JP4924449B2 - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4924449B2
JP4924449B2 JP2008014722A JP2008014722A JP4924449B2 JP 4924449 B2 JP4924449 B2 JP 4924449B2 JP 2008014722 A JP2008014722 A JP 2008014722A JP 2008014722 A JP2008014722 A JP 2008014722A JP 4924449 B2 JP4924449 B2 JP 4924449B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mode
target value
continuously variable
clutch
variable transmission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008014722A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009174653A (ja
Inventor
巧 篠島
英司 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2008014722A priority Critical patent/JP4924449B2/ja
Publication of JP2009174653A publication Critical patent/JP2009174653A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4924449B2 publication Critical patent/JP4924449B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

この発明は、例えば車両(自動車)用自動変速装置、建設機械(建機)用自動変速装置、航空機(固定翼機、回転翼機、飛行船等)等で使用されるジェネレータ(発電機)用の自動変速装置等として利用する無段変速装置の改良に関する。具体的には、モード切換完了直後にも(モード切換の前後に亙り)、動力を伝達するトラクション部(転がり接触部)で適切な押し付け力を付与できる構造を実現するものである。
車両(自動車)用変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が、例えば多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されて周知である。又、変速比の変動幅を大きくすべく、トロイダル型無段変速機と差動ユニット(例えば歯車式の差動ユニットである遊星歯車式変速機)とを組み合わせた無段変速装置も、例えば特許文献1〜4に記載される等により従来から広く知られている。このうちの特許文献1〜2には、トロイダル型無段変速機のみで動力を伝達するモード(低速モード)と、差動ユニットである遊星歯車式変速機により主動力を伝達し、上記トロイダル型無段変速機により変速比の調節を行なう、所謂パワースプリット状態を実現するモード(高速モード)とを備えた無段変速装置が記載されている。又、上記特許文献3〜4には、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる、所謂ギヤードニュートラル状態を実現できるモード(低速モード)を備えた無段変速装置が記載されている。
図8〜9は、特許文献3〜4に記載されたギヤードニュートラル状態を実現できるモードを備えた無段変速装置を示している。このうちの図8は無段変速装置のブロック図を、図9は、この無段変速装置を制御する油圧回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、直接又はトロイダル型無段変速機4を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機5に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機5の構成部材の差動成分が、クラッチ装置6、即ち、図9の低速用、高速用各クラッチ7、8を介して、出力軸9に取り出される。又、上記トロイダル型無段変速機4は、それぞれが第一、第二のディスクに相当する入力側、出力側各ディスク10、11と、複数個のパワーローラ12と、それぞれが支持部材に相当する複数個のトラニオン(図示省略)と、アクチュエータ13(図9)と、押圧装置14と、変速比制御ユニット15とを備える。
このうちの入力側、出力側各ディスク10、11は、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。又、上記各パワーローラ12は、互いに対向する上記入力側、出力側各ディスク10、11の内側面同士の間に挟持されて、これら入力側、出力側各ディスク10、11同士の間で動力(力、トルク)を伝達する。又、上記各トラニオンは、上記各パワーローラ12を回転自在に支持している。又、上記アクチュエータ13は、油圧式のもので、上記各パワーローラ12を支持した上記各トラニオンを、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を変える。又、上記押圧装置14は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものであり、上記入力側ディスク10と上記出力側ディスク11とを互いに近付く方向に押圧する。又、上記変速比制御ユニット15は、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を所望値にする為に、上記アクチュエータ13の変位方向及び変位量を制御する。
図示の例の場合、上記変速比制御ユニット15は、制御器(ECU)16と、この制御器16からの制御信号に基づいて切り換えられる、ステッピングモータ17と、ライン圧制御用電磁開閉弁18と、電磁弁19と、シフト用電磁弁20と、これら各部材17〜20により作動状態を切り換えられる制御弁装置21とにより構成している。尚、この制御弁装置21は、変速比制御弁22と、差圧シリンダ23と、補正用制御弁24a、24bと、高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26(図9)とを合わせたものである。このうちの変速比制御弁22は、上記アクチュエータ13への油圧の給排を制御するものである。又、上記差圧シリンダ23は、前記トロイダル型無段変速機4を通過する力(通過トルク)に応じて、このトロイダル型無段変速機4の変速比を補正すべく、上記変速比制御弁22の切換状態を調節する為のものである。又、上記補正用制御弁24a、24bは、上記差圧シリンダ23への圧油の給排を制御するものである。更に、上記高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26は、前記低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の導入状態を切り換えるものである。
又、前記ダンパ2部分から取り出した動力により駆動されるオイルポンプ27(図9の27a、27b)から吐出した圧油は、上記制御弁装置21や上記押圧装置14等に送り込まれる。即ち、油溜28(図9)から吸引されて上記オイルポンプ27a、27bにより吐出された圧油は、押圧力調整弁29、及び、低圧側調整弁30(図9)により所定圧に調整自在としている。これら両調整弁29、30のうち、上記押圧装置14並びに手動油圧切換弁31側に送る油圧を調整する為の上記押圧力調整弁29は、例えば特許文献5等にも詳しく記載されている様に、リリーフ弁としての機能を備えたもので、第一〜第三のパイロット部32〜34を備える。このうちの第一、第二のパイロット部32、33は、前記トロイダル型無段変速機4を通過する力(通過トルク)の大きさに応じて、この押圧力調整弁29の開弁圧を調節する為のものである。この為に、前記パワーローラ12を支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる為のアクチュエータ13にピストン35を挟んで設けた、1対の油圧室36a、36b同士の間に存在する油圧の差(差圧)を、差圧取り出し弁37を介して、上記第一、第二のパイロット部32、33に導入している。
これに対して、第三のパイロット部34は、上記トロイダル型無段変速機4の変速比、このトロイダル型無段変速機4の内部に存在する潤滑油(トラクションオイル)の温度、駆動源であるエンジン1の回転速度等、上記通過トルク以外の運転条件に応じて、上記押圧力調整弁29の開弁圧を、この通過トルク(差圧)の大きさに応じて調節される(第一、第二のパイロット部32、33により調節される)値から、上記押圧装置14に発生させるべき最適な押圧力に対応する目標値に調節(減圧)する為のものである。この為に、前記制御器16からの指令により制御されるライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉(デューティー比制御)に基づき、上記第三のパイロット部34に所定圧の圧油を導入している。そして、上記第一〜第三のパイロット部32〜34に導入する油圧を適切に調節する事により{第一、第二のパイロット部32、33に通過トルク(差圧)の大きさに応じた油圧を導入すると共に、第三のパイロット部34に制御器16の指令に基づいて調節された油圧を導入する事により}、上記押圧力調整弁29の開弁圧、延いては、上記押圧装置14が発生する押圧力を、上記トロイダル型無段変速機4の運転状況に応じて、適正に規制している。
