JP4898221B2 - 粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、空気溜まりやブリスターを防止または除去することのできる粘着シート、およびそのような粘着シートを製造する方法に関するものである。
粘着シートを手作業で被着体に貼付する際に、被着体と粘着面との間に空気溜まりができ、粘着シートの外観を損ねてしまうことがある。このような空気溜まりは、特に粘着シートの面積が大きい場合に発生し易い。
空気溜まりによる粘着シート外観の不具合を解消するために、粘着シートを別の粘着シートに貼り替えることや、粘着シートを一度剥して貼り直すこと、あるいは粘着シートの膨れた部分に針で穴を開けて空気を抜いたりすることが行われている。しかしながら、粘着シートを貼り替える場合には、手間を要するだけでなく、コストアップを招いてしまい、また、粘着シートを貼り直す場合には、粘着シートが破れたり、表面に皺ができたり、粘着性が低下する等の問題が生じることが多い。一方、針で穴を開ける方法は粘着シートの外観を損ねるものである。
空気溜まりの発生を防止するために、あらかじめ被着体または粘着面に水をつけてから貼付する方法があるが、窓に貼るガラス飛散防止フィルム、装飾フィルム、マーキングフィルム等の寸法の大きい粘着シートを貼付する場合には、多くの時間と手間を要している。また、手作業ではなく機械を使用して貼付することにより、空気溜まりの発生を防止する方法があるが、粘着シートの用途または被着体の部位・形状によっては、機械貼りが適用できないことがある。
一方、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料は、加熱により、または加熱によらなくても、ガスを発生することがあるが、このような樹脂材料からなる被着体に粘着シートを貼付した場合には、被着体から発生するガスによって粘着シートにブリスター(ふくれ)が生じることとなる。
上記のような問題を解決するために、実登2503717号公報および実登2587198号公報には、粘着層の粘着面に、独立した多数の小凸部を散点状に配置した粘着シートが提案されている。この粘着シートにおいては、粘着層の小凸部の先端部が被着体に密着し、粘着層の基本平坦面が被着体から離間した状態に保持されることにより、粘着層の基本平坦面と被着体との間に外部に連通する隙間が生じるため、その隙間から空気やガスを外部に抜くことにより、粘着シートの空気溜まりまたはブリスターを防止する。
しかしながら、上記公報に開示されている粘着シートにおいては、粘着層の小凸部の先端部のみが被着体に接着するため接着力が弱く、また、粘着層と被着体との間には水、薬品等が浸入し易く、それによってさらに接着力が低下するという問題があった。このような粘着シートを被着体に強く押圧した場合であっても、粘着層の小凸部の影響により接着力は十分でない。またその場合には、外部に連通する隙間が埋まるため、被着体からガスが発生したときに生じるブリスターを防止することはできない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、粘着シートの外観を損なうことなく、かつ十分な接着力を確保しつつ、空気溜まりやブリスターを防止または除去することのできる粘着シート、およびそのような粘着シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と粘着剤層とを備え、一方の面から他方の面に貫通する貫通孔が複数形成されている粘着シートであって、前記貫通孔の前記基材および粘着剤層における孔径は0.1〜300μmであり、孔密度は30〜50,000個/100cmであることを特徴とする粘着シートを提供する(発明1)。
なお、本明細書において、「シート」にはフィルムおよびテープの概念、「フィルム」にはシートおよびテープの概念が含まれるものとする。
上記発明に係る粘着シート(発明1)においては、被着体と粘着面との間の空気は貫通孔から粘着シート表面の外側に抜けるため、被着体に貼付する際に空気を巻き込み難く、空気溜まりができることを防止することができる。仮に空気を巻き込んで空気溜まりができたとしても、その空気溜まり部または空気溜まり部を含んだ空気溜まり部周辺部を再圧着することにより、空気が貫通孔から粘着シート表面の外側に抜けて、空気溜まりが消失する。また、被着体に貼付した後に被着体からガスが発生したとしても、ガスは貫通孔から粘着シート表面の外側に抜けるため、ブリスターが生じることを防止することができる。
なお、貫通孔の孔径は300μm以下であるため、粘着シート表面で目立たず、粘着シートの外観を損なわない。また、貫通孔の孔密度は、50,000個/100cm以下であるため、粘着シートの機械的強度は維持される。
上記発明(発明1)において、前記貫通孔の孔径は、粘着シート裏面から粘着シート表面にかけて漸次小さくなっていてもよい(発明2)。このように貫通孔の孔径が変化することにより、粘着シートの表面にて貫通孔がより目立ち難くなり、粘着シートの外観を良好に保つことができる。
上記発明(発明1,2)において、前記貫通孔は、レーザ加工により形成されてなるのが好ましい(発明3)。レーザ加工によれば、エア抜け性の良い微細な貫通孔を所望の孔密度で容易に形成することができる。ただし、貫通孔の形成方法はこれに限定されるものではなく、例えば、ウォータージェット、マイクロドリル、精密プレス、熱針、溶孔等によって形成してもよい。
第2に本発明は、基材と、粘着剤層と、所望により剥離材とを備えた粘着シートに穴開け加工を施し、前記基材および粘着剤層における孔径が0.1〜300μmである貫通孔を、30〜50,000個/100cmの孔密度で形成することを特徴とする粘着シートの製造方法を提供する(発明4)。
上記発明(発明4)によれば、被着体と粘着面との間の空気や被着体から発生するガスを貫通孔から抜いて、空気溜まりやブリスターを防止または除去することのできる粘着シートを製造することができる。
上記発明(発明4)において、前記穴開け加工はレーザ加工であるのが好ましく(発明5)、その場合、粘着シート裏面側からレーザ加工を施すのが好ましい(発明6)。ここで、「粘着シート裏面」とは、粘着シートの表面と反対側の面をいい、剥離材が最下層に存在する場合には剥離材の下面、剥離材が存在せずに粘着剤層が露出している場合には粘着剤層の粘着面が該当する。
レーザ加工によって貫通孔を形成する場合、貫通孔にはテーパがつくことが多いため、レーザ加工を粘着シート裏面側から施すことにより、貫通孔の孔径は粘着シート裏面側よりも粘着シート表面側の方が小さくなり、したがって、粘着シート表面にて貫通孔がより目立ち難くなり、粘着シートの外観を良好に保つことができる。
上記発明(発明6)においては、粘着剤層に対して直接レーザを照射するのが好ましく(発明7)、粘着剤層に剥離材が積層されている場合には、粘着剤層に積層されている剥離材を前記粘着剤層から剥離し、前記粘着剤層に対して直接レーザを照射した後、前記粘着剤層に再度前記剥離材を積層するのが好ましい(発明8)。
粘着剤層に剥離材等の第三層が積層されている場合に、その第三層を介在させて粘着剤層にレーザを照射すると、第三層の材質によっては、第三層に形成される溶融物(ドロス)が粘着剤層の貫通孔開口部を拡げてしまうことがあり、したがって、粘着シートに形成される貫通孔の孔径や孔密度の精度が低くなることがある。また、上記のように粘着剤層の貫通孔開口部が拡がると、貫通孔の内部空間が大きくなり、粘着シートを被着体に貼付した後に、貫通孔中の空気や貫通孔中に入った水等が粘着シートの表面に何らかの影響を与えるおそれがある。
上記発明(発明7,8)によれば、第三層に起因して粘着剤層の貫通孔開口部が拡がることを回避し、孔径や孔密度の精度が高く、内部空間の小さい貫通孔を形成することができる。また、第三層を介在させないことにより、レーザの照射時間を短縮すること、またはレーザの出力エネルギーを小さくすることができる。レーザの出力エネルギーが小さければ、粘着シートに対する熱影響が小さくなり、ドロス等の少ない、形の整った貫通孔を形成することが可能となる。
上記発明(発明4〜8)においては、前記基材の表面に工程材料または剥離可能な保護シートを積層させた状態でレーザ加工を施すのが好ましい(発明9)。ここで、「工程材料」とは、ある層を形成する際の補助材料であり、例えば、ある層をキャスティング法により製膜する場合には、製膜用樹脂液の支持体として使用されるものである。工程材料は、一般的には紙や樹脂フィルムを剥離処理してなるものであり、粘着シート製造終了後または粘着シート使用時に粘着シートから剥離される。一方、「剥離可能な保護シート」は、レーザ加工を施した後に剥離することのできる保護シートであり、例えば、基材と再剥離性粘着剤層とからなる粘着保護シート等を使用することができる。
レーザ加工によって貫通孔を形成する場合、貫通孔の開口部周縁には、熱による溶融物、いわゆるドロスが付着することがあるが、基材の表面に工程材料または保護シートが積層されていると、ドロスが付着するのは基材ではなく工程材料または保護シートとなり、したがって、粘着シートの外観をより良好に保つことができる。
また、レーザ加工を工程材料側から施した場合には、貫通孔にテーパがつくことにより、基材表面における貫通孔の孔径は工程材料または保護シートを使用しない場合よりも小さくなるため、ドロス付着防止との相乗効果により、粘着シート表面の外観をさらに良好に保つことができる。
なお、粘着シートを被着体に貼付する以前に工程材料または保護シートを基材から剥離する場合には、レーザ加工による孔は必ずしも工程材料または保護シートを貫通する必要はない。
以上のとおり、本発明によれば、粘着シートの外観を損なうことなく、かつ十分な接着力を確保しつつ、空気溜まりやブリスターを防止または除去することのできる粘着シートが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの部分拡大断面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの製造方法の一例を示す断面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの製造方法の他の例を示す断面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの製造方法の別の例を示す断面図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着シート〕
図1は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る粘着シート1は、基材11と、粘着剤層12と、剥離材13とを積層してなるものである。ただし、剥離材13は、粘着シート1の使用時に剥離されるものである。
この粘着シート1においては、基材11、粘着剤層12および剥離材13を貫通し、粘着シート表面1Aから粘着シート裏面1Bに至る貫通孔2が複数形成されている。粘着シート1の使用時、被着体と粘着剤層12の粘着面との間の空気や被着体から発生するガスは、この貫通孔2から粘着シート表面1Aの外側に抜けるため、後述するように、空気溜まりやブリスターを防止または除去することができる。
貫通孔2の横断面形状は特に限定されるものではないが、貫通孔2の基材11および粘着剤層12における孔径は0.1〜300μmであり、好ましくは0.5〜150μmである。
貫通孔2の孔径が0.1μm未満であると、空気またはガスが抜け難く、貫通孔2の孔径が300μmを超えると、貫通孔2が目立つようになり、粘着シート1の外観を損なう。
ここで、貫通孔2の粘着シート表面1Aにおける、孔径が40μm以下であると、貫通孔2の孔自体(貫通孔2の内部空間)が肉眼では見えなくなり得るため、特に粘着シート1の外観において貫通孔2の孔自体が見えないことが要求されるような場合には、貫通孔2の粘着シート表面1Aにおける孔径の上限を40μmとするのが好ましい。この場合において、特に基材11が透明である場合には、粘着シート表面1Aだけでなく、基材11内部および粘着剤層12における孔径も孔可視性に影響を及ぼし得るため、貫通孔2の基材11内部および粘着剤層12における孔径の上限を60μmとするのが特に好ましい。
貫通孔2の孔径は、粘着シート1の厚さ方向に一定であってもよいし、粘着シート1の厚さ方向に変化していてもよいが、貫通孔2の孔径が粘着シート1の厚さ方向に変化する場合は、図2に示すように、貫通孔2の孔径は粘着シート裏面1Bから粘着シート表面1Aにかけて漸次小さくなるのが好ましい。このように貫通孔2の孔径が変化することにより、粘着シート表面1Aにて貫通孔2がより目立ち難くなり、粘着シート1の外観を良好に保つことができる。ただし、この場合であっても、貫通孔2の基材11および粘着剤層12における孔径は上記範囲内(0.1〜300μm)にあることが必要である。
貫通孔2の孔密度は、30〜50,000個/100cmであり、好ましくは100〜10,000個/100cmである。貫通孔2の孔密度が30個/100cm未満であると、空気またはガスが抜け難く、貫通孔2の孔密度が50,000個/100cmを超えると、粘着シート1の機械的強度が低下する。
貫通孔2は、後述するレーザ加工により形成するのが好ましい。レーザ加工によれば、エア抜け性の良い微細な貫通孔を所望の孔密度で容易に形成することができる。ただし、貫通孔2の形成方法はこれに限定されるものではなく、例えば、ウォータージェット、マイクロドリル、精密プレス、熱針、溶孔等によって形成してもよい。
基材11の材料としては、上記のような貫通孔2が形成され得る材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、樹脂フィルム、金属フィルム、金属を蒸着させた樹脂フィルム、紙、それらの積層体等が挙げられる。基材11が樹脂フィルムからなる場合、基材11は不透明であってもよいし、透明であってもよいが、一般的に基材11が不透明の方が、貫通孔2が目立ち難い。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ABS樹脂、アイオノマー樹脂などの樹脂からなるフィルム、発泡フィルム、またはそれらの積層フィルム等を使用することができる。樹脂フィルムは、市販のものを使用してもよいし、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものを使用してもよい。また、紙としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等を使用することができる。
上記工程材料としては、所望の穴開け加工法により貫通孔2が形成され得る材料からなるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、各種紙、またはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂フィルムを、シリコーン系、ポリエステル系、アクリル系、アルキド系、ウレタン系等の剥離剤または合成樹脂で剥離処理したものを使用することができる。工程材料の厚さは、通常10〜200μm程度であり、好ましくは25〜150μm程度である。
基材11の厚さは、通常は1〜500μm、好ましくは3〜300μm程度であるが、粘着シート1の用途に応じて適宜変更することができる。
粘着剤層12を構成する粘着剤の種類としては、上記のような貫通孔2が形成され得る材料であれば特に限定されるものではなく、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ゴム系、シリコーン系等のいずれであってもよい。また、粘着剤はエマルジョン型、溶剤型または無溶剤型のいずれでもよく、架橋タイプまたは非架橋タイプのいずれであってもよい。さらに、粘着剤は、粘着力の強い強粘タイプ、粘着力の弱い弱粘タイプ、粘着および剥離を繰り返すことのできる再剥離タイプのいずれであってもよい。
粘着剤層12の厚さは、通常は1〜300μm、好ましくは5〜100μm程度であるが、粘着シート1の用途に応じて適宜変更することができる。
剥離材13の材料としては、上記のような貫通孔2が形成され得る材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを使用することができる。
剥離材13の厚さは、通常10〜250μm程度であり、好ましくは20〜200μm程度である。また、剥離材13における剥離剤の厚さは、通常0.05〜5μmであり、好ましくは0.1〜3μmである。
〔粘着シートの製造(1)〕
上記実施形態に係る粘着シート1の製造方法の一例を図3(a)〜(d)を参照して説明する。
本製造方法においては、最初に図3(a)〜(b)に示すように、剥離材13の剥離処理面に、粘着剤層12を形成する。粘着剤層12を形成するには、粘着剤層12を構成する粘着剤と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって剥離材13の剥離処理面に塗布して乾燥させればよい。
次に、図3(c)に示すように、粘着剤層12の表面に基材11を圧着し、基材11と粘着剤層12と剥離材13とからなる積層体とする。そして、図3(d)に示すように、得られた積層体に貫通孔2を形成する。本製造方法では、貫通孔2の形成はレーザ加工によって行う。このレーザ加工は、剥離材13側の面から施すのが好ましい。レーザ加工によって貫通孔2を形成する場合、図2に示すように、貫通孔2にはテーパがつくことが多いため、レーザ加工を剥離材13側の面から施すことにより、貫通孔2の孔径は剥離材13側よりも基材11側の方が小さくなり、したがって、粘着シート1の表面にて貫通孔2が目立ち難くなり、粘着シート1の外観を良好に保つことができる。
レーザ加工に利用するレーザの種類は特に限定されるものではなく、例えば、炭酸ガス(CO)レーザ、TEA−COレーザ、YAGレーザ、UV−YAGレーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YVOレーザ、YLFレーザ等を利用することができる。
なお、剥離材13は、粘着シート1の使用時に粘着剤層12から剥離される。
本製造方法においては、レーザ加工を行う前、任意の段階で、基材11の表面に剥離可能な保護シートを積層してもよい。このような保護シートとしては、例えば、基材と再剥離性粘着剤層とからなる公知の粘着保護シート等を使用することができる。
レーザ加工によって貫通孔2を形成する場合、貫通孔2の開口部周縁には、熱による溶融物、いわゆるドロスが付着することがあるが、基材11の表面に保護シートを積層することにより、ドロスが付着するのは基材11ではなく保護シートとなり、したがって、粘着シート1の外観をより良好に保つことができる。また、レーザ加工を保護シート側の面から施したとしても、貫通孔2にテーパがつくことにより、基材11の表面における貫通孔2の孔径は保護シートを使用しない場合よりも小さくなる。
上記保護シートは、通常、粘着シート1の製造終了後または粘着シート1の貼付前に基材11から剥離されるが、保護シートを積層した状態で粘着シート1を被着体に貼付した後、保護シートを剥離してもよい。そのように粘着シート1を被着体に貼付してから保護シートを剥離する場合には、貫通孔2は、粘着剤層12および基材11とともに保護シートを貫通している必要があるが、粘着シート1の貼付より前に保護シートを剥離する場合には、貫通孔2は必ずしも保護シートを貫通している必要はない。すなわち、レーザ加工を剥離材13側の面から施すときに、剥離材13、粘着剤層12および基材11を貫通した孔が、保護シートでは当該保護シートの途中まで形成されるようにレーザを照射してもよい。
〔粘着シートの製造(2)〕
上記実施形態に係る粘着シート1の製造方法の他の例を図4(a)〜(e)を参照して説明する。
本製造方法においては、最初に図4(a)〜(b)に示すように、工程材料3の剥離処理面に、基材11を形成する。基材11を形成するには、基材11を構成する樹脂と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって工程材料3上に塗布して乾燥させればよい。
一方、図4(c)に示すように、前述した粘着シート製造方法(1)における粘着剤層形成方法と同様にして、剥離材13の剥離処理面に、粘着剤層12を形成する。
次に、図4(d)に示すように、工程材料3に形成した基材11と、剥離材13に形成した粘着剤層12とが密着するように、工程材料3および基材11の積層体と、粘着剤層12および剥離材13の積層体とを圧着し、工程材料3と基材11と粘着剤層12と剥離材13とからなる積層体とする。
そして、図4(e)に示すように、得られた積層体に貫通孔2を形成する。本製造方法でも、貫通孔2の形成はレーザ加工によって行う。このレーザ加工は、前述した粘着シート製造方法(1)と同様の理由により、剥離材13側の面から施すのが好ましいが、工程材料3側の面から施したとしても、貫通孔2にテーパがつくことにより、基材11の表面における貫通孔2の孔径は工程材料3を使用しない場合よりも小さくなる。
また、レーザ加工によって貫通孔2を形成する場合、貫通孔2の開口部周縁にドロスが付着することがあるが、本製造方法では基材11の表面に工程材料3が積層されているため、ドロスが付着するのは基材11ではなく工程材料3となり、したがって、粘着シート1の外観をより良好に保つことができる。
なお、剥離材13は、粘着シート1の使用時に、粘着剤層12から剥離される。一方、工程材料3は、通常、粘着シート1の製造終了後または粘着シート1の貼付前に基材11から剥離されるが、工程材料3を積層した状態で粘着シート1を被着体に貼付した後、工程材料3を剥離してもよい。そのように粘着シート1を被着体に貼付してから工程材料3を剥離する場合には、貫通孔2は、粘着剤層12および基材11とともに工程材料3を貫通している必要があるが、粘着シート1の貼付より前に工程材料3を剥離する場合には、貫通孔2は必ずしも工程材料3を貫通している必要はない。すなわち、レーザ加工を剥離材13側の面から施すときに、剥離材13、粘着剤層12および基材11を貫通した孔が、工程材料3では当該工程材料3の途中まで形成されるようにレーザを照射してもよい。
〔粘着シートの製造(3)〕
上記実施形態に係る粘着シート1の製造方法の別の例を図5(a)〜(f)を参照して説明する。
本製造方法においては、図5(a)〜(c)に示すように、前述した粘着シート製造方法(1)と同様にして、基材11と粘着剤層12と剥離材13とからなる積層体を製造する。
そして、図5(d)に示すように、粘着剤層12から剥離材13を剥離し、図5(e)に示すように、粘着剤層12側から粘着剤層12に対して直接レーザを照射した後、図5(f)に示すように、粘着剤層12に再度剥離材13を貼り付ける。
剥離材13を粘着剤層12に積層した状態で剥離材13側からレーザを照射した場合、剥離材13の材質によっては、図6(a)に示すように、剥離材13の貫通孔2開口部周縁に形成されるドロスが、粘着剤層12の貫通孔2開口部を拡げてしまうことがあり、この場合、粘着シート1に形成される貫通孔2の孔径や孔密度の精度が低くなってしまう。また、粘着剤層12の貫通孔2開口部が拡がると、貫通孔2の内部空間が大きくなり、粘着シート1を被着体に貼付した後に、貫通孔2中の空気や貫通孔2中に入った水等が粘着シート1の表面に何らかの影響を与えるおそれがある。このような問題は、剥離材13がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂からなる場合に生じやすい。
これに対し、本製造方法のように剥離材13を一旦剥離して、粘着剤層12に対して直接レーザを照射すれば、図6(b)に示すように、粘着剤層12の貫通孔2開口部が拡がることがなく、孔径や孔密度の精度が高く、内部空間の小さい貫通孔2を形成することができる。また、粘着剤層12に対するレーザ照射において、剥離材13を介在させないことにより、レーザの照射時間を短縮すること、またはレーザの出力エネルギーを小さくすることができる。レーザの出力エネルギーが小さければ、粘着剤層12および基材11に対する熱影響が小さくなり、ドロス等の少ない、形の整った貫通孔2を形成することが可能となる。
なお、以上の製造方法(1)〜(3)では、粘着剤層12を剥離材13上に形成し、形成された粘着剤層12と基材11とを貼り合わせたが、本発明はこれに限定されるものではなく、粘着剤層12を基材11上に直接形成し、形成された粘着剤層12と剥離材13とを貼り合わせてもよい。
〔粘着シートの使用〕
粘着シート1を被着体に貼付する際には、剥離材13を粘着剤層12から剥離し、露出した粘着剤層12の粘着面を被着体に密着させるようにして、粘着シート1を被着体に押圧する。このとき、被着体と粘着剤層12の粘着面との間の空気は、粘着シート1に形成された貫通孔2から粘着シート表面1Aの外側に抜けるため、被着体と粘着面との間に空気が巻き込まれ難く、空気溜まりができることが防止される。仮に空気が巻き込まれて空気溜まりができたとしても、その空気溜まり部または空気溜まり部を含んだ空気溜まり部周辺部を再圧着することにより、空気が貫通孔2から粘着シート表面1Aの外側に抜けて、空気溜まりが消失する。このような空気溜まりの除去は、粘着シート1の貼付から長時間経過した後でも可能である。
また、粘着シート1を被着体に貼付した後に、被着体からガスが発生したとしても、そのガスは粘着シート1に形成された貫通孔2から粘着シート表面1Aの外側に抜けるため、粘着シート1にブリスターが生じることが防止される。
粘着シート1においては、以上のようにして空気溜まりやブリスターを防止または除去することができるが、粘着シート1に形成されている貫通孔2は非常に微細であるため、粘着シートの外観が損なわれることはなく、また、貫通孔2が存在しても接着力が低下するおそれがない。
〔その他の実施形態〕
上記実施形態に係る粘着シート1において、貫通孔2は剥離材13を貫通しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、貫通孔2は基材11および粘着剤層12のみを貫通していてもよい。また、上記実施形態に係る粘着シート1は剥離材13を備えたものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、剥離材13はなくてもよい。これらの場合、剥離材13の材料は、貫通孔2が形成され得る材料である必要はない。さらに、上記実施形態に係る粘着シート1の大きさ、形状等は特に限定されるものではない。
例えば、粘着シート1は、基材11および粘着剤層12のみからなるテープ状のもの(粘着テープ)であって、ロール状に巻き取られて巻取体となり得るものであってもよい。この場合、基材11の表面(粘着剤層12が積層されていない側の面)には粘着剤層12が巻き重なることとなるが、粘着テープを巻取体から繰り出すときに、基材11の表面に巻き重なった粘着剤層12が基材11の表面からスムーズに剥がれ得るように、基材11の表面は剥離性を備えているのが好ましい。
このような基材11としては、例えば、(1)前述した樹脂フィルムの表面をシリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したもの、(2)それ自体剥離性を有する材料、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ樹脂等のポリオレフィ系樹脂からなるフィルム、(3)上記剥離性を有する材料と、剥離性の低い材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート等とを積層してなる積層フィルムなどを使用することができる。なお、上記(2)の場合には、基材11の裏面(粘着剤層12が積層される側の面)に対して、粘着剤層12との接着性を向上させるための処理、例えばコロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、プライマー処理、溶剤処理等を施すのが好ましい。
上記のような粘着テープは、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。
(1)基材11の表面に粘着剤を塗布し、ロール状に巻き取ると同時に、粘着剤を基材11の表面から基材11の裏面に転写する。そして、基材11と基材11の裏面に積層された粘着剤層12とからなる積層体を巻取体から繰り出し、粘着剤層12側からレーザを照射して貫通孔2を形成し、その後再度ロール状に巻き取る。
(2)基材11の裏面に粘着剤を塗布し、乾燥させて粘着剤層12を形成した後、粘着剤層12側からレーザを照射して貫通孔2を形成し、そしてロール状に巻き取る。
(3)剥離材3の剥離処理面に粘着剤を塗布し、その粘着剤が基材11の裏面に密着するように、剥離材3と基材11とを貼り合わせながらロール状に巻き取る。その後、剥離材3を粘着剤層12から剥離しながら、基材11と粘着剤層12とからなる積層体を巻取体から繰り出し、粘着剤層12側からレーザを照射して貫通孔2を形成する。そして、剥離材3を貼り合わせることなく、上記積層体をロール状に巻き取る。
上記いずれの製造方法においても、基材11と粘着剤層12とからなる積層体には貫通孔2が形成されているため、ロール状に巻き取る際にも空気を巻き込み難く、空気溜まりのない巻取体を容易に形成することができる。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
アクリル系粘着剤(日本合成化学工業社製,コーポニールN−2147,固形分:35重量%)100重量部に酢酸エチル25重量部を配合し、次いでイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製,コロネートL)を1重量部配合し、十分に攪拌して粘着剤の塗布剤とした。
上質紙の両面をポリエチレンでラミネートし、片面にシリコーン系剥離剤を塗布した剥離材(リンテック社製,FPM−11,厚さ:175μm)の剥離処理面に、上記粘着剤の塗布剤を乾燥後の厚さが30μmになるようにナイフコーターによって塗布し、90℃で、1分間乾燥させた。このようにして形成した粘着剤層に、ポリ塩化ビニルからなる黒色不透明の基材(厚さ:100μm)を圧着し、3層構造の積層体を得た。
得られた積層体に対して、剥離材側からUV−YAGレーザを照射することにより、基材表面における孔径が15〜35μmの貫通孔を1,156個/100cmの孔密度で形成し、これを粘着シートとした。
貫通孔の基材表面における孔径を40〜50μmとし、孔密度を4900個/100cmとした以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
基材として、ポリ塩化ビニルの替わりに透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,ルミラーT60,厚さ:50μm)を使用し、剥離材として、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン系剥離剤を塗布したもの(リンテック社製,PET7511,厚さ:75μm)を使用した以外、実施例1と同様にして3層構造の積層体を得た。
得られた積層体に対して、剥離材側からエキシマレーザを照射することにより、基材表面における孔径が0.5〜10μm、粘着面における孔径が20〜30μmの貫通孔(基材および粘着剤層においては粘着面での孔径が最大径となっている)を10,000個/100cmの孔密度で形成し、これを粘着シートとした。
レーザの照射を基材側から行い、貫通孔の基材表面における孔径を約60μmとした以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
レーザ加工にCOレーザを使用し、レーザの照射を基材側から行い、貫通孔の基材表面における孔径を約100μmとした以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
貫通孔の基材表面における孔径を140〜150μm、孔密度を100個/100cmとした以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
レーザ加工にCOレーザを使用し、レーザの照射を基材側から行い、貫通孔の基材表面における孔径を約250μm、孔密度を49個/100cmとした以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
剥離材を剥がしてレーザの照射を粘着面側から行い、貫通孔の基材表面における孔径を約50μmとした以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
基材として、ポリ塩化ビニルの替わりに透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,ルミラーT60,厚さ:50μm)を使用した以外、実施例1と同様にして3層構造の積層体を得た。
得られた積層体に対して、基材側からCOレーザを照射することにより、基材表面における孔径が約70μm、粘着面における孔径が約80μmの貫通孔(基材および粘着剤層においては粘着面での孔径が最大径となっている)を1,156個/100cmの孔密度で形成し、これを粘着シートとした。
塩化ビニル樹脂100重量部と、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)2.5重量部と、ポリエステル系可塑剤(旭電化工業社製,アデカサイザーPN260)25重量部と、フタル酸エステル系可塑剤(チッソ社製,DOP)10重量部と、着色剤(大日精化工業社製,VTSK9311ブラック)20重量部と、熱安定剤(Ba/Zn系)3重量部と、溶剤(ブチルセロソルブ)25重量部と、溶剤(ゴードー溶剤社製,スーパーゾール#1500)25重量部とを混合し、基材の塗布剤とした。
工程材料として、片面を剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム社製,U4Z−50,厚さ:50μm)を用意した。その工程材料の剥離処理面に、上記基材の塗布剤を乾燥後の厚さが100μmになるようにナイフコーターによって塗布し、140℃で1分間、さらに190℃で2分間乾燥させて黒色不透明の基材を形成した。
一方、実施例1と同様にして剥離材上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層と上記工程材料に形成した基材とが密着するように、両者を圧着して4層構造の積層体を得た。
得られた積層体に対して、工程材料側からCOレーザを照射することにより、基材表面における孔径が約65μmの貫通孔を1,156個/100cmの孔密度で形成し、これを粘着シートとした。
レーザ加工にUV−YAGレーザを使用し、レーザの照射を剥離材側から行い、貫通孔の基材表面における孔径を20〜40μmとした以外、実施例10と同様にして粘着シートを作製した。
実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製した後、剥離材側から積層体に対してCOレーザを照射して、基材表面における孔径が40〜50μm、粘着面における孔径が120〜150μmの貫通孔を2,500個/100cmの孔密度で形成し、これを粘着シートとした。
実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製した後、粘着剤層から剥離材を剥し、粘着剤層側から積層体に対してCOレーザを照射して、基材表面における孔径が約40μm、粘着面における孔径が約80μmの貫通孔を2,500個/100cmの孔密度で形成した。そして、再度粘着剤層に剥離材を圧着し、これを粘着シートとした。
実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製した後、その積層体における基材の表面に、基材と再剥離性粘着剤層とからなる粘着保護シート(パナック社製,HT25SCBA,厚さ:28μm)を貼付した。
上記積層体における粘着剤層から剥離材を剥し、粘着剤層側から積層体に対してCOレーザを照射して、基材表面における孔径が35μmの貫通孔を2,500個/100cmの孔密度で形成した。そして、再度粘着剤層に剥離材を圧着するとともに、基材から粘着保護シートを剥し、これを粘着シートとした。
基材として、片面がシリコーン系剥離剤で剥離処理された透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋メタライジング社製,セラピールBK(T),厚さ:38μm)を用意した。その基材の剥離処理面に、実施例1で得られた粘着剤の塗布剤を乾燥後の厚さが30μmになるようにナイフコーターによって塗布し、90℃で1分間乾燥させ、基材と基材の剥離処理面に積層された粘着剤層とからなる2層構造の積層テープ(A)を得た。
次いで、上記積層テープ(A)をロール状に巻き取ると同時に、粘着剤層を基材の剥離処理面から非剥離処理面に転写し、基材と基材の非剥離処理面に積層された粘着剤層とからなる2層構造の積層テープ(B)とした。
得られた積層テープ(B)を巻取体から繰り出し、粘着剤層側からCOレーザを照射することにより、基材表面における孔径が約50μm、粘着面における孔径が約95μmの貫通孔(粘着面での孔径が最大径となっている)を2,500個/100cmの孔密度で形成した。
そして、貫通孔が形成された積層テープ(B)を再度ロール状に巻き取り、粘着テープ(粘着シート)とした。
実施例9と同様にして3層構造の積層体を作製した後、粘着剤層から剥離材を剥し、粘着剤層側から積層体に対してCOレーザを照射して、基材表面における孔径が約35μm、粘着面における孔径が約85μmの貫通孔(粘着面での孔径が最大径となっている)を2,500個/100cmの孔密度で形成した。そして、再度粘着剤層に剥離材を圧着し、これを粘着シートとした。
〔比較例1〕
実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、貫通孔を形成しないで、これを粘着シートとした。
〔比較例2〕
貫通孔の孔密度を4個/100cmとする以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例3〕
レーザの照射を基材側から行い、貫通孔の孔径を約500μmとする以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例4〕
基材として、ポリ塩化ビニルの替わりに透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,ルミラーT60,厚さ:50μm)を使用し、貫通孔の粘着面における孔径を130〜140μmとし、孔密度を102,400個/100cmとする以外、実施例2と同様にして粘着シートを作製した。
〔試験例〕
実施例1〜16および比較例1〜4で得られた粘着シートについて、以下のようにして空気溜まり消失性試験および強度試験を行った。また、粘着シート表面の外観が貫通孔の存在によって害されていないか目視で判断するとともに、以下のようにして孔可視性検査を行った。
空気溜まり消失性試験:50mm×50mmに裁断した粘着シートを、直径約15mmの円形の空気溜まりができるようにメラミン塗装板に貼り、その粘着シートをスキージにより圧着した。その結果、空気溜まりが消失したものを○、空気溜まりが縮小したものを△、空気溜まりがそのまま残存したものを×で表す。
強度試験:幅10mm、長さ150mmに裁断し、剥離材を剥した粘着シート(テープ)を、つかみ間隔100mmで引張強度試験機(オリエンテック社製,テンシロン)に取り付けて200mm/minで引張り、10秒以内に破断しなかったものを○、破断したものを×で表す。
孔可視性検査:粘着シート(剥離材を有するものは剥離材を剥したもの)を白色のメラミン塗装板に貼り、室内蛍光灯の下、肉眼によって、粘着シート表面において貫通孔の孔自体(貫通孔の内部空間)が孔径に基づいて見えるか否かについて検査した。なお、目から粘着シートまでの距離は約30cmとし、粘着シートを見る角度は種々変えた。その結果、貫通孔の内部空間が見えなかったものを○、一部の貫通孔の内部空間は見えなかったが、一部の貫通孔の内部空間は見えたものを△、貫通孔の内部空間が見えたものを×で表す。
各試験の結果を表1に示す。
Figure 0004898221
表1から明らかなように、実施例1〜16で得られた粘着シートは、空気溜まりが容易に除去され得るとともに、十分な強度を有し、かつ外観も良好である。また、特に実施例1,3,11,14で得られた粘着シートは、粘着シート表面において貫通孔の孔自体が見えないものとなっている。
産業上の利用の可能性
本発明の粘着シートおよび本発明の製造方法によって得られる粘着シートは、一般的に粘着シートに空気溜まりやブリスターが生じやすい場合、例えば粘着シートの面積が大きい場合や、被着体からガスが発生する場合等に好ましく用いることができる。

Claims (5)

  1. 基材と、粘着剤層と、剥離材とを備えた粘着シートに穴開け加工を施し、前記基材および前記粘着剤層における孔径が0.1〜300μmであり、前記基材の前記粘着剤層側と反対側の面における孔径が40μm以下である貫通孔を、30〜50,000個/100cm の孔密度で形成する粘着シートの製造方法であって、
    前記穴開け加工がレーザ加工であり、
    前記粘着剤層に積層されている前記剥離材を前記粘着剤層から剥離し、前記粘着剤層に対して直接レーザを照射した後、前記粘着剤層に再度前記剥離材を積層する
    ことを特徴とする粘着シートの製造方法。
  2. 基材と、粘着剤層とを備えた粘着シートに穴開け加工を施し、前記基材および前記粘着剤層における孔径が0.1〜300μmであり、前記基材の前記粘着剤層側と反対側の面における孔径が40μm以下である貫通孔を、30〜50,000個/100cm の孔密度で形成する粘着シートの製造方法であって、
    前記穴開け加工がレーザ加工であり、
    前記基材の表面に、
    キャスティング法により製膜するときの製膜用樹脂液の支持体、
    紙もしくは樹脂フィルムを剥離処理してなる材料、または
    剥離可能な保護シート
    を積層させた状態でレーザ加工を施すことを特徴とする粘着シートの製造方法。
  3. 基材と、粘着剤層と、剥離材とを備えた粘着シートに穴開け加工を施し、前記基材および前記粘着剤層における孔径が0.1〜300μmであり、前記基材の前記粘着剤層側と反対側の面における孔径が40μm以下である貫通孔を、30〜50,000個/100cm の孔密度で形成する粘着シートの製造方法であって、
    前記穴開け加工がレーザ加工であり、
    前記基材の表面に、
    キャスティング法により製膜するときの製膜用樹脂液の支持体、
    紙もしくは樹脂フィルムを剥離処理してなる材料、または
    剥離可能な保護シート
    を積層させた状態でレーザ加工を施すことを特徴とする粘着シートの製造方法。
  4. 前記基材の表面に、
    キャスティング法により製膜するときの製膜用樹脂液の支持体、
    紙もしくは樹脂フィルムを剥離処理してなる材料、または
    剥離可能な保護シート
    を積層させた状態でレーザ加工を施すことを特徴とする請求項に記載の粘着シートの製造方法。
  5. 前記貫通孔の孔径は、前記粘着シートの粘着面から前記基材の前記粘着剤層側と反対側の面にかけて漸次小さくなっていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
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