JP4797072B2 - 電子線バイプリズムを用いた電子線装置および電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法 - Google Patents

電子線バイプリズムを用いた電子線装置および電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4797072B2
JP4797072B2 JP2009000644A JP2009000644A JP4797072B2 JP 4797072 B2 JP4797072 B2 JP 4797072B2 JP 2009000644 A JP2009000644 A JP 2009000644A JP 2009000644 A JP2009000644 A JP 2009000644A JP 4797072 B2 JP4797072 B2 JP 4797072B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
electron beam
biprism
magnetic field
optical system
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009000644A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010160909A (ja
Inventor
研 原田
哲也 明石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Hitachi High Tech Corp
Original Assignee
Hitachi High Technologies Corp
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi High Technologies Corp, Hitachi Ltd filed Critical Hitachi High Technologies Corp
Priority to JP2009000644A priority Critical patent/JP4797072B2/ja
Publication of JP2010160909A publication Critical patent/JP2010160909A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4797072B2 publication Critical patent/JP4797072B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、電子線バイプリズム及び電子レンズを有する電子線装置と、その装置内部の電子線バイプリズムを用いた浮遊磁場測定方法に関する。
電子顕微鏡など電子光学系を有する電子線装置においては、通常電子レンズとして磁界型レンズが使用される。磁界型レンズは電子線の進行方向(電子光学系の光軸)と平行方向の局所的強磁場による結像作用を利用するもので、最も一般的に用いられている電子レンズである。電子レンズの磁場の強弱は焦点距離の変化に対応し、対物レンズではフォーカス調整に、結像レンズ系では像倍率の変更などに利用される。一方、電子線の進行方向と垂直方向の磁場は、ローレンツ力として電子線の進行方向を直接的に変更する。そのため、比較的弱磁場にて電子線の偏向器として用いられることが一般的である。
電子線の場合には光線と異なり、電子線の通過経路を真空排気しなければならないことから、電子光学系は、金属製の密閉容器内に構築されることが一般的である。このとき、真空容器を高透磁率材料(例えば、純鉄やパーマロイなど)とすることによって、容器外部の磁場が電子線の経路に侵入しないよう遮蔽することができ、比較的容易に磁場対策を採ることができる。ただし、磁場に対する遮蔽は電場に対する遮蔽とは異なり、高透磁率材料側に磁場を優先的に透過させることによって、相対的に対策を必要としている空間、部分の磁場強度を低下させているだけで、原理上完全には遮蔽し得ない。
このような事情から、高分解能像観察、特に収差補正装置を導入した高分解能像観察法、および電子線ホログラフィーなど高精度で電子線を制御しなければならない場合には、電子線の経路内に残存する浮遊磁場、とりわけ時間的に変動する磁場に対しては、細心の対策が必要とされる。特に、先述のとおり、光軸に垂直方向の磁場成分は、電子線を直接偏向させるため影響が大であり、その測定と対策は重要である。
一般的には、例えば非特許文献1に開示されているように、浮遊磁場が時間的に電子線を偏向することを利用してその浮遊磁場の大きさ、位置を推定する。図13にその原理を模式的に示す。図14(図14A、図14B)に測定の状況および測定結果を示す。電子線の進行方向に幅lに渡って光軸2に垂直方向の磁場26(磁束密度ΔB)があるとき、磁場中に入射した速度vの電子は、図13のようなある1点25を中心とした回転半径rの等速円運動を行う。その結果、電子線は偏向角ηを持って磁場領域26を射出する軌道27を描く。この偏向角ηは、電子が磁場より受けるローレンツ力と遠心力のつり合いより
Figure 0004797072
と表わされる(但し、λ = h/mvを用いた)。ここでeは電子の電荷量、hはプランク定数、λは電子線の波長である。
この電子線への偏向角ηが時間的に変動するとき、偏向角ηを浮遊磁場存在領域の電子線の進行方向下流側、距離Ldefの点で観察し(図14A参照)、電子線のスポット10の形状のゆがみ、もしくは分裂(ΔSource=2ηLdef)として計測でき(図14B参照)、浮遊磁場ΔBを求めている。
Figure 0004797072
図14より明らかなように、この従来の浮遊磁場測定方法では、高感度に測定するには、浮遊磁場の存在領域と電子線スポット10の観察位置は離れている方が望ましく(Ldef → 大)、また、スポット10は小さく、かつ同時にスポット位置の観察倍率は高いことが望まれる。しかし、これらの条件を満たす光学系は、試料像観察条件からは大きく外れていることが多い。従って、浮遊磁場ΔBを測定しても、試料像観察時には別途に異なる光学系を構築しなければならず、測定結果が直接、観察像の良否に関係しない場合もある。
なお、電子線装置に関連するその他の技術として、特許文献1には、基本的な電子顕微鏡本体に加え、ホログラフィー観察において要求する空間分解能を入力する手段と、入力された値及び装置固有のパラメータから要求された空間分解能を実現する電子線バイプリズム位置及び試料位置を算出するための計算装置及び、得られた計算結果を実現するためのこれら二つの位置を移動させる機構を設けたものが開示されている。試料位置移動手段として、ネジのピッチを利用した回転式機構が開示されている。特許文献2には、電子線バイプリズムを2段用いることにより、干渉顕微鏡像のパラメータ(縞間隔、干渉領域幅)を独立に制御することが開示されている。
また、非特許文献2及び非特許文献4には、電子波の位相と磁場の関係、及びアハラノフ・ボーム効果に関する記載がある。また、非特許文献3には、電子レンズの収差の影響を受けず高コントラストで格子像を記録する方法として、暗視野格子を用いた結像実験に関する記載がある。さらに、非特許文献5には、2段電子線バイプリズム干渉計に関する記載がある。
特開2007−335083号公報 特開2005−197165号公報 後藤憲一、山崎修一 共編:詳解 電磁気学演習 (昭和58年)(共立出版)p400 A. Tonomura: Electron Holography, 2nd ed. (Springer, Heidelberg. Germany,1999) Chapter 5. Tetsuya Akashi、Akiara Sugawara、Takaho Yoshida、Tsuyoshi Matsuda、Ken Harada and Akira Tonomura: Proceedings of 16 th International Microscopy Congress (IMC16), (Sapporo, Japan, September 3 - 8, 2006) Vol. 2 , pp. 585. A. Tonomura: Electron Holography, 2nd ed. (Springer, Heidelberg. Germany,1999), Captor 6, page 52. Ken Harada, Akira Tonomura, Yoshihiko Togawa, Tetsuya Akashi and Tsuyoshi Matsuda: Applied Physics Letters, Vol. 84, (2004) 3229.
先述のごとく、浮遊磁場、特に光軸と垂直方向成分を有し、時間的にその強度、方位が変化する磁場は、その変動が電子顕微鏡において画像取得中(露光時間内)に作用した場合には、異なる画像が重畳されて観察・記録されることになり、電子顕微鏡像劣化の直接的原因となる。そのため、装置全体だけでなく、電子線の経路を集中的に高透磁率材料で覆ったり、あるいは、装置全体に問題となる浮遊磁場と逆方向でかつ同じ強度の磁場を積極的に印加することによって相殺するなどの対策が採られている。いずれにしても、電子顕微鏡像に直接影響を与えている浮遊磁場を測定することは、対策の方針を決定するためにも、対策の良否を評価するためにも重要である。
しかし、真空に封じられ、多数の電子レンズから構成される電子顕微鏡光学系においては、センサーを用いて浮遊磁場ΔBを検出することは現実的に困難であり、一般的には先述のとおり、電子ビームをスポット状にして、そのスポットの形状の不均一性(一方向への伸長)やスポットの分裂もしくは振動などを通じて測定、あるいは定性的な観察を行っているのみであった。この電子線のスポットを用いる方法は、スポットのサイズによって検出感度が異なること、通常の透過型電子顕微鏡においては、電子線のスポットを観察する光学系は試料像を結像観察するための光学系と異なることなどから、高分解能観察や、電子線ホログラフィーにおいては、電子線のスポットを拡大投影する光学系によって浮遊磁場の程度を評価しても、像観察に影響を与える浮遊磁場を評価できておらず、結局試行錯誤に磁場対策を行い、実験によって実際の像を観察して効果の程を知るしかなかった。
本発明の目的は、電子線装置内の電子光学系上に存在し、結像に影響を与える浮遊磁場を高感度に検出し、定量的に評価できる浮遊磁場の測定手法を提供することにある。
本発明の代表的なものの一例を示せば以下の通りである。即ち、本発明は、電子線の光源と、試料を保持するための試料保持機構と、前記光源から放出される前記電子線を前記試料に照射する照射光学系及び前記試料の像を結像するための対物レンズを含む結像光学系を有する電子光学系と、前記試料像を観察あるいは記録するための画像観察・記録装置を備えた電子線装置であって、前記試料保持機構、前記電子光学系、及び前記画像観察・記録装置を制御する情報処理装置を備え、前記電子光学系の光軸上に配置された電子線バイプリズムと前記電子光学系の電子レンズとによって干渉縞を発生させ前記干渉縞のコントラスト、もしくは前記電子線バイプリズムによる前記電子線の偏向角度を調整することによる前記干渉縞のコントラストの変化に基き、前記電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場を測定することを特徴とする。
なお、電子線に関しては照射光学系において空間的に可干渉な範囲内の電子線を用いる。
本発明によれば、試料観察時と同じ結像光学系、および光学条件において、浮遊磁場の影響を定量的かつ高精度に計測することが可能となり、光学系内に残存する浮遊磁場が観察像に与えている影響の程度、該浮遊磁場への対策の有効性の程度を測定・評価することが可能となる。
本発明は、電子線バイプリズムを用いて干渉光学系を構成し、高分解能像(格子像)観察光学系で格子像観察を行う光学条件にて干渉縞を観察し、観察される干渉縞のコントラストもしくはコントラスト変化の様子から、光学系中の浮遊磁場を測定する方法およびそれを可能とする装置を提供するものである。本方法の原理は、二波を干渉結像させる際に二波の経路が包む空間内に存在する時間的に変動する浮遊磁場によって生じる位相差(アハラノフ・ボーム効果による位相差(非特許文献4))の揺らぎを干渉縞のコントラストの劣化として評価するもので、電子線が浮遊磁場から受けるローレンツ力によって偏向される程度を測定する先述の電子線スポットの偏向検出方法とは原理的に異なる。
本発明では、電磁ノイズとしての浮遊磁場の強度、方位は時間的に常に揺らいでいるが、その揺らぎの程度は一連の干渉像観察の所要時間内には大きく変化しないとき、この揺らぎの程度を測定・評価するために、電子線バイプリズムを用いて電子線を二波に分割・干渉させることを測定の基本とする。電子線バイプリズムの電子線に対する偏向角度を変更し、その各々の状態での干渉縞を観察し、そのコントラストの変化の程度から当該干渉縞を形成するに至った二波の電子線経路中に存在する浮遊磁場の揺らぎの程度を測定する。二波の経路は空間的に離れるほど、すなわち電子線バイプリズムによる偏向角度が大きいほど該経路により包まれる空間が大きくなり、該閉空間内に取り込まれる浮遊磁場の量が増えるので該浮遊磁場を高感度に検出できる。
まず、本発明の浮遊磁場測定の原理に関して、以下、説明する。
<1.電子線バイプリズム>
本発明の説明においては、電子線バイプリズムが用いられる。電子線バイプリズムは光学におけるフレネルの複プリズムと同じ作用をする電子光学系における装置で、電界型と磁界型の2種類がある。このうち、広く普及しているものは電界型電子線バイプリズムで、図1に示すような形状をしている。すなわち、中央部の極細線電極9とその電極を挟む形で保持される平行平板型接地電極99から構成される。例えば、中央極細線電極9に正電圧を印加すると、図1中に示したごとく、極細線電極9の近傍を通過する電子線は、中央極細線電極9の電位を感じて互いに向き合う方向に偏向される(電子線の軌道27参照)。図1中の電子軌道27と垂直に平面22が描かれているが、これは電子線を波として表現するときの等位相面であり、通常は電子軌道と垂直を成す面で一般的には波面と呼ばれる。
中央極細線電極9から離れるほど電子線に作用する電位は小さくなるが作用している空間範囲が長いため、結果的には電子線の偏向角度は入射位置に依らず極細線電極への印加電圧に比例する。すなわち、αを電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度とすると、中央極細線電極9への印加電圧Vfと偏向係数kを用いてα=kVfで表わされる簡単な関係を持つ。電子線の偏向角度αが入射位置に依らないことは電子光学装置としては重要な特徴で、平面波は平面波のまま伝播方向のみが偏向されて、電子線バイプリズムを射出することになる。これは光学ではちょうど2つのプリズムを合わせた複プリズムの効果に対応することから、電子線バイプリズムと呼ばれている。電子線を偏向させるために電位を用いるものを電界型電子線バイプリズム、磁界と電子線とのローレンツ力を用いるものを磁界型電子線バイプリズムと呼ぶ。
本発明では、電界型電子線バイプリズムを用いて説明を行う。しかし、本発明は電子線バイプリズムとして電子線が干渉させられる装置であれば電界型、磁界型に依らず構成可能であり、説明で用いる電界型電子線バイプリズムに限定するものではない。また、本発明において「電子線バイプリズム」と記載する場合には、中央極細線電極を含んで広義に電子線偏向装置としての電子線バイプリズム全体を意味し、電子光学系に置ける厳密な位置に言及する場合は原則として「電子線バイプリズムの中央極細線電極」と記載する。
電子線バイプリズムは光学におけるハーフミラーの様なビームスプリッターが無い電子線においては、電子線干渉を作り出すのに必須の装置である。その理由は図1にも明らかな様に、1つの電子線の波面22を2波に分離するとともに互いに向き合う方向に偏向させる機能にある。この結果、電子線バイプリズムを通過し2波に分離された電子線は、電子線バイプリズムの電子線の流れの下流側で重畳され干渉縞8を生じさせる。このような電子光学系を総称して、電子線干渉光学系と呼ぶ。
<2.二波の干渉と干渉縞>
電子線ホログラフィーに代表される最も一般的な電子線干渉光学系は、図2に示すごとく1段の電子線バイプリズムを電子源の像10(クロスオーバー)と干渉縞を観察する平面7の間に配置し、中央極細線電極9に正の電圧を印加することによって該中央極細線電極9の両側を通過した2つの電子線を該中央極細線電極9の後方(電子線の進行方向下流側)で重畳させて干渉縞8を得ている。このときの干渉縞間隔sと干渉領域幅Wとの間には一定の関係があり、以下の数式にて表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
ここでα(rad)は電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度である。その他の文字については、図2中に示したとおり、Dは電子源の像面10から干渉縞の観察面7までの距離、Lは電子線バイプリズムの中央極細線電極9と干渉縞の観察面7までの距離である。また、dfは中央極細線電極9の直径である。
式(5)、(6)からわかるように干渉縞間隔sと干渉領域幅Wは、共に電子線の偏向角度αの関数となっており、中央極細線電極9への印加電圧Vfのみで互いに独立した制御を行うことは出来ない(例えば、非特許文献2参照)。
なお、図2では中央極細線電極9は紙面に垂直に配置されているものとし、電極の断面を小さな丸で示し、中央極細線電極9の両側の平行平板型接地電極99は省略している。また、光源を含む照射光学系4を小さな四角形で描いているが、これは電子源(電子銃)1、加速管40、コンデンサレンズ系(41、42)など、電子線の照射にまつわる装置部分をすべて含めた意図を持っている(図8参照)。光学系の模式図におけるこの照射系などの表示の省略は、必要に応じて、これ以降の図についても同様である。
<3.二波干渉結像>
本発明の方法では、同一光源から出発し異なる軌道を経由する二波の電子線の間に生じる干渉現象を利用する。2つの波に分割するために電子線バイプリズムを用いることは、上述のとおりであるが、これは干渉計としては波面分割型の干渉計に該当し、図3において干渉縞を観察する面7を試料位置3(対物レンズの物面)と見なして、格子像観察法と同様の光学系を構築する。通常の格子像観察と異なる点は、光軸に平行に伝播する波(格子像観察時には0次の透過波に相当する)のない、光軸に対称な角度γを持って伝播する2つの偏向波(g、−g)だけの厳密な二波結像に該当する点である。試料位置3における電子線が光軸2と成す角γは、電子線バイプリズムによる偏向作用によって生み出されたものであるが、偏向角αとは異なり、電子源1の位置にも依存する。この角度γは、結像レンズにて拡大作用を経ると、倍率に逆比例して小さくなる。
まず、図3の様に光学系の諸パラメータを定め、対物レンズの倍率をMobjとすると以下の諸式を得る。下付文字『obj』は、対物レンズ透過後を意味する。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
