JP5056706B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輌等に搭載される自動変速機の制御装置に係り、詳しくは、フェール検出を精度良く行い得るようにした自動変速機の制御装置に関する。
一般に、車輌等に搭載される多段式の自動変速機においては、変速歯車機構の伝達経路を形成するため、変速段に応じて複数の摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)が係合されるように油圧制御されている。しかし、リニアソレノイドバルブの故障(断線やバルブスティック等)により、解放されているはずの摩擦係合要素の油圧サーボに油圧が出力されると、正常時に係合している摩擦係合要素と同時に解放側摩擦係合要素が係合してしまう虞がある。
従来、このような同時係合を防止するため、正常時に係合している摩擦係合要素の係合圧を入力した際に、他の摩擦係合要素の油圧(その元圧)を遮断する、いわゆるカットオフバルブを、各変速段において係合する摩擦係合要素の組み合わせに応じて複数本設け、それによって、何れの変速段にあっても同時係合を防止するように構成されたものが案出されている(特許文献1参照)。
しかしながら、近年の環境問題等に起因する車輌の燃費向上の要求から、例えば小型車輌等においても自動変速機の多段化が求められており、変速段を形成するための摩擦係合要素の数が増加傾向にある。また、車輌の搭載性の観点から自動変速機は同時にその小型化も要求されており、特に搭載スペースの少ない小型車ではその傾向が顕著であるが、自動変速機に特許文献1記載のカットオフバルブを使用すると、変速段の増加とも相俟って油圧制御装置のコンパクト化を妨げるばかりか、軽量化、コストダウンの妨げにもなってしまう。
上述した状況において、制御によってフェールの保障を試みた自動変速機の変速制御装置が案出されている(特許文献2参照)。該特許文献2記載の変速制御装置は、変速前後の変疎比間の値である第1の変速閾値と、変速前の変速比に安全率を掛けた値である第2の変速閾値とを有し、変速中の変速比が第2の変速閾値にならずに第1の変速閾値になるまでの時間を、予め設定した検出時間と比較することによって、フェール状態を、「空吹き状態」もしくは「引き摺り状態」のいずれなのかを区別し得るように構成されている。
特開2003−336731号公報 特開2007−255518号公報
上記特許文献2記載のように、変速中に変速比変化によってフェールを検出すると、係合側の摩擦係合要素のトルク容量が解放側の摩擦係合要素のトルク容量よりも大きな場合、解放側摩擦係合要素に油圧が供給されたまま係合側の摩擦係合要素にも油圧が供給されると、トルク容量の小さい解放側摩擦係合要素が車輌の慣性力によって滑ることがある。このような場合、解放側摩擦係合要素から正常に油圧が排出されていないのに関わらず、解放側摩擦要素が滑るため、解放側摩擦係合要素から油圧が正常に排出された場合と同様に変速比が変化し、解放側摩擦係合要素がフェールを起こしている変速を、正常な変速であると誤判定してしまう虞があった。
そこで本発明は、解放側摩擦係合要素が正常に解放されているか判定することが出来ない場合、ライン圧を上昇させて再度、解放側摩擦係合要素が正常に解放されているか判定することによって、判定の難しい解放側摩擦係合要素のトルク容量が解放側摩擦係合要素のトルク容量よりも大きい場合の解放側摩擦係合要素のフェールでも精度よく判定することができる自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る発明は、各油圧サーボ(41,42,43,44,45)にそれぞれ供給される係合圧(PC1,PC2,PC3,PB1,PB2)に基づき係合される複数の摩擦係合要素(C―1,C−2,C−3,B−1,B−2)と、駆動源(2)に接続される入力軸(10)と、駆動車輪に接続される出力軸(11)と、を有し、前記複数の摩擦係合要素(C―1,C−2,C−3,B−1,B−2)の係合状態に基づき前記入力軸(10)と前記出力軸(11)との間の伝達経路を変更して複数の変速段を形成すると共に、前記摩擦係合要素(C―1,C−2,C−3,B−1,B−2)のうち、変速開始前は係合されており変速開始後に解放される解放側摩擦係合要素(例えばB−1)と、変速開始前は解放されており変速開始後に係合される係合側摩擦係合要素(例えばC−1)とを掴み換えて変速を行う自動変速機の制御装置(1)において、
掴み換え変速における前記解放側摩擦係合要素(例えばB−1)が、正常な解放状態にあるかを判定する解放状態判定手段(92)と、
前記係合圧(PC1,PC2,PC3,PB1,PB2)の元圧となるライン圧(P)を上昇し得るライン圧上昇手段(93)と、
前記解放状態判定手段(92)により正常な解放状態であることが判定されない場合、前記ライン圧上昇手段(93)によりライン圧を上昇させて、前記解放状態判定手段(92)により再度、正常な解放状態にあるか判定させる再判定制御を実行する再判定手段(90)と、を備えた、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項2に係る発明は、前記再判定手段(90)は、前記解放状態判定手段(92)により、前記解放側摩擦係合要素(例えばB−1)が正常な解放状態にあるかを判定できない場合に、前記再判定制御に移行させる設定時間(t)を設定する再判定制御用タイマ設定手段(91)を有し、
該再判定制御用タイマ設定手段(91)は、前記設定時間(t)の終了時点を、係合側摩擦係合要素が実際に係合する係合制御時間(t)中に設定してなる、
請求項1記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項3に係る発明は、前記掴み換え変速は、該変速に際し、係合状態が維持される係合維持摩擦係合要素(例えばC−1)と、解放される前記解放側摩擦係合要素(例えばB−1)と、係合される前記係合側摩擦係合要素(例えばC−3)との3つの摩擦係合要素(例えばC−1,C−3,B−1)が油圧制御される変速であり、
前記再判定手段(90)は、前記掴み換え変速時に、前記3つの摩擦係合要素(例えばC―1,C―3,B―1)へ同時に係合油圧が供給された場合、車輌の慣性力によって前記解放側摩擦係合要素(B−1)が滑る変速の際に、前記再判定制御を実行してなる、
請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項4に係る発明は、前記解放側摩擦係合要素は、一端がケース(9)に固定され、他端が前記油圧サーボ(44)に駆動連結されると共に、該油圧サーボ(44)の駆動によりブレーキバンド(19)が巻きつけられて回転要素に連結されたドラム状部材(18)を係止するバンドブレーキ(B−1)であり、
前記再判定手段(90)は、前記掴み換え変速が、前記ドラム状部材(18)の回転方向と前記ブレーキバンド(19)の巻付き方向とが逆方向になる変速の際に、前記再判定制御を実行してなる、
請求項1乃至3何れか1項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る発明は、解放側摩擦係合要素の解放状態を、正常であると検出できない場合、ライン圧を上昇させてフェール状態を増幅させた後、再度、解放側摩擦係合要素の解放状態を判定することによって、解放側摩擦係合要素のフェールを確実に判定することができる。
請求項2に係る発明は、再判定制御に移行させる設定時間の終了時点を、係合側摩擦係合要素が実際に係合して、変速が行われる係合制御時間の間に設定したことによって、より高い精度で解放側摩擦係合要素のフェールを判定することができる。
請求項3に係る発明は、掴み換え変速中に、3つの摩擦係合要素が同時に係合したとしても、解放側の摩擦係合要素が車輌の慣性力によって滑る変速において、再判定制御を行うことで、自動変速機がストールしたり、変速ショックが発生したりすることを防止しつつ、フェール状態を増幅して高い精度で摩擦係合要素の解放不良を検出することが出来る。
請求項4に係る発明は、ブレーキバンドの巻付き方向と、ドラム部状部材の回転方向とが逆方向になるとトルク容量が小さくなるため、解放側摩擦係合要素の際に解放不良の判定が難しいバンドブレーキであっても、再判定制御をすることによって確実にフェール状態を判定できる。
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図7に沿って説明する。
[自動変速機の概略構成]
まず、本発明を適用し得る自動変速機3の概略構成について図2に沿って説明する。図2に示すように、例えばFFタイプ(フロントエンジン、フロントドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機3は、エンジン(駆動源)2(図1参照)に接続し得る自動変速機3の入力軸8を有しており、該入力軸8の軸方向を中心としてトルクコンバータ4と、自動変速機構5とを備えている。
上記トルクコンバータ4は、自動変速機3の入力軸8に接続されたポンプインペラ4aと、作動流体を介して該ポンプインペラ4aの回転が伝達されるタービンランナ4bとを有しており、該タービンランナ4bは、上記入力軸8と同軸上に配設された上記自動変速機構5の入力軸10に接続されている。また、該トルクコンバータ4には、ロックアップクラッチ7が備えられており、該ロックアップクラッチ7が係合されると、上記自動変速機3の入力軸8の回転が自動変速機構5の入力軸10に直接伝達される。
上記自動変速機構5は、各油圧サーボ41〜45(図5参照)にそれぞれ供給される係合圧に基づき係合されるクラッチC−1,C−2,C−3、ブレーキB−1,B−2と、エンジン2に接続される入力軸10と、不図示の駆動車輪に接続されるカウンタギヤ11とを有して、上記クラッチC−1,C−2,C−3、ブレーキB−1,B−2の係合状態に基づき入力軸10とカウンタギヤ11との間の伝達経路を変更して複数の変速段を形成するものであり、該自動変速機構5には、入力軸10上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンPLと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ミッションケース9に一体的に固定されているボス部に接続されて回転が固定されている。また、上記リングギヤR1は、上記入力軸10の回転と同回転(以下「入力回転」という。)になっている。さらに上記キャリヤCR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、クラッチ(摩擦係合要素)C−1及びクラッチ(摩擦係合要素)C−3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、バンドブレーキからなるブレーキB−1に接続されてミッションケースに対して固定自在となっていると共に、上記クラッチC−3に接続され、該クラッチC−3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC−1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。なお、該ブレーキB−1は、クラッチC−3及びサンギヤS2に連結されたドラム状部材18に周設されたブレーキバンド19を有してなり、該ブレーキバンド19は、一端がケース9に固定され、他端が後述する油圧サーボ44(図5参照)に駆動連結されて、該油圧サーボ44の駆動により該ドラム状部材18に巻付けられるように構成されている。このブレーキバンド19の巻付け方向は、前進1速段から前進2速段におけるドラム状部材18の回転方向と逆方向になるように配設され、つまり油圧サーボ44によってドラム状部材18の前進1速段から前進2速段における回転方向に対して逆方向に引っ張って巻付けを行うように構成されている。
さらに、上記キャリヤCR2は、入力軸10の回転が入力されるクラッチC−2に接続され、該クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及びブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してミッションケースに対して一方向の回転が規制されると共に、該ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ(出力軸)11に接続されており、該カウンタギヤ11は、不図示のカウンタシャフト、ディファレンシャル装置を介して不図示の駆動車輪に接続されている。
[自動変速機における各変速段の動作]
つづいて、上記構成に基づき、自動変速機構5の作用について図2、図3及び図4に沿って説明する。なお、図4に示す速度線図において、縦軸方向はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示しており、横軸方向はそれら回転要素のギヤ比に対応して示している。また、該速度線図のプラネタリギヤSPの部分において、縦軸は、図4中左方側から順に、サンギヤS1、キャリヤCR1、リングギヤR1に対応している。さらに、該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、縦軸は、図4中右方側から順に、サンギヤS3、リングギヤR2、キャリヤCR2、サンギヤS2に対応している。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1ST)では、図3に示すように、クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進1速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2ND)では、図3に示すように、クラッチC−1が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進2速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進3速段(3RD)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−3の係合によりキャリヤCR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にキャリヤCR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR2に出力され、前進3速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進4速段(4TH)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−2に係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進3速段より高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進4速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進5速段(5TH)では、図3に示すように、クラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進5速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進6速段(6TH)では、図3に示すように、クラッチC−2が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進5速段より高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進6速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
後進1速段(REV)では、図3に示すように、クラッチC−3が係合され、ブレーキB−2が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、後進1速段としての逆転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、クラッチC−1、クラッチC−2、及びクラッチC−3、が解放される。すると、キャリヤCR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤSPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となり、かつ、入力軸10とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸10とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸10とカウンタギヤ11との動力伝達が切断状態となる。
[油圧制御装置の概略構成]
つづいて、本発明に係る自動変速機の油圧制御装置6について説明する。まず、油圧制御装置6(図1参照)における図示を省略した、ライン圧、セカンダリ圧、モジュレータ圧、レンジ圧等の生成部分について、大まかに説明する。なお、これらライン圧、セカンダリ圧、モジュレータ圧、レンジ圧の生成部分は、一般的な自動変速機の油圧制御装置と同様なものであり、周知のものであるので、簡単に説明する。
本油圧制御装置6は、例えば図示を省略したオイルポンプ、マニュアルシフトバルブ、プライマリレギュレータバルブ、セカンダリレギュレータバルブ、ソレノイドモジュレータバルブ及びリニアソレノイドバルブSLT等を備えており、例えばエンジン2(図1参照)が始動されると、上記トルクコンバータ4のポンプインペラ4aに回転駆動連結されたオイルポンプがエンジン2の回転に連動して駆動されることにより、不図示のオイルパンからストレーナを介してオイルを吸上げる形で油圧を発生させる。
上記オイルポンプにより発生された油圧は、スロットル開度に応じて調圧出力されるリニアソレノイドバルブSLTの信号圧PSLTに基づき、プライマリレギュレータバルブによって排出調整されつつライン圧Pに調圧される。このライン圧Pは、マニュアルシフトバルブ、ソレノイドモジュレータバルブ、及び詳しくは後述するリニアソレノイドバルブSLC3等に供給される。このうちのソレノイドモジュレータバルブに供給されたライン圧Pは、該バルブによって略々一定圧となるモジュレータ圧PMODに調圧され、このモジュレータ圧PMODは、上記リニアソレノイドバルブSLT等の元圧として供給される。
なお、上記プライマリレギュレータバルブから排出された圧は、例えばセカンダリレギュレータバルブによりさらに排出調整されつつセカンダリ圧PSECに調圧され、このセカンダリ圧PSECが、例えば潤滑油路やオイルクーラ等に供給されると共にトルクコンバータ4にも供給され、かつロックアップクラッチ7の制御にも用いられる。
一方、マニュアルシフトバルブ(不図示)は、運転席(不図示)に設けられたシフトレバーに機械的(或いは電気的)に駆動されるスプールを有しており、該スプールの位置がシフトレバーにより選択されたシフトレンジ(例えばP,R,N,D)に応じて切換えられることにより、上記入力されたライン圧Pの出力状態や非出力状態(ドレーン)を設定する。
詳細には、シフトレバーの操作に基づきDレンジにされると、上記スプールの位置に基づき上記ライン圧Pが入力される入力ポートと前進レンジ圧出力ポートとが連通し、該前進レンジ圧出力ポートよりライン圧Pが前進レンジ圧(Dレンジ圧)Pとして出力される。シフトレバーの操作に基づきR(リバース)レンジにされると、該スプールの位置に基づき上記入力ポートと後進レンジ圧出力ポートとが連通し、該後進レンジ圧出力ポートよりライン圧Pが後進レンジ圧(Rレンジ圧)PREVとして出力される。また、シフトレバーの操作に基づきPレンジ及びNレンジにされた際は、上記入力ポートと前進レンジ圧出力ポート及び後進レンジ圧出力ポートとの間がスプールによって遮断されると共に、それら前進レンジ圧出力ポート及び後進レンジ圧出力ポートがドレーンポートに連通され、つまりDレンジ圧P及びRレンジ圧PREVがドレーン(排出)された非出力状態となる。
[油圧制御装置における変速制御部分の構成]
つづいで、本発明に係る油圧制御装置6における主に変速制御を行う部分について図5に沿って説明する。図5は、本自動変速機の油圧制御装置6を、抜粋して概略的に示す回路図である。本油圧制御装置6は、上述のクラッチC−1の油圧サーボ41、クラッチC−2の油圧サーボ42、クラッチC−3の油圧サーボ43、ブレーキB−1の油圧サーボ44、ブレーキB−2の油圧サーボ45の、計5つの油圧サーボのそれぞれに係合圧として調圧した出力圧を直接的に供給するための4本のリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1を備えている。また、リンプホーム機能を達成すると共に、リニアソレノイドバルブSLC2の出力圧をクラッチC−2の油圧サーボ42又はブレーキB−2の油圧サーボ45に切換える切換えバルブ23を備えている。なお、該切換えバルブ23は、実際には単体のバルブではなく、不図示のソレノイドバルブ、第1クラッチアプライリレーバルブ、第2クラッチアプライリレーバルブ、C−2リレーバルブ、B−2リレーバルブ等を集約した形で描いている。
リニアソレノイドバルブSLC1への油路a1、リニアソレノイドバルブSLC2への油路a4、リニアソレノイドバルブSLB1への油路a5には、上述したマニュアルシフトバルブの前進レンジ圧出力ポート(不図示)が接続されて前進レンジ圧Pが入力し得るように構成されており、また、リニアソレノイドバルブSLC3への油路dには、プライマリレギュレータバルブ(不図示)からのライン圧Pが入力されている。
上記リニアソレノイドバルブSLC1は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路a1を介して上記前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSLC1aと、該前進レンジ圧Pを調圧して油圧サーボ41に制御圧PSLC1を係合圧PC1として出力する出力ポートSLC1bとを有している。
上記リニアソレノイドバルブSLC2は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプからなり、油路a4を介して上記前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSLC2aと、該前進レンジ圧Pを調圧して油圧サーボ42に制御圧PSLC2を係合圧PC2(又は係合圧PB2)として出力する出力ポートSLC2bとを有している。
上記リニアソレノイドバルブSLC3は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプからなり、油路dを介して上記ライン圧Pを入力する入力ポートSLC3aと、該ライン圧Pを調圧して油圧サーボ43に制御圧PSLC3を係合圧PC3として出力する出力ポートSLC3bとを有している。
上記リニアソレノイドバルブSLB1は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路a5を介して上記前進レンジ圧Pを入力する入力ポートSLB1aと、該前進レンジ圧Pを調圧して油圧サーボ44に制御圧PSLB1を係合圧PB1として出力する出力ポートSLB1bとを有している。
[自動変速機の制御装置の構成]
つづいて、本発明に係る自動変速機の制御装置1について、主に図1に沿って説明する。図1に示すように、本自動変速機の制御装置1は、制御部(ECU)70を有しており、該制御部70は、アクセル開度センサ81、入力軸回転数センサ83、出力軸回転数(車速)センサ82及びレンジ信号を出力する変速操作部84などが接続されていると共に、上述した油圧制御装置6の各リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1などに接続されている。また、該制御部70には、エンジン2からエンジン回転数信号とエンジントルク信号が送られる。
そして、該制御部70には、正常時油圧設定手段72を有する油圧指令手段71、入力トルク検出手段73、トルク分担判定手段74、変速判定手段75、及び変速マップmapが備えられている。さらに、制御部70には、変速進行率算出手段78、係合圧監視手段77、フェール判定手段79、及びフェールセーフ実行手段80が備えられている。
上記変速判定手段75は、アクセル開度センサ81により検出されるアクセル開度と、出力軸回転数センサ82により検出される車速とに基づき変速マップmapを参照しつつ、上述の前進1速段〜前進6速段を判定する。即ち、変速マップmapには、アクセル開度と車速とに対応したアップシフト変速線及びダウンシフト変速線(変速点)が記録されており、その時点のアクセル開度及び車速がそれら変速線を越えると、変速判定手段75が変速を判断する。そして、該変速判定手段75が判定した変速段(現在の変速段)は、油圧指令手段71及びトルク分担判定手段74に出力される。
一方、入力トルク検出手段73は、エンジン2からのエンジントルク信号を入力することで、エンジントルクを計測し、現在自動変速機構5の入力軸10に入力されている入力トルクを検出する。また、上記トルク分担判定手段74は、上記変速判定手段75により判定された変速段に基づき、自動変速機構5において係合されているクラッチやブレーキ(図3参照)におけるトルク分担、即ち各ギヤ比に基づきクラッチやブレーキにおいて必要とされる上記入力トルクに対する比率を判定(算出)する。
ついで、正常時油圧設定手段72は、上記トルク分担判定手段74により判定された、変速段に応じて係合中のクラッチやブレーキにおけるトルク分担に安全率を掛け、さらに、その安全率を掛けたトルク分担の値と入力トルク検出手段73により検出された入力トルクとを掛けて係合中のクラッチやブレーキのトルク容量(伝達トルク)を算出し、各クラッチやブレーキの摩擦板の枚数、面積、油圧サーボの受圧面積などから、それら係合中のクラッチやブレーキの油圧サーボに供給する係合圧(制御圧)を算出する。
そして、油圧指令手段71は、上記正常時油圧設定手段72により設定された係合圧に基づき、係合中のクラッチやブレーキの油圧サーボに、その係合圧が供給されるように、上記リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1に電気指令を与え、つまり正常時における走行中は、入力トルクに安全率を加味したトルク容量となるようにクラッチやブレーキが係合され、特にエンジン2のエンジントルクが変動したり、道路状況などにより駆動車輪からトルク変動を受けたりしたとしても、クラッチやブレーキに滑りが生じないように係合される。
また、フェール判定手段79は、掴み換え変速において解放側摩擦係合要素が正常な変速状態であるかを判定する解放状態判定手段92と、該解放状態判定手段が正常な解放状態であると判定できない場合に再度、解放側摩擦係合要素が正常な解放状態にあるかを、解放状態判定手段92に判定させる再判定手段90を備えている。
つづいて、正常時の走行中に、解放中のクラッチやブレーキの油圧サーボに係合圧を供給するリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1の何れか1つが最高圧を出力する状態、つまりライン圧Pと同圧を出力する状態で故障した場合に、3つの摩擦係合要素が同時係合することで生じるトルク分担の変化について、例えば前進4速段の状態からクラッチC−3が係合してしまった場合を一例として説明する。
例えば正常時の前進4速段における走行中は、図3に示すように、クラッチC−1とクラッチC−2とが係合されている。ここで、例えばリニアソレノイドバルブSLC3(図5参照)が制御圧PSLC3をライン圧Pで出力する状態で故障したとすると、クラッチC−1、クラッチC−2、クラッチC−3の同時係合が生じる。この際、自動変速機構5においてはストールしようとする力が生じ、その自動変速機構5を、エンジン2の駆動力で回そうとする力と、駆動車輪のグリップ力(車輌の慣性力)で回そうとする力とが生じる。
ここで、例えば前進4速段にあってエンジントルクが最高値であったとして(入力トルクが最高値であったとして)、クラッチC−1の正常時のトルク容量に安全率を掛けた値をTC1、クラッチC−2の正常時のトルク容量に安全率を掛けた値をTC2、クラッチC−3の油圧サーボ43にライン圧Pが供給された場合のトルク容量の値をTC3とし、考えうる中で各クラッチC−1,C−2,C−3にかかる一番大きなトルク容量を出力軸トルクに換算した値を算出する。
この算出結果は、つまり正常時の前進4速段において、クラッチC−1,C−2をライン圧Pで係合してしまうのではなく、正常時油圧設定手段72によって、入力トルクによって滑らないように安全率を加味した、できるだけ低い油圧である係合圧PC1,PC2で係合しておくようにすることで、故障時にクラッチC−3が係合されてトルク分担が変更されたことに基づき、故障時にあってもクラッチC−1が滑るように設定されていることになり、これにより、故障が生じても3つの摩擦係合要素が同時に係合することを防止できる。従って、クラッチC−1,C−2,C−3が同時係合することなく、クラッチC−2,C−3が係合した状態、つまり前進5速段の状態となって、走行状態が維持される。
以上の説明においては、前進4速段において故障によりクラッチC−3が係合されたケースを例に挙げて説明したが、他の組み合わせによる故障のケースにおいても、同様にトルク分担を計算することで、3つの摩擦係合要素が同時に係合することを防止できる。
[自動変速機の制御]
つづいて、自動変速機の変速制御、特に本願発明の要部である解放側摩擦係合要素がフェール(解放不良)し、3つの摩擦係合要素に同時に油圧が供給された際に、解放側摩擦係合要素が車輌の慣性力によって滑る場合の変速におけるフェールセーフ制御について、例えば前進2速段の状態から前進3速段もしくは前進4速段への変速を一例として、図6及び図7に基づいて説明をする。
アクセル開度センサ81及び出力軸回転数センサ82からの信号に基づいて、変速判定手段75により前進2速段から前進3速段もしくは前進4速段へと変速することが判定されると、この判定に基づいて変速が開始される(S1)。
図7に示すように、変速が開始されると解放側油圧PAは、係合圧から所定時間の内に、油圧指令手段71から油圧制御装置6へと制御信号が出力されて急激にスイープダウンした後に、除々にスイープダウンし、摩擦係合要素が滑り出す直前の油圧となる。この解放準備制御時間tまでが解放準備制御(トルク相制御)である。
また、係合側油圧PBは、解放側油圧PAの解放準備制御の開始に対応して、サーボ起動制御が開始される。サーボ起動制御は、係合側の油圧サーボの油圧を上げてピストンストロークを、摩擦係合要素の係合直前まで詰める制御であり、前半のストローク圧制御(以下、サーボA制御という)と後半の係合準備制御(以下、サーボB制御という)に分かれる。
このうち前半のサーボA制御は、係合側油圧PBを急激に上昇させ、その係合側油圧PBの指令値をサーボA制御時間t維持し、油圧サーボのピストンを摩擦係合要素の係合直前まで速やかに移動させる、いわゆるガタ詰め制御である。また、サーボB制御は、係合側油圧PBの指令値を一旦低下させ、その油圧指令値をサーボB制御時間tに維持する制御であり、緩やかに係合側油圧PBを上昇させて、係合側摩擦係合要素が係合を開始する直前までピストンストロークを詰める。
解放側油圧PAは、上記解放準備制御が終了すると解放側油圧PAは変速ショックが発生しない範囲内で出来るだけ速くスイープダウンし、解放側摩擦係合要素を解放する(イナーシャ相制御)。
また、係合側油圧PBは、サーボB制御時間tが経過すると、係合制御に移行し、係合制御時間t中に亘って係合側油圧PBを上昇させ、摩擦係合要素を係合させて行く(係合制御)。
一方、上述したサーボB制御時間tが終了すると(a時点)、再判定手段90は、再判定制御用タイマ設定手段91により設定される第1及び第2のフェール検出タイマt,t’を開始させる(S2)。
該第1のフェール検出タイマtは、解放状態判定手段92が、解放側摩擦係合要素の解放状態を判定する時間を規定するタイマであり、係合側摩擦係合要素が実際に係合して入力軸回転数inRpmに変化が生じる係合制御時間t中に終了するように設定されている。
第1のフェール検出タイマtが終了すると(S3)、解放状態判定手段92によって(I)変速進行率ShiftRの値と第1の変速進行率閾値Gとが比較されると共に、(II)係合側油圧PBの値と第1の係合圧閾値Nとが比較され、解放側摩擦係合要素が正常な解放状態にあるか(変速が正常に進行しているか)が判定される(S4)。
なお、上記変速進行率は、変速進行率算出手段78によって変速中に、入力軸回転数センサ83から与えられる入力軸10の回転数と、出力軸回転数センサ82から与えられるカウンタギヤ11の回転数との回転数比から、変速される次の変速段の変速比までの到達度に基づき算出される値である。
また、変速進行率閾値Gは、通常の変速制御であれば第1の変速フェール検出タイマtが経過すれば十分超えているはず値でありかつ、フェールを誤検出しない値に設定されている。更に、第1の係合圧閾値Nは、変速時に係合側摩擦係合要素を十分に係合させるだけの値(係合制御時のトルク容量)に設定されている。
上記解放状態判定手段92によるフェール判定において、変速進行率ShiftRの値が第1の変速進行率閾値G以下であり(ShiftR≦G)、かつ係合側油圧PBが第1の値Nよりも大きい場合(PB≧N)、入力回転軸に回転変化を起こせるだけの係合側油圧PBを有しているにも係わらず、変速進行率ShiftRの値が通常変速時よりも遅いため、解放側摩擦係合要素が正常な解放状態にあるとは判定できず、再判定制御へと移行する。
上記解放状態判定手段92が、解放側摩擦係合要素が正常な解放状態にあると判定できずに再判定制御へと移行すると、再判定手段90は、ライン圧上昇手段93によってライン圧Pを最大出力(図7A参照)にする(S5)。
上述したように各摩擦係合要素の元圧であるライン圧Pを上昇させると、変速に際し係合状態が維持される係合維持摩擦係合要素C−1、係合側摩擦係合要素(C−2もしくはC−3)、解放側摩擦係合要素B−1のうち、ライン圧Pが係合圧として出力され続ける状態でフェールをしている解放側摩擦係合要素B−1の係合圧が高まるため、係合側摩擦係合要素(C−2もしくはC−3)に油圧が供給され係合側摩擦係合要素(C−2もしくはC−3)がトルク容量を持ち始めた場合でも、係合側摩擦係合要素(C−2もしくはC−3)よりトルク容量の小さい解放側摩擦係合要素B−1が滑り始めることを抑制できる。この時点で係合側摩擦係合要素(C−2もしくはC−3)は油圧の供給が開始されたばかりで係合が完了した場合に比べトルク容量が小さい。よって、係合維持摩擦係合要素C−1と係合側摩擦係合要素(C−2もしくはC−3)と解放側摩擦係合要素B−1の3つの摩擦係合要素に同時に油圧が出力されるが、(現時点で)一番トルク容量の小さい係合側摩擦係合要素(C−2もしくはC−3)が滑っているため、3つの摩擦係合要素全てが完全に係合してしまうことはない。
なお、上記変速進行率ShiftRもしくは係合側油圧PBのどちらか一方の条件でも満たしていない場合は、ライン圧Pを上げずに次のスッテプへと進む。
第2のフェール検出タイマt’が終了すると(S6)、再判定手段90からの制御信号によってライン圧Pが上昇した状態で、解放状態判定手段92が、(III)変速進行率ShiftRの値と、第2の変速進行率閾値Gとを比較すると共に、(IV)係合側油圧PBと第2の係合圧閾値Nとを比較して、解放側摩擦係合要素が正常な解放状態にあるかを再判定する(S7)。
上記第2の変速進行率閾値Gは、第1の変速進行率閾値Gよりも大きく(G>G)、通常の変速制御であれば変速フェール検出タイマt’が終了時には、十分超えているはずの値でありかつ、フェールを誤検出しない値に設定されている。また、第2の係合圧閾値Nは、変速時に係合側摩擦係合要素を十分に係合させるだけの値(係合制御時のトルク容量)に設定されている。
更に、上記第2のフェール検出タイマt’は、ライン圧Pが上昇する時間分、第1のフェール検出タイマtよりも長く設定されており、上記再判定制御(第2のフェール検出タイマt’の終了時)が係合制御時間t内(時点bよりも前で)で終了するように、前記第1のフェール検出タイマtは長さ設定されている。
上記解放状態判定手段92によるフェールの再判定において、変速進行率ShiftRの値が第2の変速進行率閾値G以下である(ShiftR≦G)と共に、係合側油圧PBが第2の係合圧閾値N以上である場合(PB≧N)、解放側摩擦係合要素が解放不良を起こしていると判定され(S8)、フェールセーフ実行手段80によって実行中の変速を中断して変速開始前の変速段に戻すフェールアクションを実施した後(S9)、変速制御を終了する(S10)。
また、上記解放状態判定手段92によるフェールの再判定において、変速進行率ShiftRもしくは係合油圧PBのいずれかの条件を満たさない場合には、正常とみなし、通常制御(完了制御時間tにおいて完了制御を行う)を行った後に、変速制御を終了する(S11,S12)。
なお、第1回目の解放状態判定手段92によるフェール判定において、解放側の摩擦係合要素の解放状態が正常であると判定された場合、通常変速制御を行った後に、変速制御を終了してもよい。
また、フェールセーフ実行手段は、必ずしも変速を中断して変速前の変速段にもどす必要はなく、解放側摩擦係合要素B−1を解放しない他の変速段(例えば前進6速段)に変速してもよい。
更に、本実施の形態では前進2速段から前進3速段もしくは前進4速段への変速における制御を説明したが、再判定制御は、摩擦係合要素が同時係合した場合、車輌の慣性により解放側の摩擦係合要素が滑る掴み替え変速において実行することが可能であり、上述したトルク分担により解放側摩擦係合要素が滑る変速などに適用可能である。
上記のように自動変速機の制御装置1を構成したことによって、解放状態判定手段92が解放側摩擦係合要素の解放状態を、正常であると判定することが出来ない場合、ライン圧Pを上昇させてフェール状態を増幅させた後、再度、解放側摩擦係合要素の解放状態を判定する再判定制御をすることにより、解放側摩擦係合要素のフェールを精度よく判定することができ、フェール状態のまま変速制御が終了することを防止することができる。
また、これら第1及び第2のフェール検出タイマt,t’が係合制御時間t中に設定されるように、該第1のフェール検出タイマtを設定したことによって、入力軸回転数inRpmの変化が大きく、より高い精度で解放側摩擦係合要素の解放不良を判定することができる。
更に、掴み換え変速中に摩擦係合要素が同時係合した場合、解放側の摩擦係合要素が車輌の慣性力によって滑る変速において、再判定制御を行うことで、自動変速機における3つの係合要素が同時に係合することや、変速ショックの発生などを防止することができる。
また、ブレーキバンド19の巻付き方向と、ドラム部状部材18の回転方向とが逆方向になるとトルク容量が小さくなるため、解放側摩擦係合要素である場合に、その解放不良を判定することが難しいバンドブレーキB−1でも、ライン圧Pを上昇しバンドブレーキB−1のトルク容量を大きくした状態で再判定制御を行うことにより、バンドブレーキB−1が滑り出すことを抑制し、高い精度で摩擦係合要素の解放不良を判定することが出来る。
以上説明した本実施の形態の自動変速機3は、前進6速段を達成し得るものを一例として説明したが、本発明を適用し得る自動変速機は、これに限られるものではなく、他の種別の自動変速機であっても良いことは勿論である。
本発明に係る自動変速機の制御装置を示すブロック図。 本発明を適用し得る自動変速機を示すスケルトン図。 本自動変速機の係合表。 本自動変速機の速度線図。 本自動変速機の油圧制御装置を、抜粋して概略的に示す回路図。 本自動変速機の制御装置の作用を説明するフローチャート。 本自動変速機の再判定制御時を示すタイムグラフ図。
符号の説明
1 自動変速機の制御装置
2 駆動源
9 ケース
10 入力軸
11 出力軸
19 ブレーキバンド
41,42,43,44,45 油圧サーボ
90 再判定手段
91 再判定制御用タイマ設定手段
92 解放状態判定手段
93 ライン圧上昇手段
第1のフェール検出タイマ(設定時間)
係合制御時間
C−1,C−2,C−3,B−1,B−2 摩擦係合要素
B−1 バンドブレーキ
C1,PC2,PC3,PB1,PB2 係合圧
ライン圧

Claims (4)

  1. 各油圧サーボにそれぞれ供給される係合圧に基づき係合される複数の摩擦係合要素と、駆動源に接続される入力軸と、駆動車輪に接続される出力軸と、を有し、前記複数の摩擦係合要素の係合状態に基づき前記入力軸と前記出力軸との間の伝達経路を変更して複数の変速段を形成すると共に、前記摩擦係合要素のうち、変速開始前は係合されており変速開始後に解放される解放側摩擦係合要素と、変速開始前は解放されており変速開始後に係合される係合側摩擦係合要素とを掴み換えて変速を行う自動変速機の制御装置において、
    掴み換え変速における前記解放側摩擦係合要素が、正常な解放状態にあるかを判定する解放状態判定手段と、
    前記係合圧の元圧となるライン圧を上昇し得るライン圧上昇手段と、
    前記解放状態判定手段により正常な解放状態であることが判定されない場合、前記ライン圧上昇手段によりライン圧を上昇させて、前記解放状態判定手段により再度、正常な解放状態にあるか判定させる再判定制御を実行する再判定手段と、を備えた、
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記再判定手段は、前記解放状態判定手段により、前記解放側摩擦係合要素が正常な解放状態にあるかを判定できない場合に、前記再判定制御に移行させる設定時間を設定する再判定制御用タイマ設定手段を有し、
    該再判定制御用タイマ設定手段は、前記設定時間の終了時点を、係合側摩擦係合要素が実際に係合する係合制御時間中に設定してなる、
    請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記掴み換え変速は、該変速に際し、係合状態が維持される係合維持摩擦係合要素と、解放される前記解放側摩擦係合要素と、係合される前記係合側摩擦係合要素との3つの摩擦係合要素が油圧制御される変速であり、
    前記再判定手段は、前記掴み換え変速時に、前記3つの摩擦係合要素へ同時に係合油圧が供給された場合、車輌の慣性力によって前記解放側摩擦係合要素が滑る変速の際に、前記再判定制御を実行してなる、
    請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記解放側摩擦係合要素は、一端がケースに固定され、他端が前記油圧サーボに駆動連結されると共に、該油圧サーボの駆動によりブレーキバンドが巻きつけられて回転要素に連結されたドラム状部材を係止するバンドブレーキであり、
    前記再判定手段は、前記掴み換え変速が、前記ドラム状部材の回転方向と前記ブレーキバンドの巻付き方向とが逆方向になる変速の際に、前記再判定制御を実行してなる、
    請求項1乃至3何れか1項記載の自動変速機の制御装置。
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