例えば、図10は、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開度(単位時間当たりの開いている時間の割合)と減圧量(押圧力調整弁29の開弁圧の低下量)との関係の1例を示している。上記制御器16は、この様な関係を基に、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉を調節(デューティー比制御)し、上記押圧力調整弁29の開弁圧、延いては上記押圧装置14に導入する油圧を上記目標値に調節する事により、この押圧装置14が発生する押圧力を適正に規制している。尚、図示の例の場合は、上記押圧力調整弁29と、差圧取り出し弁37と、制御器16と、ライン圧制御用電磁開閉弁18とが、特許請求の範囲に記載した油圧調整手段に相当する。
又、上記押圧力調整弁29により調整された圧油は、前記手動油圧切換弁31、並びに、減圧弁38、前記高速クラッチ用切換弁25又は低速クラッチ用切換弁26を介して、前記低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8の油圧室内に送り込み自在としている。又、これら低速用、高速用各クラッチ7、8のうちの低速用クラッチ7は、減速比を大きくする{変速比無限大(ギヤードニュートラル状態)を含む}低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、上記高速用クラッチ8は、上記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、これら低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の給排状態は、前記シフト用電磁弁20の切り換えに応じて切り換えられる。
図11は、トロイダル型無段変速機4の変速比(増速比)と無段変速装置全体としての速度比(増速比)との関係の1例を示している。例えば、上記低速用クラッチ7が接続され、上記高速用クラッチ8の接続が断たれた低速モードでは、実線αで示す様に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、GN状態を実現できる値(GN値)から減速する程、無段変速装置全体としての速度比を停止状態(速度比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に増速させられる。又、同じくGN値から増速する程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に増速させられる。一方、上記高速用クラッチ8が接続され、上記低速用クラッチ7の接続が断たれた高速モードでは、実線βで示す様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を増速する程、上記無段変速装置全体としての速度比を(前進方向に)増速させられる。
尚、一般的には、「変速比」は減速比であり、「速度比」は増速比であり、「変速比」の逆数が「速度比」となる(「速度比」=1/「変速比」)。但し、本明細書並びに特許請求の範囲では、トロイダル型無段変速機に関する入力側と出力側との間の比に就いて「変速比」の言葉を用い、無段変速装置全体に関する入力側と出力側との間の比に就いて「速度比」の言葉を用いている。この理由は、トロイダル型無段変速機の比なのか、無段変速装置全体としての比なのかを明確にし易くする為である。従って、本明細書並びに特許請求の範囲では、「変速比」が減速比に、「速度比」が増速比に、必ずしも対応するものではない。
上述した様な無段変速装置を組み込んだ車両では、アクセルペダルの操作(アクセル開度)や車両の走行速度(車速)から得られる、その時点での車両の走行状態(運転状況)に基づいて、制御器16により、上記無段変速装置の最適な速度比(目標速度比)を求める。そして、この目標速度比を実現すべく、上記制御器16の制御信号に基づいてステッピングモータ17を駆動し、変速比制御弁22を切り換える事により、トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記目標速度比に対応する目標変速比に調節する。又、これと共に、必要に応じて(無段変速装置の目標速度比に応じて)シフト用電磁弁20を切り換える事により、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換え、必要な走行モード(低速モード或いは高速モード)を選択する。これらにより、上記無段変速装置の速度比を、その時点での車両の走行状態に応じた最適な値(目標速度比)に調節する。
ところで、上述の様な、トロイダル型無段変速機4と遊星歯車式変速機5とをクラッチ装置6(7、8)を介して組み合わせて成り、低速モード(第一のモード)と高速モード(第二のモード)とを有する無段変速装置の場合、上述したギヤードニュートラル状態を実現できるものにしても、前記特許文献1〜2に記載された様なパワースプリット状態を実現できるものにしても、低速モードと高速モードとのモード切換時に、このモード切換を滑らかに行なう事が、乗り心地性能(乗り心地の良さ)や耐久性を確保する面等から重要になる。この様なモード切換を滑らかに行なう技術として、例えば特許文献6には、このモード切換時に、それまで接続されていなかったクラッチと、それまで接続されていたクラッチとを、同時に接続させる技術が記載されている。この様な技術を採用すれば、例えば加速中のモード切換時に、低速用、高速用両クラッチの接続が同時に断たれる事による、エンジンの回転速度の急上昇(吹け上がり)を防止できる。又、この急上昇後の高速用クラッチの接続に伴う変速ショック(トルク抜け感、押し出し感)も防止でき、運転者を初めとする乗員に違和感を与える事を防止できる。又、モード切換時に構成各部に加わる衝撃を緩和して、耐久性の確保も図れる。
又、前述の図8〜9に示した無段変速装置の場合は、押圧装置14の発生する押圧力を、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)に応じて調節する為に、アクチュエータ13を構成する1対の油圧室36a、36b同士の間の油圧の差(差圧)に対応する油圧を、(差圧取り出し弁37を介して)押圧力調整弁29(の第一、第二のパイロット室32、33)に導入している。一方、この様な押圧力調整弁29に差圧を直接導入する構造に代えて、アクチュエータ13を構成する1対の油圧室36a、36bにそれぞれ設けた油圧センサ39a、39b(図8の39)により差圧を検出し、この差圧(乃至はこの差圧から求められる通過トルク)に基づいて、上記押圧装置14の発生する押圧力を調節する事も考えられる。この様な構成を採用した場合には、後述する実施の形態の1例を記載した図2に示す様に、アクチュエータ13を構成する各油圧室36a、36bと押圧力調整弁29とを連通する為の油圧回路{差圧取り出し弁37(図9)や油圧配管等}を省略できる。尚、この様な構成を採用した場合には、上記押圧力調整弁29と、上記制御器16と、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18とが、特許請求の範囲に記載した油圧調整手段に相当する。
何れにしても、上述の様な構成を採用した場合、制御器16により、上記各油圧センサ39a、39bにより検出された差圧(通過トルク)と、上記トロイダル型無段変速機4の変速比と、必要に応じてこのトロイダル型無段変速機4内を循環する油温等の他の状態量とに応じて、上記押圧装置14の油圧室に導入すべき油圧の目標値を設定(算出)する。この場合に、上記変速比は、例えば入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度を検出する為の入力側、出力側各回転速度センサ40、41により(両ディスク10、11の回転速度の比として)検出できる。又、上記油温は、例えば上記トロイダル型無段変速機4のケーシング内に設けた油温センサ42により検出できる。又、上記目標値は、例えば上記差圧(通過トルク)や変速比、油温等の値と、これらの値に対応する上記目標値との相関関係として、予め実験や計算により求めておき、上記制御器16のメモリにマップ(MAP)や計算式として記憶させておく。この様な制御器16は、これらマップや計算式を用いて、その時点での上記差圧(通過トルク)、変速比、油温等に対応する、上記目標値を設定する(算出する、求める)と共に、この目標値に調節すべく、ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉を調節(デューティー比制御)する。そして、この開閉調節に基づき、上記押圧力調整弁29の開弁圧、延いては上記押圧装置14の油圧室に導入する油圧を上記目標値に調節し、この押圧装置14が発生する押圧力を適正に規制する。
ところで、上述の様な油圧センサ39a、39bにより差圧を検出する構造にしても、前述の図8〜9に示した様な、この差圧に対応する油圧を(差圧取り出し弁37を介して)押圧力調整弁29に直接導入する構造にしても、上記押圧装置14が発生する押圧力(押圧装置14に導入する油圧の目標値)を、その時点での差圧に基づいて調節(設定)している。但し、この様な構造で、前述した様なモード切換時に低速用、高速用両クラッチ7、8を同時に接続すると言った技術を採用した場合、そのままでは、上記モード切換の完了直後(完了した瞬間)に、上記押圧装置14から適切な押圧力を発生させられなくなる可能性がある。即ち、次に実現すべき走行モードにモード切換が完了した直後(それまで接続されていた他方のクラッチの接続が断たれた直後)の、上記押圧装置14が発生する押圧力が、その時点で必要とされる値(必要値)に対し、過大になったり、或は、これとは逆に過小になったりする可能性がある。
即ち、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された状態では、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)、延いては、この通過トルクに対応する上記差圧は、その時点でエンジン1から出力される力(動力、トルク)に対応しなくなる(無関係になる)。この様に両クラッチ7、8が同時に接続された状態で、上記通過トルク、延いては、上記差圧は、その時点での、上記トロイダル型無段変速機4の変速比の微妙な変動に応じて変化する。例えば、このトロイダル型無段変速機4の変速比がモード切換ポイント{低速用クラッチ7を接続しても高速用クラッチ8を接続しても、無段変速装置全体としての速度比が同じになる値であり、例えば図11の点イに対応する変速比(増速比で言えば、例えば0.46)}に完全に一致した状態で、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された場合には、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)が0になり、上記差圧も0になる。
