JPH09105729A - 組成及び格子歪測定用電子顕微鏡及びその観察方法 - Google Patents

組成及び格子歪測定用電子顕微鏡及びその観察方法

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JPH09105729A
JPH09105729A JP7265159A JP26515995A JPH09105729A JP H09105729 A JPH09105729 A JP H09105729A JP 7265159 A JP7265159 A JP 7265159A JP 26515995 A JP26515995 A JP 26515995A JP H09105729 A JPH09105729 A JP H09105729A
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angle
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JP7265159A
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Ruriko Tokida
るり子 常田
Hiroshi Kakibayashi
博司 柿林
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層薄膜試料の界面や薄膜内における3次元
格子歪構造を原子オーダの分解能で定量解析する。 【解決手段】 くさび形にへき開した試料片12に加速し
た電子線1を入射し、透過像19上に現われる等厚干渉縞2
3を検出し、該等厚干渉縞23の強度分布が格子面傾斜に
よって変化する現象を利用し、格子面傾斜角度が電子線
入射方向に沿って変化している様な、従来の格子歪測定
法では解析不可能であった格子歪構造をシミュレ−ショ
ンを用いて定量解析する。 【効果】 ヘテロ界面や薄膜内の組成変化及び格子歪構
造を原子オーダの分解能で評価することにより、歪超格
子デバイス等の特性と格子歪構造との関係が解明でき、
不良解析のみならず、プロセス条件やデバイス構造の最
適化に関する知見が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は結晶成長により形成
されるデバイス、特に高移動度トランジスタや超高速半
導体レーザのような歪超格子を利用するデバイスにおけ
るヘテロ界面や薄膜内の微小部の組成及び格子歪構造を
定量解析することにより、プロセスのチェックや最適化
さらにはデバイス設計の指針を与える組成及び格子歪測
定用電子顕微鏡観察方法に関する。
【0002】
【従来の技術】歪超格子デバイスの薄膜内やヘテロ界面
近傍の組成分布や格子歪構造を評価するには、デバイス
断面構造と対応させながら、高い深さ分解能で組成や格
子歪構造を測定できる技術が必要である。この要求に答
えるために、これまで電子顕微鏡を用いた幾つかの測定
法が発明されてきた。例えば特開平7-6725記載の「組成
及び格子歪測定用電子顕微鏡及びその観察方法」は、く
さび形にへき開した試料片に電子線を照射し、透過像上
に現われる等厚干渉縞を検出し、該等厚干渉縞が格子面
傾斜によって変化する現象を利用して格子面傾斜角度分
布を測定して格子歪構造解析を行い、更に等厚干渉縞が
組成変化のみを表す様に処理して組成分布の定量解析を
行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記格子歪分布測定方
では、歪構造として格子面傾斜角度分布は電子線入射方
向に対して一定であるという単純な歪構造しか想定して
いなかった。しかし歪構造としては前記方向に対して変
化する場合の方が一般的である。一般の歪構造では、等
厚干渉縞の強度分布から格子面傾斜角度分布を直接測定
することは出来ない。そのため一般の歪構造の解析で
は、観察された等厚干渉縞の強度分布を参照しながらシ
ミュレ−ション解析する必要がある。しかしシミュレ−
ション解析に必要なパラメ−タが多数存在するため非常
に複雑であり、像解析には熟練者が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、特開平7-67
25記載の電子顕微鏡に、微小領域の組成を測定出来る例
えばEDX(エネルギ−分散型X線分光器)及び格子歪
構造解析用プロセッサを搭載した装置を用いる。
【0005】また、特開平7-6725記載の方法を用い、試
料をくさび形にへき開して上記試料ホルダに固定し、電
子線を照射する。歪領域で格子面の角度が変化している
かを判断する。ここで本発明では、格子面の角度変化が
電子線入射方向に対して一定である格子面傾斜である
か、分布を持つ弯曲であるかを判定する工程を追加す
る。hkl暗視野像と-h-k-l暗視野像上の等厚干渉縞の強
度分布を比較しながら試料片を傾斜させ、両者が一致す
る試料傾斜角度がある場合はhkl格子面の角度変化は傾
斜であり、無い場合は弯曲である。
【0006】格子面の角度変化が弯曲である場合、まず
他の組成分布測定法、例えばEDXで組成分布を測定す
る。該組成分布測定を効率良く行うために、結晶成長方
向を軸にしてくさび形試料を傾斜した状態で観察する o
ff axis 観察像を利用する。測定された組成分布をシミ
ュレ−ションに入力し、シミュレ−ション像と明視野像
上の等厚干渉縞が一致する格子面弯曲量を解析する。そ
の後シミュレ−ション像と暗視野像上の等厚干渉縞が一
致する格子面弯曲方向を解析する。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例の電子顕微
鏡の基本構成である。装置は、熱電界放出型電子銃1、
電子レンズ2、2軸傾斜試料ホルダ3、試料傾斜機構4、
対物絞り5、対物絞り微動機構6、電子線検出器7、X線
検出器8、制御用及び画像処理用プロセッサ9、画像表示
装置10から構成されている。
【0008】以下本発明の測定法の実施例を、化合物半
導体歪超格子試料を例にして説明する。
【0009】図2に示す様に、くさび形にへき開した試
料片12を2軸傾斜可能な試料ホルダ3上の試料固定台15
にへき開面が上向きになるように固定し、透過電子顕微
鏡の試料室に挿入する。電子線に入射方向をu、結晶の
成長方向をv、くさび先端から試料厚さが増大する方向
をwとする。数百kVに加速した電子線11を、上記へき
開面に対して45度の角度で、つまりu方向から、くさび
先端部の試料厚さが薄い部分に入射する。へき開面は上
記4つの面指数のうちどれかであるから、電子線11は[10
0]、[010]、[0-10]、[-100]方向のうちどれかから入射
することになる。試料片12に対する電子線11の入射角度
の微調整は、特開平7-6725記載の方法で、回折パターン
を観察しながら2軸傾斜ホルダ3の傾斜機構を用いて行
なう。
【0010】入射角度調整後、試料片12の下に対物絞り
6を挿入し、所望の透過波あるいは回折波のみが絞り6を
通過できるようにする。これにより、倍率5〜6万倍の透
過像19を観察する。図5に示すように、透過像19には歪
超格子試料の断面構造、例えばヘテロ界面22が観察され
ると同時に、電子回折効果によって現われる等厚干渉縞
23が観察される。
【0011】等厚干渉縞23の発生メカニズムは、電子回
折現象によって以下のように説明される。結晶内を通過
する透過波及び回折波の強度は、多重散乱効果により厚
さ方向(u方向)に周期的に変動する。透過像19には試料
下面から出射する時の透過波及び回折波の強度が反映さ
れる。従って厚さが直線的に増加しているくさび形試料
片12では、厚さによって出射してくる透過電子の強度が
異なり、それが透過像19上ではくさび先端20からw方向
への周期的な明暗のコントラスト、つまり等厚干渉縞23
となって現われる。
【0012】簡単のために2波近似(結晶内における電
子波として、透過波と1つの強い回折波のみが存在する
場合)を用いると、結晶内における電子波強度は消衰距
離Dと呼ばれる周期で振動する。減衰距離Dは元素組成
や回折条件によって敏感に変化する。元素組成や回折条
件によって変化するためである。結晶がAx1-x(xは
組成を示す)の場合、消衰距離Dは以下の式で表せる。
【0013】
【数1】
【0014】ここでfA、fBはA及びB原子の原子散乱
因子、Wは電子回折条件を表す関数、θは入射電子線11
に対する結晶面の角度である。
【0015】組成xが変化すると第1項の結晶の電子散
乱能が変化する。また格子歪があると格子整合させるた
めに格子面は局所的に傾斜し、電子線11の入射角度θが
変化するため第2項の電子回折条件が変化する。組成変
化及び格子面傾斜によって消衰距離Dが変化すると、透
過像19上の等厚干渉縞23のくさび先端20からの距離、例
えばくさび先端20から1本目の等厚干渉縞までの距離t
が変化する。従って等厚干渉縞23の距離tが変化してい
る領域では、組成xもしくは格子面の角度θが変化して
いると判定される。
【0016】従来の格子歪分布測定法では、格子面の角
度θは電子線入射方向に対して一定であると言う仮定が
導入されていた。この場合、結晶成長方向(v方向)の格
子面傾斜角度分布は、試料を徐々に傾斜させ時の暗視野
像上の等厚干渉縞23の強度分布の変化から直接測定出来
た。しかし格子歪によって格子が傾斜する場合もあれば
弯曲する場合もある。格子面が弯曲していると、格子面
傾斜角度分布を直接測定することは出来ない。
【0017】そこでこの実施例では、弯曲している格子
面の傾斜角度分布解析にシミュレ−ションを用いる。ま
ず他の組成分析法、例えばEDXで組成分布を測定す
る。測定された組成分布をシミュレ−ションに入力し、
まず明視野像のシミュレ−ションから格子面弯曲量の絶
対値を解析し、その結果を基にして暗視野像をシミュレ
−ションし、格子面の弯曲方向を解析する。
【0018】従来格子歪測定法に上記解析法を付加する
には、図3に示すフロ−チャ−トに沿って解析を行えば
良い。まず、明視野像及び/又は所定の面指数の暗視野
像を観察し、その等厚干渉縞23の位置tが変化している
領域を検出する(ステップ1)。次に、ステップ2におい
て、格子面の角度変化の有無をある面指数で表わされる
格子面の表面からの回折波で結像した暗視野像と裏面か
らの回折波で結像した暗視野像、すなわち互いに逆符号
の暗視野像の比較により行う。格子面の角度変化がない
場合は、ステップ6に進んで、組成分布解析を行う。格
子面の角度変化がある場合は、ステップ3において、各
面指数の格子面のw方向の角度変化が傾斜であるか弯曲
であるかを、互いに逆符号の暗視野像を様々な回折条件
で観察して判定する。ある面指数の格子面の角度変化が
傾斜である場合は、ステップ4において、その面指数の
格子面のv方向の傾斜角度分布を測定する。全ての面指
数の格子面の角度変化が傾斜である場合、各面指数の格
子面傾斜角度測定結果を参照し、格子歪の影響を除去し
た等厚干渉縞を再構成し(ステップ5)、該再構成され
た等厚干渉縞から、組成分布を解析する(ステップ
6)。格子面の角度変化が弯曲である格子面が存在する
場合、ステップ8において、他の方法で組成分布を測定
し、ステップ9に進んで各面指数の格子面の弯曲量を解
析する。得られた様々な面指数の格子面の角度変化の解
析結果をもとに3次元格子歪構造を解析する(ステップ
10)。ステップ7では、結晶の断面構造、格子歪構造及
び組成分布を同時にCRTに表示する弯曲している格子
面の解析に関する工程はステップ3、8、9である。以
下、該工程の詳細を説明する。尚、他の工程の詳細は特
開平7-6725に記載してある。
【0019】まず、格子面の角度変化が電子線入射方向
に対して一定である格子面傾斜か、分布を持つ弯曲であ
るかを判断する方法について説明する(ステップ3)。
【0020】まず、中央部の格子面24が傾斜している試
料片12の00±n暗視野像19上の等厚干渉縞23の距離tの変
化を図4に示す。ここで格子面の傾斜角度分布はヘテロ
界面(wu面)からの距離に依存すると仮定している。格
子面傾斜角度分布はv方向の関数であり、wu面内では一
定であるとし、格子面傾斜角度分布を示す図としてはuv
断面を用いてある。まず、無歪領域の(00n)格子面24が
入射電子線11に対して平行になるように試料片12は設定
する(図4(a))。この場合、試料片12の両端部分では格子
面24が入射電子線11に対して平行になっている、つまり
(00±n)回折波の回折条件が等しいので、00±n暗視野像
19の等厚干渉縞23の距離は一致し、あるt21という値を
持つ。試料片12を図4(b)の様に傾斜させると、入射電子
線11に対して格子面24が平行になる位置は試料片12の中
央部に移動する。そのため試料片12の中央部で00±n暗
視野像19上の等厚干渉縞23の距離は一致し、あるt22
いう値になる。試料片12の両端部分と中央部で組成が異
なる場合、t21とt22は異なりはするが、入射電子線11に
対して格子面24が平行になると00±n暗視野像19上の等
厚干渉縞23の距離tが一致するという現象は変わらな
い。
【0021】次に、中央部の格子面24が弯曲している試
料片12を様々な傾斜角度で観察した時の等厚干渉縞23の
距離tの変化を考察する(図5)。格子面24が弯曲している
と、試料片12をどの様に傾斜させても入射電子線11に対
する(00±n)格子面24の角度つまり00±n回折波の回折条
件が一致することはなく、00±n暗視野像19上の等厚干
渉縞23の距離tが一致することはない。
【0022】以上の考察から、00±n暗視野像19上の等
厚干渉縞23を比較しながら試料片12を傾斜させたとき、
歪領域の等厚干渉縞23の距離tが一致する試料傾斜角度
が存在すればその歪領域の(00n)格子面は格子歪によっ
て傾斜しており、存在しなければ弯曲していると判定で
きる。
【0023】格子面の角度変化が弯曲である場合、様々
な面指数の暗視野像及び明視野像上の等厚干渉縞23を観
察像とシミュレ−ション像とで比較し、格子面の弯曲量
を解析する。等厚干渉縞23の強度分布は結晶組成及び各
面指数の格子面の角度変化によって変化するため、シミ
ュレ−ション解析における変数が非常に多く、計算の収
束性及び精度が悪い。
【0024】そこで、まず、他の測定法でも測定可能な
組成分布を測定し、シミュレ−ションの変数を削減する
(ステップ8)。他の組成分布測定法としては、例えばE
DX、EELSなどの分析透過電子顕微鏡がある。分析透過電
子顕微鏡は空間分解能は前記従来の組成分布測定法より
は低いので、その補正をする必要がある。
【0025】ヘテロ界面近傍で組成が連続的に変化する
場合、例えば試料の実際の組成分布が図6(a)の実線であ
る場合について考察する。組成変化の周期が分析透過電
子顕微鏡の空間分解能よりも低ければ、補間により各位
置の組成分布は見積もれる。図6(a)の右側の組成分布は
変化の周期が低いので、正しく測定される。しかし左側
の組成分布は変化の周期が高く、分析透過電子顕微鏡の
空間分解能では組成分布がだれて測定されてしまう。こ
の様な組成分布を持つ試料では以後の解析は行えないと
判断される。
【0026】次にヘテロ界面で組成が急俊に変化してい
る場合(図6(b))について考察する。界面急俊性は、試料
片12を入射電子線とヘテロ界面を平行に保ったまま、つ
まりv軸回りに回転させ、等厚干渉縞は観察しにくくな
るが各層のコントラストが均一になる off axis 観察で
評価できる。off axis で観察し、ヘテロ界面に急俊な
コントラスト変化が観察されれば界面幅は0.5nm以下と
特定できる。図6(b)の左側の場合、界面急俊性と分析電
子顕微鏡の測定結果を組み合わせれることによって、正
確な組成分布が測定出来る。また図6(b)の右側の様に分
析電子顕微鏡の空間分解能以下の膜厚であっても、膜厚
及び左右の結晶の組成が既知であれば、得られた信号か
ら薄膜内の組成を解析することが可能である。
【0027】上記考察をもとに、結晶成長方向(v方向)
の組成分布をEDXで測定する場合の手順を図9に示
す。EDXは、入射電子線を細く絞って試料に照射し、
その入射位置から放出されるX線の波長を分析すること
によってその位置の組成を分析する方法である。系が細
い電子線を入射すれば空間分解能は向上するが、放出さ
れるX線量が少なくなるため組成精度は低下する。図6
(a)で示す組成プロファイルでは、組成分布の空間分解
能はビ−ム系のみに依存するのでビ−ムを細く絞り、特
にヘテロ界面近傍では測定間隔を細かく取りながら測定
しなければならない。一方図6(b)で示す組成プロファイ
ルでは各膜の組成が得られれば良いので、ビ−ム系を太
く設定して組成精度を向上させられる。また測定点も各
膜で1点で充分であるので測定時間も短縮出来る。
【0028】off axis 観察で組成分布のプロファイル
が図6(a)であるか図6(b)であるかを特定し、測定条件を
最適化する。最適化された条件のもとで各位値の組成を
測定する。各位値の測定結果を基に、図6(a)あるいは図
6(b)の組成分布プロファイルに合わせ、補間及び補正を
行い、結晶成長方向の組成分布を解析する。
【0029】尚、上記他の組成分析法は汎用TEMに組成
分析用の検出機を組み込めは実現出来るので、本発明法
と上記組成分析法を同一の装置で実現出来る。
【0030】次に格子面の弯曲量をシミュレ−ション解
析する(ステップ9)。
【0031】まずシミュレ−ションを行うために格子面
の弯曲を単純化する。実試料では格子面の角度は連続的
に変化している(図7(a))が、動力学的な電子回折理論を
用いたシミュレ−ションでは、格子面の連続的な傾斜を
直接導入することは困難である。そこで電子線入射方向
に結晶を分割し、電子線が各スライスを次々に通過する
として計算している。スライスの数を多くとると、より
詳細な格子歪構造を解析出来るが、シミュレ−ションの
変数が増加するうえ計算時間も急増するので実用的では
ない。そこでこの実施例では図7(b)の様に、2つのスラ
イスから成り立つとし、上下で互いに格子面が反対方向
に傾斜していると仮定して計算を行った。結晶上部の格
子面と入射電子線11のなす角度をθ、下部の格子面と入
射電子線11のなす角度-θとし、該θで格子面の弯曲量
を表わす。
【0032】次に格子歪構造の解析に用いる面指数の組
合せを選択する。例えば(00n)格子面24と(0n0)格子面25
の様に、互いに直交する面指数の組合せが望ましい。こ
の実施例では格子歪構造をθ00n、θ0n0で解析する。
【0033】厳密に言えば、明視野像でも暗視野像でも
透過像上の等厚干渉縞23は全ての面指数の格子面の影響
を受ける。但し明視野像では(0n0)格子面の角度変化も
(00n)格子面の角度変化も明視野像に与える影響は等し
いが、暗視野像では格子面の面指数によってその格子面
の角度変化が暗視野像に与える影響が異なる。例えば格
子歪構造が(θ0n0、θ00n)=(θ1、θ2)であるとする。
この場合、(θ0n0、θ00n)=(±θ1、±θ2)、(±θ2
±θ1)、いづれの歪構造であろうと明視野像上では同じ
等厚干渉縞23が観察される。つまり明視野像では格子面
弯曲量の絶対値しか解析できない。一方0n0暗視野像で
は(θ0n0、θ00n)=(θ1、±θ2)で同じ等厚干渉縞23
が、00n暗視野像では(θ0n0、θ00n)=(±θ1、θ2)で同
じ等厚干渉縞23が観察される。つまり、0n0及び00n暗視
野像上の等厚干渉縞23が共に一致するのは(θ0n0、θ
00n)=(θ1、θ2)のみである。つまり暗視野像では、格
子面の弯曲量だけでなく方向も決定出来る 上記考察をもとに、図18に示す手順で格子面の弯曲量を
解析する。明視野像で格子面弯曲量の絶対値を解析する
方がシミュレ−ションの変数が少ないので、まず、明視
野像による解析から行う。尚、ステップ3で格子面の角
度変化が傾斜であると判定された格子面があれば、その
面指数も格子面傾斜角度をステップ4で測定し、その測
定結果をシミュレ−ションで利用する。入力値を変化さ
せながら、シミュレ−ション像と観察像が一致する格子
面弯曲量の絶対値を求める。次に前記明視野像から求め
た格子面弯曲量の絶対値を基準にし、様々な面指数の暗
視野像においてシミュレ−ション像と観察像が一致する
格子面弯曲方向を求める。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、くさび形試料の透過電
子顕微鏡像上に現われる等厚干渉縞から試料の格子歪構
造を解析する際、格子面が電子線入射方向に沿って変化
する様な、従来技術では解析不可能っであった一般の格
子歪構造であっても、格子面傾斜角度分布を解析出来
る。該解析法はフロ−チャ−トに沿って行える手法であ
り、また格子歪構造を3次元格子モデルとしてCRT上
に表示するので、熟練した技術者を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体構成図。
【図2】くさび形試料片に電子線を入射した時に得られ
る透過像を示す。
【図3】本発明の実施例の観察方法を示すフロ−チャ−
ト。
【図4】図4(a)及び図4(b)は格子面が一部傾斜した試
料片を傾斜させた時の、逆符号の暗視野像上の等厚干渉
縞の距離の変化を示す。
【図5】図5(a)及び図5(b)は格子面が一部弯曲した試
料を傾斜させた時の、逆符号の暗視野像上の等厚干渉縞
の距離の変化を示す。
【図6】図6(a)はヘテロ界面近傍における組成が連続
的に変化している場合、図6(b)は組成が急俊に変化し
ている場合の、実際の組成分布と組成分布測定結果を示
す。
【図7】図7(a)は実試料における格子面の弯曲を示
し、図7(b)はこれをシミュレ−ション解析のために単
純化した格子面を示す。
【図8】明視野像及び暗視野像上の等厚干渉縞を用いて
格子面の弯曲量を解析するためのフローチャート。
【図9】くさび形試料の off axis 観察と分析電子顕微
鏡を併用した組成分布測定のためのフローチャート。
【符号の説明】
1...熱電界放出型電子銃、2...電子レンズ、3...2軸傾
斜試料ホルダ、4...試料冷却機構、5...対物絞り、6...
対物絞り微動機構、7...電子線検出機、8...X線検出
器、9...制御用及び画像処理用プロセッサ、10...表示
画面、11...入射電子線、12...くさび形試料片、13...0
0n回折波、14...00-n回折波、15...試料固定治具、1
6...EDX測定時の入射ビ−ムスポット、17...単結晶基
板、18...結晶性薄膜、19...透過像、20...くさび先端
部、21...試料表面、22...結晶界面、23...等厚干渉
縞、24...00n格子面。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱電界放出型電子銃、電子レンズ、電子線
    偏向コイル、試料ホルダ、試料傾斜機構、画像記録装置
    及び制御ソフトとが像処理ソフトを搭載した計算機より
    なる電子顕微鏡であって、くさび形にへき開した結晶試
    料片を固定する手段と、試料片の組成を分析する手段
    と、入射電子線に対する格子面の角度が入射電子線方向
    に変化している試料片における格子面の角度分布を解析
    する手段を持つことを特徴とする格子歪測定用電子顕微
    鏡。
  2. 【請求項2】請求項1記載の格子面の角度分布を解析す
    る手段は、格子面の角度の絶対値の分布を仮定し、予め
    与えられた組成分布を参照し、所定のル−ルに基づいて
    明視野像上の等厚干渉縞をシミュレ−トし、それと実際
    に観察された明視野像上の等厚干渉縞を比較し、両者が
    実質的に一致したときの格子面の角度の絶対値の分布を
    求める手段と、前記求められた格子面の角度の絶対値の
    分布を基準にして、格子面の角度分布を仮定し、予め与
    えられた組成分布を参照し、所定のル−ルに基づいて暗
    視野像上の等厚干渉縞をシミュレ−トし、それと実際に
    観察された暗明視野像上の等厚干渉縞を比較し、両者が
    実質的に一致したときの格子面の角度分布を求める手段
    を持つことを特徴とする格子歪測定用電子顕微鏡。
  3. 【請求項3】へき開によって試料片をくさび形に加工す
    る工程と、電子顕微鏡内で加速した入射電子線を前記試
    料の断面に入射角度を制御して照射する工程と、該試料
    片の組成分布を測定する工程と、前記試料片の透過電子
    顕微鏡像を所望の面指数の暗視野像及び明視野像に付い
    て観察する工程と、該透過電子顕微鏡像上に現われる等
    厚干渉縞の強度分布を検出する工程と、該等厚干渉縞の
    強度分布から入射電子線に対する格子面の角度が入射電
    子線方向に変化している試料片における格子面の角度分
    布を解析する工程からなることを特徴とする格子歪観察
    方法。
  4. 【請求項4】請求項3記載の試料片の組成分布を測定す
    る工程は、くさび形試料片の透過電子顕微鏡像を参照し
    て測定条件を決定することを特徴とする格子歪観察方
    法。
  5. 【請求項5】請求項3記載の格子面の角度分布を解析す
    る工程は、試料片の傾斜によって互いに逆符号の暗視野
    像上の等厚干渉縞の強度分布が一致すれば、入射電子線
    に対する格子面の角度が電子入射方向に対して一定であ
    り、一致する試料傾斜角度が存在しなければ、入射電子
    線に対する格子面の角度が電子入射方向に対して変化し
    ていると判断する工程を含むことを特徴とする格子歪観
    察方法。
  6. 【請求項6】請求項3記載の格子面の角度分布を解析す
    る工程は、格子面の角度の絶対値の分布を仮定し、予め
    与えられた組成分布を参照し、所定のル−ルに基づいて
    明視野像上の等厚干渉縞をシミュレ−トし、それと実際
    に観察された明視野像上の等厚干渉縞を比較し、両者が
    実質的に一致したときの格子面の角度の絶対値の分布を
    求める工程と、前記求められた格子面の角度の絶対値の
    分布を基準にして、格子面の角度分布を仮定し、予め与
    えられた組成分布を参照し、所定のル−ルに基づいて暗
    視野像上の等厚干渉縞をシミュレ−トし、それと実際に
    観察された暗明視野像上の等厚干渉縞を比較し、両者が
    実質的に一致したときの格子面の角度分布を求める工程
    を含むことを特徴とする格子歪観察方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009002748A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Fujitsu Ltd 試料評価装置及び試料評価方法
JP2010091562A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 3D−マイクロマック アーゲー 透過型電子顕微鏡法用サンプルの作成方法および装置

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