JP6685758B2 - 繊維強化プラスチック用樹脂組成物、防水構造、及び防水構造の製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック用樹脂組成物、防水構造、及び防水構造の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊維強化プラスチックに用いられる樹脂組成物、防水構造、及び防水構造の製造方法に関する。
建造物の屋上、ベランダ、バルコニー、腰壁、パラペット、浴室洗い場、及びトイレ、並びに駐車場などには、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics; FRP)層を備える積層構造体による防水処理が行われている。また、プール、下水道施設、浄水場施設、オゾン処理層、貯水槽、及び化学工場床などにも、FRP層を備える積層構造体による防水・防食処理が行われている。以下、本明細書において、前記防水処理及び前記防水・防食処理に用いられる前記FRP層を備える積層構造体をまとめて防水構造という。
上述の防水構造におけるFRP層は、一般的に、施工現場にて、ガラスチョップドストランドマットなどの繊維基材に不飽和ポリエステル樹脂組成物やビニルエステル樹脂組成物などの樹脂組成物を含浸させつつ塗布することにより形成されている(例えば特許文献1参照)。
前記FRP層の形成に用いられる不飽和ポリエステル樹脂組成物やビニルエステル樹脂組成物などの樹脂組成物には、スチレンモノマー(以下、スチレン)を多量に含有する樹脂組成物が用いられることが多い。スチレンは樹脂組成物における成分として、耐久性能、硬化反応性など諸物性の向上に大きく寄与するものであり、FRPの根幹ともいえる重要な成分である。また、FRPに使用されるガラスチョップドストランドマットに使用されるサイジング剤(収束剤)もスチレンへの溶解性に特化したものが一般的である。しかし、スチレンを多量に含有する樹脂組成物を用いると、施工時にスチレンの揮発と臭気を伴うため、作業環境の面で改善が求められる。また、スチレンは、「平成26年11月の特定化学物質障害予防規則・作業環境測定基準等の改正」において、厚生労働省が掲げている規制対象物質の一つであり、今後削減することが求められている。
例えば特許文献2には、施工時に発生する防水材からのスチレンや有機溶剤などの臭気成分の揮散を抑制することなどを目的とした低臭型FRP防水構造に関する発明が開示されている。特許文献2には、水性樹脂エマルジョンからなる防水性塗膜と、その防水性塗膜の上にノンスチレン型の不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂を繊維マットに含浸させ複合化したノンスチレン型FRP防水材層を有するFRP防水構造が提案されている。
特開平5−214791号公報 特開2005−271295号公報
本発明者らも、従来、防水構造におけるFRP層の形成に用いられてきたスチレンを、作業環境や環境規制の観点から、他のモノマーに替える検討を行っていたところ、繊維基材に含浸し難いモノマーが多いことに気が付いた。繊維基材とともにFRP層を形成する樹脂組成物に繊維基材に含浸し難いモノマーを含有させると、その樹脂組成物も繊維基材に対して含浸し難くなって施工作業性が低下する。また、樹脂組成物が繊維基材に含浸し難いと、十分な強度や耐久性などの性能を発揮できないFRP層が形成される懸念も生じる。
そこで、本発明は、繊維強化プラスチックを形成する際に繊維基材に含浸しやすい環境対応型の樹脂組成物を提供しようとするものである。
実際の施工現場で用いられるガラスチョップドストランドマットなどの繊維基材は、スチレンへの溶解性に特化したサイジング剤が使用されている。そのため、従来の非スチレン系樹脂に含有されるモノマーは繊維基材に含浸し難いことが、本発明者らの検討の結果、確認された。これまで、樹脂組成物に用いられるモノマーの繊維基材への含浸性はほとんど考慮されていなかったと考えられる。
本発明者らは、スチレンの代替として、作業環境面を考慮して臭気の低いモノマーを選定し、その選定した多数のモノマーそれぞれの繊維基材への含浸性を確認する試験を行ったところ、ほとんどのモノマーが繊維基材に対して含浸し難いことが分かった。しかし、本発明者らは数多くの試行錯誤を重ねた結果、繊維基材に対する含浸性が良好な特定のモノマーを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、繊維基材に含浸させて形成される繊維強化プラスチックに用いられる樹脂組成物であって、重合性樹脂及び重合性単量体を含有し、前記重合性単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する樹脂組成物を提供する。
本発明によれば、繊維強化プラスチックを形成する際に繊維基材に含浸しやすい環境対応型の樹脂組成物を提供することができる。
本発明の一実施形態の防水構造及びその製造方法を説明するための防水構造の一例を表す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<樹脂組成物>
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、繊維基材に含浸させて形成される繊維強化プラスチック(FRP)に用いられるものである。その樹脂組成物は、重合性樹脂及び重合性単量体を含有する。そして、その樹脂組成物は、重合性単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする。
[用途]
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、FRPの形成のために、繊維基材に含浸させて用いられるものである。使用の際に樹脂組成物を含浸させる対象となる繊維基材の形態としては、例えば、シート状、マット状、メッシュ状、及びクロス状などを挙げることができる。また、繊維基材を構成する繊維としては、例えば、ガラス繊維、アミド樹脂繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、フェノール樹脂繊維、カーボン繊維、金属繊維、及びセラミック繊維などを挙げることができる。樹脂組成物を含浸させる繊維基材としては、ガラス繊維基材が好ましく、ガラス繊維製のロービングクロス、チョップドストランドマット、及びサーフェイスマットがより好ましく、ガラスチョップドストランドマットがさらに好ましい。
本発明の一実施形態の樹脂組成物及び繊維基材を用いて形成される繊維強化プラスチックは、建築材料に用いられることが好ましく、防水材に用いられることがより好ましい。具体的には、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、建造物の屋上、ベランダ、バルコニー、腰壁、パラペット、浴室洗い場、及びトイレ、並びに駐車場などの防水構造におけるFRP防水材に用いられることが好ましい。また、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、プール、下水道施設、浄水場施設、オゾン処理層、貯水槽、及び化学工場床などの防水構造におけるFRP防水材に用いられることも好ましい。
[重合性単量体]
繊維基材に含浸させる樹脂組成物には、重合性単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート(以下、これらを「特定の重合性単量体」ということがある。)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有させる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方が含まれることを意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方が含まれることを意味する。
従来の防水構造におけるFRP層には、スチレンを多量に含有する樹脂組成物が用いられてきた。しかし、スチレンを多量に含有する樹脂組成物は、施工時にスチレンの揮発と臭気を伴うため、作業環境の面で改善の余地があり、また、スチレンは、規制対象物質の一つであり、今後削減することが求められている。そこで、本発明者らは、従来の防水構造におけるFRP層を形成する樹脂組成物に用いられてきたスチレンを、作業環境や環境規制の観点から、他のモノマーに替える検討を行った。
本発明者らは、樹脂組成物に含有させるスチレンの代替の重合性単量体として、まず、作業環境面を考慮して、重合性単量体の揮散によって発生し得る臭気が低いものを選定した。そのように選定しても、多数(数十種以上)の重合性単量体があった。本発明者らは、選定した多数の重合性単量体のそれぞれについて、繊維基材への含浸性を確認するべく、繊維基材に対して重合性単量体を所定量滴下したときの状態変化を観察する試験を鋭意行った。そうした試験による数多くの試行錯誤の結果、多くの重合性単量体は繊維基材に含浸し難いながら、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートは繊維基材に対する含浸性が良好であることが見出された。なかでも、ベンジルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートは、繊維基材に対して、スチレンと同等レベルの優れた含浸性を示すことが確認された。したがって、本実施形態の樹脂組成物は、ベンジルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましい。
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、上記特定の重合性単量体以外の重合性単量体(以下、「その他の重合性単量体」ということがある。)を含有してもよい。その他の重合性単量体としては、スチレン以外の重合性単量体を用いることができ、樹脂組成物の硬化時に後述する重合性樹脂と反応する重合性単量体であれば特に限定されない。そのような重合性単量体として、後述する不飽和基を有するラジカル重合性樹脂における不飽和基と架橋反応する重合性単量体を好適に用いることができる。
その他の重合性単量体としては、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、不飽和モノカルボン酸のモノエステル、多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記不飽和モノカルボン酸のモノエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、その他の重合性単量体としては、フェノールエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシイソプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレートなども挙げられる。
さらに、その他の重合性単量体としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレートなどの、炭素数2〜4のジオールのオリゴエーテルモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートも挙げられる。
その他の重合性単量体は、上記具体例に限定されず、また、樹脂組成物において、1種又は2種以上が用いられてもよい。
前述の特定の重合性単量体及びその他の重合性単量体は、樹脂組成物の粘度を低下させる効果を奏することも可能である。樹脂組成物の粘度を低下させることで、繊維基材に対して塗工しやすい樹脂組成物とすることが可能である。また、上記特定の重合性単量体及びその他の重合性単量体は、樹脂組成物を繊維基材に含浸させてFRPを形成したときにFRPの強度、硬度、及び耐水性などの物性を向上させる効果を奏することも可能である。
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、重合性単量体として、上記特定の重合性単量体を含有し、その特定の重合性単量体によって繊維基材に対して優れた含浸性を示すため、樹脂組成物にスチレンを含有させる必要がない。したがって、本実施形態の樹脂組成物は、作業環境や環境規制の観点から、より使いやすいものである。
樹脂組成物中のベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート(特定の重合性単量体)の合計の含有量は、10〜70質量%であることが好ましい。樹脂組成物中の特定の重合性単量体の合計の含有量は、樹脂組成物全体が繊維基材に良好に含浸するように、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、特定の重合性単量体の合計含有量は、樹脂組成物に適度な粘度をもたせる観点、及び樹脂組成物を繊維基材に含浸させてFRPを形成したときにFRPの強度などの物性を確保する観点から、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましい。
[重合性樹脂]
繊維基材に含浸させる樹脂組成物には、重合性樹脂を含有させる。重合性樹脂は、同じく樹脂組成物に含有させる前述の重合性単量体とともにFRPの主骨格をなす成分である。重合性樹脂は、重合性(反応性)を有する樹脂であればよく、ポリマー、コポリマー、及びオリゴマーのいずれでもよい。重合性樹脂としては、特に限定されず、従来から、FRPを形成するために繊維基材に含浸させて用いられている樹脂を用いることができる。
重合性樹脂として、ラジカル重合性樹脂が好適に用いられ、不飽和二重結合等の不飽和基を有するラジカル重合性樹脂がより好適に用いられる。好適なラジカル重合性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂などを挙げることができる。これらの重合性樹脂には市販品を用いることができ、また、重合性樹脂の1種又は2種以上を用いることができる。
不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、多価アルコールと、不飽和多塩基酸及び/又はその酸無水物とのエステル化反応により得られ、その反応物を不飽和ポリエステル樹脂として用いることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。不飽和多塩基酸及びその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及び無水マレイン酸などが挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂の原料としての多価アルコール、不飽和多塩基酸及びその無水物は、それぞれ、上記具体例に限定されず、また、不飽和ポリエステル樹脂の合成において1種又は2種以上が用いられてもよい。
ビニルエステル樹脂は、エポキシ(メタ)アクリレートとも称され、例えば、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸又は不飽和二塩基酸とのエステル化反応により得られ、その反応物をビニルエステル樹脂として用いることができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型グリシジルエーテル及びノボラック型グリシジルエーテルなどが挙げられる。不飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸及びメタクリル酸などが挙げられ、飽和二塩基酸としては、例えばアジピン酸、セバシン酸、及びダイマー酸などが挙げられる。ビニルエステル樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールF型ビニルエステル樹脂(ビスフェノールF型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート)、及びノボラック型ビニルエステル樹脂(ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート)などが挙げられる。ビニルエステル樹脂の原料としてのエポキシ樹脂、不飽和一塩基酸及び不飽和二塩基酸は、それぞれ、上記具体例に限定されず、また、ビニルエステル樹脂の合成において1種又は2種以上が用いられてもよい。
(メタ)アクリレート樹脂は、1種の(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体又は2種以上の(メタ)アクリレートモノマーの共重合体である。(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレート樹脂の原料としての(メタ)アクリレートモノマーは、上記具体例に限定されず、また、(メタ)アクリレート樹脂の合成において1種又は2種以上が用いられてもよい。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、分子末端にカルボキシ基又はヒドロキシ基を有するポリエステルに、エポキシ基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル又はヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる。その反応物をポリエステル(メタ)アクリレート樹脂として用いることができる。また、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、分子末端にヒドロキシ基を有するポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応させて得られる。この反応物をポリエステル(メタ)アクリレート樹脂として用いることもできる。分子末端にカルボキシ基又はヒドロキシ基を有するポリエステルは、飽和多塩基酸及び/又は不飽和多塩基酸と多価アルコールとから得られる。飽和多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、及びセバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸又はその無水物が挙げられる。不飽和多塩基酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、及びイタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸又はその無水物が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオ−ルなどが挙げられる。エポキシ基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレートが代表例として挙げられる。上述のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の各原料は、それぞれ、上記具体例に限定されず、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の合成において1種又は2種以上が用いられてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネートと、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られる。その反応物をウレタン(メタ)アクリレート樹脂として用いることができる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、及びポリエステルポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、及び水添キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料としてのポリオール、ポリイソシアネート、及びヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートは、それぞれ、上記具体例に限定されず、また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の合成において1種又は2種以上が用いられてもよい。
樹脂組成物中の重合性樹脂の合計含有量は、特に限定されない。樹脂組成物が繊維基材に含浸して形成されるFRPの強度、硬度、及び耐水性などの物性を良好とする観点からは、樹脂組成物中の重合性樹脂の合計含有量は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。一方、前述の特定の重合性単量体によって樹脂組成物が繊維基材へ含浸しやすいように、樹脂組成物中の重合性樹脂の合計含有量は、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。
樹脂組成物中の重合性樹脂の含有量(CR)に対する前述の重合性単量体の合計の含有量(CM)の割合(CM/CR)が、3/7〜7/3であることがより好ましい。また、樹脂組成物中の重合性単量体の合計の含有量は、重合性樹脂100質量部に対して、40〜240質量部であることもより好ましい。樹脂組成物中の重合性単量体の合計の含有量(全重合性単量体の含有量)は、前述の「特定の重合性単量体」の含有量と「その他の重合性単量体」の含有量の合計である。特定の重合性単量体の合計の含有量(Cm1)は、全重合性単量体の含有量(CM)に対して(重合性単量体の合計の含有量(CM)を基準として)、20〜100質量%の割合であることが好ましい。また、その他の重合性単量体の合計の含有量(Cm2)は、全重合性単量体の含有量(CM)に対して(重合性単量体の合計の含有量(CM)を基準として)、0〜80質量%の割合であることが好ましい。上述のような割合で重合性樹脂と特定の重合性単量体とを含有する樹脂組成物は、繊維基材に対して含浸しやすく、かつ、強度などの物性が良好なFRPを形成することが可能である。
[ワックス]
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、空気遮断効果のあるワックス類を含有することが好ましい。ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、及びホホバ油などの植物由来ワックス; 蜜蝋、ラノリン、及び鯨蝋などの動物由来ワックス; パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタムなどの石油由来ワックス; モンタンワックス、オゾケライト、及びセレシンなどの鉱物由来ワックス; ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、及び油脂系合成ワックス(エステル、ケトン類、及びアミドなど)などの合成ワックス; 硬化ひまし油、及び硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス; 並びにモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、及びマイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックスなどを挙げることができる。また、ビッグケミージャパン社製の商品名「BYK−S750N」、「BYK−S740」、及び「BYK−S781」などの特殊ワックスなどを用いることができる。上述のワックス類のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のような空気遮断効果のあるワックス類を含有させた樹脂組成物を用いることにより、FRPを形成する施工時において表面のベタツキ感を抑制し、かつ硬化性を向上することができ、常温での乾燥性や表面の乾燥性をより良好にすることができる。上述のワックス類のなかでも、パラフィンワックスが好ましい。パラフィンワックスは、ラジカル重合性樹脂が硬化する際に樹脂組成物から形成されるFRP層の表面に析出し、空気との遮断層を形成することが可能である。したがって、パラフィンワックスは、空気中の酸素がラジカル重合性樹脂のラジカル重合を阻害することを抑制し、樹脂組成物の常温での乾燥性や表面の乾燥性を良好にする作用を有する。このようなパラフィンワックスの作用により、パラフィンワックスを含有する樹脂組成物を用いることで、表面硬度、強度、及び耐熱性などの性能が優れたFRP層の形成に寄与することができる。
パラフィンワックスの融点は46℃〜69℃の範囲であることが好ましい。このような融点の範囲に調整されたパラフィンワックスを樹脂組成物に含有させることにより、その樹脂組成物の硬化過程において、樹脂組成物から形成されるFRP層の表面にパラフィンワックスが析出しやすくなる。これにより、パラフィンワックスの含有量を抑制しても硬化途中のFRP層の表面に空気との遮断層が充分に形成されることになる。よって、空気中の酸素によりラジカル硬化性樹脂のラジカル重合が阻害されることを抑制し、樹脂組成物の常温での乾燥性や表面の乾燥性を良好にすることができると共に、FRP層形成時の二次接着性も良好なものとなる。
樹脂組成物がワックス類を含有する場合、ワックス類による上述の作用が十分に発揮されるように、樹脂組成物中のワックス類の含有量は、上述の重合性樹脂及び重合性単量体の合計100質量部に対して、0.005〜0.1質量部であることが好ましく、0.01〜0.1質量部であることがより好ましい。このような量でワックス類を樹脂組成物に含有させることにより、施工時において、繊維基材に樹脂組成物を含浸して形成されるFRP層の表面のタックを解消し、ゴミの付着を抑制することが可能となる。また、形成されるFRP層は、トップコートなどの他の層間との接着性(二次接着性)が良好となって防水性能が良好となり、防水材として防水構造の用途により好適なものとなる。
[硬化促進助剤]
樹脂組成物を繊維基材に含浸させてFRPを形成する際に樹脂組成物の硬化を促進するために、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化を促進する補助剤(硬化促進助剤)を含有することが好ましい。硬化促進助剤は、施工時に樹脂組成物に添加される後述の硬化剤との併用によって、樹脂組成物の硬化を促進させる作用を有する成分である。硬化促進助剤は、硬化剤と同様に、施工時において樹脂組成物に添加されてもよいが、施工時での作業を簡略化するため、施工に先立って、予め樹脂組成物に含有されていてもよい。
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、硬化促進助剤として、アミン及びβ−ジケトンの両方を含有することがより好ましい。硬化促進助剤としてアミン及びβ−ジケトンの両方を含有する樹脂組成物は、樹脂組成物が硬化し難いような低温(例えば0℃〜10℃)の環境下においても、10分〜120分程度の良好な時間で硬化することが可能である。したがって、アミン及びβ−ジケトンの両方を含有する樹脂組成物は、低温(例えば好適には0℃〜15℃、より好適には0℃〜10℃)硬化用としても好適に用いることができる。
アミンとしては、芳香族アミン、複素環式アミン、及び脂肪族アミンなどを用いることができる。芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、O−トルイジン、m−トルイジン、及びp−トルイジン等の芳香族1級アミン; N−エチル−m−トルイジン、及びジエチレントリアミン等の芳香族2級アミン; N,N−置換アニリン(例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン等)、N,N−置換−p−トルイジン(例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等)、及びホルミル基を有する芳香族3級アミン(例えば、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、及び4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチル)アミノベンズアルデヒド等)の芳香族3級アミンなどが挙げられる。複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、フェニルモルホリン、及びピペリジンなどが挙げられる。脂肪族アミンとしては、例えば、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
樹脂組成物に含有させるアミンは上記具体例に限定されないが、上記具体例のなかでは、芳香族3級アミンが好ましく、N,N−置換アニリン及びN,N−置換−p−トルイジンがより好ましい。樹脂組成物は、アミンとして、N,N−ジメチルアニリン、及びN,N−ジメチル−p−トルイジンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することがさらに好ましい。また、樹脂組成物が低温環境下で用いられる場合には、樹脂組成物は、N,N−ジメチルアニリン及びN,N−ジメチル−p−トルイジンの両方を含有することが好ましい。なお、樹脂組成物には1種又は2種以上のアミンを含有させることができる。
β−ジケトンとは、2つのケトン基の間に炭素原子が1つある構造を有するジケトンである。β−ジケトンとして、例えば、アセチルアセトン、α−アセチルブチロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジメドン、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、及びジベンゾイルメタン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
樹脂組成物に含有させるβ−ジケトンは上記具体例に限定されないが、樹脂組成物は、α−アセチルブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。また、樹脂組成物が低温環境下で用いられる場合には、樹脂組成物は、α−アセチルブチロラクトン及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドの両方を含有することがより好ましい。なお、樹脂組成物には1種又は2種以上のβ−ジケトンを含有させることができる。
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、上述のアミン及びβ−ジケトン以外の硬化促進助剤として、金属石鹸類や金属キレート類を含有してもよい。金属石鹸類としては、例えば、コバルト金属塩(例えばオクテン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、及びオクチル酸コバルト等)、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸カルシウム、オクテン酸カルシウム、オクテン酸カリウム、ナフテン酸銅、及びナフテン酸バリウム等が挙げられる。金属キレートとしては、例えば、鉄アセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセテート、及びコバルトアセチルアセテート等が挙げられる。本発明の一実施形態の樹脂組成物は、上述のアミン及びβ−ジケトンの両方に加えて、硬化促進助剤として、さらにコバルト金属塩を含有することが好ましい。
樹脂組成物が硬化促進助剤としてアミン及びβ−ジケトンの両方を含有する場合、その樹脂組成物中のアミン及びβ−ジケトンの合計含有量は、上述の重合性樹脂及び重合性単量体の合計100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが好ましい。さらに、樹脂組成物が硬化促進助剤として金属石鹸類や金属キレート類をも含有する場合、樹脂組成物中のアミン、β−ジケトン、金属石鹸類、及び金属キレート類を含む硬化促進助剤の合計含有量は、上述の重合性樹脂及び重合性単量体の合計100質量部に対して、0.5〜5質量部であることが好ましい。
[硬化剤]
樹脂組成物を繊維基材に含浸させて硬化させ、FRPを形成するために、施工時において、樹脂組成物に硬化剤を添加することができる。硬化剤としては、従来から用いられている硬化剤をいずれも用いることができ、また、1種又は2種以上の硬化剤が用いられてもよい。好適な硬化剤としては、有機過酸化物、及びアゾ化合物を挙げることができる。これらの硬化剤は、樹脂組成物に対して、ラジカル重合開始剤として作用するものである。
有機過酸化物としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシケタール、及びパーオキシジカーボネートなどを用いることができる。有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、及びラウリルパーオキサイドなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド、及び2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリルなどが挙げられる。
上記硬化剤の合計含有量は、特に限定されず、作業環境に応じて変えることができる。例えば、硬化剤の合計の含有量は、上述の重合性樹脂及び重合性単量体の合計100質量部に対して、0.6〜5質量部とすることができる。
なお、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、重合禁止剤、粘度調整剤、チキソトロピー調整剤(揺変剤)、顔料、消泡剤、レベリング剤、充填材、骨材、紫外線吸収剤、及び酸化防止剤などを含有させてもよい。
重合禁止剤としては、特に制限されず、例えば、フェノール系重合禁止剤やオキシル系重合禁止剤などが挙げられる。フェノール系重合禁止剤の具体例としては、ヒドロキノン、ベンゾキノン、メチルヒドロキノン、ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、1,4−ナフトヒドロキノン−2−スルホン酸アンモニウム塩、1,4−ナフトキノン、及びクレゾールなどが挙げられる。オキシル系重合禁止剤の具体例としては、4−ヒドロキシ−2,2,4,4−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシル、4−オキソ−2,2,4,4−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、及び4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどが挙げられる。
粘度調整剤やチキソトロピー調整剤としては、無機系では、例えばシリカパウダー、マイカパウダー、及び炭酸カルシウムパウダーなどが挙げられ、有機系では、例えば水素化ひまし油などが挙げられる。補強材としては、例えばガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維、及びステンレス繊維などが挙げられる。充填材や骨材としては、例えば硅砂、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウム、ガラス粉、ガラスビーズ、及びマイカなどが挙げられる。
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、硬化物としたときに、引張強度が10MPa以上であることが好ましく、10〜30MPaであることがより好ましい。また、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、硬化物としたときに、引張伸び率が25〜120%であることが好ましい。
以上詳述した本発明の一実施形態の樹脂組成物は、スチレンを除く重合性単量体を含有し、その重合性単量体として、前述の特定の重合性単量体を含有するため、繊維基材に含浸し易く、かつ、環境負荷が小さい。また、樹脂組成物に、硬化促進助剤としてのアミン及びβ−ジケトンの両方を含有させることで、樹脂組成物が硬化し難いような低温(例えば0℃〜15℃、より厳しい条件では0℃〜10℃)の環境下においても、10分〜120分程度の良好な時間で硬化することが可能な樹脂組成物とすることができる。よって、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、様々な環境条件に対応することが可能である。したがって、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、上述の防水構造の施工などのように、施工現場において、樹脂組成物に硬化剤を添加して硬化性樹脂組成物を調整し、その硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させつつ塗工する現場施工型の用途に好適である。
なお、上述の通り、本発明の一実施形態の樹脂組成物は次のような構成をとることが可能である。
[1]繊維基材に含浸させて形成される繊維強化プラスチックに用いられる樹脂組成物であって、重合性樹脂及び重合性単量体を含有し、前記重合性単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の特定の重合性単量体を含有する樹脂組成物。
[2]前記樹脂組成物中の前記ベンジル(メタ)アクリレート、前記シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び前記フェノキシエチル(メタ)アクリレートの合計の含有量が、10〜70質量%である前記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]さらに硬化促進助剤を含有し、前記硬化促進助剤として、アミン及びβ−ジケトンの両方を含有する前記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記アミンとして、N,N−ジメチルアニリン、及びN,N−ジメチル−p−トルイジンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記[3]に記載の樹脂組成物。
[5]前記β−ジケトンとして、α−アセチルブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記[3]又は[4]に記載の樹脂組成物。
[6]前記繊維強化プラスチックが、建築材料に用いられるものである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
<防水構造及びその製造方法>
本発明の一実施形態の防水構造は、下地の上方に、前述の樹脂組成物が繊維基材に含浸して硬化した繊維強化プラスチック層を備えるものである。この防水構造の製造方法は、特に限定されない。予め繊維強化プラスチック層(FRPシート)を作製しておき、そのFRPシートを下地の上から下地に接触させて設けてもよく、下地の上方に下地から離して設けてもよい。また、FRP層を設ける下地の現場において、FRP層を形成し、防水構造を製造することもできる。例えば、本発明の一実施形態の防水構造の製造方法は、下地の上方に繊維基材を設ける工程と、前述の樹脂組成物に前述の硬化剤を添加して硬化性樹脂組成物を調製する工程と、その硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させつつ塗工する工程と、繊維基材に含浸しつつ塗工された硬化性樹脂組成物を硬化させて繊維強化プラスチック層を形成する工程と、を含む。防水構造における繊維基材は、前述の実施形態の樹脂組成物の説明で挙げた繊維基材と同様であり、繊維基材に含浸される樹脂組成物とともにFRPを構成する部材である。
図1は、本発明の一実施形態の防水構造及びその製造方法を説明するための防水構造の一例を表す概略断面図である。図1に示す防水構造1のように、本発明の一実施形態の防水構造は、下地2の表面に設けられたプライマー層3と、プライマー層3の上に設けられた下塗り層4と、下塗り層4の上に設けられたFRP層5と、FRP層5の上に設けられた中塗り層6と、中塗り層6の上に設けられた上塗り層7とを備えることが好ましい。なお、本実施形態の防水構造における積層構成は、図1に示す例に限定されるものではない。FRP層5の層数や、プライマー層3、下塗り層4、中塗り層6及び上塗り層7のそれぞれの有無及び層数などは、防水構造が適用される用途及びその防水構造に対する要求性能、さらには下地の状態などにより適宜決定される。以下、図1を用いて、本実施形態の防水構造及びその製造方法をさらに詳述する。
下地2は、防水処理を施す対象となるものである。そのような下地2の場としては、例えば、建造物の屋上、ベランダ、バルコニー、腰壁、パラペット、浴室洗い場、及びトイレ、並びに、駐車場、プール、下水道施設、浄水場施設、オゾン処理層、貯水槽、及び化学工場床などが挙げられる。下地2の材質としては特に限定されず、例えば、セメントコンクリート、モルタル、アスファルトコンクリート、プラスチック、金属、セラミックス、及び木材などが挙げられる。
下地2には、下地2の上に繊維基材を設ける前に、下地2の表面にプライマーを塗工してプライマー層3を設けることが好ましく、プライマー層3を設ける前に下地2の表面を平滑に仕上げる下地処理を行うことが好ましい。下地2と繊維基材との間にプライマー層3を設けることにより、下地2に対するFRP層5の接着力を高めることが可能となる。プライマーとしては、FRP防水材の分野で一般的に用いられるプライマーを用いることができ、例えば、ウレタン系プライマー、アクリル系プライマー、シリコーン系プライマー、ビニルエステル系プライマー、及びエポキシ系プライマーなどを用いることができる。
プライマー層3の上には、さらに下塗り塗料を塗工して下塗り層4を設けてもよい。下地2と繊維基材との間に、プライマー層3及び下塗り層4の両方を設けることにより、下地2に対するFRP層5の接着力をより高めることが可能となる。また、下地2の凹凸を調整する目的で下塗り層4を用いることもできる。
下地2の表面にプライマーを塗工して硬化させ、プライマー層3を形成した後、そのプライマー層3の上に下塗り塗料や繊維基材を設けてもよく、プライマー層3に下塗り塗料を塗工して硬化させ、下塗り層4を形成した後、その下塗り層4の上に繊維基材を設けてもよい。なお、繊維基材を下地2における平面部に設ける前に、繊維基材を下地におけるコーナー部や排水溝などの周囲に設けて不陸調整を行うことが好ましい。
次いで、プライマー層を設けた下地、又はプライマー層及び下塗り層をこの順で設けた下地の上に、FRP層を形成するための繊維基材を敷設する工程を行うことが好ましい。また、この工程の直前又は同時期に、FRP層に用いる前述の樹脂組成物に前述の硬化剤を添加して硬化性樹脂組成物を調製する工程を行うことが好ましい。そして、その硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させつつ塗工し、硬化させてFRP層5を形成する工程(ライニング工程)を行う。このように、樹脂組成物への硬化剤の添加を、FRP層5を形成する工程の直前に行うことで、FRP層5を形成する前の段階において樹脂組成物の硬化が進行する事態を抑えることが可能である。
前述のライニング工程の後、FRP層5に用いた繊維基材に由来する凹凸の調整や目止めなどの目的で、FRP層5の上に中塗り塗料を塗工し、硬化させて中塗り層6を設けることが好ましい。また、中塗り塗料が十分に硬化した後、FRP層5に用いた繊維基材中の繊維の毛羽立ち及びFRP層5の表面の凹凸を調整するために、中塗り層6の表面を研磨することが好ましい。さらに、研磨屑などの清掃後、中塗り層6の上に上塗り塗料を塗工し、上塗り層(トップコート層)7を設けることが好ましい。上塗り塗料には、防水構造が適用される用途に応じて、顔料や骨材を含有させることができる。
下塗り層4、中塗り層6、及び上塗り層7をそれぞれ形成する下塗り塗料、中塗り塗料、及び上塗り塗料の各塗料には、例えば、FRP層5に用いられる硬化性樹脂組成物とは異なる硬化性樹脂組成物を用いてもよく、FRP層5に用いられる硬化性樹脂組成物と同様の硬化性樹脂組成物を用いてもよい。下塗り層4、中塗り層6、及び上塗り層7を形成する各塗料には、例えば、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、アクリル・ウレタン系塗料、シリコーン系塗料、アクリル・シリコーン系塗料、及びポリエステル系塗料などを用いることができる。FRP層5との接着性を向上させる観点から、下塗り塗料には、FRP層5に用いられる樹脂組成物と同様の樹脂組成物を用いることが好ましい。
なお、下地へのプライマーの塗工や、下塗り塗料、中塗り塗料、FRP層5に用いる硬化性樹脂組成物、及び上塗り塗料の各塗工に用いる道具は、特に制限されないが、ローラー刷毛など簡易な道具を用いることが好ましい。各塗工にローラーを用いることにより、塗工対象と塗工材との間や塗工材によって形成される層において、泡の発生を抑制することが可能となる。
また、下地2の単位面積当たりのプライマー、下塗り塗料、硬化性樹脂組成物、中塗り塗料、及び上塗り塗料の各塗工量は、特に制限されず、防水構造が適用される用途及びその防水構造に対する要求性能などに応じて適宜決定される。例えば、建造物の屋上、ベランダ、及びバルコニーなどに適用する防水構造の場合、プライマーの塗工量は、例えば0.1〜0.5kg/m2の範囲であることが好ましく、0.15〜0.3kg/m2の範囲であることがより好ましい。また、上記場合における下塗り塗料、中塗り塗料、及び上塗り塗料の各塗工量は、例えば0.1〜0.8kg/m2の範囲であることが好ましく、0.2〜0.5kg/m2の範囲であることがより好ましい。さらに、上記場合における硬化性樹脂組成物の塗工量は、例えば1.0〜5.0kg/m2の範囲であることが好ましく、1.2〜4.0kg/m2の範囲であることがより好ましい。
以下、試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の試験例によって限定されるものではない。
<試験例1:重合性単量体の選定試験>
多数種の重合性単量体を用いて、それぞれの重合性単量体の繊維基材に対する含浸性を確認する試験(試験例1)を行い、それぞれの重合性単量体の繊維基材に対する含浸性を評価した。繊維基材としては、ガラスチョップドストランドマットMC450A(日東紡績社製)を用いた。
具体的には、上記繊維基材を5cm四方に裁断したサンプル片を透明なPETフィルムを被せた黒板に置き、サンプル片に対して、重合性単量体をスポイトで3g滴下したときのサンプル片におけるガラス繊維及び重合性単量体の状態変化を確認し、以下の基準にしたがって、重合性単量体の繊維基材への含浸性を評価した。表1には、試験例1で使用した多数種の重合性単量体のうちの一部の重合性単量体の試験結果を示す。
A:重合性単量体の滴下により、繊維基材に含浸した重合性単量体がガラス繊維のサイジング剤を溶解し繊維の束が開繊してほどけるようにして、1分後に繊維の束が透明になったことから、含浸性に優れると評価した。
B:重合性単量体の滴下により、繊維基材に含浸した重合性単量体がガラス繊維のサイジング剤を溶解し1分後に繊維の束が完全に開繊しないが、繊維の束がほぼ透明になったことから、含浸性が良好であると評価した。
C:重合性単量体を繊維基材に滴下してもガラス繊維のサイジング剤を溶解しないため、5分後でもガラス繊維の開繊がみられず、ガラス繊維の束がそのままで透明にならなかったことから、含浸性が不良であると評価した。
Figure 0006685758
試験例1の結果より、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及びフェノキシエチルメタクリレートが繊維基材に対して良好な含浸性を有することが確認された。特に、ベンジルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートは、スチレンと同等レベルで繊維基材に含浸し易いことが確認された。
<試験例2:樹脂組成物の含浸性確認試験>
重合性樹脂及び重合性単量体を含有する樹脂組成物の場合においても、上記試験例1の結果が反映されるかを確認するべく、樹脂組成物の含浸性を評価する試験を行うとともに、樹脂組成物の揮散量を測定する試験(試験例2)を行った。具体的には、後記表2の上段に示す各配合の樹脂組成物A1〜A6を調製し、以下の手法にしたがって、樹脂組成物A1〜A6の揮散量を測定するとともに、樹脂組成物A1〜A6の上記繊維基材に対する含浸性を評価する試験を行った。その結果を後記表2に示す。なお、後記表2中の「重合性樹脂を含有する組成物A」は、不飽和二重結合を有する重合性樹脂として、スチレン非含有の不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ製の商品名「ユピカ8807」)50質量部とアクリルオリゴマー(日本化薬社製の商品名「KAYARAD DPHA」)50質量部を混合したものである。
(揮発性)
無風かつ25℃の室内で直径15cmの金属製円形シャーレに、表2の上段に示す各配合の樹脂組成物を約100g入れた。シャーレに樹脂組成物を入れた時間を0分とし、このときの樹脂組成物の質量(初期質量:m0)を精密天秤で0.1mg単位まで精秤した。そして、樹脂組成物を入れたシャーレを無風かつ25℃の状態に保持しておき、10分後、30分後、及び60分後の樹脂組成物の質量(任意時間後の質量:m1)を精秤した。10分後、30分後、及び60分後のそれぞれについて、m0−m1(g)を揮散量とし、1m2当たりの揮散量(g/m2)に換算した。表2の下段に、各樹脂組成物の0分、10分後、30分後、及び60分後の各揮散量(g/m2)の結果を示す。なお、揮散量が少ないほど、揮散及びその臭気による環境負荷が少ないと評価することができる。
(含浸性)
黒色紙の上に、上記繊維基材を置き、その繊維基材の上に、樹脂組成物が流れ拡がらないように直径70mmの金属リングを設置した。金属リングの中心に、表2の上段に示す各配合の樹脂組成物を10g流し込み、樹脂組成物が繊維基材にしみ込んで、繊維基材の下の黒色紙による黒色が見えるようになるまでに要した時間をウェットスルータイムとし、繊維基材の繊維までしみ込んで透明になるまでに要した時間をウェットアウトタイムとした。表2の下段に、各樹脂組成物のウェットスルータイム(単位:秒)及びウェットアウトタイム(単位:秒)を示す。
Figure 0006685758
<試験例3:樹脂組成物の含浸性確認試験>
また、試験例2で用いた「重合性樹脂を含有する組成物A」を、「重合性樹脂を含有する組成物B」に変えて、上記繊維基材に対する含浸性を確認する試験(試験例3)を行った。具体的には、後記表3の上段に示す各配合の樹脂組成物B1〜B6を調製し、試験例2で行った含浸性の評価と同様の手法で、ウェットスルータイム及びウェットアウトタイムを測定し、樹脂組成物B1〜B6の含浸性を評価した。また、試験例3では、樹脂組成物B1〜B6について、以下の手法にしたがって、賦型含浸性も評価した。それらの結果を後記表3に示す。なお、後記表3中の「重合性樹脂を含有する組成物B」は、スチレンを含有せず、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを30質量%含有する市販の樹脂組成物(DICマテリアル社製の商品名「CN−450R」)である。
(賦型含浸性)
上記繊維基材を幅10cm、長さ30cmに裁断し、裁断した繊維基材に対して、樹脂組成物を1600g/m2の量にて含浸させた後、繊維基材を端から10cmの位置で内側に折り曲げて、繊維基材を重ね合わせ、ローラーを用いて圧着した。繊維基材のサイジング剤が溶解していない場合、繊維基材の折り曲げ箇所が浮き上がる(スプリングバック)現象が起きることから、以下の基準にしたがって、賦型含浸性を評価した。
A:繊維基材への樹脂組成物のローラーを用いた含浸時に、樹脂組成物が容易に繊維のサイジング剤を溶解し、1分以内で繊維基材の折り返し部位の浮きが無くなった。
B:繊維基材への樹脂組成物のローラーを用いた含浸時に、樹脂組成物が繊維のサイジング剤を溶解し、2分以内で繊維基材の折り返し部位に浮きが無くなった。
C:繊維基材への樹脂組成物のローラーを用いた含浸時に、樹脂組成物が繊維のサイジング剤を溶解せず、繊維基材の折り返し部位に浮きが残り、繊維がほぐれて浮きが無くなるまで3分以上かかった。
Figure 0006685758
試験例2及び3の結果より、重合性単量体として、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、又はフェノキシエチルメタクリレートを含有する樹脂組成物は、揮散量が少なく、かつ、繊維基材に対する含浸性及び賦型含浸性が良好であることが確認された。また、重合性単量体として、ベンジルメタクリレート、又はシクロヘキシルメタクリレートを含有する樹脂組成物は、従来のスチレンを含有する樹脂組成物と同等レベルで、繊維基材に対する含浸性に優れることが確認された。
<試験例4:硬化性確認試験>
次に試験例2で、揮散量が少なく、かつ繊維基材に対する含浸性に優れた特定の単量体を用いた樹脂で、様々な温度条件における樹脂組成物の硬化性を確認する試験を行った。具体的には、重合性樹脂としてビニルエステル樹脂であるエポキシメタクリレートを用い、重合性単量体としてベンジルメタクリレートを用いた。エポキシメタクリレート50質量部、ベンジルメタクリレート50質量部、パラフィンワックス0.06質量部、及び揺変剤としてヒュームドシリカ0.9質量部を配合してディゾルパーで撹拌混合し、混合物を調製した。この混合物に、硬化促進助剤、1,4−ナフトヒドロキノン系重合禁止剤(川崎化成工業製、商品名「QS−W10」)、及び硬化剤(化薬アクゾ社製の有機過酸化物である商品名「328E」)をそれぞれ表4の上段に示す量(単位:質量部)で含有する樹脂組成物を調製した。硬化促進助剤には、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、α−アセチルブチロラクトン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、及びオクテン酸コバルト8%(日本化学産業社製)のうちから複数組み合わせ用いた。調製した樹脂組成物の可使時間(ポットライフ)、及びマットゲル時間をそれぞれ以下の手法にしたがって、表4に示す温度条件の下で測定した。その結果を表4の下段に示す。
(ポットライフ)
JIS K6919に記載の「5.1.7 ゲル化時間」の試験に準じた方法でポットライフを計った。具体的には、測定条件の温度に設定した恒温水槽内にて、100mL容量の容器に樹脂組成物を50g入れ、硬化促進助剤を所定量添加して撹拌した後、硬化剤を添加し、樹脂組成物が流動性のない状態になるまでの時間を計った。
(マットゲル時間)
測定条件の温度に設定した恒温槽内で上記配合の樹脂組成物をガラスチョップドストランドマット(450g/m2)に1600g/m2含浸させ、樹脂組成物が硬化するまでの時間を計った。
Figure 0006685758
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試験例4の結果より、硬化促進助剤として、アミン(N,N−ジメチルアニリン又はN,N−ジメチル−p−トルイジン)及びβ−ジケトン(α−アセチルブチロラクトン又はN,N−ジメチルアセトアセトアミド)を用い、それらの硬化促進助剤及び硬化剤の使用量を調整することで、0℃〜40℃の範囲における様々な温度条件に対応した硬化性樹脂組成物を得ることができることが確認された。特に、硬化促進助剤として、アミンとしてのN,N−ジメチルアニリン及びN,N−ジメチル−p−トルイジンの両方と、β−ジケトンとしてのα−アセチルブチロラクトン及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドの両方を用いることで、0℃〜15℃といった低温の環境下においても、適度な時間で硬化しやすい樹脂組成物を得られることが確認された。

Claims (7)

  1. 繊維基材に含浸させて形成される繊維強化プラスチックに用いられる樹脂組成物であって、
    重合性樹脂重合性単量体、及び硬化促進助剤を含有し、
    前記重合性単量体として、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
    前記硬化促進助剤として、アミン及びβ−ジケトンの両方を含有する樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物中の前記ベンジル(メタ)アクリレート、前記シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び前記フェノキシエチル(メタ)アクリレートの合計の含有量が、10〜70質量%である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記アミンとして、N,N−ジメチルアニリン、及びN,N−ジメチル−p−トルイジンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記β−ジケトンとして、α−アセチルブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記繊維強化プラスチックが、建築材料に用いられるものである請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 下地の上方に、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物が繊維基材に含浸して硬化した繊維強化プラスチック層を備える防水構造。
  7. 下地の上方に繊維基材を設ける工程と、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物に硬化剤を添加して硬化性樹脂組成物を調製する工程と、
    前記硬化性樹脂組成物を前記繊維基材に含浸させつつ塗工する工程と、
    前記繊維基材に含浸しつつ塗工された前記硬化性樹脂組成物を硬化させて繊維強化プラスチック層を形成する工程と、
    を含む、前記繊維強化プラスチック層を備えた防水構造の製造方法。
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