JP5262995B2 - 車両用無段変速装置 - Google Patents
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又、何れの場合も(アクセル開度の変更があってもなくても)、無段変速装置の速度比を、停止状態を実現できる0まで変化させた後、シフトレバーの当該操作位置に応じた値に調節する。
又、好ましくは、前記クラッチ装置は、減速比を大きくする第一のモード(例えば低速モード)を実現する際に接続されて同じく小さくする第二のモード(例えば高速モード)を実現する際に接続を断たれる第一のクラッチ(例えば低速用クラッチ)と、この第二のモード(高速モード)を実現する際に接続されて上記第一のモード(低速モード)を実現する際に接続を断たれる第二のクラッチ(例えば高速用クラッチ)とを備えたものとする。
即ち、減速中に、運転者がアクセル開度を変更しても(例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んでも、或は、踏み込み量を大きくしても)、この変更(踏み込み操作)が無効になる(運転者のアクセル操作指令がキャンセルされる)。この為、運転者が逆方向への走行を意図してシフトレバーをその逆方向に操作すると共に、この逆方向への走行をより早く実現すべく、乃至は、その逆方向への加速を意図して、アクセル開度を大きくしても(アクセルペダルを踏み込んでも)、現在の走行方向(シフトレバーの選択方向とは逆方向、運転者が意図する方向とは逆方向)に加速される事を防止できる。しかも、運転者のアクセル開度の変更に応じて、停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度(変速速度)を大きくするので、逆方向への走行をより早く実現でき、車両の挙動をより運転者の意志に合致したものにできる。この為、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合の減速中に、運転者に違和感を与える事を防止できる。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献2〜3に記載された技術)の様に、部品点数が増大したり、制御が複雑になる事もない為、信頼性の確保も図り易くできる。
即ち、減速中は、クラッチ装置を接続したままとすると共に、車両に減速力(進行方向に進む事に対する妨げとなる力)を付与する為のブレーキ装置も作動させる。この為、エンジンブレーキとブレーキ装置が付与する減速力との両方の制動力を得られ、車両の減速を迅速に行える。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献7〜8に記載された技術)の様に、減速中にクラッチの接続を断つ作業やアクセル開度を調節する作業が必要にならない分、制御が複雑になる事を防止できる。又、トルクコンバータを用いない為、必要な減速力を得るべく駆動源を大型化する必要がなく、燃費の向上(省エネ化)を図れる。しかも、車両に減速力を付与する為に、車両に制動力を付与する制動装置を用いるので、既に車両に備わっているものを利用できる為、装置のコストが増大する事を防止できる。又、無段変速機構としてトロイダル型無段変速機を用いた場合には、高効率化と高容量化とを図れる。又、前後進切換機構を設けた場合には、ギヤードニュートラルを実現できる構造で、前進側と共に後退側の速度比の変動幅(変速幅)も大きくする事ができる。
図1〜5は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。このうちの図1は、特許請求の範囲に記載した無段変速機構に相当するトロイダル型無段変速機4と、同じく歯車式の差動機構に相当する遊星歯車式変速機5とを組み合わせる事により、入力軸3を回転させた状態のまま出力軸9を停止させられる、所謂無限大の変速比(ギヤードニュートラル状態、速度比0の状態)を実現できる無段変速装置のブロック図を示している。又、図2は、同じくこの無段変速装置を制御する為の油圧回路を示している。本例の場合は、この様な無段変速装置の速度比を、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、予め設定した条件に沿って変化させる様に構成している。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、シフトレバーの選択位置が走行位置(例えばD、L、Rレンジ)か否かを判定する。この判定は、例えばシフトレバーの選択位置を検出するポジションスイッチ36の検出信号に基づいて行う。この様なステップ1で、上記シフトレバーの選択位置が走行位置でない{非走行位置(例えばP、Nレンジ)である}と判定された場合には、終了を介して、開始に戻る。一方、上記ステップ1で、上記シフトレバーの選択位置が走行位置であると判定された場合には、ステップ2に進み、車両が(実質的に)走行中であるか否かを判定する。
(1)キャンセルしたアクセル開度信号をエンジンコントローラ37に送信
即ち、前記アクセルセンサ32から制御器16に、運転者がアクセルを操作している(アクセルペダルを踏み込んでいる)旨の信号が送られても、この制御器16は、エンジンコントローラ37に、「アクセル開度は0%(全閉)である」旨の信号(擬似信号)を送信する。この様に擬似信号を送信する事で、運転者のアクセル操作に拘らず、実際のアクセル開度を0%(全閉)にする
(2)エンジンコントローラ37にガレージシフト制御中である旨の信号を送信
即ち、ガレージシフト制御中である旨を、制御器16からエンジンコントローラ37に送信する。この送信は、例えば相互通信であれば、シリアル通信やCAN通信等により行える。又、例えばアナログ信号であれば、ガレージシフト制御中は、リレーを駆動しその信号をエンジンコントローラ37が受信する様にする。そして、この様にエンジンコントローラ37にガレージシフト制御中である旨の信号が送信されている間は、運転者のアクセル操作に拘らず、実際のアクセル開度を0%(全閉)にする。
(3)エンジントルク(又は回転数)制限信号(又はエンジンアイドル回転制御信号)をエンジンコントローラヘ送信
即ち、ガレージシフト制御中は、制御器16からエンジンコントローラ37に、エンジントルク(又は回転数)制限信号(又はエンジンアイドル回転制御信号)を送信する。この信号が送信されている間は、エンジンコントローラ37は、この信号に従って、運転者のアクセル操作に拘らず、実際のアクセル開度を0%(全閉)にする。
即ち、減速中に、運転者がアクセル開度を変更しても(例えば運転者がアクセルペダルを踏み込んでも、或は、踏み込み量を大きくしても)、この変更(踏み込み操作)が無効になる(運転者のアクセル操作指令がキャンセルされる)。この為、運転者が逆方向への走行を意図してシフトレバーをその逆方向に操作すると共に、この逆方向への走行をより早く実現すべく、乃至は、その逆方向への加速を意図して、アクセル開度を大きくしても(アクセルペダルを踏み込んでも)、現在の走行方向(シフトレバーの選択方向とは逆方向、運転者が意図する方向とは逆方向)に加速される事を防止できる。しかも、本例の場合には、運転者のアクセル開度の変更に応じて、停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度(変速速度)を大きくする為、逆方向への走行をより早く実現でき、車両の挙動をより運転者の意志に合致したものにできる。この為、シフトレバーがその時点の車両の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合の減速中に、運転者に違和感を与える事を防止できる。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献2〜3に記載された技術)の様に、部品点数が増大したり、制御が複雑になる事もない為、信頼性の確保も図り易くできる。
図6〜8は、請求項2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合も、上述した実施の形態の第1例と同様に、制御器16(図1参照)に、第一の機能を持たせている。即ち、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、クラッチ装置{後述する図8で、前後進切換機構を構成する前進クラッチ38又は後退クラッチ39、及び、低速用クラッチ7(その時点の走行状態によっては高速用クラッチ8)}を接続した状態で、無段変速装置(IVT)40の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、停止状態を実現できる0まで変化させる機能を、上記制御器16に持たせている。尚、この機能に関しては、上述の第1例で説明した通りである。一方、本例の場合には、この様な第一の機能の他、この第一の機能に基づく運転中に、上記車両に減速力(進行方向に進む事に対する妨げとなる力)を付与する減速力補助装置41を作動せる第二の機能も、上記制御器16に持たせている。
即ち、減速中は、前進クラッチ38及び低速用クラッチ7(必要に応じて高速用クラッチ8)を接続したままとすると共に、車両に減速力を付与する減速力補助装置41も作動させる。この為、エンジンブレーキと減速力補助装置41が付与する減速力との両方の制動力を得られ、車両の減速を迅速に行える。しかも、前述の従来構造(例えば特許文献7〜8に記載された技術)の様に、減速中にクラッチの接続を断つ作業やアクセル開度を調節する作業が必要にならない分、制御が複雑になる事を防止できる。又、トルクコンバータを用いない為、必要な減速力を得るべくエンジン1を大型化する必要がなく、燃費の向上(省エネ化)を図れる。しかも、上記減速力補助装置41として、車両に制動力を付与するブレーキ装置42を用いるので、既に車両に備わっているものを利用できる為、装置のコストが増大する事を防止できる。又、無段変速機構としてトロイダル型無段変速機4を組み込んでいる為、高効率化と高容量化とを図れる。又、このトロイダル型無段変速機4により変速比を無段階に変速させられる為、上記エンジン1を、最良燃費点近傍で運転でき、この面からも燃費の向上を図れる。又、従来の作業用車両で用いられているHST(Hydraulic Static Transmission:油圧式無段変速機)に比べ効率良くできる為、この面からも燃費の向上を図れる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力側ディスク
11 出力側ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁開閉弁
19 低速クラッチ用電磁弁
20 高速クラッチ用電磁弁
21 制御弁装置
22 変速比制御弁
23 押圧力調整弁
24 オイルポンプ
25 油溜
26a、26b 油圧室
27a、27b 油圧センサ
28 油温センサ
29 入力側回転センサ
30 出力側回転センサ
31 出力軸回転センサ
32 アクセルセンサ
33 プライマリーライン
34 手動油圧切換弁
35 減圧弁
36 ポジションスイッチ
37 エンジンコントローラ
38 前進クラッチ
39 後退クラッチ
40 無段変速装置
41 減速力補助装置
42 ブレーキ装置
Claims (2)
- 無段変速機構と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動機構とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせ、このうちの無段変速機構の変速比の調節に基づいて、上記差動機構を構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在とした車両用無段変速装置に於いて、
この無段変速装置の速度比を調節する制御器は、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させる第一の機能を有する他、この第一の機能に基づく運転中に、運転者がアクセル開度を変更しても、この変更を無効とする第二の機能と、運転者のアクセル操作に基づいて、上記停止状態を実現できる0に向けての速度比の変化速度を変更し、運転者のアクセル操作が大きい程、0に向けての変速速度を大きくする第三の機能とを有する事を特徴とする車両用無段変速装置。 - 無段変速機構と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動機構とを、クラッチ装置により動力の伝達経路を切り換え自在とした状態で組み合わせ、このうちの無段変速機構の変速比の調節に基づいて、上記差動機構を構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換自在とした車両用無段変速装置に於いて、
この無段変速装置の速度比を調節する制御器は、車両の走行中に、シフトレバーがその時点の走行方向と逆方向の選択位置に操作された場合に、上記クラッチ装置を接続した状態で、上記無段変速装置の速度比を、その時点の走行状態に応じた値から、上記停止状態を実現できる0まで変化させる第一の機能を有する他、この第一の機能に基づく運転中に、車両に減速力を付与する為の制動装置であり、ブレーキペダルの踏み込みとは別にホイルシリンダに油圧を導入できる機構を有するブレーキ装置を作動せる第二の機能を有する事を特徴とする車両用無段変速装置。
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