JP3894041B2 - 車輌の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動源と駆動車輪との間に有段変速機を備えて、要求に応じた駆動力の切替えが可能な車輌の制御装置に係り、詳しくは、前記有段変速機の変速段切替え後に違和感なく通常走行状態に戻すことが可能な車輌の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特にオフロードを走行するための車輌などには、例えば自動変速機の出力回転を伝達するディファレンシャルギヤと駆動車輪に連結されるプロペラシャフトとの間に、2段変速が可能な有段変速機、所謂トランスファーを備えているものがある。このような車輌では、例えば平坦路などを走行するための低トルクで、かつ高速回転を伝達するための高速ギヤ比と、例えば登坂路などを走行するための高トルクで、かつ低速回転を伝達するための低速ギヤ比と、をトランスファーの変速段を選択することで切替え、つまり駆動源からの駆動力を2段階に切替えて出力することを可能としている。
【0003】
しかし、上記トランスファーを備えた車輌によると、停止状態(特にシフトレンジがPレンジ又はNレンジであって駆動力が伝達されていない状態)では該トランスファーの変速段を切替えることができるが、該トランスファーに駆動源からの駆動力が伝達されている状態では該トランスファーの変速段を切替えることができない。このため、車輌が走行している状態でドライバが変速段の切替えを望んでいても、該変速段を切替えることはできないという問題があった。
【0004】
そこで、上記問題を解消するための車輌の制御装置が本出願人により提案されている(特願2001−367727:未公開)。該車輌の制御装置は、エンジンと駆動車輪との間に介在し、該エンジンの出力回転を、クラッチやブレーキ等の複数の摩擦係合要素(係合要素)の係合状態に基づき変速して、トランスファーを介して駆動車輪に伝達し得る自動変速機を備え、車輌の走行中に、切替え要求を検出したときの自動変速機の変速状態に応じて、エンジンと駆動車輪との間で動力伝達を切断するように、複数の摩擦係合要素を選択的に切断状態にして、該切断中にトランスファーの変速段を切替え制御するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記車輌の制御装置では、選択した摩擦係合要素を解放して動力伝達を切断することにより、車輌走行中においてトランスファーの変速段を容易に切替えることができるが、例えば該変速段の切替え後には、以下のような不都合を招くことも考えられる。つまり、該車輌の制御装置では、トランスファーの変速段の切替え制御中に、自動変速機をニュートラル状態にした際に所謂エンジン吹きが発生する現象を回避するため、ニュートラル状態に移行した時点でエンジントルクを抑えるように制御(トルクリミテーション)しているが、該制御をクラッチの係合完了時まで実施するため、アクセルONによるドライバの加速要求に対してエンジントルクの回復が追いつかず、車輌の加速が遅れることによる不快感を与える虞がある。
【0006】
そこで本発明は、トランスファー(有段変速機)の変速段切替え後のエンジントルク(駆動源出力)の上昇タイミングを改善して、該駆動源出力を、自動変速機の動力伝達の回復に追随して増大させ得るように構成し、もって上述した課題を解決した車輌の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図11参照)、少なくとも2段の変速段を有して変速切替え自在な有段変速機(8)に接続し得、駆動源(2)の出力を複数の係合要素(例えばC−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態に基づき変速して駆動車輪に伝達する自動変速機(3)を備えてなる車輌の制御装置(1)において、
前記係合要素(例えばC−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態を操作し得る油圧サーボ(例えば61〜65)と、
前記有段変速機(8)の変速段の切替え要求を検出する切替え要求検出手段(11)と、
前記切替え要求検出手段(11)が前記切替え要求を検出した際に、前記自動変速機(3)が前記駆動源(2)と駆動車輪との動力伝達を切断するように前記複数の係合要素のうち所定の係合要素(例えばC−1)を切断する動力伝達切断手段(12)と、
前記動力伝達切断手段(12)による前記自動変速機(3)の動力伝達の切断中に該有段変速機(8)の変速段を切替え制御する切替え制御手段(13)と、
前記切替え制御手段(13)による切替え制御の後、切断されていた前記自動変速機(3)の動力伝達を接続するように係合すべき係合要素(例えばC−1)を制御する動力伝達接続手段(14)と、
前記駆動源(2)の出力トルクを、前記動力伝達切断手段(12)による動力伝達の切断中、トルクリミテーションによって所定レベルに低下すると共に、前記係合すべき係合要素(例えばC−1)が該係合要素に対応する前記油圧サーボ(61)の油圧上昇によって係合を開始した時点から係合を完了するまでの該油圧上昇に対応するように徐々に上昇させる制御を行う出力制御手段(15)と、を備えてなる、
ことを特徴とする車輌の制御装置。
【0008】
なお、本発明においては、車輌が停止状態(速度が0)であっても、シフトレンジがD(ドライブ)レンジ、R(リバース)レンジ等の走行レンジである場合(駆動力が駆動輪に伝達されている場合)にはその状態を「走行状態」とするものであり、従って、車輌は停止状態であっても走行レンジの選択中であれば本発明が成立することは勿論である。
【0010】
請求項2に係る本発明は(例えば図1、図4、図10及び図11参照)、少なくとも2段の変速段を有して変速切替え自在な有段変速機(8)に接続し得、駆動源(2)の出力を複数の係合要素(例えばC−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態に基づき変速して駆動車輪に伝達する自動変速機(3)を備えてなる車輌の制御装置(1)において、
前記係合要素(例えばC−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態を操作し得る油圧サーボ(例えば61〜65)の油圧を制御する油圧制御装置(30)と、
前記有段変速機(8)の変速段の切替え要求を検出する切替え要求検出手段(11)と、
前記切替え要求検出手段(11)が前記切替え要求を検出した際に、前記自動変速機(3)が前記駆動源(2)と駆動車輪との動力伝達を切断するように前記複数の係合要素のうち所定の係合要素(例えばC−1)を切断する動力伝達切断手段(12)と、
前記動力伝達切断手段(12)による前記自動変速機(3)の動力伝達の切断中に該有段変速機(8)の変速段を切替え制御する切替え制御手段(13)と、
前記切替え制御手段(13)による切替え制御の後、切断されていた前記自動変速機(3)の動力伝達を接続するように係合すべき係合要素(例えばC−1)を制御する動力伝達接続手段(14)と、
前記駆動源(2)の出力トルクを、前記動力伝達切断手段(12)による動力伝達の切断中、トルクリミテーションによって所定レベルに低下すると共に、前記係合すべき係合要素(例えばC−1)が係合を開始した時点から徐々に上昇させるように制御する出力制御手段(15)と、を備え、
前記油圧制御装置(30)は、前記動力伝達接続手段(14)による制御時に前記係合すべき係合要素(例えばC−1)に対応する前記油圧サーボ(61)の該係合要素の係合開始から係合完了するまでの油圧を、前記係合要素の係合開始後に上昇開始する前記駆動源(2)の出力トルクの上昇に対応させて設定してなる、
ことを特徴とする車輌の制御装置(1)にある。
【0011】
請求項に係る本発明は(例えば図1、図10及び図11参照)、前記出力制御手段(15)は、前記係合すべき係合要素(例えばC−1)の係合開始のタイミングを、前記自動変速機(3)の入力軸(4a)に関する回転数の変化に基づき検出してなる、
請求項1又は2記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、有段変速機の切替えが終了した後、自動変速機の切断時に選択した係合要素の係合開始のタイミングに合わせて、駆動源の出力を所定レベルから上昇させるので、係合すべき係合要素が完全係合してから駆動源出力を上昇させる場合に比して、駆動源出力(エンジントルク)の上昇を早めることができる。その結果、アクセルONによるドライバの加速要求に適切に応答することができ、ドライバに応答遅れによる不快感を与えるような不都合を回避することができる。
【0014】
そして、出力制御手段が、駆動源出力を、係合すべき係合要素に対応する油圧サーボの油圧上昇に対応するように徐々に上昇させるので、或る時点での油圧にて得られる係合要素の係合状態で可能な動力伝達を上回るような駆動源出力を供給することを回避して、係合要素の係合完了時にショックが発生してドライバに不快感を与えるような不都合を確実に回避することができる。
【0015】
請求項に係る本発明によると、有段変速機の切替えが終了した後、自動変速機の切断時に選択した係合要素の係合開始のタイミングに合わせて、駆動源の出力を所定レベルから上昇させるので、係合すべき係合要素が完全係合してから駆動源出力を上昇させる場合に比して、駆動源出力(エンジントルク)の上昇を早めることができる。その結果、アクセルONによるドライバの加速要求に適切に応答することができ、ドライバに応答遅れによる不快感を与えるような不都合を回避することができる。そして、係合要素に対する油圧を駆動源出力の増大に合わせて上昇させるように構成することにより、駆動源出力を、トルクの急な変化が無いように徐々に増大させることができる。従って、トルク変動によるショックの発生を抑制しつつ、クラッチ等の容量不足による例えばエンジン吹きの問題を回避して、ドライバに不快感を与えるような不都合を確実に回避することができる。
【0016】
請求項に係る本発明によると、出力制御手段が係合要素の係合開始のタイミングを、自動変速機の入力軸に関する回転数の変化に基づき検出するので、特別な検出手段を別途用意することなく、容易に係合開始のタイミングを検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図に沿って説明する。
【0018】
まず、本発明を適用し得る自動変速機及び有段変速機(以下、「トランスファー」とする。)について図2ないし図4に沿って説明する。図2は本発明に係る自動変速機3及びトランスファー8を示すスケルトン図、図3は自動変速機3の作動表、図4は油圧制御装置30を示す一部省略図である。
【0019】
図2に示すように、自動変速機3は、ミッションケース7内にトルクコンバータ5及び有段変速機構としての自動変速機構4を備えており、内燃エンジン(駆動源)2からの出力が、該トルクコンバータ5のポンプインペラ5aに入力され、該トルクコンバータ5のタービンランナ5bを介して自動変速機構4の入力軸4aに入力されている。また、該トルクコンバータ5には、ロックアップクラッチ6が設けられている。
【0020】
自動変速機構4には、シンプルプラネタリギヤSPと、2つのプラネタリギヤが連結されるような形であるラビニョタイプのプラネタリギヤユニットRPとが設けられている。該シンプルプラネタリギヤSPは、サンギヤS1と、該サンギヤS1に噛合するキャリヤCR1と、該キャリヤCR1に噛合するリングギヤR1とから構成されており、該シンプルプラネタリSPのリングギヤR1に上記入力軸4aが連結されている。また、サンギヤS1は、上記入力軸4aの軸上において上記ミッションケース7の一部に回転不能に固定支持されており、キャリヤCR1は、クラッチC−3及びクラッチC−1に連結されている。
【0021】
一方、上記プラネタリギヤユニットRPは、2つのサンギヤS2,S3と、ピニオンP1及びロングピニオンP2を有してサンギヤS2,S3に噛合するキャリヤCR2と、該キャリヤCR2に噛合するリングギヤR3とから構成されている。該サンギヤS2は、上記クラッチC−3に連結されていると共にブレーキB−1に連結されており、該クラッチC−3が係合すると上記キャリヤCR1に連結され、ブレーキB−1によりミッションケース7に対して係止されると回転不能に固定される。また、サンギヤS3は、クラッチC−1に連結されており、該クラッチC−1が係合すると上記キャリヤCR1に連結される。
【0022】
上記キャリヤCR2は、一端がクラッチC−2に連結されており、該クラッチC−2が係合すると入力軸4aに連結され、また、他端がワンウェイクラッチF−1に連結されていると共にブレーキB−2に連結されており、該ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されていると共にブレーキB−1によりミッションケース7に対して係止されると回転不能に固定される。そして、上記リングギヤR3は、自動変速機構4の出力軸4bに連結されており、上記複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態により前進6速段、後進1速段の回転が該出力軸4bに伝達される。
【0023】
上記自動変速機構4の出力軸4bは、不図示のディファレンシャルギヤなどを介してトランスファー(T/F)8の入力部に接続されており、該トランスファー8の出力部が不図示のプロペラシャフト等を介して駆動車輪に連結されている。該トランスファー8は、例えば2段階からなる高速段及び低速段の変速段を有しており、該高速段は、例えば平坦路などを走行するための低トルクで、かつ上記出力軸4bの回転を高速回転で駆動車輪に伝達するための高速ギヤ比からなり、該低速段は、例えば登坂路などを走行するための高トルクで、かつ上記出力軸4bの回転を低速回転で駆動車輪に伝達するための低速ギヤ比からなる。
【0024】
上記自動変速機3には、図4に示すように、上記クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2の係合・解放を制御する油圧制御装置30が備えられており、不図示のモジュレータバルブ等により供給されるソレノイドモジュレータ圧が、油路52を介して第1ソレノイドバルブ31、第2ソレノイドバルブ32、第3ソレノイドバルブ33、第4ソレノイドバルブ34、及び第5ソレノイドバルブ35にそれぞれ入力されている。それら第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35は、後述する制御装置10からの信号を受けて、該ソレノイドモジュレータ圧に基づく信号圧を発生し、それぞれ油路53,54,55,56,57より出力する。
【0025】
一方、クラッチC−1のアクチュエータ(油圧サーボ)61にはコントロールバルブ36が、クラッチC−2のアクチュエータ(油圧サーボ)62にはコントロールバルブ37が、クラッチC−3のアクチュエータ(油圧サーボ)63にはコントロールバルブ38が、ブレーキB−1のアクチュエータ(油圧サーボ)64にはコントロールバルブ39が、ブレーキB−2のアクチュエータ(油圧サーボ)65にはコントロールバルブ40が、それぞれ接続されており、それらコントロールバルブ36,37,38,39,40には不図示のプライマリレギュレータバルブ等により供給されるライン圧が入力されている。そして、第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35により油路53,54,55,56,57を介してコントロールバルブ36,37,38,39,40に信号圧が入力されることで、上記クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2のアクチュエータ61乃至65に上記ライン圧がコントロールされる形で供給されて、それらクラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2の係合・解放が制御される。
【0026】
なお、上記アクチュエータ(油圧サーボ)61乃至65は、クラッチやブレーキに隙間を介在させて設けられた複数の内摩擦板と外摩擦板とを押圧するためのピストンを有して、それらクラッチやブレーキの係合状態を自在に操作し得るように構成されている。以下の説明において、クラッチの係合状態における「ガタ詰め制御」とは、ピストン、内摩擦板及び外摩擦板のそれぞれに介在する隙間を詰めている状態で、かつクラッチが係合しない状態に制御することを意味する。また「スリップ制御」とは、上記ガタ詰めの状態を更に進めて、内摩擦板と外摩擦板とが僅かにつれ回りする程度の状態に制御することを意味し、「完全係合制御」とは、内摩擦板と外摩擦板とが完全に係合して一体的に回転する状態に制御することを意味している。
【0027】
つづいて、自動変速機3の作動を図2及び図3に沿って説明する。図3に示すように、シフトレンジがPレンジ及びNレンジである場合、クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2は全て解放状態であり、特にクラッチC−1,C−2,C−3が解放されているので、入力軸4aと出力軸4bとの動力伝達が切断されている状態である。
【0028】
前進1速段(1st)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1が係合されると共にワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。そして、サンギヤS3の減速回転が、ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されているキャリヤCR2を介して更に減速されてリングギヤR3に入力され、つまり、入力軸4aの回転が1速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。なお、エンジンブレーキ時には、上記ワンウェイクラッチF−1に代わってブレーキB−2が係合され、キャリヤCR2の回転が固定される。
【0029】
前進2速段(2nd)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1及びブレーキB−1が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。一方、ブレーキB−1によりサンギヤS2の回転がミッションケース7に対して固定される。そして、固定されたサンギヤS2とサンギヤS3との減速回転によりキャリヤCR2が減速回転し、該サンギヤS3の減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が2速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。
【0030】
前進3速段(3rd)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力され、更に、クラッチC−3を介してサンギヤS2にも同じ減速回転が入力される。そして、サンギヤS2及びサンギヤS3の減速回転によりキャリヤCR2及びリングギヤR3が同じ減速回転となって該リングギヤR3より出力され、つまり入力軸4aの回転が3速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。
【0031】
前進4速段(4th)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。一方、クラッチC−2を介してキャリヤCR2にも入力軸4aの回転が入力される。そして、サンギヤS3の減速回転とキャリヤCR2の入力軸4aの回転とにより、僅かに減速される減速回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が4速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。
【0032】
前進5速段(5th)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−3を介してサンギヤS2に該減速回転が入力される。一方、クラッチC−2を介してキャリヤCR2にも入力軸4aの回転が入力される。そして、サンギヤS2の減速回転とキャリヤCR2の入力軸4aの回転とにより、僅かに増速される増速回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が5速段の増速回転として出力軸4bに伝達される。
【0033】
前進6速段(6th)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−2及びブレーキB−1が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がクラッチC−2を介してキャリヤCR2に入力される。一方、ブレーキB−1によりサンギヤS2の回転がミッションケース7に対して固定される。そして、固定されたサンギヤS2とキャリヤCR2の入力軸4aの回転とにより増速回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が6速段の増速回転として出力軸4bに伝達される。
【0034】
後進1速段(Rev)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−3及びブレーキB−2が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−3を介してサンギヤS2に該減速回転が入力される。一方、ブレーキB−2によりキャリヤCR2の回転がミッションケース7に対して固定される。そして、固定されたキャリヤCR2によりサンギヤS2の減速回転が逆転回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が後進の逆転回転として出力軸4bに伝達される。
【0035】
また、ニュートラル(N)の状態(全てのクラッチ及びブレーキを解放した状態)から、上記油圧制御装置30によりブレーキB−1だけを係合させると、図2に示すように、サンギヤS2がミッションケース7に対して固定される。一方、キャリヤCR2はワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されており、固定されたサンギヤS2と一方向の回転が規制されたキャリヤCR2とにより、リングギヤR3の逆転回転が規制される。つまり、ブレーキB−1を係合することにより出力軸4aの逆転回転が規制され、所謂ヒルホールドの状態となる。なお、この際のブレーキB−1の油圧は、通常の係合油圧でなく、車輌が後進しないように駆動車輪を固定し得る程度の比較的低い油圧(以下、「ヒルホールド圧」とする)である。
【0036】
ついで、本発明の要部となる車輌の制御装置1を図1に沿って説明する。図1は本発明に係る車輌の制御装置1を示すブロック図である。図1に示すように、車輌の制御装置1は主制御部(ECU)10を備えており、該主制御部10には、不図示の運転席に配設され、トランスファー8の変速段を選択するためのトランスファー切替えレバー21、及び自動変速機3のシフトレンジを選択するためのシフトレバー26と、各種センサ(車速センサ22、自動変速機3の入力軸4aに配設されている入力軸回転数センサ23、自動変速機3の出力軸4bに配設されている出力軸回転数センサ27、スロットル開度センサ24、及びエンジン2に配設されているエンジン回転数センサ25)とが、それぞれ接続されている。
【0037】
また、上記主制御部10は、切替え要求検出手段11、動力伝達切断手段12、切替え制御手段13、動力伝達接続手段14、出力制御手段15、及びシフトレンジ検出手段16を備えており、該主制御部10には、エンジン2と、上記第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35を有する油圧制御装置30と、トランスファー8と、が接続されている。
【0038】
次に、上記車輌の制御装置1の各手段の機能について説明する。上記切替え要求検出手段11は、トランスファー切替えレバー21の選択位置に基づき、ドライバ等によるトランスファー8の切替え要求を検出し、動力伝達切断手段12に所定信号を出力する。
【0039】
上記動力伝達切断手段12は、車輌の走行状態にあって切替え要求検出手段11が切替え要求を検出した際に、自動変速機3がエンジン2と駆動車輪との間の動力伝達を切断するように油圧制御装置30を制御する。即ち、動力伝達切断手段12は、車輌の走行状態にあって、切替え要求検出手段11からの上記所定信号を受けた際、シフトレバー26の選択位置によりシフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段16の検出結果に基づき、自動変速機3にてエンジン2と駆動車輪との間の動力伝達を切断するように、上記切替え要求を検出した際の変速段(変速状態)に応じてクラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2のうちから切断状態にすべきものを選択し、更に、該選択に基づいて油圧制御装置30(第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35)を制御する。
【0040】
なお、本実施の形態においては、車輌が停止状態(速度が0)であっても、シフトレンジがDレンジ、Rレンジ等の走行レンジである場合(駆動力が駆動輪に伝達されている場合)には、その状態を「走行状態」とする。
【0041】
上記切替え制御手段13は、自動変速機3の動力伝達の切断中、つまり上記動力伝達切断手段12により動力伝達が切断されている状態である場合、或いは、シフトレンジがPレンジ又はNレンジであって動力伝達が切断されている状態である場合に、トランスファー8を上記トランスファー切替えレバー21により選択された変速段に切替え制御する。また、上記動力伝達切断手段12により動力伝達を切断した場合には、上記切替え制御手段13の切替え制御が行われている間、該動力伝達切断手段12により選択されたクラッチないしはブレーキの切断状態を維持するように油圧制御装置30が制御される。
【0042】
更に、上記切替え制御手段13は、上記切替え要求検出手段11が切替え要求を検出した際に、カウントダウンタイマtを開始させ、該カウントダウンタイマtのカウントが終了したことに基づき(つまり、切替え要求を検出した後、所定時間が経過したことにより)、上記動力伝達切断手段12による動力伝達の切断が終了したことを判定し、つまり上記自動変速機3の動力伝達が切断状態であることを判定する。
【0043】
上記動力伝達接続手段14は、上記切替え制御手段13による切替え制御の後、動力伝達切断手段12にて切断されていた自動変速機3の動力伝達を接続するように油圧制御装置30を、従って係合すべきクラッチ等の係合要素を制御する。即ち、該動力伝達接続手段14は、シフトレンジ検出手段16の検出結果に基づき、車輌が走行状態である場合(シフトレンジがDレンジ、Rレンジ等の走行レンジである場合)に、自動変速機3がトランスファー8の変速段に対応する変速状態、特に前進走行時には上述の変速段(6速段)の中から最適な変速段にて、上述のように切断されたエンジン2と駆動車輪との間の動力伝達を接続するように油圧制御装置30(第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35)を制御する。
【0044】
上記出力制御手段15は、エンジン2の出力(駆動源出力)を、動力伝達切断手段12による制御開始から(即ち、動力伝達切断手段12による動力伝達の切断中)所定レベルに低下すると共に、動力伝達接続手段14による制御時の油圧制御装置30にて係合すべきC−1、B−1等の摩擦係合要素が係合を開始した時点から徐々に上昇させるように制御する。そして、該出力制御手段15は、上記エンジントルクを、C−1、B−1等の摩擦係合要素に対応するアクチュエータ(油圧サーボ)61,64等への油圧の上昇に追随するように上昇させる。また、該出力制御手段15は、入力軸回転数センサ23及び出力軸回転数センサ27から入力される自動変速機2の入力軸4a及び出力軸4bそれぞれの回転数から双方の回転数差を算出し、該算出した回転数差に基づき、上記摩擦係合要素の係合開始のタイミングを検出する。なお、クラッチ等の該摩擦係合要素の係合開始タイミングの検出は、入力回転数と出力回転数との差の変化だけでなく、「入力回転数の変化」(入力軸に関する回転数の変化)に基づいて検出してもよいことは勿論である。
【0045】
また、上記動力伝達切断手段12は、上記動力伝達を切断する際に、上記クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2の係合状態を全て切断するように油圧制御装置30を制御し、動力伝達接続手段14により接続する際における最適な変速段の接続を制御し易くしてもよく、或いは、上記自動変速機3が1速段又は2速段(比較的低速段)であることに基づき、例えばブレーキB−1(所定の摩擦係合要素)だけを係合させ、該自動変速機3の動力伝達を切断すると共に駆動車輪の逆転回転を不能にするように油圧制御装置30を制御し、上述のヒルホールドを行うようにしてもよい。
【0046】
つづいて、上記車輌の制御装置1の動作について図1、及び図5乃至図9のフローチャートに沿って説明する。図5は車輌の制御装置1の制御を示すフローチャート、図6は解放制御を示すフローチャート、図7は解放継続制御を示すフローチャート、図8は係合制御を示すフローチャート、図9はリミテーション復帰制御を示すフローチャートである。
【0047】
図5に示すように、例えばエンジン2の始動、又はイグニッションスイッチのON等により制御を開始すると(S10)、上記切替え要求検出手段11は、上記トランスファー切替えレバー21の選択位置に基づいてトランスファー8の切替え要求があったか否かを検出し(S20)、該切替え要求がない場合には(S20のNo)、そのままリターンし(S170)、つまり何れの制御も行わない。
【0048】
一方、例えばドライバによりトランスファー切替えレバー21が切替えられると、該切替え要求検出手段11が、切替え要求があったことを検出し(S20のYes)、該検出結果を動力伝達切断手段12に出力する。また、シフトレンジ検出手段16がシフトレバー26の選択位置より自動変速機3のシフトレンジを検出し、該検出結果を動力伝達切断手段12に出力する。すると、動力伝達切断手段12は、シフトレンジがPレンジ又はNレンジであるか否かを判定し(ステップS30)、Pレンジ又はNレンジである場合には(ステップS30のYes)、車輌が走行中ではないこと(動力伝達が切断状態であること)を判定して、後述するステップS70に進む。
【0049】
また、上記ステップS30において、シフトレンジがPレンジ又はNレンジでない場合は(ステップS30のNo)、即ちシフトレンジがDレンジ又はRレンジなどの走行レンジであるので、車輌が走行中であることを判定し、カウントダウンタイマtを設定すると共にトランスファー切替え禁止フラグをONして(S40)、ステップS50に進む。
【0050】
ここで、動力伝達切断手段12による解放制御S50について図6に沿って説明する。該解放制御S50を開始すると(S51)、まず現在の自動変速機3の変速段が2速段であるか否かを判定し(S52)、該変速段が2速段以外である場合は(ステップS52のNo)、ステップS54に進み、該変速段が2速段である場合は(ステップS52のYes)、ステップS53に進む。なお、現在の変速段は、油圧制御装置30の状態より検出してもよく、また、スロットル開度センサ24及び車速センサ22に基づいて不図示の変速マップ等から検出してもよい。
【0051】
ステップS54においては(2速段以外の場合では)、動力伝達切断手段12により、1速段ではクラッチC−1及びブレーキB−2、3速段ではクラッチC−1及びクラッチC−3、4速段ではクラッチC−1及びクラッチC−2、5速段ではクラッチC−2及びクラッチC−3、6速段ではクラッチC−2及びブレーキB−1、後進1速段ではクラッチC−3及びブレーキB−2、を選択し、それら選択された各クラッチ、ブレーキの油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3をニュートラル状態にして動力伝達を切断する。
【0052】
また、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に制御し、該ロックアップクラッチ6を解放し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。そして、動力伝達切断手段12による制御開始から、出力制御手段15によりエンジン2にリミテーショントルク信号Tlが出力されて、該エンジン2のトルクリミテーションが開始され、エンジン2と駆動車輪との動力伝達が切断されたことによるエンジン吹きの発生を防止するようにエンジントルクを所定レベルに低下する。なお、この際のリミテーショントルク信号Tlの値は、エンジン吹きの発生を防止し、かつエンジン2が停止しないような適宜な値であればよい。
【0053】
一方、ステップS53においては(2速段の場合では)、動力伝達切断手段12によりクラッチC−1を選択し、該クラッチC−1の油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御すると共に、ブレーキB−1の油圧がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3の動力伝達を切断すると共に、上述したヒルホールドを行う。
【0054】
また、ステップS54と同様に、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に制御し、該ロックアップクラッチ6を解放し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に同様に、動力伝達切断手段12による制御開始から、出力制御手段15によりエンジン2にリミテーショントルク信号Tlが出力されてトルクリミテーションが開始され、上記動力伝達が切断されたことによるエンジン吹きの発生を防止するようにエンジントルクを所定レベルに低下させる。なお、この際のリミテーショントルク信号Tlの値も、エンジン吹きの発生を防止し、かつエンジン2が停止しないような適宜な値であればよい。
【0055】
以上の解放制御S50が終了すると(S55)、図5に示すように、ステップS60に進み、上記ステップS40において設定されたカウントダウンタイマtが0であるか否かを判定する。該カウントダウンタイマtが0でない場合(ステップS60のNo)、上述した解放制御S50による動力伝達の切断が終了していないと判定して再度ステップS50に戻り、カウントダウンタイマtが0になるまで繰り返し該解放制御S50を行う。
【0056】
そして、上記カウントダウンタイマtが0になり、つまり所定時間が経過すると(ステップS60のYes)、切替え制御手段13は、上述した解放制御S50による動力伝達の切断が終了したことを判定し、トランスファー切替え禁止フラグをOFFすると共に、トランスファー8にトランスファー切替え信号ONを出力し(S70)、該トランスファー8の変速段の切替えを開始して、ステップS80に進む。
【0057】
ここで、動力伝達切断手段12による解放継続制御S80について図7に沿って説明する。該解放継続制御S80を開始すると(S81)、まず現在の自動変速機3の変速段が2速段であるか否かを判定する(S82)。現在の自動変速機3の変速段が2速段である場合(S82のYes)は、ステップS83に進んで、上記ステップS53と同様の制御を継続し、即ち動力伝達切断手段12により選択されたクラッチC−1の油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御する共に、ブレーキB−1の油圧がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御する状態を継続する。つまり、自動変速機3の動力伝達の切断状態であってヒルホールドの状態を継続して行う。
【0058】
また、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に継続して制御し、該ロックアップクラッチ6の解放状態を継続し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に、出力制御手段15による上述のトルクリミテーションを継続して、エンジン2と駆動車輪との間の動力伝達を切断したことによるエンジン吹きの発生を防止する。
【0059】
一方、現在の自動変速機3の変速段が2速段でない場合(S82のNo)、ステップS84に進み、現在の自動変速機3の変速段が1速段であるか否かを判定する。現在の自動変速機3の変速段が1速段でない場合(S84のNo)、つまり現在の変速段が1速段或いは2速段ではなく、3速段以上であるので、特に駆動車輪が逆転回転する虞が少なく(例えば登坂路などであってもある程度の車速があり、車輌が逆走する虞が少ない)、従って、上記ステップS54と同様の制御を継続し(S86)、即ち動力伝達制御手段12により選択された各クラッチ、ブレーキの油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御する状態を継続し、つまり自動変速機3をニュートラル状態にした動力伝達の切断状態を継続する。
【0060】
また同様に、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に継続して制御し、該ロックアップクラッチ6の解放状態を継続し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に、出力制御手段15による上述のトルクリミテーションを継続して、エンジン2と駆動車輪との間の動力伝達を切断したことによるエンジン吹きの発生を防止する。
【0061】
そして、ステップS84において、現在の自動変速機3の変速段が1速段である場合は(S84のYes)、ステップS85に進み、上記ステップS54の制御を継続しつつ、即ち動力伝達切断手段12により選択されたクラッチC−1及びブレーキB−2の油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御する状態を継続しつつ、ブレーキB−1の油圧がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御する。つまり、自動変速機3の動力伝達の切断状態であってヒルホールドの状態を継続して行う。
【0062】
また、この際も同様に、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に継続して制御し、該ロックアップクラッチ6の解放状態を継続し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に、出力制御手段15による上述のトルクリミテーションを継続して、エンジン2と駆動車輪との間の動力伝達を切断したことによるエンジン吹きの発生を防止する。
【0063】
なお、上記解放継続制御S80では、現在の自動変速機3の変速段が1速段或いは2速段である場合にヒルホールドを行っているが、これに限らず、3速段以上の変速段である場合や、特にシフトレンジがNレンジの場合などにもヒルホールドを行えるように構成してもよい。
【0064】
ついで、上記解放継続制御S80が終了し(S87)、ステップ90に進むと、切替え制御手段13はトランスファー8の切替え終了信号があったか否か(即ち、切替え制御手段13の切替え信号がONからOFFになったか否か)を判定し、該切替え終了信号がない場合(切替え信号がONのままである場合)には(S90のNo)、繰り返し上記解放継続制御S80を行う。一方、該切替え終了信号がある場合(切替え信号がONからOFFになった場合)には(S90のYes)、ステップS100に進む。
【0065】
該ステップS100においては、シフトレンジ検出手段16がシフトレバー26の選択位置より自動変速機3のシフトレンジを検出し、該検出結果を動力伝達接続手段14に出力する。すると、動力伝達接続手段14は、シフトレンジがPレンジ又はNレンジであるか否かを判定し、該シフトレンジがPレンジ又はNレンジでない場合(ステップS100のNo)、即ちシフトレンジがDレンジ又はRレンジなどの走行レンジである場合は、ステップS110に進む。また、該シフトレンジがPレンジ又はNレンジである場合は(ステップS100のYes)、後述するステップS130に進む。
【0066】
ここで、動力伝達接続手段14による係合制御S110について図8に沿って説明する。該係合制御S110を開始すると(S111)、まずシフトレンジ検出手段16がシフトレバー26の選択位置を検出し、該選択位置がRレンジであるか否かを判定する(ステップS112)。シフトレバー26の選択位置がRレンジである場合には(ステップS112のYes)、ステップS113に進み、通常のシフト制御と同様に、自動変速機3のシフトレンジがNレンジからRレンジになるように油圧制御装置30を制御する(NR制御)。つまり、ブレーキB−2を係合させると共に(図3参照)、クラッチC−3の油圧サーボ63に供給する油圧を徐々に高めつつ後述のリミテーション復帰制御に移行させて、係合制御S110を終了する(S115)。
【0067】
一方、シフトレバー26の選択位置がRレンジでない場合には(ステップS112のNo)、シフトレバー26の選択位置がPレンジ又はNレンジではなく(ステップS100参照)、かつRレンジでもないため、つまり該シフトレバー26の選択位置がDレンジであることを判定し、ステップS114に進んで、自動変速機3のシフトレンジがNレンジからDレンジになるように油圧制御装置30を制御する(ND制御)。
【0068】
この際、トランスファー切替えレバー21により検出される選択位置(切替え後の変速段)、車速センサ22により検出される車速、及びスロットル開度センサ24により検出されるスロットル開度などに基づいて例えば不図示のマップから最適な変速段を判定し、該最適な変速段になるように油圧制御装置30を制御し(図3参照)、該最適変速段にて選択されるべきブレーキを係合させると共に、その対応するクラッチの油圧サーボに供給する油圧を徐々に高めつつ後述のリミテーション復帰制御に移行させて、係合制御S110を終了する(S115)。これにより、トランスファー8が切替えられたことによるギヤ比の変化に応じて、自動変速機3を最適な変速段にすることが可能な状態となる。
【0069】
ついで、上記係合制御S110が終了すると、例えば自動変速機3の各クラッチ、ブレーキの状態からシフトレンジがDレンジ又はRレンジに移行し得るか否か(ND制御、NR制御の終了条件を成立し得るか否か)を判定し、また、特にシフトレンジがDレンジである場合は、トランスファー8のギヤ比と自動変速機3のギヤ比とに基づく車輌全体としてのギヤ比が、車輌の速度に対して適正であるか否か(ギヤ比の条件を成立し得るか否か)を判定する。それらステップS120の条件のうち、一方でも成立し得ない場合は(ステップS120のNo)、両方の条件が成立するまで上記係合制御S110を繰り返し行う。そして、上記ステップS120の条件が両方とも成立した場合は(ステップS120のYes)、ステップS130に進む。
【0070】
シフトレンジがPレンジ又はNレンジである場合(ステップS100のYes)、又は上記ステップS120の条件が両方とも成立した場合は(S120のYes)、出力制御手段15によりトルクリミテーションが継続されているエンジン2のトルクを復帰させるため、クラッチの油圧サーボに供給すべき油圧を復帰開始油圧Pst(図10参照)に設定すると共に、リミテーショントルク信号Tlを復帰開始トルクTstに設定する(S130)。この際、出力制御手段15が、自動変速機2の入力軸4a及び出力軸4bの回転数差に基づきクラッチ係合開始のタイミングを検出し、該検出した時点で、クラッチの油圧サーボへの油圧を復帰開始油圧Pstに設定すると共に、リミテーショントルク信号Tlを復帰開始トルクTstにそれぞれ設定する。更に、該設定の後、処理をステップS140に進める。
【0071】
ここで、出力制御手段15による復帰制御S140を図9に沿って説明する。該復帰制御S140を開始すると(S141)、出力制御手段15は、回転数差に基づき検出した上記クラッチ係合開始時点から、クラッチに対する油圧を、設定された復帰開始油圧Pstから所定のスィープ量(傾き)ΔP1で徐々に上昇させると共に、リミテーショントルク信号Tlを、設定された復帰開始トルクTstから、クラッチへの油圧上昇に追随し得る所定のスィープ量(傾き)ΔTで徐々に増加させる(S142)。そして、出力制御手段15は、上記エンジントルクを、クラッチへの油圧の上昇に追随するようにスィープ量ΔTで上昇させて、ステップS150に進む。
【0072】
そして、該ステップS150において、出力制御手段15は、クラッチが完全係合し、かつエンジントルクがアクセルの踏み量に対応したトルク値(所定値)になったか否かを判定し、これらの条件が成立しない間(S150のNo)はステップS140の処理を繰り返して、クラッチへの油圧を上昇させると共に、該油圧の上昇に追随させてリミテーショントルク信号Tlを増加させる。一方、条件が成立した場合(S150のYes)、ステップS160に進む。
【0073】
該ステップS160では、出力制御手段15によるトルクリミテーションを解除すると共に、上記解放制御S50及び解放継続制御S80により解放されたロックアップクラッチ6を通常の制御に復帰させる。そして、ステップS170に進み、以上の制御を繰り返し行う。
【0074】
つづいて、本発明に係る車輌の制御装置1の制御例を図10及び図11に沿ってそれぞれ説明する。図10は車輌の制御装置1による制御例を示すタイムチャート、図11は該制御装置1による別の制御例を示すタイムチャートである。両図は、自動変速機3が2速段で走行中の場合にトランスファー8を切替え、再び自動変速機3を2速段に係合した状態を示している。
【0075】
まず、車輌が走行中であって自動変速機3が2速段の状態である場合、図10に示すように、時点t1においてドライバによりトランスファー切替えレバー21が切替えられると、切替え要求検出手段11が、例えばトランスファー切替え要求フラグをOFFからONにして、切替え要求を検出する(S20)。この際はシフトレンジがDレンジであるので(S30)、動力伝達切断手段12は、カウントダウンタイマtを設定すると共にトランスファー切替え禁止フラグをONにする(S40)。
【0076】
また、該動力伝達切断手段12は、解放制御を開始し(S50)、現在の変速段が2速段であるので(S52)、クラッチC−1を選択して該クラッチC−1の油圧Pc1がベース圧になるように油圧制御装置30を制御すると共に、ブレーキB−1の油圧Pb1がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3の動力伝達を切断すると共にヒルホールドを行う。そして、ロックアップクラッチ6の油圧を0圧にして該ロックアップクラッチ6を解放すると共に、出力制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションを行う(S54)。
【0077】
時点t2において、上記カウントダウンタイマtが0になると(S60)、トランスファー切替え禁止フラグをOFFにすると共に、切替え制御手段13がトランスファー切替え信号をONにして(S70)、トランスファーの切替えを開始する。また、動力伝達切断手段12は、解放継続制御(S80)を開始して、上記解放制御と同様の制御を継続し、現在の変速段が2速段であるので(S82)、クラッチC−1を選択して該クラッチC−1の油圧Pc1がベース圧になるように油圧制御装置30を制御すると共に、ブレーキB−1の油圧Pb1がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3の動力伝達を切断すると共にヒルホールドを行う。そして、ロックアップクラッチ6の油圧を0圧にして該ロックアップクラッチ6を解放すると共に、出力制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションを行う(S54)。
【0078】
時点t3において、トランスファー切替え終了信号、即ち切替え制御手段13がトランスファー切替え信号をOFFにすると(S90)、シフトレンジがDレンジであるので(S100)、係合制御(S110)を開始し、ND制御を行う(S114)。すると、動力伝達接続手段14は、車速センサ22にて検出される車速、スロットル開度センサ24にて検出されるスロットル開度、及びトランスファー8の切替え後の変速段に基づいて不図示のマップを参照し、最適な変速段である2速段を判定する。
【0079】
それにより、該動力伝達接続手段14は、通常の自動変速機3の変速制御と同様、自動変速機3を2速段の状態にするべく、ブレーキB−1の油圧Pb1を、油圧制御装置30により制御してヒルホールド圧から上昇させ、完全係合した状態にする。更に、クラッチC−1の油圧Pc1を油圧制御装置30により制御して、所謂ガタ詰め制御、スリップ制御した状態にする。これらの係合制御を行っている間も、出力制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションが行われている。
【0080】
更に、時点t4において、出力制御手段15は、ND制御の終了条件が成立し得ると共に、車輌全体としてのギヤ比の条件が成立し得、更に自動変速機3の入力軸4a及び出力軸4bの各回転数から算出した回転数差に基づいたクラッチC−1の係合開始のタイミング(図10の時点t4における波線の下降開始部分)を検出した時点で(S120)、クラッチへの油圧を復帰開始油圧Pstに設定すると共に、リミテーショントルク信号Tlを復帰開始トルクTstに設定する(S130)。そして、この状態から復帰開始油圧Pstをスィープ量ΔP1で徐々に増加させると共に、リミテーショントルク信号Tlをスィープ量ΔTで徐々に増加させ、更に、リミテーション復帰制御の終了前の所定の時点からは、スィープ量ΔP1より大きい傾きのスィープ量ΔP2で増加を続行させる(S142)。
【0081】
この際、出力制御手段15は、リミテーショントルク信号Tlのスィープ量ΔTがクラッチへの油圧のスィープ量ΔP1を超えないように、即ち、或る時点の油圧で得られるクラッチC−1の係合状態で可能な動力伝達を上回るようなエンジントルクを入力軸4aに与えないように設定する。これは、エンジントルクが上回る場合に、クラッチC−1が完全係合した時点でショックが発生してドライバに不快感を与えるような不都合を回避するためである。
【0082】
そして、時点t5において、クラッチC−1が完全係合すると共に、リミテーショントルク信号Tlが所定値、つまりスロットル開度センサ24に基づくドライバの要求トルク以上になった時点で(S150)、トルクリミテーションを解除する。更に、ロックアップクラッチ6を通常の制御に復帰させ(S160)、上記トランスファー切替え要求フラグをOFFにして、トランスファー8の切替えを完了する。
【0083】
次に、図11に沿って(及び図5等を参照して)、本制御装置1による別の制御例について説明する。本制御例は、図10の制御例に対して、クラッチC−1への油圧変化の手法がやや異なる。まず、車輌が走行中であって自動変速機3が2速段の状態である場合、図11に示すように、時点t1においてドライバによりトランスファー切替えレバー21が切替えられると、切替え要求検出手段11が、例えばトランスファー切替え要求フラグをOFFからONにして、切替え要求を検出する(S20)。この場合、シフトレンジがDレンジなので(S30)、動力伝達切断手段12は、カウントダウンタイマtを設定すると共にトランスファー切替え禁止フラグをONにする(S40)。
【0084】
また、該動力伝達切断手段12は、解放制御を開始し(S50)、現在の変速段が2速段なので(S52)、クラッチC−1を選択して該クラッチC−1の油圧Pc1がインニュートラル圧に向かって徐々に低下するように油圧制御装置30を制御すると共に、ブレーキB−1の油圧Pb1がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御する。これにより、自動変速機3の動力伝達を切断すると共に、ヒルホールドを行う。そして、ロックアップクラッチ6の油圧を0圧にして該ロックアップクラッチ6を解放すると共に、出力制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションを行う(S54)。
【0085】
なお、時点t2と時点t3との間で継続される上記「インニュートラル圧」とは、クラッチC1の油圧Pc1がその係合を断つように制御され、入力軸4aと駆動車輪との動力伝達が断たれている状態、即ち略々ニュートラル状態となるインニュートラル制御によって得られる油圧を意味している。
【0086】
更に、時点t2において、上記カウントダウンタイマtが0になると(S60)、トランスファー切替え禁止フラグをOFFにすると共に、切替え制御手段13がトランスファー切替え信号をONにして(S70)、トランスファーの切替えを開始する。また、動力伝達切断手段12は、解放継続制御(S80)を開始して、上記解放制御と同様の制御を継続し、現在の変速段が2速段なので(S82)、選択したクラッチC−1の油圧Pc1がインニュートラル圧になるように、かつブレーキB−1の油圧Pb1がヒルホールド圧になるように、油圧制御装置30を制御する。これにより、自動変速機3の動力伝達を切断すると共に、ヒルホールドを行う。そして、ロックアップクラッチ6の油圧を0圧にして該ロックアップクラッチ6を解放すると共に、出力制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションを行う(S54)。
【0087】
時点t3において、トランスファー切替え終了信号、即ち切替え制御手段13がトランスファー切替え信号をOFFにすると(S90)、シフトレンジがDレンジであるので(S100)、係合制御(S110)を開始し、ND制御を行う(S114)。すると、動力伝達接続手段14は、車速センサ22により検出される車速、スロットル開度センサ24により検出されるスロットル開度、及びトランスファー8の切替え後の変速段に基づいて不図示のマップを参照し、最適な変速段である2速段を判定する。
【0088】
それにより、該動力伝達接続手段14は、通常の自動変速機3の変速制御と同様、自動変速機3を2速段の状態にするべく、ブレーキB−1の油圧Pb1を油圧制御装置30により制御し、ヒルホールド圧からに上昇させて、完全係合した状態にする。更に、クラッチC−1の油圧Pc1を油圧制御装置30により制御して、インニュートラル圧より高い油圧に昇圧し、所謂ガタ詰め制御した状態にする。これらの係合制御を行っている間も、出力制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションが行われている。
【0089】
そして、時点t4において、出力制御手段15は、ND制御の終了条件が成立し得ると共に、車輌全体としてのギヤ比の条件が成立し得、更に自動変速機3の入力軸4a及び出力軸4bの各回転数により算出した回転数差の変化に基づき検出したクラッチC−1の係合開始のタイミング(図11の時点t4における波線の下降開始部分)を検出した時点で(S120)、クラッチへの油圧を復帰開始油圧Pstに設定すると共に、リミテーショントルク信号Tlを復帰開始トルクTstに設定する(S130)。そして、この状態から復帰開始油圧Pstをスィープ量ΔP1で徐々に増加させると共に、リミテーショントルク信号Tlをスィープ量ΔTで徐々に増加させ、更に、リミテーション復帰制御の終了前の所定の時点からは、スィープ量ΔP1より大きい傾きのスィープ量ΔP2で増加を続行させる(S142)。
【0090】
そして、時点t5において、クラッチC−1が完全係合すると共に、リミテーショントルク信号Tlが所定値、つまりスロットル開度センサ24に基づくドライバの要求トルク以上になった時点で(S150)、トルクリミテーションを解除する。更に、ロックアップクラッチ6を通常の制御に復帰させ(S160)、上記トランスファー切替え要求フラグをOFFにして、トランスファー8の切替えを完了する。
【0091】
以上のように本発明に係る車輌の制御装置1によれば、動力伝達切断手段12が、車輌が走行状態である場合に、切替え要求検出手段11の検出結果に基づいて自動変速機3がエンジン2と駆動車輪との動力伝達を切断するように切断状態にすべきクラッチないしはブレーキを選択して、該選択に基づいて油圧制御装置30を制御し、切替え制御手段13が、該自動変速機3の動力伝達が切断状態であることに基づいてトランスファー8の変速段を切替え制御し、動力伝達接続手段14が、トランスファー8の変速段が切替えられたことに基づいて、自動変速機3の動力伝達を接続するように油圧制御装置30を制御するので、車輌が走行状態であっても、トランスファー8の変速段を切替えることができる。
【0092】
また、出力制御手段15が、少なくとも動力伝達切断手段12の制御開始から動力伝達接続手段14の制御終了までの間、つまり解放制御S50、解放継続制御S80及び係合制御S110を行っている動力伝達が切断状態である間は、エンジン2をトルクリミテーションするので、所謂エンジン吹きなどを防止することができる。つまり、トランスファー8の切替えが終了した後、自動変速機3の切断状態を得るために選択したクラッチの係合開始のタイミングで、所定レベルに抑えていたエンジントルクの上昇を開始させるので、クラッチが完全係合した時点からエンジントルクを上昇させる場合に比して、アクセルONによるドライバの加速要求に適切に応答することができる。これにより、ヘジテーションの発生など、車輌の加速感の遅れによる不快感をドライバに与えるような不都合の発生を防止することができる。
【0093】
また、出力制御手段15がエンジントルクを、クラッチに対する油圧の上昇に追随するように上昇させるので、クラッチ係合による動力伝達状態の進行に対応してエンジントルクを増大することができ、従って、過大なエンジントルクの供給により係合完了時にショックが発生するような問題を回避できる。更に、出力制御手段15は、自動変速機3の入力回転と出力回転との回転数差の変化に基づきクラッチの係合開始タイミングを検出するので、特別な検出手段を別途用意することなく、容易に係合開始タイミングを検出できる。
【0094】
なお、本車輌の制御装置1では、上記構成に限らず、クラッチ等の係合要素に対する油圧を、エンジントルクの増大に合わせて上昇させるように構成することもできる。即ち、自動変速機3が、上記クラッチC−1等の係合要素の係合状態を操作し得る油圧サーボ61及び該油圧サーボ61の油圧を制御し得る油圧制御装置30を備え、該油圧制御装置30が、動力伝達接続手段14による制御時に上記係合すべき係合要素(C−1等)に対応する油圧サーボ61等の油圧を、出力制御手段15によるエンジン2の出力上昇に対応するように徐々に上昇させるように構成する。これにより、エンジントルクを、トルクの急な変化が無いように徐々に増大させることができる。従って、トルク変動によるショックの発生を抑制しつつ、クラッチ等の容量不足による例えばエンジン吹きの問題を回避して、ドライバに不快感を与えるような不都合を確実に回避することができる。
【0095】
なお、以上の実施の形態では、本発明を、有段変速機構を有する自動変速機に適用しているが、これに限らず、ベルト式、トロイダル式などの無段変速機に適用してもよく、つまり動力伝達の切断及び接続ができるものであれば何れのものに適用してもよい。
【0096】
また、以上の実施の形態において、エンジンが駆動源である車輌を説明したが、これに限らず、電気自動車、ハイブリッド車輌などに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輌の制御装置を示すブロック図。
【図2】本発明に係る自動変速機及びトランスファーを示すスケルトン図。
【図3】自動変速機の作動表。
【図4】油圧制御装置を示す一部省略図。
【図5】車輌の制御装置の制御を示すフローチャート。
【図6】解放制御を示すフローチャート。
【図7】解放継続制御を示すフローチャート。
【図8】係合制御を示すフローチャート。
【図9】復帰制御を示すフローチャート。
【図10】車輌の制御装置の制御例を示すタイムチャート。
【図11】車輌の制御装置の別の制御例を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 車輌の制御装置
2 駆動源(エンジン)
3 自動変速機
4a 入力軸
4b 出力軸
8 有段変速機(トランスファー)
11 切替え要求検出手段
12 動力伝達切断手段
13 切替え制御手段
14 動力伝達接続手段
15 出力制御手段
16 シフトレンジ検出手段
23 入力軸回転数センサ
27 出力軸回転数センサ
30 油圧制御装置
B−1,B−2 摩擦係合要素(ブレーキ)
C−1,C−2,C−3 摩擦係合要素(クラッチ)

Claims (3)

  1. 少なくとも2段の変速段を有して変速切替え自在な有段変速機に接続し得、駆動源の出力を複数の係合要素の係合状態に基づき変速して駆動車輪に伝達する自動変速機を備えてなる車輌の制御装置において、
    前記係合要素の係合状態を操作し得る油圧サーボと、
    前記有段変速機の変速段の切替え要求を検出する切替え要求検出手段と、
    前記切替え要求検出手段が前記切替え要求を検出した際に、前記自動変速機が前記駆動源と駆動車輪との動力伝達を切断するように前記複数の係合要素のうち所定の係合要素を切断する動力伝達切断手段と、
    前記動力伝達切断手段による前記自動変速機の動力伝達の切断中に該有段変速機の変速段を切替え制御する切替え制御手段と、
    前記切替え制御手段による切替え制御の後、切断されていた前記自動変速機の動力伝達を接続するように係合すべき係合要素を制御する動力伝達接続手段と、
    前記駆動源の出力トルクを、前記動力伝達切断手段による動力伝達の切断中、トルクリミテーションによって所定レベルに低下すると共に、前記係合すべき係合要素が該係合要素に対応する前記油圧サーボの油圧上昇によって係合を開始した時点から係合を完了するまでの該油圧上昇に対応するように徐々に上昇させる制御を行う出力制御手段と、を備えてなる、
    ことを特徴とする車輌の制御装置。
  2. 少なくとも2段の変速段を有して変速切替え自在な有段変速機に接続し得、駆動源の出力を複数の係合要素の係合状態に基づき変速して駆動車輪に伝達する自動変速機を備えてなる車輌の制御装置において、
    前記係合要素の係合状態を操作し得る油圧サーボの油圧を制御する油圧制御装置と、
    前記有段変速機の変速段の切替え要求を検出する切替え要求検出手段と、
    前記切替え要求検出手段が前記切替え要求を検出した際に、前記自動変速機が前記駆動源と駆動車輪との動力伝達を切断するように前記複数の係合要素のうち所定の係合要素を切断する動力伝達切断手段と、
    前記動力伝達切断手段による前記自動変速機の動力伝達の切断中に該有段変速機の変速段を切替え制御する切替え制御手段と、
    前記切替え制御手段による切替え制御の後、切断されていた前記自動変速機の動力伝達を接続するように係合すべき係合要素を制御する動力伝達接続手段と、
    前記駆動源の出力トルクを、前記動力伝達切断手段による動力伝達の切断中、トルクリミテーションによって所定レベルに低下すると共に、前記係合すべき係合要素が係合を開始した時点から徐々に上昇させるように制御する出力制御手段と、を備え、
    前記油圧制御装置は、前記動力伝達接続手段による制御時に前記係合すべき係合要素に対応する前記油圧サーボの該係合要素の係合開始から係合完了するまでの油圧を、前記係合要素の係合開始後に上昇開始する前記駆動源の出力トルクの上昇に対応させて設定してなる、
    ことを特徴とする車輌の制御装置。
  3. 前記出力制御手段は、前記係合すべき係合要素の係合開始のタイミングを、前記自動変速機の入力軸に関する回転数の変化に基づき検出してなる、
    請求項1又は2記載の車輌の制御装置。
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