即ち、上記エンジン1から出力される力(動力、トルク)が上記トロイダル型無段変速機4を介する事なく遊星歯車式変速機5に伝達され(トロイダル型無段変速機4をトルクが通過しなくなり)、上記通過トルク、延いては、上記差圧も0になる。この場合には、上記エンジンン1から出力される力(動力、トルク)の大きさに拘わらず(大きくても、小さくても)、上記通過トルク、延いては、上記差圧は0となる。一方、上記モード切換ポイントから多少外れた状態で、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された場合には、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が、上記モード切換ポイントに強制的に変速させられる(トルクシフトする)。そして、この様にモード切換ポイントに変速させられる力に基づき上記差圧は、例えばその時点でのトルクシフト量、トルクシフトの方向(増速、減速)等に応じて、大きくなったり、或は、小さくなったりする。即ち、この場合には、上記エンジン1から出力される力(動力、トルク)と関係なく、上記通過トルク、延いては、上記差圧が変化する。
何れにしても、上述の様に低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された状態で上記差圧は、その時点でのトロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)に対応はしても、上記エンジン1から出力されるトルクには対応しなくなる。この為、上述の様に両クラッチ7、8が同時に接続された状態で、上記押圧装置14が発生する押圧力(押圧装置14に導入される油圧の目標値)を、そのまま上記差圧に基づいて調節し続けると(差圧に基づいて目標値を設定し続けると)、モード切換完了直後(それまで接続されていた他方のクラッチの接続が断たれた直後)の押圧力(乃至は目標値)が、このモード切換完了後の走行モードで必要とされる値(必要値)からずれてしまう可能性がある。即ち、上記押圧力(乃至は目標値)が、モード切換完了直後(両方のクラッチが同時に接続された状態から他方のクラッチの接続が断たれた瞬間)の、上記エンジン1から出力され、上記トロイダル型無段変速機4に入力される、このトロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)の大きさに対応した、適切な値(必要値)からずれてしまう可能性がある。
そして、この様なずれが大きい場合には、上記モード切換完了直後(モード切換が完了した瞬間)に、上記押圧装置14が発生する押圧力が過大になったり、或は、過小になったりする可能性がある。例えば、モード切換の完了直後に、上記押圧力が過大になった場合には、入力側、出力側各ディスク10、11の側面と各パワーローラ12の周面とのトラクション部(転がり接触部)の押し付け力が過度に大きくなり(過押し付けとなり)、伝達効率の低下や耐久性の低下に繋がる可能性がある。これとは逆に、上記押圧力が過小になった場合には、上記トラクション部(転がり接触部)の押し付け力が不足し、著しい場合には、このトラクション部(転がり接触部)でグロススリップと呼ばれる有害な滑りを生じ、伝達効率の低下や耐久性の低下に繋がる可能性がある。何れにしても、この様なモード切換完了直後に押圧力が必要値からずれる事、特に押圧力が不足する事は、好ましくない。
尚、上述の様にモード切換完了直後に押圧力が必要値からずれる(乃至はずれ易くなる)原因として、上述の様なモード切換中に差圧がエンジン1から出力されるトルクと対応しなくなると言った原因の他、このモード切換の前後でトロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)の方向が変化(反転)する事も、その1つとして挙げられる。即ち、この様な通過トルクの方向の変化(反転)、即ち、この通過トルクが正の方向から負の方向に、又は、負の方向から正の方向に変化する事に伴い、モード切換中にこの通過トルクが、短い時間とは言え、0になる。そして、この通過トルクが0になる事に伴い、この通過トルクに対応する上記差圧も0になり、この差圧に基づいて設定される目標値、延いては、この目標値に応じて調節される上記押圧力も、不必要に小さく{例えば最も小さい値(例えば0)に}なる。そして、この様にモード切換中に押圧力が不必要に小さくなると、モード切換完了直後にこの押圧力が、このモード切換完了直後に必要とされる値(必要値)に達するまでに時間を要し、その分、このモード切換完了直後の押圧力が必要値からずれ易く(不足し易く)なる。又、上述の様に押圧力が不必要に小さくなる事は、この押圧力の変動に伴う変速比の変動(トルクシフト)に繋がる可能性もあり、この様なトルクシフトの防止を図る面からも好ましくない。
又、同じくモード切換完了直後に押圧力が必要値からずれる(乃至はずれ易くなる)原因として、モード切換の前後で必要とされる押圧力が、低速モードの場合と高速モードの場合とで異なる事も、その1つとして挙げられる。即ち、これら低速モードと高速モードとの間のモード切換は、トロイダル型無段変速機4の変速比がモード切換ポイント(乃至はその近傍)に調節された状態で行なわれるが、この様にトロイダル型無段変速機4の変速比がモード切換ポイント(乃至はその近傍)であっても、走行モードが低速モードの場合と高速モードの場合とでは、必要とされる押圧力{トラクション部(転がり接触部)で必要な押し付け力}が異なる。例えば、後述する図5に示す様に、最大トルク時のモード切換前後で必要とされる押圧力は、低速モードの状態で約0.73[MPa]であるのに対して、高速モードの状態で約1.73[MPa]となる。この為、例えば低速モードから高速モードへのモード切換中に、上記押圧力がこの低速モードで必要とされる値に調節されていても、そのままでは、高速モードにモード切換が完了した直後(瞬間)は、この高速モードで必要とされる値(必要値)からずれてしまう(押圧力が不足する)。又、例えば高速モードから低速モードへのモード切換中に、上記押圧力がこの高速モードで必要とされる値に調節されていても、そのままでは、低速モードにモード切換が完了した直後(瞬間)は、この高速モードで必要な値(必要値)からずれてしまう(押圧力が過剰になる)。何れにしても、モード切換の完了直後に押圧力が必要値からずれる(不足したり、過剰になる)事は、前述した様に好ましくない。
特開平10−196759号公報 特開平11−108147号公報 特開2004−225888号公報 特開2004−211836号公報 特開2004−76940号公報 特開平9−210191号公報
本発明の無段変速装置は、上述の様な事情に鑑みて、モード切換完了直後にも(モード切換の前後に亙り)、動力を伝達するトラクション部(転がり接触部)で適切な押し付け力を付与できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、トロイダル型無段変速機と差動ユニット(例えば歯車式の差動ユニットである遊星歯車式変速機)とをクラッチ装置を介して組み合わせて成る。
このうちのクラッチ装置は、第一のクラッチ(例えば低速用クラッチ)と、第二のクラッチ(例えば高速用クラッチ)とを備える。
このうちの第一のクラッチ(低速用クラッチ)は、減速比を大きくする第一のモード(例えば低速モード)を実現する際に接続されて同じく小さくする第二のモード(例えば高速モード)を実現する際に接続を断たれる。
又、上記第二のクラッチ(高速用クラッチ)は、上記第二のモード(高速モード)を実現する際に接続されて上記第一のモード(低速モード)を実現する際に接続を断たれる。
そして、この第一のモード(低速モード)と上記第二のモード(高速モード)とのモード切換時に、上記第一のクラッチ(低速用クラッチ)と上記第二のクラッチ(高速用クラッチ)とのうちの一方のクラッチでそれまで接続されていなかったクラッチを接続してから、同じく他方のクラッチでそれまで接続されていたクラッチの接続を断つ事により、これら両クラッチが同時に接続される時間を設定している。
又、上記トロイダル型無段変速機は、第一、第二のディスク(例えば入力側、出力側各ディスク)と、複数のパワーローラと、複数個の支持部材(例えばトラニオン)と、アクチュエータと、押圧装置とを備える。
このうちの第一、第二のディスクは、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。
又、上記各パワーローラは、互いに対向する上記第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されて、これら第一、第二のディスク同士の間で動力(力、トルク)を伝達する。
又、上記各支持部材は、上記各パワーローラを回転自在に支持する。
又、上記アクチュエータは、油圧式のもので、上記各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間の変速比を変える。
又、上記押圧装置は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のもので、上記第一のディスクと上記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧するものである。
そして、上記押圧装置に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧装置の油圧室に導入する油圧を、少なくとも、その時点での上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力(動力、トルク)の大きさに応じて設定(算出)される、上記押圧装置に発生させるべき押圧力に対応する目標値に調節するものとしている。
