JP5296578B2 - 電子顕微鏡の自動試料傾斜装置 - Google Patents

電子顕微鏡の自動試料傾斜装置 Download PDF

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本発明は電子顕微鏡の自動試料傾斜装置に関し、更に詳しくは電子線を試料に照射し、試料を透過した透過電子を結像電子光学系により拡大結像した像を得る透過型電子顕微鏡に属し、結晶性試料の結晶方位と電子線入射方向とを合わせるために自動で試料傾斜角を調整する電子顕微鏡の自動試料傾斜装置に関する。
透過型電子顕微鏡(TEM)は、試料に電子線を照射し、試料を透過した透過電子を結像電子光学系により拡大結像し、高分解能観察を行なうことができる。また、結晶性試料では、電子回折図形により材料の分子や原子の配列を調べることができる。更に、試料から放出されたX線を検出することにより元素分析もできるなど、応用技術も多い。最近では、電子線を試料上で走査し、その透過電子を走査信号と同期しながら検出することにより走査透過電子像モードを利用する機会も増えてきている。
ところで、透過型電子顕微鏡で電子回折図形などの観察を行なう場合、試料の結晶に対して入射電子線の方向を調整する必要がある。また、近年では、半導体試料などの微細な寸法測長を行なう前にシリコン結晶で電子線入射方位を合わせる場合がある。これは、試料の傾斜角と電子線の入射方向の微小なずれが測長誤差を招くことが危惧されているためである。
この試料と電子線の入射方位合わせは、機械的に直交する2軸方向に独立した傾斜機構により試料を傾斜して行なう。試料傾斜角の調整は、通常、オペレータが傾斜角を変化させながら電子回折図形の変化を見ながら手動で行なう。
この種の装置として、任意の試料傾斜角で取得した電子回折図形から現在の結晶方位を数学的に算出し、観察目的の結晶方位に移行するために必要な傾斜角を数学的に計算する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、2軸の試料回転機構を有する透過電子顕微鏡用試料ホルダにおいて、試料の観察位置の初期の結晶方位と基準方位の関係を回転機構の回転機機構から求め、その方位関係から目標の方位までの回転角を計算し、計算機の指令により回転角成分だけ2軸の回転機構を同時に操作し、試料を傾斜させる技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開平11−288679号公報(段落0013〜0028、図1) 特開平6−103948号公報(段落0018〜0020、図1)
現在、試料の結晶方位を合わせるための試料傾斜角の調整は、ほとんどの場合、オペレータの手動操作により調整されている。この操作は、熟練オペレータの場合、数秒で調整可能であるが、慣れていないオペレータは、調整に非常に多くの時間を有する。電子顕微鏡の電子回折モードでは、非常に強力な電子線(スポット)が蛍光板や像取得装置に入射するため、蛍光板の焼き付きや像取得装置の損傷を防ぐためにも短時間で調整することが望ましい。
前記した特許文献1の手法では、十分に薄い試料でなければ十分な調整精度が得られない。例えば、半導体試料の多くはFIB(集束イオンビーム装置)で微細加工した試料を観察試料とするため、オペレータのスキルにもよるが試料の膜厚が100nm以上であることが多く、膜厚によっては十分な調整精度が得られない場合がある。
また、計算に必要なさまざまな材料の格子定数などのデータを予めコンピュータに登録しておかなくてはならない。従って、コンピュータに登録されていない材料では自動で試料傾斜角を調整できず、汎用性がない。更に、オペレータは毎回、材料の種類や結晶方位をコンピュータに指示しなければならず、操作性が悪いという問題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、試料の結晶方位を合わせるための試料傾斜角を自動で調整することができる電子顕微鏡の自動試料傾斜装置を提供することを目的としている。
(1)請求項1記載の発明は、電子線を試料に照射する照射電子光学系と、試料をX方向,Y方向,Z方向に移動させる試料移動機構と、試料を直交する2軸で傾斜可能な試料傾斜機構と、これら試料移動機構及び試料傾斜機構の動作を制御する制御装置と、試料を透過した透過電子を多段の電子レンズと偏向器を用いて結像させる結像電子光学系と、結像した像を像信号化する像取得手段と、前記像信号を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された像信号を読み出して解析するコンピュータとを少なくとも有する透過電子顕微鏡において、前記コンピュータは、試料傾斜軸別に、異なる複数の試料傾斜角で試料の現在の結晶方位で得られる電子回折図形を取得して前記記憶手段に記憶し、取得した電子回折図形別に電子回折スポット座標を算出し、電子回折スポット座標を基に、電子回折スポットを円近似することにより、近似円の中心と半径を算出し、円の半径が最小となる試料傾斜角をフィッティングにより算出し、その試料傾斜角を最適試料傾斜角とし、前記制御装置は、前記試料傾斜機構を用いて試料を最適試料傾斜角へ移動させることを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、請求項1とは異なる最適試料傾斜角の算出方法を用いたもので、その特徴は、前記コンピュータは、前記電子回折図形別に算出した近似円の中心座標の軌跡を1次関数で近似し、1次関数直線とダイレクトスポット中心座標とが最短距離となる1次関数直線上の交点を算出し、この交点を取りうる試料傾斜角を数学的に算出し、その試料傾斜角を最適試料傾斜角とし、前記制御装置は前記試料傾斜機構を用いて試料を前記最適試料傾斜角へ移動させる、という点にある。
(3)請求項3記載の発明は、試料傾斜角を変化させながら異なる複数の電子回折図形を取得する際、試料傾斜により試料傾斜前の観察視野位置と試料傾斜後の観察視野位置との微小位置変化を補正するため、試料傾斜軸別に試料傾斜角変化に対する観察視野位置補正データ又は補正計算式を予め用意し、試料傾斜角変化と同時に視野位置補正量を、前記試料移動機構を用いて補正することを特徴とする。
(1)請求項1記載の発明によれば、試料傾斜軸別に、異なる複数の試料傾斜角で試料の現在の結晶方位で得られる電子回折図形を取得して前記記憶手段に記憶し、取得した電子回折図形別に電子回折スポット座標を算出し、電子回折スポット座標を基に、電子回折スポットを円近似することにより、近似円の中心と半径を算出し、円の半径が最小となる試料傾斜角を最適試料傾斜角とすることにより、試料の結晶方位を合わせるための試料傾斜角を自動で調整することができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、電子回折図形別に算出した近似円の中心座標の軌跡を1次関数で近似し、1次関数直線とダイレクトスポット中心座標とが最短距離となる1次関数直線上の交点を算出し、この交点を取りうる試料傾斜角を数学的に算出し、その試料傾斜角を最適試料傾斜角とすることにより、試料の結晶方位を合わせるための試料傾斜角を自動で調整することができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、試料傾斜軸別に試料傾斜角変化に対する観察視野位置補正データ又は補正計算式を予め用意し、試料傾斜角変化と同時に視野位置補正量を、前記試料移動機構を用いて補正することにより、試料の結晶方位を合わせるための試料傾斜角を自動で調整することができる。
本発明の一実施例を示す構成図である。 電子回折図形を示す図である。 電子回折図形の取得と取得した電子回折図形の円近似の説明図である。 ラベリングの説明図である。 ダイレクトスポットの仮決定の説明図である。 円近似の状態を示す図である。 円近似の中心の軌跡から最適傾斜角を算出する説明図である。 塗りつぶし領域にもう一方の傾斜軸の最適位置があることの説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(実施例1)
図1は本発明の一実施例を示す構成図である。図において、1は透過型電子顕微鏡(TEM)である。2は該TEM1内に設けられた電子を放出するための電子銃である。該電子銃2としては、例えば熱電子放出形や電界放出形などがある。3は試料、4は該試料3をその上に載せる試料台である。5は試料3の上部に形成された、電子銃2から放出された電子線を試料3に照射するための照射電子光学系、6は該試料3の下部に形成された、試料3を透過した電子線を多段の電子レンズと偏向器を用いて結像させる結像電子光学系である。
7は試料台4をXYZ方向に移動させる試料移動機構、8は試料台4を直交する2軸で傾斜可能な試料傾斜機構である。9はTEM1の下部に設けられたCCDカメラなどの像取得装置である。10はTEM1の全体の動作を制御するコンピュータである。該コンピュータ10内において、11は像取得装置9で取得した像信号をデジタルデータ化して記憶する像信号メモリ、12は該像信号メモリ11の内容を表示する像表示機構である。該像表示機構12としては、例えば液晶表示器などが用いられる。
13は像信号メモリ11内に記憶されている像信号データを読み出して所定の解析・演算を行なう解析部、14は該解析部13の出力を受けて前記試料移動機構7及び試料傾斜機構8の動作を制御する試料位置補正装置である。このように構成されたシステムは、異なる試料傾斜角で複数の電子回折図形を検出することにより、目的の結晶方位に移動するために必要な前記試料傾斜機構の傾斜方向及び傾斜角を算出する。以下、本発明を詳細に説明する。
電子回折モードにおいて、結晶性試料に電子線を照射すると、例えば図2に示すような電子回折図形を得ることができる。この電子回折図形は、試料の結晶方位を反映する。(a)は試料傾斜角補正済み、(b)は試料傾斜角未補正の回折図形である。通常、試料を電子顕微鏡の試料室に挿入した直後は、例えば(b)に示すような電子回折図形が得られる。図2の場合、目的とする結晶方位はSi[110]であり、(a)のような電子回折図形となるように前記2軸試料傾斜機構8を用いて調整し、結晶方位を合わせる。図の(a)は傾斜角補正された図形であり、電子回折スポットが規則正しく並んでいる。(b)は傾斜角補正されない図形であり、電子回折スポットが不規則に並んでいる。
上述の試料傾斜を自動で行なうには、図3の(a)に示すように、2軸試料傾斜機構8の一方を変化させながら、複数の電子回折図形を像取得装置9で取得し、コンピュータ10の像信号メモリ11に記憶させる。像信号メモリ11に記憶された各電子回折図形は、それぞれ読み出されてコンピュータ10上で2値化することにより電子回折スポットとバックグラウンドとを分離する。2値化すると、回折スポットがある場所は白に、それ以外の領域は黒に2値化される。
2値化により得られた電子回折スポットは、解析部13によりラベリングや輝度重心算出など画像処理を行ない各電子回折スポットの中心座標を算出する。図4はラベリングの説明図である。(a)はラベリング前の2値化画像である。この画像にラベリングを施すと、(b)に示すような画像が得られる。ラベリングが検出されると、コンピュータ10は検出した各スポットの輝度重心を算出する。(1)式,(2)式は輝度重心x座標をGx、輝度重心y座標をGyとしたものである。対象スポット以外を0階調とし、その画像をfijとすると、(1)式,(2)式で輝度重心を算出することができる。
次に、解析部13は、(b)に示すように、各回折図形別に電子回折スポット中心座標から円近似を行ない、円の中心と半径とを算出する。ここで、円近似は一般的な数学的手法、例えば最小二乗法を用いて行なうことができる。
次に、得られた近似円の半径を電子回折図形を取得した際の2軸試料傾斜機構8の試料傾斜角でプロットすると(c)に示すようなものとなる。図において、横軸は傾斜角、縦軸は画素数で表した半径(r)である。近似円の半径は、試料傾斜角が最適位置、即ち目的の結晶方位位置において最小となる。図では、傾斜角−1.8°で半径rが最小となっていることが分かる。
最適傾斜角が求まったら、試料位置補正部14は、2軸試料傾斜機構8が算出した傾斜角となるように設定する。近似円の半径は、試料傾斜角が最適位置、即ち目的の結晶方位位置において、最小となる。そこで、前記プロットを多項式などでフィッティングし、近似円の半径が最小となる2軸試料傾斜機構8の試料傾斜角を算出する。コンピュータ10は、算出した試料傾斜角となるように2軸試料傾斜機構8を用いて設定する。次に、2軸試料傾斜機構8のもう一方の軸に関して、上記と同様の手法を用いて2軸試料傾斜機構8の最適な試料傾斜角を算出、設定する。
以上説明したように、実施例1によれば、試料傾斜軸別に、異なる複数の試料傾斜角で試料の現在の結晶方位で得られる電子回折図形を取得して前記記憶手段に記憶し、取得した電子回折図形別に電子回折スポット座標を算出し、電子回折スポット座標を基に、電子回折スポットを円近似することにより、近似円の中心と半径を算出し、円の半径が最小となる試料傾斜角を最適傾斜角とすることにより、試料の結晶方位を合わせるための試料傾斜角を自動で調整することができる。
(実施例2)
図1記載の通り、電子銃2から放出された電子線を試料3に照射するための照射電子光学系5と、試料3をX方向(左右方向),Y方向(上下方向),Z方向(高さ方向)に移動させる試料移動機構7と、試料を直交する2軸で傾斜可能な試料傾斜機構8と、これら試料移動機構7及び試料傾斜機構8の動作を制御する制御装置(コンピュータ10)、試料3を透過した電子線を多段の電子レンズと偏光器を用いて結像する結像電子光学系6と、結像した像をCCDカメラなどの像取得装置9を用いて像信号化し、コンピュータ10のメモリ11などに記憶させる手段と、像信号を解析するコンピュータを少なくとも有する透過電子顕微鏡において、異なる試料傾斜角で複数の電子回折図形を解析することにより、目的の結晶方位に移動するために必要な前記試料傾斜機構8の傾斜方向及び傾斜角を算出するものである。
具体的な動作を以下に説明する。電子回折モードで、結晶性試料に電子線を照射すると、例えば図2のような電子回折図形を得ることができる。この電子回折図形は試料の現在の結晶方位を反映する。図2の(a)は試料傾斜角補正済みのもの、(b)は試料傾斜角未補正のものである。通常、試料を電子顕微鏡の試料室に挿入した直後は、例えば(b)に示すような電子回折図形が得られる。図2の場合、目的とする結晶方位はSi[110]であり、(a)のような電子回折図形となるように前記2軸試料傾斜機構8を用いて調整し、結晶方位を合わせる。
上述の試料傾斜を自動で行なうには、図3の(a)に示すように、2軸試料傾斜機構8の一方を変化させながら複数の電子回折図形を像取得装置9で取得し、コンピュータ10の像信号メモリ11に記憶させる。コンピュータ10の像信号メモリ11に記憶された各電子回折図形は、それぞれ読み出されてコンピュータ10上で2値化することにより電子回折スポットとバックグラウンドとを分離する。次に、解析部13は2値化により得られた電子回折スポットに、ラベリングや輝度重心算出などの画像処理を行ない各電子回折スポットの中心座標を算出する。ラベリングは実施例1で説明した通りなので、その詳しい説明は省略する。
ダイレクトスポットは、最大画素のスポットであると決めることができるが、ここでは、その手法は限定しない。図5はダイレクトスポットの仮決定の説明図である。回折図形には、図に示すように、大きいスポットと小さいスポットが現れる。この場合、大きいスポットをダイレクトスポットと仮決定することができる。
次に、コンピュータ10は、図6に示すように、各回折図形別に電子回折スポット中心座標から円近似を行ない、円の中心と半径を算出する。円近似は一般的な数学的手法、例えば最小二乗法でよい。
ここで、試料傾斜角の変化による近似円の中心の軌跡は、ほぼ直線関係をとると考えることができる。図6は円近似の状態を示す図である。試料傾斜角の最適値は、近似円の中心の軌跡とダイレクトスポットとの間が最短となる場合である。
図7は円近似の中心の軌跡から最適傾斜角算出の説明図である。(a)のfは図6で求めた直線である。この直線f上の●は円近似の中心である。Kはダイレクトスポットである。(b)に示すようにこのダイレクトスポットKを通る直線とfとが直角に交わる点をAとする。点Aの試料傾斜角を数学的に算出する。図7の1次直線fの●点の傾斜角は予め分かっているので、点Aの対応する傾斜角は補間法により求めることができる。最適な試料傾斜角が求まったら、コンピュータ10は算出した試料傾斜角となるように2軸試料傾斜機構を用いて設定する。
図7の場合、もう一方の試料傾斜軸の最適傾斜角は図8の塗りつぶし領域にある。そのため、もう一方の試料傾斜軸8の最適傾斜角の探索方向が決まる。即ち、2軸試料傾斜機構8のもう一方の軸に関して、上記と同様の手法を用いて2軸試料傾斜機構8の最適な試料傾斜角を算出するが、複数の電子回折図形を取得する際、図8の矢印方向に近似円の中心の軌跡が変化するように試料傾斜角を変化させればよい。これにより、試料傾斜角の探索領域が限定される。
(実施例3)
図1を用いて実施例3を説明する。実施例1と実施例2では、2軸試料傾斜機構により試料傾斜角を変化させながら複数の電子回折図形を取得する。しかしながら、通常は試料傾斜軸中心と試料の観察視野が一致しないため、試料傾斜角を変化させた場合、試料の観察視野が移動する。
このため、場合によっては試料傾斜によって、非晶質材料部分に電子線が照射されたり、近接の異なる結晶性材料に電子線照射されてしまうことが考えられる。そこで、コンピュータ10は、試料傾斜軸別に試料傾斜による試料の観察視野の移動量と2次元情報として予め補正データを持ち、傾斜角を変更する度に補正データから補間演算により補正値を算出し、試料の観察視野の移動量をキャンセルするように図1中の試料移動機構7を用いて移動させる。なお、補正データの代わりに補正演算式を用いてもよい。
実施例3によれば、試料傾斜軸別に試料傾斜角変化に対する観察視野位置補正データ又は補正計算式を予め用意し、試料傾斜角変化と同時に視野位置補正量を、前記試料移動機構を用いて補正することにより、試料の結晶方位を合わせるための試料傾斜角を自動で調整することができる。
以上、説明した本発明の効果を列挙すれば、以下の通りである。
1)比較的厚い試料のようにきれいな電子回折スポットを得られがたい試料であっても、電子回折図形の2値化処理により電子回折スポットの抽出を行ない、回折スポットの中心座標を算出できるため、高精度で最適試料傾斜角を算出することができる。
2)電子回折図形の解析手法が単純であるため、解析時間がごく短時間であり、高速で最適試料傾斜角を算出することができる。そのため、強力な電子回折スポットによる像取得装置の損傷や蛍光板の焼き付きなどの事故を低減することができる。
3)結晶性試料の種類や方位を予め指定する必要がなく、オペレータは自動試料傾斜機構のボタンを押すだけでよく、特に電子回折の知識を有していなくても操作ができる。また、コンピュータには試料の結晶方位関連情報を登録する必要がなく、システムのスリム化を図れるだけでなく、様々な結晶性材料に対応可能となる。
4)実施例2の手法では、初回の試料傾斜軸の最適試料傾斜角を算出する際に、もう一方の試料傾斜軸の最適試料傾斜角が存在する方向が分かるため、試料傾斜角探索方向が限定され、より高精度に、かつより短時間で最適試料傾斜角を算出することができる。
5)試料傾斜による電子線の照射位置の移動量を予め補正データ又は補正計算式として用意しておくことにより、試料傾斜毎に試料の位置を補正し、試料の観察視野のズレを最小限に留めることができる。また、予め補正データを用意しておくことにより、試料傾斜角毎に試料の観察視野ズレを実際の像で移動量を評価する必要がなく、処理の高速化を実現することができる。
1 透過型顕微鏡(TEM)
2 電子銃
3 試料
4 試料台
5 照射電子光学系
6 結像電子光学系
7 試料移動機構
8 試料傾斜機構
9 像取得装置
10 コンピュータ
11 像信号メモリ
12 像表示機構
13 解析部
14 試料位置補正部

Claims (3)

  1. 電子線を試料に照射する照射電子光学系と、
    試料をX方向,Y方向,Z方向に移動させる試料移動機構と、
    試料を直交する2軸で傾斜可能な試料傾斜機構と、
    これら試料移動機構及び試料傾斜機構の動作を制御する制御装置と、
    試料を透過した透過電子を多段の電子レンズと偏向器を用いて結像させる結像電子光学系と、
    結像した像を像信号化する像取得手段と、
    前記像信号を記憶する記憶手段と、
    該記憶手段に記憶された像信号を読み出して解析するコンピュータと、
    を少なくとも有する透過電子顕微鏡において、
    前記コンピュータは、
    試料傾斜軸別に、異なる複数の試料傾斜角で試料の現在の結晶方位で得られる電子回折図形を取得して前記記憶手段に記憶し、
    取得した電子回折図形別に電子回折スポット座標を算出し、
    電子回折スポット座標を基に、電子回折スポットを円近似することにより、近似円の中心と半径を算出し、
    円の半径が最小となる試料傾斜角をフィッティングにより算出し、
    その試料傾斜角を最適試料傾斜角とし、
    前記制御装置は、
    前記試料傾斜機構を用いて試料を前記最適試料傾斜角へ移動させる、
    ことを特徴とする電子顕微鏡の自動試料傾斜装置。
  2. 電子線を試料に照射する照射電子光学系と、
    試料をX方向,Y方向,Z方向に移動させる試料移動機構と、
    試料を直交する2軸で傾斜可能な試料傾斜機構と、
    これら試料移動機構及び試料傾斜機構の動作を制御する制御装置と、
    試料を透過した透過電子を多段の電子レンズと偏向器を用いて結像させる結像電子光学系と、
    結像した像を像信号化する像取得手段と、
    前記像信号を記憶する記憶手段と、
    該記憶手段に記憶された像信号を読み出して解析するコンピュータと、
    を少なくとも有する透過電子顕微鏡において、
    前記コンピュータは、
    前記電子回折図形別に算出した近似円の中心座標の軌跡を1次関数で近似し、
    1次関数直線とダイレクトスポット中心座標とが最短距離となる1次関数直線上の交点を算出し、
    この交点を取りうる試料傾斜角を数学的に算出し、
    その試料傾斜角を最適試料傾斜角とし、
    前記制御装置は
    前記試料傾斜機構を用いて試料を前記最適試料傾斜角へ移動させる、
    ことを特徴とする電子顕微鏡の自動試料傾斜装置。
  3. 試料傾斜角を変化させながら異なる複数の電子回折図形を取得する際、
    試料傾斜により試料傾斜前の観察視野位置と試料傾斜後の観察視野位置との微小位置変化を補正するため、試料傾斜軸別に試料傾斜角変化に対する観察視野位置補正データ又は補正計算式を予め用意し、
    試料傾斜角変化と同時に視野位置補正量を、前記試料移動機構を用いて補正することを特徴とする請求項1又は2記載の電子顕微鏡の自動試料傾斜装置。
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