JP4911911B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物に関する。より詳しくは、建築分野等における建築材料の仕上げ材等に用いられる不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物に関する。
熱硬化性樹脂は、建築分野等における建築材料の仕上げ材等として用いられ、例えば、常温で硬化する常温硬化システムに適応できるものが広く採用されている。このような熱硬化性樹脂は、常温でラジカル重合が可能であり、硬化物が靱性、強度、耐久性等の性能を有することから、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂が多くの実績があり、その他にもウレタン(メタ)アクリレート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは、例えば、床材、化粧板、家具材、防食材、被覆材、防水材、繊維強化プラスチック(FRP: Fiber Reinforced Plastics)材料、WPC(Wood Plastic Combination)、バスタブ(浴槽)、人造大理石、包装品等の様々な分野において広く用いられている。
このような種々の分野の中でも、例えば、一般積層用途に使用する場合には、その硬化物が強度や下地基体に対する追従性の他、耐熱水性、耐水性等の物性に優れること等が要求され、塗料やゲルコート剤、ライニング材等の被覆用途に使用する場合には、基材表面を保護し美観を保つ保護機能や美装機能、また、これらの機能の持続性能を向上させるために、その硬化物が耐候性、耐熱水性に優れていること等が求められている。また、化粧板用途に使用する場合には、高いフィルム剥離性や硬化性等が要求され、人造大理石用途に使用する場合には、意匠性や強度、耐候性の他、耐熱水性、熱衝撃や寒熱繰り返しに耐え得る耐衝撃性等が求められている。
ところで、建築材料に対するシックハウス対策として建築基準法等の一部改正があり、居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置に関する技術的基準の整備に関し、発散により衛生上の支障を生じるおそれのある化学物質としてホルムアルデヒドが挙げられている。例えば、内装仕上げ材の発散速度に関し、夏季においてその表面積1平方メートルにつき毎時0.12ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散するものが第一種ホルムアルデヒド発散建築材料(内装の仕上げには、用いないものとする)等とされることから、ホルムアルデヒドの発散量を基準値より低くして、内装仕上げ材等の分野において建築基準に適合させることができる技術が要望されている。
また昨今では、住宅や車両の内装用部材に使用される塗料や接着剤等の樹脂組成物中に含まれるトルエン、キシレン、スチレン等の揮発性有機物質(VOC;Volatile Organic Compounds)がシックハウス症候群の原因の1つと考えられ、室内におけるこれらVOC物質の放散を減少させることが強く求められている。法的な規制としては、例えば、厚生労働省の13物質に対するガイドラインや、国土交通省による建築基準法の改正、文部科学省の学校施設の規制等があり、これら全てにおいてスチレンの使用制限がなされている。また、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出把握管理促進)法により、有害性ある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どのくらい環境中に排出されたか又は廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計し、公表する義務が事業者に課されるようになり、このPRTR法に定める物質には「スチレン」が挙げられている。したがって、ホルムアルデヒドのみならず、スチレン放散量をも充分に低減することによって現在の法規制に充分に対応することができ、しかもモノマー揮散を充分に防止して優れた物性を発揮できる樹脂組成物を得るための技術が求められている。
従来の熱硬化性樹脂組成物に関し、脂環族系飽和酸、脂肪族系不飽和酸及びアルコールからなる不飽和ポリエステルと、重合性ビニル単量体と、顔料とからなる着色不飽和ポリエステル樹脂組成物が開示されており(例えば、特許文献1参照。)、実施例において、重合性ビニル単量体としてスチレンモノマーのみを使用した樹脂組成物が記載されている。しかしながら、この樹脂組成物では、建築基準法の改正等の法規制に充分に対応することができるようにスチレン放散量やホルムアルデヒド発散量を抑制するとともに、耐候性や耐熱水性に優れ、充分な機械的強度を有する硬化物を得るための工夫の余地があった。
また不飽和ポリエステル、特定の不飽和基モル数を有するスチレン及び(メタ)アクリレート系不飽和単量体からなる化粧板塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この樹脂組成物は、スチレンに(メタ)アクリレート系不飽和単量体を併用することでスチレン臭気を低減したものである。また、不飽和ポリエステルと、特定の化合物を少なくとも1種含む架橋剤モノマーとからなる不飽和ポリエステル樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この樹脂組成物では、架橋性モノマーとして特定の化合物を用いることで硬化性を向上しようとするものである。しかしながら、これらの樹脂組成物は、現在の法規制に充分に対応できるものとはいえず、現在のVOCに対する法規制に充分に対応できるようにするとともに、樹脂組成物をより低粘度化する等して各種物性に優れた硬化物を得るための工夫の余地があった。また、ホルムアルデヒド発散量を抑制することにより、樹脂組成物の硬化過程や硬化物において衛生上の支障を生じるおそれが充分に抑制され、各種の用途に好適なものとなるようにするための工夫の余地があった。
更に不飽和ポリエステルと重合性不飽和単量体とを含有し、その硬化物の光沢保持率が60%以上である人工大理石用不飽和ポリエステル樹脂組成物が開示されており(例えば、特許文献4参照。)、実施例において、重合性不飽和単量体としてスチレンモノマーのみを用いた樹脂組成物が記載されている。しかしながら、この樹脂組成物においては、スチレンの放散量やホルムアルデヒド発散量を充分に低減することにより、現在の法規制に充分に対応できるようにするとともに、耐熱水性や耐衝撃性等の物性により優れた硬化物が得られるようにするための工夫の余地があった。
特開平7−157645号公報(第2、4頁) 特開2002−371232号公報(第2頁) 特開平6−41260号公報(第2頁) 特開2002−121238号公報(第2、8頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、スチレンモノマー及びホルムアルデヒド発散量が充分に低減されることにより、化学物質の発散に対する衛生上の支障を生じるおそれが充分に抑制されるとともに、硬化性や貯蔵安定性、作業性に優れ、建築分野等における建築材料の仕上げ材等に有用な熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物について種々検討したところ、熱硬化性樹脂にβ−ジケトンを含有する樹脂組成物が、硬化過程や硬化後においてホルムアルデヒド発散量を低減することが可能であることに着目し、更に重合性単量体としてアルキル置換スチレン系単量体を特定量用いると、重合性単量体飛散量を大幅に低減することが可能となり、これらに起因して、現在の様々な法規制に充分に対応できるとともに、硬化性や貯蔵安定性等の各種物性に優れた硬化物が得られることを見いだした。そして、上記重合性単量体を含む熱硬化性樹脂とβ−ジケトンとを特定量含有する樹脂組成物とすると、様々な用途に有用なものとなることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、平成15年7月1日に施行された改正建築基準法における「シックハウス対策に係る建築基準法等の一部を改正する法律」を受け、建築分野等における建築材料等の最終製品が、ホルムアルデヒド発散量を充分に低減することを可能とするものである。
すなわち本発明は、重合体30〜90質量%及び重合性単量体10〜70質量%からなる熱硬化性樹脂と、上記熱硬化性樹脂100質量部に対してβ−ジケトン0.05〜3質量部とを含んでなる熱硬化性樹脂組成物であって、上記重合性単量体は、アルキル置換スチレン系単量体を全単量体成分100質量%に対して50質量%以上含有する熱硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)は、重合体及び重合性単量体からなる熱硬化性樹脂と、β−ジケトンとを含むものである。
上記熱硬化性樹脂において、重合性単量体としては、アルキル置換スチレン系単量体を必須とするものであるが、本発明の作用効果を損なわない範囲内でその他の単量体を含むことができる。
上記アルキル置換スチレン系単量体としては、スチレンをアルキル基で置換したものであれば特に限定されず、例えば、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン(メチルスチレン)、tert−ブチルスチレン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、p−メチルスチレン、ビニルトルエンであることが好適である。なお、ビニルトルエンとは、m−メチルスチレン及びp−メチルスチレンの混合体である。
上記アルキル置換スチレン系単量体の使用量としては、全単量体成分を100質量%とすると、50質量%以上であることが適当である。50質量%未満であると、重合性単量体の揮散を充分に抑制することができず、また、硬化性や塗膜物性を充分に向上することができないおそれがある。下限値としては、60質量%であることが好ましい。より好ましくは70質量%であり、更に好ましくは80質量%であり、最も好ましくは100質量%、すなわちアルキル置換スチレン系単量体のみで重合性単量体を構成することである。
なお、例えば、人造大理石や化粧板用途等の低粘度の樹脂が好まれる用途においては、アルキル置換スチレン系単量体の上限値は95質量%であることが好適である。95質量%を超えると、相対的に後述する(メタ)アクリレート系単量体の割合が減少するため、樹脂組成物の粘度を充分に低減することができないおそれがあり、また、経済的に不利となることがある。より好ましくは80質量%であり、更に好ましくは70質量%である。また、この場合の下限値としては60質量%であることが好適である。
上記重合性単量体が含んでもよいその他の単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、クロロスチレン、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の分子量が150よりも大きい(メタ)アクリレート系単量体;ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、例えば、人造大理石や化粧板用途等の高外観及び低粘度化が要求される用途においては、着色や臭気がなく、希釈効果が高い重合性単量体が好適である。
上記その他の単量体の使用量としては、全単量体成分を100質量%とすると、45質量%以下であることが好適であるが、30質量%以下であることが好ましい。
上記重合性単量体としてはまた、沸点120℃未満の単量体を含んでもよいが、このような単量体を含む場合には、熱硬化性樹脂(重合体及び重合性単量体)100質量%に対して、上限値を20質量%とすることが好ましい。PRTR法に定める物質にはスチレン、メチルメタクリレート(MMA)等があるが、環境中に排出されやすい低沸点の単量体を極力減らすことがPRTR法的にも有効であり、沸点120℃未満の単量体の含有量をこのような範囲に設定することによって、環境により配慮した樹脂組成物を得ることが可能となる。好ましい上限値は15質量%である。
上記重合性単量体としては更に、例えば、人造大理石や化粧板用途等の低粘度の樹脂が好まれる用途においては、分子量150以下の(メタ)アクリレート系単量体を含むことが好適であり、これにより、該(メタ)アクリレート系単量体が希釈効果の高いものであることに起因して、少量の重合性単量体で樹脂の低粘度化を実現することが可能となる。このように上記重合性単量体が、分子量150以下の(メタ)アクリレート系単量体を含有する形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
上記分子量150以下の(メタ)アクリレート系単量体としては、分子量が150以下の(メタ)アクリル酸エステルであれば特に限定されるものではないが、分子量が130以下であることが好適である。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、メチルメタクリレートであることが好適である。
なお、上記分子量とは、IUPACで規定された相対分子質量を意味する。
上記分子量150以下の(メタ)アクリレート系単量体の使用量としては、全単量体成分を100質量%とすると、下限が5質量%、上限が50質量%であることが好適である。5質量%未満であると、良好な希釈効果が得られず、粘度を充分に低減できないおそれがあり、また、耐候性や耐熱水性等を向上できず、例えば、熱環境に曝されたときの酸化による黄変等を充分に防止できないおそれがある。50質量%を超えると、相対的にアルキル置換スチレン系単量体の割合が減少するため、硬化性や、化粧板用途に要求されるフィルム剥離性を充分に向上できないおそれがある。より好ましい下限値は20質量%であり、更に好ましくは30質量%である。また、より好ましい上限値は40質量%である。
上記熱硬化性樹脂における重合性単量体の含有比率としては、熱硬化性樹脂(重合体と重合性単量体との合計)100質量%に対し、10〜70質量%であることが適当である。70質量%を超えると、硬化性を充分に向上することができず、また、臭気が良好ではなくなるおそれがある。更に、残留する重合性単量体量が増加し、これに起因して成形体からの放散量が増加し、建築基準法等の法規制に充分に対応できないおそれもある。一方、10質量%未満であると、硬化物の表面硬度等の物性が優れたものとはならず、また、粘度を充分に低減することができず、作業性に優れたものとはならないおそれがある。下限値としては15質量%であることが好ましく、より好ましくは20質量%である。上限値としては65質量%であることが好ましく、より好ましくは60質量%である。
上記熱硬化性樹脂において、重合体としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート等の1種又は2種以上のものから構成されるものであることが好ましい。中でも、靱性や強度、耐久性、耐候性、耐熱水性、透明性等の各種物性に優れる点から、不飽和ポリエステルを用いることが特に好適である。
上記重合体の含有比率としては、熱硬化性樹脂100質量%に対し、30〜90質量%であることが適当である。90質量%を超えると、粘度を充分に低減することができず、作業性に優れたものとはならないおそれがあり、30質量%未満であると、耐候性や耐熱水性を充分に向上することができないおそれがある。下限値としては35質量%であることが好ましく、より好ましくは40質量%である。上限値としては85質量%であることが好ましく、より好ましくは80質量%である。
以下に、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレートについてそれぞれ説明する。
<不飽和ポリエステル>
上記不飽和ポリエステルは、酸成分(多塩基酸成分)と、グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分とを縮合反応して得ることができる。なお、酸成分と、グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分との反応モル比としては特に限定されず、例えば、酸成分:グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分とした場合に、10:8〜10:12であることが好適である。また、多塩基酸成分やアルコール分(グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分)を縮合させる方法も特に限定されず、例えば、反応温度や反応時間等の反応条件も適宜設定すればよい。
上記酸成分としては、グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分に含まれる水酸基及び/又はエポキシ基と反応してエステル結合を生成することができる置換基を2つ以上有する化合物であればよく、不飽和多塩基酸を必須とし、その一部を飽和多塩基酸に置き換えて使用してもよい。
上記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸等のα,β―不飽和多塩基酸;ジヒドロムコン酸等のβ,γ―不飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記飽和多塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族飽和多塩基酸;ヘット酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環式飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル等の1種又は2種以上を使用することができる。
これらの中でも、耐熱水性や強度が特に要求される用途に使用する場合には、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸を用いることが好ましい。この場合、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸の使用量としては、全酸成分100モル%に対して下限が30モル%、上限が70モル%であることが好適である。30モル%未満であると、耐熱水性が充分とはならないおそれがあり、70モル%を超えると、不飽和酸の使用量が低下し、硬化性や強度を向上することができないおそれがある。より好ましい下限値は40モル%である。また、より好ましい上限値は60モル%であり、更に好ましくは50モル%である。
上記グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、3−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、4,5−ノナンジオール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、エーテルグリコールを用いることが好ましい。より好ましくは、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、テトラエチレングリコール(TetraEG)である。
上記エーテルグリコールとしては、全グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分100モル%に対して、下限が30モル%であることが好ましい。30モル%未満であると、初期モノマー含有率を充分に低減することができず、重合性単量体の揮散をより充分に抑制することができないおそれがある。より好ましい下限値は40モル%であり、更に好ましくは50モル%である。
上記グリコール成分としてはまた、被覆用途に用いる場合には、上記化合物の中でも、ネオペンチルグリコール(NPG)、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物及び水素化ビスフェノールA(HBPA)のうち少なくとも1種を用いることが好ましい。この場合、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物及び水素化ビスフェノールAの使用量としては、全グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分100モル%に対して下限が30モル%、上限が80モル%であることが好適である。30モル%未満であると、耐熱水性が充分とはならないおそれがあり、80モル%を超えると、引張り伸び率が充分とはならず、ゲルコート等の耐クラック性を特に必要とする用途に好適に使用できなくなるおそれがある。より好ましくは、下限は40モル%、上限は70モル%である。
上記エポキシ化合物成分としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、3,4−エポキシ−1−ブテン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記不飽和ポリエステルにおいては、上記原料の一部を、以下に示すアリル基等の不飽和結合を有する化合物に置き換えて製造してもよく、この場合には、いわゆる空気硬化型ポリエステルとすることができる。具体的には、少なくとも上述した多塩基酸成分の全量又は一部を、以下に示すアリル基等の不飽和結合を有する不飽和多塩基酸に置き換えるか、上述した通常のグリコール成分及び/若しくはエポキシ化合物成分の全量又は一部を、以下に示すアリル基等の不飽和結合を有するグリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分に置き換えればよい。
上記不飽和結合を有する不飽和多塩基酸成分としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、α−テルピネン−無水マレイン酸付加物、ジシクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物(エンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、ロジン、エステルガム、乾性油脂肪酸、半乾性油、脂肪酸等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記不飽和結合を有するグリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分としては、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールエタンモノアリルエーテル、トリメチロールエタンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の1種又は2種以上を使用することができる
上記置き換え形態の中でも、一般積層用途に用いる場合には、多塩基酸成分の一部をジシクロペンタジエンの不飽和多塩基酸付加物で置き換える形態や、グリコール成分の一部を、ジシクロペンタジエンのグリコール付加物類やヒドロキシジシクロペンタジエンで置き換える形態とすることが好適である。不飽和多塩基酸付加物としては、不飽和多塩基酸をジシクロペンタジエンに付加させてなる付加物、例えば、ジシクロペンタジエンのマレイン酸付加物等のジシクロペンタジエンの不飽和二価カルボン酸付加物を用いることができる。なお、ジシクロペンタジエンのマレイン酸付加物は、水の存在下、ジシクロペンタジエンと無水マレイン酸との付加を行うことによって製造することができる。
このような置き換えにより、ジシクロペンタジエン骨格を有する不飽和ポリエステルを得ることができ、これによって、樹脂の低粘度化を実現することができるとともに、重合性単量体の使用割合を低減できるため、重合性単量体の揮散を充分に抑制することが可能となり、一般積層用途に特に好適なものとすることが可能となる。
上記ジシクロペンタジエン(ノルボルネン)骨格とは、下記一般式(1)又は(2);
Figure 0004911911
で表される骨格であるが、このような骨格の含有率としては、下限値が20質量%以上であることが好適である。20質量%未満であると、樹脂組成物を充分に低粘度化することができず、作業性に優れたものとすることができないおそれがある。より好ましい下限値は25質量%であり、更に好ましくは30質量%である。また、上限値としては60質量%であることが好ましい。60質量%を超えると、硬化性や引張り伸び率が充分とはならないおそれがある。より好ましい上限値は50質量%である。
上記ジシクロペンタジエン骨格含有率(質量%)とは、下記式;
ジシクロペンタジエン骨格含有率(質量%)=(ジシクロペンタジエン骨格の質量)/(ジシクロペンタジエン骨格を有する不飽和ポリエステルの全体質量)×100
により求められる値である。
なお、「ジシクロペンタジエン骨格の質量」とは、使用したジシクロペンタジエン骨格を有する化合物のモル数に、ジシクロペンタジエン骨格の分子量(133)を乗じて得た値であり、「ジシクロペンタジエン骨格を有する不飽和ポリエステルの全体質量」とは、不飽和ポリエステルの原料のうち、エステル鎖を形成する成分(酸成分並びにグリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分の総質量(ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物の質量を含む))から、酸成分とグリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分との縮合反応で脱離する成分の質量を差し引いた値である。ここで、縮合重合時にジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を生成させた場合には、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物の質量は、その生成に用いた原料の質量から計算した理論量とすればよい。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有する不飽和ポリエステルとしてはまた、酸成分とグリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分との縮合重合時に、酸成分又はグリコール成分及び/若しくはエポキシ化合物成分と、ジシクロペンタジエンとの付加により、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を生成させることによっても得ることができる。すなわち、通常の不飽和ポリエステルに用いられる酸成分並びにグリコール成分及び/若しくはエポキシ化合物成分と、ジシクロペンタジエンとを混合して縮合重合を行ってもよく、また、酸成分と、グリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分とを混合して縮合重合を開始させた後、ジシクロペンタジエンを添加してもよい。
<ビニルエステル>
上記ビニルエステルとしては、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応により得ることができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA系樹脂、ノボラック系樹脂、レゾール系樹脂、ビスフェノールF系樹脂、水素化ビスフェノールA系の脂肪族系のエポキシ樹脂等が好適である。また、ビスフェノールA系樹脂やビスフェノールF系樹脂としては、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFと脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物とを反応させて得られる反応生成物であることが好ましい。
上記不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が好適である。
上記脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、脂肪族二官能アルコールのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物のものであり、エポキシ当量が300以下であることが好ましく、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ジ)グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が好適である。
上記ビニルエステルにおけるエポキシ樹脂や不飽和一塩基酸の種類や使用量としては特に限定されず、使用用途に応じて適宜設定すればよい。また、これらを反応させる方法としては特に限定されず、例えば、反応温度や反応時間等の反応条件も適宜設定すればよい。
<ウレタン(メタ)アクリレート>
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリオールと、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。
上記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカ−ボネ−トポリオール、ポリブタジエンポリオール等の1種又は2種以上が好適であり、数平均分子量が200〜3000であるものが好ましい。より好ましくは、数平均分子量が400〜2000のものである。なお、ポリエーテルポリオールとは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイドの他に、ビスフェノールAやビスフェノールFにアルキレンオキサイドを付加させたポリオールも使用することができる。また、ポリエステルポリオールとは、二塩基酸成分と多価アルコール成分との縮合重合体、又は、ポリカプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合体である。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート及びその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の1種又は2種以上が好適である。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類や、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類等の1種又は2種以上が好適である。
上記ウレタン(メタ)アクリレートにおけるポリオール、ポリイソシアネート及び水酸基を有する(メタ)アクリレートの種類や使用量としては特に限定されず、使用用途に応じて適宜設定すればよい。また、これらを反応させる方法としては特に限定されず、例えば、反応温度や反応時間等の反応条件も適宜設定すればよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、β−ジケトンとしては、熱硬化性樹脂の硬化を促進させるための促進助剤として通常用いられるものであればよく、例えば、下記一般式(3)〜(8)で表される化合物等の1種又は2種以上を使用することができる。なお、後述する他の促進助剤と併用してもよい。
Figure 0004911911
上記一般式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、炭素数が1〜6のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、炭素数が1〜6のアルコキシ基又は置換アルコキシ基を表す。nは、1〜5の整数を表す。mは、2〜7の整数を表す。
これらの中でも、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アニリド、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、N−ピロジニノアセトアセタミド、N,Nジメチルアセトアセタミドを用いることが好ましい。
なお、上記樹脂組成物が使用される用途に応じてこれらの化合物を適宜選択することが好ましく、例えば、着色が特に重要視される用途においては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等の着色が少ないβ−ジケトンを用いることが好適であり、これにより着色が充分に抑制されることとなる。また、着色が重要視されない用途では、樹脂組成物の必要物性に応じて選択すればよい。
上記β−ジケトンの含有割合としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、0.05〜3質量部であることが適当である。0.05質量部未満であると、ホルムアルデヒド発散量を充分に低減させることができないおそれがあり、また、硬化の立ち上がり時間を充分に短縮させることができないおそれがある。一方、3質量部を超えると、貯蔵安定性を充分に向上できないおそれがある。下限値としては0.07質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部である。上限値としては2質量部であることが好ましく、より好ましくは1.5質量部である。
上記熱硬化性樹脂組成物においてはまた、β−ジケトンと、第一級アミン及び/又は第二級アミンとを併用して用いることもでき、これにより、ホルムアルデヒド発散量を更に充分に低減することができるとともに、表面乾燥性や貯蔵安定性に充分に優れた樹脂組成物を得ることが可能となる。
上記アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、クレゾール等のアニリン類;アセト酢酸アニリド等のアニリド類を含む芳香族アミン類;モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン等の脂環式アミン;オクチルアミン;1−アセチル−2チオ尿素等の1種又は2種以上を使用することが好ましい。より好ましくは、脂環式アミンの一つであるピロリジン、ピペリジン等である。
なお、これら第一級、第二級アミン(第一級、第二級アミン化合物)は、予め樹脂組成物中に配合しておいてもよく、硬化させる直前に配合してもよい。また、本発明で用いる第一級、第二級アミン化合物には、予め配合した第一級、第二級アミン化合物が樹脂組成物中で骨格中や他の配合物と反応し、形成されたアミン化合物も含まれる。
上記第一級アミン及び/又は第二級アミンの使用量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対して、これらの総量の上限値が3質量部であることが好適である。3質量部を超えると、硬化性を充分に向上させることができないおそれがある。より好ましい上限値は2質量部であり、更に好ましくは1.5質量部である。また、下限値が0.01質量部であることが好適であり、これにより、ホルムアルデヒド発散量を更に充分に低減することが可能となる。より好ましい下限値は0.02質量部であり、更に好ましくは0.05質量部である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においてはまた、第四級アンモニウム塩、リン化合物、銅化合物及びニトロ化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を併用することが好適である。すなわち、第四級アンモニウム塩、リン化合物、銅化合物及びニトロ化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する上記熱硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。第四級アンモニウム塩を併用することにより、貯蔵安定性が更に向上するとともに、マットゲル化時間を短縮することができ、また、リン化合物を併用することによって、表面乾燥性や硬化性が向上され、例えば、マットゲル化時間(MG)と常温ゲル化時間(PL)との差を充分に低減することが可能となる。また、銅化合物を併用することにより、貯蔵安定性が向上されることとなり、また、ニトロ化合物を併用することにより、硬化時の発熱温度が低下するとともに、硬化速度が速くなりすぎることが充分に防止され、貯蔵安定性が向上されることとなる。したがって、これらの化合物は、本発明の樹脂組成物を使用する用途等に応じて適宜使用することが好適である。
上記第四級アンモニウム塩としては、例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、ジトリメチルベンシルアンモニウムオキザレート、トリメチルベンジルアンモニウムマレエート、トリメチルベンジルアンモニウムタータレート、トリメチルベンジルアンモニウムグリコレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、2−エチルヘキシルホスファイト、ベンゼンホスフォン酸、ベンゼンホスフィン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記銅化合物としては、例えば、グルコン酸銅、アセチルアセトン銅、酢酸銅、オレイン酸銅、ナフテン酸銅等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記ニトロ化合物としては、例えば、ジニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸、2−ニトロ−4−アミノフェノール、m−ニトロフェノール、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記第四級アンモニウム塩、リン化合物、銅化合物及びニトロ化合物の使用量としては、求める性能等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、以下のようにすることが好適である。
すなわち、上記第四級アンモニウム塩の使用量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、下限が0.001質量部、上限が0.1質量部とすることが好適であり、より好ましくは、下限が0.002質量部、上限が0.06質量部である。
上記リン化合物の使用量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、下限が0.001質量部、上限が0.1質量部とすることが好適であり、より好ましくは、下限が0.002質量部、上限が0.05質量部である。
上記銅化合物の使用量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、下限が0.001質量部、上限が0.1質量部とすることが好適であり、より好ましくは、下限が0.002質量部、上限が0.05質量部である。
上記ニトロ化合物の使用量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、下限が0.001質量部、上限が0.1質量部とすることが好適であり、より好ましくは、下限が0.002質量部、上限が0.06質量部である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物としては、金属石鹸を含有することが好適であり、これにより、樹脂組成物を好適に常温硬化させることが可能となる。金属石鹸としては、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト塩や、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸カリウム、オクチル酸カリウム、ナフテン酸カルシウム、オクチル酸カルシウム等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、コバルト塩を必須とすることが好適であり、全金属石鹸を100質量%とすると、コバルト塩が金属成分量として50質量%以上であることが好ましく、これにより、硬化性をより充分に高めることが可能となる。より好ましくは、60質量%以上である。
上記金属石鹸としては、熱硬化性樹脂を100質量部とすると、金属成分量として、0.01〜5質量部であることが適当である。0.01質量部未満であると、樹脂の硬化速度を向上することができず、また、充分に硬化できないおそれがあり、硬化物が持つ本来の強度物性が得られないおそれがある。5質量部を超えると、樹脂の硬化が速すぎるため、作業時間が取れないおそれがあり、また、硬化物の色調を良好なものとすることができないおそれがある。好ましい下限は0.1質量部、上限は2質量部であり、より好ましい下限は0.3質量部、上限は1質量部である
上記金属石鹸としてはまた、透明性が重要視される用途においては、コバルト塩とアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩とを併用することが好ましい。これにより、硬化性を高く維持しながらもコバルト塩による着色が充分に抑制され、より高度な透明性を確保することが可能となる。この場合、全金属石鹸中のコバルト塩の含有割合としては、金属石鹸の総量を100質量%とすると、硬化性をより高める観点から、コバルト塩が金属成分量として20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上である。また、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩の含有割合としては、金属石鹸の総量を100質量%とすると、金属成分量として下限が5質量%、上限が80質量%であることが好適である。5質量%未満であると、より高度な透明性を発揮できないおそれがあり、80質量%を超えると、硬化速度を充分なものとすることができないおそれがある。より好ましくは、下限が10質量%、上限が60質量%である。
上記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩としては、例えば、ナフテン酸カリウム、オクチル酸カリウム、ナフテン酸カルシウム、オクチル酸カルシウム等のカリウム塩及び/又はカルシウム塩であることが好適である。
上記熱硬化性樹脂組成物としてはまた、必要に応じ、樹脂の硬化を促進させるための促進助剤を含んでいてもよい。促進助剤としては、例えば、ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシ)−4−メチルアニリン等のアミン類等のβ−ケトエステル、β−ケトアミド類等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記促進助剤としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、下限が0.01質量部、上限が1.0質量部であることが好適である。より好ましくは、下限が0.01質量部、上限が0.7質量部である。なお、この使用量は、β−ジケトンを含む促進助剤の総量である。
上記熱硬化性樹脂組成物としては更に、本発明の作用効果を損なわない範囲内で、樹脂組成物の用途等に応じ、空気乾燥性付与剤、充填剤、揺変剤、繊維強化材(補強繊維材)、重合禁止剤、消泡剤、増粘剤、低収縮化剤、内部離型剤、着色剤、柄剤、連鎖移動剤、不活性粉体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、ブルーイング剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、安定剤等の添加剤を含むことができる。
上記空気乾燥性付与剤とは、樹脂が硬化する際に樹脂から形成される被膜や成形物の表面に析出し、空気との遮断層を該表面に形成することにより、空気中の酸素が樹脂のラジカル重合を阻害することを防止して樹脂の乾燥性を向上させる作用を有するものである。このような空気乾燥性付与剤を含有することにより、樹脂表面の乾燥性が向上することとなるので、表面乾燥性が必要な用途に好適に使用されることとなる。
上記空気乾燥性付与剤としては、例えば、以下の(1)〜(3)に記載するワックス類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
(1)天然ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等の植物系ワックス;密蝋、ラノリン、鯨蝋等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス等が挙げられる。
(2)合成ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス;動物性油脂の誘導体;カルボキシル基含有単量体とオレフィンとの共重合体;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス;ステアリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸オクタデシル等の炭素数12以上の脂肪酸及びその誘導体;アルキルフェニールや高級アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したアルコール類等が挙げられる。
(3)その他のものとしては、例えば、天然ワックスや合成ワックス等の配合ワックス等が挙げられる。
また上記ワックス類に、他の成分を含んでもよい。
これらの中でも、パラフィンワックスを用いることが好ましい。
上記空気乾燥性付与剤としてはまた、本発明の樹脂組成物を常温で硬化させる場合や、防水ライニング用途に使用する場合には、JIS K2235−1991に分類される融点が40〜80℃であるものの1種又は2種以上を用いることが好ましい。これにより、樹脂組成物の施工において、硬化途中の樹脂組成物から形成される被膜や成形物の表面に析出しやすくなるため、空気との遮断層が充分に形成されることとなり、また、樹脂組成物中に空気乾燥性付与剤が充分に溶解することが可能となる。なお、特に防水ライニング用途に使用した場合には、乾燥後の防水性と基材に対する追従性、耐加重性、耐磨耗性等の機械的特性や、防根性、耐薬品性、長期耐久性等の付加性能も充分かつ確実に発揮させることが可能となる。また、化粧板用途に使用した場合には、フィルム法による化粧板の製造過程において、空気に接触しているミミ部が充分に硬化し、べとついたりすることがなくなるため、より効率的にフィルムを剥離することが可能となる。
上記空気乾燥性付与剤の使用が必要な場合、その使用量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、下限が0.001質量部(10ppm)、上限が1質量部とすることが好ましい。より好ましくは、下限が0.003質量部、上限が0.3質量部である。
上記充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム(ATH)、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、クレー、タルク、ガラスパウダー、ミルドファイバー、クリストバライト、マイカ、シリカ、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、ガラス粉末、珪砂、ベントナイト等の無機充填剤;有機充填剤等が挙げられ、使用量としては特に限定されないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、20質量部以上、300質量部以下であることが好ましい。
なお、上記樹脂組成物としては、これらの充填剤を用いることにより、注型(人大)、塗床材により好適に使用することが可能となる。この場合、ATHやシリカを用いることがより好ましく、使用量としては、120質量部以上、200質量部以下であることが好適である。
上記揺変剤としては、例えば、ヒュームドシリカ等が挙げられ、使用量としては特に限定されないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。なお、上記樹脂組成物としては、これらの揺変剤を用いることにより、防水ライニングや塗料、ゲルコート等の用途により好適に使用することが可能となる。
上記繊維強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックからなる繊維等の無機繊維;アラミド、ポリエステル、ビニロン、フェノール、テフロン(登録商標)等の有機繊維;天然繊維等が挙げられ、中でも、ガラス繊維が好適である。繊維強化材の使用量としては特に限定されないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、5質量部以上、70質量部以下であることが好ましい。なお、上記樹脂組成物としては、繊維強化材を用いることにより、繊維強化プラスチック(FRP)材料や防水ライニング等の用途により好適に使用することが可能となる。
なお、この場合、防水ライニング用材料(防水材)等の調製や施工性の点から、本発明の樹脂組成物を施工した後にクロス(織物)状、マット状、不織布状等のガラス繊維を積層することにより樹脂組成物を繊維強化材に含浸することが好ましい。中でも、マット状のガラス繊維を用いることが好ましい。また、樹脂組成物を施工した後にチョップ状のガラス繊維を散布して積層することにより樹脂組成物を繊維強化材に含浸することもできる。
上記重合禁止剤は、可使時間、硬化反応の立ち上がりを調整するために用いられ、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン類;t−ブチルカテコール等のカテコール類;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−メトキシフェノール等のフェノール類;フェノチアジン、ナフテン酸銅等が好適である。
上記消泡剤としては、シリコン系等の他、市販の高分子系消飽剤その他添加剤を用いることができる。
上記増粘剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の多価金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の多価金属水酸化物;多官能イソシアネート等が好適である。
上記不活性粉体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂硬化物、ゴム、木材等の粉体及び/又は粉砕物等が好適である。なお、上記樹脂組成物としては、充填剤及び/又は不活性粉体を用いることにより、特にレジンモルタルパテ材用途に好適に使用することが可能となる。
上記低収縮化剤は、成形収縮を調整するために用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、架橋ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル−ポリスチレンブロックコポリマー、アクリル/スチレン等の多相構造ポリマー、架橋/非架橋等の多相構造ポリマー、SBS(ゴム)等が挙げられ、使用量としては特に限定されないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、5質量部以上、50質量部以下であることが好ましい。
上記内部離型剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸及びステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩等が挙げられ、使用量としては特に限定されないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、1質量部以上、10質量部以下であることが好適である。
上記着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、フタロシアニンブルー等の通常用いられる顔料が挙げられ、使用量としては、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して、上限が30質量部であることが好ましい。より好ましい上限は20質量部である。
上記柄剤としては、例えば、酸化アルミニウム、PETフィルム、マイカ、セラミック及びそれらを着色剤、表面処理剤等でコーティングしたもの、メッキ処理したもの、熱硬化性樹脂と無機フィラーと着色剤等とを熱硬化させて粉砕したもの等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物としては、硬度、光沢、肉持ち感、耐溶剤性等の基本性能に優れ、極めて高度な耐候性を有し、可撓性をも有する塗膜を形成し得るものである。そのため、例えば、フィルム、シートを含むプラスチック成型品、太陽電池、ポリマー電池、家電製品、鋼製品、大型構造物、自動車、船舶、建築、建材、木工、ガードフェンス、表示物、機械、器具、産業機器、ガラス製品、各種工業製品等の下塗り、中塗り、上塗り塗装用塗料等の他、人造大理石や化粧板用途にも好適に用いられるものであり、様々な基材に対して、上記のような基本性能を付与し、機械的衝撃から表面を保護し美観を与え、保護機能、美装機能等を持続させて寿命を延ばし、メンテナンスコストを低減させることができるものである。
以下に、本発明の樹脂組成物を用いて、(a)塗膜を形成する方法、(b)化粧板を製造する方法、(c)人造大理石を製造する方法について、それぞれ説明する。
(a)塗膜形成方法
上記樹脂組成物により被膜(塗膜)を形成する方法としては、例えば、本発明の樹脂組成物に硬化剤を混合し、基材に塗布した後硬化させることにより被膜を成形する方法;マット状の繊維強化材を用いる場合には、本発明の樹脂組成物に硬化剤を混合し、ハンドレイアップ等により繊維強化材を含浸させて被覆材とし、硬化させることにより被膜を形成する方法等が挙げられる。
上記硬化剤としては、通常使用されるものを用いることができ、例えば、アセチルアセトンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、ジエチルケトンパーオキサイド、メチルプロピルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、エチルアセトアセテートパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、キュメンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルイソプロピルパーオキシカーボネート、1,1−ジブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、アミルパーオキシ−p−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−へキシルパーオキシベンゾエート等の1種又は2種以上を使用することができる。使用量としては特に限定されないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、5質量部以下であることが好適である。
上記基材としては、例えば、ガラス、スレート、コンクリート、モルタル、セラミック、石材等の無機質基材;アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、銅、チタン、ステンレス、ブリキ、トタン等からなる金属板、表面に亜鉛、銅、クロム等をメッキした金属、表面をクロム酸、リン酸等で処理した金属等の金属基材;ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、FRP(織維強化プラスチック)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、等のプラスチック基材;合成皮革;ヒノキ、スギ、マツ、合板等の木材;繊維、紙等の有機素材等が挙げられる。また、これらの基材は、本発明の樹脂組成物が塗装される前に、通常用いられるプライマーや、下塗り、中塗り、メタリックベース等の上塗り等塗装用塗料が塗装されていてもよい。
上記樹脂組成物を基材に塗布する方法及び硬化方法としては、該樹脂組成物が用いられる用途により適宜設定すればよいが、塗装方法としては、例えば、浸漬塗り、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、スピンコート、バーコート、フローコート、静電塗装、ダイコート、フイルムラミネート、ゲルコート等による塗装法等により行うことができる。硬化方法としては、例えば、施工直前に、硬化剤を樹脂組成物に混合し硬化させることができる。また、硬化条件において、硬化温度としては、常温で行うことが好ましい。より好ましくは、−10〜60℃であり、更に好ましくは、10〜40℃である。ゲル化時間としては、1〜180分であることが好ましい。より好ましくは、5〜60分である。なお、上記樹脂組成物から形成される塗膜の膜厚としては、用いられる用途により適宜設定すればよい。
(b)化粧板製造方法
上記樹脂組成物により化粧板を成形する方法としては、通常、以下に記述するフィルム法と呼ばれる方法を用いることが好適である。フィルム法の製造工程は以下のような方法で成形する。
(1)成形台にミミがある紙貼り合板をセットする。
(2)硬化剤の入った樹脂組成物を紙貼り合板上に流す。
(3)テンションをかけてフィルムを貼った型枠を載せる。
(4)ローラーを数回掛けて硬化剤の入った樹脂組成物を延伸して、紙貼り合板に含浸させる。
なお、上記(2)〜(5)までの時間は通常1〜3分で行う。
(5)5〜10分後に成形台から化粧板がついた型枠を降ろす。
(6)常温で約1時間以上硬化させる(この間に加熱養生等を行うこともある。)。
(7)化粧板のミミ部を持ち、化粧板をフィルムから剥がす。
(8)このフィルムを貼った型枠を再度使用して上記(1)〜(6)を繰り返して化粧板を成形する。
上記樹脂組成物の硬化方法としては、成形する直前に硬化剤を混合することにより硬化させることができる。硬化剤及びその使用量としては、上述したとおりである。また、硬化条件に関し、硬化温度としては、常温で行うことが好ましい。より好ましくは10〜40℃であり、更に好ましくは15〜35℃である。ゲル化時間としては1〜10分であることが好ましい。より好ましくは2〜5分である。ゲル化してからフィルムから剥がすまでの間に遠赤ランプ等の光や熱による養生を行うと、成形した化粧板の臭気を低減することもできる。なお、上記樹脂組成物から形成される硬化膜の膜厚としては、用いられる用途等に応じて適宜設定すればよい。
(c)人造大理石製造方法
上記人造大理石の製造方法としては、例えば、上記樹脂組成物を加熱成形することにより得ることができ、通常の注型法、圧縮成形法、射出成形法、トランスファー成形法、インジェクション成形法、押出成形法等を使用することができる。中でも、注型法によることが好適である。注型法としては、FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)型を使用し、常温付近で成形する常温注型法;電鋳型、金型を使用し、60〜110℃程度の成形温度で成形する中温注型法等が好ましい
上記樹脂組成物の硬化方法としては、成形する直前に硬化剤を混合することにより硬化させることができる。硬化剤及びその使用量としては、上述したとおりである。また、硬化条件に関し、硬化温度としては、常温で行うことが好ましい。より好ましくは10〜40℃であり、更に好ましくは15〜35℃である。ゲル化時間としては10〜60分であることが好ましい。より好ましくは、0〜40分である。なお、上記樹脂組成物から形成される板厚としては、用いられる用途等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述のような構成であるので、スチレンモノマー及びホルムアルデヒド発散量が充分に低減されることにより、化学物質の発散に対する衛生上の支障を生じるおそれが充分に抑制されるとともに、硬化性や貯蔵安定性、作業性に優れることから、建築分野等における建築材料の仕上げ材等として、例えば、床材、化粧板、家具材、防食材、被覆材、防水材、繊維強化プラスチック材料、WPC、バスタブ、人造大理石、包装品等の様々な分野に好適に適用することが可能である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記の製造例において、酸価は、JIS K6911−1995 4.3に記載の方法に準拠して測定した。
また数平均分子量及び二重結合力価は、下記方法に従って求めた。
(数平均分子量)
下記分析・測定条件下、東ソーGPCシステム8120シリーズを使用して測定した。
使用カラム:TSK gel SUPER HM−H(6mm id.X 150mm)4本直列接続
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(分子量500、2500、9800、37200、189000、707000、1110000)。
(二重結合力価)
被架橋重合体/不飽和多塩基酸(又は不飽和基含有エポキシ)のモル数
とするか、又は、不飽和ポリエステルの場合、
{(酸成分+グリコール成分)−縮合水}/不飽和酸のモル数
とする。
製造例1
(重合体Aの合成)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコを反応器とした。この反応器に、無水マレイン酸100モル、ジシクロペンタジエン90モル及び脱イオン水90モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、130℃で3時間かけて付加反応を行い、ジシクロペンタジエンのマレイン酸付加物を得た。次に、エチレングリコール5モル及びジエチレングリコール50モルを添加混合し、200℃で8時間反応させた。これにより、ジシクロペンタジエン骨格を含む重合体Aを得た。この重合体Aの酸価は15.0mgKOH/gであった。
製造例2
(重合体Bの合成)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコを反応器とした。この反応器に、イソフタル酸45モル、ジエチレングリコール25モル、プロピレングリコール10モル、ネオペンチルグリコール65モルを仕込んだ。次に上記の内容物を窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら、200〜220℃の温度範囲で反応させるとともに、反応物の酸価を、JIS K6911−1995 4.3に記載の方法に準拠して随時測定した。そして酸価が10mgKOH/gとなった時点で、上記反応物に、無水マレイン酸55モルを添加混合し、200〜220℃に昇温し、8時間反応させた。これにより、重合体Bを得た。この重合体Bの酸価は15.0mgKOH/gであった。
製造例3
(重合体Cの合成)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器及び攪拌機を備えたフラスコを反応器とした。この反応器に、無水フタル酸50モル、無水マレイン酸50モル、プロピレングリコール75モル、ジエチレングリコール35モルを仕込んだ。次に上記の内容物を窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、無水フタル酸、無水マレイン酸の開環発熱終了後、200〜210℃に昇温し、8時間反応させた。これにより重合体Cを得た。この重合体Cの酸価は35mgKOH/gであった。
製造例4
(重合体Dの合成)
温度計、撹拌機、空気吹込管及び還流冷却管を備えた四ツ口フラスコに、グリシジルメタクリレート284部、1,12−(6−エチルドデカン)ジカルボン酸と1,16−(6−エチルヘキサデカン)ジカルボン酸との混合物(商品名「SB−20」、岡村製油社製、酸価328mgKOH/g)685部、オクチル酸亜鉛4部、及び、ハイドロキノン0.4部を仕込んだ。続いて、上記混合物を空気気流中で撹拌して、115℃で2時間反応させた。この生成物の酸価は115mgKOH/gであった。更に、ビスフェノールA型エポキシ化合物(商品名「アラルダイドAER250」、旭チバ社製、平均エポキシ当量185)347部と、トリエチルアミン1.4部とを投入した。この混合物を空気気流中で撹拌して、115℃3時間反応させた。これにより数平均分子量3000、二重結合力価658、酸価が5.0mgKOH/gのビニルエステル(重合体D)を得た。
実施例1〜9、比較例1〜9
製造例1〜4で得た重合体A〜D及び表1、2に示す重合性単量体を表1、2に示す質量比で含有する熱硬化性樹脂100部に対し、表1、2に示すβ−ジケトンやアミンを適宜添加することにより熱硬化性樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用い、下記方法に従ってホルムアルデヒド放散量及びスチレン放散量を測定した。結果を表1、2に示す。
<ホルムアルデヒド放散量>
JIS K5601−4−1(2003年)(デシケーター法)に準じて測定を行った。
<スチレン放散量>
JIS A1901(2003年)(小型チャンバー法−建築材料の揮発性有機化合物(VOC)、ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散測定法)の(附属書2(参考)小型チャンバーの例(20L))に記載されている手順に基づき、測定温度28℃、湿度50%、換気回数0.5回/hr、試料負荷率2.2m/mの条件下で、ガスクロマトグラフ質量分析装置にて試験片からの気中放散スチレンを測定した。
Figure 0004911911
Figure 0004911911
上記表中の記号は、以下のとおりである。
SM:スチレンモノマー
VT:ビニルトルエン(m−ビニルトルエン:p−ビニルトルエン=約65:35のものを実施例で使用した。)
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
HEPMA:ヒドロキシエチルプロピルメタクリレート
また表1、2において、β−ジケトン及びアミンは、熱硬化性樹脂100部に対する量(部)として示した。
なお、表1の実施例には記載していないが、ビニルトルエンとしてp−ビニルトルエン純品を使用した場合も同様の効果が得られた。

Claims (1)

  1. 重合体30〜90質量%及び重合性単量体10〜70質量%からなる熱硬化性樹脂と、該熱硬化性樹脂100質量部に対してβ−ジケトン0.05〜3質量部とを含んでなる熱硬化性樹脂組成物であって、
    該重合体は、不飽和ポリエステル又はビニルエステルであり、
    該重合性単量体は、アルキル置換スチレン系単量体を全単量体成分100質量%に対して50質量%以上含有する
    ことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
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