JP4147468B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、低臭気で、作業性、空気乾燥性に優れ、また、得られる硬化物が強度、耐水性、外観に優れ、さらにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、土木建築用に用いられる代表的なラジカル硬化系樹脂としては、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂等が知られており、これらの樹脂では、一般的に溶剤を用いる必要がないものの、樹脂に併用されている単量体が溶剤を兼ねている。
【0003】
近年、環境問題の点から、揮発性、臭気などが問題となる溶剤・単量体の使用を規制する社会的な動きが高まっている。しかし、樹脂の性能、価格および作業性等あらゆる点を考慮すると、溶剤あるいは単量体を使用しない樹脂の開発はかなり困難な課題であった。
【0004】
この課題に対して、揮発性の高いスチレンおよびメチルメタアクリレート等の揮発性の高い単量体の代わりに、揮発性の低いすなわち分子量の高い(メタ)アクリル誘導体を用いることが提案されており、例えば低臭性樹脂として、(1)重合性不飽和結合基を含有する樹脂、(2)オリゴエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートからなる組成物が挙げられるが(例えば特許文献1参照)、樹脂硬化物の強度特性、耐水性、耐薬品性が充分でなく使用用途の制限を受ける。また、(1)分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、(2)乾性油および/またはそれらの脂肪酸化合物を用いた空乾性付与型重合体、(3)分子量160以上の(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体からなる組成物に関して、空気遮断作用向上のために少量のパラフィンおよび/またはワックスを添加することも提案されているが(例えば特許文献2参照)、それらは、空気乾燥性の向上に寄与する反面、硬化後も塗膜表面に存在するため、塗膜の二次接着性および外観などに影響を与えることが多い。また、樹脂硬化物が優れた強度特性、耐水性、耐薬品性を有するよう、樹脂組成物に分子量180以上のフェニル基を有する(メタ)アクリレート基を有する単量体を用いることも提案しているが(例えば特許文献3参照)、単量体の粘度が高いことによる作業性の悪化、コンクリートなど基体に対する接着性の低下などの問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平07−216040号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平08−283357号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開平11−209628号公報(請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低臭気性、常温硬化性、表面乾燥性、作業性、乾燥後の塗膜の物性、表面の外観ならびにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物を提供することであり、更に詳しくは単量体の揮発による臭気を抑え、かつ、硬化時間が短く常温硬化性に優れるとともに、空気による硬化阻害を受けにくく表面乾燥性に優れ、さらに、塗膜の強度特性、耐水性、耐薬品性、二次接着性および外観に優れた樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明の樹脂組成物を完成するに至ったものである。
【0008】
即ち、本発明は、(A)エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートから選ばれる重合性不飽和基を有する樹脂、(B)フェノキシエチル(メタ)アクリレート又はフェノキシプロピル(メタ)アクリレートから選ばれるフェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体および(C)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートから選ばれるアルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(D)空気乾燥性を有する不飽和ポリエステルを含有し、(フェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体(B)/アルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C))の重量比率が90/10〜50/50であり、前記((B)+(C))/((A)+(D))の重量比率が70/30〜30/70であることを特徴とする樹脂組成物に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物は、ラジカル硬化型低臭性樹脂組成物であり、かかる樹脂組成物を構成する(A)重合性不飽和基を有する樹脂としては、例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、用途により必要に応じ2種以上併用しても良い。そのうちでも、硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度に優れるエポキシ(メタ)アクリレートおよび硬化物の耐薬品性、柔軟性に優れるウレタン(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0010】
かかるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂単独またはビスフェノールタイプのエポキシとノボラックタイプのエポキシ樹脂とを混合した樹脂であって、該エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを公知の方法で反応して得られるエポキシビニルエステルを言う。該エポキシ(メタ)アクリレートは、一般的に塗膜の機械的強度、耐薬品性等の向上のために用いられる。
【0011】
ここで、上記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂として代表的なものを挙げれば、エピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるジメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくはメチルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などである。また、上記ノボラックタイプのエポキシ樹脂として代表的なものには、フェノールノボラックまたはクレゾールノボラックと、エピクロルヒドリンまたはメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などである。
【0012】
上記不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブテンマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2−エチルヘキシル)マレート等がある。なお、これらの不飽和一塩基酸は、単独でも、2種以上を混合しても用いられる。上記エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応は、好ましくは60〜140℃、特に好ましくは80〜120℃の温度においてエステル化触媒を用いて行われる。
【0013】
上記のエステル化触媒としては、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン若しくはジアザビシクロオクタンなどの如き三級アミン、トリフェニルホスフィンあるいはジエチルアミン塩酸塩などの如き公知の触媒がそのまま使用できる。
【0014】
該エポキシ樹脂と該不飽和一塩基酸の組み合わせとしては、その平均エポキシ当量が、好ましくは150〜450のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応して得られる樹脂が好適に用いられ、例えばビスフェノールA(BPA)型エポキシ樹脂をメタクリル酸と反応させた樹脂、およびビスフェノールF(BPF)型エポキシ樹脂をメタクリル酸と反応させた樹脂等が挙げられる。BPA型エポキシメタアクリレート樹脂に関しては、塗膜の機械的強度、耐薬品性等の優れた樹脂であるが、エンドクリン問題等の環境問題の観点から、好ましくは低粘性で作業性等の優れたBPF型エポキシメタアクリレート樹脂が用いられる。
【0015】
また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に関しては、ポリオール、ポリイソシアネートおよび1分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応によって得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものであり、好ましくはポリイソシアネートとポリオールをNCO/OH=1.3〜2で反応せしめて得られる末端イソシアネート化合物に、好ましくは1分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートをイソシアネート基に対して水酸基がほぼ当量になるように反応せしめる方法、およびポリイソシアネートと1分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートをNCO/OH=2以上で反応せしめて得られる片末端イソシアネート化合物に、ポリオールを反応せしめる方法が挙げられる。
【0016】
上記したポリオールとしては、好ましくは数平均分子量が200〜3000、より好ましくは400〜2000のものが用いられ、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカ−ボネ−トポリオール、ポリブタジエンポリオール等が挙げられ、好ましくはポリエーテルポリオールが用いられる。
【0017】
かかるポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイドの他に、ビスフェノールA及びビスフェノールFに上記アルキレンオキサイドを付加させたポリオールも含むことが出来る。
【0018】
また、ポリエステルポリオールとは、飽和二塩基酸類又はその酸無水物と、多価アルコール類の縮合重合体又はポリカプロラクトンの様に環状エステル化合物の開環重合体である。かかる二塩基酸類としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。
【0019】
また、多価アルコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等を挙げられ、好ましくは2価アルコールが挙げられる。
【0020】
上記したポリオールと反応するポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート(以下2,4−TDIと略す)、その異性体または異性体の混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができ、それらの単独または2種以上で使用することができる。上記ポリイソシアネートのうちジイソシアネート、特に2,4−TDI、その異性体又は異性体の混合物が好ましく用いられる。
【0021】
また、上記した1分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類等を挙げることができ、好ましくは1〜3価の(メタ)アクリレートが用いられる。
【0022】
次に、上記したポリエステル(メタ)アクリレートとは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する飽和ポリエステル樹脂もしくは不飽和ポリエステル樹脂であり、飽和ポリエステル若しくは不飽和ポリエステルの末端に(メタ)アクリル化合物を反応させたものである。かかる樹脂の数平均分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000より大きく5000以下である。
【0023】
かかる飽和ポリエステル樹脂とは、飽和二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるもの、また、不飽和ポリエステル樹脂とはα,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるものであり、末端に(メタ)アクリル化合物を導入するための官能基を有しているものである。
【0024】
ここでいうα,β−不飽和二塩基酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ハロゲン化無水マレイン酸等を挙げることができる。飽和二塩基酸としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。
【0025】
また、上記した飽和二塩基酸又はα、β―不飽和二塩基酸を含む二塩基酸と縮合反応する多価アルコール類としては、上記した各種多価アルコール類と同様のものを用いることができる。
【0026】
また、上記したポリエステル(メタ)アクリレートに用いられる(メタ)アクリル化合物としては、アクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステル類等であり、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレートの使用が望ましい。
【0027】
次に、本発明に使用される(B)フェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体としては、例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド(EO)変性アクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、アクリロイルオキシエチルフタレート、フェノールEO変性メタアクリレート、ノニルフェニルカルビトールメタアクリレート、ノニルフェノールEO変性メタアクリレート、フェノキシプロピルメタアクリレート、フェノールPO変性メタアクリレート、ノニルフェノキシプロピルメタアクリレート、ノニルフェノールPO変性メタアクリレート、メタアクリロイルオキシエチルフタレート等が挙げられ、単独又は2種以上を併用して用いられるが、特にフェノキシエチル(メタ)アクリレートもしくはフェノキシプロピル(メタ)アクリレートが、臭気、安全性、粘度、耐水性の面で好ましく用いられる。かかるアクリル系単量体の分子量が180より小さい場合は、単量体の揮発による臭気の問題が生じ、分子量500より大きい場合は、高粘度になることから作業性の問題が生じる。
【0028】
さらには、樹脂組成物の表面乾燥性を向上させ得るような、ジシクロペンタジエン、ジシクロデカンまたはトリアジンの如き各種誘導体類、例えばジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレートまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等の(メタ)アクリレートを、本発明の目的を達成する範囲内で併用することができ、好ましくは分子量180〜500の(メタ)アクリレートが併用される。
【0029】
次に、本発明に使用されるアルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)としては、好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが臭気、安全性、粘度、硬化性の面で望ましい。かかるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)の炭素数が5以上である場合、高粘度になることから作業性等の問題がある。
【0030】
上記したフェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体(B)とアルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)の重量比率に関しては、(フェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体(B)/アルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C))= 90/10〜50/50である。かかる範囲で使用することにより、常温硬化性、表面乾燥性、作業性、乾燥後の塗膜の物性、表面の外観ならびにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0031】
上記したフェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体(B)およびアルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)には、その他各種単量体を併用することができ、かかる単量体としては、例えばアクリル酸メチル(以下、MMAと略す)、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトンメタアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールメタアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、スチレン等が挙げられるが、上記した各種単量体を併用して用いる場合、樹脂組成物の低臭性を維持するために、分子量180以上の単量体が好ましい。
【0032】
さらに、本発明のフェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体(B)およびアルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)には、1分子中に少なくとも2個の重合性二重結合を有する化合物を併用することができ、硬化物表面の耐摩耗性、耐さっ傷性、耐煽動性、耐薬品性等を向上させる目的で好適に用いられる。かかる1分子中に少なくとも2個の重合性二重結合を有する化合物、即ち多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン−グリコールジ(メタ)アクリレート等があり、これらは単独又は2種以上の併用で用いられる。
【0033】
次に、本発明の樹脂組成物には、空気乾燥性を有しラジカル重合により架橋できる不飽和基を有する重合体(D)を添加することが好ましく、かかる重合体としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂やビニルウレタン系樹脂等に必須成分として空気乾燥性を付与する基または脂肪酸成分を導入することにより得られるものが挙げられ、より好ましくは不飽和ポリエステルに空気乾燥性を付与する基または脂肪酸成分を導入することにより得られる樹脂が用いられる。該重合体(D)の添加量としては、本発明に用いられる樹脂(A)100重量部に対して10〜200重量部添加することが好ましく10〜100重量部添加されることがより好ましい。かかる空気乾燥性を有しラジカル重合により架橋できる不飽和基を有する重合体(D)を添加することで、塗膜の耐薬品性、耐水性等を損なうことなく表面乾燥性を向上せしめることができる。
【0034】
上記した空気乾燥性を有する不飽和ポリエステルとしては、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物と芳香族飽和二塩基酸またはその酸無水物と、グリコール類の重縮合によって製造され、場合によって酸成分として脂肪族あるいは脂肪族飽和二塩基酸を併用して製造された不飽和ポリエステルが挙げられる。
【0035】
上記したα,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独或いは併用して用いられる。上記した各種酸成分に関しては、好ましくはα,β―不飽和二塩基酸又はその酸無水物が用いられ、より好ましくはマレイン酸又はフマル酸が用いられる。
【0036】
次に、上記した酸成分と重縮合するグリコール類としては、例えばエステルグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA,エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコールが用いられ、単独或いは併用して使用されるが、そのほかにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の付加物も同様に使用できる。また、グリコール類と酸成分の一部としてポリエチレンテレフタレート等の重縮合物も使用できる。上記した各種グリコール類は、単独又は2種以上を併用して用いられるが、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコールが用いられる。
【0037】
次に、上記した不飽和ポリエステル樹脂に空気乾燥性を付与することに関して、該不飽和ポリエステルに導入される空気乾燥性を付与する基としては、例えばアリル基をはじめとするアルケニル基、アルケニルエーテル基、アクリロイル基及びジシクロペンタジエニル基などが挙げられる。
【0038】
上記した空気乾燥性を有する基を、上記した不飽和ポリエステル樹脂に導入する方法としては、例えば(イ)多価アルコール成分としてアリルエーテル基を含有する化合物を用いる方法、(ロ)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物をアルコール成分に用いる方法、(ハ)二塩基酸成分として環状不飽和脂肪族多塩基酸及びその誘導体を含有する化合物を用いる方法および(二)ジシクロペンタジエニル基を含有する化合物を用いる方法などが挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用することができる。
【0039】
上記(イ)の方法で、多価アルコール成分として用いられるアリルエーテル基を含有する化合物としては、特に限定されるものではないが、その代表的なものとしてエチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等多価アルコール類のアリルエーテル化合物、アリルグリシジルエーテルなどの如きオキシラン環を有するアリルエーテル化合物等の、アリルエーテル基を1個以上、好ましくは1〜3個を有し、好ましくはモノ、ジまたはトリ−アルコールが挙げられ、より好ましくはそれらのうち水酸基を1個有するアルコールであり、例えばエチレングリコールモノアリルエーテルが挙げられる。
【0040】
また、上記した(ロ)の方法で用いられる乾性油としては、好ましくはヨウ素価130以上の油脂で、例えば、アマニ油、大豆油、綿実油、落花生油、やし油等が挙げられる。また、エステル交換反応で得られるアルコリシス化合物に用いる多価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール等が挙げられ好ましくは4価アルコールが挙げられる。
【0041】
また、上記した(ハ)の方法で用いられる環状脂肪族不飽和多価塩基酸及びその誘導体としては、例えばテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、α−テルヒネン・無水マレイン酸付加物、ロジン、トランス−ピペリレン・無水マレイン酸付加物等が挙げられ、また上記した(二)の方法に用いられるジシクロペンタジエニル基を含有する化合物としては、例えばヒドロキシ化ジシクロペタンジエン等が挙げられる。
【0042】
上記した不飽和ポリエステル成分に空気乾燥性を付与する基又は脂肪酸成分を導入する4種類の方法のうち、二塩基酸成分として環状不飽和脂肪族多塩基酸及びその誘導体を併用する方法(ハ)が好適に用いられ、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、トランス−ピペリレン・無水マレイン酸付加物がより好ましく用いられる。
次に空乾性を有するビニルウレタン樹脂とは、例えばポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオール等のポリオール、アクリルポリオール、およびポリイソシアネートとを反応させて得られるビニルウレタン樹脂に、空乾性を付与したものである。
【0043】
ここでいうポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールとは、例えばポリエーテルポリオールとしてはポリオキシプロピレンジオール(以下PPGと略す)、ポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられ、要求性能に応じて数平均分子量400〜3000のPPGを使用することが好ましい。
【0044】
同様にポリエステルポリオールとしては、飽和二塩基酸またはその酸無水物と、前記したグリコール類の重縮合によって製造され、場合によって酸成分として芳香族並びに脂肪族あるいは脂肪族飽和二塩基酸を併用して製造された飽和ポリエステルが挙げられる。
【0045】
かかる芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独又は2種以上を併用して用いられる。
【0046】
また、アクリルポリオールとしては、アクリロイル基を有する重合性単量体(例えばアクリル酸メチル)ならびに共重合可能なエチレン化合物(例えばスチレン、酢酸ビニル)、または共役ジエン化合物(例えばブタジエン)と水酸基を含有するアクリル系重合性単量体(例えば2−ヒドロキシメタアクリレート)、及び他のアクリル系重合性単量体(例えばペンタエリスリトールトリアリルエーテル)から反応して得られた両末端または側鎖に水酸基を有するアクリル系重合体である。かかる反応は、ラジカル重合開始剤の存在下、通常のアクリル重合物の製造方法を用いて得ることができる。
【0047】
次に、上記した各種ポリオールと反応するポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート(以下、2,4−TDIと略す)と及びその異性体または異性体の混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
上記したビニルウレタン樹脂に空気乾燥性を付与する基を導入する方法として、合成上好ましいのは、空気乾燥性付与構成成分である少なくとも2つ以上の水酸基を含有するアリルエーテル化合物を、上記したポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールに併用して用いるものである。少なくとも2つ以上の水酸基を含有するアリルエーテル化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、代表的なものとして、例えばエチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物等が挙げられる。
【0049】
また、上記した空気乾燥性を有しラジカル重合により架橋できる不飽和基を有する重合体(D)中に於ける空気乾燥性付与構成比率に関しては、本発明の樹脂組成物を例えば床材として用いる場合で、特に鏡面性を求められる場合に関しては、かかる空気乾燥性付与構成比率が30〜70重量%であるのが好ましく、40〜60重量%であるのがより好ましい。かかる範囲で使用することで、ワックスを添加する必要が無くなり、鏡面性に優れた床を得ることができる。
【0050】
一方、本発明の樹脂組成物を例えば鏡面性を必要としない目的で用いる場合に関しては、かかる空気乾燥性付与構成比率が10重量%以上30重量%未満であることが好ましい。かかる範囲で使用することで、ワックス添加量を減らすことができ、接着性などの優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0051】
本発明の樹脂組成物に用いられる上記した(A)重合性不飽和基を有する樹脂、(B)フェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体および(C)アルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(D)空気乾燥性を有しラジカル重合により架橋できる不飽和基を有する重合体の重量比率は((B)+(C))/((A)+(D))=70/30〜30/70であり、60/40〜40/60が好ましい。かかる範囲で使用することにより、常温硬化性、表面乾燥性、作業性、乾燥後の塗膜の物性、表面の外観ならびにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性優れた樹脂組成物となる。
【0052】
本発明の樹脂組成物には、塗膜表面において空気遮断作用を示し、空気乾燥性を向上させる目的でパラフィンワックスを単独あるいは混合させて用いることができる。その添加量としては、成分(A)(B)(C)(D)合計量に対して、好ましくは0.05〜2重量%である。
【0053】
次に、本発明の樹脂組成物には、通常ラジカル硬化剤、硬化促進剤が添加される。
【0054】
かかるラジカル硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、例としてジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等公知公用のものが挙げられる。ラジカル硬化剤の添加量は、本発明の目的を達成することのできる範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは樹脂の合計量100重量部に対して0.5〜5重量部であり、かかる範囲で使用することで可使時間、物性等の優れた被覆構造体を得ることができる。
【0055】
硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4-(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4-(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられ、アミン系、金属石鹸系促進剤が好ましい。なお、硬化促進剤は、2種以上の組み合わせで使用しても良く、更に予め樹脂に添加しておいても良いし、使用時に添加しても良い。硬化促進剤の添加量は、本発明の目的を達成することのできる範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは樹脂の合計量100重量部に対して0.1〜5重量部である。
【0056】
また、かかる組成物には、硬化速度を調整するためにさらに光ラジカル重合開始剤、重合禁止剤などを使用することができる。
【0057】
光ラジカル重合開始剤としては、例としてベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等が挙げられる。光ラジカル開始剤の添加量は、好ましくは樹脂の合計量100重量部に対して、0.1〜3重量部である。
【0058】
重合禁止剤としては、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、14−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等を挙げることができる。重合禁止剤の添加量は、樹脂に10〜1000ppm添加するのが好ましく、50〜200ppm添加するのがさらに好ましい。かかる範囲で使用することで貯蔵安定性、作業性、強度発現性の優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0059】
次に、本発明の樹脂組成物には、各種添加剤、例えば、充填剤、紫外線吸収剤、顔料、増粘剤、低収縮化剤、老化防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、繊維強化材、ワックス等を本発明の目的を達成する範囲内において用いることができる。
【0060】
かかる充填剤としては、例えば水硬性ケイ酸塩材料、炭酸カルシウム粉、クレー、アルミナ粉、硅石粉、タルク、硫酸バリウム、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、水酸化アルミニウム、セルロース系、硅砂、川砂、寒水石、大理石屑、砕石等が挙げられ、硬化時の半透明性を考慮すると、好ましくは水酸化アルミニウム、ガラス粉および炭酸カルシウムが用いられる。
【0061】
繊維強化材としては、例えばガラス繊維、アミド、アラニド、ビニロン、ポリエステル、フェノール等の有機繊維、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維あるいはこれらを組み合わせて用いられる。施工性、経済性を考慮した場合、好ましくはガラス繊維および有機繊維である。また、繊維の形態は平織り、朱子織り、不織布およびマット状等が挙げられる。
【0062】
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸等が挙げられる。
【0063】
上記した本発明の樹脂組成物の用途としては、好ましくは工場、倉庫、クリーンルームなどの床材、舗装材、防水材、塗料、プライマー、壁面コーティング材、道路マーキング材、注入材、シール材、注型品、積層品、接着剤、ライニング材、波平板等の土木建築材料、被覆材、注形品、積層品、封止材、波板、化粧板、電気絶縁用基板、光通信ガラスファイバー用コーティング材、生物医学材料、樹脂カプセルアンカー用材料等に使用できる。
【0064】
【実施例】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、文中に「部」とあるのは、重量部を示す。
【0065】
[参考例1] エポキシメタアクリレート樹脂〔EPMA〕の合成
温度計、攪拌機、ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、エピクロン830(大日本インキ化学工業(株)製エポキシ樹脂:エピクロルヒドリンとビスフェノールAの反応物:数平均分子量344)2970部、メタアクリル酸1456部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1.55部、トリエチルアミン13.3部を仕込み、窒素/空気(流量比1/1)混合気流下90℃まで昇温し、2時間反応させた。次いで、反応温度を105℃まで昇温させ、30時間反応を続け、酸価8.87、エポキシ当量23900の2個のメタクリル基含有エポキシメタアクリレート樹脂を得た。この樹脂を以下[EPMA]とする。
【0066】
[参考例2] ウレタンメタアクリレート樹脂〔UMA〕の合成
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(数平均分子量399.3)1597部、トリレンジイソシアネート1392部を仕込み、窒素雰囲気中80℃まで昇温し、2.5時間反応させ、NCO当量370になったところで、50℃まで冷却した後、窒素/空気(流量比1/1)混合気流下でトルハイドロキノン0.305部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート1100部を加え、90℃まで再度昇温させた。3時間反応させ、残存NCO量0.0644%の2個のメタクリル基含有ウレタンメタアクリレート樹脂を得た。この樹脂を以下[UMA−I]とする。
【0067】
[参考例3] 空乾性不飽和ポリエステル〔空乾性UPE〕樹脂の合成
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ジエチレングリコール576部、無水フタル酸285部、無水マレイン酸81部、トランス−ピペリレン・無水マレイン酸付加物457部を公知の条件で加熱脱水縮合させて酸価10.2の空乾性ポリエステル樹脂を得た。この樹脂を以下[空乾性UPE]とする。
【0068】
<塗布時の臭気官能試験>
温度23℃、湿度50%の環境試験室内(4m×4m×2m)で、30cm×30cm舗道板に樹脂組成物を約0.2kg/m2塗布した。その塗布時にA、B、C、3名の人間が立会い、環境試験室内での臭気を確認した。
その結果を下記の様に評価した。
【0069】
◎:3人とも臭わない。
○:わずかに臭った人が1人。
△:わずかに臭った人が2人。
×:3人とも強く臭った。
【0070】
<硬化性>
硬化性は、ゲルタイムと塗膜乾燥性により評価した。ゲルタイムは、容量100mlのデスカップに樹脂を50g計量し、8%オクチル酸コバルトを添加して所定温度に調整した後、硬化剤を混合添加した。これを所定温度の恒温槽に浸漬し、ゲルが発生して糸切れ状態になるまでの時間をゲルタイムとした。塗膜乾燥性は、樹脂、8%オクチル酸コバルト、硬化剤を環境試験室にて、所定温度に調整した後、混合する。混合した樹脂をスレート板上に、厚み0.25mmのアプリケーターで塗布した。表面状態を指触にて確認し、指に樹脂が着かなくなるまでの時間を塗膜乾燥性とした。
【0071】
<引張り強度及び引張り伸び率>
樹脂組成100部に対し、8%オクチル酸コバルト1.0部、メチルエチルケトンパーオキサイド2.0部を添加し、撹拌後脱法し、2mm厚の注型板を作製した。室温で24時間放置後、120℃2時間のアフターキュアーを行い、引張り試験テストピースを作製し、引張り強度(T0)及び引張り伸び率の測定を行った。
【0072】
<耐水強度保持率>
上記方法で作製した引張り試験テストピースを、70℃温水に7日間浸漬し、浸漬状態のまま室温(23℃)に戻し、引張り強度の測定(T1)を行った。
耐水強度保持率=T1/T0
【0073】
<180度接着剥離試験測定法>
コンクリート舗道板に150g/m2本発明、比較例の樹脂組成物をそれぞれ150g/m2塗布し、表面乾燥後、その上に伸び率約200%の柔軟性MMA樹脂(大日本インキ化学(株)製・ディオバーHTP−502)を110g/m2目付けのポリエステル不織布を積層含浸させ、JIS−K−6854に準拠し180度接着剥離試験を実施した。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
本発明は、表面乾燥性、作業性、乾燥後の塗膜の物性、表面の外観ならびにコンクリート、アスファルト、木材等に対する接着性、二次接着性に優れる樹脂組成物を提供するものである。
Claims (2)
- (A)エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートから選ばれる重合性不飽和基を有する樹脂、(B)フェノキシエチル(メタ)アクリレート又はフェノキシプロピル(メタ)アクリレートから選ばれるフェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体および(C)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートから選ばれるアルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(D)空気乾燥性を有する不飽和ポリエステルを含有し、(フェニル基を有し分子量180〜500のアクリル系単量体(B)/アルキル基の炭素数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C))の重量比率が90/10〜50/50であり、前記((B)+(C))/((A)+(D))の重量比率が70/30〜30/70であることを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項1記載の樹脂組成物を塗布硬化したコンクリート構造体。
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