JP3942363B2 - 透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム、および透過電子顕微鏡 - Google Patents

透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム、および透過電子顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP3942363B2
JP3942363B2 JP2001033799A JP2001033799A JP3942363B2 JP 3942363 B2 JP3942363 B2 JP 3942363B2 JP 2001033799 A JP2001033799 A JP 2001033799A JP 2001033799 A JP2001033799 A JP 2001033799A JP 3942363 B2 JP3942363 B2 JP 3942363B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase plate
lens
lens system
plane
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001033799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002237272A (ja
Inventor
國昭 永山
ラドスチン ダネフ
史生 細川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jeol Ltd filed Critical Jeol Ltd
Priority to JP2001033799A priority Critical patent/JP3942363B2/ja
Priority to US10/071,881 priority patent/US6744048B2/en
Publication of JP2002237272A publication Critical patent/JP2002237272A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3942363B2 publication Critical patent/JP3942363B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/26Electron or ion microscopes; Electron or ion diffraction tubes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/26Electron or ion microscopes
    • H01J2237/2614Holography or phase contrast, phase related imaging in general, e.g. phase plates

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透過電子顕微鏡(TEM)の位相板用レンズシステム、およびTEMに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の透過電子顕微鏡を用いて試料観察を行う場合、結像コントラストの成因を、散乱コントラストと位相コントラストの2つに大別することができる。通常、両者とも弾性散乱電子に対して議論される場合が大半であり,以下においてもただ散乱と記述すれば弾性散乱を指すものとし、非弾性散乱を示す場合は、その旨記述するものとする。
散乱コントラストとは、試料の各部位により散乱される電子線の量的な異なりを像のコントラストに反映させる方法で、重い(原子番号が大きい)元素で構成される試料部分は、電子の散乱がより多くなり、軽い(原子番号の小さい)元素で構成される試料部分は電子の散乱がより小さくなることにより、試料と像面の間の光軸の周りに配置された、ほとんど散乱を受けない電子のみを通過させる絞り(対物絞り)により、遮蔽される散乱電子の量の違いが像面上での明暗の差となって現れるものである。試料の構成元素が重いほど、また、試料が電子の進行方向に厚いほど、散乱コントラストは強くなる。しかしながら、試料が厚くなると、電子の非弾性散乱が強くなり、色収差による像のボケを引き起こす。
【0003】
TEMの観察においては、電子の透過方向に対して厚い試料の場合、電子が非弾性散乱を受けて像ボケを起こすため、電子の非弾性散乱を低減させる目的で試料が十分薄く加工されており、従って、試料による弾性散乱もまた弱い。この為、結像のための十分な散乱コントラストは得られ難いものであり、この傾向は特に、生物切片試料において顕著である。そこで、生物切片試料の場合は、十分な散乱コントラストを得るために、試料の特定部位に重金属を化学結合させて(染色と呼ばれる)その部分の散乱コントラストを増加させ、散乱コントラストによる像を得る等の工夫がなされている。このように生物切片等の試料では、本来、散乱コントラストが得られ難く、本来、そのままで観察すべき試料に対して、染色等の一種のアーチファクトを施すまでして、散乱コントラストを利用して観察している。
【0004】
一方の位相コントラストとは、試料を通過した電子の波が受ける位相変化を像のコントラストに反映させる方法で、試料で散乱を受けずに(試料から何ら影響を受けずに)素通りした電子を透過電子と呼ぶこととし、透過電子と散乱電子の像面での干渉の際に、それらが位相差を持つことによりコントラストが与えられるものである。散乱コントラストの場合とは異なり、位相コントラストの場合は、試料が実用上加工可能な範囲で薄い方がむしろ試料構造を反映し易くなる。従って、生物切片等の観察に位相コントラストを利用することがてきれば、染色等の人為操作なしに容易に試料像を得ることが期待できるが、通常のTEMにおいては、位相コントラストは中低倍率観察に現れ難い。その理由は以下による。
【0005】
すなわち、十分薄い試料の位相コントラストのフーリエ成分I(k)は、
I(k)=σV(k)B(k) ……(1)
B(k)=sin(χ(k))E(k) ……(2)
σ :試料の静電ポテンシャルを位相ずれに換算する定数(電子のエネルギーにより決まる)
V(k):試料の静電ポテンシャル分布のフーリエ変換
B(k):試料情報の伝達の様子を表す関数
χ(k):波面収差関数
E(k):部分コヒーレンス、色収差等に起因するコントラストの減衰
k :空間周波数
となることが知られている。(1)式は、試料のもつ構造V(k)が、B(k)を介して像に反映されることを示す。もし、B(k)が全ての周波数領域に対して1であれば、試料構造が正確に像に反映されるわけであるが、実際のB(k)は図1(図1の横軸はk、縦軸方向中心は0)に示すように、正負に振動しつつ減衰していく。逆空間での空間周波数kの大きな領域(実空間での小さな構造に相当)でB(k)が0に減衰していくのは、E(k)によるものであり、電子顕微鏡といえども情報限界が存在し、ある限度以下の小さな構造は見えないことに対応している。B(k)が0に収束する過程で、0をまたいで振動するが、この振動の様子はTEMの加速電圧、球面収差係数と焦点外れ量によって決まり、このうちTEM操作者が自由に設定できるのは、焦点外れ量のみである。また、B(k)が0となる周波数近傍では、対応する試料構造が部分的に結像から欠落することになる。情報の欠落を防ぐには、焦点外れ量を適当に変化させ、所望の構造に対応する周波数近傍でB(k)が0にならないようにする等の工夫が必要となる。
【0006】
通常のTEMの場合、位相コントラストが結晶格子像等の高倍率観察時のみに支配的となる理由、つまり、生物切片試料等の観察倍率において、位相コントラストが結像に関与せず、従って散乱コントラストに依らざるを得ない理由は、図1からも明白なように、B(k)がχ(k)の正弦関数であり、かつχ(k)=0であるため、k=0の近傍では、B(k)も0に近い値のままであることに起因している。空間周波数kが0の近傍は、試料の大きな構造を担う成分であり、像の緩やかな構造を反映している領域である。つまり、B(k)がχ(k)の正弦関数であることに起因する低周波数領域の情報の欠落により位相コントラストが形成する像は、数nm程度以下の微細な試料構造しか反映し得ず、従って高倍率にしなければこのような構造は見えず、逆に言えば、中低倍率で観察すべき比較的大きな構造は、位相コントラストを介しては結像され得ないのである。こういった事情により、通常、生物切片等を中低倍率で観察する場合は、散乱コントラストに依らざるを得ないのである。
【0007】
そこで、中低倍率観察において、大きな構造が結像されないという位相コントラストの欠点を改善すべく、また、高倍率撮影においても、情報限界以内の周波数領域に情報の欠落が存在するという欠点を改善すべく、透過電子と散乱電子の間にπ/2の位相差を与える目的の位相板を備えた電子顕微鏡に関して本出願人は既に出願している(特願2000−85493号)。
