JP3832273B2 - 自動変速機のレンジ切り換え制御装置 - Google Patents

自動変速機のレンジ切り換え制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無段変速機を含む自動変速機のレンジ切り換え制御、特に、走行中に自動変速機を走行レンジから非走行レンジへセレクト操作した時における伝動用摩擦要素の締結力制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有段の自動変速機としては従来、例えば昭和62年に日産自動車(株)が発行した「RE4RO1A 型オートマチックトランスミッション整備要領書」(A261CO7) に記載の如く、複数の遊星歯車組を具え、これら遊星歯車組を経由する入出力軸間の伝動経路(変速段)を油圧クラッチや油圧ブレーキなどの摩擦要素の選択的締結作動により決定し、摩擦要素の締結・解放切換えにより他の変速段への変速を行うよう構成したものが知られている。
従って有段の自動変速機には、非走行レンジ(Nレンジや、Pレンジ)で解放され、走行レンジ(Dレンジや、Rレンジ)で締結されて変速機を動力伝達不能状態から動力伝達可能状態にする伝動用摩擦要素が存在する。
【0003】
また無段変速機としては従来、例えば平成4 年に日産自動車(株)が発行した「新型車解説書NISSANマーチK11 型系車の紹介(K11-1) に記載のVベルト式無段変速機や、例えば日産自動車(株)が「エクストロイドCVT」の商品名で実用中のトロイダル型無段変速機が知られている。
これら無段変速機においても前後進切り換え機構内に、非走行レンジで解放されて無段変速機を動力伝達不能状態にし、走行レンジで締結されて無段変速機を動力伝達可能状態にする伝動用摩擦要素が存在する。
【0004】
一方で手動変速機の変速段切り換えを、手動式に代え自動的に行うようにして自動変速機化した半自動変速機にも当然、非走行レンジで解放され、走行レンジで締結されて変速機を動力伝達不能状態から動力伝達可能状態にする伝動用摩擦要素が存在する。
【0005】
そして上記した各自動変速機においては、運転者が操作するシフトレバーやシフトスイッチの操作を電気的に検出して選択レンジを判定し、これへのレンジ切り換えが行われるよう上記の伝動用摩擦要素をモータや電磁ソレノイド等のアクチュエータにより解放、締結制御する、機械的なレンジセレクト操作系を使わない所謂シフトバイワイヤ式の操作系にすることが考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかるシフトバイワイヤ式のレンジセレクト操作系は特に、操作力を軽減し得るという特長を有する反面、シフトレバーやシフトスイッチに触れただけでこれが電気的に検知され、運転者が意図していないのに不用意なレンジ切り換えが実行され易く、車輪駆動力の急変によりショックが発生したり、低摩擦路面において駆動輪がスリップして運転者に違和感を与えるという不具合が懸念される。
なお当該懸念は、シフトバイワイヤ式のレンジセレクト操作系を持たない自動変速機においても、誤操作によって発生する可能性を否定できない。
【0007】
請求項1に記載の第1発明は、走行中になのに非走行レンジへのセレクト操作があったような時における上記の違和感を抑制し得るようにした自動変速機のレンジ切り換え制御装置を提案することを目的とする。
【0008】
請求項2に記載の第2発明は、車速の高低にかかわらず上記の違和感を確実に抑制し得るようにした自動変速機のレンジ切り換え制御装置を提案することを目的とする。
【0009】
請求項3に記載の第3発明は、アクセルペダルの踏み込み量にかかわらず上記の違和感を確実に抑制し得るようにした自動変速機のレンジ切り換え制御装置を提案することを目的とする。
【0010】
請求項4に記載の第4発明は、路面の摩擦係数の如何にかかわらず上記の違和感を確実に抑制し得るようにした自動変速機のレンジ切り換え制御装置を提案することを目的とする。
【0011】
請求項5に記載の第5発明は、非制動中は上記の違和感を確実に抑制し得るようにするが、制動中は制動性能の低下を生じないようにした自動変速機のレンジ切り換え制御装置を提案することを目的とする。
【0012】
請求項6に記載の第6発明は、上記の違和感を抑制するための制御が不必要に行われることのないようにして耐久性が悪化するのを防止した自動変速機のレンジ切り換え制御装置を提案することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
これらの目的のため、先ず第1発明による自動変速機のレンジ切り換え制御装置は、
非走行レンジでは伝動用摩擦要素の解放により動力伝達不能状態にされ、走行レンジでは該伝動用摩擦要素の締結により動力伝達可能状態にされる自動変速機において、
運転者が走行中に走行レンジから非走行レンジへのセレクト操作をした時は、該走行中における非走行レンジ選択中に前記伝動用摩擦要素を解放しないで、該伝動用摩擦要素の締結力を走行レンジで要求される締結力よりも低い運転者が該非走行レンジへのセレクト操作をしたことを認知するレベルまで低下させるよう構成したことを特徴とするものである。
【0014】
第2発明による自動変速機のレンジ切り換え制御装置は、上記第1発明において、
前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を高車速では低車速の時よりも小さくするよう構成したことを特徴とするものである。
【0015】
第3発明による自動変速機のレンジ切り換え制御装置は、第1発明または第2発明において、
前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量をアクセルペダルの踏み込み量が大きいほど小さくするよう構成したことを特徴とするものである。
【0016】
第4発明による自動変速機のレンジ切り換え制御装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、
前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を低摩擦路であるほど小さくするよう構成したことを特徴とするものである。
【0017】
第5発明による自動変速機のレンジ切り換え制御装置は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、
前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を制動中は非制動中よりも大きくするよう構成したことを特徴とするものである。
【0018】
第6発明による自動変速機のレンジ切り換え制御装置は、第1発明乃至第5発明のいずれかにおいて、
設定車速未満の低車速では前記伝動用摩擦要素の締結力低下制御を終了して、該伝動用摩擦要素を非走行レンジへのセレクト操作に呼応した通常制御により解放させるよう構成したことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の効果】
自動変速機は、非走行レンジで伝動用摩擦要素の解放により動力伝達不能状態となり、走行レンジで伝動用摩擦要素の締結により動力伝達可能状態となる。
ところで第1発明の場合、走行中に走行レンジから非走行レンジへのセレクト操作があった時は、非走行レンジでも伝動用摩擦要素の上記解放を行わないでその代わりに、伝動用摩擦要素の締結力を走行レンジで要求される締結力よりも低下させる。
よって、走行中なのに非走行レンジへ誤ってセレクト操作した時にも車輪駆動力が急に0になることがなく、車輪駆動力の急変によりショックが発生したり、低摩擦路面において駆動輪がスリップし、運転者に違和感を与えるという不具合を解消することができる。
【0020】
なお運転者が上記の誤操作に気づいて走行レンジに戻す操作を行った時に、伝動用摩擦要素は解放状態ではなくて上記のごとく締結力を低下された状態から再び正規の締結状態に復帰することになるため、この時にもショックが発生することがないと共に、速やかに伝動用摩擦要素を正規締結状態へ復帰させることができて大いに有利である。
【0021】
ところで上記の目的のためだけなら、走行中に非走行レンジへ誤ってセレクト操作した時に伝動用摩擦要素の締結力を低下させずに走行レンジの時と同じ状態に保っておけばよいが、この対策では車輪駆動力の変化が全くないから、運転者は上記の誤ったセレクト操作を認知することができず、何時までも当該誤操作状態が継続する弊害を生ずる。
しかして第1発明の構成によれば、当該誤操作時に伝動用摩擦要素の締結力を走行レンジで要求される締結力よりも低下させるから、その分だけ車輪駆動力の変化が発生してこれをもとに運転者は上記の誤ったセレクト操作を認知することができ、何時までも当該誤操作状態が継続する弊害を回避し得る。
【0022】
第2発明においては、上記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を高車速では低車速の時よりも小さくするよう構成したから、伝動用摩擦要素の締結力が低下されるといっても高車速では低車速時よりも高くされ、車輪駆動力の変化量を小さくし得ることとなり、
車輪駆動力の急変によるショックが大きくなる傾向にある高車速においても当該ショックが大きくなるのを防止することができる。
【0023】
第3発明においては、上記伝動用摩擦要素の締結力の低下量をアクセルペダルの踏み込み量が大きいほど小さくするよう構成したから、伝動用摩擦要素の締結力が低下されるといってもアクセルペダルを大きく踏み込んでいる場合はアクセルペダル踏み込み量の小さい場合よりも高くされ、車輪駆動力の変化量を小さくし得ることとなり、
アクセルペダルを大きく踏み込んだ状態での非走行レンジへの誤操作時はショックが大きく、また誤操作である可能性も高い実情によくマッチして、当該大きなショックも確実に抑制することができる。
【0024】
第4発明においては、上記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を低摩擦路であるほど小さくするよう構成したから、伝動用摩擦要素の締結力が低下されるといっても低摩擦路の場合は高摩擦路の場合よりも高くされ、車輪駆動力の変化量を小さくし得ることとなり、
車輪駆動力の急変による車輪の駆動スリップが発生し易い低摩擦路においても当該車輪の駆動スリップを確実に抑制することができる。
【0025】
第5発明においては、上記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を制動中は非制動中よりも大きくするよう構成したから、伝動用摩擦要素の締結力を制動中は非制動中よりも低くすることとなり、
結果として制動中は非制動中よりも、クリープトルク等のエンジン駆動力が車輪に伝わるのを抑制して、制動性能の低下を生じないようにし得る。
【0026】
第6発明においては、設定車速未満の低車速では上記伝動用摩擦要素の締結力低下制御を終了して、この伝動用摩擦要素を非走行レンジへのセレクト操作に呼応した通常制御により解放させるよう構成したため、
上記したショックの問題や、車輪駆動スリップの問題や、制動性能の低下に関する問題を生じない当該低車速のもとで、伝動用摩擦要素の締結力低下制御が不要に行われるのを回避し、伝動用摩擦要素が不必要に滑って耐久性が損なわれるのを防止することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明一実施の形態になるレンジ切り換え制御装置を具えたトロイダル型無段変速機とその制御系を示すものである。
先ず伝動経路の概略を説明するに、エンジン1の回転はトルクコンバータ2および変速機入力軸3を経て前後進切り換え機構4に伝達される。
【0028】
トルクコンバータ2は、エンジン駆動される入力要素としてのポンプインペラ2a、変速機入力軸3に結合した出力要素としてのタービンランナ2b、およびワンウェイクラッチ2c上に乗せた反力要素としてのステータ2dを具え、エンジン駆動されるポンプインペラ2aから遠心力を受けた作動流体がタービンランナ2bに衝突した後ステータ2dを経てポンプインペラ2aに戻る間、ステータ2dによる反力下でタービンランナ2bをトルク増大しつつ、またトルク変動吸収下に流体駆動し、タービンランナ2bから変速機入力軸3にエンジントルクを伝達する。
トルクコンバータ2は更に、上記のトルク増大機能およびトルク変動吸収機能が不要な低負荷、高回転時に入出力要素2a,2b間を直結して伝動効率を高めるためにロックアップクラッチ2eを具える。
【0029】
前後進切り換え機構4は、Dレンジでの前進走行時においては前進クラッチ4aを締結されてトルクコンバータ2からのエンジン回転をそのまま伝達し、Rレンジでの後進走行時においては後進ブレーキ4bを締結されてトルクコンバータ2からのエンジン回転を減速、逆転下に伝達し、P,Nレンジでの駐停車時においては前進クラッチ4aおよび後進ブレーキ4bの双方を解放されてトルクコンバータ2からのエンジン回転を後段に伝達しなくする。
従って、前進クラッチ4aがDレンジでの伝動用摩擦要素となり、後進ブレーキ4bがRレンジでの伝動用摩擦要素となる。
【0030】
前後進切り換え機構4の後段には、2個のトロイダル伝動ユニット(フロント側トロイダル伝動ユニット5およびリヤ側トロイダル伝動ユニット6)を、同軸背中合わせに設ける。
これらトロイダル伝動ユニット5,6はそれぞれ、入力ディスク7と、これに同軸に対向配置した出力ディスク8と、対応する入出力ディスク7,8間に介在させた一対ずつのパワーローラ9とを具えた同様な構成とする。
【0031】
両トロイダル伝動ユニット5,6は、それぞれの出力ディスク8が背中合わせになるよう同軸に配置し、この配置に当たっては、それぞれの入力ディスク7を主軸10に回転係合させて前後進切り換え機構4からの回転が共通に入力されるようになし、それぞれの出力ディスク8を主軸10上に回転自在に支持する。
また両出力ディスク8は中空出力軸11を介して相互に一体結合し、この中空出力軸11上に出力歯車12を固設する。
【0032】
出力歯車12は、カウンターシャフト13の前端におけるカウンターギヤ14に噛合させ、カウンターギヤ14の後端を出力歯車組15を経て、主軸10の後方へ同軸配置した変速機出力軸16に駆動結合させる。
【0033】
前後進切り換え機構4からの回転は両入力ディスク7へ共通に伝達され、入力ディスク7の回転は対応するパワーローラ9を介して出力ディスク8に達し、この回転が共通な出力歯車12から、これに噛合するカウンターギヤ14およびカウンターシャフト13、並びに出力歯車組15を順次経て変速機出力軸16から取り出される。
【0034】
変速に際しては、パワーローラ9を自己の回転軸線が入出力ディスク7,8の回転軸線と交差する中立位置から同期して同位相でオフセットさせると、パワーローラ9が回転時の分力によりパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線周りに同期して同位相で傾転され、これにより入出力ディスク7,8に対するパワーローラ9の接触軌跡円弧径が連続的に変化して所定の無段変速を行うことができる。
なお変速比が指令変速比になったところで、パワーローラ9を上記オフセットが0の初期ストローク位置に戻すことで、パワーローラ9の自己傾転は行われなくなり指令変速比を保つことができる。
【0035】
トロイダル伝動ユニット5,6のかかる変速制御、前後進切り換え機構4における前進クラッチ4aおよび後進ブレーキ4bの締結、解放制御、およびトルクコンバータ2におけるロックアップクラッチ2eの締結、解放制御はそれぞれ、コントロールバルブボディー21を介して変速機コントローラ22によりこれらを実行する。
【0036】
これがため変速機コントローラ22には、エンジン1のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度Tセンサ23からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量APSを検出するアクセルペダル踏み込み量センサ24からの信号と、
ブレーキペダルの踏み込み時にONとなって制動状態を検知するブレーキスイッチ25からの信号と、
車速VSPを検出する車速センサ26からの信号と、
車両駆動輪の回転周速を検出する駆動輪速センサ27から信号と、
車両被駆動輪の回転周速を検出する被駆動輪速センサ28から信号とを入力する。
【0037】
変速機コントローラ22はこれら入力情報をもとに、図示せざる変速制御プログラムによりトルクコンバータ2のロックアップ制御、更に前後進切り換え機構4における前進クラッチ4aおよび後進ブレーキ4bの締結、解放制御、並びにトロイダル伝動ユニット5,6の変速制御を通常通りに行うほか、図2の制御プログラムを実行して、Dレンジ時の動力伝達用摩擦要素である前進クラッチ4aの締結力制御により本発明が狙いとするレンジ切り換え制御を以下のごとくに行うものとする。
なお、Rレンジ時の動力伝達用摩擦要素である後進ブレーキ4bの締結力制御によるレンジ切り換え制御も、前進クラッチ4aの締結力制御と同様のものであることは言うまでもない。
【0038】
先ずステップ31で選択レンジが非走行レンジであるN(中立)レンジか否かを、またステップ32で車両が走行中(但し、図3に示す設定車速VSPS =10Km/h未満の低車速を除く)か否かを判定する。
Nレンジでなかったり、車両が停車中であったり、走行中であっても車速VSPが設定車速VSPS 未満の低車速である場合は、本発明によるレンジ切り換え制御が不要であるからステップ33において、前進クラッチ4aを選択レンジのみに応じ通常通りに締結、解放制御する。
【0039】
ステップ31でNレンジ選択中と判定し、且つ、ステップ32で車両が走行中(但し、設定車速VSPS 未満の低車速を除く)であると判定する時は、つまり、Dレンジでの走行中にもかかわらず動力伝達が行われないNレンジを運転者が指令したと判定する時は、前進クラッチ4aをNレンジ指令にもかかわらず解放させないでおき、その代わりに前進クラッチ4aの締結力を以下のごとくに低下制御する。
即ちステップ34で高車速と判定する時、またはステップ35でアクセルペダル踏み込み量APSが図3に示す設定踏み込み量APSS 以上であると判定する時、或いはステップ36で、センサ27,28からの駆動輪速および被駆動輪速間における差から求め得る路面摩擦係数μが低い低摩擦路であると判定する時は、ステップ37において、前進クラッチ4aの締結力をDレンジで要求される締結力の20%減とし、Dレンジで要求される締結力の80%相当値になるよう低下制御する。
【0040】
次のステップ38では、ブレーキスイッチ25からの信号により制動中か否かをチェックし、制動中ならステップ39において、前進クラッチ4aの締結力をDレンジで要求される締結力の80%減とし、Dレンジで要求される締結力の20%相当値になるよう低下制御し、制動中でなければステップ40において、前進クラッチ4aの締結力をDレンジで要求される締結力の40%減とし、Dレンジで要求される締結力の60%相当値になるよう低下制御する。
【0041】
しかしてステップ32で、車両走行中だけれども車速VSPが設定車速VSPS (=10Km/h)未満の低車速であると判定する時は、ステップ33において前進クラッチ4aが通常通りに締結、解放制御されることから、上記前進クラッチ4aの締結力低下制御は当該判定瞬時に中止され、Nレンジ指令に呼応して前進クラッチ4aは即座に解放状態にされる。
【0042】
上記前進クラッチ4aの締結力低下制御を、図3のごとく非制動状態(ブレーキスイッチ25がOFF)での走行中、瞬時t1に走行レンジであるDレンジから非走行レンジであるNレンジに誤ったセレクト操作がなされ、瞬時t2にアクセルペダル踏み込み量APSが設定踏み込み量APSS 未満にされ、瞬時t3に車速VSPが設定車速VSPS 未満の低車速になった場合につき説明する。
瞬時t1まではDレンジ故にステップ31がステップ33を選択し、ここで前進クラッチ4aの締結力をDレンジの選択に呼応してDレンジでの要求値と同じに値(100%)にしている。
【0043】
瞬時t1では、車速VSPが発生している走行中なのに誤ってDレンジからNレンジへのレンジ切り換えが指令されたことからステップ31がステップ32を選択し、ステップ32がステップ34以後へ制御を進める。
ところでアクセルペダル踏み込み量APSが設定踏み込み量APSS 以上であるから、制御はステップ34,35を経てステップ37に至り、ここで前進クラッチ4aの締結力を、DレンジからNレンジへのレンジ切り換え指令にもかかわらず0(解放)とせず、その代わりにDレンジで要求される締結力の20%減とし、Dレンジで要求される締結力の80%相当値に低下制御する。
【0044】
瞬時t2では、アクセルペダル踏み込み量APSが設定踏み込み量APSS 未満にされたのに呼応し、ステップ35がステップ36(今、高摩擦路走行中とする),38を経てステップ40を選択し、ここで前進クラッチ4aの締結力をDレンジで要求される締結力の40%減とし、Dレンジで要求される締結力の60%相当値に低下制御する。
【0045】
瞬時t3では、車速VSPが設定車速VSPS 未満の低車速になったのに呼応してステップ32がステップ33を選択するようになり、ここで前進クラッチ4aの上記締結力低下制御を終了し、前進クラッチ4aの締結力を通常制御に戻す。
これにより前進クラッチ4aの締結力はNレンジ指令に呼応して0(解放)となるが、この締結力を前進クラッチ4aの上記締結力低下制御に対応させて表現すると、Dレンジで要求される締結力の100%減、つまりDレンジで要求される締結力の0%相当値となる。
【0046】
上記した実施の形態によれば、走行中に走行(D)レンジから非走行(N)レンジへのセレクト操作があった時は、非走行(N)レンジ指令でも伝動用摩擦要素である前進クラッチ4aの解放を行わないでその代わりに、前進クラッチ4aの締結力を走行(D)レンジで要求される締結力よりも低下させるから、
走行中なのに非走行(N)レンジへ誤ってセレクト操作した時にも車輪駆動力が急に0になることがなく、車輪駆動力の急変によりショックが発生したり、低摩擦路面において駆動輪がスリップし、運転者に違和感を与えるという不具合を解消することができる。
【0047】
なお運転者が上記の誤操作に気づいて走行(D)レンジに戻す操作を行った時に、前進クラッチ4aは解放状態ではなくて上記のごとく締結力を低下された状態から再び正規の締結状態に復帰することになるため、この時にもショックが発生することがないと共に、速やかに前進クラッチ4aを正規締結状態へ復帰させることができて大いに有利である。
【0048】
ところでこれらの目的のためだけなら、走行中に非走行(N)レンジへ誤ってセレクト操作した時に前進クラッチ4aの締結力を低下させずに走行(D)レンジの時と同じ状態に保っておけばよいことになるが、この対策では車輪駆動力の変化が全くないから、運転者は上記の誤ったセレクト操作を認知することができず、何時までも当該誤操作状態が継続する弊害を生ずる。
しかして上記した実施の形態によれば、当該誤操作時に前進クラッチ4aの締結力を走行(D)レンジで要求される締結力よりも低下させるから、その分だけ車輪駆動力の変化が発生してこれをもとに運転者は上記の誤ったセレクト操作を感覚的に認知することができ、何時までも当該誤操作状態が継続する弊害を回避し得る。
【0049】
また本実施の形態においては特に、上記前進クラッチ4aの締結力の低下量をステップ34で高車速と判定する時は低車速判定時よりも小さくする(ステップ37)よう構成したから、前進クラッチ4aの締結力が低下されるといっても高車速では低車速時よりも高くされ、車輪駆動力の変化量を小さくし得ることとなり、
車輪駆動力の急変によるショックが大きくなる傾向にある高車速においても当該ショックが大きくなるのを防止することができる。
【0050】
更に本実施の形態においては、ステップ35でアクセルペダル踏み込み量APSが大きいとステップ35で判定する時、上記前進クラッチ4aの締結力の低下量を小さくする(ステップ37)よう構成したから、前進クラッチ4aの締結力が低下されるといってもアクセルペダルを大きく踏み込んでいる場合はアクセルペダル踏み込み量の小さい場合よりも高くされ、車輪駆動力の変化量を小さくし得ることとなり、
アクセルペダルを大きく踏み込んだ状態での非走行レンジへの誤操作時はショックが大きく、また誤操作である可能性も高い実情によくマッチして、当該大きなショックも確実に抑制することができる。
【0051】
また本実施の形態においては、上記前進クラッチ4aの締結力の低下量を低摩擦路(ステップ36)であるほど小さくする(ステップ37)よう構成したから、前進クラッチ4aの締結力が低下されるといっても低摩擦路の場合は高摩擦路の場合よりも高くされ、車輪駆動力の変化量を小さくし得ることとなり、
車輪駆動力の急変による車輪の駆動スリップが発生し易い低摩擦路においても当該車輪の駆動スリップを確実に抑制することができる。
【0052】
更に加えて上記前進クラッチ4aの締結力の低下量を、ステップ38での判定結果に応じて制動中は非制動中よりも大きくする(ステップ39)よう構成したから、前進クラッチ4aの締結力を制動中は非制動中よりも低くすることとなり、
結果として制動中においては非制動中よりも、クリープトルク等のエンジン駆動力が車輪に伝わるのを抑制して、制動性能の低下を生じないようにすることができる。
【0053】
なお、走行中なのにNレンジが指令される誤操作があっても、車速VSPが設定車速VSPS 未満の低車速(ステップ32)では上記前進クラッチ4aの締結力低下制御を終了して、この前進クラッチ4aをNレンジへのセレクト操作に呼応した通常制御(ステップ33)により解放させるよう構成したため、
上記したショックの問題や、車輪駆動スリップの問題や、制動性能の低下に関する問題を生じない当該低車速のもとで、前進クラッチ4aの締結力低下制御が不要に行われるのを回避し、前進クラッチ4aが不必要に滑って耐久性が損なわれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になるレンジ切り換え制御装置を具えたトロイダル型無段変速機のを、その制御系とともに示す概略説明図である。
【図2】 同実施の形態における変速機コントローラが、走行中なのに誤ってNレンジにセレクト操作した時におけるレンジ切り換え制御のために実行する前進クラッチの締結力低下制御を示すフローチャートである。
【図3】 同実施の形態における前進クラッチの締結力低下制御動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 変速機入力軸
4 前後進切り換え機構
4a 前進クラッチ(伝動用摩擦要素)
4b 後進ブレーキ(伝動用摩擦要素)
5 フロント側トロイダル伝動ユニット
6 リヤ側トロイダル伝動ユニット
7 入力ディスク
8 出力ディスク
9 パワーローラ
10 主軸
11 中空出力軸
12 出力歯車
13 カウンターシャフト
14 カウンターギヤ
15 出力歯車組
16 変速機出力軸
21 コントロールバルブボディー
22 変速機コントローラ
23 スロットル開度センサ
24 アクセルペダル踏み込み量センサ
25 ブレーキスイッチ
26 車速センサ
27 駆動輪速センサ
28 被駆動輪速センサ

Claims (6)

  1. 非走行レンジでは伝動用摩擦要素の解放により動力伝達不能状態にされ、走行レンジでは該伝動用摩擦要素の締結により動力伝達可能状態にされる自動変速機において、
    運転者が走行中に走行レンジから非走行レンジへのセレクト操作をした時は、該走行中における非走行レンジ選択中に前記伝動用摩擦要素を解放しないで、該伝動用摩擦要素の締結力を走行レンジで要求される締結力よりも低い運転者が該非走行レンジへのセレクト操作をしたことを認知するレベルまで低下させるよう構成したことを特徴とする自動変速機のレンジ切り換え制御装置。
  2. 請求項1において、前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を高車速では低車速の時よりも小さくするよう構成したことを特徴とする自動変速機のレンジ切り換え制御装置。
  3. 請求項1または2において、前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量をアクセルペダルの踏み込み量が大きいほど小さくするよう構成したことを特徴とする自動変速機のレンジ切り換え制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を低摩擦路であるほど小さくするよう構成したことを特徴とする自動変速機のレンジ切り換え制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、前記伝動用摩擦要素の締結力の低下量を制動中は非制動中よりも大きくするよう構成したことを特徴とする自動変速機のレンジ切り換え制御装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、設定車速未満の低車速では前記伝動用摩擦要素の締結力低下制御を終了して、該伝動用摩擦要素を非走行レンジへのセレクト操作に呼応した通常制御により解放させるよう構成したことを特徴とする自動変速機のレンジ切り換え制御装置。
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