JP2003327716A - 成形品 - Google Patents

成形品

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JP2003327716A
JP2003327716A JP2002135726A JP2002135726A JP2003327716A JP 2003327716 A JP2003327716 A JP 2003327716A JP 2002135726 A JP2002135726 A JP 2002135726A JP 2002135726 A JP2002135726 A JP 2002135726A JP 2003327716 A JP2003327716 A JP 2003327716A
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styrene
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meth
acrylate
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Yuei Yamazaki
勇英 山▲崎▼
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Japan Composite Co Ltd
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Japan Composite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】住環境に使用された場合に、スチレンの室内濃
度が厚生労働省の指針値である220μg/mを下ま
わることができる成形品を提供する。 【解決手段】不飽和ポリエステル及び/又はビニルエス
テルと、スチレンモノマーと、(メタ)アクリレートモ
ノマーとを必須成分として含有する樹脂と、強化繊維及
び/又は充填材と、硬化剤とを含有する樹脂組成物を硬
化してなる成形品であって、該成形品のアドパック法に
より測定したスチレン放散速度が、100μg/m
以下の範囲内であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和ポリエステ
ル樹脂やビニルエステル樹脂を使用した成形品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から不飽和ポリエステル樹脂やビニ
ルエステル樹脂は成形性に優れ、耐水性等の物性も良好
であることから、浴槽、ユニットバス、ボート、漁船、
車両、ハウジング、キッチンカウンター等の成形品に広
く利用されている。
【0003】一方、昨今の住宅の内装用建材や住設設備
に使用される塗料や接着剤等に含まれるトルエン、キシ
レン、スチレン等の揮発性有機物質(VOCs:volati
le organic compounds)がシックハウス症候群の原因の
1つであると指摘され、住宅室内におけるこれらのVO
Csの濃度を低減することが求められている。
【0004】これに対応する国の動きとして厚生労働省
は2000年にVOCsの室内濃度指針値を発表してお
り、この中でスチレンに関しては220μg/mと定
められた。しかし、上記の不飽和ポリエステル樹脂やビ
ニルエステル樹脂を使用した成形品においては、樹脂中
にスチレンモノマーを含有している。このスチレンモノ
マーは、本来、不飽和ポリエステルやビニルエステルと
の共重合により完全に消費されるべきものであるが、実
際には、僅かな量が未反応となり成形品中に残存してい
る。したがって、このような成形品を住宅の内装用建材
や住設設備に使用した場合には、成形品より未反応のス
チレンモノマーが放散することにより、住宅室内の空気
が汚染され、厚生労働省の定める室内濃度指針値を超え
る値となることが懸念される。
【0005】もっとも、成形品中に未反応のスチレンモ
ノマーが残存していて成形品より一定量以上のスチレン
モノマーの放散が確認される場合でも、時間の経過とと
もにその放散量は徐々に減少していくことが知られてい
る。しかし、成形品が製造されてから居住環境に持ち込
まれるまで、残存スチレンモノマーが消失するだけの十
分な時間経過が取られるとは限らない。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、
住宅等の人の居住環境に使用した場合に、その使用開始
直後よりスチレンの室内濃度が厚生労働省の指針値であ
る220μg/mを確実に下まわることが可能となる
成形品を提供することを課題として挙げた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、不飽和ポ
リエステル樹脂やビニルエステル樹脂を使用した成形品
について鋭意検討を重ねた結果、該成形品のスチレン放
散速度をアドパック法により測定した値で100μg/
h以下の範囲内に設定することにより、スチレンの
室内濃度が厚生労働省の指針値である220μg/m
を下まわることを見出し、上記の課題をみごとに解決で
きることに想倒した。
【0008】なお、成形品の使用直後よりスチレンの室
内濃度が厚生労働省の指針値である220μg/m
下まわるために、成形品のスチレン放散速度は、製造直
後からアドパック法により測定した値で100μg/m
h以下の範囲内であることが好ましい。また、スチレ
ンの室内濃度をさらに抑制するために上記のスチレン放
散速度は、60μg/mh以下の範囲内が好ましく、
40μg/mh以下の範囲内がさらに好ましい。
【0009】本発明のアドパック法とは、米国規格協会
(ASTM)の規格で定められた小型チャンバ法に基づ
くものであり、チャンバ容量が0.02〜1m、測定
条件として、測定温度;25±1℃、湿度;50±4R
H%、換気回数;0.5±0.05回/時間と定められ
ている。その方法は、空気入口及び排気出口を有しか
つ、一定温度(25℃)に保持された密閉状の試験チャ
ンバ内に試験片を吊り下げてあるいは、立てて配置し、
そのチャンバ内にチャンバと同じ温度及び一定の相対湿
度(RH50%)の清浄な空気を空気入口より供給して
均一に拡散させ、その供給空気により換気されたチャン
バ内の気体を排気出口から取り出して捕集し、その捕集
気体をガスクロマトグラム質量分析装置により分析する
ものである。
【0010】本発明の成形品は、不飽和ポリエステル及
び/又はビニルエステルと、スチレンモノマーを必須成
分として含有する樹脂と、強化繊維及び/又は充填材
と、硬化剤とを含有する樹脂組成物を硬化してなるもの
であり、該成形品のアドパック法により測定したスチレ
ン放散速度が、100μg/mh以下の範囲内であ
る。
【0011】本発明の成形品を得る方法としては、成
形品より未反応のスチレンモノマーが放散すること抑制
する方法(方法)、成形品中の未反応のスチレンモ
ノマーそのものを低減する方法が挙げられる(方法
)。
【0012】上記の方法としては、例えば、スチレン
モノマーを含有していない塗料やラミネート等でシール
ドする方法等が挙げられる。
【0013】上記の方法としては、充分な硬化時間を
かけてスチレンモノマーの共重合を促進する方法や、ス
チレンモノマーと、スチレンモノマー以外の重合性単量
体を併用する方法が挙げられる。これらの方法のうち、
成形品の生産性からスチレンモノマー以外の重合性単量
体を併用する方法が好ましい。
【0014】なお、アドパック法により測定したスチレ
ン放散速度をより低レベルに設定するために、方法と
方法を併用することが好ましい。
【0015】上記スチレンモノマー以外の重合性単量体
としては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、ア
リルエーテルモノマー、ビニルエーテルモノマー等が挙
げられ、不飽和ポリエステル及び/又はビニルエステル
との共重合性に優れることから(メタ)アクリレートモ
ノマーが好ましい。
【0016】上記不飽和ポリエステル及び/又はビニル
エステルと、スチレンモノマーを必須成分として含有す
る樹脂に(メタ)アクリレートモノマーを配合する場合
の配合量は、不飽和ポリエステル及び/又はビニルエス
テルが有する重合性二重結合のモル数(PP)と、スチ
レンモノマーが有する重合性二重結合のモル数(SM)
と、(メタ)アクリレートモノマーが有する重合性二重
結合のモル数(AM)とが、(SM)<(PP)+(A
M)、かつ、〔5×(SM)〕>(AM)+(PP)の
関係となるよう配合量を設定することが好ましい。
【0017】上記の配合量が(SM)≧(PP)+(A
M)では、成形品中に未反応のスチレンモノマーの残存
量が多くなることに起因して、成形品のスチレン放散速
度が100μg/mhを超えるおそれがある。また、
〔5×(SM)〕≦(AM)+(PP)では不飽和ポリ
エステル及び/又はビニルエステル中の重合性二重結合
が残存するため成形品の耐水性、耐候性等が低下するお
それがある。
【0018】なお、(メタ)アクリレートモノマーが有
する重合性二重結合のモル数(AM)とは、(AM)=
(配合重量)×〔(メタ)アクリレートモノマーの有す
る重合性二重結合の数〕/〔(メタ)アクリレートモノ
マーの分子量〕の式から計算により求めることができ
る。
【0019】上記の樹脂におけるスチレンモノマーと
(メタ)アクリレートモノマーとの配合割合は、重量比
率〔スチレン/(メタ)アクリレート〕で、90/10
〜20/80範囲内であることが好ましい。該重量比率
が20/80未満であると、成形品の耐水性や強度が低
下するおそれがあり、90/10を超えると、未反応の
スチレンモノマーの残存量が多くなることに起因して、
成形品のスチレン放散速度が100μg/mhを超え
るおそれがある。該重量比率は、好ましくは80/20
〜30/70の範囲内であり、60/40〜35/65
の範囲内が最も好ましい。
【0020】上記の樹脂における不飽和ポリエステル及
び/又はビニルエステルに対する、スチレンモノマー及
び(メタ)アクリレートモノマーの合計の配合割合とし
ては、重量比率〔(不飽和ポリエステル及び/又はビニ
ルエステル)/(スチレン及び(メタ)アクリレートの
合計量〕で20/80〜90/10の範囲内であること
が好ましい。該重量比率が20/80未満であると、成
形品の耐水性や強度が低下するおそれがあり、90/1
0を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が
低下するおそれがある。該重量比率は、好ましくは30
/70〜80/20の範囲内であり、40/60〜60
/40の範囲内が最も好ましい。
【0021】本発明の樹脂組成物における樹脂の配合量
としては、樹脂組成物の総重量に対して、80重量%〜
20重量%の範囲内が好ましく、60重量%〜30重量
%の範囲内がさらに好ましい。
【0022】本発明における(メタ)アクリレートモノ
マーとしては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を1
つ以上有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸プロ
ピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸イソボル
ニル、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリ
レート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アク
リレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレ、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】本発明の(メタ)アクリレートモノマーと
しては、各種成形方法において揮発することが少なく、
効果的にスチレンモノマーとの共重合が可能であること
から、常圧下での沸点が110℃以上のモノマーである
ことが好ましい。なお、常圧下での沸点とは、大気圧1
013hPaでの沸点である。
【0024】本発明における不飽和ポリエステルとして
は、酸成分とアルコール成分との脱水縮合反応によって
得られるオリゴマー、又は、酸エステル成分とアルコー
ル成分との脱アルコール縮合反応によって得られるオリ
ゴマーである。また、ポリエステルの末端に例えば不飽
和エポキシ化合物や不飽和イソシアネート化合物を付加
させた不飽和ポリエステルアクリレートでも良く、ジシ
クロペンタジエンを末端に付加させたものでもよい。
【0025】上記不飽和ポリエステルを得るための酸成
分は、不飽和二塩基酸及び/又はその無水物を必須成分
とする。このような不飽和二塩基酸及び/又はその無水
物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0026】上記不飽和ポリエステルを得るための酸エ
ステル成分は、不飽和二塩基酸のエステル化物を必須成
分とする。このような不飽和二塩基酸のエステル化物と
しては、例えば、上記例示の不飽和二塩基酸をエステル
化した化合物等が挙げられる。
【0027】上記不飽和ポリエステルを得るための酸成
分、酸エステル成分としては、上記の不飽和二塩基酸及
び/又はその無水物、不飽和二塩基酸のエステル化物以
外に、飽和多塩基酸及び/若しくはその無水物、又は、
飽和多塩基酸のエステル化物を成分の一部として併用す
ることができる。
【0028】上記の酸成分における不飽和二塩基酸及び
/又はその無水物の使用割合、酸エステル成分における
不飽和二塩基酸のエステル化物の使用割合としては、酸
成分あるいは酸エステル成分の10〜100モル%の範
囲内が好ましく、30〜100モル%の範囲内がさらに
好ましく、50〜100モル%の範囲内が最も好まし
い。
【0029】上記の多塩基酸及び/又はその無水物とし
ては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリ
ット酸等の芳香族飽和多塩基酸;テトラヒドロフタル
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー
酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸
等の脂肪族飽和多塩基酸が挙げられる。
【0030】上記飽和多塩基酸のエステル化物として
は、例えば、上記例示の飽和多塩基酸のエステル化物等
が挙げられる。
【0031】上記不飽和ポリエステルを得るためのアル
コール成分としては、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリ
コール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチ
ルプロパン−1,3−ジオール、ビスフェノールAとエ
チレンオキサイドやプロピレンオキサイドとの付加物、
水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAとエ
チレンオキサイドやプロピレンオキサイドとの付加物、
トリメチロールプロパン、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド等が挙げられる。
【0032】上記不飽和ポリエステルを得るための酸成
分又は酸エステル成分と、アルコール成分との使用割合
としては、酸成分又は酸エステル成分1.0当量に対し
て、アルコール成分が0.9〜1.1当量となるように
することが好ましい。また、ポリエステルの末端に不飽
和エポキシ化合物を反応させる場合には、酸成分を比較
的多く使用して末端にカルボキシル基が残存するよう
に、不飽和イソシアネート化合物を付加させる場合には
アルコール成分を比較的多く使用して末端に水酸基が残
存するように調製する。更に、ジシクロペンタジエンを
末端に付加させたものを得る場合、先にジシクロペンジ
エンと無水マレイン酸、アルコール又は水を通常のエス
テル化反応条件で反応させて、さらに必要に応じて不飽
和二塩基酸及び/又はその無水物、飽和多塩基酸及び/
又はその無水物を加えて公知の方法で縮合反応を行って
もよい。
【0033】上記不飽和ポリエステルを得る際の反応条
件、すなわち酸成分又は酸エステル成分と、アルコール
成分とを縮合反応させる条件については、例えば、反応
温度、反応時間等については、該反応が完結するように
提示設定すればよい。また、縮合反応は、窒素やヘリウ
ム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。不
活性ガスは、例えば、反応系に吹き込むように(いわゆ
る、バブリング)することにより反応系中に供給すれば
よい。
【0034】上記不飽和ポリエステルを得るための縮合
反応においては、酸成分又は酸エステル成分や、アルコ
ール成分に加えて、必要に応じ、その他の成分が含まれ
てもよい。その他の成分としては、例えば、反応促進触
媒、消泡剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらの使用
割合としては、その目的に応じて適時設定すればよい。
【0035】上記不飽和ポリエステルの数平均分子量と
しては、600〜5,000の範囲内が好ましい。該数
平均分子量が600未満であると、不飽和ポリエステル
を含有する樹脂組成物を硬化してなる成形品の耐水性が
低下するおそれがあり、5,000を越えると不飽和ポ
リエステルを含有する樹脂組成物の粘度が高くなり、作
業性が低下するおそれがある。より好ましくは800〜
3,000の範囲内であり、1,000〜2,000の
範囲内が最も好ましい。
【0036】本発明のビニルエステルは、多官能エポキ
シ化合物、不飽和一塩基酸、及び、必要により多塩基酸
をエステル化触媒の存在下、エステル化反応させて得ら
れるオリゴマーである。
【0037】上記多官能エポキシ化合物としては、分子
内に2つ以上のエポキシ基及び/又はグリシジル基を有
する化合物であり、例えば、ビスフェノールA型エポキ
シ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフ
ェノールS型エポキシ化合物、これらの水素化物;フェ
ノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラ
ック型エポキシ化合物、これらの水素化物等が挙げられ
る。
【0038】上記多官能エポキシ化合物の平均分子量と
しては、170〜700の範囲内が好ましい。該平均分
子量が700を超えるとビニルエステルを含有する樹脂
組成物の粘度が高くなり、作業性が低下するおそれがあ
る。より好ましくは180〜400の範囲内である。
【0039】上記不飽和一塩基酸としては、例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸や、モノ
メチルマレート、モノプロピルマレート等の不飽和二塩
基酸ハーフエステル化物、グリシジル(メタ)アクリレ
ートと不飽和二塩基酸または飽和二塩基酸とのハーフエ
ステル等が挙げられる。
【0040】上記多塩基酸としては、例えば、無水マレ
イン酸、フマル酸、アジピン酸、無水フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロ無フタル酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等が挙げ
られる。
【0041】上記多官能エポキシ化合物、不飽和一塩基
酸、及び、必要に応じて用いられる多塩基酸の使用割合
としては、多官能エポキシが有するエポキシ基1.0当
量に対して、不飽和一塩基酸及び多塩基酸が有するカル
ボキシル基の合計量が0.9〜1.1当量の範囲内とな
るように設定することが好ましい。
【0042】上記ビニルエステルを得る際に用いるエス
テル化触媒としては、例えば、トリエチルアミン等のア
ミン類、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等
の第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン等の
ホスフィン類、テトラフェニルホスホウムブロマド等の
ホスホニウム塩、オクチル酸亜鉛等の有機金属塩等が挙
げられる。
【0043】上記エステル化触媒の添加量としては、多
官能エポキシ化合物、不飽和一塩基酸、及び、多塩基酸
の合計量(総重量)に対して、該触媒が0.005〜
1.0重量%の範囲内となるように設定することが好ま
しい。
【0044】上記エステル化反応においては、必要に応
じて、反応系に重合性単量体や溶剤を共存させてもよ
い。更に、エステル化反応の反応温度、反応時間は反応
が完結するように適宜設定すればよい。上記エステル化
反応に際しては、重合によるゲル化を防止するために重
合禁止剤や分子状酸素を添加することが好ましい。この
ような重合禁止剤としては、従来公知の化合物を用いる
ことができる。
【0045】上記分子状酸素としては、例えば、空気や
空気と窒素等の不活性ガスの混合ガスを用いることがで
きる。この場合、反応系に吹き込むように(いわゆる、
バブリング)すればよい。なお、反応におけるゲル化を
充分に防止するために、重合禁止剤と分子状酸素とを併
用することが好ましい。
【0046】上記ビニルエステルの数平均分子量として
は、400〜3,000の範囲内であることが好まし
い。該数平均分子量が3,000を超えると、ビニルエ
ステルを含む樹脂組成物の粘度が高くなることから、作
業性が低下するおそれがある。より好ましくは500〜
2,000の範囲内である。
【0047】本発明における強化繊維としては、従来公
知の繊維強化プラスチックに用いられるものを使用で
き、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミ
ック繊維等の無機繊維、ビニロン、フェノール、ナイロ
ン、テフロン(登録商標)、アラミド、ポリエステル等
の有機繊維等が挙げられる。その形状は、例えば、クロ
スやチョップストランドマット、プリフォーマブルマッ
ト、コンテニュアンスストランドマット、サーフェシン
グマット等のマット状、チョップ状、ロービング状、不
織布状等が挙げられる。
【0048】本発明の樹脂組成物における強化繊維の使
用割合は、樹脂組成物の総重量に対して、10重量%〜
50重量%の範囲内が好ましい。強化繊維の使用割合が
10重量%未満では、成形品の強度が不足するおそれが
ある。また、使用割合が50重量%を超えると、樹脂と
強化繊維との界面の面積が増えるため、成形品の耐水性
や耐薬品性等が低下するおそれがある。より好ましく
は、15重量%〜40重量%の範囲内であり、20重量
%〜40重量%の範囲内が最も好ましい。
【0049】本発明における充填材としては、樹脂組成
物の成形性を向上し、成形品の耐水性等の物性を向上さ
せるものであり、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カ
ルシウム、アルミナ、金属粉末、カオリンクレイ、タル
ク、ミルドファイバー、珪砂、珪藻土、結晶性シリカ、
溶融シリカ、ガラス粉等が挙げられる。
【0050】本発明の樹脂組成物における充填材の使用
割合は、樹脂組成物の総重量に対して、10重量%〜7
0重量%の範囲内が好ましい。充填材の使用割合が10
重量%未満では、成形品の耐水性が不足するおそれがあ
る。また、使用割合が70重量%を超えると、樹脂組成
物の成形性が悪くなったり、成形品の可撓性が低下する
おそれがある。より好ましくは、20重量%〜60重量
%の範囲内であり、30重量%〜50重量%の範囲内が
最も好ましい。
【0051】本発明における硬化剤としては、10時間
半減期温度が70℃〜100℃の範囲内である硬化剤
が、成形品中の未反応スチレンモノマーをより低減で
き、スチレン放散量も少なくできることから好ましい。
10時間半減期温度が70℃未満では、硬化剤の分解が
早すぎるため部分的な重合が促進し、未反応のスチレン
モノマーが残存しやすくなる。また、10時間半減期が
100℃以上では、ゲル化してから硬化にいたるまでの
時間が長くなり、スチレンモノマーの消費が遅れる傾向
にあり、残存しやすくなる。
【0052】上記硬化剤としては、例えば、t−ブチル
パーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパー
オキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,
1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシラウレ
ート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチ
ルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ジメ
チルプロピルパーオキシイソプロピルカーボネート等が
挙げられる。
【0053】本発明の樹脂組成物における硬化剤の使用
量は、樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜10
重量部の範囲内が好ましい。硬化剤の使用量が0.1重
量部未満では、成形品中に未反応のスチレンモノマーが
残存しやすくなるおそれがある。また、使用量が10重
量部を超えると、樹脂組成物の可使時間が短くなり、作
業性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.5
重量部〜5重量部の範囲内であり、0.8重量部〜2重
量%の範囲内が最も好ましい。
【0054】本発明の成形品の成形方法としては、ハン
ドレイアップ成形、スプレーアップ成形、レジンインジ
ェクション成形、加圧パック成形、真空パック成形、プ
レス成形、インモールド成形等が挙げられる。この中で
もプレス成形等の成形温度が比較的高く設定できる方法
が成形品のスチレン放散量を低減できることがら好まし
い。また、成形温度等は、100℃以上に設定すること
が好ましく。120℃以上に設定することがさらに好ま
しい。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定され
るものではない。なお、以下ことわりのない場合、
「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」をそれぞれ示す
ものとする。また、本実施例のアドパック法よるスチレ
ン放散量測定方法および測定条件を以下に示す。
【0056】[アドパック法よるスチレン放散量測定方
法および測定条件]付着残存している可能性のある化学
物質をベイクアウトして揮発させるために260℃のオ
ーブンでチャンバシステムを加熱処理する。冷却後、恒
温槽内に設置し、温度湿度の定常状態を確認した後、チ
ャンバ内に試験片を設置し、チャンバ内のスチレン濃度
が定常になると予測される24時間まで換気を行った
後、サンプリングを行った。試験条件及び捕集サンプリ
ング条件を以下に示す。 ・試験条件: チャンバ容積;20L、試料設置率;
2.2m/m、温度;25±1℃、相対湿度;50
±4%、チャンバ内の換気回数;0.5回/時間、換気
流量;0.167L/min。 ・捕集サンプリング条件: 捕集管;TenaxTA
(60/80mech、200mg充填)、捕集流量;
0.05L/min、捕集時間;64分間、捕集量;
3.2L。 サンプリングした捕集管の気体を熱脱着−GC/MSで
分析した。脱着条件を以下に示す。 脱着条件: 熱脱着装置;ATD400、捕集チューブ
脱着温度;280℃、捕集チューブ脱着流量;50.6
mL/min、脱着時間;10min。
【0057】合成例1 温度計、ガス吹込管、還流冷却器及び攪拌機を備えた四
つ口フラスコを反応容器とし、これにジプロピレングリ
コール978部、プロピレングリコール228部、イソ
フタル酸664部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら
210℃で酸価が10になるまで反応させた。100℃
まで冷却し、無水マレイン酸588部を仕込み、210
℃まで昇温し、13時間反応させることにより、酸価1
2mgKOH/g、数平均分子量2,000の不飽和ポ
リエステル(1)を得た。
【0058】合成例2 合成例1と同様の反応容器に、無水マレイン酸196
部、ジシクロペンタジエン(純度95%)278部及び
脱イオン水36部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら
130℃で3時間付加反応を行った。これに、無水フタ
ル酸296部、プロピレングリコール125部及びネオ
ペンチルグリコール172部を加えて混合し、窒素ガス
を吹き込みながら200℃まで昇温し、8時間反応させ
ることにより、酸価25mgKOH/g、数平均分子量
1,230の不飽和ポリエステル(2)を得た。
【0059】合成例3 合成例1と同様の反応容器に、ビスフェノールA型エポ
キシ化合物(商品名「エポトートYD−901」、東都化
成社製、平均エポキシ当量456)456部、メタクリ
ル酸86部、エステル化触媒としてトリエチルアミン
2.3部、及び、重合禁止剤としてハイドロキノン0.
1部を仕込んだ。次いで、この混合物に空気を吹き込み
ながら、115℃に昇温し、6時間反応させ、酸価7.
0mgKOH/g、数平均分子量990のビニルエステ
ル(1)を得た。
【0060】実施例1〜7、比較例1〜5 合成例1〜3で得られた不飽和ポリエステル(1)〜
(2)、ビニルエステル(1)、スチレンモノマー、
(メタ)アクリレートモノマーとして、エチレングリコ
ールジメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート
を表1に記載した配合量で均一に混合して樹脂を得た。
【0061】次に、上記の樹脂100部、硬化剤として
パーブチルO(商品名、日本油脂社製、10時間半減期
温度;72℃)、カヤカルボンAIC−75(商品名、
化薬アクゾ社製、10時間半減期温度;96℃)、パー
キュアーWO(商品名、日本油脂社製、10時間半減期
温度;65℃)、パーブチルZ(商品名、日本油脂社
製、10時間半減期温度;104℃)をそれぞれ2部、
炭酸カルシウム150部を配合し、20cm×20cm
の大きさのチョップストランドマット(CM−455F
A、商品名、旭ファイバー社製)3枚に含浸させて樹脂
組成物(チョップストランドマット:配合樹脂(重量
比)=30:70)を得た。
【0062】得られた樹脂組成物をPETフイルムで挟
み、ホットプレスで130℃、98N/cmで4分間
硬化させ、その後、PETフイルムを除去して成形品を
得た。なお、実施例7においては、ホットプレスで13
0℃、98N/cmで30分間硬化させた。
【0063】得られた成形品から165mm×165m
mにカットして試験片とし、アドパック法によるスチレ
ン放散量測定、耐熱水性試験を行った。耐熱水性試験は
98±1℃の試験条件で行い、試験片を所定時間ごとに
取り出し、表面の状態を目視で観察し、下記の基準で評
価した。
【0064】耐熱水性評価基準: ○・・ほとんど変化なし。 △・・わずかにガラス白化が発生。 ×・・ガラス白化が著しい。
【0065】結果を表2に示す。また、実施例1から7
の成形物を床面積約6.3m、高さ約2.2mの住宅
内に床面全体に設置し、気中濃度を厚生労働省公表手順
で測定したところ、厚生労働省の指針値である220μ
g/mを下まわった。一方、比較例1〜5を同様の方
法により測定したところ、厚生労働省の指針値を下まわ
るものは見られなかった。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】本発明の成形品は、上述の構成よりなる
ので、耐熱水性等の成形品としての基本性能を保持しな
がら、アドパック法により測定したスチレン放散速度が
100μg/mh以下の範囲内であるので、新築住宅
の居室内に設置した場合にスチレンの室内濃度を厚生労
働省の指針値である220μg/mを下まわることが
可能となる。したがって、人が居住する環境に成形品が
使用される用途、例えば、浴槽、ユニットバス、ボー
ト、漁船、車両、ハウジング、キッチンカウンター、内
装建材等への適応に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:06 C08L 67:06 Fターム(参考) 4F072 AA02 AA05 AA07 AA08 AA09 AB04 AB05 AB06 AB07 AB08 AB09 AB11 AB15 AB28 AB29 AD05 AD09 AD35 AD38 AD52 AE02 AE06 AF02 AF03 AF04 AF06 AF24 4J027 AB02 AB06 AB07 AB08 AB15 AB16 AB17 AB18 AB19 AB23 AB24 AB25 AE01 AE02 AE03 AJ01 BA02 BA05 BA07 CA12 CA14 CA18 CA19 CA36 CB03 CC02 CD02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル及び/又はビニルエ
    ステルと、スチレンモノマーを必須成分として含有する
    樹脂と、強化繊維及び/又は充填材と、硬化剤とを含有
    する樹脂組成物を硬化してなる成形品であって、該樹脂
    にスチレンモノマー以外の重合性単量体をさらに配合し
    て、該成形品のアドパック法により測定したスチレン放
    散速度が、100μg/mh以下の範囲内であること
    を特徴とする成形品。
  2. 【請求項2】 上記重合性単量体が(メタ)アクリレー
    トモノマーである請求項1記載の成形品。
  3. 【請求項3】 上記不飽和ポリエステル及び/又はビニ
    ルエステルが有する重合性二重結合のモル数(PP)
    と、スチレンモノマーが有する重合性二重結合のモル数
    (SM)と、(メタ)アクリレートモノマーが有する重
    合性二重結合のモル数(AM)とが、(SM)<(P
    P)+(AM)、かつ、〔5×(SM)〕>(PP)+
    (AM)の関係である請求項2に記載の成形品。
  4. 【請求項4】 不飽和ポリエステル及び/又はビニルエ
    ステルと、スチレンモノマーとを必須成分として含有す
    る樹脂と、強化繊維及び/又は充填材と、硬化剤とを含
    有する樹脂組成物を硬化してなる成形品であって、該成
    形品のアドパック法により測定したスチレン放散速度
    が、100μg/mh以下の範囲内であることを特徴
    とする成形品。
  5. 【請求項5】 上記硬化剤の10時間半減期温度が70
    ℃〜100℃の範囲内である請求項1から4に記載の成
    形品。
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