【0008】
すなわち、透過電子と散乱電子にπ/2の位相差を与えることにより、試料情報の伝達は次の(3)式に示す、
Bp(k)=cos(χ(k))E(k) ……(3)
のようになる。
3式の様子を示すと図2のようになる(図2の横軸はk、縦軸方向中心は0)。図2において、位相板を用いたBp(k)は、E(k)がχ(k)の余弦関数であるため、k=0の近傍で、Bp(k)が1に近い値のままであるので大きな試料構造の情報の欠落がなく、従って、中低倍率観察においても位相コントラストによる観察が可能となる。また、Bp(k)とB(k)は、情報の欠落に関して互いに相補的であるため、高倍率観察においても両者を利用することにより、情報限界の範囲で完全な結像が実現できる。
【0009】
相補的であること、さらに言えば、完全であることの、ここでの意味は、波動exp(iφ(k))の観測において、
exp(iφ(k))=cos(φ(k))+isin(φ(k))…(4)
となる。4式右辺のcos(φ(k))とisin(φ(k))の双方を位相板の出し入れにより観察可能にすることが本質であるが、詳しくは前述の特願2000−85493号を参照されたい。
【0010】
以上のように、位相板を用いた位相コントラストの欠点を補う装置が考案され、特許出願がすでになされているのであるが、実施にあたって幾つかの問題点が明白になった。本願発明は、次に挙げる位相板を用いてTEMの問題点を解決するために考案されたものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
位相板は、対物レンズの後焦点面のごく近傍に配置する必要があるが、TEMによっては対物レンズの磁極片内に後焦点面ができるものがあり、この場合は対物レンズの後焦点面のごく近傍に位相板を配置させることは不可能である。位相板の中心には、透過電子のみが通過すべき特別な領域が設けられており、この特別な透過電子のみが通過することで透過電子と散乱電子の間にπ/2の位相ずれが与えられるわけである。透過電子は位相板の配置面で数十nm以下の細いビームを形成しており、現状では透過電子の透過領域として、直径1μm程度の円形穴を位相板の中心付近に設けている。この直径1μm程度の円形孔のおよそ中心を透過電子が通過することが重要であるので、直径1μmの円形孔と数十nm以下の細いビームを形成している透過電子を、1μm以内の精度でアライメントする必要がある。しかしながら、位相板を機械的に動かしながら、このような精度でアライメントを行うのは、かなり困難な作業であり、全体的な位相板実験を円滑に進行する上での妨げとなっている。
【0012】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、位相板を機械的に動かす代わりに、電子ビームを電磁偏向コイルにてアライメントすることにより、透過電子を高精度にアライメントできるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
位相板を機械的に動かす代わりに、電子ビームを電磁偏向コイルにてアライメントすることは可能であるが、既存のTEMに装備されている偏向コイルにてこのアライメントを行うと、本来そのコイルが担うべき、対応するレンズに対する電子ビームのアライメントが行えなくなる。磁極片による空間的制約のため、後焦点面への位相板の配置が不可能となる場合があるが、この問題を解決する目的で、後焦点面の共役面をレンズにより作成し、位相板を共役面に配置することが考えられる。
【0014】
ところで、TEMの通常の光学系においては、対物レンズにより、数十倍の倍率で試料の初段像が中間レンズの絞り面に形成され、この初段像を以下に続く結像レンズ系で逐次拡大してゆくようになっている。像を拡大結像すると、後焦点面の共役面は必ず縮小結像されるため、像が数十倍の高倍率で結像される以前に、後焦点面の共役面を作成しなければならない。というのは、数十倍の高倍率像が結像された以降に、後焦点の共役面を作成しても、共役面は数十分の1の縮小倍率系で作成されるため、上記した1μmの透過電子の通過領域を数十分の1μmに加工しなければならず、問題解決の手法としても現実的な選択枝とはならない。
【0015】
そこで、対物レンズの高倍率初段像が結像する前に、後焦点面の共役面をレンズにて作成しようとすると、現状のTEMでは以下に述べる問題がある。すなわち、対物レンズと、初段像ができる中間レンズの絞り面の間には、現状で1枚のレンズがあり、この1枚のレンズを用いて後焦点の共役面を、中間レンズの絞り面より上部に作成することになる。しかし、この場合、1枚のレンズのみで、後焦点面の共役面を作成したことにより、本来の対物レンズにより作成される後焦点面と像面の、互いの配置関係が損なわれてしまう。すなわち、1枚のレンズでの結像は、物面における複数の電子軌道について、それらが持つ光軸からの位置関係を、像面での同等な位置関係に変換する。しかし、この方法では光軸に対する軌道の傾きの相互関係を等価に変換することはできない。
【0016】
この様子を図3により説明する。
レンズLの焦点距離をf、レンズLから物面A、像面Bまでの距離をそれぞれa、bとし、物面Aの任意の光線の位置(光軸からの距離)をr0 、光軸に対する傾きをr0 ′とする。これらが、レンズLの作用(線形変換)で像面Bに、それぞれr1 、r1 ′に変換される様子は以下のように記述される。
【0017】
【数1】
Figure 0003942363
この場合、像面における光線の傾きr1 ′は、物面における光線の位置r0 と傾きr0 ′の関数となっている。つまり、物面において同じ傾きで位置が異なる2つの光線は、像面では互いに異なる傾きに変換される。
【0018】
結果として、後焦点面の共役面を、中間レンズの絞り面より上部に1枚のレンズで作成すると、中間レンズ絞り面の数十mm上面に、通常の拡大率と比べた場合、数分の1の拡大率で、対物レンズの初段像が形成されることになり、対物レンズの特性である高倍率かつ低収差の結像特性が失われ、最終的に収差の大きな低倍率像しか得られなくなるのである。
【0019】
この問題点は対物レンズの後焦点面と共役な面を作成するレンズを新たに備え、作成された共役面は後焦点面が一倍以上の倍率で結像されるようにし、その共役面に位相板を配置し、位相板を挟んで上、下にそれぞれ位相板に入射する電子ビームのアライメントを行うコイルを備えた位相板用レンズシステムとすることにより解決される。さらにこの位相用板レンズシステムに構成されるレンズ系においては、通常の結像のように、電子ビーム軌道の位置のみに対する共役面を作成するのではなく、電子ビームの傾きを同時に共役となるようなレンズ系となるように設計することで、位相板を射出した電子に対して、基本的に通常のTEMの結像系を適用することが可能となる。
【0020】
すなわち、
対物レンズの磁極片の空間的制限により、位相板が後焦点面に配置できないようなTEMにおいても、本発明により構成されるレンズ系にて、後焦点面と共役な面を空間的に余裕のある他の位置に作成することにより、このようなTEMにおいても位相板の配置が可能となる。
【0021】
このことにより、位相板は空間的に余裕のある位置に配置されるため、位相板の上に専用アライメントコイルを設置することも可能であり、このコイルの設置により位相板に入射する電子ビームに対して、透過電子が位相板に加工作成されている透過電子が通過すべき領域をビームが正確に通過するように、アライメントを行うことが可能になる。
また、位相板の下に、専用アライメントコイルを設けることで、位相板の射出電子に対して、以下に続く通常のTEMの拡大レンズ系の軸に入射させるためのアライメントが可能である。
【0022】
このように、位相板用レンズシステムに構成されるレンズ系を電子ビームの位置だけでなく傾きまでも共役となるような、結像を行うように設計することで、通常のTEMにおける対物レンズの後焦点面と像面の関係が位相板用レンズシステムの設置に関して、本質的影響を受けなくすることができる。このようなレンズ系の設計例および説明を図4に示す。
【0023】
図4において、物面Aの任意の光線の位置(光軸からの距離)をr0 、光軸に対する傾きをr0 ′とし、これらが、レンズL1、L2の作用(線形変換)で像面Bに、それぞれr1 、r1 ′に変換される様子は以下のように記述される。ただし、レンズL1、L2は同じ焦点距離fを持つものとし、物面AとレンズL1を距離f、L1とL2を距離2fにて配置し、結果的に、像面BはレンズL2と距離fとなる。この結像方法によれば、任意の光線の物面における位置と傾きが像面で再現される。
【0024】
【数2】
Figure 0003942363
すなわち、位相板用レンズシステムに構成されるこのようなレンズ系で、後焦点面とその共役面を倍率を1倍で結像すれば、この系の入射と射出の間の光学距離は0と考えられる。また、2倍で結像すれば、対物レンズの初段像もともに2倍となり、後焦点面、像面の本来の配置関係は保たれる。従って、位相板用レンズシステム以降に、本来のTEMの対物レンズの後焦点面以降の光学系を配置すれば、以下通常と変わらない対物レンズの高倍率かつ低収差特性を活かしたTEMの結像が行えることになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図5により本発明の実施の態様を説明する。
図5において、1は試料、2は対物レンズ、3は対物レンズの後焦点面、4,5は位相レンズ、6,8は位相板7を挟んで上下に配置された偏向コイルである。位相レンズ4、5とも、ここではそれぞれ同じ焦点距離fを持つものとし、また、偏向コイル6,8は、各々二段偏向コイルで構成されているとする。各構成要素の配置関係は、後焦点面から光軸にそって、fの距離で位相レンズ4を配置し、位相レンズ4から2fの距離で位相レンズ5を配置し、位相レンズ5からfの距離で位相板7を配置する。そして、位相板の直上と直下にそれぞれ偏向コイル6と偏向コイル8を配置する。なお、実際には、試料1に電子線を照射するための電子銃、及び集束レンズ系が試料1の上方に配置され、試料像を形成するための中間レンズ、投影レンズ及び蛍光板が偏向コイルの下方に配置されるが、図5では省略されている。
【0026】
図では、試料から射出する4つの電子の軌道に対して、本発明のレンズ系が作用する様子を記してある。試料から後焦点面3までは、軌道を実線で記してあり、この軌道の様子は、本発明にかかわらない通常のTEMと同じである。後焦点面から位相板7までは軌道を破線で記してあり、本発明に構成されるレンズシステムにより、後焦点面3の共役面が位相板面に作成される様子を示している。空間的制約上、後焦点面への位相板の配置が不可能なTEMの場合でも、位相板が使用可能である。
【0027】
また、図示した電子軌道の様子の重要な点は、後焦点面3における各電子軌道の光軸からの距離が、位相板上で再現されていることに加えて、後焦点面における各電子軌道の光軸に対する傾きまでもが、位相板面上で再現されていることである。従って、位相板以下の電子の軌道は、本発明に依らない通常のTEMにおける対物レンズの後焦点面以降の軌道と同一となるため、位相板以下に通常のTEMの結像系を設置することで、位相板レンズシステムを用いた本発明においても、位相板以降において通常と同じ結像が行える。
【0028】
また、位相板の上および下に配置された、偏向コイル6および偏向コイル8により、それぞれ位相板への電子ビームのアライメントおよび位相板以下に続く結像レンズのアライメントが行える。後焦点面に位相板を配置した場合、空間的制約により、このようなアライメントコイルは設置不可能であるが、本発明に構成される位相レンズにて、後焦点面の共役面を空間的余裕のある位置に作成することで、コイルの設置が可能となっている。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、以下のような効果が達成できる。
▲1▼位相板レンズシステムにて、対物レンズの後焦点面の共役面を空間的余裕のある位置に作成し、共役面に位相板を配置することで、対物レンズの磁極片の空間的制限により、位相板が後焦点面に配置できないようなTEMにおいても、位相板の使用が可能となった。
▲2▼位相板レンズシステムにて、対物レンズの後焦点面の共役面を空間的余裕のある位置に作成し、共役面に位相板を配置し、位相板の上下のそれぞれにアライメントコイルを設置することで、電子ビームの位相板に対する正確なアライメントおよび電子ビームの位相板に続く結像レンズへの正確なアライメントが可能となった。
▲3▼位相板用レンズシステムに構成されるレンズ系を、電子ビームの位置だけでなく、傾きまでも共役となるような結像を行うように設計することで、位相板用レンズシステム以降に本来のTEMの対物レンズの後焦点面以降の光学系が配置可能となり、以下、通常と変わらない対物レンズの高倍率かつ低収差特性を活かしたTEMの結像が行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 通常のB(k)を説明する図である。
【図2】 位相板を用いたBp(k)を説明する図である。
【図3】 1枚のレンズにて物面における複数の電子軌道について、それらが持つ光軸からの位置関係を、像面での同等な位置関係に変換する例を説明する図である。
【図4】 本発明の位相板用レンズ系の例を説明する図である。
【図5】 本発明の透過電子顕微鏡の例を説明する図である。
【符号の説明】
1…試料、2…対物レンズ、3…後焦点面、4,5…位相レンズ、6,8…偏向コイル、7…位相板。

Claims (4)

  1. 対物レンズより像側の結像系において、対物レンズの後焦点面よりも後方に位相板を配置すると共に、対物レンズの後焦点面を、光軸に対する電子ビームの位置と傾きが共役となるように位相板面に結像するレンズ系を配置し、該レンズ系と位相板との間にレンズ系から射出される電子ビームを位相板に対して方向づけを行うアライメントコイルを配置したことを特徴とする透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム。
  2. さらに、位相板から射出する電子ビームを、続く結像レンズ系に対して方向づけを行うアライメントコイルを配置したことを特徴とする請求項1記載のレンズシステム。
  3. 対物レンズより像側の結像系において、対物レンズの後焦点面よりも後方に位相板を配置すると共に、対物レンズの後焦点面を、光軸に対する電子ビームの位置と傾きが共役となるように位相板面に結像するレンズ系と、該レンズ系から射出される電子ビームを位相板に対して方向づけを行うアライメントコイルとを備えたことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  4. さらに、位相板から射出される電子ビームを、続く結像レンズ系に対して方向づけを行うアライメントコイルを備えたことを特徴とする請求項3記載の透過電子顕微鏡。
JP2001033799A 2001-02-09 2001-02-09 透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム、および透過電子顕微鏡 Expired - Lifetime JP3942363B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001033799A JP3942363B2 (ja) 2001-02-09 2001-02-09 透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム、および透過電子顕微鏡
US10/071,881 US6744048B2 (en) 2001-02-09 2002-02-08 Lens system for phase plate for transmission electron microscope and transmission electron microscope

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001033799A JP3942363B2 (ja) 2001-02-09 2001-02-09 透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム、および透過電子顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002237272A JP2002237272A (ja) 2002-08-23
JP3942363B2 true JP3942363B2 (ja) 2007-07-11

Family

ID=18897492

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001033799A Expired - Lifetime JP3942363B2 (ja) 2001-02-09 2001-02-09 透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム、および透過電子顕微鏡

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6744048B2 (ja)
JP (1) JP3942363B2 (ja)

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4328044B2 (ja) * 2001-09-25 2009-09-09 日本電子株式会社 差分コントラスト電子顕微鏡および電子顕微鏡像のデータ処理方法
US20030085350A1 (en) * 2001-11-02 2003-05-08 Kazutoshi Kaji Ultimate analyzer, scanning transmission electron microscope and ultimate analysis method
DE10200645A1 (de) * 2002-01-10 2003-07-24 Leo Elektronenmikroskopie Gmbh Elektronenmikroskop mit ringförmiger Beleuchtungsapertur
US7365909B2 (en) * 2002-10-17 2008-04-29 Xradia, Inc. Fabrication methods for micro compounds optics
US7119953B2 (en) * 2002-12-27 2006-10-10 Xradia, Inc. Phase contrast microscope for short wavelength radiation and imaging method
EP1654067A4 (en) * 2003-07-11 2008-01-02 Genomic Solutions Inc APPARATUS AND METHOD FOR HANDLING LIQUID SAMPLES BASED ON CAPILLARY EFFECT
US7423269B1 (en) 2005-02-26 2008-09-09 Kla-Tencor Technologies Corporation Automated feature analysis with off-axis tilting
DE102006011615A1 (de) * 2006-03-14 2007-09-20 Carl Zeiss Nts Gmbh Phasenkontrast-Elektronenmikroskop
JP4920370B2 (ja) * 2006-10-30 2012-04-18 株式会社日立製作所 透過型電子顕微鏡の情報伝達限界測定法およびこの測定法が適用された透過型電子顕微鏡
DE102007007923A1 (de) * 2007-02-14 2008-08-21 Carl Zeiss Nts Gmbh Phasenschiebendes Element und Teilchenstrahlgerät mit phasenschiebenden Element
EP2091062A1 (en) * 2008-02-13 2009-08-19 FEI Company TEM with aberration corrector and phase plate
EP2131385A1 (en) * 2008-06-05 2009-12-09 FEI Company Hybrid phase plate
WO2011044464A1 (en) * 2009-10-09 2011-04-14 Massahussetts Institute Of Technology System, method and apparatus for wavelength-coded multi-focal microscopy
US8785850B2 (en) * 2010-01-19 2014-07-22 National Research Counsel Of Canada Charging of a hole-free thin film phase plate
EP2485239A1 (en) * 2011-02-07 2012-08-08 FEI Company Method for centering an optical element in a TEM comprising a contrast enhancing element
US9256202B2 (en) 2011-05-20 2016-02-09 Massachusetts Institute Of Technology System, method and apparatus for phase-coded multi-plane microscopy
US8582060B2 (en) 2011-12-19 2013-11-12 Japan Display West Inc. Liquid crystal display panel
JP6286270B2 (ja) 2013-04-25 2018-02-28 エフ イー アイ カンパニFei Company 透過型電子顕微鏡内で位相版を用いる方法
DE102013019297A1 (de) 2013-11-19 2015-05-21 Fei Company Phasenplatte für ein Transmissionselektronenmikroskop
CN104101993B (zh) * 2014-07-10 2017-04-19 深圳职业技术学院 傅立叶显微镜装置及信息共享系统及其信息共享方法
US10170274B2 (en) * 2015-03-18 2019-01-01 Battelle Memorial Institute TEM phase contrast imaging with image plane phase grating
WO2016149676A1 (en) 2015-03-18 2016-09-22 Battelle Memorial Institute Electron beam masks for compressive sensors
WO2017189212A1 (en) 2016-04-29 2017-11-02 Battelle Memorial Institute Compressive scanning spectroscopy
US10295677B2 (en) 2017-05-08 2019-05-21 Battelle Memorial Institute Systems and methods for data storage and retrieval
US11101101B2 (en) 2019-05-15 2021-08-24 Fei Company Laser-based phase plate image contrast manipulation

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE1564075B1 (de) * 1966-05-13 1970-04-30 Karl-Josef Dr Rer Nat Hanssen Verfahren zur kontrastreichen Abbildung von Phasen- oder Amplitudenobjekten in einem Korpuskularstrahlgeraet,insbesondere einem Elektronenmikroskop
DE1810818A1 (de) * 1968-04-16 1969-10-23 Prof Dr Walter Hoppe Korpuskularstrahlgeraet mit einer Abbildungslinse und einer dieser zugeordneten phasenschiebenden Folie
DE1807277A1 (de) * 1968-06-28 1970-01-08 Siemens Ag Korpuskularstrahlgeraet zur Untersuchung eines Praeparates mit einer phasendrehenden Folie
US3869611A (en) * 1969-09-19 1975-03-04 Siemens Ag Particle-beam device of the raster type
US3908124A (en) * 1974-07-01 1975-09-23 Us Energy Phase contrast in high resolution electron microscopy
JP2651154B2 (ja) * 1987-09-04 1997-09-10 株式会社日立製作所 電子線ホログラフィ装置
CH678663A5 (ja) * 1988-06-09 1991-10-15 Zeiss Carl Fa
JP2776862B2 (ja) * 1989-01-13 1998-07-16 株式会社日立製作所 反射電子線ホログラフイー装置
JP2563134B2 (ja) * 1989-01-25 1996-12-11 日本電子株式会社 走査透過型位相差電子顕微鏡
NL9001800A (nl) * 1990-08-10 1992-03-02 Philips Nv Methode voor het direct verkrijgen van amplitude- en fase-informatie van een object met behulp van beelden van een hoge-resolutie elektronenmicroscoop.
NL9100294A (nl) * 1991-02-20 1992-09-16 Philips Nv Geladen deeltjesbundelinrichting.
JP2857273B2 (ja) * 1991-12-24 1999-02-17 科学技術振興事業団 収差補正法及び収差補正装置
JP2500423B2 (ja) * 1993-02-17 1996-05-29 日本電気株式会社 位相シフトマスクの検査方法
DE69637015T2 (de) * 1995-03-16 2007-08-16 Fei Co., Hillsboro Methode zur rekonstruktion von teilchenwellen in einer teilchen-optischen vorrichtung
EP0795197B1 (en) * 1995-10-03 2000-02-02 Koninklijke Philips Electronics N.V. Method of reconstructing an image in a particle-optical apparatus
US5814815A (en) * 1995-12-27 1998-09-29 Hitachi, Ltd. Phase-contrast electron microscope and phase plate therefor
JP4499331B2 (ja) * 1999-11-08 2010-07-07 ウェイヴフロント アナリシス インコーポレイテッド 波面の位相情報を回復するためのシステムおよび方法
JP3773389B2 (ja) 2000-03-27 2006-05-10 日本電子株式会社 位相差電子顕微鏡用薄膜位相板並びに位相差電子顕微鏡及び位相板帯電防止法

Also Published As

Publication number Publication date
US20020148962A1 (en) 2002-10-17
JP2002237272A (ja) 2002-08-23
US6744048B2 (en) 2004-06-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3942363B2 (ja) 透過電子顕微鏡の位相板用レンズシステム、および透過電子顕微鏡
JP5116321B2 (ja) 位相差電子顕微鏡
JP5871440B2 (ja) 走査共焦点電子顕微鏡のコントラストの向上
US8642959B2 (en) Method and system of performing three-dimensional imaging using an electron microscope
US7939801B2 (en) Electron beam observation device using pre-specimen magnetic field as image-forming lens and specimen observation method
US6448556B1 (en) Atomic focusers in electron microscopy
US20090302217A1 (en) Hybrid Phase Plate
JP2000100361A (ja) 粒子ビ―ムのエネルギ―幅を減らすデバイスを備えた粒子ビ―ム発生装置
US6307312B1 (en) Immersion lens and electron beam projection system using the same
KR100577754B1 (ko) 전자빔 리소그라피 장치 및 방법
US6097028A (en) Energy filter
JPS6029186B2 (ja) 電子顕微鏡
JP4897144B2 (ja) 磁気偏向範囲を含む電子エネルギーフィルタ
US8158940B2 (en) Magnetic domain imaging system
JP2002524818A (ja) 電子顕微鏡
JPH02284340A (ja) 可変焦点距離複合電磁レンズ
JP2019537228A (ja) 電子ビームシステムにおける収差補正方法及びシステム
JP4895525B2 (ja) 走査透過電子顕微鏡装置
JP3849353B2 (ja) 透過型電子顕微鏡
US6943360B1 (en) Twisted-compensated low-energy electron microscope
JP4150568B2 (ja) 電子顕微鏡
JPH06223767A (ja) 直接写像型反射電子顕微鏡
JP2005116365A (ja) 位相板と位相板用レンズ系を備えた透過電子顕微鏡
JP4131051B2 (ja) 写像型電子顕微鏡用の検査チャート
JP2839683B2 (ja) フーコー電子顕微鏡

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050411

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110413

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110413

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120413

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130413

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130413

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140413

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350