JP4920370B2 - 透過型電子顕微鏡の情報伝達限界測定法およびこの測定法が適用された透過型電子顕微鏡 - Google Patents

透過型電子顕微鏡の情報伝達限界測定法およびこの測定法が適用された透過型電子顕微鏡 Download PDF

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Description

本発明は透過型電子顕微鏡の性能を評価する手法であり、電子顕微鏡の空間分解能を規定する主要素である情報伝達限界を測定する方法に関し、また、この測定法が適用された透過型電子顕微鏡に関する。
透過型電子顕微鏡において、分解能はもっとも重要な性能指標である。分解能は、従来、目的によって点分解能、格子分解能、情報伝達限界など複数の異なる定義の指標が使い分けられてきた。
これらのうち、点分解能は、試料内の原子配列など観察物の構造を正しく結像できる限界を与える分解能である。ここで「正しく結像できる」とは電子線が観察すべき試料を透過する際に与えられる電子線位相と振幅の変化を、結像面において共に正しく再現できるということであって、点分解能以下では主に対物レンズの球面収差によって電子線位相が正しく再現できなくなる。従って点分解能は、観察物の構造を観察する目的の上では、分解能として最も直接的な指標である。
これに対して、情報伝達限界は、エネルギー分散、角度分散による電子線の干渉性の低下によって、電子線コントラスト(すなわち強度=|振幅|の差)が減衰することで決められる分解能限界である。
通常の電子顕微鏡においては、点分解能>情報伝達限界であるので、情報伝達限界以上の空間周波数の電子線による観察では試料における散乱(即ち試料に関わる情報)に応じた何らかのコントラストが顕微鏡像に現れる。しかし、点分解能以下の空間周波数の電子線による観察では位相が正しく再現されなくなるので、必ずしも観察物の構造を正しく反映した結像にはならなくなる。例えば、黒く現れるべき構造が白く現れることもあり得る。
これら両者の関係を明示的に図示するものが、例えば非特許文献1に述べられる位相コントラスト伝達関数であり、この一例を図1(A)に示す。用いたパラメータは、加速電圧200kV、電子線エネルギー分散2×10−6、球面収差係数Csが1.5mm、色収差係数Ccが2.5mm、色収差による電子顕微鏡の光軸方向の焦点広がりΔが8.3nm、電子線の角度分散γが1.0×10−5rad、焦点外れ量dfが+73.5nmである。
グラフ横軸は、観察対象の大きさに相当する空間周波数uで、縦軸は入射電子線の振幅を1ととったときの振幅である。曲線1aが球面収差の影響まで含めた位相コントラスト伝達関数で、空間周波数uがおよそ4.0nm−1より高周波で位相の再現が不完全になることに相当して、振動をしている。すなわちこの例では、点分解能の空間周波数uはd〜4.0nm−1=であり、点分解能は0.25nmである。
一方、電子線のエネルギー分散と角度分散に起因するコントラスト減衰は、この例で減衰曲線2aと減衰曲線3aがそれぞれ示すとおり、前者が支配的である。これらは、例え曲線1aに見られる位相の不完全さを無視しても観察物の構造が小さくなれば次第にコントラストが減衰することを示している。エネルギー分散に起因するコントラスト減衰曲線2aと角度分散に起因するコントラスト減衰曲線3aによる減衰で、振幅が定義された一定値(たとえば1/e、ここでeは自然対数の底)に落ちる点を情報伝達限界とする。グラフの例では情報伝達限界の空間周波数uはd〜4.1nm−1であり、情報伝達限界による分解能は0.24nmとなっている。上述のとおり、従来の電子顕微鏡はd>dであって、電子顕微鏡の実質的な分解能は主に点分解能によって代表されてきた。
ところが、1990年代後半に、多極子電子レンズを用いた球面収差補正器が実用化され、球面収差による位相ずれが補正可能になると、点分解能と情報伝達限界の大小関係が逆転しd<dとなる場合が出てきた。この場合は、むしろ情報伝達限界が実用的に電子顕微鏡の分解能を与えることになる。この条件に対応する位相コントラスト伝達関数の例を図1(B)に示す。曲線1bが球面収差の影響まで含めた位相コントラスト伝達関数である。ここでは、図1(A)に比し、球面収差係数Csが15×10−3mmに補正され、焦点外れ量dfが+15.0nmに設定されている。球面収差係数Csが補正されたため空間周波数uが5nm−1を越える高周波まで位相の再生が正しく行われるのみならず、曲線1bは、図1(A)の曲線1aの場合のような振動を高周波まで起こさず、点分解能の空間周波数uはd〜5.6nm−1であり、点分解能=0.18nmとなる。
一方、球面収差のみが補正されているので、エネルギー分散による減衰曲線2bは、図1(A)の曲線2aと変わらない。従って、情報伝達限界は球面収差が補正されていない図1(A)の場合と同じで、その空間周波数uはd〜4.1nm−1、情報伝達限界は0.24nmとなっている。その結果、d<dになっている。この場合、電子顕微鏡の分解能は、実質的に情報伝達限界によって制限される。今後、収差補正器付き透過型電子顕微鏡の実用化が進めば、益々分解能の指標として情報伝達限界が注目されると考えられる。
透過電子顕微鏡における情報伝達限界を測定する方法としては、一つには、カーボンやゲルマニウム、タングステンなどのアモルファス薄膜を電子顕微鏡高倍で観察しディフラクトグラム(顕微鏡像の光回折像もしくはフーリエ変換像)を作成する方法があった。アモルファスは構造がランダムであるので、様々な空間周波数(即ち大きさ)の構造を含むと考えられる。これを電子顕微鏡で観察するとき、どの周波数の構造まで電子顕微鏡像に正しく反映されるか調べるのである。
加速電圧1MV電界放出透過型電子顕微鏡におけるディフラクトグラムによる測定例を図2(A)に示す。ディフラクトグラムには、多数のリングパターンが現れるが、これは図1(A)で位相コントラスト伝達関数(曲線1a)に見られた振幅の振動に対応する。即ち、逆に、リングが見える周波数範囲ではノイズなどバックグラウンドとは区別して有効なシグナルが検知できていると言えるので、情報伝達限界はほぼこのリングが確認できる周波数限界として見積もることができる。図2(A)の例では、およそ0.1nmが情報伝達限界である。
この方法の利点は、一つに2次元的に情報伝達限界を把握できることであり、情報伝達限界だけでなくレンズ収差や機械振動、電磁気ノイズなどの影響も見ることができることである。例えば、レンズに非点収差が生じれば、その方位に従ってディフラクトグラムに見られる円状のリングパターンが楕円に歪むし、また振動等があれば、その方向性などを反映する形でパターンの減衰に異方性が表れる。
さらに、この方法の拡張として、同様のアモルファス薄膜において同じ箇所を複数度観察し、像相互相関の空間周波数依存性を調べ情報伝達限界を見積もる方法がある。具体的には、同じフィルムの上にアモルファスの同一箇所の顕微鏡像を僅かに位置をずらしながら二重露光して、この二重露光像のディフラクトグラム(フーリエ変換したパターン)を作成する。もし、二重露光した像相互に相関があればディフラクトグラム上には、露光時の平行ズレ量に応じた間隔でヤングフリンジ(Young Fringe)が現れるはずである。
図2(B)に、この測定の例(非特許文献2より引用)を示すが、左斜め上から右斜め下に走る平行な縞状パターンがそのヤングフリンジである。このヤングフリンジの見える範囲の空間周波数で二重露光像それぞれに相関がある、即ち有効なシグナルが検知できていると判断できるので、これより情報伝達限界を見積もることができる。図2(B)の例では、情報伝達限界はフリンジの見える限界、約0.07nmと見積もられる。
この測定法は、対物レンズ収差に起因して現れるパターン(図2(A)のリング)に依存せず、2枚の顕微鏡像の相関のみから評価を行えるので、球面収差補正器を搭載し対物レンズ球面収差を補正した透過型電子顕微鏡で情報伝達限界を評価するのにも適している。実際、図2(B)は加速電圧300kVの収差補正電子顕微鏡におけるものであるが、図2(A)で見られたような対物レンズ球面収差に起因するリングパターンは当該の収差が補正されたため現れていない。すなわち図2(A)の方法では収差補正電子顕微鏡の情報伝達限界を測定することは無理である。
これら2つの手法は、共に、アモルファス薄膜を電子顕微鏡で観察して、当該電子顕微鏡の情報伝達限界を決める。情報伝達限界には電子線のエネルギー分散と角度分散に基づいて、対物レンズの色収差と球面収差が主に寄与する。試料と対物レンズ、拡大像の関係を簡略化して図3に図示した。電子顕微鏡の光軸30に沿ってアモルファス薄膜5の試料面に垂直に入射する電子線4は観察試料であるアモルファス薄膜5を透過した透過波gとなるか、もしくは散乱して回折波g(k=±1,±2,±3,・・・)となり、対物レンズ7によって(拡大)像面8に結像される。
図1(A),(B)で情報伝達限界を決めた電子線エネルギー分散による減衰曲線2a,2bは、結像面8での電子線振幅の減衰率をアモルファス薄膜5の試料面での振幅を基準とし、空間周波数uに対してプロットしたものであったから、アモルファス薄膜5の試料面と結像面8の電子線振幅を共に知ることができれば、減衰曲線を求め情報伝達限界を決めることができる。このうち像面8での振幅は拡大像として観察されるものであるので測定可能だが、レンズを通過する前のアモルファス薄膜5の試料面を出射した電子線の振幅は一般に未知である。
ここで、アモルファス薄膜5を用いる際の前提として、アモルファス薄膜の構造がランダムであって、空間周波数uの分布は、問題とする周波数範囲(例えば1nm−1から0.1nm−1の範囲)でほぼ連続的で一様であると看做すことである。試料における電子線回折角度2βと空間周波数uは、電子線波長をλとして、2β=λuの関係にある。
したがって、図3に模式的に表されるように、回折波g(k=±1,±2,±3,・・・)は対物レンズ7に対して空間周波数uが一様と看做せる領域に対応する角度範囲で試料面に光源を置くコーン状の一様な連続照明のように働く。試料側の振幅が一定と看做せるのであれば、まさに図2(A)に示したディフラクトグラムが、そのまま位相コントラスト伝達関数を表すことになる。
しかしながら、この近似は定性的にも低いレベルでしか成り立たない。実際にはアモルファス薄膜と雖も構成原子の原子半径などに起因して一様でない特定の空間周波数分布を持つし、さらには構成原子の原子散乱能の限界から多くの原子種に対して空間周波数uが0.1nm−1を越える領域では散乱振幅が急速に減衰することが知られている。即ち、図2(A)のディフラクトグラムや図2(B)のヤングフリンジでコントラストの減衰を測定したとしても、今後注目すべき0.1nm−1以上の周波数領域でその減衰は、情報伝達限界でではなく主にアモルファス薄膜の膜質のばらつきに起因して決まり、求めようとする対物レンズでの情報伝達限界を正しく評価できない可能性が高い。
さらに、上記からも推察される通り観察試料として用いるアモルファス薄膜5の膜質は非常に重要であり、適切な測定には数十nm以下の膜厚の均質な膜が必要である。また、試料コンタミネーションなど電子顕微鏡内環境も測定に大きな影響を与える。適切な測定を行うには試料の調製、観察環境の整備もなかなか難しい。
高分解能電子顕微鏡−原理と利用法−堀内重雄(1988、共立出版、ISBN 4-320-07123-9)p.146 "Breaking the spherical and chromatic aberration barrier intransmission electron microscopy", B. Freitag,S. Kujawa,P.M. Mul,J. Ringnaldar, and P.C. Tiemeijer, Ultramicroscopy vol. 102 (2005) p. 209214
従来の技術の欄で述べた通り、透過型電子顕微鏡の分解能指標として情報伝達限界は今後益々重要になってゆくと考えられるが、従来はアモルファス薄膜のディフラクトグラムを作成して、位相コントラスト伝達関数を推定することで評価していた。しかし上述の通り、従来法による測定結果は、観察するアモルファス薄膜の膜質への依存が大きく、特に収差補正技術が実用化され、現実的になってきた0.1nm以下の分解能領域ではアモルファス薄膜の膜質の均一度の限界から正しい評価ができなくなる可能性が高まった。
そこで、本発明は透過電子顕微鏡における情報伝達限界を上記アモルファス薄膜を用いるような半定性的な測定ではなく、より直接定量的に測定することを課題とし、その測定手段を提供することを目的とする。
上述したように、測定がアモルファス薄膜の膜質依存となる問題を回避、解決するため、アモルファス薄膜に代えて結晶薄膜を用い、かつ特定の回折条件を維持して行う情報伝達限界の測定方法を提案する。
本発明である測定法の基本となる測定セットアップは、図4にまとめられる。測定の為に用いる試料は、図3で説明したアモルファス薄膜5に代えて、結晶薄膜9を用いる。結晶薄膜9の構造には、アモルファス薄膜と異なり、結晶格子に基づく離散的な空間周波数しか含まれないので、結晶薄膜9の面に所謂ブラッグ回折による回折波が励起される角度で電子線4を入射させると、透過波gと結晶格子に応じた回折波g、g−1等が得られる。図4では、入射電子線4が結晶薄膜9の面に垂直に入射しているように見えるが、厳密には上述のとおり結晶薄膜9の面に所謂ブラッグ回折による回折波が励起される角度で電子線4を入射させる。回折波gと透過波gを、対物レンズ7で結像させれば、像面8には結晶格子像が形成される。ここで、透過波gと回折波gとのなす角2βが回折角である。
