JP2003207042A - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置

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JP2003207042A
JP2003207042A JP2002006599A JP2002006599A JP2003207042A JP 2003207042 A JP2003207042 A JP 2003207042A JP 2002006599 A JP2002006599 A JP 2002006599A JP 2002006599 A JP2002006599 A JP 2002006599A JP 2003207042 A JP2003207042 A JP 2003207042A
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慎司 宮田
Hideki Hashiya
秀樹 橋谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速モードから低速モードへの切換時に、エ
ンジンの回転数が急上昇する程度を緩和して、運転者に
与える違和感を低減する。 【解決手段】 高速モードから低速モードへの切換時
に、低速用クラッチ31を接続する為の信号を発するタ
イミングを早くする。この結果、高速用クラッチ14の
接続が断たれてから上記低速用クラッチ31が接続され
るまでに要する時間を短縮できる。そして、クラッチの
非接続状態継続時間を短くして、上記低速モードへの切
換時に於けるエンジンの回転数上昇を抑え、上記課題を
解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る無段変速装置
は、例えば自動車用の自動変速機を構成する変速ユニッ
トとして、或は各種産業機械装置用の変速機として利用
する。特に本発明の無段変速装置は、クラッチ機構によ
り低速モードと高速モードとの切換時に、運転者に与え
る違和感の低減を図る事を目的として発明したものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用の自動変速機として、図4〜5
に略示する様なトロイダル型無段変速機が、特許公報等
多くの刊行物に記載されて周知であり、又、一部で実施
されている。この様なトロイダル型無段変速機の運転時
には、入力軸1の回転に伴って、ローディングカム等の
押圧装置2が入力側ディスク3を、複数のパワーローラ
4、4に押圧しつつ回転させる。そして、この入力側デ
ィスク3の回転が、これら複数のパワーローラ4、4を
介して出力側ディスク5に伝達され、この出力側ディス
ク5に固定の出力軸6が回転する。
【0003】入力軸1と出力軸6との回転速度を変える
場合には、上記各パワーローラ4、4を支持した各トラ
ニオン7、7を、それぞれの両端部に互いに同心に設け
た枢軸8、8を中心として揺動させる。この場合に、上
記各パワーローラ4、4の周面4a、4aが図4に示す
様に、上記入力側ディスク3の内側面3aの中心寄り部
分と上記出力側ディスク5の内側面5aの外周寄り部分
とにそれぞれ当接する様に、上記各パワーローラ4、4
の回転中心軸を傾斜させれば、上記入力軸1と出力軸6
との間で減速が行なわれる。これに対して、上記各パワ
ーローラ4、4の周面4a、4aが図5に示す様に、上
記入力側ディスク3の内側面3aの外周寄り部分と上記
出力側ディスク5の内側面5aの中心寄り部分とにそれ
ぞれ当接する様に、上記各パワーローラ4、4の回転中
心軸を傾斜させれば、上記入力軸1と出力軸6との間で
増速が行なわれる。
【0004】トロイダル型無段変速機の基本構成は上述
の通りであるが、変速比を変換すべく、上記各トラニオ
ン7、7を上記各枢軸8、8を中心に揺動させる為に
は、これら各トラニオン7、7をこれら各枢軸8、8の
軸方向(図4〜5の表裏方向)に微小変位させる。この
変位に伴って、上記各面3a、4a、5aの転がり接触
部の接線方向に作用する力の方向が変化し、上記各トラ
ニオン7、7が傾斜する。この部分の構造に就いても、
特許公報等多くの刊行物に記載されて周知であり、又、
一部で実施されている。又、トロイダル型無段変速機に
より伝達可能な動力を大きくすべく、動力伝達に供され
るパワーローラの数を多くする事も、特許公報等多くの
刊行物に記載されて周知であり、その一部は既に実施さ
れている。この様にパワーローラの数を多くする構造と
しては、入力側ディスクと出力側ディスクとを、動力の
伝達方向に関して互いに並列に2対設ける構造や、各デ
ィスク同士の間に設けるパワーローラの数を多くする構
造が広く知られている。
【0005】更には、トロイダル型無段変速機と遊星歯
車変速機構とを組み合わせて無段変速装置を構成する構
造も、特開平1−169169号公報、同1−3122
66号公報、同10−196759号公報、同11−6
3146号公報、同11−63148号公報、特開20
00−220719号公報等に記載されている様に、従
来から提案されている。この様な無段変速装置は、変速
比幅を大きくしたり、高速走行時にトロイダル型無段変
速機を通過するトルクを低減してこのトロイダル型無段
変速機の耐久性を向上させたり、無段変速機単体で、入
力軸の回転時にも出力軸を停止させる事を可能として発
進クラッチを不要にしたりする事を目的に考えられたも
のである。
【0006】図6は、この様な従来から提案されている
無段変速装置の1例として、特開平11−63146号
公報に記載されものを示している。この無段変速装置
は、入力側ディスクと出力側ディスクとを、動力の伝達
方向に関して互いに並列に2対設けたダブルキャビティ
型のトロイダル型無段変速機9と遊星歯車機構10とを
組み合わせて成る。そして、低速走行時には動力を上記
トロイダル型無段変速機9のみで伝達し、高速走行時に
は動力を、主として上記遊星歯車機構10により伝達す
ると共に、この遊星歯車機構10による変速比を、上記
トロイダル型無段変速機9の変速比を変える事により調
節自在としている。
【0007】この為に、上記トロイダル型無段変速機9
の中心部を貫通し、両端部に1対の入力側ディスク3、
3を支持した入力軸1aの基端部(図6の右端部)と上
記遊星歯車機構10を構成するリング歯車11を支持し
た支持板12の中心部に固定した伝達軸13とを、高速
用クラッチ14を介して結合している。尚、上記1対の
入力側ディスク3、3のうち、先端側(図6の右側)の
入力側ディスク3は上記入力軸1aに対し、この入力軸
1aと同期した回転並びにこの入力軸1aの軸方向に関
する実質的な移動を阻止した状態で支持している。これ
に対して基端側(図6の左側)の入力側ディスク3は上
記入力軸1aに対し、この入力軸1aと同期した回転、
並びに、この入力軸1aの軸方向に関する移動自在に支
持している。
【0008】又、駆動源であるエンジン15のクランク
シャフト16の出力側端部(図6の右端部)と上記入力
軸1aの入力側端部(=基端部=図6の左端部)との間
に、トルクコンバータ或は電磁クラッチ等の発進クラッ
チ17と、油圧式の押圧装置18とを、動力の伝達方向
に関して互いに直列に設けている。この押圧装置18
は、シリンダ19内に上記基端側の入力側ディスク3を
油密に、且つ回転力の伝達を自在に嵌装する事により構
成している。
【0009】又、上記入力軸1aの回転に基づく動力を
取り出す為の出力軸20を、この入力軸1aと同心に配
置している。そして、この出力軸20の周囲に前記遊星
歯車機構10を設けている。この遊星歯車機構10を構
成する太陽歯車21は、上記出力軸20の入力側端部
(図6の左端部)に固定している。従ってこの出力軸2
0は、上記太陽歯車21の回転に伴って回転する。この
太陽歯車21の周囲には前記リング歯車11を、上記太
陽歯車21と同心に、且つ回転自在に支持している。そ
して、このリング歯車11の内周面と上記太陽歯車21
の外周面との間に、それぞれが1対ずつの遊星歯車22
a、22bを組み合わせて成る、複数個の遊星歯車組2
