JP4742678B2 - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4742678B2
JP4742678B2 JP2005153599A JP2005153599A JP4742678B2 JP 4742678 B2 JP4742678 B2 JP 4742678B2 JP 2005153599 A JP2005153599 A JP 2005153599A JP 2005153599 A JP2005153599 A JP 2005153599A JP 4742678 B2 JP4742678 B2 JP 4742678B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
continuously variable
clutches
variable transmission
mode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005153599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006329317A5 (ja
JP2006329317A (ja
Inventor
巧 篠島
英司 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2005153599A priority Critical patent/JP4742678B2/ja
Publication of JP2006329317A publication Critical patent/JP2006329317A/ja
Publication of JP2006329317A5 publication Critical patent/JP2006329317A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4742678B2 publication Critical patent/JP4742678B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、例えば車両(自動車)用自動変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関し、低速モードと高速モードとのモード切換を滑らかに行なえる構造を、低コストで実現するものである。
自動車用変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が、例えば特許文献1、2、非特許文献1、2等の多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されて周知である。又、変速比の変動幅を大きくすべく、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置も、例えば特許文献3〜8に記載される等により従来から広く知られている。このうちの特許文献3〜4には、トロイダル型無段変速機のみで動力を伝達するモード(低速モード)と、差動ユニットである遊星歯車式変速機により主動力を伝達し、上記トロイダル型無段変速機により変速比の調節を行なう、所謂パワースプリット状態を実現するモード(高速モード)とを備えた無段変速装置が記載されている。又、上記特許文献5〜8には、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる、所謂ギヤードニュートラル状態を実現できるモード(低速モード)を備えた無段変速装置が記載されている。
図9〜10は、特許文献7〜8に記載されたギヤードニュートラル状態を実現できるモードを備えた無段変速装置を示している。このうちの図9は無段変速装置のブロック図を、図10は、この無段変速装置を制御する油圧回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、直接又はトロイダル型無段変速機4を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機5に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機5の構成部材の差動成分が、クラッチ装置6、即ち、図10の低速用、高速用各クラッチ7、8を介して、出力軸9に取り出される。
又、上記トロイダル型無段変速機4は、それぞれが第一、第二のディスクである入力側、出力側各ディスク10、11と、複数個のパワーローラ12と、それぞれが支持部材である複数個のトラニオン(図示省略)と、アクチュエータ13(図10)と、押圧装置14と、変速比制御ユニット15とを備える。このうちの入力側、出力側各ディスク10、11は、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。又、上記各パワーローラ12は、互いに対向する上記入力側、出力側各ディスク10、11の内側面同士の間に挟持されて、これら入力側、出力側各ディスク10、11同士の間で動力を伝達する。又、上記各トラニオンは、上記各パワーローラ12を回転自在に支持している。
又、上記アクチュエータ13は、油圧式のもので、上記各パワーローラ12を支持した上記各トラニオンを、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を変える。又、上記押圧装置14は、油圧式のもので、上記入力側ディスク10と上記出力側ディスク11とを互いに近付く方向に押圧する。又、上記変速比制御ユニット15は、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を所望値にする為に、上記アクチュエータ13の変位方向及び変位量を制御する。
図示の例の場合、上記変速比制御ユニット15は、制御器16と、この制御器16からの制御信号に基づいて切り換えられる、ステッピングモータ17と、ライン圧制御用電磁開閉弁18と、電磁弁19と、シフト用電磁弁20と、これら各部材17〜20により作動状態を切り換えられる制御弁装置21とにより構成している。尚、この制御弁装置21は、変速比制御弁22と、差圧シリンダ23と、補正用制御弁24a、24bと、高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26(図10)とを合わせたものである。このうちの変速比制御弁22は、上記アクチュエータ13への油圧の給排を制御するものである。又、上記差圧シリンダ23は、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)に応じて、このトロイダル型無段変速機4の変速比を補正すべく、上記変速比制御弁22の切換状態を調節する為のものである。又、上記補正用制御弁24a、24bは、上記差圧シリンダ23への圧油の給排を制御するものである。更に、上記高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26は、前記低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の導入状態を切り換えるものである。
