JP3422045B2 - 組成及び格子歪測定用電子顕微鏡及びその観察方法 - Google Patents

組成及び格子歪測定用電子顕微鏡及びその観察方法

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JP3422045B2
JP3422045B2 JP14885393A JP14885393A JP3422045B2 JP 3422045 B2 JP3422045 B2 JP 3422045B2 JP 14885393 A JP14885393 A JP 14885393A JP 14885393 A JP14885393 A JP 14885393A JP 3422045 B2 JP3422045 B2 JP 3422045B2
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/252Tubes for spot-analysing by electron or ion beams; Microanalysers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/26Electron or ion microscopes; Electron or ion diffraction tubes

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は結晶成長を用いるデバイ
ス、特に高移動度トランジスタや超高速半導体レーザの
ような歪超格子を利用するデバイスにおけるヘテロ界面
や薄膜内の微小部の組成及び格子歪構造を定量解析する
ことにより、プロセスのチェックや最適化さらにはデバ
イス設計の指針を与える組成及び格子歪測定用電子顕微
鏡装置及びその観察方法に関する。
【0002】
【従来の技術】歪超格子デバイスの薄膜内やヘテロ界面
近傍の組成分布や格子歪構造を評価するには、デバイス
断面構造と対応させながら、高い深さ分解能で組成や格
子歪構造を測定できる技術が必要である。この要求に答
えるために、これまで電子顕微鏡を用いた幾つかの測定
法が発明されてきた。例えば特開昭62-26755記載の「電
子顕微鏡による組成の定量分析法」は、くさび形にへき
開した試料片の透過電子顕微鏡(以下略してTEM)像上に
現われる等厚干渉縞を検出し、該等厚干渉縞の強度分布
が組成によって変化する現象を利用して、薄膜内やヘテ
ロ界面近傍における組成変化を測定していた。また、ジ
ャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジク
ス 第31巻 L52-L55ページ (Japanese Journal of Appl
iedPhysics,Vol.30,1991,pp.L52-L55) に記載の格子歪
測定法は、前記等厚干渉縞の強度分布が格子歪による格
子面の僅かな傾斜によって変化する現象を利用して、格
子歪分布を格子面傾斜量として0.5nmの深さ分解能で測
定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記2つの従来技術で
用いている透過電子顕微鏡は、ごく一般的な標準仕様を
持つタイプであり、電子線を試料に照射したときに発生
する多数の回折波及び透過波のうち、1つあるいは複数
の波を1つの対物絞りで選択して1つの電子顕微鏡像を
結像する。回折波のみを用いて結像する暗視野像と透過
波のみを用いて結像する明視野像を観察する場合は、各
々の結像に必要な結晶面指数の回折波あるいは透過波の
位置に対物絞りを移動する。従って、暗視野像と明視野
像を同時に観察して、種々の結晶面指数の情報を同時に
得ることはできない。また、対物絞りの移動によって複
数の暗視野像と明視野像を観察する場合は、操作に長時
間要するため試料状態が変化する可能性があり、同一条
件下での各像の比較が困難である。
【0004】また上記従来技術の情報としては、組成変
化のみが存在して格子歪がない領域の組成分布測定、あ
るいは格子歪のみが存在して組成変化のない領域の格子
歪分布測定は可能であるが、両者が混在する領域では各
々を分離して観察することができないため、各々の分布
を定量的に解析することもできない。また上記格子歪測
定法は、各面指数の格子面の傾斜角度について平均した
情報しか得られないので、格子面傾斜の面指数依存性
(傾斜の方向)や3次元的な格子歪構造を解析することは
できない。
【0005】さらに上記従来技術では、くさび形試料片
の電子顕微鏡像上に現れる等厚干渉縞の強度分布を観察
者が写真上で測定し、該強度分布と電子回折理論を用い
て求めた計算像の強度分布を比較して組成あるいは格子
歪分布の定量解析を行なう。このため、像解析には熟練
した観察者が必要であり、また、解析結果を観察者以外
の者が理解することも困難であった。
【0006】本発明の目的は、種々の面指数の回折波お
よび透過波を用いて結像した複数の暗視野像および明視
野像を同時に観察し、該複数像の差あるいは組合せか
ら、試料中の組成及び格子歪分布を分離して定量解析
し、該解析結果を熟練者でなくとも容易に理解できる形
で表示する装置及び方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】電子顕微鏡に、くさび形
