JP7126960B2 - 電子顕微鏡 - Google Patents

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本発明は、電子顕微鏡に関する。
透過電子顕微鏡では、試料に電子線を照射し、試料を透過した電子を結像することにより、透過電子顕微鏡像および電子回折図形を取得することができる。
透過電子顕微鏡で電子回折図形を取得する場合、試料に対する電子線の入射方向を調整する。また、半導体試料などにおいて、微細な構造の測長を行う場合、シリコン結晶などからなる基板の電子回折図形を用いて、電子線の入射方向を調整する。試料に対する電子線の入射方向の調整は、試料に対する電子線の入射方向と試料の結晶方位とが一致するように、試料の傾斜角を調整することで行われる。
例えば、特許文献1には、試料の傾斜による電子回折図形の変化を解析することによって試料の傾斜角を自動で調整して、電子線の入射方向と試料の結晶方位とを合わせる電子顕微鏡が開示されている。
特許文献1に開示された手法では、様々な傾斜角で電子回折図形を取得し、取得した電子回折図形を円近似し、近似円の半径が最小となる試料傾斜角を最適試料傾斜角としている。
特開2010-212067号公報
図9は、Y方向の傾斜角を変化させたときの各傾斜角で得られた電子回折図形と、当該電子回折図形の近似円と、を示す図である。図10は、図9の各電子回折図形の近似円の半径をプロットしたグラフである。なお、図10に示すグラフの横軸は傾斜角であり、縦軸は近似円の半径である。
図9に示すように、電子回折図形は円で近似できる。図10に示すグラフから、近似円の半径が最小となる傾斜角を求めることができ、近似円の半径が最小となる傾斜角がY方向の最適傾斜角となる。
しかしながら、自動調整前の試料の傾斜角と、最適傾斜角との差が大きい場合、すなわち、試料に対する電子線の入射角と試料の結晶方位とのずれが大きい場合、電子回折図形を円で正確に近似できない。
図11は、自動調整前の試料の傾斜角と最適傾斜角との差が大きい場合において、Y方向の傾斜角を変化させたときの各傾斜角で得られた電子回折図形と、当該電子回折図形の近似円と、を示すグラフである。図12は、図11の各電子回折図形の近似円の半径をプロットしたグラフである。
図11に示すように、自動調整前の試料の傾斜角と最適傾斜角との差が大きい場合、電子回折図形は、円で正確に近似できない。そのため、図12に示すように、近似円の半径
から、最適傾斜角を求めることができない。
発明に係る電子顕微鏡の一態様は、
電子線を試料に照射する照射系と、
前記試料を傾斜させる試料傾斜機構と、
前記試料を透過した電子で結像する結像系と、
前記結像系で結像された像を撮影する撮像装置と、
前記試料傾斜機構を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記試料傾斜機構に前記試料の傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の第1電子回折図形を取得する処理と、
複数の前記第1電子回折図形から最も回折スポットの数が多い前記第1電子回折図形を探索して、最も回折スポットの数が多い前記第1電子回折図形が得られた傾斜角である第1傾斜角を求める処理と、
前記試料傾斜機構に前記第1傾斜角を含む角度範囲で前記試料の傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の第2電子回折図形を取得する処理と、
複数の前記第2電子回折図形をそれぞれ円近似して、円の半径が最小となる第2傾斜角を求める処理と、
前記試料傾斜機構に前記試料の傾斜角を第2傾斜角にさせる処理と、
を行う。
このような電子顕微鏡では、試料に対する電子線の入射角と試料の結晶方位とのずれが小さい第1傾斜角を求め、第1傾斜角を含む角度範囲で傾斜角を変更させて、複数の第2電子回折図形を取得する。そのため、第2電子回折図形を正確に円近似できる。したがって、このような電子顕微鏡によれば、試料に対する電子線の入射角と試料の結晶方位とを正確に合わせることができる。
実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 試料傾斜機構の動作を説明するための図。 電子回折図形を模式的に示す図。 電子回折図形を模式的に示す図。 互いに異なる傾斜角で得られた複数の電子回折図形の電子回折スポットの数を表す表。 制御部の処理の一例を示すフローチャート。 第1変形例に係る電子顕微鏡の制御部の処理の一例を示すフローチャート。 第2変形例に係る電子顕微鏡の制御部の処理の一例を示すフローチャート。 Y方向の傾斜角を変化させたときの各傾斜角で得られた電子回折図形と、当該電子回折図形の近似円と、を示す図。 各電子回折図形の近似円の半径をプロットしたグラフ。 Y方向の傾斜角を変化させたときの各傾斜角で得られた電子回折図形と、当該電子回折図形の近似円と、を示す図。 各電子回折図形の近似円の半径をプロットしたグラフ。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 電子顕微鏡
まず、本実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を示す図である。
電子顕微鏡100は、電子線EBを用いて試料Sを観察する装置である。電子顕微鏡100は、透過電子顕微鏡(TEM)である。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子銃10と、照射レンズ12と、試料ステージ14と、試料ホルダー16と、対物レンズ18と、撮像装置20と、撮像制御装置22と、傾斜機構制御装置30と、制御部32と、表示部34と、記憶部36と、を含む。
電子銃10は、電子線EBを放出する。電子銃10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する。
照射レンズ12は、電子銃10から放出された電子線EBを集束して試料Sに照射する。照射レンズ12は、複数(図示の例では3つ)のコンデンサーレンズで構成されている。照射レンズ12は、試料Sに電子線EBを照射する照射系2を構成している。照射系2は、図示はしないが、照射レンズ12以外のレンズや、絞りなどを含んでいてもよい。
試料ステージ14は、試料Sを保持する。図示の例では、試料ステージ14は、試料ホルダー16を介して、試料Sを保持している。試料ステージ14によって、試料Sの位置
決めを行うことができる。図示の例では、試料ステージ14は、対物レンズ18のポールピースに対して水平方向(横)から試料ホルダー16を挿入するサイドエントリー方式の試料ステージである。なお、試料ステージ14は、対物レンズ18のポールピースの上方から試料Sを挿入するトップエントリー方式の試料ステージであってもよい。試料ステージ14および試料ホルダー16は、試料Sを傾斜させる試料傾斜機構15を有している。また、試料ステージ14は、試料Sを水平方向および垂直方向に移動させる試料移動機構を有している。
対物レンズ18は、試料Sを透過した電子線EBで透過電子顕微鏡像(以下「TEM像」ともいう)および電子回折図形を結像するための初段のレンズである。
電子顕微鏡100は、図示はしないが、中間レンズおよび投影レンズを含む。中間レンズおよび投影レンズは、対物レンズ18によって結像された像を拡大し、撮像装置20上に結像させる。対物レンズ18、中間レンズ、および投影レンズは、電子顕微鏡100の結像系4を構成している。結像系4は、図示はしないが、対物レンズ18、中間レンズ、および投影レンズ以外のレンズや、絞りなどを含んでいてもよい。
結像系4では、試料Sを透過した電子で、TEM像および電子回折図形を結像することができる。例えば、中間レンズの焦点を対物レンズ18によって形成される透過電子顕微鏡像(試料像)に合わせることによって、撮像装置20において、透過電子顕微鏡像を撮影できる。また、例えば、中間レンズの焦点を対物レンズ18によって形成される電子回折図形に合わせることによって、撮像装置20において、電子回折図形を撮影できる。
撮像装置20は、結像系4によって結像された像(TEM像および電子回折図形)を撮影する。撮像装置20は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等のデジタルカメラである。撮像装置20で撮影された像の画像データは、撮像制御装置22を介して制御部32に出力される。撮像装置20で撮影された像は、画像ファイルとして記憶部36に記憶されるとともに、表示部34に表示される。
撮像制御装置22は、制御部32からの制御信号に基づいて、撮像装置20を動作させる。また、撮像制御装置22は、撮像装置20で撮影された像の画像データを、制御部32に送る。傾斜機構制御装置30は、制御部32からの制御信号に基づいて、試料傾斜機構15を動作させる。
制御部32は、試料傾斜機構15を制御する。制御部32は、試料Sに対する電子線EBの入射方向と、試料Sの結晶方位と、を合わせる処理を行う。制御部32の機能は、例えば、各種プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)など)でプログラムを実行することにより実現することができる。
表示部34は、制御部32によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD(liquid crystal display)などにより実現できる。表示部34には、例えば、撮像装置20で撮影された像が表示される。
記憶部36は、制御部32のワーク領域となるもので、その機能はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびハードディスクなどにより実現できる。記憶部36は、制御部32が各種の制御処理や計算処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部36は、制御部32が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
図2は、試料傾斜機構15の動作を説明するための図である。なお、図2には、互いに
直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。なお、Z軸は、照射系2の光軸に一致する軸である。すなわち、電子線EBは、Z軸に沿って試料Sに入射する。また、X方向は、試料ホルダー16の挿入方向である。
試料傾斜機構15は、X傾斜機構15Aと、Y傾斜機構15Bと、を有している。X傾斜機構15Aは、Y軸まわりに試料Sを回転(傾斜)させることで試料SをX方向に傾斜させる。X傾斜機構15Aは、例えば、試料ホルダー16に設けられている。X傾斜機構15Aは、試料ホルダー16の試料Sを支持している部分をY軸まわりに回転させることによって、試料SをX方向に傾斜させる。
Y傾斜機構15Bは、X軸まわりに試料Sを回転(傾斜)させることで試料SをY方向に傾斜させる。Y傾斜機構15Bは、例えば、試料ステージ14に設けられている。Y傾斜機構15Bは、試料ホルダー16をX軸まわりに回転させることで、試料SをY方向に傾斜させる。
2. 手法
図3および図4は、電子回折図形を模式的に示す図である。結晶性を有する試料Sに電子線EBを照射すると、図3および図4に示すような電子回折図形を得ることができる。図3に示す電子回折図形は、試料Sに対する電子線EBの入射方向と、試料Sの結晶方位と、が一致している場合に得られる。図4に示す電子回折図形は、試料Sに対する電子線EBの入射方向と、試料Sの結晶方位とが、ずれている場合に得られる。通常、試料Sを電子顕微鏡100の試料室に導入した状態では、図4に示すような電子回折図形が得られる。そのため、図3に示す電子回折図形が得られるように、試料Sの傾斜角を調整することによって、試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位とを合わせる。
以下、試料Sに対する電子線EBの入射方向と、試料Sの傾斜方位と、を合わせる手法について説明する。
まず、互いに異なる試料Sの傾斜角で得られた複数の電子回折図形を取得する。例えば、X傾斜機構15AおよびY傾斜機構15Bで試料Sの傾斜角を順次変更させながら、傾斜角を変更するごとに電子回折図形を撮影する。これにより、複数の電子回折図形を取得できる。
試料Sの傾斜角を変更する角度範囲、および試料Sの傾斜角を変更する角度ステップは、任意に設定可能である。なお、試料Sの傾斜角を変更する角度ステップ(以下、「第1角度ステップ」ともいう)は、2°以下であることが好ましい。第1角度ステップが2°以下が好ましい理由については後述する。
次に、複数の電子回折図形から最も電子回折スポットの数が多い電子回折図形を探索する。
例えば、まず、電子回折図形を2値化することによって、電子回折スポットとバックグラウンドとを分離する。2値化すると、電子回折スポットがある場所は白、それ以外の領域は黒で表される。次に、白の画素が連続する部分に番号を割り振るラベリング処理を行うことによって電子回折スポットに番号を振り、電子回折スポットの数を求める。
図5は、互いに異なる傾斜角で得られた複数の電子回折図形の電子回折スポットの数を表す表である。図5に示す表は、X方向の傾斜角TXを1°ステップで変更し、Y方向の傾斜角TYを1°ステップで変更することによって複数の電子回折図形を取得し、電子回折スポットの数を求めた結果である。
図5に示す例では、X方向の傾斜角TX=-2°、Y方向の傾斜角TY=-2°のときに、電子回折スポットの数が最も多い。以下、最も電子回折スポットの数が多い電子回折図形が得られた傾斜角を第1傾斜角という。
ここで、一般的に、電子回折図形では、試料Sに対する電子線EBの入射角と試料Sの結晶方位とがずれている場合には電子回折スポットの数が少なく、試料Sに対する電子線EBの入射角と試料Sの結晶方位とが一致している場合には電子回折スポットの数が多い。そのため、第1傾斜角は、試料Sに対する電子線EBの入射角と試料Sの結晶方位とのずれが比較的小さい傾斜角といえる。
次に、試料Sの傾斜角を第1傾斜角とする。これにより、試料Sの傾斜角を第1傾斜角とした状態で、以下で説明する、試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位とを合わせる処理を開始することができる。
次に、互いに異なる試料Sの傾斜角で得られた複数の電子回折図形を取得する。例えば、Y傾斜機構15Bを用いてY方向の傾斜角を順次変更させながら、傾斜角を変更するごとに電子回折図形を撮影する。これにより、複数の電子回折図形を取得できる。
このとき、試料Sの傾斜角を変更する角度範囲は、第1傾斜角が中心となる角度範囲とする。また、試料Sの傾斜角を変更する角度ステップ(以下「第2角度ステップ」ともいう)は、第1角度ステップよりも小さくする。
次に、互いに異なる試料Sの傾斜角で得られた複数の電子回折図形をそれぞれ円近似して、円の半径が最小となる傾斜角を求める。
例えば、まず、電子回折図形に現れている複数の電子回折スポットのそれぞれの中心座標を求める。次に、図9に示すように、電子回折スポットの中心座標から円近似を行い、円の中心の座標と半径を算出する。円近似は、最小二乗法などの一般的な数学的手法を用いて行うことができる。次に、図10に示すように、図9の各電子回折図形の近似円の半径をプロットしたグラフを作成して、近似円の半径が最小となる傾斜角(以下「第2傾斜角」ともいう)を求める。このようにして、Y方向の第2傾斜角を求めることができる。
なお、近似円の半径が最小となる傾斜角を求める手法はこれに限定されず、例えば、特開2010-212067号公報に記載されたその他の手法を用いてもよい。
次に、Y方向の傾斜角を第2傾斜角とした状態で、X傾斜機構15Aを用いてX方向の傾斜角を順次変更させながら、傾斜角を変更するごとに電子回折図形を撮影する。このようにして得られた複数の電子回折図形を用いて、Y方向の第2傾斜角を求める場合と同様の手法を用いて、X方向の第2傾斜角を求める。
次に、Y方向の傾斜角を第2傾斜角とし、X方向の傾斜角を第2傾斜角とする。
以上の工程により、試料Sに対する電子線EBの入射方向と、試料Sの傾斜方位と、を合わせることができる。
ここで、図11に示すように、試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位とのずれが大きい場合、電子回折図形は、円で近似できない。上記の手法によれば、試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位とのずれが小さい状態で、互いに異なる傾斜角で得られた複数の電子回折図形を取得し、複数の電子回折図形をそれぞれ円
近似して、円の半径が最小となる傾斜角を求めることができる。そのため、上記の手法によれば、電子回折図形を円で正確に近似できる。したがって、試料Sに対する電子線EBの入射方向と、試料Sの傾斜方位と、を正確に合わせることができる。
なお、一般的に、試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位とのずれが2°よりも大きい場合には、電子回折図形は円で正確に近似できない。そのため、上述したように、第1角度ステップは、2°以下とすることが好ましい。
3. 処理
図6は、制御部32の処理の一例を示すフローチャートである。
例えば、X方向の傾斜角TXの初期値をTX1、Y方向の傾斜角TYの初期値をTY1とする。また、X方向の傾斜角TXを変更する間隔を角度ステップΔTXとし、X方向の傾斜角TXを変更する回数(ステップ数)をNXとする。また、Y方向の傾斜角TYを変更する間隔を角度ステップΔTYとし、Y方向の傾斜角TYを変更する回数(ステップ数)をNYとする。このとき、制御部32は、次式に従って試料傾斜機構15を制御する。
TX=TX1+(m-(NX-1)/2)×ΔTX
TY=TY1+(n-(NY-1)/2)×ΔTY
なお、mは、X方向の傾斜角を変更した回数であり、nは、Y方向の傾斜角を変更した回数である。
制御部32は、m=0、n=0とし(S100)、試料傾斜機構15にX方向の傾斜角TXをTX=TX1+((1-NX)/2)×ΔTXとさせ、Y方向の傾斜角TYをTY=TY1+((1-NX)/2)×ΔTYとさせる(S102)。そして、制御部32は、撮像装置20で撮影された電子回折図形を取得する(S104)。
次に、制御部32は、取得した電子回折図形において、電子回折スポットの数Nspot(TX,TY)を求める(S106)。求められた電子回折スポットの数Nspot(TX,TY)は、傾斜角(TX,TY)の情報に関連づけられて、記憶部36に記憶される。
次に、制御部32は、X方向の傾斜角を変更した回数mが、ステップ数NX-1よりも小さいか否かを判定する(S108)。
回数mがステップ数NX-1よりも小さいと判定された場合(S108のYes)、制御部32は、m=m+1とし(S110)、試料傾斜機構15にX方向の傾斜角TXをTX=TX1+((3-NX)/2)×ΔTXとさせ、Y方向の傾斜角TYをTY=TY1+((1-NY)/2)×ΔTYとさせる(S102)。そして、制御部32は、撮像装置20で撮影された電子回折図形を取得する(S104)。
次に、制御部32は、取得した電子回折図形において、電子回折スポットの数Nspot(TX,TY)を求める(S106)。
このように、制御部32は、X方向の傾斜角を変更した回数mが、ステップ数NX-1よりも小さくないと判定されるまで、すなわちm=NX-1となるまで、ステップS102、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110の処理を繰り返す。
回数mがステップ数NX-1よりも小さくないと判定された場合(S108のNo)、
制御部32は、Y方向の傾斜角を変更した回数nをn=n+1とし(S112)、Y方向の傾斜角を変更した回数nが、ステップ数NYよりも小さいか否かを判定する(S114)。
回数nがステップ数NYよりも小さいと判定された場合(S114のYes)、制御部32は、m=0とし(S116)、試料傾斜機構15にX方向の傾斜角TXをTX=TX1+((1-NX)/2)×ΔTXとさせ、Y方向の傾斜角TYをTY=TY1+((3-NY)/2)×ΔTYとさせる(S102)。そして、制御部32は、撮像装置20で撮影された電子回折図形を取得する(S104)。次に、制御部32は、取得した電子回折図形において、電子回折スポットの数Nspot(TX,TY)を求める(S106)。
このようにして、制御部32は、Y方向の傾斜角を変更した回数nが、ステップ数NYよりも小さくないと判定されるまで、すなわち、n=NYと判定されるまで、ステップS102、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110、ステップS112、ステップS114、およびステップS116の処理を、繰り返す。この結果、図5に示すように、互いに異なる傾斜角で得られた複数の電子回折図形の電子回折スポットの数を求めることができる。
回数nがステップ数NYよりも小さくないと判定された場合(S114のNo)、制御部32は、複数の電子回折図形から最も電子回折スポットの数が多い電子回折図形を探索して(S118)、最も電子回折スポットの数が多い電子回折図形の傾斜角(TX,TY)を第1傾斜角とする(S120)。
図5に示す表では、傾斜角(TX,TY)=(-2°,-2°)のときに、電子回折スポットの数がNspot(-2°,-2°)=39で最大となる。したがって、X方向の第1傾斜角を-2°、Y方向の第1傾斜角を-2°と決定する。