又、前記ダンパ2部分から取り出した動力により駆動されるオイルポンプ27(図10の27a、27b)から吐出した圧油は、上記制御弁装置21や上記押圧装置14等に送り込まれる。即ち、油溜28(図10)から吸引されて上記オイルポンプ27a、27bにより吐出された圧油を、調圧弁29a、29bで所定圧に調整自在としている。又、これら両調圧弁29a、29bのうち、上記押圧装置14並びに手動油圧切換弁30側に送る油圧を調整する為の調圧弁29aによる調整圧を、上記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉に基づいて調節自在としている。そして、上記両調圧弁29a、29bにより圧力を調整された圧油を、前記変速比制御弁22を介して前記アクチュエータ13に送り込み自在とする他、前記差圧シリンダ23のストロークを調節する為の前記補正用制御弁24a、24bに、前記電磁弁19の開閉に基づいて送り込み自在としている。
又、この圧油は、上記手動油圧切換弁30と、前記高速クラッチ用切換弁25又は低速クラッチ用切換弁26とを介して、前記低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8の油圧室内に送り込み自在としている。又、これら低速用、高速用各クラッチ7、8のうちの低速用クラッチ7は、減速比を大きくする{変速比無限大(ギヤードニュートラル状態)を含む}低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、上記高速用クラッチ8は、上記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、これら低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の給排状態は、前記シフト用電磁弁20の切り換えに応じて切り換えられる。
上述の様な図9〜10に示した無段変速装置の運転時、前記制御器16の制御信号に基づき上記シフト用電磁弁20を切り換える事により、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換えて、低速モードと高速モードとの切り換えを行なう。ところで、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、低速モードと高速モードとを有する無段変速装置の場合、上述した様なギヤードニュートラル状態を実現できるものにしても、前記特許文献3〜4に記載されたパワースプリット状態を実現できるものにしても、低速モードと高速モードとのモード切換時に、このモード切換を滑らかに行なう事が、乗り心地性能(乗り心地の良さ)等を確保する面で重要になる。この様なモード切換を滑らかに行なう技術として、例えば特許文献9には、このモード切換時に、それまで接続されていなかったクラッチと、それまで接続されていたクラッチとを、同時に接続させる技術が記載されている。
この様な技術を採用すれば、例えば加速中に低速モードから高速モードに切り換える際には、図11(A)に示す様に、それまで接続されていなかった高速用クラッチが接続されてから、それまで接続されていた低速用クラッチの接続が断たれる。この為、モード切換時にこれら高速用、低速用両クラッチの接続が同時に断たれる事による、エンジンの回転速度の急上昇(吹け上がり)や、この急上昇後の高速用クラッチの接続に伴う変速ショック(トルク抜け感、押し出し感)を防止して、運転者を初めとする乗員に違和感を与える事を防止できる。又、特許文献10には、パワースプリット状態を実験できる無段変速装置で、高速モードから低速モードに切り換える際の高速用クラッチを断つタイミングに比べ、低速モードから高速モードに切り換える際の低速用クラッチを断つタイミングを長くする事により、このモード切換時に両クラッチが接続されている時間を確保する発明が記載されている。又、特願2004−185277号には、低速用、高速用各クラッチの断接を切り換える為の低速クラッチ用、高速クラッチ用各切換弁の切り換えに遅延時間を設定する事により、モード切換時に両方のクラッチを同時に接続させる時間を造り出す発明が開示されている。
ところで、上述した各特許文献に記載された従来技術や特願2004−185277号に開示された先発明の場合、未だ改良の余地がある。即ち、これら従来技術や先発明の場合、モード切換時に、低速用、高速用各クラッチが同時に接続されたか否かの判定を行なってはいない。一方、モード切換時に上記低速用、高速用各クラッチは、その切換時の状態、例えば油温やこれら低速用、高速用各クラッチを構成する摩擦材の温度特性等に応じて、接続が開始されてから接続し切る(動力の伝達をできる状態となる)までの時間が異なる。この為、上記油温によっては、モード切換時に上記両クラッチが同時に接続されなかったり、或いは逆に、これら両クラッチが同時に接続される時間が必要以上に長くなる可能性がある。
例えば、上記油温が高く、油の粘性が低い場合は、通油路中を圧油が流動する事に対する抵抗が低くなる為、上記モード切換時に、上記低速用、高速用各クラッチの接続が開始されてから接続し切るまでの時間が短くなる。この様な場合に、例えば通常のままのタイミングで上記低速用、高速用各クラッチの断接を行なうと、図11(B)に示す様に、上記両クラッチが同時に接続されている時間tが長くなる。そして、この様に両クラッチが同時に接続されている時間tが必要以上に長くなると、上記モード切換が完了するまでの時間も(短くできるにも拘らず)長くなり、例えば加速中であればこの加速が途切れる時間が長くなって、走行フィーリングが悪化し、運転者を初めとする乗員に違和感を与える可能性がある。
一方、上記油温が低く、油の粘性が高い場合には、通油路中を圧油が流動する事に対する抵抗が高くなる為、上記モード切換時に上記低速用、高速用各クラッチの接続が開始されてから接続し切るまでの時間が長くなる。この様な場合に、例えば通常のままのタイミングで上記低速用、高速用各クラッチの断接を行なうと、図11(C)に示す様に、それまで接続されていなかったクラッチが接続し切る以前に、それまで接続されていたクラッチの接続が断たれる可能性がある。この様な場合には、これら両クラッチが同時に接続を断たれた際に、上述した様な、エンジンの回転速度の急上昇(吹け上がり)や、この急上昇後のクラッチの接続に伴う変速ショックを生じ、運転者を初めとする乗員に違和感を与える可能性がある。
