JP6932517B2 - ラジカル硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物層及び建築施工方法 - Google Patents

ラジカル硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物層及び建築施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラジカル硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物層及び建築施工方法に関する。
ラジカル硬化性樹脂組成物は、液状で取り扱うことが可能であって作業性が良く、しかも硬化物が耐久性等に優れた性能を有することから、種々様々な分野で広く用いられている。従来、このような樹脂組成物に含まれる重合性単量体としては、成形性や硬化物物性、価格の点から、スチレンが使用されることが殆どであったが、施工・成形時にスチレンに起因する臭気が発生し、作業環境の汚染が懸念されていた。そこで、昨今の環境問題への意識の高まりから、スチレンフリーの樹脂組成物が種々提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許第5527036号明細書 特許第3994297号明細書
上述のとおり、スチレンフリーの樹脂組成物(すなわちスチレンを使用しない樹脂組成物)が種々開発されているが、従来のスチレンフリーの樹脂組成物は、スチレンを用いた樹脂組成物等と比較すると、各種物性が充分でなく、改善の余地があった。例えば樹脂組成物には、得られる硬化物において強度や伸びといった機械的物性が優れることの他、樹脂組成物を繊維補強材(強化繊維とも称す)に含浸させて用いることがあるため、この含浸性が良好であることが求められる。だが、従来のスチレンフリーの樹脂組成物は、ガラスマット等の強化繊維との含浸性が充分でなかった。また、例えば積層体の中間層(中塗り層等)を形成する樹脂組成物には、硬化した後、長時間経過後に更に塗膜層を形成する場合にも、その塗膜層が充分に密着(接着)性を示すこと、すなわち二次密着(接着)性にも優れることが求められる。だが、従来のスチレンフリーの樹脂組成物は、二次密着性が充分でないうえ、乾燥性も良好でない。更に、硬化物の強度や伸びといった機械的物性の点でも改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、スチレンを必須に使用しなくとも、乾燥性とともに、強化繊維への含浸性や二次密着性等の作業性が良好で、しかも硬化物の強度や伸び等の機械的物性にも優れるラジカル硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、このような樹脂組成物を用いた樹脂硬化物層や建築施工方法を提供することも目的とする。
本発明者は、ラジカル硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、特定構造のポリエステル(メタ)アクリレートと特定構造のラジカル重合性不飽和単量体とを含む構成とすれば、スチレンを必須に使用しなくとも、乾燥性とともに、強化繊維への含浸性や塗膜の二次密着性等の作業性が良好で、しかも硬化物の強度や伸び等の機械的物性にも優れるものとなることを見いだした。具体的にいうと、このような樹脂組成物は、ガラスマット等の強化繊維との相性が良好であるため、接着剤等を必須に用いなくとも強化繊維と充分に固めることができるとともに、建築施工の作業時間を短縮でき、しかも作業者の熟練度や施工条件によらず、硬化物中の強化繊維における未含浸部分を少なくすることができる。それゆえ、施工部分が凹凸等を有する形状であっても容易に対処することができ、得られる硬化物は起伏や凹凸のない良好な仕上がりとなり、高品質の製品を与えることができる。また本発明の樹脂組成物を用いて樹脂硬化物層を形成し、長時間経過後に更に塗膜層を形成した場合にも、その塗膜層を充分に密着させることができるため、この点でも作業性に優れることとなる。更に本発明の樹脂組成物は、柔らかく、伸び率が良好な硬化物を与えることができるため、その硬化物において、季節の変化に伴う伸縮に対する追従性にも優れることとなる。また従来の樹脂組成物(例えば、特許文献1、2等参照)は、乾燥性を発揮させる観点から、空気乾燥性ポリエステルアクリレート樹脂を必須に含むが、本発明の樹脂組成物は、空気乾燥性ポリエステルアクリレート樹脂を必須に用いなくても、優れた乾燥性を発揮することができるため、有用である。このように上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)及びラジカル重合性不飽和単量体(B)を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、該ポリエステル(メタ)アクリレート(A)は、二塩基酸と多価アルコールとの重縮合体(a1)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)との反応物であり、該二塩基酸は、芳香族二塩基酸を含み、該多価アルコールは、エーテル結合含有多価アルコールを含み、該ラジカル重合性不飽和単量体(B)は、下記式(1);
Figure 0006932517
(式中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を表す。R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)で表される化合物(b1)を含むラジカル硬化性樹脂組成物である。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物は、更にコバルト系化合物(C)と空気遮断剤(D)とを含み、上記ポリエステル(メタ)アクリレート(A)とラジカル重合性不飽和単量体(B)とコバルト系化合物(C)と空気遮断剤(D)との合計量が、ラジカル硬化性樹脂組成物100質量%に対して90質量%以上であることが好ましい。
上記二塩基酸の総量100モル%に対し、芳香族二塩基酸が50モル%以上であることが好ましい。
上記多価アルコールの総量100モル%に対し、エーテル結合含有多価アルコールが25モル%以上であることが好ましい。
上記ポリエステル(メタ)アクリレート(A)は、数平均分子量が1000〜4000であることが好ましい。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物は、更に硬化助促進剤(E)を含むことが好ましい。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物は、繊維補強材を含む樹脂硬化物層に用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ラジカル硬化性樹脂組成物と繊維補強材とを含む樹脂硬化物層でもある。
本発明は更に、上記ラジカル硬化性樹脂組成物と、繊維補強材とを用いて、上記樹脂硬化物層を形成する工程を含む建築施工方法でもある。
上記建築施工方法は、更に塗膜層を形成する工程を含むことが好ましい。
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物は、上述の構成よりなり、スチレンを必須に使用しなくとも、乾燥性とともに、強化繊維への含浸性や塗膜の二次密着性等の作業性が良好で、しかも硬化物の強度や伸び等の機械的物性にも優れる。それゆえ、各種用途に好適に用いることができる。中でも特に、積層体の中間層(中塗り層等)を形成するための材料として有用である。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
1、ラジカル硬化性樹脂組成物
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)及びラジカル重合性不飽和単量体(B)を含有する。必要に応じ、更に他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。以下では、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)を「(A)成分」とも称す。他の成分も同様である。
上記樹脂組成物において、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)とラジカル重合性不飽和単量体(B)との含有割合(質量比)は、(A)/(B)=10〜90/90〜10であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは(A)/(B)=30〜70/70〜30であり、更に好ましくは40〜60/60〜40である。
上記樹脂組成物は、更に、コバルト系化合物(C)と空気遮断剤(D)とを含むことが好ましい。これにより、樹脂組成物をより充分に硬化させることが可能になる。
なお、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)とラジカル重合性不飽和単量体(B)とコバルト系化合物(C)と空気遮断剤(D)との合計量が、ラジカル硬化性樹脂組成物100質量%に対して90質量%以上であることが好ましい。より好ましくは92質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
上記樹脂組成物は、更に、硬化助促進剤(E)を含んでいてもよい。
なお、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)、ラジカル重合性不飽和単量体(B)、コバルト系化合物(C)と硬化助促進剤(E)との合計の含有割合(質量比)は、(A)/(B)/((C)+(E))=10〜90/90〜10/0.01〜10であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは(A)/(B)/((C)+(E))=30〜70/70〜30/0.05〜5であり、更に好ましくは40〜60/60〜40/0.1〜1である。
上記空気遮断剤(D)は、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)及びラジカル重合性不飽和単量体(B)の総量100質量%に対する含有割合が、0.01〜1質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.5質量%であり、更に好ましくは0.02〜0.1質量%である。
上記樹脂組成物はまた、(A)〜(D)成分(更に(E)成分を含む場合は(A)〜(E)成分)からなる組成物についての粘度が100〜2000mPa・sであることが好ましい。これにより、作業性が向上する他、強化繊維への含浸性がより良好になり、強化繊維が樹脂組成物中でより安定して分散されるため、樹脂組成物及び強化繊維を含む樹脂硬化物においてこれら各成分に由来する効果がより充分に発揮される。より好ましくは150mPa・s以上、更に好ましくは200mPa・s以上であり、また、より好ましくは1500mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下である。
本明細書中、粘度は、25℃における粘度を意味し、後述する実施例に記載の方法により求められる。
以下では、本発明の樹脂組成物に含まれる必須成分及び任意成分について更に説明する。
1)ポリエステル(メタ)アクリレート(A)
ポリエステル(メタ)アクリレート(A)は、二塩基酸と多価アルコールとの重縮合体(a1)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)との反応物である。具体的には例えば、重縮合体(a1)が有する水酸基及び/又はカルボキシル基と、(メタ)アクリレート化合物(a2)が有するエポキシ基とを反応させることにより得ることができる。
上記二塩基酸は、芳香族二塩基酸を必須に含むものであり、これにより、硬化物の強度や伸びといった機械的物性が向上する。
上記二塩基酸は、芳香族二塩基酸を必須に含むものであれば特に限定されない。
芳香族二塩基酸としては、例えば、オルトフタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4 ’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。中でも、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましい。すなわち上記二塩基酸が無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む形態は、本発明の好ましい形態の1つである。
上記芳香族二塩基酸の含有量は、二塩基酸の総量100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記二塩基酸はまた、脂肪族二塩基酸及び/又は脂環族二塩基酸を含んでもよい。
脂肪族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。中でも、アジピン酸が好適である。
脂環族二塩基酸としては、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライド)、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、α−テルヒネン・無水マレイン酸付加物、トランス−ピペリレン・無水マレイン酸付加物等が挙げられる。中でも、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好適である。
上記脂肪族二塩基酸及び/又は脂環族二塩基酸の含有量は、二塩基酸の総量100モル%に対し、脂肪族二塩基酸及び脂環族二塩基酸の合計が0〜50モル%であることが好ましい。なお、上記二塩基酸は、芳香族二塩基酸のみか、又は、芳香族二塩基酸と脂肪族二塩基酸及び/又は脂環族二塩基酸との含有割合がそれぞれ50モル%であることが好ましい。
上記多価アルコールは、エーテル結合含有多価アルコールを含む。これにより、樹脂組成物が乾燥性に優れ、得られる硬化物が充分な柔軟性、耐水性を有することとなる。
エーテル結合含有多価アルコールは、エーテル基と2以上の水酸基とを有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール含有化合物が挙げられる。このようなポリアルキレングリコール含有化合物の製造方法は特に制限されないが、例えば、脂肪族グリコール類、芳香族グリコール類や3価以上のアルコール類にアルキレンオキサイドを付加する方法;アルキレングリコールを縮合する方法等が挙げられる。
上記脂肪族グリコール類、芳香族グリコール類、3価以上のアルコール類は後述するとおりである。
上記ポリアルキレングリコール含有化合物におけるオキシアルキレン基の炭素数は、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜4である。また、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、1〜20が好ましく、より好ましくは2〜8である。
上記エーテル結合含有多価アルコールとして好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールであり、より好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールであり、更に好ましくはジエチレングリコールである。
上記多価アルコールはまた、エーテル結合含有多価アルコール以外のその他の多価アルコールを含んでいてもよい。
その他の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1, 3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビシクロヘキシル−4,4 ’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール、水素化ビスフェノールA等の脂肪族グリコール類;ビスフェノールA 、パラキシレングリコール等の芳香族グリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール類等が挙げられる。中でも、脂肪族グリコールが好ましい。より好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選択される少なくとも1種である。
上記エーテル結合含有多価アルコールの含有量は、多価アルコールの総量100モル%に対し、25モル%以上であることが好ましい。より好ましくは30モル%以上であり、更に好ましくは40モル%以上である。
上記多価アルコールと、二塩基酸との反応では、これらの使用量比は特に限定されないが、例えば、二塩基酸100モル%に対し、多価アルコールが10〜90モル%となるような比率とすることが好ましい。
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)は、エポキシ基と(メタ)アクリレート基を有するものである限り特に制限されないが、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有アクリレート化合物が好ましい。
上記重縮合体(a1)と上記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)との反応では、これらの使用量比は特に限定されないが、例えば、重縮合体(a1)100モル%に対し、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)が10〜50モル%となるような比率とすることが好ましい。
上記ポリエステル(メタ)アクリレート(A)は、数平均分子量が1000〜4000であることが好ましい。この範囲であれば、作業性がより向上することとなる。数平均分子量としてより好ましくは1050〜3900であり、更に好ましくは1100〜3800である。
本明細書中、数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
2)ラジカル重合性不飽和単量体(B)
ラジカル重合性不飽和単量体(B)は、上記式(1)で表される化合物(b1)を含む。
上記式(1)中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基を表す。炭素数1〜2の炭化水素基としては、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。上記Rとしては、水素原子が好ましい。
上記Rは、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を表す。炭素数1〜2の2価の炭化水素基は、特に制限されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、エチリデン基等が挙げられる。好ましくはメチレン基、エチレン基であり、より好ましくはメチレン基である。
上記R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表す。炭素数1〜2のアルキル基としては、メチル基、エチル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。上記Rは、メチル基が好ましい。上記R、Rは、水素原子が好ましい。
上記化合物(b1)として、具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。ベンジル(メタ)アクリレートは、ガラスマット等の強化繊維との相性がより好適であるため、強化繊維への含浸性により優れる。また、ベンジル(メタ)アクリレートを用いることにより、二次密着性にもより優れることとなる。より好ましくはベンジルメタクリレートである。
上記化合物(b1)の含有量は、ラジカル重合性不飽和単量体(B)100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上である。
上記ラジカル重合性不飽和単量体(B)は、上記化合物(b1)以外のその他のラジカル重合性不飽和単量体(b2)(以下、単量体(b2)とも称す)を含んでいてもよい。
単量体(b2)としては、不飽和基を有するものであって、式(1)で表される化合物(b1)に該当しない化合物であれば特に制限されないが、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0〜60℃であることが好ましい。より好ましくは5〜55℃であり、更に好ましくは10〜50℃である。
ホモポリマーのTgは、例えば「FANCRYL Information」(第9.4版、日立化成株式会社 研究開発部、2016年9月)を参照することができる。例えば、上記文献に記載の代表的な単量体のホモポリマーのTgは以下のとおりである。
ベンジルアクリレート:5℃
ベンジルメタクリレート:51℃
フェノキシエチルメタクリレート:36℃
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート:45℃
メチルメタクリレート:105℃
上記単量体(b2)は、分子量が150〜400であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは200〜350であり、更に好ましくは200〜300である。
本明細書中、ラジカル重合性不飽和単量体(B)の分子量は、原子量換算量(炭素原子の質量数を12.01とする)を意味する。
上記単量体(b2)は、大気圧(1気圧)における沸点が、101℃より高いものであることが好ましい。これにより、樹脂組成物の臭気をより充分に抑制することができる。
より好ましくは大気圧における沸点が110℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。
例えば、代表的な単量体の単量体の各圧力における沸点は以下のとおりである。
ベンジルアクリレート:210℃/101.3kPa
ベンジルメタクリレート:115℃/0.13kPa
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート:125℃/0.13kPa
メチルメタクリレート:100.5℃/101.3kPa
上記単量体(b2)としては、例えば、以下の単官能重合性単量体、多官能重合性単量体が挙げられる。
単官能重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸等の炭素数1〜20の不飽和モノカルボン酸;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等の炭素数1〜20のビニルエステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20の単官能(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては水酸基等が挙げられる。
多官能重合性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の炭素数2〜12を有するアルカンポリオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の炭素数3〜12を有するアルカンポリオールの、3価以上のポリ(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、ジアリルフタレートプレポリマー;トリアリルシアヌレート;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基としては水酸基等が挙げられる。
3)コバルト系化合物(C)
上記樹脂組成物がコバルト系化合物(C)を含む場合、該コバルト系化合物(C)は、硬化促進剤として作用する。
コバルト系化合物(C)としては特に制限されないが、例えば、コバルト石鹸(コバルトの脂肪酸塩とも称す)や、コバルトアセチルアセテート等が挙げられる。中でも、好ましくはコバルト石鹸である。上記脂肪酸としては、炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸が好適である。コバルト石鹸としては具体的には、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、オクテン酸コバルトが挙げられ、好ましくはオクテン酸コバルトである。
4)空気遮断剤(D)
空気遮断剤(D)としては特に限定されないが、ワックス類が好ましい。具体的には、天然ワックス;合成ワックス;天然ワックスや合成ワックス等の配合ワックス;等が挙げられる。これらの中でも、パラフィンワックスを少なくとも用いることが好ましい。また、ワックス類に、他の成分を含んでもよい。
上記天然ワックスとしては、例えばキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等の植物系ワックス;蜜蝋、ラノリン、鯨蝋等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;等が挙げられる。
上記合成ワックスとしては、例えばフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス;動物性油脂の誘導体;カルボキシル基含有単量体とオレフィンとの共重合体;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス;ステアリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸オクタデシル等の炭素数12以上の脂肪酸及びその誘導体;アルキルフェニールや高級アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したアルコール類;等が挙げられる。
上記空気遮断剤(D)はまた、本発明の樹脂組成物を常温で硬化させる場合、JIS−K−2235(1991年)に分類される融点が40〜80℃であるものを用いることが特に好ましい。これにより、樹脂組成物の施工において、硬化途中の樹脂組成物から形成される被膜や成形物の表面に析出しやすくなり、空気との遮断層がより充分に形成されるため、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
5)硬化助促進剤(E)
硬化助促進剤(E)としては特に限定されないが、例えば、アミン化合物(E1)、βジケトン(E2)等が挙げられる。
アミン化合物(E1)としては、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のアニリン化合物;p−トルイジン、m−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス( 2 -ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N ,N−ビス( 2 − ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、パラトルイジン2エチレンオキサイド付加物等のトルイジン化合物;4−(N ,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド等のアミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン等が挙げられる。これらの中でも、芳香族3級アミン化合物が好ましい。芳香族3級アミン化合物の中でも、3級アミノ基を有するアニリン化合物、3級アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物及び3級アミノ基を有するトルイジン化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。より好ましくは3級アミノ基を有するアニリン化合物であり、更に好ましくはN,N−ジメチルアニリンである。
βジケトン(E2)としては、N,N−ジメチルアセトアセタミド等のアセトアセタミド化合物;アセチルブチルラクトン等のアセチルラクトン化合物;アセチルアセトン;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル化合物等が挙げられる。これらの中でも、アセトアセタミド化合物、アセチルラクトン化合物及びアセト酢酸エステル化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、N,N−ジメチルアセトアセトアミドがより好ましい。
6)その他の成分
上記樹脂組成物はまた、上述した(A)〜(E)成分に加え、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、揺変性付与剤、硬化剤、コバルト系化合物(C)以外のその他の硬化促進剤、重合禁止剤、不活性粉体、充填剤、乾燥性向上剤、増粘剤、着色剤、BYK−R605(商品名、ビック・ケミー社製)等の揺変助剤、レベリング剤、脱泡剤等の添加剤(材)や骨材等の他、溶剤、希釈剤等が挙げられる。
上記樹脂組成物が揺変性付与剤を含む場合、樹脂組成物が垂れ性に優れるものとなり、作業性が更に向上する。垂れ性とは、例えば、ヘラ等により塗布したり、スプレー等により吹き付けたり、カートリッジからビート状に押し出したりするときのように強い力を加えた際には流動性を示し、塗布又は施工後、硬化するまでの間は流下しない性質を意味する。
上記揺変性付与剤としては特に限定されないが、例えば、無水微粉末シリカ、カオリン、クレー、活性白土、ケイ砂、ケイ石、ケイ藻土、無水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸マグネシウム、タルク、パーライト、ホワイトカーボン、マイカ微粉末、ベントナイト、有機ベントナイト等の二酸化ケイ素を主成分とする無機系化合物の他、カーボンブラック、アスベスト等が挙げられる。中でも、二酸化ケイ素を主成分とする無機系化合物が好ましく、無水微粉末シリカや有機ベントナイトがより好ましい。更に好ましくは無水微粉末シリカである。これにより、垂れ性や、基材への付着強度がより向上する。
上記樹脂組成物において、揺変性付与剤の含有量は、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)及びラジカル重合性不飽和単量体(B)の総量100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。この範囲内にあると、垂れ性により優れるものとなる他、粘性がより好適なものとなって作業性も向上する。より好ましくは0.05〜4質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
上記硬化剤としては特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル;ビス(4−tーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物の他、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。中でも、過酸化物が好ましい。
上記硬化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート(A)及びラジカル重合性不飽和単量体(B)の総量100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましい。より好ましくは0.3〜3質量部である。
上記その他の硬化促進剤としては例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等の金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類が挙げられる。
2、硬化物
本発明のラジカル硬化性樹脂組成物は、乾燥性とともに、強化繊維への含浸性や塗膜の二次密着性等の作業性が良好で、しかも硬化物の強度や伸び等の機械的物性にも優れる。それゆえ、各種用途に好適に用いることができる。中でも特に、積層体の中間層(中塗り層等)を形成するための材料として有用である。
上記樹脂組成物の硬化方法としては特に限定されず、例えば、施工直前(又は成形直前)に、硬化剤を樹脂組成物に混合し硬化させることが好適である。硬化条件に関し、硬化温度としては、常温で行うことが好ましい。より好ましくは−10〜50℃、更に好ましくは0〜40℃である。ゲル化時間は1〜180分とすることが好ましく、より好ましくは5〜60分である。
上記硬化物の形状としては特に制限されないが、例えば、塗膜(樹脂硬化物層とも称す)形状、成形品(成型品とも称す)形状等が挙げられる。中でも上記樹脂組成物は、繊維補強材を含む樹脂硬化物層に用いられることが好ましい。上記樹脂組成物は、繊維補強材(強化繊維とも称す)への含浸性に優れるため、これらを含む繊維強化材料としたときに、ラジカル硬化性樹脂組成物及び強化繊維それぞれに由来する効果が充分に発揮される。従って、本発明の樹脂組成物は、繊維補強材を含む樹脂硬化物層を好適に与えることができる。このように上記樹脂組成物と繊維補強材とを含む樹脂硬化物層は、本発明の一つである。
3、樹脂硬化物層
本発明の樹脂硬化物層は、上述した本発明の樹脂組成物と繊維補強材(強化繊維)とを含む。必要に応じ、更に他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記強化繊維としては特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維;ポリビニルアルコール系、ポリエステル系、ポリアミド系(全芳香族系も含む)、フッ素樹脂系、フェノール系の各種有機繊維;等が挙げられる。中でも、機械的特性に優れる観点から、炭素繊維及び/又はガラス繊維が好ましく、軽量化等の観点から、炭素繊維がより好ましい。
上記強化繊維の形状も特に限定されず、例えば、クロス状;チョップドストランドマット、プリフォーマブルマット、コンティニュアンスストランドマット、サーフェーシングマット等のマット状;チョップ状;ロービング状;不織布状;ペーパー状;等のいかなる形状であってもよい。
上記強化繊維は、目的とする成形品の形状に応じて予めその形状を決めておき、硬化前のラジカル硬化性樹脂組成物に含浸させて使用してもよいし、ラジカル硬化性樹脂組成物中にチョップ状の強化繊維を混合して成形材料とし、これを所望形状に成形する等の方法で使用してもよい。
上記樹脂硬化物層を与える強化繊維の使用量は、ラジカル硬化性樹脂組成物と強化繊維との総量100体積%に対し、5〜55体積%とすることが好ましい。これにより、更に良好な含浸状態が得られるとともに、成形物(樹脂硬化物)の機械的強度が向上する。より好ましくは10体積%以上であり、また、より好ましくは45体積%以下である。
上記樹脂硬化物層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、上記樹脂組成物又は繊維強化材料に硬化剤を混合し、基材に塗布した後硬化させることにより被膜を成形する方法;繊維強化材料から樹脂硬化物層を形成する場合において、マット状の強化繊維を用いる場合は、上記樹脂組成物に硬化剤を混合し、ハンドレイアップ等により強化繊維を含浸させて被覆材とし、硬化させることで樹脂硬化物層を形成する方法;等が挙げられる。
上記基材としては特に限定されず、例えば、ガラス、スレート、コンクリート、モルタル、セラミック、石材等の無機質基材;アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、銅、チタン、ステンレス、ブリキ、トタン等からなる金属板、表面に亜鉛、銅、クロム等をメッキした金属、表面をクロム酸、リン酸等で処理した金属等の金属基材;ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、FRP(織維強化プラスチック)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂等のプラスチック基材;合成皮革;ヒノキ、スギ、マツ、合板等の木材;繊維、紙等の有機素材;等が挙げられる。
上記基材は、上記樹脂組成物又は繊維強化材料が塗装される前に、通常用いられるプライマーや、下塗り、中塗り、メタリックベース等の上塗り等塗装用塗料が塗装されていてもよい。
上記樹脂組成物及び繊維強化材料を基材に塗布する方法としては、用途等により適宜設定すればよいが、塗装方法は、例えば、浸漬塗り、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、スピンコート、バーコート、フローコート、静電塗装、ダイコート、フイルムラミネート、ゲルコート等が挙げられる。
4、建築施工方法
本発明はまた、上述した本発明の樹脂組成物と繊維補強材とを用いて樹脂硬化物層を形成する工程を含む建築施工方法でもある。樹脂硬化物層を形成する工程は特に制限されず、上述の樹脂硬化物層を形成する方法等により行うことができる。具体的には、例えば、上記樹脂組成物を強化繊維に含浸させて被覆材とし、硬化させることにより行うことが好ましい。
上記建築施工方法は、上記樹脂硬化物層以外のその他の層を形成する工程を含んでいてもよい。その他の層としては特に制限されないが、上記樹脂組成物は二次密着性に優れることから、塗膜層であることが好ましい。すなわち上記建築施工方法は、更に塗膜層を形成する工程を含むことが好適である。塗膜層としては特に限定されず、例えば、プライマー層、下塗り層、中塗り層、保護層(トップコート層ともいう)が挙げられる。中でも特に、保護層が好適である。
上記保護層は、例えば、ビニルエステル(F)及びラジカル重合性不飽和単量体(G)を含む樹脂組成物により形成することが好ましい。このような樹脂組成物は、本発明の樹脂硬化物層との密着性により優れるため好適である。上記樹脂組成物は、更に、ウレタン(メタ)アクリレート(H)を含むことがより好ましい。このような樹脂組成物は、乾燥性、及び、硬化物の柔軟性、耐候性、耐水性にもより優れるため、より好適である。
上記(F)成分と(G)成分との含有割合(質量比)は、(F)/(G)=10〜90/90〜10であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは、(F)/(G)=20〜80/80〜20であり、更に好ましくは30〜70/70〜30である。
上記保護層を形成する樹脂組成物が更に(H)成分を含む場合、(F)成分と(G)成分と(H)成分との含有割合(質量比)は、(F)/(G)/(H)=10〜50/20〜80/10〜50であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは(F)/(G)/(H)=15〜40/25〜75/10〜40であり、更に好ましくは15〜35/30〜70/15〜35である。
以下では、(F)〜(H)成分について更に説明する。
上記ビニルエステル(F)は、エポキシ化合物と一塩基酸との反応により得られる化合物であることが好ましい。
上記エポキシ化合物としては、エポキシ基を有する限り特に制限されないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物等の芳香族エポキシ化合物;脂肪族型エポキシ化合物;単環式エポキシ化合物、多環式エポキシ化合物等の脂環式エポキシ化合物、アミン型エポキシ化合物等が挙げられる。中でも、機械的強度、耐蝕性、耐熱性等の観点から、ビスフェノール型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物が好ましい。
上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化ノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ化合物が好ましい。
脂肪族型エポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物、アリサイクリックジエポキシアセタール、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビニルヘキセンジオキシド、ビニルヘキセンジオキシド等が挙げられる。これらの中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。また、ビスフェノールA等のフェノール化合物や、アジピン酸、セバチン酸、ダイマー酸、液状ニトリルゴム等の二塩基酸により変性したエポキシ化合物を使用することもできる。
上記一塩基酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等の不飽和モノカルボン酸;二塩基酸無水物と不飽和アルコール又はグリコールとの反応物;等が挙げられる。二塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
不飽和アルコールとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール類が挙げられる。
これらの中でも、一塩基酸としては、熱性、耐薬品性の観点から、炭素数が6以下の化合物が好ましい。より好ましくは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸である。
上記ラジカル重合性不飽和単量体(G)は、1分子中に1個以上の重合性基(好ましくは炭素炭素二重結合)を有する化合物であれば特に限定されず、上述のラジカル重合性不飽和単量体(B)と同様のものが挙げられる。
ラジカル重合性不飽和単量体(G)として好ましくはベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能重合性単量体である。
上記ウレタン(メタ)アクリレート(H)は、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの付加物(h1)と、水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(h2)との反応物である。なお、付加物(h1)と化合物(h2)との反応条件は特に限定されず、また各反応原料は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記付加物(h1)は、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネートとの付加物である。この付加反応の条件等も特に限定されない。中でもポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの付加物が好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、多塩基酸と多価アルコールとのポリエステル化合物であることが好ましい。多塩基酸及び多価アルコールは、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記多塩基酸としては、例えば、脂肪族飽和多塩基酸、芳香族飽和多塩基酸、脂環族飽和多塩基酸等が挙げられる。これらの具体例は、(A)成分において述べた脂肪族二塩基酸、芳香族二塩基酸、脂環族二塩基酸等が挙げられる。上記多塩基酸の中でも、飽和多塩基酸を少なくとも用いることが好ましい。より好ましくは脂肪族飽和二塩基酸であり、更に好ましくはアジピン酸、コハク酸又はセバシン酸であり、特に好ましくはアジピン酸である。
上記多価アルコールとしては、(A)成分において述べた化合物が挙げられる。中でもエーテル結合含有多価アルコールを少なくとも用いることが好ましい。多価アルコールとしては、特に、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールが好適である。
上記ポリエーテルポリオールは、2以上のエーテル結合と2以上の水酸基とを有する化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイド;ビスフェノールAやビスフェノールFにアルキレンオキサイドを付加させたポリオール;等が挙げられる。中でも、ポリアルキレンオキサイドが好ましく、より好ましくはポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールである。
上記ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールは、数平均分子量が300〜2400である。数平均分子量がこのような範囲であることにより、樹脂組成物の硬化物は充分な柔軟性を有するものとなる。上記数平均分子量は、400〜2300が好ましく、より好ましくは500〜2000である。
本明細書中、数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記ポリイソシアネートは、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されないが、例えば、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2’− ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’− ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、MDIのオリゴマー、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体等の芳香族ポリイソシアネート;1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基含有ポリイソシアネート;等が挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基含有ポリイソシアネート好ましい。より好ましくは脂環式炭化水素基含有ポリイソシアネートであり、更に好ましくは1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートである。
である。
上記水酸基含有(メタ)アクリロイル化合物(h2)は、水酸基とアクリロイル基とを有する限り特に制限されないが、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであり、より好ましくはヒドロキシエチルメタクリレートである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
1、ポリエステル(メタ)アクリレートの製造
製造例1
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、二塩基酸及び多価アルコールを表1に記載する配合量で仕込み、エステル化触媒としてオクチル酸スズを0.05質量%添加し、210℃で反応させた。二塩基酸と多価アルコールとの210℃での反応時間は、表1に記載のとおりである。その後、140℃まで冷却し、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.02質量%を添加し、次いでグリシジルメタクリレートを所定量投入し、3時間反応させ、ポリエステルメタクリレート1を得た。
エステル化触媒及び重合禁止剤のメチルハイドロキノンの配合量は、二塩基酸及び多価アルコールの全配合量100質量%に対する量である。
製造例2〜10
表1に示す原料を用いたこと以外は製造例1と同様にして、ポリエステルメタクリレート2〜10を各々得た。
なお、数平均分子量の測定方法を下記する。
<数平均分子量の測定>
ポリエステル(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、以下の条件の下、GPC測定により求めた。その際、市販の単分散標準ポリスチレン(PS)を用いて検量線を作成し、下記換算法に基づいて求めた。
装置:高速GPC装置 HLC−8320GPC(東ソー社製)
溶剤:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折率計
カラム:TSKgelSuperH2000、TSKgelSuperH2500、TSKgelSuperH3000(いずれも東ソー社製)
分子量換算:PS換算/汎用較正法
Figure 0006932517
2、ラジカル硬化性樹脂組成物の製造
実施例1
製造例1で得たポリエステルメタクリレート1を、60℃まで冷却し、表2に記載する配合量でラジカル重合性不飽和単量体(B)、コバルト系化合物(C)、空気遮断剤(D)、及び、硬化助促進剤(E)を添加して、ラジカル硬化性樹脂組成物1を得た。得られた各樹脂組成物について、以下の方法にて各種物性を評価した。結果を表4、6〜8に示す。
実施例2〜10、比較例1〜5
表2、3に示す原料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、各樹脂組成物(樹脂組成物1〜10及び比較樹脂組成物1〜5)を得た。得られた各樹脂組成物について、各種物性を評価した。結果を表4〜9に示す。
3、物性評価方法
1)樹脂組成物の粘度
下記測定機器を用いて、25℃における粘度測定を行った。
測定機器:ブルックフィールド形粘度計(BROOK FIELD社製、品名:BROOK FIELD VISCOMETER、型番:LVDV−II+P)
Figure 0006932517
Figure 0006932517
表2、3における8%オクテン酸コバルト溶液の量(部)は、溶媒を含む総量を意味する。
2)引張試験
2−1)標準状態試験
2枚の300mm×300mm×3mmのガラス板に離型剤を塗布し、該ガラス板の間に3mmのスペーサーを挟んで型枠とした。実施例等で得たラジカル硬化性樹脂組成物100部に、硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1.0部を混合し、減圧脱泡した後、該型枠に流し込み、常温(25℃)で硬化させた。これらを25℃で24時間、40℃で24時間養生硬化させ、注型板を得た。該注型板から2〜3mm厚の試験片を作成し、引張試験片とした。JIS−K−7161−2(2014年)の引張り試験法に準拠して、25℃における該試験片の強度及び伸び率を測定した。
強度について、10〜50MPaの範囲内を〇とし、範囲外を×とした。
伸び率について、25〜120%の範囲内を〇とし、範囲外を×とした。
2−2)劣化状態試験
2−2−1)耐熱性
上記2−1)標準状態試験に示した注型板作成方法及び硬化条件に準じて得た300mm×300×2〜3mmの試験片を、80℃環境下にて4週間放置した後、23℃環境下に4時間以上放置した。その後、JIS−K−7161−2(2014年)の引張り試験法に準拠して、切削加工により引張試験片を作成し、25℃における該試験片の強度及び伸び率を測定した。熱処理を行っていない標準状態における強度及び伸び率に対する保持率を算出した。
強度保持率が95%以上である場合は〇とし、95%未満を×とした。また、伸び率保持率が70%以上である場合は〇とし、70%未満を×とした。
2−2−2)耐アルカリ性
上記2−1)標準状態試験に示した注型板作成方法及び硬化条件に準じて得た300mm×300×2〜3mmの試験片を、23℃環境下で4週間、0.2%の苛性ソーダと飽和水酸化カルシウムの混合溶液に浸漬させた。その後、JIS−K−7161−2(2014年)の引張り試験法に準拠して切削加工により引張試験片を作成し、25℃における該試験片の強度及び伸び率を測定した。アルカリ処理を行っていない標準状態における強度及び伸び率に対する保持率を算出した。
強度保持率が70%以上である場合は〇とし、70%未満を×とした。また、伸び率保持率が70%以上である場合は〇とし、70%未満を×とした。
2−2−3)耐酸性
上記2−1)標準状態試験に示した注型板作成方法及び硬化条件に準じて得た300mm×300×2〜3mmの試験片を、23℃環境下で4週間、2%硫酸水溶液に暴露させた後、23℃環境下に4時間以上放置した。その後、JIS−K−7161−2(2014年)の引張り試験法に準拠して、切削加工により引張試験片を作成し、25℃における該試験片の強度及び伸び率を測定した。酸処理を行っていない標準状態における強度及び伸び率に対する保持率を算出した。
強度保持率が80%以上である場合は〇とし、80%未満を×とした。また、伸び率保持率が70%以上である場合は〇とし、70%未満を×とした。
3)乾燥性
実施例等で得たラジカル硬化性樹脂組成物100部に、硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1.0部を混合し、減圧脱泡した。その後にサグテスターにより離型紙に塗布し、膜厚100μmの塗膜を作成した。次いで23℃の雰囲気下で塗膜のタックがなくなるまでの時間を測定した。塗布後4時間以内、12時間以内、24時間以内にタックフリーに到達した場合をそれぞれ、◎、〇、△とし、24時間以内に到達しなかった場合を×とした。
4)低臭性(臭気)
低臭性の評価方法は、実施例等で得たラジカル硬化性樹脂組成物を10人が嗅ぎ、臭気を確認することにより行った。
10人の中で不快な印象を全ての人が感じなかった場合は〇とし、1人でも不快に感じた場合は×とした。
5)ガラスマットへの含浸性
500mm×500mm、JAS規定の厚さ9mmの普通合板を水平に設置し、該合板上にウレタンプライマーを塗布乾燥後、実施例等で得たラジカル硬化性樹脂組成物100部に硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1部を添加し調製したものと、ガラスマット#380(重量:380g/m)2プライとで積層板を作製した。
その際、熟練度、経験年数の異なる作業者3人の作業の所要時間を計測した。
所要時間が35分以下の場合を〇、35分を超え45分以下の場合を△、45分を超える場合を×とした。
また、表面の未含浸部分の有無を確認し、未含浸部分が認められなかった場合を〇とし、未含浸部分が認められた場合、その個数が1〜4の場合を△とし、5以上の場合を×とした。
Figure 0006932517
Figure 0006932517
6)樹脂のタレ性評価
500mm×500mm、JAS規定の厚さ9mmの普通合板を垂直に設置し、該合板上にウレタンプライマーを塗布乾燥後、実施例1で得たラジカル硬化性樹脂組成物100部、又は、表6に記載の配合でディスパーにて攪拌混合することにより調製した揺変化樹脂組成物100部に硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1部を添加し調製したものと、ガラスマット#380(重量:380g/m)2プライとで積層板を作製した。
施工完了後、経時で樹脂タレを観測した。施工完了後4時間経過したときの樹脂タレが施工端面から10mm未満の場合を○とした。樹脂タレが施工端面から10mm以上発生した場合を×とした。
また、表面の未含浸部分の有無を確認し、未含浸部分が認められなかった場合を〇とし、未含浸部分が認められた場合、その個数が1〜4の場合を△とし、5以上の場合を×とした。
Figure 0006932517
Figure 0006932517
7)二次接着性
(1)トップコート層樹脂組成物の製造
合成例1(ウレタン(メタ)アクリレート)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン291部(1.5mol)と数平均分子量1000であるポリテトラメチレングリコール500部(0.5mol)を仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が10.6となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを265部(2.04mol)加え、触媒としてオクチル酸スズを0.005質量%添加し、更に80℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、重合禁止剤としてトルハイドロキノン0.05質量%添加し、ウレタンメタクリレート(H−1)を得た。
上記触媒及び重合禁止剤の配合量は、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール及び水酸基含有メタアクリレートを合わせた全配合量100質量%に対する量である。
合成例2(ビニルエステル樹脂)
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコにエポミック(登録商標)R140P(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井化学製、エポキシ当量188)188部、メタクリル酸88部、触媒としてトリエチルアミン0.3重量%、重合禁止剤としてハイドロキノン0.05重量%、空気を吹き込みながら90℃で10時間反応させ酸価が5mgKOH/gになった時点で反応を終了しビニルエステル(F−1)を得た。
上記触媒及び重合禁止剤の配合量は、エポキシ樹脂、メタクリル酸を合わせた全配合量100質量%に対する量である。
合成例3(配合液1:トップコート層樹脂組成物)
ウレタンメタクリレート(H−1)20部、ビニルエステル(F−1)25部、ベンジルメタクリレート35部、及び、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート20部を混合し、トップコート層樹脂組成物を得た。
合成例4(配合液2:空気遮断剤分散溶液)
合成例3で得た配合液1(トップコート層樹脂組成物)100部に対して、イソドデカン40部を配合し、空気遮断剤としてパラフィン130°Fの含有量が10重量%になるように添加して、80℃にて加熱分散処理を行い、空気遮断剤分散溶液を得た。
合成例5(トップコート層樹脂)
合成例3で得た配合液1(トップコート層樹脂組成物)75部、合成例4で得た配合液2(空気遮断剤分散溶液)3部、灰色無機顔料8部、アエロジル#200(日本アエロジル社製)2.5部、8%オクテン酸コバルト溶液0.5部、6号珪砂8部を配合し、トップコート層樹脂を得た。
(2)二次接着性の評価
実施例1〜10及び比較例1〜5
500mm×500mm、JAS規定の厚さ9mmの普通合板上にウレタンプライマーを塗布乾燥後、各ラジカル硬化性樹脂組成物100部に硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1部を添加し、調製したものと、ガラスマット#380(重量:380g/m)2プライとで積層板を作製した。屋外に3、7、14日間放置後に上記トップコート層樹脂(灰色着色品)100部に硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1部を添加撹拌後、刷毛で、500g/mの割合で塗布し、試験片を得た。
上記試験片について、トップコート塗布24時間後に、JIS−K−5400(1990年)8.5.2に準じて碁盤目法により、トップコート付着性を評価した(すきま間隔2mm、ます目の数25)。
以下のとおりに、評価を行った。
10:切り傷が滑らかであり、ます目に欠損がない。
8:欠損した部分が試験片の面積の5%以内である。
6:欠損部分が試験片の面積の5%より大きく15%以内である。
4:欠損部分が試験片の面積の15%より大きく35%以内である。
2:欠損部分が試験片の面積の35%より大きく65%以内である。
0:欠損部分が試験片の面積の65%より大きい。
試験サンプル数n=2で評価を行い、2つのサンプルの評点が分かれた場合、分かれた評点の間をとることとした。(例えば、評点8と6が得られた場合、7とした。)
上記評価点が5点以下を×とし、6〜7点を△、8点以上を〇とした。
Figure 0006932517
Figure 0006932517

Claims (9)

  1. ポリエステル(メタ)アクリレート(A)及びラジカル重合性不飽和単量体(B)を含有するラジカル硬化性樹脂組成物であって、
    該ポリエステル(メタ)アクリレート(A)は、二塩基酸と多価アルコールとの重縮合体(a1)とエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)との反応物であり、
    該二塩基酸は、芳香族二塩基酸を含み、
    該多価アルコールは、エーテル結合含有多価アルコールを含み、
    該ラジカル重合性不飽和単量体(B)は、下記式(1);
    Figure 0006932517
    (式中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を表す。R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)で表される化合物(b1)を含み、
    該ラジカル硬化性樹脂組成物は、更にコバルト系化合物(C)と空気遮断剤(D)とを含み、
    該ポリエステル(メタ)アクリレート(A)とラジカル重合性不飽和単量体(B)とコバルト系化合物(C)と空気遮断剤(D)との合計量が、ラジカル硬化性樹脂組成物100質量%に対して90質量%以上である
    ことを特徴とするラジカル硬化性樹脂組成物。
  2. 前記二塩基酸の総量100モル%に対し、芳香族二塩基酸が50モル%以上である
    ことを特徴とする請求項に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  3. 前記多価アルコールの総量100モル%に対し、エーテル結合含有多価アルコールが25モル%以上である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル(メタ)アクリレート(A)は、数平均分子量が1000〜4000である
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ラジカル硬化性樹脂組成物は、更に硬化助促進剤(E)を含む
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  6. 前記ラジカル硬化性樹脂組成物は、繊維補強材を含む樹脂硬化物層に用いられる
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物と繊維補強材とを含む
    ことを特徴とする樹脂硬化物層。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のラジカル硬化性樹脂組成物と、繊維補強材とを用いて、請求項に記載の樹脂硬化物層を形成する工程を含む
    ことを特徴とする建築施工方法。
  9. 前記建築施工方法は、更に塗膜層を形成する工程を含む
    ことを特徴とする請求項に記載の建築施工方法。
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