JP5463617B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車輌に搭載される自動変速機の制御装置に係り、詳しくは、前進走行レンジからリバースレンジに、或いはその逆にセレクトレバー(シフトレバー)が操作される所謂ガレージシフトが行われた際の所謂ラッチショックを軽減し得るようにした自動変速機の制御装置に関する。
従来より、複数の油圧式の摩擦係合要素を断・接制御することにより複数の前進ギヤ段(前進段)及び後進ギヤ段(後進段)が形成される自動変速機において、前進走行中に設定車速以上(例えば10[km/h])で誤ってリバースレンジにシフトされた際には後進ギヤ段の形成を禁止する、リバースインヒビット制御を実行するように構成されたものが知られている(特許文献1参照)。
該特許文献1には、1つのソレノイドを、誤ったリバースレンジ(Rレンジ)への操作時にリバース時摩擦要素の締結を禁止するためにリバースインヒビットバルブのスプールに作用させるソレノイド圧を作り出すリバースインヒビット制御と、ライン圧を低下させるソレノイド圧を作り出すライン圧カットバック制御と、で兼用できるように構成された自動変速機の油圧制御装置が開示されている。
特開平09−14427号公報
しかしながら、上記特許文献1の油圧制御装置によると、該油圧制御装置を搭載した車輌の前進走行中での、設定車速以上(例えば10[km/h])のRレンジへの誤操作(D→N→R)の実効を抑止することはできるが、設定車速未満のゆっくりした前進走行中にRレンジへの操作が行われた際には、以下のような不具合を生じる虞がある。
すなわち、前進走行レンジ(例えばDレンジ)から後進走行レンジ(Rレンジ)に切換える所謂ガレージシフトの操作時、自動変速機内で摩擦係合要素を係脱した際に、イナーシャ力が変速歯車機構や摩擦係合要素を介して自動変速機のミッションケースに伝わり、該ミッションケースが一旦変速歯車機構の回転方向に倒れる(所謂つんのめる)形になった直後に回転方向とは逆方向に戻ることで(所謂揺り返し)、イナーシャが瞬時に移動すること等による不快なショック(所謂ラッチショック)が発生することがある。このような不具合は、後進方向での車速が低速であるときにリバースレンジから前進走行レンジにシフト操作された場合においても、同様に発生する虞がある。
そこで本発明は、たとえ低速であっても走行時に逆方向へのシフト操作があった場合、対応する摩擦係合要素を係合させる油圧サーボへの油圧指令値のスイープ勾配を、検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配よりも緩くなるように制御することで、ラッチショックを低減し得ると共に、逆方向へのシフト操作から発進するまでのタイムラグを小さくしてレスポンスを良好にし得る自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図10参照)、前進段を形成する前進走行用の第1の摩擦係合要素(例えばC−1)と、後進段を形成する後進走行用の第2の摩擦係合要素(例えばC−3)と、それら第1及び第2の摩擦係合要素にそれぞれ対応する第1及び第2の油圧サーボ(15,16)と、それら第1及び第2の油圧サーボに油圧を調圧してそれぞれ供給する調圧手段(13,14)と、を備え、シフト操作手段(24)のシフト操作に応じて前記調圧手段(13,14)を介して前記第1及び第2の油圧サーボ(15,16)に油圧を供給して前記前進段及び前記後進段を選択的に形成してなる自動変速機の制御装置(1)において、
前記シフト操作手段(24)のシフト位置を判定するシフト位置判定手段(29)と、
前記自動変速機(3)を搭載した車輌の走行速度を検出する速度検出手段(30)と、
走行時に前記シフト位置判定手段(29)により該走行の方向とは逆の方向へのシフト操作が判定された際、前記第1及び第2の油圧サーボ(例えば15,16)のうちの係合する側に対応する前記調圧手段(13,14)に対する、前記自動変速機(3)内の、前記第1及び第2の摩擦係合要素(例えばC−1,C−3)のうちの係合する側の摩擦係合要素の回転変化が開始された以降の油圧指令値のスイープ勾配(dP_swp1)を、前記速度検出手段(30)による検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配よりも緩くなるように制御し、かつ前記走行中は、前記速度検出手段(30)により検出された検出速度に応じて前記スイープ勾配(dP_swp1)を変更する油圧指令制御手段(23)と、を備
前記油圧指令制御手段(23)は、
前記速度検出手段(30)により検出された検出速度が実質的に0である場合に用いる第1のスイープ勾配(X1、X1’)と、前記検出速度が所定車速を超えた場合に用いる、該第1のスイープ勾配より低圧でかつ前記第1及び第2の摩擦係合要素(例えばC−1,C−3)がそれぞれ係合し得る最低圧となる第2のスイープ勾配(X2、X2’)とを格納した勾配マップ(28)を備える、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置(1)にある。
なお、本発明における上記「走行時」とは、検出速度が実質的に0である場合以外の車輌の移動時を意味するものであり、これは、前進走行及び後進走行のいずれをも含む広い概念である。
請求項に係る本発明は(例えば図1、図6乃至図8参照)、前記油圧指令制御手段(23)は、前記速度検出手段(30)による検出速度が0に近いときは前記検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配に近い前記スイープ勾配でスイープアップし、前記検出速度が0から遠いほど、前記検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配から遠い前記スイープ勾配でスイープアップしてなる、
請求項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項に係る本発明は(例えば図1、図6乃至図8参照)、前記油圧指令制御手段(23)は、前記第1及び第2の摩擦係合要素(例えばC−1,C−3)がそれぞれ係合し得る下限値として予め設定された前記油圧指令値の最低圧を備えてなる、
請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項4に係る本発明は(例えば図1、図6乃至図8参照)、前記油圧指令制御手段(23)は、前記検出速度が実質的に0でなく前記所定車速以下の場合には前記第1及び第2のスイープ勾配を線形補完して第3のスイープ勾配(X3)として用いてなる、
請求項1乃至3の何れか1項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項に係る本発明は(例えば図1、図6乃至図8参照)、前記車輌に備えたアクセルペダルのアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段(31)と、前記車輌に備えたスロットルのスロットル開度を検出するスロットル開度検出手段(35)と、を有し、かつ、
前記油圧指令制御手段(23)は、前記走行速度に加え、前記アクセル開度検出手段(31)及び前記スロットル開度検出手段(35)の何れか一方により検出された開度情報に応じて前記スイープ勾配を変更してなる、
請求項1乃至の何れか1項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
請求項6に係る本発明は(例えば図1、図6乃至図8参照)、前記勾配マップ(28)は、前記第1及び第2のスイープ勾配に対応する、前記車輌からのアイドル信号に基づいたアイドリングON状態に対応する第1のバージョン(X1、X2)と、前記開度情報に対応する第2のバージョン(X1’、X2’)と、を備え、
前記油圧指令制御手段(23)は、前記アイドリングON状態か、前記アクセル又はスロットル何れかのON状態か、に応じて前記第1及び第2のバージョンの何れかを用いてなる、
請求項記載の自動変速機の制御装置(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、油圧指令制御手段が、走行時にシフト位置判定手段により該走行の方向と逆の方向へのシフト操作が判定された際、第1及び第2の油圧サーボのうちの係合する側に対応する調圧手段に対する油圧指令値のスイープ勾配を、速度検出手段による検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配よりも緩くなるように制御するので、逆方向へのシフト操作直前の検出速度が実質的に0である場合に比して摩擦係合要素の係合を緩やかに行うことができ、所謂揺り返しを大幅に低減し、ラッチショックを有効に軽減することができる。また、油圧指令制御手段が、走行中、速度検出手段により検出された検出速度に応じてスイープ勾配を変更するので、ラッチショックの軽減効果をより有効にすることができる。また、ガレージシフト時における係合のスイープ勾配を単に全体的に緩くするのではなく、走行状態に対応して緩くすることにより、逆方向へのシフト操作から発進するまでのタイムラグを小さくし、レスポンスを良好にすることが可能になる。
請求項に係る本発明によると、油圧指令制御手段が、速度検出手段による検出速度が0に近いときは検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配に近いスイープ勾配でスイープアップし、検出速度が0から遠いほど、検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配から遠いスイープ勾配でスイープアップするので、ラッチショックの軽減効果をより的確にすることができる。
請求項に係る本発明によると、制御上の油圧指令値が低すぎると、対応する摩擦係合要素の係合が始まらない虞があるが、油圧指令制御手段が、第1及び第2の摩擦係合要素がそれぞれ係合し得る下限値として予め設定された油圧指令値の最低圧で制御できることにより、摩擦係合要素の係合が始まらないような不都合の発生を確実に回避することができる。
請求項に係る本発明によると、勾配マップに格納した第1及び第2のスイープ勾配を線形補完して第3のスイープ勾配として用いるので、勾配マップ内のデータ容量を節約することができる。また、車速が所定車速を超えた場合には最低圧の第2のスイープ勾配を用いるので、変化する種々の車速にいちいち対応させるのでなく、これ以下のスイープ勾配は用いないという設定状況によって、摩擦係合要素の係合が間延びしてレスポンスに影響するような不都合を抑えることができる。
請求項に係る本発明によると、油圧指令制御手段が、走行速度に加え、摩擦係合要素の係合状況に関わる、アクセル開度検出手段及びスロットル開度検出手段の何れか一方により検出された開度情報に応じてスイープ勾配を変更するので、ラッチショックの軽減状況をよりきめ細かいものにすることができる。
請求項に係る本発明によると、勾配マップが、第1及び第2のスイープ勾配に対応する、車輌からのアイドル信号に基づいたアイドリングON状態に対応する第1のバージョンと、開度情報に対応する第2のバージョンとを備え、油圧指令制御手段が、アイドリングON状態か、アクセル又はスロットル何れかのON状態か、に応じて第1及び第2のバージョンの何れかを用いるので、アクセル開度の有無に応じてスイープ勾配をより適切に変更できるようになる。
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図10に沿って説明する。
まず、本発明を適用し得る自動変速機3の概略構成について図2に沿って説明する。図2に示すように、例えばFFタイプ(フロントエンジン・フロントドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機3は、エンジン2(図1参照)に接続し得る自動変速機の入力軸8を有しており、該入力軸8の軸方向を中心としてトルクコンバータ4と、自動変速機構5とを備えている。
上記トルクコンバータ4は、自動変速機3の入力軸8に接続されたポンプインペラ4aと、作動流体を介して該ポンプインペラ4aの回転が伝達されるタービンランナ4bとを有しており、該タービンランナ4bは、上記入力軸8と同軸上に配設された上記自動変速機構5の入力軸10に接続されている。また、該トルクコンバータ4には、ロックアップクラッチ7が備えられており、該ロックアップクラッチ7が油圧制御装置6(図1参照)の油圧制御によって係合されると、上記自動変速機3の入力軸8の回転が自動変速機構5の入力軸10に直接伝達される。
上記自動変速機構5には、入力軸10上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンPLと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ミッションケース9に一体的に固定されている不図示のボス部に接続されて回転が固定されている。また、上記リングギヤR1は、上記入力軸10の回転と同回転(以下「入力回転」という。)になっている。更に上記キャリヤCR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、クラッチC−1(第1の摩擦係合要素)及びクラッチC−3(第2の摩擦係合要素)に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、バンドブレーキからなるブレーキB−1(摩擦係合要素)に接続されてミッションケース9に対して固定自在となっていると共に、上記クラッチC−3に接続され、該クラッチC−3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC−1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、入力軸10の回転が入力されるクラッチC−2に接続され、該クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及びブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してミッションケース9に対して一方向の回転が規制されると共に、該ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ11に接続されており、該カウンタギヤ11は、不図示のカウンタシャフト、ディファレンシャル装置を介して駆動車輪に接続されている。
つづいて、上記構成に基づき、自動変速機構5の作用について図2乃至図4に沿って説明する。なお、図4に示す速度線図において、縦軸方向はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示しており、横軸方向はそれら回転要素のギヤ比に対応して示している。また、該速度線図のプラネタリギヤSPの部分において、縦軸は、図4中左方側から順に、サンギヤS1、キャリヤCR1、リングギヤR1に対応している。更に、該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、縦軸は、図4中右方側から順に、サンギヤS3、リングギヤR2、キャリヤCR2、サンギヤS2に対応している。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1ST)では、図3に示すように、クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進1速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2ND)では、図3に示すように、クラッチC−1が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進2速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進3速段(3TH)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−3の係合によりキャリヤCR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にキャリヤCR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR2に出力され、前進3速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進4速段(4TH)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進3速段より高い減速回転となってリングギヤR2に出力され、前進4速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進5速段(5TH)では、図3に示すように、クラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進5速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進6速段(6TH)では、図3に示すように、クラッチC−2が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2及び図4に示すように、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進5速段より高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進6速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
後進1速段(REV)では、図3に示すように、クラッチC−3が係合され、ブレーキB−2が係止される。すると、図2及び図4に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、後進1速段としての逆転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、クラッチC−1、クラッチC−2、及びクラッチC−3が解放される。すると、キャリヤCR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤSPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となり、かつ、入力軸10とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸10とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸10とカウンタギヤ11との動力伝達が切断状態となる。
つづいて、本発明に係る自動変速機の制御装置1について、図1に沿って説明する。図1に示すように、本自動変速機の制御装置1は、制御部(ECU)20を有しており、該制御部20には、変速制御手段21と、シフト位置判定手段29と、速度検出手段30と、変速マップ22と、油圧指令制御手段23とが備えられている。該油圧指令制御手段23は、勾配設定手段27を有する油圧算出手段26と、勾配マップ28とを有している。
更に、制御部20には、自動変速機3及び該自動変速機3の制御装置1を搭載した車輌(図示せず)に備えたセレクトレバー(シフト操作手段)24の操作位置(シフトポジション、シフト位置)を検出するシフト位置センサ34と、該車輌に備えたアクセルペダル(図示せず)の角度によりアクセル開度を検出するアクセル開度センサ(アクセル開度検出手段)31と、自動変速機3の自動変速機構5の入力軸10の回転数を検出する入力軸回転数センサ32と、車輌の駆動車輪(図示せず)に連動するカウンタギヤ11の回転数を検出して速度検出手段30に該検出信号を送る出力軸回転数(車速)センサ33と、車輌に備えたスロットル(図示せず)のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)35と、が接続されて、各種の信号が入力される。また、制御部20は、エンジン(内燃エンジン)2に接続されて、エンジン2がアイドル状態となったことを示すアイドル信号と、エンジン2の出力トルクの値であるエンジントルク信号とが入力されている。
なお、上記出力軸回転数センサ33は、カウンタギヤ11の回転数を検出する代わりに、カウンタシャフト(不図示)の回転数を検出するものや車軸(車輪)の回転を検出するものであってもよい。また、カウンタギヤ11やカウンタシャフトの回転数を検出する場合は、ディファレンシャルギヤ装置のギヤ比やカウンタシャフトのギヤ比等に基づき車輌の車速を演算することになる。
上記変速制御手段21は、アクセル開度センサ31により検出されるアクセル開度と、出力軸回転数センサ33により速度検出手段30が検出する車速とに基づき変速マップ22を参照し、上述の前進1速段〜前進6速段を選択判断すると共に、油圧制御装置6に備えた不図示のソレノイドバルブ等を電子制御して、その選択された変速段となるように上記クラッチC−1,C−2,C−3、ブレーキB−1,B−2の係合・解放状態を制御する。上記変速制御手段21は、上記アクセル開度に代えて、スロットル開度センサ35により検出されるスロットル開度を用いることで、同様に、前進1速段〜前進6速段を選択判断すると共に、上記ソレノイドバルブ等を電子制御して、その選択された変速段となるようにクラッチC−1〜C−3、ブレーキ−1,B−2の係合・解放状態を制御することができる。
上記シフト位置判定手段29は、シフト位置センサ34からの信号に基づき、セレクトレバー24のシフト位置を判定する。上記速度検出手段30は、出力軸回転数センサ33からの検出信号に基づき、自動変速機3及び制御装置1を搭載した車輌の走行速度(車速)を検出する。
上記油圧指令制御手段23は、走行中、速度検出手段30により検出された検出速度に応じてスイープ勾配(dP_swp1)を変更するように制御する。つまり、該油圧指令制御手段23は、速度検出手段30による検出速度が0に近いときは比較的高い油圧指令値でスイープアップし、該検出速度が高いほど、比較的低い油圧指令値でスイープアップするように制御する。具体的には、上記油圧指令制御手段23は、油圧算出手段26の勾配設定手段27により、走行時にシフト位置判定手段29により逆方向へのシフト操作が判定された際、第1及び第2の油圧サーボである油圧サーボ15,16のうちの係合する側に対応するリニアソレノイドバルブ(調圧手段)13,14(図9参照)に対する油圧指令値のスイープ勾配(dP_swp1)を、速度検出手段30による検出速度が実質的に0である場合(停車状態)のスイープ勾配よりも緩くなるように制御する。
そして、油圧指令制御手段23は、第1及び第2の摩擦係合要素であるクラッチC−1,C−3がそれぞれ係合し得る下限値として予め設定された油圧指令値の最低圧を備えている。つまり、勾配マップ28には、速度検出手段30により検出された検出速度(車速)が実質的に0である場合(停車状態)に用いる第1のスイープ勾配(後述のX1、X1’)と、車速が所定車速(例えば5[km/h])を超えた場合に用いる、該第1のスイープ勾配より低圧でかつクラッチC−1,C−3がそれぞれ係合し得る最低圧となる第2のスイープ勾配(後述のX2、X2’)と、のデータが予め格納されている。油圧指令制御手段23は、油圧算出手段26の勾配設定手段27により、車速が実質的に0でなく上記所定車速(例えば5[km/h])以下の場合には、上記第1及び第2のスイープ勾配を線形補完して第3のスイープ勾配(後述のX3)として用いて制御する。
そして、油圧指令制御手段23は、走行速度に加え、アクセル開度センサ31により検出されたアクセル開度(開度情報)に応じてスイープ勾配を変更するように制御する。また、油圧指令制御手段23は、アクセル開度に代えて、スロットル開度センサ35により検出されたスロットル開度(開度情報)を用い、走行速度とともに該スロットル開度に応じてスイープ勾配を変更するように制御することもできる。つまり、アクセルON時(又はスロットルON時)にはアクセルOFF時(又はスロットルOFF時)よりも高いトルクが自動変速機構5に入力され、アクセルON時(又はスロットルON時)のスイープ圧はアクセル開度(又はスロットル開度)に依存して変化するため、図7におけるアクセルON時(又はスロットルON時)のX1’、X2’は、アクセルOFF時(又はスロットルOFF時)のX1、X2より高くする必要がある。その実現のため、勾配マップ28には、上記第1及び第2のスイープ勾配に対応する、車輌からのアイドル信号に基づいたアイドリングON状態に対応する第1のバージョン(X1、X2)と、アクセル開度センサ31(又はスロットル開度センサ35)による上記開度情報基づくアクセルON状態(又はスロットルON状態)に対応する第2のバージョン(X1’、X2’)とが格納されており、従って、油圧指令制御手段23は、アイドリングON状態か、アクセル(又はスロットル)のON状態か、に応じて第1のバージョン(X1、X2)及び第2のバージョン(X1’、X2’)の何れかを用いて制御する。なお、図7(a),(b)は、勾配マップ28に格納されたデータの内容を示す図である。図7(b)には、「スロットルON」とのみ記載しているが、これは「アクセルON」として読み替えることができる。
すなわち、油圧指令制御手段23は、前進走行時及び後進走行時の何れかにおける速度検出手段30による検出速度が所定車速(例えば5[km/h])を超える場合、アイドリングON状態にあっては第1のバージョン(X1、X2)を用い、アクセルON状態(又はスロットルON状態)にあっては第2のバージョン(X1’、X2’)を用いる。また、車速が実質的に0でなく上記所定車速以下の場合、アイドリングON状態にあっては第1のバージョンを用いて線形補完して第3のスイープ勾配として用い、アクセルON状態(又はスロットルON状態)にあっては第2のバージョンを用いて線形補完して第3のスイープ勾配として用いる制御を行う。なお、本実施の形態では上記「所定車速」として5[km/h]を用いたが、これに限らず、低速域の車速であれば4[km/h]や6[km/h]等、他の車速を用いることも可能であることは勿論である。
また、本発明における上記「スイープ勾配」とは、広義では、摩擦係合要素に油圧を供給するときのX1、X1’、X2、X2’、X3(図6及び図7参照)にかわる油圧変化の傾きであり、狭義では、第1及び第2の摩擦係合要素であるクラッチC−1,C−3を係合させるときの油圧変化の傾きである。
ここで、自動変速機3の油圧制御装置6(図1参照)に内蔵された油圧回路について、本発明に係る構成部分のみを抜粋して模式的に描いたものを図5に示す。実際は、当該油圧回路には他の多くの油路及びバルブ系が配設されており、また、マニュアルバルブ12も、更に複雑な構造を呈している。
すなわち、図5に示すように、油圧制御装置6には、セレクトレバー24のシフト操作に対応して移動するスプール12aを有するマニュアルバルブ12と、クラッチC−1にライン圧PLを調圧して供給するリニアソレノイドバルブ(調圧手段)13と、クラッチC−3にライン圧PLを調圧して供給するリニアソレノイドバルブ(調圧手段)14と、が設けられている。
マニュアルバルブ12は、ライン圧PLが入力されるポート25と、セレクトレバー24がRレンジに操作された際にスプール12aが切換えられることで、ライン圧PLを調圧してブレーキB−2の油圧サーボ17に供給するポートRと、を有している。更に、マニュアルバルブ12は、セレクトレバー24がDレンジに操作された際にスプール12aが切換えられることで油路18を介してリニアソレノイドバルブ13に、油路35を介してリニアソレノイドバルブ14に供給するポートDを有している。リニアソレノイドバルブ13は、油圧指令制御手段23からの油圧指令値に従ってライン圧PLを調圧した油圧を、クラッチC−1の油圧サーボ15に油路19を介して供給する。リニアソレノイドバルブ14は、油圧指令制御手段23からの油圧指令値に従ってライン圧PLを調圧した油圧を、クラッチC−3の油圧サーボ16に油路36を介して供給する。
続いて、本発明に係る変速制御について、図1、図6、図8ないし図10を参照して説明する。図6は、所謂ガレージシフトが行われ、停車状態或いは低速走行状態におけるDレンジ(例えば前進1速段)からRレンジに切換えられた際の油圧等の変化を示すタイミングチャートであり、図8は、その際の作用を説明するためのフローチャートである。図6では、実際には、クラッチC−1の油圧サーボ15用のリニアソレノイドバルブ13に対する油圧指令値の変化を示しているが、以下、便宜上これを油圧の変化としても見ることとする。
まず、イグニッション(エンジン)がONされると、本自動変速機の制御装置1による制御が開始される。そして、走行中の車輌が減速し、停車間近な状態にあって、パワーオフ状態[即ち、アクセル開度センサ31(又はスロットル開度センサ35)の検出に基づくアクセル開度(スロットル開度)が0]であり、上記アイドル信号によりアイドリングがON状態であり、ベストギヤ切替えからガレージシフトが検出されると、変速制御手段21がガレージ制御を開始する(ステップS1)。なお、上記ベストギヤは、セレクトレバーが切換えられたことを検知する一番早い電気信号を意味する。
そして、ステップS2において、変速制御手段21は、制御開始条件が成立したか否かを判定する。ここでは制御開始条件として、D−N,R−N開放条件成立を判定する。ここで、D−N、R−N解放中の係合判定はしない。D−N,R−N開放条件としては、D−N,R−Nシフト時のN−D,N−R制御において、確実に解放された状態を検出する(図6の時点tの前段階)。つまり、(1)DRフラグ及びRDフラグ(図9参照)がOFF状態になっていることの確認、(2)D−N,R−N制御による回転変化の確認(即ち、ニュートラル状態に変化していることを確認)、(3)駆動側の判断を、[(1)and(2)]or(3)として実施する。(1)と(2)では、図9の中央部分における(N)の状態になっているか否かを判断する。(3)駆動側の判断において、駆動時はステップS2のYesとなり、非駆動時はステップS2のNoとなる。ステップS2のYesのときステップS3に進み、ステップS2のNoのときステップS2を繰り返す。上記「駆動時」は、エンジン2の回転(エンジン回転)が出力軸回転数より高いときを意味し、上記「非駆動時」は、エンジン回転が出力軸回転数より低いときを意味している。なお、図9は、D−N,R−N開放条件成立の判定時にチェックされる内容を概略的に示す図である。
次いで、ステップS3において、サーボ待機タイマを終了させてサーボ起動制御を開始し、例えばクラッチC−3の油圧サーボ16に油圧Pを供給してガタ詰め(図6の時点t〜t)した後、ステップS4で、ガードタイマのカウントを開始する(図6の時点t)。この時点で、後進1速段を形成するためのブレーキB−2の油圧サーボ17へは、図5に示すマニュアルバルブ12のポートRから、係合のための油圧が供給されている。また、ガタ詰めされてからA点まではクラッチC−3の油圧サーボ16への油圧は、Pから回転変化待機圧Pacaに低減された状態で待機される。なお、上記ガードタイマとは、例えば、極低温などで油圧が指令値に対して追いつかず、油圧圧低状態した場合、回転変化時間が遅くなり、ガレージシフトが成立しなくなるため、或る一定時間を経過したらその時点でライン圧係合を行い、ガレージ変速を確実に行い、ドライバーリクエストに応えるためのものである。つまり、所定時間経っても回転変化が起きていない場合に、油圧サーボにライン圧を供給し、強制的に係合を完了させるためのタイマである。また、上記「A点」は回転変化が開始された時点であり、上記「B点」は終期制御の開始時点である。
そして、ステップS5において、目標時間(TargetTime_Max)との比較においてガードタイマ以内か否かを判定し(ガードタイマ<TargetTime_Max)、ガードタイマを超えたと判定した場合はステップS15にジャンプして終期制御を行い、クラッチC−3を速やかに係合させる。
一方、ガードタイマ以内であると判定した場合は、回転変化開始を判断する(ステップS6)。即ち、ステップS6では、以下の(1)〜(10)の条件成立を監視しつつ回転変化開始を判断する。(1)駆動側を判断。(2)低温時のエンジン回転変動による誤判断防止。(3)クラッチアプライによる回転変化を確認。(4)踏み込み中を検出。(5)クラッチアプライによる回転変化を確認。(6)スロットル踏み込みを検出。(7)被駆動時(走行中)を判断。(8)クラッチアプライによる回転変化を確認。(9)入力回転数が高くクラッチが十分リリースされている。(10)D−N、R−N変速で解放されている。
ステップS6において回転変化の開始があると判断されると、ステップS7にて、回転変化確定タイマのカウントを開始し(図6の時点t)、ステップS8に進む。
ステップS8では、速度検出手段30によって検出される車速が0[km/h]を超えるか否かを判定し、車速が0[km/h]であると判定した場合、油圧指令制御手段23は、勾配マップ28から、通常係合圧である第1のバージョン(X1)を用いて(図7(a),(b)参照)、A点(図6の時点t)からB点(図6の時点tとtとの間)においてスイープAB制御を開始する(S10)。この場合、油圧指令制御手段23は、第1のバージョン(X1)を用いた一定のスイープ勾配(dP_swp1)でクラッチC−3の油圧サーボ16への油圧を徐々にスイープアップするような油圧指令値をリニアソレノイドバルブ14に出力して制御する。これにより、図6のAB間では、スイープAB制御において最も高い通常係合圧(X1)でスイープアップされることになる。
一方、ステップS8において車速が0[km/h]を超えていると判定した場合は、更に、ステップS9において、車速が所定車速(例えば5[km/h])を超えているか否かを判断する。その結果、車速が所定車速を超えておらず所定車速未満であると判定した場合、油圧指令制御手段23は、勾配マップ28からの第1のバージョン(X1、X2)を用いて線形補完を行い、その補完圧を用いて、上記A点とB点の間においてスイープAB制御を開始する。この場合、油圧指令制御手段23は、上記補完圧を用いて一定のスイープ勾配(dP_swp1)となるような油圧指令値をリニアソレノイドバルブ14に出力して制御する。これにより、図6のAB間では、スイープAB制御における中間の係合圧(X3)でスイープアップされることになる。
なお、上記「所定車速」は、リバースインヒビットの設定値以下であれば上限値は無く、[0<所定車速<リバースインヒビット設定車速]の範囲で任意に設定可能なものである。また、アイドルON時とスロットルON時において所定車速は変更可能である。
また、ステップS9において、車速が所定車速を超えていると判定した場合、油圧指令制御手段23は、勾配マップ28から、係合最低圧である第1のバージョン(X2)を用いて(図7(a),(b)参照)、上記A点とB点の間においてスイープAB制御を開始する(S12)。この場合、油圧指令制御手段23は、第1のバージョン(X2)を用いた一定のスイープ勾配(dP_swp1)で油圧サーボ16への油圧を徐々にスイープアップするような油圧指令値をリニアソレノイドバルブ14に出力して制御する。これにより、図6のAB間では、スイープAB制御において最も低い係合圧(X2)でスイープアップされることになる。
そして、上記ステップS10,S11,S12の何れかの処理の実行でスイープAB制御が時点t、t、tを経てB点に近付くと、ステップS13において、ステップS7でカウントを開始した回転変化確定タイマが目標時間(Target time_nc)を超えたか否かを判定する。その結果、回転変化確定タイマが目標時間以内であると判断した場合は、ステップS14において、後進1速段としての目標ギヤ比に実ギヤ比が等しくなったか否かを判定し、等しくなったと判断した際には、ステップS15にて終期制御を実行する。一方、ステップS13において、回転変化確定タイマが目標時間を超えたと判断した場合は、その時点でステップS15にジャンプして、終期制御を実行する。
なお、本実施の形態では、図8のフローチャートを参照し、停車状態或いは低速走行状態におけるDレンジからNレンジを経てRレンジに切換えられた際の制御について説明したが、本発明は勿論、停車状態或いは低速走行状態におけるRレンジからNレンジを経てDレンジに切換えられた際の制御にも適用できることは言うまでもない。
以上説明した本実施の形態によると、油圧指令制御手段23が、走行時にシフト位置判定手段29により該走行方向と逆の方向へのシフト操作(例えば、D→N→R又はR→N→D)が判定された際、クラッチC−1の油圧サーボ15及びクラッチC−3の油圧サーボ16のうちの係合する側に対応するリニアソレノイドバルブ13,14に対する油圧指令値のスイープ勾配を、速度検出手段30による検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配よりも緩くなるように制御する。これにより、逆方向へのシフト操作直前の検出速度が実質的に0である場合に比してクラッチC−1,C−2の係合を緩やかに行うことができ、所謂揺り返しを大幅に低減し、ラッチショックを有効に軽減することができる。また、ガレージシフト時における係合のスイープ勾配を単に全体的に緩くするのではなく、走行状態に対応して緩くすることにより、逆方向へのシフト操作から発進するまでのタイムラグを小さくし、レスポンスを良好にすることが可能になる。
上記効果は、図10からも理解することができる。同図において、符号Hは、本発明を適用した場合における車速に搭載された不図示のGセンサ(加速度センサ)の出力の変化を示し、符号Iは、本発明を適用した場合における入力軸回転数センサ32による入力回転の変化を示し、符号Jは、本発明を適用した場合における油圧サーボ15用のリニアソレノイドバルブ13に対する油圧指令値の変化を示し、符号Kは、本発明を適用した場合における出力軸回転数センサ33による車速の変化を示している。また符号H’は、本発明を適用しない場合のGセンサの出力の変化を示し、符号I’は、本発明を適用しない場合の入力軸回転数センサ32による入力回転の変化を示し、符号J’は、本発明を適用しない場合のリニアソレノイドバルブ13に対する油圧指令値の変化を示し、符号K’は、本発明を適用しない場合の出力軸回転数センサ33による車速の変化を示している。
10において、本発明を適用しない場合の出力変化H’に比して、本発明を適用した場合の出力変化Hを見ると、ショックの振幅aが小さくなり、ラッチショックが改善されていることが分かる。また、本発明を適用しない場合の入力回転変化I’に比して、本発明を適用した場合の入力回転変化Iを見る場合、係合スイープ勾配cが緩やかになったことで、回転変化スピードが和らげられ、クラッチ係合時のショックが軽減された。更に、本発明を適用しない場合の油圧指令値変化J’に比して、本発明を適用した場合の油圧指令値変化Jを見ると、変化分bだけスイープ勾配が緩やかになっていることが分かる。
油圧指令制御手段23は、速度検出手段30による検出速度が0に近いときは検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配に近いスイープ勾配でスイープアップし、検出速度が0から遠いほど、検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配から遠いスイープ勾配でスイープアップするので、ラッチショックの軽減効果をより的確にすることができる。
また、制御上の油圧指令値が低すぎると、対応するクラッチC−1,C−3の係合が始まらない虞があるが、本実施の形態では、油圧指令制御手段23が、クラッチC−1,C−3がそれぞれ係合し得る下限値として予め設定された油圧指令値の最低圧で制御できるので、クラッチC−1,C−3の係合が始まらないような不都合の発生を確実に回避することができる。
また、本実施の形態によると、速度検出手段30により検出された車速が実質的に0である場合に用いる第1のスイープ勾配(X1、X1’)と、車速が所定車速を超えた場合に用いる、該第1のスイープ勾配より低圧で最低圧となる第2のスイープ勾配(X2、X2’)とを予め格納した勾配マップ28を備え、車速が実質的に0でなく所定車速以下の場合には第1及び第2のスイープ勾配を線形補完して第3のスイープ勾配(X3)として用いるので、勾配マップ28内のデータ容量を節約することができる。また、車速が所定車速を超えた場合には最低圧の第2のスイープ勾配(X2、X2’)を用いるので、変化する種々の車速にいちいち対応させるのでなく、これ以下のスイープ勾配は用いないという設定状況によって、摩擦係合要素の係合が間延びしてレスポンスに影響するような不都合を抑えることができる。
更に、本実施の形態によると、油圧指令制御手段23が、走行速度に加え、アクセル開度センサ31(又はスロットル開度センサ35)により検出された開度情報に応じてスイープ勾配を変更するので、ラッチショックの軽減状況を、よりきめ細かいものにすることができる。また、勾配マップ28が、第1及び第2のスイープ勾配に対応する、車輌からのアイドル信号に基づいたアイドリングON状態に対応する第1のバージョン(X1、X2)と、アクセル開度センサ31(又はスロットル開度センサ35)の検出に基づくアクセルON状態(又はスロットルON状態)に対応する第2のバージョン(X1’、X2’)とを備え、油圧指令制御手段23が、アイドリングON状態か、アクセルON状態(又はスロットルON状態)か、に応じて第1及び第2のバージョンの何れかを用いるので、アクセル開度の有無に応じてスイープ勾配をより適切に変更することができる。
なお、以上説明した実施の形態においては、本自動変速機の制御装置1を前進6速段及び後進1速段を可能とする自動変速機3に適用する場合を一例として説明したが、勿論これに限るものではなく、有段式の自動変速機であればどのようなものにも適用することができる。
本発明に係る自動変速機の制御装置を示すブロック図。 本発明を適用し得る自動変速機構を示すスケルトン図。 本自動変速機構の係合表。 本自動変速機構の速度線図。 本自動変速機の油圧制御装置に内蔵された油圧回路を一部抜粋した模式図。 ガレージシフトが行われた際の油圧等の変化を示すタイミングチャート。 勾配マップに格納されたデータの内容を示す図。 本発明に係るガレージシフトの制御を示すフローチャート。 D−N,R−N開放条件成立の判定時にチェックされる内容を概略的に示す図。 本発明に係る自動変速機の制御装置による効果を示すグラフ図。
符号の説明
1 自動変速機の制御装置
3 自動変速機
13,14 調圧手段(リニアソレノイドバルブ)
15 第1の油圧サーボ(クラッチC−1の油圧サーボ)
16 第2の油圧サーボ(クラッチC−3の油圧サーボ)
23 油圧指令制御手段
24 シフト操作手段(セレクトレバー)
28 勾配マップ
29 シフト位置判定手段
30 速度検出手段
31 アクセル開度検出手段(アクセル開度センサ)
35 スロットル開度検出手段(スロットル開度センサ)
C−1 前進走行用の第1の摩擦係合要素(クラッチ)
C−3 後進走行用の第2の摩擦係合要素(クラッチ)
dP_swp1 スイープ勾配
X1 第1のスイープ勾配(第1のバージョン)
X1’ 第1のスイープ勾配(第2のバージョン)
X2 第2のスイープ勾配(第1のバージョン)
X2’ 第2のスイープ勾配(第2のバージョン)
X3 第3のスイープ勾配

Claims (6)

  1. 前進段を形成する前進走行用の第1の摩擦係合要素と、後進段を形成する後進走行用の第2の摩擦係合要素と、それら第1及び第2の摩擦係合要素にそれぞれ対応する第1及び第2の油圧サーボと、それら第1及び第2の油圧サーボに油圧を調圧してそれぞれ供給する調圧手段と、を備え、シフト操作手段のシフト操作に応じて前記調圧手段を介して前記第1及び第2の油圧サーボに油圧を供給して前記前進段及び前記後進段を選択的に形成してなる自動変速機の制御装置において、
    前記シフト操作手段のシフト位置を判定するシフト位置判定手段と、
    前記自動変速機を搭載した車輌の走行速度を検出する速度検出手段と、
    走行時に前記シフト位置判定手段により該走行の方向とは逆の方向へのシフト操作が判定された際、前記第1及び第2の油圧サーボのうちの係合する側に対応する前記調圧手段に対する、前記自動変速機内の、前記第1及び第2の摩擦係合要素のうちの係合する側の摩擦係合要素の回転変化が開始された以降の油圧指令値のスイープ勾配を、前記速度検出手段による検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配よりも緩くなるように制御し、かつ前記走行中は、前記速度検出手段により検出された検出速度に応じて前記スイープ勾配を変更する油圧指令制御手段と、を備
    前記油圧指令制御手段は、
    前記速度検出手段により検出された検出速度が実質的に0である場合に用いる第1のスイープ勾配と、前記検出速度が所定車速を超えた場合に用いる、該第1のスイープ勾配より低圧でかつ前記第1及び第2の摩擦係合要素がそれぞれ係合し得る最低圧となる第2のスイープ勾配とを格納した勾配マップを備える、
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記油圧指令制御手段は、前記速度検出手段による検出速度が0に近いときは前記検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配に近い前記スイープ勾配でスイープアップし、前記検出速度が0から遠いほど、前記検出速度が実質的に0である場合のスイープ勾配から遠い前記スイープ勾配でスイープアップしてなる、
    請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記油圧指令制御手段は、前記第1及び第2の摩擦係合要素がそれぞれ係合し得る下限値として予め設定された前記油圧指令値の最低圧を備えてなる、
    請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記油圧指令制御手段は、前記検出速度が実質的に0でなく前記所定車速以下の場合には前記第1及び第2のスイープ勾配を線形補完して第3のスイープ勾配として用いてなる、
    請求項1乃至3の何れか1項記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記車輌に備えたアクセルペダルのアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、前記車輌に備えたスロットルのスロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、を有し、かつ、
    前記油圧指令制御手段は、前記走行速度に加え、前記アクセル開度検出手段及び前記スロットル開度検出手段の何れか一方により検出された開度情報に応じて前記スイープ勾配を変更してなる、
    請求項1乃至4の何れか1項記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記勾配マップは、前記第1及び第2のスイープ勾配に対応する、前記車輌からのアイドル信号に基づいたアイドリングON状態に対応する第1のバージョンと、前記開度情報に対応する第2のバージョンと、を備え、
    前記油圧指令制御手段は、前記アイドリングON状態か、前記アクセル又はスロットル何れかのON状態か、に応じて前記第1及び第2のバージョンの何れかを用いてなる、
    請求項記載の自動変速機の制御装置。
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