試料を固定するための専用治具を備えた試料ホルダ、対
物絞りを所望の回折波及び透過波の位置に高速移動する
手段と該対物絞りの移動と同期して複数の暗視野像と明
視野像を重なることなく識別して検出する電子線検出
器、および該対物絞りと電子線検出器を制御するための
計算機を設ける。該計算機には、電子顕微鏡像上に現れ
る等厚干渉縞を画像処理し解析するソフトウエアおよび
表示手段からなる。
【0008】組成及び格子歪を含む試料から上記電子顕
微鏡によって複数の暗視野像と明視野像を観察し、該観
察像上における等厚干渉縞の強度分布が組成及び格子歪
によってどのように変化するかを測定する。該等厚干渉
縞の変化は組成による結晶構造因子の変化および格子歪
による電子回折のブッラグ条件の変化が、試料内におけ
る電子回折現象を変化させるために起こる。試料に組成
変化と格子歪の両方が混在するかどうかの判定は、互い
に逆符号の面指数の暗視野像の比較により行なう。格子
歪による等厚干渉縞の強度分布変化は、電子回折のブラ
ッグ条件の変化すなわち格子面傾斜のみに依存すること
から、組成変化と格子歪が混在している場合には、試料
を少しずつ傾斜させ、様々な電子回折のブラック条件に
おける等厚干渉縞の強度分布を解析し、格子歪を組成変
化と分離して測定する。該測定を種々の面指数の格子面
について実行し3次元的な格子歪情報を得る。
【0009】上記プロセスで測定された格子歪分布すな
わち格子面の傾斜角度分布を用いて、等厚干渉縞の強度
分布変化から格子歪の影響を除去した等厚干渉縞を再構
成し、組成変化の解析を行う。
【0010】組成及び格子歪の定量解析と高精度化は、
組成及び格子歪分布を仮定した結晶モデルに対して電子
回折理論を用いて計算した等厚干渉縞強度分布と上記実
測した強度分布の一致度の比較により行なう。得られた
解析結果を試料の断面構造と対応させて3次元格子モデ
ル及びラインプロファイルとしてCRT上に表示する。
【0011】
【作用】対物絞りの高速移動手段と該対物絞りの動きと
同期して動作する電子線検出器を備えた電子顕微鏡によ
り、複数の面指数の暗視野像と明視野像を殆ど同時に観
察できるので、組成及び格子歪変化の有無を判定するこ
とが従来比数十分の一以下の時間で可能となる。従っ
て、観察時間の短縮ばかりでなく、試料への電子線照射
ダメージの低減にも効果がある。さらに、組成及び格子
歪を観察する電子顕微鏡として、どの面指数の暗視野像
あるいは明視野像が高感度かつ鮮明で最適あるかを、各
像の同時比較によって即座に決定できる。
【0012】上記複数の面指数の暗視野像と明視野像の
差あるいは組合せから、組成と格子歪を分離して測定す
ることが可能となるので、両者が混在する試料にも対応
できる。分離して測定された組成と格子歪の情報は電子
回折理論を用いた計算を併用して各々定量的に解析で
き、特に格子歪については種々の面指数の情報を総合し
て3次元格子歪構造の解析も可能となる。
【0013】上記像解析工程は、電子顕微鏡に付設の計
算機に搭載した画像処理及び解析ソフトウエアにより行
なわれるので、従来のように熟練した観察者を必要とし
ない。また、組成と格子歪の解析結果を試料の断面構造
と対応させてラインプロファイル及び3次元格子モデル
としてCRT上に表示するので、例えば、多層構造のど
の界面位置でどのような分布で組成や格子歪が変化して
いるかを容易に理解することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明装置の実施例を図を用いて説明
する。図1は本発明の実施例で用いた電子顕微鏡基本構
成である。装置は、熱電界放出型電子銃1、電子レンズ
2、2軸傾斜試料ホルダ3、試料冷却機構4、試料傾斜機構
5、対物絞り6、対物絞り微動機構7、電子線検出器8、制
御用及び画像処理用計算機9、画像表示装置10から構成
されている。電子線源には高輝度な熱電界放出型電子銃
1を用い、試料ホルダ3には高密度電子線の照射による試
料損傷を防ぐための試料冷却機構4が設けられている。
また試料ホルダ2は図2のような構成をしている。2軸傾
斜機構を備えられており、試料片12を設置する台15はく
さび形にへき開した試料片の断面を入射電子線に対して
ほぼ45度に固定できるようになっており、試料片2を固
定するための板バネ16が取り付けられている。対物絞り
微動機構7は、エンコーダ、アクチュエータ、ステップ
モータから成り、1μm以下の位置精度で毎秒10箇所以上
の位置設定が可能である。対物絞り6は対物絞り微動機
構7によって所望の面指数の回折波及び透過波の位置に
高速移動し、各面指数に対応する暗視野像と明視野像を
次々と電子線検出器8上へ投影する。電子線検出器8は対
物絞り6の位置と同期して画像信号を出力し、前記複数
の暗視野像と明視野像が重なることなく表示画面10へ送
信される。これらの対物絞り6の位置及び表示画面10は
制御用計算機9によって制御されている。例えば図3(a)
の様に、対物絞りを(00n)回折波13の位置まで移動させ
た時の00n暗視野像の画像信号を左の表示画面10に表示
し、次の00n暗視野像の画像信号が送られてくるまで表
示しておく。次に図3(b)の様に、対物絞り6を(00-n)回
折波の位置まで移動させた時の00-n暗視野像の画像信号
を右の表示画面10に表示し、次の画像信号が送られてく
るまで表示しておく。図3(a)及び(b)の状態を交互に一
定時間間隔で実現する事により、同一試料からの(00n)
暗視野像と(00-n)暗視野像を左右の表示画面に殆ど同時
に表示、観察する事とすることが出来る。電子線検出器
9には、例えばslow-scanCCDの様な、画素数が少なくと
も1000*1000以上の高感度で線形性の良好な受光器を用
いる。表示画面10は複数の表示領域を持ち、それぞれの
表示領域に様々な観察像及び解析像を同時に表示出来
る。また画像処理ソフトを用いる事によって、同じ表示
領域に観察像及び解析像を重ね合わせて表示する事も出
来る。
【0015】次に本発明の測定法の実施例を、化合物半
導体歪超格子試料を例にして説明する。
【0016】まず、試料作製法について説明する。基板
上に形成した試料をへき開して、くさび形に切り出す。
一般に基板として用いられる GaAs、InP結晶は、表面が
(001)面であり、(110)、(1-10)、(-110)、(-1-10)面が
容易へき開面である。該表面及び該壁界面同士は互いに
直交しているので、スクライバ等により表面にけがき傷
をいれてへき開すると、へき開面に試料断面構造が露出
した、くさび形試料片12が切り出される。くさび先端20
の角度は90度であり、へき開面は原子オーダで平坦とな
るため、くさび先端20から試料厚さは直線的に増加す
る。
【0017】次に、入射電子線11を前記試料片の断面に
入射角度を制御して照射する方法を、図4を用いて説明
する。くさび形試料片2を2軸傾斜可能な試料ホルダ3上
の試料固定台51にへき開面が上向きになるように固定
し、透過電子顕微鏡の試料室に挿入する。電子線に入射
方向をu、結晶の成長方向をv、くさび先端から試料厚さ
が増大する方向をwとする。数百kVに加速した電子線1
1を、上記へき開面に対して45度の角度で、つまりu方向
から、くさび先端部の試料厚さが薄い部分に入射する。
へき開面は上記4つの面指数のうちどれかであるから、
電子線11は[100]、[010]、[0-10]、[-100]方向のうちど
れかから入射することになる。試料片12に対する電子線
11の入射角度の微調整は、回折パターンを観察しながら
2軸傾斜ホルダ3の傾斜機構を用いて行なう。回折パター
ンには、試料が薄い場合には回折スポット27が現われ、
試料が厚い場合には菊池パターン28が現われる。電子線
入射位置をくさび先端から厚さが増大する方向(w方向)
に移動させながら回折パターンを観察し、回折スポット
27と菊池パターン28の強度が同程度に現われる厚さ位置
を選択する。電子線入射角度が変化した時、回折スポッ
ト27の強度は変化するが位置は変化しない。一方菊池パ
ターン28の強度は変化しないが位置が変化するという性
質がある。例えば電子線11の入射方向が格子面に対して
平行であれば、図5(a)に示す様に回折スポット27の対称
中心と菊池パターン28の対称中心は一致する。しかし、
電子線11の入射方向が格子面と平行でない場合、図5(b)
の様に回折スポット27の対称中心と菊池パターン28の対
称中心がずれる。これを利用すれば、回折スポット27と
菊池パターン28の位置関係から、試料片12に対する電子
線11の入射角度のずれを1〜2mradの精度で判定できる。
該入射角度のずれを、2軸傾斜ホルダ3を用いて試料片12
を傾斜することによって補正する。図形の対称性を判別
する解析ソフトを用いれば、回折パターンを計算機に取
り込んで回折スポット27の対称中心と菊池パターン28の
対称中心を検出し、両者が一致する様に2軸傾斜ホルダ3
を傾斜させる工程を自動的に行える。試料片12次に対物
絞り6を挿入し、絞り内に透過波あるいは回折波のみを
取り入れて結像させ、倍率5〜6万倍の透過像19を観察す
る。図4に示すように、透過像19には歪超格子試料の断
面構造、例えばヘテロ界面22が観察されると同時に、電
子回折効果によって現われる等厚干渉縞23が観察され
る。
【0018】等厚干渉縞23の発生メカニズムは、電子回
折現象によって以下のように説明される。結晶内を通過
する透過波及び回折波の強度は、多重散乱効果により厚
さ方向(u方向)に周期的に変動する。透過像19には試料
下面から出射する時の透過波及び回折波の強度が反映さ
れる。従って厚さが直線的に増加しているくさび形試料
片12では、厚さによって出射してくる透過電子の強度が
異なり、それが透過像19上ではw方向に周期的な明暗の
コントラスト、つまり等厚干渉縞23となって現われる。
簡単のために2波近似(結晶内における電子波として、
透過波と1つの強い回折波のみが存在する場合)を用い
ると、結晶内における電子波強度は消衰距離Dと呼ばれ
る周期で振動する。減衰距離Dは元素組成や回折条件に
よって敏感に変化する。元素組成や回折条件によって変
化するためである。結晶がAx1-x(xは組成を示す)
の場合、消衰距離Dは以下の式で表せる。
【0019】
【数1】
【0020】ここでfA、fBはA及びB原子の原子散乱
因子、Wは電子回折条件を表す関数、θは結晶面に対す
る電子線11の入射角度である。組成xが変化すると第1
項の結晶の電子散乱能が変化する。また格子歪がある
と、格子整合させるために格子面は局所的に傾斜し、電
子線11の入射角度θが変化するため第2項の電子回折条
件が変化する。組成変化及び格子面傾斜によって消衰距
離Dが変化すると、透過像19上の等厚干渉縞23周期が変
化する。例えばくさび先端から1本目の等厚干渉縞まで
の距離をtとすると、消衰距離がD1からD2に変化する
と等厚干渉縞23の距離はt1からt2に変化する。従って等
厚干渉縞23の距離tが変化している領域では、組成変化
もしくは格子面傾斜が発生していると判定される。
【0021】ヘテロ界面近傍では組成が変化する。また
格子歪によって3次元的に配置している様々な面指数の
格子面が傾斜する。前記等厚干渉縞23の距離tの変化に
は、これら組成変化と様々な面指数の格子面傾斜の情報
が混在している。これらを分離して測定出来なければ、
ヘテロ界面近傍の組成分布及び格子歪構造の解析は出来
ない。
【0022】そこで本発明では、明視野像に加え種々の
面指数の暗視野像も観察し、かつ様々な回折条件で観察
して、それぞれの観察像上の等厚干渉縞23の差を解析す
る事により、試料の組成と格子歪を分離し、かつ定量解
析する。結晶に入射した電子線は様々な面指数の格子面
によって回折されて回折波となり、残りは透過波とな
る。あるkhl格子面で回折された(khl)回折波で結像した
透過像をkhl暗視野像、透過波で結像した透過像を明視
野像という。khl暗視野像にはkhl格子面の情報が反映さ
れる。一方、透過波は全ての面指数の回折波と相互作用
するため、明視野像には全ての面指数の格子面の情報が
反映される。前記2つの従来技術ではある1つの回折条
件で観察した明視野像上の等厚干渉縞だけで解析を行っ
ていた。そのため各面指数の格子面傾斜の情報を分離し
て測定することは出来なかった。
【0023】本発明では、前記の対物絞り微動機構7、
電子線検出器8、制御用及び画像処理用計算機9、画像表
示装置10を用いて、図6に示す手順で各面指数の暗視野
像および明視野像上の等厚干渉縞を観察、解析する。ま
ず等厚干渉縞23の位置tが変化している領域を検出す
る。次に格子歪有無の判定を或る格子面の表面からの回
折波で結像した暗視野像と裏面からの回折波で結像した
暗視野像、すなわち互いに逆符号の暗視野像の比較によ
り行なう。格子歪が無い場合は、従来技術による組成分
布解析を行なう。格子歪がある場合は、様々な面指数の
暗視野像を様々な回折条件で観察する事により、各面指
数ごとの格子面傾斜角度分布を分離して測定する。得ら
れた様々な面指数の格子面傾斜角度分布の測定結果をも
とに3次元格子歪構造解析を行う。また各面指数の格子
面傾斜角度分布を用いて格子歪の影響を除去した等厚干
渉縞を再構成し、該再構成された等厚干渉縞から、組成
分布を解析する。
【0024】以下に、各観察及び解析工程の詳細を説明
する。
【0025】先ず、どの面指数の暗視野像あるいは明視
野像が試料の組成及び格子歪の観察に適当かを選択す
る。組成変化や格子面傾斜に対する等厚干渉縞23の距離
tの変化量は試料の結晶構造によって異なるからであ
る。組成分布の解析は、組成変化に対する等厚干渉縞23
の距離tの変化量が最も大きくなる面指数の暗視野像ま
たは明視野像で行う。一方、格子面傾斜に対する等厚干
渉縞23の距離tの変化量は、高次の面指数の暗視野像ほ
ど大きくなるが、高次の回折波は電子線強度が非常に弱
いため、等厚干渉縞23のコントラストが小さくなり、像
が不鮮明になる。格子面傾斜量の解析に用いる暗視野像
の面指数は、前記の条件を考慮して決定する。上記の選
択工程に、電子回折理論による計算を用いると効率的で
ある。
【0026】次にある面指数の格子面が格子歪によって
傾斜してるか否かの判別法について説明する。まず、格
子面傾斜と等厚干渉縞23の距離tの変化について考察す
る。図7の様に(00n)格子面24が格子歪によって左右の歪
領域で対称に傾斜している場合について考える。この結
晶に入射した電子線11は(00n)格子面24の表面と裏面に
よって回折され、それぞれ(00n)回折波13と(00-n)回折
波14なり、残りは透過波となる。まず(00n)回折波13で
結像した00n暗視野像19上の等厚干渉縞23の距離tの変化
に注目する。左に歪領域、結晶の両端及び中央部の無歪
領域、及び右の歪領域における00n回折波のBragg回折条
件を見てみる。00n回折波のBragg回折条件からのずれ量
は00n回折波のBragg反射角からの格子面のずれ角で表
す。左の歪領域におけるずれ角はθ11=0)であり、
無歪領域ではずれ角はθ2(|θ2|>|θ1|)となり、右の歪
領域ではずれ角θ3は(|θ3|>|θ2|)となる。ずれ角が0
に近づくと式(1)の電子回折条件Wが小さくなり、消衰
距離Dが大きくなるため、等厚干渉縞23の距離tは長く
なる。左の歪領域におけるずれ角θ1=0では等厚干渉縞
の距離t1となり、最も長くなる。無歪領域におけるずれ
角θ2では等厚干渉縞の距離t2となり、t1よりも短くな
る。右の歪領域におけるずれ角θ3では等厚干渉縞の距
離t3となり、t2より更に短くなる。
【0027】次に(00n)格子面の裏面である(00-n)格子
面からの回折波(00-n回折波14)で結像した00-n暗視野像
19の等厚干渉縞23の位置tの変化に注目する。今度は00-
n回折波のBragg条件、つまり00-n回折波のBragg反射角
からの格子面のずれ角を見てみると、右の歪領域におけ
るずれ角はθ1=0であるので等厚干渉縞の距離はt1とな
り、無歪領域におけるおけるずれ角はθ2であるので等
厚干渉縞の距離はt2となり、左の歪領域におけるずれ角
はθ3であるので等厚干渉縞の距離はt3となる。従っ
て、00n暗視野像19上の等厚干渉縞23とはちょうど逆転
した形状になる。この00±n暗視野像19上の等厚干渉縞2
3の距離tの差について考察する。等厚干渉縞23の距離t
の差は消衰距離の差であり、消衰距離を決定する主な要
因は結晶の電子散乱能と電子回折条件である。同じ領域
を通過した00±n回折波13、14の結晶の電子散乱能は等
しい。しかし00±n回折波13、14ではBragg反射角が異な
るため、電子回折条件には差が生ずる。左の歪領域では
00n回折波13のBragg反射角からのずれ角はθ1=0である
ため、00n暗視や像上の等厚干渉縞23の距離はt1と長く
なるが、00-n回折波14のBragg反射角からのずれ角はθ3
となるため、00-n暗視や像上の等厚干渉縞23の距離はt3
と短くなる。一方(00n)格子面24が入射電子線11に対し
て平行な領域では、00±n回折波13、14のBragg反射角か
らのずれ角は共にθ2となっており、等厚干渉縞23の距
離は共にt2となる。つまり00±n暗視野像19上の等厚干
渉縞23の距離tが等しいと(00n)格子面24が入射電子線11
に対して平行であり、差があると傾斜していると判定さ
れる。(00n)格子面24の傾斜方向は、等厚干渉縞23の距
離tが長くなる面指数の回折波のBragg条件が満たす方向
である。前記の逆符号の暗視野像上の等厚干渉縞23の距
離tの差を利用すると、格子歪による格子面傾斜と組成
変化が同時に起こっている領域でも格子面傾斜方向を判
別出来る。
【0028】次に格子面傾斜角度分布を定量測定する。
くさび形試料片12を様々な傾斜角度で観察した時の等厚
干渉縞23の距離tの変化から格子面傾斜角度分布を測定
する。格子面傾斜角度分布の測定法としては2つの方法
が考えられる。
【0029】一つは前記の逆符号の暗視野像19上の等厚
干渉縞23の距離tの差を利用する方法である。図8の様
に中央部の格子面24が傾斜している場合の、00±n回折
波13、14で結像した00±n暗視野像19上の等厚干渉縞23
の距離tの変化について考察する。試料片12を傾斜して
いない場合(図8(a))、試料片12の両端部分の格子面24が
入射電子線11に対して平行になっている。従って試料片
12の両端部分では、00±n暗視野像19の等厚干渉縞23の
距離は一致し、あるt1という値を持つ。試料片12を図8
(b)の様に傾斜させると、入射電子線11に対して格子面2
4が平行になる位置は試料片12の中央部に移動する。そ
のため試料片12の中央部で00±n暗視野像19上の等厚干
渉縞23の距離は一致し、あるt2という値になる。試料片
12の両端部分と中央部で組成が異なる場合、t1とt2は異
なりはするが、入射電子線11に対して格子面24が平行に
なると00±n暗視野像19上の等厚干渉縞の距離tが一致す
るという現象は変わらない。試料片12の中央部と両端部
分における格子面傾斜角度の差は、図8(a)と図8(b)にお
ける試料片12の傾斜角度の差Δθである。上記原理を利
用し、図9に示す手順で格子面傾斜角度分布を測定す
る。試料片12を傾斜させながら、各領域において±00n
暗視野像19上の等厚干渉縞23の距離tが一致する試料片
傾斜角度θを検出する。ヘテロ界面から充分離れた無歪
領域における試料片傾斜角度をθ0とすると、歪領域に
おける格子面傾斜角度はθ-θ0となる。
【0030】もう一つの格子面傾斜角度測定法は、格子
面24のBragg反射角からのずれ角が0の時に等厚干渉縞2
3の距離tが最も長くなる現象を利用する方法である。図
10の様に中央部の格子面24が傾斜している試料片12から
出射する00n回折波13で結像した00n暗視野像19上の等厚
干渉縞23の距離tの変化について考察する。試料片12が
傾斜していない場合(図10(a))、中央部の格子面24のBra
gg反射角からのずれ角は0となる。従って試料片12を様
々に傾斜させた中で、試料片12が図10(a)の状態にある
時に試料片12の中央部の等厚干渉縞23の距離は最も長く
なり、あるt1という値になる。次に試料片12を図10(b)
の様に傾斜させた場合を考えると、前記ずれ角が0とな
る領域は両端部分になっている。従って等厚干渉縞23の
距離がtが最も長くなっている領域は両端部分であり、
あるt2という値になる。この場合も、試料片12の両端部
分と中央部で組成が異なる場合、t1とt2は異なりはする
が、ずれ角が0である時に等厚干渉縞の距離tが最も長
くなるという現象は変わらない。試料片12の中央部と両
端部分における格子面傾斜角度の差は、図10(a)と図10
(b)における試料片12の傾斜角度の差Δθである。上記
原理を利用し、図11に示す手順で格子面傾斜角度分布を
測定する。試料片12を傾斜させながら、各領域において
等厚干渉縞23の距離tが最も長くなる試料片傾斜角度θ
を検出する。ヘテロ界面から充分離れた無歪領域におけ
る試料片傾斜角度をθ0とすると、歪領域における格子
面傾斜角度はθ-θ0となる。
【0031】次に、3次元格子歪構造解析を行う。前記
格子面傾斜角度測定法を用いれば、組成変化と様々な面
指数の格子面傾斜が混在している領域でも、解析したい
面指数の格子面傾斜角度分布を個別に測定できる。その
測定結果をもとに、3次元格子歪構造を構築する。例え
ば、先程の(00n)格子面24と、それと直交する(0n0)格子
面25の格子面傾斜角度分布を測定する。図12のように(0
0n)格子面24は左右の歪領域で反対方向に、(0n0)格子面
25は同じ方向に傾斜していると測定された場合、これら
の測定解析結果を総合すると図12のような3次元歪構造2
6が構築できる。更に様々な面指数の格子面を解析する
ことによって、より詳細な3次元歪構造解析が行える。
【0032】次に組成分布を解析するために、観察され
た等厚干渉縞23から格子歪の影響を除去し、組成変化の
影響だけを反映した等厚干渉縞23を再構成する工程を説
明する。該再構成の工程を図13に示す。格子歪は結晶成
長方向(v方向)に分布をもつため、格子歪が等厚干渉縞
に与える影響は各領域によって異なるので、まず等厚干
渉縞23を成長方向(v方向)に分割する。格子歪の影響と
は格子面の局所的な傾斜であるので、格子面傾斜角度が
全ての領域で一定になるように等厚干渉縞23を補正すれ
ば、格子歪の影響を除去した事になる。格子面傾斜角度
分布は前記の方法によって解析されているので、分割さ
れた各領域の格子面傾斜角度は概知である。格子面傾斜
角度が設定された一定角度になる様に試料片12を傾斜さ
せ、その時の等厚干渉縞23を各領域ごとに記録する。該
格子面傾斜角度一定の条件で記録された各領域の等厚干
渉縞23をつなぎ合わせると、格子面傾斜角度一定、つま
り格子歪の影響を除去した等厚干渉縞23になる。該等厚
干渉縞23の距離tの変化は組成変化のみを反映してい
る。
【0033】最後に組成分布の定量解析を行う。まず、
電子回折理論を用いたシュミレーションを行い、組成変
化量と等厚干渉縞23の距離tの変化量の対応関係を求め
る。このシミュレーション結果を用いれば、再構成され
た等厚干渉縞23の距離tの変化量から組成の成長方向(v
方向)の分布が解析される。
【0034】尚、等厚干渉縞の強度分布には試料表面近
傍の格子歪緩和の影響が含まれている。この影響は試料
の結晶構造のよっても異なる。表面近傍における格子歪
緩和が顕著な試料においては、表面近傍の格子歪緩和を
考慮した格子歪モデルを仮定してシミュレーションを行
い、測定された各面指数の格子面傾斜角度を補正する必
要がある。この補正によって、試料バルク部分の格子歪
構造を正確に解析することが出来る。
【0035】本発明は電子顕微鏡の持つ空間分解能(約
0.5nm)で、組成分布及び格子歪構造を解析解析出来る。
従って試料断面構造と組成分布及び格子歪構造の解析結
果を表示画面10上に同時に表示し、断面構造と対応させ
ながら評価することが出来る。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、くさび形試料片の透過
型電子顕微鏡像上に現われる等厚干渉縞から、デバイス
断面構造に対応した組成分布と格子歪構造を、約0.5nm
の空間分解能で定量解析できる。従来法では組成変化と
格子歪による格子面傾斜が同じ領域で発生すると、その
領域の組成分布及び格子歪分布の解析は不可能となって
しまった。しかし本発明法では各面指数ごとの格子面傾
斜量を個別に解析できるので、3次元的な格子歪構造解
析、格子歪の影響を除去した等厚干渉縞の再構成、再構
築した等厚干渉縞を用いた組成分布の定量解析が行え
る。従って、これまで解析不可能であった様々な歪超格
子の解析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体構成図。
【図2】2軸傾斜試料ホルダの構成図。
【図3】同一試料片の面指数の異なる複数の暗視野像を
同時に表示するための制御機構を示す構成図。
【図4】回折スポットと菊池パターンの位置関係を示す
説明図。
【図5】くさび形試料片に電子線を入射し、透過像を得
る工程を示す説明図。
【図6】本発明における測定及び解析工程を示す説明
図。
【図7】格子面が一部傾斜した試料における逆符号の暗
視野像上の等厚干渉縞の距離を示す説明図。
【図8】試料片を傾斜させた時の、逆符号の暗視野像上
の等厚干渉縞の距離の変化を示す説明図。
【図9】逆符号の暗視野像上の等厚干渉縞の差を用いて
格子面傾斜角度分布を測定するためのフローチャート。
【図10】試料片を傾斜させた時の、暗視野像上の等厚
干渉縞の距離の変化を示す説明図。
【図11】暗視野像上の等厚干渉縞を用いて格子面傾斜
角度分布を測定するためのフローチャート。
【図12】3次元格子歪構造を構築する事を示す説明
図。
【図13】格子歪の影響を除去した等厚干渉縞を再構成
する工程を示す説明図。
【符号の説明】
1...熱電界放出型電子銃、2...電子レンズ、3...2軸傾
斜試料ホルダ、4...試料冷却機構、5...試料傾斜機構、
6...対物絞り、7...対物絞り微動機構、8...電子線検出
機、9...制御用及び画像処理用計算機、10...表示画
面、11...入射電子線、12...くさび形試料片、13...00n
回折波、14...00-n回折波、15...試料固定治具、16...
板バネ、17...単結晶基板、18...結晶性薄膜、19...透
過像、20...くさび先端部、21...試料表面、22...結晶
界面、23...等厚干渉縞、24...00n格子面、25...0n0格
子面、26...3次元格子歪構造、27...回折スポット、2
8...菊池パターン。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/22 H01J 37/20 H01J 37/26 H01J 37/295

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱電界放出型電子銃と、 該電子銃より放出された電子線が照射される試料を載置
    する試料ホルダと、 前記試料を透過または回折した電子線が通過する対物絞
    りと、 該対物絞りを通過した電子線を検出する電子線検出器
    と、 前記対物絞りを移動する対物絞り微動機構と、 前記電子線検出器により検出された第1の表示装置およ
    び第2の表示装置と、 前記対物絞り微動機構、第1および第2の表示装置を制
    御する計算機とを有し、 前記計算器は、前記対物絞り微動手段を制御することに
    より前記対物絞りを所望の面指数の回折波または透過波
    の位置に移動し、 前記電子線検出器は、前記対物絞りが第1の位置にある
    時に該絞りを通過した電子線を検出し、第1の画像信号
    として前記第1の表示手段へ送信し、 更に、前記対物絞りが第2の位置にある時に該絞りを通
    過した電子線を検出し、第2の画像信号として前記第2
    の表示手段へ送信し、 前記計算器は、前記第1の画像信号を前記第1の表示装
    置に、前記第2の画像信号が前記第2の表示手段へ送信
    されるまで表示することによって、所望の面指数の暗視
    野像と暗視野像とを同時に表示することを特徴とする組
    成及び格子歪測定用電子顕微鏡。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成及び格子歪測定用電
    子顕微鏡において、前記計算器は、前記透過電子顕微鏡
    像上に現われる等厚干渉縞の強度分布を検出し、該等厚
    干渉縞の強度分布から試料内の組成と格子歪を分離して
    定量解析することを特徴とする組成及び格子歪測定用電
    子顕微鏡。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の組成及び格子歪
    測定用電子顕微鏡において、前記試料はくさび型にへき
    開した結晶性試料片であり、そのへき開面がその試料に
    入射する電子線の入射角に対してほぼ45度になるよう
    に前記試料は前記試料ホルダに固定可能であり、 前記試料ホルダはその試料を少なくとも2軸傾斜させる
    ことが可能であることを特徴とする組成及び格子歪測定
    用電子顕微鏡。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の組成及び格子歪
    測定用電子顕微鏡において、前記試料ホルダに固定され
    た前記試料片の透過電子顕微鏡像に現われる等厚干渉縞
    を検出する検出手段と、複数の前記等厚干渉縞とそれに
    対応する前記試料ホルダの複数の傾斜角度データとのセ
    ットと、複数の面指数における前記透過電子顕微鏡像と
    前記傾斜角度データと面指数データとのセットとを記録
    する記録部と、 その記録に基づいて前記試料内の組成と格子歪みとを分
    離して定量解析する解析部と、前記解析結果を表示する
    表示部を有し、前記表示部は試料の組成および格子歪み
    分布と、前記試料の透過電子顕微鏡像との対応とを表示
    する画面を有することを特徴とする組成及び格子歪測定
    用電子顕微鏡。
  5. 【請求項5】 電子線源と、電子線検出器と、対物絞り
    と、前記電子線検出器により検出された画像信号を表示
    する第1および第2の表示装置を備えた電子顕微鏡を用
    いた組成及び格子歪観察方法において 、 へき開によって試料片をくさび形に加工する工程と、 電子顕微鏡内で加速した入射電子線を前記試料片の断面
    に入射角度を制御して照射する工程と、前記対物絞りを第1の位置に移動させる工程と、 前記対物絞りが前記第1の位置にある時に該対物絞りを
    通過した電子線を第1の画像信号として検出する工程
    と、 前記第1の画像信号を前記第1の表示装置へ送信する工
    程と、 前記対物絞りを第2の位置に移動させる工程と前記対物絞りが前記第2の位置にある時に該対物絞りを
    通過した電子線を第2の画像信号として検出する工程
    前記第2の画像信号を前記第2の表示装置へ送信する工
    程と、 前記第1の画像信号を、前記第2の画像信号が前記第2
    の表示手段に送信され るまで、前記第1の表示手段に表
    示することにより、前記試料片の所望の面指数の暗視野
    像及び暗視野像とを同時に観察する工程と 、 前記透過電子顕微鏡像に現われる等厚干渉縞の強度分布
    を検出する工程と、 該等厚干渉縞の強度分布から試料内の組成分布と格子歪
    分布を分離して測定する工程と、等厚干渉縞の強度分布
    の電子回折理論によるシミュレーションを用いて組成分
    布及び格子歪構造を定量解析する工程とを含むことを特
    徴とする組成及び格子歪観察方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の電子顕微鏡内で加速した
    入射電子線を前記試料片の断面に入射角度を制御して照
    射する工程は、 くさび形試料先端からの厚さが増加する方向に電子線照
    射位置を移動させながら回折パターンを観察し、該回折
    パターン上で回折スポットと菊池パターンの両方が同程
    度の強度で現われる厚さ位置を選択する工程、及び回折
    パターンを構成する回折スポットと菊池パターンの位置
    関係から、電子線入射方向のずれを求める工程を含むこ
    とを特徴とする組成及び格子歪観察方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の透過電子顕微鏡像に現わ
    れる等厚干渉縞の強度分布を検出する工程は、 高次の回折波で結像した暗視野像を用いて、該暗視野像
    上における等厚干渉縞の強度分布の格子面傾斜に対する
    感度を向上させることを特徴とする組成及び格子歪観察
    方法。
  8. 【請求項8】請求項5に記載の透過電子顕微鏡像に現わ
    れる等厚干渉縞の強度分布を検出する工程は、 組成変化に対する等厚干渉縞の強度分布の変化量が最も
    大きくなる面指数の暗視野像を用いて、組成分布解析精
    度を向上させることを特徴とする組成及び格子歪観察方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の等厚干渉縞の強度分布か
    ら試料内の組成分布と格子歪分布を分離して測定する工
    程は、 ある面指数の暗視野像とその逆符号の面指数の暗視野像
    における等厚干渉縞の強度分布の比較から格子歪の有無
    と該格子歪により格子面が傾斜している方向を解析する
    工程、及び前記面指数の暗視野像を用いて前記格子面の
    傾斜角度を測定する工程を含むことを特徴とする組成及
    び格子歪観察方法。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載の格子面の傾斜角度を測
    定する工程は、ある面指数の格子面が入射電子線に対し
    て平行であると、該格子面の表面からの回折波で結像し
    た暗視野像と裏面からの回折波で結像した暗視野像上の
    等厚干渉縞の強度分布が等しくなる現象を利用して、格
    子歪により傾斜している格子面が前記現象を起こす電子
    線入射条件を満足するように試料片を傾斜し、該傾斜角
    度から格子面傾斜角度を解析する工程を含むことを特徴
    とする組成及び格子歪観察方法。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の格子面の傾斜角度を測
    定するもう一つの工程は、格子面がBragg回折条件を満
    たすような方向に傾斜すると等厚干渉縞の位置は極値を
    持つ現象を利用し、試料片を傾斜させて入射電子線に対
    する格子面のBragg回折条件を変化させながら、等厚干
    渉縞の周期が極値を持つ試料片傾斜角度を検出し、格子
    面傾斜角度を解析する工程を含むことを特徴とする組成
    及び格子歪観察方法。
  12. 【請求項12】 請求項5に記載の試料内の組成分布と格
    子歪分布を分離して測定する工程は、等厚干渉縞から格
    子面傾斜による変化分を除去した等厚干渉縞を再構成す
    る工程において、各深さ位置の等厚干渉縞を格子面傾斜
    角度が一定になるよう画像処理する工程を含むことを特
    徴とする組成及び格子歪観察方法。
  13. 【請求項13】 請求項5に記載の等厚干渉縞の強度分布
    の電子回折理論によるシミュレーションを用いて組成分
    布及び格子歪構造を定量解析する工程において、3次元
    的な格子モデルを仮定して動力学的な電子回折理論を用
    いて等厚干渉縞のシミュレーションを行い、観察像上の
    等厚干渉縞及び画像処理された等厚干渉縞と比較するこ
    とにより、組成及び格子歪構造を定量解析する工程を含
    むことを特徴とする組成及び格子歪観察方法。
  14. 【請求項14】 請求項5に記載の等厚干渉縞強度分布の
    電子回折理論によるシミュレーションを用いて組成分布
    及び格子歪構造を定量解析する工程において、くさび形
    試料の様々な厚さ領域からの測定データを元に、前記く
    さび形試料の表面近傍における格子歪緩和の影響を除去
    したバルク部分の格子歪量を定量解析する工程を含むこ
    とを特徴とする組成及び格子歪観察方法。
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