尚、上記「少なくとも」とは、上記目標値の設定(算出)に当たり、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力だけでなく、この伝達する力の他、トロイダル型無段変速機の変速比(第一のディスクと第二のディスクとの間の変速比)や、このトロイダル型無段変速機内を循環する潤滑油(トラクションオイル)の油温等の他の状態量を、上記伝達する力と共に用いる事を排除しない事を意味する。例えば、上記目標値の設定を、上記伝達する力(後述する第一の機能により求められる力、又は、第二の機能により求められる力)と上記変速比と(必要に応じて油温と)に基づいて行なう事が、より好ましい。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記油圧調整手段は、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさを求める為に、2つの機能(第一、第二各機能)を備えている。
このうちの第一の機能は、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさを、その時点での、上記アクチュエータに設けた1対の油圧室同士の間の油圧の差(差圧)に基づいて求める(算出する、推定する)ものである。
又、第二の機能は、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさを、その時点での、上記トロイダル型無段変速機と接続した駆動源(例えばエンジン、電動モータ等)の出力を調節する為のアクセル装置の操作量(アクセル開度、アクセルペダルの踏み込み量)と、この駆動源の駆動軸の回転速度(エンジン回転速度)とに基づいて求める(算出する、推定する)ものである。
そして、上記第一のモード(低速モード)と上記第二のモード(高速モード)との間のモード切換時に(少なくとも第一、第二両クラッチが同時に接続されている間)、上記第二の機能に基づいて上記目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する。
要するに、上記油圧調整手段は、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさを、その時点での差圧に基づいて求める(算出する、推定する)第一の機能に加え、その時点でのアクセル装置の操作量と駆動源の回転速度とに基づいて求める(算出する、推定する)第二の機能を備えたものとしている。そして、上記モード切換時(モード切換中)、例えば、モード切換を行なうべく、それまで接続されていなかった一方のクラッチの接続を開始してから、それまで接続されていた他方のクラッチの接続を断つまで(断ち始めるまで)の間、上記第一、第二両機能のうちの第二の機能に基づき、上記目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する。
尚、その時点での運転状況等に応じて、上記モード切換を開始する前から上記第二の機能に基づき目標値を設定し、この目標値に油圧を調節している場合には、モード切換時(モード切換中)も、そのままこの第二の機能に基づき目標値を設定し、この目標値に油圧を調節し続ける。
又、以下の説明は、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達される力(動力、トルク)のうち、上記第一の機能に基づいて求められる(算出する、推定される)当該力を、「トロイダル型無段変速機を通過する力(実通過トルク)」とする。この「実通過トルク」は、前述の[背景技術]の欄でも説明した様に、アクチュエータ13を構成する1対の油圧室36a、36b(図9参照)同士の間の差圧に基づいて求められる通過トルクに対応するものである。これに対して、上記第二の機能により求められる(算出する、推定される)当該力は、アクセル装置の操作量(アクセル開度、アクセルペダルの踏み込み量)と駆動源の回転速度(エンジン回転速度)とから求められる(算出する、推定される)もの、即ち、この駆動源から出力される(乃至は出力されると予測される)力(動力、トルク、出力トルク、エンジントルク)に対応するものである。そこで、上記第二の機能により求められる(推定される)当該力は、「駆動源から出力される力(実出力トルク、又は、エンジントルク)」とする。
上述の様な本発明の無段変速装置を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、上記第一のモード(低速モード)と上記第二のモード(高速モード)との間のモード切換中に、次に実現すべき走行モードに対応する目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する。より具体的には、請求項3に記載した様に、上記第一のモード(低速モード)から上記第二のモード(高速モード)へのモード切換中に、この第二のモード(高速モード)に対応する目標値を設定し、この目標値を油圧を調節する。又、請求項4に記載した様に、上記第二のモード(高速モード)から上記第一のモード(低速モード)へのモード切換中に、この第一のモード(低速モード)に対応する目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する。
尚、上述の様なモード切換時以外の状態、即ち、低速モード又は高速モードで運転中は、例えば、前記第一の機能に基づいて設定される目標値(第一の目標値)と、前記第二の機能に基づいて設定される目標値(第二の目標値)とを比較し、このうちの大きい値の目標値を実際の目標値(実目標値)として設定し、この目標値(実目標値)に油圧を調節する事もできる。即ち、実通過トルク{アクチュエータに設けた1対の油圧室同士の間の油圧の差(差圧)}に基づいて設定される目標値(第一の目標値)と、実出力トルク{駆動源の出力を調節する為のアクセル装置の操作量(アクセル開度、アクセルペダルの踏み込み量)とこの駆動源の駆動軸の回転速度(エンジン回転速度)と}に基づいて設定される目標値(第二の目標値)とを比較し、大きい値の目標値を実際の目標値(実目標値)として設定する。尚、「大きい値の目標値に設定する」とは、第一の目標値よりも第二の目標値が大きい場合は、この第二の目標値を実際の目標値(実目標値)に設定し、この第二の目標値よりも上記第一の目標値が大きい場合は、この第一の目標値を実際の目標値に設定する事を意味する。又、これら第一の目標値と第二の目標値とが同じ場合は、何れでも良い(第一の目標値を設定しても良いし、第二の目標値を設定しても良い)。
上述の様に構成する本発明の無段変速装置によれば、モード切換完了直後にも(モード切換の前後に亙り)、動力を伝達するトラクション部(転がり接触部)に適切な押し付け力を付与できる。
即ち、モード切換時(モード切換を開始してから終了するまでの間、モード切換中)に、押圧装置に導入する油圧の目標値の設定(算出)を、第二の機能に基づいて行なう。より具体的には、この目標値の設定(算出)を、アクセル装置の操作量(例えば、アクセル開度、アクセルペダルの踏み込み量)と駆動源(例えばエンジン、電動モータ等)の駆動軸(回転軸)の回転速度(エンジン回転速度)とに対応する、実出力トルク(駆動源から出力される力)に基づいて行なう。この様に実出力トルクに基づいて目標値を設定(算出)する為、第一の機能、即ち、アクチュエータの油圧室同士の間の油圧の差(差圧)に対応する、実通過トルク(トロイダル型無段変速機を通過する力)に基づいて目標値を設定する場合の様な、第一、第二両クラッチが同時に接続された状態で、上記目標値、延いては、この目標値に基づいて調節される押圧力が、上記駆動源から出力される力(動力、トルク)と対応しなくなる事を防止できる。
この為、モード切換の完了直後(それまで接続されていた一方のクラッチの接続が断たれた直後)でも、上記目標値、延いては、この目標値に基づいて調節される押圧力を、その時点で上記駆動源から出力される力(動力、トルク)に対応した、適切な値に調節できる。この結果、モード切換直後に、上記目標値、延いては上記押圧力が、このモード切換完了直後に必要とされる値(必要値)からずれる事を防止でき、上記トラクション部(転がり接触部)で押し付け力が不足したり、或は、これとは逆に過剰になる事を防止できる。しかも、モード切換時に、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクの方向が反転する事(差圧が0になる事)に伴う、上記目標値、延いては、この目標値に調節される上記押圧力の低下(不足)も防止できる。この為、この面からも、この押圧力が、モード切換の完了直後に必要とされる値からずれる(乃至はずれ易くなる)事を防止できる。又、これと共に、この様に押圧力の低下を防止できる分、この押圧力の変動を低減でき(押圧力が大きく変動しなくなり)、この押圧力の変動に伴うトルクシフトの低減も図れる。
又、請求項2〜4に記載した様に、モード切換中に、次に実現すべき走行モードに対応する目標値を設定し、この目標値に油圧を調節すれば、モード切換完了直前の状態で、上記押圧力を、このモード切換完了後の走行モードに応じた適切な値に調節できる。この為、例えばモード切換直後に必要とされる押圧力が、第一のモード(低速モード)と第二のモード(高速モード)とで異なる場合でも、この押圧力を、このモード切換完了直後に必要とされる値(必要値)からずれる事を防止して、上記トラクション部(転がり接触部)で押し付け力が不足したり、或は、これとは逆に過剰になる事を防止できる。