この様な不都合を防止すべく、モード切換時に、上記油温等の車両の状態に応じて、上記各クラッチの断接のタイミングを調節する事が考えられる。例えば、上記油温を検出する油温センサを設け、この検出される油温に応じて、各クラッチの断接タイミングを変える事が考えられる。但し、この様な構造を採用すると、上記油温とこの油温に対応する最適な断接タイミングとの相関関係を予め求めると共に、この相関関係を、制御器のメモリにマップや式等として記憶させておく必要がある。そして、この様な相関関係に基づいて上記各クラッチの断接を行なう為、これら各クラッチの断接制御が複雑になる可能性がある。
又、上記低速用、高速用各クラッチが同時に接続されているか否かを判定すべく、これら各クラッチに導入される油圧を検出したり、或いは、これら各クラッチを構成するピストン等の変位を検出する事が考えられる。但し、この様な場合には、上記油圧を検出する為の油圧センサや油圧スイッチ、或いは、上記ピストン等の変位を検出する為の変位センサ(ストロークセンサ)を別に設ける必要があり、装置が複雑になると共に、コストが増大する可能性がある。
特許第2734583号公報 特開平5−39850号公報 特開平10−196759号公報 特開2003−194207号公報 特開2003−307266号公報 特開2000−220719号公報 特開2004−225888号公報 特開2004−211836号公報 特開平9−210191号公報 特開2003−207042号公報 青山元男著、「別冊ベストカー 赤バッジシリーズ245/クルマの最新メカがわかる本」、株式会社三雄社/株式会社講談社、平成13年12月20日、p.92−93 田中裕久著、「トロイダルCVT」、株式会社コロナ社、2000年7月13日
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、油温等の車両状態の変化に拘らず、モード切換時に低速用、高速用両クラッチが同時に接続される時間を適正に造り出す事のできる構造を、装置を複雑にする事なく、低コストで実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、従来から知られている無段変速装置と同様に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とをクラッチ装置を介して組み合わせて成る。
このうちのクラッチ装置は、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチと、これら各クラッチの断接状態を切り換える制御器とから成る。
又、この制御器は、上記各クラッチの断接を制御する事により、変速状態を上記低速モードと上記高速モードとのうちの何れかのモードにするものである。
そして、上記制御器に、上記低速モードと上記高速モードとのモード切換時に、上記低速用クラッチと上記高速用クラッチとのうちの一方のクラッチでそれまで接続されていなかったクラッチを接続してから、同じく他方のクラッチでそれまで接続されていたクラッチの接続を断つ機能を持たせる事により、これら両クラッチが同時に接続されている時間を設定している。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記制御器に、上記両クラッチが同時に接続されている事を、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクの変化に基づいて判定する機能を持たせる。そして、上記モード切換時に、この機能に基づき上記両クラッチが同時に接続されていると判定された事を条件に、それまで接続されていた上記他方のクラッチの接続を断つ。
上述の様に、本発明の無段変速装置によれば、モード切換時に、それまで接続されていなかった一方のクラッチが接続されると、この一方のクラッチとそれまで接続されていた他方のクラッチとの両クラッチが接続されている事を、トロイダル型無段変速機を通過するトルクの変化に基づいて判定する。そして、上記両クラッチが接続されていると判定されてから、上記他方のクラッチの接続を断つ。この為、例えばクラッチを構成する摩擦材の温度特性並びに油温等の車両状態に応じて、上記一方のクラッチの接続が開始されてから接続し切る(動力の伝達をできる状態となる)までの時間が変化しても、この時間の長短に拘らず、上記両クラッチが同時に接続されてから、上記他方のクラッチの接続を断つ事ができる。
この為、上記両クラッチが同時に接続されている時間を、上記油温等の変化に拘らず、確実に造り出す事ができ、モード切換を滑らかに行なえる。又、これと共に、上記両クラッチが同時に接続されている時間も、上記一方のクラッチが接続されてから(或は判定から)上記他方のクラッチの接続を断つ為の指令信号を出すまでのタイミング(遅延時間)を設定する事により、容易に調節できる。この為、モード切換の時間が必要以上に長くなる事による、走行フィーリングの悪化を防止でき、運転者を初めとする乗員に違和感を与える事を防止できる。又、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)の変化は、従来からこの通過トルクを検出する為に設置されていた油圧センサが検出する、パワーローラを支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータに設けられた、1対の油圧室同士の差圧から求める事ができる。この為、上記両クラッチが接続されているか否かを判定する為に、クラッチの構成部品の変位量を求める為の変位センサ(ストロークセンサ)や、クラッチの油圧室内の油圧を検出する為の油圧センサ等を別に設ける必要もなく、装置が複雑になる事や、コストが嵩む事を防止できる。
本発明を実施する場合に好ましくは、両クラッチが同時に接続されたか否かを、トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)が0になったか否か(請求項2)、この通過トルクが0に向けて所定量変化したか否か(請求項3)、この通過トルクが0に向けて所定速度(以上)で変化したか否か(請求項4)、のうちの何れか又は複数の変化に基づいて判定する。
この様に構成すれば、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクの変化に基づいて、上記両クラッチが同時に接続されているか否かを、容易、且つ、正確に判定できる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した様に、入力軸を一方向に回転させたまま出力軸を停止させる、ギヤードニュートラル状態を実現できるモードを備えたものとする。
この様な、ギヤードニュートラル状態を実現できるモードを備えた無段変速装置の場合は、低速モードと高速モードとの間のモード切換が、低速で行なわれる。この為、このモード切換が走行の度に行なわれる事になり、モード切換を滑らかに行なう必要性が高く、本発明の効果を顕著に得られる。
