JP4894086B2 - 5−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン誘導体 - Google Patents

5−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示材料として有用な、フッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体およびその製造中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいは高速応答が可能なFLC(強誘電性液晶)やAFLC(反強誘電性液晶)等を挙げることができる。また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、さらに単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。
【0003】
これらに用いられる液晶材料として、これまでにも非常に多種類の液晶性化合物が合成されており、これらはその表示方式や駆動方式あるいはその用途に応じて使用されている。しかしながら、液晶表示素子の性能向上(表示品位の向上や表示画面の大型化等)に対する要求は年々強くなる一方であり、それを満足させるために新しい液晶化合物の開発が続けられている。
【0004】
液晶化合物は通常コアと呼ばれる中心骨格部分と両側の末端部分から構成されている。通常、液晶化合物のコア部分を構成する環構造としては1,4-フェニレン基(1〜2個のハロゲン原子、シアノ基、メチル基等により置換されていることもある)およびトランス-1,4-シクロヘキシレン基がその大部分を占める。しかしながら1,4-フェニレン基とトランス-1,4-シクロヘキシレン基のみによって構成された液晶性化合物にはその種類や特性にも限界があり、それらだけでは前記要求に応えきれなくなっているのが実状である。
【0005】
1,4-フェニレン基とトランス-1,4-シクロヘキシレン基以外の環構造としては、例えばピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基等の複素環系や、トランス-デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル基等の縮合環系等も検討されているが、製造上(技術、コスト等)の問題、安定性の問題等から、現在のところ実用化されているものは僅かに過ぎない。
【0006】
これらの縮合環系において、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基は古くから報告されている環構造であるにもかかわらず、その合成例は極端に少なく、また、液晶性(相転移温度)以外の特性、特にネマチック液晶としての特性はほとんど知られていない。最近になり、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-カルボン酸の光学活性アルコールエステルがスメクチック液晶、特に強誘電性液晶や反強誘電性液晶として興味ある特性を示すことが報告され(第18回液晶討論会講演予稿集3B420)、あるいは、強誘電性液晶用の骨格として含フッ素テトラヒドロナフタレン構造を有するものが報告されるようになった(ドイツ19,748,440号公報)。
【0007】
最近、本発明者らは6-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体である(A)
【化3】
Figure 0004894086
【0008】
あるいは6-(4-シアノフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体である(B)
【化4】
Figure 0004894086
等の新規テトラヒドロナフタレン誘導体を開発し、これらが優れた液晶性を示し、閾値電圧(Vth)の低減や、屈折率異方性(Δn)の低減、ネマチック相温度範囲の拡大等に優れた効果を有し、さらに他の液晶化合物や汎用液晶組成物に対する相溶性にも優れており、液晶材料として有用であることを報告した(特願平11-183658号)。
【0009】
本発明者らは、化合物(C)
【化5】
Figure 0004894086
【0010】
等の新規なフッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体を開発し、これらが非常に優れた電気光学特性を示し、特に閾値電圧(Vth)の低減効果に有用であることを報告した(特願平11-191670号)。
【0011】
ところで、化合物(C)は3,5-ジフルオロフェニル酢酸を出発原料として、5,7-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-オン(D) を製造し、これを中間体として製造される。
【化6】
Figure 0004894086
しかしながら、この中間体を安価に入手することは容易でなく、また変換する際の収率も充分高いとは言い難いことから、製造コスト的には決して有利であるとは言えなかった。そのため、フッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体の製造中間体として、製造が容易で、より安価なフッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体が求められている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、フッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体およびその製造中間体を提供することにあり、またその製造方法を提供し、さらにそれを用いて実用的な液晶表示材料をも提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明の一般式(I)の化合物を従来知られていた方法では製造が困難であったものを含めて、(イ)高収率、(ロ)簡便に且つ、(ハ)安価に製造することができることを見出し、さらに(I)の化合物を製造中間体として用いることにより、フッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体を、(イ)高収率、(ロ)簡便に且つ、(ハ)安価に製造し、それを用いて実用的な液晶表示材料を提供することが可能となり、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明の化合物は一般式(I)
【0015】
【化7】
Figure 0004894086
(式中、Rは1個以上のフッ素原子および/または炭素原子数1〜7のアルコキシル基によって置換されていてもよく、分岐鎖を含んでもよい飽和または不飽和の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシル基を表し、nは0〜2の整数を表し、n=2のとき存在する環Aおよび連結基Lはそれぞれ独立的に同一であっても異なっていてもよく、nが0でないとき連結基Lは単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-または-SCO-を表し、環Aはトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランス-デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、シクロペンチレン-1,3-ジイル基、トランス-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基または一個以上のフッ素原子で置換されてもよい1,4-フェニレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ピリダジン-3,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基およびナフタレン-2,6-ジイル基を表し、Zはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、シアナト基、カルボキシル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、水酸基または保護基Yにより保護された水酸基OYを表し、保護基Yはメチル基、tert-ブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、トリチル基、アリル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、テトラヒドロピラニル基、あるいはトリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、あるいはアセチル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、ピバロイル基、レブリノイル基、ベンゾイル基、p-ニトロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基、エトキシカルボニル基、あるいはメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基またはp-トルエンスルホニル基を表す。)で表される5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体を提供する。
【0016】
また、一般式(II)
【化8】
Figure 0004894086
【0017】
(式中、R'は1個以上のフッ素原子および/または炭素原子数1〜7のアルコキシル基によって置換されていてもよく、分岐鎖を含んでもよい飽和または不飽和の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシル基を表し、連結基L'は単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-または-SCO-を表し、環A'はトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランス-1,4-シクロヘキセニレン基、トランス-デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、シクロペンチレン-1,3-ジイル基、トランス-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基または一個以上のフッ素原子および/または一個以上の塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子で置換されてもよい1,4-フェニレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ピリダジン-3,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基およびナフタレン-2,6-ジイル基を表し、nおよびZは一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される1-フルオロナフタレン誘導体を還元することを特徴とする上記一般式(I)で表される5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体の製造方法を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
上述のように、一般式(I)の化合物において、そのR、連結基L、環A、nおよびZとしては以下のようなものが挙げられる。
【0019】
Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基の直鎖型飽和アルキル基、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、5-メチルオクチル基、6-メチルオクチル基、7-メチルオクチル基、1,2-ジメチルオクチル基、1,3-ジメチルオクチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、5-メチルノニル基、6-メチルノニル基、7-メチルノニル基、8-メチルノニル基、1,2-ジメチルノニル基、1,3-ジメチルノニル基、1-メチルデシル基、2-メチルデシル基、3-メチルデシル基、1,2-ジメチルデシル基、1,3-ジメチルデシル基、1-メチルウンデシル基、2-メチルウンデシル基、3-メチルウンデシル基、1,2-ジメチルウンデシル基、1,3-ジメチルウンデシル基、1-メチルドデシル基、2-メチルドデシル基、3-メチルドデシル基、1,2-ジメチルドデシル基、1,3-ジメチルドデシル基、1-メチルトリデシル基、2-メチルトリデシル基、3-メチルトリデシル基、1,2-ジメチルトリデシル基、1,3-ジメチルトリデシル基等の分岐型飽和アルキル基、ビニル基、トランス-1-プロペニル基、2-プロペニル基、トランス-1-ブテニル基、トランス-2-ブテニル基、3-ブテニル基、トランス-1-ペンテニル基、トランス-2-ペンテニル基、トランス-3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、トランス-1-ヘキセニル基、トランス-2-ヘキセニル基、トランス-3-ヘキセニル基、トランス-4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、トランス-1-ヘプテニル基、トランス-2-ヘプテニル基、トランス-3-ヘプテニル基、トランス-4-ヘプテニル基、トランス-5-ヘプテニル基、6-ヘプテニル基、トランス-1-オクテニル基、トランス-2-オクテニル基、トランス-3-オクテニル基、トランス-4-オクテニル基、トランス-5-オクテニル基、トランス-6-オクテニル基、7-オクテニル基、トランス-1-ノネニル基、8-ノネニル基、トランス-1-デセニル基、9-デセニル基、トランス-1-ウンデセニル基、10-ウンデセニル基、トランス-1-ドデセニル基、11-ドデセニル基、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、1-ヘプチニル基、2-ヘプチニル基、3-ヘプチニル基、4-ヘプチニル基、5-ヘプチニル基、6-ヘプチニル基、1-オクチニル基、2-オクチニル基、3-オクチニル基、4-オクチニル基、5-オクチニル基、6-オクチニル基、7-オクチニル基、1-ノニニル基、8-ノニニル基、1-デシニル基、9-デシニル基、1-ウンデシニル基、10-ウンデシニル基、1-ドデシニル基、11-ドデシニル基、1-トリデシニル基、12-トリデシニル基等の不飽和アルキル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2-フルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル基、3-フルオロプロピル基、2-フルオロプロピル基、1-フルオロプロピル基、3,3-ジフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピル基、4-フルオロブチル基、3-フルオロブチル基、2-フルオロブチル基、1-フルオロブチル基、4,4-ジフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、3,3,4,4-テトラフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、5-フルオロペンチル基、4-フルオロペンチル基、3-フルオロペンチル基、2-フルオロペンチル基、1-フルオロペンチル基、5,5-ジフルオロペンチル基、5,5,5-トリフルオロペンチル基、4,4,5,5-テトラフルオロペンチル基、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、6-フルオロヘキシル基、5-フルオロヘキシル基、4-フルオロヘキシル基、3-フルオロヘキシル基、2-フルオロヘキシル基、1-フルオロヘキシル基、6,6-ジフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキシル基、7-フルオロヘプチル基、6-フルオロヘプチル基、5-フルオロヘプチル基、4-フルオロヘプチル基、3-フルオロヘプチル基、2-フルオロヘプチル基、1-フルオロヘプチル基、7,7-ジフルオロヘプチル基、7,7,7-トリフルオロヘプチル基、6,6,7,7-テトラフルオロヘプチル基、6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル基、5,5,6,6,7,7,7-ヘプタフルオロヘプチル基、8-フルオロオクチル基、7-フルオロオクチル基、6-フルオロオクチル基、5-フルオロオクチル基、4-フルオロオクチル基、3-フルオロオクチル基、2-フルオロオクチル基、1-フルオロオクチル基、8,8-ジフルオロオクチル基、8,8,8-トリフルオロオクチル基、7,7,8,8-テトラフルオロオクチル基、7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル基、6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロオクチル基等のフッ素置換アルキル基、2,2-ジフルオロエテニル基、(E)-1,2-ジフルオロエテニル基、(Z)-1,2-ジフルオロエテニル基、3,3-ジフルオロ-2-プロペニル基、(E)-2,3-ジフルオロ-2-プロペニル基、(Z)-2,3-ジフルオロ-2-プロペニル基、4,4-ジフルオロ-3-ブテニル基、(E)-3,4-ジフルオロ-3-ブテニル基、(Z)-3,4-ジフルオロ-3-ブテニル基、5,5-ジフルオロ-4-ペンテニル基、(E)-4,5-ジフルオロ-4-ペンテニル基、(Z)-4,5-ジフルオロ-4-ペンテニル基、6,6-ジフルオロ-5-ヘキセニル基、(E)-5,6-ジフルオロ-5-ヘキセニル基、(Z)-5,6-ジフルオロ-5-ヘキセニル基、(E)-1,2-ジフルオロ-1-プロペニル基、(E)-1,2-ジフルオロ-1-ブテニル基、(E)-1,2-ジフルオロ-1-ペンテニル基、(E)-1,2-ジフルオロ-1-ヘキセニル基、(Z)-1-フルオロ-1-プロペニル基、(Z)-1-フルオロ-1-ブテニル基、(Z)-1-フルオロ-1-ペンテニル基、(Z)-1-フルオロ-1-ヘキセニル基、(Z)-2-フルオロ-1-プロペニル基、(Z)-2-フルオロ-1-ブテニル基、(Z)-2-フルオロ-1-ペンテニル基、(Z)-2-フルオロ-1-ヘキセニル基、 (E)-2,3-ジフルオロ-2-ブテニル基、(E)-2,3-ジフルオロ-2-ペンテニル基、(E)-2,3-ジフルオロ-2-ヘキセニル基、 (Z)-2-フルオロ-2-ブテニル基、(Z)-2-フルオロ-2-ペンテニル基、(Z)-2-フルオロ-2-ヘキセニル基、(Z)-3-フルオロ-2-ブテニル基、(Z)-3-フルオロ-2-ペンテニル基、(Z)-3-フルオロ-2-ヘキセニル基等のフッ素置換不飽和アルキル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、ヘプチルオキシメチル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-プロポキシエチル基、1-ブトキシエチル基、1-ペンチルオキシエチル基、1-ヘキシルオキシエチル基、1-ヘプチルオキシエチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-プロポキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ペンチルオキシエチル基、2-ヘキシルオキシエチル基、2-ヘプチルオキシエチル基、1-メトキシプロピル基、1-エトキシプロピル基、1-プロポキシプロピル基、1-ブトキシプロピル基、1-ペンチルオキシプロピル基、1-ヘキシルオキシプロピル基、1-ヘプチルオキシプロピル基、2-メトキシプロピル基、2-エトキシプロピル基、2-プロポキシプロピル基、2-ブトキシプロピル基、2-ペンチルオキシプロピル基、2-ヘキシルオキシプロピル基、2-ヘプチルオキシプロピル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、3-プロポキシプロピル基、3-ブトキシプロピル基、3-ペンチルオキシプロピル基、3-ヘキシルオキシプロピル基、3-ヘプチルオキシプロピル基、4-メトキシブチル基、4-エトキシブチル基、4-プロポキシブチル基、4-ブトキシブチル基、4-ペンチルオキシブチル基、4-ヘキシルオキシブチル基、4-ヘプチルオキシブチル基、5-メトキシペンチル基、5-エトキシペンチル基、5-プロポキシペンチル基、5-ブトキシペンチル基、5-ペンチルオキシペンチル基、5-ヘキシルオキシペンチル基、5-ヘプチルオキシペンチル基、6-メトキシヘキシル基、6-エトキシヘキシル基、6-プロポキシヘキシル基、6-ブトキシヘキシル基、6-ペンチルオキシヘキシル基、6-ヘキシルオキシヘキシル基、6-ヘプチルオキシヘキシル基等のアルコキシル基置換アルキル基およびそれらのアルコキシル基が挙げられるが、アルキル基が好ましい。中でも直鎖型飽和アルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基が特に好ましい。
【0020】
連結基Lは、単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-または-SCO-を挙げることができ、中でも単結合、-CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-または-CH(CH3)CH(CH3)-が好ましく、単結合または-CH2CH2-がさらに好ましく、単結合が特に好ましい。
【0021】
環Aは式群1に示すような構造が挙げられる。
【0022】
【化9】
Figure 0004894086
【0023】
中でも、式群2に記載した構造が好ましい。
【化10】
Figure 0004894086
【0024】
中でも、式群3に記載した構造が特に好ましい。
【0025】
【化11】
Figure 0004894086
【0026】
nは0〜2の整数を挙げることができるが、nが2の場合、溶解性が低下することに伴い、反応性が低下することから、nは0または1が好ましい。
【0027】
Zはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、シアナト基、カルボキシル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、水酸基または保護基Yにより保護された水酸基OYを挙げることができ、保護基Yとしては、メチル基、tert-ブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、トリチル基、アリル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、テトラヒドロピラニル基が如きアルキル基、あるいはトリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基が如きシリル基、あるいはアセチル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、ピバロイル基、レブリノイル基、ベンゾイル基、p-ニトロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基、エトキシカルボニル基が如きアシル基、あるいはメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基が如きスルホニル基を挙げることができる。中でも、化合物(I)の汎用性を考慮すると、水酸基または保護された水酸基が好ましく、保護基としては、アシル基またはスルホニル基が好ましい。また、化合物(II)の選択的な還元を考慮すると電子求引性の置換基が好ましく、中でも、フッ素原子あるいはアシルオキシ基がさらに好ましく、化合物(II)の溶解性を考慮するとアセチルオキシ基が如き嵩高くないアシルオキシ基が特に好ましい。
【0028】
また、水素化還元触媒としては、製法1と同様の触媒が好ましい。
さらに前述の製法と比較して、経済性を考慮すると製法1が好ましく、還元の選択性を考慮すると製法2が好ましい。
【0029】
上述のように、一般式(I)の化合物は、そのR、連結基L、環A、nおよびZの選択によって非常に多種の化合物を包含しうるわけであるが、その各構造部位を選択することによってより広い用途分野に適合した化合物とすることができ、その結果、一般式(I)の化合物を用いることにより、従来知られていた方法では製造が困難であったものを含めて、広いネマチック温度範囲、光・熱に対する安定性、高い電圧保持率などの電気光学素子、特にSTN-LCDおよびAM-LCDに好ましい特徴を有するフッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体を製造でき、非常に有用である。
【0030】
さらに詳述すると、一般式(I)の化合物の中で、特に好ましい化合物として以下の化合物を挙げることができる。なお、化合物記載には式群4に記載した略号を使用し、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基のいずれかを表す。
【化12】
Figure 0004894086
【0031】
Zが水酸基(-OH)の場合、
R1-T1-OH,
R1-Cy-T1-OH, R1-Dc-T1-OH, R1-Bc-T1-OH,
R1-Cy-2-T1-OH, R1-Dc-2-T1-OH, R1-Bc-2-T1-OH,
R1-Cy-2(1)-T1-OH, R1-Dc-2(1)-T1-OH, R1-Bc-2(1)-T1-OH,
R1-Cy-2(2)-T1-OH, R1-Dc-2(2)-T1-OH, R1-Bc-2(2)-T1-OH,
R1-Cy-2(3)-T1-OH, R1-Dc-2(3)-T1-OH, R1-Bc-2(3)-T1-OH
Zがメチル基、tert-ブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、トリチル基、アリル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基あるいはテトラヒドロピラニル基が如きアルキル基で保護された水酸基(-OY1)の場合、
R1-T1-OY1,
R1-Cy-T1-OY1, R1-Dc-T1-OY1, R1-Bc-T1-OY1,
R1-Cy-2-T1-OY1, R1-Dc-2-T1-OY1, R1-Bc-2-T1-OY1,
R1-Cy-2(1)-T1-OY1, R1-Dc-2(1)-T1-OY1, R1-Bc-2(1)-T1-OY1,
R1-Cy-2(2)-T1-OY1, R1-Dc-2(2)-T1-OY1, R1-Bc-2(2)-T1-OY1,
R1-Cy-2(3)-T1-OY1, R1-Dc-2(3)-T1-OY1, R1-Bc-2(3)-T1-OY1
Zがトリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基あるいはtert-ブチルジフェニルシリル基が如きシリル基で保護された水酸基(-OY2)の場合、
R1-T1-OY2,
R1-Cy-T1-OY2, R1-Dc-T1-OY2, R1-Bc-T1-OY2,
R1-Cy-2-T1-OY2, R1-Dc-2-T1-OY2, R1-Bc-2-T1-OY2,
R1-Cy-2(1)-T1-OY2, R1-Dc-2(1)-T1-OY2, R1-Bc-2(1)-T1-OY2,
R1-Cy-2(2)-T1-OY2, R1-Dc-2(2)-T1-OY2, R1-Bc-2(2)-T1-OY2,
R1-Cy-2(3)-T1-OY2, R1-Dc-2(3)-T1-OY2, R1-Bc-2(3)-T1-OY2
極性基Zがアセチル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、ピバロイル基、レブリノイル基、ベンゾイル基、p-ニトロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基あるいはエトキシカルボニル基が如きアシル基で保護された水酸基(-OY3)の場合、
R1-T1-OY3,
R1-Cy-T1-OY3, R1-Dc-T1-OY3, R1-Bc-T1-OY3,
R1-Cy-2-T1-OY3, R1-Dc-2-T1-OY3, R1-Bc-2-T1-OY3,
R1-Cy-2(1)-T1-OY3, R1-Dc-2(1)-T1-OY3, R1-Bc-2(1)-T1-OY3,
R1-Cy-2(2)-T1-OY3, R1-Dc-2(2)-T1-OY3, R1-Bc-2(2)-T1-OY3,
R1-Cy-2(3)-T1-OY3, R1-Dc-2(3)-T1-OY3, R1-Bc-2(3)-T1-OY3
極性基Zがメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基あるいはp-トルエンスルホニル基が如きスルホニル基で保護された水酸基(-OY4)の場合、
R1-T1-OY4,
R1-Cy-T1-OY4, R1-Dc-T1-OY4, R1-Bc-T1-OY4,
R1-Cy-2-T1-OY4, R1-Dc-2-T1-OY4, R1-Bc-2-T1-OY4,
R1-Cy-2(1)-T1-OY4, R1-Dc-2(1)-T1-OY4, R1-Bc-2(1)-T1-OY4,
R1-Cy-2(2)-T1-OY4, R1-Dc-2(2)-T1-OY4, R1-Bc-2(2)-T1-OY4,
R1-Cy-2(3)-T1-OY4, R1-Dc-2(3)-T1-OY4, R1-Bc-2(3)-T1-OY4
【0032】
上述の一般式(I)の化合物について製造例を以下に挙げる。勿論本発明の主旨、および適用範囲は、これら製造例により制限されるものではない。
【化13】
Figure 0004894086
(式中、R、結合基L、環Aおよびnは一般式(I)におけると同じ意味を表し、R'、結合基L'および環A'は一般式(II)におけると同じ意味を表し、保護基Y'およびY''はそれぞれ独立的に一般式(I)における保護基Yと同じ意味を表す。)
【0033】
[製法1] 6-置換-1-フルオロ-2-ナフトール誘導体(II-a)の接触水素還元による、2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-a)の製法
6-置換-1-フルオロ-2-ナフトール誘導体(II-a)(この化合物は特開平9-52859号公報に記載された製造方法に基づき、2-ナフトール誘導体(II')をフッ素化することにより製造できる。)を水素化還元触媒存在下、接触水素還元することにより、目的の2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-a)を得ることができる。
ここで水素化還元触媒としては、Rh、Ru、Pt、Pd、IrまたはOsの金属あるいはこれらの金属化合物が挙げられる。また、これらの金属および金属化合物は1種を単独でまたは2種以上を併用してもよい。
【0034】
例えば、Pdの金属およびその化合物の具体例としては、パラジウム炭素、パラジウム末、酸化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、テトラアンミンパラジウム酢酸塩などのパラジウム塩あるいはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウムなどのパラジウム錯体が挙げられる。また、これらの金属および金属化合物は1種を単独でまたは2種以上を併用してもよい。
また、前述のPdに換えて、Rh、Ru、Pt、Ir、Osの金属および/またはその金属化合物についても同様のものが挙げられる。
中でも、Pdの金属またはその金属化合物が好ましい。
【0035】
[製法2] 保護された6-置換-1-フルオロ-2-ナフトール誘導体(II-b)の接触水素還元による、2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-a)の製法
6-置換-1-フルオロ-2-ナフトール誘導体(II-a)に保護基Y'を導入し、保護された6-置換-1-フルオロ-2-ナフトール誘導体(II-b)に誘導した後、水素化還元触媒存在下、接触水素還元し、保護された2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-b)とした後、脱保護することにより目的の2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-a)を得ることができる。
【0036】
ここで保護基Y'としては、一般式(I)における保護基Yと同様の保護基が挙げられる。中でも、アシル基が好ましく、化合物(II-a)の選択的な還元を考慮するとベンゾイル基が如き嵩高いアシル基がさらに好ましく、化合物(II-b)の溶解性を考慮するとアセチル基が如き嵩高くないアシル基がさらに好ましい。
また、水素化還元触媒としては、製法1と同様の触媒が好ましい。
さらに前述の製法と比較して、経済性を考慮すると製法1が好ましく、還元の選択性を考慮すると製法2が好ましい。
【0037】
[製法3] 2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-a)への保護基を導入することによる保護された2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール誘導体(I-c)の製法
2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-a)に保護基Y''を導入することにより、目的の保護された2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-c)を得ることができる。
【0038】
ここで保護基Y''としては、一般式(I)における保護基Yと同様の保護基が挙げられるが、中でも、後述する応用例に示すように、フッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体を製造する点を考慮するとスルホニル基が好ましい。中でも、化合物(I-c)の反応性を考慮するとトリフルオロメタンスルホニル基がさらに好ましい。
【0039】
【化14】
Figure 0004894086
(式中、R、連結基L、環Aおよびnは一般式(I)におけると同じ意味を表し、保護基Y'''は一般式(I)における保護基Yと同じ意味を表し、XおよびX'はそれぞれ独立的に塩素、臭素またヨウ素のハロゲン原子あるいはp-トルエンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離基を表し、MはLi、MgBr、MgIなどの金属あるいは金属含有基を表し、cat.はパラジウム錯体あるいはニッケル錯体などの遷移金属触媒を表す。)
【0040】
[製法4] 5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールの2-位に置換基を導入することによる2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール誘導体(I-a)の製法
製法1あるいは製法2において、Rがメトキシ基且つnが0であるところの2-メトキシ-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-d)を得た後、脱保護することにより、5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジオール(I-e)を得て、ついで脱離基を導入し、さらに水酸基を保護することにより2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール誘導体(I-f)を得る。これを、一般式(I-z)で表される化合物(この化合物は、液晶性化合物の合成において一般的に用いられている。)から調製した有機金属化合物(I-y)を遷移金属触媒存在下、反応させた後、脱保護することにより、目的の2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-a)を得ることができる。
【0041】
ここで遷移金属触媒としては、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)やテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)等のパラジウム錯体あるいはビス(ジエチルホスフィノエタン)ジクロロニッケル(II)やテトラキストリフェニルホスフィンニッケル(0)等のニッケル錯体が挙げられる。また、これらの金属化合物とともに塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)などの銅化合物あるいはトリエチルアミンなどの塩基を併用してもよい。
【0042】
中でも、選択性を考慮するとテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)等のパラジウム錯体を用いることが好ましく、反応性を考慮するとビス(ジエチルホスフィノエタン)ジクロロニッケル(II)等のニッケル錯体を用いることが好ましい。
【0043】
さらに前述の製法1と比較して、一般式(I)において、Rおよび/または結合基Lおよび/または環Aに不飽和基を含まない化合物を製造する場合は、製法1が好ましく、一般式(I)において、Rおよび/または結合基Lおよび/または環Aに不飽和基を含んだ化合物を製造する場合は、製法4が好ましい。
【0044】
【化15】
Figure 0004894086
(式中、R、連結基L、環Aおよびnは一般式(I)におけると同じ意味を表し、cat.は製法4におけると同じ意味を表し、X''は塩素、臭素またヨウ素のハロゲン原子を表す。)
【0045】
[製法5] 5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールを官能基変換することによる、2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体(I-h〜I-k)の製法
製法3において、保護基Y''がトリフルオロメタンスルホニル基であるところのトリフルオロメタンスルホン酸2-メトキシ-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル(I-g)を得た後、遷移金属触媒存在下、シアン化ナトリウムと反応させることにより、一般式(I)におけるZがシアノ基を表すところの2-置換-6-シアノ-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(I-h)を得ることができる。
ここで遷移金属触媒としては、製法4におけると同様の触媒を挙げることができる。
さらに上記で得られた2-置換-6-シアノ-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(I-h)を酸または塩基で加水分解することにより、一般式(I)におけるZがカルボキシル基を表すところの2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-カルボン酸(I-i)を得ることができる。
【0046】
さらに上記で得られた2-置換-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-カルボン酸(I-i)を酸触媒存在下、アジ化水素酸と反応させることにより、一般式(I)におけるZがアミノ基を表すところの2-置換-6-アミノ5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを得る。これを亜硝酸ナトリウム存在下、所定のハロゲン化銅(I)と反応させることにより、一般式(I)におけるZがハロゲン基を表すところの2-置換-6-ハロゲノ-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(I-j)を得ることができる。
【0047】
あるいは上記で得られた2-置換-6-アミノ5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを亜硝酸ナトリウム存在下、テトラフルオロホウ酸と反応させた後、熱分解することにより、一般式(I)におけるZがフッ素原子を表すところの2-置換-5,6-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(I-k)を得ることができる。
【0048】
斯くして製造された一般式(I)で表される化合物の代表例を以下に挙げる。
【化16】
Figure 0004894086
後述する応用例に示すように、実際に上記化合物を用いて、フッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体を製造し、それを用いた液晶組成物を調製したところ、それらはホスト液晶組成物に対する優れた溶解性を有し、且つ非常に優れた電気光学特性を示し、特に閾値電圧(Vth)の低減効果に有用であることがわかった。さらに、この組成物の電圧保持率を測定したところ、調製時、加熱後および紫外線照射後ともにホスト液晶組成物と同様に充分高い値を示した。
【0049】
このように、本発明の一般式(I)の化合物から誘導されたフッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体は、優れた液晶性、および現在汎用の液晶化合物、液晶組成物への優れた相溶性を有している。また、液晶相を示す温度範囲が広く、閾値電圧が低く、高速応答が可能な液晶組成物を調製するうえにおいて従来の化合物より優れた効果を有していることがわかる。
【0050】
従って、一般式(I)の化合物から誘導したフッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、TN型あるいはSTN型等の電界効果型表示セル用として、特に温度範囲が広く低電圧駆動が可能な液晶材料として好適に使用することができる。また(I)の化合物から誘導した液晶表示材料用化合物のなかでシアノ基やエステル結合を含まないものは、大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易であり、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として使用することも可能である。さらに、ネマチック液晶に限らず、強誘電性液晶や反強誘電性液晶の高速応答の実現に不可欠な低粘剤としての利用も期待できる。
【0051】
【実施例】
以下に具体例を挙げて、本発明のフッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体とその製造方法、またそれを用いた実用的な液晶表示材料用化合物とその製造方法、さらにそれを用いた液晶組成物とその電気光学特性の利点に関してより詳しく説明するが、勿論本発明の主旨、及び適用範囲は、これら実施例により制限されるものではない。
【0052】
(実施例1) 酢酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル(I-2)の合成
【化17】
Figure 0004894086
(実施例1-a) 酢酸6-プロピル-1-フルオロナフタレン-2-イルの合成
塩化アセチル11.8gをジクロロメタン30mLに溶解し、6-プロピル-1-フルオロナフタレン-2-オール(この化合物は、特開平9-52859号公報に記載された製造方法に基づき製造できる。)28.1gのジクロロメタン80mL溶液を加え懸濁させ、0℃に冷却した。激しく撹拌しながら、ピリジン23.8gのジクロロメタン45mL溶液を滴下しさらに1時間撹拌した。10%塩酸を加えて、反応を停止させ、有機層を分取した。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を併せ、10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒を溜去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)により精製し、酢酸6-プロピル-1-フルオロナフタレン-2-イル32.0gを得た。
1H NMR(CDCl3,TMS) δ 0.95(t,3H,CH3),1.69(sextet,2H,CH2),2.37(s,3H,CH3),2.73(t,2H,CH2),7.15-8.00(m,5H,Ar(aromatics))
13C NMR(CDCl3,CDCl3) δ 13.7(s,CH3),20.6(s,CH3),24.3(s,CH2),38.0(s,CH2),120.3(d,Ar,J=5.0Hz),121.5(s,Ar),122.6(d,Ar,J=14.3Hz),123.4(d,Ar,J=4.3Hz),126.0(d,Ar,J=2.4Hz),128.4(d,Ar,J=2.5Hz),132.7(d,Ar,J=11.8Hz),132.9(d,Ar,J=4.3Hz),141.1(d,Ar,J=1.3Hz),149.1(d,Ar,J=252.5Hz),168.6(s,C=O)
19F NMR(CDCl3,C6F6) δ -135.1(s)
MS(EI) m/z 246(M+)
【0053】
(実施例1-b) 酢酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルの合成
実施例1-aで得た酢酸6-プロピル-1-フルオロナフタレン-2-イル32.0gを酢酸300mLに溶解し、オートクレーブ中490KPaの水素雰囲気下、5%パラジウム炭素(50%含水物)6.0gとともに60℃で12時間撹拌した。濾過し、溶媒溜去後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、酢酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル22.0gを得た。
1H NMR(CDCl3,TMS) δ/ppm 0.92(t,3H,CH3),1.24-2.93(m,14H,CH+CH2+CH3),6.79-6.86(m,2H,Ar)
13C NMR(CDCl3,CDCl3) δ/ppm 14.2(s,CH3),19.9(s,CH2),20.5(s,CH3),22.0(s,CH2),28.1(s,CH2),33.8(s,CH2),35.6(s,CH2),38.0(s,CH2),120.0(d,Ar,J=1.3Hz),124.1(d,Ar,J=3.7Hz),125.8(d,Ar,J=15.5Hz),135.2(d,Ar,J=13.7Hz),136.8(d,Ar,J=4.3Hz),151.9(d,Ar,J=245.7Hz),168.8(s,C=O)
19F NMR(CDCl3,C6F6) δ/ppm -129.8(s)
MS(EI) m/z 250(M+)
【0054】
(実施例2) 2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-1)の合成
【化18】
Figure 0004894086
実施例1-bで得た酢酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル20.8gをエタノール100mLに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液50mLを加え、2時間加熱還流した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒を溜去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール19.4gを得た。
1H NMR(CDCl3,TMS) δ/ppm 0.92(t,3H,CH3),1.27-2.91(m,11H,CH+CH2),5.50(br,1H,OH),6.69-6.78(m,2H,Ar)
13C NMR(CDCl3,CDCl3) δ/ppm 14.3(s,CH3),20.0(s,CH2),22.0(s,CH2),28.3(s,CH2),34.1(s,CH2),35.2(s,CH2),38.5(s,CH2),114.1(d,Ar,J=2.5Hz),124.2(d,Ar,J=3.8Hz),124.6(d,Ar,J=15.5Hz),130.0(d,Ar,J=3.8Hz),140.9(d,Ar,J=14.9Hz),149.1(d,Ar,J=234.0Hz)
19F NMR(CDCl3,C6F6) δ/ppm -141.9(s)
MS(EI) m/z 208(M+)
【0055】
(実施例3) トリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル(I-3)の合成
【化19】
Figure 0004894086
実施例2で得た2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール18.0gをジクロロメタン60mLに溶解し、無水トリフルオロメタンスルホン酸29.5gのジクロロメタン30mL溶液を加え懸濁させ、0℃に冷却した。激しく撹拌しながら、ピリジン16.5gのジクロロメタン30mL溶液を滴下しさらに1時間撹拌した。水を加えて、反応を停止させ、有機層を分取した。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を併せ、10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒を溜去後、アルミナカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製してトリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル21.3gを得た。
1H NMR(CDCl3,TMS) δ/ppm 0.93(t,3H,CH3),1.26-2.96(m,11H,CH+CH2),6.87-7.06(m,2H,Ar)
13C NMR(CDCl3,CDCl3) δ/ppm 14.2(s,CH3),19.9(s,CH2),22.1(s,CH2),27.8(s,CH2),33.1(s,CH2),35.7(s,CH2),38.3(s,CH2),119.6(s,Ar),124.6(d,Ar,J=3.8Hz),127.0(d,Ar,J=14.9Hz),134.3(d,Ar,J=14.3Hz),139.9(d,Ar,J=4.3Hz),151.6(d,Ar,J=249.4Hz)
19F NMR(CDCl3,C6F6) δ/ppm -128.4(s,Ar),-69.1(s,CF3) MS(EI) m/z 340(M+)
【0056】
(実施例4) 酢酸2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル(I-5)の合成
【化20】
Figure 0004894086
(実施例4-a) 酢酸6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-1-フルオロナフタレン-2-イルの合成
実施例1-aにおいて6-プロピル-1-フルオロナフタレン-2-オールに換えて、6-(この化合物は、特開平9-52859号公報に記載された製造方法に基づき製造できる。)を用いる他は(実施例1-a)と同様にして、酢酸6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-1-フルオロナフタレン-2-イルを得た。
MS(EI) m/z 328(M+)
(実施例4-b) 酢酸2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルの合成
実施例1-bにおいて酢酸6-プロピル-1-フルオロナフタレン-2-イルに換えて、実施例4-aで得た酢酸6-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-1-フルオロナフタレン-2-イルを用いる他は実施例1-bと同様にして、酢酸2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを得た。
MS(EI) m/z 332(M+)
【0057】
(実施例5) 2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール(I-4)の合成
【化21】
Figure 0004894086
実施例2において酢酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルに換えて、実施例4-bで得た酢酸2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを用いる他は実施例2と同様にして、2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールを得た。
MS(EI) m/z 290(M+)
【0058】
(実施例6) トリフルオロメタンスルホン酸2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル(I-6)の合成
【化22】
Figure 0004894086
実施例3において2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールに換えて、実施例5で得た2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールを用いる他は実施例3と同様にして、トリフルオロメタンスルホン酸2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを得た。
MS(EI) m/z 422(M+)
【0059】
(応用例1) 2-プロピル-5-フルオロ-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(III-1)の合成
【化23】
Figure 0004894086
実施例3で得たトリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル4.8gと、3,4,5-トリフルオロフェニルホウ酸(これは、3,4,5-トリフルオロブロモベンゼンとマグネシウムから調製されるグリニヤール反応剤とホウ酸トリメチルとを反応させた後、10%塩酸で加水分解することにより容易に調製できる。)4.6g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.15g、および2M炭酸カリウム水溶液16mLをキシレン16mL中、10時間加熱還流した。その後、室温まで冷却し水を加え、トルエンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水の順で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒を溜去して得た粗成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、さらにエタノールから再結晶させて、2-プロピル-5-フルオロ-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン2.4gを得た。
MS(EI) m/z 318(M+)
【0060】
(比較例1) 2-プロピル-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(IV-1)の合成
【化24】
Figure 0004894086
(比較例1-a) 6-プロピル-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-3H-ナフタレン-2-オンの合成
4-プロピルシクロヘキサノンの212g、ピロリジン200mLをトルエン600mLに溶解し、3時間攪拌しながら、加熱し共沸する水を除いた。過剰量のピロリジンをトルエンと共沸させ溜去した。そのまま室温まで冷却し、再びトルエン800mLを加え、水浴により冷却下、25℃以下で3-ブテン-2-オン120mLを1時間かけ滴下し加えた。滴下終了後、直ちに加熱し20時間加熱還流した。室温まで冷却し、酢酸ナトリウム63g、酢酸120mL、水140mLにより調製したpH5の緩衝液を加え、さらに4時間加熱還流した。室温まで冷却後、有機層を分離し、水、飽和食塩水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去し、6-プロピル-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-3H-ナフタレン-2-オンの粗生成物320gを得た。
【0061】
(比較例1-b) 2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールの合成
比較例1-aで得た6-プロピル-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-3H-ナフタレン-2-オンの5gをアセトニトリル10mLに溶解し、臭化銅(II)11.6gおよび臭化リチウム2.3gのアセトニトリル50mL溶液を、室温下で滴下した。さらに2時間攪拌した後、溶媒を溜去し、再び酢酸エチルに溶解し濾過により不溶性分を除いた後、水、飽和食塩水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を溜去し、2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールの粗生成物5gを得た。
【0062】
(比較例1-c) トリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルの合成
実施例3において2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールに換えて、比較例1-bで得た2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールを用いる他は実施例3と同様にして、トリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを得た。
【0063】
(比較例1-d) 2-プロピル-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンの合成
応用例1においてトリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルに換えて、比較例1-cで得たトリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを用いる他は応用例1と同様にして、2-プロピル-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを得た。
上述のように、化合物(IV-1)の原料となる中間体2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールへの変換には、重合しやすい3-ブテン-2-オンを使用し、また重金属である臭化銅(II)を用い、さらにその変換効率も低いことから、工業的に不利である。
【0064】
(比較例2) 2-プロピル-7-フルオロ-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(IV-2)の合成
【化25】
Figure 0004894086
【0065】
(比較例2-a) 2-プロピル-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールの合成
比較例1-bで得た2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール200gをジクロロメタン1000mLに溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム5gを加えて、激しく撹拌した。これにビス(テトラフルオロホウ酸)N,N'-ジフルオロ-2,2'-ジピリジニウム243gを徐々に加え、さらに5時間室温で撹拌した。水次いで10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、過剰のフッ素化剤を分解し、10%塩酸で酸性に戻した後、有機層を分取した。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を併せ、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。溶媒を溜去して得られた2-プロピル-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールと2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールの混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、さらにヘキサンから再結晶させて2-プロピル-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オール80gを得た。
【0066】
(比較例2-b) トリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルの合成
実施例3において2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールに換えて、比較例2-aで得た2-プロピル-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールを用いる他は実施例3と同様にして、トリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを得た。
【0067】
(比較例2-c) 2-プロピル-7-フルオロ-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンの合成
応用例1においてトリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルに換えて、比較例2-bで得たトリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを用いる他は応用例1と同様にして、2-プロピル-7-フルオロ-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを得た。
比較例1で述べたように、上述の化合物(IV-2)の原料となる中間体2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-オールへの変換は、重合しやすく且つ高価な3-ブテン-2-オンを使用し、また重金属である臭化銅(II)を用い、さらにその変換効率も低い。また、上述のフッ素化の選択性が低く、目的物のみを得るためにはカラムクロマトグラフィーが必須であり、工業的に不利である。
【0068】
(応用例2) 2-プロピル-5-フルオロ-6-(4-シアノ-3,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(III-2)の合成
【化26】
Figure 0004894086
【0069】
(応用例2-a) 2-プロピル-5-フルオロ-6-(3,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンの合成
応用例1において3,4,5-トリフルオロフェニルホウ酸に換えて、3,5-トリフルオロフェニルホウ酸(これは、3,5-トリフルオロブロモベンゼンとマグネシウムから調製されるグリニヤール反応剤とホウ酸トリメチルとを反応させた後、10%塩酸で加水分解することにより容易に調製できる。)を用いる他は応用例1と同様にして、2-プロピル-6-(3,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを得た。
MS(EI) m/z 300(M+)
【0070】
(応用例2-b) 4-(2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル)-2,6-ジフルオロ安息香酸の合成
応用例2-aで得た2-プロピル-5-フルオロ-6-(3,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン11.9gをテトラヒドロフラン(THF)100mLに溶解し、-60℃以下に保ちながら1.5Mブチルリチウムヘキサン溶液28mLを滴下した。さらに-60℃以下に保ちながら二酸化炭素ガスを吹き込んだ後、室温まで放置し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水の順で洗滌し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を溜去して4-(2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル)-2,6-ジフルオロ安息香酸の粗生成物13.7gを得た。
【0071】
(応用例2-c) 4-(2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル)-2,6-ジフルオロベンズアミドの合成
応用例2-bで得た4-(2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル)-2,6-ジフルオロ安息香酸13.7gを1,2-ジクロロエタン40mLに溶解し、塩化チオニル9.0gを加えた。これにピリジン0.05mLとN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)1mLを滴下した後、8時間加熱還流した後、過剰の塩化チオニルおよび1,2-ジクロロエタンを溜去した。残渣をジクロロメタン100mLに溶解し、室温下に撹拌しながらアンモニアガスを吹き込んだ後、発熱がおさまってから水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水の順で洗滌し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を溜去し、4-(2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル)-2,6-ジフルオロベンズアミドの粗生成物17.1gを得た。
【0072】
(応用例2-d) 2-プロピル-5-フルオロ-6-(4-シアノ-3,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンの合成
応用例2-cで得た4-(2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル)-2,6-ジフルオロベンズアミドの粗生成物17.1gをDMF80mLに溶解し、塩化オキサリル12.0gを加え、室温で6時間反応させた。反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸を加え、水層からトルエンで抽出した。有機層を併せ、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗滌した後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)により精製し、さらにエタノールから再結晶させて2-プロピル-5-フルオロ-6-(4-シアノ-3,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン7.4gを得た。
MS(EI) m/z 325(M+)
【0073】
(応用例3) 2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(III-3)の合成
【化27】
Figure 0004894086
応用例1においてトリフルオロメタンスルホン酸2-プロピル-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルに換えて、実施例6で得たトリフルオロメタンスルホン酸2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イルを用いる他は応用例1と同様にして、2-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-5-フルオロ-6-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを得た。
MS(EI) m/z 400(M+)
【0074】
(応用例4) 液晶組成物の調製(1)
温度範囲が広く低粘性でアクティブマトリックス駆動にも使用可能な汎用のホスト液晶(H)
【化28】
Figure 0004894086
を調製した。この(H)は116.7℃以下でネマチック相を示し、また冷却して結晶化させ、測定したその融点(Tcn)は+11℃である。この組成物の物性値ならびに、これを用いて作成したTNセル(セル厚6μm)の20℃における電気光学的特性の測定値は以下の通りであった。
閾値電圧(Vth) : 2.14V
誘電率異方性(Δε) : 4.8
応答時間(τr=τd) : 25.3m秒
屈折率異方性(Δn) : 0.090
ここで、応答時間は立ち上がり時間(τr)と立ち下がり時間(τd)とが等しくなる電圧印加時の測定値である。
【0075】
次にこのホスト液晶(H)の80%と応用例1で得た化合物であるテトラヒドロナフタレン化合物(III-1)
【化29】
Figure 0004894086
の20%からなる液晶組成物(H-III-1)を調製したところ、ネマチック相上限温度(Tni)は81.4℃であった。また、Tcnは+12℃であった。従って優れた液晶性、およびホスト液晶(H)に対する優れた溶解性を有し、極めて広い温度範囲で液晶相を発現できることがわかる。この(H-III-1)を150℃に加熱して20時間放置した後にそのTniを測定したが、加熱前とほとんど変化がみられなかった。また、紫外線(1200Jm-2s-1)を20時間照射したが、Tniに変化はみられなかった。次にこの組成物の電圧保持率を測定したところ、調製時、加熱後および紫外線照射後ともにホスト液晶(H)と同様に充分高い値を示した。
次に、(H-III-1)をセル厚6.0μmのTNセルに充填して液晶素子を作成し、その電気光学特性を測定したところ、以下の通りであった。
閾値電圧(Vth) : 1.46V
誘電率異方性(Δε) : 6.3
応答時間(τr=τd) : 38.9m秒
屈折率異方性(Δn) : 0.092
従って、(III-3)を20%添加することにより、応答時間を13.6m秒の増加に抑えながら、誘電率異方性を増大させ、Vthを0.68Vも低減することができた。
【0076】
(比較例3)
応用例4において、化合物(III-1)に換えて、比較例1で得たテトラヒドロナフタレン誘導体(IV-1)
【化30】
Figure 0004894086
を(H)に同量(20%)添加して液晶組成物(H-IV-1)を調製した。この組成物のTniは80.9℃となり、Tcnは+13℃となり、(H-III-1)と殆ど同様のTniとTcnを示した。この組成物の他の物性値ならびに同様にして作成した素子の電気光学特性値は以下の通りである。
閾値電圧(Vth) : 1.64V
誘電率異方性(Δε) : 5.3
応答時間(τr=τd) : 36.5m秒
屈折率異方性(Δn) : 0.092
従って、(III-1)と比較して、ネマチック相温度範囲は殆ど変わらず、誘電率異方性の増大効果は小さく、Vthの低減効果が小さかった。
【0077】
(比較例4)
応用例4において、化合物(III-1)に換えて、比較例2で得たテトラヒドロナフタレン誘導体(IV-2)
【化31】
Figure 0004894086
【0078】
を(H)に同量(20%)添加して液晶組成物(H-IV-2)を調製した。この組成物のTniは77.7℃で、Tcnは+22℃であり、(H-III-1)よりTniが3.7℃低下し、Tcnが10℃も上昇した。
この組成物の他の物性値ならびに同様にして作成した素子の電気光学特性値は以下の通りである。
閾値電圧(Vth) : 1.53V
誘電率異方性(Δε) : 5.8
応答時間(τr=τd) : 36.4m秒
屈折率異方性(Δn) : 0.090
従って、(III-1)と比較して、ネマチック相温度範囲が減少し、Vthの低減効果は小さかった。
【0079】
(応用例5) 液晶組成物の調製(2)
以下の組成からなる液晶組成物(M)を調製した。
4%の4-エトキシ-1-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)ベンゼン
3%のトランス-4-ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4-メチルフェニル
3%のトランス-4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸4-エトキシフェニル
3%のトランス-4-(4-メチルフェニル)-トランス-4'-ビニルビシクロヘキサン
3%のトランス-4-ブチル-トランス-4'-プロピルビシクロヘキサン
4%のトランス-4-ペンチル-トランス-4'-ビニルビシクロヘキサン
3%のトランス-4,4'-ビス(3-ブテニル)ビシクロヘキサン
4%の1-(4-プロピルフェニル)-2-(4-メチルフェニル)エチン
3%の1-(4-エトキシフェニル)-2-(4-ペンチルフェニル)エチン
3%の1,2-ビス[4-(3-ブテニル)フェニル]エチン
4%の1-(4-エチルフェニル)エチニル-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)ベンゼン
3%の4-(トランス-4-ペンチルシクロヘキシル)-4'-エチルビフェニル
3%の4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-1-シアノベンゼン
4%の4-[トランス-4-(トランス-1-プロペニル)シクロヘキシル]-1-シアノベンゼン
3%の4-[トランス-4-(3-ブテニル)シクロヘキシル]-1-シアノベンゼン
3%の4'-ペンチル-4-シアノビフェニル
4%の2-(4-シアノフェニル)-5-ペンチルピリミジン
3%の4-エチル安息香酸4-シアノフェニル
3%のトランス-4-ペンチルシクロヘキサンカルボン酸3,4-ジフルオロフェニル
4%の4-ブチル安息香酸3-フルオロ-4-シアノフェニル
3%の4-(トランス-3-ペンテン-1-イル)安息香酸3,5-ジフルオロ-4-シアノフェニル
3%のトランス-4-(3-フルオロ-4-シアノフェニル)-トランス-4'-(3-メトキシプロピル)ビシクロヘキサン
3%のトランス-4-(3,4-ジフルオロフェニル)-トランス-4'-エチルビシクロヘキサン
4%のトランス-4-(3,4-ジフルオロフェニル)-トランス-4'-ビニルビシクロヘキサン
4%のトランス-4-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-トランス-4'-プロピルビシクロヘキサン
3%のトランス-4-[2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)エチル]-トランス-4'-プロピルビシクロヘキサン
3%の4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-4'-シアノビフェニル
4%の4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)安息香酸3-フルオロ-4-シアノフェニル
3%の4'-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-3,4,5-トリフルオロビフェニル
3%の1-(3,4,5-トリフルオロフェニル)エチニル-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)ベンゼン
この(M)のTniは75.0℃であり、Δnは0.142であった。この(M)の90%と応用例1で得た化合物(III-1)の10%からなる液晶組成物(M-III-1)を調製した。この(M-III-1)のTniは61.5℃であり、Δnは0.138であった。
【0080】
【発明の効果】
本発明により提供されるフッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体およびその製造中間体は、従来知られていた方法では製造が困難であったものを含めて、(イ)高収率、(ロ)簡便に且つ、(ハ)安価に製造することができることが可能である。またその製造方法は、従来知られていた方法と比較して、(イ)高収率、(ロ)簡便に且つ、(ハ)安価である。さらにそれを用いた実用的な液晶表示材料用化合物は特に温度範囲が広く低電圧駆動と高速応答を必要とする液晶表示用として極めて有用である。従って、フッ素置換されたテトラヒドロナフタレン誘導体の製造中間体は工業的に極めて有用である。

Claims (10)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004894086
    (式中、Rは1個以上のフッ素原子および/または炭素原子数1〜7のアルコキシル基によって置換されていてもよく、分岐鎖を含んでもよい飽和または不飽和の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシル基を表し、nは0〜2の整数を表し、n=2のとき存在する環Aおよび連結基Lはそれぞれ独立的に同一であっても異なっていてもよく、nが0でないとき連結基Lは単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-または-SCO-を表し、環Aはトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランス-デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、シクロペンチレン-1,3-ジイル基、トランス-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基または一個以上のフッ素原子で置換されてもよい1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基およびナフタレン-2,6-ジイル基を表し、Zはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、シアナト基、カルボキシル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、水酸基または保護基Yにより保護された水酸基OYを表し、保護基Yはメチル基、tert-ブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、トリチル基、アリル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、テトラヒドロピラニル基、あるいはトリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、あるいはアセチル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、ピバロイル基、レブリノイル基、ベンゾイル基、p-ニトロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基、エトキシカルボニル基、あるいはメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基またはp-トルエンスルホニル基を表す。)で表される5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体。
  2. 一般式(I)において、Rが1個以上のフッ素原子および/または炭素原子数1〜7のアルコキシル基によって置換されていてもよく、分岐鎖を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基であるところの請求項1記載の5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体。
  3. 一般式(I)において、連結基Lが単結合、-CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-または-CH(CH3)CH(CH3)-であるところの請求項1〜2記載の5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体。
  4. 一般式(I)において、環Aがトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランス-デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、トランス-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基またはビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基であるところの請求項1〜3記載の5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体。
  5. 一般式(I)において、nが0または1であるところの請求項1〜4記載の5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体。
  6. 一般式(I)において、Zが水酸基または保護基Yにより保護された水酸基OYであるところの請求項1〜5記載の5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体。
  7. 一般式(II)
    Figure 0004894086
    (式中、R'は1個以上のフッ素原子および/または炭素原子数1〜7のアルコキシル基によって置換されていてもよく、分岐鎖を含んでもよい飽和または不飽和の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシル基を表し、連結基L'は単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-CF2CF2-、-CF=CF-、-CH2O-、-OCH2-、-OCH(CH3)-、-CH(CH3)O-、-(CH2)4-、-(CH2)3O-、-O(CH2)3-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-COS-または-SCO-を表し、環A'はトランス-1,4-シクロヘキシレン基、トランス-1,4-シクロヘキセニレン基、トランス-デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、シクロペンチレン-1,3-ジイル基、トランス-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基または一個以上のフッ素原子および/または一個以上の塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子で置換されてもよい1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基およびナフタレン-2,6-ジイル基を表し、nおよびZは一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される1-フルオロナフタレン誘導体を還元することを特徴とする請求項1〜6記載の一般式(I)で表される5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体の製造方法。
  8. 一般式(II)において、連結基L'が単結合、-CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-または-CH(CH3)CH(CH3)-であるところの請求項1〜6記載の一般式(I)で表される5-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン誘導体の製造方法。
  9. 還元がRh、Ru、Pt、Pd、IrまたはOsの金属あるいはこれらの金属化合物から選ばれる少なくとも1種の水素化還元触媒を用いることを特徴とする請求項7〜8記載の製造方法。
  10. 還元がPdの金属またはその金属化合物を用いることを特徴とする請求項7〜8記載の製造方法。
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