JP4940589B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両(自動車)用自動変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関し、車両の発進時の特性を向上させると共に、走行中にシフトレバーが操作されても車両が過度に減速する事を防止するものである。
自動車用自動変速装置として使用されるトロイダル型無段変速機が、特許文献1、非特許文献1、2等の多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されていて周知である。この様なトロイダル型無段変速機は、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とし、相対回転を自在として互いに同心に支持された入力側ディスクと出力側ディスクとの間に、複数個のパワーローラを挟持して成る。運転時には、上記入力側ディスクの回転が、これら各パワーローラを介して上記出力側ディスクに伝達される。これら各パワーローラは、それぞれトラニオン等の支持部材に回転自在に支持されており、これら各支持部材は、それぞれ上記両ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に支持されている。上記両ディスク同士の間の変速比を変える場合は、油圧式のアクチュエータにより上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる。この様なアクチュエータへの圧油の給排は、変速比制御弁により制御すると共に、上記支持部材の動きをこの変速比制御弁にフィードバックする様に構成している。
上記アクチュエータへの圧油の給排に基づき上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させると、上記各パワーローラの周面と上記入力側、出力側各ディスクの側面との転がり接触部(トラクション部)に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各支持部材が上記枢軸を中心に揺動(傾斜)し、上記各パワーローラの周面と上記入力側、出力側各ディスクの側面との接触位置が変化する。上記各パワーローラの周面を、上記入力側ディスクの側面の径方向外寄り部分と、上記出力側ディスクの側面の径方向内寄り部分とに転がり接触させれば、上記両ディスク同士の間の変速比が増速側になる。これに対して、上記各パワーローラの周面を、上記入力側ディスクの側面の径方向内寄り部分と、上記出力側ディスクの側面の径方向外寄り部分とに転がり接触させれば、上記両ディスク同士の間の変速比が減速側になる。
又、上述の様なトロイダル型無段変速機を実際の自動車用自動変速機に組み込む場合、遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている。例えば特許文献2には、所謂ギヤードニュートラル(GN)と呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる無段変速装置が記載されている。この様な無段変速装置の場合、入力軸を回転させた状態のまま出力軸を停止させたり、或は極低速で回転させる状態で、トロイダル型無段変速機を通過するトルクを適正に規制する必要がある。この様な事情に鑑みて、特許文献3には、入力軸を駆動するエンジンの回転速度を大まかに制御しつつ、この回転速度に合わせてトロイダル型無段変速機の変速比の調節を行なう事により、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)を目標値に規制する制御方法が記載されている。
又、上記特許文献3には、入力軸を回転させたまま出力軸を停止させる状態(変速比無限大の状態=GN状態)で、この出力軸に、例えば自動車を進行方向に発進並びに低速で走行させられる程度のトルク(駆動力、クリープ力)を伝達できる様に、上記トロイダル型無段変速機の変速比の調節(補正)を行なう事が記載されている。具体的には、例えば車両が停止した状態でシフトレバーがPレンジ(パーキング位置)やNレンジ(ニュートラル位置)等の非走行状態からDレンジ(通常前進位置)、Lレンジ(高駆動力前進位置)やRレンジ(後退位置)等の走行状態に操作された場合に、ブレーキペダルの踏み込み解除等を条件に、無段変速装置から出力されるトルク(出力軸に伝達されるトルク)が、その切り換え位置(D、L、R)に応じた所定の値(例えば進行方向に発進並びに低速で走行させられる程度の駆動力を得られる値)となる様に、上記トロイダル型無段変速機の変速比を調節する事が記載されている。
又、特許文献4には、非走行状態(Pレンジ、Nレンジ)で、出力軸に加わるトルクが0若しくは小さな値に収まる様にする為に、トロイダル型無段変速機の変速比を厳密に規制できる、無段変速装置に関する発明が記載されている。図15〜16は、この特許文献4に記載された無段変速装置を示している。このうちの図15は、無段変速装置のブロック図を示しており、この図15中、太矢印は動力の伝達経路を、実線は油圧回路を、破線は電気回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、トロイダル型無段変速機4を構成する油圧式の押圧装置5から入力側ディスク6に伝達され、更にパワーローラ7を介して出力側ディスク8に伝達される。
これら両ディスク6、8のうち、入力側ディスク6の回転速度は入力側回転センサ9により、出力側ディスク8の回転速度は出力側回転センサ10により、それぞれ測定して、制御器11に入力し、上記両ディスク6、8間の(トロイダル型無段変速機4の)変速比(速度比)を算出自在としている。又、上記入力軸3に伝達された動力は、直接又は上記トロイダル型無段変速機4を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機12に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機12の構成部材の差動成分が、クラッチ装置13を介して出力軸14に取り出される。尚、このクラッチ装置13は、後述する図16に示す低速用クラッチ15及び高速用クラッチ16を表すものである。又、上記出力軸14の回転速度を、出力軸回転センサ17により検出自在としている。
一方、上記ダンパ2部分から取り出した動力によりオイルポンプ18(図16の18a、18b)を駆動し、このオイルポンプ18から吐出した圧油を、上記押圧装置5と、上記パワーローラ7を支持した支持部材であるトラニオンを枢軸(図示省略)の軸方向に変位させるアクチュエータ19(図16参照)の変位量を制御する為の制御弁装置20とに、送り込み自在としている。尚、この制御弁装置20とは、後述する図16に示す変速比制御弁21と、差圧シリンダ22と、補正用制御弁23a、23bと、高速用切換弁24及び低速用切換弁25とを合わせたものである。このうちの変速比制御弁21は、上記アクチュエータ19への油圧の給排を制御するものである。又、このアクチュエータ19に設けた1対の油圧室26a、26b(図16参照)内の油圧を油圧センサ27(実際には図16に示す様に1対の油圧センサ27a、27b)により検出して、その検出信号を、上記制御器11に入力している。
この制御器11は、上記油圧センサ27からの信号に基づいて、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)を算出する。そして、この様に算出される通過トルクに応じてトロイダル型無段変速機4の変速比を補正すべく、上記変速比制御弁21の構成部材であるスリーブ28(図16参照)を上記差圧シリンダ22により変位させる。この様な差圧シリンダ22への圧油の給排は、上記補正用制御弁23a、23bにより制御される。又、上記制御弁装置20は、ステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、上記補正用制御弁23a、23bを切り換える為の電磁弁31と、上記高速用切換弁24及び低速用切換弁25を切り換える為のシフト用電磁弁32とにより、その作動状態を切り換えられる。そして、これらステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、電磁弁31と、シフト用電磁弁32とは、何れも上記制御器11からの制御信号に基づいて切り換えられる。
又、上記制御器11には、前記各回転センサ9、10、17及び上記油圧センサ27からの信号の他、油温センサ33の検出信号と、ポジションスイッチ34の位置信号と、アクセルセンサ35の検出信号と、ブレーキスイッチ36の検出信号とを入力している。このうちの油温センサ33は、無段変速装置を納めたケーシング内の潤滑油(トラクションオイル)の温度を検出するものである。又、上記ポジションスイッチ34は、後述する図16に記載した手動油圧切換弁37を切り換える為の、運転席に設けられたシフトレバー(操作レバー)の操作位置(選択位置)を表す信号を発するものである。又、上記アクセルセンサ35は、アクセルペダルの開度を検出する為のものである。更に、上記ブレーキスイッチ36は、ブレーキペダルが踏まれた事、或はパーキングブレーキが操作された事を検出して、その事を表す信号を発するものである。
又、上記制御器11は、上記各スイッチ34、36及び各センサ9、10、17、27、33、35からの信号に基づいて、上記ステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、電磁弁31と、シフト用電磁弁32とに上記制御信号を送る他、前記エンジン1を制御する為のエンジンコントローラ38に制御信号を送る。そして、前述した特許文献3に記載されている様に、入力軸1と出力軸14との間の速度比を変えたり、或は停止時若しくは極く低速走行時に前記トロイダル型無段変速機4を通過して上記出力軸14に加えられるトルク(通過トルク)を制御する。更に、特許文献4に記載された発明の場合には、前記入力側回転センサ9及び前記出力側回転センサ10の検出信号に基づいて、上記出力軸14の回転速度及び回転方向を算出し、上記通過トルクの制御を行なう。
図16は、上述の様な無段変速装置を制御する油圧回路を示している。この油圧回路では、油溜39から吸引されてオイルポンプ18a、18bにより吐出された圧油を、調圧弁40a、40bで所定圧に調整自在としている。又、これら両調圧弁40a、40bのうち、手動油圧切換弁37側に送る油圧を調整する為の調圧弁40aによる調整圧を、ライン圧制御用電磁開閉弁30の開閉に基づいて調節自在としている。そして、上記両調圧弁40a、40bにより圧力を調整された圧油を、変速比制御弁21を介してアクチュエータ19に送り込み自在とする他、差圧シリンダ22のストロークを調節する為の補正用制御弁23a、23bに、電磁弁31の開閉に基づいて送り込み自在としている。又、上記圧油を、油圧式の押圧装置5に送り込む様にしている。
又、この圧油は、上記手動油圧切換弁37と、高速用切換弁24又は低速用切換弁25とを介して、低速用クラッチ15又は高速用クラッチ16の油圧室内に送り込み自在としている。又、これら低速用、高速用各クラッチ15、16のうちの低速用クラッチ15は、減速比を大きくする(変速比無限大を含む)低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、上記高速用クラッチ16は、上記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、これら低速用、高速用各クラッチ15、16への圧油の給排状態は、前記シフト用電磁弁32の切り換え状態に応じて切り換えられる。
上述の様に構成する特許文献4に記載された発明の場合には、前述した様に入力側回転センサ9及び出力側回転センサ10の検出信号に基づき、出力軸14の回転速度及び回転方向を算出し、トロイダル型無段変速機4の通過トルクの制御を行なう。この為、非走行状態で、出力軸に加わるトルクが0若しくは小さな値に収まる様にトロイダル型無段変速機の変速比を厳密に規制する事ができる。又、シフトレバーを非走行状態から走行状態に操作した場合にも、トロイダル型無段変速機4の変速比を厳密に調節する事で、出力軸から所定の駆動力(進行方向に発進並びに低速で走行させられる程度の駆動力)を出力させられる。
又、特許文献5には、シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、トルクシフトに基づいて無段変速装置の出力軸から所定のトルクが出力できなくなる事を防止する発明が記載されている。即ち、無段変速機を構成するトロイダル型無段変速機の変速比を、入力軸を回転させたまま出力軸を停止させる状態を実現できる値(GN値)の近傍に調節した状態で、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクが変動すると、構成各部材の不可避的な弾性変形や組み付け隙間に基づく変位等により、上記トロイダル型無段変速機の変速比が変動するトルクシフトを生じる。そして、この様なトルクシフトが生じると、上記トロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の変速比制御弁の切り換え状態を変更するステッピングモータを、上記入力軸を回転させたまま出力軸を停止させる状態を実現できる位置(GN状態を実現できる位置)等の所定の位置に駆動しても、上記トロイダル型無段変速機の変速比がその位置に対応する変速比からずれる可能性がある。
そして、この様にトロイダル型無段変速機の変速比がずれた場合には、上記出力軸を停止させたり、或は、この出力軸から所定の駆動力を出力させる事ができなくなる可能性がある。この様な不都合を防止すべく、上記特許文献5に記載された発明の場合には、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、上記ステッピングモータを、上記シフトレバーの操作位置(走行状態)に応じた所定方向(GN状態を実現できる位置から離れる方向)に一時的に駆動した後、上記GN状態を実現できる位置等の所定の位置に駆動する。この結果、上述したトルクシフトに拘らずトロイダル型無段変速機の変速比を所望値に正確に調節する事ができ、上記出力軸を停止させたり、或は、この出力軸から所定の駆動力を出力させられる。
又、特許文献6には、シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、ブレーキペダルの踏み込みに拘らず、エンジンが停止する事を防止する発明が記載されている。即ち、シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作される際に、ブレーキペダルが踏み込まれた状態で、ただ単にトロイダル型無段変速機の変速比を出力軸から進行方向の駆動力を出力できる値に調節すると、この駆動力の大きさによっては、エンジンに過大な負荷が加わり、このエンジンが停止する可能性がある。この様な不都合を防止すべく、上記特許文献6に記載された発明の場合には、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、上記トロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の変速比制御弁の切り換え状態を変更するステッピングモータを、次の様に駆動する。
即ち、上記トロイダル型無段変速機の変速比が、エンジンを停止させる事なくトルクシフトに基づきGN値になり得る値に収まる範囲内で、且つ、出力軸から進行方向の必要な駆動力を出力させられる値となる様に、上記ステッピングモータを駆動する。この結果、上記シフトレバーを非走行状態から走行状態に操作した際に、ブレーキペダルが踏み込まれた状態でも、上記トルクシフトに基づき変速比がGN値に変動する事で、上記入力軸を一方向に回転させたまま出力軸を停止させられる状態を実現できる。又、これと共に、上記エンジンに上記トルクシフトに基づく負荷が加わるにも拘らず、このエンジンが停止する事を防止できる。又、この様にブレーキペダルの踏み込みに基づき出力軸が停止した状態から、このブレーキペダルの踏み込みを解除すれば、車両を円滑に発進させられる。