図1〜4は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、モード切換時にも(モード切換前後に亙り)、動力を伝達するトラクション部(転がり接触部)に適切な押し付け力を付与すべく、押圧装置14に導入する油圧を目標値に調節する部分(油圧調整手段)の構造、並びに、この目標値の設定手順を工夫した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図8〜9に示した従来構造と同様であるから、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。尚、本例の場合は、無段変速装置全体としての速度比(増速比)とトロイダル型無段変速機4の変速比(増速比)との関係を、例えば前述の図11に示す様に設定している。この様な設定は、例えば遊星歯車式変速機5等の減速比や伝達歯車の歯数比を規制する事により行なえる。
又、本例の図2、3にそれぞれ示した油圧回路の構成は、差圧取り出し弁37(図3参照)が設けられているか否かの点で互いに異なる。即ち、図3の油圧回路の場合は、前述の図9に示した油圧回路の場合と同様の差圧取り出し弁37を設けているのに対して、図2の油圧回路の場合には、この様な差圧取り出し弁37を設けていない(省略している)。但し、図3の油圧回路の場合は、上記差圧取り出し弁37のパイロット室43を油溜28に通じさせると共に、この差圧取り出し弁37と押圧力調整弁29との間の油路44a、4bを盲栓で塞ぐ等、この差圧取り出し弁37が機能しない様に(差圧に対応する油圧が押圧力調整弁29に導入されない様に)している。即ち、この図3の油圧回路は、差圧取り出し弁37を省略した図2の油圧回路と実質的に同じものである。従って、以下の説明は、図2の構造と図3の構造とを区別せずに行なう(以下の説明は、図2と図3との両方の構造に対応する)。
又、前述の図8〜9に示した従来構造の場合は、低速用、高速用各クラッチ7、8の接続状態の切り換え(低速モードと高速モードとの切り換え)を、1個のシフト用電磁弁20(図8〜9)により行なうのに対して、本例の場合には、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁弁45、46(2個の電磁弁45、46)により行なう。この様な本例の場合、低速モードと高速モードとの間のモード切換を、次の様に行なう。即ち、低速モード(低速用クラッチ7のみが接続された状態)で走行中、この低速モードから高速モードにモード切換を行なう場合は、後述する図6に示す様に、先ず、それまで接続されていなかった高速用クラッチ8を接続(ON)すべく、制御器16から上記高速クラッチ用電磁弁46に、この高速用クラッチ8を接続する旨の指令(制御信号)を発する(高速クラッチ用電磁弁46を通電状態とする)。その後、それまで接続されていた低速用クラッチ7の接続を断つべく(OFFすべく)、上記制御器16から上記低速クラッチ用電磁弁45に、この低速用クラッチ7の接続を断つ旨の指令(制御信号)を発する(低速クラッチ用電磁弁45を通電状態とする)。
一方、高速モード(高速用クラッチ8のみが接続された状態)で走行中、この高速モードから低速モードにモード切換を行なう場合は、後述する図7に示す様に、先ず、それまで接続されていなかった低速用クラッチ8を接続(ON)すべく、上記制御器16から上記低速クラッチ用電磁弁45に、この低速用クラッチ7を接続する旨の指令(制御信号)を発する(低速クラッチ用電磁弁45を非通電状態とする)。その後、それまで接続されていた高速用クラッチ8の接続を断つべく(OFFすべく)、上記制御器16から上記高速クラッチ用電磁弁46に、この高速用クラッチ8の接続を断つ旨の指令(制御信号)を発する(高速クラッチ用切換弁46を非通電状態とする)。
又、本例の場合は、前述の図8〜9に示した従来構造の様な、トロイダル型無段変速機4の変速比の補正を行なう為の電磁弁19、並びに、差圧シリンダ23、補正用制御弁24a、24b、前後進切り換え弁47(図9参照)を設けていない(省略している)。更に、本例の場合は、同じく前述の図8〜9に示した従来構造の様な、押圧装置14に導入する油圧を調整する為の押圧力調整弁29に、アクチュエータ13を構成する1対の油圧室36a、36b同士の間の油圧の差(差圧)を直接導入すると言った構成は、採用していない。即ち、本例の場合は、上記各油圧室36a、36bに設けた1対の油圧センサ39a、39b(図1の39)により上記差圧を検出し、この検出された差圧に基づいて、上記押圧装置14の発生する押圧力を調節する様にしている。
この為に、本例の場合は、制御器16からの指令により制御されるライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉に基づく圧油を、押圧力調整弁29の第二のパイロット部33に導入する様にしている。又、これと共に、上記制御器16に、上記差圧から求められる(推定される、算出される)、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(実通過トルク)の大きさと、このトロイダル型無段変速機4の変速比とに基づいて、上記押圧装置14に発生させるべき押圧力に対応する目標値を設定(算出)する機能を持たせている。尚、上記トロイダル型無段変速機4の変速比は、入力側、出力側各回転速度センサ40、41により(入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度の比として)検出できる他、各パワーローラ12を支持する支持部材(トラニオン)の傾斜角(枢軸を中心とする回転角)を計測する事により求める事もできる。
又、上記油圧の目標値は、例えばこの目標値と上記差圧(実通過トルク)並びに上記変速比との相関関係として、予め実験や計算により求めておき、上記制御器16のメモリに、マップや計算式、線図として記憶させておく。尚、この様なマップや計算式、線図は、低速モードと高速モードとで共通するもの(例えば共通した計算式)を用いたり、低速モードに対応するもの(例えば低速モード用MAPや線図)と高速モードに対応するもの(例えば高速モード用MAPや線図)とでそれぞれ別々のものを用いたりする事もできる。何れにしても、上記制御器16は、この様なマップや計算式、線図等に基づいて、その時点での差圧(通過トルク)と変速比(傾転角)とに対応する、上記目標値を設定すると共に、この目標値に調節すべく、前記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉を調節(デューティー比制御)する。そして、この開閉調節に基づき、前記押圧力調整弁29の開弁圧、延いては上記押圧装置14の油圧室に導入する油圧を上記目標値に調節し、上記押圧装置14が発生する押圧力を適正に規制する。
但し、この様に差圧のみに基づいて目標値を設定するだけでは、前述した様に、モード切換時に、上記押圧装置14の発生する押圧力が過大になったり、或は、過小になったりする可能性がある。又、急加速時(アクセルペダルを急に踏み込んだ際)等の動力の急変動時に、上記差圧を検出するセンサや切換弁等の応答遅れ等に伴い、上記押圧装置14の発生する押圧力が不足する可能性もある。そこで、本例の場合には、上記目標値を、上記差圧の他、上記トロイダル型無段変速機4と接続したエンジン1の出力を調節する為のアクセル装置の操作量(アクセル開度、アクセルペダルの踏み込み量)と、このエンジン1の駆動軸(クランク軸)の回転速度(エンジン回転速度)とに基づいて求められる様にしている。
即ち、本例の油圧調節手段を構成する上記制御器16は、上記目標値を設定する為に必要な、入力側、出力側両ディスク10、11同士の間で伝達される力の大きさを、上記差圧に基づいて求める第一の機能だけでなく、上記アクセル装置の操作量(アクセル開度)とエンジン1の駆動軸の回転速度(エンジン回転速度)とに基づいて求める第二の機能も備えている。そして、上記モード切換時(並びに急加速時等の動力の急変動時)に、上記第二の機能に基づき、上記目標値を設定する様にしている。尚、上記アクセル装置の操作速度、操作量は、アクセルペダルの操作量(踏み込み量、踏み増し量、開放量)を検出する為のアクセルセンサ48により検出できる。又、上記エンジン1の回転速度は、例えばこのエンジン1の駆動軸(クランク軸)の回転速度を検出する為の図示しない回転速度センサ(或いはタコメータ用の信号)により検出できる(入力側回転速度センサ40を用いる事も可能である)。
何れにしても、上記制御器16は、上記アクセル装置の操作量(アクセル開度)とエンジン1の駆動軸の回転速度(エンジン回転速度)とに基づいて、このエンジン1から出力される(乃至は出力されると予測される)力(実出力トルク、エンジントルク)の大きさを算出(推定)自在としている。この為に、上記制御器16のメモリに、車両に搭載されるエンジン1の特性、例えばアクセル開度[%]とエンジン回転速度[min-1 ]とに応じたエンジントルク[Nm]の特性を、マップや計算式、線図として記憶させておく(プログラムしておく)。そして、上記制御器16は、上述の様なエンジン特性に基づき、その時点でのアクセル開度とエンジン回転速度とに対応する、上記エンジントルクを算出(推定)する。尚、上記エンジン1を制御する為のエンジンコントローラ49と上記制御器16との間で、例えばCAN(Controller Area Network )等を用いて通信ができる場合には、このエンジンコントローラ49からアクセル開度に応じたエンジントルクデータを入手する事もできる。但し、通信の際に時間的遅れを生じる可能性がある他、通信ができない(又は通信手段がない)車両の場合には、この様な手段を採用できない。この為、上述の様な、アクセル開度とエンジン回転速度とから、マップや計算式、線図等を用いてエンジントルクを算出(推定)する事が好ましい。
上述の様に実出力トルク(エンジントルク)を求めたならば、上記制御器16により、この実出力トルク(エンジントルク)と、前記トロイダル型無段変速機4の変速比とに基づいて、上記押圧装置14に発生させるべき押圧力に対応する目標値を設定(算出)する。尚、この様に実出力トルク(エンジントルク)と変速比とに基づいて目標値を設定する場合にも、この目標値と上記実出力トルク(エンジントルク)並びに上記変速比との相関関係を、上記制御器16のメモリに、MAPや計算式、線図として記憶させておき、この様なMAPや計算式、線図等を用いて設定(算出)する。尚、この様なマップや計算式、線図等は、低速モードと高速モードとで共通するもの(例えば共通した計算式)を用いたり、低速モードに対応するもの(例えば低速モード用MAPや線図)と高速モードに対応するもの(例えば高速モード用MAPや線図)とでそれぞれ別々のものを用いたりする事もできる。
又、例えば上記MAPや計算式、線図等で用いる上記エンジントルク(実出力トルク)は、トロイダル型無段変速機4に入力されるトルク(実入力トルク)に対応させて算出(作成)する事が好ましい。この場合に、上記エンジントルクから上記トロイダル型無段変速機4に入力されるトルクを算出するには、エンジン1とこのトロイダル型無段変速機4との間に設けられた部材(トルクが通過する歯車等)の効率を考慮する必要がある。この効率は、上記トロイダル型無段変速機4の変速比や走行モード(低速モード/高速モード)に応じて異なる為、厳密に算出する事は難しい。この為、上述の様なMAPや線図は、例えば実験により求める(実験値を用いて作成する)。尚、上記エンジン1と上記トロイダル型無段変速機4との間の効率を求める事が可能であれば、上述の様なMAPや線図等に代えて、この効率を用いた計算式を使用する事もできる。
上述の様な線図や計算式、MAP等を用いて、その時点での実出力トルク(エンジントルク)と変速比とに対応する、上記目標値を設定したならば、上記制御器16は、この目標値に調節すべく、前記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉を調節(デューティー比制御)する。そして、この開閉調節に基づいて、前記押圧力調整弁29の開弁圧、延いては上記押圧装置14の油圧室に導入する油圧を調節し、上記押圧装置14が発生する押圧力を規制する。尚、必要に応じて、上記目標値、延いては、上記押圧装置14の油圧室に実際に導入される油圧、更には、上記ライン圧制御用電磁弁18の開閉量(制御Duty[%])を、その時点での油温{トロイダル型無段変速機4内を循環する潤滑油(トラクションオイル)の温度}に応じて補正する事が好ましい。この場合には、例えば、油温毎に求めた、上記目標値と上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉量との関係を用いて、その時点の油温に応じた開閉量に調節(補正)する。この様に構成すれば、上記押圧装置14の油圧室に実際に導入される油圧を、その時点でのトラクション係数や各部品の温度特性(例えば弾性変形量や摩擦係数など)に応じた値(より最適な値)に規制できる。又、潤滑油の粘性変化に拘らず、目標とする油圧を導入できる。尚、前述した第一の機能(差圧)に基づいて目標値を設定する場合にも、その時点での油温に対応した、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉量の調節(補正)を行なう事ができる。
上述の様に、本例の場合は、上記押圧装置14に導入する油圧の調節を、第一の機能(差圧)の他、第二の機能{アクセル装置の操作量(アクセル開度)とエンジン1の駆動軸の回転速度(エンジン回転速度)と}に基づいて行なえる様にしている。そして、上記制御器16に、その時点の運転状況に応じて、何れの目標値で油圧の調節を行なうかを選択する為の機能を持たせている。具体的には、モード切換時、即ち、モード切換を行なうべく、それまで接続されていなかった一方のクラッチ7(8)の接続を開始してから{一方のクラッチ7(8)を接続する為のクラッチ用切換弁45(46)に当該クラッチ7(8)を接続する旨の指令(制御信号)が制御器16から発せられてから}、それまで接続されていた他方のクラッチ8(7)の接続が断たれるまで{他方のクラッチ8(7)を接続する為のクラッチ用切換弁46(45)に当該クラッチ8(7)の接続を断つ旨の指令(制御信号)が制御器16から発せられるまで}の間は、上記第二の機能に基づいて、上記押圧装置14に導入する油圧の目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する機能を持たせている。又、この様なモード切換時以外の状態、即ち、低速モード又は高速モードで運転中の状態では、上記第一の機能に基づいて設定される目標値(第一の目標値)と、上記第二の機能に基づいて設定される目標値(第二の目標値)とを比較し、このうちの大きい値の目標値を実際の目標値(実目標値)として設定し、この目標値(実目標値)に油圧を調節する機能を持たせている。この様な制御器16が備える機能(ローディング圧制御)に就いて、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。尚、このフローチャートに示した作業は、例えばシフトレバーが走行状態(D、L、Rレンジ)に操作されており、且つ、車両が走行中の場合に、繰り返し(自動的に)行なわれる。尚、シフトレバーが非走行状態(N、Pレンジ)に操作されており、且つ、車両が停止中の場合は行なわない(シフトレバーがNレンジで惰性走行中は必要に応じて行なう)。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、現在の走行モードが低速モードであるか否かを判定する。この判定は、例えば、その時点での、高速クラッチ用、低速クラッチ用各電磁弁45、46の切換状態(通電状態)や、低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を判定する事により行なう。このステップ1で、現在の走行モードが低速モードであると判定された場合には、ステップ2に進む。このステップ2では、現在低速モードから高速モードへのモード切換中か否かを判定する。この判定は、例えば、上記低速用クラッチ7を接続すべく、上記低速クラッチ用電磁弁45が、この低速用クラッチ7に圧油を導入する状態に切り換えられており、且つ、上記高速用クラッチ8を接続すべく、上記高速クラッチ用電磁弁46も、この高速用クラッチ8に圧油を導入する状態に切り換えられている(切り換える為の指令が発せられている)か否かを判定する事により行なう。
この様なステップ2で、現在低速モードから高速モードへモード切換中である、即ち、上記低速クラッチ用電磁弁45だけでなく、上記高速クラッチ用電磁弁46にも、当該クラッチを接続する旨の指令が発せられている(低速用、高速用両クラッチ7、8を同時に接続している、乃至は、その為の指令が発せられている)と判定された場合には、ステップ3に進み、押圧装置14に導入する油圧の目標値の算出を、第二の機能に基づいて行なう。即ち、このステップ3で、その時点での実出力トルク(エンジン回転速度、アクセル開度)とトロイダル型無段変速機4の変速比とに基づいて、上記目標値を算出する。尚、このステップ3では、次に実現すべき走行モード、即ち、高速モードに対応する目標値AH を算出すべく、例えば高速モード用MAPを用いてこの算出を行なう。そして、この様に高速モード用MAPを用いて、その時点での実出力トルクと変速比とに対応する、上記目標値AH を算出したならば、続くステップ4で、この目標値AH を、上記押圧装置14に導入する油圧の目標値(実目標値)に設定する。次いで、ステップ5に進み、この実目標値に油圧を調節すべく、前記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉を調節(デューティー比制御)する。尚、これらステップ3〜5の処理に就いては、前述した第二の機能(実出力トルク)に基づく目標値の設定並びに油圧の調節と同様である。
一方、前記ステップ2で、現在低速モードから高速モードへモード切換中でない、即ち、低速モードで運転中である(低速クラッチ用電磁弁45だけにクラッチを接続する旨の指令が発せられている)と判定された場合には、ステップ6に進む。尚、このステップ6からステップ10では、第一の機能に基づいて設定される目標値(第一の目標値BL )と、第二の機能に基づいて設定される目標値(第二の目標値AL )とを比較し、このうちの大きい値の目標値を、実際の目標値(実目標値)として設定する。この為に、先ず、上記ステップ6で、第二の機能に基づいて目標値(第二の目標値AL )の算出を行なう。即ち、このステップ6では、その時点での実出力トルク(エンジン回転速度、アクセル開度)とトロイダル型無段変速機4の変速比とに基づいて、上記目標値(第二の目標値AL )を算出する。このステップ6では、低速モードで運転中である為、例えば低速モード用MAPを用いて第二の目標値AL を算出する。
この様にステップ6で、低速モード用MAPを用いて、その時点での実出力トルクと変速比とに対応する、上記第二の目標値AL を算出したならば、続くステップ7で、第一の機能に基づいて目標値(第一の目標値BL )の算出を行なう。即ち、このステップ7では、その時点での実通過トルク(差圧)とトロイダル型無段変速機4の変速比とに基づいて、上記目標値(第一の目標値BL )を算出する。このステップ7では、低速モードで運転中である為、例えば低速モード用MAPを用いて第一の目標値BL を算出する。
上述の様にステップ6で第二の機能に基づいて第二の目標値AL の算出を行なうと共に、上記ステップ7で第一の機能に基づいて第一の目標値BL の算出を行なったならば、続くステップ8で、これら第一の目標値BL と第二の目標値AL とを比較する。具体的には、この第二の目標値AL が上記第一の目標値BL 以上(AL ≧BL )であるか否かを判定する。このステップ8で、上記第二の目標値AL が上記第一の目標値BL 以上(AL ≧BL )であると判定された場合には、ステップ9に進み、このうちの第二の目標値AL を実目標値に設定する。そして、前記ステップ5に進み、この第二の目標値AL に油圧を調節すべく、前記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉状態を調節(デューティー比制御)する。一方、上記ステップ8で、この第二の目標値AL が上記第一の目標値BL 以上でない、即ち、この第二の目標値AL が上記第一の目標値BL よりも小さい(AL <BL )と判定された場合には、ステップ10に進み、このうちの第一の目標値BL を実目標値に設定する。そして、上記ステップ5に進み、この第一の目標値BL に油圧を調節すべく、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉状態を調節(デューティー比制御)する。
一方、前記ステップ1で、現在の走行モードが低速モードでない、即ち、現在の走行モードが高速モードであると判定された場合には、ステップ11に進む。尚、このステップ11からステップ18までは、低速モードである点と高速モードである点とが異なる{低速(L)と高速(H)とが逆になる}以外、上述したステップ2〜4、6〜10と同様である。即ち、上記ステップ11〜18のうち、ステップ11〜13では、高速モードから低速モードにモード切換を行なっているとの判定に基づいて、第二の機能により目標値AL を設定する。同じくステップ11、14〜18では、高速モードで運転中であるとの判定に基づいて、第一の目標値BH と第二の目標値AH とのうちの大きい値の目標値を実際の目標値(実目標値)として設定する。そして、何れの場合も、前記ステップ5に進み、この様に設定された目標値に油圧を調節すべく、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉状態を調節(デューティー比制御)する。
上述の様に構成する本例の場合には、モード切換完了直後にも(モード切換の前後に亙り)、動力を伝達するトラクション部(転がり接触部)で適切な押し付け力を付与できる。
即ち、モード切換時(モード切換を開始してから終了するまでの間、モード切換中)に、押圧装置14に導入する油圧の目標値の設定(算出)を、第二の機能、即ち、実出力トルク(エンジン回転速度、アクセル開度)に基づいて行なう。この為、モード切換の完了直後(それまで接続されていた一方のクラッチの接続が断たれた直後)でも、上記目標値、延いては、この目標値に基づいて調節される押圧力を、その時点でエンジン1から出力される力(動力、トルク)に対応した、適切な値に調節できる。この点に就いて、以下に説明する。
例えば、図5は、無段変速装置全体としての速度比と、最大トルク時に於ける、押圧装置14が発生すべき押圧力(必要ローディング圧)、並びに、第一の機能、即ち、実通過トルク(差圧)に基づいて調節される押圧力との関係を示している。この様な図5から明らかな様に、第一の機能(実通過トルク、差圧)に基づいて調節される押圧力は、低速モード並びに高速モードの両方で、上記押圧装置14が発生すべき押圧力(必要ローディング圧)よりも大きくなる。この為、原則的には、これら低速モード並びに高速モードの状態で、上記第一の機能(実通過トルク、差圧)に基づいて押圧力を調節すれば、上記押圧力は不足しない{トラクション部(転がり接触部)でグロススリップと呼ばれる有害な滑りは生じない}。但し、モード切換時に、そのまま第一の機能(実通過トルク、差圧)に基づいて押圧力の調節を行なうと、前述した様に、低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された状態で、適切な押圧力を出力できなくなる。
例えば、図6は、アクセルペダルを踏み込んだ加速中に、低速モードから高速モードへのモード切換を行なった場合の、各部の状態量の変化を模式的に示している。又、図7は、アクセルペダルを開放した減速中に、高速モードから低速モードへのモード切換を行なった場合の、各部の状態量の変化を模式的に示している。又、これら図6、7の最下段の必要ローディング圧の線図に、上記第一の機能(実通過トルク、差圧)に基づいて押圧力を調節した場合の、この押圧力の変化を、それぞれ破線で示している。尚、この必要ローディング圧の線図では、モード切換中のみ第一の機能(実通過トルク、差圧)に基づいて押圧力を調節した場合の変化を破線で示している。この様な図6、7から明らかな様に、上記第一の機能(実通過トルク、差圧)に基づいて押圧力を調節した場合には、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された状態で、この第一の機能で用いられる差圧が、エンジン1から出力される実出力トルクと対応しなくなる(不定になる)。本例の場合は、モード切換を、トロイダル型無段変速機4の変速比がモード切換ポイント(例えば増速比で0.46)に調節された状態で行なっている為、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された状態で上記差圧は0に変化する。そして、この差圧の変化に伴って、上記第一の機能(差圧)に基づいて調節される上記押圧力も、上記エンジン1から出力される力(動力、トルク)と関係なく、0になる。この為、この様に第一の機能(差圧)に基づいて押圧力を調節した場合には、モード切換の完了直後(それまで接続されていた一方のクラッチの接続が断たれた直後)、即ち、点aの時点から押圧力が十分に断ち上がるb点までの間(応答遅れ分)、上記押圧力が不足する。そして、この不足が著しい場合には、トラクション部(転がり接触部)でグロススリップと呼ばれる有害な滑りが生じる可能性がある。
これに対して本例の場合には、モード切換時(モード切換を開始してから終了するまでの間、モード切換中)に、第二の機能{実出力トルク(エンジン回転速度、アクセル開度)}に基づいて目標値の設定(算出)を行なう。この為、この目標値、延いては、この目標値に基づいて調節される押圧力を、その時点でエンジン1から出力される力(動力、トルク)に対応した、適切な値に調節できる。即ち、図6、7の最下段の必要ローディング圧の線図にそれぞれ実線で示す様に、モード切換の完了直後(それまで接続されていた一方のクラッチの接続が断たれた直後)、即ち、点cの時点で、上記押圧力が不足する事を防止できる。しかも、本例の場合は、モード切換時に、第一の機能に基づいて目標値の設定を行なう場合の様な、トロイダル型無段変速機4を通過するトルクの方向が反転する事(差圧が0になる事)に伴う、上記目標値、延いては、この目標値に調節される上記押圧力の低下(不足)も防止できる。この為、この面からも、この押圧力が、モード切換の完了直後に必要とされる値からずれる(乃至はずれ易くなる)事を防止できる。又、これと共に、この様に押圧力の低下を防止できる分、この押圧力の変動を低減でき(押圧力が大きく変動しなくなり)、この押圧力の変動に伴うトルクシフトの低減も図れる。
又、本例の場合は、モード切換中に、上記目標値を、次に実現すべき走行モードに対応する目標値に設定し、この目標値に油圧を調節している。この為、モード切換完了直前の状態で、上記押圧力を、このモード切換完了後の走行モードに応じた適切な値に調節できる。従って、モード切換直後に必要とされる押圧力が、低速モードの場合と高速モードの場合とで異なるにも拘わらず、この押圧力を、このモード切換完了直後に必要とされる値(必要値)からずれる事を防止して、上記トラクション部(転がり接触部)で押し付け力が不足したり、或は、これとは逆に過剰になる事も防止できる。
更に、本例の場合には、上述の様なモード切換時以外の状態、即ち、低速モード又は高速モードで運転中は、第一の機能(実通過トルク、差圧)に基づいて設定される目標値(第一の目標値)と、第二の機能(実出力トルク、エンジン回転速度、アクセル開度)に基づいて設定される目標値(第二の目標値)とを比較し、値が大きい目標値を実際の目標値として設定している。この為、応答遅れが生じ易い急加速時は勿論、この様な急加速時以外の動力の急変動時にも、トラクション部(転がり接触部)に十分な押し付け力を付与する事ができる。即ち、運転状況に拘わらず(何れの運転状況でも、例えばアクセルペダルを一定の踏み込み量で維持した状態から踏み込み量を急変動させる操作を行なった場合でも)、グロススリップと呼ばれる有害な滑りを確実に防止できる。
以上の説明は、本発明を、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせると共に、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる、所謂ギヤードニュートラル状態を実現できるモード(低速モード)を備えた無段変速装置に適用した場合に就いて説明した。但し、本発明は、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせると共に、トロイダル型無段変速機のみで動力を伝達するモード(低速モード)と、差動ユニットである遊星歯車式変速機により主動力を伝達し、上記トロイダル型無段変速機により変速比の調節を行なう、所謂パワースプリット状態を実現するモード(高速モード)とを備えた無段変速装置に適用する事もできる。又、トロイダル型無段変速機の構造に関しては、ハーフトロイダル型、フルトロイダル型の何れでも良い。
本発明の実施の形態の1例を示す、図8と同様のブロック図。 同じく図9と同様の油圧回路図。 別例を示す図2と同様の油圧回路図。 本発明の特徴となる動作を示すフローチャート。 無段変速装置全体としての速度比と押圧装置の押圧力との関係を示す線図。 低速モードから高速モードへのモード切換時の各部の状態量の変化を示す線図。 高速モードから低速モードへのモード切換時の各部の状態量の変化を示す線図。 従来の無段変速装置のブロック図。 この無段変速装置に組み込むトロイダル型無段変速機の変速比並びに押圧装置の発生する押圧力を調節する為の機構を示す油圧回路図。 ライン圧制御用電磁開閉弁の開度と押圧力調整弁の開弁圧の減圧量との関係の1例を示す線図。 無段変速装置全体としての速度比とトロイダル型無段変速機の変速比との相関関係の1例を示す線図。
符号の説明
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力側ディスク
11 出力側ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁開閉弁
19 電磁弁
20 シフト用電磁弁
21 制御弁装置
22 変速比制御弁
23 差圧シリンダ
24a、24b 補正用制御弁
25 高速クラッチ用切換弁
26 低速クラッチ用切換弁
27、27a、27b オイルポンプ
28 油溜
29 押圧力調整弁
30 低圧側調整弁
31 手動油圧切換弁
32 第一のパイロット部
33 第二のパイロット部
34 第三のパイロット部
35 ピストン
36a、36b 油圧室
37 差圧取り出し弁
38 減圧弁
39、39a、39b 油圧センサ
40 入力側回転速度センサ
41 出力側回転速度センサ
42 油温センサ
43 パイロット室
44a、44b 油路
45 低速クラッチ用電磁弁
46 高速クラッチ用電磁弁
47 前後進切り換え弁
48 アクセルセンサ
49 エンジコントローラ

Claims (4)

  1. トロイダル型無段変速機と差動ユニットとをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、
    このうちのクラッチ装置は、減速比を大きくする第一のモードを実現する際に接続されて同じく小さくする第二のモードを実現する際に接続を断たれる第一のクラッチと、この第二のモードを実現する際に接続されて上記第一のモードを実現する際に接続を断たれる第二のクラッチとを備え、この第一のモードと上記第二のモードとのモード切換時に、上記第一のクラッチと上記第二のクラッチとのうちの一方のクラッチでそれまで接続されていなかったクラッチを接続してから、同じく他方のクラッチでそれまで接続されていたクラッチの接続を断つ事により、これら両クラッチが同時に接続される時間を設定したものであり、
    上記トロイダル型無段変速機は、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置された第一、第二のディスクと、互いに対向するこれら第一、第二のディスクの内側面同士の間に挟持されてこれら第一、第二のディスク同士の間で動力を伝達する複数のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材と、これら各支持部材を、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間の変速比を変える油圧式のアクチュエータと、この第一のディスクと上記第二のディスクとを互いに近付く方向に押圧する押圧装置とを備え、この押圧装置は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものであり、この押圧装置に導入する油圧を調整する為の油圧調整手段は、この押圧装置の油圧室に導入する油圧を、少なくとも、その時点での上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさに応じて設定される、上記押圧装置に発生させるべき押圧力に対応する目標値に調節するものである、
    無段変速装置に於いて、
    上記油圧調整手段は、上記第一のディスクと上記第二のディスクとの間で伝達する力の大きさを、上記アクチュエータに設けた1対の油圧室同士の間の油圧の差に基づいて求める第一の機能と、上記トロイダル型無段変速機と接続した駆動源の出力を調節する為のアクセル装置の操作量とこの駆動源の駆動軸の回転速度とに基づいて求める第二の機能とを備えたものであり、
    上記第一のモードと上記第二のモードとの間のモード切換中に、上記第二の機能に基づいて上記目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する
    事を特徴とする無段変速装置。
  2. 第一のモードと第二のモードとの間のモード切換中に、次に実現すべき走行モードに対応する目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. 第一のモードから第二のモードへのモード切換中に、この第二のモードに対応する目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する、請求項2に記載した無段変速装置。
  4. 第二のモードから第一のモードへのモード切換中に、この第一のモードに対応する目標値を設定し、この目標値に油圧を調節する、請求項2に記載した無段変速装置。
JP2008014722A 2008-01-25 2008-01-25 無段変速装置 Expired - Fee Related JP4924449B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014722A JP4924449B2 (ja) 2008-01-25 2008-01-25 無段変速装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014722A JP4924449B2 (ja) 2008-01-25 2008-01-25 無段変速装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009174653A JP2009174653A (ja) 2009-08-06
JP4924449B2 true JP4924449B2 (ja) 2012-04-25

Family

ID=41029947

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008014722A Expired - Fee Related JP4924449B2 (ja) 2008-01-25 2008-01-25 無段変速装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4924449B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5742280B2 (ja) * 2011-02-16 2015-07-01 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5794479B2 (ja) * 2012-02-06 2015-10-14 本田技研工業株式会社 無段変速機における異常判定装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001021027A (ja) * 1999-07-09 2001-01-26 Nissan Motor Co Ltd 変速比無限大無段変速機の変速制御装置
JP4010145B2 (ja) * 2001-12-25 2007-11-21 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP2007040495A (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機
JP2007046661A (ja) * 2005-08-09 2007-02-22 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP2007154979A (ja) * 2005-12-05 2007-06-21 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機及び無段変速装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009174653A (ja) 2009-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007315507A (ja) 無段変速装置
JP5287762B2 (ja) 無段変速装置
US6409625B1 (en) Controller of toroidal continuously variable transmission
JP4924449B2 (ja) 無段変速装置
JP4941350B2 (ja) 無段変速装置
JP4710360B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5176496B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4670569B2 (ja) 無段変速装置
JP2007309383A (ja) 無段変速装置
JP4599905B2 (ja) 無段変速装置
JP4941328B2 (ja) 無段変速装置
JP5659088B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP5262995B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP4742678B2 (ja) 無段変速装置
JP5447609B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5898777B2 (ja) 無段変速装置
JP4736543B2 (ja) 無段変速装置
JP5045426B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP4853264B2 (ja) 無段変速装置
JP5263037B2 (ja) 無段変速装置
JP6627259B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4534726B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5682359B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP2012225512A (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5273021B2 (ja) 無段変速装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100309

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100315

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120123

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150217

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees