JP4896106B2 - 電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、電子顕微鏡に関する。例えば、電子線光学的観点において、任意の位相調整機構を提供するための位相調整器に関する。また、例えば、電子顕微鏡の球面収差に関する。また、例えば、観察対象となる試料の拡大像をできるだけ本来の構造に忠実に結像するための透過型電子顕微鏡に関する。
透過型電子顕微鏡は原子スケールの構造を観察できる装置であり、様々な分野でその役目を発揮している。しかし、透過型電子顕微鏡で観察できる像は電子線の干渉による像であり、観察された像をそのまま解釈することができない。そのため、シミュレーションなどを行い、観察結果と計算結果を比較することにより、観察試料本来の構造を解析することなどが行われている。
特開2006−162805号公報には、位相差電子顕微鏡が開示されている。
また、特開2006−318939号公報には、球面収差補正器が開示されている。
特開2006−162805号公報 特開2006−318939号公報 R. Danev and K. Nagayama, Ultramicroscopy, 88 (2001) 243.
本願発明者が、透過型電子顕微鏡で観察された結果が試料本来の構造と異なってしまう理由を鋭意検討した結果、次のような知見を得るに至った。
以下、透過型電子顕微鏡で観察された結果が試料本来の構造と異なってしまう理由を、透過型電子顕微鏡の結像原理を説明しながら記述する。
透過型電子顕微鏡で観察される像は、濃淡のコントラストで形成される。透過型電子顕微鏡で観察されるコントラストは大きく散乱コントラストと位相コントラストに分けられる。
散乱コントラストは、試料で散乱された電子を、対物レンズの後焦点面に設置した透過波のみを通過させる対物絞りによりカットし、結像することにより得られる像である。散乱コントラストは、その名の通り、散乱により得られるコントラストである。
一方、位相コントラストとは、電子線の干渉により得られるコントラストのことである。広義においては、試料の下面に生じる電子波のうち、適当な対物絞りを用い結像に寄与させた全ての電子波同士の干渉により生じるコントラストのことをさす。
いま電圧Eで加速された波長λの電子波を1として、散乱強度の弱いポテンシャルφ(r)を有する試料を透過した透過波ψ(r)により結像される像を考える。透過波ψ(r)は
Figure 0004896106
とかける。ただしσ=π/λE,φ=φ(r)・ΔZである。ここでσφがπ/2より十分小さい場合、
Figure 0004896106
と近似できる。
電子顕微鏡像はこの透過波のフーリエ変換である電子線回折波を、さらにレンズ作用によりフーリエ変換することで得られる波動関数の強度として観察される。
電子線回折像の波動関数は式(2)のフーリエ変換となり、
Figure 0004896106
となる。ここでδはディラックのδ関数であり透過した非散乱波を表す。Φ(g)はφのフーリエ変換で回折像面での散乱波を示す。gは1/rに対応する。
散乱波はレンズの球面収差やフォーカスによる影響でγ(g)の位相差を生じる。この位相差を考慮すると式(3)にexp−iγ(g)がかかることになり
Figure 0004896106
となる。
像面での波動関数は式(4)のフーリエ変換像となり、Fをフーリエ変換を表す記号とすると
Figure 0004896106
となる。観察される強度I(r)はψ(r)ψ(r)*となるためσφの2次の項を省略すると
Figure 0004896106
ここで∫Φ(g)exp(−ig・r)・dgは回折像のフーリエ変換で試料下面におけるψ(−r)となることより、
Figure 0004896106
となる。*はf(x)*h(x)=∫f(x)h(x−X)dXで定義されるコンボリューション操作を示す。観察強度を最大にするためにはなんらかの手段でγ(g)を変化させsinγ(g)を−1もしくは+1にすることが必要である。そのとき、
Figure 0004896106
となり、観察される像の強度変化量は入射電子線方向に投影した物体の静電ポテンシャルに比例する。このコントラストに寄与する位相情報を像に伝達する関数sinγ(g)を位相コントラスト伝達関数(位相CTF)とよぶ。
しかし、実際にsinγ(g)が−1もしくは+1を一定に保つような透過型電子顕微鏡を作ることは難しい。従来の透過型電子顕微鏡(CTEM)は、一部のgに対してしかsinγ(g)を−1もしくは+1にすることしかできなかった。
それはフォーカスやレンズの持つ球面収差,ビーム開き,色収差による焦点外れがCTFに影響することによるものである。例えば、加速電圧300kVの電子顕微鏡でデフォーカス48nm、球面収差0.9mm、色収差による焦点外れ5nm、ビーム開き0.3mradにおいてCTFは図1に示すようになる。横軸は1/nmの単位をもつgである。
図1中に点線で囲んだ領域において、sinγ(g)が−1に近い値を示しており、透過型電子顕微鏡で結像した像にこの領域に含まれる回折情報(フーリエ変換成分)が比較的強度をもち結像されることになる。この領域が広いほど結像された像がより試料本来の情報を示すため、この領域が広がるように電子顕微鏡の設計と、撮影時のフォーカス合わせが行われる。回折情報をできるだけ多く結像に寄与させるフォーカスを、提案者の名前をとりSherzer focusという。
通常の透過型電子顕微鏡を用い上記条件で撮影する場合、図1中点線で示した領域以外の回折情報は、ほとんど電子顕微鏡像に反映させることができない。それ以外の回折情報を結像させるためには、フォーカスを変化させ、CTFの形状を変えることにより、必要な回折情報の存在するgにおいてsinγ(g)が−1もしくは+1に近い値を示すようにする必要がある。しかし、その場合においても、また結像に寄与しない回折情報がいくらか存在することになる。
この回折情報の欠損が結像された電子顕微鏡像に与える影響を、簡単な写真のフーリエ変換像とそのフーリエ変換像に変調を加え回折情報を一部取り除いた後、逆フーリエ変換することで再生した像を用い示す。一回目のフーリエ変換は透過型電子顕微鏡での電子線回折像に対応し、変調を加えることが電子顕微鏡固有のCTFを加味することに対応し、その逆フーリエ変換像を計算することが透過型電子顕微鏡で結像することに対応する。
まず、もとの空間情報を図2(a)に示す。これは滝の写真に結晶構造に類似した規則正しい構造をもつ画像を図左上に合成した写真である。写真の黒いコントラストで示す部分が、透過型電子顕微鏡で観察する試料中のポテンシャルの高い部分に対応するものとして、以下説明する。
図2(a)のフーリエ変換像を図2(b)に示す。画像は、もとの像とはまったく異なる様子となっている。このフーリエ変換像は、透過型電子顕微鏡でいう電子線回折像に対応する。画像に合成させた規則正しい構造のフーリエ変換を示すスポットが、図2(b)に観察されている。また、中心の点は、透過型電子顕微鏡における透過波に対応し、その近傍に写真に見られる滝のフーリエ変換像が、弱い強度であるが、観察されている。
いま、透過型電子顕微鏡のCTF変調により、図2(b)の外側の成分が結像に寄与しない場合を考える。ここで仮定するCTF変調後のフーリエ変換像を、図2(c)に示す。CTFは、現象を簡単にするため、g=0からgCまでは1を示し、g=gC以上で0を示すと仮定した。図2(b)中に仮定したCTFを示す。フーリエ変換像にCTF変調を加える際、フーリエ変換像の中心を基点に同じ半径gに位置する情報は全てCTF(g)の変調をうけることとした。この仮定は透過型電子顕微鏡では、非点収差がない状態に相当する。図2(c)は、中心付近は図2(b)と同じであるが、半径gC以上の領域で0を示す。
図2(c)のフーリエ変換像を図2(d)に示す。この操作は透過型電子顕微鏡における結像を意味する。図2(d)は、大まかにはもとの写真を反映しているが、滝のしぶきなどの詳細な情報は失われてしまっている。この失われる空間情報dは、フーリエ変換に変調を加えた際に与えたgCの逆数である1/gCより小さな空間情報である。たとえば図2(a)左上の規則正しい構造のフーリエ変換により得られた回折波gcrystalが、図2(b)に丸で囲んだ領域にいくつか見られる。図2(b)に見られる回折波gcrystalをCTF変調することによりカットした結果、図2(c)においてその回折波の情報が失われている。この図2(c)をフーリエ変換し結像させた結果、その結像図2(d)において本来存在した図2(a)左上の規則正しい(結晶)構造が失われている。
一方、図2(b)にCTF変調をくわえ、図2(e)のような回折情報を結像することを仮定する。このCTF変調では、中心近傍の半径gC1以下の領域と、半径gC2以上の領域で0を示す。
図2(e)のフーリエ変換像を図2(f)に示す。図2(e)に回折波gcrystalの情報が残されているため、本来存在した図2(a)左上の規則正しい(結晶)構造が再現されている。しかし、滝や岸辺のコントラストが著しく低下していることがわかる。この失われた情報はdC1=1/gC1より大きい構造である。この様に、フーリエ変換にCTF変調した結果回折情報の一部が結像に寄与しないことは、そのフーリエ変換で得られる結像が試料本来の構造を反映しないことにつながる。
従って、透過型電子顕微鏡に求められるCTFは理想的には常に−1もしくは+1を示すことである。しかし、実際に透過型電子顕微鏡をCTFが常に−1もしくは+1となるように設計することは上記したように難しい。
透過型電子顕微鏡において、CTFは、上記したように、対物レンズの球面収差,撮影フォーカス,ビーム開き,色収差で決定される図1のような波うった形状となる。観察したい構造によって、求められる空間情報rが異なるためフォーカスや球面収差を変化させる必要があるが、ここで対物レンズの球面収差は設計した対物レンズのギャップに影響を受けた固有の値となるため、フォーカスで微調整を行うことになる。また、透過型電子顕微鏡は、対物レンズのギャップ内に試料を挿入する機構となるため、そのギャップを小さくすることに物理的限界があり、対物レンズの設計には限界がある。そのため、透過型電子顕微鏡におけるCTFは様々な制限をうけ、限られた範囲でしか−1もしくは+1に近い値を示すことがでず、結果的に分解能が制限されていた。
近年、CTFに影響を与える要素を様々に変化させて撮影することが求められており、従来は対物レンズ固有の値であった球面収差を変化させることのできる球面収差補正装置が開発された。
この球面収差補正装置を用い球面収差を0.005mmに補正した、加速電圧300kV、デフォーカス4.5nm、色収差による焦点外れ3nm、ビーム開き0.3mradの条件におけるCTFは図3に示すようになる。
図3に示されるCTFでは、sin(γ)が−1を示すS領域が図1のCTFに比べ広がり、gが10程度の部分までsin(γ)が値を示している。このことより、理論上、この球面収差補正装置を用いることにより0.1nm以下の分解能を達成することができることがわかる。
電子顕微鏡の分解能としては、球面収差補正装置が開発されたこともあり、通常の結晶構造観察を行う場合に関していえば、十分な領域に達したと言える。しかし、一方で、図3中のL領域の情報に関しては失ってしまっている。以下、この問題に関して記述する。
図2を用いて説明したCTFとTEM像の関係から考えると、図3のCTFでL領域を失うことは、大きな構造に関する情報を失うことにあたる。実際のTEM試料において、この大きな情報とは、例えば、包埋樹脂中の細胞小器官のコントラストなどがこの領域に含まれる情報である。
従来のバイオTEM観察では、試料の染色を行い、また小さな対物絞りを用いることにより、細胞小器官のコントラストを得ていた。しかし、対物絞りを小さくすることはTEM像の分解能を下げてしまうという副作用も生じるため、見たい構造のコントラストとサイズの兼ね合いでもっとも良く観察される条件を手探り状態で探す必要があった。
この問題を解決する手段として近年注目されている手法が、位相差透過電子顕微鏡法である。この手法は、小さな穴を持った薄膜を対物絞りとして使用する方法で、透過波以外の回折波は薄膜部を透過させ、その際回折波にπ/2の位相差を生じさせる特徴を持つ。
例えば、g=0.5以上の回折波にπ/2の位相差を生じさせる対物絞りを、球面収差補正装置を用い球面収差を0.005mmに補正した、加速電圧300kV、デフォーカス4.5nm、色収差による焦点外れ3nm、ビーム開き0.3mradのTEMにおいて使用した場合、CTFは図4に示すようになる。
図4に示すCTFから、位相板を用いることでいきなりsin(γ)の値が−1を示すようになることがわかる。これはまさに、位相板を用いることにより回折波の位相をg=0.5以上の領域でπ/2ずらしたことによる効果で、以前のCTEMにはなかった特性である。この効果により、さらに小さな穴を有する位相板を用いたPhase TEM(以下PTEMと略す)では細胞小器官の構造が無染色でも観察し得ることが知られている。(R. Danev and K. Nagayama, Ultramicroscopy, 88 (2001) 243.
上述した方法では、0.1nmの情報を得ることのできる球面収差補正装置に位相板を用いたPTEM観察を行うと、g=7.8付近でsin(γ)が0を示してしまうことがわかる。この条件では、一部の情報が失われており、試料が本来持つ情報をすべて得ることはできない。
本発明の目的は、全てのgにおいて|sin(γ)|が±1を一定に保つCTFを有するようにすることに関する。
また、本発明の目的は、電子線をレンズにより収束またはそれを使用した電子顕微鏡の像を結像しようとした場合、球面収差の効果によって電子線の位相差が生じ干渉効果が十分に得られないため、電子線を使用する装置において位相差を調整しその干渉性を向上させることに関する。
本発明は、電子線をレンズにより収束もしくは結像する際に生じる、電子線経路の差により生じる位相差を調整し、その差をなくすことに関する。具体的には、例えば、中心から動径方向に厚さの変化した位相板を使用し、厚さの効果もしくは電位の効果またはその二つを用い電子線の位相を調整する。また、例えば、電位調整機能,温度調整機能,位相板雰囲気ガス圧調整機構,位相板非点補正機構,位相板傾斜位置高さ調整機構などによって本発明は実現される。
本発明により、PTEM像をより高い分解能に高め、汎用的に使用することが実現可能となる。
本実施例では、図5(a)に示すように、対物レンズの後焦点面に位相板を配置し、この位相板を加熱,傾斜,変移,電圧印加させる機構を有する位相板ホルダを設けた。
位相板の形状は、図5(b)に示す形状であり、円形の板に小さな穴を有する板である。その断面形状は、必要に応じ動径方向に厚さの変化を有する。実際には、いくつかの形状を有した位相板を設置し、観察する試料の構造,特性、または観察する目的によって使用する位相板を選択することが望ましい。
位相板に印加する電圧は、観察する試料の構造,特性、また観察する目的によって適切な値を選択することが望ましい。
この位相板を有する電子顕微鏡は、CTEM同様に対物レンズの非点補正を行うためのObjective Stigmaが備えられると同時に、レンズとして機能する位相板の非点補正を行うためのPhase Plate Stigmaを備える。
また、位相板の電子線照射によるチャージアップ軽減のため位相板室を設け、そこにガスを導入することができる機構を設けた。位相板室は、電子線が通過しうる径の穴を有する。位相板室の真空度は、導入ガス量と排気速度のバランスで調整される。
また、ガス導入により、位相板周りの電位分布が変化し、使用に十分な調整を要するため、PCによる位相板室真空度調整機能を設けることもできる。
図6に、位相板室と対物レンズの間に球面収差補正レンズを設置した場合の光学系の模式図を示す。このようにすることで、球面収差補正機能と位相差調整機能を兼ね備えた電子顕微鏡機能として組み合わせることができる。
位相板の電子線に対する位置調整は、通常のオペレータでは困難であるため、操作を簡便にする目的で自動位置調整機能を備えることが効果的である。
本実施例により、透過電子顕微鏡の結像系における球面収差を補正することができる。走査電子顕微鏡の照射系に使用し干渉性を向上させ、電子線プローブの輝度を向上させる効果がある。透過電子顕微鏡の照射系に使用し、干渉性の高い電子線を試料に照射できるようになる。さらに、電子レンズを多数使用する球面収差補正器に比べれば比較的安価で類似の効果を提供できるようになる。この効果は透過型電子顕微鏡の対物レンズを含む結像系にも使用できる。
尚、本実施例では、電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備え、動径方向に厚さの変化を有する位相板を備えた電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備え、動径方向に電位の変化を有する位相板を備えた電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備え、電位の調整機能を有する位相板支持機構を備えた電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備え、位相変化が同一同心円上において均一に生じなかった場合にその補正を行うための機構を備えた電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、位相板が、導電性の結晶質位相板であることを特徴とする電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、位相板が、導電性の非晶質位相板であることを特徴とする電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、位相板の傾斜,位置、及び/又は高さを調整する機構と、温度を調整する機構と、を有する位相板支持機構を備えることを特徴とする電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、位相板近傍のガス種圧を調整するための、位相板室,電子線通過口,ガス導入管,ガス流調整弁、及び排気装置を有することを特徴とする電子顕微鏡を開示する。
また、本実施例では、電子顕微鏡に用いられる電子線位相調整器を開示する。
また、本実施例では、位相差電子顕微鏡,位相差電子顕微鏡と球面収差補正器を複合化した透過電子顕微鏡,走査電子顕微鏡,走査透過電子顕微鏡、又は透過電子顕微鏡を開示する。
また、位相調整機構の軸調整を自動的に行うことができる機構を備えることを特徴とする電子顕微鏡を開示する。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。尚、図面は発明の理解のために用いるものであり、権利範囲を減縮するものではない。
図5(a)に、本実施例の概略機構を示す。本実施例は、電子線の回折面近傍に位相板を有する電子顕微鏡である。位相板を、位相板ホルダにより、加熱,傾斜,変移,電圧印加させる機能を有する。位相板は、位相板室に外部よりホルダを用いて挿入される機構となっている。位相板室には、電子線が通過できる径の穴が設けられている。また、位相板室は、ガス導入機構と排気機構を有する。
位相板の形状は、図5(b)に示す形状であり、小さな穴を有する円形の板である。位相板の断面形状は、必要に応じ、動径方向に厚さの変化を有する。以下、動径方向に厚さを変化させることにより生じる効果の一例を示す。
図7に、動径方向に厚さの変化しない位相板における、中心から外側へ向かった片側だけの断面形状を示す。中心は穴があいており、厚さは0である。半径R1から外側の部分は、厚さtで均一である。また、この厚さtは、位相板で電子線の位相をちょうどπ/2変化させる厚さであるとする。tは、位相板に使用する素材と電子線の加速電圧によって決まる。
この位相板を、加速電圧300kV、デフォーカス4.5nm、球面収差0.005mm、色収差による焦点外れ3nm、ビーム開き0.3mradのTEMにおいて使用した場合、CTFは図7(b)に示すようになる。この図より、ナノサイズ以上の構造であれば、コントラストよく観察されうるが、g=7.8付近でsin(γ)が0を示してしまうことがわかる。この条件では一部の情報が失われており、試料が本来持つ情報をすべて得ることはできない。
加速電圧300kV、デフォーカス4.5nm、球面収差0.005mm、色収差による焦点外れ3nm、ビーム開き0.3mradのTEMにおいて、情報を最も多く結像させるための位相板による適正位相変化特性を図8(a)に示す。横軸は、位相板の半径rをカメラ長Lで割った値gである。縦軸は、その半径の場所で位相板が電子線の位相を変化させるべき適正な量を示す。位相変化量は、中心付近で2π−π/2としているが、この意味は後に記述する。
位相板上での半径rはカメラ長をL(nm・mm)として、下記式(9)で逆格子ベクトルgと対応付けられる。
Figure 0004896106
ここでいう適正位相変化量とは、TEMが位相板を使用しない状態で有する位相変化量をγ0(g)としたとき、
Figure 0004896106
で示される。nは任意の整数である。sin(γ)がこの位相補正の結果一定に−1もしくは1を示すことを以下に示す。CTFの計算において実際には試料で散乱された電子の位相変化π/2を考慮し、cos(π/2−γ0(g))を計算した結果としてsin(γ)が導かれる。位相板の効果Psを付加的に与えると
Figure 0004896106
として現れるため、結果的に
Figure 0004896106
となる。ここでγ0(g)は下記(13)式となる。
Figure 0004896106
Csは球面収差、λは電子線の波長、Δfはデフォーカスである。電子顕微鏡の使用条件を上記式(13)に与えることで、適正位相変化量が決定される。
図8(b)に、位相が適正に補正された状態における、理想的なCTFを示す。この状態では大きな構造から小さな構造まで全て結像することができる。
位相板の厚さを動径方向に変化させることは、CTFを理想的な状態するための一つの手段である。TEMの使用状態によってγ0(g)が様々に変化するため、位相板の理想的な形状も様々になる。しかし、大きく分ければ、中心から外に行くにしたがって厚くなるタイプ,中心から外に行く途中一度厚くなって薄くなるタイプ,中心から外に行く途中一度薄くなって厚くなるタイプ,中心から外に行くにしたがって薄くなるタイプの四つのタイプとなる。
電子線が位相板で位相変化を起こす量P(r)は、位相板の材料により決まる固有ポテンシャルφと位相板の厚さT(r)と位相板の電位V(r)によって、下記式(14)で示される。
Figure 0004896106
ここで、E0は電子の静止エネルギー、Eは入射電子のエネルギーである。
位相板の厚さを動径方向に変化させると、式(14)に従って、位相板により電子線の位相が変化する量を動径方向で変化させることができる。この効果は、位相板自体の厚さが変化することによる効果と、厚さを動径方向に変化させることで位相板の帯電特性が変化することによる効果により達成される。
位相板は、厚さゼロにはできないので、理想的な位相変化分布を得るために透過波の近傍で(2n±1/2)πの位相差を与えるように調整することが有効である。しかし、nを大きく設定すると電子線自体の透過率が減ってしまい、像のコントラストが低下してしまうため、あまり大きすぎるnは設定できない。その観点で、図8の適正位相変化量は(2−1/2)πに設定して表示した。