ここでaは対物レンズ5(対物レンズの主面)と試料位置3(対物レンズの物面)との距離、bは対物レンズ5(対物レンズ主面)と像面71との距離である。
なお図3では、簡単のため磁界レンズによる光軸を中心とした電子線の回転及びそれに伴う像の回転を描いていないが、この省略によって本発明が議論する電子光学系の一般性を失うものではない。また、レンズ自身も主面を単線で表わす省略を行っている。図3以降の光学系を表わす図についても場合に応じて同様の省略を行う。
また、図3で描いた2つの偏向波(g、−g)で構成される干渉縞8は試料観察に置き換えると暗視野格子像と呼ばれるものに該当しており(非特許文献3参照)、二波は光軸に対して対称な角度関係を成すため電子レンズの収差の影響を受けない(厳密には収差の影響を相殺して結像する)特徴を持っている。パラメータDおよびLが既知であれば、フォーカス条件は試料位置3に対するインフォーカスでよい。
<4.電子軌道と位相差>
本発明の方法では、同一光源から出発し異なる軌道を経由する電子線の間に生じる干渉現象を利用する。図4は電子軌道27と波面22(等位相面)の関係を描いた模式図である。図4のような電子源1と観察点(光源の像10)の関係の場合、電子源1からでた電子線が各々の軌道27を経て観察点10に達した時の電子線の位相差Δφは式(9)で表わされる(非特許文献4参照)。
Figure 0004797072
式(9)右辺の第1項Δφ1は幾何光学的光路差(波数の経路積分)、第2項Δφ2は電場の寄与であり光線の場合の屈折率に相当する。第3項Δφ3は磁場の寄与で、加速電圧(電子線の波長)に依存しないことを特徴とする。本発明では、電子顕微鏡像に与える浮遊磁場の影響を考察するため、幾何光学的位相差の第1項Δφ1と磁場の寄与の第3項Δφ3についてそれぞれ検討する。
<5.幾何光学的光路への浮遊磁場の影響>
本節では図5のごとく、2つの偏向波(g、−g)の経路中に浮遊磁場24(磁束密度ΔB)が存在する場合を検討する。電子顕微鏡像の解像度など像質に最も大きな影響を与える対物レンズにおいては、試料ホルダー、対物絞りなどの電子光学部品がレンズ主面近傍に配置される構造となっており、そのため磁場遮蔽は他の部分と比較して弱いのが実状である。そこで、時間的に変動する浮遊磁場は、対物レンズによる電子源の像面36(後側焦点面近傍)の電子線の流れの下流側の幅lの範囲に局所的に存在していると仮定する。上記の事情であるため、この仮定でも一般性は失わない。
図5に浮遊磁場の領域を含む場合の光学系を示す。ある瞬間を考えると、電子線バイプリズム9にて分割・偏向を受けた各々の電子軌道27は、それぞれ浮遊磁場ΔBにてローレンツ力による偏向を受け、干渉縞8は横方向に移動する(図5では右方向)。像観察点は、高倍率のため光軸2のごく近傍のみであるから、観察像では干渉縞の縞位置が横に移動したように観察される。すなわち、観察された干渉縞の位相が変化することになる。観察点での干渉縞の位相の変化量Δφ1を、浮遊磁場ΔBにより生じた虚光源15からの光路長より求めると、虚光源15の位置の変位量は1次近似の範囲(でlηであることから、右側虚光源(偏向波g)からの光路長DRと、左側虚光源(偏向波−g )からの光路長DLとは各々、
Figure 0004797072
Figure 0004797072
となる。以上より、光路差ΔD、および位相変化量Δφ1を得る。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
式(13)より、浮遊磁場による干渉縞の幾何光学的光路差ΔDによる位相変化量Δφ1は波長λに依存せず、浮遊磁場の強さ(磁束密度ΔB)と、その磁場の存在領域lに依存することがわかる。すなわち、時間的に変化する浮遊磁場ΔBが領域lに存在するとき、位相変化量Δφ1分だけ異なる干渉縞が重畳されて観察されることになり、干渉縞のコントラストが劣化する。つまり、観察される縞のコントラストと浮遊磁場の間には一定の関係があり、その関係は一連の実験の時間内では一定とみなせる。
<6.磁場に起因した位相差>
式(9)の第3項のごとく、位相変化量Δφ3に対する磁場の寄与は加速電圧に依存しない。ストークスの定理により、2つの軌道の間に存在する磁束密度Bで決まった変化を受ける(式(14))。これがアハラノフ・ボーム効果(AB効果)である。(非特許文献4参照)
Figure 0004797072
従って、二波の電子線で囲まれる浮遊磁場の存在領域Sの面積が求まれば、位相変化量Δφ3が求められる。前節と同様に図6に示した光学系のパラメータ、および浮遊磁場の存在領域の場合、分割された電子線の軌道27で囲まれる面積Sは式(15)のように表わされる。
Figure 0004797072
これより位相変化量Δφ3は、式(16)のように表わされる。
Figure 0004797072
すなわち、式(13)と同様に、時間的に変化する浮遊磁場ΔBが領域lに存在するとき、位相変化量Δφ3分だけ異なる干渉縞8が重畳されて観察されることになり、干渉縞8のコントラストが劣化する。しかし、式(13)とは異なり、式(16)は実験者が変更可能なパラメータ(電子線バイプリズムによる偏向角度α、電子線バイプリズムと対物レンズ物面との距離L)を含んでいる。なお、電界型電子線バイプリズムの場合には、先述のとおり電子線に与える偏向角度αは、中央極細線電極9への印加電圧Vfと偏向係数kを用いてα=kVfで表わされるため、電子線の軌道27で囲まれる面積S、および位相変化量Δφ3は、以下のごとく印加電圧Vfを変数として含む形式でも表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
<7.浮遊磁場の評価法>
浮遊磁場ΔBが正負の方向に揺動するので、時間的に積分して表われる縞のにじみ量は、各々の位相変化量の絶対値の和として取り扱う。すなわち、式(9)、式(13)と式(16)より、二波の位相変化量Δφは式(19)、
Figure 0004797072
で表わされる。
つまり、観察される縞のコントラストと浮遊磁場の間には式(19)に基づき一定の関係があるが、浮遊磁場からの寄与分(式(16)に基づく位相差)には、実験者により以下のとおりパラメータを変更する余地が残されている。
(1) 電子線の加速電圧を変更し波長λを変更する。
(2) 電子線バイプリズムによる偏向角度αを変更する。
(3) 電子線バイプリズムの光軸上の位置Lを変更する。(L=0の時には、位相変化量Δφは最大となるが、そのままでは二波を重畳できず干渉縞を発生させられない。ダブル電子線バイプリズム干渉計は、これを補う技術であるが、これについては後述する。)
これらのパラメータ変更によって、浮遊磁場についての情報を得ることが可能である。この実験者によって変更可能なパラメータ(α、およびL)のうち、図6のごとく電子線バイプリズムによる偏向角度αを変更し、観察される干渉縞8のコントラスト変化より浮遊磁場ΔBを評価する方法およびそれを可能とする装置を提供することが、本発明の根幹である。
例えば、電子線バイプリズムによる偏向角度αを変更しながら干渉縞の観察を行い、干渉縞のコントラストが失われるときには時間的に変動する位相差がちょうど2π(Δφ = 2π)に達したときとみなし、そのときの偏向角αlimを求めると、式(19)より浮遊磁場の強度ΔBについて、式(20)の関係を得る。
Figure 0004797072
式(20)では浮遊磁場の存在領域lが未定であるが、通常、およそ対象としている電子レンズ(ここでは対物レンズ)の焦点距離f程度と考えられるので、l=fとして、式(1)を得る。
Figure 0004797072
この式(1)より、浮遊磁場を概算することが可能である。
なお、干渉縞のコントラスト消失は、例えば白画像(真空中の何も無い空間の画像)のコントラストとの比較において、干渉縞のコントラストがノイズレベル以下となり、実効的に干渉縞8が判別できなくなるときと考えればよい。
また、式(20)において、浮遊磁場の存在領域lは、上記電子レンズの焦点距離fに限定されないことはいうまでも無い。例えば、電子レンズのポールピースギャップ間に浮遊磁場が存在していると見なせるときには、ギャップ長さGを浮遊磁場の存在領域lに置き換えて、式(20)から浮遊磁場ΔBの強度を求めても良い。その他、電子線装置内の浮遊磁場の存在領域を大まかに特定できる任意のパラメータを式(20)の存在領域lの代わりに用いて式(1)相当の演算式を得ても良い。
本発明により浮遊磁場の測定を行う手順を、図7にフローチャートとして示す。それぞれを説明する。なお、必要な情報は観測者がコンピュータのモニタ画面などを通じて予め入力し、記憶手段に記録されているものとする。
(ステップ1):干渉縞観察の光学系を決定する。すなわち、電子線の波長、干渉縞を作成する光学系を決定する。干渉光学系としては例えば、単電子線バイプリズム干渉系を用いるか、ダブル電子線バイプリズム干渉系を用いるか、あるいは、前方磁界レンズの結像効果を利用するか否かなどを定める。
(ステップ2):観察条件を決定し、装置の光学系を定めた観察条件に合わせる。観察条件としては、干渉縞間隔、干渉縞領域幅、フォーカスはずれ量、記録時の倍率などがある。
(ステップ3):干渉縞観察時と同一の条件にて白画像を取得し、その画像を記録媒体や記録装置に記録する。特に、画像への電子線のドーズ量が干渉縞観察時と同一になるよう調整を行う。
(ステップ4):得られた白画像より、画像のノイズレベルを決定する。これには例えば、画像のフーリエ変換などを利用してもよい。
(ステップ5): 中央極細線電極を観察視野中に合わせ込み、電子線に所定の偏向角度を与える。
(ステップ6):光学系をステップ1で定めた観察条件に合わせる。
(ステップ7):干渉縞を観察し、その画像を記録媒体や記録装置に記録する。
(ステップ8):干渉縞のコントラストを評価する。
(ステップ9):ステップ4で求めた画像のノイズレベルと比較する。
(1)ノイズレベルより干渉縞のコントラストの方が大きいとき(Yes)→電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度を増加させるために中央極細線電極へ印加する電圧を決定し(ステップ10)、印加電圧を変更(増大)し(ステップ11)ステップ6に戻る。
(2)ノイズレベルより干渉縞のコントラストの方が大きくないとき(No)→ステップ12へ進む。
