JP3879589B2 - 車輌の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動源と駆動車輪との間に有段変速機を備えて、要求に応じた駆動力の切替えが可能な車輌の制御装置に係り、詳しくは、フェール状態の有無に基づいて前記有段変速機の変速段の切替えを行い得る車輌の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特にオフロードを走行するための車輌などには、例えば自動変速機の出力回転を伝達するディファレンシャルギヤと駆動車輪に連結されるプロペラシャフトとの間に、2段変速が可能な有段変速機、いわゆるトランスファーを備えているものがある。このような車輌においては、例えば平坦路などを走行するための低トルクで、かつ高速回転を伝達するための高速ギヤ比と、例えば登坂路などを走行するための高トルクで、かつ低速回転を伝達するための低速ギヤ比と、をトランスファーの変速段を選択することで切替え、つまり駆動源からの駆動力を2段階に切替えて出力することが可能である。
【0003】
しかしながら、車輌が停止している状態(特にシフトレンジがP(パーキング)レンジ又はN(ニュートラル)レンジであって駆動力が伝達されていない状態)では上記トランスファーの変速段を切替えることができるが、該トランスファーに駆動源からの駆動力が伝達されている状態では該トランスファーの変速段を切替えることができない。このため、車輌が走行している状態でドライバが変速段の切替えを望んでいても、該変速段を切替えることができなかった。
【0004】
そこで、上記問題を解消するための車輌の制御装置が本出願人により提案されている(特願2001−367727:未公開)。該車輌の制御装置は、エンジンと駆動車輪との間に介在し、該エンジンの出力回転を、クラッチやブレーキ等の複数の摩擦係合要素の係合状態に基づき変速して、トランスファーを介して駆動車輪に伝達し得る自動変速機を備え、該自動変速機を搭載した車輌が走行状態の場合、切替え要求を検出したときの自動変速機の変速状態に応じて、エンジンと駆動車輪との間で動力伝達を切断するように、複数の摩擦係合要素を選択的に切断状態にして、該切断中にトランスファーの変速段を切替え制御するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人にて提案されている上記車輌の制御装置では、摩擦係合要素を選択的に切断状態にして動力伝達を切断することにより、車輌走行中であってもトランスファーの変速段を容易に切替えることができるが、例えば該変速段の切替え実行時には、以下のような不都合を招くことが考えられる。すなわち、該車輌の制御装置では、係合状態の摩擦係合要素を解放して、エンジンの駆動力をトランスファーに伝達させない状態を得た後、該トランスファーの変速段の切替えを実行するのであるが、仮に、油圧制御装置にて断線やショート等によるソレノイドスティック、或いは塵埃の噛み込み等によるバルブスティックが生じたと想定すると、その場合、油圧制御装置は正常に機能せず、トランスファーの変速段の切替えに必要な切断状態(ニュートラル状態)が得られない事態を招く虞がある。
【0006】
そこで本発明は、自動変速機の切断状態の実現に影響するようなフェール状態が存在する場合にはトランスファー(有段変速機)の変速段の切替えを禁止するように構成し、もって上述した課題を解決した車輌の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図10参照)、少なくとも2段の変速段を有して変速切替え自在な有段変速機(8)に接続し得、駆動源(2)の出力を複数の係合要素(例えばC−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態に基づき変速して駆動車輪に伝達する自動変速機(3)を備えてなる車輌の制御装置(1)において、
前記有段変速機(8)の変速段の切替え要求を検出する切替え要求検出手段(11)と、
該切替え要求検出手段(11)による前記切替え要求の検出に基づき、前記自動変速機(3)が前記駆動源(2)と前記駆動車輪との動力伝達を切断するように前記複数の係合要素のうち解放すべき係合要素のアクチュエータの油圧を排出して該係合要素を解放する動力伝達切断手段(12)と、
該動力伝達切断手段(12)による前記自動変速機(3)の動力切断中に前記有段変速機(8)を切替え制御する切替え制御手段(13)と、
前記動力伝達切断手段(12)のフェール状態を検出するフェール状態検出手段(17,18)と、
該フェール状態検出手段(17,18)がフェール状態を検出したとき前記切替え制御手段(13)の切替え制御を禁止する制御禁止手段(18)と、
前記切替え制御手段(13)により切替えが完了した場合、前記動力伝達切断手段(12)により解放された前記係合要素のうちで係合すべき係合要素の前記アクチュエータに油圧供給して動力接続すると共に、前記動力伝達切断手段(12)による係合要素の解放中にフェール状態が検出された場合、前記切替え制御手段(13)による前記有段変速機(8)の切替え完了に拘わらず前記係合すべき係合要素の前記アクチュエータに油圧供給して動力接続する動力伝達接続手段(14)と、を備えてなる、
ことを特徴とする車輌の制御装置(1)にある。
【0008】
請求項2に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記フェール状態検出手段(17,18)は、前記切替え要求検出手段(11)が前記切替え要求を検出した際に、前記フェール状態が既に存在することを検出する既存フェール検出手段(17)を有し、
前記制御禁止手段(18)は、前記既存フェール検出手段(17)の検出に基づき、前記動力伝達切断手段(12)及び切替え制御手段(13)による制御の開始を禁止してなる、
請求項1記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0009】
請求項3に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記フェール状態検出手段(17,18)は、前記動力伝達切断手段(12)による制御におけるフェール状態を検出する解放制御中フェール検出手段(S56,S57)を有し、
前記制御禁止手段(18)は、前記解放制御中フェール検出手段(S56,S57)の検出に基づき、前記切替え制御手段(13)による制御の継続を禁止してなる、
請求項1又は2記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0010】
請求項4に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記解放制御中フェール検出手段は、前記動力伝達切断手段(12)による制御におけるフェール状態を、前記自動変速機(3)の入力軸(4a)及び出力軸(4b)の各回転に基づく回転変化率に基づき検出する第1の検出手段(S56)を有してなる、請求項3記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0011】
請求項5に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記解放制御中フェール検出手段は更に、前記第1の検出手段(S56)が前記フェール状態を検出した後、該フェール状態が回復したことを検出した場合、該回復がフェールセーフ制御にて得られたことを検出した際には、前記切替え制御手段(13)による制御の継続を禁止する第2の検出手段(S57)を有してなる、
請求項4記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0012】
請求項6に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記動力伝達接続手段(14)が、前記解放制御中フェール検出手段(S56,S57)によるフェール状態の検出に基づき前記切替え制御手段(13)による制御の継続を禁止した後、前記動力伝達切断手段(12)を制御することにより、切断状態の前記自動変速機(3)の動力伝達を再度接続してなる、
請求項3乃至5のいずれか記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0013】
請求項7に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記自動変速機(3)は、前記係合要素(例えばC−1,C−2,C−3,B−1,B−2)を複数備えかつ該係合要素を油圧制御装置(30)により選択的に係合又は解放されて複数段に変速し得る有段変速機構(4)を有してなる、
請求項1乃至6のいずれか記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0014】
請求項8に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記フェール状態は、前記解放すべき係合要素を解放することができない状態である、
請求項1ないし7のいずれか記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0015】
請求項9に係る本発明は(例えば図1、図2及び図5参照)、前記切替え制御手段(13)による切替え制御は、前記自動変速機(3)が駆動力を伝達する走行レンジ選択時に実行される、
請求項1ないし8のいずれか記載の車輌の制御装置(1)にある。
【0016】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、制御禁止手段が、切替え制御手段による切替え制御を、フェール状態検出手段によるフェール状態の検出に基づいて禁止するので、有段変速機の変速段の切替えに際してフェール状態がある場合には、有段変速機の変速段切替えを確実に阻止することができる。これにより、非切断状態にて変速段の切替えを行うことで有段変速機にダメージを与えるような問題の発生を、未然に防止することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によると、制御禁止手段が、既存フェール検出手段の検出に基づいて動力伝達切断手段及び切替え制御手段による制御の開始を禁止するので、例えば駆動源の始動後に非走行レンジ(Nレンジ等)から走行レンジ(Dレンジ等)に切替えて一旦走行し、非走行レンジに戻そうとしたが戻らなかったという状況の発生、即ち動力伝達切断手段が切断状態を得られないような既存フェールが発生した後に、有段変速機の切替え要求があった場合には、有段変速機の切替えを確実に禁止することができる。つまり、油圧制御装置の解放制御に先立って、自動変速機の切断状態が適正に得られないという事実が予め判明した際には、変速段切替えを実行しないように制御できるので、例えば制御プログラム自体を簡略化することが可能になる。
【0019】
請求項3に係る本発明によると、動力伝達切断手段による制御中のフェール状態を検出し、該検出に基づき、切替え制御手段による制御の継続を確実に禁止することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によると、解放制御中フェール検出手段が動力伝達切断手段による制御におけるフェール状態を、自動変速機の入力軸及び出力軸の各回転に基づく回転変化率に基づき検出する第1の検出手段を有するので、車輌走行中におけるフェール状態、即ち自動変速機の切断状態が得られたか否かを、特別な検出手段を別途用意することなく容易かつ確実に検出することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によると、第2の検出手段が、第1の検出手段によりフェール状態が検出された後に該フェール状態の回復を検出し、更に該回復がフェールセーフ制御で得られたことを検出した際には切替え制御手段による制御の継続を禁止するので、二段階の確実なフェール状態検出処理が実現する。このため、係合要素が複数存在する場合それらの解放動作のバラツキにより、第1の検出手段だけでは係合要素の解放の可/不可が把握しきれない場合でも、有段変速機の切替え禁止を直ちに実施せず更に第2の検出手段にてフェール状態検出を続けて行うことにより、有段変速機の適正な切替え制御を実現することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によると、フェール状態が検出されて切替え制御手段による制御の継続が禁止された後、動力伝達接続手段が動力伝達切断手段を制御して切断状態の自動変速機の動力伝達を再度接続するので、フェール状態検出に基づき有段変速機の切替えを中止した後に、車輌を円滑に走行させることができる。
【0023】
請求項7に係る本発明によると、自動変速機が複数段に変速し得る有段変速機構を有するので、例えば、切替え後の有段変速機の変速段に対応する最適な変速状態にて走行を続行し得るような油圧制御装置の制御が可能になる。
【0024】
請求項8に係る本発明によると、解放すべき係合要素を解放することができない状態をフェール状態として認識することにより、自動変速機の切断状態の実現に影響するような状況を的確に検出して、有段変速機の変速段の切替えを的確に実行することができる。
【0025】
請求項9に係る本発明によると、切替え制御手段による切替え制御を、自動変速機が駆動力を伝達する走行レンジ選択時に実行するので、車輌の走行状態でドライバが変速段の切替えを望む場合、有段変速機の変速段を的確に切替えることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図に沿って説明する。
【0027】
まず、本発明を適用し得る自動変速機及び有段変速機(以下、「トランスファー」と称する)について図2乃至図4に沿って説明する。図2は本発明に係る自動変速機3及びトランスファー8を示すスケルトン図、図3は自動変速機3の作動表、図4は油圧制御装置30を示す一部省略図である。
【0028】
図2に示すように、自動変速機3は、ミッションケース7内にトルクコンバータ5と、C−1やB−1等の複数の摩擦係合要素(係合要素)を有しかつ該摩擦係合要素を油圧制御装置30により選択的に係合又は解放されて複数段に変速し得る有段変速機構としての自動変速機構4とを備えており、内燃エンジン(駆動源)2からの出力が、該トルクコンバータ5のポンプインペラ5aに入力され、該トルクコンバータ5のタービンランナ5bを介して自動変速機構4の入力軸4aに入力されている。また、該トルクコンバータ5には、ロックアップクラッチ6が備えられている。
【0029】
自動変速機構4には、シンプルプラネタリギヤSPと、2つのプラネタリギヤが連結されるような形であるラビニョタイプのプラネタリギヤユニットRPとが備えられている。該シンプルプラネタリギヤSPは、サンギヤS1と、該サンギヤS1に噛合するキャリヤCR1と、該キャリヤCR1に噛合するリングギヤR1とから構成されており、該シンプルプラネタリSPのリングギヤR1に上記入力軸4aが連結されている。また、サンギヤS1は、上記入力軸4aの軸上において上記ミッションケース7の一部に回転不能に固定支持されており、キャリヤCR1は、クラッチC−3及びクラッチC−1に連結されている。
【0030】
一方、上記プラネタリギヤユニットRPは、2つのサンギヤS2,S3と、ピニオンP1及びロングピニオンP2を有してサンギヤS2,S3に噛合するキャリヤCR2と、該キャリヤCR2に噛合するリングギヤR3とから構成されている。該サンギヤS2は、上記クラッチC−3に連結されていると共にブレーキB−1に連結されており、該クラッチC−3が係合すると上記キャリヤCR1に連結され、ブレーキB−1によりミッションケース7に対して係止されると回転不能に固定される。また、サンギヤS3は、クラッチC−1に連結されており、該クラッチC−1が係合すると上記キャリヤCR1に連結される。
【0031】
上記キャリヤCR2は、一端がクラッチC−2に連結されており、該クラッチC−2が係合すると入力軸4aに連結され、また、他端がワンウェイクラッチF−1に連結されていると共にブレーキB−2に連結されており、該ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されていると共にブレーキB−1によりミッションケース7に対して係止されると回転不能に固定される。そして、上記リングギヤR3は、自動変速機構4の出力軸4bに連結されており、上記複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態により前進6速段、後進1速段の回転が該出力軸4bに伝達される。
【0032】
上記自動変速機構4の出力軸4bは、不図示のディファレンシャルギヤなどを介してトランスファー(T/F)8の入力部に接続されており、該トランスファー8の出力部が不図示のプロペラシャフト等を介して駆動車輪に連結されている。該トランスファー8は、例えば2段階からなる高速段及び低速段の変速段を有しており、該高速段は、例えば平坦路などを走行するための低トルクで、かつ上記出力軸4bの回転を高速回転で駆動車輪に伝達するための高速ギヤ比からなり、該低速段は、例えば登坂路などを走行するための高トルクで、かつ上記出力軸4bの回転を低速回転で駆動車輪に伝達するための低速ギヤ比からなる。
【0033】
上記自動変速機3には、図4に示すように、上記クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2の係合・解放を制御する油圧制御装置30が備えられており、不図示のモジュレータバルブ等により供給されるソレノイドモジュレータ圧が、油路52を介して第1ソレノイドバルブ31、第2ソレノイドバルブ32、第3ソレノイドバルブ33、第4ソレノイドバルブ34、及び第5ソレノイドバルブ35にそれぞれ入力されている。それら第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35は、後述する制御装置10からの信号を受けて、該ソレノイドモジュレータ圧に基づく信号圧を発生し、それぞれ油路53,54,55,56,57より出力する。
【0034】
一方、クラッチC−1のアクチュエータ61にはコントロールバルブ36が、クラッチC−2のアクチュエータ62にはコントロールバルブ37が、クラッチC−3のアクチュエータ63にはコントロールバルブ38が、ブレーキB−1のアクチュエータ64にはコントロールバルブ39が、ブレーキB−2のアクチュエータ65にはコントロールバルブ40が、それぞれ接続されており、それらコントロールバルブ36,37,38,39,40には不図示のプライマリレギュレータバルブ等により供給されるライン圧が入力されている。そして、第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35により油路53,54,55,56,57を介してコントロールバルブ36,37,38,39,40に信号圧が入力されることで、上記クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2のアクチュエータに上記ライン圧がコントロールされる形で供給されて、それらクラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2の係合・解放が制御される。
【0035】
つづいて、自動変速機3の作動について図2及び図3に沿って説明する。図3に示すように、シフトレンジがP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジ等の非走行レンジである場合、クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2は全て解放状態であり、特にクラッチC−1,C−2,C−3が解放されているので、入力軸4aと出力軸4bとの動力伝達が切断されている状態である。
【0036】
前進1速段(1st)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1が係合されると共にワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。そして、サンギヤS3の減速回転が、ワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されているキャリヤCR2を介して更に減速されてリングギヤR3に入力され、つまり、入力軸4aの回転が1速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。なお、エンジンブレーキ時には、上記ワンウェイクラッチF−1に代わってブレーキB−2が係合され、キャリヤCR2の回転が固定される。
【0037】
前進2速段(2nd)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1及びブレーキB−1が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。一方、ブレーキB−1によりサンギヤS2の回転がミッションケース7に対して固定される。そして、固定されたサンギヤS2とサンギヤS3の減速回転によりキャリヤCR2が減速回転し、該サンギヤS3の減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が2速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。
【0038】
前進3速段(3rd)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力され、更に、クラッチC−3を介してサンギヤS2にも同じ減速回転が入力される。そして、サンギヤS2及びサンギヤS3の減速回転によりキャリヤCR2及びリングギヤR3が同じ減速回転となって該リングギヤR3より出力され、つまり入力軸4aの回転が3速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。
【0039】
前進4速段(4th)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−1を介してサンギヤS3に該減速回転が入力される。一方、クラッチC−2を介してキャリヤCR2にも入力軸4aの回転が入力される。そして、サンギヤS3の減速回転とキャリヤCR2の入力軸4aの回転とにより、僅かに減速される減速回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が4速段の減速回転として出力軸4bに伝達される。
【0040】
前進5速段(5th)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−3を介してサンギヤS2に該減速回転が入力される。一方、クラッチC−2を介してキャリヤCR2にも入力軸4aの回転が入力される。そして、サンギヤS2の減速回転とキャリヤCR2の入力軸4aの回転とにより、僅かに増速される増速回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が5速段の増速回転として出力軸4bに伝達される。
【0041】
前進6速段(6th)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−2及びブレーキB−1が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がクラッチC−2を介してキャリヤCR2に入力される。一方、ブレーキB−1によりサンギヤS2の回転がミッションケース7に対して固定される。そして、固定されたサンギヤS2とキャリヤCR2の入力軸4aの回転とにより増速回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が6速段の増速回転として出力軸4bに伝達される。
【0042】
後進1速段(Rev)の状態においては、図3に示すように、上記油圧制御装置30によりクラッチC−3及びブレーキB−2が係合される。すると、図2に示すように、入力軸4aの回転がリングギヤR1に入力されて、固定されているサンギヤS1によりキャリヤCR1から減速回転が出力され、クラッチC−3を介してサンギヤS2に該減速回転が入力される。一方、ブレーキB−2によりキャリヤCR2の回転がミッションケース7に対して固定される。そして、固定されたキャリヤCR2によりサンギヤS2の減速回転が逆転回転としてリングギヤR3に出力され、つまり入力軸4aの回転が後進の逆転回転として出力軸4bに伝達される。
【0043】
また、ニュートラル(N)の状態(全てのクラッチ及びブレーキを解放した状態)から、上記油圧制御装置30によりブレーキB−1だけを係合させると、図2に示すように、サンギヤS2がミッションケース7に対して固定される。一方、キャリヤCR2はワンウェイクラッチF−1により一方向の回転が規制されており、固定されたサンギヤS2と一方向の回転が規制されたキャリヤCR2とにより、リングギヤR3の逆転回転が規制される。つまり、ブレーキB−1を係合することにより出力軸4aの逆転回転が規制され、いわゆるヒルホールドの状態となる。なお、この際のブレーキB−1の油圧は、通常の係合油圧でなく、車輌が後進しないように駆動車輪を固定し得る比較的低い油圧(以下、「ヒルホールド圧」とする。)であれば充分である。
【0044】
ついで、本発明の要部となる車輌の制御装置1について図1に沿って説明する。図1は本発明に係る車輌の制御装置1を示すブロック図である。図1に示すように、車輌の制御装置1は主制御部(ECU)10を備えており、該主制御部10には、不図示の運転席に配設され、トランスファー8の変速段を選択するためのトランスファー切替えレバー21、及び自動変速機3のシフトレンジを選択するためのシフトレバー26と、各種センサ(車速センサ22、自動変速機3の入力軸4aに配設されている入力軸回転数センサ23、自動変速機3の出力軸4bに配設されている出力軸回転数センサ27、スロットル開度センサ24、及び内燃エンジン2に配設されているエンジン回転数センサ25)と、がそれぞれ接続されている。
【0045】
また、上記主制御部10内には、切替え要求検出手段11、既存フェール検出手段17、動力伝達切断手段12、切替え判断手段18、切替え制御手段13、動力伝達接続手段14、抑圧制御手段15、及びシフトレンジ検出手段16を備えており、該主制御部10には、エンジン2と、上記第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35を有する油圧制御装置30と、トランスファー8と、が接続されている。上記既存フェール検出手段17及び切替え判断手段18により、動力伝達切断手段12のフェール状態を検出するフェール状態検出手段が構成されている。
【0046】
なお、本明細書で言う「フェール状態」とは、解放すべき摩擦係合要素(係合要素)を解放することができない状態を含む概念である。
【0047】
次に、上記車輌の制御装置1における各手段の機能について説明する。即ち、上記切替え要求検出手段11は、トランスファー切替えレバー21の選択位置に基づき、ドライバ等によるトランスファー8の変速段の切替え要求を検出し、動力伝達切断手段12に所定信号を出力する。
【0048】
上記既存フェール検出手段17は、切替え要求検出手段11が切替え要求を検出した際に、後述の動力伝達切断手段12による解放制御に先立って、クラッチC−1及びブレーキB−1等のうちの解放すべき摩擦係合要素に、所定の禁止条件に該当するフェール(フェール状態)が既に存在するか否かを判定し(検出し)、該判定の旨を示す判定信号を切替え判断手段18に出力する。
【0049】
上記動力伝達切断手段12は、切替え要求検出手段11から上記所定信号を受けた際(つまり、切替え要求検出手段11による切替え要求の検出に基づき)、シフトレバー26の選択位置によりシフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段16の検出結果に基づいて、車輌が走行状態である場合に、自動変速機3がエンジン2と駆動車輪との間の動力伝達を切断するように、上記切替え要求を検出した際の変速段(変速状態)に応じて、上記クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2のうちから切断状態(解放状態)にすべき係合要素を選択し、該選択した係合要素を解放すべく(該選択に基づいて)油圧制御装置30(上記第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35)を制御する。なお、本明細書においては、車輌が停止状態(速度が0)であっても、シフトレンジがD(ドライブ)レンジ、R(リバース)レンジ等の走行レンジである場合(即ち駆動力が駆動輪に伝達されている場合)には、その状態を「走行状態」とする。
【0050】
上記切替え制御手段13は、動力伝達切断手段12による自動変速機3の動力伝達の切断中、つまり該動力伝達切断手段12により動力伝達が切断されている状態である場合、或いは、シフトレンジがPレンジ又はNレンジであって動力伝達が切断されている状態である場合に、トランスファー8を、上記トランスファー切替えレバー21により選択された変速段になるように切替え制御する。また、上記動力伝達切断手段12により動力伝達を切断した場合には、上記切替え制御手段13の切替え制御が行われている間、該動力伝達切断手段12により選択された上記クラッチないしはブレーキの切断状態を維持するように油圧制御装置30が制御される。
【0051】
上記切替え判断手段(制御禁止手段)18は、前記フェール状態検出手段(17,18)がフェール状態を検出したとき、動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御の開始又は継続を禁止する制御禁止手段として機能する。また、切替え判断手段18は、後述する解放制御中フェール検出手段(S56,S57)の検出に基づき、切替え制御手段13による制御の継続を禁止する。
【0052】
つまり、上記切替え判断手段18は、以下に示す第1の判定(図5のステップS56参照)と第2の判定(図5のステップS57参照)とを続けて実行することにより、自動変速機3の切替え制御を二段階判定にて適正に行い得る。また、切替え判断手段18は、既存フェール検出手段17から既存フェール有りと判定した旨の判定信号を受けた際、切替え制御手段13による切替え制御を禁止するように機能する。
【0053】
第1の判定では、動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御におけるフェール状態を所定時間監視して、自動変速機3の入力軸4a及び出力軸4bの各回転並びに時間に基づく回転変化率に基づき検出する。即ち、該第1の判定では、入力軸回転数センサ23及び出力軸回転数センサ27による検知結果を入力し、自動変速機2の入力軸4a及び出力軸4bの各回転数と時間とに基づいて回転変化率を算出し、該回転変化率が所定範囲内である場合にはフェール状態無しと判定し、該範囲外である場合にはフェール状態有りと判定する。
【0054】
また、第2の判定では、第1の判定でフェール有りと判定した際に、各センサによる検知結果や各ソレノイドバルブの配線故障等のチェック結果等を踏まえつつ更に所定時間の監視を続行し、上記第1の判定にてフェール有りとされながらも摩擦係合要素の応答遅れ(バラツキ)に起因して後から切断状態となる(回復する)か否かを判定する。即ち、第2の判定では、第1の判定(S56)にてフェール状態を検出した後、自動変速機3の切断状態が得られない(即ちフェール状態が回復しない)と判定した際には、切替え制御手段13による切替え制御を禁止する。また、自動変速機3の切断状態が得られるなど、該フェール状態が回復したことを検出した場合、該回復がフェールセーフ制御にて得られたと判定(検出)した際には、切替え制御手段13による制御の継続を禁止する。そして、フェールセーフ制御によらず適正に回復したことを検出した際には、切替え制御手段13による切替え制御に移行する。
【0055】
なお、第1及び第2の判定処理における上記「所定時間」とは、通常であればクラッチ、ブレーキ等の摩擦係合要素が係合を解除し得る時間として設定されるものである。また、上記「フェールセーフ制御」とは、油圧制御装置30に断線や短絡障害(ショート)等の故障が発生した場合(フェール時)には、車輌走行に支障が出る虞があるため、例えば、所定の摩擦係合要素作動用のバルブを予め複数用意しておき、一方のバルブを駆動制御するソレノイドバルブが故障した場合でも、他方のバルブ用のソレノイドバルブを駆動することにより上記摩擦係合要素を解放し得るようにした制御を意味するものである。
【0056】
上記動力伝達接続手段14は、シフトレンジ検出手段16の検出結果に基づき、車輌が走行状態である場合(シフトレンジがDレンジ又はRレンジである場合)に、自動変速機3がトランスファー8の変速段に対応する変速状態、特に前進走行時には上述の変速段(6速段)の中から最適な変速段にて、上述のように切断されたエンジン2と駆動車輪との動力伝達を接続するように油圧制御装置30(上記第1乃至第5ソレノイドバルブ31,32,33,34,35)を制御する。
【0057】
また、動力伝達接続手段14は、後述する解放制御中フェール検出手段(S56,S57)によるフェール状態の検出に基づき、動力伝達切断手段12及び切替え制御手段13による制御の継続を禁止した後、動力伝達切断手段12を制御することにより、切断状態の自動変速機3の動力伝達を再度接続する機能を有する。即ち、該動力伝達接続手段14は、切断状態を得るために選択した摩擦係合要素にフェールが有る場合でも、再度接続する際には、切断処理前の変速段、又は該変速段に最も近い変速段に移行させるように制御する。例えば、切断処理前の変速段に戻すことが困難な場合には、フェール状態の摩擦係合要素に代えてフェールの無い別の摩擦係合要素を使用し、接続処理前の変速段に最も近い変速段に移行させる。これにより、フェール状態検出に基づきトランスファー8の切替えを中止した後に、車輌を円滑に走行させることができる。
【0058】
また、抑圧制御手段15は、少なくとも動力伝達切断手段12が上記動力伝達を切断する制御の開始から動力伝達接続手段14が該動力伝達を接続する制御の終了までの間、エンジン2のトルク(出力)を抑圧するように制御し(エンジントルクリミテーション)、いわゆるエンジン吹きの発生を防止する。
【0059】
なお、上記動力伝達切断手段12は、上記動力伝達を切断する際に、上記クラッチC−1,C−2,C−3及びブレーキB−1,B−2の係合状態を全て切断するように油圧制御装置30を制御し、動力伝達接続手段14により接続する際における最適な変速段の接続を制御し易くしてもよく、或いは、上記自動変速機3が1速段又は2速段(比較的低速段)であることに基づき、例えばブレーキB−1(所定の摩擦係合要素)だけを係合させ、該自動変速機3の動力伝達を切断すると共に駆動車輪の逆転回転を不能にするように油圧制御装置30を制御し、上述のヒルホールドを行うようにしてもよい。
【0060】
つづいて、上記車輌の制御装置1の動作について図1、及び図5乃至図9のフローチャートに沿って説明する。図5は車輌の制御装置1の制御全体を示すフローチャート、図6は解放制御を示すフローチャート、図7は解放継続制御を示すフローチャート、図8は係合制御を示すフローチャート、図9は復帰制御を示すフローチャートである。
【0061】
図5に示すように、例えばエンジン2の始動、又はイグニッションスイッチのON等により制御を開始すると(ステップS10)、切替え要求検出手段11は、トランスファー切替えレバー21の選択位置に基づいてトランスファー8の切替え要求があったか否かを検出し(S20)、該切替え要求がない場合には(S20のNo)、そのままリターンし(S170)、つまり何れの制御も行わない。
【0062】
一方、例えばドライバによりトランスファー切替えレバー21が切替えられると、切替え要求検出手段11が切替え要求があったことを検出し(S20のYes)、該検出結果を動力伝達切断手段12に出力する。また、シフトレンジ検出手段16がシフトレバー26の選択位置より自動変速機3のシフトレンジを検出し、該検出結果を動力伝達切断手段12に出力する。すると、動力伝達切断手段12は、シフトレンジがPレンジ又はNレンジであるか否かを判定し(S30)、Pレンジ又はNレンジである場合には(S30のYes)、車輌が走行中ではないこと(動力伝達が切断状態であること)を判定して、後述するステップS70に進む。
【0063】
一方、上記ステップS30において、シフトレンジがPレンジ又はNレンジでない場合は(S30のNo)、即ちシフトレンジがDレンジ又はRレンジなどの走行レンジであるので、車輌が走行中であることを判定し、トランスファー(T/F)切替え禁止フラグをONして(S40)、ステップS41に進む。
【0064】
上記ステップS41では、既存フェール検出手段17が、解放すべきクラッチ、ブレーキ等の摩擦係合要素に、所定の禁止条件に該当するフェールが既に存在するか否かを判定し、該既存フェールがあると判定した場合には、そのままリターンして(S170)、前記動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御を行わない。一方、既存フェールが無いと判定した場合には、ステップS50の解放制御を実行するべく、該判定の旨を示す判定信号を切替え判断手段18に出力する。
【0065】
このように、既存フェール検出手段17が既存フェール有りと判定した場合に、前記動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御の開始を禁止することにより、例えばエンジン2の始動後に非走行レンジ(Nレンジ等)から走行レンジ(Dレンジ等)に切替えて一旦走行した後、非走行レンジに戻そうとしたが戻らなかったという状況が発生した場合、その後ドライバによるトランスファー8の切替え要求が出たとしても、該切替えを禁止することができる。
【0066】
続いて、ステップS50においては、図6に示すように、ステップS51で解放制御を開始すると、まず現在の自動変速機3の変速段が2速段であるか否かを判定し(S52)、該変速段が2速段以外である場合は(S52のNo)、ステップS54に進み、該変速段が2速段である場合は(S52のYes)、ステップS53に進む。なお、現在の変速段は、油圧制御装置30の状態より検出してもよく、また、スロットル開度センサ24及び車速センサ22に基づいて不図示の変速マップ等から検出してもよい。
【0067】
ステップS54においては(2速段以外の場合では)、動力伝達切断手段12により、1速段ではクラッチC−1及びブレーキB−2、3速段ではクラッチC−1及びクラッチC−3、4速段ではクラッチC−1及びクラッチC−2、5速段ではクラッチC−2及びクラッチC−3、6速段ではクラッチC−2及びブレーキB−1、後進1速段ではクラッチC−3及びブレーキB−2、を選択し、それら選択された各クラッチ、ブレーキの油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3をニュートラル状態にして動力伝達を切断する。
【0068】
また、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に制御し、該ロックアップクラッチ6を解放し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に、抑圧制御手段15によりエンジン2にリミテーショントルク信号Tlが出力され、該エンジン2のトルクリミテーションを実行(開始)して、エンジン2と駆動車輪との動力伝達が切断されたことによるエンジン吹きの発生を防止する。なお、この際のリミテーショントルク信号Tlの値は、エンジン吹きの発生を防止し、かつエンジン2が停止しないような適宜な値であればよい。
【0069】
一方、ステップS53においては(2速段の場合では)、動力伝達切断手段12によりクラッチC−1を選択し、該クラッチC−1の油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御すると共に、ブレーキB−1の油圧がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3の動力伝達を切断すると共に、上述したヒルホールドを行う。
【0070】
また、ステップS54と同様に、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に制御し、該ロックアップクラッチ6を解放し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に同様に、抑圧制御手段15によりエンジン2にリミテーショントルク信号Tlが出力され、該エンジン2のトルクリミテーションを実行(開始)して、エンジン2と駆動車輪との動力伝達が切断されたことによるエンジン吹きの発生を防止する。なお、この際のリミテーショントルク信号Tlの値も、エンジン吹きの発生を防止し、かつエンジン2が停止しないような適宜な値であればよい。
【0071】
上記切替え判断手段18は、ステップS50の解放制御の開始時に第1のカウントダウンタイマtaを設定し、該タイマtaが0になるまでの所定時間に亘って、該解放制御におけるフェール状態の有無を監視している。そして、該切替え判断手段18は、ステップS56において、入力軸回転数センサ23及び出力軸回転数センサ27の検知結果を受けて、自動変速機2の入力回転及び出力回転等に基づいて回転変化率を算出し、該回転変化率に基づき、動力伝達切断手段12による上記解放制御におけるフェール状態の有無を判定する(第1の判定)。その結果、フェール状態無しと判定した場合には、ステップS70に進み、逆にフェール有りと判定した場合には、ステップS57に進む。このような第1の判定により、車輌走行中におけるフェール状態、即ち自動変速機3の切断状態が得られたか否かを、特別な検出手段を別途用意することなく容易かつ確実に検出することができる。
【0072】
そして、ステップS57では、第2のカウントダウンタイマtbを設定して、該タイマtbが0になるまでの所定時間に亘り、第1の判定でフェール状態有りとされながらも摩擦係合要素の応答遅れ等に起因して後から切断状態が得られるか否かを判定する。即ち、該ステップS57の第2の判定では、自動変速機3の切断状態が、更なる所定時間中にも得られないと判定した場合に、切替え制御手段13による切替え制御を禁止するべく、ステップS40でONした切替え禁止フラグをOFFすることなく、ステップS110に進む。一方、自動変速機3の切断状態が得られた(回復した)と判定した場合には、更に該切断状態はフェールセーフ制御にて得られたものか否かを判定する。その結果、フェールセーフ制御によると判定した場合には、ステップS40にてONしたトランスファー切替え禁止フラグをOFFすることなく、切替え制御手段13による切替え制御の継続を禁止しつつ、ステップS110に進む。そして、フェールセーフ制御によらず適正に切断状態になったと判定した場合には、ステップS70に進んで、ステップS40にてONしたトランスファー切替え禁止フラグをOFFした後、切替え制御手段13による切替え制御を実施する処理に移行する。
【0073】
このような第2の判定により、第1の判定とで二段階のフェール状態検出処理を実現できるので、複数の摩擦係合要素の解放動作のバラツキにより、第1の判定だけでは摩擦係合要素の解放の可/不可が把握しきれない場合でも、トランスファー8の切替え禁止を直ちに実施せず更に第2の判定にてフェール状態検出を行うことにより、トランスファー8の適正な切替え制御が実現できる。
【0074】
なお、上記ステップS56は、自動変速機3の入力軸4a及び出力軸4bの各回転数等に基づく回転変化率に基づいて、動力伝達切断手段12による制御におけるフェール状態を検出する第1の検出手段を構成しており、また上記ステップS57は、該第1の検出手段(S56)がフェール状態を検出した後、該フェール状態が回復したことを検出した場合、該回復がフェールセーフ制御にて得られたことを検出した際に、切替え制御手段13による制御の継続を禁止する第2の検出手段を構成している。そして、上記ステップS56及びS57双方の処理により、前記動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御におけるフェール状態を検出する、前記フェール状態検出手段(17,18)に備えられた解放制御中フェール検出手段が構成されている。前述の制御禁止手段(18)は、該解放制御中フェール検出手段(S56,S57)の検出に基づき、切替え制御手段13による制御の継続を禁止する。
【0075】
そして、ステップS70において、切替え判断手段18がトランスファー切替え禁止フラグをOFFすると共に、切替え制御手段13がトランスファー8にトランスファー切替え信号ONを出力することにより、該トランスファー8の変速段の切替えを開始して、ステップS80に進む。
【0076】
ここで、動力伝達切断手段12による解放継続制御S80について図7に沿って説明する。該解放継続制御S80を開始すると(S81)、まず現在の自動変速機3の変速段が2速段であるか否かを判定する(S82)。現在の自動変速機3の変速段が2速段である場合(S82のYes)は、ステップS83に進んで、上記ステップS53と同様の制御を継続し、即ち動力伝達切断手段12により選択されたクラッチC−1の油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御する共に、ブレーキB−1の油圧がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御する状態を継続し、つまり自動変速機3の動力伝達の切断状態であってヒルホールドの状態を継続して行う。
【0077】
また、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に継続して制御し、該ロックアップクラッチ6の解放状態を継続し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に、抑圧制御手段15により上述したエンジン2のトルクリミテーションを継続して、エンジン2と駆動車輪との動力伝達が切断されたことによるエンジン吹きの発生を防止する。
【0078】
一方、現在の自動変速機3の変速段が2速段でない場合(S82のNo)、ステップS84に進み、現在の自動変速機3の変速段が1速段であるか否かを判定する。現在の自動変速機3の変速段が1速段でない場合(S84のNo)、つまり現在の変速段が1速段或いは2速段ではなく、3速段以上であるので、特に駆動車輪が逆転回転する虞が少なく(例えば登坂路などであってもある程度の車速があり、車輌が逆走する虞が少ない)、従って、上記ステップS54と同様の制御を継続し(S86)、即ち動力伝達制御手段12により選択された各クラッチ、ブレーキの油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御する状態を継続し、つまり自動変速機3をニュートラル状態にした動力伝達の切断状態を継続する。
【0079】
また同様に、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に継続して制御し、該ロックアップクラッチ6の解放状態を継続し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に、抑圧制御手段15により上述したエンジン2のトルクリミテーションを継続して、エンジン2と駆動車輪との動力伝達が切断されたことによるエンジン吹きの発生を防止する。
【0080】
そして、ステップS84において、現在の自動変速機3の変速段が1速段である場合は(S84のYes)、ステップS85に進み、上記ステップS54の制御を継続しつつ、即ち動力伝達切断手段12により選択されたクラッチC−1及びブレーキB−2の油圧がベース圧(例えば0圧)になるように油圧制御装置30を制御する状態を継続しつつ、ブレーキB−1の油圧がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3の動力伝達の切断状態であってヒルホールドの状態を継続して行う。
【0081】
また、この際も同様に、ロックアップクラッチ6の油圧も不図示のソレノイドバルブSLUにより0圧に継続して制御し、該ロックアップクラッチ6の解放状態を継続し、後述する係合制御S110により動力伝達が接続される場合に、変速ショックやエンジン2の停止などが発生しないようにする。更に、抑圧制御手段15により上述したエンジン2のトルクリミテーションを継続して、エンジン2と駆動車輪との動力伝達が切断されたことによるエンジン吹きの発生を防止する。
【0082】
なお、上記解放継続制御S80では、現在の自動変速機3の変速段が1速段或いは2速段である場合にヒルホールドを行っているが、これに限らず、3速段以上の変速段である場合や、特にシフトレンジがNレンジの場合などにもヒルホールドを行えるように構成してもよい。
【0083】
ついで、上記解放継続制御S80が終了し(S87)、ステップ90に進むと、切替え制御手段13はトランスファー8の切替え終了信号があったか否か(即ち、切替え制御手段13の切替え信号がONからOFFになったか否か)を判定し、該切替え終了信号がない場合(切替え信号がONのままである場合)には(S90のNo)、繰り返し上記解放継続制御S80を行う。一方、該切替え終了信号がある場合(切替え信号がONからOFFになった場合)には(S90のYes)、ステップS100に進む。
【0084】
該ステップS100においては、シフトレンジ検出手段16がシフトレバー26の選択位置より自動変速機3のシフトレンジを検出し、該検出結果を動力伝達接続手段14に出力する。すると、動力伝達接続手段14は、シフトレンジがPレンジ又はNレンジであるか否かを判定し、該シフトレンジがPレンジ又はNレンジでない場合(ステップS100のNo)、即ちシフトレンジがDレンジ又はRレンジなどの走行レンジである場合は、ステップS110に進む。また、該シフトレンジがPレンジ又はNレンジである場合は(ステップS100のYes)、後述するステップS130に進む。
【0085】
ここで、動力伝達接続手段14による係合制御S110について図8に沿って説明する。該係合制御S110を開始すると(S111)、まずシフトレンジ検出手段16がシフトレバー26の選択位置を検出し、該選択位置がRレンジであるか否かを判定する(ステップS112)。シフトレバー26の選択位置がRレンジである場合には(ステップS112のYes)、ステップS113に進み、通常のシフト制御と同様に、自動変速機3のシフトレンジがNレンジからRレンジになるように油圧制御装置30を制御し(NR制御)、つまりクラッチC−3及びブレーキB−2を係合させて(図3参照)、係合制御S110を終了する(S115)。
【0086】
一方、シフトレバー26の選択位置がRレンジでない場合には(ステップS112のNo)、シフトレバー26の選択位置がPレンジ又はNレンジではなく(ステップS100参照)、かつRレンジでもないため、つまり該シフトレバー26の選択位置がDレンジであることを判定し、ステップS114に進んで、自動変速機3のシフトレンジがNレンジからDレンジになるように油圧制御装置30を制御する(ND制御)。この際は、トランスファー切替えレバー21により検出される選択位置(切替え後の変速段)、車速センサ22により検出される車速、及びスロットル開度センサ24により検出されるスロットル開度などに基づいて例えば不図示のマップから最適な変速段を判定し、該最適な変速段になるように油圧制御装置30を制御し(図3参照)、係合制御S110を終了する(S115)。これにより、トランスファー8が切替えられたことによるギヤ比の変化に応じて自動変速機3を最適な変速段にすることができる。
【0087】
なお、この際、トランスファー8の切替え前の変速段が1速段又は2速段であって切替え後に2速段以外である場合には、上述したヒルホールド圧によって係合されているブレーキB−1の油圧をベース圧(0圧)に制御し、トランスファー8の切替え前の変速段が1速段又は2速段であって切替え後に2速段である場合には、ヒルホールド圧によって係合されているブレーキB−1の油圧をそのまま上昇させて係合圧に制御する。
【0088】
また、上記動力伝達接続手段14による係合制御S110では、前記第2の判定(S56,S57)によるフェール状態の検出に基づいて切替え制御を禁止した際には、フェールの存在に拘らず、油圧制御装置30を作動して切断状態の自動変速機3の動力伝達を再度接続し得るように動力伝達切断手段12を制御する。即ち、動力伝達接続手段14は、切断状態を得るために選択した摩擦係合要素にフェールが有るときでも、再度接続する際には、切断処理前の変速段、又は該変速段に最も近い変速段に移行させるように制御する。例えば、フェールが有る摩擦係合要素に代えてフェールの無い別の摩擦係合要素を使用して、接続処理前の変速段に最も近い変速段に移行させて、車輌の円滑な走行状態を続行させる。
【0089】
ついで、上記係合制御S110が終了すると、例えば自動変速機3の各クラッチ、ブレーキの状態からシフトレンジがDレンジ又はRレンジになったか否か(ND制御、NR制御の終了条件が成立したか否か)を判定し、また、特にシフトレンジがDレンジである場合は、トランスファー8のギヤ比と自動変速機3のギヤ比とに基づく車輌全体としてのギヤ比が、車輌の速度に対して適正であるか否か(ギヤ比の条件が成立したか否か)を判定する。それらステップS120の条件のうち、一方でも成立していない場合は(ステップS120のNo)、両方の条件が成立するまで上記係合制御S110を繰り返し行う。そして、上記ステップS120の条件が両方とも成立した場合は(ステップS120のYes)、ステップS130に進む。
【0090】
シフトレンジがPレンジ又はNレンジである場合(ステップS100のYes)、又は上記ステップS120の条件が両方とも成立した場合は(S120のYes)、抑圧制御手段15によりトルクリミテーションが実行されているエンジン2のトルクを復帰させるため、リミテーショントルク信号Tlを該復帰開始トルクTstに設定し(S130)、ステップS140に進む。
【0091】
ここで、抑圧制御手段15による復帰制御S140について図9に沿って説明する。該復帰制御S140を開始すると(S141)、上記ステップS130において設定された復帰開始トルクTstからスィープ量(傾き)ΔTによって徐々にリミテーショントルク信号Tlの増加を行い(S142)、終了する(S143)。
【0092】
上記復帰制御S140が終了すると、ステップS150に進み、リミテーショントルク信号Tlが、スロットル開度センサ24により検出されるスロットル開度に基づくドライバの要求トルク以上(リミテーショントルク信号Tl>ドライバーリクエストトルク)であるか否か、又はリミテーショントルク信号Tlが、エンジン回転数センサ25により検出されるエンジン回転数に基づく実際のエンジントルクに対して所定値以上(リミテーショントルク信号Tl−実際のエンジントルク≧所定値)であるか否かを判定する。該ステップS150の条件が両方とも成立しない場合は(S150のNo)、ステップS140に戻り、更にリミテーショントルク信号Tlを増加させ、つまりエンジン2のトルクを更に上昇させる。
【0093】
その後、該ステップS150の条件のうち一方が成立した場合には(S150のYes)、ステップS160に進み、抑圧制御手段15によるトルクリミテーションを解除し、また、上記解放制御S50及び解放継続制御S80により解放されたロックアップクラッチ6を通常の制御に復帰させる。そして、ステップS170に進み、以上の制御を繰り返し行う。
【0094】
つづいて、本発明に係る車輌の制御装置1の制御の一例を、図10に沿って(及び図5等を参照して)説明する。図10は車輌の制御装置1の制御例を示すタイムチャートであり、自動変速機3が2速段で走行中の場合にトランスファー8を切替え、再び自動変速機3を2速段に係合した状態を示している。
【0095】
車輌が走行中であって自動変速機3が2速段の状態である際に、時点t1においてドライバによりトランスファー切替えレバー21が切替えられると、切替え要求検出手段11が、例えばトランスファー切替え要求フラグをOFFからONにして、切替え要求を検出する(S20)。この際は、シフトレンジがDレンジであるので(S30)、動力伝達切断手段12はトランスファー切替え禁止フラグをONにする(S40)。そして、既存フェール検出手段17が、解放すべきクラッチ等の摩擦係合要素に、所定の禁止条件に該当するフェール(フェール状態)が既に存在するか否かを判定し(S41)、該既存フェールがあると判定した場合には、切替え制御手段13による切替え制御を行わず(S170)、また既存フェールが無いと判定した場合には、ステップS50の解放制御を実行するべく、該判定の旨を示す判定信号を切替え判断手段18に出力する。
【0096】
動力伝達切断手段12が解放制御を開始した場合(S50)、現在の変速段は2速段であるので(S52)、クラッチC−1を選択して該クラッチC−1の油圧PC1がベース圧になるように油圧制御装置30を制御すると共に、ブレーキB−1の油圧PB1がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3の動力伝達を切断すると共にヒルホールドを行う。そして、ロックアップクラッチ6の油圧を0圧にして該ロックアップクラッチ6を解放すると共に、抑圧制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションを行う(S54)。
【0097】
そして、切替え判断手段18が、時点t1で解放制御(S50)が開始したときから第1のカウントダウンタイマtaを設定し、該解放制御におけるフェール(フェール状態)の有無を所定時間に亘って監視し、自動変速機2の回転変化率に基づいて(S56)、解放制御時のフェールの有無を判定する(第1の判定)。その結果、フェールが無い場合には、トランスファー切替え禁止フラグをOFFすると共にトランスファー切替え信号ONを出力し(S70)、またフェールが有る場合には、第2のカウントダウンタイマtbを設定し(S57)、第1の判定処理でフェール有りとされながらも、摩擦係合要素の応答遅れ等に起因して後から切断状態となるか否かを判定する(第2の判定)。
【0098】
そして、上記第2の判定で切断状態が得られたと判定した場合は、更に該切断状態は自動変速機のフェールセーフ制御で得られたものか否かを判定し、フェールセーフ制御による場合には、ONされているトランスファー切替え禁止フラグをOFFせずに、切替え制御手段13による切替え制御を禁止しつつ、係合制御(S110)に移行する。また、フェールセーフ制御によらず適正に切断状態になったと判定した場合は、ONされているトランスファー切替え禁止フラグをOFFした後(S70)、切替え制御手段13による切替え制御に移行する。更に、自動変速機3の切断状態が得られない場合には、切替え制御手段13による切替え制御を禁止するべく、ONされた切替え禁止フラグをOFFせずに、係合制御(S110)に移行する。
【0099】
更に、時点t2にて、上述したトランスファー切替え禁止フラグのOFF切替えを行うと共に、切替え制御手段13がトランスファー切替え信号をONにして(S70)、トランスファー8の変速段の切替えを開始する。また、動力伝達切断手段12は、解放継続制御(S80)を開始して、上記解放制御と同様の制御を継続し、現在の変速段が2速段であるので(S82)、クラッチC−1を選択して該クラッチC−1の油圧PC1がベース圧になるように油圧制御装置30を制御すると共に、ブレーキB−1の油圧PB1がヒルホールド圧になるように油圧制御装置30を制御し、つまり自動変速機3の動力伝達を切断すると共にヒルホールドを行う。そして、ロックアップクラッチ6の油圧を0圧にして該ロックアップクラッチ6を解放すると共に、抑圧制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションを行う(S54)。
【0100】
そして、時点t3にて、トランスファー切替え終了信号、即ち切替え制御手段13がトランスファー切替え信号をOFFにすると(S90)、シフトレンジがDレンジであるので(S100)、係合制御(S110)を開始し、ND制御を行う(S114)。すると、動力伝達接続手段14は、車速センサ22により検出される車速、スロットル開度センサ24により検出されるスロットル開度、及びトランスファー8の切替え後の変速段に基づいて不図示のマップを参照し、最適な変速段である2速段を判定する。
【0101】
それにより、該動力伝達接続手段14は、通常の自動変速機3の変速制御と同様に、クラッチC−1の油圧PC1及びブレーキB−1の油圧PB1を油圧制御装置30により制御して(特にクラッチC−1の油圧を、いわゆるガタ詰め制御、スリップ制御、完全係合制御して)、それらクラッチC−1及びブレーキB−1を係合させ、自動変速機3を2速段の状態にする。なお、この係合制御を行っている間も、抑圧制御手段15によりエンジン2のトルクリミテーションが行われている。
【0102】
また、動力伝達接続手段14は、前記第2の判定によるフェール状態の検出に基づいて前記切替え制御が禁止されている場合には、切断状態を得るために選択した摩擦係合要素のフェールに拘らず、再度接続する際には、切断処理前の変速段、又は該変速段に最も近い変速段に移行させるように制御する。
【0103】
更に、時点t4にて、ND制御終了の条件が成立し、かつギヤ比条件が成立すると(S120)、抑圧制御手段15は、リミテーショントルク信号Tlを該復帰開始トルクTstに設定し(S130)、該復帰開始トルクTstからスィープ量(傾き)ΔTによって徐々にリミテーショントルク信号Tlの増加を行う(S142)。
【0104】
そして、時点t5にて、リミテーショントルク信号Tlがスロットル開度センサ24に基づくドライバの要求トルク以上、又はリミテーショントルク信号Tlがエンジン回転数センサ25に基づく実際のエンジントルクに対して所定値以上になると(S150)、トルクリミテーションを解除すると共に、ロックアップクラッチ6を通常の制御に復帰させ(S160)、上記トランスファー切替え要求フラグをOFFにして、トランスファー8の切替えを完了する。
【0105】
以上のように本発明に係る車輌の制御装置1によれば、動力伝達切断手段12が、車輌が走行状態である場合に、切替え要求検出手段11の検出結果に基づいて自動変速機3がエンジン2と駆動車輪との動力伝達を切断するように切断状態にするクラッチないしブレーキを選択して、該選択に基づいて油圧制御装置30を制御し、切替え制御手段13が、動力伝達切断手段12による自動変速機3の動力切断中にトランスファー8を切替え制御(つまり、自動変速機3の動力伝達が切断状態であることに基づいてトランスファー8の変速段を切替え制御)し、動力伝達接続手段14が、トランスファー8の変速段が切替えられたことに基づいて、自動変速機3の動力伝達を再度接続するように動力伝達切断手段12を制御するので、車輌が走行状態であっても、トランスファー8の変速段を切替えることができる。
【0106】
そして、切替え判断手段(制御禁止手段)18が、動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御の開始又は継続を、フェール状態検出手段(17,18)によるフェール状態の検出に基づいて禁止するので、トランスファー8の変速段の切替えに際してフェール状態がある場合には、トランスファー8の変速段切替えを確実に阻止することができる。これにより、非切断状態にて変速段の切替えを行うことでトランスファー8にダメージを与えるような問題の発生を、未然に防止することができる。
【0107】
また、切替え判断手段(制御禁止手段)18が、既存フェール検出手段17の検出に基づいて、動力伝達切断手段12及び切替え制御手段13による制御の開始を禁止するので、例えばエンジン2の始動後に、Nレンジ等の非走行レンジからDレンジ等の走行レンジに切替えて一旦走行し、非走行レンジに戻そうとしたが戻らなかったという状況の発生、即ち動力伝達切断手段12が切断状態を得られない既存フェールが発生した後、トランスファー8の切替え要求があった場合には、トランスファー8の切替えを確実に禁止することができる。つまり、油圧制御装置30の解放制御に先立って、自動変速機3の切断状態が適正に得られないという事実が予め判明した際には、変速段切替えを実行しないように制御できるので、例えば制御プログラム自体を簡略化することが可能になる。
【0108】
更に、本制御装置1によると、上記フェール状態検出手段(17,18)が、上記動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御におけるフェール状態を検出する解放制御中フェール検出手段(S56,S57)を有し、切替え判断手段(制御禁止手段)18が、上記解放制御中フェール検出手段の検出に基づき、切替え制御手段13による制御の継続を禁止するので、上記動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御中のフェール状態を検出し、該検出に基づき、これら動力伝達切断手段12、切替え制御手段13及び動力伝達接続手段14による制御の継続を確実に禁止することができる。また、解放制御中フェール検出手段(S56,S57)が動力伝達切断手段12による制御におけるフェール状態を、自動変速機3の入力軸4a及び出力軸4bの各回転に基づく回転変化率に基づき検出する第1の検出手段(S56)を有するので、車輌走行中におけるフェール状態、即ち自動変速機3の切断状態が得られたか否かを、特別な検出手段を別途用意することなく容易かつ確実に検出することができる。
【0109】
また、本制御装置1では、第2の検出手段(S57)が、第1の検出手段(S56)によりフェール状態が検出された後に該フェール状態の回復を検出し、更に該回復がフェールセーフ制御で得られたことを検出した際には切替え制御手段13による制御の継続を禁止するので、二段階の確実なフェール状態検出処理が実現する。このため、係合要素が複数存在する場合それらの解放動作のバラツキにより、第1の検出手段(S56)だけでは係合要素の解放の可/不可が把握しきれない場合でも、トランスファー8の切替え禁止を直ちに実施せず更に第2の検出手段(S57)にてフェール状態検出を続けて行うことにより、トランスファー8の適正な切替え制御が実現する。
【0110】
更に、本制御装置1では、フェール状態が検出されて切替え制御手段13等による制御の継続が禁止された後、動力伝達接続手段14が動力伝達切断手段12を制御して切断状態の自動変速機3の動力伝達を再度接続するので、フェール状態検出に基づきトランスファー8の切替えを中止した後に、車輌を円滑に走行させることができる。また、自動変速機3が複数段に変速し得る有段変速機構(4)を有するので、例えば、切替え後のトランスファー8の変速段に対応する最適な変速状態にて走行を続行し得るような油圧制御装置30の制御が可能になる。
【0111】
そして、本制御装置1では、解放すべき係合要素を解放することができない状態をフェール状態として認識することにより、自動変速機3の切断状態の実現に影響するような状況を的確に検出して、トランスファー8の変速段の切替えを的確に実行することができる。また、切替え制御手段13による切替え制御を、自動変速機3が駆動力を伝達する走行レンジ選択時に実行するので、車輌の走行状態でドライバが該変速段の切替えを望む場合、トランスファー8の変速段を的確に切替えることができる。
【0112】
なお、以上の実施の形態において、本発明を、複数段に変速し得る有段変速機構(4)を有する自動変速機3に適用しているが、これに限らず、ベルト式、トロイダル式などの無段変速機に適用してもよく、つまり動力伝達の切断及び接続ができるものであれば何れのものに適用してもよい。本実施の形態では、上記有段変速の自動変速機3に本発明を適用したので、切替え後のトランスファー8の変速段に対応する最適な変速状態にて走行を続行し得る油圧制御装置30の制御が可能になる。
【0113】
更に、以上の実施の形態において、エンジンが駆動源である車輌を説明したが、これに限らず、電気自動車、ハイブリッド車輌などに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輌の制御装置を示すブロック図。
【図2】本発明に係る自動変速機及びトランスファーを示すスケルトン図。
【図3】自動変速機の作動表。
【図4】油圧制御装置を示す一部省略図。
【図5】車輌の制御装置の制御を示すフローチャート。
【図6】解放制御を示すフローチャート。
【図7】解放継続制御を示すフローチャート。
【図8】係合制御を示すフローチャート。
【図9】復帰制御を示すフローチャート。
【図10】車輌の制御装置の制御例を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 車輌の制御装置
2 駆動源(エンジン)
3 自動変速機
4 有段変速機構(自動変速機構)
4a 入力軸
4b 出力軸
8 有段変速機(トランスファー)
11 切替え要求検出手段
12 動力伝達切断手段
13 切替え制御手段
14 動力伝達接続手段
17 フェール状態検出手段(既存フェール検出手段)
18 フェール状態検出手段、制御禁止手段(切替え判断手段)
23 入力軸回転数センサ
24 出力軸回転数センサ
30 油圧制御装置
B−1,B−2 摩擦係合要素(ブレーキ)
C−1,C−2,C−3 摩擦係合要素(クラッチ)
S56 解放制御中フェール検出手段、第1の検出手段
S57 解放制御中フェール検出手段、第2の検出手段
Claims (9)
- 少なくとも2段の変速段を有して変速切替え自在な有段変速機に接続し得、駆動源の出力を複数の係合要素の係合状態に基づき変速して駆動車輪に伝達する自動変速機を備えてなる車輌の制御装置において、
前記有段変速機の変速段の切替え要求を検出する切替え要求検出手段と、
該切替え要求検出手段による前記切替え要求の検出に基づき、前記自動変速機が前記駆動源と前記駆動車輪との動力伝達を切断するように前記複数の係合要素のうち解放すべき係合要素のアクチュエータの油圧を排出して該係合要素を解放する動力伝達切断手段と、
該動力伝達切断手段による前記自動変速機の動力切断中に前記有段変速機を切替え制御する切替え制御手段と、
前記動力伝達切断手段のフェール状態を検出するフェール状態検出手段と、
該フェール状態検出手段がフェール状態を検出したとき前記切替え制御手段の切替え制御を禁止する制御禁止手段と、
前記切替え制御手段により切替えが完了した場合、前記動力伝達切断手段により解放された前記係合要素のうちで係合すべき係合要素の前記アクチュエータに油圧供給して動力接続すると共に、前記動力伝達切断手段による係合要素の解放中にフェール状態が検出された場合、前記切替え制御手段による前記有段変速機の切替え完了に拘わらず前記係合すべき係合要素の前記アクチュエータに油圧供給して動力接続する動力伝達接続手段と、を備えてなる、
ことを特徴とする車輌の制御装置。 - 前記フェール状態検出手段は、前記切替え要求検出手段が前記切替え要求を検出した際に、前記フェール状態が既に存在することを検出する既存フェール検出手段を有し、
前記制御禁止手段は、前記既存フェール検出手段の検出に基づき、前記動力伝達切断手段及び前記切替え制御手段による制御の開始を禁止してなる、
請求項1記載の車輌の制御装置。 - 前記フェール状態検出手段は、前記動力伝達切断手段による制御におけるフェール状態を検出する解放制御中フェール検出手段を有し、
前記制御禁止手段は、前記解放制御中フェール検出手段の検出に基づき、前記切替え制御手段による制御の継続を禁止してなる、
請求項1又は2記載の車輌の制御装置。 - 前記解放制御中フェール検出手段は、前記動力伝達切断手段による制御におけるフェール状態を、前記自動変速機の入力軸及び出力軸の各回転に基づく回転変化率に基づき検出する第1の検出手段を有してなる、
請求項3記載の車輌の制御装置。 - 前記解放制御中フェール検出手段は更に、前記第1の検出手段が前記フェール状態を検出した後、該フェール状態が回復したことを検出した場合、該回復がフェールセーフ制御にて得られたことを検出した際には、前記切替え制御手段による制御の継続を禁止する第2の検出手段を有してなる、
請求項4記載の車輌の制御装置。 - 前記動力伝達接続手段は、前記解放制御中フェール検出手段によるフェール状態の検出に基づき前記切替え制御手段による制御の継続を禁止した後、前記動力伝達切断手段を制御することにより、切断状態の前記自動変速機の動力伝達を再度接続してなる、
請求項3乃至5のいずれか記載の車輌の制御装置。 - 前記自動変速機は、前記係合要素を複数備えかつ該係合要素を油圧制御装置により選択的に係合又は解放されて複数段に変速し得る有段変速機構を有してなる、
請求項1乃至6のいずれか記載の車輌の制御装置。 - 前記フェール状態は、前記解放すべき係合要素を解放することができない状態である、
請求項1ないし7のいずれか記載の車輌の制御装置。 - 前記切替え制御手段による切替え制御は、前記自動変速機が駆動力を伝達する走行レンジ選択時に実行される、
請求項1ないし8のいずれか記載の車輌の制御装置。
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