ところで、前述の様な特許文献5並びに上述の様な特許文献6にそれぞれ記載された発明の場合、次の様な点を考慮していない。即ち、これら特許文献5、6に記載された発明の場合、シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、前述の様にステッピングモータを駆動する事によりトロイダル型無段変速機の変速比が所定の値に調節(補正)されても、この変速比が所定の値になる(補正され切る)以前に、動力の伝達状態を切り換える為のクラッチ装置が接続される(クラッチ装置が動力を伝達できる状態となる)可能性がある。この様な場合には、車両が運転者の意図しない挙動を示す可能性があり、好ましくない。例えば、上記シフトレバーを非走行状態から走行状態に操作し、直ちに選択した方向に発進しようとした場合には、その方向のトルクを上記出力軸から出力できず、車両を運転者の意図する方向に発進できなくなる可能性がある。又、ブレーキペダルを踏み込まずにシフトレバーを、例えばDレンジからRレンジに瞬時に操作した場合には、このシフトレバーがRレンジに位置しているにも拘らず、上記車両が、一瞬とは言え前進する可能性がある。
又、上記特許文献5、6に記載された発明の場合、上記シフトレバーが操作された事を、シフト位置検出手段(特許文献5)や発進セレクト検出手段(特許文献6)により検出し、この検出に基づき前述の様に変速比の調節を行なう。この様にシフトレバーが操作された事を検出手段により検出してから変速比の調節を行なうと、上記シフトレバーが操作されたタイミングと、この検出手段の検出に基づき変速比を所望の値に調節すべくステッピングモータ等の駆動部材を駆動するタイミングとにずれ(作動遅れ)を生じる可能性がある。この様なタイミングのずれも、上述した場合と同様に車両が運転者の意図しない挙動を示す原因となる可能性があり、好ましくない。
又、上記特許文献5、6に記載された発明の場合、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、常に変速比をGN値乃至出力軸から所定の駆動力を出力させられる値に調節すると考えられる。この為、車両の走行中に、運転者の誤操作や燃費向上を図る等により上記シフトレバーが非走行状態(Nレンジ)に切り換えられ、その後再び、この非走行状態から走行状態(Dレンジ)に切り換えられた場合に、上記変速比がGN値乃至出力軸から所定の駆動力を出力させられる値に調節される可能性がある。この様な場合には、上記車両が過度に減速する等、運転者に違和感を生じさせる可能性があり、好ましくない。
又、特許文献7には、車両の発進時にトロイダル型無段変速機を通過するトルクを制御する発明が記載されている。但し、上記特許文献7に記載された発明の場合には、クラッチ装置が接続され、上記トロイダル型無段変速機に動力(トルク)が入力されない限り、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクを、進行方向の駆動力を出力させられる値である目標値に調節する事ができない。言い換えれば、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクが目標値に調節される以前に、上記クラッチ装置が接続され、このクラッチ装置で動力の伝達が行なわれる可能性がある。この為、前述した場合と同様に、車両が運転者の意図しない挙動を示す可能性があり、好ましくない。
特開2001−317601号公報 特開2003−307266号公報 特開2004−225888号公報 特開2004−308853号公報 特許第3460676号公報 特開2002−89669号公報 米国特許6663532号明細書 青山元男著、「別冊ベストカー 赤バッジシリーズ245/クルマの最新メカがわかる本」、株式会社三雄社/株式会社講談社、平成13年12月20日、p.92−93 田中裕久著、「トロイダルCVT」、株式会社コロナ社、2000年7月13日
本発明の無段変速装置は、上述の様な事情に鑑みて、車両の発進時の特性を向上させると共に、走行中にシフトレバーが操作されても車両が過度に減速する事を防止できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、前述の図15〜16に示した様な従来から知られている無段変速装置と同様に、トロイダル型無段変速機と、差動ユニットとを備える。
このうちのトロイダル型無段変速機は、相対回転を自在として互いに同心に支持された、少なくとも1対のディスクと、これら両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材とを備える。そして、これら各支持部材を油圧式のアクチュエータにより変位させる事で、上記1対のディスク同士の間の変速比を変化させる。
又、上記差動ユニットは、歯車式のもので、複数の歯車を組み合わせて成る。
そして、上記トロイダル型無段変速機と上記差動ユニットとを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせている。又、上記トロイダル型無段変速機の変速比を制御ユニットにより調節して上記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在としている。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記制御ユニットは、上記アクチュエータへの圧油の給排状態を切り換える変速比制御弁と、この変速比制御弁の切り換え状態を変更する為の第一の駆動部材と、シフトレバーの操作に応じて上記変速比制御弁の切り換え状態を変更する為の、この第一の駆動部材とは別に設けられた第二の駆動部材とを備える。このうちの第二の駆動部材は、上記シフトレバーを操作する力に基づいて油圧式又は機械式に変位する部材であり、上記第二の駆動部材が上記第一の駆動部材とは別に作動して上記変速比制御弁の切り換え状態を変更する事により、上記トロイダル型無段変速機の変速比を補正する。そして、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作される際、このシフトレバーの操作に基づき上記クラッチ装置が接続され、このクラッチ装置が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機の変速比を所定量補正する。
上述の様な本発明の無段変速装置によれば、車両の発進時の特性を向上できる。即ち、シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作される際、クラッチ装置が動力を伝達できる状態となる以前に、トロイダル型無段変速機の変速比が所定量補正される。そして、この補正される変速比の所定量(補正量)を規制する事で、出力軸から出力される駆動力(駆動トルク)を所望値(例えば従来の自動変速装置で出力されるクリープ力と同等の値等)に規制できる。この為、上記クラッチ装置が完全に接続された状態で、車両を確実に停止乃至運転者の意図する方向に円滑に発進させられる。しかも、前述した特許文献3等に記載されている様な、エンジンの回転速度を大まかに制御しつつトロイダル型無段変速機を通過するトルクを調節する変速比制御(トルク制御)等を行なう事なく、上記シフトレバーを操作した際に車両を確実に停止乃至運転者の意図する方向に円滑に発進させられる。この為、上記トロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の制御ユニットの構造の簡素化も図れる。又、上述の様にシフトレバーが操作される際に補正される変速比の所定量は、後述する様に小さく済む(停車時若しくは極低速時に必要とされる変速比の補正量は小さい)。この為、例えば走行中にシフトレバーが非走行状態(Nレンジ)に切り換えられ、その後再び、この非走行状態から走行状態(Dレンジ)に切り換えられた際に、発進時と同様に、上記変速比がその切り換え時点の値から上記所定量補正されたとしても、その走行中に於ける上記変速比の変化量は小さく済む。従って、上述の様に走行中にシフトレバーが操作された場合でも、車両が過度に減速する事を防止できる。
更に、本発明の無段変速装置の場合には、上記制御ユニットを、変速比制御弁と、第一の駆動部材と、この第一の駆動部材とは別に設けられた第二の駆動部材とを備えたものとし、この第二の駆動部材を上記第一の駆動部材とは別に作動させて、上記変速比制御弁の切り換え状態を変更し、上記トロイダル型無段変速機の変速比を補正する為、このトロイダル型無段変速機の変速比を迅速に補正する事ができ、車両を確実に停止乃至運転者の意図する方向に円滑に発進させられる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、補正される変速比の所定量(補正量)を、出力軸に負荷を加えない状態で入力軸を一方向に回転させたままこの出力軸を停止させられる状態を実現できるGN値から、上記入力軸を一方向に回転させたまま上記出力軸に大きな負荷を加えた場合に、トロイダル型無段変速機のトルクシフトに基づいて上記入力軸を一方向に回転させたまま上記出力軸を停止させられる状態を駆動源が停止する事なく実現できる値の範囲内(ブレーキペダルを踏み込む事で、エンジンを停止させる事なく出力軸を停止させられる変速比で、上記GN値から最も大きく外れた値の範囲内)で、シフトレバーの操作位置に応じた駆動力(駆動トルク)を上記出力軸から出力できる値に、上記変速比を変化させる量に相当する量とする。
この様に構成すれば、シフトレバーを操作した際に、ブレーキペダルが踏み込まれていても、駆動源であるエンジンを停止させる事なく、トロイダル型無段変速機のトルクシフトに基づき上記入力軸を一方向に回転させたまま上記出力軸を停止させられる。即ち、上記トロイダル型無段変速機の変速比がGN値からずれた状態で、上記出力軸にブレーキペダルの踏み込み等に基づき大きな負荷が加わると、トルクシフトに基づき上記変速比がGN値に向けて変動しつつ、上記エンジンに大きな負荷が加わる。そして、この様な負荷に拘らずこのエンジンが停止しない範囲内で、上記変速比を補正する。この為、上記ブレーキペダルの踏み込み等に基づき上記出力軸が停止しても、上記エンジンに加わる上記トルクシフトに基づく負荷に拘らず、このエンジンが停止する事なく、上記入力軸を一方向に回転させたまま上記出力軸を停止したままの状態を維持できる。
しかも、この状態で上記変速比は、(トルクシフトに基づく変動がなければ)上記シフトレバーの操作位置に応じた駆動力を上記出力軸から出力できる値に補正されている。この為、上記ブレーキペダルの踏み込みを解除すれば、上記車両を運転者の意図する方向に円滑に発進させられる。
尚、この様にトロイダル型無段変速機の変速比が補正される所定量(補正量)、延いてはこのトロイダル型無段変速機の変速比の所定量の補正に基づき無段変速装置の速度比が変化する量(変速量)は小さい(停車時若しくは極低速時に必要とされる変速比の補正量、延いては速度比の変速量は小さい)。この為、例えば走行中にシフトレバーが非走行状態(Nレンジ)に切り換えられ、その後再び、この非走行状態から走行状態(Dレンジ)に切り換えられた際に、発進時と同様に、上記変速比がその切り換え時点の値から上記所定量補正されたとしても、その走行中に於ける上記変速比延いては速度比の変化量は小さく済む。従って、上述の様に走行中にシフトレバーが操作された場合でも、車両が過度に減速する事はない。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、クラッチ装置を、電動式の第二の切換弁の切り換えに基づき、その断接状態が切り換わるものとする。そして、第二の駆動部材の作動に基づきトロイダル型無段変速機の変速比が補正され切った状態で、上記第二の切換弁の切り換えに基づき上記クラッチ装置の接続を行なう。
この様に構成すれば、クラッチ装置が完全に接続された状態で、車両を確実に停止乃至運転者の意図する方向に円滑に発進させられる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、例えば請求項4に記載した発明の様に、第二の駆動部材を油圧式の第二のアクチュエータとする。そして、この第二のアクチュエータへの圧油の給排を、シフトレバーの操作に基づき切り換え状態が変化する第三の切換弁により油圧式に行なう。
この様に構成すれば、第二の駆動部材による変速比の補正を、迅速、且つ、確実に行なえる。
或いは、請求項5に記載した発明の様に、第二の駆動部材を、シフトレバーを操作する力に基づいて変位する部材(例えばシフトレバーそのもの又はこのシフトレバーと共に変位する部材)とする。そして、この様な部材の変位に基づき、変速比制御弁の切り換え状態を変更し、トロイダル型無段変速機の変速比を補正する。
この様に構成すれば、油圧回路や電気回路を必要とする事なく、上記変速比制御弁の切り換え状態の変更(変速比の補正)を機械的に行なえる。この為、装置が複雑になる事を防止できると共に、故障しにくくできる他、シフトレバーの操作のタイミングと実際の変速比が補正されるタイミングとにずれ(作動遅れ)を生じにくくできる。
又、上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した発明の様に、変速比制御弁と第一の駆動部材と第二の駆動部材とを、リンク腕を介して繋げる。
この様に構成すれば、通常の変速比制御を行なう為の上記第一の駆動部材と、シフトレバーが操作される際に変速比の補正を行なう為の上記第二の駆動部材とにより、上記変速比制御弁を切り換える構造を、大型化や複雑化する事なく構成できる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した発明の様に、シフトレバーが後退位置(Rレンジ)とこの後退位置以外(P、N、D、Lレンジ)の何れかの選択位置とのうちの一方の選択位置から他方の選択位置に操作された場合に、トロイダル型無段変速機の変速比を、GN値を含む範囲で(GN値を跨ぐ様に)補正する。
この様に構成すれば、シフトレバーが(互いに進行方向が逆である)前進位置と後退位置との何れの選択位置に操作される場合でも、トロイダル型無段変速機の変速比を、その選択位置の進行方向に応じた駆動力を出力できる値に補正できる。この為、車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を確実に防止できる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項8に記載した発明の様に、クラッチ装置が動力を伝達できる状態となる以前に、トロイダル型無段変速機の変速比を所定量補正して第一の補正値に補正した後、上記クラッチ装置が動力を伝達できる状態になったか否かに拘らず(好ましくは、クラッチ装置が動力を伝達できる状態となる以前に)、上記変速比を上記第一の補正値から第二の補正値に補正する。この場合に好ましくは、請求項9に記載した発明の様に、上記第一の補正値を、車両をシフトレバーの操作位置に対応する方向に発進並びに低速で走行させられる程度の駆動力(駆動トルク、クリープ力)を出力軸から確実に出力させられる値、言い換えれば、強めのクリープ力を出力軸から出力できる値とする。又、上記第二の補正値を、上記第一の補正値に補正された状態で出力される駆動力よりも小さい駆動力を出力させられる値、言い換えれば、上記強めのクリープ力よりも小さいクリープ力を出力させられる値とする。従って、上記第一の補正値から第二の補正値へ変速比を補正すれば、上記クリープ力は弱まる(小さくなる)。この様に第一の補正値から第二の補正値に補正する場合は、強めのクリープ力を出力できる状態からこのクリープが弱まる(小さくなる)方向に補正する事が好ましい。
この様に構成すれば、クラッチ装置が動力を伝達できる状態となる以前に第一の補正値に補正する事で、車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を防止できる。又、これと共に、この様に第一の補正値に補正された状態から更に第二の補正値に補正する事で、上記出力軸から出力される駆動力をその時点でのより最適な値(例えば後述する請求項10、11に記載した値)に調節する事ができる。しかも、上記変速比が上記第二の補正値に補正される以前に上記クラッチ装置が動力を伝達できる状態になったとしても、この変速比は少なくとも強めのクリープ力を出力できる上記第一の補正値乃至この第一の補正値と第二の補正値との間の値に補正されている為、上記車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を確実に防止できる。
又、上述の様な請求項8〜9に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項10に記載した発明の様に、第二の補正値を、出力させるべき駆動力に影響を及ぼす状態量、例えば内部に存在する潤滑油の温度(請求項11)に応じて定まる、最適な駆動力を出力軸から出力させられる値とする。尚、この様な状態量は、最適な駆動力を出力できる値(第二の補正値)との相関関係として予め求めておき、制御器のメモリ等に例えばマップや式として記憶させておく。そして、この様な相関関係に基づき、その時点の状態量に応じた第二の補正値に補正する。
この様に構成すれば、トロイダル型無段変速機の変速比を第二の補正値に補正した状態で、その時点での潤滑油の温度等の状態量に応じたより最適な駆動力を、出力軸から出力させる事ができる。
更に本発明を実施する場合に好ましくは、請求項12に記載した発明の様に、所定量補正した後、出力軸から出力される実際の駆動力を求めつつ、この求めた実際の駆動力に応じて、トロイダル型無段変速機の変速比を更に補正する。この場合に好ましくは、請求項13に記載した発明の様に、上記実際の駆動力を、トロイダル型無段変速機を通過するトルクに比例する値である、アクチュエータを構成する1対の油圧室同士の差圧に基づいて求め、この差圧に応じて上記トロイダル型無段変速機の変速比を補正する。
より具体的には、基準となる駆動力に対応する差圧、言い換えれば、出力すべき最適な駆動力に対応する差圧を予め求めておき、実際の差圧とその時点の最適な駆動力に対応する差圧とを比較しつつ、上記トロイダル型無段変速機の変速比を補正する。例えば、上記実際の差圧がその時点の最適な駆動力に対応する差圧よりも大きければ、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)、延いては出力軸から出力される駆動力(クリープ力)が最適な値よりも大きいと判定できる。この場合には、上記トロイダル型無段変速機の変速比を、上記差圧(通過トルク、駆動力)が小さくなる方向に補正する。これとは逆に、上記実際の差圧がその時点の最適な駆動力に対応する差圧よりも小さければ、上記トロイダル型無段変速機の変速比を、上記差圧(通過トルク、駆動力)が大きくなる方向に補正する。
この様に構成すれば、実際に出力される駆動力(に対応する差圧)を求めつつこの駆動力(差圧)を調節する為、その時点の最適な駆動力をより微細に、且つ、正確に出力させる事ができる。この為、車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事をより確実に防止できる。
尚、この様に実際の駆動力(に対応する差圧)に応じて変速比の補正を開始する際、上記トロイダル型無段変速機の変速比は所定量補正されている。この場合にこの補正は、第一の補正値まで行なうものでも良いし、第二の補正値まで行なうものでも良い。何れの場合も、上記変速比が所定量補正された(第一の補正値或いは第二の補正値に補正された)後、上記駆動力(に対応する差圧)を求めつつ、この求めた駆動力(に対応する差圧)に応じて変速比を更に補正する。又、この様にアクチュエータの油圧室同士の差圧に応じて補正を行なう場合には、クラッチ装置が接続され(クラッチ装置が動力を伝達できる状態となり)、トロイダル型無段変速機を通過するトルクが上記アクチュエータの油圧室同士の差圧として検出できる状態となった事が条件となる。
図1〜3は、請求項1、2、4〜6、7に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本実施例の特徴は、車両の発進時の特性を向上させるべく、無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機の変速比を調節する為の制御ユニットの構造を工夫した点にある。無段変速装置の基本的な構造自体は、前述の図15〜16に示した構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
トロイダル型無段変速機4(図15参照)を構成するトラニオン等の支持部材を(枢軸の軸方向に)変位させる為の油圧式のアクチュエータ19を構成する1対の油圧室26a、26bに、変速比制御弁21を通じて、圧油を給排自在としている。この変速比制御弁21を構成するスリーブ28は、特許請求の範囲に記載した第一の駆動部材に相当するステッピングモータ29により、リンク腕41とロッド42とを介して軸方向に変位自在としている。又、上記変速比制御弁21を構成するスプール43は、リンク腕44とプリセスカム45とロッド46とを介して上記支持部材と係合させ、この支持部材の(枢軸の軸方向)変位及び揺動変位に伴って軸方向に変位自在としている。以上の構成は、従来から知られている、或は、前述の図15〜16に示したトロイダル型無段変速機4の変速比制御機構と、基本的に同じである。
特に本実施例の場合には、上記スリーブ28を、上記ステッピングモータ29により駆動するのに加えて、特許請求の範囲に記載した第二の駆動部材に相当する油圧式の第二のアクチュエータ47によっても駆動する様にしている。即ち、上記スリーブ28に基端部を結合した上記ロッド42の先端部を上記リンク腕41の中間部に枢支すると共に、このリンク腕41の両端部に、上記ステッピングモータ29或は上記第二のアクチュエータ47の出力部を係合させている。上記リンク腕41の一端部が押し引きされる場合、他端部の係合部が支点となる。この様な構成により、上記スリーブ28を、上記ステッピングモータ29による他、上記第二のアクチュエータ47によっても軸方向に変位させられる様にしている。尚、これらステッピングモータ29と、第二のアクチュエータ47と、上記変速比制御弁21のスリーブ28との、上記リンク腕41の長さ方向(図1の上下方向)に関する位置関係は、図1に示したものに限定されない。例えば、図示は省略するが、上記リンク腕41の中間部に第二のアクチュエータ47(又はステッピングモータ29)の出力部を枢支すると共に、このリンク腕41の両端部に、上記ステッピングモータ29(又は第二のアクチュエータ47)或は上記変速比制御弁21のスリーブ28を係合させても良い。
この様な本実施例の場合、運転席に設けたシフトレバーが非走行状態から走行状態に切り換えられた際に、上記第二のアクチュエータ47による上記スリーブ28の変位により、上記ステッピングモータ29とは別に、トロイダル型無段変速機4の速度比を、油圧式に所定量補正する。又、この場合に、上記シフトレバーの操作に基づき低速用クラッチ15(或いは高速用クラッチ16)が接続され、この低速用クラッチ15(或いは高速用クラッチ16)が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を上記所定量補正する。この為に本実施例の場合は、上記第二のアクチュエータ47に設けた1対の油圧室48a、48b内に、上記シフトレバーにより直接切り換えられる手動油圧切換弁37を通じて、圧油を導入自在としている。
即ち、これら各油圧室48a、48b内への圧油の給排を、特許請求の範囲に記載した第三の切換弁に相当する上記手動油圧切換弁37の切り換え位置に応じて、切り換え自在としている。具体的には、上記シフトレバーが非走行状態であるPレンジ(パーキング位置)やNレンジ(ニュートラル位置)に位置する場合には、上記手動油圧切換弁37の切り換えに基づき、上記各油圧室48a、48bは油溜39に通じ、これら各油圧室内48a、48b内の圧油が排出される。この状態で、上記第二のアクチュエータ47のスプール49は、上記各油圧室48a、48b内に設けた弾性部材であるばね50a、50bの押圧力に基づき中立位置となり、上記トロイダル型無段変速機4の変速比は変わらない(変速比はステッピングモータ29のみにより制御され、第二のアクチュエータ47により補正される事はない)。
一方、上記シフトレバーが前進位置(D、Lレンジ)に操作された場合には、上記手動油圧切換弁37の切り換えに基づき、図2の(A)に示す様に、上記各油圧室48a、48bのうちの一方(図1〜2の右方)の油圧室48aに圧油が供給されると共に、他方(図1〜2の左方)の油圧室48bが油溜39に通じ、この他方の油圧室48b内の圧油が排出される。この結果、上記第二のアクチュエータ47のスプール49は、上記一方の油圧室48a内への圧油の供給に基づき、軸方向一方(図1〜2の左方)に変位する。そして、このスプール49の変位に基づき、前記リンク腕41が、上記ステッピングモータ29との係合部を支点として上記変速比制御弁21のスリーブ28を軸方向一方(図1〜2の左方)に変位させる方向に揺動し、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。
尚、この様にトロイダル型無段変速機4の変速比が補正される際、上記第二のアクチュエータ47のスプール49は、上記シフトレバーの操作に基づき上記一方の油圧室48a内への圧油の供給が開始されてから極短時間で、上記図2の(A)に示す様な、軸方向一方に変位し切った状態となる。即ち、上記シフトレバーの操作に基づき前記低速用クラッチ15(或いは高速用クラッチ16)の油圧室内で、この低速用クラッチ15(或いは高速用クラッチ16)が動力を伝達するのに十分な油圧が立ち上がるまでの間に、上述の様に上記スプール49が軸方向一方に変位し切る。この為、上記低速用クラッチ15(或いは高速用クラッチ16)が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。又、この様に補正される変速比の所定量は、上記第二のアクチュエータ47のスプール49の軸方向変位量を規制する事により、所望の値に調節できる。
又、上記シフトレバーが後退位置(Rレンジ)に操作された場合には、上記手動油圧切換弁37の切り換えに基づき、図2の(B)に示す様に、上記各油圧室48a、48bのうちの他方の油圧室48bに圧油が供給されると共に、一方の油圧室48aが油溜39に通じ、この一方の油圧室48a内の圧油が排出される。この結果、上記第二のアクチュエータ47のスプール49は、上記他方の油圧室48b内への圧油の供給に基づき、軸方向他方(図1〜2の右方)に変位する。そして、このスプール49の変位に基づき、上記リンク腕41が、上記ステッピングモータ29との係合部を支点として上記変速比制御弁21のスリーブ28を軸方向他方(図1〜2の右方)に変位させる方向に揺動し、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。
尚、この様にトロイダル型無段変速機4の変速比が補正される際、上記第二のアクチュエータ47のスプール49は、上記シフトレバーの操作に基づき上記他方の油圧室48b内への圧油の供給が開始されてから極短時間で、上記図2の(B)に示す様な、軸方向他方に変位し切った状態となる。即ち、上記シフトレバーの操作に基づき前記低速用クラッチ15の油圧室内で、この低速用クラッチ15が動力を伝達するのに十分な油圧が立ち上がるまでの間に、上述の様に上記スプール49が軸方向他方に変位し切る。この為、上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。又、この様に補正される変速比の所定量は、上記第二のアクチュエータ47のスプール49の軸方向変位量を規制する事により、所望の値に調節できる。
上述の様に第二のアクチュエータ47の作動(スプール49の変位)に基づき補正されるトロイダル型無段変速機4の変速比の所定量は、図3に示す様に、無段変速装置の速度比を、GN位置(G/ N point、O点)からα位置又はβ位置に変化させる量に相当する量としている。尚、この図3は、横軸に無段変速装置の速度比を、縦軸にトロイダル型無段変速機の通過トルクを、それぞれ表している。又、上記無段変速装置の速度比は、前進側を+(正)、後退側を−(負)としており、上記通過トルクは、入力側ディスクから出力側ディスクにトルクが伝達される(後退方向の駆動力が発生する)場合を+(正)、出力側ディスクから入力側ディスクにトルクが伝達される(前進方向の駆動力が発生する)場合を−(負)としている。又、上記GN位置は、上記無段変速装置の出力軸14(図15参照)に、ブレーキペダルの踏み込み等による負荷を加えない状態で、入力軸3(図15参照)を一方向に回転させたまま上記出力軸14を停止させられる状態である。この状態を実現できる上記トロイダル型無段変速機4の変速比の値が、GN値になる。本実施例の場合は、車両が停止しており、上記シフトレバーが非走行状態(P、Nレンジ)に位置する場合に、上記ステッピングモータ29の駆動に基づき、上記トロイダル型無段変速機4の変速比がGN値に調節される。
又、上記α位置は、同じく出力軸14に負荷を加えない状態で、上記シフトレバーを非走行状態(P、Nレンジ)から前進位置(D、Lレンジ)に操作した場合に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が上記GN値から上記第二のアクチュエータ47の作動に基づき所定量補正される事により、上記無段変速装置の速度比が上記GN位置から変化する位置である。又、上記β位置は、同じく出力軸14に負荷を加えない状態で、上記シフトレバーを非走行状態(P、Nレンジ)から後退位置(Rレンジ)に操作した場合に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が上記GN値から上記第二のアクチュエータ47の作動に基づき所定量補正される事により、上記無段変速装置の速度比が上記GN位置から変化する位置である。
この様な第二のアクチュエータ47の駆動に基づき変化する上記α、β位置は、上記出力軸14にブレーキペダルの踏み込み等に基づき大きな負荷が加わった状態では、それぞれ図3に矢印イ、ロで示す様に、A、B位置にそれぞれ変化する。即ち、上記出力軸14にブレーキペダルの踏み込み等に基づき大きな負荷が加わると、上記トロイダル型無段変速機4の変速比がGN値でないにも拘らず、この変速比がトルクシフトに基づきGN値に変動し、上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14が停止した状態となる。この場合には、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが増大しつつ、無段変速装置の速度比が0となる(出力軸14が停止した)状態が実現される。本実施例の場合、上記A、B位置が、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクがXの範囲、即ち、駆動源であるエンジン1(図15参照)が停止(エンスト)する事なく上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14を停止させられる状態を実現できる値の範囲内となる様に、上記第二のアクチュエータ47の駆動に基づき補正される上記トロイダル型無段変速機4の変速比の所定量を規制している。
尚、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが上記Xの範囲内を超える位置に調節される場合、例えば図3の破線上のA´位置に調節される場合には、上記エンジン1が停止する事なく上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14を停止させる事ができなくなる。即ち、上記ブレーキペダルの踏み込みに基づき上記出力軸14に大きな負荷が加わると、上記エンジン1に上記トルクシフトに基づく過大な負荷が加わり、このエンジン1が停止する可能性がある。この為、本実施例の場合には、上述した様に、上記第二のアクチュエータ47の駆動に基づきトロイダル型無段変速機4の変速比が補正される所定量を、GN値から、上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14に大きな負荷を加えた場合に、トルクシフトに基づき上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14を停止させられる状態を上記エンジン1が停止する事なく実現できる値の範囲(Xの範囲)内で、上記シフトレバーの操作位置に応じた駆動力(駆動トルク)を上記出力軸14から出力できる値(A位置、B位置)に、上記変速比を変化させる量に相当する量となる様に設定している。尚、上記Xの範囲は、予め実験により求めておく事ができる。
又、上記A位置やB位置を(Xの範囲内で)調節する事で、上記出力軸14から出力される駆動力(駆動トルク)を所望値、例えば従来の自動車用自動変速装置で出力されるクリープ力と同程度に規制できる。具体的には、上記トロイダル型無段変速機4を構成するパワーローラ7(図15参照)の傾転量(揺動量)を、GN値を実現できる状態から3度程度(全変速比幅の5%程度)変化させれば、従来の自動変速装置で出力されるクリープ力と同程度の駆動力を出力できる。言い換えれば、上記第二のアクチュエータ47の変位に基づき上記パワーローラ7の揺動量が3度程度変化する様に、この第二のアクチュエータ47の変位量を設定すれば、上記シフトレバーが走行状態に操作された際に、上記出力軸14から従来のクリープ力と同程度の力を出力させられる。
例えば、上記シフトレバーが非走行状態(Pレンジ、Nレンジ)に位置し、前記ステッピングモータ29の作動に基づき上記トロイダル型無段変速機4の変速比がGN値に調節されている状態(停車状態)から、上記シフトレバーを前進位置(Dレンジ、Lレンジ)に操作した場合に就いて説明する。この場合には、上記第二のアクチュエータ47が、図1に示す状態から図2の(A)に示す状態に変位する。そして、この様な第二のアクチュエータ47の変位に基づき、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が、上記無段変速装置の速度比をGN位置からα位置に変化させる様に、補正される。又、この際、この変速比が完全に補正し切った状態で、前記低速用クラッチ15が接続される(動力を伝達できる状態となる)。従って、この状態で上記出力軸14にブレーキペダルの踏み込み等に基づき大きな負荷が加わっている場合には、上記トロイダル型無段変速機4に発生するトルクシフトに基づき、このトロイダル型無段変速機4の変速比がGN値に変動すると共に、このトロイダル型無段変速機4を通過するトルクが増大しつつ、上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14を停止した状態が実現される(A位置となる)。この状態で上記ブレーキペダルの踏み込みを解除すれば、上記出力軸14から前進方向に必要な駆動力(クリープ力)を出力する事ができ、車両を運転者の意図する方向(前方)に円滑に発進させられる。
又、これとは逆に、上記シフトレバーが非走行状態(Pレンジ、Nレンジ)に位置し、上記ステッピングモータ29の駆動に基づき上記トロイダル型無段変速機4の変速比がGN値に調節されている状態(停車状態)から、上記シフトレバーを後退位置(Rレンジ)に操作した場合に就いて説明する。この場合には、上記第二のアクチュエータ47が、図1に示す状態から図2の(B)に示す状態に変位する。そして、この様な第二のアクチュエータ47の変位に基づき、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が、上記無段変速装置の速度比をGN位置からβ位置に変化する様に、補正される。又、この際、この変速比が完全に補正し切った状態で、前記低速用クラッチ15が接続される(動力を伝達できる状態となる)。従って、この状態で上記出力軸14にブレーキペダルの踏み込み等に基づき大きな負荷が加わっている場合には、上記トロイダル型無段変速機4に発生するトルクシフトに基づき、このトロイダル型無段変速機4の変速比がGN値に変動すると共に、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクが増大しつつ、上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14を停止した状態が実現される(B位置となる)。この状態で上記ブレーキペダルの踏み込みを解除すれば、上記出力軸14から後退方向に必要な駆動力(クリープ力)を出力する事ができ、車両を運転者の意図する方向(後方)に円滑に発進させられる。
この様な本実施例の場合、上記シフトレバーが走行状態である前進位置(Dレンジ、Lレンジ)と後退位置(Rレンジ)とのうちの一方の選択位置から非走行状態であるニュートラル位置(Nレンジ)を介して他方の選択位置に操作された際には、上記第二のアクチュエータ47の作動に基づき上記トロイダル型無段変速機4の変速比が、このトロイダル型無段変速機4を通過するトルクが反転する様に(GN値を含む範囲でこのGN値を跨ぐ様に)補正される。即ち、上記シフトレバーがDレンジ或はLレンジからNレンジを通過してRレンジに操作された場合には、上記第二のアクチュエータ47が図2の(A)に示す状態から同じく(B)に示す状態に変位する。そして、この様な第二のアクチュエータ47の変位に基づき、上記無段変速装置の速度比が、図3のα位置からβ位置に移動する様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が補正される。この場合に、上記出力軸14にブレーキペダルの踏み込み等に基づき大きな負荷が加わっている場合には、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクが、上記図3のA位置からB位置に反転する様に変化する。これとは逆に、上記シフトレバーがRレンジからNレンジを通過してDレンジ或はLレンジに操作された場合には、上記第二のアクチュエータ47が図2(B)に示す状態から同じく(A)に示す状態に変位する。そして、この様な第二のアクチュエータ47の変位に基づき、上記無段変速装置の速度比が、図3のβ位置からα位置に移動する様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が補正される。この場合に、上記出力軸14にブレーキペダルの踏み込み等に基づき大きな負荷が加わっている場合には、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクが、上記図3のB位置からA位置に反転する様に変化する。
上述の様に構成する本実施例の場合には、車両の発進時の特性を向上できる。即ち、シフトレバーが非走行状態(P、Nレンジ)から走行状態(D、L、Rレンジ)に操作される際に、前記低速用クラッチ15が接続される(動力を伝達できる状態となる)以前に、上記第二のアクチュエータ47の変位に基づき上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。この為、上記低速用クラッチ15が完全に接続された状態で、車両を確実に停止乃至運転者の意図する方向に円滑に発進させられる。
即ち、本実施例の場合には、上記シフトレバーが操作される際に、第一の駆動部材であるステッピングモータ29とは別に作動する、第二の駆動部材である第二のアクチュエータ47が、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を所定量補正する。そして、この第二のアクチュエータ47を、応答性の優れた油圧式のものとしている。この為、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記低速用クラッチ15の油圧室内の油圧が立ち上がり、この低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、迅速に所定量補正する事ができ、上記車両を確実に停止乃至運転者の意図する方向に円滑に発進させられる。しかも、前述した特許文献3等に記載されている様な、エンジンの回転速度を大まかに制御しつつトロイダル型無段変速機を通過するトルクを調節する変速比制御(トルク制御)等を行なう事なく、上記シフトレバーを操作した際に車両を確実に停止乃至運転者の意図とする方向に円滑に発進させられる。この為、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を制御する為の制御ユニットの構造の簡素化を図れる。
又、上記第二のアクチュエータ47の作動に基づいてトロイダル型無段変速機の変速比が補正される量、延いてはこの変速比の補正に基づき無段変速装置の速度比が変化する量は、前述の図3を用いて説明した様に小さい。即ち、上記第二のアクチュエータ47の作動に基づき上記無段変速装置の速度比が変化する量は、上記図3のGN位置からα位置又はβ位置にまで変化させる為に要する量であり、小さく(全変速比幅の5%程度に)抑えられる。この為、走行中にシフトレバーが非走行状態(Nレンジ)から走行状態(Dレンジ等)に操作される事により、上記第二のアクチュエータ47が発進時と同様に作動しても、この作動に基づき変化する(補正される)変速比延いては速度比の量は小さく済む。この為、この様に走行中に第二のアクチュエータ47の駆動に基づきトロイダル型無段変速機の変速比が補正され、この補正に基づき無段変速装置の速度比が変化しても、上記車両が過度に減速する事はない。
更に本実施例の場合には、D、LレンジからRレンジへの操作、或は、RレンジからD、Lレンジへの操作を行なった場合に、前述の図3に示す様に、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが直ちに反転する。この為、上記出力軸14からシフトレバーの選択位置に応じた駆動力を確実に出力させる事ができ、車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を防止できる。しかも、本実施例の場合には、第二のアクチュエータ47への圧油の給排を、シフトレバーにより直接切り換えられる手動油圧切換弁37により行なっている。この為、上記第二のアクチュエータ47による変速比の補正を迅速、且つ、確実に行なえる。又、ポジションスイッチ34(図15参照)等のシフト位置検出センサの検出信号に基づいて上記第二のアクチュエータ47の切り換えを(電気的に)行なうのではない為、上記ポジションスイッチ34が故障した場合でも、変速比の補正を確実に行なえ、信頼性の向上も図れる。
尚、本実施例の場合は、車両が停止し、且つ、シフトレバーが非走行状態(Pレンジ、Nレンジ)に位置する事により第二のアクチュエータ47が中立位置となった状態で、トロイダル型無段変速機4の変速比はGN値に調節される。即ち、上記車両が停止しており、上記第二のアクチュエータ47により上記トロイダル型無段変速機4の変速比が補正されていない状態では、無段変速装置の速度比は、図3のGN位置に調節される。但し、この様に車両が停止し、且つ、上記第二のアクチュエータ47が中立位置となった状態で、上記無段変速装置の速度比を、上記GN位置からずれた位置、例えば、上記図3のγ位置(出力軸14から前進方向の駆動力を発生させられる位置)に設定する事もできる。この様な設定は、上記第二のアクチュエータ47が中立位置での、ステッピングモータ29のステップ数と上記トロイダル型無段変速機4の変速比(延いては無段変速装置の速度比)との相関関係をずらせる等により、容易に行なえる。
この様な場合には、上記シフトレバーが非走行状態から操作頻度の高い前進位置に操作される際に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比の変化量(補正量)を小さくできる。言い換えれば、上記シフトレバーが前進位置に操作される際の上記第二のアクチュエータ47の駆動量(中立位置からのスプール49の変位量)を小さくでき、上記変速比を補正する際の動作の安定性向上を図れる。又、上述の様に第二のアクチュエータ47が中立位置で、トロイダル型無段変速機の変速比を、出力軸14から前進方向の駆動力を発生させられる値に設定しておけば、この様な状態で例えば上記ステッピングモータ29等が故障した場合でも、シフトレバーの操作に基づき低速用クラッチ15を接続させる事で、車両を路肩等の安全な場所に、低速ではあるが、自走させる事もできる。
[本発明に関する参考例の第1例]
図4は、本発明に関する参考例の第1例を示している。本参考例の場合は、第二のアクチュエータ47への圧油の給排を、制御器11により制御される、電動式の切換弁である電磁弁51により行なう。そして、この電磁弁51の切り換えを、シフトレバーの選択位置を検出するシフトレバー位置検出センサ52の検出信号に基づいて、電気式に行なう。又、必要に応じて、このシフトレバー位置検出センサ52の検出信号と共に、ブレーキペダルの踏み込みを検出するブレーキスイッチ36(図15参照)の検出信号を用いる。尚、本参考例の場合、上記電磁弁51が、特許請求の範囲に記載した第三の切換弁に相当する。
この様な本参考例の場合は、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、上記制御器11により上記電磁弁51を作動させて、トロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比を補正する。又、これと共に、このトロイダル型無段変速機4の変速比が補正され切った状態で、低速用クラッチ15(図1参照)の接続を行なう。この為に、例えば、上記シフトレバーの操作に基づき上記低速用クラッチ15に圧油が送り込まれ、この低速用クラッチ15が動力の伝達を開始する以前に、上記電磁弁51を作動させる(変速比を補正する)機能を、上記制御器11に持たせている。
又、好ましくは、車両の走行速度を出力軸14の回転速度を検出する為の出力軸回転センサ17(図15参照)等から検出し、この車両が停止乃至極低速で走行していると判定される場合のみ、上記シフトレバーの操作に基づき上記電磁弁51を作動させる(変速比を補正する)。この場合には、上記車両が(高速)走行中に、上記シフトレバーが非走行状態(Nレンジ)に切り換えられ、その後再び、この非走行状態から走行状態(Dレンジ)に切り換えられた場合等に、発進時と同様の変速比の補正を行なわない様にできる。
この様に構成する本参考例の場合には、上記電磁弁51によりトロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比制御(変速比の補正)を微細に行なう事ができる。又、これと共に、通油路を省略でき、油圧回路を組み込むバルブボディーの小型化(コンパクト化)を図れる。
尚、上記ブレーキスイッチ36の検出信号を用いて上記電磁弁51を切り換える場合には、ブレーキペダルの踏み込み解除を条件に、上記第二のアクチュエータ47を作動させる(変速比を補正する)事もできる。尚、この場合には、低速用クラッチ15が接続され、この低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となった後に、トロイダル型無段変速機4の変速比が補正される事になる。但し、この様な場合には、上記ブレーキペダルが踏み込まれた状態での上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクの低減化により、このトロイダル型無段変速機4の耐久性向上を図れる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図5は、請求項1、2、5〜7に対応する、本発明の実施例2を示している。前述した実施例1の場合は、シフトレバーにより操作される手動油圧切換弁37の切り換えに基づき第二のアクチュエータ47(図1等参照)を作動させる事により、変速比制御弁21のスリーブ28を変位させ、トロイダル型無段変速機4の変速比を補正する様に構成した。これに対して、本実施例の場合には、シフトレバー53の動きを、変速比制御弁21のスリーブ28と連結するリンク腕41に直接伝達する事により、トロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比を補正する。
この為に、本実施例の場合には、上記シフトレバー53の動きに基づき変位する部材として、ディテント機構を構成するディテントプレートの如き揺動プレート54を、上記シフトレバー53の基端部に、このシフトレバー53の揺動中心と同心に設けている。この様な揺動プレート54は、円筒状の外周面に、この外周面から径方向に凹入する凹部55と、同じく突出する凸部56とを形成している。又、上記リンク腕41の端部に基端部を支持した連結腕57の先端部に、同じくディテントボールの如き球状部58を設け、この球状部58を上記揺動プレート54の外周面に当接させている。又、上記リンク腕41の端部で上記連結腕57を支持した部分の反対側に、上記球状部58を上記揺動プレート58の外周面に向けて押圧する方向の弾力を付与する為の、圧縮コイルばね等の弾性部材59を設けている。
この様な本実施例の場合、上記シフトレバー53が操作されると、このシフトレバー53と共に上記揺動プレート54が支点イを中心に揺動する。例えば、上記シフトレバー53が、非走行状態である駐車位置(Pレンジ)或いはニュートラル位置(Nレンジ)から走行状態である後退位置(Rレンジ)に操作されると、上記連結腕57の先端部に設けた球状部58が、上記弾性部材59の弾力に抗して上記凸部56に乗り上げる。そして、この乗り上げに基づき上記連結腕57が中立位置から軸方向一方(図5の右方)に変位すると共に、上記リンク腕41がステッピングモータ29との係合部を支点として、前記変速比制御弁21のスリーブ28を軸方向一方に変位させる方向に揺動し、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。尚、この様なリンク腕41の揺動に基づき補正される変速比の所定量は、前述の実施例1で図3を参照しつつ説明した通り、無段変速装置の速度比を、GN位置(G/ N point、O点)からβ位置に変化させる量に相当する量としている。そして、この様な所定量となる様に、上記凸部56の突出量を規制している。
一方、上記シフトレバー53が非走行状態である駐車位置(Pレンジ)或いはニュートラル位置(Nレンジ)から走行状態である前進位置(Dレンジ)或いは高駆動力前進位置(Lレンジ)に操作されると、上記連結腕57の先端部に設けた球状部58が、上記弾性部材59の弾力に基づき上記凹部55と係合する(凹部55内に嵌る)。そして、この係合に基づき上記連結腕57が中立位置から軸方向他方(図5の左方)に変位すると共に、この連結腕57の変位と共に上記リンク腕41が、上記ステッピングモータ29との係合部を支点として上記変速比制御弁21のスリーブ28を軸方向他方に変位させる方向に揺動し、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。尚、この様なリンク腕41の揺動に基づき補正される変速比の所定量は、前述の実施例1で図3を参照しつつ説明した通り、無段変速装置の速度比を、GN位置(G/ N point、O点)からα位置に変化させる量に相当する量としている。そして、この様な所定量となる様に、上記凹部55の凹み量を規制している。
この様な本実施例の場合には、油圧回路や電気回路を必要とする事なく、上記トロイダル型無段変速機4の変速比の補正を機械的に行なえる。この為、装置を簡素に構成できると共に、故障しにくくできる。又、上記シフトレバー53の操作のタイミングと実際の変速比が補正されるタイミングとにずれ(遅れ)を生じにくくできる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例1と同様であるから、重複する説明は省略する。
[本発明に関する参考例の第2例]
図6は、本発明に関する参考例の第2例を示している。前述した実施例1、2及び参考例の第1例の場合は、ステッピングモータ29等の第一の駆動部材の他に、油圧式の第二のアクチュエータ47(第1実施例、参考例の第1例)や機械式の揺動プレート54(第2実施例)等の第二の駆動部材を設け、この様な第二の駆動部材により、変速比制御弁21のスリーブ28を変位させ、トロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比の補正を行なう様に構成している。これに対して、本参考例の場合には、第一の駆動部材である上記ステッピングモータ29のみにより、通常の変速比制御、並びに、シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際の変速比の補正を行なう。この様な本参考例の場合、上述の様な第二の駆動部材(第二のアクチュエータ47、揺動プレート54)の他、前述の特許文献3等に記載された構造や図16に示した構造の様な、差圧シリンダ22等の駆動部材も設けていない。
即ち、本参考例の場合には、リンク腕41の両端部に、上記ステッピングモータ29の出力部の先端部と、上記スリーブ28に基端部を結合したロッド42の先端部とを、それぞれ係止している。又、これと共に、上記リンク腕41の中間部を、バルブボディー等の固定の部分に、揺動自在に支持している。この様な本参考例の場合には、制御器11の信号に基づき上記ステッピングモータ29の駆動部材(ロッド)が軸方向に変位すると、上記リンク腕41が支点イを中心に揺動する。そして、この揺動に基づき上記スリーブ28が軸方向に変位し、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が変化する。
又、本参考例の場合、低速用、高速用各クラッチ15、16の断接状態を、それぞれが特許請求の範囲に記載した第二の切換弁に相当する低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61により切り換え自在としている。即ち、これら低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61は、ソレノイドへの通電に基づきスプールをそれぞれ変位させるもので、このスプールの変位に基づき、上記低速用、高速用各クラッチ15、16に導入する圧油を切り換える為の高速用、低速用各切換弁24、25の切り換え状態を切り換える。そして、これら高速用、低速用各切換弁24、25の切り換えに基づき、上記低速用、高速用各クラッチ15、16の油圧室内への圧油の導入状態を切り換える事により、これら低速用、高速用各クラッチ15、16の断接を行なう。
例えば、上記低速用クラッチ15を接続すると共に上記高速用クラッチ16の接続を断つ場合には、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61を非通電状態にし、これら各電磁切換弁60、61のスプールをばねの弾力に基づき図6の右方に変位させる。そして、このスプールの変位に基づき、上記低速用切換弁25のパイロット室を油溜39に通じさせると共に、上記高速用切換弁24のパイロット室に圧油を導入する。この結果、上記低速用切換弁25のスプールがばねの弾力に基づき図6の左方に変位し、上記低速用クラッチ15の油圧室に圧油が導入され、この低速用クラッチ15が接続される。又、上記高速用切換弁24のスプールがばねの弾力に抗して図6の左方に変位し、上記高速用クラッチ16の油圧室が油溜39に通じ、この高速用クラッチ15の接続が断たれる。
一方、上記低速用クラッチ15の接続を断つと共に上記高速クラッチ16を接続する場合には、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61を通電状態にし、これら各電磁切換弁60、61のスプールをばねの弾力に抗して図6の左方に変位させる。そして、このスプールの変位に基づき、上記低速用切換弁25のパイロット室に圧油を導入すると共に、上記高速用切換弁24のパイロット室を油溜39に通じさせる。この結果、上記低速用切換弁25のスプールがばねの弾力に抗して図6の右方に変位し、上記低速用クラッチ15の油圧室が油溜39に通じ、この低速用クラッチ15の接続が断たれる。又、上記高速用切換弁24のスプールがばねの弾力に基づき図6の右方に変位し、上記高速用クラッチ16の油圧室に圧油が導入され、この高速用クラッチ16が接続される。
又、上記低速、高速用両クラッチ15、16の接続を断つ場合には、上記低速クラッチ用電磁切換弁60を通電状態とし、この電磁切換弁60のスプールをばねの弾力に抗して図6の左方に変位させると共に、上記高速クラッチ用電磁切換弁61を非通電状態にし、この電磁切換弁61のスプールをばねの弾力に基づき図6の右方に変位させる。そして、これら各スプールの変位に基づき、上記高速用、低速用各切換弁24、25の各パイロット室に圧油を導入する。この結果、上記低速用切換弁25のスプールがばねの弾力に抗して図6の右方に変位し、上記低速用クラッチ15の油圧室が油溜39に通じ、この低速用クラッチ15の接続が断たれる。又、上記高速用切換弁24のスプールがばねの弾力に抗して図6の左方に変位し、上記高速用クラッチ16の油圧室が油溜39に通じ、この高速用クラッチ16の接続が断たれる。
この様な本参考例の場合、車両が停止した状態で、運転席に設けたシフトレバーが非走行状態である駐車位置(Pレンジ)やニュートラル位置(Nレンジ)から、走行状態である前進位置(Dレンジ)や高駆動力前進位置(Lレンジ)、後退位置(Rレンジ)に操作される際に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、前記ステッピングモータ29の駆動に基づき所定量補正する。即ち、上記車両が停止した状態で、上記シフトレバーがP、Nレンジに位置する場合は、上記トロイダル型無段変速機4の変速比は、出力軸14に負荷を加えない状態で入力軸3(図15参照)を一方向に回転させたままこの出力軸14を停止させられる状態を実現できる値である、GN値に調節される。そしてこの状態から、上記シフトレバーがD、L、Rレンジに操作されると、このシフトレバーの操作に基づき上記低速用クラッチ15が接続される。本参考例の場合、この低速用クラッチ15が接続され、この低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記ステッピングモータ29の駆動に基づき上記GN値から所定量補正する。
この為に、本参考例の場合には、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61の切り換え状態を制御(通電状態を制御)する為の制御器11(図15参照)に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正された事を条件に、上記低速用クラッチ15を接続すべく、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61を非通電状態とする機能を持たせている。より具体的には、上記シフトレバーがP、Nレンジから、D、L、Rレンジに操作された事を、例えばこのシフトレバーの動きを検出する為のポジションスイッチ34(図15参照)やシフトレバー位置検出センサ52(図4参照)等により検出する。そして、これらスイッチ34やセンサ52等の検出信号に基づき上記制御器11は、上記ステッピングモータ29を駆動し、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を所定量補正する。一方、上記制御器11は、このトロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正されたか否かを、例えば上記ステッピングモータ29のステップ位置が当該変速比(所定量補正された変速比)に対応する位置にまで駆動されたか否かにより、或いは、入力側ディスク6の回転速度と出力側ディスク8(図15参照)の回転速度とから変速比を算出する事により、判定する。そして、この変速比が所定量補正されたと判定された場合に、上記制御器11の信号に基づき上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61を非通電状態とし、上記低速用クラッチ15を接続する。
上述の様にシフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に補正されるトロイダル型無段変速機4の変速比の所定量は、前述の実施例1で図3を参照しつつ説明した通り、無段変速装置の速度比を、GN位置(G/ N point、O点)からα位置又はβ位置に変化させる量に相当する量としている。そして、この様な所定量となる様に、上記ステッピングモータ29の駆動量を設定している。尚、好ましくは、車両の走行速度を出力軸14の回転速度を検出する為の出力軸回転センサ17(図15参照)等から検出し、この車両が停止乃至極低速で走行していると判定される場合のみ、上記シフトレバーの操作に基づき上記ステッピングモータ29を駆動させる(変速比を補正する)。この様に構成すれば、上記車両が(高速)走行中に、上記シフトレバーが非走行状態(Nレンジ)に切り換えられ、その後再び、この非走行状態から走行状態(Dレンジ)に切り換えられた場合等に、発進時と同様の変速比の補正を行なわない様にできる。
この様な本参考例の場合には、トロイダル型無段変速機4の変速比を補正する為の、油圧式の第二のアクチュエータ47等の第二の駆動部材を、第一の駆動部材であるステッピングモータ29とは別に設けていない為、油圧回路等を簡素に構成できる。又、前述した特許文献3、4等に記載されている構造の様な、トロイダル型無段変速機4を通過するトルクを調節する為の変速比制御を行なう為の差圧シリンダ22(図16参照)等も設ける必要がない。この為、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を制御する為の制御ユニットの構造の簡素化を図れる。
尚、本参考例は、低速用クラッチ15及び高速用クラッチ16の断接を、高速用、低速用各切換弁24、25を介して行なう場合を示した。但し、この様な切換弁24、25を省略し、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61により直接、上記低速用、高速用各クラッチ15、16の油圧室に送り込む圧油の切り換えを行なう事もできる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例1、2及び参考例の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
[本発明に関する参考例の第3例]
図7は、本発明に関する参考例の第3例を示している。上述した参考例の第2例の場合は、ステッピングモータ29により変速比制御弁21のスリーブ28(図6参照)を変位させる事により、各パワーローラ7(図15参照)を回転自在に支持するトラニオン等の支持部材を変位させるアクチュエータ19への圧油の給排状態を切り換え、トロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比の調節を行なう様に構成している。これに対して、本参考例の場合には、電動式の第一の切換弁62の切り換え状態を変更する事により、アクチュエータ19への圧油の給排状態を直接切り換え、上記トロイダル型無段変速機4の変速比の調節を行なう。即ち、本参考例の場合には、上記支持部材(トラニオン)のオフセット量(中立位置からの変位量)並びに各パワーローラ7の傾転量(揺動量)を検出し、この検出されたオフセット量及び傾転量とシフトレバーの選択位置とに応じて、電磁比例弁やサーボ弁等の電動式の上記第一の切換弁62の切り換え状態を変更する事により、上記トロイダル型無段変速機4の変速比の調節を行なう。尚、この様なオフセット量と傾転量とを用いたトロイダル型無段変速機の変速比の制御方法に就いては、前記非特許文献2等に記載されて従来から知られている為、詳しい説明は省略する。
この様な本参考例の場合も、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に、上記第一の切換弁62の切り換えに基づき、トロイダル型無段変速機4の変速比を所定量補正する。この際、上記シフトレバーの操作に基づき低速用クラッチ15の接続が行なわれ、この低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、上記第一の切換弁62の切り換えに基づき上記トロイダル型無段変速機4の変速比を所定量補正する。この為に、例えば、上記第一の切換弁62の切り換え状態並びに低速用、高速用各クラッチ15、16の断接状態を制御する為の制御器11(図15参照)に、上記シフトレバーの操作に基づき上記低速用クラッチ15に圧油が送り込まれ、この低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、上記第一の切換弁62を切り換える事により上記変速比を補正する機能を持たせている。又、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正されたか否かを、例えば入力側ディスク6の回転速度と出力側ディスク8(図15参照)の回転速度とから判定し、上記変速比が補正され切った状態で、上記低速用クラッチ15を接続すべく、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁60、61を非通電状態とする機能を、上記制御器11に持たせる事もできる。
何れにしても、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作された際に補正されるトロイダル型無段変速機4の変速比の所定量は、前述の実施例1で図3を参照しつつ説明した通り、無段変速装置の速度比を、GN位置(G/ N point、O点)からα位置又はβ位置に変化させる量に相当する量としている。そして、この様な所定量となる様に、上記第一の切換弁62の作動量を設定している。尚、好ましくは、車両の走行速度を出力軸14の回転速度を検出する為の出力軸回転センサ17(図15参照)等から検出し、この車両が停止乃至極低速で走行していると判定される場合のみ、上記シフトレバーの操作に基づき上記第一の切換弁62を作動させる(変速比を補正する)。この様に構成すれば、上記車両が(高速)走行中に、上記シフトレバーが非走行状態(Nレンジ)に切り換えられ、その後再び、この非走行状態から走行状態(Dレンジ)に切り換えられた場合等に、発進時と同様の変速比の補正を行なわない様にできる。又、必要に応じて、ブレーキスイッチ36(図15参照)から得られるブレーキペダルの踏み込み並びに解除に基づき、上記変速比の補正を行なう事もできる。
この様な本参考例の場合には、前記アクチュエータ19への圧油の供給状態を、前述した実施例1、2及び参考例の第1〜2例で示した構造の様な変速比制御弁21(例えば図1参照)を介する事なく直接切り換える為、シフトレバーが操作されるタイミングと上記アクチュエータ19を作動するタイミングとにずれ(遅れ)を生じにくくできる。又、これと共に、前記各パワーローラ7の傾きを変速比制御弁21にフィードバックする為のフィードバック機構も省略でき、構造の簡素化も図れる。
その他の構成及び作用は、前述した参考例の第2例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図8は、請求項1、2、4、6、7に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合には、前述した実施例1の構造で、第二のアクチュエータ47を構成する1対のばね50a、50bのうちの他方(図1、図8の左方)のばね50bを省略した(一方のばね50aのみを設けた)如き構造としている。これに合わせて、上記第二のアクチュエータ47を構成する1対の油圧室48a、48bのうちの一方(図1、8の右方)の油圧室48aに圧油を送り込む為の油路も省略すると共に、手動油圧切換弁37の構造も、上記実施例1の構造に比べて簡素・小型に構造できる。この様な本実施例の場合は、上記第二のアクチュエータ47に設けた(他方の)油圧室48b内への圧油の給排を、上記手動油圧切換弁37の切り換え位置に応じて、油圧式に切り換え自在としている。
即ち、本実施例の場合には、上記シフトレバーがパーキング位置(Pレンジ)、ニュートラル位置(Nレンジ)、前進位置(D、Lレンジ)に操作された場合に、上記手動油圧切換弁37の切り換えに基づき、上記油圧室48bが油溜39に通じ、この油圧室48b内の圧油が排出される。この結果、上記第二のアクチュエータ47のスプール49が、上記ばね50aの弾力に基づき、軸方向他方(図8の左方)に変位する。そして、このスプール49の変位に基づき、リンク腕41が、ステッピングモータ29との係合部を支点として変速比制御弁21のスリーブ28を中立位置から軸方向他方に変位させる方向に揺動し、トロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比が所定量補正される。
一方、上記シフトレバーが後退位置(Rレンジ)に操作された場合には、上記手動油圧切換弁37の切り換えに基づき、上記他方の油圧室48bに圧油が供給される。この結果、上記第二のアクチュエータ47のスプール49は、上記他方の油圧室48b内への圧油の供給に基づき、軸方向一方(図8の右方)に、(一方のばね50aの弾力に抗して)変位する。そして、このスプール49の変位に基づき、上記リンク腕41が、上記ステッピングモータ29との係合部を支点として上記変速比制御弁21のスリーブ28を軸方向一方に変位させる方向に揺動し、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定量補正される。
この様な本実施例の場合には、シフトレバーがN、Pレンジに位置する場合でも、このシフトレバーがD、Lレンジに操作された場合と同様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比がGN値から所定量補正された状態となる。即ち、前述した実施例1では、シフトレバーがP、Nレンジに位置する状態では、上記第二のアクチュエータ47を構成するスプール49が中立位置となる。この状態で、トロイダル型無段変速機4の変速比は、無段変速装置の出力軸14にブレーキ等に基づき大きな負荷を加えない状態でも、入力軸3を回転させたまま出力軸14(図15参照)を停止させる状態を実現できる値であるGN値に調節される。これに対して本実施例の場合には、上記シフトレバーがP、Nレンジに位置する状態でも、上記シフトレバーがDレンジやLレンジに操作された状態と同様に、上記第二のアクチュエータ47を構成するスプール49が、図8に示す様に、軸方向他方に変位し切った状態となる。この状態では、図9に示す様に、上記無段変速装置の出力軸14に負荷を加えない状態でこの無段変速装置の速度比がα位置に、同じくブレーキ等に基づき大きな負荷を加えた状態でトロイダル型無段変速機4を通過するトルクがA位置となる様に、このトロイダル型無段変速機4の変速比が調節(補正)される。
一方、上記シフトレバーがRレンジに操作された場合には、上記第二のアクチュエータ47を構成するスプール49が、上記他方の油圧室48b内への圧油の供給に基づき、図8に示す状態とは逆、即ち、軸方向一方に変位し切った状態となる。この状態では、同じく図9に示す様に、上記無段変速装置の出力軸14に負荷を加えない状態でこの無段変速装置の変速比がβ位置に、同じくブレーキ等に基づき大きな負荷を加えた状態でトロイダル型無段変速機4を通過するトルクがB位置となる様に、このトロイダル型無段変速機4の変速比が調節(補正)される。
この様に本実施例の場合は、シフトレバーが非走行状態であるP、Nレンジに位置する状態で、トロイダル型無段変速機4の変速比が、上記第二のアクチュエータ47の作動に基づき、前進位置に応じた駆動力を出力軸14から発生させられる値に補正される(GN値から所定量完全に補正し切る)。この為、上記シフトレバーが操作頻度の高い前進位置に操作される際に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正しなくて済む(前進位置に応じた値に補正されたままで良い)。言い換えれば、そのまま低速用クラッチ15を接続するだけで、上記出力軸14から瞬時に確実に前進方向の必要な駆動力を出力できる。この為、操作頻度の高い前進方向に操作される際に、上記変速比を変化させる為の動作が必要なくなり、変速比を補正する際の動作の安定性向上を図れる。
又、上述の様にトロイダル型無段変速機4の変速比を前進位置に応じた値に補正しておけば、この状態で変速比制御弁21のスリーブ28を変位させるステッピングモータ29等が故障した場合でも、シフトレバーの操作に基づき低速用クラッチ15を接続させる事で、車両を路肩等の安全な場所に自走させる事もできる。
一方、上記シフトレバーをP、Nレンジから後退位置に操作された場合は、前記手動油圧切換弁37の切り換えに基づき上記第二のアクチュエータ47の油圧室48bに瞬時に圧油が供給される。この為、上記第二のアクチュエータ47のスプール49の変位に基づき、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が後退位置に応じた値に補正された状態で、上記低速用クラッチ15が接続される(低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる)。従って、上記シフトレバーが後退位置に操作された場合でも、上記出力軸14から確実に後退方向の必要な駆動力を出力できる。
図10は、ブレーキペダルを踏み込んだ状態で、シフトレバーをNレンジ→Dレンジ→Nレンジ→Rレンジ→Nレンジと繰り返し操作した場合の、トロイダル型無段変速機4の変速比(×1000)と、低速用クラッチ15の油圧室内の油圧[KPa]と、入力回転速度[min−1 ]と、アクチュエータ19の1対の油圧室26a、26b同士の差圧[KPa]との関係を示している。この図10中、太線イが上記シフトレバーの操作位置を、細線ロが上記変速比を、一点鎖線ハが低速用クラッチ15の油圧を、破線ニが入力回転速度を、二点鎖線ホが上記差圧を、それぞれ表している。尚、上記入力回転速度は、入力側ディスク6の回転速度であり、駆動源であるエンジン1(図15参照)の回転速度と同等の値である。又、上記差圧は、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)、延いては出力軸14(図15参照)から出力される駆動力(駆動トルク、クリープ力)の大きさに比例する値である。
又、上記シフトレバーがDレンジに位置する場合には、上記トロイダル型無段変速機4の変速比は、第二のアクチュエータ47の駆動に基づき(スプール49が図8の左方に変位する事により)、GN値(1.66)からずれた値に補正される。具体的には、ブレーキペダルが踏み込まれた状態で、上記エンジン1を停止する事なくトルクシフトに基づき上記入力軸3を回転させたまま出力軸14を停止させる状態を実現でき、且つ、上記ブレーキペダルの踏み込みを解除した状態で、前進方向の必要な駆動力を上記出力軸14から得られる値(1.55)に補正される。又、上記シフトレバーが非走行状態であるP、Nレンジに位置する場合も、上記第二のアクチュエータ47の駆動に基づき(スプール49が図8の左方に変位する事により)、上記シフトレバーがDレンジに位置する場合と同様の値(1.55)に補正される。
一方、上記シフトレバーがRレンジに位置する場合には、上記トロイダル型無段変速機4の変速比は、上記第二のアクチュエータ47の駆動に基づき(スプール49が図8の右方に変位する事により)、上記GN値からずれた値に補正される。具体的には、上記ブレーキペダルが踏み込まれた状態で、上記エンジン1を停止する事なくトルクシフトに基づき上記入力軸3を回転させたまま上記出力軸14を停止させる状態を実現でき、且つ、上記ブレーキペダルの踏み込みを解除した状態で、後退方向の必要な駆動力を上記出力軸14から得られる値(1.8)に補正される。
例えば、上記シフトレバーがNレンジに位置する場合は、低速用クラッチ15並びに高速用クラッチ16の接続が断たれる為、上記アクチュエータ19の油圧室26a、26bに差圧は発生しない(トロイダル型無段変速機4を通過するトルクは0を維持する)。又、これと共に、上記変速比は、上記第二のアクチュエータ47の駆動に基づきGN値から補正された値である1.55を維持する。この状態から、上記シフトレバーがDレンジに操作されると、上記低速用クラッチ15の油圧室の油圧が立ち上がり、この低速用クラッチ15が接続される。この状態では、上記出力軸14が上記ブレーキペダルの踏み込みに基づき停止している為、上記変速比がトルクシフトに基づきGN値である1.66に移動(増速)すると共に、このトルクシフトに基づき通過トルクが大きくなり、上記アクチュエータ19の油圧室26a、26bに負の差圧が発生する。この状態で、ブレーキペダルの踏み込みを解除すれば、上記出力軸14から前進方向の必要な駆動力を発生させられる。
又、上述の様なDレンジからNレンジに上記シフトレバーを操作すると、上記低速用クラッチ15の油圧が低下し、この低速用クラッチ15の接続が断たれる。この結果、上記アクチュエータ19の油圧室26a、26bの差圧が0になると共に、上記変速比が上述の様にGN値から補正された値である1.55に戻る。又、この様なNレンジからRレンジに上記シフトレバーを操作すると、上記第二のアクチュエータ47の駆動に基づき上記変速比が後退方向に応じた値である1.8に、瞬時に補正される。但し、この様に変速比が1.8に補正されても、上記出力軸14が上記ブレーキペダルの踏み込みに基づき停止している為、上記低速用クラッチ15の油圧室の油圧の立ち上がり(低速用クラッチ15の接続)と共に、上記変速比がトルクシフトに基づきGN値である1.66に移動(減速)する。又、これと共に、このトルクシフトに基づき通過トルクが大きくなり、上記アクチュエータ19の油圧室26a、26bに正の差圧が発生する。この状態で、ブレーキペダルの踏み込みを解除すれば、上記出力軸14から後退方向の必要な駆動力を発生させられる。
この様な図10から明らかな様に、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク、即ち、上記アクチュエータ19の油圧室26a、26bの差圧に着目すると、上記シフトレバーがDレンジで負の値に、同じくRレンジで正の値に、それぞれ変化する事が分かる。即ち、上記シフトレバーがDレンジに位置する場合とRレンジに位置する場合とで、それぞれ正負が反転する為、上記シフトレバーの操作に応じて前進方向或いは後退方向の駆動力を確実に発生させられる事が分かる。又、本実施例の場合、GN値を1.66とすると共に、シフトレバーがNレンジ及びDレンジに位置する場合に第二のアクチュエータ47の作動に基づき補正された状態での変速比を1.55としているが、このGN値と補正された値との変速比の変化量は、トロイダル型無段変速機4を構成するパワーローラ7(図15参照)の傾転量(揺動量)で3度程度(全変速比幅の5%程度)の変化量に相当する。そして、上記シフトレバーがDレンジに位置する状態で上記変速比を1.55に補正する事により、従来の自動変速装置で出力されるクリープ力と同程度の駆動力を出力できる様にしている。尚、上記変速比をGN値である1.66に近付ける程、上記出力軸14から出力される駆動力が小さくなると共に、同じく遠ざける程、上記出力軸14から出力される駆動力が大きくなる。従って、上記シフトレバーがDレンジに位置する状態(補正された状態)での変速比の値を調節する事により、例えば運転者の好み等に応じて、上記出力軸14から出力される駆動力(クリープ力)を調節する事もできる。この様に駆動力を調節できる機能は、無段変速装置特有のものである。
又、図11は、上述した図10に示した線図と同様に、ブレーキペダルを踏み込んだ状態で、シフトレバーをDレンジ→Rレンジ→Dレンジ→Rレンジと繰り返し操作した場合の関係を示している。この様な図11からも、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク、即ち、アクチュエータ19の油圧室26a、26bの差圧が瞬時に反転する事が分かる。この為、上記シフトレバーの操作に応じて前進方向或いは後退方向の駆動力を確実に発生させられる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例1と同様であるから、重複する説明は省略する。
図12は、請求項1、2、5〜7に対応する、本発明の実施例4を示している。前述した実施例3の場合は、シフトレバーにより操作される手動油圧切換弁37の切り換えに基づき第二のアクチュエータ47(図8参照)を作動させる事により、変速比制御弁21のスリーブ28を変位させ、トロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比を補正する様に構成している。これに対して、本実施例の場合には、前述の図5に示した実施例2と同様に、シフトレバー53に設けた揺動プレート54により、上記変速比制御弁21のスリーブ28を変位させ、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正する様に構成している。
この様な本実施例の場合は、上記揺動プレート54の外周面でRレンジに対応する位置に、凸部56のみを設けており、上記実施例2の様に、D、Lレンジに対応する位置に凹部55(図5参照)を設けてはいない。この様な本実施例の場合には、シフトレバーがP、N、D、Lレンジに位置する状態で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が、前述の実施例3の場合と同様に、無段変速装置の速度比が図9のα位置(ブレーキ等に基づき大きな負荷を加えた状態でトロイダル型無段変速機4を通過するトルクがA位置)となる値(例えば1.55)に、調節(補正)される。一方、上記シフトレバーがRレンジに位置する状態では、上記揺動プレート54の凸部56に連結腕57の球状部58が乗り上げる事により、リンク腕41がステッピングモータ29との係合部を支点として揺動し、上記変速比制御弁21のスリーブ28を図12の右方に変位させる。そして、この様な変位に基づき、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が、前述の実施例3の場合と同様に、無段変速装置の速度比が図9のβ位置(ブレーキ等に基づき大きな負荷を加えた状態でトロイダル型無段変速機4を通過するトルクがB位置)となる値(例えば1.8)に、調節(補正)される。
その他の構成及び作用は、前述した参考例の第3例又は実施例3と同様であるから、重複する説明は省略する。
図13〜14は、総ての請求項に対応する、本発明の実施例5を示している。前述した実施例1〜4及び参考例の第1〜3の場合は、クラッチ装置13(図15参照)を構成する低速用クラッチ15(図1、16等参照)が接続され、この低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、シフトレバーの操作に基づき、トロイダル型無段変速機4(図15参照)の変速比を所定量補正する。より具体的には、上記シフトレバーがD、Lレンジ(実施例3、4の場合はP、N、D、Lレンジ)に操作された場合は、上記変速比を、無段変速装置の速度比が図3又は図9のα位置{ブレーキ等に基づき出力軸14(図15参照)に大きな負荷を加えた状態でトロイダル型無段変速機4を通過するトルクがA位置}となる値(図13のH位置で例えば1.55)に補正する。又、同じくRレンジに操作された場合は、上記変速比を、上記無段変速装置の速度比が図3又は図9のβ位置(ブレーキ等に基づき出力軸14に大きな負荷を加えた状態でトロイダル型無段変速機4を通過するトルクがB位置)となる値(図13のJ位置で例えば2.0)に補正する。一方、本実施例の場合は、この様に変速比をH位置又はJ位置に補正した後、このH位置又はJ位置から更に補正する。
即ち、本実施例の場合は、上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を第一の補正値である上記H位置又はJ位置に補正した後、上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態になったか否かに拘らず(好ましくは動力を伝達できる状態となる以前に)、上記変速比を上記第一の補正値から第二の補正値であるI位置又はK位置に補正する。例えば、上記シフトレバーがD、L(P、N)レンジに操作された場合には、上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を前進方向に対応する第一の補正値(H位置)に補正した後、上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態になったか否かに拘らず、この第一の補正値から同じく前進方向に対応する第二の補正値(I位置)に補正する。一方、上記シフトレバーがRレンジに操作された場合には、上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を後退方向に対応する第一の補正値(J位置)に補正した後、上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態になったか否かに拘らず、この第一の補正値から同じく後退方向に対応する第二の補正値(K位置)に補正する。
本実施例の場合、上記図13の矢印イ、ロに示す様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記第一の補正値であるH位置又はJ位置から、GN値(GNポイント)に近付く方向(トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが小さくなる方向)に補正する。具体的には、上記第一の補正値(H位置又はJ位置)を、車両をシフトレバーの操作位置に対応する方向に発進並びに低速で走行させられる程度の駆動力(駆動トルク)を出力軸14から確実に出力させられる値(進行方向の強めのクリープ力を出力できる値)としている。又、上記第二の補正値(I位置又はK位置)を、上記第一の補正値に補正された状態で出力される駆動力よりも小さい駆動力を上記出力軸14から出力させられる値(強めのクリープ力よりも小さいクリープ力を出力させられる値)としている。尚、この第二の補正値は、後述する様に、出力させるべき駆動力に影響を及ぼす状態量{例えば、内部に存在する潤滑油(トラクションオイル)の温度等}に応じて定まる、最適な駆動力を上記出力軸14から出力させられる値としている。又、上記各第一の補正値(H、J位置)並びに各第二の補正値(I、K位置)、は、入力軸3を一方向に回転させたまま出力軸14に大きな負荷を加えた場合に、トルクシフトに基づき上記入力軸3を一方向に回転させたまま上記出力軸14を停止させられる状態をエンジン1(図15参照)が停止する事なく実現できる値の範囲(図3、9のXの範囲)内で設定する。
又、上述の様に第一の補正値から第二の補正値へ変速比を補正する為に、本実施例の場合は、シフトレバー位置検出センサにより、上記シフトレバーの選択位置を検出自在としている。この様なシフトレバー位置検出センサとしては、例えば前述した参考例の第1例のシフトレバー位置検出センサ52(図4)や、同じく前述した従来構造のポジションスイッチ34(図15)等が使用可能である。何れにしても、上記シフトレバーの選択位置を検出する為のシフトレバー位置検出センサにより、上記シフトレバーが前進位置(D、Lレンジ)又は後退位置(Rレンジ)に操作された事を検出し、この検出信号に応じて上記変速比を第一の補正値(H位置又はJ位置)から第二の補正値(I位置又はK位置)に補正する。本実施例の場合、次述するステッピングモータ29(図1等)や第一の切換弁62(図7)を制御する為の制御器11(図15参照)に、上述の様なシフトレバー位置検出センサの検出信号に応じて上記変速比を上記第一の補正値から上記第二の補正値に補正する機能を持たせている。
例えば、前述した実施例1、3(図1、8)及び参考例の第1例(図4)に示した構造であれば、シフトレバーが操作されると、このシフトレバーの操作に基づき第二のアクチュエータ47が切り換えられ、トロイダル型無段変速機4の変速比が上記第一の補正値に補正される。又、これと共に、上記シフトレバーが操作された事を、上記シフトレバー位置検出センサが検出する。そして、このシフトレバー位置検出センサの検出信号に基づき、上記制御器11によりステッピングモータ29を駆動し、上記変速比を上記第一の補正値から上記第二の補正値に補正する。又、前述した実施例2、4(図5、12)に示した構造であれば、シフトレバー53が操作されると、このシフトレバー53の操作と共に揺動プレート54が揺動し、トロイダル型無段変速機4の変速比が上記第一の補正値に補正される。又、これと共に、上記シフトレバー53が操作された事を、上記シフトレバー位置検出センサが検出する。そして、このシフトレバー位置検出センサの検出信号に基づき、上記制御器11によりステッピングモータ29を駆動し、上記変速比を上記第一の補正値から上記第二の補正値に補正する。
一方、前述した参考例の第2例(図6)並びに第3例(図7)に示した構造の場合は、シフトレバーが操作されると、シフトレバー位置検出センサの検出信号に基づき(制御器11により)、ステッピングモータ29が駆動され(参考例の第2例の場合)、或いは、電動式の第一の切換弁62の切り換え状態が変更され(参考例の第3例の場合)、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が第一の補正値に補正される。そして、この様にトロイダル型無段変速機4の変速比が第一の補正値に補正された後、上記ステッピングモータ29を更に駆動し、或いは、上記第一の切換弁62の切り換え状態を更に変更し、上記変速比を上記第一の補正値から上記第二の補正値に補正する。尚、上記変速比が上記第一の補正値に補正された事は、例えば上記ステッピングモータ29のステップ位置が第一の補正値に対応する位置にまで駆動されたか否かにより、或いは、入力側、出力側各ディスク6、8(図15参照)の回転速度から算出される変速比が第一の補正値となったか否かにより、判定できる。
又、上述の様に制御器11の機能に基づき補正される第二の補正値は、前述した様に、出力させるべき駆動力に影響を及ぼす状態量に応じて定まる、最適な駆動力を前記出力軸14から出力させられる値としている。本実施例の場合、上記状態量を、内部に存在する潤滑油(トラクションオイル)の温度(油温)とし、下記の表1、2に示す様な関係に基づき上記変速比を、上記第一の補正値からその時点での油温に応じた上記第二の補正値に補正する。尚、下記の表1は、上記シフトレバーがDレンジに操作された場合の、上記油温と上記第一の補正値からの変速比の補正量(変速量)並びにこの補正量に対応するステッピングモータ29の駆動量(ステップ数)との関係を示している。又、下記の表2は、上記シフトレバーがRレンジに操作された場合の、同じく油温と変速比の補正量並びに駆動量との関係を示している。そして、この様な相関関係を上記制御器11のメモリ等に例えばマップや式として記憶させておき、この様な相関関係に基づき上記変速比を、上記第一の補正値からその時点の油温に応じた第二の補正値に補正する。
Figure 0004940589
Figure 0004940589
例えば、図13に示す様に、GN値を1.7とし、シフトレバーがD、L(P、N)レンジに操作された場合の、前進方向に対応する第一の補正値を1.55とし、シフトレバーがRレンジに操作された場合の、後退方向に対応する第一の補正値を2.0とした、無段変速装置を例に説明する。尚、この図13中eCVU は、トロイダル型無段変速機4の変速比を意味する。この様な無段変速装置が、例えば油温+25度で運転されている状態を考える。この場合は、上記シフトレバーがD、L(P、N)レンジに操作され、上記変速比が第一の補正値(1.55)に補正されると、上記表1の相関関係に基づき、上記ステッピングモータ29が16ステップ分駆動し、上記第一の補正値(1.55)から第二の補正値である1.614に補正される。一方、上記シフトレバーがRレンジに操作され、上記変速比が第一の補正値(2.0)に補正されると、上記表2の相関関係に基づき、上記ステッピングモータ29が46ステップ分駆動し、上記第一の補正値(2.0)から第二の補正値である1.816に補正される。
又、本実施例の場合、上述の様に変速比を第二の補正値に補正した後、図13の矢印ハ、ニに示す範囲で、更にこの変速比を調整(補正)する。即ち、上述の様に変速比が第二の補正値に補正された後、前記出力軸14から出力される実際の駆動力(駆動トルク、クリープ力)を求めつつ、この求めた実際の駆動力に応じて、トロイダル型無段変速機4の変速比を更に補正する。より具体的には、上記実際の駆動力を、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクに比例する値である、アクチュエータ19を構成する1対の油圧室26a、26b(図1等参照)同士の差圧に基づいて求め、この差圧に応じて上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正する。尚、この様にアクチュエータ19の油圧室26a、26b同士の差圧に応じて行なう変速比の補正は、前記低速用クラッチ15が接続され(低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となり)、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク、延いては上記出力軸14から出力される駆動力が上記油圧室26a、26b同士の差圧として検出できる状態となった事が条件となる。
この様な差圧に基づいて行なう変速比の補正は、次の様に行なう。即ち、基準となる駆動力に対応する差圧、言い換えれば、出力すべき最適な駆動力に対応する差圧を予め求めておき、前記制御器11のメモリに記憶させておく。そして、このメモリに記憶した最適な駆動力に対応する差圧と実際の差圧とを比較しつつ、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を(例えばステッピングモータ29を1ステップずつ駆動する事により)補正する。例えば、上記実際の差圧がその時点の最適な駆動力に対応する差圧よりも大きければ、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)、延いては上記出力軸14から出力される駆動力(クリープ力)が最適な値よりも大きいと判定できる。この場合には、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記差圧(通過トルク、駆動力)が小さくなる方向に補正する。これとは逆に、上記差圧がその時点の最適な駆動力に対応する差圧よりも小さければ、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記差圧(通過トルク、駆動力)が大きくなる方向に補正する。尚、上記差圧がその時点の最適な駆動力に対応する差圧と一致する場合には、上記変速比をそのままの値に維持する。そして、この様に実際の駆動力に対応する差圧に基づき変速比を常に補正する(この補正作業を繰り返す)事で、上記出力軸14から最適な駆動力を出力できる状態を維持する。
前述の様に第一の補正値から第二の補正値に変速比を補正すると共に、上述の様に実際の駆動力に対応する差圧に基づき更にこの変速比を補正(調整)する際の、前記制御器11が備える機能に就いて、図14のフローチャートを参照しつつ説明する。尚、このフローチャートに示した作業は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間で、且つ、車両が停止乃至極く低速走行(例えば10Km/h未満、より好ましくは5Km/h未満で走行)している間、繰り返し(自動的に)行なわれる。又、このフローチャートは、前述の参考例の第2例(図6)の構造に対応する。
先ず、上記制御器11は、ステップ1で、シフトレバー位置検出センサの検出信号に基づき、シフトレバーの選択位置が非走行状態、即ち、P、Nレンジか否かを判定する。このステップ1で、シフトレバーがP、Nレンジに位置すると判定された場合には、ステップ2に示す様に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、ステッピングモータ29の駆動に基づき、前進方向に対応する第一の補正値(H位置)に補正する。尚、前述した様に、シフトレバーがP、Nレンジの場合に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を(H位置ではなく)GN値に調節する事もできる。但し、上述の様にシフトレバーが前進位置(D、Lレンジ)に操作される前の非走行状態(P、Nレンジ)に位置する状態で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を前進方向に対応する第一の補正値(H位置)に補正しておけば、上記シフトレバーを前進位置に操作した場合にそのままクラッチを接続するだけで、前進方向の必要な駆動力(強めのクリープ力)を確実且つ瞬時に出力させられる。しかも、上記シフトレバーが非走行状態から操作頻度の高い前進位置に操作される際に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を第一の補正値に補正する必要がない(非走行状態で補正された第一の補正値のままにしておけば良く、この第一の補正値から即第二の補正値に補正できる)為、変速比を補正する際の変速動作の安定性向上も図れる。この為、本実施例の場合は、上述の様にステップ2で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比をH位置に補正する。
一方、上記ステップ1で、上記シフトレバーがP、Nレンジに位置していないと判定された場合には、続くステップ3で、このシフトレバーが直前に操作されたか否かを判定する。この判定も、上記シフトレバー位置検出センサの検出信号に基づいて行なう。このステップ3で、上記シフトレバーが直前に操作されたと判定された場合には、続くステップ4に示す様に、上記シフトレバー位置検出センサの検出信号に基づき、上記シフトレバーの選択位置が前進位置、即ち、D、Lレンジか否かを判定する。このステップ4で、シフトレバーがD、Lレンジに位置すると判定された場合には、ステップ5に示す様に、最適クリープ力制御を行なう。即ち、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、前述のステップ2で補正された前進方向に対応する第一の補正値(H位置)から、前記表1の相関関係に応じて前記ステッピングモータ29を駆動させ、前進方向に対応する第二の補正値(I位置)に補正する。尚、前述のステップ2で、シフトレバーがP、Nレンジの場合にトロイダル型無段変速機の変速比を(H位置ではなく)GN値に調節する場合には、上記ステップ5に進む前に、上記変速比をGN値から前進方向に対応する上記第一の補正値(H位置)に補正する。そして、この様に第一の補正値に補正した後、上記ステップ5の最適クリープ力制御(第二の補正値に補正)を行なう。
一方、上記ステップ4で、シフトレバーがD、Lレンジに位置していない、即ち、このシフトレバーがRレンジに位置すると判定された場合には、ステップ6に示す様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記ステッピングモータ29の駆動に基づき、後退方向に対応する第一の補正値(J位置)に補正する。次いで、ステップ7に示す様に、最適クリープ力制御を行なう。即ち、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記ステップ6で補正された後退方向に対応する第一の補正値(J位置)から、前記表2の相関関係に応じて上記ステッピングモータ29を駆動させ、後退方向に対応する第二の補正値(K位置)に補正する。尚、上記変速比が第一の補正値(H位置又はJ位置)に補正された事は、例えば上記ステッピングモータ29のステップ位置が第一の補正値に対応する位置にまで駆動されたか否かにより、或いは、入力側、出力側各ディスク6、8の回転速度から算出される変速比が第一の補正値となったか否かにより、判定できる。
