JP4102379B2 - 不飽和ポリエステル樹脂組成物およびその硬化体 - Google Patents
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Description
この不飽和ポリエステル樹脂組成物は、一般に多価アルコールからなるアルコール成分と、α、β−不飽和多価カルボン酸類および飽和多価カルボン酸類や芳香族多価カルボン酸類からなる酸成分とを重縮合して得られる不飽和ポリエステルに、ラジカル重合性モノマー、一般的にはスチレンを配合して得られる液状樹脂である。そして上記不飽和ポリエステルの製造において用いられる多価アルコール、α、β−不飽和多価カルボン酸類および飽和多価カルボン酸類や芳香族多価カルボン酸類の種類および配合割合を変えることによって、各種の使用目的に適した物性を有する、あるいは使用目的に適した成形方法で成形可能な不飽和ポリエステル樹脂組成物を製造することができる。
また、学校関連では、「学校環境衛生の基準の改訂について(通知)」が出され、揮発性有機化合物(以下、VOCと記す)関連の6物質が規制対象に入り、室内濃度を厚生労働省の室内濃度指針値以下にするように、濃度測定の実施を指示している。
また、これらの特許文献における評価は、硬化体中の残存スチレンのみを評価しており、実際の硬化体から大気中へ放散するスチレン量の評価を行っていないため、スチレン放散量の低減レベルは不明である。
したがって、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、製品の性能および生産性を低下させることなく、VOC規制に対応できる製品を成形することができる不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、上記不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体である。この硬化体は、好ましくは、住宅設備機器、住宅構造物またはライニング構造物に使用される。
(A)不飽和ポリエステル、
(B)スチレンを主成分とするラジカル重合性モノマー、
(C)コバルト塩からなる硬化促進剤、
(D)アセチルアセト基を有する化合物を含有する硬化促進助剤、ならびに
(E)アセチルアセトンパーオキサイドと、パーオキシエステル系有機過酸化物およびハイドロパーオキサイド系有機過酸化物からなる群から選択される少なくとも1種類とを含有する混合硬化剤を含み、(E)の混合硬化剤は、前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して、1.6〜5質量%、好ましくは1.6〜3質量%含まれる。混合硬化剤が1.6質量%未満であるとVOCの低減効果が不充分になり、また、5質量%を超えると硬化剤による希釈により硬化体性能が低下してしまう。
(A)不飽和ポリエステルの合成に使用される多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。更にビスフェノールAおよびビスフェノールF、ビスフェノールSなどのプロピレンオキサイド付加物またはエチレンオキサイド付加物、2,2−ジ(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン{水素化ビスフェノールA}、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの市販の2価アルコールが挙げられる。さらにグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの市販の多価アルコールが挙げられる。
ビニルエステルは、上記フェノール類のグリシジルエーテルとα,β−不飽和モノカルボン酸とを、カルボキシル基/エポキシ基=1.05から0.95の比率の範囲で、80℃から140℃にてビニルエステル化させることによって合成できる。さらに必要に応じて、反応触媒を使用することができる。触媒の例としては、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類や、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩や、塩化リチウムなどの金属塩などが挙げられる。
本発明における(A)不飽和ポリエステルは、分子量は特に規定されるものではないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、好ましくは1000〜50000であり、より好ましくは2000〜30000である。この範囲より分子量が高い場合には、合成が難しいことや粘度が高くモノマー量が大幅に多くなってしまうことがあり、それに伴って性能の低下を起こすことがある。また、分子量が低い場合には、耐水性や強度等の性能の低下を起こすことがある。