さらに像面8での格子像形成を複雑な多波干渉効果を回避して格子像を、より明瞭なものとするため、対物レンズ7の回折面である後焦点面に目的の回折波のみを選択する為の絞り装置10を入れる。すなわち、透過波gに対して、測定に不要な回折波g−1は絞り装置10でカットして結像から除外する。図4の例では、透過波gと回折波gとを選択して、この二波による格子像を結像を利用するものとしているので回折波gおよび回折波g−1以外の回折波の表示は省略している。像面8には、透過波gと回折波gの二波による干渉縞が格子像として結像されている。もちろん、図4の例でも、図3に示す回折波gおよび回折波g−1以外の回折波も励起されるが、回折波g−1および他の回折波は全て絞り装置10でカットして結像から除外する。
図4に示す測定セットアップを用いて、図5と以下にまとめる手順で測定を行う。
まず、図4のように透過波gと回折波gとが、対称に対物レンズ7に入射するいわゆる”色消し条件”を基点として設定する。すなわち、図5(A)に示すように、電子線4を結晶薄膜9の膜面に対して、所謂ブラッグ回折による回折波が励起される角度で入射させるとともに、透過波gと回折波gとが、対称に対物レンズ7に入射するように結晶薄膜9の膜面を電子顕微鏡の光軸30に対して傾斜させる。このとき、透過波gと回折波gとが構成する回折半角βの線と光軸とは一致するので、これを、入射電子線の傾斜角度αが零の状態(α=0)であるとする。
ここから透過波gと回折波gの張る面内で、透過波gと回折波gが対物レンズ7を走査するように条件を振る。すなわち、図5(A)に示す状態から、図5(B)および(C)に示すように、結晶薄膜9の膜面の電子顕微鏡の光軸30に対する角度を変化させる。ただし、入射電子線と結晶薄膜9との間で、所謂ブラッグ回折による回折波が励起される角度の関係が維持され、結晶薄膜9での回折条件が不変に保たれなければならないことを付加条件とする。またさらに、絞り装置10はこの過程で透過波gと回折波gの2波を常に選択するように、結晶薄膜9の膜面の電子顕微鏡の光軸30に対する角度変化に対応する透過波gと回折波gの移動に追随して動かす必要がある。
図5(B)は、実質的に、結晶薄膜9の膜面に垂直に電子線4が入射する垂直入射(晶体軸入射)の状態を示す図である。この状態では、透過波gが光軸30と一致する状態となり、透過波gと回折波gとが構成する回折半角の線は光軸30からαだけずれた状態となる。これは、入射電子線の傾斜角度αがβの状態(α=β)である。ここで、βは格子縞間隔ddfに対応する回折半角である。
図5(C)は、透過波gと回折波gとが構成する回折半角の線は光軸30から任意の大きさだけずれた状態であり、入射電子線の傾斜角度αが任意の状態である。
このようにして対物レンズ7を各々の振幅と相互の角度関係を固定した透過波gと回折波gの2電子波で走査することができる。
このように、制御された2波干渉で電子線のエネルギー分散を考慮すれば、像面8に結像される格子縞の振幅は図1(A)、(B)の対応する曲線2a、2bが減衰するのと同じ原理に基づいて、図5(A)→図5(B)→図5(C)と減衰してゆく。減衰する原因は、対物レンズ7の色収差でエネルギーがずれた電子線に対する対物レンズ7の作用が変化するためで、その作用の変化は図5(A)、(B)、(C)で対物レンズ7以下の分離した電子軌道のそれぞれをg(V−v)、g(V)、g(V−v)、g(v−v)、g(V)、g(V−v)のように示している。
例えば、図5(A)で、基準となるエネルギー(V)より低いエネルギー(V−v)の電子線に対しては対物レンズ7がより強く働き、電子軌道g(V−v)と電子軌道g(v−v)は像面8より高い位置で交差することになる。エネルギー(V)よりも高いエネルギー(V+v)の電子線はその逆となり、電子軌道g(V+v)と電子軌道g(v+v)は像面8より低い位置で交差することになる。エネルギーが異なる電子線同士は非干渉であるので、像面8においては電子軌道g(V−v)と電子軌道g(V−v)、電子軌道g(V)と電子軌道g(V)、および電子軌道g(V−v)と電子軌道g(V−v)の同一エネルギーの波同士がそれぞれ干渉し、それぞれ、格子縞g(V−v)+g(V−v)、格子縞g(V)+g(V)、および格子縞g(V−v)+g(V−v)を結像する。結像面8で観察される格子縞11は、これらの強度和でになる。図のcはその振幅を表す。
図5(A)は、いわゆる、”色消し条件”を満足している場合であり、上述のように透過波gと回折波gとが対物レンズ7に対称に入射するように設定されている。この対称性の為に各々のエネルギーでの格子縞g(V−v)+g(V−v)、格子縞g(V)+g(V)、および格子縞g(V−v)+g(V−v)は図5(A)の下段部に太線で示すように同位相で重なって結像される。従って、これらの強度和として観察される格子縞11の振幅cは最大である。
ところが、色消し条件から外れ透過波gと回折波gの対称性が崩れるにつれて、図5(B)、図5(C)では、格子縞g(V−v)+g(V−v)、格子縞g(V)+g(V)、および格子縞g(V−v)+g(V−v)の位相ずれが広がり、その結果、観察される格子縞11の振幅は図5(B)、図5(C)の順で減衰してゆく。この格子縞11の振幅Ψの減衰を透過波gと回折波gの成す角度2βと傾斜角度αを用いて表せば、式(9)となる。
Figure 0004920370
ただし、λは電子線波長、Δは色収差による電子顕微鏡の光軸方向の焦点広がりである。焦点広がりΔは、対物レンズの色収差係数Cと、加速電圧の安定度δV/V、対物レンズ励磁電流の安定度δI/I、電子の初期エネルギー分散δE/Vを用いて、式(10)で表される。
Figure 0004920370
一方、従来の方法で求められる図1(A)、(B)の減衰曲線図2a、2bは垂直に入射する透過波と散乱角度θ=λuの回折波との干渉で得られる振幅を空間周波数uに対してプロットしたものであった。この減衰曲線の大きさを式(9)と同様に書き表し、Φとすると、式(11)と表せる。
Figure 0004920370
式(9)と式(11)は良く似た形であり、両者を見比べるとθと4αβを入れ替えれば相互に、ΦとΨが置換されることがわかる。
式(11)に置いて情報伝達限界の定義は、Φが1/e(eは自然対数の底)まで減衰することであったから、本発明の測定において格子縞の振幅Ψが1/eまで減衰する傾斜角度αを決め、この傾斜角度をαとすれば、情報伝達限界を与えるθ=θを式(12)と表すことができる。
Figure 0004920370
従って情報伝達限界dは式(13)、
Figure 0004920370
もしくは、傾斜角度αと回折半角βを波数に変換して式(14)、
Figure 0004920370
で見積もることができる。回折角度2βは、結晶薄膜9での回折によって厳密に決められるので、情報伝達限界dはより厳密に定義できることになる。
なお、式(9)と式(11)の導出には、単純化のため電子線エネルギー分布の形を矩形的とした。式(9)と式(11)各々を現実的に使う為には、エネルギー分布も含めた式に考慮し直さなければならないが、式(12)はエネルギー分布を考慮しても成立することを付記する。
また上記の説明においては、透過波gと回折波gの干渉を想定して説明したが、必ずしも透過波と回折波を使用する必要はなく、2つの回折波gとgを用いても、同様に、測定を行うことができるし、2つの回折波gとg−1を用いてもできる。この場合、絞り装置10の構成が透過波gを遮断するものとする必要があるのは当然である。すなわち、結晶薄膜9は定義される2つの電子波をつくる電子線スプリッタとしての役目を果たしているに過ぎない。
従来の技術では、測定結果の試料依存性が強く情報伝達限界を精度良く定量的に決めることは非常に困難であった。さらに、将来収差補正技術の実用化によって電子顕微鏡の分解能が0.1nmを切るようになってくれば、従来の測定方法は限界を迎えることも予想された。これに対して本発明の測定法によれば、結晶の回折を用いて一定の回折条件で得られる電子線を用いて電子測定を行うので、精度良く定量的に電子顕微鏡の情報伝達限界を見積もることが可能である。また、測定に用いる回折の選択で、0.1nmを切る情報伝達限界の測定にも対処できる。後者の点については、実施例の中で具体的に例を挙げて説明する。
図6に、本発明による情報伝達限界測定実施のために必要となる透過型電子顕微鏡の装置構成を模式的に表す。透過型電子顕微鏡17は、電子線源30から入射する電子線4の入射角度を振るために結晶薄膜9より上に電子線偏向装置12を持ち、また結晶試料自体の角度を調節するため試料傾斜調整装置13を備えている。結晶薄膜9で電子線4は散乱され、回折電子線6となり対物レンズ7に入射する。回折波は上述の対物レンズ7の下段の絞り装置10によって選択され、対物レンズの像面8で選択された回折波の干渉として格子像を結像する。この格子像は下段の中間/投影レンズ14a、14bなどで拡大され、蛍光板等の観察装置15の上に投影される。さらに格子像を、フィルムカメラやCCDカメラ等の記録装置16によって記録し、画像より強度を測定して振幅を求める。
測定は、電子線偏向器12と試料傾斜調整装置13で結晶薄膜9での電子線回折条件を一定に保ちながら、電子線4を回折の面内で振って格子縞の強度の変化を測定する。このとき、上述の通り絞り装置10は、目的の回折波に追随して選択を維持するように動かす。これらの作業は、それぞれ手動で行っても構わないが、例えば電子線偏向器12の偏向角度、結晶薄膜9傾斜調整装置13の傾斜調整角度、絞り装置10の位置をそれぞれ検出する手段を備え、これらの信号に応じて、電子線偏向器12の偏向角度、結晶薄膜9傾斜調整装置13の傾斜調整角度、絞り装置10の位置を所定の関係に自動的に制御できる制御装置18を設け、上記の条件に従って自動的に測定条件を設定することも可能である。また、必要なら記録装置であるカメラ16の撮像制御も制御装置18により自動化することができる。
図7を参照して、具体的な測定手順を説明する。測定に用いる結晶薄膜9は結晶性の薄膜であれば良いが、
(1)質の高い単結晶薄膜を得易いこと、
(2)構成元素が重く十分な散乱が得られること、
(3)構造が比較的単純で、複雑な回折が励起されないこと、
(4)構造が安定であること、
などの利点から、電子顕微鏡の標準試料として良く用いられる金単結晶薄膜が適当である。図7で示す例では、Au(001)膜を用いるものとする。
まず、上述のように、多波干渉の複雑化をさけるため干渉させる二波を選択する。図7(A)において、19は、Au(001)膜に垂直に、(即ち[100]方位から)電子線を入射させて得られる電子回折パターンを模式的に表している。ここで、格子状に並ぶ黒点が透過電子線と回折電子線に対応するスポットで、円19aが、回折波を選択するための絞り穴を示す。以下の説明では、000(透過波)と200(回折波)の二波をこの絞り穴19aで選択し、その他の回折波は遮断している。このような回折波を選択する絞り装置としては、通常の透過電子顕微鏡装置が備える対物絞りを用いることができるが、適切な2波を選択するために絞り穴は必ずしも円形である必要はなく、長円形、長方形、或は2つ穴を用いる方が都合良い場合もある。また、用いる2波は、情報伝達限界の大凡の値が既知であれば、式(12)等から適当な相対回折ベクトル(gおよびg)を見積もり、これを考慮して選択することができる。
図7に示す例の場合、透過波000と回折波200で得られる格子縞は、二波干渉であるので、図7(B)に示すような正弦波的な強度変化をもった平行縞になる。ただし、図7(B)はマルチスライス法のシミュレーションによる格子像である。
上述のように、選択する回折波の組と結晶薄膜での回折条件を一定に保ちながら、(対物)レンズ7に対する電子線の入射角度を走査すると、この縞のコントラストは図7(B)a〜gのように変化する。このときの走査は電子回折パターン19の中で、電子顕微鏡の電圧軸等適切な光学中心を、図7(A)の点Aから点Bまで動かすことに対応する。この場合、測定者は下記のいずれかの方法をとることができる。
(1)電子回折パターンの移動を観察しながら入射電子線の傾斜角度αを適切に決めながら、この角度に対応した格子縞a〜gを得る。
(2)電子回折パターンから電子顕微鏡の電圧軸等適切な光学中心を決定したら、入射電子線の傾斜角度を変えながらこの角度に対応した格子縞a〜gを得る。
いずれの場合でも、上述の測定原理に従って、絞り穴19aは回折波の選択を維持するように、電子回折パターンの移動に追随して動かすとともに、結晶薄膜9の回折条件を固定するために、結晶薄膜9も入射電子線4の傾斜角度に対応して追随して傾斜させなければならない。
得られた格子縞のコントラストを、式(15)のように定義して入射電子線4の傾斜角度に従ってプロットすると、図7(C)のグラフに示す特性21のようになる。
Figure 0004920370
ただし、Imaxは、格子縞の最大強度、Iminは格子縞の最小強度である。また、図7(C)のグラフの横軸は、u=λαとして入射角を逆空間での波数で表した。グラフ中の特性21にa〜gを付す黒点が、図7(B)に示す電子顕微鏡像のa〜gの測定に対応する。また、図7(C)のグラフの特性21のピークcが基準とすべき色消し条件を表す。
一つには、このグラフから格子縞コントラストの減衰を直接調べ、これが1/eとなるuを見積もり、式(16)〜式(18)を用いて、情報伝達限界を求める。例えば、図7(C)のグラフの特性21の例では色消し条件のときのコントラストの波数とコントラストが1/eに減衰する波数をそれぞれu、uとして式(16)の値を得ることができる。
Figure 0004920370
また、β(uβ)は回折半角で定義されていることに注意して、式(17)が得られる。
Figure 0004920370
この結果、式(14)を用いて情報伝達限界は式(18)で表せる。
Figure 0004920370
ただし、この方法では既に減衰した箇所で格子縞のコントラストを評価しなければならないので、誤差が大きくなる可能性がある。
そこで、今ひとつの方法は、格子縞が十分なコントラストを持つ範囲で適切な関数でその減衰をフィッティングすることである。この関数は式(11)に対応するものであるが、フィッティングのためには式(9)と式(11)で無視した電子線のエネルギー分布も考慮した関数を用いるのが適当である。これを考慮すると式(9)と式(11)に対応する包絡関数は、それぞれ、式(19)、式(20)と表せる。
Figure 0004920370
Figure 0004920370
ここで再度、λは電子線波長、Δは焦点広がりである。焦点広がりΔを未定パラメータとして、式(20)で、図7(C)に示すグラフをフィッティングすると、焦点広がりΔ=4.31nmが得られる。
なお、このフィッティングカーブを図7(C)で示すグラフには破線21で示している。
式(19)に戻って情報伝達限界を考えると、式(21)より、式(22)が得られる。
Figure 0004920370
Figure 0004920370
以上の何れかの方法によって、本発明に従って情報伝達限界を決めることができる。
本発明を実施する一つの問題点は、試料結晶薄膜での回折条件を一定に維持して対物レンズ7を走査しなければならないことである。本発明で正しく情報限界を見積もるためには、入射電子線に対して結晶の角度がずれて回折の励起が変わったり、観察位置がずれて結晶薄膜厚が変化したり、結晶薄膜での回折条件が変わることで格子縞のコントラストが変化することは避けなければならない。しかしこれを観察領域ローカルで厳密に実行することは難しい場合がある。ただ、そのような場合でも、結晶薄膜が一般には有限の撓みをもっていることから、観察領域の中で同じ回折条件にある領域を選ぶことが可能であると考えられる。例えば、対物レンズ7の走査の各観察において場所が多少ずれた結果コントラストが急変する場合には、試料結晶薄膜の位置をわずかに変化させて、もっとも高いコントラストの格子縞が得られるように制御すれば、回折条件をほぼ一定に保った測定が可能であると期待できる。
本発明は透過型電子顕微鏡装置の情報伝達限界の測定法を明らかにするものである。本発明で測定可能となる情報伝達限界は、透過型電子顕微鏡の分解能を決める一指標であり、特に今後収差補正技術の普及により球面収差などレンズ収差による分解能限界が緩和される状況においては実質的な装置の分解能を与えることになる。
電子顕微鏡の分解能を、位相伝達関数を用いて説明する図である。 ディフラクトグラムを用いた従来の情報伝達限界測定例を示す図である。 ディフラクトグラムを用いた従来の情報伝達限界測定方法を説明する図である。 結晶薄膜からの回折から結晶格子縞を得ることを説明する図である。 本発明の情報伝達限界測定原理を説明する図である。 本発明による情報伝達限界測定を適用するための装置構成を示す図である。 本発明による情報伝達限界測定の適用例を示す図である。
符号の説明
1a…従来の透過型電子顕微鏡における位相コントラスト伝達関数、1b…球面収差補正透過型電子顕微鏡における位相コントラスト伝達関数、2a…従来の透過型電子顕微鏡におけるエネルギー分散に対応するコントラスト減衰関数、2b…球面収差補正透過型電子顕微鏡におけるエネルギー分散に対応するコントラスト減衰関数、3a…従来の透過型電子顕微鏡における角度分散に対応するコントラスト減衰関数、3b…球面収差補正透過型電子顕微鏡における角度分散に対応するコントラスト減衰関数、4…入射電子線、5…測定試料(アモルファス薄膜)、g…透過電子線、g…回折電子線、g−1…回折電子線、7…対物レンズ、8…電子顕微鏡像、9…測定試料(結晶薄膜)、10…対物レンズ絞り、11…電子顕微鏡像(結晶格子縞)、12…電子線傾斜調整機構(偏光器)、13…試料傾斜機構、14a…投影レンズ、14b…投影レンズ、15…観察面、16…カメラ、17…電子顕微鏡鏡体、18…測定制御装置、19…Au(100)薄膜による電子回折パターン、19a…対物絞り穴、20…結晶格子像、21…結晶格子像コントラストの変化を示すグラフ。

Claims (8)

  1. 透過型電子顕微鏡において、格子定数と構造が既知の結晶薄膜を評価試料に用い、観察される結晶格子縞のコントラストを測定して、当該透過型電子顕微鏡装置の情報伝達限界を測定する測定法であって、
    入射電子線と前記結晶薄膜との角度を一定にしつつ、前記入射電子線が前記結晶薄膜に照射される位置を不動点として前記入射電子線と前記結晶薄膜とを傾斜させ、
    前記結晶薄膜を透過もしくは回折する電子線の特定の二波を選択して格子像結像せしめる時の、前記結像される結晶格子縞コントラストの変化を調べて、情報伝達限界を測定する情報伝達限界測定法。
  2. 前記入射電子線の入射角度のうち前記結晶薄膜を透過もしくは回折する電子線の特定の二波が色消し条件にあるときの角度を基準入射角度とし、
    前記結像される結晶格子縞コントラストが前記基準入射角度の時のコントラストに対して1/eとなる入射電子線の傾斜角度α、もしくは対応する波数α0=α/λ決め、
    これらと測定に用いる格子縞間隔ddfに対応する回折半角β、もしくは波数uβを式(1)とし、
    Figure 0004920370
    式(1)を用いて、eを自然対数の底、λを電子線波長として、情報伝達限界dを式(2)として求める請求項1記載の情報伝達限界の測定方法。
    Figure 0004920370
  3. 前記入射電子線の入射角度のうち前記結晶薄膜を透過もしくは回折する電子線の特定の二波が色消し条件にあるときの角度を基準入射角度とし、
    前記基準入射角度と入射電子線の傾斜角度αもしくはこれに対応する波数uα=α/λに対する格子縞コントラストの変化を、未定定数である焦点広がりΔを含む関数形である式(3)
    Figure 0004920370
    でフィッティングすることで未定定数である焦点広がりΔを決め、uβを測定に用いる格子縞間隔ddfに対応する波数uβ=1/ddfとし、λを電子線波長として、情報伝達限界dを式(4)として求める請求項1記載の情報伝達限界の測定方法。
    Figure 0004920370
  4. 電子線源と、該電子線源から放射される電子線を入射される結晶薄膜、該結晶薄膜に入射する電子線の角度を振るために前記結晶薄膜より前記電子線源側に設けられた電子線偏向装置、前記電子線源に光軸に対して前記結晶試料の角度を調節するため試料傾斜調整装置、前記結晶薄膜で散乱された回折電子線が入射する対物レンズ、前記対物レンズの前記電子線源の反対側に設けられ前記回折電子線を選択するとともに前記結晶薄膜に入射する電子線の角度に応じて位置を変更可能な絞り装置、前記対物レンズの像面に得られる前記選択された回折波の干渉としての格子像を観察するための観察装置を備える透過型電子顕微鏡であって、
    格子定数と構造が既知の結晶薄膜を評価試料に用い、入射電子線と前記結晶薄膜との角度を一定に維持しながら、前記入射電子線が前記結晶薄膜を照射する位置を不動点として前記入射電子線と前記結晶薄膜とを傾斜させ、前記結晶薄膜を透過もしくは回折する電子線の特定の二波を選択して格子像結像せしめる時の、前記結像される結晶格子縞コントラストの変化を調べて、情報伝達限界を測定する透過型電子顕微鏡。
  5. 前記入射電子線の入射角度のうち、前記結晶薄膜を透過もしくは回折する電子線の特定の二波が色消し条件にあるときの角度を基準入射角度とし、
    前記結像される結晶格子縞コントラストが前記基準入射角度の時のコントラストに対して1/eとなる入射電子線の傾斜角度α、もしくは対応する波数α0=α/λ決め、これらと測定に用いる格子縞間隔ddfに対応する回折半角β、もしくは波数uβを式(5)とし、
    Figure 0004920370
    式(5)を用いて、eを自然対数の底、λを電子線波長として、情報伝達限界dを式(6)として求める請求項4記載の透過型電子顕微鏡。
    Figure 0004920370
  6. 前記入射電子線の入射角度のうち前記結晶薄膜を透過もしくは回折する電子線の特定の二波が色消し条件にあるときの角度を基準入射角度とし、
    前記基準入射角度と入射電子線の傾斜角度αもしくはこれに対応する波数uα=α/λに対する格子縞コントラストの変化を、未定定数である焦点広がりΔを含む関数形である式(7)
    Figure 0004920370
    でフィッティングすることで未定定数である焦点広がりΔを決め、uβを測定に用いる格子縞間隔ddfに対応する波数uβ=1/ddfとし、λを電子線波長として、情報伝達限界dを式(8)として求める請求項4記載の透過型電子顕微鏡。
    Figure 0004920370
  7. 前記透過型電子顕微鏡装置において、前記電子線偏向器、前記試料傾斜調整装置と前記電子線絞り装置を連動させて制御するための制御システムを持つ請求項4記載の透過型電子顕微鏡。
  8. 前記結晶薄膜が金単結晶薄膜である請求項4記載の透過型電子顕微鏡。
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