上述の様にステップ5並びにステップ7で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が進行方向に対応する第二の補正値(I位置又はK位置)に補正されたならば、続くステップ8に示す様に、クリープ力補正制御を行なう。尚、前記ステップ3で、上記シフトレバーが直前に操作されていないと判定された場合、即ち、このシフトレバーが既に操作された事により、上述の様にトロイダル型無段変速機4の変速比が既に進行方向に対応する第二の補正値に補正されていると判定される場合も、上記ステップ8に進む。そして、このステップ8で、前記アクチュエータ19を構成する1対の油圧室26a、26b同士の差圧に応じて、前記出力軸14から出力される実際の駆動力(クリープ力)がその時点での最適な値となる様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正する。
具体的には、前記制御器11のメモリに予め記憶させた、出力すべき最適な駆動力に対応する差圧Y(基準差圧Y)と実際の差圧X(現差圧X)とを比較しつつ、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正する。即ち、続くステップ9に示す様に、上記実際の差圧Xが、その時点の最適な駆動力に対応する差圧Yよりも大きいか否かを判定する。本実施例の場合は、上記差圧Yに、チューニング等により決定されるヒステリシスaを加えた値(Y+a)と比較する。即ち、上記ステップ9では、上記実際の差圧Xが、上記差圧Yにヒステリシスaを加えた値(Y+a)よりも大きい{X>(Y+a)}か否かを判定する。尚、上記ヒステリシスaは、予め実験等により求めた最適値に設定しておく。そして、このステップ9で、上記実際の差圧Xが上記値(Y+a)よりも大きいと判定した場合には、続くステップ10に示す様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、前記出力軸14から出力される駆動力が小さくなる方向(弱める方向)に補正(ステッピングモータ29を1ステップ駆動)する。
一方、上記ステップ9で、上記実際の差圧Xが上記値(Y+a)以下と判定した場合には、ステップ11に示す様に、実際の差圧Xが、その時点の最適な駆動力に対応する差圧Yよりも小さいか否かを判定する。本実施例の場合は、上記差圧Yに、チューニング等により決定されるヒステリシスb(<a)を加えた値(Y+b)と比較する。即ち、上記ステップ11では、上記実際の差圧Xが、上記差圧Yにヒステリシスbを加えた値(Y+b)よりも小さい{X<(Y+b)}か否かを判定する。尚、上記ヒステリシスbも、上記ヒステリシスaと同様に、予め実験等により求めた最適値に設定しておく。そして、このステップ11で、上記実際の差圧Xが上記値(Y+b)よりも小さいと判定した場合には、続くステップ12に示す様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、前記出力軸14から出力される駆動力が大きくなる方向(強める方向)に補正(ステッピングモータ29を1ステップ駆動)する。
一方、上記ステップ11で、上記実際の差圧Xが上記値(Y+b)以上、即ち、この実際の差圧Xが上記最適な駆動力に対応する差圧Yとほぼ一致する{(Y+b)≦X≦(Y+a)}と判定した場合には、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正する事なく終了する。そして、この様なフローチャートに示す作業を繰り返し行なう事により、上記出力軸14から最適な駆動力を出力できる状態を維持する。尚、この様に差圧に応じて行なう補正は、低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となり、トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが前記アクチュエータ19を構成する油圧室26a、26bの差圧として検出できる状態となった事が条件となる事は、前述した通りである。
尚、上記フローチャートは、参考例の第2例の構造に対応するが、他の参考例乃至実施例の場合に就いても同様に行なえる。即ち、参考例の第1例及び実施例1〜4の場合は、第二のアクチュエータ47の切り換え或いは揺動プレート54の揺動に基づき、トロイダル型無段変速機4の変速比が第一の補正値に補正される以外は、上述したフローチャットに沿って、第二の補正値への補正(図14の最適クリープ制御)並びに差圧に基づく補正(図14のクリープ力補正制御)を行なえる。又、参考例の第3例の場合も、ステッピングモータ29が第一の切換弁62に変わる以外は、上述したフローチャートに沿ってそれぞれの補正を行なえる。
上述の様に構成する本実施例によれば、低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態となる以前に、トロイダル型無段変速機4の変速比を第一の補正値(H位置又はJ位置)に補正する事で、車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を防止できる。又、これと共に、この様に第一の補正値に補正された状態から更に第二の補正値(I位置又はK位置)に補正する事で、出力軸14から出力される駆動力をその時点での(油温等の状態量に応じた)より最適な値に調節する事ができる。更に、この第二の補正値から、実際に出力軸14から出力される駆動力(アクチュエータ19を構成する1対の油圧室26a、26b同士の差圧)に応じて更に変速比を補正する事で、最適な駆動力をより微細に、且つ、正確に出力させられる。又、上記変速比が上記第二の補正値に補正される以前に上記低速用クラッチ15が動力を伝達できる状態になったとしても、この変速比は少なくとも強めのクリープ力を出力できる上記第一の補正値乃至この第一の補正値と第二の補正値との間の値に補正されている為、上記車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を確実に防止できる。
尚、本実施例の場合は、実際に出力軸14から出力される駆動力(に対応する差圧)を求めつつ行なう変速比の補正を、この変速比が第二の補正値(I位置又はK位置)に補正された後に行なっている。但し、この様に第二の補正値に補正された後ではなく、第一の補正値(H位置又はJ位置)に補正された後に行なう事もできる。即ち、上記変速比が第一の補正値に補正された後、第二の補正値に補正する作業を行なう事なく、上記駆動力(に対応する差圧)を求めつつ変速比を補正する事もできる。勿論、前述の実施例1〜4及び参考例の第1〜3例の様に、所定量補正する(第二の補正値に補正せずに第一の補正値に補正する)だけの場合も、この様に所定量補正した(第一の補正値に補正した)後、上述の様に駆動力(に対応する差圧)を求めつつ変速比を補正する事ができる
又、本実施例を含めた総ての参考例及び実施例で、シフトレバーが後退位置(Rレンジ)とこの後退位置以外(P、N、D、Lレンジ)の何れかの選択位置とのうちの一方の選択位置から他方の選択位置に操作した場合に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、GN値を含む範囲で(GN値を跨ぐ様に)補正している。この為、シフトレバーが(互いに進行方向が逆である)前進位置と後退位置との何れの選択位置に操作される場合でも、トロイダル型無段変速機4の変速比を、その選択位置の進行方向に応じた駆動力を出力できる値に補正できる。この為、車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を確実に防止できる。又、本実施例の場合には、前述の様に、シフトレバーが後退位置に操作された場合に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、前進位置に対応する第一の補正値(H位置)に対しGN値を挟んで反対側の値、即ち、後退位置に対応する第一の補正値(J位置)に補正する。この為、シフトレバーが後退位置に操作された場合にも、車両が運転者の意図する方向と逆方向に進む事を確実に防止できる。
本発明は、無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機の種類が、ダブルキャビティ型であるかシングルキャビティ型であるかを問わず、更にはハーフトロイダル型であるかフルトロイダル型であるかを問わず、実施できる。
本発明の実施例1を示す油圧回路図。 トロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の制御ユニット部分を取り出して示す図で、(A)はシフトレバーが前進位置に操作された状態を、(B)は同じく後退位置に操作された状態を、それぞれ示している。 トロイダル型無段変速機の変速比の補正量を説明する為の図。 本発明に関する参考例の第1例を示す、制御ユニット部分を取り出して示す図。 本発明の実施例2を示す、図1と同様の油圧回路図。 本発明に関する参考例の第2例を示す、図1と同様の油圧回路図。 第3例を示す、図1と同様の油圧回路図。 本発明の実施例3を示す、図1と同様の油圧回路図。 トロイダル型無段変速機の変速比の補正量を説明する為の図。 ブレーキペダルを踏み込んだ状態でシフトレバーを操作した際の各部の状態を説明する為の線図。 シフトレバーの操作の順番を変えて示す、図10と同様の図。 本発明の実施例4を示す、図1と同様の油圧回路図。 実施例5を示す、特徴となる変速比の補正を説明する為の線図。 特徴となる動作を示すフローチャート。 従来の無段変速装置を示すブロック図。 無段変速装置に組み込む油圧回路図。
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 押圧装置
6 入力側ディスク
7 パワーローラ
8 出力側ディスク
9 入力側回転センサ
10 出力側回転センサ
11 制御器
12 遊星歯車式変速機
13 クラッチ装置
14 出力軸
15 低速用クラッチ
16 高速用クラッチ
17 出力軸回転センサ
18、18a、18b オイルポンプ
19 アクチュエータ
20 制御弁装置
21 変速比制御弁
22 差圧シリンダ
23a、23b 補正用制御弁
24 高速用切換弁
25 低速用切換弁
26a、26b 油圧室
27、27a、27b 油圧センサ
28 スリーブ
29 ステッピングモータ
30 ライン圧制御用電磁開閉弁
31 電磁弁
32 シフト用電磁弁
33 油温センサ
34 ポジションスイッチ
35 アクセルセンサ
36 ブレーキスイッチ
37 手動油圧切換弁
38 エンジンコントローラ
39 油溜
40a、40b 調圧弁
41 リンク腕
42 ロッド
43 スプール
44 リンク腕
45 プリセスカム
46 ロッド
47 第二のアクチュエータ
48a、48b 油圧室
49 スプール
50a、50b ばね
51 電磁弁
52 シフトレバー位置検出センサ
53 シフトレバー
54 揺動プレート
55 凹部
56 凸部
57 連結腕
58 球状部
59 弾性部材
60 低速クラッチ用電磁切換弁
61 高速クラッチ用電磁切換弁
62 第一の切換弁

Claims (13)

  1. 相対回転を自在として互いに同心に支持された、少なくとも1対のディスクと、これら両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材とを備え、これら各支持部材を油圧式のアクチュエータにより変位させる事で、上記1対のディスク同士の間の変速比を変化させるトロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットとを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせ、このうちのトロイダル型無段変速機の変速比を制御ユニットにより調節して上記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在とした無段変速装置に於いて、上記制御ユニットは、上記アクチュエータへの圧油の給排状態を切り換える変速比制御弁と、この変速比制御弁の切り換え状態を変更する為の第一の駆動部材と、シフトレバーの操作に応じて上記変速比制御弁の切り換え状態を変更する為の、この第一の駆動部材とは別に設けられた第二の駆動部材とを備えており、この第二の駆動部材は、上記シフトレバーを操作する力に基づいて、油圧式又は機械式に変位する部材であり、この第二の駆動部材が上記第一の駆動部材とは別に作動して上記変速比制御弁の切り換え状態を変更する事により、上記トロイダル型無段変速機の変速比を補正して、上記シフトレバーが非走行状態から走行状態に操作される際、このシフトレバーの操作に基づき上記クラッチ装置が接続され、このクラッチ装置が動力を伝達できる状態となる以前に、上記トロイダル型無段変速機の変速比を所定量補正する事を特徴とする無段変速装置。
  2. 補正される変速比の所定量が、出力軸に負荷を加えない状態で入力軸を一方向に回転させたままこの出力軸を停止させられる状態を実現できるGN値から、上記入力軸を一方向に回転させたまま上記出力軸に大きな負荷を加えた場合に、トロイダル型無段変速機のトルクシフトに基づいて上記入力軸を一方向に回転させたまま上記出力軸を停止させられる状態を駆動源を停止する事なく実現できる値の範囲内で、シフトレバーの操作位置に応じた駆動力を上記出力軸から出力できる値に、上記変速比を変化させる量に相当する量である、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. クラッチ装置が電動式の第二の切換弁の切り換えに基づき断接状態が切り換わるものであり、トロイダル型無段変速機の変速比が補正され切った状態で、上記第二の切換弁の切り換えに基づき上記クラッチ装置の接続を行なう、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  4. 第二の駆動部材が油圧式の第二のアクチュエータであリ、この第二のアクチュエータへの圧油の給排を、シフトレバーの操作に基づき切り換え状態が変化する第三の切換弁により油圧式に行なう、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  5. 第二の駆動部材が、シフトレバーを操作する力に基づいて変位する部材であり、この部材の変位に基づき、変速比制御弁の切り換え状態を機械式に変更し、トロイダル型無段変速機の変速比を補正する、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  6. 変速比制御弁と第一の駆動部材と第二の駆動部材とが、リンク腕を介して繋がっている、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  7. シフトレバーが後退位置とこの後退位置以外の何れかの選択位置とのうちの一方の選択位置から他方の選択位置に操作された場合に、トロイダル型無段変速機の変速比がGN値を含む範囲で補正される、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  8. クラッチ装置が動力を伝達できる状態となる以前に、トロイダル型無段変速機の変速比を所定量補正して第一の補正値に補正した後、上記クラッチ装置が動力を伝達できる状態になったか否かに拘らず、上記変速比を上記第一の補正値から第二の補正値に補正する、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  9. 第一の補正値が、車両をシフトレバーの操作位置に対応する方向に発進並びに低速で走行させられる程度の駆動力を出力軸から確実に出力させられる値であり、第二の補正値が、この第一の補正値に補正された状態で出力される駆動力よりも小さい駆動力を出力させられる値である、請求項8に記載した無段変速装置。
  10. 第二の補正値を、出力させるべき駆動力に影響を及ぼす状態量に応じて定まる、最適な駆動力を出力軸から出力させられる値とした、請求項8〜9のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  11. 状態量が、内部に存在する潤滑油の温度である、請求項10に記載した無段変速装置。
  12. 所定量補正した後、出力軸から出力される実際の駆動力を求めつつ、この実際の駆動力に応じて、トロイダル型無段変速機の変速比を更に補正する、請求項1〜10のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  13. 実際の駆動力を、トロイダル型無段変速機を通過するトルクに比例する値である、アクチュエータを構成する1対の油圧室同士の差圧に基づいて求め、この差圧に応じて上記トロイダル型無段変速機の変速比を補正する、請求項12に記載した無段変速装置。
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