JP5262995B2 - 車両用無段変速装置 - Google Patents

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この発明は、例えば、自動車、或は、建設用車両(建機)、農業用車両(農機)等の作業用車両等の車両の自動変速装置として利用する、車両用無段変速装置の改良に関する。具体的には、車両の走行中にシフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、この車両の挙動の急変化(例えば急減速、タイヤロック、エンスト等)、並びに、この車両や変速装置の損傷(例えばプロペラシャフトの折損、変速装置内部の破損、クラッチバースト等)を防止し、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止する事を可能にするものである。又、これと共に、請求項1に記載した発明の場合には、車両の減速中に、運転者の意思に合致した挙動を確保する事を意図するものである。又、請求項2に記載した発明の場合には、迅速な減速を行なう事を意図するものである。
車両用の自動変速機(AT:Automatic Transmission)として、歯車式で有段(例えば前進4〜8段、後進1〜2段等)の変速機構を有する(走行中の変速比を無段階には調整できない)有段変速装置が、従来から使用されている。この様な有段変速装置としては、例えば、トルクコンバータと遊星歯車機構とにより構成するもの(一般的なAT)、或は、制御器により制御される油圧式或いは電動式のアクチュエータにより、有段式の(手動)変速機の変速操作(シフトダウン、シフトアップ)とクラッチの断接操作とを自動的行なうもの(AMT:Automated Manual Transmission )が知られている。
又、ベルト式無段変速機、トロイダル型無段変速機等の、変速比を無段階に調節できる無段変速機構により構成した無段変速装置(CVT:Continuously Variable Transmission)に就いても、近年使用する場合が増えている。更には、この様なトロイダル型無段変速機等の無段変速機構と歯車式の差動機構(例えば遊星歯車式変速機)とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせた無段変速装置(IVT:Infinitely Variable Transmission)も、従来から知られている。この様な無段変速装置や上述の様な有段変速装置を組み込んだ車両では、アクセルペダルの操作(アクセル開度)や車両の走行速度(車速)から得られるその時点での走行状態に応じて、最適な変速段や変速比(目標変速段、目標変速比)に調節する為の変速制御を行うと共に、トルクコンバータのロックアップクラッチ制御や必要なクラッチの断接制御を行っている。
ところで、上述の様な自動変速機を組み込んだ車両の運転時、運転者の誤操作或いは故意(意識して)の操作により、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作される場合がある。即ち、シフトレバーの選択位置が前進位置(例えばD、Lレンジ)で、且つ、車両が前進している状態で、このシフトレバーが後退位置(例えばRレンジ)に操作されたり、同じく後退位置で、且つ、車両が後退している状態で、このシフトレバーが前進位置に操作される場合がある。この様な操作のうち、例えば運転者の故意の(意識した)操作は、例えば車両を車庫入れする場合等に行われる。即ち、車庫入れの際に、車両が完全に停止していない状態で、例えば「前進走行中にDレンジ→Nレンジ→Rレンジ」や「後退走行中にRレンジ→Nレンジ→Dレンジ」に操作(ガレージシフト)される場合がある。又、農業用車両や建設用車両等の作業用車両では、作業中に前進と後退との切換が頻繁に行われるが、この様な進行方向の切換を、その時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーを操作(シャトルシフト)する事で行われる場合がある。
一方、特許文献1には、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置で、上述の様なシフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、車両の挙動が急激に変化(例えば急減速、タイヤロック、エンスト等)したり、この車両や変速装置が損傷(例えばプロペラシャフトの折損、変速装置内部の破損、クラッチバースト等)する事を防止する技術が記載されている。但し、この特許文献1に記載された技術の場合には、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された状態で行われる、運転者のアクセル操作(アクセルペダルの踏み込み)は考慮していない。即ち、運転者が逆方向への走行を意図してシフトレバーをその逆方向に操作すると共に、この逆方向への走行をより早く実現すべく、乃至は、その逆方向への加速を意図して、アクセル開度を大きくする(アクセルペダルを踏み込む)場合がある。但し、上述した特許文献1に記載された技術の場合には、この様な運転者のアクセル操作があった場合に、この操作に伴って、車両が運転者の意図とは異なる挙動を示す可能性がある。即ち、運転者のアクセル操作に伴って、現在の走行方向(シフトレバーの選択方向とは逆方向、運転者が意図する方向とは逆方向)に加速する可能性がある。この様な車両の挙動は、運転者に違和感を与える等、好ましくない。
尚、特許文献2には、ベルト式無段変速機で、発進時にベルトがプーリに対し滑るのを防止すべく、シフトレバーに連結されたガレージシフトコントロールバルブにより、前進クラッチ及び後進クラッチに導入する油圧を調節し、これら各クラッチの接続を円滑にする技術が記載されている。又、特許文献3には、ベルト式無段変速機で、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、ガレージシフトコントロールバルブにより、プーリによるベルトを挟持する力を適切に規制し、このベルトがプーリに対し滑るのを防止する技術が記載されている。但し、これら特許文献2〜3に記載された技術の場合には、ガレージシフトコントロールバルブを設ける分、部品点数が増大すると共に、構造並びに制御が複雑になり、信頼性の確保が面倒になる可能性がある。尚、特許文献4には、ガレージシフトコントロールバルブを用いない構造で、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、ベルトがプーリに対し滑るのを防止する技術が記載されている。この様な特許文献4に記載された技術の場合には、ガレージシフトコントロールバルブを設けない分、上述の様な部品点数が増大する等の不都合は防止できるが、上述した様な運転者のアクセル操作に伴う違和感の解消は図れない。
又、例えば特許文献5〜6には、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を停止させる、所謂ギヤードニュートラル(GN)状態を挟んで、この出力軸の回転状態を正転、逆転に切り換えられるモードを備えた無段変速装置を、建設用車両や農業用車両で用いる技術が記載されている。このうちの特許文献5には、この様なギヤードニュートラル状態を実現できる無段変速装置で、前後進切換機構を設ける事により、前進側と共に後退側の速度比の変動幅(変速幅)も大きくする技術が記載されている。又、特許文献6には、前後進切換レバーの操作に伴って、その操作方向に対応する方向に発進すべく、トロイダル型無段変速機の変速比を徐々に増速させる技術が記載されている。但し、これら特許文献5〜6に記載された技術の場合には、その時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーが操作(シャトルシフト)される事を考慮していない。即ち、上述の様な建設用車両や農業用車両等の作業用車両の場合、この様な操作(シャトルシフト)が頻繁に行われるが、この様な操作は、運転者が、車両を迅速に停止させると共に、逆方向に迅速に加速を行う事を意図して行われる。但し、上記特許文献5〜6に記載された技術の場合には、この様な操作が行われた際に、運転者の意図に沿った挙動(迅速な停止と加速)を実現できない可能性があり、作業効率の低下を招く可能性がある。
尚、特許文献7には、上述の様な、その時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置にシフトレバーが操作された場合に(シャトルシフトの際に)、クラッチの接続を断つと共に、制動装置を作動させる事により、車両を停止させる技術が記載されている。又、特許文献8には、同じくシャトルシフトの際に、アクセル開度を徐々に0まで閉じる事により、エンジンブレーキを得られる様にした技術が記載されている。これら特許文献7〜8に記載された技術の場合には、制動装置の作動やエンジンブレーキが加わる事で、迅速な停止を図れる可能性があるが、クラッチの接続を断つ作業やアクセル開度を調節する作業が必要になる分、制御が複雑になる可能性がある。
尚、上述の様な特許文献7〜8に記載された構造の場合は、何れもクラッチ装置を用いたものであり、フォークリフト等の、比較的車両重量が小さい車両に組み込む事を意図している。一方、重量の大きな作業用車両では、運動方程式{F=ma、F:減速力、m:重量、a:加速度(減速度)}から明らかなように、迅速な停止を行う為には、その分(重量が大きくなる分)、大きな減速力が必要になる。又、トルクコンバータが組み込まれた従来の作業用車両の場合には、上述の様なシャトルシフトの際に、駆動源(例えばエンジン)からトルクコンバータに駆動力(エネルギー)を加え、このトルクコンバータ内で必要な流れ(減速力が加わる方向の流れ)を惹起させて、減速力を得る様にする必要がある。但し、この様な場合には、駆動源を大型化する分、燃費が悪くなる可能性がある。又、ロックアップ機能が備わったトルクコンバータの場合には、ロックアップされる速度域(速度が大きい事に伴って減速比が小さい状態)ではエンジンブレーキが小さく、大きな減速力は得られにくい。何れにしても、シャトルシフトの際に、大きな減速力を確保し、迅速な停止を行える様にすると共に、この停止から迅速な加速を行う為には、更なる改良の余地がある。
特開2007−309435号公報 特開2004−190809号公報 特許第3924164号公報 特開2008−39154号公報 特開2006−300268号公報 特開2007−187288号公報 特開平3−128730号公報 特開平4−123937号公報
本発明の車両用無段変速装置は、上述の様な事情に鑑みて、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された(ガレージシフト、シャトルシフトが行われた)場合に、運転者の意思に合致した減速を行える構造を実現すべく発明したものである。又、同じく、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された(ガレージシフト、シャトルシフトが行われた)場合に、迅速な減速を行える構造を実現すべく発明したものである。
本発明の車両用無段変速装置は何れも、従来から知られている無段変速装置と同様に、無段変速機構(例えばトロイダル型無段変速機、プーリ式無段変速機等の変速比を無段階に調節できる変速機)と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動機構とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせている。そして、このうちの無段変速機構の変速比の調節に基づいて、上記差動機構を構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態(ギヤードニュートラル状態)を挟んで正転及び逆転に変換自在としている。
特に、請求項1に記載した本発明の車両用無段変速装置に於いては、この無段変速装置の速度比を調節する制御器に、次の機能を持たせている。即ち、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させる第一の機能を持たせている。又、これと共に、この第一の機能に基づく運転中に、運転者がアクセル開度を変更しても(例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んでも、或は、踏み込み量を大きくしても)、この変更(踏み込み操作)を無効とする(例えば、駆動源の回転速度をアイドリング状態のままに維持する)第二の機能も有している。即ち、上記第一の機能に基づく運転中は、運転者のアクセル操作に拘らず(アクセル操作があってもなくても)、この運転者のアクセル操作指令をキャンセルし、アクセル開度を0乃至はアイドリング状態を実現できる値に規制(調節)する機能を、上記制御器に持たせている。
更に、請求項1に記載した本発明の車両用無段変速装置の場合には、上記第一の機能に基づく運転中に、運転者がアクセル開度を変更した(例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んだ、或は、踏み込み量を大きくした)場合に、停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度(変速速度)を大きくする、第三の機能も有する。即ち、運転者のアクセル操作に基づいて、停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度(変速速度)を変更し、運転者のアクセル操作が大きい程、0に向けての変速速度を大きくする。
又、何れの場合も(アクセル開度の変更があってもなくても)、無段変速装置の速度比を、停止状態を実現できる0まで変化させた後、シフトレバーの当該操作位置に応じた値に調節する。
又、好ましくは、前記クラッチ装置は、減速比を大きくする第一のモード(例えば低速モード)を実現する際に接続されて同じく小さくする第二のモード(例えば高速モード)を実現する際に接続を断たれる第一のクラッチ(例えば低速用クラッチ)と、この第二のモード(高速モード)を実現する際に接続されて上記第一のモード(低速モード)を実現する際に接続を断たれる第二のクラッチ(例えば高速用クラッチ)とを備えたものとする。
又、請求項2に記載した本発明の車両用無段変速装置に於いては、この無段変速装置の速度比を調節する制御器に、次の機能を持たせている。即ち、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させる第一の機能を持たせている。又、これと共に、この第一の機能に基づく運転中に、車両に減速力(進行方向に進む事に対する妨げとなる力)を付与する為の制動装置であり、ブレーキペダルの踏み込みとは別にホイルシリンダに油圧を導入できる機構を有するブレーキ装置を作動させる第二の機能を持たせている。
尚、無段変速機構は、トロイダル型無段変速機とする事が好ましい。又、必要に応じて、無段変速装置の出力軸の回転方向を切り換える前後進切換機構(例えば、前進クラッチ、後退クラッチ)を備える事もできる。この場合には、車両の速度が0の状態(ギヤードニュートラル状態)で、この前後進切換機構の切換(クラッチの断接)を行う。
上述の様に構成する本発明の車両用無段変速装置のうち、請求項1に記載した車両用無段変速装置の場合には、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された(ガレージシフト、シャトルシフトが行われた)場合に、運転者の意思に合致した減速を行える。
即ち、減速中に、運転者がアクセル開度を変更しても(例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んでも、或は、踏み込み量を大きくしても)、この変更(踏み込み操作)が無効になる(運転者のアクセル操作指令がキャンセルされる)。この為、運転者が逆方向への走行を意図してシフトレバーをその逆方向に操作すると共に、この逆方向への走行をより早く実現すべく、乃至は、その逆方向への加速を意図して、アクセル開度を大きくしても(アクセルペダルを踏み込んでも)、現在の走行方向(シフトレバーの選択方向とは逆方向、運転者が意図する方向とは逆方向)に加速される事を防止できる。しかも、運転者のアクセル開度の変更に応じて、停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度(変速速度)を大きくするので、逆方向への走行をより早く実現でき、車両の挙動をより運転者の意志に合致したものにできる。この為、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合の減速中に、運転者に違和感を与える事を防止できる。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献2〜3に記載された技術)の様に、部品点数が増大したり、制御が複雑になる事もない為、信頼性の確保も図り易くできる。
又、請求項2に記載した車両用無段変速装置の場合には、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された(ガレージシフト、シャトルシフトが行われた)場合に、迅速な減速を行える。
即ち、減速中は、クラッチ装置を接続したままとすると共に、車両に減速力(進行方向に進む事に対する妨げとなる力)を付与する為のブレーキ装置も作動させる。この為、エンジンブレーキとブレーキ装置が付与する減速力との両方の制動力を得られ、車両の減速を迅速に行える。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献7〜8に記載された技術)の様に、減速中にクラッチの接続を断つ作業やアクセル開度を調節する作業が必要にならない分、制御が複雑になる事を防止できる。又、トルクコンバータを用いない為、必要な減速力を得るべく駆動源を大型化する必要がなく、燃費の向上(省エネ化)を図れる。しかも、車両に減速力を付与する為に、車両に制動力を付与する制動装置を用いるので、既に車両に備わっているものを利用できる為、装置のコストが増大する事を防止できる。又、無段変速機構としてトロイダル型無段変速機を用いた場合には、高効率化と高容量化とを図れる。又、前後進切換機構を設けた場合には、ギヤードニュートラルを実現できる構造で、前進側と共に後退側の速度比の変動幅(変速幅)も大きくする事ができる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、無段変速装置のブロック図。 この無段変速装置に組み込む油圧回路を示す図。 無段変速装置全体としての速度比とトロイダル型無段変速機の変速比との関係の1例を示す線図。 本例の特徴となる動作を示すフローチャート。 本例の制御を行った場合の車両の挙動を示すグラフ。 本発明の実施の形態の第2例を示すブロック図。 本例の制御を説明する為の線図。 無段変速装置の模式図。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。このうちの図1は、特許請求の範囲に記載した無段変速機構に相当するトロイダル型無段変速機4と、同じく歯車式の差動機構に相当する遊星歯車式変速機5とを組み合わせる事により、入力軸3を回転させた状態のまま出力軸9を停止させられる、所謂無限大の変速比(ギヤードニュートラル状態、速度比0の状態)を実現できる無段変速装置のブロック図を示している。又、図2は、同じくこの無段変速装置を制御する為の油圧回路を示している。本例の場合は、この様な無段変速装置の速度比を、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、予め設定した条件に沿って変化させる様に構成している。
エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、直接又はトロイダル型無段変速機4を介して、差動機構である遊星歯車式変速機5に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機5の構成部材の差動成分が、クラッチ装置6、即ち、図2の低速用、高速用各クラッチ7、8を介して、出力軸9に取り出される。又、上記トロイダル型無段変速機4は、入力側、出力側各ディスク10、11と、複数個のパワーローラ12と、それぞれが支持部材に相当する複数個のトラニオン(図示省略)と、アクチュエータ13(図2)と、押圧装置14と、変速比制御ユニット15とを備える。
このうちの入力側、出力側各ディスク10、11は、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。又、上記各パワーローラ12は、互いに対向する上記入力側、出力側各ディスク10、11の内側面同士の間に挟持されて、これら入力側、出力側各ディスク10、11同士の間で動力(力、トルク)を伝達する。又、上記各トラニオンは、上記各パワーローラ12を回転自在に支持している。又、上記アクチュエータ13は、油圧式のもので、上記各パワーローラ12を支持した上記各トラニオンを、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を変える。又、上記押圧装置14は、油圧の導入に伴ってこの油圧に比例した押圧力を発生させる油圧式のものであり、上記入力側ディスク10と上記出力側ディスク11とを互いに近付く方向に押圧する。又、上記変速比制御ユニット15は、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を所望値にする為に、上記アクチュエータ13の変位方向及び変位量を制御する。
図示の例の場合、上記変速比制御ユニット15は、制御器(ECU)16と、この制御器16からの制御信号に基づいて切り換えられる、ステッピングモータ17と、ライン圧制御用電磁開閉弁18と、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁弁19、20と、これら各部材17〜20により作動状態を切り換えられる制御弁装置21とにより構成している。尚、この制御弁装置21は、図2の変速比制御弁22と押圧力調整弁23とに相当する。又、このうちの変速比制御弁22は、上記アクチュエータ13への油圧の給排を制御するものである。又、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁弁19、20は、前記低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の導入状態を切り換えるものである。
又、前記ダンパ2部分から取り出した動力により駆動されるオイルポンプ24から吐出した圧油は、上記制御弁装置21並びに前記押圧装置14に送り込まれる。即ち、油溜25(図2)から吸引されて上記オイルポンプ24により吐出された圧油は、上記押圧力調整弁23により所定圧に調整される。本例の場合は、前記アクチュエータ13の各油圧室26a、26bにそれぞれ設けた1対の油圧センサ27a、27b(図1の27)の検出信号を、前記制御器16に入力している。そして、この制御器16は、これら各油圧センサ27a、27bにより検出される上記各油圧室26a、26b同士の差圧{この差圧に対応する、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)}と、油温センサ28や入力側、出力側各回転センサ29、30、出力軸回転センサ31、アクセルセンサ32等により検出される他の状態量(変速比や油温、アクセル開度、車速等)とに基づいて、前記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉状態を切り換える。そして、この開閉状態の切換に基づき、上記押圧力調整弁23の開弁圧を調節し、プライマリーライン33、延いては、上記押圧装置14が発生する押圧力を、運転状況に応じた最適な値に規制する。
又、上記押圧力調整弁23により調整された圧油は、手動油圧切換弁34、並びに、減圧弁35、前記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁弁19、20を介して、前記低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8の油圧室内に送り込まれる。又、これら低速用、高速用各クラッチ7、8のうちの低速用クラッチ7は、減速比を大きくする{変速比無限大(ギヤードニュートラル状態)を含む}低速モード(第一のモード)を実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モード(第二のモード)を実現する際に接続を断たれる。これに対して、上記高速用クラッチ8は、上記低速モード(第一のモード)を実現する際に接続を断たれると共に上記高速モード(第二のモード)を実現する際に接続される。尚、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁弁19、20の切り換え(開閉)は、前記制御器16により制御される。
図3は、トロイダル型無段変速機4の変速比(増速比)と無段変速装置全体としての速度比(増速比)との関係の1例を示している。例えば、上記低速用クラッチ7が接続され、上記高速用クラッチ8の接続が断たれた低速モードでは、実線αで示す様に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、ギヤードニュートラル状態を実現できる値(GN値)から減速する程、無段変速装置全体としての速度比を停止状態(速度比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に増速させられる。又、同じくGN値から増速する程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に増速させられる。一方、上記高速用クラッチ8が接続され、上記低速用クラッチ7の接続が断たれた高速モードでは、実線βで示す様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を増速する程、上記無段変速装置全体としての速度比を(前進方向に)増速させられる。
尚、一般的には、「変速比」は減速比であり、「速度比」は増速比であり、「変速比」の逆数が「速度比」となる(「速度比」=1/「変速比」)。但し、本明細書並びに特許請求の範囲では、トロイダル型無段変速機に関する入力側と出力側との間の比に就いて「変速比」の言葉を用い、無段変速装置全体に関する入力側と出力側との間の比に就いて「速度比」の言葉を用いている。この理由は、トロイダル型無段変速機の比なのか、無段変速装置全体としての比なのかを明確にし易くする為である。従って、本明細書並びに特許請求の範囲では、「変速比」が減速比に、「速度比」が増速比に、必ずしも対応するものではない。
上述した様な無段変速装置を組み込んだ車両では、アクセルペダルの操作(アクセル開度)や車両の走行速度(車速)から得られる、その時点での車両の走行状態(運転状況)に基づいて、前記制御器16により、上記無段変速装置の最適な速度比(目標速度比)を求める。そして、この目標速度比を実現すべく、上記制御器16の制御信号に基づいてステッピングモータ17を駆動し、変速比制御弁22を切り換える事により、トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記目標速度比に対応する目標変速比に調節する。又、これと共に、必要に応じて(無段変速装置の目標速度比に応じて)低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁弁19、20を切り換える事により、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換えて、必要な走行モード(低速モード或いは高速モード)を選択する。これらにより、上記無段変速装置の速度比を、その時点での車両の走行状態に応じた最適な値(目標速度比)に調節する。
更に、本例の場合は、前記制御器16に、車両の走行中に、運転席に設けたシフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、前記クラッチ装置6(高速前進走行中は高速用クラッチ8、低速前進走行中或いは後退走行中は低速用クラッチ7)を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させる機能(第一の機能)を持たせている。又、これと共に、この様に無段変速装置の速度比を、停止状態を実現できる0まで変化させた後、上記シフトレバーが操作された位置(操作位置)に応じた値に調節する{当該操作位置に応じた(発進)変速制御を行なう}機能も持たせている。
即ち、例えばシフトレバーが前進位置(D、Lレンジ)に操作された状態で、車両が前進走行中に、このシフトレバーが後退位置(Rレンジ)に操作された場合には、上記無段変速装置の速度比を、その時点の前進走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化(減速)させる(例えば高速用クラッチ8が接続されている状態ではトロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変化させ、低速用クラッチ7が接続されている状態では同じく増速側に変化させる)。次いで、後退方向に発進させるべく、上記無段変速装置の速度比を、上記後退位置に応じた値に調節(後退方向に増速)する(低速用クラッチ7が接続されている状態である為、トロイダル型無段変速機4の変速比を増速側に変化させる)。又、これとは逆に、上記シフトレバーが後退位置に操作された状態で、車両が後退走行中に、このシフトレバーが前進位置に操作された場合には、上記無段変速装置の速度比を、その時点の後退走行に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化(減速)させる(低速用クラッチ7が接続されている状態である為、トロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変化させる)。次いで、前進方向に発進させるべく、上記無段変速装置の速度比を、上記前進位置に応じた値に調節(前進方向に増速)する(低速用クラッチ7が接続されている状態である為、トロイダル型無段変速機4の変速比を減速側に変化させる)。尚、この様な変速制御に関しては、前記特許文献1に詳しく記載されている為、これ以上の説明は省略する。
更に、本例の場合には、上記制御器16に、次の機能も持たせている。即ち、上述の様に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作され、且つ、クラッチ装置6(7、8)が接続された状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させている途中(第一の機能に基づく運転中)に、運転者がアクセル開度を変更しても(例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んでも、或は、踏み込み量を大きくしても)、この変更(踏み込み操作)を無効とする(例えば、駆動源であるエンジン1の回転速度をアイドリング状態のまま維持する)第二の機能を、上記制御器16に持たせている。より具体的には、上記第一の機能に基づく運転中は、運転者のアクセル操作に拘らず(アクセル操作があってもなくても)、この運転者のアクセル操作指令をキャンセルし、アクセル開度を0乃至はアイドリング状態を実現できる値に規制(調節)する機能を持たせている。
この様な制御器16が有する機能に就いて、図4に示したフローチャートを参照しつつ説明する。尚、このフローチャートに示した作業は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、繰り返し(自動的に)行われる。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、シフトレバーの選択位置が走行位置(例えばD、L、Rレンジ)か否かを判定する。この判定は、例えばシフトレバーの選択位置を検出するポジションスイッチ36の検出信号に基づいて行う。この様なステップ1で、上記シフトレバーの選択位置が走行位置でない{非走行位置(例えばP、Nレンジ)である}と判定された場合には、終了を介して、開始に戻る。一方、上記ステップ1で、上記シフトレバーの選択位置が走行位置であると判定された場合には、ステップ2に進み、車両が(実質的に)走行中であるか否かを判定する。
この判定は、例えば前記出力軸回転センサ31の検出信号により、前記出力軸9の回転速度から分かる、上記車両の走行速度が1km/h以上である(車速≧1km/h)か否かにより判定する。このステップ2で、上記車両が走行中でない(停止中)と判定された場合には、終了を介して、開始に戻る。一方、上記ステップ2で、上記車両が走行中であると判定された場合には、ステップ3に進み、現在ガレージシフト制御中(第一の機能に基づく運転中)であるか否かを判定する。即ち、現在「シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作され、且つ、クラッチ装置6(7、8)が接続された状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させている」か否かを判定する。より具体的には、前記特許文献1の例えば図3或は図5に記載された変速制御を、現在行っているか否かにより判定する。
この様なステップ3で、現在ガレージシフト制御中でないと判定された場合には、終了を介して、開始に戻る。一方、上記ステップ3で、現在ガレージシフト制御中であると判定された場合には、ステップ4に進み、運転者のアクセルペダルの踏み込みの有無(運転者がアクセルペダルの踏み込みに基づきアクセル開度を1%以上にしているか否か)を判定する。この判定は、前記アクセルセンサ32の検出信号により行える。この様なステップ4で、運転者のアクセルペダルの踏み込みがない(運転者がアクセル開度を1%よりも小さくしている)と判定された場合には、ステップ5に進み、そのまま(通常の)ガレージシフト制御を継続する。尚、この場合に(通常のガレージシフト制御中に)、トロイダル型無段変速機4の変速比(延いては、無段変速装置全体としての速度比)を変更する速度(変速速度)は、安全且つ迅速に車両を停止させられる速度となる様に、予め調節(チューニング)しておく。又、この様な通常のガレージシフト制御中は、上述の様にステップ4で、運転者のアクセルペダルの踏み込みがないと判定されている為、実際のアクセル開度(制御器16がエンジンコントローラ(エンジンEUC)37に指令するアクセル開度)も0%(全閉)にする。
一方、上記ステップ4で、運転者のアクセルペダルの踏み込みがある(運転者がアクセル開度を1%以上にしている)と判定された場合には、ステップ6に進み、停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度(変速速度)を大きくする(第三の機能として、例えば、ステップ5で行われる通常のガレージシフト制御での変速速度の2倍とする)。そして、続くステップ7で、実際のアクセル開度(制御器16がエンジンコントローラ37に指令するアクセル開度)を0%(全閉)にする(第二の機能)。即ち、このステップ6では、上記ステップ4で、運転者のアクセルペダルの踏み込みがある(運転者がアクセル開度を1%以上にしている)と判定されているにも拘らず、この運転者の踏み込み指令(アクセル開度を1%よりも大きくする旨の指令)を無効とし(キャンセルし)、実際のアクセル開度は0%(全閉)にする。そして、この様なアクセル操作のキャンセルは、車両が停止するまで、又は、トロイダル型無段変速機4の変速比がギヤードニュートラル状態を実現できる値となるまで、行われる。即ち、車両が停止してから、又は、トロイダル型無段変速機4の変速比がギヤードニュートラル状態を実現できる値となってから、運転者のアクセル操作をエンジンコントローラ37に反映させる。
尚、上述の様な、運転者のアクセル操作がキャンセルされた状態は、次の様な方法により実現できる。
(1)キャンセルしたアクセル開度信号をエンジンコントローラ37に送信
即ち、前記アクセルセンサ32から制御器16に、運転者がアクセルを操作している(アクセルペダルを踏み込んでいる)旨の信号が送られても、この制御器16は、エンジンコントローラ37に、「アクセル開度は0%(全閉)である」旨の信号(擬似信号)を送信する。この様に擬似信号を送信する事で、運転者のアクセル操作に拘らず、実際のアクセル開度を0%(全閉)にする
(2)エンジンコントローラ37にガレージシフト制御中である旨の信号を送信
即ち、ガレージシフト制御中である旨を、制御器16からエンジンコントローラ37に送信する。この送信は、例えば相互通信であれば、シリアル通信やCAN通信等により行える。又、例えばアナログ信号であれば、ガレージシフト制御中は、リレーを駆動しその信号をエンジンコントローラ37が受信する様にする。そして、この様にエンジンコントローラ37にガレージシフト制御中である旨の信号が送信されている間は、運転者のアクセル操作に拘らず、実際のアクセル開度を0%(全閉)にする。
(3)エンジントルク(又は回転数)制限信号(又はエンジンアイドル回転制御信号)をエンジンコントローラヘ送信
即ち、ガレージシフト制御中は、制御器16からエンジンコントローラ37に、エンジントルク(又は回転数)制限信号(又はエンジンアイドル回転制御信号)を送信する。この信号が送信されている間は、エンジンコントローラ37は、この信号に従って、運転者のアクセル操作に拘らず、実際のアクセル開度を0%(全閉)にする。
上述の様に構成する本例の場合には、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された(ガレージシフト、シャトルシフトが行われた)場合に、運転者の意思に合致した減速を行える。
即ち、減速中に、運転者がアクセル開度を変更しても(例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んでも、或は、踏み込み量を大きくしても)、この変更(踏み込み操作)が無効になる(運転者のアクセル操作指令がキャンセルされる)。この為、運転者が逆方向への走行を意図してシフトレバーをその逆方向に操作すると共に、この逆方向への走行をより早く実現すべく、乃至は、その逆方向への加速を意図して、アクセル開度を大きくしても(アクセルペダルを踏み込んでも)、現在の走行方向(シフトレバーの選択方向とは逆方向、運転者が意図する方向とは逆方向)に加速される事を防止できる。しかも、本例の場合には、運転者のアクセル開度の変更に応じて、停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度(変速速度)を大きくする為、逆方向への走行をより早く実現でき、車両の挙動をより運転者の意志に合致したものにできる。この為、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合の減速中に、運転者に違和感を与える事を防止できる。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献2〜3に記載された技術)の様に、部品点数が増大したり、制御が複雑になる事もない為、信頼性の確保も図り易くできる。
尚、図5は、本例の変速制御を行なった場合の、車両の挙動を示している。この図5から明らかな様に、本例の変速制御を行う事で、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作されても、この車両の挙動の急変化、並びに、この車両や無段変速装置の損傷を防止して、安全且つ迅速に、この車両を減速、停止させ、更に、上記シフトレバーが操作された位置に応じた走行を行える。しかも、本例の場合には、運転者のアクセル操作に拘らず(アクセル操作があってもなくても)、エンジンコントローラ37にアクセル開度を0%(全閉)にする旨の指令が送られる為、上述の様に運転者の意思に合致した減速を行える。尚、図5の上段に表されたステッピングモータのステップ位置を表す線図のうち、実線は、アクセルペダルの操作に応じて変速速度を変更しない(1step/50ms)場合を、一点鎖線は、アクセルペダルの操作に応じて変速速度を変更する(1step/50ms→1step/20ms)場合を、それぞれ示している。
[実施の形態の第2例]
図6〜8は、請求項2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合も、上述した実施の形態の第1例と同様に、制御器16(図1参照)に、第一の機能を持たせている。即ち、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、クラッチ装置{後述する図8で、前後進切換機構を構成する前進クラッチ38又は後退クラッチ39、及び、低速用クラッチ7(その時点の走行状態によっては高速用クラッチ8)}を接続した状態で、無段変速装置(IVT)40の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化させる機能を、上記制御器16に持たせている。尚、この機能に関しては、上述の第1例で説明した通りである。一方、本例の場合には、この様な第一の機能の他、この第一の機能に基づく運転中に、上記車両に減速力(進行方向に進む事に対する妨げとなる力)を付与する減速力補助装置41を作動せる第二の機能も、上記制御器16に持たせている。
尚、この減速力補助装置41は、ABS(アンチロックブレーキシステム)やTCS(トラクションコントロールシステム)の如く、ブレーキペダルの踏み込みとは別に、ホイルシリンダに油圧を導入できる機構を有するブレーキ装置42とする。この様な本例の場合には、図7に示す様に、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された(例えば前進走行中にRレンジに操作された)場合に、クラッチ装置(例えば前進クラッチ38と低速用クラッチ7と)を接続した状態で、上記無段変速装置40の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させつつ、上記減速力補助装置41を作動させる。即ち、この減速力補助装置41であるブレーキ装置42により制動力を付与する。そして、車両が停止したならば、このブレーキ装置42を解除し、シフトレバーの選択位置に対応する方向(例えば後退方向)に発進する。この様な車両の減速、停止、加速は、前進走行時と後退走行時との両方で行える様にする。
尚、本例の場合には、図8に示す様に、無段変速機構としてトロイダル型無段変速機4を組み込んでいる。そして、このトロイダル型無段変速機4と遊星歯車式変速機5とを、低速用、高速用各クラッチ7、8、及び、前進、後退各クラッチ38、39とにより動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせている。そして、このうちの前進クラッチ38と低速用クラッチ7とを接続した状態で、並びに、後退クラッチ39と低速用クラッチ7とを接続した状態で、エンジン1により入力軸3を一方向に回転させた状態のまま出力軸9の回転状態を停止させる、所謂ギヤードニュートラル(GN)状態を実現できる様にしている。この様な、ギヤードニュートラル状態を実現できる構造で、出力軸9の回転方向を切り換える前後進切換機構、即ち、前進、後退各クラッチ38、39を設けた構造の場合には、前記特許文献5の図3に記載された線図から明らかな様に、前進側だけでなく、後退側の速度比の変動幅(変速幅)も大きくする事ができる。尚、前進クラッチ38と後退クラッチ39との断接は、車両の速度が0の状態(ギヤードニュートラル状態)で行う。
上述の様に構成する本例の場合には、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された(ガレージシフト、シャトルシフトが行われた)場合に、迅速な減速を行える。
即ち、減速中は、前進クラッチ38及び低速用クラッチ7(必要に応じて高速用クラッチ8)を接続したままとすると共に、車両に減速力を付与する減速力補助装置41も作動させる。この為、エンジンブレーキと減速力補助装置41が付与する減速力との両方の制動力を得られ、車両の減速を迅速に行える。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献7〜8に記載された技術)の様に、減速中にクラッチの接続を断つ作業やアクセル開度を調節する作業が必要にならない分、制御が複雑になる事を防止できる。又、トルクコンバータを用いない為、必要な減速力を得るべくエンジン1を大型化する必要がなく、燃費の向上(省エネ化)を図れる。しかも、上記減速力補助装置41として、車両に制動力を付与するブレーキ装置42を用いるので、既に車両に備わっているものを利用できる為、装置のコストが増大する事を防止できる。又、無段変速機構としてトロイダル型無段変速機4を組み込んでいる為、高効率化と高容量化とを図れる。又、このトロイダル型無段変速機4により変速比を無段階に変速させられる為、上記エンジン1を、最良燃費点近傍で運転でき、この面からも燃費の向上を図れる。又、従来の作業用車両で用いられているHST(Hydraulic Static Transmission:油圧式無段変速機)に比べ効率良くできる為、この面からも燃費の向上を図れる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力側ディスク
11 出力側ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁開閉弁
19 低速クラッチ用電磁弁
20 高速クラッチ用電磁弁
21 制御弁装置
22 変速比制御弁
23 押圧力調整弁
24 オイルポンプ
25 油溜
26a、26b 油圧室
27a、27b 油圧センサ
28 油温センサ
29 入力側回転センサ
30 出力側回転センサ
31 出力軸回転センサ
32 アクセルセンサ
33 プライマリーライン
34 手動油圧切換弁
35 減圧弁
36 ポジションスイッチ
37 エンジンコントローラ
38 前進クラッチ
39 後退クラッチ
40 無段変速装置
41 減速力補助装置
42 ブレーキ装置

Claims (2)

  1. 無段変速機構と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動機構とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせ、このうちの無段変速機構の変速比の調節に基づいて、上記差動機構を構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在とした車両用無段変速装置に於いて、
    この無段変速装置の速度比を調節する制御器は、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させる第一の機能を有する他、この第一の機能に基づく運転中に、運転者がアクセル開度を変更しても、この変更を無効とする第二の機能と、運転者のアクセル操作に基づいて、上記停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度を変更し、運転者のアクセル操作が大きい程、0に向けての変速速度を大きくする第三の機能とを有する事を特徴とする車両用無段変速装置。
  2. 無段変速機構と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動機構とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせ、このうちの無段変速機構の変速比の調節に基づいて、上記差動機構を構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在とした車両用無段変速装置に於いて、
    この無段変速装置の速度比を調節する制御器は、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させる第一の機能を有する他、この第一の機能に基づく運転中に、車両に減速力を付与する為の制動装置であり、ブレーキペダルの踏み込みとは別にホイルシリンダに油圧を導入できる機構を有するブレーキ装置を作動せる第二の機能を有する事を特徴とする車両用無段変速装置。
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