(ステップ12):電子線バイプリズムによる偏向角度、もしくは中央極細線電極への印加電圧を元に、分割された電子線軌道が包む閉空間の面積を算出し、その結果を記録装置に記録する。
(ステップ13):式(1)に基づき、浮遊磁場量ΔBを求め、記録装置に記録する。
(ステップ14):ステップ13で求めた浮遊磁場量ΔBをモニタに表示する。
(ステップ15):一連の測定を終了する。
図7のフローチャートは、ステップ1、2の条件設定、ステップ9等の判定など、実験者がモニタ画面を見ながら必要な情報を装置に入力することで実現される。あるいは、図7のフローチャートに基づき、装置が浮遊磁場ΔBを自動測定するシステムを構築することも可能である。
<8.浮遊磁場の評価精度>
本手法が、どの程度浮遊磁場に対して感度を持っているか評価してみる。式(1)もしくは式(19)の係数h/2eはちょうど超伝導磁束量子1個の保持する磁束量(Φ0 =2×10-15Wb(ウェーバー))に対応している。また、項(D−L)/D×αlimは比較的自由に設定できるパラメータであり10-3〜10-4程度の値となる。すなわち、評価可能な浮遊磁場の強度ΔBは、1個の磁束量子が浮遊磁場の存在領域lで定まる面積(例えば浮遊磁場の存在領域lを対物レンズの焦点距離f程度とすると、f2〜3mm2)に存在する場合に対応する。これは大変に弱い磁場に相当する(例えば、地磁気3×10-5Wb/m2(=0.3G(ガウス))は、磁束量子の面密度に直すと15000個/mm2に対応する)。従って本手法が、地磁気の1/105以下の弱磁場に対して評価可能な方法であることがわかる。
<電子線装置>
図8(図8A,図8B)で電子線装置について説明する。図8Aは、本発明が適用されるシステムとしての電子線装置の、通常の使用状態を模式的に示す図であり、図8Bは、本発明を適用して浮遊磁場の測定を行う際の、電子線装置の全体を模式的に示す図である。なお、図8(図8Aおよび図8B)は、汎用型の透過型電子顕微鏡を用いる場合を想定した模式図であるが、本発明はこの模式図に記載の形態に限るものではない。
まず、図8Aの通常の装置の使用状態では、試料3が、試料保持機構37に設置されている。電子源1が電子線の流れる方向の最上流部に位置し、電子源1を射出した電子線は加速管40にて所定の速度の電子線とされた後、照射光学系4を構成する(第1の照射(コンデンサ)レンズ41、第2の照射(コンデンサ)レンズコンデンサーレンズ42)を経て試料3に照射される。試料3を透過した電子線は、電子線の進行方向に試料3よりも下流側の結像光学系を構成する対物レンズ5にて結像される。この結像作用は、対物レンズ5よりも下流側の結像光学系すなわち複数の結像レンズ系(第1の結像レンズ61、第2の結像レンズ62、第3の結像レンズ63、第4の結像レンズ64)に引き継がれ、最終的に電子線装置の観察・記録面89に試料像85が結像される。94は対物絞りである。
観察・記録面89に結像された試料の像85、例えば格子像などは、画像観察・記録装置に記録される。すなわち、格子像あるいは干渉縞8は、制御ユニット78で制御される電子顕微鏡フィルムやCCDカメラなど画像観察・記録媒体79を通じて画像記録装置77に記録される。
電子源1、加速管40への印加電圧、試料保持機構37にマウントされた試料3の位置、および各電子レンズの励磁状態などは、装置全体を制御する情報処理装置である制御系コンピュータ51及びこれに接続された各ユニットの制御系、すなわち電子源の制御ユニット19、加速管の制御ユニット49、第1の照射レンズの制御ユニット48、第2の照射レンズの制御ユニット47、試料の制御ユニット39、対物レンズの制御ユニット59、対物絞り94を制御する制御ユニット65、第1の結像レンズ61の制御ユニット69、第2の結像レンズ62の制御ユニット68、第3の結像レンズ63の制御ユニット67、第4の結像レンズ64の制御ユニット66、画像観察・記録媒体の制御ユニット78でコントロールされている。52は制御系コンピュータのモニタ、76は画像観察・記録装置77のモニタである。
実際の装置ではこの模式図で示した他に、電子線の進行方向を変化させる偏向系などが存在し、それらの装置もまたコンピュータ51に接続された制御系でコントロールされている(特許文献1、2参照)。
制御系コンピュータ51は、試料位置の制御のために必要な制御パラメータ値等をGUI等で入力する入力装置53、演算手段、及び電子顕微鏡の観測条件探索あるいは動作制御のために必要となる情報を格納する記憶手段、例えばメモリや各種ストレージ装置、表示モニタを含む出力装置を備えている。記憶手段に格納される情報としては、装置が格子像観察に必要な条件を決定するのに必要な情報、例えば、試料の材料や観察条件関する情報などである。更に、上記の情報の探索あるいは動作制御を実行するための各種のソフトウェアが格納されており、演算手段によりこれらのソフトウェアが実行される。
なお、本発明には直接の関係が無い制御系に関しては、この図では割愛する。また、この模式図に示すごとく電子光学装置は真空容器18中に組み立てられ、真空ポンプにて継続的に真空排気されているが、真空系についても本発明とは直接の関係がないため割愛する。
次に、本発明を適用して電子線装置内の浮遊磁場の測定を行う場合について説明する。
本発明においては、浮遊磁場の測定時に試料の観察は行わないが、電子線装置としては試料3の保持機構37およびその制御系39が備わっていることは、図8Aに示したとおりである。
図8Bに示したように、浮遊磁場の測定時、電子線装置は、試料に代えて試料保持位置近傍から電子線の進行方向上流側に設置された電子線バイプリズム91を使用する。電子線バイプリズム91は、単独で設置しても良く、試料保持機構37と一体的に構成し電子線装置に組み込むようにしても良い。あるいは電子線バイプリズム91と試料保持機構37を交換可能に構成しても良い。後で述べる実施例1によれば、第1の電子線バイプリズムは通常の試料位置よりも若干電子線の進行方向上流側に設置可能に構成されている。すなわち、浮遊磁場の測定を行う場合は、図8Aの試料3に代えて、図8Bのように、第1の電子線バイプリズム(電子線バイプリズムの中央極細線電極9単独、または中央極細線電極9と平行平板接地電極99の組み合わせ、以下同じ)が、試料位置の近傍から電子線の進行方向に若干上流側に設置される。第1の電子線バイプリズムは、その位置、電子線偏向角度の設定などが第1の電子線バイプリズム制御系97にて行われる。第1の電子線バイプリズムには、光軸と平行に移動できる機構が備わっていれば、対物レンズ5の前方磁界の結像作用などを積極的に利用できる。
電子線装置内の試料3関連の装置と、電子線バイプリズムのどちらか一方は、光学系の構成上使用しない場合もあるが、その際は、電子線の邪魔にならない位置に調整すればよい。
また、後の実施例で述べるように、第1、第2の電子線バイプリズムを同時に使用する場合には、例えば第1の電子線バイプリズム91は試料位置に設置され、第2の電子線バイプリズム95は、対物レンズ5の下方に組み込むようにしても良い。すなわち、第2の電子線バイプリズム(電子線バイプリズムの中央極細線電極9単独、または中央極細線電極9と平行平板接地電極99の組み合わせ、以下同じ)も使用する際は、対物レンズ5と第1の結像レンズ61の間に、第2の電子線バイプリズム95が設置される。第2の電子線バイプリズム95は、その位置、電子線偏向角度の設定などが第2の電子線バイプリズム制御系96にて行われる。第2の電子線バイプリズム95においても、光軸と平行に移動する機構が備わっていれば、光学系への自由度が大きくなるため、なお良い。
対物レンズ5による結像作用は、対物レンズ5よりも下流側の複数の結像レンズ系(61、62、63、64)に引き継がれ、最終的に電子線装置の観察記録面89に干渉縞8が結像される。干渉縞8は、画像観察・記録装置に記録される。すなわち、干渉縞8は、制御ユニット78で制御される電子顕微鏡フィルムやCCDカメラなど記録媒体79を通じて画像記録装置77に記録される。
制御系コンピュータ51で実行されるソフトウェアには、格子像観察光学系や試料保持機構及び画像観察・記録装置等を統括制御し、図7のフローチャート等に基づく一連の演算処理を実行し、その結果をモニタ52に表示するプログラムも含まれている。本発明による電子線装置は、電子光学系の光軸上に配置された電子線バイプリズムと電子線装置の電子レンズによって干渉縞を発生させ、電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度を調整することによる干渉縞のコントラスト、もしくは干渉縞のコントラストの変化から、電子線バイプリズムから観察記録装置までの電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場を測定する機能を有している。
すなわち、後で詳細に述べるように、制御系コンピュータ51は、装置全体を制御し、試料像の観察や浮遊磁場の測定を行うための情報処理装置として機能するものである。
この場合、浮遊磁場を算出するために前記式(1)を用いる。あるいはまた、前記式(20)中の浮遊磁場の存在領域lについて、前記したように、対物レンズ5の焦点距離fやポールピースギャップ長さなど、電子線装置内で磁場の残存する範囲を特定して、適宜設定し、前記式(1)に代わるものとして採用しても良い。
また、画像のノイズレベの設定や干渉縞のコントラストの観察、評価は、例えば、実験者がモニタ76に表示される画像を見ながら行っても良い。
実験者は、モニタに表示された浮遊磁場の算出結果に基き、電子線装置に対して必要な磁場遮蔽対策を施し、例えば電子顕微鏡像観察の場合には、図8Aの状態に戻して以降の実験に備える。
本発明の第一の実施例として、電子線装置における単電子線バイプリズムによる干渉縞観察光学系の具体的な構成例及びそれを用いた浮遊磁場の測定方法を、図9で説明する。
この実施例では、図8Bの第1の電子線バイプリズムのみを採用し、第2の電子線バイプリズムは設置しない。図9に、本発明を実施する場合の光学系を示す。図9の(A)は、例えば通常の試料位置3の電子線の流れる方向の上流側Lの距離に電子線バイプリズム9をセットし、分割・偏向を受けた二波の電子線を通常の試料位置3の空間に重畳させ干渉縞8を発生させる。その干渉縞を対物レンズ5によって拡大結像し、対物レンズの像面71に生じた干渉縞8をさらに電子線の進行方向下流側の第1の結像レンズ61にて拡大することを表わした模式図である。72は第1の結像レンズ61による像面を示している。
図9の(B)は、図9の(A)の光学系において電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度αをΔαだけ大きくしたときの模式図である。分割・偏向を受けた二波の電子線は、図9の(A)の場合と比較して対物レンズ5の近傍で空間的にΔSだけ余計に広がっている。すなわち、浮遊磁場の領域24に存在し干渉縞8に与える浮遊磁場ΔBの影響の大きさは、二波に囲まれた閉空間の大きさ(式(15)の面積S)に依存するので、浮遊磁場ΔBの影響の大きさは、電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度αに応じて幾何学的に一意に定まる。すなわち、光学系中に残存する浮遊磁場ΔBの大きさは、干渉縞8のコントラストの劣化として、直接的に観察・測定できる。これらの関係は、式(20)にまとめた通りである。
情報処理装置は、電子光学系の光軸上に配置された電子線バイプリズム9と電子レンズによって干渉縞8を発生させ、電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度αを調整することによる干渉縞8のコントラスト、もしくは干渉縞のコントラストの変化から、電子線バイプリズムから観察記録装置(像面72)までの電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場ΔBを測定し、モニタ52に表示する。
なお、干渉現象を対象とする以上、電子線の空間的過干渉性は重要であり、照射光学系において空間的に可干渉な範囲内の電子線を用いることは当然である。
また、図9に示すとおり、電子線バイプリズム9を用いた干渉計では、原則として光軸に対称な二波に分割できるため、厳密に二波干渉として取り扱うことが可能であり、球面収差の影響も相殺されるため二波の相対的な位相差のみに注目できる利点がある。また、試料を透過せず真空中のみを伝播した電子線を用いて干渉現象を観察するため、ノイズの少ない高いコントラストの干渉縞から浮遊磁場の測定をスタートできる。
図9の例では、電子線バイプリズムの中央極細線電極9に正電位を与えて電子線を互いに向き合う方向に変更させ、試料位置3にて干渉縞を発生させている。電子線バイプリズムの中央極細線電極9に与える電位の大きさ、正負は、電子源の像10と中央極細線電極9、そして干渉縞を発生させる位置に依存するためこの図の限りではない。しかし、試料を保持する空間(厳密には対物レンズの物面34の位置)上に干渉縞を発生させ、それを後段の結像レンズ系で拡大して観察し、浮遊磁場の測定に供する点が、この発明の根幹である。これにより、試料観察時と同じ結像光学系、および光学条件で、浮遊磁場の影響を定量的かつ高精度に計測することが可能となる。
また、図9の(B)では、電子線バイプリズムの与える偏向角度αを増加させて二波の軌道に囲まれた閉空間の大きさを増大させたときには、試料位置に発生する干渉縞の縞間隔が小さくなり、干渉領域幅が増大している様子も示している。浮遊磁場の測定特には、この縞間隔の減少分を対物レンズ5より電子線の進行方向下流側ΔBの結像レンズ系61の倍率を増大させることによって補い、最終的に記録される干渉縞の倍率を一定にする。これは、記録系の性能(例えば、MTF(Modulation Transfer Function))の影響を小さくするための施策である。図9の(B)では、干渉縞の最終倍率一定を示すため、結像レンズ61の位置(レンズ主面の位置)を変更して描いているが、実際の電子顕微鏡においては、結像レンズ61の焦点距離を変更することによって同等の効果を得ている。
本発明によれば、試料観察時と同じ結像光学系、および光学条件において、浮遊磁場の影響を定量的かつ高精度に計測することが可能となり、光学系内に残存する浮遊磁場が観察像に与えている影響の程度、該浮遊磁場への対策の有効性の程度を測定・評価することが可能となる。
なお、電子線に関しては照射光学系において空間的に可干渉な範囲内の電子線を用いることは当然である。
本発明の第二の実施例として、電子線装置における前方磁界レンズを用いる場合の干渉縞観察光学系の具体的な構成例及びそれを用いた浮遊磁場の測定方法を、図10で説明する。
図10は、対物レンズ5の前方磁界の結像作用を積極的に利用した干渉光学系による、浮遊磁場の測定方法を示す模式図である。
この実施例を適用する電子線装置は、図9に示した構成よりも電子線バイプリズムは電子線の流れの上流側に配置される。すなわち、対物レンズ5の通常試料位置3よりも電子線の流れの上流側の、前方磁界レンズの物面38(縮小結像可能な位置)に電子線バイプリズムが配置される。
対物レンズ5の前方磁界を結像に用いる際(この使用法の場合には前方磁界レンズ57と呼ぶ)には、対物レンズの通常試料位置3に対して、電子線の流れの上流側に試料を縮小結像可能な位置(前方磁界レンズの物面38)が存在する。その前方磁界レンズの物面38のさらに上流側、距離Lだけ離れたところに電子線バイプリズム9を配置し、前方磁界レンズの物面38に形成されている干渉縞を通常試料位置3に縮小結像する。それ以降は、実施例1の記載と同じく、対物レンズ5、および電子線の流れの下流側の結像レンズ系を用いて拡大結像を行い、干渉縞を観察する。図10においては、結像レンズ系以降の下流側のレンズ系を省略している。
前方磁界レンズ57を用いる利点は、干渉縞を形成している電子線の角度を大きく取れる点である。一般的に結像光学系では、像倍率と角倍率とは逆数の関係にあるため、前方磁界レンズ57を用いて縮小を行うと、その縮小倍率分だけ、逆に電子線バイプリズム9による電子線の偏向角度αを大きく取ることが可能となる。その結果、電子線バイプリズム9で分割・偏向された2つの電子線軌道による閉空間を大きく包むことが可能となり、浮遊磁場ΔBの測定感度を大きくとることが可能となる。
前方磁界レンズ57による縮小結像を経由して、試料の像面71に発生させられる干渉縞の縞間隔sobjと干渉領域幅Wobjは、以下の式(21)、(22)で表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
電子線の軌道27で囲まれる面積S、および位相変化量Δφ3は、式(15)、式(16)を求めたときと同様に、以下のごとく表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
前方磁界レンズによる結像に関しては、a〜bpre、b〜apreの近似が成立することが多い。この場合には、式(24)は、
Figure 0004797072
と書き直すことが可能となり、式(16)と比較して対物レンズ5の倍率Mobj=b/aだけ位相変化量が増大することがわかる。すなわち、浮遊磁場ΔBの測定感度を大きくとることが可能である。
情報処理装置は、電子光学系の光軸上に配置された電子線バイプリズムと電子線装置の電子レンズによって干渉縞を発生させ、電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度αを調整することによる干渉縞のコントラスト、もしくは干渉縞のコントラストの変化から、電子線バイプリズムから観察記録装置(像面71)までの電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場ΔBを測定し、モニタ52に表示する。
本発明によれば、試料観察時と同じ結像光学系、および光学条件において、浮遊磁場の影響を定量的かつ高精度に計測することが可能となり、光学系内に残存する浮遊磁場が観察像に与えている影響の程度、該浮遊磁場への対策の有効性の程度を測定・評価することが可能となる。
本発明の第三の実施例として、ダブル電子線バイプリズムによる干渉縞観察光学系の具体的な構成例及びそれを用いた浮遊磁場の測定方法を、図11で説明する。
図11に、電子線バイプリズムを2段に用いる場合の、本発明の実施例を示す。この実施例を適用する電子線装置は、図8Bに示したように、通常の試料位置3に相当する位置(L=0)に設置された第1の電子線バイプリズムに加えて、第1の結像レンズ61と対物絞り92の間の位置に、第2の電子線バイプリズム95が設置されている。
式(20)より、本実施例で浮遊磁場ΔBを感度よく検出するには、電子線バイプリズムと干渉縞を観察する面との距離Lを小さくすればよいことがわかる。L<0の負値まで採ればよいが、説明の煩雑を避けるためL=0の場合を検討する。この場合には、第1の電子線バイプリズム91は通常の試料位置3に配されるので、電子線を偏向することは可能であるが、そもそも試料位置3で干渉縞は発生しない。すなわち、対物レンズ5の像面71にても干渉縞8を認めることはできない。そこで、干渉を生じさせるために第2の電子線バイプリズム95を必要とする。
図11では、第1の電子線バイプリズム91を通常の試料位置3に配置し、第2の電子線バイプイズム95を対物レンズ5による光源の像面36と対物レンズ5による試料の像面71の間で、第1の電子線バイプリズムの中央極細線電極91の陰の部分に配置している。試料の像面71と光源の像面36との距離をD2、試料の像面71と第2の電子線バイプリズム95との距離をL2とおくと、試料の像面71に発生させられる干渉縞の縞間隔sobjと干渉領域幅Wobjは、以下の式で表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
これより、電子線の軌道27で囲まれる面積S、および位相変化量Δφ3は、式(15)、式(16)を求めたときと同様に、以下のごとく表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
式(28)、式(29)は、式(15)、式(16)でL=0、γ=α1とおいたときに一致する。なお、式(28)式(29)はいずれも第2の電子線バイプリズム95に関するパラメータを含まないが、浮遊磁場測定位置を通過した後の電子線軌道に対する操作であることから、簡単に理解できる。すなわち、浮遊磁場を測定する際に、電子線への偏向角度の調整を行うには、第1の電子線バイプリズムを用いれば十分である。第2の電子線バイプリズムは、像検出装置にとって都合のよい縞間隔sobj、干渉領域幅Wobjとするための調整に使用するのが合理的であるだけでなく、電子線に対して一定の空間的可干渉性を保持したままの状態で一連の浮遊磁場の計測を実施できる。これについては後述する。
式(20)を導いたときと同様に、例えば、第1の電子線バイプリズムによる偏向角度α1を変更しながら干渉縞の観察を行い、干渉縞のコントラストが失われるときには時間的に変動する位相差がちょうど2π(Δφ = 2π)に達したときとみなし、そのときの偏向角度α1limを求めると、式(19)より浮遊磁場の強度ΔBについて、式(30)の関係を得る。
Figure 0004797072
式(20)にて、L=0、αlim1limとおいたときに一致する。式(30)では浮遊磁場の存在領域lが未定であるが、およそ対象としている電子レンズ(ここでは対物レンズ)の焦点距離f程度と考えられるので、前述の式(2)を得る。
Figure 0004797072
この式(2)より浮遊磁場ΔBを概算することが可能である。
情報処理装置は、電子光学系の光軸上に配置された電子線バイプリズムと電子線装置の電子レンズによって干渉縞を発生させ、電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度αを調整することによる干渉縞のコントラスト、もしくは干渉縞のコントラストの変化から、電子線バイプリズムから観察記録装置(像面71)までの電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場ΔBを測定し、モニタ52に表示する。
なお、干渉縞のコントラスト消失は、例えば白画像(真空中の何も無い空間の画像)のコントラストとの比較において、干渉縞のコントラストがノイズレベル以下となり、実効的に干渉縞8が判別できなくなるときとみなせることも、先述と同様である。
また、式(30)に関しても、式(20)の場合と同様に、浮遊磁場の存在領域lを、電子レンズのポールピースギャップ長さG、その他、電子線装置内の浮遊磁場の残存領域を特定できる任意のパラメータに置き換えて式(2)相当の演算式を得ても良いことは言うまでもない。
第2の電子線バイプリズム95の有効な利用法は、先述のとおり干渉縞のコントロールである(特許文献2、非特許文献5参照)。ここで干渉縞の縞間隔sobjは、第1の電子線バイプリズム91と第2の電子線バイプリズム95の両偏向角度α1、α2の関数になっているのに対し、干渉領域幅Wobjは第2の電子線バイプリズム95の偏向角度のみによってコントロールされることがわかる。すなわち、電子線の可干渉性に直接関係している干渉領域幅Wobjを変更することなく両電子線の偏向角度のみを変更し、両電子線軌道に囲まれる閉空間の大きさをコントロールすることが可能である。図11中に示した2つの電子軌道がこれに該当する。観察される干渉縞のコントラスト変化から、電子線の可干渉性の要因を除外することが可能であり、浮遊磁場ΔBの測定において不明確さの少ない実験を行うことが可能となる。
ちなみに、第2の電子線バイプリズムを光源の像面36上に配置したとき(すなわち、D2- L2=0)の時には、干渉縞縞間隔sobjは、第2の電子線バイプリズム95による偏向角α2には依存しなくなるため、干渉計としての電子光学系の取り扱いはより一層簡単になる。
本発明によれば、試料観察時と同じ結像光学系、および光学条件において、浮遊磁場の影響を定量的かつ高精度に計測することが可能となり、光学系内に残存する浮遊磁場が観察像に与えている影響の程度、該浮遊磁場への対策の有効性の程度を測定・評価することが可能となる。
本発明の第四の実施例として、前方磁界レンズを用いる場合のダブル電子線バイプリズムによる干渉縞観察光学系の具体的な構成例及びそれを用いた浮遊磁場の測定方法を、図12で説明する。
図12も実施例3と同じく、電子線バイプリズムを2段に用いる場合で、なおかつ、対物レンズ5の前方磁界の結像作用を積極的に利用したダブル電子線バイプリズム干渉光学系による、浮遊磁場の測定方法を示す模式図である。本実施例においては、第1の電子線バイプリズム91は、試料位置3(対物レンズの物面)ではなく、対物レンズ5の電子線の流れの上流側、前方磁界レンズ57の物面38に配されている。
すなわち、第1の電子線バイプリズム91の中央極細線電極の像91は、前方磁界レンズ57により、通常試料位置3(対物レンズの物面)に縮小結像される。
93は、第1の電子線バイプリズムもしくは第1の電子線バイプリズムの中央極細線電極の前方磁界レンズ57による像干渉、95は第2の電子線バイプリズムもしくは第2の電子線バイプリズムの中央極細線電極である。
光学系としての取り扱いは、前記実施例3の場合とまったく同じであるが、前記実施例2に記載したとおり、光学系では一般に、像倍率と角倍率とは逆数の関係にあるため、前方磁界レンズ57による縮小倍率分だけ、逆に第1の電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度は大きく取ることが可能となる。その結果、第1の電子線バイプリズムで分割・偏向された2つの電子線軌道による閉空間を大きく包むことが可能となり、浮遊磁場ΔBの測定感度を大きくとることが可能である。
本実施例における、前方磁界レンズによる縮小結像を経由して、像面71に発生させられる干渉縞の縞間隔sobjと干渉領域幅Wobjは、以下の式で表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
電子線の軌道27で囲まれる面積S、および位相変化量Δφ3は、式(15)、式(16)を求めたときと同様に、以下のごとく表わされる。
Figure 0004797072
Figure 0004797072
情報処理装置は、電子線の波長、干渉縞を作成する光学系として、ダブル電子線バイプリズム干渉系と前方磁界レンズの結像効果を利用して干渉縞を発生させ、電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度αを調整することによる干渉縞のコントラスト、もしくは干渉縞のコントラストの変化から、電子線バイプリズムから観察記録装置(像面71)までの電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場ΔBを測定し、モニタ52に表示する。
前記、実施例2と同様に、前方磁界レンズ57による結像に関しては、a〜bpre、b〜apreの近似が成立することが多い。この場合には、式(34)は、
Figure 0004797072
と書き直すことが可能となり、式(29)と比較して、対物レンズ5の倍率Mobj=b/aだけ位相変化量が増大することがわかる。すなわち、浮遊磁場ΔBの測定感度を大きくとることが可能である。
なお、図12では、第2の電子線バイプリズムを、対物レンズによる光源の像面36に配置した(D2-L2=0)例を描いている。これは、前記のとおり、干渉光学系の取り扱いの自由度を高め、電子線干渉光学系としては有効な配置であるが、1例に過ぎないことは言うまでも無い。
本発明によれば、試料観察時と同じ結像光学系、および光学条件において、浮遊磁場の影響を定量的かつ高精度に計測することが可能となり、光学系内に残存する浮遊磁場が観察像に与えている影響の程度、該浮遊磁場への対策の有効性の程度を測定・評価することが可能となる。
次に、本発明の第五の実施例として、電子線バイプリズムの回転による浮遊磁場の方位角依存性の測定方式の具体的な構成例及びそれを用いた浮遊磁場の測定方法を、説明する。
本発明の浮遊磁場測定方法は、分離された二波の電子軌道が包む閉局面中に含まれる磁束密度の量を比較・判断する方法である。二波の電子軌道が包む閉局面は光軸を含む1平面のため、浮遊磁場に対する感度もこの平面を通過する磁束量に限られることになる。電子線の経路の全方位に渡って浮遊磁場を測定するためには、干渉にかかわる二波を回転させる、もしくは二波の分離をさまざまな方位角について行えばよい。そのための最も簡単な機構は、電子線バイプリズムを光軸に垂直な平面内で、光軸と平行な軸を中心に回転させられる構造である。2段の電子線バイプリズムを用いる場合には、それぞれの電子線バイプリズムを関連を持って回転運動させればよい。このような、機構、もしくは構造とすることによって、当該電子線装置は、電子線の経路に関して全方位方向の浮遊磁場を検出、測定することが可能となる。
本発明の原理に関し、電界型電子線バイプリズムと電子線の干渉の様子を示す模式図である。 本発明の原理に関し、1段の電子線バイプリズムによる干渉計の光学系を示す模式図である。 本発明の原理に関し、1段の電子線バイプリズムによる干渉縞とその拡大光学系を示す模式図である。 本発明の原理に関し、電子軌道と波面の関係を示す模式図である。 本発明の原理に関し、浮遊磁場による電子線の軌道の変化を示す模式図である。 本発明の原理に関し、1段の電子線バイプリズムによって電子軌道を偏向させたときの模式図である。 本発明の一実施例になる浮遊磁場測定の手順を示すフローチャートである。 本発明が適用されるシステムとしての電子線装置の通常の装置の使用状態を模式的に示す図である。 本発明を適用して浮遊磁場の測定を行う際の、電子線装置の全体を模式的に示す図である。 本発明の実施例1として、1段の電子線バイプリズムを用いた場合の本手法を示す模式図である。 本発明の実施例2として、前方磁界を干渉縞作製に用いた場合の1段の電子線バイプリズムによる干渉計の光学系を示す模式図である。 本発明の実施例3として、2段の電子線バイプリズムを用いた場合の本手法を示す模式図である。 本発明の実施例4として、前方磁界を干渉縞作製に用いた場合の2段の電子線バイプリズムによる干渉計の光学系を示す模式図である。 従来から知られている磁場(ローレンツ力)による電子線の偏向の原理を示す模式図である。 従来の方法による、磁場による電子線の偏向の測定の状況を示す模式図である。 従来の方法による、磁場による電子線の偏向の測定の結果を示す模式図である。
1…電子源もしくは電子銃、10…照射光学系による電子源の像(クロスオーバー)、11…対物レンズにより結像されたクロスオーバーの像、15…浮遊磁場ΔBにより生じた虚光源、18…真空容器、19…電子源の制御ユニット、2…光軸、22…電子線の波面、24…浮遊磁場の領域、25…磁場により円弧軌道を描く電子線の回転中心、26…磁場の領域、27…電子線の軌道、3…試料もしくは試料位置、34…対物レンズの物面、36…対物レンズによる光源の像面、37…試料保持機構、38…対物レンズの前方磁界レンズの物面、39…試料の制御ユニット、4…照射光学系、40…加速管、41…第1の照射(コンデンサ)レンズ、42…第2の照射(コンデンサ)レンズ、47…第2の照射レンズの制御ユニット、48…第1の照射レンズの制御ユニット、49…加速管の制御ユニット、5…対物レンズ、51…制御系コンピュータ、52…制御系コンピュータのモニタ、53…制御系コンピュータのインターフェース、57…対物レンズの前方磁界レンズ、59…対物レンズの制御ユニット、61…第1の結像レンズ、62…第2の結像レンズ、63…第3の結像レンズ、64…第4の結像レンズ、65…対物絞りの制御ユニット、66…第4の結像レンズの制御ユニット、67…第3の結像レンズの制御ユニット、68…第2の結像レンズの制御ユニット、69…第1の結像レンズの制御ユニット、7…干渉縞の観察面、71…対物レンズによる試料の像面、72…第1の結像レンズによる試料の像面、76…画像観察・記録装置のモニタ、77…画像記録装置、78…画像観察・記録媒体の制御ユニット、79…画像観察・記録媒体、8…干渉縞、85…試料の像、89…観察・記録面、9…電子線バイプリズムもしくは電子線バイプリズムの中央極細線電極、91…第1の電子線バイプリズムもしくは第1の電子線バイプリズムの中央極細線電極、92…第1の電子線バイプリズムの中央極細線電極の前方磁界レンズ57による像、94…対物絞り、95…第2の電子線バイプリズムもしくは第2の電子線バイプリズムの中央極細線電極、96…第2の電子線バイプリズムの制御系、97…第1の電子線バイプリズム制御系、99…平行平板接地電極。

Claims (20)

  1. 電子線の光源と、試料を保持するための試料保持機構と、前記光源から放出される前記電子線を前記試料に照射する照射光学系及び前記試料の像を結像するための対物レンズを含む結像光学系を有する電子光学系と、前記試料像を観察あるいは記録するための画像観察・記録装置を備えた電子線装置であって、
    前記試料保持機構、前記電子光学系、及び前記画像観察・記録装置を制御する情報処理装置を備え、
    前記電子光学系の光軸上に配置された電子線バイプリズムと前記電子光学系の電子レンズとによって干渉縞を発生させ前記干渉縞のコントラスト、もしくは前記電子線バイプリズムによる前記電子線の偏向角度を調整することによる前記干渉縞のコントラストの変化に基き、前記電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場を測定する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  2. 請求項1において、
    前記干渉縞のコントラストの変化とは、前記干渉縞のコントラストが所定のレベルよりも小さくなる状態である
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  3. 請求項2において、
    前記干渉縞のコントラストが比較判断される所定のレベルを定めるのは、前記試料の像や該干渉縞を含まない電子線の露光像のコントラストであり、前記干渉縞にとってのノイズである
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置
  4. 請求項1において、
    前記結像光学系は複数の電子レンズで構成されており、
    該装置内部の浮遊磁場をΔBとし、
    電子の電荷をeとし、
    プランク定数をhとし、
    該電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度をαとし、
    該電子線バイプリズムの電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する電子レンズの焦点距離をfとし、
    該電子線バイプリズムの電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する該電子レンズの主面と物面との距離をaとし、
    該電子レンズの電子線の進行方向の上流側に位置する光源の像と該電子レンズの物面との距離をDとし、
    該電子レンズの物面と該電子線バイプリズムとの距離をLとし、
    該電子レンズの物面上に干渉縞が観察されない最小の電子線の偏向角度をαlimとするとき、
    前記浮遊磁場を下記の式(1)により評価する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
    Figure 0004797072
  5. 請求項1において、
    前記結像光学系は複数の電子レンズで構成されており、
    前記電子線バイプリズムより前記電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する電子レンズにおいて、前記電子レンズの磁場中で前記上段の電子線バイプリズムの像が1回もしくは複数回結像するとともに該電子レンズの電子線の進行方向の下流側にも結像される電子光学系である
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  6. 請求項1において、
    前記電子線バイプリズムが、前記光軸に垂直な平面内で、該光軸を軸として回転するように構成されている
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  7. 請求項1において、
    前記試料の通常の保持位置から前記電子線の電子線の進行方向上流側の位置に該試料に代えて前記電子線バイプリズムを設置し、前記試料の観察時と同じ前記結像光学系、および光学条件により、前記浮遊磁場を計測する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  8. 請求項1において、
    前記浮遊磁場の測定により得られた浮遊磁場量ΔBをモニタに表示する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  9. 電子線の光源と、試料を保持するための試料保持機構と、前記光源から放出される前記電子線を前記試料に照射する照射光学系及び前記試料の像を結像するための対物レンズを含む結像光学系を有する電子光学系と、前記試料像を観察あるいは記録するための画像観察・記録装置を備えた電子線装置であって、
    前記試料保持機構、前記電子光学系、及び前記画像観察・記録装置を制御する情報処理装置を備え、
    前記電子光学系の光軸上に配置された第1の電子線バイプリズムと、前記電子光学系の光軸上で、かつ前記第1の電子線バイプリズムが作り出す電子線の陰の部分に配置された第2の電子線バイプリズムによって発生させられる干渉縞のコントラスト、もしくは前記干渉縞のコントラストの変化から、前記第1の電子線バイプリズムから前記画像観察・記録装置までの電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場を測定する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  10. 請求項9において、
    前記第1の電子線バイプリズムが前記第1の電子線バイプリズムより電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する電子レンズの物面に配置される
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  11. 請求項9において、
    前記干渉縞のコントラストの変化とは前記干渉縞のコントラストが所定のレベルよりも小さくなる状態である
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  12. 請求項9において、
    前記干渉縞のコントラストが比較判断される所定のレベルを定めるのは、前記試料の像や該干渉縞を含まない電子線の露光像のコントラストであり、前記干渉縞にとってのノイズである
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置
  13. 請求項9において、
    前記電子線装置による該装置内部の浮遊磁場の測定において、
    該装置内部の浮遊磁場をΔBとし、
    前記電子線の電荷をeとし、
    プランク定数をhとし、
    該第1の電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度をα1とし、
    該第1の電子線バイプリズムの電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する電子レンズの焦点距離をfとし、
    該電子線バイプリズムの電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する該電子レンズの主面と物面との距離をaとし、
    該電子レンズの物面上に干渉縞が観察されない最小の電子線の偏向角度をα1limとするとき、
    該浮遊磁場を下記の式(2)により評価する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
    Figure 0004797072
  14. 請求項9において、
    前記第1の電子線バイプリズムより前記電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する電子レンズにおいて、前記電子レンズの磁場中で前記第1の電子線バイプリズムの像が1回もしくは複数回結像するとともに該電子レンズの電子線の進行方向の下流側にも結像される電子光学系である
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  15. 請求項9において、
    前記光軸に垂直な平面内で、該光軸を軸として前記第1の電子線バイプリズムを回転させるとともに、
    前記第2の電子線バイプリズムを、前記光軸に垂直な平面内で、該光軸を軸として第1の電子線バイプリズムと関連を持って回転させる
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置。
  16. 電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法であって、
    前記電子線装置は、電子線の光源と、試料を保持するための試料保持機構と、前記光源から放出される前記電子線を前記試料に照射する照射光学系及び前記試料の像を結像するための対物レンズを含む結像光学系を有する電子光学系と、前記試料像を観察あるいは記録するための画像観察・記録装置と、前記試料保持機構、前記電子光学系、及び前記画像観察・記録装置を制御する情報処理装置を備えており、
    前記電子光学系の光軸上に配置された電子線バイプリズムと前記電子線装置の電子レンズによって干渉縞を発生させ、
    前記電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度を調整することによる前記干渉縞のコントラスト、もしくは前記干渉縞のコントラストの変化から、前記電子線バイプリズムから前記画像観察・記録装置までの電子線の通過経路上に存在する浮遊磁場を測定し、
    前記浮遊磁場の測定により得られた浮遊磁場量ΔBをモニタに表示する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置内の浮遊磁場測定方法。
  17. 請求項16において、
    前記電子線バイプリズムより前記電子線の進行方向の下流側第1番目に位置する電子レンズにおいて、前記電子レンズの磁場中で前記上段の電子線バイプリズムの像が1回もしくは複数回結像するとともに該電子レンズの電子線の進行方向の下流側にも結像される電子光学系である
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置内の浮遊磁場測定方法。
  18. 請求項16において、
    前記試料の通常の保持位置から前記電子線の電子線の進行方向上流側の位置に、該試料に代えて前記電子線バイプリズムを設置し、
    前記試料の観察時と同じ結像光学系、および光学条件において、前記浮遊磁場を計測する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置内の浮遊磁場測定方法。
  19. 請求項16において、
    前記電子光学系の光軸上に配置された第1の電子線バイプリズムと、前記電子光学系の光軸上で、かつ前記第1の電子線バイプリズムが作り出す電子線の陰の部分に配置された第2の電子線バイプリズムによって発生させられる干渉縞のコントラスト、もしくは前記干渉縞のコントラストの変化から、前記浮遊磁場を測定する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置内の浮遊磁場測定方法。
  20. 請求項16において、
    前記電子線バイプリズムを前記光軸に垂直な平面内で、該光軸と平行な軸を中心に回転させ、前記電子線の経路の全方位に渡って前記浮遊磁場を測定する
    ことを特徴とする電子線バイプリズムを用いた電子線装置内の浮遊磁場測定方法。
JP2009000644A 2009-01-06 2009-01-06 電子線バイプリズムを用いた電子線装置および電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法 Expired - Fee Related JP4797072B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009000644A JP4797072B2 (ja) 2009-01-06 2009-01-06 電子線バイプリズムを用いた電子線装置および電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009000644A JP4797072B2 (ja) 2009-01-06 2009-01-06 電子線バイプリズムを用いた電子線装置および電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010160909A JP2010160909A (ja) 2010-07-22
JP4797072B2 true JP4797072B2 (ja) 2011-10-19

Family

ID=42577942

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009000644A Expired - Fee Related JP4797072B2 (ja) 2009-01-06 2009-01-06 電子線バイプリズムを用いた電子線装置および電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4797072B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3392550B2 (ja) * 1994-11-29 2003-03-31 株式会社日立製作所 荷電粒子線の偏向角測定方法及び荷電粒子線装置
JPH0926471A (ja) * 1995-07-11 1997-01-28 Hitachi Ltd 磁気計測方法及び装置
JP2000048760A (ja) * 1998-07-29 2000-02-18 Hitachi Ltd 走査干渉電子顕微鏡
JP4512180B2 (ja) * 2004-01-09 2010-07-28 独立行政法人理化学研究所 干渉装置
JP2006164861A (ja) * 2004-12-10 2006-06-22 Hitachi High-Technologies Corp 走査干渉電子顕微鏡
JP4978065B2 (ja) * 2006-06-12 2012-07-18 株式会社日立製作所 電子顕微鏡応用装置
JP4920370B2 (ja) * 2006-10-30 2012-04-18 株式会社日立製作所 透過型電子顕微鏡の情報伝達限界測定法およびこの測定法が適用された透過型電子顕微鏡
JP2010086882A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Fujitsu Ltd 電子線装置及びその調節方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010160909A (ja) 2010-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Majorovits et al. Optimizing phase contrast in transmission electron microscopy with an electrostatic (Boersch) phase plate
US7538323B2 (en) Interferometer
JP5103532B2 (ja) 収差補正器を備えた荷電粒子線装置
JP5965978B2 (ja) 荷電粒子ビームの波面を調査する方法
EP2091063B1 (en) Electron beam observation device using a pre-specimen magnetic field as image-forming lens and specimen observation method
US8772715B2 (en) Electron beam device including a first electron biprism to split an electron beam into two beams and a second electron biprism in the image forming lens system to superpose the two beams
EP2091064B1 (en) Electron beam device
JP5736461B2 (ja) 電子顕微鏡および試料観察方法
WO2015015985A1 (ja) 荷電粒子線装置及び荷電粒子線装置における収差測定法
JP2021097039A (ja) 透過菊池回折パターンの改良方法
US10008363B2 (en) Method of imaging a specimen using ptychography
JP6449526B2 (ja) 電子顕微鏡および観察方法
JP6051596B2 (ja) 干渉電子顕微鏡
JP5648136B2 (ja) 電子線干渉装置および電子線干渉法
JPH09237603A (ja) 位相差電子顕微鏡およびその位相板
JP4797072B2 (ja) 電子線バイプリズムを用いた電子線装置および電子線バイプリズムを用いた電子線装置における浮遊磁場測定方法
JP4744592B2 (ja) 電子線装置および電子線装置における浮遊磁場測定方法
Jing-jin et al. Influence of geomagnetic field on the imaging performance of a streak tube
US10629410B2 (en) Electron microscope for magnetic field measurement and magnetic field measurement method
JP2012199022A (ja) 電子顕微鏡、および回折像観察方法
JPH0729544A (ja) 電子エネルギ損失同時計測装置
JP2024052619A (ja) 透過型電子顕微鏡のための自動データ取得方法
US20190295816A1 (en) Interference optical system unit, charged particle beam interference apparatus, and method for observing charged particle beam interference image
WO2017022093A1 (ja) 電子線干渉装置および電子線干渉方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110412

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110609

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110705

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110801

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees