JP4930917B2 - 粘土薄膜フィルム、その製造方法および粘土薄膜積層体 - Google Patents

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本発明は、耐熱性を有する粘土薄膜フィルム、その製造方法および粘土薄膜積層体に関するものである。特に特定の陽イオン物質を導入した粘土粒子を高度に配向し、幾層にも積層した構造を有し、高温環境下での寸法安定性および、高温高湿下でのガスバリア性に優れ、かつ柔軟性を有している粘土薄膜フィルム、その製造方法および粘土薄膜積層体に関するものである。
ディスプレイは、モバイル性や省スペースの面より、従来のブラウン管方式から液晶方式(LCD)に急激に変わりつつある。更に次世代ディスプレイとして、自発光デバイスが開発され、明るさ、鮮やかさ、消費電力の点でも優れた有機EL方式のものが生産され始めている。これらのものは、従来のブラウン管方式のものと比べてモバイル性や省スペースの面で格段に優れているが、基板としてガラスが使用されているために、比較的重量があり、また、割れるという欠点も有している。
これらの問題点を解決するため、一部の液晶方式のものではフィルム基板(プラセルと呼ばれている)が使用されている。しかしながら、現在主流となっている動画対応可能なTFT駆動方式のものについて、使用できるフィルム基板は未だ存在していない。その理由は、TFT駆動方式のものに置いては、TFT回路を形成するための温度に耐えることができ、且つ高透明なフィルム基板が要求されるからである。
粘土薄膜は、優れたフレキシビリティーを有し、粘土粒子が層状に緻密に配向した構造を有しているので、気体バリア性に優れ、かつ、耐熱性や難燃性にも優れた材料である(特許文献1参照)。しかしながら、耐水性、透明性に問題がある。
特開2005−104133号公報
上記したように、液晶や有機ELディスプレイ用のフィルム基板として利用するためには、耐水性、透明性とともに、耐熱性、寸法安定性に優れたフィルムが必要である。したがって、本発明の目的は、耐熱性、寸法安定性に優れ、耐水性、透明性、ガスバリア性に優れた粘土薄膜フィルムおよびその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、液晶や有機ELディスプレイ等種々の製品のフィルム基板として利用できる粘土薄膜フィルムおよび粘土薄膜積層体を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、疎水性を有する陽イオン物質で有機化された粘土と、ビスアリールフルオレンを基本骨格となすエポキシ樹脂を用いることによって、従来のプラスチックフィルムでは不可能であった高温での低寸法変化率が実現でき、耐熱性、寸法安定性、耐水性、透明性、ガスバリア性に優れた粘土薄膜フィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の粘土薄膜フィルムは、層間に疎水性を有する陽イオン物質を導入した粘土粒子よりなる粘土とビスアリールフルオレンを基本骨格とするエポキシ樹脂との複合物からなり、該粘土粒子が配向し、積層された構造を有することを特徴とする。本発明において、前記粘土とエポキシ樹脂の配合比率は、50:50〜99:1であることが好ましい。また、前記エポキシ樹脂の硬化剤として、酸無水物系硬化剤を用いることが好ましい。
本発明の上記粘土薄膜フィルムにおいて、疎水性を有する陽イオン物質は、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を含有している4級ホスホニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムのうち少なくとも1つを含んでいるのが好ましい。また、この陽イオン物質は、フェニル基を含有していることが好ましい。
また、粘土としては、合成粘土が好ましい。
本発明の粘土薄膜フィルムは、150〜350℃の範囲における線膨張係数が40×10-6/℃以下であり、柔軟性を有している。また、本発明においては、粘土薄膜フィルムは、全光線透過率が85%以上であり、ヘイズが2.5%以下であり、ガスバリア性能を有し、40℃/90%での酸素透過度が30cc/m・day・atm以下であり、40℃/90%での水蒸気透過度が5.0g/m・day以下であることが好ましい。
本発明の粘土薄膜積層体は、上記本発明の粘土薄膜フィルムの片面又は両面に、無機薄膜または有機薄膜の少なくとも一方を、単層または複数層の状態で積層したことを特徴とする。
本発明の粘土薄膜フィルムの製造方法は、上記の粘土薄膜フィルムを製造するものであって、粘土粒子層間に疎水性を有する陽イオン物質を導入した粘土粒子よりなる粘土と樹脂とを溶媒中に分散させて得た粘土塗料を、基材に塗布し、乾燥し、基材から剥離することを特徴とする。
次に、本発明の粘土薄膜フィルムについて詳記する。本発明の粘土薄膜フィルムは、層間に疎水性を有する陽イオン物質を導入した粘土粒子よりなる粘土(有機化粘土)と、ビスアリールフルオレンを基本骨格とするエポキシ樹脂との複合物から構成される。本発明において、粘土とは、単位結晶層が互いに積み重なった層状構造を有する粘土鉱物を言い、溶媒に膨潤・へき開するものが好ましく用いられる。本発明において、粘土としては、天然粘土、合成粘土のいずれの粘土を使用することもできる。本発明においては、高透明性が得られることから合成粘土を用いるのがより好ましい。溶媒に膨潤・へき開する粘土鉱物としては、具体的には、モンモリロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト、サポナイト、バイデライト等のスメクタイト、あるいは、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロサイトアンチゴライト、クリソタイル、白雲母、タルク、バーミキュライト、金雲母等をあげることができる。これらの中でも、好ましくは、分散性、膨潤性の点で、スメクタイト、カオリナイト、サポナイト、雲母があげられる。
粘土粒子の形状は鱗片状であって、代表的にはスメクタイトにおいて、粘土粒子1つが、厚さ約1nmでアスペクト比が20〜数百ないし数千の鱗片状をしているものである。本発明の粘土薄膜フィルムにおいては、そのような鱗片状の粘土粒子が幾数層にも重なることにより、ガスの通る経路が長くなり、結果的にガスバリア性が向上することになる。
これらの粘土は、粘土粒子の層間に疎水性を有する陽イオン物質が導入される(有機化処理)が、疎水性を有する陽イオン物質としては、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を含有する4級ホスホニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムのうち少なくとも1つを含んでいるものが好ましい。より好ましくは、炭素数が10〜18、更に好ましくは12〜16の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するものである。アルキル基の炭素数が大きいほど、陽イオン物質が導入された粘土は、溶媒の中で膨潤、分散しやすくなる。ただし、アルキル基の炭素数が大きくなるほど、耐熱性が劣る原因となるので、上記の範囲のアルキル基を有するものが好ましい。
また、耐熱性の観点からは、フェニル基を含有しているものが好ましい。フェニル基を含有することにより、フェニル基を含有していないものよりも熱に対する分解が抑制され、耐熱性が向上する。ただし、粘土の膨潤性、分散性の点から、アルキル基を有するものとの併用が好ましい。
本発明においては、上記有機化粘土にビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂が添加されて複合物を形成している。ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂は、透明性、耐熱性、機械的強度に優れ、さらに加熱による着色も生じない硬化物を得ることができる。また、必要に応じてビスアリールフルオレン骨格を有さないエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の他の樹脂を含有させてもよい。
樹脂として、エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化物を得るための添加剤としては、硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤、反応性希釈剤、酸化防止剤などのその他の材料があげられる。
硬化剤としては、アミン系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、ケチミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等があげられる。本発明においては、耐熱性の観点から酸無水物系硬化剤を用いることが好ましい。酸無水物系硬化剤としては、酸無水物構造を有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。このような酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などがあげられる。これらの酸無水物系硬化剤は、種々の必要特性に応じて適宜選択すればよい。例えば、硬化物に透明性が必要な場合は、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂環骨格中の二重結合を水素化したタイプのものを選択すればよい。
硬化促進剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、フェノール塩、フェノールノボラック塩、炭酸塩、ギ酸塩などのアミン類およびその誘導体、エチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのオルガノホスフィン類などがあげられる。
反応性希釈剤は、粘度調整を行う為に用いられるもので、特に限定されるものではないが、低粘度なエポキシ化合物が挙げられ、例えば、ジグリジジルエーテル、ブタンジオールジグリジシルエーテル、ジグリシジルアニリン、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイドなどがあげられる。これら反応性希釈剤は1種のみを単独で使用してもよく、また、2種以上を混合して使用することもできる。
酸化防止剤も特に限定されず、フェニルホスファイト類、フェノール類、硫黄系、リン系等があげられる。
カップリング剤は、粘土と樹脂の界面の密着力を向上させ、粘土薄膜フィルムの強度を向上させるために用いることができる。樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂との反応性のある官能基を有するシラン化合物が好適に用いられる。具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤等があげられる。
本発明の粘土薄膜フィルムにおける、陽イオン物質を導入した粘土粒子よりなる粘土、すなわち有機化粘土とビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂の配合比率(重合比)は50:50〜99:1、より好ましくは60:40〜97:3、更に好ましくは80:20〜97:3の配合比率である。樹脂が多くなると粘土薄膜フィルムとしての耐熱性が粘土より耐熱性の低い樹脂に支配されてしまうので好ましくない。
本発明の粘土薄膜フィルムは、150〜350℃の範囲における線膨張係数が40×10-6/℃以下であり、柔軟性を有している。粘土と樹脂との配合比率を50:50〜99:1にすることにより、通常の樹脂フィルムでは得ることができない350℃までの高温範囲で40×10-6/℃以下の低線膨張係数が実現でき、且つ樹脂が添加されていることにより柔軟性を有するものとなる。
本発明の粘土薄膜フィルムにおいて、粘土として合成粘土を用いることにより、透明性が向上し、85%以上の全光線透過率を有するものとすることができる。また、粘土粒子の膨潤性、分散性の調整、製膜時の表面平滑化をすることにより、ヘイズ(曇度)を2.5%以下にすることができる。
本発明の粘土薄膜フィルムは、単独でも自立膜として利用可能であるが、より高いガスバリア性、耐薬品性、表面平滑性、ハードコート性、高強度を得るために、粘土薄膜フィルムの片面または両面に無機薄膜または有機薄膜のうち少なくとも一方を単層または複数層、積層して粘土薄膜積層体にすることも可能である。積層される無機薄膜および有機薄膜の膜種は特に限定されるものではないが、用途により最適なものを選択すればよい。例えば酸化珪素または酸化窒化珪素、窒化珪素をスパッタ法またはプラズマCVD法により製膜を行うことにより、高いガスバリア性及び耐薬品性を付与することができる。更には有機ポリマーを塗布することにより表面に平坦性やハードコート性を持たせることができる。これらの無機薄膜および有機薄膜よりなる表面コートを積層することにより粘土薄膜フィルム単独では持ち得ない特性を付与することができる。
次に、本発明の粘土薄膜フィルムの製造方法について説明する。まず、粘土を疎水性を有する陽イオン物質で処理して、有機化粘土を作製する。疎水性を有する陽イオン物質による処理は、例えば、疎水性を有する陽イオン物質を水に分散させ、それに粘土を投入して分散膨潤させた後、固液分離処理を行い、更に水を加えて固液分離処理を発泡がなくなるまで繰り返し、その後、乾燥して水分を完全に除去することによって製造することができる。それにより、粘土に含まれる親水性の交換性陽イオンが疎水性を有する陽イオンにより交換されて、有機化粘土が作製される。
次に、上記の有機化粘土と樹脂とを所定の配合割合で溶媒に分散させて粘土塗料を作製する。分散は一般的な分散方法により行うことができるが、粘土粒子を溶媒中に均一に、且つ、一層一層ばらばらに分散させるためには、高せん断力を与えたり、溶媒の温度を高くするのが好ましい。なお、粘土塗料には、本発明の目的を損なわない範囲内で、酸化防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、レベリング剤等の一般的な添加剤を添加してもよい
次いで、得られた粘土塗料を、基材上に塗布する。基材としては、特に限定されるものではないが、一般的な有機高分子フィルム、金属箔、金属板等を用いることができる。塗布したフィルムの表面性は、基材側の場合、基材の表面性がそのまま転写されるために、基材としては、表面が平坦のものの方が好ましい。なお、基材として高分子フィルムを用いる場合は、乾燥時やキュア時にある程度の温度しかかけることができない。何故ならば、粘土塗料を高分子フィルム上に塗布し、そのまま剥離せずに高温、例えば200℃の温度にさらすと、基材の高分子フィルムが変形して基材としての役割を果たせなくなるからである。したがって、高温での乾燥や高温をかける必要がある場合には、基材として、金属箔や金属板、金属長尺ロール等を使用すればよい。それによって、基材の耐熱性を心配することなく、高温処理することができる。また、金属箔や金属板、金属長尺ロールの表面は、やはり塗布したフィルムの表面性にかかわってくるために、鏡面仕上げ等を施した平坦なものであることが好ましい。前記基材に粘土塗料を塗布する方法としては、特に限定するものではないが、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が用いられる。
基材に粘土塗料を塗工し、乾燥し、剥離して粘土薄膜フィルムを得た後に、または前記各工程の間に加圧処理、加熱加圧処理を施して表面を平坦化、膜の緻密化をすることができる。例えば、熱カレンダー処理をすることによって、表面を平坦化することができる。
本発明の粘土薄膜フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、10〜300μmの範囲が好ましい。より好ましくは、50〜200μmであり、10μmより薄いと強度がなく自立膜として成立しない。300μmより厚いと、乾燥工程での負荷が大きくなって、生産性が低下するので好ましくない。
上記の方法においては、層状構造を有する粘土が一層一層バラバラにほぐされて、その層間に添加した樹脂が入り込んだ状態の粘土塗料が作製され、それを塗工し、乾燥して製膜するので、粘土粒子を粘土薄膜フィルムの水平方向に高度に配向させることができ、粘土粒子が緻密に積層された構造の粘土薄膜フィルムを得ることができる。したがって、本発明の粘土薄膜フィルムの製造方法によって、ガスバリア性の向上した粘土薄膜フィルムを作製することができる。
本発明の粘土薄膜フィルムおよび粘土薄膜積層体は、上記の構成を有するから、従来のプラスチックフィルムでは実現できなかった高温での低寸法変化率が実現でき、耐熱性、寸法安定性、耐水性、透明性、ガスバリア性に優れたものである。また、本発明の粘土薄膜フィルムの製造方法は、上記の構成を有するから、得られる粘土薄膜フィルムは、粘土粒子が水平方向に高度に配向したものとなり、粘土粒子が緻密に積層された構造のものとなり、ガスバリア性の向上したものとなる。
したがって、本発明の粘土薄膜フィルムおよび粘土薄膜積層体は、それがもつ諸特性により、多くの製品に利用することができる。例えば電子ペーパー用基板、電子デバイス用封止フィルム、レンズフィルム、導光板用フィルム、プリズムフィルム、位相差板・偏光板用フィルム、視野角補正フィルム、PDP用フィルム、LED用フィルム、有機EL用フィルム基板、光通信用部材、タッチパネル用フィルム、各種機能性フィルムの基板、内部が透けて見える構造の電子機器用フィルム、ビデオディスク・CD・CD−R・CD−RW・DVD・MO・MD・相変化ディスク・光カードを含む光記録メディア用フィルム、燃料電池用封止フィルム、太陽電池用フィルム、包装関係フィルム、電子デバイス基板フィルム、フレキシブルプリント基板、プリント基板等に使用することができる。上記以外にも、従来の樹脂フィルムでは用いることのできない高温域での耐熱性フィルムとしての利用が可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明するが、本願発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(粘土の有機化)
オクタデシルトリフェニルホスホニウムブロミド5gを純水50g中に分散させた後、合成スメクタイト(スメクトンSA、クニミネ工業社製)5gを投入し、十分に分散膨潤させた。得られた分散液を遠心分離器で固液分離して液分を取り除いた後、更に純水50gを投入し、分散および固液分離を行った。この分散・固液分離を発泡がなくなるまで繰り返した後、乾燥機で水分を完全に除去した。これにより粘土に含まれる親水性の交換性陽イオンとオクタデシルトリフェニルホスホニウムイオンが交換され、無極性溶剤であるトルエンに対し膨潤性を持つ耐水性有機化粘土が得られた。
(粘土薄膜フィルムの形成)
上記のようにして得られた有機化粘土を粉砕し、その有機化粘土10gをトルエン100g中に分散・膨潤させ、更に有機化粘土と樹脂の比率が8:2となるようにビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂2.5g(EX1020、長瀬産業社製)と、酸無水物系硬化剤2.0g(HNA−100、新日本理化社製)を添加し、分散させた。得られた粘土塗料をアプリケーターで離けい処理したPETフィルム上に塗布して製膜した。その後、100℃の乾燥機に投入し、溶剤分を除去した。次いで、PETフィルムから粘土薄膜を剥離し、170℃/2時間のキュアによりエポキシ樹脂を硬化させた。それにより、透明で柔軟性のある厚さ80μmの粘土薄膜フィルムが得られた。
有機化粘土と樹脂の比率を5:5とした以外は、実施例1と同様の方法で厚さ80μmの粘土薄膜フィルムを得た。
有機化粘土と樹脂の比率を9.5:0.5とした以外は、実施例1と同様の方法で厚さ80μmの粘土薄膜フィルムを得た。
有機化処理の際に、オクタデシルフェニルイミダゾリウムブロミドを用いた以外は、実施例1と同様の方法で厚さ80μmの粘土薄膜フィルムを得た。
実施例1で作製した粘土薄膜フィルムの表裏両面に、ハードコート材料である紫外線硬化ウレタンアクリレート(紫光UV7600B、日本合成化学社製)をバーコーターを用いて塗布し、紫外線照射にて硬化させ、表裏両面に各1μmのハードコート層を積層し、粘土薄膜積層体を得た。
実施例1で作製した粘土薄膜フィルムの表裏両面に、反応性スパッタリングにて無機層である厚さ60nmのSiO膜を積層し、粘土薄膜積層体を得た。
[比較例1]
有機化処理をしていない合成スメクタイト(スメクトンSA、クニミネ工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で粘土薄膜フィルム作製を試みた。しかしながら、トルエン中に粘土が均一に分散、膨潤せずに粘土粒子が沈降したために、膜化することができなかった。
[比較例2]
樹脂としてビスアリールフルオレン骨格を持っていないエポキシ樹脂(ケシミールE−622、ケミテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で厚さ80μmの粘土薄膜フィルムを得た。
(評価)
上記の実施例1〜6および比較例2で作製した粘土薄膜フィルムに関して、以下の評価を行った。
線膨張係数:
熱分析装置TMA(Thermomechanical Analyzer、8310、リガク社製)を用いて、引張荷重法により、荷重1g、室温〜350℃まで5℃/minの昇温速度で測定を行い、線膨張係数を算出した。
全光線透過率およびヘイズ:
ヘーズメータ(Haze Meter NDH2000、日本電色社製)を用いて測定した。
ガスバリア性(酸素透過度、水蒸気透過度):
差圧式ガス・蒸気透過率測定装置(GTR−30XATS、GTRテック社製)を用いて、40℃/90%の条件における酸素と水蒸気の透過率を測定した。
200℃/30min加熱後の外観:
200℃の温度に設定した乾燥機内にサンプルを置き、30分間加熱処理した後、取り出して外観(寸法、色目、透明性等)に変化があるか否かを目視によって確認した。実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2に示す。
Figure 0004930917
Figure 0004930917
上記表から明らかなように、本発明の粘土薄膜フィルムおよび粘度薄膜積層体は、高温域(150〜350℃)での線膨張係数が非常に低く、他の高分子フィルムでは到達できないレベルを達成し、かつ柔軟性があり、透明性、ガスバリア性が良好であった。

Claims (13)

  1. 層間に疎水性を有する陽イオン物質を導入した粘土粒子よりなる粘土とビスアリールフルオレンを基本骨格とするエポキシ樹脂との複合物からなり、該粘土粒子が配向し、積層された構造を有することを特徴とする粘土薄膜フィルム。
  2. 前記粘土とエポキシ樹脂の配合比率が50:50〜99:1であることを特徴とする請求項1に記載の粘土薄膜フィルム。
  3. 前記エポキシ樹脂の硬化剤として、酸無水物系硬化剤を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粘土薄膜フィルム。
  4. 前記陽イオン物質が、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を含有する4級ホスホニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムのうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の粘土薄膜フィルム。
  5. 前記陽イオン物質がフェニル基を含有していることを特徴とする請求項4に記載の粘土薄膜フィルム。
  6. 前記粘土が合成粘土であることを特徴とする請求項1に記載の粘土薄膜フィルム。
  7. 150〜350℃の範囲における線膨張係数が40×10-6/℃以下であり、柔軟性を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘土薄膜フィルム。
  8. 全光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘土薄膜フィルム。
  9. ヘイズが2.5%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘土薄膜フィルム。
  10. ガスバリア性能を有し、40℃/90%での酸素透過度が30cc/m・day・atm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘土薄膜フィルム。
  11. ガスバリア性能を有し、40℃/90%での水蒸気透過度が5.0g/m・day以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の粘土薄膜フィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の粘土薄膜フィルムの片面又は両面に、無機薄膜または有機薄膜の少なくとも一方を、単層または複数層の状態で積層したことを特徴とする粘土薄膜積層体。
  13. 粘土粒子層間に疎水性を有する陽イオン物質を導入した粘土粒子よりなる粘土と樹脂とを溶媒中に分散させて得た粘土塗料を、基材に塗布し、乾燥し、基材から剥離することを特徴とする請求項1に記載の粘土薄膜フィルムの製造方法。
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