一般的に、電子線照射による薄膜物質の帯電はプラスであり、電子線の照射量が多いほど強く帯電する。電子線回折像は動径方向に様々な電子線強度分布を示すため、観察試料の電子線回折像に応じて位相板の形状を変化させる必要がある。
しかし、電子線回折像のパターンは試料によっても異なるし、また、観察視野が変わるだけでも変化してしまう。従って、位相板に電子線が照射されることによる帯電は、PTEMの操作性を困難にさせる最も大きな要因である。
この問題を解決するために、本実施例では、位相板に任意の電位を与えることができる機構を備える。位相板の帯電は、電子線回折像の透過波近傍である、位相板中心の小穴のふちでもっとも大きく起こる。これは、電子線回折像の透過波近傍には大きなバックグラウンドが存在するためである。
ここで、仮に、位相板中心部が電子線照射により7Vの帯電を起こしたとする。その場合、位相板全体を7V以上に帯電させることで、位相板の動径方向で帯電電位が一定になる。この状態にすることで、位相板動径方向での電子線位相変化量を位相板の厚さでほぼ制御することができる。
また、位相板に印加する電位を位相板の中心付近の帯電電位と変化させると、任意に動径方向での電位を変化させることができる。この機構は、使用中の位相板形状と、観察中の電子顕微鏡の条件が求める理想的な位相板形状とに若干の差が存在する場合に有用である。このとき電子線位相変化に作用する効果は、位相板の厚さの効果と、電位の効果である。
帯電のコントロールには、もう一つの対応策が考えられる。上記手法は、帯電した状態に保持する機構でのコントロール法であるが、ガス種によるチャージコントロールの方法もある。このために、本実施例では、ガス導入口と排気口を備える。電子線の影響で帯電した場合、ガス種との電子のやり取りによって帯電がバランスされる。
ガス圧が高いほど帯電の抑制効果はあるが、電子線顕微鏡の電子銃が要求する真空度より悪くはできないため、制限がある。電子線導入口のサイズ,導入ガス流量,排気速度の関係でガス圧は決定される。導入ガスが効果的に帯電を抑制するように、ガス管先端を位相板の最も帯電する中心付近に向けることが可能である。一例を図5(b)に示す。
PTEMのCTFは、あくまでも透過波と回折波の位相差で決定される。回折波の位相を位相板の厚さもしくは電位によって最適な条件に調整しようとする方法が、本実施例のポイントの一つである。
理想的位相板形状が、電子顕微鏡の撮影時の加速電圧,デフォーカス,球面収差,色収差による焦点外れ、ビーム開きによって変化するため、観察によく使用しそうな条件に対応した位相板を数枚選択できる機構を有することが望ましい。例えば、図11に示すように、厚い位相板支持電極の中に、位相板A,B,C,Dが備えられたものを設ける。
位相板を帯電させることは、位相板が静電レンズとしての機能を有することでもある。帯電電位が小さいうちは大きな影響を及ぼさないように考えられるが、位相板中心の穴が小さな位相板を使用する場合には、位相板の軸合わせが像質に影響を与える。
位相板の軸ずれは、x,y,zと、あと、Tilt,Azimが存在する。位相板の位置及び傾斜補正法を以下に示す。まず、位相板を挿入せずに電子顕微鏡の軸調整及び各種非点補正をおこなう。
電子顕微鏡の調整が終わった後に、電子線回折像を確認し、CCDカメラのどのあたりに回折像の中心が現れるか確認する。CCDカメラが強い電子線照射によって破損することを防ぐため、フィルタを使用し、焼き付けを防止する。
位相板を挿入し、電子線回折像の透過波が位相板に当たるようにする。結像レンズを調整し、位相板に照射された電子によって起こる位相板の電子線回折像を観察できる状態にする。位相板が単結晶であれば、CCDカメラで位相板の回折パターンを観察することにより、位相板の電子線に対する傾斜が正確にわかる。
Tilt,Azimともに調整し、位相板の設計された傾斜と実際の傾斜が一致するまで、フィードバックをかけて傾斜調整を行う。
次に、位相板の穴が、電子線回折像の中心に位置するように、x,y微動を動かす。
PTEM状態での像を確認し、位相板のz位置を調べる。具体的には、低倍の像にしたとき位相板のz位置が電子線回折像の像面と大きく異なる場合、位相差像となって現れる領域が狭くなる。
位相板の高さzと電子線回折像の像面の位置関係に関連し、位相板が電子線回折像の像面から離れるとより大きな構造に対してコントラストをつけることができるが、観察視野が狭くなり、像の周辺ボケも現れる。一方、位相板が完全に電子線回折像の像面に位置するとき、観察視野は最大になり、周辺ボケを少なくできるが、コントラストを与える構造のサイズは位相板の設計値となる。目的に応じて使用することが望ましい。
位相板の位置は、PTEMで観察される位相差像領域のサイズと相関関係にあるため、位相板のZ位置は大まかに位相差像領域のサイズをモニタすることにより調整できる。このとき、x,yが移動する場合があるため、再度x,y位置調整を行う。
最後に、PTEM全体の電圧中心の確認を行い、もし許容量以上にずれている場合には、傾斜補正以下の位相板位置調整を行う。
位相板の位置調整が終わった後に、位相板で生じるPhase Plate Stigmaの調整を行う。これら位相板の位置・傾斜調整は手間がかかるため、自動的に処理できる機構とすることが望ましい。
位相板が理想的状態で機能しているかどうかを確認するため、観察試料の近傍に標準的な非晶質試料を探し、その領域をCCDカメラに撮影した像をフーリエ変換する。
一般的に、TEM像のフーリエ変換像はCTFの特性を調べるのに用いられる。あらかじめ観察試料の近傍にPTEM調整用試料を付着させておくことも有効的である。
もし、適切に位相板が機能していないようであれば、使用する位相板を変えてみるか、印加電圧を変化させるなどの対処を行う。球面収差補正装置と併用させて使用している場合には、球面収差を変えて見ることも有効である。もちろんフォーカスを変えることは当然考えられる一つの対処である。
観察する予定の倍率でコントラストが現れるかどうかを確認しておくことにより、貴重な試料を、短時間のうちに、ダメージの少ない状態で観察できる。
位相板に電子線が照射されることにより、位相板へのコンタミが起こると、部分的に位相板の厚さが変化してまい、本来の位相板として設計された機能を失ってしまう。このコンタミ軽減のため、位相板を加熱しながら観察を行うが、さらに位相板室にコールドトラップを設けると、より位相板の使用可能時間が長くなる。
位相板の素材としては、導電性の良い金属が最適である。また、加熱しながら強い電子線照射を受けるため、熱に強い素材が好ましい。位相板の結晶的構造は均一であることが望ましく、単結晶もしくは非晶質であることが望ましい。非晶質である場合は位相板を透過した電子線近傍に散乱波が生じるため位相差像視野内に位相板で散乱した電子線のノイズが多少紛れ込む。結果、位相差像に非晶質特有のランダム模様が重なる。しかし、非晶質位相板の作製は簡易的であり大きな構造をもつ試料に対しては有効的である。
本実施例では、単結晶素材で電子線が高次の回折を起こす状態に設計された位相板を用いる。単結晶位相板では、透過波近傍のノイズが軽減される。従って、位相差像のノイズ成分を少なくすることができる。また、単結晶位相板では格子像由来の規則正しい縞模様としてノイズが現れるため、IFFT(逆フーリエ変換)によって簡単にそのノイズを除去でき得る。参考まで非晶質位相板の散乱パターンと、単結晶高次励起位相板の散乱パターンを図10(a),(b)に示す。
位相板の位置・傾斜調整とPhase Plate Stigmaの調整が完了し、正常に位相板が機能していることが確認できれば、PTEMの調整は終了である。観察視野を探し、データの取得をTEM同様に行うことができる。
第二の実施例を図12に示す。本実施例では、電子線を試料面に収束させて観察する走査電子顕微鏡において、試料と電子源間に存在するレンズの球面収差によって生じる、照射角の違う電子の試料面上での位相差を調整する位相調整装置を有する走査電子顕微鏡を開示する。
本実施例により、大きな絞りを使用した、照射角度を大きくした場合の干渉性が良くなり、電子プローブの輝度が向上する。結果、高感度分析や、S/Nの良い像撮影が可能になる。
上記走査電子顕微鏡に透過電子検出器,散乱電子検出器を備えた走査透過電子顕微鏡としても使用できる。
走査電子顕微鏡、または走査透過電子顕微鏡として使用する場合には、適正位相変化量が実施例1とは異なる。走査顕微鏡に使用する場合には、試料に到達する電子線の照射角度αごとの位相差γ(α)は下記(15)式で与えられる。
Figure 0004896106
この時、照射系の位相変調では試料散乱による位相変化π/2の考慮が不要なため適正位相変化量は下記(16)式で与えられる。
Figure 0004896106
nは整数である。例えば、加速電圧200kVの電子顕微鏡でデフォーカス10nm、球面収差0.5mmにおいて、適正位相変化量は図13(b)のようになる。図13(b)では横軸をαにしているが、仮想光源と位相板,対物レンズ及び試料の位置関係より位相板の動径方向の距離Rとαは
Figure 0004896106
で関係付けられる。上記式は最も単純な照射系を考えている。実際には、収束レンズを数枚使用している電子顕微鏡もあり、ここまで単純には示せないが、基本的には上記(17)式の延長にある。いかなる系においても位相板の動径方向距離Rと照射角度αは関係付けることができる。
本実施例を照射系に使用する場合では、位相調整機構は電子線源から試料の間のいかなる位置に設置しても良い。しかし、走査顕微鏡では、電子線を走査させた場合に電子線の光軸が変移するため、位相調整機構は走査コイルより電子線源側に設置することが望ましい。
通常のSTEMでは、10mrad程度の範囲で干渉性が確保できれば十分であるが、本実施例により20mrad程度のところまで干渉性が十分確保できることが分った。位相板の厚さがゼロにできないため適応範囲に限界はある。本実施例では、20mrad以上が一定厚さの位相板とした。図14(a),(b)に位相調整前後の干渉性をcos(−γ)によって示す。
位相板中心に穴がないのが実施例2の特徴であり、形状のパターンは実施例1に示した通り4パターン考え得る。
走査透過電子顕微鏡において、透過電子検出器を結像レンズに置き換え、画像撮影装置を複合化させると、位相調整機構付透過電子顕微鏡となる。照射系で発生する照射電子の位相ずれを試料面上で均一に調整することが可能になる。例えば、電子線ホログラフィー法などの位相変化情報を記録評価する場合、位相のそろった電子線が広範囲で必要になるため本発明が特に有効となる。
近年、細胞小器官,たんぱく質,高分子、などの有機物質を無染色でTEM観察することに注目が集まっている。まだまだ一部の研究者により先駆的研究が行われ始めているPTEMの状況ではあるが、汎用装置としてPTEMが世界に普及し、各研究機関で活用されるようになれば、細胞科学,医学での研究成果の進展は、ほぼ当然のことと期待できる。
走査電子顕微鏡や走査透過電子顕微鏡の照射系に本発明を利用すると、干渉性の高い電子線プローブを形成することが可能となり、高感度分析,高解像度観察が可能になる。
透過電子顕微鏡の照射系に使用すると、試料に干渉性の高い電子線を照射することができるようになり、ホログラフィーなど電子線の干渉を用いて解析を行う場合に有効となる。
一般的位相伝達関数(CTF)。 位相とTEM像の関係(a)実像,(b)フーリエ変換像,(c)位相操作(小さな絞り),(d)(c)の逆フーリエ変換像,(e)位相操作(大きな絞り),(f)(e)の逆フーリエ変換像。 球面収差補正したCTF。 球面収差補正と厚さ均一な位相板を併用した場合のCTF。 実施例の概略図(a)位相板周りの構造,(b)位相板の断面形状(一例)。 球面収差補正機能と位相板を複合化した構造を示す概略図。 位相板とCTFの関係(一例)(a)位相板の断面,(b)(a)の位相板でのCTF。 適正位相変化量とPTEM時の最終的CTF(a)適正位相変化量,(b)(a)であるときのCTF。 TEMからPTEMモードに切り替える際に行う操作手順を示すフローチャート。 位相板による電子線散乱の比較(a)非晶質Carbon,(b)単結晶Al。 位相板と位相支持電極。 走査電子顕微鏡または走査透過電子顕微鏡などの照射系に関連した実施例。 位相板と照射系と試料の位置関係の一例と適正位相変化量。 位相調整前後の電子線干渉性(a)調整前,(b)調整後。 透過電子顕微鏡の照射系に複合化させた実施例。

Claims (11)

  1. 電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備えた電子顕微鏡であって、
    動径方向に厚さの変化を有する位相板を備えた電子顕微鏡。
  2. 電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備えた電子顕微鏡であって、
    動径方向に電位の変化を有する位相板を備えた電子顕微鏡。
  3. 電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備えた電子顕微鏡であって、
    電位の調整機能を有する位相板支持機構を備えた電子顕微鏡。
  4. 電子顕微鏡中を通過する電子線の光軸上とそれに対し外側を通過する電子線間の位相差を調整する手段を備えた電子顕微鏡であって、
    位相変化が同一同心円上において均一に生じなかった場合にその補正を行うための機構を備えた電子顕微鏡。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の電子顕微鏡であって、
    前記位相板が、導電性の結晶質位相板であることを特徴とする電子顕微鏡。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の電子顕微鏡であって、
    前記位相板が、導電性の非晶質位相板であることを特徴とする電子顕微鏡。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の電子顕微鏡であって、
    位相板の傾斜,位置、及び/又は高さを調整する機構と、温度を調整する機構と、を有する位相板支持機構を備えることを特徴とする電子顕微鏡。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の電子顕微鏡であって、
    位相板近傍のガス種圧を調整するための、位相板室,電子線通過口,ガス導入管,ガス流調整弁、及び排気装置を有することを特徴とする電子顕微鏡。
  9. 請求項1〜7の何れか1項に記載の電子顕微鏡に用いられる電子線位相調整器。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載の電子顕微鏡であって、
    当該電子顕微鏡が、位相差電子顕微鏡,位相差電子顕微鏡と球面収差補正器を複合化した透過電子顕微鏡,走査電子顕微鏡,走査透過電子顕微鏡、又は透過電子顕微鏡の何れかであることを特徴とする電子顕微鏡。
  11. 請求項1〜8、及び10の何れか1項に記載の電子顕微鏡であって、
    位相調整機構の軸調整を自動的に行うことができる機構を備えることを特徴とする電子顕微鏡。
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