制御部32は、試料傾斜機構15に試料Sの傾斜角を第1傾斜角にさせる(S122)。
次に、制御部32は、Y傾斜機構15BにY方向の第1傾斜角を含む角度範囲で試料Sの傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の電子回折図形を取得する(S124)。次に、制御部32は、取得した複数の電子回折図形をそれぞれ円近似して円の半径が最小となるY方向の第2傾斜角を求める(S126)。
次に、制御部32は、Y方向の傾斜角TYを第2傾斜角とした状態で、X傾斜機構15AにX方向の第1傾斜角を含む角度範囲で試料Sの傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の電子回折図形を取得する(S128)。次に、制御部32は、取得した複数の電子回折図形をそれぞれ円近似して円の半径が最小となるX方向の第2傾斜角を求める(S130)。
次に、制御部32は、X傾斜機構15AにX方向の傾斜角TXを第2傾斜角とさせ、Y傾斜機構15BにY方向の傾斜角TYを第2傾斜角とさせる(S132)。
以上の処理により、試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位とを合わせることができる。
4. 特徴
電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡100では、制御部32は、試料傾斜機構15に試料Sの傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の第1電子回折図形を取得する処理と、複数の第1電子回折図形から最も回折スポットの数が多い第1電子回折図形を探索して、最も回折スポットの数が多い第1電子回折図形が得られた傾斜角である第1傾斜角を求める処理と、を行う。また、制御部32は、試料傾斜機構15に、第1傾斜角を含む角度範囲で試料Sの傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の第2電子回折図形を取得する処理と、複数の第2電子回折図形をそれぞれ円近似して、円の半径が最小となる第2傾斜角を求める処理と、試料傾斜機構15に試料Sの傾斜角を第2傾斜角にさせる処理と、を行う。
このように電子顕微鏡100では、試料Sに対する電子線EBの入射角と試料Sの結晶方位とのずれが小さい第1傾斜角を求め、第1傾斜角を含む角度範囲で傾斜角を変更させて、複数の第2電子回折図形を取得する。そのため、第2電子回折図形を正確に円近似できる。したがって、電子顕微鏡100によれば、試料Sに対する電子線EBの入射角と試料Sの結晶方位とを正確に合わせることができる。
電子顕微鏡100では、上記の第1傾斜角を含む角度範囲は、第1傾斜角を中心とする角度範囲である。そのため、電子顕微鏡100では、試料Sに対する電子線EBの入射角と試料Sの結晶方位とを正確に合わせることができる。
電子顕微鏡100において、第1電子回折図形を取得する処理では、第1角度ステップで傾斜角を変更し、第2電子回折図形を取得する処理では、第1角度ステップよりも小さい第2角度ステップで傾斜角を変更する。そのため、電子顕微鏡100では、効率よく、かつ、正確に、試料Sに対する電子線EBの入射角と試料Sの結晶方位とを合わせることができる。
5. 変形例
5.1. 第1変形例
図7は、第1変形例に係る電子顕微鏡の制御部32の処理の一例を示すフローチャートである。図7では、図6と同じ処理を行うステップには同じ符号を付している。以下では、上述した電子顕微鏡100の制御部32の処理と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100では、図6に示すように、制御部32は、複数の電子回折図形から最も回折スポットの数が多い電子回折図形を探索して(S118)、最も回折スポットの数が多い電子回折図形が得られた傾斜角である第1傾斜角を求めた(S120)。
これに対して、第1変形例に係る電子顕微鏡では、図7に示すように、制御部32は、複数の電子回折図形からテンプレート画像に最も類似する電子回折図形を探索して(S200)、テンプレート画像に最も類似する電子回折図形が得られた傾斜角である第1傾斜角を求める(S202)。テンプレート画像は、試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位が一致している状態で得られる電子回折図形である。
例えば、あらかじめ試料Sに対する電子線EBの入射方向と試料Sの結晶方位があっている状態で得られる電子回折図形をテンプレート画像として記憶部36に記憶しておく。制御部32は、互いに異なる傾斜角で得られた複数の電子回折図形のそれぞれについて、テンプレート画像との類似度を求める。そして、類似度が最も高い電子回折図形が得られた傾斜角を第1傾斜角と決定する。類似度を求める手法は特に限定されず、公知のテンプレートマッチングによる画像処理を用いることができる。
第1変形例に係る電子顕微鏡では、上述した電子顕微鏡100と、同様の作用効果を奏することができる。
5.2. 第2変形例
図8は、第2変形例に係る電子顕微鏡の制御部32の処理の一例を示すフローチャートである。図8では、図6と同じ処理を行うステップには同じ符号を付している。以下では、上述した電子顕微鏡100の制御部32の処理と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100では、図6に示すように、制御部32は、試料傾斜機構15に、試料Sの傾斜角を第1傾斜角にさせた(S122)。
これに対して、第2変形例に係る電子顕微鏡では、図8に示すように、制御部32は、試料傾斜機構15に、試料Sの傾斜角を第1傾斜角にさせる処理を行わない。制御部32は、第1傾斜角を決定した後(ステップS120の後)、ステップS124およびステップS128の処理において、試料Sの傾斜角を変更する角度範囲に、第1傾斜角が含まれるようにする。これにより、電子回折図形を円で正確に近似できる。なお、好ましくは、試料Sの傾斜角を変更する角度範囲を、第1傾斜角が中心となる角度範囲とする。これにより、電子回折図形の近似円の半径の最小値をより正確に求めることができる。
第1変形例に係る電子顕微鏡では、上述した電子顕微鏡100と、同様の作用効果を奏することができる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…照射系、4…結像系、10…電子銃、12…照射レンズ、14…試料ステージ、15…試料傾斜機構、15A…X傾斜機構、15B…Y傾斜機構、16…試料ホルダー、18…対物レンズ、20…撮像装置、22…撮像制御装置、30…傾斜機構制御装置、32…制御部、34…表示部、36…記憶部、100…電子顕微鏡

Claims (3)

  1. 電子線を試料に照射する照射系と、
    前記試料を傾斜させる試料傾斜機構と、
    前記試料を透過した電子で結像する結像系と、
    前記結像系で結像された像を撮影する撮像装置と、
    前記試料傾斜機構を制御する制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記試料傾斜機構に前記試料の傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の第1電子回折図形を取得する処理と、
    複数の前記第1電子回折図形から最も回折スポットの数が多い前記第1電子回折図形を探索して、最も回折スポットの数が多い前記第1電子回折図形が得られた傾斜角である第1傾斜角を求める処理と、
    前記試料傾斜機構に前記第1傾斜角を含む角度範囲で前記試料の傾斜角を順次変更させ、互いに異なる傾斜角で得られた複数の第2電子回折図形を取得する処理と、
    複数の前記第2電子回折図形をそれぞれ円近似して、円の半径が最小となる第2傾斜角を求める処理と、
    前記試料傾斜機構に前記試料の傾斜角を第2傾斜角にさせる処理と、
    を行う、電子顕微鏡。
  2. 請求項1において、
    前記角度範囲は、前記第1傾斜角を中心とする角度範囲である、電子顕微鏡。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1電子回折図形を取得する処理では、第1角度ステップで傾斜角を変更し
    前記第2電子回折図形を取得する処理では、前記第1角度ステップよりも小さい第2角度ステップで傾斜角を変更する、電子顕微鏡。
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