JP4704776B2 - 結晶材料の格子歪みの評価方法及びその評価装置 - Google Patents

結晶材料の格子歪みの評価方法及びその評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、結晶材料の格子歪みの評価方法及びその評価装置に関し、特に、格子歪みの分解能を高くすることができる方法及び装置に関する。
結晶材料に応力が加わると格子歪みが生じ,結晶材料の様々な物性に影響を及ぼす。特に半導体集積回路装置の高集積化及び微細化に伴って発生する格子歪みは,半導体集積回路装置の素子の特性を左右する重要な要因の一つである。したがって,形成されたLSIの特性評価のために,結晶材料の格子歪みの評価方法が必要になる。LSI内の評価したいトランジスタの領域を一部エッチングなどにより削ることで所定膜厚の試料に加工し,その試料の格子歪みを評価する方法が提案されている。たとえば,特許文献1に記載されるとおりである。
この特許文献1には,評価対象の試料に対して,2次元の格子歪み分布像を即時的に取得することができるようにすることを目的とし,透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)や走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)を用いて,結晶材料の晶帯軸方向に電子を入射し,その透過波像と回折波像のコントラスト(歪みコントラスト)から,格子歪みを評価することが記載されている。つまり,評価対象の試料の二次元領域に対して晶帯軸方向に入射する電子を走査し,試料を透過及び回折して得られた電子像のコントラスト(電子像強度の差)に基づき,格子歪みを評価する。一般に,格子歪みない場合の透過波像と回折波像のコントラストに比較すると,格子歪みがある場合はそのコントラストが異なるので,そのコントラストの違いを利用して回折歪みの程度を評価することができる。
特開2004−93263号公報
しかしながら,特許文献1に記載された評価方法では,劈開方向に加工された結晶材料の薄片に対して,単に電子線を晶帯軸方向(薄片に垂直方向)に入射するだけであり,その入射条件で得られる歪みコントラストはそれほど大きくない。そのため,評価される格子歪みの分解能がそれほど大きくなく,より高解像度の格子歪み評価を得ることができる評価方法が望まれる。
そこで,本発明の目的は,高解像度の格子歪み評価方法及びその評価装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために,本発明の側面によれば,結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度と回折波強度とのコントラストから前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価方法において,(1)前記結晶材料の複数の結晶面に対して,格子歪みのない領域の基準コントラストに対する格子歪みのある領域のコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の工程と,(2)前記求めた複数の結晶面に対する前記コントラストの比から,最適な結晶面と,前記電子線入射方位とを選択する第2の工程と,(3)前記選択した結晶面と電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の工程とを有する。
結晶材料の表面に垂直な方向の軸に対してわずかに入射方向を傾けることで,より格子歪みなしの位置での電子像のコントラストと格子歪みありの位置での電子像のコントラストの比が強調される。この強調の程度が極大値になる電子線入射方位を探索し,その入射方位で結晶材料の表面を走査し得られた電子像強度から,格子歪みを評価することで,分解能の高い格子歪み評価結果を得ることができる。
本発明によれば,高解像度の格子歪み評価結果を得ることができる。
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
図1は,本実施の形態における格子歪み評価する場合の結晶材料に対する電子線の透過波像と回折波像の概略を示す図である。結晶材料12のある結晶面14に対して電子線13を照射すると,結晶材料を透過する波と,結晶面での弾性散乱により回折した波とに分離され,透過波像16と回折波像18とが生成される。前述のとおり,格子歪みない場合の透過波強度と回折波強度のコントラスト(強度差)に比較すると,格子歪みがある場合はそのコントラストが異なるので,そのコントラストの違いを利用して回折歪みの程度を評価することができる。
したがって,この透過波像16と回折波像18の強度のコントラストに注目することで,電子線を照射した位置における格子歪みの程度を評価することができる。ただし,結晶材料12には,複数の結晶面が存在し,それらの結晶面に対する電子線13の入射方位と結晶材料膜厚とに依存して,上記のコントラストが異なる。本実施の形態では,評価対象の試料である結晶材料に対して,コントラストが大きくとれる最適の結晶面,電子線入射方位などの条件を理論的に求めた上で,試料をその条件に設定して得られた電子線像のコントラストから格子歪みの程度を評価する。
図2は,収束電子回折像の説明図である。中心に結晶材料を透過した電子による透過波像16が,その周囲には複数の回折波像18が形成される。図2の像は,加工が容易な劈開方向に加工された結晶材料の薄片に対して,その薄片の面に垂直な晶帯軸(結晶対象性の高い軸を意味し,指数が1,0によって形成される結晶軸,[100][110][111]など)に沿って電子線を照射した時に得られる電子線像である。照射位置において格子歪みがない場合は,透過波像16の周りに規則的に回折波像18が並ぶ。また,電子線の入射方向と晶帯軸とが互いに傾斜すると,この回折像18が非対称に現れる。さらに,照射位置において格子歪みがある場合は,実質的に電子線の入射方向(入射方位)と晶帯軸とが傾斜した場合と同じ非対称の回折像が現れる。
図3は,本実施の形態における格子歪み評価装置の構成図である。この評価装置は,電子線を試料に照射しその透過波像や回折波像を撮像する電子顕微鏡1と,CCDカメラなどの画像取り込み装置2と,電子線を試料表面に走査するための走査レンズ系制御装置3とその制御用入力装置4と,透過レンズ系制御装置50とその制御用入力装置6と,試料の方向を変更する試料制御装置7とを有する。さらに,評価装置は,パーソナルコンピュータなどからなる処理装置8と,外部記憶装置9と,キーボードなどの入力装置10と,表示装置11とを有する。処理装置8は,制御用入力装置4,5及び試料制御装置7に制御信号を供給するとともに,画像取り込み装置2が取り込んだ画像信号を処理して,コントラストから格子歪みの程度を判定する。
図4は,本実施の形態における結晶材料の格子歪み評価方法のフローチャート図である。まず,測定対象となる結晶材料が準備される。具体的には,測定したい断面を露出するように加工された薄片の結晶材料が準備される。通常は,加工が容易な劈開方向にエッチングなどにより削られた薄片にされるので,その薄片に垂直な方向は晶帯軸方向になる。そして,その試料に収束電子を照射し,収束電子の回折波像の干渉縞などからその膜厚が測定される(S10)。
次に,試料の結晶材料に対して,歪みコントラストが強調される最適な電子入射条件が演算により理論的に求められる(S12)。この電子入射条件には,どの結晶面を利用するのか,晶帯軸に対する電子線の入射方位,膜厚などである。この求め方については,後に詳述する。
そして,電子線顕微鏡において,試料の結晶材料に対する電子線入射方位などの最適な電子入射条件に設定し(S14),対物絞りを透過波に合わせて,撮像素子に対して透過波像を投影する(S16)。そして,STEM検出器でこの透過波像を撮影し(S18),透過波像の強度を信号処理して,歪みコントラストの濃淡を,電子線の走査位置に対応させて出力する(S20)。
図5は,最適な電子入射条件の求め方についてのフローチャート図である。試料の表面に垂直な方向にある晶帯軸に沿って電子線を入射すると,複数の結晶面が見える。その状態から,電子線入射方位を試料面に対して傾けると,特定の結晶面にのみ反射するブラッグ条件での透過波像と回折波像とが観察される。さらに,電子線入射方位を試料面に対して傾けると,上記結晶面に対するブラッグ条件からずれて,やがて別の結晶面にのみ反射するブラッグ条件での透過波像と回折波像とが観察される。そこで,これら複数の結晶面について,電子線入射方位に対する透過波強度と回折波強度のプロファイルから,ブラッグ条件から入射方位をずらした場合で歪みコントラストが最大になる電子線方位を理論的に演算により求めることができる。
まず,複数の結晶面のうち,一つの結晶面を選定する(S30)。そして,選定した結晶面についてそのブラッグ条件のプロファイルから,歪みコントラストが最大になる入射角を理論的演算により求める(S32)。
図6,図7は,歪みコントラストが最大になる入射方位を求める方法を説明する図である。図6は,ある結晶面についてブラッグ条件からの入射角のずれに対する透過波強度I0と回折波強度Igとを示す。横軸は,励起誤差sgと消衰距離ξgの積(sgg)に対応し,この励起誤差sgは,電子線の入射方位に応じてその値が変化し,消衰距離ξgは,ブラッグ条件からずれるほど透過波や回折波が消衰する距離を示す結晶面に固有の値であるので,横軸の積(sgg)は実質的に電子線の入射方位に対応する。また,縦軸は強度に対応し,透過波強度I0は実線で,回折波強度Igは破線でそれぞれ示している。これらの透過波強度I0,回折波強度Igは,理論的には次の式で求めることができる。
Figure 0004704776
さらに,上記の実効励起誤差は,実効消衰距離と次の式の関係を有する。
Figure 0004704776
図7は,上記の励起誤差sgを説明する図である。図中,励起誤差sgと逆格子ベクトルg及び波数ベクトルkとの関係と,ある電子線入射方位で照射した時に得られた透過波像(図中0),回折波像(図中−1g,1g,2g,3g)の例とが示されている。図7の透過波像と回折波像において,この図中にエバルト球を描いたときに,そのエバルト球がg反射像よりも外側にある場合,励起誤差sgは正と,内側にある場合,励起誤差sgは負とそれぞれ定義される。図7に示された回折波像では,励起誤差sgは正であり,図6中の横軸正の位置にあることを意味する。つまり,電子線の入射方位を変化させると,それに伴ってg反射像の位置も変化し,エバルト球上にあるときは励起誤差sg=0となり,エバルト球の外側でsg>0,内側でsg<0となる。したがって,試料の結晶材料に対して所定の入射方位(例えば試料面に垂直方向)で入射したときのg反射像とエバルト球との位置関係を調べることで,現在の励起誤差sgを求めることができる。
そこで,試料の結晶材料に電子線を照射して,選定した結晶面のブラッグ条件での図7の透過波像と回折波像から,試料の照射位置での励起誤差sgを求める。この照射位置は,試料の格子歪みがない領域と,格子歪みが大きな領域(好ましくは最大歪み領域)が選ばれる。このようにして求められた2つの励起誤差sgに応じて,図6中のa点とb点とが決定される。つまり,a点は,格子歪みがない領域での励起誤差sgに対応する透過波強度I0と回折波強度Igを示し,b点は,格子歪みが最大の領域での励起誤差sgに対応する透過波強度I0と回折波強度Igを示す。格子歪みがある領域に対して,格子歪みがない領域と同じ入射角度で電子線を入射すると,その格子歪みにより格子歪みのない領域とは電子線の反射角度が異なる。そのことは,実質的に電子線の入射方位が異なることを意味する。これが図6中に示した点aと点bとの差Δ|sg|である。
そして,この点a,bでの透過波強度I0と回折波強度Igとの差の比,
歪みコントラスト=|(Ib0−Ibg)/(Ia0−Iag)| (4)
が,格子歪み最大領域で得られる歪みコントラストになる。したがって,この歪みコントラストが最大または極大になるような電子線入射方位を検出すれば,試料の格子歪みの二次元分布を高解像度で検出することができるようになるのが理解できる。
そこで,本実施の形態では,以下の2つの条件で最適な電子線入射方位を検出する。第1に,試料面に垂直な晶帯軸方向から所定の傾斜許容角度Δθtの範囲内で,上記歪みコントラストが極大値になる電子線入射方位を探索する。第2に,透過波強度I0と回折波強度Igは共に,所定の閾値強度Ithより大きいことを条件とする。上記の傾斜許容角度Δθtは,試料面に対して電子線入射方位の傾きが大きすぎると,電子線が照射される試料面の表側と裏側とで位置ずれが生じ,適切に二次元分布を検出することができない。したがって,晶帯軸方向から傾斜許容角度の範囲内で,歪みコントラストが極大値になる電子線入射方位を見つける必要がある。また,閾値強度Ithの条件については,透過波強度I0と回折波強度Ig自体が小さすぎると,歪みコントラストが強くても像が形成されないので必要になる。この強度は,主に試料の膜厚に依存する。
工程S32の具体的な方法を説明すると,前述したとおり,電子線入射方位(方向)を試料面に垂直な晶帯軸方向にして,格子歪みのない領域と格子歪みが大きな領域を順に照射して,それぞれの透過波像,回折波像から,図7のように励起誤差sgを求める。通常,電子線の入射方位が晶帯軸方向の場合,図6に示すようにsg<0の点aの位置になる。それに対して,格子歪みの大きな領域は点bの位置になるとする。そして,前述の式(1)(2)を利用して,選択した結晶面に対するブラッグ条件での透過波強度と回折波強度の理論値を演算により求め,上記の2つの条件に適合する晶帯軸からの入射方位の傾きを探索する。つまり,図6の点a,bをそのまま水平方向に移動させながら,上記の式(4)の歪みコントラストが極大値をとる励起誤差sgを探索する。
前述のとおり,入射角が異なればブラッグ条件になる結晶面も異なることになるので,歪みコントラストが極大値になる入射方位が特定されれば,結晶面も同時に特定されることになる。
こうして歪みコントラストが極大値になる励起誤差sgが求められると,次に,選定された結晶面に対応する消衰距離ξgと探索された励起誤差sgとから,式(3)により実効消衰距離ξg effが求められる。この実効消衰距離ξg effに基づいて,透過波強度が極大値になる試料の膜厚を理論的に導くことができる。
図8は,試料膜厚に対する透過波強度のプロファイルを示す図である。横軸は,試料の膜厚tを実効消衰距離で除した値に対応する。また,縦軸は強度であり,図8には透過波強度のプロファイルが示されている。後述するとおり,試料の格子歪み分布を検出するのに透過波強度により評価するので,その透過波強度自体が極大値になる試料の膜厚tが,図8のプロファイルから理論的に演算で求められる(S34)。
上記の工程S30〜S34が,許容角Δθt範囲内で存在する複数の結晶面について実行され,最適な条件(結晶面,入射方位,膜厚)が求められる。ここで,膜厚については,最適膜厚にするためには,試料を再度加工する必要があり,あまり現実的ではない。その場合は,工程S34は行うことなく,最適条件(結晶面,入射方位)が検出される。
図4に戻って,最適な電子線入射条件(結晶面,入射方位,必要なら膜厚)が検出されると,図3の電子顕微鏡内で試料が電子線に対して入射方位に対応する方向に傾斜され,試料面が走査される。そして,各位置での透過波像の強度を信号処理することで,格子歪みの強弱を濃淡下して画像として出力する(S20)。
図9は,本実施の形態による格子歪み評価方法を利用して,半導体デバイスのシャロートレンチ構造の埋込絶縁物層を設けた単結晶シリコン基板の歪み分布を評価した評価結果を示す図である。図9(a)は歪みコントラストの濃淡像であり,図9(b)は等高線像である。埋め込み絶縁層及びコンタクト電極との界面近傍で歪みコントラストが大きくなっているのが示されている。この例では,配向面が(001)面で,チャネル方位が[110]のシリコン半導体基板を薄片に加工し,試料面に垂直な晶帯軸から3度未満の範囲で,上記(4)式のコントラストが最大になる結晶面と励起誤差sgを探索した。その場合,得られた結晶面と励起誤差(代わりに励起誤差sgと結晶面に対応する消衰距離ξgとから得た実効消衰距離ξg eff)は,次の通りであった。
(0 0 4)で7.3nm, (0 0 8)で1.8nm, (0 0 12)で0.7nm, (2 -2 0)で14.8nm, (4 -4 0)で3.6nm, (6 -6 0)で1.6nm…となった。これらの面指数の中では(0 0 12)面反射が最も歪みコントラストの解像度が高くなった。ここでは例として,(0 0 4)面および(2 -2 0)面の整数倍だけを比較しているが,他の面を探索しても同様である。
図10は,本実施例で得られた測定位置に対する透過波強度を示す図である。横軸が測定位置であり,右半分が格子歪みが大きくなる領域の位置に対応する。図10には,特許文献1に開示された電子線を晶帯軸方向に入射した時の像の歪みコントラストにより求めた評価結果(破線)と,本実施の形態の方法で最適の入射方位で入射した時の像の歪みコントラストにより求めた評価結果(実線)である。本実施の形態の方法によれば,電子線入射方位を最適化しているので,歪みコントラストがより強調されている。特に,格子歪みが大きな領域ではその差が顕著に表れている。
以上の通り,本実施の形態によれば,試料面に垂直な晶帯軸から最適な角度に傾けて電子線を照射することで,歪みコントラストをより強調することができ,格子歪みの評価分解能をより高くすることができる。
以上の実施の形態をまとめると,以下の付記のとおりである。
(付記1)結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度と回折波強度とのコントラストから前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価方法において,
前記結晶材料の複数の結晶面に対して,格子歪みのない領域の基準コントラストに対する格子歪みのある領域のコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の工程と,
前記求めた複数の結晶面に対する前記コントラストの比から,最適な結晶面と,前記電子線入射方位とを選択する第2の工程と,
前記選択した結晶面と電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の工程とを有する結晶材料の格子歪み評価方法。
(付記2)付記1において,
前記第1の工程は,結晶面に対するブラッグ条件下での前記電子線入射方位に対する透過波強度と回折波強度のプロファイルに基づいて,前記の極大値になる電子線入射方位を求めることを特徴とする結晶材料の格子歪み評価方法。
(付記3)付記2において,
前記第1の工程において,さらに,前記透過波強度及び回折波強度の絶対値が所定の閾値以上の範囲で,前記の極大値になる電子線入射方位を求めることを特徴とする結晶材料の格子歪み評価方法。
(付記4)付記1において,
前記第1の工程で,前記第1の工程で求めた電子線入射方位に対応する励起誤差から得られる実効消衰距離と,等厚干渉縞のプロファイルとから,透過波強度が極大になる結晶材料の膜厚を求め,
前記第2の工程で,最適な前記膜厚を選択し,
さらに,前記選択された膜厚に前記結晶材料を加工する工程を有する結晶材料の格子歪み評価方法。
(付記5)結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度または回折波強度から前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価方法において,
前記結晶材料の表面に垂直な軸から所定の角度範囲内で電子線入射方位を変更した場合に,格子歪みのない領域の透過波強度と回折波強度の差である基準コントラストに対する,格子歪みのある領域の当該差であるコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の工程と,
前記求めた複数の前記コントラストの比から,最適な前記電子線入射方位を選択する第2の工程と,
前記選択した電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の工程とを有する結晶材料の格子歪み評価方法。
(付記6)結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度と回折波強度とのコントラストから前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価装置において,
前記結晶材料の複数の結晶面に対して,格子歪みのない領域の基準コントラストに対する格子歪みのある領域のコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の処理装置と,
前記求めた複数の結晶面に対する前記コントラストの比から,最適な結晶面と,前記電子線入射方位とを選択する第2の処理装置と,
前記選択した結晶面と電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の処理装置とを有する結晶材料の格子歪み評価装置。
(付記7)結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度または回折波強度から前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価装置において,
前記結晶材料の表面に垂直な軸から所定の角度範囲内で電子線入射方位を変更した場合に,格子歪みのない領域の透過波強度と回折波強度の差である基準コントラストに対する,格子歪みのある領域の当該差であるコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の処理装置と,
前記求めた複数の前記コントラストの比から,最適な前記電子線入射方位を選択する第2の処理装置と,
前記選択した電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の処理装置とを有する結晶材料の格子歪み評価装置。
本実施の形態における格子歪み評価する場合の結晶材料に対する電子線の透過波像と回折波像の概略を示す図である。 収束電子回折像の説明図である。 本実施の形態における格子歪み評価装置の構成図である。 本実施の形態における結晶材料の格子歪み評価方法のフローチャート図である。 最適な電子入射条件の求め方についてのフローチャート図である。 歪みコントラストが最大になる入射角を求める方法を説明する図である。 歪みコントラストが最大になる入射角を求める方法を説明する図である。 試料膜厚に対する透過波強度のプロファイルを示す図である 本実施の形態による格子歪み評価方法を利用して,半導体デバイスのシャロートレンチ構造の埋込絶縁物層を設けた単結晶シリコン基板の歪み分布を評価した評価結果を示す図である。 本実施例で得られた測定位置に対する透過波強度を示す図である。
符号の説明
I0:透過波強度 Ig:回折波強度

Claims (4)

  1. 結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度と回折波強度とのコントラストから前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価方法において,
    前記結晶材料の複数の結晶面に対して,格子歪みのない領域の基準コントラストに対する格子歪みのある領域のコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の工程と,
    前記求めた複数の結晶面に対する前記コントラストの比から,最適な結晶面と,前記電子線入射方位とを選択する第2の工程と,
    前記選択した結晶面と電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の工程とを有する結晶材料の格子歪み評価方法。
  2. 結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度または回折波強度から前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価方法において,
    前記結晶材料の表面に垂直な軸から所定の角度範囲内で電子線入射方位を変更した場合に,格子歪みのない領域の透過波強度と回折波強度の差である基準コントラストに対する,格子歪みのある領域の当該差であるコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の工程と,
    前記求めた複数の前記コントラストの比から,最適な前記電子線入射方位を選択する第2の工程と,
    前記選択した電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の工程とを有する結晶材料の格子歪み評価方法。
  3. 結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度と回折波強度とのコントラストから前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価装置において,
    前記結晶材料の複数の結晶面に対して,格子歪みのない領域の基準コントラストに対する格子歪みのある領域のコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の処理装置と,
    前記求めた複数の結晶面に対する前記コントラストの比から,最適な結晶面と,前記電子線入射方位とを選択する第2の処理装置と,
    前記選択した結晶面と電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の処理装置とを有する結晶材料の格子歪み評価装置。
  4. 結晶材料に電子線を照射し,その透過波強度または回折波強度から前記結晶材料の格子歪みを評価する結晶材料の格子歪み評価装置において,
    前記結晶材料の表面に垂直な軸から所定の角度範囲内で電子線入射方位を変更した場合に,格子歪みのない領域の透過波強度と回折波強度の差である基準コントラストに対する,格子歪みのある領域の当該差であるコントラストの比が極大値になる電子線入射方位を,前記結晶材料の表面に垂直な方向の軸から所定の角度範囲内で求める第1の処理装置と,
    前記求めた複数の前記コントラストの比から,最適な前記電子線入射方位を選択する第2の処理装置と,
    前記選択した電子線入射方位に前記電子線照射を設定し,前記結晶材料に当該電子線を照射して得られた透過波像または回折波像の強度に応じて,前記格子歪みの程度を評価する第3の処理装置とを有する結晶材料の格子歪み評価装置。
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