3、23を設けている。そして、これら1対ずつの遊星
歯車22a、22bは、互いに噛合すると共に、外径側
に配置した遊星歯車22aを上記リング歯車11に噛合
させ、内径側に配置した遊星歯車22bを上記太陽歯車
21に噛合させている。この様な遊星歯車組23、23
は、キャリア24の片側面(図6の左側面)に回転自在
に支持している。又、このキャリア24は、上記出力軸
20の中間部に、回転自在に支持している。
【0010】又、上記キャリア24と前記トロイダル型
無段変速機9を構成する1対の出力側ディスク5、5と
を、第一の動力伝達機構25により、回転力の伝達を可
能な状態に接続している。この第一の動力伝達機構25
は、上記入力軸1a及び上記出力軸20と平行な伝達軸
26と、この伝達軸26の一端部(図6の左端部)に固
定したスプロケット27aと、上記各出力側ディスク
5、5に結合したスプロケット27bと、これら両スプ
ロケット27a、27bの間に掛け渡したチェン28
と、上記伝達軸26の他端(図6の右端)と上記キャリ
ア24とにそれぞれ固定されて互いに噛合した第一、第
二の歯車29、30とにより構成している。従って上記
キャリア24は、上記各出力側ディスク5、5の回転に
伴って、これら出力側ディスク5、5と反対方向に、上
記第一、第二の歯車29、30の歯数、並びに、上記1
対のスプロケット27a、27bの歯数に応じた速度で
回転する。
【0011】一方、上記入力軸1aと上記リング歯車1
1とは、この入力軸1aと同心に配置された、請求項2
に記載した第二の動力伝達機構である別の伝達軸13を
介して、回転力の伝達を可能な状態に接続自在としてい
る。この伝達軸13と上記入力軸1aとの間には、前記
高速用クラッチ14を、これら両軸13、1aに対し直
列に設けている。従ってこの伝達軸13は、上記高速用
クラッチ14の接続時に、上記入力軸1aと同方向に同
速で回転する。
【0012】又、無段変速装置は、上記高速用クラッチ
14と、上記キャリア24の外周縁部と上記リング歯車
11の軸方向一端部(図6の右端部)との間に設けた低
速用クラッチ31とを備える。これら低速用クラッチ3
1と高速用クラッチ14とは、何れか一方のクラッチが
接続された場合には、他方のクラッチの接続が断たれ
る。又、図6の例では、上記リング歯車11と、無段変
速装置のハウジング(図示省略)等、固定の部分との間
に、後退用クラッチ32を設けている。この後退用クラ
ッチ32は、上記低速用クラッチ31と高速用クラッチ
14との何れか一方が接続された状態では、接続が断た
れる。又、この後退用クラッチ32が接続された状態で
は、上記低速用クラッチ31と高速用クラッチ14と
は、何れも接続が断たれる。
【0013】上述の様に構成する無段変速装置は、先
ず、低速走行時には、上記低速用クラッチ31を接続す
ると共に、上記高速用クラッチ14及び後退用クラッチ
32の接続を断つ。この状態で前記発進クラッチ17を
接続し、前記入力軸1aを回転させると、トロイダル型
無段変速機9のみが、この入力軸1aから上記出力軸2
0に動力を伝達する。この様な低速走行時には、それぞ
れ1対ずつの入力側ディスク3、3と出力側ディスク
5、5との間の変速比を、前述の図4〜5に示したトロ
イダル型無段変速機単独の場合と同様にして調節する。
【0014】これに対して、高速走行時には、上記高速
用クラッチ14を接続すると共に、上記低速用クラッチ
31及び後退用クラッチ32の接続を断つ。この状態で
上記発進クラッチ17を接続し、上記入力軸1aを回転
させると、この入力軸1aから上記出力軸20には、前
記伝達軸13と前記遊星歯車機構10とが、動力を伝達
する。即ち、上記高速走行時に上記入力軸1aが回転す
ると、この回転は上記高速用クラッチ14及び伝達軸1
3を介してリング歯車11に伝わる。そして、このリン
グ歯車11の回転が複数の遊星歯車組23、23を介し
て太陽歯車21に伝わり、この太陽歯車21を固定した
上記出力軸20を回転させる。この状態で、上記トロイ
ダル型無段変速機9の変速比を変える事により上記各遊
星歯車組23、23の公転速度を変化させれば、上記無
段変速装置全体としての変速比を調節できる。
【0015】即ち、上記高速走行時に上記入力軸1aが
回転すると、この回転は上記伝達軸13及び支持板12
を介して前記リング歯車11に伝わり、このリング歯車
11を回転させる。そして、このリング歯車11の回転
が、前記複数の遊星歯車組23、23を介して前記太陽
歯車21に伝わり、この太陽歯車21を固定した上記出
力軸20を回転させる。上記リング歯車11が入力側と
なった場合に上記遊星歯車機構10は、上記各遊星歯車
組23、23が停止している(太陽歯車21の周囲で公
転しない)と仮定すれば、上記リング歯車11と太陽歯
車21との歯数の比に応じた変速比で増速を行なう。但
し、上記各遊星歯車組23、23は上記太陽歯車21の
周囲を公転し、無段変速装置全体としての変速比は、こ
れら各遊星歯車組23、23の公転速度に応じて変化す
る。そこで、上記トロイダル型無段変速機9の変速比を
変える事により、上記遊星歯車組23、23の公転速度
を変えれば、上記無段変速装置全体としての変速比を調
節できる。
【0016】即ち、上記高速走行時に上記各遊星歯車組
23、23が、上記リング歯車11と同方向に公転す
る。そして、これら各遊星歯車組23、23の公転速度
が遅い程、上記太陽歯車21を固定した出力軸20の回
転速度が速くなる。例えば、上記公転速度とリング歯車
11の回転速度(何れも角速度)が同じになれば、上記
リング歯車11と出力軸20の回転速度が同じになる。
これに対して、上記公転速度がリング歯車11の回転速
度よりも遅ければ、上記リング歯車11の回転速度より
も出力軸20の回転速度が速くなる。反対に、上記公転
速度がリング歯車11の回転速度よりも速ければ、上記
リング歯車11の回転速度よりも出力軸20の回転速度
が遅くなる。
【0017】従って、上記高速走行時には、前記トロイ
ダル型無段変速機9の変速比を減速側に変化させる程、
無段変速装置全体の変速比は増速側に変化する。この様
な高速走行時の状態では、上記トロイダル型無段変速機
9に、入力側ディスク3からではなく、出力側ディスク
5からトルクが加わる(低速時に加わるトルクをプラス
のトルクとした場合にマイナスのトルクが加わる)。即
ち、前記高速用クラッチ14を接続した状態では、前記
エンジン15から前記入力軸1aに伝達されたトルク
は、前記伝達軸13を介して前記遊星歯車機構10のリ
ング歯車11に伝達される。従って、入力軸1aの側か
ら上記トロイダル型無段変速機9を構成する各入力側デ
ィスク3、3に伝達されるトルクは殆どなくなる。
【0018】一方、上記伝達軸13を介して上記リング
歯車11に伝達されたトルクの一部は、前記各遊星歯車
組23、23から、キャリア24及び前記第一の動力伝
達機構25を介して前記各出力側ディスク5、5に伝わ
る。この様に出力側ディスク5、5から上記トロイダル
型無段変速機9に加わるトルクは、無段変速装置全体の
変速比を増速側に変化させるべく、トロイダル型無段変
速機9の変速比を減速側に変化させる程小さくなる。こ
の結果、高速走行時に上記トロイダル型無段変速機9に
入力されるトルクを小さくして、このトロイダル型無段
変速機9の構成部品の耐久性向上を図れる。
【0019】更に、自動車を後退させるべく、前記出力
軸20を逆回転させる際には、前記低速用、高速用両ク
ラッチ31、14の接続を断つと共に、前記後退用クラ
ッチ32を接続する。この結果、上記リング歯車11が
固定され、上記各遊星歯車組23、23が、このリング
歯車11並びに前記太陽歯車21と噛合しつつ、この太
陽歯車21の周囲を公転する。そして、この太陽歯車2
1並びにこの太陽歯車21を固定した出力軸20が、前
述した低速走行時並びに上述した高速走行時とは逆方向
に回転する。
【0020】
【先に考えた構造】次に、図7〜8は、上述の図6に示
した無段変速装置を具体化した構造の1例を示してい
る。尚、本発明者は、この図7〜8に示した無段変速装
置を使用して、後述する様な、本発明をなすに至る一連
の実験を行なった。この無段変速装置は、入力軸1b
と、出力軸20aと、トロイダル型無段変速機9aと、
遊星歯車機構10aと、第一の動力伝達機構25aと、
第二の動力伝達機構を構成する伝達軸13aとを備え
る。このうちの入力軸1bは、エンジン15(図6参
照)等の駆動源につながって、この駆動源により回転駆
動される。又、上記出力軸20aは、上記入力軸1bの
回転に基づく動力を取り出す為のもので、図示しないデ
ファレンシャルギヤ等を介して、やはり図示しない車輪
駆動軸に接続される。
【0021】又、上記トロイダル型無段変速機9aは、
ダブルキャビティ型で、且つ、各キャビティ内にトラニ
オン7、7及びパワーローラ4、4を3個ずつ、合計6
個設けたものである。この様なトロイダル型無段変速機
9aを構成する為に、上記入力軸1bの両端部に1対の
入力側ディスク3、3を、互いの内側面3a、3a同士
を対向させた状態で、上記入力軸1bと同期した回転自
在に支持している。このうち、基端側(駆動源側で、図
7の左側)の入力側ディスク3は上記入力軸1bに、ボ
ールスプライン33を介して、軸方向の変位自在に支持
している。これに対して、先端側(駆動源から遠い側
で、図7の右側)の入力側ディスク3は、上記入力軸1
bの先端部にスプライン係合させた状態でその背面をロ
ーディングナット34で抑える事により、上記入力軸1
bに固定している。
【0022】そして、この入力軸1bの中間部周囲で上
記1対の入力側ディスク3、3同士の間部分に1対の出
力側ディスク5、5を、それぞれの内側面5a、5aを
上記各入力側ディスク3、3の内側面3a、3aに対向
させた状態で、互いに同期した回転自在に支持してい
る。そして、上記各入力側ディスク3、3と上記各出力
側ディスク5、5との内側面3a、5a同士の間に、そ
れぞれがトラニオン7、7の内側面に回転自在に支持さ
れたパワーローラ4、4を挟持している。
【0023】これら各トラニオン7、7を支持する為
に、ケーシング35の内面に設けた取付部36にフレー
ム37を、このフレーム37の外径側端部3個所位置の
取付孔38、38に挿通したスタッド39、39と、こ
れら各スタッド39、39に螺合したナット40、40
とにより結合固定している。図示の例では、これら各ス
タッド39、39及びナット40、40により、上記取
付部36とフレーム37との間に、ギヤハウジング41
を固定している。このギヤハウジング41の内径側に
は、上記1対の出力側ディスク5、5をその両端部に凹
凸係合させた出力スリーブ42を、1対の転がり軸受4
3、43により回転自在に支持すると共に、この出力ス
リーブ42の中間部外周面に設けた出力歯車44を、上
記ギヤハウジング41の内部に収納している。
【0024】又、上記フレーム37は全体を星形に形成
すると共に、その径方向中間部乃至は外径側部分を二股
に形成して、3個所の保持部45、45を、円周方向等
間隔に形成している。そして、これら各保持部45、4
5の径方向中間部に、それぞれ支持片46、46の中間
部を、第二の枢軸47、47により枢支している。これ
ら各支持片46、46は、これら第二の枢軸47、47
の周囲に配置される円筒状の取付部48と、この取付部
48の外周面から径方向外方に突出した1対の支持板部
49、49とから成る。これら1対の支持板部49、4
9同士の交差角度は120度である。従って、円周方向
に隣り合う支持片46、46の支持板部49、49同士
は、互いに平行である。
【0025】この様な各支持板部49、49には、それ
ぞれ円孔50、50を形成している。上記各支持片4
6、46が中立状態にある場合、円周方向に隣り合う支
持片46、46の支持板部49、49に形成した円孔5
0、50同士は互いに同心である。そして、これら各円
孔50、50内に、各トラニオン7、7の両端部に設け
た枢軸8、8を、ラジアルニードル軸受51、51によ
り支持している。これら各ラジアルニードル軸受51、
51を構成する外輪52、52の外周面は、球状凸面と
している。この様な外輪52、52は上記各円孔50、
50内に、がたつきなく、且つ揺動変位自在に内嵌して
いる。又、上記各支持板部49、49の一部にはねじ孔
53、53を形成し、これら各ねじ孔53、53に螺着
したスタッド54、54の、球状凸面状の先端面を上記
各トラニオン7、7の両端面に突き当てている。この構
成により、前記入力軸1bを中心とする円周方向に関す
る上記各トラニオン7、7の変位量を機械的に同期させ
ている。
【0026】上述の様にして前記ケーシング35内に支
持した上記各トラニオン7、7の内側面には、基半部と
先半部とが互いに偏心した変位軸55を介して、パワー
ローラ4、4を支持している。又、これら各パワーロー
ラ4、4の外端面と上記各トラニオン7、7の内側面と
の間に、それぞれパワーローラ4の側から順に、スラス
ト玉軸受56とスラストニードル軸受57とを設けてい
る。このうちのスラスト玉軸受56は、上記パワーロー
ラ4に加わるスラスト荷重を支承しつつ、このパワーロ
ーラ4の回転を許容する役目を有する。これに対して上
記スラストニードル軸受57は、前記トロイダル型無段
変速機9aの運転時に各構成部材が弾性変形し、上記変
位軸55がその基半部を中心に揺動して上記パワーロー
ラ4が上記入力軸1bの軸方向に変位する傾向になった
場合に、この変位を円滑に行なわせる役目を有する。
【0027】上述の様にして上記各トラニオン7、7の
内側面に支持した各パワーローラ4、4の周面4a、4
aは、前記各ディスク3、5の内側面3a、5aと当接
させている。又、基端側の入力側ディスク3と前記入力
軸1bとの間に、油圧式の押圧装置18aを組み付け
て、上記各面4a、3a、5a同士の当接部(トラクシ
ョン部)の面圧を確保し、上記トロイダル型無段変速機
9aによる動力の伝達を効率良く行なえる様にしてい
る。
【0028】上記押圧装置18aを構成する為に、上記
入力軸1bの外周面の基端寄り部分に、外向フランジ状
の鍔部58を固設すると共に、上記基端側の入力側ディ
スク3にシリンダ筒59を、この入力側ディスク3の外
側面(図7の左面)から軸方向に突出する状態で、油密
に外嵌支持している。上記シリンダ筒59の内径は、軸
方向中間部で小さく、両端部で大きくなっており、上記
入力側ディスク3は、このうちの先端側の大径部分に、
油密に且つ軸方向の変位自在に内嵌されている。又、上
記シリンダ筒59の中間部内周面には、内向フランジ状
の仕切板部60を設けている。更に、上記シリンダ筒5
9の内周面と上記入力軸1bの外周面との間に、第一ピ
ストン部材61を設けている。
【0029】この第一ピストン部材61は、上記入力軸
1bに外嵌自在な支持筒部62の中間部外周面に、外向
フランジ状の隔壁板63を形成したもので、この隔壁板
63の外周縁を上記シリンダ筒59の内周面中間部の小
径部分に、油密に且つ軸方向の変位自在に摺接させてい
る。又、この状態で上記仕切板部60の内周縁を、上記
支持筒部62の外周面に、油密に且つ軸方向の変位自在
に摺接させている。更に、上記支持筒部62の基端部外
周面と上記シリンダ筒59の基端部内周面との間には、
円輪状の第二ピストン部材64を設けている。この第二
ピストン部材64は、その基端側側面を上記鍔部58に
当接させる事により軸方向の変位を阻止すると共に、内
外両周縁と上記支持筒部62の基端部外周面及び上記シ
リンダ筒59の基端部内周面との間の油密を保持してい
る。
【0030】又、上記仕切板部60を備えた上記シリン
ダ筒59は、この仕切板部60と上記第二ピストン部材
64との間に設けた、皿板ばね65等の予圧ばねによ
り、上記入力側ディスク3に向け押圧している。従って
この入力側ディスク3は、少なくとも(前記押圧装置1
8a内に圧油を導入していない状態でも)上記皿板ばね
65の弾力に見合う押圧力により押圧され、前記各面4
a、3a、5a同士の当接部に、この弾力に見合う面圧
を付与する。従って、この弾力は、前記トロイダル型無
段変速機9aにより極く小さな動力の伝達を行なう際
に、上記各面4a、3a、5a同士の各当接部で(不可
避であるスピンを除く)滑りが生じない程度に規制す
る。
【0031】又、上記第二ピストン部材64と上記仕切
板部60との間、並びに前記隔壁板63と上記入力側デ
ィスク3との間にそれぞれ存在する油圧室内に、前記入
力軸1bの中心孔66を介して、油圧を導入自在として
いる。この中心孔66は、図示しない油圧調整弁を介し
て、やはり図示しない、加圧ポンプ等の油圧源に通じて
いる。前記トロイダル型無段変速機9aを含む無段変速
装置の運転時には、伝達すべき動力の大きさ等に応じて
上記油圧調整弁により調整された油圧を、上記各油圧室
内に導入し、上記入力側ディスク3を押圧して、上記各
面4a、3a、5a同士の各当接部に、上記動力の大き
さに見合う面圧を付与する。
【0032】又、エンジン等の駆動源に通じる駆動軸6
7から前記入力軸1bへの回転力の伝達を、前記鍔部5
8を介して行なう様にしている。この為に、この鍔部5
8の外周縁部複数個所に切り欠き68、68を形成する
と共に、これら各切り欠き68、68と、上記駆動軸6
7の端部に形成した駆動用凸部69、69とを係合させ
ている。この為に本例の場合には、上記駆動軸67の端
部に外向フランジ状の連結部70を設け、この連結部7
0の片面外径寄り端部に、上記各駆動用凸部69、69
を突設している。
【0033】更に、前記各トラニオン7、7に油圧式の
アクチュエータ71a、71bを付設して、これら各ト
ラニオン7、7を、それぞれの両端部に設けた枢軸8、
8の軸方向に変位駆動自在としている。このうち、図8
の下側中央部のトラニオン7は、それぞれが(押し出し
方向の力のみ得られる)単動型であり押圧方向を互いに
反対方向とした1対のアクチュエータ71a、71aに
より、それぞれ梃子腕72、72を介して、両端部に設
けた枢軸8、8の軸方向に変位駆動自在としている。上
記トラニオン7を変位させる場合には、何れか一方のア
クチュエータ71aの油圧室にのみ圧油を送り込み、他
方のアクチュエータ71aの油圧室は解放状態とする。
これに対して、図8の上部両側のトラニオン7、7は、
それぞれ(圧油の給排方向の切換に基づいて押し出し方
向又は引き込み方向の力を得られる)複動型のアクチュ
エータ71b、71bにより、それぞれの両端部に設け
た枢軸8、8の軸方向に変位駆動自在としている。
【0034】前記トロイダル型無段変速機9aに設け
た、合計6個のトラニオン7、7の変位は、制御弁によ
り上記各アクチュエータ71a、71bに等量の圧油を
給排する事により、互いに同期して、同じ長さずつ行な
う。この為に、何れか(図示の例では図8の上部左側)
のトラニオン7と共に変位するロッド73の端部にプリ
セスカム74を固定し、このトラニオン7の姿勢を、リ
ンク腕75を介して、上記制御弁のスプール76に伝達
自在としている。
【0035】上述の様なトロイダル型無段変速機9aと
組み合わされる、前記遊星歯車機構10aは、太陽歯車
21aと、リング歯車11aと、遊星歯車組23a、2
3aとを備える。このうちの太陽歯車21aは、前記出
力軸20aの入力側端部(図7の左端部)に固定してい
る。従ってこの出力軸20aは、上記太陽歯車21aの
回転に伴って回転する。この太陽歯車21aの周囲には
上記リング歯車11aを、上記太陽歯車21aと同心
に、且つ回転自在に支持している。そして、このリング
歯車11aの内周面と上記太陽歯車21aの外周面との
間に、それぞれが1対ずつの遊星歯車22a、22bを
組み合わせて成る、複数組の遊星歯車組23a、23a
を設けている。そして、これら1対ずつの遊星歯車22
a、22bは、互いに噛合すると共に、外径側に配置し
た遊星歯車22aを上記リング歯車11aに噛合させ、
内径側に配置した遊星歯車22bを上記太陽歯車21a
に噛合させている。この様な遊星歯車組23a、23a
は、キャリア24aの片側面(図7の左側面)に回転自
在に支持している。又、このキャリア24aは、上記出
力軸20aの中間部周囲に、回転自在に支持している。
【0036】又、上記キャリア24aと上記トロイダル
型無段変速機9aを構成する1対の出力側ディスク5、
5とを、前記第一の動力伝達機構25aにより、回転力
の伝達を可能な状態に接続している。この第一の動力伝
達機構25aを構成する為に、前記入力軸1b及び上記
出力軸20aと平行な伝達軸26aを設け、この伝達軸
26aの一端部(図7の左端部)に固定した歯車77
を、前記出力歯車44と噛合させている。又、上記出力
軸20aの中間部周囲にスリーブ78を回転自在に配置
し、このスリーブ78の外周面に支持した歯車79と、
上記伝達軸26aの他端部(図7の右端部)に固設した
歯車80とを、図示しないアイドラ歯車を介して噛合さ
せている。更に、上記スリーブ78の周囲に上記キャリ
ア24aを、円環状の結合ブラケット81を介して、こ
のスリーブ78と同期した回転自在に支持している。従
って上記キャリア24aは、上記各出力側ディスク5、
5の回転に伴って、これら出力側ディスク5、5と反対
方向に、上記各歯車44、77、79、80の歯数に応
じた速度で回転する。又、上記キャリア24aと上記出
力軸20aとの間に、低速用クラッチ31aを設けてい
る。
【0037】一方、上記入力軸1bと前記リング歯車1
1aとは、この入力軸1bの先端部に支持した入力側デ
ィスク3と、この入力軸1bと同心に配置された前記伝
達軸13aとを介して、回転力の伝達を可能な状態に接
続自在としている。この為に、上記入力側ディスク3の
外側面(図7の右側面)の一部で、径方向に関してこの
外側面の中央部よりも外径寄り半部に、複数の凸部8
2、82を突設している。本例の場合には、これら各凸
部82、82は、それぞれ円弧状で、上記入力側ディス
ク3の中心軸をその中心とする同一円弧上に、間欠的に
且つ等間隔に配置している。そして、円周方向に隣り合
う凸部82、82の円周方向端面同士の間を、係止切り
欠き83、83としている。
【0038】一方、上記伝達軸13aの基端部には、円
すい筒状の伝達筒部84を介して伝達フランジ85を設
けている。そして、この伝達フランジ85の外周縁部
に、上記各係止切り欠き83、83と同数の伝達用突片
86、86を、円周方向に関して等間隔に形成してい
る。そして、これら各伝達用突片86、86と上記各係
止切り欠き83、83とを係合させて、上記入力側ディ
スク3と上記伝達軸13aとの間でのトルク伝達を可能
にしている。上記各伝達用突片86、86と上記各係止
切り欠き83、83との係合部の径は十分に大きいの
で、上記入力側ディスク3と上記伝達軸13aとの間
で、十分に大きなトルクを伝達自在である。
【0039】尚、上記入力側ディスク3と上記伝達軸1
3aとの間で伝達可能なトルクを少しでも大きくする為
には、上記各凸部82、82を、上記入力側ディスク3
の外側面の外径寄り端部(外周縁部)に形成する事が好
ましい。但し、本例の場合には、上記入力側ディスク3
の内側面3aの仕上精度を確保すべく、この入力側ディ
スク3の外側面で上記各凸部82、82よりも外径寄り
に位置する部分に平坦部87を形成し、この平坦部87
を利用して、上記内側面3aの仕上加工時に上記入力側
ディスク3の外側面外径寄り部分を支えられる様にして
いる。又、前記各伝達用突片86、86は、前記各係止
切り欠き83、83内にがたつきなく係合させられる様
にしている。
【0040】又、前記伝達軸13aの先端部(図7の右
端部)は、前記太陽歯車21aの中心部に、回転自在に
支持している。更に、上記伝達軸13aの中間部周囲に
前記リング歯車11aを、この伝達軸13aにスプライ
ン係合した円環状の結合ブラケット88と、後述する高
速用クラッチ14aとを介して、上記伝達軸13aと同
期した回転自在に支持している。従って上記リング歯車
11aは、上記高速用クラッチ14aの接続時には、上
記入力軸1bの回転に伴って、この入力軸1bと同方向
に同速で回転する。
【0041】更に、上記リング歯車11aと、前記ケー
シング35内に設けた固定壁89等の固定の部分との間
に、後退用クラッチ32aを設けている。この後退用ク
ラッチ32aと、上記高速用クラッチ14aと、前記低
速用クラッチ31aとは、何れも、それぞれ複数枚ずつ
のフリクションプレートとセパレートプレートとを交互
に配置した湿式多板クラッチである。この様な上記各ク
ラッチ32a、14a、31aは、それぞれに付属した
高速用油圧シリンダ90、低速用油圧シリンダ91、或
は後退用油圧シリンダ92内への圧油の給排に基づいて
断接させられる。又、何れか1個のクラッチが接続され
た場合には、残り2個のクラッチの接続が断たれる。
尚、上記各クラッチ32a、14a、31aの有効半径
は互いに等しくしているのに対して、上記フリクション
プレートとセパレートプレートとの数は、互いに異なら
せている。即ち、最も大きなトルクを伝達する必要があ
る、上記低速用クラッチ31aを構成する上記各プレー
トの数を最も多く(例えば8枚ずつと)し、比較的小さ
なトルクを伝達すれば足りる、上記後退用クラッチ32
a及び上記高速用クラッチ14aを構成する上記各プレ
ートの数をこれよりも少なく(例えば5枚ずつと)して
いる。
【0042】上述の様に構成する無段変速装置の作用
は、前述の図6に示した従来構造と同様である。即ち、
先ず、低速走行(低速モード)時には、上記低速用油圧
シリンダ91内に油圧を導入して上記低速用クラッチ3
1aを接続すると共に、上記高速用、後退用両油圧シリ
ンダ90、92内の油圧を排出して上記高速用クラッチ
14a及び後退用クラッチ32aの接続を断つ。又、高
速走行(高速モード)時には、上記高速用油圧シリンダ
90内に油圧を導入して上記高速用クラッチ14aを接
続すると共に、上記低速用、後退用両油圧シリンダ9
1、92内の油圧を排出して上記低速用クラッチ31a
及び後退用クラッチ32aの接続を断つ。この状態で前
記入力軸1bを回転させると、この入力軸1bから前記
出力軸20aには、前記第二の動力伝達機構である前記
伝達軸13aと、前記遊星歯車機構10aとが、動力を
伝達する。この状態では、上記トロイダル型無段変速機
9aの変速比を変える事により上記各遊星歯車組23
a、23aの公転速度を変化させ、上記無段変速装置全
体としての変速比を調節する。更に、自動車を後退させ
るべく、前記出力軸20aを逆回転させる際には、上記
低速用、高速用両油圧シリンダ90、91内の油圧を排
出して上記低速用、高速用両クラッチ31a、14aの
接続を断つと共に、上記後退用油圧シリンダ92内に油
圧を導入して上記後退用クラッチ32aを接続する。こ
の状態では、この太陽歯車21a並びにこの太陽歯車2
1aを固定した上記出力軸20aが、前述した低速走行
時並びに上述した高速走行時とは逆方向に回転する。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成し作用
する無段変速装置の場合、低速モードと高速モードとの
切換時に、エンジンの回転数が急変動し、運転者に違和
感を与える可能性がある事が、本発明者の研究により分
かった。そして、上記エンジンの回転数の急変動は、上
記切換時に低速用、高速用両クラッチ31a、14aの
接続(勿論後退用クラッチ32aの接続も)を断つ瞬間
が存在する事と、これら低速用、高速用両クラッチ31
a、14aの容量が異なる事が原因である事が、やはり
本発明者の研究により分かった。以下、この点に就い
て、図7に図9〜11を加えて説明する。
【0044】このうちの図9は、上記低速用、高速用両
クラッチ31a、14a(図9では31、14)の断接
を指示する為の信号を発するタイミングと、この信号に
基づくこれら両クラッチ31a、14aの接続状態とを
知る為の実験に使用した装置を示している。この装置
は、上述の図7〜8に示した先に考えた無段変速装置を
利用して、高速用、低速用各クラッチ14a、31aを
断接させる為の信号を出すタイミングと、実際にこれら
両クラッチ14a、31aが断接するタイミングとを求
めるものでる。
【0045】尚、これら両クラッチ14a、31aが断
接するタイミングは、これら両クラッチ14a、31a
に付属した高速用、低速用各油圧シリンダ90、91部
分の油圧により判定した。即ち、各クラッチ14a、3
1aに付属の油圧シリンダ90、91内の油圧が低い場
合には、当該油圧シリンダ内の押圧ピストンが移動可能
であって、当該クラッチを構成するフリクションプレー
トとセパレートプレートとの間に隙間が存在し、当該ク
ラッチの接続は断たれていると判定した。これに対し
て、上記各クラッチ14a、31aに付属の油圧シリン
ダ90、91内の油圧が十分に高い場合には、当該油圧
シリンダ内の押圧ピストンが移動不能であって、当該ク
ラッチを構成するフリクションプレートとセパレートプ
レートとが互いに当接して、当該クラッチは接続されて
いると判定した。更に、上記各クラッチ14a、31a
に付属の油圧シリンダ90、91内の油圧が中間の値で
ある場合には、当該クラッチは、滑りながら回転力の伝
達を行なう、所謂半クラッチの状態であると判定した。
【0046】先ず、実際の無段変速装置の構造に即して
構成した、図9に示した実験装置に就いて説明する。
尚、この図9に記載したトロイダル型無段変速機9及び
遊星歯車機構10は、前述の図6と同様であり、第一の
動力伝達機構25に関しても、スプロケット27a、2
7bとチェン28とを組み込んだものとしている。就い
ては、符号に関しては、図6と同じ符号を記載して、以
下に説明する。尚、図9には発進クラッチ17を記載し
ているが、実際の実験装置の場合にはこの発進クラッチ
17を設けず、駆動源と上記トロイダル型無段変速機9
の入力軸1aとを直結している。又、後退用クラッチ3
2は設けてはいるが、油圧配管は省略しており、従って
この後退用クラッチ32は機能しない。
【0047】高速用、低速用各クラッチ14、31を接
続する為の圧油は、オイルタンク93(実際に車両に組
み付ける場合にはオイルパン)から吸引して加圧ポンプ
94から吐出したものを使用する。この加圧ポンプ94
と上記高速用クラッチ14{を断接させる為の高速用油
圧シリンダ90(図7)}との間には高速側切換弁95
を、同じく上記低速用クラッチ31{を断接させる為の
低速用油圧シリンダ91(図7)}との間には低速側切
換弁96を、それぞれ設けている。これら各切換弁9
5、96はそれぞれ、制御器97からの信号に基づいて
付属のソレノイドをON・OFFする事により、上記各
クラッチ14、31を上記加圧ポンプ94の吐出口に通
じさせる状態と、同じく上記オイルタンク93に通じさ
せる状態とを切り換える。又、油圧配管中で上記各切換
弁95、96と上記各クラッチ14、31との間部分に
は、それぞれ高速側、低速側各圧力計98、99を装着
して、これら各クラッチ14、31(を断接させる為の
高速用、低速用各油圧シリンダ90、91)部分の油圧
を測定自在としている。
【0048】本発明者は、この様な実験装置を使用し
て、上記制御器97が上記高速側、低速側各切換弁9
5、96を切り換える信号を発するタイミングと、実際
に高速用、低速用各クラッチ14、31が繋がるタイミ
ングとを測定した。その結果を、図10〜11に示して
いる。この図10〜11は、前記低速モードと高速モー
ドとの切換時に於ける、上記低速用、高速用両クラッチ
31、14への指令信号の変化と、これら両クラッチ3
1、14の繋がり状態の変化とを示している。又、上記
図10〜11のうちの図10は、低速モードから高速モ
ードに切り換える際の変化を、図11は逆に高速モード
から低速モードに切り換える際の変化を、それぞれ表し
ている。
【0049】又、各図の横軸は経過時間を、各図の
(A)の縦軸はそれぞれ上記指令信号を、同じく(B)
は繋がり状態を、それぞれ表している。尚、この指令信
号は、上記両クラッチ31、14を断接させる低速用、
高速用両油圧シリンダ91、90内への圧油の給排を制
御する為、上記制御器97から上記各切換弁96、95
に付属のソレノイドに送られる指令信号であり、上記
(A)の縦軸にはこの指令信号の電圧を表している。こ
の電圧が+であれば、当該クラッチは接続され、−であ
れば接続を断たれる。又、上記繋がり状態は、上記両ク
ラッチ31、14を構成するフリクションプレートとセ
パレートプレートとの当接圧に比例する、前記各圧力計
99、98の測定値で表している。更に、図10〜11
の実線は上記低速用クラッチ31に関する上記各変化
を、破線は上記高速用クラッチ14に関する上記各変化
を、それぞれ表している。
【0050】実験では、上記低速モードと高速モードと
の切換時に、何れの方向に切り換える場合でも、上記各
切換弁96、95への指令信号を、図10〜11の
(A)に示す様に、凡そ0.2秒の間に切り換えた。即
ち、それまで接続していたクラッチの接続を断つ為の信
号を発してから約0.2秒後に、それまで接続を断たれ
ていたクラッチを接続させる為の信号を発した。この様
な条件の下で行なった実験の結果、上記低速モードと高
速モードとの切換時に、切り換え方向の相違に関係な
く、指令信号を発するタイミングを同じとした場合に
は、何れのクラッチも接続されない状態の継続時間が長
くなる事が分かった。
【0051】即ち、図10〜11の(B)から明らかな
様に、接続を断つ為の信号を送り込まれたクラッチに関
しては、極短時間のうちに接続を断たれる{図10
(B)の実線及び図11(B)の破線参照}。これに対
して、やはり各図の(B)から明らかな様に、接続する
為の信号を送り込まれたクラッチに関しては、この信号
を送り込まれてから実際に接続を完了するまでには若干
の時間的遅れが生じる。しかも、図10(B)の破線と
図11(B)の実線とを比較すれば明らかな通り、モー
ド切換の方向によって、上記時間的遅れの程度が相違す
る。具体的には、図10に示した低速モードから高速モ
ードへの切換時よりも、図11に示した高速モードから
低速モードへの切換時の方が、それまで接続を断たれて
いたクラッチが接続されるまでに要する時間(半クラッ
チ状態で推移する時間)が長くなる。
【0052】この様に、接続すべき信号を送り込まれて
から実際に接続を完了するまでに若干の時間的遅れが生
じる理由、並びにモード切換の方向によってこの時間的
遅れの程度が異なる理由に就いて本発明者が考察し、確
認の為の実験を繰り返したところ、次の様な事が分かっ
た。先ず、上記時間的遅れが生じる理由は、前記高速
用、低速用両油圧シリンダ90、91を十分にストロー
クさせる為に多少の時間を要する為である。即ち、各ク
ラッチ14、31を接続状態とすべく、これら各クラッ
チ14、31を構成する前記フリクションプレートとセ
パレートプレートとを当接させる為には、これら各プレ
ート及び上記各油圧シリンダ90、91に組み込んだ押
圧ピストンを変位させる必要がある。この変位は、これ
ら各油圧シリンダ90、91内に圧油を導入する事によ
り行なうが、油圧導入の為の配管中の抵抗等により、十
分量の圧油の導入を完了するまでに時間を要する事は避
けられない。この為、上記時間的遅れが生じる。
【0053】次に、上記モード切換の方向によってこの
時間的遅れの程度が異なる理由は、高速用クラッチ14
と低速用クラッチ31との間で、接続状態までに上記各
油圧シリンダ90、91に組み込んだ押圧ピストンを変
位させなければならないストロークが異なる為である。
即ち、前述した様に、大きなトルクを伝達する必要があ
る上記低速用クラッチ31の場合には上記各プレートの
数を多くしているのに対して、比較的小さなトルクを伝
達すれば足りる上記高速用クラッチ14の場合には上記
各プレートの数を少なくしている。非接続状態のクラッ
チを接続状態にするまでに要する、上記各油圧シリンダ
90、91に組み込んだ押圧ピストンのストローク量
は、上記各プレートの数が多い程長くなる。この為、前
記図10(B)の破線と図11(B)の実線とで示した
様に、低速モードから高速モードへの切換時{図10
(B)の破線}に比べて、高速モードから低速モードへ
の切換時の時間的遅れ{図11(B)の実線}が大きく
なる。
【0054】上記時間的遅れの間は、動力源であるエン
ジンと駆動輪との接続が断たれている(或は接続が不完
全である)為、このエンジンから駆動輪に動力が伝達さ
れなくなる。この際に生じる挙動を確認する為に本発明
者は、図9に示した実験装置を使用し、上記低速モード
と高速モードとを切り換える実験を行なった。この際、
入力軸1aの回転速度を200min-1 に固定し、出力軸
20の端部に他の回転軸等を結合せず、この出力軸20
を自由に回転させる状態とした。又、上記入力軸1aと
上記出力軸20との速度が同じ(変速比が1)となる状
態で、上記両モードの切換を行なうべく、前記低速用ク
ラッチ31と前記高速用クラッチ14との断接を行なっ
た。そして、上記両モードの切換に伴う、上記出力軸2
0の回転速度の変化を測定した。
【0055】この実験の結果、低速モードから高速モー
ドへの切換時にも、反対に高速モードから低速モードへ
の切換時にも、上記出力軸20の回転速度は(200mi
n-1よりも)低下した。但し、低速モードから高速モー
ドへの切換時に上記出力軸20の回転速度が200min
-1 から180min-1 まで20min-1 だけ低下したのに
対して、高速モードから低速モードへの切換時には、上
記出力軸20の回転速度が200min-1 から120min
-1 まで、80min-1 も低下した。そして、何れの場合
も、前記時間遅れ後にクラッチが繋がれるのに伴って、
上記出力軸20の回転速度が200min-1 に復帰した。
【0056】上述した実験は、上記出力軸20を自由に
回転させる状態で行なった為、上記モード切換時にこの
出力軸20の回転速度が低下したが、実際の場合にはこ
の出力軸20と駆動輪とがプロペラシャフト及びデファ
レンシャルギヤ等を介して機械的に連結されている。従
って、上記モード切換時に上記出力軸20の回転速度が
低下する事はなく、半クラッチ状態では上記入力軸1a
の回転速度が上昇する事になる。この為、上記モード切
換時には、駆動源であるエンジンの回転速度が、アクセ
ルペダルの操作と関係なく一瞬上昇した後、クラッチが
接続される事になる。
【0057】エンジンの回転速度が、一瞬とは言えアク
セルペダルの操作と関係なく上昇する事は、運転者に違
和感を与える為好ましくない。又、エンジンの回転速度
が一瞬上昇した後にクラッチが接続されると、無段変速
装置を含む動力伝達系統全体に振動が発生する可能性が
あり、この面からも運転者に違和感を与える事になる。
この様な違和感は、上記時間遅れが大きくなる、高速モ
ードから低速モードへの切換時に特に著しくなる可能性
がある。本発明は、この様な事情に鑑みて、少なくとも
高速モードから低速モードへの切換時に於ける上記時間
遅れを小さくできる無段変速装置を実現すべく発明した
ものである。
【0058】
【課題を解決するための手段】本発明の無段変速装置
は、従来から知られている無段変速装置と同様に、トロ
イダル型無段変速機と遊星歯車変速機構とをクラッチ装
置を介して組み合わせて成る。そして、このクラッチ装
置は、減速比を大きくする際に接続されて同じく小さく
する際に接続を断たれる低速用クラッチと、減速比を小
さくする際に接続されて同じく大きくする際に接続を断
たれる高速用クラッチと、これら各クラッチの断接状態
を切り換える制御器とから成る。又、この制御器は、上
記各クラッチのうちの何れか一方のクラッチのみを接続
する事により、変速状態を低速モードと高速モードとの
うちの何れかのモードにするものである。
【0059】特に、本発明の無段変速装置に於いては、
上記制御器が上記各クラッチの断接状態を切り換える信
号を出すタイミングは、上記各モードの切り換え方向に
より異なる。即ち、上記低速モードから上記高速モード
に切り換えるべく、上記低速用クラッチの接続を断つ信
号を出す瞬間に対する上記高速用クラッチを接続する信
号を出すタイミングに比べて、上記高速モードから上記
低速モードに切り換えるべく、上記高速用クラッチの接
続を断つ信号を出す瞬間に対する上記低速用クラッチを
接続する信号を出すタイミングを早くしている。
【0060】
【作用】上述の様に構成する本発明の無段変速装置によ
れば、高速モードから低速モードへの切換時に於ける時
間遅れを小さくして、このモード切換時に於けるエンジ
ンの回転速度上昇を抑え、運転者に与える違和感を低減
できる。即ち、上記高速モードから上記低速モードに切
り換えるべく、高速用クラッチの接続を断つ信号を出す
瞬間に対する低速用クラッチを接続する信号を出すタイ
ミングを早くしている為、上記高速用クラッチの接続が
断たれてから上記低速用クラッチが接続されるまでの時
間を短縮できる。この結果、上記高速モードから低速モ
ードへの切換時に、上記高速用、低速用両クラッチが、
何れも非接続状態となっている時間を短縮して、この切
換時に於けるエンジンの吹き上りを低減し、運転者に与
える違和感を低減できる。
【0061】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第
1例を示している。尚、本発明の特徴は、トロイダル型
無段変速機と遊星歯車変速機構とを、高速用クラッチ及
び低速用クラッチを含むクラッチ装置を介して組み合わ
せて成る無段変速装置で、これら高速用、低速用各クラ
ッチを断接させる信号を出すタイミングを工夫する事に
より、高速モードから低速モードへの切換時に生じる違
和感を低減する点にある。全体構成に関しては、前述の
図9に示した実験装置と同様であり、より具体的な構造
に関しては前述の図7〜8に示した、先に考えた無段変
速装置と同様である。よって、具体的な構造に関して
は、重複する説明を省略し、以下、本発明の特徴であ
る、高速用、低速用各クラッチを断接させる信号を出す
タイミングに就いて説明する。
【0062】本例の場合には、高速モードから低速モー
ドへの切換時に、図1(A)に破線で示す様に、高速用
クラッチの接続を断つ為の信号を発するのと同時に、図
1(A)に実線で示す様に、低速用クラッチを接続する
為の信号を発する。前述の図10(A)に示す様な、
0.2秒の時間的遅れは設定していない。この為、上記
高速用クラッチが図1(B)に破線で示す様に接続を断
たれた状態から、図1(B)に実線で示す様に上記低速
用クラッチが接続されるまでの時間が短縮される。
【0063】即ち、図1(B)に示した、上記高速用ク
ラッチが接続を断たれてから上記低速用クラッチが接続
されるまでの非接続状態継続時間tを、前述の図11
(A)に示す様に0.2秒の時間的遅れを設定した場合
の非接続状態継続時間Tに比べて、この時間的遅れ
(0.2秒)分だけ短く(t=T−0.2秒)できる。
この様に本例によれば、上記高速モードから低速モード
への切換時に、上記高速用、低速用両クラッチが何れも
非接続状態となっている時間(非接続状態継続時間)を
短縮して、この切換時に於けるエンジンの吹き上りを低
減し、運転者に与える違和感を低減できる。
【0064】尚、本例の場合には、上記低速モードから
上記高速モードへの切換時には、前述の図10に示す様
に、低速用クラッチの接続を断つ為の信号を発してから
高速用クラッチを接続する為の信号を発するまでの間に
凡そ0.2秒の時間的遅れを設定している。前述した様
に、上記高速用クラッチを接続する為の信号を発してか
ら実際にこの高速用クラッチが接続されるまでに要する
時間は、低速用クラッチの場合に比べて短い。従って、
上記低速モードから上記高速モードへの切換時の制御
は、先に考えた場合と同様にしても、モード切換時に生
じる違和感は小さくて済む。
【0065】次に、図2〜3は、本発明の実施の形態の
第2例を示している。本例は、高速モードから低速モー
ドへの切換時に於ける非接続状態継続時間を上述した第
1例の場合よりも更に短くしている。これと共に本例の
場合には、低速モードから高速モードへの切換時に於け
る非接続状態継続時間も、先に考えた場合及び上述した
第1例の場合に比べて短くしている。
【0066】この為に本例の場合には、高速モードから
低速モードへの切換時に、図2(A)に破線で示す様
に、高速用クラッチの接続を断つ為の信号を発するより
も少し以前(本例の場合には0.5秒前)に、図2
(A)に実線で示す様に、低速用クラッチを接続する為
の信号を発する。この為、高速用クラッチが図2(B)
に破線で示す様に接続を断たれる過程で(半クラッチ状
態の場合に)、図2(B)に実線で示す様に、低速用ク
ラッチが接続され始める(半クラッチ状態となる)。即
ち、これら高速用クラッチと低速用クラッチとが、同時
に半クラッチ状態となる。この状態では、これら両クラ
ッチが滑りながらトルク伝達を行なう。従って本例によ
れば、上記高速モードから低速モードへの切換時に、上
記高速用、低速用両クラッチが何れも非接続状態となっ
ている時間(非接続状態継続時間)を実質的になくせ
る。この結果、この切換時に於けるエンジンの吹き上り
をほぼなくす事ができて、運転者に与える違和感を極く
低減できる(実質的になくせる)。
【0067】又、本例の場合には、低速モードから高速
モードへの切換時にも、図3(A)に実線で示す様に、
低速用クラッチの接続を断つ為の信号を発するよりも少
し以前(本例の場合には0.3秒前)に、図3(A)に
破線で示す様に、高速用クラッチを接続する為の信号を
発する。この為、低速用クラッチが図3(B)に実線で
示す様に接続を断たれる過程で(半クラッチ状態の場合
に)、図3(B)に破線で示す様に、高速用クラッチが
接続され始める(半クラッチ状態となる)。即ち、これ
ら高速用クラッチと低速用クラッチとが、同時に半クラ
ッチ状態となる。この状態では、これら両クラッチが滑
りながらトルク伝達を行なう。従って本例によれば、上
記低速モードから高速モードへの切換時にも、上記高速
用、低速用両クラッチが何れも非接続状態となっている
時間(非接続状態継続時間)を実質的になくせる。この
結果、この切換時に於けるエンジンの吹き上りをほぼな
くす事ができて、運転者に与える違和感を極く低減でき
る(実質的になくせる)。尚、本例を実施する場合に、
上記各クラッチを断接させる為の信号を発するタイミン
グのずれの大きさは、上記値に限定されるものではな
く、上記高速用、低速用各クラッチの容量や油圧配管の
抵抗等に応じて設計的に定める。
【0068】又、以上の説明では、本発明を、トロイダ
ル型無段変速機9、9aと遊星歯車機構10、10a
(図6〜9)とを組み合わせる事により、低速走行時に
はトロイダル型無段変速機9、9aのみで動力を伝達
し、高速走行時には遊星歯車機構10、10aにより主
動力を伝達すると共にトロイダル型無段変速機9、9a
により変速比の調節を行なわせる、所謂パワー・スプリ
ット型と呼ばれる無段変速装置に組み込んだ構造に就い
て説明した。但し、本発明は、トロイダル型無段変速機
と遊星歯車機構とを組み合わせる事により、クラッチの
切り換えなしで、後退から停止更には前進状態までを実
現する、ギヤード・ニュートラル型と呼ばれる無段変速
装置に組み込むトロイダル型無段変速機にも適用でき
る。この様なギヤード・ニュートラルと呼ばれる無段変
速装置に組み込むトロイダル型無段変速機の場合にも、
高速⇔低速のモード切換時に於ける違和感の低減を図る
面から有効である。更には、前述した特開2000−2
20719号公報に記載されている様に、パワー・スプ
リット型ともギヤード・ニュートラル型とも異なるが、
トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを備え、低速
用クラッチと高速用クラッチとにより低速モードと高速
モードとを切り換える無段変速装置に本発明を適用する
事も有効である。
【0069】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、モード切換時に運転者に与える違和感を低
減して、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組
み合わせて高い効率を得られる無段変速装置の実用化に
寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、無段変速
装置を高速モードから低速モードに切り換える場合に於
ける低速用、高速用各クラッチへの指令信号とこれら各
クラッチの接続状態とを経時的に示す線図。
【図2】同第2例を示す、図1と同様の図。
【図3】第2例で無段変速装置を低速モードから高速モ
ードに切り換える場合に於ける低速用、高速用各クラッ
チへの指令信号とこれら各クラッチの接続状態とを経時
的に示す線図。
【図4】トロイダル型無段変速機の基本構造を、最大減
速時の状態で示す略側面図。
【図5】同じく最大増速時の状態で示す略側面図。
【図6】トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速
装置の1例を示す略断面図。
【図7】この無段変速装置を具体化した構造を示す断面
図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】本発明をなす過程で行なった実験に使用した装
置の回路図。
【図10】無段変速装置を低速モードから高速モードに
切り換える場合に於ける低速用、高速用各クラッチへの
指令信号とこれら各クラッチの接続状態とを経時的に示
す線図。
【図11】無段変速装置を高速モードから低速モードに
切り換える場合に於ける低速用、高速用各クラッチへの
指令信号とこれら各クラッチの接続状態とを経時的に示
す線図。
【符号の説明】
1、1a、1b 入力軸 2 押圧装置 3 入力側ディスク 3a 内側面 4 パワーローラ 4a 周面 5 出力側ディスク 5a 内側面 6 出力軸 7 トラニオン 8 枢軸 9、9a トロイダル型無段変速機 10、10a 遊星歯車機構 11、11a リング歯車 12 支持板 13、13a 伝達軸 14、14a 高速用クラッチ 15 エンジン 16 クランクシャフト 17 発進クラッチ 18、18a 押圧装置 19 シリンダ 20、20a 出力軸 21、21a 太陽歯車 22a、22b 遊星歯車 23、23a 遊星歯車組 24、24a キャリア 25、25a 第一の動力伝達機構 26、26a 伝達軸 27a、27b スプロケット 28 チェン 29 第一の歯車 30 第二の歯車 31、31a 低速用クラッチ 32、32a 後退用クラッチ 33 ボールスプライン 34 ローディングナット 35 ケーシング 36 取付部 37 フレーム 38 取付孔 39 スタッド 40 ナット 41 ギヤハウジング 42 出力スリーブ 43 転がり軸受 44 出力歯車 45 保持部 46 支持片 47 第二の枢軸 48 取付部 49 支持板部 50 円孔 51 ラジアルニードル軸受 52 外輪 53 ねじ孔 54 スタッド 55 変位軸 56 スラスト玉軸受 57 スラストニードル軸受 58 鍔部 59 シリンダ筒 60 仕切板部 61 第一ピストン部材 62 支持筒部 63 隔板部 64 第二ピストン部材 65 皿板ばね 66 中心孔 67 駆動軸 68 切り欠き 69 駆動用凸部 70 連結部 71a、71b アクチュエータ 72 挺子腕 73 ロッド 74 プリセスカム 75 リンク腕 76 スプール 77 歯車 78 スリーブ 79 歯車 80 歯車 81 結合ブラケット 82 凸部 83 係止切り欠き 84 伝達筒部 85 伝達フランジ 86 伝達用突片 87 平坦部 88 結合ブラケット 89 固定壁 90 高速用油圧シリンダ 91 低速用油圧シリンダ 92 後退用油圧シリンダ 93 オイルタンク 94 加圧ポンプ 95 高速側切換弁 96 低速側切換弁 97 制御器 98 高速側圧力計 99 低速側圧力計
フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA09 MA13 MA27 NA01 NB01 PA20 QA06C QB05 RA19 SA32 SB02 VA59Z VA70W VA76W

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トロイダル型無段変速機と遊星歯車変速
    機構とをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、この
    クラッチ装置は、減速比を大きくする際に接続されて同
    じく小さくする際に接続を断たれる低速用クラッチと、
    減速比を小さくする際に接続されて同じく大きくする際
    に接続を断たれる高速用クラッチと、これら各クラッチ
    の断接状態を切り換える制御器とから成り、この制御器
    は、これら各クラッチのうちの何れか一方のクラッチの
    みを接続する事により、変速状態を低速モードと高速モ
    ードとのうちの何れかのモードにするものである無段変
    速装置に於いて、この制御器が上記各クラッチの断接状
    態を切り換える信号を出すタイミングは、上記各モード
    の切り換え方向により異なり、低速モードから高速モー
    ドに切り換えるべく、上記低速用クラッチの接続を断つ
    信号を出す瞬間に対する上記高速用クラッチを接続する
    信号を出すタイミングに比べて、高速モードから低速モ
    ードに切り換えるべく、上記高速用クラッチの接続を断
    つ信号を出す瞬間に対する上記低速用クラッチを接続す
    る信号を出すタイミングを早くした事を特徴とする無段
    変速装置。
  2. 【請求項2】 駆動源につながってこの駆動源により回
    転駆動される入力軸と、この入力軸の回転に基づく動力
    を取り出す為の出力軸と、トロイダル型無段変速機と、
    遊星歯車機構と、上記入力軸に入力された動力をこのト
    ロイダル型無段変速機を介して伝達する第一の動力伝達
    機構と、上記入力軸に入力された動力を上記トロイダル
    型無段変速機を介する事なく伝達する第二の動力伝達機
    構と、制御器とを備え、上記遊星歯車機構は、太陽歯車
    とこの太陽歯車の周囲に配置したリング歯車との間に設
    けられ、この太陽歯車と同心に且つ回転自在に支持した
    キャリアに回転自在に支持された遊星歯車を、上記太陽
    歯車とリング歯車とに噛合させて成るものであり、上記
    第一の動力伝達機構を通じて送られる動力と上記第二の
    動力伝達機構を通じて送られる動力とを、上記太陽歯車
    と上記リング歯車と上記キャリアとのうちの2個の部材
    に伝達自在とすると共に、これら太陽歯車とリング歯車
    とキャリアとのうちの残りの1個の部材に上記出力軸を
    結合しており、又、上記入力軸に入力された動力が上記
    第一の動力伝達機構と上記第二の動力伝達機構とを通じ
    て上記遊星歯車機構に送られる状態を切り換えるモード
    切換手段を設けており、このモード切換手段は、少なく
    とも上記第一の動力伝達機構のみで動力の伝達を行なわ
    せる第一のモードと、この第一の動力伝達機構と上記第
    二の動力伝達機構との双方で動力の伝達を行なわせる第
    二のモードとの切換を行なうものであり、上記制御器
    は、上記モード切換手段を構成する各クラッチのうちの
    何れか一方のクラッチのみを接続する事により、変速状
    態を上記第一、第二のモードのうちの一方のモードであ
    る低速モードと同じく他方のモードである高速モードと
    のうちの何れかのモードにするものである無段変速装置
    に於いて、上記制御器が上記各クラッチの断接状態を切
    り換える信号を出すタイミングは、上記各モードの切り
    換え方向により異なり、上記低速モードから上記高速モ
    ードに切り換えるべく、この低速モードの実現時に接続
    される低速用クラッチの接続を断つ信号を出す瞬間に対
    する上記高速モードの実現時に接続される高速用クラッ
    チを接続する信号を出すタイミングに比べて、上記高速
    モードから上記低速モードに切り換えるべく、上記高速
    用クラッチの接続を断つ信号を出す瞬間に対する上記低
    速用クラッチを接続する信号を出すタイミングを早くし
    た事を特徴とする無段変速装置。
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