JP4556427B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両(自動車)用自動変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを複数のクラッチを介して組み合わせた無段変速装置の改良に関する。具体的には、これら各クラッチの断接を制御する為の油圧系統或は電気系統に欠陥が発生した場合に、車両を発進させられなくなったり、或は運転者が意図しない方向に発進する事を確実に防止できる構造を実現するものである。
自動車用自動変速装置として、図4〜6に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部の両端部に出力側ディスク5、5を、それぞれスプライン係合させている。従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6は、それぞれトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図4、6の上下方向、図5の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸9、9を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を傾斜させる動作は、油圧式のアクチュエータ10、10により、これら各トラニオン7、7を上記枢軸9、9の軸方向に変位させる事で行なうが、総てのトラニオン7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
即ち、前記入力軸1と出力歯車4との間の変速比を変えるべく、上記各トラニオン7、7の傾斜角度を変える場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を、それぞれ逆方向(上記各ディスク2、5の回転方向に関して同方向)に、例えば、図6の右側のパワーローラ6を同図の下側に、同図の左側のパワーローラ6を同図の上側に、それぞれ変位させる。この結果、これら各パワーローラ6、6の周面と上記各入力側ディスク2、2及び各出力側ディスク5、5の内側面との当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化(当接部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン7、7が、支持板11、11に枢支された枢軸9、9を中心として、互いに逆方向に揺動(傾斜)する。この結果、上記各パワーローラ6、6の周面と上記入力側、出力側各ディスク2、5の内側面との当接位置が変化し、上記入力軸1と出力歯車4との間の回転変速比が変化する。
上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排状態は、これら各アクチュエータ10、10の数に関係なく1個の変速比制御弁12により行ない、何れか1個のトラニオン7の動きをこの変速比制御弁12にフィードバックする様にしている。この変速比制御弁12は、ステッピングモータ13により軸方向(図4の表裏方向、図6の左右方向)に変位させられるスリーブ14と、このスリーブ14の内径側に軸方向の変位自在に嵌装されたスプール15とを有する。又、上記各トラニオン7、7と上記各アクチュエータ10、10のピストン16、16とを連結するロッド17、17のうち、何れか1個のトラニオン7に付属のロッド17の端部にプリセスカム18を固定しており、このプリセスカム18とリンク腕19とを介して、上記ロッド17の動き、即ち、軸方向の変位量と回転方向との変位量との合成値を上記スプール15に伝達する、フィードバック機構を構成している。又、上記各トラニオン7、7同士の間には同期ケーブル20を掛け渡して、油圧系の故障時にも、これら各トラニオン7、7の傾斜角度を、機械的に同期させられる様にしている。
変速状態を切り換える際には、上記ステッピングモータ13により上記スリーブ14を、得ようとする変速比に見合う所定位置にまで変位させて、上記変速比制御弁12の所定方向の流路を開く。この結果、上記各アクチュエータ10、10に圧油が、所定方向に送り込まれて、これら各アクチュエータ10、10が上記各トラニオン7、7を所定方向に変位させる。即ち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン7、7が、前記各枢軸9、9の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸9、9を中心に揺動する。そして、上記何れか1個のトラニオン7の動き(軸方向及び揺動変位)が、上記ロッド17の端部に固定したプリセスカム18のカム面21とリンク腕19とを介して上記スプール15に伝達され、このスプール15を軸方向に変位させる。この結果、上記トラニオン7が所定量変位した状態で、上記変速比制御弁12の流路が閉じられ、上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排が停止される。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸22により一方(図4、5の左方)の入力側ディスク2を、図示の様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置23を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
上記入力軸1と出力歯車4との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を上記各枢軸9、9の軸方向に移動させ、これら各トラニオン7、7を図5に示す位置に揺動させる。そして、上記各パワーローラ6、6の周面をこの図5に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図5と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面を、この図5に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の変速比(速度比)を得られる。
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の自動変速機に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から各種提案されている。図7は、この様な従来から提案されている無段変速装置のうち、特許文献1に記載されたものを示している。この無段変速装置は、所謂ギヤード・ニュートラルと呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられるもので、トロイダル型無段変速機24と遊星歯車式変速機25とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機24は、入力軸1と、1対の入力側ディスク2、2と、出力側ディスク5aと、複数のパワーローラ6、6とを備える。図示の例では、この出力側ディスク5aは、1対の出力側ディスクの外側面同士を突き合わせて一体とした如き構造を有する。
又、上記遊星歯車式変速機25は、上記入力軸1及び一方(図7の右方)の入力側ディスク2に結合固定されたキャリア26を備える。このキャリア26の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車素子27a、27bを固設した第一の伝達軸28を、回転自在に支持している。又、上記キャリア26を挟んで上記入力軸1と反対側に、その両端部に太陽歯車29a、29bを固設した第二の伝達軸30を、上記入力軸1と同心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯車素子27a、27bと、上記出力側ディスク5aにその基端部(図7の左端部)を結合した中空回転軸31の先端部(図7の右端部)に固設した太陽歯車32又は上記第二の伝達軸30の一端部(図7の左端部)に固設した太陽歯車29aとを、それぞれ噛合させている。又、一方(図7の左方)の遊星歯車素子27aを、別の遊星歯車素子33を介して、上記キャリア26の周囲に回転自在に設けたリング歯車34に噛合させている。