図1〜6は、請求項1、2、5に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本実施例の特徴は、モード切換時にクラッチ装置6である低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されている時間を確実に造り出すべく、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)に応じて、上記低速用、高速用両クラッチ7、8の断接制御を行なう点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9〜10に示した従来構造と同様であるから、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
本実施例の場合も、制御器16の制御信号に基づいて上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換える事により、減速比を大きくする(ギヤードニュートラル状態を含む)低速モードと、減速比を小さくする高速モードとを実現する。この為に、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を、上記制御器16の制御信号に基づいて通電状態を制御される、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁31、32により、切り換え自在としている。即ち、これら低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁31、32は、ソレノイドへの通電に基づいてスプールをそれぞれ変位させるもので、このスプールの変位に基づき、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の油圧室内への圧油の導入状態を切り換える事により、これら低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換える。
例えば、上記低速用クラッチ7を接続すると共に上記高速用クラッチ8の接続を断つ場合(低速モードを実現する場合)には、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁31、32を非通電状態にし、これら各電磁切換弁31、32のスプールを、ばねの弾力に基づいて図2の右方(左枡の状態)に変位させる。この結果、上記低速用クラッチ7の油圧室に圧油が導入され、この低速用クラッチ7が接続されると共に、上記高速用クラッチ8の油圧室が油溜28に通じ、この高速用クラッチ8の接続が断たれる。
一方、上記低速用クラッチ7の接続を断つと共に上記高速クラッチ8を接続する場合に(高速モードを実現する場合)は、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁31、32を通電状態にし、これら各電磁切換弁31、32のスプールを、ばねの弾力に抗して、図2の左方(右枡の状態)に変位させる。この結果、上記低速用クラッチ7の油圧室が油溜28に通じ、この低速用クラッチ7の接続が断たれると共に、上記高速用クラッチ8の油圧室に圧油が導入され、この高速用クラッチ8が接続される。
又、上記低速、高速用両クラッチ7、8の接続を断つ場合(ニュートラル状態を実現する場合)には、上記低速クラッチ用電磁切換弁31を通電状態とし、この電磁切換弁31のスプールをばねの弾力に抗して図2の左方(右枡の状態)に変位させると共に、上記高速クラッチ用電磁切換弁32を非通電状態にし、この電磁切換弁32のスプールを、ばねの弾力に基づいて図2の右方(左枡の状態)に変位させる。この結果、上記低速用クラッチ7の油圧室が油溜28に通じ、この低速用クラッチ7の接続が断たれると共に、上記高速用クラッチ8の油圧室が油溜28に通じ、この高速用クラッチ8の接続が断たれる。
又、本実施例の場合、前記制御器16に、低速モードと高速モードとのモード切換時に、上記低速用クラッチ7と上記高速用クラッチ8とのうちの一方のクラッチでそれまで接続されていなかったクラッチを接続してから、同じく他方のクラッチでそれまで接続されていたクラッチの接続を断つ機能を持たせている。即ち、低速モードから高速モードにモード切換する場合には、上記高速用クラッチ8を接続してから、上記低速用クラッチ7の接続を断つ様にすると共に、高速モードから低速モードにモード切換する場合には、上記低速用クラッチ7を接続してから、上記高速用クラッチ8の接続を断つ様にしている。更に、本実施例の場合、上述の様なモード切換時に、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されている事を、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)の変化に基づいて判定する機能を、上記制御器16に持たせている。
即ち、モード切換時に、それまで接続されていなかった一方のクラッチが接続され、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続された状態になると、上記通過トルクは、それまでの他方のクラッチのみが接続されていた状態での値から、0に向けて変化する。この為、この様な通過トルクの変化を検出すれば、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されたか否かを判定できる。この為に、本実施例の場合は、上記通過トルクを、この通過トルクに対応する値である、パワーローラ12を支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータ13に設けた、1対の油圧室33a、33b同士の間の差圧から求める。この為に、これら各油圧室33a、33bにそれぞれ油圧センサ34(図2の34a、34b)を設け、これら各油圧センサ34a、34bの検出信号を、上記制御器16に入力している。
そして、例えば図4に示す様に、上記1対の油圧室33a、33b同士の間の差圧に応じて、上記低速用、高速用両クラッチ7、8の断接制御を行なう。尚、この図4は、加速中に低速モードから高速モードへのモード切換を行なう場合を示している。
先ず、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が、上記モード切換を行なう値(例えば最大減速比)になると、それまで接続されていなかった一方のクラッチである高速用クラッチ8の接続を開始すべく、前記高速クラッチ用電磁切換弁32が切り換わる(通電状態がONになる)。そして、この切り換えに基づいて上記高速用クラッチ8の油圧室の油圧が上昇し、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されると、上記通過トルクに対応する値である上記差圧が、それまでの値(−500kPa)から0に向けて変化する。そこで、この差圧の変化から、上記制御器16により、上記両クラッチ7、8が同時に接続されていると判定する。そして、この判定を条件に、それまで接続されていた他方のクラッチである、低速用クラッチ7の接続を断つべく、前記低速クラッチ用電磁切換弁31を切り換える(通電状態ONにする)。尚、これとは逆に、高速モードから低速モードへのモード切換を行なう場合には、一方のクラッチと他方のクラッチ、並びに、上記差圧の正負が逆になる以外は、上述した場合と同様に低速用、高速用各クラッチ7、8の断接を行なう事で、これら両クラッチ7、8が同時に接続される時間を造り出す。
上述の様な制御器16が備える機能に就いて、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。尚、このフローチャートに示した作業は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、より好ましくは、トロイダル型無段変速機4の変速比がモード切換を行なう値{例えば最大減速比(変速比が最小の値)}近傍で運転されている間、繰り返し(自動的に)行なわれる。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、モード切換を行なう条件が成立しているか否かを判定する。この判定は、例えばトロイダル型無段変速機4の変速比が所定の値(例えば最大減速比=0.46)であるか否かを、入力側、出力側両回転センサ35、36により検出される入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度の比に基づいて、或いは、予め求めたステッピングモータ17のステップ位置と変速比との相関関係に基づいて、判定する。この様なステップ1で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定の値ではないと判定された場合には、モード切換は行なわずに終了する(開始に戻る)。
一方、上記ステップ1で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定値であり、モード切換を行なう条件が成立していると判定された場合には、続くステップ2に示す様に、現在の走行モードが低速モードか否かを判定する。この判定は、この判定の直前に、上記制御器16が前記低速クラッチ用、高速クラッチ用両電磁切換弁31、32に出力した制御信号に基づいて行なう。この様なステップ2で、上記制御器16が直前に出力した制御信号が、低速モードを実現するもの(低速用クラッチ7を接続すると共に高速用クラッチ8の接続を断つもの)であれば、現在の走行モードが低速モードであると判定する。そして、この様に現在の走行モードが低速モードであると判定された場合は、ステップ3で、高速用クラッチ8を接続させるべく、上記高速クラッチ用電磁切換弁32を切り換える(通電状態をONにする)。次いで、ステップ4に示す様に、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)に対応する値である、前記アクチュエータ13を構成する1対の油圧室33a、33b同士の間の差圧の変化を検出する。
即ち、続くステップ5に示す様に、この差圧が0(差圧=0)になったか否かを判定する。本実施例の場合は、上記差圧が、チューニング等により決定されるヒステリシスαの範囲内(差圧≦|0±α|)か否かにより判定する。尚、このヒステリシスαは、予め実験等により求めた最適値に設定しておく。この様なステップ5で、上記差圧が0±αの範囲内でなければ、上記ステップ4に戻り、再度この差圧が0±αの範囲内かの判定を、この差圧が0±αの範囲内になるまで繰り返す。そして、上記ステップ5で、上記差圧が0±αの範囲内となり、前記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されていると判定された場合には、続くステップ6に示す様に、前記低速用クラッチ7の接続を断つべく、前記低速クラッチ用電磁切換弁31を切り換える(通電状態をONにする)。
一方、上記ステップ2で、上記制御器16が直前に出力した制御信号が高速モードを実現するもの(低速用クラッチ7の接続を断つと共に高速用クラッチ8を接続させるもの)であれば、現在の走行モードが高速モードであると判定する。そして、この様に現在の走行モードが高速モードであると判定された場合は、ステップ7で、低速用クラッチ7を接続させるべく、上記低速クラッチ用電磁切換弁31を切り換える(通電状態をOFFにする)。次いで、ステップ8に示す様に、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)に対応する値である、上記アクチュエータ13を構成する1対の油圧室33a、33b同士の間の差圧の変化を検出する。
即ち、続くステップ9に示す様に、この差圧が0(差圧=0)になったか否かを判定する。本実施例の場合は、上記差圧が、チューニング等により決定されるヒステリシスαの範囲内(差圧≦|0±α|)か否かにより判定する。尚、このヒステリシスαも、予め実験等により求めた最適値に設定しておく。この様なステップ9で、上記差圧が0±αの範囲内でなければ、上記ステップ8に戻り、再度この差圧が0±αの範囲内かの判定を、この差圧が0±αの範囲内になるまで繰り返す。そして、上記ステップ9で、上記差圧が0±αの範囲内となり、前記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されていると判定された場合には、続くステップ10に示す様に、高速用クラッチ8の接続を断つべく、前記高速クラッチ用電磁切換弁32を切り換える(通電状態をOFFにする)。
上述の様に本実施例によれば、モード切換時に、それまで接続されていなかった一方のクラッチ(低速用クラッチ7或いは高速用クラッチ8)が接続されると、この一方のクラッチ7(8)と、それまで接続されていた他方のクラッチ(高速用クラッチ8或いは低速用クラッチ7)との両クラッチ7、8が接続されている事を、トロイダル型無段変速機4を通過するトルクの変化を表す、アクチュエータ13の油圧室33a、33b同士の間の差圧に基づいて判定する。そして、上記両クラッチ7、8が接続されていると判定されてから、上記他方のクラッチ8(7)の接続を断つ。この為、例えば上記低速用、高速用各クラッチ7、8を構成する摩擦材の温度特性並びに油温等の車両状態に応じて、上記一方のクラッチ7(8)の接続が開始されてから接続し切る(動力の伝達をできる状態となる)までの時間が変化しても、この時間の長短に拘らず、上記両クラッチ7、8が同時に接続されてから、上記他方のクラッチ8(7)の接続を断つ事ができる。
