JP5166967B2 - 耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物、それを用いた耐アルコール性能が求められる用途のための樹脂複合組成物及びアルコール系燃料用frp二重殻タンク - Google Patents

耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物、それを用いた耐アルコール性能が求められる用途のための樹脂複合組成物及びアルコール系燃料用frp二重殻タンク Download PDF

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Description

本発明は、耐アルコール性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた樹脂複合組成物に関するものである。
近年、地球規模において二酸化炭素排出量が増加し、その影響による温暖化現象が深刻な問題となっている。諸外国においては、化石燃料に由来する二酸化炭素の排出量を低減するために、アルコール系燃料、特にエタノールの利用が進んでおり、日本でも将来的にはガソリンに対して10%近いエタノールを混合した自動車用燃料の利用が期待されている。
アルコール系燃料の備蓄には、強化プラスチック製二重殻タンクの使用が考えられている。強化プラスチック製二重殻タンクの構成は、地下タンク本体の内殻と危険物の漏洩を検知するための間隙を形成するためのFRP外殻とからなる。そして、内殻に鋼製タンクを使用したものはSF二重殻タンク、内殻にもFRPを使用したものはFF二重殻タンクと呼ばれている。
通常、SF二重殻タンク及びFF二重殻タンクのFRPに使用されるマトリックスとしては、イソフタル酸系、ビスフェノール系、ヘット酸系等の各種不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール型、ノボラック型、ブロムビスフェノール型等の各種エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。特に、耐食性、経済性及び常温硬化性に優れ、容易に成形が可能であることからイソフタル酸系、ビスフェノール系、ヘット酸系等の不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、さらに高耐食性を求められる用途では、ノボラック型、ブロムビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が広く利用されてきた。
ノボラック型及びブロムビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の耐アルコール性能は、非特許文献1において、その有用性が確認されている。
一方、不飽和ポリエステル樹脂については、非特許文献2において、飽和二塩基酸部分におけるエステル交換によりアルコールに対する劣化が生じることが確認されており、耐アルコール性能を求める用途に対しては、十分な検討が必要とされる内容であった。
そのため、耐アルコール性能が求められる用途に対しては、ノボラック型及びブロムビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が有用であるが、比較的高価なマトリックスであるため、より経済性の優れた不飽和ポリエステル樹脂での開発が望まれていた。
ビニルエステル樹脂研究会編、「ビニルエステル樹脂」、化学工業日報社発行、423〜424頁 日本材料学会誌、18、2(1992年)、66〜72頁
従って、本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と同等以上の耐アルコール性能を有し且つ経済性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、70〜100モル%の不飽和二塩基酸と0〜30モル%の飽和二塩基酸とからなる二塩基酸成分と、主鎖の炭素数が1〜3で且つ側鎖数が0又は1であるグリコールを50〜100モル%含有する多価アルコール成分とをエステル化反応させて得られる不飽和ポリエステルを配合した不飽和ポリエステル樹脂組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、二塩基酸成分と多価アルコール成分とから得られる不飽和ポリエステルと、重合性不飽和単量体とを含む不飽和ポリエステル樹脂組成物であって、前記二塩基酸成分は、70〜100モル%の不飽和二塩基酸と0〜30モル%の飽和二塩基酸とからなり、前記多価アルコール成分は、主鎖の炭素数が1〜3で且つ側鎖数が0又は1であるグリコールを50〜100モル%含有する耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物である。
本発明によれば、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と比べて同等以上の耐アルコール性能を有し且つ経済性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明による不飽和ポリエステル樹脂組成物を詳細に説明する。
<不飽和ポリエステル>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、必須成分として、70〜100モル%の不飽和二塩基酸と0〜30モル%の飽和二塩基酸とからなる二塩基酸成分、好ましくは不飽和二塩基酸のみからなる二塩基酸成分と、主鎖の炭素数が1〜3で且つ側鎖数が0又は1であるグリコールを50〜100モル%含有する多価アルコール成分とをエステル化反応させて得られる不飽和ポリエステル、及び重合性不飽和単量体を含むことを特徴とする。
本発明で使用する不飽和ポリエステルは、不飽和二塩基酸を含み且つ必要に応じて飽和二塩基酸を含む二塩基酸成分と、特定のグリコールを含む多価アルコール成分とをエステル化反応させて得られるものであり、好ましくは数平均分子量400〜5,000の範囲のものである。
ここで不飽和二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができ、これらは一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。飽和二塩基酸としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、ダイマー酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等の、芳香族二塩基酸、ハロゲン化飽和二塩基酸等を挙げることができ、これらは一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において使用する二塩基酸成分中に不飽和二塩基酸は70〜100モル%含まれる(飽和二塩基酸は0〜30モル%)必要があり、二塩基酸成分は不飽和二塩基酸のみからなることが好ましい。二塩基酸成分に占める不飽和二塩基酸の割合が70モル%未満であると、十分な耐アルコール性が得られない。
さらに、不飽和ポリエステルの不飽和二塩基酸成分中に、フマル酸は75モル%以上含まれることが好ましく、80モル%以上含まれることがより好ましい。不飽和二塩基酸成分に占めるフマル酸の割合が75モル%未満であると耐エタノール性が低下する場合がある。また、マレイン酸及び無水マレイン酸は、エステル化反応中にフマル酸へ転移することが公知であり、得られる不飽和ポリエステルが上記したフマル酸の含有割合を満たしていれば、反応原料としてフマル酸を用いなくてもよい。なお、分析方法は、核磁気共鳴分析装置(NMR)によるフマル酸のピークとその他の不飽和二塩基酸のピークとの積分比から容易に計算することができる。
本発明で使用する多価アルコ−ル成分は、主鎖の炭素数が1〜3で側鎖数が0又は1であるグリコールを50〜100モル%含有することが必要である。多価アルコール成分に占める上記グリコールの割合が50モル%未満であると、十分な耐アルコール性が得られない。主鎖の炭素数が1〜3で側鎖数が0又は1であるグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。特に、側鎖を含むグリコールは、側鎖を含まないグリコールと比べて耐アルコール性を低下させる傾向があることから、多価アルコ−ル成分は、主鎖の炭素数が1〜3で側鎖を含まないグリコールのみを含有することが好ましい。
その他の多価アルコ−ル成分としては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチルー1,4−ブタンジオール、2−エチルー1,4−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等に代表される2価フェノールとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2−シクロヘキサングリコ−ル、1,3−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、パラキシレングリコ−ル、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオ−ル、2,6−デカリングリコ−ル、2,7−デカリングリコ−ル等を挙げることができる。
本発明で使用する不飽和ポリエステルとして、本発明の効果を損なわない範囲で、ジシクロペンタジエン系化合物により変性したものを使用することも可能である。ジシクロペンタジエン系化合物による変性方法については、種々の公知の方法が可能であり、例えばジシクロペンタジエンとマレイン酸付加生成物(シデカノールモノマレ−ト)を得、これを一塩基酸として用い、ジシクロペンタジエン骨格を導入する方法等が挙げられる。
<重合性不飽和単量体>
本発明で使用する重合性不飽和単量体としては、不飽和ポリエステルと架橋反応が可能となる不飽和単量体等が挙げられる。このような重合性不飽和単量体としては、ビニル基、又は(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。ビニル基を有する単量体の具体的な例としては、スチレン、p−クロルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t−ブチルスチレン、酢酸ビニル、ジアリールフタレート、トリアリールシアヌレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、PTMGのジメタアクリーレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAEO変性(n=2)ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性(n=3)ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ジシクロペンタジエン、ジシクロデカン又はトリアジンの如き各種誘導体類、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレート又はトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等を挙げることができる。
更に、多官能の(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのようなアルカンジオールジ−(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン−グリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート等が挙げられ、これらは一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の成分>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ(メタ)アクリレート及び/又は上記以外の不飽和ポリエステルを配合してもよく、好ましくは、上記した不飽和ポリエステル50〜100質量%に対し、エポキシ(メタ)アクリレート及び/又は上記以外の不飽和ポリエステル0〜50質量%である。
エポキシ(メタ)アクリレートとは、1分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを反応せしめて、エポキシ基に不飽和一塩基酸の酸基が付加してなるものであり、好ましくはジ(メタ)アクリレート及び/又はトリ(メタ)アクリレートにかかるものである。このエポキシ(メタ)アクリレートは、平均エポキシ当量が、好ましくは100〜500なる範囲内にあるようなエポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸とを、エステル化触媒の存在下で反応せしめて得られるものであり、エポキシ樹脂としては次に例示されるような化合物が代表的なものとして挙げられる。
末端エポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応物、水素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、シクロヘキサンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、ノルボルナンジアルコールとエピクロルヒドリンとの反応物、テトラブロモビスフェノールとエピクロルヒドリンとの反応物、トリシクロデカンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応物、クレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応物、1,6ナフタレンジオールとエピクロルヒドリンとの反応物、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンアリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカーボネート、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート等が挙げられる。
また、水酸基を2個以上有する化合物の末端水酸基にエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを付加せしめたグリシジルエーテル型化合物としては、例えば水酸基を2個以上有する化合物に該オキサイドを付加し、エピクロルヒドリンを反応せしめて得られるものである。例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールFエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノールエチレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメタノールプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ジフェニルエチレンオキサイド付加物、ジフェニルプロピレンオキサイド付加物等の各グリシジルエーテル型化合物が挙げられる。
また、エポキシ伸長等の調整のために、水酸基を2個以上有する化合物を使用してもよく、具体的な化合物として、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ノルボルナンジアルコール、テトラブロモビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール、1,6−ナフタレンジオール等が挙げられる。上記エポキシ樹脂は、性能を損なわない範囲で、単独で用いても2種以上併用して用いてもよい。
エポキシ(メタ)アクリレートを調製するにあたって使用される、不飽和一塩基酸として特に代表的なものを挙げれば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート等があり、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
なお、これらの不飽和一塩基酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記したエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応は、公知の方法で合成することが可能であるが、好ましくは、60〜140℃、特に好ましくは、80〜120℃なる範囲内の温度において、エステル化触媒を用いて行われる。エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との使用量は、酸基/エポキシ基の当量比で好ましくは0.7〜1.3/1、より好ましくは0.8〜1.2/1である。
エステル化触媒としては、公知慣用の化合物がそのまま使用できるが、そのうちでも特に代表的なもののみを挙げれば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、ジアザビシクロオクタン等のアミン類、ジエチルアミン塩酸塩、スズ、亜鉛、鉄、クロム、バナジウム、リン含有化合物などである。
また、エポキシ(メタ)アクリレートは、水酸基の少なくとも一部にカルボキシル基を付与し得る化合物を反応させてカルボキシル基を導入してもよい。カルボキシル基の導入方法としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸の反応により生じた水酸基、すなわち、エポキシ基の開環反応により生成した水酸基に酸無水物を反応させて得ることが好ましい。この反応は、エポキシ(メタ)アクリレートを製造後、エポキシ(メタ)アクリレート中に酸無水物を添加するか、あるいは、エポキシ(メタ)アクリレートと重合性不飽和単量体の混合物中に酸無水物を添加することにより得られる。
カルボキシル基を付与し得る化合物の好ましいものである酸無水物としては、代表的なものを挙げれば、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、無水トリメリット酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、等が挙げられる。なお、カルボキシル基を付与し得る化合物としては、上記酸無水物が好ましいが、例えばイソシアネート基とカルボキシル基を有する化合物やシリル基とカルボキシル基を有する化合物等も使用することができる。
エポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量としては、500〜3,000の範囲内が好ましい。なお、ここでの数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量である。
本発明における上記した不飽和ポリエステル及び必要により併用されるエポキシ(メタ)アクリレートはそれぞれ、通常、重合性不飽和単量体を用いて溶解し、熱硬化性樹脂組成物として使用される。その使用比率としては、好ましくは、上記した不飽和ポリエステル及び必要により併用されるエポキシ(メタ)アクリレートの合計40〜95質量%に対して、重合性不飽和単量体5〜60質量%である。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、所望により、重合禁止剤を添加することができる。この重合禁止剤としては、不飽和ポリエステル樹脂に公知慣用されているもの、例えば、ハイドロキノン、トリハイドロベンゼン、ベンゾキノン、P−ベンゾキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。この重合禁止剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して10〜1000ppmの範囲で添加することができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、通常の不飽和ポリエステル樹脂に慣用されているラジカル硬化剤及び硬化促進剤を添加することによって、又は光ラジカル開始剤により容易に常温硬化や加熱硬化によって硬化させることができる。ラジカル硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的にはベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド系、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイドなどジアルキルパーオキサイド系、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等公知公用のものが使用される。これらのラジカル硬化剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜6質量部の範囲で添加することができる。
硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられる。これらの硬化促進剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲で添加することができる。
光ラジカル開始剤としては、光増感剤であり具体的にはベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等が挙げられる。これらの光ラジカル開始剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜6質量部の範囲で添加することができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、揺変性付与剤、揺変性付与助剤、着色剤、紫外線吸収剤、増粘剤、消泡剤、ワックス、可塑剤などの各種添加剤を適宜配合してもよい。
特に、FRPのマトリックス用、FRP成形品のゲルコート用あるいはトップコート用として使用する場合には、揺変性付与剤及び揺変性付与助剤を添加して、揺変性(チクソトロピー性)を付与させることが好ましい。揺変性付与剤の具体的な例としては、無水微粉末シリカ、アスベスト、クレー等が挙げられる。また、揺変性付与助剤の具体的な例としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、有機4級アンモニウム塩、BYK−R−605(商品名;ビックケミージャパン(株)製)等が挙げられる。これら揺変性付与剤を添加することで、樹脂に揺変性(チクソトロピー性)を付与することができ、樹脂が垂れ難くなり、水平面だけでなく立ち面などにも均一に樹脂を塗布でき、均一な樹脂硬化塗膜を形成できる。これらの揺変性付与剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して0.2〜10質量部の範囲で添加することができる。
また、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物をFRPのマトリックス用あるいはFRP成形品のトップコート用として使用する場合には、ワックスを添加してもよい。ワックスの具体的な例としては、石油系ワックス、オレフィン系ワックス、極性ワックス、特殊ワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。オレフィン系ワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。さらに極性ワックスとしては、これらの石油系ワックス、オレフィン系ワックスに極性基(水酸基・エステル基など)を導入したワックス類やオレイン酸・リノール酸・リノレン酸などの不飽和脂肪酸エステルなどが挙げられる。特殊ワックスとしては、ビックケミー社製のByk LPS−6665などが挙げられる。これらのワックスは、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲で添加することができる。これらのワックスを使用することで、不飽和ポリエステル樹脂組成物が硬化する際に塗膜表面やライニング層表面に析出して酸素遮断剤として有効に働き、塗膜やライニング層の良好な表面乾燥性を得ることができる(表面の空気や酸素による硬化阻害等を防止できる)。これらのワックスを使用しないと、良好な表面乾燥性を得ることが難しいことがある。
着色剤の具体的な例としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。
可塑剤の具体的な例としては、塩素化パラフィン、リン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられる。
また、増粘剤の具体的な例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。
消泡剤の具体的な例としては、シリコン系やポリマー系のものなど公知のものが使用できる。
紫外線吸収剤の具体的な例としては、2(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンゾエート系など公知のものが使用できる。更にヒンダードアミン系なども使用できる。これらの紫外線吸収剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲で添加することができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、繊維補強材、充填材及び骨材からなる少なくとも1種と組み合わせて樹脂複合組成物を作製することができる。使用される繊維補強材としては、例えば、ガラス繊維、アミド、アラミド、ビニロン、ポリエステル、フェノール等の有機繊維、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維等の無機繊維が挙げられ、これらは一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。施工性、経済性を考慮した場合、好ましいのはガラス繊維及び有機繊維であり、特にガラス繊維である。また、繊維の形態は、平織り、朱子織り、不織布、マット、ロービング、チョップ、編み物、組み物、これらの複合構造のもの等があるが、施工法、厚み保持等によりマット状が好ましい。また、ガラスロービングを20〜100mmにカットしてチョップドストランドにして使用することも可能である。繊維補強材の配合量としては、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部であり、より好ましくは5〜200質量部である。繊維補強材の配合量が、1質量部未満であるとFRPとしての十分な強度が得られず、300質量部を超えると十分な耐アルコール性が得られない。
充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、フライアッシュ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス粉末などが挙げられる。骨材としては、例えば、珪砂・砂利・砕石などが挙げられる。モルタル用途に使用するときは、これらの粒径が5mm以下程度のものが好ましい。充填材又は骨材の配合量としては、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部である。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物の成形法としては、特に制限されるものでなく、例えば、ハンドレイアップ成形法・スプレーアップ成形法・フィラメントワインディング成形法・レジンインジェクション成形法・レジントランスファー成形法・引き抜き成形法・真空成形法・圧空成形法・圧縮成形法・インジェクション成形法・注型法・スプレー法などを適用することができる。
