路
Vx ランプ電圧検出手段
Zh 共振駆動電流制限手段

Claims (12)

  1. 一対の主放電のための電極(E1,E2)が対向配置された放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置であって、
    前記放電ランプ(Ld)に給電する給電回路(Ux)と、前記給電回路(Ux)の後段に設置され前記放電ランプ(Ld)に印加する電圧を極性反転させるインバータ(Ui)と、1次側巻線(Ph)および2次側巻線(Sh)を有する共振トランス(Th)と、共振コンデンサ(Ch)と、周期電圧印加手段(Uj)とを有し、
    前記共振トランス(Th)の前記2次側巻線(Sh)は、前記インバータ(Ui)の出力と前記放電ランプ(Ld)の主放電のための前記電極とを接続する経路の途中に介挿され、前記共振コンデンサ(Ch)は、前記共振トランス(Th)の前記1次側巻線(Ph)に並列に接続されて並列共振回路(Nh)を構成し、
    前記周期電圧印加手段(Uj)は、前記並列共振回路(Nh)に接続されており、前記周期電圧印加手段(Uj)は、前記放電ランプ(Ld)の始動期間において前記並列共振回路(Nh)に共振現象を生じる周波数で動作せしめられ、
    前記周期電圧印加手段(Uj)は、共振駆動用電源(Mh)と、共振駆動電流制限手段(Zh)と、共振駆動スイッチ素子(Kh)とが直列に接続されて構成され、前記共振駆動スイッチ素子(Kh)のオン状態のときに前記並列共振回路(Nh)に電圧を印加する とともに、
    前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数に対し、前記並列共振回路(Nh)の共振周波数が2次以上の高次の共振となるように構成したことを特徴とする放電ランプ点灯装置。
  2. 前記周期電圧印加手段(Uj)は、共振駆動用電源(Mh)と、共振駆動電流制限手段(Zh)と、1次側巻線(Pd)と2次側巻線(Sd)とを有する共振駆動トランス(Td)と、トランス駆動スイッチ素子(Kd)とを有し、
    前記共振駆動用電源(Mh)と前記1次側巻線(Pd)と前記トランス駆動スイッチ素子(Kd)とが接続され、前記トランス駆動スイッチ素子(Kd)の周期的動作によって前記2次側巻線(Sd)を介して前記並列共振回路(Nh)に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
  3. 前記共振駆動電流制限手段(Zh)はインダクタンス素子を含んでおり、前記共振駆動電流制限手段(Zh)が前記並列共振回路(Nh)に電流を供給しない期間において、
    前記インダクタンス素子に流れていた電流に対応する磁気エネルギーを前記共振駆動用電源(Mh)に回生する方向の回生ダイオード(Dz)を前記共振駆動電流制限手段(Zh)に接続したことを特徴とする請求項1から2に記載の放電ランプ点灯装置。
  4. 前記共振駆動電流制限手段(Zh)は、1次側巻線(Pz)と2次側巻線(Sz)とを有する電流制限回生トランス(Tz)の前記1次側巻線(Pz)であり、さらに、前記1次側巻線(Pz)が前記並列共振回路(Nh)に電流を供給しない期間において、
    前記1次側巻線(Pz)に流れていた電流に対応する磁気エネルギーを、前記共振駆動用電源(Mh)に回生する方向の回生ダイオード(Dsz)を前記2次側巻線(Sz)に対して直列に接続したことを特徴とする請求項1から2に記載の放電ランプ点灯装置。
  5. 前記周期電圧印加手段(Uj)は、共振駆動用電源(Mh)と、1次側巻線(Py)と2次側巻線(Sy)とを有する共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)と、トランス駆動スイッチ素子(Ky)と回生ダイオード(Dsy)とを有し、
    前記共振駆動用電源(Mh)と前記1次側巻線(Py)と前記トランス駆動スイッチ素
    子(Ky)とが直列に接続され、
    前記共振駆動用電源(Mh)と前記並列共振回路(Nh)と前記2次側巻線(Sy)と前記回生ダイオード(Dsy)とが直列に接続されるように構成することにより、
    前記トランス駆動スイッチ素子(Ky)のオン状態のときに前記共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)に磁気エネルギーを蓄積し、前記トランス駆動スイッチ素子(Ky)のオフ状態のときに前記共振駆動エネルギー供給トランス(Ty)に蓄積された磁気エネルギーを前記回生ダイオード(Dsy)を介して共振駆動用電源(Mh)に回生するとともに、前記並列共振回路(Nh)に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の放
    電ランプ点灯装置。
  6. 前記共振駆動用電源(Mh)は、DC電源(Mv)と接続されて電流供給を受けるための電流供給ダイオード(Dm)と、平滑コンデンサ(Cm)とを有し、前記周期電圧印加手段(Uj)から回生されるエネルギーによって前記平滑コンデンサ(Cm)の充電電位が昇圧されることを特徴とする請求項3から5に記載の放電ランプ点灯装置。
  7. 前記並列共振回路(Nh)の電圧波形のうちの、前記周期電圧印加手段(Uj)の電圧印加能力を超えない期間のみにおいて、前記周期電圧印加手段(Uj)と前記並列共振回路(Nh)との間に電流が流れる方向の振幅制限防止ダイオード(Dk)を接続したことを特徴とする請求項1から6に記載の放電ランプ点灯装置。
  8. 前記インバータ(Ui)がスイッチ素子を含み、該スイッチ素子が前記トランス駆動スイッチ素子を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の放電ランプ点灯装置。
  9. 前記インバータ(Ui)より後段における、前記放電ランプ(Ld)の主放電電流の経路に沿うインダクタンス成分の合計が170μH以下となるように構成したことを特徴とする請求項1から8に記載の放電ランプ点灯装置。
  10. 前記放電ランプ(Ld)が主放電のための前記電極(E1,E2)以外の補助電極(Et)を前記放電空間に接しないように設けたものであって、
    放電ランプ点灯装置は、前記補助電極(Et)に高電圧を印加するためのスタータ回路(Ut)をさらに有し、
    前記スタータ回路(Ut)には、前記電極(E1,E2)に流れる主放電電流が実質的に流れないように構成されたことを特徴とする請求項1から9に記載の放電ランプ点灯装置。
  11. 放電ランプ点灯装置は、前記並列共振回路(Nh)の動作状態を検出し、前記並列共振回路(Nh)の共振周波数に対する前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数との差異に対応する同調度信号を生成する同調度検出手段と、前記周期電圧印加手段(Uj)の動作周波数を規定する動作周波数データを初期化または保持することと前記同調度信号に基づいて前記動作周波数データを増加または減少することができる動作周波数データ保持増減手段とをさらに有し、
    前記動作周波数データ保持増減手段は、放電ランプ点灯装置の始動シーケンスの開始段階において
    前記動作周波数データを初期化し、前記放電ランプ(Ld)が放電していない期間において前記動作周波数データを増加または減少し、前記放電ランプ(Ld)が放電している期間においては前記動作周波数データを保持することを特徴とする請求項1から10に記載の放電ランプ点灯装置。
  12. 前記同調度検出手段は、前記並列共振回路(Nh)の電圧の振幅に対応する量に基づいて前記同調度信号を生成することを特徴とする請求項11に記載の放電ランプ点灯装置。
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