即ち、図5(A)に示す様に、上記油温が低く、油の粘性が低ければ、上記モード切換時に上記低速用、高速用各クラッチ7、8の接続が開始されてから接続し切るまでの時間Tが長くなる(例えば1.5秒程度)。この様な場合でも、上記両クラッチ7、8が接続された事を上記差圧に基づいて判定し、これら両クラッチ7、8が接続された事を条件に、他方のクラッチである低速用クラッチ7の接続を断つ事ができる。又、同図(B)に示す様に、上記油温が高く、油の粘性が低ければ、上記モード切換時に上記低速用、高速用各クラッチ7、8の接続が開始されてから接続し切るまでの時間tが短くなる(例えば0.7秒程度)。この様な場合でも、上記両クラッチ7、8が接続された事を上記差圧に基づいて判定し、これら両クラッチ7、8が接続された事を条件に、他方のクラッチである低速用クラッチ7の接続を断つ事ができる。
この為、上記両クラッチ7、8が同時に接続されている時間を、上記油温等の変化に拘らず、確実に造り出す事ができ、モード切換を滑らかに行なえる。又、これと共に、上記両クラッチ7、8が同時に接続されている時間も、上記他方のクラッチ(図5では低速用クラッチ7)の接続を断つタイミング{一方のクラッチが接続されてから(或は判定から)他方のクラッチの接続を断つ信号を発するまでの遅延時間}を設定する事により容易に調節できる。この為、モード切換の時間が必要以上に長くなる事による、走行フィーリングの悪化を防止でき、運転者を初めとする乗員に違和感を与える事を防止できる。又、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)の変化は、従来からこの通過トルクを検出する為に設置されていた油圧センサが検出する、前述の様な、パワーローラ12を支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータ13の1対の油圧室33a、33b同士の間の差圧から求める事ができる。この為、上記両クラッチ7、8が接続されているかを判定する為に、変位センサ(ストロークセンサ)や、これら両クラッチ7、8の油圧室内の油圧を検出する為の油圧センサ等を別に設ける必要もなく、装置が複雑になる事や、コストが嵩む事を防止できる。
図6は、車両を停止させた状態から、50Km/h程度まで加速し、その後惰性走行させてから、ブレーキペダルを踏み込んで停止するまでの、この車両に加わる加速度の変化を示している。この図6中、入力側ディスク10の回転速度(IDREV [min-1 ]:左縦軸)を細一点鎖線とし、出力側ディスク11の回転速度(ODREV [min-1 ]:左縦軸)を細二点鎖線とし、トロイダル型無段変速機4の変速比(eCVU [ratio ]:左縦軸×10000)を太実線とし、アクチュエータ13の1対の油圧室33a、33b同士の差圧(dP[KPa ]:左縦軸)を細破線としている。又、走行モード{MODE[L(低速モード)/H(高速モード)]}を太二点鎖線とし、車速(SPEED [km/h]:左縦軸×100)を細三点鎖線とし、アクセル開度(ACCEL [% ]:右縦軸+200)を太四点鎖線とし、ブレーキペダルの踏み込み状態(F/B[ON/OFF ])を太三点鎖線としている。又、低速クラッチ用電磁切換弁31の切り換え状態(Low SOL [ON/OFF ])を太五点鎖線とし、高速クラッチ用電磁切換弁32の切り換え状態(High SOL[ON/OFF ])を太破線とし、ステッピングモータ17のステップ位置(S/M[Step]:右縦軸)を太一点鎖線としている。更に、低速用クラッチ7の油圧室の油圧(K1[KPa ]:右縦軸×10)を細四点鎖線とし、高速用クラッチ8の油圧室の油圧(K2[KPa ]:右縦軸×10)を細5点鎖線とし、加速度(Acceleration[G ]:右縦軸×10)を細実線としている。又、横軸を時間[Sec ]とすると共に、モード切換を行なうトロイダル型無段変速機4の変速比eCVU を0.46としている。
この様な図6から明らかな様に、低速モードから高速モードに切り換える際は、それまで接続されていなかった高速用クラッチ8とそれまで接続されていた低速用クラッチ7との両方が接続されると、同図にイで示す様に、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクに対応する値である上記差圧が、それまでの値から0に向けて変化する。本実施例の場合、この様な差圧の変化に基づき、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されたと判断すると共に、この様に両クラッチ7、8が接続された事を条件に、上記低速用クラッチ7の接続を断っている。この様な低速モードから高速モードへのモード切換の際に加わる加速度は、同図の実線ハにその傾向を示す様に、急激には変動していない。この為、滑らかにモード切換を行なえ、運転者を初めとする乗員に違和感を与える事を防止できる。又、高速モードから低速モードに切り換える際にも、それまで接続されていなかった低速用クラッチ7とそれまで接続されていた高速用クラッチ8との両方が接続されると、同図にロで示す様に、上記差圧がそれまでの値から0に向けて変化する。この場合も、この様な差圧の変化に基づき、上記低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されたと判断すると共に、この様に両クラッチ7、8が接続された事を条件に、上記高速用クラッチ8の接続を断っている。この様な高速モードから低速モードへのモード切換の際に加わる加速度も、同図の実線ニにその傾向を示す様に、急激には変動していない。この場合も、モード切換を滑らかに行なえ、運転者を初めとする乗員に違和感を与える事を防止できる。
尚、本実施例の場合は、制御器16により制御される低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁31、32の切換に基づき、低速用クラッチ7及び高速用クラッチ8の断接状態を、それぞれ独立して切換自在としている。この様に低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を独立して切り換える構造としては、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁31、32により上記低速用、高速用各クラッチ7、8の各油圧室に送り込む油圧を制御する他、電磁比例弁や、モータ等のアクチュエータにより制御する事もできる。又、上記低速用、高速用各クラッチの断接を直接モータ等のアクチュエータや切換弁により制御する事もできる。要は、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態をそれぞれ独立して切り換える事ができれば、何れの構造も採用可能である。又、前述の様に本実施例の場合は、低速モードを実現する際に低速クラッチ用、高速クラッチ用両電磁切換弁31、32を非通電状態にすると共に、高速モードを実現する際にこれら両電磁切換弁31、32を通電状態にする。この為、何らかの故障でこれら各電磁切換弁31、32に通電を行なえなくなった場合でも、低速モードでの走行を確保でき、フエールセーフ化(故障時の安全性能の向上)を図れる。
図7は、請求項1、3に対応する、本発明の実施例2を示している。上述した実施例1の場合は、モード切換時に低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されているか否かを、トロイダル型無段変速機4(図1、2参照)を通過するトルクが0になったか否かに基づいて判定する。これに対して、本実施例の場合は、上記両クラッチ7、8が同時に接続されているか否かを、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが0に向けて所定量変化したか否かに基づいて判定する。即ち、本実施例の場合は、上記通過トルクに対応する値である、パワーローラ12(図1参照)を支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータ13の1対の油圧室33a、33b(図2参照)同士の差圧が、0に向けて所定量(例えばX[Pa])変化したか否かに基づいて、上記判定を行なう。例えば、現在の差圧が正の値である場合には、所定量減少したか否かに基づいて、或いは、現在の差圧が負の値である場合には、所定量増大したか否かに基づいて、上記判定を行なう。そして、この差圧が0に向けて所定量変化した事を条件に、それまで接続されていた他方のクラッチ(低速用クラッチ7或いは高速用クラッチ8)の接続を断つ。尚、上記所定量(X[Pa])は、予め実験等により最適な値を求めておく。
その他の構成及び作用は、上述した実施例1と同様であるから、重複する説明は省略する。
図8は、請求項1、4に対応する、本発明の実施例3を示している。上述した実施例2の場合は、モード切換時に低速用、高速用両クラッチ7、8が同時に接続されているか否かを、トロイダル型無段変速機4(図1、2参照)を通過するトルクが0に向けて所定量変化したか否かに基づいて判定する。これに対して、本実施例の場合は、上記両クラッチ7、8が同時に接続されているか否かを、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが0に向けて所定速度(以上)で変化したか否かに基づいて判定する。即ち、本実施例の場合は、上記通過トルクに対応する値である、パワーローラ12(図1参照)を支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータ13に設けた1対の油圧室33a、33b(図2参照)同士の差圧が0に向けて所定速度以上(例えばY[Pa/ms]以上)で変化したか否かに基づいて、上記判定を行なう。例えば、現在の差圧が正の値である場合には、所定速度以上で減少したか否かに基づいて、或いは、現在の差圧が負の値である場合には、所定速度以上で増大したか否かに基づいて、上記判定を行なう。そして、この差圧が0に向けて所定速度以上で変化した事を条件に、それまで接続されていた他方のクラッチ(低速用クラッチ7或いは高速用クラッチ8)の接続を断つ。尚、上記所定速度(Y[Pa/ms])は、予め実験等により最適な値を求めておく。
その他の構成及び作用は、前述した実施例1と同様であるから、重複する説明は省略する。
以上の説明は、本発明を、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせると共に、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる、所謂ギヤードニュートラル状態を実現できるモード(低速モード)を備えた無段変速装置に適用した場合に就いて説明した。但し、本発明は、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせると共に、トロイダル型無段変速機のみで動力を伝達するモード(低速モード)と、差動ユニットである遊星歯車式変速機により主動力を伝達し、上記トロイダル型無段変速機により変速比の調節を行なう、所謂パワースプリット状態を実現するモード(高速モード)とを備えた無段変速装置に適用する事もできる。又、自動車用の自動変速機としてだけでなく、各種産業用の変速機としても利用できる。又、トロイダル型無段変速機の構造に関しては、ハーフトロイダル型、フルトロイダル型の何れでも良い。
本発明の実施例1を示す、無段変速装置のブロック図。 この無段変速装置に組み込む油圧回路図。 実施例1の特徴となる動作を示すフローチャート。 アクチュエータを構成する1対の油圧室同士の差圧と、低速用、高速用各クラッチの接続状態と、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁の切り換え状態との関係を示す線図。 低速用、高速用各クラッチの接続状態と、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁の切り換え状態との関係の2例を示す線図。 車両が停止した状態から加速し、惰性走行後、停止するまでの、各部の状態変化を説明する為の線図。 本発明の実施例2を示す、図3と同様の図。 同実施例3を示す、図3と同様の図。 従来の無段変速装置のブロック図。 この無段変速装置に組み込む油圧回路図。 低速用、高速用各クラッチの接続状態と、低速用、高速用各切換弁の切り換え状態との関係の3例を示す線図。
符号の説明
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力側ディスク
11 出力側ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁開閉弁
19 電磁弁
20 シフト用電磁弁
21 制御弁装置
22 変速比制御弁
23 差圧シリンダ
24a、24b 補正用制御弁
25 高速クラッチ用切換弁
26 低速クラッチ用切換弁
27、27a、27b オイルポンプ
28 油溜
29a、29b 調圧弁
30 手動油圧切換弁
31 低速クラッチ用電磁切換弁
32 高速クラッチ用電磁切換弁
33a、33b 油圧室
34、34a、34b 油圧センサ
35 入力側回転センサ
36 出力側回転センサ

Claims (5)

  1. トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、このクラッチ装置は、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチと、これら各クラッチの断接状態を切り換える制御器とから成り、この制御器は、これら各クラッチの断接を制御する事により、変速状態を上記低速モードと上記高速モードとのうちの何れかのモードにするものであり、上記制御器に、上記低速モードと上記高速モードとのモード切換時に、上記低速用クラッチと上記高速用クラッチとのうちの一方のクラッチでそれまで接続されていなかったクラッチを接続してから、同じく他方のクラッチでそれまで接続されていたクラッチの接続を断つ機能を持たせる事により、これら両クラッチが同時に接続されている時間を設定した無段変速装置に於いて、上記制御器に、上記両クラッチが同時に接続されている事を、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクの変化に基づいて判定する機能を持たせ、上記モード切換時に、この機能に基づき上記両クラッチが同時に接続されていると判定された事を条件に、それまで接続されていた上記他方のクラッチの接続を断つ事を特徴とする無段変速装置。
  2. トロイダル型無段変速機を通過するトルクが0になったか否かに基づいて、両クラッチが接続されたか否かの判定を行なう、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. トロイダル型無段変速機を通過するトルクが0に向けて所定量変化したか否かに基づいて、両クラッチが接続されたか否かの判定を行なう、請求項1に記載した無段変速装置。
  4. トロイダル型無段変速機を通過するトルクが0に向けて所定速度で変化したか否かに基づいて、両クラッチが接続されたか否かの判定を行なう、請求項1に記載した無段変速装置。
  5. 入力軸を一方向に回転させたまま出力軸を停止させるギヤードニュートラル状態を実現できるモードを備えた、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
JP2005153599A 2005-05-26 2005-05-26 無段変速装置 Expired - Fee Related JP4742678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005153599A JP4742678B2 (ja) 2005-05-26 2005-05-26 無段変速装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005153599A JP4742678B2 (ja) 2005-05-26 2005-05-26 無段変速装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006329317A JP2006329317A (ja) 2006-12-07
JP2006329317A5 JP2006329317A5 (ja) 2008-07-03
JP4742678B2 true JP4742678B2 (ja) 2011-08-10

Family

ID=37551211

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005153599A Expired - Fee Related JP4742678B2 (ja) 2005-05-26 2005-05-26 無段変速装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4742678B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4853264B2 (ja) * 2006-12-08 2012-01-11 日本精工株式会社 無段変速装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0972409A (ja) * 1995-09-05 1997-03-18 Toyota Motor Corp 自動変速機の変速制御装置
JPH09303542A (ja) * 1996-03-13 1997-11-25 Hitachi Ltd 自動変速機の制御装置及び制御方法
JP2002039354A (ja) * 2000-07-18 2002-02-06 Unisia Jecs Corp 車両用自動変速機の制御装置
JP2003207042A (ja) * 2002-01-15 2003-07-25 Nsk Ltd 無段変速装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006329317A (ja) 2006-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007315507A (ja) 無段変速装置
JP2007046661A (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5287762B2 (ja) 無段変速装置
US7520832B2 (en) Continuously variable transmission system
JP4670569B2 (ja) 無段変速装置
JP4742678B2 (ja) 無段変速装置
JP4736543B2 (ja) 無段変速装置
JP2007309383A (ja) 無段変速装置
JP4924449B2 (ja) 無段変速装置
JP4941350B2 (ja) 無段変速装置
JP5176496B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4735038B2 (ja) 無段変速装置
JP4853264B2 (ja) 無段変速装置
JP4735066B2 (ja) 無段変速装置
JP5262995B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP4940589B2 (ja) 無段変速装置
JP5898777B2 (ja) 無段変速装置
JP4941328B2 (ja) 無段変速装置
JP4556427B2 (ja) 無段変速装置
JP5045426B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP5181470B2 (ja) 無段変速装置
JP4735343B2 (ja) 車両用無段変速装置の変速制御装置
JP4590984B2 (ja) 燃料供給装置
JP3716524B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6492627B2 (ja) 無段変速装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070514

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080516

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101222

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110425

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees