JP4470723B2 - ラジカル硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
一方、最近では環境問題の観点から人体に有害な揮発性や臭気を伴う化学物質の使用が社会問題となっており、その使用の規制を強化する動きが高まっている。
そのため、樹脂組成物にジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの低臭性の反応性単量体が使用される場合が多くなっているが、この場合も大気中の酸素の阻害作用によって表面の硬化性が低くなる場合が多く、硬化性の改善が望まれている。
しかし、ワックスのみを使用したのでは、硬化性が充分ではなく、多量に使用すると増粘して塗布時のコテが重く、作業性が低下する。
また、硬化性を向上させるために、多量の硬化剤や硬化促進剤を使用すると、硬化性は改善されるものの、可使時間が短くなり塗布面にコテむらが生じたり、コテが重く作業性が不良となる場合がある。
すなわち、本発明は、
(1)融点が40℃以上の芳香族化合物(a)、ワックス(b)、ラジカル硬化性樹脂(c)及び反応性単量体(d)を含むことを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物、
(2)芳香族化合物(a)の配合比率が、ラジカル硬化性樹脂(c)及び反応性単量体(d)の合計量100質量部に対し0.01〜10重量部である上記(1)のラジカル硬化性樹脂組成物、
(3)芳香族化合物(a)が分子内にカルボニル基又は無水環を有する上記(1)又は(2)のラジカル硬化性樹脂組成物、
(4)芳香族化合物(a)の水酸基価が700mgKOH/g以下である上記(1)〜(3)のいずれかのラジカル硬化性樹脂組成物、及び
(5)芳香族化合物(a)が、下記一般式(I)〜(VI)のいずれかで表わされる化合物である上記(1)〜(4)のいずれかのラジカル硬化性樹脂組成物
である。
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物に使用する(a)成分は、融点が40℃以上、好ましくは70℃以上の芳香族化合物であり、分子中にカルボニル基又は無水環を有する芳香族化合物が好ましく、特に、前記の一般式(I)〜(VI)で表される、分子中にベンゼン骨格やジフェニル骨格を有し、それらにカルボニル基や無水環が置換している化合物が好ましい。
前記の一般式(I)〜(VI)で表される化合物としては、例えば、安息香酸(融点121℃)、イソフタル酸(融点348℃)、メチル安息香酸(融点107〜183℃)、テレフタル酸(融点300℃)、ジメチルテレフタレート(融点141℃)、2,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル(融点190℃)、ナフトエ酸(融点160℃)、p−ニトロ安息香酸(融点240℃)、p−t−ブチル安息香酸(融点166℃)、ジフェニル−4−カルボン酸(融点225℃)、o−ベンゾイル安息香酸(融点127℃)、クロロ安息香酸(融点142℃)、無水トリメリット酸(融点168℃)、無水フタル酸(融点131℃)等が挙げられる。
融点が40℃以上の芳香族化合物の内では、水酸基価が700mgKOH/g以下であるものが、作業性、硬化性の点から、好ましい。
これらの芳香族化合物は、1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
(a)成分の芳香族化合物の配合量は、(c)成分のラジカル硬化性樹脂及び(d)成分の反応性単量体の合計量100質量部に対し0.01〜10質量部が好ましいが、0.1〜4質量部がより好ましい。充分な硬化性を得るためには、0.01質量部以上が好ましく、作業性、経済性の点から、10質量部以下が好ましい。
天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスがある。植物系ワックスとしてはキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油、動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ろう、鉱物系ワックスとしては、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、石油ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等がある。
合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス等があり、合成炭化水素としてはフイツシャートロブシュワックス、ポリエチレンワックス、変性ワックスとしては、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、水素化ワックスとしては硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体がある。さらにアルキルエステルワックスなども使用できる。
天然ワックスと合成ワックスとを混合して用いてもよい。
これらのワックスは、1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
(b)成分のワックスの配合量は、(c)成分のラジカル硬化性樹脂及び(d)成分の反応性単量体の合計量100質量部に対し0.01〜10質量部が好ましいが、0.1〜5質量部がより好ましい。充分な硬化性を得るためには、0.01質量部以上が好ましく、作業性、経済性の点から、10質量部以下が好ましい。
不飽和ポリエステル(1)は、α,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコール類、必要によりジシクロペンタジエン系化合物との結合反応で得られる。不飽和ポリエステルを調整するにあたって使用されるα,β−不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができ、飽和二塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、へキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4' −ビフェニルジカルボン酸などがあり、これらのジアルキルエステル等を挙げることができる。
多価アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロへキサングリコール、1,3−シクロへキサングリコール、1,4−シクロへキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4'−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等を挙げることができる。
ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド付加型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、1,6−ナフタレン型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、ノボラックタイプのエポキシ樹脂としては、フェノールノボラックまたはクレゾールノボラックと、エピクロルヒドリンまたはメチルエビクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂などである。
さらに、不飽和一塩基酸として特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、またはモノ(2−エチルへキシル)マレートなどがある。なお、これらの不飽和一塩基酸は、1種を単独で使用しても、または必要に応じ2種以上を併用してもよい。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物としては、具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらイソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で使用しても、または必要に応じ2種以上を併用してもよい。
これらのうち、硬化性が良好であり、低粘度でかつ低臭性に優れるジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらの反応性単量体は、1種を単独で使用しても、または必要に応じ2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類などの有機過酸化物やジアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物等が挙げられる。硬化性とポットライフのバランス等の観点からは、特に、クメンハイドロパーオキサイド、ターシヤリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ターシヤリーヘキシルハイドロパーオキサイドが好ましい。
これらの硬化剤は、1種を単独で使用しても、または必要に応じ2種以上を併用してもよい。
硬化剤は、ラジカル硬化性樹脂組成物を硬化させる前に添加すればよい。
硬化剤の添加量は、硬化性と作業性の点から、(c)成分のラジカル硬化性樹脂及び(d)成分の反応性単量体の合計量100質量部に対し0.1〜10質量部であることが好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム、ナフテン酸カルシウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ビペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられる。また、α−アセチル−γ−ブチロラクトンなどのβ−ジケトンを持った化合物等も使用することができる。
これらの促進剤は、1種を単独で使用しても、または必要に応じ2種以上を併用してもよい。
促進剤の配合量は、(c)成分のラジカル硬化性樹脂及び(d)成分の反応性単量体の合計量100質量部に対し、通常0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜6質量部である。硬化性を良好に保つには、0.1質量部以上が好ましく、作業性を良好に保つには、8質量%以下が好ましい。
なお、文中「部」とあるのは、質量部を示すものである。
また、作業性及び硬化は、各々次の基準で評価した。
作業性 ○:コテむら無く、コテ軽い
△:コテむらは無いが、コテ重い
×:コテむら有り、コテ重い
硬化性 ○:タック無し
△:ややタック有るが、硬化している
×:タック有り、又は、硬化不充分
(c)成分のエポキシアクリレート(昭和高分子社製、商品名:リポキシNSR−112)50部を(d)成分のジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業社製、商品名:ファンクリルFA−512A)50部に溶解し、更に、(b)成分の融点58℃のn−パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:paraffin Wax 135)1部及びt−ブチルカテコール(重合禁止剤、大日本インキ化学工業社製、商品名:DIC−TBC)0.05部を添加し、60℃に加温し溶解させた。
得られた樹脂液に(a)成分の融点121℃の安息香酸(エーピーアイコーポレーション社製、商品名:PuroxB)0.5部、ジメチル−p−トルイジン(DMPT、硬化促進剤)0.5部、6%ナフテン酸コバルト(硬化促進剤、日本化学産業社製、商品名:ナフテックスコバルト6%)0.5部及び低臭トナー(東京インキ社製、商品名:ATシリーズ)10部を添加し、ハンドミキサーでよく撹拌した後にクメンハイドロパーオキサイド(硬化剤、日本油脂社製、商品名:パークミルH−80)2部を加えさらによく撹拌した。
以上により得られたラジカル硬化性樹脂組成物を、ウレタンプライマーを塗布したスレート板に100g/m2の塗布量になるように塗布し、その際の作業性と硬化性を評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(c)成分としてビスフェノールAエポキシアクリレート(共栄社化学社製、商品名:エポキシエステル3002A)50部を、(d)成分としてテトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートTHF−A)50部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(d)成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレート1,6HX−A)50部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(c)成分としてビスフェノールAエポキシアクリレート(共栄社化学社製、商品名:エポキシエステル3002A)50部を、(d)成分として1,9−ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレート1,9ND−A)50部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(a)成分として、安息香酸2部及び融点300℃のテレフタル酸(片山化学工業社製、試薬)1部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(a)成分として、テレフタル酸1部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(a)成分として、ジフェニル−4−カルボン酸(片山化学工業社製、試薬)1部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(a)成分を用いず、さらにn−パラフィンワックスの使用量を15部とした以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(b)成分を用いなかった以外は実施例1と同様に実施し、評価した。 その結果は表1に示す通りである。
(a)成分の芳香族化合物としての安息香酸1部に代えて、融点−26℃のベンズアルデヒド(片山化学工業社製、試薬)1部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(a)成分としての安息香酸1部に代えて、芳香族化合物でないアジピン酸(片山化学工業社製、試薬)1部を用いた以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
(a)成分を用いず、且つクメンハイドロパーオキサイド(硬化剤)の使用量を15部とした以外は実施例1と同様に実施し、評価した。
その結果は表1に示す通りである。
Claims (3)
- 融点が40℃以上の下記一般式(I)又は(VI)で表わされる芳香族化合物(a)、ワックス(b)、ラジカル硬化性樹脂(c)及び反応性単量体(d)を含むことを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物。
- 芳香族化合物(a)の配合比率が、ラジカル硬化性樹脂(c)及び反応性単量体(d)の合計量100質量部に対し0.01〜10質量部である請求項1に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
- 芳香族化合物(a)の水酸基価が700mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
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