JP5105773B2 - 車両用無段変速装置の変速制御装置 - Google Patents

車両用無段変速装置の変速制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5105773B2
JP5105773B2 JP2006139659A JP2006139659A JP5105773B2 JP 5105773 B2 JP5105773 B2 JP 5105773B2 JP 2006139659 A JP2006139659 A JP 2006139659A JP 2006139659 A JP2006139659 A JP 2006139659A JP 5105773 B2 JP5105773 B2 JP 5105773B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
continuously variable
variable transmission
vehicle
speed
shift lever
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006139659A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007309435A5 (ja
JP2007309435A (ja
Inventor
巧 篠島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2006139659A priority Critical patent/JP5105773B2/ja
Priority to DE102007023254.5A priority patent/DE102007023254B4/de
Priority to US11/751,430 priority patent/US7618341B2/en
Publication of JP2007309435A publication Critical patent/JP2007309435A/ja
Publication of JP2007309435A5 publication Critical patent/JP2007309435A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5105773B2 publication Critical patent/JP5105773B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/66Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings
    • F16H61/664Friction gearings
    • F16H61/6648Friction gearings controlling of shifting being influenced by a signal derived from the engine and the main coupling
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/18Preventing unintentional or unsafe shift, e.g. preventing manual shift from highest gear to reverse gear
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/66Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings
    • F16H2061/6604Special control features generally applicable to continuously variable gearings
    • F16H2061/6608Control of clutches, or brakes for forward-reverse shift
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H2312/00Driving activities
    • F16H2312/16Coming to a halt

Description

この発明は、車両(主として自動車)用自動変速機として使用されている無段変速装置の変速比を制御する制御装置の改良に関する。具体的には、運転者(ドライバー)の誤操作、或いは、故意(意識して)の操作に拘らず、車両の走行中にシフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、この車両の挙動の急変化(例えば急減速、タイヤロック、エンスト等)、並びに、この車両や変速装置の損傷(例えばプロペラシャフトの折損、変速装置内部の破損、クラッチバースト等)を防止し、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止、更に必要に応じて上記シフトレバーが操作された位置に応じた走行を可能にするものである。そして、この様な変速制御を実現する事で、フールプルーフ性並びにフエールセーフ性の確保を図るものである。
車両用の自動変速機(AT:Automatic Transmission)として、歯車式で有段(例えば前進4〜6段、後進1、2段等)の変速機構を有する(走行中の変速比を無段階に調整できない)有段変速装置が、従来から広く使用されている。この様な有段変速装置としては、トルクコンバータと遊星歯車機構とにより構成するもの(一般的なAT)や、制御器により制御される油圧式或いは電動式のアクチュエータにより、有段式の(手動)変速機の変速操作(シフトダウン、シフトアップ)とクラッチの断接操作とを自動的行なうもの(AMT:Automated Manual Transmission )が、例えば非特許文献1、2等に記載され、従来から知られている。又、ベルト式無段変速機、トロイダル型無段変速機等の、変速比を無段階に調節できる無段変速機により構成した無段変速装置(CVT:Continuously Variable Transmission)に就いても、近年使用する場合が増えている。例えば特許文献1〜3には、トロイダル型無段変速機と歯車式の差動機構(遊星歯車式変速機)とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせた無段変速装置が記載されている。この様な無段変速装置や上述の様な有段変速装置を組み込んだ車両では、アクセルペダルの操作(アクセル開度)や車両の走行速度(車速)から得られるその時の走行状態に応じて、最適な変速段や変速比(目標変速段、目標変速比)に調節する為の変速制御を行なうと共に、トルクコンバータのロックアップクラッチ制御や必要なクラッチの断接制御を行なっている。
ところで、上述の様な自動変速機を組み込んだ車両の運転時、運転者の誤操作或いは故意(意識して)の操作により、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作される場合がある。具体的には、シフトレバーの選択位置が前進位置(例えばD、Lレンジ)で、車両が前進している状態で、このシフトレバーが後退位置(例えばRレンジ)に操作される場合がある。又、これとは逆に、シフトレバーの選択位置が後退位置で、車両が後退している状態で、このシフトレバーが前進位置に操作される場合がある。この様な場合に、そのままこのシフトレバーが操作された位置(操作位置)に対応する変速段や変速比に調節すると共に、この操作位置に対応するクラッチを接続すると、車両の挙動が急激に変化(例えば急減速、タイヤロック、エンスト等)したり、著しい場合には、この車両や変速装置が損傷(例えばプロペラシャフトの折損、変速装置内部の破損、クラッチバースト等)する可能性がある。
この様な不都合のうち、例えば運転者の誤操作によるものを防止する為に、シフトレバーをD、LレンジからNレンジを通過してRレンジに操作する場合に、或いは、これとは逆にRレンジからNレンジを通過してD、Lレンジに操作する場合に、直線的に(1の動作で、ワンアクションで)操作できない様にしている。即ち、カギ型(クランク型)のシフトパターン(シフトレバーの操作経路)を採用したり、機械的スイッチを別に設け、このスイッチの操作と同時でなければシフトレバーを操作できない様にして、運転者の誤操作の防止を図っている。但し、車両を車庫入れする様な場合に、この車両が完全に停止していない状態で、例えば「前進走行中にDレンジ→Nレンジ→Rレンジ」や「後退走行中にRレンジ→Nレンジ→Dレンジ」に操作する事が考えられる。この様な場合、低速走行中(例えば5〜10km/h以下で走行中)であれば、上述した様な急激な車両の挙動変化や車両破損を生じにくいと考えられる。この為、この様な低速走行中の場合には、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作されても、その操作された位置(操作位置)に対応する変速を許可すると共に、その操作位置に対応するクラッチを接続する様にしている。しかしながら、路面状況(例えば凍結路や坂道等)によっては、程度の差はあるが、上述した様な急激な車両の挙動変化や車両破損を生じる可能性がある。
一方、中・高速走行中(例えば10km/h以上で走行中)の場合は、上述の様な急激な車両の挙動変化や車両破損を防止する為に、シフトレバーがNレンジからその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作されても、例えば予め設定した車速以上で走行している場合には、その選択された位置に対応する変速を禁止したり、変速は行っても、所定の車速以下になるまでクラッチを接続しない等の対策を施している。但し、運転者が、何らかの危険を回避する事を目的に、車両の破損等を無視してでも、この車両を減速、停止させるべく、故意に走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーを操作する事も考えられる。例えば、下り坂を走行中に、ブレーキを多用し過ぎた結果、ブレーキパッドとブレーキディスクとが加熱して、ブレーキの効きが悪くなる(摩擦力が低下する)所謂フェード現象や、ブレーキパッドとブレーキディスクとの著しい発熱に伴ないブレーキ液内に気泡が発生し、ブレーキが効かなくなる所謂ベーパーロック現象が発生した様な状況下で、故意に(意図的に、意識して)シフトレバーをその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作する可能性がある。この様な場合に、上述の様に変速が禁止されたままだったり、クラッチが接続されないままだと、車両を減速、停止させる事ができず、好ましくない。
この様な不都合を防止すべく、例えばクラッチの断接制御(クラッチ圧制御)を行なえる自動変速装置(例えばAMT)であれば、その時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーが操作された場合に、その操作された位置に対応する変速段や変速比に調節すると共に、上記クラッチを半クラッチ制御する事により、徐々に車両を減速させ、最終的にはこのクラッチを完全に締結して、その操作された位置に応じた走行(動力の伝達)を行なう事が考えられる。但し、この様な場合には、クラッチや変速機で、例えば前進走行中であれば前進方向に対応する方向に回転する部材と、同じく後退方向に対応する方向に回転する部材とを、互いに接続する必要がある。この為、このクラッチを構成する締結部材同士が著しく摩耗したり、変速機のシンクロメッシュ機構への過負荷に基づき焼き付を生じる可能性がある。何れにしても、従来の自動変速装置、特に有段変速装置の場合には、上述の様なシフトレバーをその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、変速機やクラッチ等に大きな負担を与える事なく、安全に且つ迅速に、その選択された位置に応じた走行に移行する事は困難であると考えられる。
特開2004−245326号公報 特開2004−225888号公報 特開2005−291486号公報 特開2005−315672号公報 青山元男著、「別冊ベストカー 赤バッジシリーズ245/クルマの最新メカがわかる本」、株式会社三推社/株式会社講談社、平成13年12月20日、p.94−95 アイシン精機−製品・事業"ドライブトレイン関連"、[online]、アイシン精機株式会社、[平成18年3月30日検索]、インターネット<URL:http://www.aisin.co.jp/product/auto/drive/index.html>
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、運転者(ドライバー)の誤操作、或いは、故意(意識して)の操作に拘らず、走行中にシフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、車両の挙動の急変化(例えば急減速、タイヤロック、エンスト等)、並びに、この車両や変速装置の損傷(例えばプロペラシャフトの折損、変速装置内部の破損、クラッチバースト等)を防止しつつ、安全且つ迅速に、減速、停止、更に必要に応じてその操作された位置に応じた走行を行なえる車両用無段変速装置の変速制御装置を実現すべく発明したものである。
本発明の車両用無段変速装置の変速制御装置は、無段変速装置と、この無段変速装置の速度比を調節する為の制御器とを備える。
このうちの無段変速装置は、トロイダル型無段変速機と、歯車式の差動機構とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせ、このうちのトロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づいて、上記差動機構を構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在としたものである。
又、上記制御器は、少なくとも車両の走行速度とアクセル開度とから得られる、その時点の車両の走行状態に基づいて、上記無段変速装置の目標速度比(その時点の走行状態に応じた最適な速度比)を求め、この無段変速装置の速度比をこの目標速度比に調節する機能を有する。
又、この機能の他、上記車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで、予め設定した条件に沿って、車両の走行安定性を損なわない範囲で、連続的に、且つ可及的速やかに変化させる機能を有する。具体的には、上記シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記機能に基づいて、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値に調節する(一旦その時点の走行状態に応じた値に維持する)。そして、この状態で、上記クラッチ装置を接続すると共に、上記目標速度比を0に設定し、所定の変速速度(予め設定した、或いは、その時の走行状態に応じて設定した変速速度)で、この目標速度比(0)にまで、徐々に調節する。
又、上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、上記制御器は、無段変速装置の速度比を、停止状態を実現できる0まで変化させた後、上記シフトレバーの当該操作位置に応じた値に調節する(当該操作位置に対応する変速制御を行なう)機能を有するものとする。
例えば、請求項3に記載した様に、上記シフトレバーが前進位置(D、Lレンジ)に操作された状態で、車両が前進走行中に、このシフトレバーが後退位置(Rレンジ)に操作された場合に、上記無段変速装置の速度比を、その時点の前進走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化させ、次いで、上記後退位置に応じた値に調節する{後退方向の(発進)変速制御を行なう}。
又、請求項4に記載した様に、上記シフトレバーが後退位置に操作された状態で、車両が後退走行中に、このシフトレバーが前進位置に操作された場合に、無段変速装置の速度比を、その時点の後退走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化させ、次いで、上記前進位置に応じた値に調節する{前進方向の(発進)変速制御を行なう}。
又、上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した様に、上記クラッチ装置を、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとを備えたものとする。
又、請求項6に記載した様に、上記トロイダル型無段変速機を、相対回転を自在として互いに同心に支持された、少なくとも1対のディスクと、これら両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材(例えばトラニオン)とを備えたもとのする。そして、これら各支持部材を油圧式のアクチュエータにより変位させる事で、上記両ディスク同士の間の変速度比を変化させる。
上述の様に構成する本発明の車両用無段変速装置の変速制御装置によれば、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作されても、この車両の挙動の急変化(例えば急減速、タイヤロック、エンスト等)、並びに、この車両や変速装置の損傷(例えばプロペラシャフトの折損、変速装置内部の破損、クラッチバースト等)を防止して、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止させられる。
即ち、本発明の変速比制御装置により制御される無段変速装置は、所定のクラッチ装置を接続した状態で、トロイダル型無段変速機の変速比を調節する事により、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸を停止させられる。又、上記所定のクラッチ装置を接続した状態のまま(例えば前進走行用クラッチと後退走行用クラッチとの断接状態を切り換える事なく)、上記トロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づいて、上記無段変速装置の出力軸を、停止状態から正転、逆転の何れの方向にも回転させられる(車両の前進、後退に対応する方向の何れにも回転させられる)。
この為、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記トロイダル型無段変速機の変速比を、その時点の走行状態に応じた値から、ギヤードニュートラルポイント(GN値:駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転を停止させられる値)に調節する事により、エンジンブレーキ力に基づいて車両を、減速、停止させられる。この場合に、上記トロイダル型無段変速機の変速比を、上述の様な車両の挙動の急変化や損傷を生じない程度で、連続的に、且つ、可及的速やかに調節するので、例えば運転者の誤操作に基づく上述の様な急変化や損傷を防止できる。又、これだけでなく、ブレーキ装置の制動力を得られない状態で運転者が意識してシフトレバーを操作した場合に、上記エンジンブレーキ力に基づいて車両を、安全且つ迅速に、減速、停止させられる。又、必要に応じて、停止状態から、上記トロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づいて、上記無段変速装置の速度比を、上記シフトレバーが操作された位置に応じた値に調節する様にすれば、上記車両の停止後にこの車両を、当該操作位置に応じた方向に走行させる事もできる。この様な走行を可能とすれば、例えば車庫入れ時等、運転者が意図してその時点の走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーを操作した場合に、上述の様な車両の挙動の急変化や損傷を生じる事なく、上記運転者の意図する走行を行なえる。
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、本発明の実施の形態の第1例を示している。このうちの図1は、前述の特許文献1に記載されている様に、トロイダル型無段変速機4と歯車式の差動機構(遊星歯車式変速機5)とを組み合わせる事により、入力軸3を回転させた状態のまま出力軸9を停止させられる、所謂無限大の変速比(ギヤードニュートラル状態、速度比0の状態)を実現できる無段変速装置のブロック図を、図2は、同じくこの無段変速装置を制御する油圧回路を、それぞれ示している。本例の場合は、この様な無段変速装置の速度比を、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、予め設定した条件に沿って変化させる様に構成している。
エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、直接又はトロイダル型無段変速機4を介して、歯車式の差動機構である遊星歯車式変速機5に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機5の構成部材の差動成分が、クラッチ装置6、即ち、図2の低速用、高速用各クラッチ7、8を介して、出力軸9に取り出される。又、上記トロイダル型無段変速機4は、入力側、出力側各ディスク10、11と、複数個のパワーローラ12と、それぞれが支持部材である複数個のトラニオン(図示省略)と、アクチュエータ13(図2)と、押圧装置14と、変速比制御ユニット15とを備える。このうちの入力側、出力側各ディスク10、11は、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。
又、上記各パワーローラ12は、互いに対向する上記入力側、出力側各ディスク10、11の内側面同士の間に挟持されて、これら入力側、出力側各ディスク10、11同士の間で動力(トルク)を伝達する。又、上記各トラニオンは、上記各パワーローラ12を回転自在に支持している。又、上記アクチュエータ13は、油圧式のもので、上記各パワーローラ12を支持した上記各トラニオンを、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を変える。又、上記押圧装置14は、油圧式のもので、上記入力側ディスク10と上記出力側ディスク11とを互いに近付く方向に押圧する。又、上記変速比制御ユニット15は、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を所望値にする為に、上記アクチュエータ13の変位方向及び変位量を制御する。
本例の場合、上記変速比制御ユニット15は、制御器16と、この制御器16からの制御信号に基づいて切り換えられる、ステッピングモータ17と、ライン圧制御用電磁開閉弁18と、電磁弁19と、シフト用電磁弁20と、これら各部材17〜20により作動状態を切り換えられる制御弁装置21とにより構成している。尚、この制御弁装置21は、変速比制御弁22と、補正シリンダ23と、補正用制御弁24a、24bと、高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26(図2)とを合わせたものである。このうちの変速比制御弁22は、上記アクチュエータ13への油圧の給排を制御するものである。又、上記補正シリンダ23は、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)、並びに、運転者の操作するシフトレバーの選択位置に応じて、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正すべく、上記変速比制御弁22の切換状態を調節するものである。又、上記補正用制御弁24a、24bは、上記補正シリンダ23への圧油の給排を制御するものであり、上記電磁弁19の切り換えに応じて切り換えられる。更に、上記高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26は、前記低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の導入状態を切り換えるものである。
又、前記ダンパ2部分から取り出した動力により駆動されるオイルポンプ27(図2の27a、27b)から吐出した圧油は、上記制御弁装置21並びに上記押圧装置14に送り込まれる。即ち、油溜28(図2)から吸引されて上記オイルポンプ27a、27bにより吐出された圧油は、押圧力調整弁29及び低圧側調整弁30(図2)により所定圧に調整される。このうちの押圧力調整弁29は、前記アクチュエータ13にピストンを挟んで設けた1対の油圧室同士の間に存在する油圧の差(差圧)に応じた油圧、並びに、前記制御器16からの指令により制御される前記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉に基づく油圧の導入に基づき、開弁圧を調節される。そして、この様な開弁圧の調節に基づき、上記押圧装置14が発生する押圧力を、運転状況に応じた最適な値に規制する。
又、この様に押圧力調圧弁29により調整された圧油は、前記変速比制御弁22を介して上記アクチュエータ13に送り込まれる他、手動油圧切換弁31並びに減圧弁32、前記高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26を介して、前記低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8の油圧室内に送り込まれる。これら低速用、高速用各クラッチ7、8のうちの低速用クラッチ7は、減速比を大きくする{変速比無限大(ギヤードニュートラル状態=GN状態)を含む}低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、上記高速用クラッチ8は、上記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、これら低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の給排状態は、前記シフト用電磁弁20の切り換えに応じて切り換えられる。尚、上記低速用クラッチ7が接続された低速モードでは、トロイダル型無段変速機4の変速比を、GN状態を実現できる値(GN値)から減速する程、無段変速装置の速度比を停止状態(速度比0の状態)から前進方向に増速させられる。又、同じくGN値から増速する程、同じく停止状態から後退方向に増速させられる。一方、上記高速用クラッチ8が接続された高速モードでは、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を増速する程、上記無段変速装置の速度比を増速させられる(例えば特許文献1の図9等参照)。
又、本例の場合は、前記制御器16に、入力側、出力側各回転センサ33、34並びに出力軸回転センサ35の検出信号と、アクセルセンサ36の検出信号と、ブレーキスイッチ37の検出信号と、ポジションスイッチ38の検出信号とを入力している。このうちの入力側回転センサ33は、入力側ディスク10の回転速度を、出力側回転センサ34は出力側ディスク11の回転速度を、出力軸回転センサ35は出力軸9の回転速度を、それぞれ測定するものである。そして、これら各センサ33、34、35から測定される各回転速度に基づいて、トロイダル型無段変速機4の変速比(速度比)、並びに、車両の走行速度(車速)を算出する。又、上記アクセルセンサ36は、アクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するものである。又、上記ブレーキスイッチ37は、サービスブレーキ(常用ブレーキ、例えばフットブレーキ)が操作された事(ブレーキペダルが踏まれた事)を検出して、その事を表す信号を発するものである。又、上記ポジションスイッチ38は、運転席に設けられたシフトレバー(操作レバー、セレクトレバー)の選択位置を表す信号を発するものである。
又、上記各センサ33、34、35、36並びに上記スイッチ37、38からの検出信号が入力される上記制御器16は、少なくとも上記出力軸回転センサ35の出力信号から検出される車両の走行速度(車速)と、上記アクセルセンサ36の出力信号から検出されるアクセル開度とから得られる、その時点の車両の走行状態に基づいて、無段変速装置の目標速度比(その時点の走行状態に応じた最適な速度比)を求め、この無段変速装置の速度比をこの目標速度比に調節する機能を有する。尚、この様に無段変速装置の速度比を目標速度比に調節する場合に、この無段変速装置の目標速度比に対応する、トロイダル型無段変速機4の目標変速比を求め、このトロイダル型無段変速機4の変速比をこの目標変速比に調節する事により行なう事もできる。何れにしても、上記車速並びにアクセル開度(走行状態を表す状態量)と目標速度比(目標変速比)との相関関係は、上記制御器16のメモリに予めマップ(MAP)や式として記憶させておき、その時点の状態量(車速、アクセル開度等)に応じた目標速度比(目標変速比)に調節する。又、この様なトロイダル型無段変速機4の変速比、延いては、無段変速装置全体としての速度比の調節は、上記制御器16からの制御信号により、前記ステッピングモータ17を駆動し、前記アクチュエータ13への油圧の給排を切り換えると共に、前記シフト用電磁弁20の切り換えに基づき前記低速用、高速用両クラッチ7、8の断接状態(高速、低速各モード)を切り換える事により行なう。
又、本例の場合は、車両の発進時に、無段変速装置の出力軸9{により駆動される車輪(駆動輪)}から、発進方向に応じた最適な駆動力(クリープ力)を出力させるべく、シフトレバーの操作に基づいて、上記トロイダル型無段変速機4の変速比(eCVU )の補正を行なう様に構成している。この様な発進時に行なう、このトロイダル型無段変速機4の変速比の補正制御に就いて、図4を用いて説明する。即ち、本例の場合は、上記シフトレバーの操作に基づいて、補正シリンダ23並びにステッピングモータ17(図2等参照)を駆動する事により、上記トロイダル型無段変速機4(図1参照)の変速比を補正し(GN値からずらし)、上記無段変速装置の出力軸9から出力される駆動力(クリープ力)を、その時点の進行方向に応じた最適な値に調節する。具体的には、上記シフトレバーの選択位置が非走行位置(P、Nレンジ)の場合には、上記補正シリンダ23を構成する1対の油圧室39a、39bのうちの一方(例えば図2の左方)の油圧室39aに圧油を導入すると共に、他方(例えば図2の右方)の油圧室39bの圧油を排出する。
尚、上記シフトレバーの選択位置は、前記ポジションスイッチ38の検出信号に基づいて制御器16により判定する。又、上記補正シリンダ23への圧油の給排は、上記シフトレバーの操作に伴う手動油圧切換弁31の切り換えに基づいて、前後進切換弁41を切り換える事により行なわれる。具体的には、上記シフトレバー(延いては手動油圧切換弁31)がP、N、D、Lレンジ(非走行位置、前進位置)に切り換わると、上記前後進切換弁41の一方(図2の左方、FWD側)の油圧室に圧油が導入され、この圧油の導入に基づきこの前後進切換弁41のスプールが他方(図2の右方)に変位し、上記補正シリンダ23の一方の油圧室39a内に圧油(ポンプ27bの駆動に基づくPS圧)が導入される。そして、この様な圧油の導入に基づきこの補正シリンダ23のロッド40を、図2の右方に変位(駆動)させた状態で、上記ステッピングモータ17の駆動に基づき上記トロイダル型無段変速機4の変速比をA点(例えば増速比で1.55)に調節する。このA点は、低速用クラッチ7が接続され、且つ、ブレーキの踏み込みが解除されたとしたならば、車両を前進方向に発進並びに低速で走行させられる程度の駆動力を、出力軸9から確実に出力させられる値(前進方向の強めのクリープ力を出力できる値)としている。又、この様に、シフトレバーが非走行位置(P、Nレンジ)の状態で、言い換えれば、前進位置(L、Dレンジ)に操作される以前の状態で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記出力軸9から前進方向の駆動力を出力させられる値に調節する理由は、一般的に自動車は前進方向に走行する頻度が高い為である。尚、上記シフトレバーが非走行位置(P、Nレンジ)の状態では、低速用、高速用両クラッチ7、8の接続は断たれている。
又、上述の様にトロイダル型無段変速機4の変速比がA点に調節される、上記P、Nレンジから、上記シフトレバーが前進位置(L、Dレンジ)に操作されると、(低速用クラッチ7が接続されつつ、)上記ステッピングモータ17の駆動に基づき上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記A点から、矢印aに示す様に、B点(例えば増速比で1.59〜1.63)に調節する。このB点は、潤滑油(トラクションオイル)の温度等、出力させるべき駆動力(クリープ力)に影響を及ぼす状態量に応じて定まる、その時点の最適な駆動力を上記出力軸9から出力させられる値(前進方向の最適なクリープ力を出力できる値)である。この様に変速比がB点に調節された状態で、ブレーキの踏み込みを解除すれば、車両を前進方向に円滑に発進させられる。尚、この様なA点からB点への変速比の調節は、上記補正シリンダ23のロッド40は変位(駆動)させず(P、Nレンジの場合と同じ状態のまま)、上記ステッピングモータ17の駆動のみに基づいて行なう。言い換えれば、上記補正シリンダ23は、P、N、D、Lレンジで同じ作動状態(ロッド40を図2の右方に変位させた状態)である。
一方、上記P、Nレンジから、上記シフトレバーが後退位置(Rレンジ)に操作されると、(低速用クラッチ7が接続されつつ、)上記補正シリンダ23を構成する1対の油圧室39a、39bのうちの他方(例えば図2の右方)の油圧室39bに圧油を導入すると共に、一方(例えば図2の左方)の油圧室39aの圧油を排出する。具体的には、上記シフトレバー(延いては手動油圧切換弁31)がRレンジ(後退位置)に切り換わると、上記前後進切換弁41の他方(図2の右方、REV側)の油圧室に圧油が導入され、この圧油の導入に基づきこの前後進切換弁41のスプールが一方(図2の左方)に変位し、上記補正シリンダ23の他方の油圧室39b内に圧油(ポンプ27bの駆動に基づくPS圧)が導入される。そして、この様な圧油の導入に基づき上記補正シリンダ23のロッド40を、図2の左方に変位させ、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記A点からE点(例えば増速比で2.05)に調節する。尚、このE点は、低速用クラッチ7が接続され、且つ、ブレーキの踏み込みが解除されたとしたならば、車両を後退方向に発進並びに低速で走行させられる程度の駆動力を、出力軸9から確実に出力させられる値(後退方向の強めのクリープ力を出力できる値)としている。尚、この様な補正シリンダ23のロッド40の変位に基づく、上記A点からE点への変速比の調節は、上述の様な油圧の導入に基づき瞬時に行なわれる。
又、この様な補正シリンダ23の駆動に基づく変速比の調節と共に(同時に)、上記ステッピングモータ17の駆動に基づいて同じく変速比を、上記E点からD点(例えば増速比で1.88〜1.94)に相当する分、即ち矢印bに相当する分、調節する。即ち、上記変速比を、潤滑油(トラクションオイル)の温度等、出力させるべき駆動力に影響を及ぼす状態量に応じて定まる、その時点の最適な駆動力を、上記出力軸9から出力させられる値(後退方向の最適なクリープ力を出力できる値)である、上記D点に調節する。この状態で、ブレーキの踏み込みを解除すれば、車両を後退方向に円滑に発進させられる。尚、車両の発進時に、上記補正シリンダ23と上記ステッピングモータ17との駆動に基づいてそれぞれ調節される、上記トロイダル型無段変速機4の変速比の値、即ち、A、B、D、E点は、何れも、ブレーキが踏み込まれ、且つ、低速用クラッチ7が接続された状態(或いは接続されたと仮定した状態)で、エンジン1を停止させる事なく、トルクシフトに基づいてGN値(GNポイント:例えば増速比で1.7)になり得る(C点に強制的に変速され得る)値である。
更に、本例の場合は、前記制御器16に、車両の走行中に、運転席に設けたシフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、前記クラッチ装置6(高速前進走行中は高速用クラッチ8、低速前進走行中或いは後退走行中は低速用クラッチ7)を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで、予め設定した条件に沿って変化させる機能を持たせている。又、これと共に、この様に無段変速装置の速度比を、停止状態を実現できる0まで変化させた後、上記シフトレバーが操作された位置(操作位置)に応じた値に調節する{当該操作位置に応じた(発進)変速制御を行なう}機能も持たせている。
即ち、例えばシフトレバーが前進位置(D、Lレンジ)に操作された状態で、車両が前進走行中に、このシフトレバーが後退位置(Rレンジ)に操作された場合には、上記無段変速装置の速度比を、その時点の前進走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化(減速)させる{例えば高速用クラッチ8が接続されている状態ではトロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変化させ、低速用クラッチ7が接続されている状態では同じく増速側に変化させる(例えば前述の特許文献1等参照)}。次いで、後退方向に発進させるべく、上記無段変速装置の速度比を、上記後退位置に応じた値に調節(後退方向に増速)する(低速用クラッチ7が接続されている状態である為、トロイダル型無段変速機4の変速比を増速側に変化させる)。又、これとは逆に、上記シフトレバーが後退位置に操作された状態で、車両が後退走行中に、このシフトレバーが前進位置に操作された場合には、上記無段変速装置の速度比を、その時点の後退走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化(減速)させる(低速用クラッチ7が接続されている状態である為、トロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変化させる)。次いで、前進方向に発進させるべく、上記無段変速装置の速度比を、上記前進位置に応じた値に調節(前進方向に増速)する(低速用クラッチ7が接続されている状態である為、トロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変化させる)。
この様な制御器16が有する機能に就いて、図3に示したフローチャートを参照しつつ説明する。尚、このフローチャートに示した作業は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、繰り返し(自動的に)行なわれる。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、シフトレバーの選択位置が非走行位置(P、Nレンジ)か否かを判定する。この判定は、前記ポジションスイッチ38の検出信号に基づいて行なう。この様なステップ1で、上記シフトレバーの選択位置が非走行位置(P、Nレンジ)であると判定された場合は、ステップ2に進み、車両が走行中であるか否かを判定する。この判定は、前記出力軸回転センサ35の検出信号により、前記出力軸9の回転速度から分かる、上記車両の走行速度(Vkm/h)が、0km/hでない(V≠0km/h)か否かにより判定する。この走行速度が0km/hである(走行中でない)と判定された場合には、ステップ3に進み、トロイダル型無段変速機4の変速比を、前記補正シリンダ23とステッピングモータ17との駆動に基づき、前述した図4のA点(1.55)に調節すると共に、終了する(開始に戻る)。
一方、上記ステップ2で、上記走行速度が0km/hでない(走行中である)と判定された場合には、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、その時点の走行状態(車速、アクセル開度等)に応じた目標変速比に調節すると共に、終了する(開始に戻る)。即ち、上記ステップ1とこのステップ2との判定結果から、シフトレバーの選択位置がNレンジの状態、言い換えれば低速用、高速用両クラッチ7、8の接続が断たれた状態で、車両が走行(惰性走行)していると判定できる。この為、この様に低速用、高速用両クラッチ7、8の接続が断たれた状態でも、上述の様にその時点の走行状態に応じた目標変速比に調節する(GN値等に調節しない)事により、上記低速用クラッチ7或いは高速用クラッチ8の接続を何時開始しても、車両の挙動の急変化や損傷を生じない様にしておく。尚、この様な目標変速比への調節は、前述した様に、予め制御器16のメモリに記憶させた走行状態(車速、アクセル開度等)と最適な変速比(目標変速比)との関係(MAP、式等)に基づいて行なう。
一方、前記ステップ1で、上記シフトレバーの選択位置が非走行位置(P、Nレンジ)でないと判定された場合には、ステップ5で、シフトレバーの選択位置が前進位置(D、Lレンジ)であるか否かを判定する。この判定は、ステップ1と同様にポジションスイッチ38の検出信号に基づいて行なう。この様なステップ5で、シフトレバーの選択位置が前進位置(D、Lレンジ)であると判定された場合には、続くステップ6で、車両が走行中であるか否かを判定する。この判定は、前記ステップ2と同様にして行なう。この様なステップ6で、車両の走行速度が0km/hである(走行中でない)と判定された場合には、丸付き数字1に進む(通常の前進方向の発進制御を行なう)と共に、終了する(開始に戻る)。即ち、シフトレバーの選択位置が前進位置(D、Lレンジ)で、車両が停止している状態である為、運転者は車両を発進させ様としていると判定できる。この為、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、前記補正シリンダ23とステッピングモータ17との駆動に基づいて、前述した図4のB点(1.59〜1.63)に調節すると共に、終了する(開始に戻る)。この状態で、例えばブレーキの踏み込みが解除されれば、前記出力軸9から前進方向の最適なクリープ力が出力され、車両を円滑に発進させられる。
一方、上記ステップ6で、上記走行速度が0km/h(V=0km/h)でない(走行中である)と判定された場合には、続くステップ7に進む。このステップ7では、車両の走行方向を判定する。より具体的には、車両が後退しているか否かを判定する。この様な車両の走行方向の判定は、例えば前記入力側、出力側各回転センサ33、34から出力される検出信号(入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度を表す信号)と予め求めた遊星歯車式変速機5の減速比とから判定する事ができる。尚、この点に就いては、前記特許文献1に記載されている為、詳しい説明は省略する。又、この様にして車両の走行方向を判定する他、例えば出力軸9に、回転方向に応じて検出センサの出力特性を変化させる被検出部材を設け、この検出センサの出力信号に基づいて、上記車両の走行方向を判定する事もできる。この点に就いては、特許文献4に記載されている為、詳しい説明は省略する。
何れにしても、上記ステップ7で、車両が後退していない(前進している)と判定された場合には、丸付き数字2に進む(前進方向の通常の変速制御を行なう)と共に、終了する(開始に戻る)。即ち、シフトレバーの選択位置が前進位置(D、Lレンジ)で、車両が前進している状態である為、運転者は前進走行(の継続)を意図していると判定できる。この為、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、ステッピングモータ17の駆動に基づいて、その時点の走行状態(車速、アクセル開度等)に応じた目標変速比に調節する(前進方向の通常の変速制御を行なう)。一方、上記ステップ7で、車両が後退していると判定された場合には、続くステップ8に進む。即ち、上記ステップ1、5〜7の判定に基づいて、車両が後退しているにも拘らず、シフトレバーが走行方向とは逆方向である前進位置(D、Lレンジ)に操作されたと判定できる。この為、上記ステップ8及び続くステップ9〜11で、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止させる為の作業を行なう。
先ず、ステップ8では、シフトレバーの操作に応じて補正シリンダ23が駆動(作動)する事により、トロイダル型無段変速機4の変速比がその時点の値から変動する分を、ステッピングモータ17の駆動に基づいて補正した(その時点の値に戻した)か否かを判定する。即ち、上記シフトレバーが走行方向と逆方向の選択位置に操作されると(RレンジからNレンジを介してDレンジに操作されると)、このシフトレバーの操作に基づいて、上記補正シリンダ23のロッド40が、前述した様に、図2の左方に変位した状態から右方に変位する。そして、この様なロッド40の変位に基づき変速比制御弁22が切り換わり、上記トロイダル型無段変速機4の変速比がその時点の値から変動する。上記ステップ8では、この様な補正シリンダ23の作動に基づき変速比がその時点の値から変動する分を、上記ステッピングモータ17の駆動に基づいてその時点の値(乃至はその時点の値近傍)に戻す(相殺する)為の作業(その時点の値近傍に維持する為の作業)を行なったか否かを判定する。
この様なステップ8で、未だ変速比を戻す為の作業(補正作業)を行なっていないと判定した場合には、この作業を行なうべくステップ9に進む。このステップ9では、上記ステッピングモータ17を、上記補正シリンダ23により変速比が変動する方向と逆方向に相当する方向に、例えば40steps 分駆動する(と共に終了し、開始に戻る)。尚、上記補正シリンダ23の作動に基づく変速比の変動量は予め設計的に定まる値(固定値)であるが、この変動分を戻す(補正する)為の上記ステッピングモータ17の駆動量(step数)は、その時の車両の走行状態(例えば車速、減速速度等)に応じて調節する(チューニング値とする)事が好ましい{必ずしも補正シリンダ23により変速比が変動した分と同じだけ(例えば0.5変速分、100steps 分)戻す必要はない}。又、上記ステッピングモータ17の駆動速度は、シフトレバーの操作に基づいてその時点の走行状態に応じたクラッチ装置8(高速前進走行中であれば高速用クラッチ8、低速前進走行中或いは後退走行中であれば低速用クラッチ6)の接続が完了する以前(乃至は同時)に変速比の補正作業を完了させるべく、最大速度(例えば1step/1ms)とする事が好ましい。
一方、上記ステップ8で、既に変速比を戻す作業(補正作業)を行なった(ステップ9の作業を行なった後、再度ステップ8に到達した)と判定した場合には、ステップ10に進む。このステップ10に進むと言う事は、上記ステッピングモータ17の駆動に基づく変速比の補正が行なわれ、上記クラッチ装置8の接続が完了した頃と考えられる。そこで、このステップ10では、トロイダル型無段変速機4の目標変速比をGN値(図4のC点:1.7)に設定する(無段変速装置の目標速度比を0に設定する事と同じである)。そして、続くステップ11で、エンジンブレーキ力に基づいて車両を減速、停止させるべく、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、所定の条件、例えば変速速度αで、上記GN値に向けて変速させる{変速を開始すると共に終了する(開始に戻る)}。尚、この変速は、上記ステッピングモータ17の駆動に基づいて行なう。
又、上記変速速度αは、予め実験、シミュレーション等により、車両の挙動の急変化(例えば急減速、タイヤロック、エンスト等)、並びに、この車両や無段変速装置の損傷(例えばプロペラシャフトの折損、無段変速装置内部の破損、クラッチバースト等)が生じない値の範囲内で、無段変速装置の速度比を、連続的に、且つ、可及的速やかに減速できる値(例えばステッピングモータの駆動速度で1step/50ms)に設定しておく。又、その時の走行状態(車速、減速速度等)に応じて最適な値に調節する(チューニング値とする)事も好ましい。何れにしても、この様に設定した変速速度αで、上記トロイダル型無段変速機4の変速比をGN値に向けて変化させれば、上述の様な車両の挙動の急変化や損傷を生じる事なく、エンジンブレーキ力に基づいて車両を、減速、停止させられる。尚、上記トロイダル型無段変速機4の変速比がGN値に調節され、車両が停止した場合には、前記ステップ6で車両が停止していると判定される。即ち、この様に車両が停止すると、このステップ6で丸付き数字1に進み、シフトレバーの選択位置に応じた(前進方向の)発進制御が行なわれる。又、上記GN値に調節される以前にシフトレバーが操作された場合には、ステップ1、5、12で、その操作された位置に応じた判定がされ、その判定に応じた変速制御が行なわれる。
一方、前記ステップ5で、シフトレバーの選択位置が前進位置(D、Lレンジ)でないと判定された場合には、ステップ12に進み、このシフトレバーの選択位置が後退位置(Rレンジ)であるか否かを判定する。この様なステップ12で、シフトレバーの選択位置が後退位置(Rレンジ)でないと判定された場合には、終了する(開始に戻る)。一方、このステップ12で、シフトレバーの選択位置が後退位置(Rレンジ)であると判定された場合には、続くステップ13で、車両が走行中であるか否かを判定する。この判定は、前記ステップ2、6と同様にして行なう。この様なステップ13で、車両の走行速度が0km/h(V=0km/h)である(走行中でない)と判定された場合には、丸付き数字3に進む(通常の後退方向の発進制御を行なう)と共に、終了する(開始に戻る)。この場合には、前記補正シリンダ23とステッピングモータ17との駆動に基づいて、前述した図4のD点(1.88〜1.94)に調節すると共に、終了する(開始に戻る)。一方、上記ステップ13で、上記走行速度が0km/hでない(走行中である)と判定された場合には、続くステップ14で、車両が前進しているか否かを判定する。この判定は、前記ステップ7と同様にして行なう。
この様なステップ14で、車両が前進していない(後退している)と判定された場合には、丸付き数字4に進む(後退方向の通常の変速制御を行なう)と共に、終了する(開始に戻る)。この場合には、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、ステッピングモータ17の駆動に基づいて、その時点の走行状態(車速、アクセル開度等)に応じた目標変速比に調節する(後退方向の通常の変速制御を行なう)。一方、上記ステップ14で、車両が前進していると判定された場合には、続くステップ15に進む。即ち、上記ステップ1、5、12〜14の判定に基づいて、車両が前進しているにも拘らず、シフトレバーが走行方向とは逆方向である後退位置(Rレンジ)に操作されたと判定できる。この為、上記ステップ15及び続くステップ16〜18で、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止させる為の作業を行なう。
先ず、ステップ15では、前述のステップ8と同様に、シフトレバーの操作に応じて補正シリンダ23が駆動(作動)する事により、トロイダル型無段変速機4の変速比がその時点の値から変動する分を、ステッピングモータ17の駆動に基づいて補正した{その時点の値(近傍)に戻した}か否かを判定する。このステップ15で、未だ補正作業(変速比を戻す為の作業)を行なっていないと判定した場合には、ステップ16に示す様に、上記ステッピングモータ17を、上記補正シリンダ23により変速比が変動する方向と逆方向に相当する方向に、例えば60steps 分、最大速度(例えば1step/1ms)で駆動する(と共に終了し、開始に戻る)。この点に就いては、車両の進行方向とシフトレバーの操作位置とが異なる以外、前述のステップ9とほぼ同様である。一方、上記ステップ15で、既に変速比を戻す作業を行なった(ステップ16の作業を行なった後、再度ステップ15に到達した)と判定した場合には、ステップ17に進む。このステップ17では、前述のステップ10と同様に、トロイダル型無段変速機4の目標変速比をGN値(図4のC点:1.7)に設定する。
そして、続くステップ18で、エンジンブレーキ力に基づいて車両を減速、停止させるべく、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を、所定の条件、例えば変速速度βで、GN値に向けて変速させる{変速を開始すると共に終了する(開始に戻る)}。尚、この変速は、前述のステップ11と同様に、上記ステッピングモータ17の駆動に基づいて行なう。又、上記変速速度βも、予め実験、シミュレーション等により、車両の挙動の急変化、並びに、この車両や無段変速装置の損傷が生じない値の範囲内で、無段変速装置の速度比を、連続的に、且つ、可及的速やかに減速できる値(例えばステッピングモータの駆動速度で1step/20ms)に設定しておく。勿論、その時の走行状態(車速、減速速度等)に応じて調節する(チューニング値とする)事もできる。何れにしても、この様に設定した変速速度βで、上記トロイダル型無段変速機4の変速比をGN値に向けて変化させれば、上述の様な車両の挙動の急変化や損傷を生じる事なく、エンジンブレーキ力に基づいて車両を、減速、停止させられる。尚、上記トロイダル型無段変速機4の変速比がGN値に調節され、車両が停止した場合には、前記ステップ13で車両が停止していると判定される。即ち、この様に車両が停止すると、このステップ13で丸付き数字3に進み、シフトレバーの選択位置に応じた(後退方向の)発進制御が行なわれる。又、上記GN値に調節される以前にシフトレバーが操作された場合には、ステップ1、5、12で、その操作された位置に応じた判定がされ、その判定に応じた変速制御が行なわれる。
本例の車両用無段変速装置の変速制御装置は、以上に述べた様に構成し作用する事により、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作されても、この車両の挙動の急変化、並びに、この車両や無段変速装置の損傷を防止して、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止、更にシフトレバーが操作された位置に応じた走行を行なえる。即ち、本例の場合は、例えば運転者のシフトレバーの誤操作に基づく、上述の様な車両の挙動の急変化や損傷を防止できると共に、ブレーキ装置の制動力を得られない状態で運転者が意識してシフトレバーを操作した場合に、上記エンジンブレーキ力に基づいて車両を、安全且つ迅速に減速、停止させられる。又、停止状態から、上記トロイダル型無段変速機4の変速比の調節に基づいて、上記車両を当該操作位置に応じた方向に走行させられる為、例えば車庫入れ時等、運転者が意図してその時点の走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーを操作した場合にも、上記車両の挙動の急変化や損傷を生じる事なく、上記運転者の意図する走行を行なえる。この為、フールプルーフ性並びにフエールセーフ性の確保、運転者の意図する走行の確保を図れる。
尚、本例の場合は、前述した様に、シフトレバーの操作(に基づく手動油圧切換弁31、延いては前後進切換弁41の切り換え)に基づいて補正シリンダ23を作動させ、車両の発進時に出力軸9から必要な駆動力(クリープ力)を出力させられる様にしている。又、この補正シリンダ23は、この様な機能の他、制御器16の制御信号に基づく電磁弁19の切り換え(延いては補正用制御弁24a、24bの切り換え)に基づいて作動させる事により、トロイダル型無段変速機4の変速比、延いてはこのトロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)の調節も行なえる。又、図示等は省略するが、例えば補正シリンダに手動切換弁からの圧油を直接導入させる構造(例えば特願2005−220581号の図8に開示された構造)等に、本発明を適用する事もできる。即ち、この様な構造の場合でも、前述した図3に示すフローチャートに沿って変速制御を行なえば、上述した本発明の効果を得られる。又、本例の様なシフトレバーの操作に伴って補正シリンダ23を作動させる構成を採用しない場合には、例えば図3のステップ8、9並びにステップ15、16を省略する事もできる。
[実施の形態の第2例]
図5〜6は、本発明の実施の形態の第2例を示している。前述した第1例の場合は、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作されたかどうかを、その時点のシフトレバーの選択位置と、回転センサ(図1の入力側、出力側各回転センサ33、34)等の検出信号から得られる車両の走行方向とに基づいて判定する。これに対して、本例の場合は、この様な回転センサの検出信号を用いないで、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作されたか否かを判定する。この為に、本例の場合は、走行中にシフトレバーがNレンジに操作された場合に、その直前の選択位置を記憶しておく。そして、この状態から、車両が停止する以前に、このNレンジからシフトレバーが操作された場合に、この操作された選択位置と上記記憶しておいた選択位置とが同じか否かを判定する事により、走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーが操作されたか否かを判定する。具体的には、図5のステップ2の次(ステップ2とステップ4との間)で、シフトレバーがNレンジに操作される直前の選択位置の判定及び記憶作業を行なう。この様な判定及び記憶作業は、図6に示すフローチャートの手順に沿って行なう。即ち、上記図5のフローチャートのステップ1、2で、車両が走行中であり、シフトレバーがNレンジであると判定されると(通常はPレンジで車両が走行する事はない為)、図6のフローチャートのステップ1に進む。このステップ1では、このシフトレバーがNレンジに操作される直前の操作位置が前進位置(D、Lレンジ)であったか否かを判定する。即ち、この図6のフローチャートのステップ1に進む前(図5のフローチャートで1ループ前)の、上記シフトレバーの選択位置が、前進位置(D、Lレンジ)であったか否かを、ポジションスイッチ38(図1参照)の検出信号に基づいて(検出信号を監視しておく事で)判定する。
この様なステップ1で、シフトレバーがNレンジに操作される直前の選択位置が前進位置(D、Lレンジ)であった(D、Lレンジ→Nレンジ)と判定した場合には、ステップ2に進み、この選択位置を記憶させるべく、F_DNとF_RNのフラグのうち、F_DNを1にし(F_DN=1、F_RN=0とし)、終了する(図5のステップ4に進む)。一方、上記ステップ1で、シフトレバーがNレンジに操作される直前の選択位置が前進位置(D、Lレンジ)でないと判定した場合には、ステップ3に進む。このステップ3では、このシフトレバーがNレンジに操作される直前の操作位置が後退位置(Rレンジ)であった(Rレンジ→Nレンジ)か否かを判定する。この様なステップ3で、シフトレバーがNレンジに操作される直前の選択位置が後退位置(Rレンジ)であったと判定した場合には、ステップ4に進み、この選択位置を記憶させるべく、F_DNとF_RNのフラグのうち、F_RNを1にし(F_DN=0、F_RN=1とし)、終了する(図5のステップ4に進む)。
一方、上記ステップ3で、シフトレバーがNレンジに操作される直前の選択位置が後退位置(Rレンジ)でないと判定した場合には、ステップ5に進む。このステップ5では、F_DNとF_RNのうちの何れかのフラグが1か否を判定する。言い換えれば、直前のシフトレバーの位置がNレンジ(Nレンジで車両が停止した状態から動き出した)か否かを判定する。この様なステップ5で、F_DNとF_RNのうちの何れかのフラグが1であれば、そのまま終了する(図5のステップ4に進む)。又、F_DNとF_RNのうちの何れかのフラグが1でなくても、即ち、F_DN=0、F_RN=0である場合(直前のシフトレバーの位置かNレンジである場合)も、ステップ6で、それを確認して終了する(図5のステップ4に進む)。
何れにしても、上述の様な図6に示すフローチャートの手順に沿って、シフトレバーがNレンジに操作される直前の選択位置の判定及び記憶作業(フラグのセット)を行なったならば、そのフラグを維持した状態で、図5のステップ4に進み、この図5のフローチャートに沿って、無段変速装置の速度比の制御(トロイダル型無段変速機4の変速比制御)を続ける。この場合に、例えば、ステップ2、6、13で、車両が停止したと判定された場合には、上記フラグをクリアする(F_DN=0、F_RN=0にする)。又、ステップ7では、F_RN=1か否かを判定する。即ち、シフトレバーがDレンジに操作される前にRレンジで後退走行しており、現在Dレンジで後退走行中であるか否かを、F_RN=1か否かにより判定する。この様なステップ7でF_RN=1であると判定された場合には、現在Dレンジにも拘らず後退走行中であると考えられるので、ステップ8に進み、安全且つ迅速に車両を減速、停止させる為の作業を行なう。
一方、上記ステップ7でF_RN=1でないと判定された場合には、現在Dレンジで前進走行中であると考えられるので、丸付き数字2に進む(前進方向の通常の変速制御を行なう)。又、ステップ14では、F_DN=1か否かを判定する。即ち、シフトレバーがRレンジに操作される前にDレンジで前進走行しており、現在Rレンジで前進走行中であるか否かを、F_DN=1か否かにより判定する。この様なステップ14でF_DN=1であると判定された場合には、現在Rレンジにも拘らず前進走行中であると考えられるので、ステップ15に進み、安全且つ迅速に車両を減速、停止させる為の作業を行なう。一方、上記ステップ14でF_DN=1でないと判定された場合には、現在Rレンジで後退走行中であると考えられるので、丸付き数字4に進む(後退方向の通常の変速制御を行なう)。
尚、本例の場合は、Nレンジに操作された状態で、車両が停止状態から発進した場合(図6でステップ6に進んだ場合)には、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作されたかどうかを正確に判定できない。即ち、この様に車両が停止状態から発進した状態で、シフトレバーがNレンジからD、Lレンジ或いはRレンジに操作された場合は、例え走行方向と異なる方向の選択位置に操作されても、走行方向と同方向に操作されたと判定されてしまう。即ち、フラグがF_DN=0、F_RN=0である為、ステップ7で丸付き数字2に、或いは、ステップ14で丸付き数字4に、常に進んでしまう。但し、この様な場合は、車両が停車状態から坂道を下る場合等、極く限られた状態であり、車速も極く低速で、しかも、この様な場合に運転者がシフトレバーをその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作する可能性も低いと考えられる。この為、本例の様な構成を採用しても、不都合は生じにくいと考えられる。
その他の構成及び作用は、前述した第1例と同様、具体的には、本例のステップ数は、ステップ7、14を除き、第1例のステップ数と対応させている(ステップ7、14以外の各ステップで行なう作業は、第1例と同様である)から、重複する説明は省略する。
図7、8は、本発明の効果を確認する為に行った実験結果を示している。このうちの図7は、本発明の変速制御装置により変速制御を行なった場合の車両の挙動を示している。又、図8は、本発明の変速制御装置により変速制御を行なわない場合、より具体的には、シフトレバーがNレンジに操作された場合にトロイダル型無段変速機(バリエータ:Variator)の変速比をGN値に調節する他、シフトレバーが走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合にこの操作位置に対応する変速比に調節する制御を行なう場合の、車両の挙動を示している。この様な図7と図8とを比較すれば明らかな様に、本発明の無段変速装置の変速制御装置によれば、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作されても、この車両の挙動の急変化、並びに、この車両や無段変速装置の損傷を防止して、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止、更に上記シフトレバーが操作された位置に応じた走行を行なえる。
本発明は、ハーフトロイダル型のトロイダル型無段変速機を利用して実施できる事は勿論、フルトロイダル型のトロイダル型無段変速機を利用して実施する事もできる。
本発明の変速制御装置を実施する無段変速装置の1例を示すブロック図。 変速制御の為の油圧回路図。 本発明の実施の形態の第1例の特徴となる、変速制御の動作を示すフローチャート。 車両の発進時に行なう変速比制御を説明する為の模式図 本発明の実施の形態の第2例の特徴となる、変速制御の動作を示すフローチャート。 シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作されたかどうかを判定する為に行なう作業のフローチャート。 本発明の変速制御装置により変速制御を行なった場合の車両の挙動を示す線図。 本発明の変速制御装置による変速制御を行なわない場合の車両の挙動を示す線図。
符号の説明
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力側ディスク
11 出力側ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁開閉弁
19 電磁弁
20 シフト用電磁弁
21 制御弁装置
22 変速比制御弁
23 補正シリンダ
24a、24b 補正用制御弁
25 高速クラッチ用切換弁
26 低速クラッチ用切換弁
27、27a、27b オイルポンプ
28 油溜
29 押圧力調整弁
30 低圧側調整弁
31 手動油圧切換弁
32 減圧弁
33 入力側回転センサ
34 出力側回転センサ
35 出力軸回転センサ
36 アクセルセンサ
37 ブレーキスイッチ
38 ポジションスイッチ
39a、39b 油圧室
40 ロッド
41 前後進切換弁

Claims (6)

  1. 無段変速装置と、この無段変速装置の速度比を調節する為の制御器とを備え、このうちの無段変速装置は、トロイダル型無段変速機と、歯車式の差動機構とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせ、このうちのトロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づいて、上記差動機構を構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在としたものであり、上記制御器は、少なくとも車両の走行速度とアクセル開度とから得られる、その時点の車両の走行状態に基づいて、上記無段変速装置の目標速度比を求め、この無段変速装置の速度比をこの目標速度比に調節する機能の他、上記車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで、車両の走行安定性を損なわない範囲で、連続的に、且つ可及的速やかに、予め設定した条件に沿って変化させる機能を有するものである、車両用無段変速装置の変速制御装置。
  2. 無段変速装置の速度比を、停止状態を実現できる0まで変化させた後、シフトレバーの当該操作位置に応じた値に調節する、請求項1に記載した車両用無段変速装置の変速制御装置。
  3. シフトレバーが前進位置に操作された状態で、車両が前進走行中に、このシフトレバーが後退位置に操作された場合に、無段変速装置の速度比を、その時点の前進走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化させ、次いで上記後退位置に応じた値に調節する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車両用無段変速装置の変速制御装置。
  4. シフトレバーが後退位置に操作された状態で、車両が後退走行中に、このシフトレバーが前進位置に操作された場合に、無段変速装置の速度比を、その時点の後退走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化させ、次いで上記前進位置に応じた値に調節する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車両用無段変速装置の変速制御装置。
  5. クラッチ装置は、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチとを備えたものである、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した車両用無段変速装置の変速制御装置。
  6. トロイダル型無段変速機は、相対回転を自在として互いに同心に支持された、少なくとも1対のディスクと、これら両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラを回転自在に支持した複数個の支持部材とを備え、これら各支持部材を油圧式のアクチュエータにより変位させる事で、上記両ディスク同士の間の変速比を変化させるものである、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した車両用無段変速装置の変速制御装置。
JP2006139659A 2006-05-19 2006-05-19 車両用無段変速装置の変速制御装置 Expired - Fee Related JP5105773B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006139659A JP5105773B2 (ja) 2006-05-19 2006-05-19 車両用無段変速装置の変速制御装置
DE102007023254.5A DE102007023254B4 (de) 2006-05-19 2007-05-18 Getriebesteuervorrichtung für ein kontinuierlich variables Getriebe in einem Fahrzeug
US11/751,430 US7618341B2 (en) 2006-05-19 2007-05-21 Transmission control device for continuously variable transmission apparatus for vehicles

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006139659A JP5105773B2 (ja) 2006-05-19 2006-05-19 車両用無段変速装置の変速制御装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007309435A JP2007309435A (ja) 2007-11-29
JP2007309435A5 JP2007309435A5 (ja) 2009-05-28
JP5105773B2 true JP5105773B2 (ja) 2012-12-26

Family

ID=38622466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006139659A Expired - Fee Related JP5105773B2 (ja) 2006-05-19 2006-05-19 車両用無段変速装置の変速制御装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US7618341B2 (ja)
JP (1) JP5105773B2 (ja)
DE (1) DE102007023254B4 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8220609B2 (en) * 2006-03-30 2012-07-17 Jtekt Corporation Torque limiter
CN101410643B (zh) * 2006-03-30 2011-07-06 株式会社捷太格特 扭矩限制器
JP5481023B2 (ja) * 2007-10-25 2014-04-23 株式会社小松製作所 作業車両および作業車両の制御方法
GB0805213D0 (en) * 2008-03-20 2008-04-30 Torotrak Dev Ltd An electric controller for a continuously variable transmission and a method of control of a continuously variable transmission
JP5262995B2 (ja) * 2009-05-26 2013-08-14 日本精工株式会社 車両用無段変速装置
CN103261753A (zh) * 2011-02-15 2013-08-21 日本精工株式会社 车辆用无级变速装置
JP5659088B2 (ja) * 2011-06-14 2015-01-28 日本精工株式会社 車両用無段変速装置
US9969480B2 (en) * 2015-12-03 2018-05-15 Oliver Michaelis Method and apparatus for control of sailing and motor vessels

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10267118A (ja) * 1997-03-22 1998-10-09 Mazda Motor Corp トロイダル式無段変速機の制御装置
JP3458830B2 (ja) * 2000-07-21 2003-10-20 日産自動車株式会社 変速比無限大無段変速機の制御装置
JP3572612B2 (ja) 2000-07-31 2004-10-06 日産自動車株式会社 変速比無限大無段変速機のイナーシャトルク補償制御装置
JP3726685B2 (ja) * 2001-01-15 2005-12-14 日産自動車株式会社 クラッチ装置
JP4168785B2 (ja) 2002-04-18 2008-10-22 日本精工株式会社 無段変速装置用トロイダル型無段変速ユニットの変速比の制御方法及び装置
JP2004245326A (ja) * 2003-02-14 2004-09-02 Nsk Ltd 無段変速装置
JP4599905B2 (ja) 2003-06-26 2010-12-15 日本精工株式会社 無段変速装置
JP4725030B2 (ja) 2004-04-28 2011-07-13 日本精工株式会社 車両用動き出し検知方法
JP4940589B2 (ja) 2005-02-04 2012-05-30 日本精工株式会社 無段変速装置

Also Published As

Publication number Publication date
DE102007023254A1 (de) 2007-11-29
DE102007023254B4 (de) 2020-07-09
US20080058155A1 (en) 2008-03-06
US7618341B2 (en) 2009-11-17
JP2007309435A (ja) 2007-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5105773B2 (ja) 車両用無段変速装置の変速制御装置
JP3910122B2 (ja) 車両用変速システムのエンジン出力トルク制御装置
JP5463425B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP5287762B2 (ja) 無段変速装置
JP5310597B2 (ja) 無段変速装置
JP2007309383A (ja) 無段変速装置
JP5659088B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP5087788B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP5262995B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP2007100553A (ja) 無段変速装置
JP4042544B2 (ja) 副変速機を備えた自動変速機の制御装置
JP5045426B2 (ja) 車両用無段変速装置
JP4735343B2 (ja) 車両用無段変速装置の変速制御装置
JP4735038B2 (ja) 無段変速装置
JP2013002566A (ja) 車両用無段変速装置
JP4978131B2 (ja) 無段変速装置
JP4590984B2 (ja) 燃料供給装置
JP5263037B2 (ja) 無段変速装置
JP4853264B2 (ja) 無段変速装置
JP3832273B2 (ja) 自動変速機のレンジ切り換え制御装置
JP5447609B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP5682359B2 (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP2014114845A (ja) 車両用無段変速装置
JP2016156419A (ja) 車両用無段変速装置
JP2011112134A (ja) 無段変速装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090413

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090413

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110719

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110721

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120423

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20120502

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20120608

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121002

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees