JP4891490B2 - インキ組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ組成物に関する。さらに詳しくは、生分解性ポリエステルをインキ用バインダーとして使用した生分解性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題において、問題とされている廃棄物のうち、その多くをプラスチック製品が占めており、とくに半永久的に分解しない特性から極めて処理困難な素材として指摘されている。このような社会的なニーズから、天然素材または生分解性合成素材を利用した、土中の微生物などによって自然分解可能な生分解性プラスチックの開発が盛んに行なわれている。これらの生分解性プラスチックは、プラスチック製品の廃棄によるゴミ問題を解決するものと期待され、環境に優しい商品開発などに利用されている。
【0003】
ところが、従来より使用されているインキ用バインダは、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、芳香族系ポリエステル等であり、これらは生分解性を持たないものであるため、これらのインキ用バインダを含むインキ組成物を用いて、生分解性素材上に印刷を行った場合、せっかくの生分解性素材が十分生かされない。そこで、生分解性を有するインキの出現が望まれている。
【0004】
しかしながら、生分解性を持つインキで、顔料分散性、フィルムへの接着性、耐擦過性、耐環境性(高温、多湿)、インキとしての使用特性(インキ粘度など)を満足できるものはなかった。
【0005】
以上の事実に鑑み、特許出願人は、既に、乳酸ポリエステルをインキバインダとして使用した生分解性インキを提案している(特開平8−92518号公報)。
【0006】
また、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、またはポリビニルアルコールを含有する樹脂をインキバインダとして使用した生分解性インキ(特開平8−319445号公報)や、エステルおよびアミド基を有する生分解性共重合体をインキバインダとして使用した生分解性インキ(特開平9−132709号公報)や、インキバインダとして使用可能な、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とする熱硬化型生分解性樹脂組成物(特開平10−251368号公報)や、脂肪族ポリエステルをインキバインダとして使用した生分解性磁性インキ組成物(特開平10−25439号公報)なども既に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の生分解性樹脂をバインダとして使用した生分解性インキでは、インキ顔料分散性、インキ安定性等にまだ問題があり、これらの特性においても優れた生分解性インキの出現が望まれていた。
【0008】
それゆえに、本発明の目的は、優れたインキ性能および生分解性を有する生分解性インキを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリヒドロキシ酸セグメントとポリグリセリンセグメントからなる脂肪族ポリエステルと、インキ顔料と、溶剤と、を含むインキ組成物が、従来の通常の有機溶剤可溶型ポリ乳酸の生分解性を維持したまま、飛躍的にインキ顔料分散性、インキ安定性等が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、ポリヒドロキシ酸セグメントとポリグリセリンセグメントからなる脂肪族ポリエステルと、インキ顔料と、溶剤と、を含むインキ組成物である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインキ組成物において、ポリヒドロキシ酸セグメントが、ポリ乳酸セグメントからなることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインキ組成物において、ポリ乳酸セグメントが、L−乳酸残基とD−乳酸残基を含み、L−乳酸残基のモル数(L)とD−乳酸残基のモル数(D)のモル比(L/D)が1〜9であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物において、脂肪族ポリエステルの還元粘度(ηSP/c)が、0.3〜1.0dl/gであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物において、脂肪族ポリエステルのガラス転移点(Tg)が、40〜60℃であることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物において、脂肪族ポリエステルの水酸基濃度が、100〜500当量/106gであることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物において、前記ポリグリセリンセグメントの重合度が、3〜20の範囲であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係るインキ組成物は、ポリヒドロキシ酸セグメントとポリグリセリンセグメントからなる脂肪族ポリエステルと、インキ顔料と、溶剤と、を含む。