特に臭気を低減する場合には、(b−2)成分として、酢酸ビニルを使用せずに、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレートおよびジアリルテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種類を使用することが好ましい。更に耐水性が要求される場合には、ジアリルイソフタレートおよびジアリルテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種類を使用することが好ましい。
また、このラジカル重合性モノマーの粘度は、好ましくは25℃で0.1〜100dPa・s(デシパスカル・秒)の範囲であり、より好ましくは25℃で0.5〜50dPa・sの範囲である。
本発明の効果を損なわない範囲で、上記硬化促進助剤と他の硬化促進助剤を併用できる。それらの例としては、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられる。硬化促進助剤を使用することで、硬化体中の残存スチレンの低減を促進できる。特に、アセチルアセト基を有する化合物を含有する硬化促進助剤を使用することで、硬化過程に生ずるホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド系のVOCの発生および硬化体からの放散抑制ができる。硬化促進助剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して、0.1〜2質量%であることが好ましく、0.1〜1.5質量%であることがより好ましい。(D)硬化促進助剤の含有量が0.1質量%未満であると、硬化促進効果が不十分となることがあり、2質量%を超えると、含有量に見合った促進効果が得られ難くなるばかりか、性能低下を招くことがある。
(E)の有機過酸化物として、ターシャリーブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートと、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチルパーオキシオクトエート(ターシャリーブチルパーオキシ2エチルヘキソエート)およびキュメンハイドロパーオキサイドからなる群から選択される少なくとも1種類とを使用することで、VOCの放散量をより低くすることができる。
更に、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、光ラジカル開始剤により容易に常温硬化や加熱硬化によっても硬化させることができる。
特に、ゲルコート用樹脂組成物、トップコート用樹脂組成物あるいは積層用樹脂組成物として使用する場合には、揺変性付与剤および揺変性付与助剤を添加して、揺変性(チクソトロピー性)を付与させることが好ましい。揺変性付与剤の具体的な例としては、無水微粉末シリカ、アスベスト、クレー等が挙げられる。また、揺変性付与助剤の具体的な例としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、有機4級アンモニウム塩、BYK−R−605(商品名;ビックケミージャパン(株)製)等が挙げられる。これら揺変性付与剤を添加することで、樹脂に揺変性(チクソトロピー性)を付与することができ、樹脂が垂れ難くなり、水平面だけでなく垂直面などにも均一に樹脂を塗布することができ、均一な樹脂硬化塗膜が形成される。これらの添加剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、0.2〜10質量部の割合で添加することができる。
前記石油系ワックスとしては、例えば、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。前記オレフィン系ワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。さらに極性ワックスとしては、これらの石油系ワックス、オレフィン系ワックスに極性基(水酸基・エステル基など)を導入したワックス類やオレイン酸・リノール酸・リノレン酸などの不飽和脂肪酸エステルなどが挙げられる。特殊ワックスとしては、ビックケミー社製のByk LPS−6665などが挙げられる。これらのワックスは、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜2質量部の割合で添加することができる。
これらワックスは、樹脂が硬化する際に、塗膜表面やライニング層表面に析出して酸素遮断剤として有効に働き、塗膜やライニング層の表面乾燥性を向上させることができる(表面の空気や酸素による硬化阻害等を防止できる)。これらのワックスを使用しないと、良好な表面乾燥性を得ることが難しいことがある。さらに、塗膜表面やライニング層表面の空気や酸素の遮断効果により、硬化過程に生ずるホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド系のVOCの発生および硬化体からの放散抑制にも効果がある。
可塑剤としては、例えば、塩素化パラフィン、リン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられる。
また、増粘剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。
消泡剤としては、シリコン系やポリマー系のものなど公知のものが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンゾエート系など公知のものが使用できる。更にヒンダードアミン系なども使用できる。紫外線吸収剤の添加量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部である。
FRP成形品の表面保護材としては、ゲルコート用樹脂組成物またはトップコート用樹脂組成物として使用する。これらFRP成形品にゲルコート層を塗布する場合、ハンドレイアップやスプレーアップ法などの通常行われる方法を採用することできる。例えば、型の離型処理、スプレー法または刷毛塗り法などでゲルコート用樹脂組成物の塗布・硬化、FRP層の積層・硬化、脱型の工程を経て、ゲルコート層を塗布したFRP成形品が得られる。また、成形品の仕上げに、トップコート用樹脂組成物を塗布して硬化させることで、トップコート層を塗布したFRP成形品またはライニング被覆構造体が得られる。
上記の成形法以外に、引き抜き成形法、真空成形法、圧空成形法、圧縮成形法、インジェクション成形法、注型法、スプレー法などを適用することもできる。
<不飽和ポリエステルおよび不飽和ポリエステルベース樹脂の物性>
(1)酸価、粘度
不飽和ポリエステルの酸価、および不飽和ポリエステルベース樹脂の粘度をJIS K 6901に記載の「液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法」の方法に従って測定した。なお、酸価は水酸化カリウム溶液で滴定して、その滴定に要した水酸化カリウムのmg数から計算した。粘度は、ブルックフィールド形粘度計法に従い、B型(BM)粘度計にて25℃で測定した。
(2)数平均分子量、重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC){ショウデックスGPC−104:昭和電工製、溶剤:テトラヒドロフラン(THF)}にて、合成して得られた不飽和ポリエステルのポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を測定した。
<不飽和ポリエステルの合成および不飽和ポリエステルベース樹脂の調製>
[合成例1]
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した5リッターのフラスコに、無水フタル酸1370質量部、無水マレイン酸905質量部、プロピレングリコール1505質量部を仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら160℃まで昇温して、その後徐々に210℃まで昇温してエステル化反応させ、酸価が30.5mgKOH/gになった時点で冷却し、不飽和ポリエステル3380質量部を得た。このポリエステルの分子量をGPCにて測定した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量が1910、重量平均分子量が3620であった。
次に、この不飽和ポリエステル3380質量部にハイドロキノン0.50質量部を添加し、スチレン1620質量部に溶解させて不飽和ポリエステルベース樹脂PE−1を調製した。このベース樹脂PE−1の粘度(25℃)は14.7dPa・sであった。
実施例1と同様の方法にて、イソフタル酸1130質量部、プロピレングリコール1350質量部を仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながらエステル化反応させ、酸価が8.8mgKOH/gになった時点で冷却し、引き続き無水マレイン酸1000質量部を仕込み、定法手順によりエステル化反応を行ない酸価が26.6mgKOH/gになった時点で冷却し、不飽和ポリエステル3170質量部を得た。このポリエステルの分子量をGPCにて測定した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量が2880、重量平均分子量が12600であった。
次に、この不飽和ポリエステル3170質量部にハイドロキノン0.80質量部を添加し、スチレン2040質量部に溶解させて粘度(25℃)8.9dPa・sの不飽和ポリエステルベース樹脂PE−2を調製した。
実施例1と同様の方法にて、イソフタル酸915質量部、ネオペンチルグリコール1145質量部、プロピレングリコール400質量部を仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながらエステル化反応させ、酸価が6.4mgKOH/gになった時点で冷却し、引き続きフマル酸1185質量部を仕込み、定法手順によりエステル化反応を行ない酸価が24.8mgKOH/gになった時点で冷却し、不飽和ポリエステル3170質量部を得た。このポリエステルの分子量をGPCにて測定した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量が3190、重量平均分子量が14700であった。
次に、この不飽和ポリエステル3170質量部にハイドロキノン0.80質量部を添加し、スチレン2040質量部に溶解させて粘度(25℃)12.9dPa・sの不飽和ポリエステルベース樹脂PE−3を調製した。
以下の要領に従って、表1に示すような配合割合で実施例1〜9のオルソ系の積層用樹脂組成物および表2に示すような配合割合で実施例10〜15のイソ系の積層用樹脂組成物を調製した。なお、実施例1〜5、10、11、14および16は参考例である。
<積層用樹脂組成物の調製>
不飽和ポリエステルベース樹脂1000質量部、シリカ系揺変性付与剤8質量部(日本エアロジール社製:エアロジール200)を混合分散したものに、さらに、所定量のコバルト硬化促進剤および硬化促進助剤を追加混合し、必要に応じてスチレンなどのモノマーおよび重合禁止剤を添加し、粘度が3〜5dPa・s、ゲル化時間(25℃)が約20〜30分になるように不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製した。なお、樹脂組成物の粘度(25℃)および揺変度(チクソトロピーインデックス;6rpmにおける粘度を60rpmにおける粘度で除した値)を、JIS K 6901のブルックフィールド形粘度計法に従い、B型(BM)粘度計にて25℃で測定した。調製した樹脂組成物に所定量の硬化剤をさらに添加し、不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性を評価した。なお、ゲル化時間(GT)、最小硬化時間(CT)および最高発熱温度(PET)は、試験管法により測定した。
以下の要領に従って、表2に示すような配合割合で実施例16〜18のイソ系のゲルコート用樹脂組成物を調製した。
<ゲルコート用樹脂組成物の調製>
不飽和ポリエステルベース樹脂1000質量部、シリカ系揺変性付与剤20質量部(日本エアロジール社製:エアロジール200)を混合分散したものに、さらに、所定量の硬化促進剤および硬化促進助剤、0.15質量部のターシャリーブチルカテコールを追加混合し、1.0質量部の紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製:チュニビン213)、必要に応じてスチレンなどのモノマーおよび重合禁止剤を添加し、粘度が20〜30dPa・s、ゲル化時間(25℃)が約20〜30分になるように不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製した。なお、樹脂組成物の粘度(25℃)および揺変度(チクソトロピーインデックス;6rpmにおける粘度を60rpmにおける粘度で除した値)を、JIS K 6901のブルックフィールド形粘度計法に従い、B型(BM)粘度計にて25℃で測定した。調製した樹脂組成物に所定量の硬化剤をさらに添加し、不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性を評価した。なお、ゲル化時間(GT)、最小硬化時間(CT)および最高発熱温度(PET)は、試験管法により測定した。
実施例1〜18と同様にして、表3に示すような配合割合で比較例1〜9のオルソ系およびイソ系の積層用樹脂組成物ならびにイソ系のゲルコート用樹脂組成物を調製した。
<硬化体の物性>
(1)耐煮沸性(イソ系樹脂の評価)
2枚のガラス板の片面にPETフィルムを貼り、PETフィルム面が内側になるようにゴムのスペーサーをガラス板ではさむ。そこに樹脂と硬化剤を混合したものを流し込んで硬化させ、厚さ3mmの平板試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、JIS K 6911の方法に従って100℃の連続煮沸試験を行いブリスター(膨れ・クラック)の発生時間を測定した。
(2)耐候性(ゲルコート樹脂の評価)
上記(1)と同様にして試験片を作製し、この試験片を用いて、キセノンランプ(100W:東洋精機製 ATLASウェザーメーターCi4000)によるデゥーサイクル(照射ブラックパネル温度65℃、水の噴霧18分/120分中)での促進暴露試験を行なった。促進暴露試験前、試験後の試験片の照射面の表面光沢度を光沢計(村上色材技術研究所製:GM−26PRO/Auto)にて60度で測定した。
(1)ホルムアルデヒド放散量測定
(1−i)試験片の作製
150mm×150mmのガラス板状に#450ガラスマットで2プライを23℃雰囲気下で積層して硬化させ、所定の後硬化条件で処理を行い、養生条件で保管する。養生温度は23℃で行った。
ゲルコート用樹脂組成物については、離型処理したガラス板上に0.5mm厚にゲルコートを塗布し硬化させ、引き続いて実施例1の樹脂で#450ガラスマット1プライ積層して硬化させた。所定の後硬化条件で処理を行い、養生条件で保管する。ガラス板から剥がし、切削加工した後にゲルコート面を150mm×150mmだけ残して、アルミテープで積層面等をシールした。
(1−ii)試験方法(JIS K 5601−4−1 塗料成分試験法 第4部:塗膜からの放散成分分析、第1節、ホルムアルデヒド)
上記方法で作製した試験片(2枚)について、JISの方法に従って養生7日目の試験片のホルムアルデヒドの放散量(23℃で24時間)を測定した。
(2)残存スチレン量測定
離型処理したガラス板上に#450ガラスマットで2プライを23℃雰囲気下で積層して硬化させ、所定の後硬化条件で処理を行い、養生条件で保管する。養生7日目の試験片を10mm以下に熱を掛けない様に砕き、約3gの砕いた試験片を40gのエチレンクロライドの入った密閉容器に入れ、23℃で24時間以上浸す。内部標準物質としてトルエン0.1gを秤量して加え、抽出液0.3μをサンプリングしてガスクロマトグラフィーで測定し、既知の試料から作成した検量線を用いてスチレン量を定量した。
ゲルコート用樹脂組成物に関しては、ゲルコートだけを塗布して硬化させたものを使用した。
(3)スチレン放散量(簡易法)
(3−i)試験片の作製
離型処理したガラス板上に#450ガラスマットで2プライを23℃雰囲気下で積層して硬化させ、所定の後硬化条件で処理を行い、養生条件で保管する。切削加工した後に放散面を147mm×147mmだけ残して、アルミテープで積層面等をシールした。(放散面は、積層板では開放にし、ゲルコートではホルムアルデヒドと同様に離型面にした。)一度に同じ物2枚を使用した。
(3−ii)試験方法
上記(3−i)で作製した試験片(2枚)について、20Lステンレス密閉容器(空気の注入口が2ヶ所ある)に入れ、28℃で24時間放置して放散させた。その後23℃雰囲気に容器を置き、注入口から空気清浄装置を通した空気を入れ、もう一方の口から容器内の空気を取り出し、TenaxTAで容器内の空気1Lを捕集する。加熱脱着装置を使い捕集したものを脱着させてガスクロマトグラフィーで定量した。
(4)スチレン放散量{小型チャンバー法:JIS A 1901 建築材料の揮発性有機化合物(VOC)、ホルムアルデヒドおよびカルボニル化合物放散測定方法−小型チャンバー法}
(4−i)試験片の作製
離型処理したガラス板上に#450ガラスマットで2プライを23℃雰囲気下で積層して硬化させ、所定の後硬化条件で処理を行なう。切削加工した後に放散面を147mm×147mmだけ残して、アルミテープで積層面等をシールした。(放散面は、積層板では開放にし、ゲルコートではホルムアルデヒドと同様に離型面にした。)一度に同じ物2枚を使用した。
(4−ii)試験方法
上記(4−i)で作製した試験片を小型チャンバー内にセットして、一定の換気をしながら28℃で6日間養生した。養生7日目にサンプリングを行い、容器内の空気を捕集し、加熱脱着装置を使い捕集したものを脱着させてガスクロマトグラフィーで定量した。
上記評価の基準を表7に示す。
Claims (3)
- (A)不飽和ポリエステル、
(B)スチレンを主成分とするラジカル重合性モノマー、
(C)コバルト塩からなる硬化促進剤、
(D)アセチルアセト基を有する化合物を含有する硬化促進助剤、ならびに
(E)アセチルアセトンパーオキサイドと、ターシャリーブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートと、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートとからなる混合硬化剤
を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物において、
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して、前記(A)の不飽和ポリエステルが40〜75質量%、前記(B)のラジカル重合性モノマーが20〜55質量%、前記(C)の硬化促進剤が0.3〜5質量%、および前記(D)の硬化促進助剤が0.1〜2質量%、前記(E)の混合硬化剤が1.6〜5質量%含まれ、
前記(B)のラジカル重合性モノマーが、(b−1)スチレンと、(b−2)酢酸ビニル、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレートおよびジアリルテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種類とからなる混合物であって、前記(b−1)と前記(b−2)との質量比が、1:1〜19:1であることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂組成物。 - 請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化体。
- 住宅設備機器、住宅構造物またはライニング構造物に使用されることを特徴とする請求項2に記載の硬化体。
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