また、FRP成形品にゲルコート層を塗布する場合、ハンドレイアップやスプレーアップ法などの通常行われる方法を採用することできる。例えば、型の離型処理、スプレー法または刷毛塗り法などでゲルコート用不飽和ポリエステル樹脂組成物の塗布・硬化、FRP層の積層・硬化、脱型の工程を経て、ゲルコート層を塗布したFRP成形品が得られる。また、成形品の仕上げに、トップコート用不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布して硬化させることで、トップコート層を塗布したFRP成形品またはライニング被覆構造体が得られる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、BMC(Bulk Molding Compound)、SMC(Sheet Molding Compound)などの成形材料用途などにも使用できる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と同等以上の耐アルコール性能を有し、かつ経済性に優れているので、耐アルコール性能が必要とされる用途に対して極めて有用である。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、得られた不飽和ポリエステルの不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は、核磁気共鳴分析装置(JNM−LA300 FT NMR SYSTEM:日本電子株式会社製)を用い、フマル酸とその他の不飽和二塩基酸との積分比から算出した。
[不飽和ポリエステルの調製]
<製造例1>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、無水マレイン酸 3.1モル、エチレングリコール 2.2モル及び1,5−ペンタンジオール 0.9モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が30.8mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得た。なお、不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は78モル%であった。次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加し、これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−1)を調製した。
<製造例2>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、フマル酸 3.3モル、1,2−プロパンジオール 2.3モル及び1,5−ペンタンジオール 1.0モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が28.6mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加し、不飽和ポリエステルを得た。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−2)を調製した。
<製造例3>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、無水マレイン酸 3.2モル、2−メチル−1,3−プロパンジオール 2.2モル及び1、5−ペンタンジオール 1.0モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が23.3mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。なお、不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は85モル%であった。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−3)を調製した。
<製造例4>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、無水マレイン酸 3.4モル、エチレングリコール 2.4モル及びジプロピレングリコール 1.0モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が27.2mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。なお、不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は81モル%であった。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−4)を調製した。
<製造例5>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、無水マレイン酸 3.2モル、1,2−プロパンジオール 2.2モル及びジプロピレングリコール 1.0モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が24.5mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。なお、不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は93モル%であった。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−5)を調製した。
<製造例6>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、イソフタル酸 0.9モル、1,2−プロピレングリコール 2.2モル及び1,5−ペンタンジオール 0.9モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら190℃まで昇温して、その後徐々に215℃まで昇温してエステル化反応させ、酸価が9.5mgKOH/gなった時点で冷却し、120℃でフマル酸 2.2モルを仕込み、150℃から210℃で常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が9.8mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−6)を調製した。
<製造例7>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、フマル酸 3モル及び1,5−ペンタンジオール 3モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が9.8mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−7)を調製した。
<製造例8>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、無水マレイン酸 0.7モル、フマル酸 0.7モル及びビスフェノ−ルAの2価フェノールとプロピレンオキシドとの付加物 1.4モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が9.8mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。なお、不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は93モル%であった。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−8)を調製した。
<製造例9>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、イソフタル酸 0.8モル、1,2−プロパンジオール 1.0モル及びネオペンチルグリコール 1.8モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら190℃まで昇温して、その後徐々に215℃まで昇温してエステル化反応させ、酸価が9.5mgKOH/gなった時点で冷却し、120℃で無水マレイン酸 2.0モルを仕込み、150℃から210℃で常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が9.8mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。なお、不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は90モル%であった。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−9)を調製した。
<製造例10>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、無水マレイン酸 1.2モル、無水フタル酸 1.8モル、エチレングリコール 0.9モル及び1,2−プロパンジオール 2.1モルを仕込み、窒素気流下で加熱撹拌しながら200℃まで昇温して、常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が9.8mgKOH/gなった時点で冷却し、不飽和ポリエステルを得、次に、この不飽和ポリエステルにハイドロキノン 0.50質量部を添加した。なお、不飽和二塩基酸成分中に占めるフマル酸の割合は85モル%であった。これをスチレンに溶解させて、スチレン含量45質量%の不飽和ポリエステル樹脂組成物(PE−10)を調製した。
<製造例11>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四口フラスコに、ノボラック系のエポキシ樹脂(エピクロンN−740:大日本インキ株式会社製、エポキシ当量180) 476質量部を仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温し、次にメチルハイドロキノン 0.7質量部、メタクリル酸 228質量部及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(セイクオールTDMP) 3.5質量部(触媒)を仕込み、攪拌しながら昇温し120℃から130℃で常法手順によりエステル化反応を行なった。酸価が9.5mgKOH/gになった時点で冷却し、ノボラック型エポキシメタクリレートを得、これをスチレンに溶解させて、スチレン含量30質量%のノボラック型エポキシメタクリレート樹脂組成物(VE−1)を調製した。
<実施例1〜6及び比較例1〜5の注型品の調整>
製造例1〜10で得た不飽和ポリエステル樹脂組成物又は製造例11で得たノボラック型エポキシメタクリレート樹脂組成物:100質量部に対し、重合開始剤としてパーメックN(日本油脂株式会社製) 1質量部及び8%オクチル酸コバルト 0.5質量部を添加したものを、厚さ3mmになるようにセットしたガラス板の間に流し込み、1日放置して常温硬化後、120℃で2時間アフターキュアして注型板を作製した。
得られた注型板を5cm×5cm角に切削し、耐エタノール性評価用試験片とした。
<耐エタノール性の評価>
耐エタノール性については、上記で作製した試験片を温度40±1℃のエタノール液中に浸漬し、1ヶ月後の試験片の質量変化率、及びバーコル硬度保持率により評価を行った。なお、バーコル硬度は、「JIS−K−6911 バーコル硬さ」に準拠した方法により測定した。即ち、バーコル硬さ計934−1形を用いて試験片に対し10点以上を行い、それぞれの測定結果の平均値をバーコル硬度とした。
Figure 0005166967
Figure 0005166967
表1及び2の結果から分かるように、実施例1〜6の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、質量変化率及びバーコル硬度保持率のいずれにおいても、比較例5のノボラック型エポキシメタクリレート樹脂と同等もしくはそれ以上の耐エタノール性能が得られた。これに対し、比較例1〜4の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、十分な耐エタノール性能が得られなかった。

Claims (6)

  1. 二塩基酸成分と多価アルコール成分とから得られる不飽和ポリエステルと、重合性不飽和単量体とを含む不飽和ポリエステル樹脂組成物において、
    前記二塩基酸成分は、70〜100モル%の不飽和二塩基酸と0〜30モル%の飽和二塩基酸とからなり、前記多価アルコール成分は、主鎖の炭素数が1〜3で且つ側鎖数が0又は1であるグリコールを50〜100モル%含有することを特徴とする耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記多価アルコール成分は、側鎖を含まないグリコールのみを含有することを特徴とする請求項1に記載の耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記多価アルコール成分は、エーテル結合を含まないグリコールのみを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記二塩基酸成分は、不飽和二塩基酸のみを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐アルコール性能が求められる用途のための不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して、繊維強化材、充填材及び骨材からなる群から選択される少なくとも1種を配合して得られる耐アルコール性能が求められる用途のための樹脂複合組成物。
  6. 請求項5に記載の樹脂複合組成物を成形してなるアルコール系燃料用FRP二重殻タンク。
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