JP4879474B2 - 熱硬化性樹脂成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、揮発性有機物質の放散を大幅に低減できる熱硬化性樹脂組成物、ならびにこの組成物から得られる成形品、およびその製造方法に関する。
昨今、住宅や車両の内装用部材に使用される塗料や接着剤等の樹脂組成物中に含まれるトルエン、キシレン、スチレンモノマー等の揮発性有機物質(VOC;Volatile Organic Compounds)がシックハウス症候群の原因の1つと考えられ、室内におけるこれらVOC物質の放散を減少させることが強く求められている。建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドの規制、クロルホスピスの使用が禁止されている。スチレンモノマーも居住空間への放散低減を強く要請されている。
従来より、バインダー樹脂と繊維、フィラーなどとを含む繊維含有複合材料は、プラスチックの有する易加工性、非腐食性に機械的強度を付加しうることから、人工大理石、キッチンカウンター、洗面台、浴槽、浴室洗い場などのユニットバス部材に代表される住設機器、建築材料、車両用部材にも広く利用されている。これらの繊維強化複合材料は、通常、不飽和ポリエステル樹脂に代表される熱硬化性樹脂、フィラー、増粘剤により増粘させた後、加熱圧縮成形して得られる。熱硬化性樹脂には、安価で優れた性能を付与できることから一般的には架橋性希釈剤としてスチレンモノマーが添加されている。
しかし、スチレンモノマーを含有している熱硬化性樹脂組成物の成形品中には、僅かな量の未反応スチレンモノマーが残存し、これが大気中に放散され、使用禁止や換気システムの設置が必要となる場合がある為、成形品中の残存スチレンモノマーを低減したり、またはスチレンモノマーの室内への放散を低減することを強く要請されている。
特開平11−60650号公報(引用文献1)には、ジシクロペンタジエンを用いた不飽和ポリエステルであって炭素数5以上の3級アルキル基がペルオキシド基に結合しているペルオキシ酸エステルを含む熱硬化性樹脂組成物が開示されているが、スチレンモノマーを含有する特定の熱硬化性樹脂に特定の10時間半減期温度の硬化剤を添加することで残留スチレンモノマーが格段に低減できることについては開示も示唆もされていない。
また、特開2003−119399号公報(引用文献2)には、ノルボルネン骨格を有する化合物を含有する熱硬化性樹脂の成形体は残留スチレンモノマー量が低減し、耐水性に優れることが開示されているが、これら従来技術において、硬化時間を延長し、また外観を落とさない範囲で金型温度を上げてSMCで成形品を製造しても、昨今のVOC物質の放散量低減の要請に対して、十分なレベルまでは全く達しない。
また、VOC物質の放散量を低減する為、さらに、成形品を後加熱する工程を設ける方法も考えられるが、製造コストが増大したり、設備を必要としたり、作業が煩雑になるなど、経済的に好ましくない。
特開平11−60650号公報 特開2003−119399号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、スチレンモノマーの放散速度が大幅に低減でき、平滑性、寸法精度、煮沸性能、強度などの物性に優れた成形品およびこれを得るための熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的としている。
そこで、本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、特定量のスチレンモノマーを含有する熱硬化性樹脂に、10時間半減期温度が特定の範囲にある化合物を添加した熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、その残留スチレンモノマー量、および成形品表面から室内へのスチレンモノマーの放散速度が大幅に低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、
スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、及び単官能マレエートから選ばれる1種以上のモノマーとを含有する熱硬化性樹脂並びに重合開始剤からなる組成物であって、
該重合開始剤が10時間半減期温度66℃以上97℃未満の化合物を含み、
該熱硬化性樹脂がスチレンモノマーを5〜56質量%含有する
ことを特徴とする。
熱硬化性樹脂が、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、及び単官能マレエートとから選ばれる1種以上のモノマーを2〜65質量%含むことが好ましい。
また、熱硬化性樹脂が、多官能モノマーを含有することも好ましい。
さらに、熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステルおよび/またはビニルエステルを含むことが望ましい。
本発明に係る成形材料は、前記熱硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする。
本発明に係る成形品の製造方法は、前記樹脂組成物、または前記成形材料を雌雄一対の金型の少なくとも一方を10時間半減期温度より30℃以上高い温度で成形することを特徴とする。
本発明に係る成形品は、スチレンモノマーを含有する熱硬化性樹脂組成物の成形品であって、
スチレンモノマーの放散速度が300μg/(m2・h)以下であり、荷重たわみ温度が120℃以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る成形品は、スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、単官能マレエート、及び多官能モノマーから選ばれる1種以上のモノマーとを含有する熱硬化性樹脂からなる組成物を含有する成形材料を加熱加圧成形した成形品であって、
スチレンモノマーの放散速度が300μg/(m2・h)以下であり、光沢が80以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る成形品は、スチレンモノマーを含有する熱硬化性樹脂組成物の成形品であって、
粉砕抽出法による残留スチレンモノマーが800ppm以下であり、荷重たわみ温度が120℃以上であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る成形品は、スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、単官能マレエート、及び多官能モノマーから選ばれる1種以上のモノマーとを含有する熱硬化性樹脂を含有する成形材料を加熱加圧成形した成形品であって、
粉砕抽出法による残留スチレンモノマーが800ppm以下で光沢が80以上であることを特徴とする。
前記樹脂組成物、前記成形材料および前記成形品は、住宅設備用途または車両部材用途であることを特徴とする。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物および成形品の製造方法は、平滑性、寸法精度、煮沸性能、強度などの物性に優れ、従来のスチレンモノマーを含有する熱硬化性樹脂よりスチレンモノマーの放散速度、残留スチレンモノマー量が大幅に低減でき、VOCを大幅な低減でき、環境に優れている成形品を提供できる。
以下、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物、それから得られる成形品およびその製造方法について説明する。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂は、スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、及び単官能マレエートから選ばれる1種以上のモノマーとを含有する。また、前記熱硬化性樹脂は、多官能モノマーを含有していてもよい。なお、本明細書において、「熱硬化性樹脂」とは、熱硬化性ポリマー(オリゴマーを含む)とモノマーとの混合物を意味する。
前記熱硬化性樹脂は、スチレンモノマーを、通常5質量%以上、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上、かつ、通常56質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下で含有する。スチレンモノマー含有量が5質量%未満になると、フィラーやガラス繊維へ含浸しにくく、光沢物性や煮沸性が低下し、収縮率が大きくなり、外観にヒケが生じる傾向にある。また56質量%を超えると成形品中の残留スチレンモノマーが多くなる傾向にある。
また、前記熱硬化性樹脂は、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、及び単官能マレエートとから選ばれる1種以上のモノマーを、通常2〜65質量%、好ましくは3〜60質量%、より好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜45質量%、最も好ましくは20〜40質量%で含有する。上記モノマーの含有量が2質量%未満になると、スチレンモノマーの放散速度を低減することが困難になることがある。また、65質量%を超えると、収縮率が大きくなり、クラックが発生しやすく、また耐熱水性が低下する傾向にある。
また、前記熱硬化性樹脂は、多官能モノマーを、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは5〜25質量%で含有する。上記多官能モノマーの含有量が1質量%未満になると、スチレンモノマーの放散速度が大きくなり、荷重たわみ温度が低くなる傾向にある。また、40質量%を超えると成形品の靱性が低下してクラックが発生しやすくなる。
前記熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましく、特に不飽和ポリエステル樹脂は経済性に優れ、且つVOC低減に最も優れているため望ましい。
不飽和ポリエステル樹脂に用いられる不飽和ポリエステルは、少なくとも不飽和多塩基酸を含む多塩基酸成分と、多価アルコールおよび/またはエポキシ化合物からなる成分とをエステル結合させた縮重合体である。
前記不飽和多塩基酸は、重合可能な不飽和結合と、多価アルコールに含まれる水酸基および/またはエポキシ化合物に含まれるエポキシ基もしくは水酸基と反応してエステル結合を形成し得る置換基を1分子中に2つ以上含有する化合物であればよい。具体的には、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸等のα,β−不飽和多塩基酸;ジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和多塩基酸;アリル基等の不飽和結合を有する不飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル等が挙げられる。これらの不飽和多塩基酸は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記多塩基酸成分には、飽和多塩基酸が含まれていてもよい。たとえば、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族飽和多塩基酸;ヘット酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル等が挙げられる。これらの飽和多塩基酸は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記の多塩基酸成分全体に占める不飽和二塩基酸またはその無水物の割合が50mol%以上であることが望ましい。50mol%未満では、十分な発熱量が得られず硬化物中の残留スチレンモノマーが低減できないことがある。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、4,5−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等のアルキレングリコール類;2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、3−メチルペンタン−1,4−ジオール等のアルキル置換アルキレングリコール類;1,4−シクロヘキサンジオール等のシクロアルカンジオール類;1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のヒドロキシアルキル置換シクロアルカン類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール等のアルキレングリコール類の縮合物;ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール類が挙げられる。これらの多価アルコールは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
エポキシ化合物としては、たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、3,4−エポキシ−1−ブテン、グリシジル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのグリシジルエーテル類等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
アルコール成分としては、好ましくはプロピレングリコール=10〜80モル%および/または水添ビスフェノールA=5〜50モル%、およびネオペンチルグリコール=20〜90モル%が好ましい。ただし、アルコール成分の合計を100モル%とする。上記範囲を外れると、有機、無機フィラーへの濡れ、含浸が低下し、成形品外観が悪化する傾向にある。
また、不飽和ポリエステルとして、ジシクロペンタジエンを酸基に付加反応させ、ジシクロペンタジエン骨格を導入した不飽和ポリエステル(以下、「ジシクロペンタジエン系不飽和ポリエステル」ともいう)を用いると、スチレンモノマー、2官能以上の(メタ)アクリレート、オリゴマーへの相溶性が向上し粘度が低下し、不飽和ポリエステル樹脂中に含有するモノマー濃度を更に減じることができ、スチレンモノマーの放散速度が低減できるので好ましい。より好ましいジシクロペンタジエン含有量としては、ジシクロペンタジエン系不飽和ポリエステルポリマー中の飽和/不飽和酸の合計100モルに対するDCPDモル濃度が通常2〜40モル%、好ましくは2〜20モル%、特に好ましくは3〜19モル%である。
DCPDモル濃度が40モル%より多い場合、成形品の離型が悪くクラックが発生しやすく、また2モル%未満の場合、DCPD骨格導入による粘度低下効果が乏しい。
不飽和ポリエステル樹脂において、不飽和二塩基酸またはその無水物1モルに対するスチレンモノマーのモル比率は通常1.5〜2.5倍、好ましくは1.7〜2.3倍、特に好ましくは、1.9〜2.2倍である。1.5倍未満の場合、フィラーへの含浸が悪くなり、成形品の光沢が低下する。2.5倍より大きい場合、硬化物中の残留スチレンモノマーを低減しにくい。不飽和ポリエステルの十分な発熱量が得られ、硬化物中の残留スチレが低減される為には、二重結合力価(二重結合1モル当りの分子量)は通常150〜400、好ましくは160〜350、特に好ましくは、180〜300が望ましい。
ビニルエステル樹脂に用いられるビニルエステルは、エポキシに不飽和一塩基酸を付加反応させて得られる。ビスフェノールタイプのビニルエステルとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ、水添ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加型エポキシ、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、1,6−ナフタレン型エポキシなどのエポキシに不飽和一塩基酸であるメタアクリル酸などを付加反応させて得られる。
また、ノボラックタイプのビニルエステルは、例えば、フェノール・ノボラックまたはクレゾール・ノボラックとエピクロルヒドリンとの反応によって、得られるエポキシに不飽和一塩基酸を付加反応させて得られる。ビスフェノール骨格を有するビニルエステルは、たとえば、油化シェル製のエピコート828、エピコート1001、エピコート1004、旭化成工業製のAER−664H、AER−331、AER−337、ダウケミカル社製のD.E.R.330、D.E.R.660、D.E.R.664などの市販のエポキシに不飽和一塩基酸を付加反応させて得られる。ノボラック型ビニルエステルとしては、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、シェル化学社製商品名エピコート152、エピコート154、チバ社製商品名EPN1138などのノボラック型エポキシに不飽和一塩基酸を付加反応させて得られる。
上記不飽和一塩基酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、または、モノ(2−エチルヘキシル)マレートなどがある。なおこれらの不飽和一塩基酸は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
上記したエポキシと不飽和一塩基酸との反応は、好ましくは、60〜140℃、特に好ましくは80〜120℃の温度範囲でエステル化触媒を用いて行われる。
エステル化触媒としては、公知慣用の化合物がそのまま使用できるが、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリメツルベンゾニウムクロライドもしくはジアザビシクロオクタンなどの3級アミン類、アミン塩酸塩が挙げられる。
本発明に用いられるビニルエステルとしては、フィラー、ガラス繊維などへの含浸性能、成形性、流動性から、酸変性されたビニルエステルが好ましい。この酸変性されたビニルエステルは、ビニルエステル合成後に多塩基酸無水物を、エポキシ基の開環によって生じたヒドロキシル基に付加反応させて得られる。多塩基酸無水物としては、無水マロン酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸などの脂肪族、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、スチルエンドスチレンテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
ウレタン樹脂に用いられるウレタンポリマーは、例えばトルエンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナートなどと、ポリオールなどとを好ましく用いて得ることができる。また、ウレタンポリマーとして、イソシアナート類と、前記不飽和ポリエステルまたは前記ビニルエステルとから得られるウレタン変性不飽和ポリエステルやウレタン変性ビニルエステルも好ましく用いられる。
アクリル樹脂に用いられるアクリルポリマーとしては、フィラー、ガラス繊維などへの含浸性能、樹脂組成物の成形性から、酸変性されたアクリルポリマーが好ましい。このようなアクリルポリマーとしては、カルボキシル基変性をしたアクリルポリマー、水酸基変性したアクリルポリマーが好ましく、更に主鎖はスチレン、アクリル共重合ポリマーであることが特に好ましい。さらにこれらをウレタン架橋して変性したウレタン変性アクリルポリマーも好ましく用いられる。
本発明に用いられるスチレンモノマーは、モノマーの合計量に対するスチレンモノマー組成比が、通常5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、特に好ましくは35質量%以上であり、また、98質量%以下が好ましく、より好ましくは96質量%以下、特に好ましくは94質量%以下である。スチレンモノマーが5重量未満の場合、フィラー、ガラス繊維への含浸が悪くなり、成形品の光沢が低下する。98質量%より多いと、成形品中の残留スチレンモノマーが低減できないことがある。
本発明に用いられる(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素原子数12または13)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール等の単官能(メタ)アクリルモノマー、下記式(1)で示されるジシクロペンタジ
エン系化合物などが挙げられる。
Figure 0004879474
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2はエチレン、ブチレン等の炭素原子数2〜5の低級アルキレン基を示し、nは0〜5の整数を示す。)
また、(メタ)アクリレートの分子量が400より大きいと、最高発熱温度が低くなり、成形品中の残留スチレンモノマーが低減されにくく、分子量は400以下が望ましい。
本発明に用いられる単官能フマレート、及び単官能マレエートとしては、ジメチルマレート、ジメチルフマレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、ジブチルマレート、ジブチルフマレートなどが挙げられ、構造式は
Figure 0004879474
であり、シス体がマレートでトランス体がフマレートである。上記構造式において、R,R'はそれぞれ独立に芳香族、脂肪族、または脂環族の炭化水素基を表す。このような単官能フマレート及び単官能マレエートのうち、RおよびR'の一方または両方がジシクロペンタジエンであるフマレートおよびマレエートが特に好ましい。
本発明では、発熱量が高いフマレート化合物が好ましく用いられる。また、フマレートおよびマレエートの分子量は400以下、更に好ましくは380以下が望ましい。分子量が400より大きいフマレートおよびマレエートは、最高発熱温度が低くなり、成形品中の残留スチレンモノマーが低減できないことがある。
(メタ)アクリレート、単官能フマレート及び単官能マレエートから選ばれる1種以上のモノマーのモノマーの合計量に対する組成比は、通常3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。(メタ)アクリレート、単官能フマレート及び単官能マレエートから選ばれる1種以上のモノマーが3質量%未満の場合、スチレンモノマーの放散速度を低減することが困難になることがある。また、90質量%より多いと、収縮率が大きくなり、クラックが発生しやすく、煮沸性能も低下する傾向にある。
本発明に用いられる多官能モノマーとしては、2官能以上の(メタ)アクリレート、2官能アリル化合物などが挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=4〜23)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=4〜10)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=8,9)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペントールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン(n=3〜30)、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパンなどの多官能アクリルモノマー;下記式(2)で示されるジシクロペンタジエン系化合物などが挙げられる。
Figure 0004879474
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2およびR3は互いに同一でも異なっていてもよく、エチレン、ブチレン等の炭素原子数2〜5の低級アルキレン基を示し、nおよびmは互いに同一でも異なっていてもよく0〜5の整数を示す。)
2官能アリル化合物としては、ジアリル、トリ、テトラアリルエーテル等であり、例えばグリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル等が挙げられる。分子量が400より大きいオリゴマーは、最高発熱温度が低くなり、成形品中の残留スチレンモノマーが低減できないことがある。
本発明では、上記モノマー以外に、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン等のアルキル置換スチレン;グリセリンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル等の単官能アリル化合物などのモノマーを併用することができる。1官能アリル化合物の分子量は400以下が望ましい。分子量が400より大きいと、最高発熱温度が低くなり、成形品中の残留スチレンモノマーが低減できないことがある。
本発明に用いられる重合開始剤(以下、「硬化剤」ともいう)は、10時間半減期温度が66℃以上97℃未満である。また、重合開始剤の構造がアミル構造(3,3−ジメチルプロピル構造)を有するものが成形品中の残留スチレンモノマーが少なくできるため望ましい。
本発明で用いられる重合開始剤は、10時間半減期温度が97℃未満、好ましくは96℃以下、かつ、66℃以上、好ましくは68℃以上、より好ましくは69℃以上、特に好ましくは83℃以上である重合開始剤が望ましい。重合開始剤の10時間半減期温度が66℃未満になると十分なライフを有する組成物が得られないことがある。
また、成形する底部や上部側周縁フランジ部下部にリブ構造が形成されるSMC金型で成形され、収縮率が0.3%以下の小さい材料を成形したシートモールディングコンパウンド(以下、SMC)、チックモールディングコンパウンド(以下、TMC)などでは、10mm以上の深いリブ構造を有する為、成形温度は雄雌一対の金型の少なくとも一方の温度が130℃以上であることが好ましい。その為、10mm以上の深いリブ構造を有するSMC金型成形用材料では、10時間半減期温度が97℃以下、好ましくは96℃以下、また好ましくは90℃以上、より好ましくは92℃以上である重合開始剤が特に望ましい。
一方、バルクモールデリングコンパウンド(以下、BMC)は、SMCに比べ、収縮率が大きく、物性も劣るため、10mm以上の深いリブ構造を有するSMC金型では、クラックが発生し成形できない為、底部や上部側周縁フランジ部下部に10mm以上のリブ構造が存在しないBMC専用金型で成形される。収縮をより小さくする為には、成形温度は140℃以下、好ましくは130℃以下が望ましい。その為、BMC型成形材料の硬化剤の10時間半減期温度は96℃以下、好ましくは89℃以下、また66℃以上、より好ましくは69℃以上である重合開始剤が特に望ましい。
なお、本明細書において10時間半減期温度とは、公知の指標であって、熱により重合開始剤が分解して、重合開始剤の濃度が10時間経過後に初期の半分に減ずるのに必要な温度を意味している。具体的には、濃度0.2モル/リットルの重合開始剤のベンゼン溶液を調製し、このベンゼン溶液中で重合開始剤を熱分解したとき、重合開始剤の半減期が10時間になる温度をいう。
10時間半減期温度が上記範囲にある重合開始剤を用いて、特定温度以上で重合反応を行うと、残留スチレンモノマーおよびスチレンモノマーの放散速度が極めて少ない低VOCの成形体を得ることができる。
このような低温硬化性重合開始剤としては、10時間半減期温度が97℃未満である公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。具体的には、たとえば、10時間半減期温度が97℃未満である、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネートが挙げられる。これらのうちでは、ジアシルパーオキサイド、アルキルパーエステルを用いることが好ましく、パーカーボネート、アルキルパーエステルを用いることがより好ましい。特に好ましくはt−アミル構造を有するアルキルパーエステル、パーカーボネートである。
前記ケトンパーオキサイドとしては(括弧内は10時間半減期温度を示す。以下同じ。)、メチルイソブチルケトンパーオキサイド(88℃)、シクロヘキサノンパーオキサイド(90℃)、などが挙げられる。
前記ジアシルパーオキサイドとしては、ベンゾイルパーオキサイド(72℃)などが挙げられる。
前記ジアルキルパーオキサイドとしては、コハク酸パーオキサイド(66℃)などが挙げられる。
前記パーオキシケタールとしては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(90℃)、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(87℃)、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン(93℃)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(92℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(95℃)などが挙げられる。
前記アルキルパーエステルとしては、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(69℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート(86℃)、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(70℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(74℃)、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート(95℃)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート(97℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(78℃)、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート(83℃)、t−ブチルパーオキシマレイン酸(96℃)などが挙げられ、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(70℃)、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート(95℃)がより好ましい。
これらのなかで、前記パーカーボネートのうちでは、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(88℃)、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(96℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート(95℃)などが挙げられ、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート(95℃)、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(96℃)がより好ましい。特に好ましくはt−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(96℃)である。
前記ジアシルパーオキサイドのうちでは、ベンゾイルパーオキサイド(72℃)などが好ましい。
ジアルキルパーオキサイドとしては、コハク酸パーオキサイド(66℃)などが好ましい。
前記アルキルパーエステルのうちでは、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(69℃)、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(70℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(74℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(78℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(86.1℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(86.7℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(90.0℃)などが好ましく、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(70℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(86.1℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(86.7℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(90.0℃)がより好ましく、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(70℃)は特に好ましい。これらは、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物では、このような硬化剤の純分(パーオキサイド)として、熱硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.5〜5質量部、好ましくは0.7〜3質量部、特に好ましくは0.7〜2質量部の範囲で用いることが望ましい。含有量が0.5質量部より小さいと、スチレンモノマーの放散速度が低減できず、含有量が5質量部より大きいと外観、煮沸性が低下することがある。
10時間半減期温度が66℃以上97℃未満の硬化剤添加量が上記の範囲で添加されていれば、必要に応じて該半減期温度が97℃以上の硬化剤や66℃より低い硬化剤を追加してもよい。この場合、添加量は硬化剤総量の30%以下が好ましい。30%より多く添加すると、十分なコンパウンドライフが得られない。
10時間半減期温度が66℃未満の化合物(硬化剤)としては、例えば、前記ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチリルパーオキサイド(33℃)、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(60℃)、オクタノイルパーオキサイド(62℃)、ラウロイルパーオキサイド(61℃)、ステアロイルパーオキサイド(62℃)、m−トルイル−ベンゾイルパーオキサイド(62℃)1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(65.3℃)などが挙げられる。
前記アルキルパーエステルとしては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート(41℃)、α−クミルパーオキシネオデカネート(38℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート(45℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート(44℃)、シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカネート(41℃)、t−ブチルパーオキシネオデカネート(46℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(64℃)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(53℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(55℃)、t−ブチルパーオキシマレイン酸(96℃)などが挙げられる。
これらのなかで、前記パーカーボネートのうちでは、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(45℃)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(44℃)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(40℃)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(43℃)、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート(44℃)、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート(46℃)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート(47℃)などが挙げられる。
前記ジアシルパーオキサイドのうちでは、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(60℃)、オクタノイルパーオキサイド(62℃)、ラウロイルパーオキサイド(61℃)、ステアロイルパーオキサイド(62℃)、m−トルイル−ベンゾイルパーオキサイド(62℃)などが好ましい。
前記アルキルパーエステルのうちでは、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート(41℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート(45℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート(44℃)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカネート(41℃)、t−ブチルパーオキシネオデカネート(46℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(64℃)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(53℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(55℃)などが好ましく、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート(41℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート(45℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート(44℃)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカネート(41℃)、t−ブチルパーオキシネオデカネート(46℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(64℃)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(53℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(55℃)などがより好ましい。
前記パーカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(41℃)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(41℃)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(40℃)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(43℃)、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート(44℃)、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート(46℃)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート(47℃)、などが好ましい。
10時間半減期温度が97℃以上の化合物(硬化剤)としては、例えば、前記アルキルパーエステルとしては、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(99.4℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB;104.3℃)が挙げられる。前記パーカーボネートとしては、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(98.7℃)、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)へキサン(97℃)等が挙げられる。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、及び単官能マレエートから選ばれる1種以上のモノマーとを含有する熱硬化性樹脂、並びに上記重合開始剤を必須成分として含有しているが、通常、さらにフィラー、増粘剤、その他の添加剤などを含有していてもよい。
フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラーが挙げられる。
有機フィラーとしては、公知の再生繊維、合成繊維、天然繊維が挙げられ、例えば、レーヨンなどからなる再生繊維、ナイロン6、ナイロン66などの脂肪族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル繊維(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ビニロンなどの合成繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリオキシメチレン(POM)などのいわゆる耐熱性の高い高分子からなる繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル、ポリイミドなどのいわゆる高弾性率、高強度な高分子からなる繊維、ジュート繊維、竹繊維などの天然繊維などが挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ガラスバルーン、シリカ、溶融シリカ、アエロジル(商品名)、クレー、マイカ、水酸化マグネシウム、寒水などが挙げられる。これらのうちでは、無機フィラーを用いることが好ましく、さらに、有機フィラーと併用してもよい。
本発明でのアスペクト比の大きい(50以上)有機フィラーまたは無機フィラーは、強度を向上させるために用い、例えばガラス繊維、炭素繊維を用いることが好ましい。また、アスペクト比の小さい(30以下)有機フィラーまたは無機フィラーとは、例えば水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、セラミック、溶融シリカ、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、ガラスパウダー、ガラスバルーン、リン酸カルシウム、ホタル石、アエロジル、スメクタイト、などであり、特に炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、シリカ、ガラスパウダーが好ましい。また、アスペクト比の大きい(50以上)有機フィラーまたは無機フィラーとアスペクト比の小さい(30以下)有機フィラーまたは無機フィラーと併用してもよい。
上記フィラーとして、表面処理、コーティングやメッキしたフィラーを用いることもできる。
これらのフィラーは、1種単独で、または複数を併用して用いることができる。このようなフィラーは、熱硬化性樹脂100質量部に対して、アスペクト比が平均30以下の有機フィラーおよび/または無機フィラーを50〜500質量部、さらに好ましくは100〜400質量部、特に好ましくは130〜350質量部の範囲で用いることが望ましい。これらのフィラーとアスペクト比が平均50以上の有機フィラーおよび/または無機フィラーとを併用しても良い。
また、フィラーとしてアエロジル(商品名)を使用する場合には、熱可硬化性樹脂100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下の量で用いられる。
前記フィラーが、このような範囲で含有されていると、成形時に発生する収縮を低く抑えられ成形体の耐衝撃性などの機械的強度をより優れたものとすることができる。
本発明に用いられる離型剤は、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、およびステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩等が挙げられる。またパラフィン、液体ワックス、フッ素ポリマー、シリコン系ポリマー、リン酸エステルなど熱硬化性樹脂用途の内部離型剤を用いることができる。1種類のみを用いてもよく、また2種類以上を併用してもよい。このような離型剤は、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対して、通常1〜10質量部の範囲で用いられる。
可使時間、硬化反応の立ち上がりを調整するための公知の重合禁止剤は、可使時間、硬化反応の立ち上がりを調整するために用いられ、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、メチル−t−ブチルハイドロキノン、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−tーブチル−4−メチルフェノール、メチルパラキノンなど公知の重合禁止剤を使用することができる。1種類のみを用いてもよく、また2種類以上を併用してもよい。重合禁止剤の添加量は特に限定されるものではなく、成形品の用途により適宜設定される。熱硬化性樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部で使用されることが多い。
成形収縮を調整するための公知の低収縮化剤は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、架橋ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル−ポリスチレンブロックコポリマー、アクリル/スチレンなどの多相構造ポリマー、架橋/非架橋などの多相構造ポリマー、SBS(ゴム)などが挙げられる。1種類のみを用いてもよく、また2種類以上を併用してもよい。低収縮化剤の添加量は特に限定されるものではなく、成形品の用途により適宜設定される。熱硬化性樹脂100質量部に対して50質量部以下で使用されることが多い。
本発明に用いられる増粘剤は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウムなどの2価金属の酸化物や水酸化物、アクリルポリマーなどが用いられる。アクリルポリマーは、特開平5−171022号公報に記載のアクリルポリマーを好ましく用いることもできる。たとえば、メチルメタクリレートを主成分とするアクリルポリマーであって、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の他の(メタ)アクリル系モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能架橋モノマーを共重合したものが挙げられる。このようなアクリルポリマーは、メチルメタクリレートの含有量が好ましくは90質量%以上、好ましくは95質量%以上である。
このような増粘剤は、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。また、このような増粘剤は、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対して、通常0.5〜50質量部、好ましくは、金属酸化物や金属水酸化物の場合には0.5〜5質量部、アクリルパウダーの場合には1〜50質量部の範囲で用いられる。
本発明に使用し得る着色剤としては、特に限定されるものではなく、従来より不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂に使用されている種々の着色剤を用いることができる。顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、フタロシアニンブルー等の公知の顔料が用いられる。着色剤の添加量は特に限定されるものではなく、成形品の用途により適宜設定される。熱硬化性樹脂100質量部に対して30質量部以下で使用されることが多い。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、さらに、難燃剤、抗菌剤(有機系および/または無機系)、親水剤、光触媒、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、粘度低下剤、低収縮化剤分離防止剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、潤滑分散剤、チクソ付与剤、チクソ安定剤、顔料、染料等の着色剤、重合促進剤、柄剤(加飾粒)等の添加剤などを添加することができる。また必要に応じて、可塑剤を含有しても良い。これらは、それぞれ1種類のみを用いてもよく、また2種類以上を併用してもよい。
柄剤としては、酸化アルミニウム、PETフィルム、マイカ、セラミック、ガラスフレークおよびそれらを着色剤、シランカップリング剤などの表面処理剤などでコーティングしたもの、メッキなど表面処理したもの、熱硬化性樹脂と無機フィラーと着色剤などとを熱硬化させて粉砕したものなどが挙げられる。
本発明に係る成形品の製造方法は、例えば、増粘剤を添加して増粘させた熱硬化性樹脂組成物を、シートモールディングコンパウンド(SMC)、チックモールディングコンパウンド(TMC)あるいはバルクモールディングコンパウンド(BMC)などとして得た後、該SMC、TMCあるいはBMCとなっている熱硬化性樹脂組成物を、公知の圧縮成形法、射出成形法などを用いて、加熱した金型で、適切に加圧しながら、硬化させての成形体とすることができる。
本発明に係る、スチレンモノマーの放散速度の小さい成形体は、前記熱硬化性樹脂組成物を金型に投入し、加圧下、特定の温度範囲で硬化させて得ることができる。前記熱硬化性樹脂組成物を雌雄一対の金型の少なくとも一方を使用している硬化剤の10時間半減期温度より30℃以上好ましくは40℃以上、特に好ましくは45℃以上高い温度で成形することが望ましい。「10時間半減期温度+30℃」より低い場合は、成形時間を大幅に延長してもスチレンモノマーの放散速度を低減できないことがある。加熱時間は、重合開始剤の10時間半減期温度、成形品の厚さなどにより適宜選択でき限定されない。型締め速度、真空条件などは、従来公知の条件を採用することができる。
加熱成形時に加圧する場合は、成形品にかかる圧力は、好ましくは0.3〜20MPa、さらに好ましくは2〜15MPa程度にすることが望ましい。
残留スチレンモノマーは粉砕抽出法により測定する。残留スチレンモノマー量は、熱硬化性樹脂組成物の成形体から試験片を切り出し、スライサーにて厚さ方向に1〜2mmにスライスし、製品面側(高温で成形された側)と裏面側(低温で成形された側)に分割する。試験片を粉砕後、速やかに約1gを精秤し、内部標準としてシクロヘキサノン100ppmのジクロロメタン液15mlを加え、24時間、常温で抽出し、その抽出ガスクロマトグラフ質量分析装置(カラム名UADX30−30M−0.15F)で内部標準法によりスチレンモノマー含有量を定量した。イニシャル温度150℃、インジェクション温度250℃で定量を行った。スチレンモノマー(質量数104)は測定開始から、5.98分、シクロヘキサノン(質量数98)は測定開始から、4.74分にピークを確認した。このようにして測定したスチレンモノマー量から、次式を用いて残留スチレンモノマー量を算出した。
残留スチレンモノマー量(%)
=定量されたスチレンモノマー量(g)/平板サンプル量(g)×100
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物から得られる成形体の粉砕抽出法による残留スチレンモノマー量は、残留スチレンモノマーが500ppm以下である。1000ppm以上ではスチレンモノマーの気中への放散速度が大きく、スチレンモノマー臭がする。荷重たわみ温度は、通常120℃以上、好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは170℃以上、特に好ましくは190℃以上である。荷重たわみ温度が120℃以上である耐熱性の高い樹脂成形体は、金型から取り出した際の変形が小さく、金型温度をより高く設定できるのでスチレンモノマーの放散速度の小さい成形体を得るのに好ましい。
スチレンモノマーの放散速度は、熱硬化性樹脂組成物の成形体から16cm角の試験片を切りだし、アドパック法(放散試験チャンバ法)により捕集した気体をガスクロマトグラフ質量分析装置にかけることで、その試験片から気中放散スチレンモノマーを測定できる。なお、アドパック法では、小口および裏面をアルミニウムテープでシールした試験片を、空気入口および排気出口を有する試験チャンバ(容積20リットル)に入れて密閉し、このチャンバを一定温度(25℃±1℃)に保持し、チャンバと同じ温度および一定の相対湿度(RH50%±4%)の清浄な空気を空気入口により供給(流量167ml/min)して、均一に拡散させ、その供給空気により換気(換気回数0.5回/h)されたチャンバ内の気体(排気)を排気出口から取り出して捕集し、その捕集気体をガスクロマトグラフ質量分析装置にかけて試験片の表面のみから放散した化学物質の量を分析し、スチレンモノマーの放散速度を算出する(試料負荷率2.2m2/m3)。
本発明では、スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、単官能マレエート、及び多官能モノマーから選ばれる1種以上のモノマーとを含有する熱硬化性樹脂からなる組成物であって、この熱硬化性樹脂組成物を含有する成形材料を加熱加圧成形した、スチレンモノマーの放散速度が300μg/(m2・h)以下である成形品が好ましく、より好ましくは250μg/(m2・h)以下、さらに好ましくは50μg/(m2・h)以下、特に好ましくは20μg/(m2・h)以下、最も好ましくは10μg/(m2・h)以下である成形品が好ましい。
本発明に係る成形品の用途は、住宅内に使用される部材(住宅用部材)または車両内に使用される部材(車両部材)である。このような分野では、低VOCの成形品が強く望まれている。
上記のように熱硬化性樹脂組成物を硬化させて製造される成形体としては、風呂の洗い場の床、洗面台化粧板、日本料理店等の厨房の床等の水回り部分の床、壁、ベランダの床、自動車や鉄道車両の内装材、外装材等に用いられる。具体的には、浴槽、浴室用壁材、浴室用床材、浴室用グレーチング、浴室用天井、シャワーフック、浴槽ハンドグリップ、浴槽エプロン部、浴槽排水栓、浴室用窓枠、排水ピット、浴室扉、浴室扉枠、浴室窓の桟、浴室扉の桟、すのこ、マット、石鹸置き、手桶、風呂椅子、トランスファーボード、浴室用収納棚、浴室用手摺、風呂蓋、浴室用タオル掛け、シャワーチェア、洗面器置き台等の浴室用部材;台所用キッチンバック、台所用床材、シンク、キッチンカウンタ、排水籠、レンジフード、換気扇、コンロのつまみ等の台所用部材;小便器、大便器、便器用トラップ、便器用配管、トイレ用床材、トイレ用壁材、トイレ用天井、ボールタップ、止水栓、紙巻き器、便座、昇降便座、トイレ用扉、トイレ用タオル掛け、便蓋、トイレ用手摺、トイレ用カウンタ、フラッシュバルブ、タンク、洗浄機能付き便座の吐水ノズル等のトイレ用部材;洗面ボウル、洗面トラップ、洗面用収納棚、排水栓、歯ブラシ立て、洗面カウンタ、水石鹸供給器、洗面器、口腔洗浄器、手指乾燥機、回転タイル等の洗面用部材;洗濯槽、洗濯機蓋、洗濯機パン、脱水槽、空調機フィルタ、タッチパネル、人体検知センサーのカバー、シャワーホース、シャワーヘッド、シャワー吐水部、シーラント;競技場などの野外用の椅子、ベンチ、食器トレー、化粧板;自動車用内壁材、自動車用床材、インテリアパネル、サンルーフ、ヘッドランプリフレクター、収納装置、ワイパー部材、リアスポイラー、エンジン周辺部材;鉄道車両用窓枠、鉄道車両用壁、鉄道車両用天井などなどが挙げられる。
特に浴室用床材、浴槽、浴室用壁材、浴室用天井、キッチンカウンタ、洗面等の住宅設備用途、車両内壁材、床材、鉄道車両の窓枠、壁、インテリアパネル等の車両部材用途は低VOCのニーズが強い。
<熱硬化性樹脂組成物の硬化物およびその製造方法>
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化物(成形体)は、前記熱硬化性樹脂組成物を所定の金型で、加圧下において、前記重合開始剤の10時間半減期温度を考慮して特定の温度範囲で硬化させることにより得ることができる。
具体的には、例えば、増粘剤を添加して増粘させた前記熱硬化性樹脂組成物を、シートモールディングコンパウンド(SMC)、チックモールディングコンパウンド(TMC)あるいはバルクモールディングコンパウンド(BMC)などとして得た後、このSMC、TMCあるいはBMCとなった熱硬化性樹脂組成物を、公知の圧縮成形法、射出成形法あるいはレジントランスファー成形法(RTM法)などを用いて、加熱した金型で、適切に加圧しながら硬化させることにより成形体を製造することができる。
[実施例]
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は「質量部」を示しており、「%」は「質量%」を示している。
[合成例1]
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、および攪拌機を備えたフラスコを反応器とした。この反応器に、イソフタル酸20モル、プロピレングリコール30モル、ネオペンチルグリコール50モルを仕込んだ。次に上記の内容物を窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、170〜180℃の温度範囲で反応させると共に、反応物の酸価を所定の方法によって、随時測定した。そして該酸価が10となった時点で、上記の反応物に、マレイン酸80モル、プロピレングリコール20モル、ジシクロペンタジエン10モルを添加混合し、110℃〜130℃の温度範囲で3時間反応させた後、180〜200℃に昇温し8時間反応させた。これにより、不飽和ポリエステル(A)を得た。この不飽和ポリエステルの酸価は27.0mgKOH/gであった。
[合成例2]
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、および攪拌機を備えたフラスコを反応器とした。この反応器に、イソフタル酸20モル、水添ビスフェノールA30モル、ネオペンチルグリコール50モル、プロピレングリコール20モルを仕込んだ。次に上記の内容物を窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、200〜210℃の温度範囲で反応させると共に、反応物の酸価を所定の方法によって、随時測定した。そして該酸価が5となった時点で、冷却し、上記の反応物に、マレイン酸80モルを添加し、再び200℃〜210℃の温度範囲で反応させた。これにより、不飽和ポリエステル(B)を得た。この不飽和ポリエステルの酸価は25.0mgKOH/gであった。
[合成例3]
温度計、ガス導入管、還流冷却器、および攪拌機を備えたフラスコを反応器とした。この反応器に、エポキシ等量190のエポキシ(エピコート828:油化シェルエポキシ製)3800g(エポキシ基20モル)ハイドロキノン0.5gを仕込んだ。内温115℃で空気を吹き込みながらトリメツルベンゾニウムクロライド5gを溶解させたメタクリル酸1800g(カルボキシル基20モル)を1時間かけて滴下し115℃で4時間反応させ、酸価3mgKOH/gで、テトラヒドロ無水フタル酸419g(1.5モル)を115℃で付加反応させ、酸変性ビニルエステル(C)を得た。このビニルエステル(C)の酸価は14.0mgKOH/gであった。
[実施例1]
上記の不飽和ポリエステル(A)にスチレンモノマー、メチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分40質量部、スチレンモノマー40質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート5質量部の樹脂組成物1を得た。
本樹脂組成物1を90質量部、低収縮化剤としてポリスチレン粉末(商品名:QP−2B)10質量部、ポリエチレン粉末(商品名:UF−80)2質量部、硬化剤(t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(10時間半減期温度=95℃))1.3質量部、炭酸カルシウム(商品名:NS#200)を80質量部、水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、商品名:CW308B)80質量部、内部離型剤(ステアリン酸亜鉛、日本油脂(株)製)5質量部、増粘剤(ジャパンコンポジット(株)製、商品名:ポリホープ増粘剤:24%酸化マグネシウムのペースト)4質量部、グレートナー(東洋インキ(株)製)5質量部、および補強繊維としてロービングガラス(日東紡(株)製、PG580)90質量部を用いて、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。
300角平板金型を用いて、金型温度は、製品面が145℃、裏面が125℃で、面圧10MPaで加熱圧縮成形した。10分で硬化し、板厚5mmのSMC成形平板を得た。これを用いて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
残留スチレンモノマー量、スチレンモノマーの放散速度の測定は、成形後24時間、25℃で保管した後に実施した。
残留スチレンモノマー量は、熱硬化性樹脂組成物の成形体から試験片を切り出し、スライサーにて厚さ方向に1〜2mmにスライスし、製品面側(高温で成形された側)と裏面側(低温で成形された側)に分割した。試験片を粉砕後、速やかに約1gを精秤し、内部標準としてシクロヘキサノン100ppmのジクロロメタン液15mlを加え、24時間、常温で抽出し、その抽出ガスクロマトグラフ質量分析装置(カラム名UADX30−30M−0.15F)で内部標準法でスチレンモノマー含有量を定量した。イニシャル温度150℃、インジェクション温度250℃で定量を行った。スチレンモノマー(質量数104)は測定開始から、5.98分、シクロヘキサノン(質量数98)は測定開始から、4.74分にピークを確認した。このようにして測定したスチレンモノマー量を次式を用いて残留スチレンモノマー量を算出した。残留スチレンモノマー量は、製品面側が45ppmで、裏面側が90ppmであった。
残留スチレンモノマー量(%)
=定量されたスチレンモノマー量(g)/平板サンプル量(g)×100
スチレンモノマーの放散速度は、熱硬化性樹脂組成物の成形体から試験片を切りだし、アドパック法(放散試験チャンバ法)により捕集した気体をガスクロマトグラフ質量分析装置にかけることで、その試験片から気中放散スチレンモノマーを測定した。20Lの小型チャンバーを試験前にシステムを解体し、洗浄を行う。260℃のオーブンで約1時間加熱処理する。約16cm角の試料を小口および裏面部分をアルミテープでシールし、化学物質が表面のみから放散されるようにシールボックスを用いた。約30分システムを運転して温湿度が定常状態になってから、試験体を設置した。所定の時間経過後、チャンバーの出口に捕集管を設置し、排出されるガスをサンプリングした。試験条件は、温度25±1℃、湿度50±4℃、換気回数0.5回/h(流量:167ml/min)、試料負荷率2.2m2/m3(試料2セット)とした。空気入口および排気出口を有し、かつ一定温度(25℃)に保持された密閉状の試験チャンバと同じ温度および一定の相対湿度(RH50%)の清浄な空気を空気入口により供給して、均一に拡散させ、その供給空気により換気されたチャンバ内の気体(排気)を排気出口から取り出して捕集し、その捕集気体をガスクロマトグラフ質量分析装置にかけて分析した。
スチレンモノマーの放散速度は、製品面側が10μg/(m2・h)で、裏面側が25μg/(m2・h)であった。
物性測定方法は次の通りである。
荷重たわみ温度は、JIS K6911に記載の方法に準拠して測定した。
硬化収縮率は、JIS K6911に記載の方法に準拠して測定した。
光沢度は、JIS K7105 5.2準拠して、入射角60度、検出角60度の条件で行った。
平滑性は、目視にて評価した。
評価基準:
○:平滑性に問題無し。
×:平滑性に問題あり。(巣穴、ガラスパターン、ソリなど)
曲げ強度は、JIS K7055に準拠して、下記の条件にて曲げ試験を行い、曲げ強度を求めた。
試験条件:
試験片:6.4mm(厚さ)×12.7mm(幅)×127mm(長さ)
スパン間:100mm
曲げ速度:2mm/分
測定温度:23℃
アイゾット衝撃強度は、JIS K7110に準拠して、下記の条件にて衝撃試験を行って求めた。
試験条件:
試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×64mm(長さ)
ノッチ:機械加工
測定温度:23℃
[実施例2]
上記の不飽和ポリエステル(A)にスチレンモノマー、メチルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分37質量部、スチレンモノマー40質量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート3質量部の樹脂組成物2を得た。
本樹脂組成物2を90質量部、硬化剤(t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(10時間半減期温度=95℃))をt−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度=96℃)1.3質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。結果を表1に記載した。
[実施例3]
上記の不飽和ポリエステル(B)にスチレンモノマー、イソボルニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分37質量部、スチレンモノマー30質量部、イソボルニルメタクリレート22質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート3質量部の樹脂組成物3を得た。
本樹脂組成物3を92質量部、低収縮化剤としてポリスチレン粉末(商品名:QP−2B)8質量部、硬化剤t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度=96℃)1.3質量部、炭酸カルシウム(商品名:NS#200)を160質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。結果を表1に記載した。
[実施例4]
上記の不飽和ポリエステル(B)にスチレンモノマー、ジシクロペンタニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分37質量部、スチレンモノマー30質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート22質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート3質量部の樹脂組成物4を得た。
本樹脂組成物4を92質量部、低収縮化剤として架橋ポリスチレン粉末(商品名:SGP−70C)8質量部、硬化剤t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度=96℃)1.3質量部、水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、商品名:CW308B)250質量部、内部離型剤(ステアリン酸亜鉛、日本油脂(株)製)5質量部、増粘剤(ジャパンコンポジット(株)製、商品名:ポリホープ増粘剤:24%酸化マグネシウムのペースト)4質量部、グレートナー(東洋インキ(株)製)5質量部、および補強繊維として6mmチョップドガラス(日東紡(株)製、CS6E−227)20質量部を、双腕型ニーダーで混練し、餅状のBMCを調整した。このBMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。結果を表1に記載した。
[実施例5]
上記の不飽和ポリエステル(B)にスチレンモノマー、ジブチルフマレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分45質量部、スチレンモノマー30質量部、ジブチルフマレート10質量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート5質量部の樹脂組成物5を得た。
本樹脂組成物5を90質量部、低収縮化剤としてポリスチレン粉末(商品名:QP−2B)10質量部、硬化剤t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度=96℃)1.3質量部、フィラーを水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、商品名:CW308B)150質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。成形温度を150/135℃に変えて良好な成形板を得た。結果を表1に記載した。
[実施例6]
上記の不飽和ポリエステル(B)にスチレンモノマー、メチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分45質量部、スチレンモノマー35質量部、メチルメタクリレート5質量部、イソボルニルメタクリレート10質量部の樹脂組成物6を得た。
本樹脂組成物6を95質量部、低収縮化剤として架橋ポリスチレン粉末(商品名:SGP−70C)5質量部、フィラーを水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、商品名:CW308B)160質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。結果を表1に記載した。
[参考例7]
上記の不飽和ポリエステル(C)にスチレンモノマー、メチルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分40質量部、スチレンモノマー30質量部、メチルメタクリレート15質量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート5質量部の樹脂組成物7を得た。
本樹脂組成物7を90質量部、低収縮化剤として架橋ポリスチレン粉末(商品名:SGP−70C)10質量部、硬化剤を1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(86.1℃)1.3質量部、フィラーを水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、商品名:CW308B)150質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。成形温度を130/110℃に変えて良好な成形板を得た。結果を表1に記載した。
[実施例8]
上記の不飽和ポリエステル(A)にスチレンモノマー、イソボルニルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートを表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分40質量部、スチレンモノマー15質量部、イソボルニルメタクリレート22質量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート13質量部の樹脂組成物8を得た。
本樹脂組成物8を90質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。結果を表1に記載した。
[実施例9]
上記の不飽和ポリエステル(A)にスチレンモノマー、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ビス(ジシクロペンタジエニル)フマレート(DCPD−FA−DCPD)を表1に示す量加えた後、重合禁止剤としてのハイドロキノンを100ppmになるよう添加し、均一に混合した。これにより固形分40質量部、スチレンモノマー20質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート10質量部、ビス(ジシクロペンタジエニル)フマレート10質量部の樹脂組成物9を得た。
本樹脂組成物9を90質量部に変え、硬化剤をt−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(95℃)からt−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(96℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。成形温度を150/135℃に変えて良好な成形板を得た。結果を表1に記載した。
[比較例1]
実施例1記載の樹脂組成物1において、メチルメタクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートとをスチレンモノマーに変えた。また硬化剤をt−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(95℃)からt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(98.7℃)に変えた以外は実施例1と同じ組成で、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。残留スチレンモノマー量は、製品面側が480ppmで、裏面側が850ppmであった。スチレンモノマーの放散速度は、製品面側が350μg/(m2・h)で、裏面側が570μg/(m2・h)であった。
[比較例2]
実施例3において、硬化剤をt−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(96℃)からt−ブチルパーオキシベンゾエート(104.3℃)に変えた以外は同じ組成で、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。金型温度を成形温度を150/135℃に上げて成形したが、残留スチレンモノマー量は、製品面側が372ppmで、裏面側が795ppmであった。スチレンモノマーの放散速度は、製品面側が320μg/(m2・h)で、裏面側が450μg/(m2・h)であった。
[比較例3]
実施例4記載の樹脂組成物4において、ジシクロペンタニルメタクリレートとトリメチロールプロパントリメタクリレートとをスチレンモノマーに置き換え、また、硬化剤をt−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート(96℃)からt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(98.7℃)に変えた以外は実施例4と同じ組成で、双腕型ニーダーで混練し、餅状のBMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。成形温度を145/130℃で成形した。残留スチレンモノマー量は、製品面側が395ppmで、裏面側が760ppmであった。スチレンモノマーの放散速度は、製品面側が360μg/(m2・h)で、裏面側が600μg/(m2・h)であった。
[比較例4]
参考例7において、樹脂組成物7は変えず、硬化剤のみを1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(86.1℃)1.3質量部からt−ブチルパーオキシベンゾエート(104.3℃)に変えた以外は同じ組成で、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。成形温度を145/130℃で成形した。残留スチレンモノマー量は、製品面側が347ppmで、裏面側が840ppmであった。スチレンモノマーの放散速度は、製品面側が340μg/(m2・h)で、裏面側が700μg/(m2・h)であった。
[比較例5]
実施例1記載の樹脂組成物1において、スチレンモノマー40質量部を1質量部に減じ、トリメチロールプロパントリアクリレートを添加せずメチルメタクリレート49質量部に増やした。SMC配合は実施例1と同じ組成として、公知のSMC含浸機でSMCを製造した。このSMCを40℃で24時間熟成させ、タックフリーの成形可能な硬さに調節した。残留スチレンモノマー量は、製品面側が6ppmで、裏面側が24ppmと少なく、スチレンモノマーの放散速度は、製品面側が1μg/(m2・h)で、裏面側が2μg/(m2・h)と少なかったが、成形品は、巣穴が多発し、平滑性は劣悪であった。また煮沸試験ではフクレが発生し、曲げ強度、アイゾット衝撃強度も実施例1とは劣っていた。
Figure 0004879474
Figure 0004879474
Figure 0004879474
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を用いることによって、従来のスチレンモノマーを含有する熱硬化性樹脂よりスチレンモノマーの放散速度、残留スチレンモノマー量が大幅に低減でき、VOCを大幅な低減でき、環境に優れている成形品を提供できる。強度や外観などの物性に優れ、高い生産性を有しており、経済性に優れている。

Claims (3)

  1. スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、単官能マレエート、及び多官能モノマーから選ばれる1種以上のモノマーと、不飽和ポリエステルおよび/またはビニルエステル樹脂を含有し、スチレンモノマーを15〜50質量%含有する熱硬化化性樹脂と、
    10時間半減期温度92℃以上97℃未満のt−アミル構造を有する重合開始剤と、
    アスペクト比が30以下のフィラーを熱硬化性樹脂100質量部に対して100〜400質量部と、
    アスペクト比が50以上のフィラーと
    を含有する加熱加圧成形材料を用い、雌雄一対の金型の少なくとも一方を重合開始剤の10時間半減期温度より30℃以上高い温度で成形された、成形品のスチレンモノマーの放散速度が300μg/(m2・h)以下であり、荷重たわみ温度が120℃以上であることを特徴とする成形品。
  2. スチレンモノマーと、(メタ)アクリレート、単官能フマレート、単官能マレエート、及び多官能モノマーから選ばれる1種以上のモノマーと、不飽和ポリエステルおよび/またはビニルエステル樹脂を含有し、スチレンモノマーを15〜50質量%含有する熱硬化化性樹脂と、
    10時間半減期温度92℃以上97℃未満のt−アミル構造を有する重合開始剤と、
    アスペクト比が30以下のフィラーを熱硬化性樹脂100質量部に対して100〜400質量部と、
    アスペクト比が50以上のフィラーと
    を含有する加熱加圧成形材料を用い、雌雄一対の金型の少なくとも一方を重合開始剤の10時間半減期温度より30℃以上高い温度で成形された、成形品の粉砕抽出法による残留スチレンモノマーが500ppm以下であり、荷重たわみ温度が120℃以上であることを特徴とする成形品。
  3. 住宅設備用途または車両部材用途であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形品。
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