一方、上記第二の伝達軸30の他端部(図7の右端部)に固設した太陽歯車29bの周囲に設けた第二のキャリア35に遊星歯車素子36a、36bを、回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア35は、上記入力軸1及び第二の伝達軸30と同心に配置された、出力軸37の基端部(図7の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車素子36a、36bは、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車素子36aが上記太陽歯車29bに、他方の遊星歯車素子36bが、上記第二のキャリア35の周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車38に、それぞれ噛合している。又、上記リング歯車34と上記第二のキャリア35とを低速用クラッチ39により係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯車38とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ40により係脱自在としている。
上述の様な、図7に示した無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ39を接続すると共に上記高速用クラッチ40の接続を断った、所謂低速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記リング歯車34を介して上記出力軸37に伝えられる。そして、前記トロイダル型無段変速機24の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、即ち、上記入力軸1と上記出力軸37との間の変速比が変化する。この様な低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速機24の変速比を調節する事により、上記入力軸1を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸37の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
これに対して、上記低速用クラッチ39の接続を断ち、上記高速用クラッチ40を接続した、所謂高速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記第一、第二の伝達軸28、30を介して上記出力軸37に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機24の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。この場合には、上記トロイダル型無段変速機24の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての変速比が大きくなる。
又、特許文献2には、図8に示す様な無段変速装置が記載されている。この無段変速装置は、所謂パワー・スプリット型と呼ばれるもので、トロイダル型無段変速機24aと遊星歯車式変速機25aとを組み合わせて成る。そして、低速モード状態では、動力を上記トロイダル型無段変速機24aのみで伝達し、高速モード状態では動力を、主として上記遊星歯車式変速機25aにより伝達すると共に、この遊星歯車式変速機25aによる変速比を、上記トロイダル型無段変速機24aの変速比を変える事により調節する。
この為に、上記トロイダル型無段変速機24aの中心部を貫通し、両端部に1対の入力側ディスク2、2を支持した入力軸1の先端部(図8の右端部)と、上記遊星歯車式変速機25aを構成するリング歯車41とを、高速用クラッチ40aを介して結合している。又、駆動源であるエンジン42のクランクシャフト43の出力側端部(図8の右端部)と上記入力軸1の入力側端部(=基端部=図8の左端部)との間に、発進クラッチ44と油圧式の押圧装置23aとを、動力の伝達方向に関して互いに直列に設けている。この押圧装置23aは、シリンダ45内に上記基端側の入力側ディスク2を油密に、且つ回転力の伝達を自在に嵌装する事により構成している。
又、上記入力軸1の回転に基づく動力を取り出す為の出力軸37aを、この入力軸1と同心に配置している。そして、この出力軸37aの周囲に上記遊星歯車式変速機25aを設けている。この遊星歯車式変速機25aを構成する太陽歯車46は、上記出力軸37aの入力側端部(図8の左端部)に固定している。従ってこの出力軸37aは、上記太陽歯車46の回転に伴って回転する。この太陽歯車46の周囲には上記リング歯車41を、上記太陽歯車46と同心に、且つ回転自在に支持している。そして、このリング歯車41の内周面と上記太陽歯車46の外周面との間に複数組の遊星歯車素子47a、47bを設けている。これら各組の遊星歯車素子47a、47bは、互いに噛合すると共に、外径側に配置した遊星歯車素子47aを上記リング歯車41に噛合させ、内径側に配置した遊星歯車素子47bを上記太陽歯車46に噛合させている。この様な各遊星歯車素子47a、47bは、キャリア48に回転自在に支持している。又、このキャリア48は、上記出力軸37aの中間部に、回転自在に支持している。
又、上記キャリア48と前記トロイダル型無段変速機24aを構成する1対の出力側ディスク5、5とを、第一の動力伝達機構49により、回転力の伝達を可能な状態に接続している。この第一の動力伝達機構49は、伝達軸50の両端部と、上記各出力側ディスク5、5又は上記キャリア48とを、チェン伝達機構又は歯車伝達機構により結合して成る。そして、上記各出力側ディスク5、5の回転に伴って上記キャリア48を、これら出力側ディスク5、5と反対方向に、上記チェン伝達機構及び歯車伝達機構の変速比に応じた速度で回転させる。一方、上記入力軸1と上記リング歯車41とは、この入力軸1と同心に配置された別の伝達軸51及び前記高速用クラッチ40aを介して、回転力の伝達を可能な状態に接続自在としている。即ち、上記伝達軸51は、上記高速用クラッチ40aの接続時に、上記入力軸1と同方向に同速で回転する。
又、上記キャリア48の外周縁部と上記リング歯車41の軸方向一端部(図8の右端部)との間に、低速用クラッチ39aを設けている。更に、上記リング歯車41と、無段変速装置のハウジング(図示省略)等、固定の部分との間に、後退用クラッチ52を設けている。
上述の様に構成する無段変速装置は、先ず、低速モード状態では、上記低速用クラッチ39aを接続すると共に、上記高速用クラッチ40a及び後退用クラッチ52の接続を断つ。この状態で前記発進クラッチ44を接続し、前記入力軸1を回転させると、トロイダル型無段変速機24aのみが、この入力軸1から上記出力軸37aに動力を伝達する。この様な低速走行時には、それぞれ1対ずつの入力側ディスク2、2と出力側ディスク5、5との間の変速比を、前述の図4〜6に示したトロイダル型無段変速機単独の場合と同様にして調節する。
これに対して、高速モード状態では、上記高速用クラッチ40aを接続すると共に、上記低速用クラッチ39a及び後退用クラッチ52の接続を断つ。この状態で上記入力軸1を回転させると、この入力軸1から上記出力軸37aには、前記伝達軸51と前記遊星歯車式変速機25aとが、動力を伝達する。即ち、上記高速走行時に上記入力軸1が回転すると、この回転は上記高速用クラッチ40a及び伝達軸51を介してリング歯車41に伝わる。そして、このリング歯車41の回転が複数組の遊星歯車素子47a、47bを介して太陽歯車46に伝わり、この太陽歯車46を固定した上記出力軸37aを回転させる。この状態で、上記トロイダル型無段変速機24aの変速比を変える事により上記各遊星歯車素子47a、47bの公転速度を変化させれば、上記無段変速装置全体としての変速比を調節できる。
即ち、上記高速モード状態では、上記各遊星歯車素子47a、47bの公転速度が遅い程、上記太陽歯車46を固定した出力軸37aの回転速度が速くなる。従って、上記高速モード状態では、前記トロイダル型無段変速機24aの変速比を減速側に変化させる程、無段変速装置全体の変速比は増速側に変化する。この様な高速走行時の状態では、前記エンジン42から前記入力軸1に伝達されたトルクは、前記伝達軸51を介して前記遊星歯車式変速機25aのリング歯車41に伝達される。従って、上記入力軸1の側から上記トロイダル型無段変速機24aを構成する各入力側ディスク2、2に伝達されるトルクは殆どなくなる。
一方、上記伝達軸51を介して上記リング歯車41に伝達されたトルクの一部は、上記各遊星歯車素子47a、47bから、キャリア48及び前記第一の動力伝達機構49を介して前記各出力側ディスク5、5に伝わる。この様に出力側ディスク5、5から上記トロイダル型無段変速機24aに加わるトルクは、無段変速装置全体の変速比を増速側に変化させるべく、トロイダル型無段変速機24aの変速比を減速側に変化させる程小さくなる。この結果、高速走行時に上記トロイダル型無段変速機24aに入力されるトルクを小さくして、無段変速装置全体としての伝達効率を向上させると共に、上記トロイダル型無段変速機24aの構成部品の耐久性向上を図れる。
更に、自動車を後退させるべく、前記出力軸37aを逆回転させる際には、前記低速用、高速用両クラッチ39a、40aの接続を断つと共に、前記後退用クラッチ52を接続する。この結果、上記リング歯車41が固定され、上記各遊星歯車素子47a、47bが、このリング歯車41並びに前記太陽歯車46と噛合しつつ、この太陽歯車46の周囲を公転する。そして、この太陽歯車46並びにこの太陽歯車46を固定した出力軸37aが、前述した低速走行時並びに上述した高速走行時とは逆方向に回転する。
トロイダル型無段変速機24、24aと遊星歯車式変速機25、25aとをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、低速モードと高速モードとを有する無段変速装置の場合、前述したギヤード・ニュートラル型にしても、上述したパワー・スプリット型にしても、低速モードと高速モードとの切換時に、上記トロイダル型無段変速機24、24aを通過するトルクの大きさ並びに方向が急激に変動する。このトロイダル型無段変速機24、24aは、通過するトルク(通過トルク)の大きさに応じて構成各部材が、このトルクの方向に応じた方向に、変位若しくは弾性変形する。そして、この変位若しくは弾性変形に応じて、上記トロイダル型無段変速機24、24aの変速比が変化する、所謂トルクシフトが発生する。
従って、何らの対策も施さない場合には、上記無段変速装置のモード切換時に、上記トルクシフトにより、無段変速装置全体としての変速比が急変動する。この様な変速比の急変動が発生すると、変速ショックが発生し、運転者を初めとする乗員に不快感を与える他、動力の伝達系部品の耐久性を損なう原因となる為、好ましくない。これに対して、モード切換時に於ける変速比の急変動を防止する技術が、特許文献3〜7に記載されて、従来から知られている。
又、特願2003−365850号には、低速モードと高速モードとの切換時に急な変速比の変動が生じる状態を確実に防止でき、しかも故障しにくい構造を、低コストで実現できる発明が開示されている。この先発明に係る無段変速装置の場合には、図9に示す様な油圧回路により、低速用クラッチ39と高速用クラッチ40との断接を制御する様に構成している。具体的には、上記低速モードと高速モードとの切換の際に上記低速用クラッチ39と上記高速用クラッチ40との双方のクラッチを、(半クラッチ状態ではなく)完全につないでいる時間を短時間だけ設定している。
上記低速用クラッチ39は低速クラッチ用油圧室61内への油圧の導入に基づいて、上記高速用クラッチ40は高速クラッチ用油圧室62内への油圧の導入に基づいて、それぞれ接続される湿式多板式のものである。そして、油溜63(無段変速装置の底部に設けたオイルパン)から吸引され、加圧ポンプ64から吐出され、手動切換弁65を通過してから減圧弁66により所定圧に調整された圧油に基づく油圧を、上記低速クラッチ用油圧室61と高速クラッチ用油圧室62との一方又は双方に導入する様にしている。
先ず、上記低速クラッチ用油圧室61内への油圧の導入状態は、低速クラッチ用切換弁67により切り換える。この低速クラッチ用切換弁67は、低速クラッチ用スプール68の軸方向変位に伴って、上記低速クラッチ用油圧室61を、上記油溜63と上記減圧弁66の吐出ポートとの何れかに通じさせるものである。そして、上記低速クラッチ用スプール68を軸方向に変位させる為、この低速クラッチ用スプール68の軸方向一端(図9の右端)側に低速クラッチ用圧縮コイルばね69を、軸方向他端(図9の左端)側に低速クラッチ用パイロット室70を、それぞれ設けている。
この様な低速クラッチ用切換弁67は、上記低速クラッチ用パイロット室70内への油圧の導入を停止(油溜63に開放)した状態では、上記低速クラッチ用スプール68が上記低速クラッチ用圧縮コイルばね69の弾力に基づいて図9に示した状態に変位し、上記低速クラッチ用油圧室61内に油圧を導入する。この状態で、前記低速用クラッチ39は接続状態となる。これに対して、上記低速クラッチ用パイロット室70内に油圧を導入した状態では、上記低速クラッチ用スプール68が上記低速クラッチ用圧縮コイルばね69の弾力に抗して図9に示した状態とは逆側に変位し、上記低速クラッチ用油圧室61を前記油溜63に通じさせる。この状態で、上記低速用クラッチ39は非接続状態となる。
又、前記高速クラッチ用油圧室62内への油圧の導入状態は、高速クラッチ用切換弁71により切り換える。この高速クラッチ用切換弁71は、高速クラッチ用スプール72の軸方向変位に伴って、上記高速クラッチ用油圧室62を、上記油溜63と上記減圧弁66の吐出ポートとの何れかに通じさせるものである。そして、上記高速クラッチ用スプール72を軸方向に変位させる為、この高速クラッチ用スプール72の軸方向一端(図9の左端)側に高速クラッチ用圧縮コイルばね73を、軸方向他端(図9の右端)側に高速クラッチ用パイロット室74を、それぞれ設けている。
この様な高速クラッチ用切換弁71は、上記高速クラッチ用パイロット室74内への油圧の導入を停止した状態では、上記高速クラッチ用スプール72が上記高速クラッチ用圧縮コイルばね73の弾力に基づいて図9に示した状態とは逆側に変位し、上記高速クラッチ用油圧室62内に油圧を導入する。この状態で、前記高速用クラッチ40は接続状態となる。これに対して、上記高速クラッチ用パイロット室74内に油圧を導入した状態では、上記高速クラッチ用スプール72が上記高速クラッチ用圧縮コイルばね73の弾力に抗して図9に示した状態に変位し、上記高速クラッチ用油圧室62を前記油溜63に通じさせる。この状態で、上記高速用クラッチ40は非接続状態となる。
又、前記低速クラッチ用切換弁67の低速クラッチ用パイロット室70と、上記高速クラッチ用切換弁71の高速クラッチ用パイロット室74とへの油圧の導入状態は、油圧式切換弁であるシフト用切換弁75により制御する様にしている。このシフト用切換弁75は、切換用スプール76の軸方向変位に伴って、上記低速クラッチ用パイロット室70と上記高速クラッチ用パイロット室74とのうちの何れか一方に油圧を導入すると同時に、他方を上記油溜63に通じさせる。上記切換用スプール76を軸方向に変位させる為に、この切換用スプール76の一端(図9の左端)側に切換用パイロット室77を、他端側に弾性部材である切換用圧縮コイルばね78を、それぞれ設けている。この様なシフト用切換弁75は、上記切換用パイロット室77に圧油を導入すると、図9に示した状態に切り換わり、上記低速クラッチ用パイロット室70を前記油溜63に通じさせると同時に、上記高速クラッチ用パイロット室74に、上記低速クラッチ用切換弁67から前記低速クラッチ用油圧室61に送られる油圧を導入する。これに対して、上記切換用パイロット室77に圧油を導入しない状態では、図9に示した状態とは逆側に切り換わり、上記高速クラッチ用パイロット室74を上記油溜63に通じさせると同時に、上記低速クラッチ用パイロット室70に、上記高速クラッチ用切換弁71から前記高速クラッチ用油圧室62に送られる油圧を導入する。
更に、上記切換用パイロット室77への油圧の導入状態は、電磁弁である電磁切換弁79により制御している。この電磁切換弁79は、ソレノイドへの通電に基づいてスプールを変位させ、上記切換用パイロット室77を油圧源である第二の加圧ポンプ80の吐出口に通じさせる状態と、上記油溜63に通じさせる状態とに切り換える。即ち、上記電磁切換弁79は、上記ソレノイドへの非通電時には上記スプールを、ばねの弾力に基づいて図9に示した状態に変位させ、上記第二の加圧ポンプ80の吐出口から吐出された圧油に基づく油圧を、上記切換用パイロット室77に導入する。これに対して、上記ソレノイドへの通電時には、上記スプールを上記ばねの弾力に抗して図9に示した状態とは逆側に変位させ、上記切換用パイロット室77を上記油溜63に通じさせる。
先発明に係る無段変速装置の場合、上述の様な油圧回路により、低速モードと高速モードとの切換時に、前記低速用クラッチ39と前記高速用クラッチ40との両方のクラッチが接続されている瞬間を造り出し、モード切換の際にトロイダル型無段変速機24に発生するトルクシフトを緩和する様にしている。
又、図9に示した油圧回路の構造の場合には、制御器が1個の電磁切換弁79だけを切り換えれば、後は、何れも油圧式の弁である、シフト用切換弁75、低速クラッチ用切換弁67、高速クラッチ用切換弁71の切換の遅延時間に基づき、上記両方のクラッチが接続されている時間を、短時間造り出せる。この為、制御が容易で故障しにくい構造を、低コストで実現できる。
又、図9に示した油圧回路は、上記低速モードの状態のうちで、無段変速装置の変速比が無限大に近い場合に、前記トロイダル型無段変速機24を通過するトルクを厳密に制御する為の機能と、前記各加圧ポンプ64、80の駆動に要する動力を低く抑える機能(何れも、特願2003−56681号に係る発明の機能)とを備えている。
これら両機能のうち、トルクを厳密に制御する為の機能を備える為に、図9に示した油圧回路では、変速比制御弁12のスリーブ14を、ステッピングモータ13により駆動するのに加えて、油圧式の差圧シリンダ81によっても駆動する様にしている。即ち、上記スリーブ14に基端部を結合したロッド82の先端部をリンク腕83の中間部に枢支すると共に、このリンク腕83の両端部に形成した長孔に、上記ステッピングモータ13或は上記差圧シリンダ81により押し引きされるピンを係合させている。一方のピンが押し引きされる場合、他方のピンは支点として作用する。この様な構成により、上記スリーブ14を、上記ステッピングモータ13による他、上記トロイダル型無段変速機24を通過するトルクに応じて上記差圧シリンダ81によっても軸方向に変位させ、このトロイダル型無段変速機24の変速比を微調節する様にしている。
この為に、上記差圧シリンダ81に設けた1対の油圧室84a、84b内に圧油を、ロード電磁弁85より制御される、第一、第二の差圧制御弁86、87により、前後進切換弁88を介して給排する様にしている。上記ロード電磁弁85は、ノーマルオープン型の電磁比例弁で、付加された電圧にほぼ比例した油圧を、下流側に存在する、上記第一、第二の差圧制御弁86、87に導入する機能を有する。又、ノーマルクローズ型の電磁弁89の開閉に基づき、加圧用圧力調整弁90の開弁圧を調節自在としている。更に、運転席に設けたシフトレバーにより操作される、前記手動切換弁65により、各部の連通状態を切り換えられる様にしている。
又、トラニオン7(図5、6参照)を変位させる為のアクチュエータ10に設けた1対の油圧室91a、91b内の油圧の差を、差圧取り出し弁92により取り出して、上記加圧用圧力調整弁90に導入する様にしている。この差圧取り出し弁92を構成するスプール93は、1対のパイロット室94a、94bに導入された、上記アクチュエータ10にピストン16を挟んで設けた1対の油圧室91a、91b内の圧力に応じて、軸方向に変位する。そして、何れのパイロット部94a(94b)に導入された油圧が他のパイロット部94b(94a)に導入された油圧よりも高いかにより、上記差圧取り出し弁92にそれぞれの端部を接続した圧力導入路95a(95b)と、上記スプール93の両端面に対向する部分に設けた反力室96a(96b)とに、油圧を導入する。
例えば、上記アクチュエータ10の一方の油圧室91a内の油圧が他方の油圧室91bよりも高くなる状態を考える。この状態では、上記パイロット部94aに導入される油圧が他のパイロット部94bに導入される油圧よりも高くなり、上記スプール93が図9の右方に移動し、上記差圧取り出し弁92が切り換わる。この結果、前記加圧ポンプ64から吐出された圧油が、一方(図9の右方)の圧力導入路95aを通じて、上記加圧用圧力調整弁90の第一のパイロット部に導入される。尚、これと共に上記圧油は、前記第一、第二の差圧制御弁86、87に導入され、上記前後進切換弁88を介して前記差圧シリンダ81を変位させて、前記変速比制御弁12のスリーブ14を微小変位させる。
これに対して、上記アクチュエータ10の他方の油圧室91b内の油圧が一方の油圧室91aよりも高くなると、上記他のパイロット部94bに導入される油圧が上記一方のパイロット部94aに導入される油圧よりも高くなり、上記スプール93が図9の左方に移動し、上記差圧取り出し弁92が上述した状態とは逆に切り換わる。この結果、上記加圧ポンプ64から吐出された圧油が、他方(図9の左方)の圧力導入路95bを通じて、上記加圧用圧力調整弁90の第二のパイロット部に導入される。又、これと共に上記圧油は、前記第一、第二の差圧制御弁86、87に導入され、上記前後進切換弁88を介して上記差圧シリンダ81を変位させる。
何れの場合でも、上記圧力導入路95a、95bに導入された圧油は、上記差圧取り出し弁92の反力室96a、96bにも導入されて、上記スプール93の軸方向端面を押圧する。従って、このスプール93を軸方向に変位させて、上記加圧ポンプ64に通じる管路と上記圧力導入路95a(95b)とを連通させようとする力は、上記差圧取り出し弁92に設けた1対のパイロット部内に導入された油圧の差|△P|に比例する。この結果、上記加圧用圧力調整弁90の第一、第二のパイロット部に導入される油圧は、上記アクチュエータ10の油圧室91a、91b内の油圧の差|△P|、即ち、トロイダル型無段変速機24(図7参照)を通過する動力に比例する。
又、上記加圧用圧力調整弁90の開弁圧は、上記第一、第二のパイロット部に導入される油圧が高くなる程高くなる。そして、機械式の押圧装置23(図4、5参照)に代えて設ける油圧式の押圧装置23a内に導入される油圧は、上記加圧用圧力調整弁90の開弁圧が高くなる程高くなる。従って、上記押圧装置23a内に導入される油圧、延てはこの押圧装置23aが発生する押圧力は、トロイダル型無段変速機24を通過する動力が大きくなる程大きくなる。そして、これと共に、上記加圧用圧力調整弁90から吐出される潤滑油の量が多くなり、トロイダル型無段変速機の各部に送り込まれる潤滑油の量が多くなる。従って、潤滑油を吐出する為の加圧ポンプ64、80を駆動する動力を無駄に消費する事を防止して、無段変速装置全体としての効率の向上を図れる。
又、上述の様な油圧制御回路で、前記差圧シリンダ81による前記変速比制御弁12を構成するスプール15の変位量、延いては、前述した様な、トロイダル型無段変速機24の変速比の微調整は、前記ノーマルオープン型のロード電磁弁85への通電状態を制御する事により行なう。具体的には、制御用コンピュータが、アクセル開度、セレクトレバーの位置(手動切換弁65の切換位置)、ブレーキ状態等、各種車両状態に応じて、出力軸37(図7参照)に伝達されるトルクの目標値を設定する。そして、この目標値が低い程、上記ロード電磁弁85への印加電圧を高くし、このロード電磁弁85の開度を小さく(開いている瞬間を少なく)して、前記第一、第二の差圧制御弁86、87に導入する油圧を低くする。この結果、これら第一、第二の差圧制御弁86、87を通じて上記差圧シリンダ81に導入される油圧が低くなり、上記差圧シリンダ81による、上記トロイダル型無段変速機24の変速比の補正量は小さくなる。この状態では、前記変速比制御弁12のスプール15がステッピングモータ13により変位させられない限り、上記出力軸37に伝達されるトルクは(自動車を走行させるには不十分な程度に)低くなる。
逆に、目標値が高い程、上記ロード電磁弁85への印加電圧を低くし、このロード電磁弁85の開度を大きく(開いている瞬間を多く)して、前記第一、第二の差圧制御弁86、87に導入する油圧を高く(例えばライン圧である0.45MPaに)する。この結果、これら第一、第二の差圧制御弁86、87を通じて上記差圧シリンダ81に導入される油圧が高くなり、上記差圧シリンダ81による、上記トロイダル型無段変速機24の変速比の補正量は多くなる。この状態では、前記変速比制御弁12のスプール15がステッピングモータ13により変位させられなくても、上記出力軸37に伝達されるトルクは、ブレーキペダルを踏んだり、或はパーキングブレーキを作動させていない限り、自動車を低速走行させるのに十分な程度に高くなる。
図9に示した油圧回路の場合、上記ロード電磁弁85として、ノーマルオープン型のものを使用している為、電気的制御回路の故障により上記ロード電磁弁85への通電が断たれる(印加電圧が0になる)と、上記差圧シリンダ81に導入される油圧が最大値になり、上記差圧シリンダ81による、上記トロイダル型無段変速機24の変速比の補正量は最大値になる。この結果、電気的な制御回路の故障時に、上記出力軸37に伝達されるトルクを、自動車を低速走行させる事が可能な程度に大きくできる。そして、道路上で故障した自動車を、路肩等の安全な場所にまで移動させる事が可能になる。言い換えれば、上記電気的制御回路の故障時には、前記手動切換弁65を走行状態(Dレンジ或はRレンジ)に切り換えれば、自動車を低速走行させられる程度のトルクが、上記出力軸37に加わる様になる。
図9に示した様な、制御回路を備えた先発明に係る無段変速装置の場合、安定した運行の確保を考慮した場合には、更なる改良が望まれる。この点に就いて、図9に図10を加えて説明する。この図10は、前述の図7に示した様な、ギヤード・ニュートラルと呼ばれる無段変速装置での、トロイダル型無段変速機24の変速比(縦軸)と、無段変速装置全体としての変速比(横軸)との関係を示している。この様な図10から明らかな通り、上記トロイダル型無段変速機24の変速比が同じ場合でも、低速用クラッチ39と高速用クラッチ40との断接に基づくモードが異なると、無段変速装置全体としての変速比が大きく異なる場合がある。
即ち、上記低速用クラッチ39と高速用クラッチ40との切り換えは、図10のA点で行なわれ、このA点よりも図10の左側部分では、上記低速用クラッチ39が接続され、上記高速用クラッチ40の接続が断たれた低速モードとなる。この様な低速モードでは、上記トロイダル型無段変速機24の変速比を増速側に変える程無段変速装置全体としての変速比が減速側に変わる。そして、入力軸1を回転させたまま出力軸37(図7参照)を停止させる、変速比が無限大の状態を経て、この出力軸37を逆方向に回転させる、後退領域になる。これに対して、上記A点よりも図10の右側部分では、上記低速用クラッチ39の接続が断たれ、上記高速用クラッチ40が接続される高速モードとなる。この様な高速モードでは、上記トロイダル型無段変速機24の変速比を増速側に変える程無段変速装置全体としての変速比も増速側に変わる。従って、このトロイダル型無段変速機24の変速比が同じであっても、上記両クラッチ39、40の断接状態が異なれば、上記無段変速装置全体としての変速比が大きく異なる事になる。
この為、上記両クラッチ39、40の断接が意図しない状態で行なわれると、上記無段変速装置全体としての変速比が意図した値と大きく異なってしまい、安定した運行を確保できなくなる。例えば、低速モード領域にあるB点は、車両を発進し更に加速させる際に、上記低速用クラッチ39を接続し、上記高速用クラッチ40の接続を断つ事で実現される状態であるが、この状態でこれら両クラッチ39、40の断接状態が逆転すると、上記無段変速装置全体としての変速比は、減速状態(変速比<1)から増速状態(変速比>1)に変化する。この様な状態では、エンジンの負荷が過大になり、エンジンが停止(エンスト)する可能性が高くなる。仮にエンジンが停止しない場合でも、運転者が望む様な加速を得られなくなる。又、やはり低速モード領域にある、車両を後退させる際に実現するC点で上記両クラッチ39、40の断接状態が逆転すると、上記無段変速装置全体としての変速比は、高速走行時に実現すべき、大きな増速比を実現する状態となる。この様な場合には、エンジンの負荷が過大になってエンジンが停止する可能性が高くなるだけでなく、仮にエンジンが停止しない場合には、車両が運転者の意図しない方向に動き出す。
図9に示した油圧回路は、シフト用切換弁75の切換用パイロット室77内の油圧上昇遅れにより、両クラッチ39、40の断接状態が、短時間とは言え、運転者の意図や車両の運行状態とは関係なく逆転する可能性がある。この理由は、車両を停止状態から(前進、後退に関係なく)発進させる場合、前記各加圧ポンプ64、80から吐出される圧油の流量が少なく、上記切換用パイロット室77内に十分な圧油を送り込めない可能性がある為である。
即ち、上記低速モードを実現すべく、上記低速用クラッチ39を接続し、上記高速用クラッチ40の接続を断つ為には、前述の様に、前記電磁切換弁79への通電を停止してこの電磁切換弁79を開き、上記切換用パイロット室77内に油圧を導入する。この切換用パイロット室77内の油圧が立ち上がる事で、上記シフト用切換弁75の切換用スプール76が切換用圧縮コイルばね78の弾力に抗して図9の右方に移動して、前述の様に前記低速クラッチ用油圧室61内に油圧を導入すると共に、前記高速クラッチ用油圧室62内の油圧を低下させる。
この様な一連の動作は、前記各加圧ポンプ64、80から吐出される圧油の量が十分にあれば、確実に行なわれて、低速若しくは後退時に、上記低速用クラッチ39の接続が断たれ、上記高速用クラッチ40が接続される(高速モードになる)事はない。ところが、一般的には、発進時、即ち、前記手動切換弁65を、P或はNレンジから、D、L、Rレンジの何れかに切り換えた直後の状態では、上記圧油の量が必ずしも十分とは言えない場合がある。即ち、この状態では、アクセルペダルが殆ど踏まれておらず、上記各加圧ポンプ64、80を駆動するエンジンの回転速度が低い為、上記圧油の量が少ない。この状態では、P或はNレンジからD、L、Rレンジの何れかに切り換えた直後、上記各加圧ポンプ64、80から吐出される圧油のうちの相当量が、前記押圧装置23aの油圧室や上記低速クラッチ用油圧室61内に流入し、上記切換用パイロット室77内の油圧上昇が遅れる可能性がある。P或はNレンジからD、L、Rレンジへの切り換え後、上記電磁切換弁79への通電を停止する前にエンジンの回転速度を上昇させれば、上記切換用パイロット室77内の油圧上昇の遅れをなくせるが、滑らかな発進動作の為の制御が難しくなるので、採用する事は難しい。
そして、上記切換用パイロット室77内の油圧上昇が遅れた場合には、上記シフト用切換弁75の切換用スプール76が切換用圧縮コイルばね78の弾力に基づいて図9とは反対側に(図9の左方に)移動する。この結果、発進の直前或は直後にも拘らず、上記低速用クラッチ39の接続が断たれ、上記高速用クラッチ40が接続されてしまう(高速モードになる)。この状態は、極く短時間後に、上記押圧装置23aの油圧室や上記低速クラッチ用油圧室61内の油圧が上昇し切り、上記切換用パイロット室77内の油圧が上昇する事で解消される。但し、極く短時間とは言え、発進の直前或は直後に高速モード状態になる事は、エンジンに過度の負担を掛けてエンジン停止の原因となるだけでなく、後退を選択した状態で前進方向への駆動力が加わる可能性もある為、好ましくない。
更には、上記押圧装置23aの油圧室や上記低速クラッチ用油圧室61内の油圧が上昇し切り、上記切換用パイロット室77内の油圧が上昇して、上記切換用スプール76が上記切換用圧縮コイルばね78の弾力に抗して図9に示した位置にまで移動した瞬間に、高速モードから低速モードへの切換が行なわれる。この様なモード切り換えは、図10にA点で示した本来のモード切換ポイントからは、大きく外れた部分で行なわれる。この結果、上記切り換えに伴って無段変速装置全体としての変速比が大きく変動し、大きな変速ショックが発生して、乗員に不快感を与える原因となる。前述の特許文献3〜7に記載されたモード切換時に於ける変速比の急変動を防止する技術は、何れも本来のモード切換ポイントで発生する衝撃の緩和を意図したものであって、上述した様な、本来のモード切換ポイントから外れた部分でモード切換が行なわれる事を防止するものではない。又、この様なモード切換の発生防止を図れるものでもない。
特開2000−220719号公報 特開平11−63146号公報 特開平11−108147号公報 特開2001−50375号公報 特開2001−50380号公報 特開2001−235022号公報 特開2001−254804号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、エンジンの回転速度が低く、加圧ポンプから吐出される圧油の量が少なく、油圧式切換弁のパイロット室内に十分な油圧が導入されない等の場合でも、変速状態が低速モードのままとなり、運転者や乗員に、違和感や不快感を与える事のない無段変速装置を実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、従来から知られている無段変速装置と同様に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とをクラッチ装置を介して組み合わせて成る。
そして、このクラッチ装置は、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチと、これら各クラッチの断接状態を切り換える制御回路とから成る。
又、この制御回路は、これら各クラッチの断接を制御する事により、変速状態を上記低速モードと上記高速モードとのうちの何れかのモードにするものである。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記低速用クラッチを、低速クラッチ用油圧室内への油圧の導入に基づいて接続されるものとし、高速用クラッチを、高速クラッチ用油圧室内への油圧の導入に基づいて接続されるものとする。
又、上記制御回路は、上記各クラッチ毎にそれぞれ設けられて、通電の有無に基づいて上記油圧室内への油圧の導入とその停止とを切り換える圧力調整弁ユニットを備える。
そして、上記低速用クラッチ側の低速側圧力調整弁ユニットは、通電に伴って上記低速クラッチ用油圧室内の油圧を排出し、通電の停止に伴ってこの低速クラッチ用油圧室内に油圧を導入するものとする。
これに対して、上記高用速クラッチ側の高速側圧力調整弁ユニットは、通電に伴って上記高速クラッチ用油圧室内に油圧を導入し、通電の停止に伴ってこの高速クラッチ用油圧室内の油圧を排出するものとする。
更に、上記制御回路は、油圧、電力等の欠陥の発生時に、上記変速状態を上記低速モードに限定する機能を有する。
上述の様に構成する本発明の無段変速装置によれば、エンジンの回転速度が低く、加圧ポンプから吐出される圧油の量が少なく、油圧切換弁のパイロット室内に十分な油圧が導入されない等の場合でも、変速状態が低速モードのままとなる。この結果、運転者や乗員に、違和感や不快感を与える事を防止できる。
更に、上記パイロット室内に十分な油圧が導入されない等の場合でも、高速クラッチ用油圧室内への油圧導入よりも低速クラッチ用油圧室内への油圧導入を優先させて、変速状態を低速モードのままに確実に維持できる構造を実現できる。しかも、電気回路の故障により電磁弁への通電が不能になっても、上記パイロット室への油圧の導入を行なえるので、電気回路の故障時にも、車両を安全な場所まで移動させる際に必要な、最低限の走行性能の確保を図れる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、上記低速側圧力調整弁ユニットを、パイロット室内への油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して低速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記低速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせるスプールを備えた低速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内の油圧の排出を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内への油圧導入を行なわせる低速側電磁弁とを備えたものとする。
又、上記高速側圧力調整弁ユニットを、パイロット室内への油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して高速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記高速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせるスプールを備えた高速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内への油圧導入を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内の油圧の排出を行なわせる高速側電磁弁とを備えたものとする。
或は、請求項3に記載した様に、上記低速側圧力調整弁ユニットを、パイロット室内への油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して低速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記低速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせるスプールを備えた低速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内の油圧の排出を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内の油圧の排出を行なわせる低速側電磁弁とを備えたものとする。
又、上記高速側圧力調整弁ユニットを、パイロット室内への油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して高速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記高速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせるスプールを備えた高速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内の油圧排出を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内への油圧の導入を行なわせる高速側電磁弁とを備えたものとする。
この様な請求項2、3に記載した様な構成とすれば、簡単な構成で、発進の直前、直後並びに電気回路の故障時に変速状態を低速モードのままに維持できる。
図1は、本発明に関する参考例の1例を示している。尚、本参考例の特徴は、油圧式切換弁であるシフト用切換弁75a及び電磁弁である電磁切換弁79aの構造を工夫する事により、加圧ポンプ64、80から吐出される圧油の量が少なく、上記シフト用切換弁75aの切換用パイロット室77a内に十分な油圧が導入されない等の場合でも、変速状態を低速モードのままに維持できる構造を実現する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9に記載した、特願2003−365850号に係る先発明と同様であるから、同等部分には図9と同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
本参考例を構成する上記シフト用切換弁75aは、切換用スプール76aの軸方向に関する、切換用パイロット室77aと弾性部材である切換用圧縮コイルばね78aとの配置を、上記図9に示した先発明を構成するシフト用切換弁75とは逆にしている。これに伴って、上記切換用パイロット室77a内への油圧導入に伴い、上記切換用スプール76aを上記切換用圧縮コイルばね78aの弾力に抗して図1の左方に変位させ、高速クラッチ用油圧室62内への油圧導入を行なわせる様にしている。又、上記切換用パイロット室77aからの油圧排出に伴い、上記切換用圧縮コイルばね78aの弾力に基づいて上記切換用スプール76aを図1の右方に変位させ、低速クラッチ用油圧室61内への油圧導入を行なわせる様にしている。
又、上記電磁切換弁79aは、通電に伴って上記切換用パイロット室77aと、油圧源である上記加圧ポンプ80の吐出口とを通じさせ、通電停止に伴ってこの切換用パイロット室77aの油圧を排出する様に構成している。
上述の様に構成する本参考例の無段変速装置によれば、発進の直前、直後(手動切換弁65がR、D、Lの何れかに切り換えられているが、アクセルペダルが踏み込まれていない状態)でエンジンの回転速度が低く、前記両加圧ポンプ64、80から吐出される圧油の量が少なく、上記シフト用切換弁75aの切換用パイロット室77a内に十分な油圧が導入されない等の場合でも、変速状態が低速モードのままとなる。即ち、発進の直前、直後の状態では、無段変速装置全体としての減速比を大きくすべく、低速モードを実現する為に、上記電磁切換弁79aへの通電を停止したままとする。この状態では、この電磁切換弁79aが図1に示した状態となり、上記切換用パイロット室77a内が油溜63に解放されて、この切換用パイロット室77a内の油圧が実質的に消滅する(ゲージ圧≒0)。この状態では、上記シフト用切換弁75aの切換用スプール76aは、切換用圧縮コイルばね78aの弾力に基づいて図1に示した位置に変位し、低速クラッチ用切換弁67を図1に示した状態とし、減圧弁66を介して、低速クラッチ用油圧室61内への油圧導入を行なわせる。又、高速クラッチ用切換弁71が図1に示した状態に切り換わり、この高速クラッチ用切換弁71を介して高速クラッチ用油圧室62を油溜63に通じさせる。これらの結果、低速用クラッチ39が接続されると共に、高速用クラッチ40の接続が断たれる。
この状態では、上記切換用スプール76aは、上記切換用圧縮コイルばね78aの弾力に基づいて、図1に示した位置に変位する。従って、上記両加圧ポンプ64、80から吐出される圧油の量が少なく、上記切換用パイロット室77a内に十分な油圧が導入されない場合でも、上記切換用スプール76aを、図1に示した位置に迄確実に変位させ、変速状態を低速モードのままに維持できる。
車両が前進方向に発進して次第に速度が上昇し、トロイダル型無段変速機24の変速比及び無段変速装置全体としての変速比が、低速用クラッチ39と高速用クラッチ40との切り換えポイント(図10のA点)に達すると、図示しない制御器が、上記電磁切換弁79aに通電し、この電磁切換弁79aを図1とは逆の状態に切り換える。すると、上記加圧ポンプ80から吐出された圧油が、上記シフト用切換弁75aの切換用パイロット室77a内に導入され、上記切換用スプール76aを上記切換用圧縮コイルばね78aの弾力に抗して、図1の左方に変位させる。この結果、各弁75a、67、71が、上述した発進の直前、直後の場合とは逆に切り換わり、低速用クラッチ39の接続が断たれると共に、高速用クラッチ40が接続される。
上述の様に本参考例の場合には、発進の直前、直後の状態では、上記両加圧ポンプ64、80から吐出される圧油の量が少なく、上記切換用パイロット室77a内に十分な油圧が導入されない場合でも、変速状態を低速モードのままに維持できる。従って、発進の直前、直後に変速状態が高速モードに切り換わり、エンジンが停止したり、後退を選択したにも拘らず、極く短時間とは言え前進方向の駆動力が加わる事を確実に防止できる。又、発進の直前、直後に、変速状態が高速モードから低速モードに、上記切換ポイントから大きく外れた状態で切り換わる事も確実に防止でき、この様な切り換わりに基づく変速ショックの発生も、確実に防止できる。この結果、運転者や乗員に、違和感や不快感を与える事を防止できる。
図2は、請求項1、2に対応する、本発明の実施例1を示している。本実施例の場合には、制御回路は、低速用、高速用両クラッチ39、40毎に、互いに独立した圧力調整弁ユニットを備える。これら両圧力調整弁ユニットはそれぞれ、通電の有無に基づいて、上記両クラッチ39、40に付属した、低速クラッチ用、高速クラッチ用両油圧室61、62内への油圧の導入とその停止とを切り換える。そして、上記低速用クラッチ39側の低速側圧力調整弁ユニットは、通電に伴って上記低速クラッチ用油圧室61内の油圧を排出し、通電の停止に伴ってこの低速クラッチ用油圧室61内に油圧を導入する。これに対して、上記高速用クラッチ40側の高速側圧力調整弁ユニットは、通電に伴って上記高速クラッチ用油圧室62内に油圧を導入し、通電の停止に伴ってこの高速クラッチ用油圧室62内の油圧を排出するものとする。
具体的には、上記低速側圧力調整弁ユニットを、図2の(A)に示す様に、低速側減圧弁97と低速側電磁弁98とを備えたものとしている。このうちの低速側減圧弁97は、軸方向に変位する事で、上記低速クラッチ用油圧室61内への圧油の給排状態を切り換えるスプール99aを備える。そして、このスプール99aは、パイロット室100a内への油圧導入に伴い、弾性部材である圧縮コイルばね101aの弾力に抗し変位して低速クラッチ用油圧室61内への油圧導入を行なわせる。又、上記パイロット室100aからの油圧排出に伴い、上記圧縮コイルばね101aの弾力に基づいて変位し、上記低速クラッチ用油圧室61内の油圧の排出を行なわせる。又、上記低速側電磁弁98は、通電停止に伴って上記パイロット室100a内への油圧導入を行なわせ、通電に伴ってこのパイロット室100a内の油圧の排出を行なわせる。
又、上記高速側圧力調整弁ユニットは、図2の(B)に示す様に、高速側減圧弁102と高速側電磁弁103とを備えたものとしている。このうちの高速側減圧弁102は、軸方向に変位する事で、上記高速クラッチ用油圧室62内への圧油の給排状態を切り換えるスプール99bを備える。そして、このスプール99bは、パイロット室100b内への油圧導入に伴い、弾性部材である圧縮コイルばね101bの弾力に抗し変位して高速クラッチ用油圧室62内への油圧導入を行なわせる。又、上記パイロット室100bからの油圧排出に伴い、上記圧縮コイルばね101bの弾力に基づいて変位し、上記高速クラッチ用油圧室62内の油圧の排出を行なわせる。又、上記高速側電磁弁103は、通電に伴って上記パイロット室100b内への油圧導入を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室100b内の油圧の排出を行なわせる。
この様に構成する本実施例の場合も、簡単な構成で、発進の直前、直後並びに電気回路の故障時に変速状態を低速モードのままに維持できる。又、電気回路の故障時に、最低限の走行性能を確保できる。先ず、発進の直前、直後の状態では、前記低速側圧力調整弁ユニットを構成する低速側電磁弁98と上記高速側圧力制御弁ユニットを構成する高速側電磁弁103とには何れも通電せず、これら両電磁弁98、103は、それぞれ図2の(A)(B)に示す様に切り換わる。この結果、前記低速側減圧弁97のスプール99aが図2(A)に示す様に右端位置に変位し、上記低速クラッチ用油圧室61内に所定の油圧を導入自在となって、前記低速用クラッチ39が接続される。同時に、上記高速側減圧弁102のスプール99bが圧縮コイルばね101bの弾力に基づいて図2(B)に示す様に左端位置に変位する。この状態では、上記高速クラッチ用油圧室62内の油圧が喪失し、前記高速用クラッチ40の接続が断たれる。
この様にして行なわれる両クラッチ39、40の接続は、各加圧ポンプ64、80(図1参照)からの圧油の吐出量に拘らず、確実に行なわれる。即ち、この吐出量が少ない場合でも、手動切換弁65(図1参照)をR、D、Lレンジに切り換えた状態での発進の直前、直後に、上記低速用クラッチ39の接続が断たれたり、上記高速用クラッチ40が接続されたりする事はない。又、電気回路の故障に伴って、上記低速側電磁弁98と上記高速側電磁弁103とに通電されなくなった場合には、低速モードの状態が維持される様になり、最低限の走行性能を確保できる。
車両が前進方向に発進して次第に速度が上昇し、トロイダル型無段変速機24(図7参照)の変速比及び無段変速機全体としての変速比が、低速用クラッチ39と高速用クラッチ40との切り換えポイント(図10のA点)に達すると、図示しない制御器が、上記両電磁弁98、103に通電し、これら両電磁弁98、103を図2とは逆の状態に切り換える。すると、上記加圧ポンプ80から吐出された圧油が、前記低速側減圧弁97の下流側の油圧を低下させて上記低速用クラッチ39の接続を断つと共に、前記高速側減圧弁102の下流側の油圧を上昇させて、上記高速用クラッチ40を接続する。
図3は、請求項1、3に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合も、上述した実施例1と同様に、制御回路は、低速用、高速用両クラッチ39、40毎に、互いに独立した圧力調整弁ユニットを備える。特に、本実施例の場合には、上記実施例1とは逆に、低速側減圧弁97aと高速側減圧弁102aとを、パイロット室100a´、100b´内への油圧の導入に伴って、低速クラッチ用、高速クラッチ用両油圧室61、62内に導入する油圧を低減させる構造としている。この為に本実施例の場合には、上記低速側、高速側両減圧弁97a、102aに設けた、油溜63に通じるドレンポートの位置を、上記実施例1に組み込む、低速側、高速側両減圧弁97、102(図2)と異ならせている。本実施例の場合、この様に上記低速側、高速側両減圧弁97a、102aの特性を上記実施例1と逆にする事に伴い、低速側、高速側両電磁弁98a、103aの特性も、この実施例1とは逆にしている。
この様な本実施例の場合も、簡単な構成で、発進の直前、直後並びに電気回路の故障時に変速状態を低速モードのままに維持できる。又、電気回路の故障時に、最低限の走行性能を確保できる。先ず、発進の直前、直後の状態では、低速側圧力調整弁ユニットを構成する低速側電磁弁98aと上記高速側圧力制御弁ユニットを構成する高速側電磁弁103aとは、それぞれ図3の(A)(B)に示す様に切り換わる。この結果、上記低速側減圧弁97aのスプール99a´が図示の位置に変位し、上記低速クラッチ用油圧室61内に所定の油圧を導入自在となって、上記低速用クラッチ39が接続される。同時に、上記高速側減圧弁102aのスプール99b´が圧縮コイルばね101bの弾力に抗して図3(B)の左端部まで移動する。この状態では、上記高速クラッチ用油圧室62内の油圧が喪失し、上記高速用クラッチ40の接続が断たれる。
この様にして行なわれる両クラッチ39、40の接続は、各加圧ポンプ64、80(図1参照)からの圧油の吐出量に拘らず、確実に行なわれる。即ち、この吐出量が少ない場合でも、手動切換弁65(図1参照)をR、D、Lレンジに切り換えた状態での発進の直前、直後に、上記低速用クラッチ39の接続が断たれたり、上記高速用クラッチ40が接続されたりする事はない。又、電気回路の故障に伴って、上記低速側電磁弁98aと上記高速側電磁弁103aとに通電されなくなった場合には、低速モードの状態が維持される様になり、最低限の走行性能を確保できる。
車両が前進方向に発進して次第に速度が上昇し、トロイダル型無段変速機24(図7参照)の変速比及び無段変速機全体としての変速比が、低速用クラッチ39と高速用クラッチ40との切り換えポイント(図10のA点)に達すると、図示しない制御器が、上記両電磁弁98a、103aに通電し、これら両電磁弁98a、103aを図3とは逆の状態に切り換える。すると、上記加圧ポンプ80から吐出された圧油が、前記低速側減圧弁97aの下流側の油圧を低下させて上記低速用クラッチ39の接続を断つと共に、前記高速側減圧弁102aの下流側の油圧を上昇させて、上記高速用クラッチ40を接続する。
前述した実施例1及び上述した実施例2の場合、低速用、高速用両減圧弁97、102(97a、102a)として同じ構造を有するものを使用する代わりに、低速側、高速側両電磁弁98、103(98a、103a)の構造を互いに異ならせている。これに対して、図2に示した低速用減圧弁97と図3に示した高速用減圧弁102aとを(或は図2に示した高速用減圧弁102と図3に示した低速用減圧弁97aとを)組み合わせると共に、低速側、高速側両電磁弁98、103(98a、103a)として同じ構造を有するものを使用する事もできる。但し、これら両電磁弁98、103(98a、103a)への非通電時に低速モードを実現する組み合わせとして、電気回路の故障時に低速モードとなる様にする。
又、以上の説明では、本発明を、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせる事により、クラッチの切り換えなしで、後退から停止更には前進状態までを実現する、ギヤード・ニュートラル型と呼ばれる無段変速装置に適用した場合に就いて説明した。但し、本発明は、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせる事により、低速走行時にはトロイダル型無段変速機のみで動力を伝達し、高速走行時には遊星歯車式変速機により主動力を伝達すると共にトロイダル型無段変速機により変速比の調節を行なわせる、所謂パワー・スプリット型と呼ばれる無段変速装置に組み込んだ構造に適用する事もできる。又、組み込まれるトロイダル型無段変速機も、図示した様なハーフトロイダル型のものに限らず、フルトロイダル型のものも使用可能である。更には、自動車用の自動変速装置としてだけでなく、各種産業用の変速装置としても利用できる。
本発明に関する参考例の1例を示す、変速比並びに押圧力制御の為の油圧回路図。 本発明の実施例1を示す、油圧回路図の要部のみを示す図。 実施例2を示す、油圧回路図の要部のみを示す図。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。 図4のA−A断面図。 同B−B断面図。 従来から知られている無段変速装置の第1例を示す略断面図。 同第2例を示す略断面図。 先発明に係る、変速比並びに押圧力制御の為の油圧回路図。 無段変速装置全体としての変速比と、この無段変速装置に組み込んだトロイダル型無段変速機の変速比との関係を示す線図。
符号の説明
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5、5a 出力側ディスク
6 パワーローラ
7 トラニオン
8 支持軸
9 枢軸
10 アクチュエータ
11 支持板
12 変速比制御弁
13 ステッピングモータ
14 スリーブ
15 スプール
16 ピストン
17 ロッド
18 プリセスカム
19 リンク腕
20 同期ケーブル
21 カム面
22 駆動軸
23、23a 押圧装置
24、24a トロイダル型無段変速機
25、25a 遊星歯車式変速機
26 キャリア
27a、27b 遊星歯車素子
28 第一の伝達軸
29a、29b 太陽歯車
30 第二の伝達軸
31、31a 中空回転軸
32 太陽歯車
33 遊星歯車素子
34、34a リング歯車
35 第二のキャリア
36a、36b 遊星歯車素子
37、37a 出力軸
38 第二のリング歯車
39、39a、39b 低速用クラッチ
40、40a、40b 高速用クラッチ
41 リング歯車
42 エンジン
43 クランクシャフト
44 発進クラッチ
45 シリンダ
46 太陽歯車
47a、47b 遊星歯車素子
48 キャリア
49 第一の動力伝達機構
50 伝達軸
51 伝達軸
52 後退用クラッチ
61 低速クラッチ用油圧室
62 高速クラッチ用油圧室
63 油溜
64 加圧ポンプ
65 手動切換弁
66 減圧弁
67 低速クラッチ用切換弁
68 低速クラッチ用スプール
69 低速クラッチ用圧縮コイルばね
70 低速クラッチ用パイロット室
71 高速クラッチ用切換弁
72 高速クラッチ用スプール
73 高速クラッチ用圧縮コイルばね
74 高速クラッチ用パイロット室
75、75a シフト用切換弁
76、76a 切換用スプール
77、77a 切換用パイロット室
78、78a 切換用圧縮コイルばね
79、79a 電磁切換弁
80 第二の加圧ポンプ
81 差圧シリンダ
82 ロッド
83 リンク腕
84a、84b 油圧室
85 ロード電磁弁
86 第一の差圧制御弁
87 第二の差圧制御弁
88 前後進切換弁
89 電磁弁
90 加圧用圧力調整弁
91a、91b 油圧室
92 差圧取り出し弁
93 スプール
94a、94b パイロット室
95a、95b 圧力導入路
96a、96b 反力室
97、97a 低速側減圧弁
98、98a 低速側電磁弁
99a、99b、99a´、99b´ スプール
100a、100b、100a´、100b´ パイロット室
101a、101b 圧縮コイルばね
102、102a 高速側減圧弁
103、103a 高速側電磁弁

Claims (3)

  1. トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とをクラッチ装置を介して組み合わせて成り、このクラッチ装置は、減速比を大きくする低速モードを実現する際に接続されて同じく小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる低速用クラッチと、この高速モードを実現する際に接続されて上記低速モードを実現する際に接続を断たれる高速用クラッチと、これら各クラッチの断接状態を切り換える制御回路とから成り、この制御回路は、これら各クラッチの断接を制御する事により、変速状態を上記低速モードと上記高速モードとのうちの何れかのモードにするものである無段変速装置に於いて、上記低速用クラッチは、低速クラッチ用油圧室内への油圧の導入に基づいて接続されるものであり、上記高速用クラッチは、高速クラッチ用油圧室内への油圧の導入に基づいて接続されるものであり、上記制御回路は、上記各クラッチ毎にそれぞれ設けられ、通電の有無に基づいて上記各油圧室内への油圧の導入とその停止とを切り換える圧力調整弁ユニットを備えており、上記低速用クラッチ側の低速側圧力調整弁ユニットは、通電に伴って上記低速クラッチ用油圧室内の油圧を排出し、通電の停止に伴ってこの低速クラッチ用油圧室内に油圧を導入するものであり、上記高速用クラッチ側の高速側圧力調整弁ユニットは、通電に伴って上記高速クラッチ用油圧室内に油圧を導入し、通電の停止に伴ってこの高速クラッチ用油圧室内の油圧を排出するものであり、上記制御回路は、欠陥の発生時に上記変速状態を上記低速モードに限定する機能を有する事を特徴とする無段変速装置。
  2. 低速側圧力調整弁ユニットが、パイロット室内への油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して低速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記低速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせるスプールを備えた低速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内の油圧の排出を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内への油圧導入を行なわせる低速側電磁弁とを備えたものであり、高速側圧力調整弁ユニットが、パイロット室内への油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して高速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記高速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせるスプールを備えた高速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内への油圧導入を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内の油圧の排出を行なわせる高速側電磁弁とを備えたものである、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. 低速側圧力調整弁ユニットが、パイロット室内への油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して低速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記低速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせるスプールを備えた低速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内への油圧導入を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内の油圧の排出を行なわせる低速側電磁弁とを備えたものであり、高速側圧力調整弁ユニットが、パイロット室内の油圧導入に伴い弾性部材の弾力に抗し変位して高速クラッチ用油圧室内の油圧の排出を行なわせ、上記パイロット室からの油圧排出に伴い弾性部材の弾力に基づいて変位し上記高速クラッチ用油圧室内への油圧導入を行なわせるスプールを備えた高速側減圧弁と、通電に伴って上記パイロット室内の油圧の排出を行なわせ、通電停止に伴ってこのパイロット室内への油圧の導入を行なわせる高速側電磁弁とを備えたものである、請求項1に記載した無段変速装置。
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