JP4853264B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば車両(自動車)用自動変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関し、低速モードと高速モードとのモード切換を滑らか、且つ、迅速に行なえる構造を、低コストで実現するものである。
自動車用変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が、例えば特許文献1、2、非特許文献1、2等の多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されて周知である。又、変速比の変動幅を大きくすべく、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置も、例えば特許文献3〜7に記載される等により、従来から広く知られている。このうちの特許文献3には、トロイダル型無段変速機のみで動力を伝達するモード(低速モード)と、差動機構である遊星歯車式変速機により主動力を伝達し、上記トロイダル型無段変速機により変速比の調節を行なう、所謂パワースプリット状態を実現するモード(高速モード)とを備えた無段変速装置が記載されている。又、上記特許文献4〜7には、入力軸を一方向に回転させたまま出力軸の回転状態を停止させる、所謂ギヤードニュートラル(GN)状態を挟んで、この出力軸の回転状態を正転、逆転に切り換えられるモード(低速モード)を備えた無段変速装置が記載されている。
図9〜10は、特許文献6〜7に記載された、ギヤードニュートラル状態を実現できるモードを備えた無段変速装置を示している。このうちの図9は無段変速装置のブロック図を、図10は、この無段変速装置を制御する油圧回路を、それぞれ示している。エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、直接又はトロイダル型無段変速機4を介して、歯車式の差動機構である遊星歯車式変速機5に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機5の構成部材の差動成分が、クラッチ装置6、即ち、図10の低速用、高速用各クラッチ7、8を介して、出力軸9に取り出される。又、上記トロイダル型無段変速機4は、入力側、出力側各ディスク10、11と、複数個のパワーローラ12と、それぞれが支持部材である複数個のトラニオン(図示省略)と、アクチュエータ13(図10)と、押圧装置14と、変速比制御ユニット15とを備える。このうちの入力側、出力側各ディスク10、11は、互いに同心に、且つ相対回転自在に配置されている。
又、上記各パワーローラ12は、互いに対向する上記入力側、出力側各ディスク10、11の内側面同士の間に挟持されて、これら入力側、出力側各ディスク10、11同士の間で動力(トルク)を伝達する。又、上記各トラニオンは、上記各パワーローラ12を回転自在に支持している。又、上記アクチュエータ13は、油圧式のもので、上記各パワーローラ12を支持した上記各トラニオンを、それぞれの両端部に設けた枢軸の軸方向に変位させて、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を変える。又、上記押圧装置14は、油圧式のもので、上記入力側ディスク10と上記出力側ディスク11とを互いに近付く方向に押圧する。又、上記変速比制御ユニット15は、上記入力側ディスク10と出力側ディスク11との間の変速比を所望値にする為に、上記アクチュエータ13の変位方向及び変位量を制御する。
図示の例の場合、上記変速比制御ユニット15は、制御器16と、この制御器16からの制御信号に基づいて切り換えられる、ステッピングモータ17と、ライン圧制御用電磁開閉弁18と、電磁弁19と、シフト用電磁弁20と、これら各部材17〜20により作動状態を切り換えられる制御弁装置21とにより構成している。尚、この制御弁装置21は、変速比制御弁22と、補正シリンダ23と、補正用制御弁24a、24bと、高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26(図10)とを合わせたものである。このうちの変速比制御弁22は、上記アクチュエータ13への油圧の給排を制御するものである。又、上記補正シリンダ23は、前記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)に応じて、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を補正すべく、上記変速比制御弁22の切換状態を調節するものである。又、上記補正用制御弁24a、24bは、上記補正シリンダ23への圧油の給排を制御するものであり、上記電磁弁19の切り換えに応じて切り換えられる。更に、上記高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26は、前記低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の導入状態を切り換えるものである。
又、前記ダンパ2部分から取り出した動力により駆動されるオイルポンプ27(図10の27a、27b)から吐出した圧油は、上記制御弁装置21並びに上記押圧装置14に送り込まれる。即ち、油溜28(図10)から吸引されて上記オイルポンプ27a、27bにより吐出された圧油は、押圧力調整弁29及び低圧側調整弁30(図10)により所定圧に調整される。このうちの押圧力調整弁29は、前記アクチュエータ13にピストンを挟んで設けた1対の油圧室31a、31b同士の間に存在する油圧の差(差圧)に応じた油圧、並びに、前記制御器16からの指令により制御される前記ライン圧制御用電磁開閉弁18の開閉に基づく油圧の導入に基づき、開弁圧を調節される。そして、この様な開弁圧の調節に基づき、上記押圧装置14が発生する押圧力を、運転状況に応じた最適な値に規制する。
又、この様に押圧力調整弁29により調整された圧油は、前記変速比制御弁22を介して上記アクチュエータ13に送り込まれる他、手動油圧切換弁32並びに減圧弁33、前記高速クラッチ用、低速クラッチ用各切換弁25、26を介して、前記低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8の油圧室内に送り込まれる。これら低速用、高速用各クラッチ7、8のうちの低速用クラッチ7は、減速比を大きくする{変速比無限大(ギヤードニュートラル状態=GN状態)を含む}低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、上記高速用クラッチ8は、上記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、これら低速用、高速用各クラッチ7、8への圧油の給排状態は、前記シフト用電磁弁20の切換に応じて切り換えられる。
図11は、トロイダル型無段変速機4の変速比(増速比)と無段変速装置全体としての速度比(増速比)との関係の1例を示している。例えば、上記低速用クラッチ7が接続され、上記高速用クラッチ8の接続が断たれた低速モードでは、実線αに示す様に、トロイダル型無段変速機4の変速比を、GN状態を実現できる値(GN値)から減速する程、無段変速装置全体としての速度比を停止状態(速度比0の状態)から前進方向(+:正転方向)に増速させられる。又、同じくGN値から増速する程、同じく停止状態から後退方向(−:逆転方向)に増速させられる。一方、上記高速用クラッチ8が接続され、上記低速用クラッチ7の接続が断たれた高速モードでは、実線βに示す様に、上記トロイダル型無段変速機4の変速比を増速する程、上記無段変速装置全体としての速度比を(前進方向に)増速させられる。
上述の様な無段変速装置を組み込んだ車両では、アクセルペダルの操作(アクセル開度)や車両の走行速度(車速)から得られる、その時点での車両の走行状態(運転状況)に基づいて、制御器16により、上記無段変速装置の最適な速度比(目標速度比)を求める。そして、この目標速度比を実現すべく、上記制御器16の制御信号に基づきステッピングモータ17を駆動し、変速比制御弁22を切り換える事により、トロイダル型無段変速機4の変速比を、上記目標速度比に対応する目標変速比に調節する。又、これと共に、必要に応じて(無段変速装置の目標速度比に応じて)シフト用電磁弁20を切り換える事により、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換えて、必要な走行モード(低速モード或いは高速モード)を選択する。これらにより、上記無段変速装置の速度比を、その時点での車両の走行状態に応じた最適な値(目標速度比)に調節する。
ところで、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、低速モードと高速モードとを有する無段変速装置の場合、上述した様なギヤードニュートラル状態を実現できるものにしても、前記特許文献3に記載されたパワースプリット状態を実現できるものにしても、低速モードと高速モードとの間のモード切換は、次の様に行なわれる。即ち、このモード切換は、その時点での走行状態(に対応する目標速度比)に応じて調節される無段変速装置の速度比が、上記低速モードと高速モードとの両方のモードで実現できる値{図11で低速モードを表す実線αと高速モードを表す実線βとの交点イに対応する値(増速比で0.3程度)}に調節された状態で行なわれる。この場合に、トロイダル型無段変速機4から見れば、上記モード切換は、その時点での走行状態(に対応する目標変速比)に応じて調節されるこのトロイダル型無段変速機4の変速比が、上記交点イに対応する値であるモード切換ポイント{回転同期点、増速比で0.4程度(最大減速状態)}に調節された状態で行われる。
例えば、低速モードで走行中であれば、その時点での走行状態(に対応する目標変速比)に応じて上記トロイダル型無段変速機4の変速比が減速し(無段変速装置の速度比が増速し)、モード切換ポイント(例えば増速比で0.4)に達すると、前記制御器16の制御信号に基づいて前記シフト用電磁弁20が切り換えられる。そして、それまで接続を断たれていた高速用クラッチが接続されると共に、それまで接続されていた低速用クラッチの接続が断たれ、低速モードから高速モードに切り換わる。一方、高速モードで走行中であれば、その時点での走行状態(に対応する目標変速比)に応じて上記トロイダル型無段変速機4の変速比が減速し(無段変速装置の速度比が減速し)、上記モード切換ポイントに達すると、上記制御器16の制御信号に基づいて前記シフト用電磁弁20が切り換えられる。そして、それまで接続を断たれていた上記低速用クラッチが接続されると共に、それまで接続されていた上記高速用クラッチの接続が断たれ、高速モードから低速モードに切り換わる。
上述の様な低速モードと高速モードとの間のモード切換を行なう場合、このモード切換を滑らか(円滑)に行なう事が、乗り心地性能(乗り心地の良さ)等を確保する面で重要になる。この様なモード切換を滑らかに行なう技術として、例えば特許文献8には、モード切換時に、それまで接続されていたクラッチとそれまで接続を断たれていたクラッチとの両方のクラッチを同時に接続させてから、それまで接続されていたクラッチの接続を断つ技術が記載されている。この様な技術を採用すれば、例えば加速中のモード切換時に高速用、低速用両クラッチの接続が同時に断たれる事による、エンジンの回転速度の急上昇(吹け上がり)や、この急上昇後の高速用クラッチの接続に伴う変速ショック(トルク抜け感、押し出し感)を防止して、運転者を初めとする乗員に違和感を与える事を防止できる。
又、特許文献9には、低速用、高速用各クラッチの断接を切り換える為の低速クラッチ用、高速クラッチ用各切換弁の切り換えに遅延時間を設定する事により、モード切換時に両方のクラッチを同時に接続させる時間を確実に造り出す技術が記載されている。又、特許文献10には、パワースプリット状態を実現できる無段変速装置で、高速モードから低速モードに切り換える際の高速用クラッチを断つタイミングに比べ、低速モードから高速モードに切り換える際の低速用クラッチを断つタイミングを長くする事により、このモード切換時に両クラッチが接続されている時間を確保する技術が記載されている。又、特願2005−153599には、モード切換時に、低速用、高速用両クラッチが同時に接続された事を、パワーローラを支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータに設けた、1対の油圧室同士の間の差圧に基づいて推定する発明が開示されている。
ところで、上述した様な従来技術の場合、それまで接続を断たれていたクラッチの接続を開始してから、それまで接続されていたクラッチの接続を断ち始めるまでの時間を、その時点での車両状況(車両状態、走行状態)に応じて調節する事は考慮していない。一方、モード切換時にクラッチ装置を構成する低速用、高速用各クラッチは、その切換時の状態、例えば油温やこれら各クラッチを構成する摩擦材の温度特性等に応じて、接続を開始してから接続し切るまでに或る程度の時間を要する(油圧応答遅れを生じる)。
例えば、上記油温が低く、油の粘性が高い場合には、通油路中を圧油が流動する事に対する抵抗が高くなる為、上記モード切換時に上記低速用、高速用各クラッチの接続が開始されてから接続し切るまでの時間が長くなる。又、この場合に、上記各クラッチを構成する摩擦材の温度特性等によっては、実際に油圧が上昇しても、動力を伝達するまでに更に時間を要する事も考えられる。何れにしても、この様に低速用、高速用各クラッチの接続が開始されてから接続し切るまでの時間が長くなる場合でも、これら両クラッチが同時に接続されている時間を確実に造り出す様にする為には、それまで接続を断たれていたクラッチの接続を開始してからそれまで接続されていたクラッチの接続を断ち始めるまでの時間(両接時間、同時接続時間)を、或る程度長く設定する事が考えられる。但し、この時間が不必要に長くなると、モード切換後のモードに応じた変速制御を開始するまでの時間が遅くなる可能性がある。即ち、トロイダル型無段変速機の変速比がモード切換ポイントに達してから、モード切換後のモードに応じた変速制御を開始するまでの時間が長くなる(モード切換に要する時間が長くなる)可能性がある。
そして、この様にモード切換後のモードに応じた変速制御を開始するまでの時間が長くなると、例えばアクセルペダルを大きく踏み込んで(アクセル開度を全開にして)車両を急発進(急加速)させる場合には、増速側への変速が遅れ、エンジンの回転速度は上昇しても、運転者の意図する加速を十分に得られなくなる(加速性能が低下する)可能性がある。又、走行中にキックダウンに基づき車両を急加速させる場合には、減速側への変速が遅れ、エンジンの回転速度が急上昇せず、運転者の意図する加速を十分に得られなくなる(加速性能が低下する)可能性がある。何れの場合にも、車両を十分に加速する事ができず、走行フィーリングが悪化して、運転者に不快感を与える等、好ましくない。
特許第2734583号公報 特開平5−39850号公報 特開平10−196759号公報 特開2003−307266号公報 特開2000−220719号公報 特開2004−225888号公報 特開2004−211836号公報 特開平9−210191号公報 特開2005−291486号公報 特開2003−207042号公報 青山元男著、「別冊ベストカー 赤バッジシリーズ245/クルマの最新メカがわかる本」、株式会社三推社/株式会社講談社、平成13年12月20日、p.92−93 田中裕久著、「トロイダルCVT」、株式会社コロナ社、2000年7月13日
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、何れの車両状況(走行状態、車両状態)でも、モード切換時に低速用、高速用両クラッチが同時に接続される時間を適正に造り出す事のできる構造を、装置を複雑にする事なく、低コストで実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、従来から知られている無段変速装置と同様に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを、クラッチ装置を介して組み合わせて成る。
このうちのクラッチ装置は、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチと、これら各クラッチの断接状態を切り換える制御器とから成る。
又、この制御器は、上記各クラッチの断接を制御する事により、変速状態を上記低速モードと上記高速モードとのうちの何れかのモードにするものである。
そして、上記制御器に、上記低速モードと上記高速モードとの間のモード切換時に、上記低速用クラッチと上記高速用クラッチとのうちのそれまで接続を断たれていた一方のクラッチを接続してから、同じくそれまで接続されていた他方のクラッチの接続を断つ機能を持たせる事により、これら両クラッチが同時に接続されている時間を設定している。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記制御器に、次の機能を持たせている。即ち、上記一方のクラッチの接続が開始されてから上記他方のクラッチの接続を断ち始めるまでの時間である、両接時間(同時接続時間)の長さを、その時点での車両状況(車両状態、走行状態)を表す状態量に応じて調節する(その時点での車両状況に応じた最適な長さに調節する)機能を、上記制御器に持たせている。
尚、上記状態量は、次述する様に、トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)、アクセル開度、油温等が挙げられる。そして、これらトルク、アクセル開度、油温等の総ての値を、上記状態量として用いる。具体的には、予め求めた、この状態量(トルク、アクセル開度、油温等)とこの状態量に対応する最適な両接時間との相関関係に応じて、その時点の状態量に対応する最適な両接時間に調節する。尚、この様な相関関係は、制御器のメモリに、マップ(MAP)や式等として記憶させておく。
何れにしても、上述の様な本発明を実施する場合には、上記状態量に、トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)の大きさ及び方向を含ませる。このトルクは、例えばこのトルクに対応する値である、パワーローラを支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータに設けた、1対の油圧室同士の間の差圧として求める事ができる。そして、その時点でのトルク(差圧)に応じて、上記両接時間の長さを、その時点での最適な長さに調節する。又、この場合に、この調節を、上記トルク(差圧)の大きさ及び方向(正負)に応じて行なう。
即ち、例えば上記トルク(差圧)(の絶対値)が大きい程、上記両接時間の長さを長くし、上記両クラッチが同時に接続されている時間を確実に造り出せる様にする(トルク抜けを確実に防止できる様にする)。一方、上記トルク(差圧)(の絶対値)が小さい程、上記両接時間の長さを短くし、上記両クラッチが同時に接続されている時間が不必要に長くなる事を防止する。又、上記トルク(差圧)の方向(正負)に応じて、車両の走行状態、具体的には、この車両が加速しているか、減速しているか、或は、等速走行しているかを推定できる。この為、例えば車両が加速状態であれば、上記両接時間の長さを大きくし、上記両クラッチが同時に接続されている時間を確実に造り出せる様にする(トルク抜けを確実に防止できる様にする)。一方、上記車両が減速状態であれば、上記両接時間の長さを短くし、上記両クラッチが同時に接続されている時間が不必要に長くなる事を防止する。
又、上記状態量に、アクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量、操作量)を含ませる。そして、その時点でのアクセル開度に応じて、上記両接時間の長さを、その時点での最適な長さに調節する。この場合に、例えば上記通過トルク(及び後述する油温)に応じて調節された上記両接時間の長さを、上記アクセル開度の大きさに応じて補正する事により、この両接時間の長さを調節する。何れにしても、この調節は、例えば上記アクセル開度が中間(50%に近い値)である程、上記両接時間の長さを短くし、上記両クラッチが同時に接続されている時間が不必要に長くなる事を防止する。一方、上記アクセル開度が小さいか、又は、大きい(0%又は100%に近い値である)程、上記両接時間の長さを長くし、上記両クラッチが同時に接続されている時間を確実に造り出せる様にする(トルク抜けを確実に防止できる様にする)。
又、上記状態量に、油温を含ませる。そして、その時点での油温に応じて、上記両接時間の長さを、その時点での最適な長さに調節する。この場合に、例えば上記通過トルク(及び上記アクセル開度)に応じて調節された上記両接時間の長さを、上記油温に応じて補正する事により、この両接時間の長さを調節する。何れにしても、この調節は、例えば上記油温が高い程、上記両接時間の長さを短くし、上記両クラッチが同時に接続されている時間が不必要に長くなる事を防止する。又、上記油温が低い程、上記両接時間の長さを長くし、上記両クラッチが同時に接続されている時間を確実に造り出せる様にする(トルク抜けを確実に防止できる様にする)。
本発明の無段変速装置によれば、モード切換時に、一方のクラッチの接続が開始されてから他方のクラッチの接続を断ち始めるまでの時間である、両接時間(同時接続時間)の長さを、その時点での車両状況(車両状態、走行状態)に応じた最適な長さに調節できる。この為、油温により表される車両状態、更には加速、減速、等速等の車両の走行状態に拘わらず(何れの状態でも)、上記両接時間の長さが、短くなり過ぎたり(両方のクラッチが同時に接続される時間を造り出せなかったり)、不必要に長くなり過ぎる(モード切換後のモードに応じた変速制御を開始するまでの時間が遅れる)事を防止でき、円滑、且つ、迅速なモード切換を行なえる。この結果、例えばアクセルペダルを大きく踏み込んで(アクセル開度を大きくして)車両を急発進(急加速)させる場合や、走行中にキックダウンに基づき車両を急加速させる場合でも、運転者の意図する加速が得られなくなる(加速性能が低下する)事を防止できる。
、本発明の無段変速装置によれば、上記両接時間の長さを、最適、且つ、微細に調節できる。即ち、トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)の大きさ及び方向から車両の加減速状況(加速、減速、等速)とその程度が、アクセル開度から運転者の意思が、油温から応答時間(クラッチ装置が接続し切るまでに要する時間)が、それぞれ得られる。そして、この様に得られる車両状況に基づき、上記両接時間を調節すれば、この両接時間を最適、且つ、微細に調節できる。しかも、例えば上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)は、従来からこの通過トルクを検出する為に設置されている油圧センサにより求められる。即ち、上記通過トルクを、パワーローラを支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータの1対の油圧室にそれぞれ設けた、上記油圧センサにより、これら1対の油圧室同士の間の差圧として求める事ができる。この為、上記両接時間の長さの調節を行なう為に、別途新たにセンサ等を設ける等の必要がなく、装置が複雑になる事やコストが嵩む事を防止できる。尚、油温を検出する為の油温センサやアクセル開度を検出する為のアクセルセンサに就いても、同様である(従来から設置されているセンサを用いる事ができる)。
特に、無段変速装置として、入力軸を一方向に回転させたまま出力軸を停止させる、ギヤードニュートラル状態を実現できるモードを備えた構造を採用した場合には、低速モードと高速モードとの間のモード切換が低速で行なわれる。従って、発進と停止とを繰り返す度に、上記トロイダル型無段変速機の変速比がモード切換ポイントに達し易くなり、モード切換を円滑、且つ、迅速に行なう必要性が高くなる為、本発明の効果をより顕著に得られる。
図1〜8は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、それまで接続を断たれていた一方のクラッチ(高速用クラッチ8又は低速用クラッチ7)の接続が開始されてから、それまで接続されていた他方のクラッチ(低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8)の接続を断ち始めるまでの時間である、両接時間(同時接続時間)の長さを最適に調節する事により、低速モードと高速モードとの間のモード切換を、迅速、且つ、円滑に行なう点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9〜10に示した従来構造と同様であるから、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。尚、本例の場合は、無段変速装置全体としての速度比(増速比)とトロイダル型無段変速機の変速比(増速比)との関係を、図12に示す様に設定している。この様な設定は、例えば遊星歯車式変速機5等の減速比や伝達歯車の歯数比を規制する事により行なう。
本例の場合も、制御器(ECU)16の制御信号に基づいて上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換える事により、減速比を大きくする(ギヤードニュートラル状態を含む)低速モードと、減速比を小さくする高速モードとを実現する。この為に、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を、上記制御器16の制御信号に基づいて通電状態を制御される、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁34、35により、切換自在としている。即ち、これら低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁34、35は、ソレノイドへの通電に基づいてスプールをそれぞれ変位させるもので、このスプールの変位に基づき、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の油圧室内への圧油の導入状態を切り換える事により、これら低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換える。
例えば、上記低速用クラッチ7を接続すると共に上記高速用クラッチ8の接続を断つ場合(低速モードを実現する場合)には、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁34、35を非通電状態(OFF)にし、これら各電磁切換弁34、35のスプールを、ばねの弾力に基づいて図2の右方(各スプールを表す回路のうちの左半部の状態)に変位させる。この結果、上記低速用クラッチ7の油圧室に圧油が導入され、この低速用クラッチ7が接続されると共に、上記高速用クラッチ8の油圧室が油溜28に通じ、この高速用クラッチ8の接続が断たれる。
一方、上記低速用クラッチ7の接続を断つと共に上記高速クラッチ8を接続する場合(高速モードを実現する場合)には、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁34、35を通電状態(ON)にし、これら各電磁切換弁34、35のスプールを、ばねの弾力に抗して、図2の左方(各スプールを表す回路のうちの右半部の状態)に変位させる。この結果、上記低速用クラッチ7の油圧室が油溜28に通じ、この低速用クラッチ7の接続が断たれると共に、上記高速用クラッチ8の油圧室に圧油が導入され、この高速用クラッチ8が接続される。
又、本例の場合、前記制御器16に、低速モードと高速モードとのモード切換時に、上記低速用クラッチ7と上記高速用クラッチ8とのうちの一方のクラッチでそれまで接続されていなかったクラッチを接続してから、同じく他方のクラッチでそれまで接続されていたクラッチの接続を断つ機能を持たせている。即ち、低速モードから高速モードにモード切換する場合には、上記高速用クラッチ8を接続してから、上記低速用クラッチ7の接続を断つ様にすると共に、高速モードから低速モードにモード切換する場合には、上記低速用クラッチ7を接続してから、上記高速用クラッチ8の接続を断つ様にしている。そして、この様に低速用、高速用各クラッチ7、の断接を行なう事により、モード切換時にこれら両クラッチ7、が同時に接続される時間を設定している。
更に、本例の場合は、上述の様なモード切換時に、それまで接続を断たれていた一方のクラッチ(高速用クラッチ8又は低速用クラッチ7)の接続が開始されてから、それまで接続されていた他方のクラッチ(低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8)の接続を断ち始めるまでの時間である、両接時間(同時接続時間)の長さを、その時点での車両状況(車両状態、走行状態)を現す状態量に応じて調節する機能を、上記制御器16に持たせている。即ち、その時点での車両状況を表す状態量である、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)、アクセル開度、油温を検出し、上記両接時間を、その時点でのこれらトルク、アクセル開度、油温の値に応じた最適な長さに調節する。より具体的には、予め求めた、状態量(通過トルク、アクセル開度、油温)とこの状態量に対応する最適な両接時間との相関関係に応じて、その時点での状態量に応じた最適な両接時間を求める。尚、上記相関関係は、上記制御器16のメモリに、例えば後述する図5〜8に示す様なマップ(MAP)や式等として記憶させておく。そして、この様に求めた両接時間でモード切換(低速用、高速用両クラッチ7、8の断接)を行なうべく、上記制御器16により、上記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁34、35の通電状態を切り換える。
尚、上記車両状況を現す状態量のうちの通過トルクは、この通過トルクに対応する値である、パワーローラ12を支持する支持部材(トラニオン)を枢軸の軸方向に変位させる油圧式のアクチュエータ13に設けた1対の油圧室31a、31b同士の間の差圧から求める。この為に、これら各油圧室31a、31bにそれぞれ油圧センサ36(図2の36a、36b)を設け、これら各油圧センサ36a、36bの検出信号を、上記制御器16に入力している。又、上記状態量のうちのアクセル開度は、アクセルセンサ37により、同じく油温は、無段変速装置内の潤滑油(トラクションオイル)の油温を検出する為の油温センサ38により、それぞれ検出する(検出信号を制御器16に入力している)。そして、本例の場合は、最適な両接時間(同時接続時間)T[ms]を、図5〜8にそれぞれ示す、トルク(差圧量)MAP(図5)、トルク方向(差圧方向)MAP(図6)、アクセル開度MAP(図7)、油温MAP(図8)から得られる、トルク係数(差圧量係数)dp1_k と、トルク方向係数(差圧方向係数)dp2_k と、アクセル開度係数ACC_k と、油温係数OIL_k との和(T= dp1_k +dp2_k +ACC_k +OIL_k )として求める。
上記各MAPのうちのトルク(差圧量)MAP(図5)は、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク、伝達トルク)に応じた両接時間を設定する為のもので、このトルク(差圧)が大きい程、上記トルク係数(差圧量係数)dp1_k も大きく(長く)なり、同じく小さい程小さく(短く)なる。尚、図5の差圧量MAPで使用する差圧は絶対値である。又、上記トルク方向(差圧方向)MAP(図6)は、上記トルクの伝達方向、即ち、車両の加減速状態に応じた両接時間を設定する為のもので、加速状態であれば、上記トルク方向係数(差圧方向係数)dp2_k は大きく(長く)なり、同じく減速状態であれば最低値(図示の例では2)となる。又、上記アクセル開度MAP(図7)は、運転者の操作状況(運転状況)に応じた両接時間を設定する為のもので、アクセル開度が中間(50%)乃至はその近傍の場合に、上記アクセル開度係数ACC_k は最低値(図示の例では2)となり、同じく100%乃至は0%に近付く程大きく(長く)なる。又、上記油温MAP(図8)は、油温に応じて変化する油圧応答遅れ時間に対応した両接時間を設定する為のもので、この油温が低い程上記油温係数OIL_k は大きく(長く)なり、同じく高いほど小さく(短く)なる。
例えば、加速中に、低速モードから高速モードにモード切換を行なう場合で、前記油温センサ38により検出される油温が−50[℃]であり、前記アクセルセンサ37により検出されるアクセル開度が100[%]であり、前記各油圧センサ36a、36bにより検出される差圧が−500[kPa ](絶対値:500[kPa ])である場合(低温急加速中)を考える。この場合には、トルク(差圧量)MAP(図5)によりトルク係数dp1_k が10となり、トルク方向(差圧方向)MAPのうちの低速モード用MAP{図6(A)}によりトルク方向係数dp2_k が10となる。又、アクセル開度MAP(図7)によりアクセル開度係数ACC_k が10となり、油温MAP(図8)により油温係数OIL_k が10となる。そして、最適な両接時間Tは、これら各係数の和(10+10+10+10)、即ち、40[ms]となる。
又、例えば、加速中に、低速モードから高速モードにモード切換を行なう場合で、油温が60[℃]であり、アクセル開度が50[%]であり、差圧が−250[kPa ](絶対値:250[kPa ])である場合(常温加速中)には、トルク係数dp1_k が5となり、トルク方向係数dp2_k が10となり、アクセル開度係数ACC_k が2となり、油温係数OIL_k が3となり、上記最適な両接時間T(=5+10+2+3)は20[ms]となる。又、例えば、減速中に、高速モードから低速モードにモード切換を行なう場合で、油温が100[℃]であり、アクセル開度が0[%](全閉)であり、差圧が−100[kPa ](絶対値:100[kPa ])である場合(高温減速中)には、トルク係数dp1_k が2となり、トルク方向係数dp2_k が2となり、アクセル開度係数ACC_k が10となり、油温係数OIL_k が2となり、上記最適な両接時間T(=2+2+10+2)は16[ms]となる。何れの場合にも、上述の様に求めた最適な両接時間を実現できる様に、上記制御器16により、前記低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁34、35の通電状態を切り換えて、前記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を切り換える。
この様なモード切換制御を行なう為に、上記制御器16が備える機能に就いて、図3、4のフローチャートを参照しつつ説明する。尚、このフローチャートに示した作業は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、又は、少なくともトロイダル型無段変速機4の変速比がモード切換を行なう値(例えばモード切換ポイント)近傍で運転されている間、繰り返し(自動的に)行なわれる。
先ず、上記制御器16は、ステップ1で、モード切換を行なう条件が成立しているか否かを判定する。この判定は、例えばトロイダル型無段変速機4の変速比が所定値(例えばモード切換ポイント、最大減速比=0.46)であるか否かを、入力側、出力側両回転センサ39、40により検出される入力側、出力側各ディスク10、11の回転速度の比に基づいて、或いは、予め求めたステッピングモータ17のステップ位置と変速比との相関関係に基づいて、判定する。この様なステップ1で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定の値ではないと判定された場合には、モード切換を行なわずに終了する(開始に戻る)。
一方、上記ステップ1で、上記トロイダル型無段変速機4の変速比が所定値であり、モード切換を行なう条件が成立していると判定された場合には、続くステップ2に示す様に、両接時間(同時接続時間)の設定(モード切換時間の取り込み)を行なう。この設定は、図4に示すフローチャートに沿って行なう。即ち、先ず、この図4のステップ1とステップ2とで、車両が現在前進走行中であるか否かの判定を行なう。具体的には、ステップ1で、シフトレバー(セレクトレバー)の操作位置が、Dレンジ(通常走行位置)又はLレンジ(高駆動力走行位置)であるか否かを判定する。この判定は、例えば上記シフトレバーの操作位置を検出する為のポジションスイッチ41の信号に基づいて判定する。又、ステップ2で、車両が走行中(車速>1[km ])か否かを判定する。この判定は、例えば車両の走行速度を検出する為の回転センサの検出信号に基づいて行なう。そして、これらステップ1並びにステップ2で、シフトレバーの操作位置がD、Lレンジでない、即ち、Pレンジ(駐車位置)、Nレンジ(ニュートラル位置)、或は、Rレンジ(後退位置)である、又は、車両が走行中でない、即ち、車両が停止乃至は後退していると判定された場合には、図4のステップ3に進み、両接時間の設定を行なわず終了する{前回(直近)の値を保持する}。車両が停止乃至は後退している場合には、モード切換を行なう必要がなく、現時点で両接時間を設定する必要がない{前回(直近)の値を保持すれば良い}為である。
一方、図4のステップ1並びにステップ2で、上記車両が前進走行中であると判定された場合には、この図4のステップ4に進む。このステップ4では、トルク係数(差圧量係数)dp1_k を求める。即ち、その時点(現在)でトロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク、伝達トルク)に対応する差圧を、前記各油圧センサ36a、36bにより検出し、この検出された差圧量(の絶対値)に応じた上記トルク係数(差圧量係数)dp1_k を、図5のトルク(差圧量)MAPから求める。次いで、ステップ5に進み、トルク方向係数(差圧方向係数)dp2_k を求める。即ち、その時点(現在)の上記通過トルクの方向に対応する差圧の正負を、上記各油圧センサ36a、36bにより検出し、この検出された差圧の正負に応じた上記トルク方向係数(差圧方向係数)dp2_k を、図6のトルク方向(差圧方向)MAPから求める。次いで、ステップ6に進み、アクセル開度係数ACC_k を求める。即ち、その時点(現在)のアクセル開度を、前記アクセルセンサ37により検出し、この検出されたアクセル開度に応じた上記アクセル開度係数ACC_k を、図7のアクセル開度MAPから求める。更に、ステップ7に進み、油温係数OIL_k を求める。即ち、その時点(現在)の油温を、前記油温センサ38により検出し、この検出された油温に応じた上記油温係数OIL_k を、図8の油温MAPから求める。
上述の様にステップ4〜7で、トルク係数(差圧量係数)dp1_k 、トルク方向係数(差圧方向係数)dp2_k 、アクセル開度係数ACC_k 、油温係数OIL_k を求めたならば、続くステップ8で、両接時間(モード切換時間)を算出する。この算出は、これら各係数dp1_k 、dp2_k 、ACC_k 、OIL_k の和T(= dp1_k +dp2_k +ACC_k +OIL_k )を求める事により行なう。そして、この様に和Tを求めたならば、図4の「終了」を介して図3のステップ2に戻る。そして、このステップ2で、上記和Tを両接時間Mode_Time として設定し、続く図3のステップ3に進む。このステップ3では、現在の走行モードの判定(現在低速モードか否かの判定)を行なう。この判定は、低速クラッチ用、高速クラッチ用各電磁切換弁34、35の現在の作動状態(通電状態)に基づいて判定する。上記ステップ3で、現在の走行モードが低速モードである(現在低速クラッチ用電磁切換弁34の通電状態がOFFであり、現在低速用クラッチ7に圧油が導入されている)と判定された場合には、ステップ4に進み、高速用クラッチ8を接続させるべく、上記高速クラッチ用電磁切換弁35を切り換える(通電状態をONにする)。
次いで、ステップ5に示す様に、上記高速用クラッチ8の接続を開始してから(高速クラッチ用電磁切換弁35の通電状態をONしてから)の経過時間tが、前記ステップ2で設定した両接時間Mode_Time を超えた(t>Mode_Time )か否かを判定する。このステップ5で、この経過時間tが両接時間Mode_Time を超えていない、即ち、この経過時間tが両接時間Mode_Time 以下である(t≦Mode_Time )と判定された場合には、上記ステップ4に戻る。一方、この経過時間tが両接時間Mode_Time を超えた(t>Mode_Time )と判定された場合には、ステップ6に進み、前記低速用クラッチ7の接続を断つべく、前記低速クラッチ用電磁切換弁34を切り換える(通電状態をONにする)。そして、この低速クラッチ用電磁切換弁34の切換開始と共に、高速モードに応じた変速制御を開始する(図3の終了を介してこの図3の開始に戻る)。
一方、上記図3のステップ3で、現在の走行モードが高速モードである(現在高速クラッチ用電磁切換弁35の通電状態がONである、現在高速用クラッチ8に圧油が導入されている)と判定された場合には、ステップ7に進み、低速用クラッチ7を接続させるべく、上記低速クラッチ用電磁切換弁34を切り換える(通電状態をOFFにする)。そして、ステップ8で、前述のステップ5と同様に、上記低速用クラッチ7の接続を開始してから(低速クラッチ用電磁切換弁34の通電状態をOFFしてから)の経過時間tが、前記ステップ2で設定した両接時間Mode_Time を超えた(t>Mode_Time )か否かを判定する。そして、上記ステップ8で、この経過時間tが両接時間Mode_Time を超えた(t>Mode_Time )と判定された場合に、ステップ9に進み、上記高速用クラッチ8の接続を断つべく、上記高速クラッチ用電磁切換弁35を切り換える(通電状態をOFFにする)。そして、この高速クラッチ用電磁切換弁35の切換開始と共に、低速モードに応じた変速制御を開始する(図3の終了を介してこの図3の開始に戻る)。
上述の様な本例の場合には、モード切換時に、一方のクラッチ(高速用クラッチ8又は低速用クラッチ7)の接続が開始されてから他方のクラッチ(低速用クラッチ7又は高速用クラッチ8)の接続を断ち始めるまでの時間である、両接時間(同時接続時間)の長さを、その時点での車両状況(車両状態、走行状態)に応じた最適な長さに調節できる。この為、例えば油温等の車両状態、更には加速、減速、等速等の車両の走行状態に拘わらず(何れの状態でも)、上記両接時間の長さが、短くなり過ぎたり(両クラッチ7、8が同時に接続される時間を造り出せなかったり)、不必要に長くなり過ぎる(モード切換後のモードに応じた変速制御を開始するまでの時間が遅れる)事を防止でき、円滑、且つ、迅速なモード切換を行なえる。この結果、例えばアクセルペダルを大きく踏み込んで(アクセル開度を大きくして)車両を急発進(急加速)させる場合や、走行中にキックダウンに基づき車両を急加速させる場合でも、運転者の意図する加速が得られなくなる(加速性能が低下する)事を防止できる。
しかも、本例の場合には、車両状況を、トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク、伝達トルク)の大きさ、その方向、アクセル開度、油温から判定する為、上記両接時間の長さを、最適、且つ、微細に調節できる。即ち、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)の大きさ並びに方向から車両の加減速状況(加速、減速、等速)とその程度が、アクセル開度から運転者の意思が、油温から応答時間(クラッチ装置が接続仕切るまでに要する時間)が、それぞれ得られる。そして、この様に得られる車両状況に基づき、上記両接時間を調節する為、この両接時間を最適、且つ、微細に調節できる。しかも、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)の検出は、従来からこの通過トルクを検出する為に設置されている油圧センサ36(36a、36b)により求める。この為、上記両接時間の長さの調節を行なう為に、別途新たにセンサを設ける等の必要がなく、装置が複雑になる事やコストが嵩む事を防止できる。尚、油温を検出する為の油温センサ38やアクセル開度を検出する為のアクセルセンサ37に就いても同様である(従来から設置されているセンサを用いる事ができる)。
又、本例の場合は、制御器16により制御される低速クラッチ用、高速用クラッチ用各電磁切換弁34、35の切換に基づき、低速用クラッチ7及び高速用クラッチ8の断接状態を、それぞれ独立して切換自在としている。この様に低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態を独立して切り換える構造としては、上記低速クラッチ用、高速用クラッチ用各電磁切換弁34、35により上記低速用、高速用各クラッチ7、8の各油圧室に送り込む油圧を制御する他、電磁比例弁や、モータ等のアクチュエータにより制御する事もできる。又、上記低速用、高速用各クラッチの断接を直接モータ等のアクチュエータや切換弁により制御する事もできる。要は、上記低速用、高速用各クラッチ7、8の断接状態をそれぞれ独立して切り換える事ができれば、何れの構造も採用可能である。又、前述の様に本例の場合は、低速モードを実現する際に低速クラッチ用、高速クラッチ用電磁切換弁34、35を非通電状態(OFF)にする。この為、何らかの故障でこれら各電磁弁34、35に通電を行なえなくなった場合でも、低速モードでの走行を確保でき、フェールセーフ化(故障時の安全性能の向上)を図れる。
以上の説明は、本発明を、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせると共に、入力軸を一方向に回転させたまま出力軸の回転状態を停止させる、所謂ギヤードニュートラル(GN)状態を挟んで、この出力軸の回転状態を正転、逆転に切り換えられるモード(低速モード)を備えた無段変速装置に適用した場合に就いて説明した。但し、本発明は、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせると共に、トロイダル型無段変速機のみで動力を伝達するモード(低速モード)と、差動ユニットである遊星歯車式変速機により主動力を伝達し、上記トロイダル型無段変速機により変速比の調節を行なう、所謂パワースプリット状態を実現するモード(高速モード)とを備えた無段変速装置に適用する事もできる。又、自動車用の自動変速機としてだけでなく、各種産業用の変速機としても利用できる。又、トロイダル型無段変速機の構造に関しては、ハーフトロイダル型、フルトロイダル型の何れでも良い。
本発明の実施の形態の1例を示す、無段変速装置のブロック図。 この無段変速装置に組み込む油圧回路図。 本例の特徴となる動作を示すフローチャート。 両接時間の設定作業を示すフローチャート。 差圧と最適な両接時間(差圧係数)との相関関係を表すマップ。 差圧の方向と最適な両接時間(差圧方向係数)との相関関係を表すマップ。 アクセル開度と最適な両接時間(アクセル開度係数)との相関関係を表すマップ。 油温と最適な両接時間(油温係数)との相関関係を表すマップ。 従来の無段変速装置のブロック図。 この無段変速装置に組み込む油圧回路図。 無段変速装置全体としての速度比とトロイダル型無段変速機の変速比との相関関係の1例を示す線図。 同別例を示す線図。
符号の説明
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 遊星歯車式変速機
6 クラッチ装置
7 低速用クラッチ
8 高速用クラッチ
9 出力軸
10 入力側ディスク
11 出力側ディスク
12 パワーローラ
13 アクチュエータ
14 押圧装置
15 変速比制御ユニット
16 制御器
17 ステッピングモータ
18 ライン圧制御用電磁開閉弁
19 電磁弁
20 シフト用電磁弁
21 制御弁装置
22 変速比制御弁
23 補正シリンダ
24a、24b 補正用制御弁
25 高速クラッチ用切換弁
26 低速クラッチ用切換弁
27、27a、27b オイルポンプ
28 油溜
29 押圧力調整弁
30 低圧側調整弁
31a、31b 油圧室
32 手動油圧切換弁
33 減圧弁
34 低速クラッチ用電磁切換弁
35 高速クラッチ用電磁切換弁
36、36a、36b 油圧センサ
37 アクセルセンサ
38 油温センサ
39 入力側回転センサ
40 出力側回転センサ
41 ポジションスイッチ

Claims (1)

  1. トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、このクラッチ装置は、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチと、これら各クラッチの断接状態を切り換える制御器とから成り、この制御器は、これら各クラッチの断接を制御する事により、変速状態を上記低速モードと上記高速モードとのうちの何れかのモードにするものであり、上記制御器に、上記低速モードと上記高速モードとの間のモード切換時に、上記低速用クラッチと上記高速用クラッチとのうちのそれまで接続を断たれていた一方のクラッチを接続してから、同じくそれまで接続されていた他方のクラッチの接続を断つ機能を持たせる事により、これら両クラッチが同時に接続されている時間を設定した無段変速装置に於いて、上記制御器は、上記一方のクラッチの接続が開始されてから上記他方のクラッチの接続を断ち始めるまでの時間である、両接時間の長さを、それぞれがその時点での車両状況を表す状態量である、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクの大きさ及び方向と、アクセル開度と、油温とに応じて調節する機能を備えたものである事を特徴とする無段変速装置。
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