【0018】
本発明において使用されるポリヒドロキシ酸セグメントにおいて、使用可能な乳酸以外のヒドロオキシ酸としては、グリコール酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。その他、4−ヒドロキシ酪酸、10−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等も好ましく使用できる。また、カプロラクトンのようなヒドロキシ酸の分子内エステル、ラクチドのようなα-オキシ酸から水分子を失って生成した環状エステルも用いられる。
【0019】
なお、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、などの芳香族ジカルボン酸や、ビスフェノール−A、ビスフェノール−Aのアルキレンオキサイド付加物、などの芳香族ジオールなどは少量であれば共重合されていても良いが、生分解性の面からは含まれないことが好ましい。
【0020】
本発明において使用されるポリヒドロキシ酸セグメントが、ポリ乳酸セグメントの場合には、ポリ乳酸セグメントは、乳酸残基を80モル%以上含有していることが好ましく、より好ましくは、90モル%以上である。80モル%未満では十分に良好な生分解性および塗膜物性が得られにくい。ここで、ポリヒドロキシ酸セグメントとは、ヒドロキシ酸残基の重合度が3以上の単位を示すものとする。
【0021】
また、前記脂肪族ポリエステルは、重量の面では、乳酸残基を好ましくは90重量%以上含有していることが好ましく、95重量%以上含有していればさらに好ましく、97重量%以上含有していれば最も好ましい。
【0022】
なお、乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸、DL乳酸のいずれも用いることができる。ここで、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が1〜9であることが好ましく、より好ましくは1〜5.6である。モル比(L/D)が9を越えると、使用溶剤に対する当該ポリエステルの溶解性が悪くなり、インキ用バインダとして十分な性能は得られにくい。一方、モル比(L/D)が1未満(D−乳酸過剰)であると、原料コストが高くなる。
【0023】
本発明に使用される脂肪族ポリエステル中の水酸基濃度は、100〜500当量/106gの濃度範囲で含まれることが望ましい。100当量/106g未満であると、十分に良好な顔料分散性、およびインキ安定性が得られにくい。また、500当量/106gを越えるとインキ塗膜の耐水性が悪化する傾向にある。
【0024】
ここで、水酸基濃度は、原料の仕込量および脂肪族ポリエステルの酸価の測定値から計算によって求めることができるが、計算方法は、使用する原料および得られる脂肪族ポリエステルの種類により異なる。また、水酸基濃度の測定は、過剰のフェニルイソシアネートを加え樹脂水酸基を反応させ、次に未反応のフェニルイソシアネートを過剰のジエチルアミンと反応させ、未反応ジエチルアミン量を酸により滴定するなどの公知の滴定法で求めることもできる。
【0025】
本発明に使用される脂肪族ポリエステルにおけるポリグリセリンセグメントの重合度は3〜20の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは4〜15の範囲である。重合度が2以下であるとインキ分散性、インキ分散安定性が低下し、重合度が20を越えてしまうと、インキ塗膜耐水性が低下する傾向にある。
【0026】
本発明における脂肪族ポリエステル中のポリグリセリンセグメントが占める割合は、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、0.1〜5重量%の範囲であればさらに好ましく、0.2〜3の範囲が最も好ましい。
【0027】
本発明における脂肪族ポリエステルの還元粘度(ηSP/c)は、0.3〜1.0dl/gの範囲が好ましい。還元粘度が0.3dl/gよりも低いと、印刷時のはじき等の原因となりやすく、インキ組成物の生分解性フィルムへの接着強度が低下する傾向がある。また還元粘度が1.0dl/gよりも高いと、インキ粘度が増大しやすく、印刷性が低下する場合がある。
【0028】
なお、当該還元粘度は、サンプル濃度0.125g/25ml、測定溶剤クロロホルム、測定温度25℃で、ウベローデ粘度管を用いて測定した値である。
【0029】
本発明における脂肪族ポリエステルのガラス転位温度(Tg)は40〜60℃であることが好ましく、特に好ましくは45〜60℃である。40〜60℃の範囲であれば、良好な生分解性フィルムへの付着強度、耐ブロッキング性が得られる。
【0030】
ガラス転位温度Tgは、たとえば、脂肪族ポリエステルの共重合成分の割合、および、ポリヒドロキシ酸セグメントとポリグリセリンセグメントのセグメント重合度を変化させることにより調整することができる。
【0031】
なお、当該Tgは、樹脂5mgをアルミニウムパンに取り、アルミニウム蓋をかぶせて強くクリンプし、これをDSC(示差走査熱量計)法により10℃/分の昇温速度で測定した値である。
【0032】
このようにして得られた脂肪族ポリエステルは、好ましくは、生分解性を有する。ここで生分解性とは、分解の一過程において、生物の代謝が関与して、低分子量化合物に変換する性質をいう。
【0033】
次に、本発明における脂肪族ポリエステルの製造方法について説明する。
脂肪族ポリエステルの製造方法としては、特に限定されず、従来の公知の方法を用いることができる。例えば、ヒドロキシ酸の2量体であるラクチドと、他のヒドロオキシ酸、ポリグリセリン等を溶融混合し、公知の開環重合触媒(たとえばオクチル酸スズ、アルミニウムアセチルアセトナート)を使用して、窒素雰囲気下、加熱開環重合させる方法や、加熱および減圧により直接脱水重縮合を行う方法等が挙げられる。
【0034】
また、高分子量ポリ乳酸をポリグリセリンで解重合させてもよい。
また、ポリ乳酸セグメントを製造後、ポリグリセリンセグメントと反応させて結合させてもよい。ポリ乳酸セグメントを製造後、ポリグリセリンセグメントと結合させる方法としては、ウレタン結合で行う方法、エポキシ基による方法、等公知の方法をとることができる。
【0035】
次に、本発明におけるインキ組成物の製造方法を説明する。
インキ組成物の製造方法としては、従来の公知の方法であれば、特に限定されない。たとえば、脂肪族ポリエステルを溶剤に溶解させ、これにインキ顔料を配合し、ボールミルやペイントシェーカー等を用いて分散させる等の方法で、本発明に係る生分解性を有するインキを製造することができる。
【0036】
インキの製造に用いるインキ顔料としては、通常使用されるものであれば、特に限定されず、たとえば、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、アルミニウム粉、雲母、チタン粉、フタロシアニン等が挙げられる。これらは、1種でも2種以上でも用いることができる。
【0037】
インキの製造に用いる溶剤としては、脂肪族ポリエステルの溶解性、作業性、乾燥速度の観点から、好ましくは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等が用いられる。これらは、1種でも2種以上でも用いることができる。
【0038】
本発明に係るインキ組成物における上記各成分の配合量は、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、インキ顔料を1〜1000重量部、溶剤を100〜2000重量部配合するのが好ましい。より好ましくは、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、インキ顔料2〜500重量部であり、溶剤200〜1500重量部である。
【0039】
また、本発明に係るインキ組成物は、上記成分以外にも必要に応じて、多官能イソシアネート、多官能エポキシ、メラミン等の架橋剤、顔料分散剤、粘度調整剤等を配合することができる。
【0040】
本発明のインキ組成物は、例えば、ポリ乳酸フィルム等の生分解性フィルムを基材とした印刷ラベル、包装用フィルム等に使用でき、また、紙用の生分解性インキとしても広く用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
実施例1
DLラクチド1000部、重合度が10であるポリグリセリン(ダイセル化学PGL10:水酸基濃度850KOHmg/g)10部、開環重合触媒として、アルミニウムアセチルアセトナート1部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で3時間加熱溶融させることにより開環重合させ、残留ラクチドを減圧下留去させることにより、ポリエステル(I)を得た。
【0043】
ここで、ポリエステル(I)の水酸基濃度を求めようとすれば、理論的には、ポリエステル(I)の水酸基濃度は、ポリグリセリン由来の水酸基だけで決まるはずであり、また、酸価も0となるはずだが、実際には、原料には不純物が含まれていることが一般的であり、この場合、DLラクチド中に含まれるラクチル乳酸が不純物の大部分を占める。このような場合、ポリグリセリンの代わりに不純物のラクチル乳酸が重合開始剤として働き、不純物がなければ生じないはずの水酸基が生じることがある。また、オキシ酸であるラクチル乳酸においては、酸価と水酸基価は等量であるので、不純物由来の水酸基濃度は、ポリエステル(I)の酸価を測定することにより知ることができる。よって、ポリグリセリンの水酸基濃度と測定した酸価を加えると、求める脂肪族ポリエステルの水酸基濃度が得られる。
【0044】
上記の方法に基づき、ポリエステル(I)の水酸基濃度を以下のようにして求めた。ポリエステル(I)中のグリセリン由来の水酸基濃度は、(850×1000)/56×10/(1000+10)=150という計算(KOH換算水酸基濃度/KOHの分子量×ポリグリセリンの重量部/ポリマーの重量部)に基づき、150当量/106gであった。また、不純物由来の水酸基濃度、すなわち、ポリエステル(I)の酸価の測定値は40当量/106gであった。よって、ポリエステル(I)の水酸基濃度は、合計値の190当量/106gと求められた。なお、酸価はポリエステル(I)0.2gを25mlのクロロホルムに溶解し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定した。滴定の指示薬としてはフェノールフタレインを用いた。
【0045】
次に、ポリエステル(I)100部を酢酸プロピル200部に溶解させ、カーボンブラック10部とボールミル中で混合分散化し、これを酢酸エチル100部で希釈し、インキ組成物(I)を得た。
【0046】
実施例2
DLラクチド1000部、重合度が10であるポリグリセリン(ダイセル化学PGL10:水酸基濃度850KOHmg/g)5.6部、開環重合触媒として、アルミニウムアセチルアセトナート1部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で3時間加熱溶融させることにより開環重合させ、残留ラクチドを減圧下留去させることにより、ポリエステル(II)を得た。
【0047】
ここで、ポリエステル(II)の水酸基濃度を実施例1と同様にして求めたところ、ポリグリセリン由来の水酸基濃度は85当量/106g、不純物由来の水酸基濃度は25当量/106gであった。よって、ポリエステル(II)の水酸基濃度は合計値110当量/106gである。
【0048】
次に、ポリエステル(II)についても、実施例1と同様にしてインキ組成物(II)を得た。
【0049】
実施例3
DLラクチド1000部、重合度が10であるポリグリセリン(ダイセル化学PGL10:水酸基濃度850KOHmg/g)16.5部、開環重合触媒として、アルミニウムアセチルアセトナート1部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で3時間加熱溶融させることにより開環重合させ、残留ラクチドを減圧下留去させることにより、ポリエステル(III)を得た。
【0050】
ここで、ポリエステル(III)の水酸基濃度を実施例1と同様にして求めたところ、ポリグリセリン由来の水酸基濃度は246当量/106g、不純物由来の水酸基濃度は30当量/106gであった。よって、ポリエステル(III)の水酸基濃度は合計値276当量/106gである。
【0051】
次に、ポリエステル(III)についても、実施例1と同様にしてインキ組成物(III)を得た。
【0052】
実施例4
DLラクチド1000部、重合度が10であるポリグリセリン(ダイセル化学PGL10:水酸基濃度850KOHmg/g)26.3部、開環重合触媒として、アルミニウムアセチルアセトナート1部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で3時間加熱溶融させることにより開環重合させ、残留ラクチドを減圧下留去させることにより、ポリエステル(IV)を得た。
【0053】
ここで、ポリエステル(IV)の水酸基濃度を実施例1と同様にして求めたところ、ポリグリセリン由来の水酸基濃度は409当量/106g、不純物由来の水酸基濃度は50当量/106gであった。よって、ポリエステル(IV)の水酸基濃度は合計値459当量/106gである。
【0054】
次に、ポリエステル(IV)についても、実施例1と同様にしてインキ組成物(IV)を得た。
【0055】
比較例1
DLラクチド1000部、乳酸1部、開環重合触媒として、アルミニウムアセチルアセトナート1部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下180℃で3時間加熱溶融させることにより、開環重合させ、その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリエステル(V)を得た。
【0056】
ここで、ポリエステル(V)の水酸基濃度を実施例1と同様にして求めたところ、ポリグリセリン由来の水酸基濃度は0当量/106g、不純物由来の水酸基濃度は40当量/106gであった。よって、ポリエステル(V)の水酸基濃度は合計値40当量/106gである。
【0057】
次に、ポリエステル(V)についても、実施例1と同様にしてインキ組成物(V)を得た。
【0058】
比較例2
DLラクチド1000部、グリセリン1部、開環重合触媒として、アルミニウムアセチルアセトナート1部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下180℃で3時間加熱溶融させることにより、開環重合させ、その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリエステル(VI)を得た。
【0059】
ここで、ポリエステル(VI)の水酸基濃度を実施例1と同様にして求めたところ、ポリグリセリン由来の水酸基濃度は33当量/106g、不純物由来の水酸基濃度は27当量/106gであった。よって、ポリエステル(V)の水酸基濃度は合計値60当量/106gである。
【0060】
次に、ポリエステル(VI)についても、実施例1と同様にしてインキ組成物(VI)を得た。
【0061】
上記実施例および比較例で使用されたポリエステルの組成および物性を表1に示す。
【0062】
なお、還元粘度は、サンプル濃度0.125g/25ml、測定溶剤クロロホルム、測定温度25℃、ウベローデ粘度管を用いて測定した。また、TgはDSC法により測定した。なお、表1において乳酸系ポリエステル組成中の乳酸残基は仕込み量を規定している。ただし、500MHzのNMRにより、ポリエステル中にも、同じ量が含まれていることが確認された。
【0063】
さらに、ポリエステル中のL−乳酸とD−乳酸のモル比は、仕込み量から求めているが、ポリエステル中のL−乳酸とD−乳酸のモル比を旋光度計(堀場製作所SEPA−200)を用い決定したものと同じであることを確認した。
【0064】
【表1】
Figure 0004891490
【0065】
性能評価
上記実施例および比較例で得たインキを用い、グラビア印刷機でポリ乳酸フィルム上に印刷し、印刷フィルムを得た。この印刷フィルムを用いて、インキ性能(顔料分散性、インキ安定性、印刷性、接着性、耐水性)、及び生分解性の評価を以下のようにして行った。なお顔料分散性以外のインキ性能、生分解性については5段階評価とし、5(きわめて良好)〜1(不良)で表した。実用上は4以上である。
【0066】
結果を表2に示す。
▲1▼顔料分散性:グロスメータで顔料の分散性を評価した。
▲2▼インキ安定性:インキの経時変化を目視で調べ、顔料の分離、沈降の有無の程度を目視で評価した。
▲3▼印刷性:ポリ乳酸フィルムにグラビア印刷を実施し、ハジキの有無等を目視で評価した。
▲4▼接着性:碁盤目を切り、セロテープ(R)剥離により密着性を評価した。
▲5▼生分解性:上記印刷フィルム10cm×10cmをコンポスター(生ゴミ処理機、三井ホーム社製〔MAM〕)中に入れ、7日後にサンプルの形態(分解の程度)を目視で評価した。分解の程度の大きい方が良好である。
▲6▼耐水性:ポリ乳酸フィルムにグラビア印刷を実施し、25℃の水に1時間浸漬後、これを指でこすり、インキの剥離状態を目視にて評価した。
【0067】
【表2】
Figure 0004891490
【0068】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したとおり、ポリヒドロキシ酸セグメントとポリグリセリンセグメントからなる脂肪族ポリエステルと、インキ顔料と、溶剤と、を含むインキ組成物は、従来の通常の有機溶剤可溶型ポリ乳酸の生分解性を維持したまま、飛躍的にインキ顔料分散性、インキ安定性等が向上することが示された。

Claims (6)

  1. ポリ乳酸セグメントからなるポリヒドロキシ酸セグメントとポリグリセリンセグメントからなる脂肪族ポリエステルと、インキ顔料と、溶剤と、を含むインキ組成物。
  2. 前記ポリ乳酸セグメントは、L−乳酸残基とD−乳酸残基を含み、L−乳酸残基のモル数(L)とD−乳酸残基のモル数(D)のモル比(L/D)は1〜9である、請求項に記載のインキ組成物。
  3. 前記脂肪族ポリエステルの還元粘度(ηSP/c)は、0.3〜1.0dl/gである、請求項1または2に記載のインキ組成物。
  4. 前記脂肪族ポリエステルのガラス転移点(Tg)は、40〜60℃である、請求項1または2に記載のインキ組成物。
  5. 前記脂肪族ポリエステルの水酸基濃度は、100〜500当量/106gである、請求項1または2に記載のインキ組成物。
  6. 前記ポリグリセリンセグメントの重合度は、3〜20の範囲である、請求項1または2のいずれかに記載のインキ組成物。
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