JPWO2020040052A1 - 硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

耐衝撃性と高温時の強度のバランスを得た硬化性樹脂組成物及び硬化物を提供する。本発明の硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)と、を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートであり、前記脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、15,000〜30,000であり、前記その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)が、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)及びノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及びその硬化物に関する。
本願は、2018年8月24日に、日本に出願された特願2018−157549号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ピニルエステル樹指や不飽和ポリエステル樹脂は耐食性、強度、靭性に優れる。このことから耐食用タンク、パイプ、輸送用機器、可変パッドなどの各種部材の成型品で使用されてきた。また、これら各種部材用ライニング材、コーティング材などの各種分野でも使用されてきた。
例えば、特許文献1には、側鎖不飽和結合型樹脂とオリゴ(メタ)アクリレート、及び必要に応じて重合性モノマーを配合してなるビニルエステル樹脂が提案されている。そのビニルエステル樹脂が、密着性、耐水性、及び耐薬性に優れていると報告されている。
特開昭63−118310号公報
しかし、特に高い耐衝撃性が求められる用途において、ビニルエステル樹脂には、その成形品が破損し易いという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性を確保し且つ高温時の強度を確保することが可能な硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。
その結果、ビニルエステル樹脂において、特定な構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを一定の割合で混合してなる硬化性樹脂組成物を用いる場合、その硬化物は、耐衝撃性と高温時の強度のバランスを得て各種部材に耐衝撃性を付与することが可能となったことを見出し、本発明を想到した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、以下のとおりである。
[1] ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)と、を含み、
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートであり、
前記脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、15,000〜30,000であり、
前記その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)が、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)及びノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
[2] 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、下記の式(I)で表す化合物であることを特徴とする[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 2020040052
(式中RはHまたはCH、Rはヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート由来の炭素数1〜炭素数12のアルキレン基、Rはポリイソシアネート由来の炭素数1〜炭素数12のアルキレン基、Rはジカルボン酸由来の炭素数1〜炭素数12のアルキレン基、Rはジオール由来の炭素数1〜12のアルキレン基、m、nはそれぞれ独立に1〜100の整数である。)
[3] 前記ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はその変性物由来であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4] 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を構成するイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネートであることを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
[5] 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を構成する水酸基を含有するアクリレート化合物が2−ヒドロキシエチルアクリレートであることを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
[6] 前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)と前記ラジカル重合性不飽和化合物(B)の質量比(A)/(B)=5/95〜40/60であることを特徴とする[1]〜[5]の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
[7] 前記ラジカル重合性不飽和化合物(B)は、更に、反応性希釈剤としてスチレンを含むことを特徴とする[1]〜[6]の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
[8] 更に、トリメチルハイドロキノンを含むことを特徴とする[1]〜[7]の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
[9] 更に、ニトロソ化合物を含むことを特徴とする[1]〜[8]に記載の硬化性樹脂組成物。
[10] 前記ニトロソ化合物が、N−ニトロソ−N−メチルアニリン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−N−シクロヘキシルアニリンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする[9]に記載の硬化性樹脂組成物。
[11] [1]〜[10]の何れかに記載の硬化物用組成物の硬化物であって、65℃の圧縮降伏応力3MPa以上であり、かつ
23℃のシャルピー衝撃値が5kJ/m以上である硬化物。
耐衝撃性と高温時の強度を有することから、FRP製タンク、パイプ、タンクローリーなどの成型体や鉄、SUS、コンクリートなどの各種基材のライニング材、可変パッドなどの注型物に使用することが出来る。
本発明の樹脂組成物は、特定な構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを必須成分として含み、特に防食材、防水材、床材、可変パッド等の各種部材において耐衝撃性に優れている。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物とその硬化物について、詳細に説明する。
[硬化性樹脂組成物]
本実施形態の硬化性樹脂組成物(「本実施形態の樹脂組成物」と呼ぶこともある)は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)と、を含む。その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を含まないラジカル重合性不飽和化合物である。前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートであり、前記脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート)の重量平均分子量15,000〜30,000であることを特徴とする。また、前記その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)がビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)及びノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする。
本実施形態の樹脂組成物において、前記その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)は、更にスチレンを含むことが好ましい。また、前記その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)は、更に、スチレン以外のラジカル重合性不飽和単量体を含むことができる。
本実施形態の樹脂組成物は、更にトリメチルハイドロキノンとニトロソ化合物を含むことができる。
本実施形態の樹脂組成物は、更に、重合禁止剤、ラジカル重合開始剤、その他の添加剤を含むことができる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを指す。
(ウレタン(メタ)アクリレート(A))
本実施形態の樹脂組成物に用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート(「本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)」と呼ぶこともある)である。すなわち、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)は、ポリイソシアネート由来の構造、ポリエステル系多価アルコール由来の構造、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート由来の構造を含む。ポリエステル系多価アルコール由来の構造はジカルボン酸由来の構造と多価アルコール由来の構造を含む。前記ジカルボン酸、多価アルコール、ポリイソシアネート、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートは、いずれも脂肪族炭素の誘導体である。
前記ジカルボン酸としては脂肪族ジカルボン酸であれば特に制限はないが、炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸が入手のし易さの面で好ましい。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ズベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、これらの中では、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記多価アルコールとしては脂肪族多価アルコールであれば特に制限はないが、炭素数1〜8の脂肪族多価アルコールが入手のし易さの面で好ましい。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ーブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等が挙げられ、これらの中では、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ーブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリイソシアネートとしては脂肪族ポリイソシアネートであれば特に制限はないが、炭素数2〜12の脂肪族ポリイソシアネートが入手のし易さの面で好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジメリールイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられ、これらの中では、イソホロンジイソシアネートが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートとしてはアルキル基炭素数1〜8のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、入手のし易さからヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<触媒1>
ウレタン(メタ)アクリレート(A)原料のポリウレタンを合成する際には、例えばポリイソシアネートと多価アルコールを触媒を用いて合成することができる。ウレタン(メタ)アクリレート(A)を合成する際には、ジブチル錫ジラウレート、3級アミン類及びフォスホン類等の公知の触媒を添加することも可能である。本実施形態の組成物中には、各成分を合成する際に使用した触媒が残留していてもよい。
本実施形態の樹脂組成物に用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の一例は、例えば上記の式(I)で表す化合物が挙げられる。
はHであることが好ましい。
は、炭素数1〜炭素数8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜炭素数6のアルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基は直鎖でも分岐鎖でもよく、シクロアルキレン基であってもよい。具体例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられる。エチレン基、プロピレン基が好ましい。
は、炭素数2〜炭素数12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数4〜炭素数12のアルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基は直鎖でも分岐鎖でもよく、シクロアルキレン基であってもよく、シクロアルキレン基を含んでもよい。具体例として、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、1個〜4個のメチル置換基を有するシクロへキシレン基、1個〜4個のメチル置換基を有するシクロへキシレン基とメチレン基とからなるアルキレン基などが挙げられる。ブチレン基、ペンチレン基、1個〜4個のメチル置換基を有するシクロへキシレン基、1個〜4個のメチル置換基を有するシクロへキシレン基とメチレン基とからなるアルキレン基が好ましい。
は、炭素数2〜炭素数10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数4〜炭素数10のアルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基は直鎖でも分岐鎖でもよく、シクロアルキレン基であってもよい。具体例として、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられる。ブチレン基、ペンチレン基が好ましい。
は、炭素数1〜炭素数8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜炭素数6のアルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基は直鎖でも分岐鎖でもよく、シクロアルキレン基であってもよい。具体例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、メチル基置換トリメチレン基などが挙げられる。エチレン基、プロピレン基、メチル基置換トリメチレン基が好ましい。
m、nは、それぞれ独立に2〜80の整数であること好ましく、2〜60の整数であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の好ましい具体例は、上記式(1)において、R〜Rが以下のアルキレン基である:
Figure 2020040052
本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量15,000〜30,000であり。16,000〜28,000であることが好ましく、16,000〜27,000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定するものとする。
本実施形態の組成物に対して、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量は、5〜40質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量が5質量%以上であると、耐衝撃性および柔軟性に優れる硬化物が得られるため、好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量が、40質量%以下であると、本実施形態の樹脂組成物中のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の含有量が確保しやすくなり好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)と後述のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の質量比(A)/(B)=5/95〜40/60であることが好ましく、(A)/(B)=15/85〜35/65であることがより好ましく、(A)/(B)=20/80〜30/70であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)と、後述のビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の合計量の質量比(A)/(b1+b2)=10/90〜80/20であることが好ましく、(A)/(b1+b2)=30/70〜70/30であることがより好ましく、(A)/(b1+b2)=40/60〜60/40であることが更に好ましい。
ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の合計量(b1+b2)とは、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)のみを含む場合ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)の含有量であり、ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)のみを含む場合ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の含有量であり、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の混合物を含む場合、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の合計量である。
(その他のラジカル重合性不飽和化合物(B))
本実施形態のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)は、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)、ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)、又は、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の混合物を含む。
なお、ここでいうビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)、ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)は、樹脂成分のみを指し、反応性希釈剤などのモノマー成分を含まない。
〔ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)〕
本実施形態にかかるビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はその変性物由来のものを用いることができる。例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はその変性物に対して、不飽和一塩基酸を反応させて得られたものを用いることができる。
そのビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール類とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。あるいはビスフェノールAのグリシジルエーテルと前記ビスフェノール類の縮合物とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの等が挙げられる。前記ビスフェノール類の例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びテトラブロモビスフェノールAを含む。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の具体例としては、アラルダイトAER−2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)などが挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂変性物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、ビスフェノール類とを反応させて得られたものが挙げられる。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、液状ニトリルゴムから選ばれる化合物とを反応させて得られたものが挙げられる。このビスフェノール類の例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSを含む。
<触媒2>
ビスフェノール型エポキシ樹脂と前記化合物とを反応させて、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂変性物を合成する際には、トリエチルアミンなどの触媒を用いてもよい。
ビスフェノール系ビニルエステル樹脂の材料として、ビスフェノール型エポキシ樹脂変性物を用いることで、可撓性および靱性の良好な硬化物が得られる樹脂となる。
〔ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)〕
本実施形態にかかるノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)とは、ノボラック型グリシジルエ−テル型エポキシ樹脂由来のものを用いることができ、例えば、ノボラック型グリシジルエ−テル型エポキシ樹脂に対して、不飽和一塩基酸を反応させて得られたものを用いることができる。
そのノボラック型グリシジルエ−テル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックとエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの等が挙げられる。
具体例としては、エピクロンN−740(DIC株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂)などが挙げられる。
<触媒3>
ノボラック型グリシジルエ−テル型エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸を反応させてビニルエステルを合成する際の触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾール誘導体等の三級窒素を含有する化合物;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン等のアミン塩;及びトリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。本実施形態の組成物中には、各成分を合成する際に使用した触媒が残留していてもよい。
前記ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)又はノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の合成に用いる不飽和一塩基酸としては、公知のものが使用できる。例えば、不飽和一塩基酸として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。
また、不飽和一塩基酸に代えて、一個のヒドロキシ基と一個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と多塩基酸無水物との反応物を使用してもよい。上記の多塩基酸無水物における多塩基酸は、前記エポキシ樹脂の分子量を増大させるために使用するものであり公知のものを使用できる。例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、エチレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、ポリエチレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、プロピレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、ポリプロピレングリコール・2モル無水マレイン酸付加物、ドデカン二酸、トリデカン二酸、オクタデカン二酸、1,16−(6−エチルヘキサデカン)ジカルボン酸、1,12−(6−エチルドデカン)ジカルボン酸、カルボキシル基末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(商品名Hycar CTBN)等を挙げることができる。
本実施形態の組成物において、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)と前述のビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)との合計に対して、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)との合計量が20〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。また、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)又はノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の含有量が20質量%以上であると、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)又はノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)を含むことによって機械特性、耐薬品性、耐熱性、耐酸化性等の優れた特性が発揮されるため、好ましい。ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)との合計量が90質量%以下であると、本実施形態の組成物中のウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量を確保しやすくなり好ましい。
〔不飽和ポリエステル樹脂〕
本実施形態のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)が、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)、ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)の以外に、本発明の効果を損ない限り、不飽和ポリエステル樹脂を含んでもよい。なお、ここでいう不飽和ポリエステル樹脂には、スチレンのような反応性希釈剤は含まれない。
不飽和ポリエステル樹脂としては、不飽和二塩基酸、及び必要に応じて飽和二塩基酸を含む二塩基酸成分と、多価アルコール成分とをエステル化反応させて得られたものを用いることができる。
前記不飽和二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記飽和二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、ズベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソセバシン酸等の脂肪族二塩基酸、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、ダイマー酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、又はこれらのジアルキルエステル等の芳香族二塩基酸、ハロゲン化飽和二塩基酸等を挙げることができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ーブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等の二価アルコール;
水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等に代表される2価フェノールとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加物等の二価アルコール;
1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上のアルコール等を挙げることができる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、ジシクロペンタジエン系化合物により変性したものを用いてもよい。ジシクロペンタジエン系化合物による変性方法については、例えば、ジシクロペンタジエンとマレイン酸付加生成物(シデカノールモノマレート)を得た後、これを一塩基酸として用いてジシクロペンタジエン骨格を導入する方法等の公知の方法が挙げられる。
本実施形態で使用するビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)および/または不飽和ポリエステル樹脂は、酸化重合基が導入されていてもよい。酸化重合基の導入方法としては、特に制限はなく、例えば、酸化重合基含有ポリマーの添加や、水酸基とアリルエーテル基とを有する化合物の縮合、アリルグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルアリルエーテルに水酸基とアリルエーテル基を有する化合物と酸無水物との反応物を付加させる方法等が挙げられる。
〔ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂〕
本実施形態のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)は、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)、ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)以外に、本発明の効果を損ない限り、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂を含んでもよい。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られる樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂として、ポリエチレンテレフタレート等の両末端の水酸基に対して、(メタ)アクリル酸を反応させて得られた樹脂などを用いることができる。
〔(メタ)アクリレート樹脂〕
本実施形態のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)は、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)、ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)以外に、本発明の効果を損ない限り、(メタ)アクリレート樹脂を含んでもよい。
(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、水酸基、イソシアナト基、カルボキシ基及びエポキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有するポリ(メタ)アクリル樹脂や、前記置換基を有する単量体と(メタ)アクリレートとの重合体の置換基に対して、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を反応させて得られた樹脂などを用いることができる。
〔ラジカル重合性不飽和単量体〕
本実施形態のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)は、上記成分以外に、更に、反応性希釈剤としてラジカル重合性不飽和単量体を含んでもよい。
ラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、p−クロロスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t−ブチルスチレン、酢酸ビニル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらラジカル重合性不飽和単量体は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの中でも、作業性、硬化性の観点から、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、が好ましい。その中でもさらに作業性、硬化性が良く、かつ価格が安価なスチレンが望ましい。ラジカル重合性不飽和単量体の使用量は、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)との合計に対して20質量%〜80質量%であることが好ましく、30質量%〜60質量%であることがより好ましい。ラジカル重合性不飽和単量体の使用量が20質量%未満であると、樹脂粘度の上昇によって作業性が低下してしまうことがあるので好ましくない。一方、ラジカル重合性不飽和単量体の使用量が80質量%を超えると、十分な硬化物特性が得られないことがあるので好ましくない。
(ニトロソ化合物)
本実施形態の樹脂組成物は、更にニトロソ化合物を含むことが好ましい。
ニトロソ化合物は、ニトロソ基(−N=O)を有する化合物である。ニトロソ化合物としては、より高温安定性の良好な樹脂組成物が得られるため、ニトロソ基が窒素原子に結合している化合物を含むことが好ましい。ニトロソ基が窒素原子に結合しているニトロソ化合物としては、例えば、下記式(1)で示されるN−ニトロソ−N−メチルアニリン、下記式(2)で示されるN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、下記式(3)で示されるN,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、下記式(4)で示されるN−ニトロソジフェニルアミン、下記式(5)で示されるアルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、下記式(6)で示されるN−ニトロソ−N−シクロヘキシルアニリンなどが挙げられる。
Figure 2020040052
ニトロソ化合物としては、上記のニトロソ化合物の中でも、N−ニトロソ−N−メチルアニリン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−N−シクロヘキシルアニリンから選ばれる1種または2種以上であることが好ましく、特に、以下に示す理由により、N−ニトロソ−N−メチルアニリンを用いることが好ましい。ニトロソ化合物としてN−ニトロソ−N−メチルアニリンを用いることにより、より高温安定性の良好な樹脂組成物が得られる。この効果は、N−ニトロソ−N−メチルアニリンに含まれるニトロソ基が離脱して、樹脂組成物中のラジカルをトラップすることにより、樹脂組成物のゲル化が抑制されることによるものと推定される。しかも、N−ニトロソ−N−メチルアニリンは、樹脂組成物の硬化性に支障を来すことがなく、樹脂組成物の硬化遅延への影響が無い。また、N−ニトロソ−N−メチルアニリンは、常温で液体であるため、常温で個体(粉体)である場合と比較して樹脂組成物中に容易に溶解させることができ、作業性が良好である。
本実施形態の樹脂組成物は、ニトロソ化合物をウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量100質量部に対して0.005〜5質量部含むことが好ましい。ニトロソ化合物の含有量が0.005質量部以上であると、ニトロソ化合物を含むことによる高温安定性向上効果が顕著に得られる。ニトロソ化合物の含有量は0.05質量部以上であることがより好ましい。また、ニトロソ化合物の含有量が5質量部以下であると、樹脂成分の含有量を十分に高くできるため、用途に応じた特性を有する樹脂組成物が得られる。ニトロソ化合物の含有量は、硬化不良が発生しにくく、硬化性の良好な樹脂組成物となるため、1質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物中にニトロソ化合物が含まれていることは、例えば、樹脂組成物を核磁気共鳴(1H−NMR)分光法により測定したスペクトルによって確認できる。具体的には、例えばN−ニトロソ−N−メチルアニリンの場合にはメチル基由来のプロトンが3.39ppm付近にピーク検出される。
(重合禁止剤)
本実施形態の樹脂組成物は、更に、重合禁止剤を含んでもよい。
重合禁止剤としては、公知慣用されているもの、例えば、4H−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−1−オキシルなどのピペリジン誘導体、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、トリハイドロベンゼン、ベンゾキノン、P−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
重合禁止剤としては、上記の中でも特に、以下に示す理由により、トリメチルハイドロキノンを用いることが好ましい。ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノンなどのキノン系化合物は、樹脂組成物の硬化を遅くする遅延効果を有する。トリメチルハイドロキノンは、十分な遅延効果を有し、かつ樹脂組成物の高温安定性を向上させる効果も有する。この効果は、トリメチルハイドロキノンの有する3つのメチル基が立体障害となって、トリメチルハイドロキノンにトラップされた樹脂組成物中のラジカルが離脱しにくいためであると推定される。
重合禁止剤の一部または全部は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)を合成する際に使用した重合禁止剤の残留物であってもよい。
樹脂組成物中の重合禁止剤の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー法を用いて分析する方法によって確認できる。
重合禁止剤を用いる場合、本実施形態の樹脂組成物中の重合禁止剤の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.03〜0.8質量部であることがより好ましい。本実施形態の樹脂組成物中の重合禁止剤の含有量がウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上であると、重合禁止剤による樹脂組成物の硬化遅延効果および高温安定性向上効果がより効果的に得られる。本実施形態の樹脂組成物中の重合禁止剤の含有量がウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量100質量部に対して、1質量部以下であると、本実施形態の樹脂組成物が硬化不良になりにくく、好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、トリメチルハイドロキノンとニトロソ化合物と含むことが好ましい。トリメチルハイドロキノンとニトロソ化合物とを同時含むことで、高温での保存安定性が良くなる。
(ラジカル重合開始剤)
本実施形態の樹脂組成物は、更に、ラジカル重合開始剤を含んでもよい。
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、光ラジカル重合開始剤が挙げられる。有機過酸化物の例は、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイド等ジアルキルパーオキサイド系、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等を含む。光ラジカル重合開始剤の例は、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエート等のベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系等を含む。これらの中でも、コスト、入手のし易さ、安定性、硬化性の観点からメチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイドが望ましい。これらのラジカル重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物がラジカル重合開始剤を含有する場合、その含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
(その他の添加剤)
本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。添加剤としては、硬化促進剤、硬化助促進剤、充填材、揺変剤、ワックス、着色剤、乾燥剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種のみを用いてもよいし、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤としては、コバルト金属塩等の公知のものを使用できる。硬化促進剤として使用されるコバルト金属塩としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられ、ナフテン酸コバルトおよび/またはオクチル酸コバルトを用いることが好ましい。
硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して、0.02〜10質量部、好ましくは0.1〜3.0質量部である。硬化促進剤の含有量が0.02質量部以上であると、硬化時間が十分に短くなるとともに硬化不良を防止でき、好ましい。また、硬化促進剤の含有量が10質量部以下であると、硬化時間が促進されすぎて可使時間が不足したり、貯蔵安定性が不良となったりすることが防止され、好ましい。
硬化助促進剤としては、アミン類が挙げられる。具体的には、硬化助促進剤として、アニリン、ジエタノールアニリン、p−トルイジン、m−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、ピペリジン、フェニリモルホリン、N,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類等を使用できる。N,N−置換アニリンの例は、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリンを含む。N,N−置換−p−トルイジンの例は、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジンを含む。4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒドの例は、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒドを含む。
また、硬化助促進剤としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルブチルラクトン、ジメチルアセトアセタミドなどのβ-ジケトンも挙げられる。
前記の硬化助促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔充填材〕
本実施形態の樹脂組成物は、作業性を向上させること、及び物性を調整することを目的として充填材を含んでもよい。充填材としては、例えば、無機充填材及び有機充填材を挙げることができる。
無機充填材としては、セメント、川砂利、川砂、海砂利、海砂、山砂利、砕石、砕砂、珪砂等のシリカを主成分とする砂、セラミック、ガラス屑等の人工骨材、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、セメント等の公知のものが使用できる。これらは単独で使用しても良いし組み合わせて使用しても良い。
〔揺変剤〕
本実施形態の樹脂組成物は、接着組成物の混合性および流動性を調整する観点から、揺変剤を含むことができる。揺変剤としては、ヒュームドシリカ及びタルク等の無機系揺変剤を用いてもよいし、特殊アマイド系等の有機系揺変剤を用いてもよい。揺変剤は、1種のみを用いてもよいし、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
〔ワックス〕
本実施形態の樹脂組成物は、乾燥性を向上させる目的でワックスを含んでいてもよい。ワックスとしては、パラフィンワックス類、極性ワックス類が挙げられる。これらのワックスは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パラフィンワックス類としては、各種融点を有する公知のものを使用できる。また、極性ワックス類としては、構造中に極性基及び非極性基を合わせ持つものを用いることができ、具体的には、NPS−8070、NPS−9125(日本精蝋株式会社製)、エマノーン3199、3299(花王株式会社製)等が挙げられる。
〔着色剤〕
着色剤としては、酸化チタン等の無機顔料を用いることができる。
〔乾燥剤〕
乾燥剤としては、モレキュラーシーブなどを用いることができる。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、例えば、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)と、本実施形態のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)と、必要に応じて含有される添加剤とを、公知の方法を用いて混合することにより製造できる。前記添加剤は、重合禁止剤、ラジカル重合開始剤、その他の添加剤を含む。前記ラジカル重合性不飽和化合物(B)がスチレンを含むこと好ましい。
本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造方法の一例は、例えば、脂肪族炭素の誘導体であるジカルボン酸と脂肪族炭素の誘導体である多価アルコールとを公知の方法を用いて混合し、本実施形態の脂肪族ポリエステル系多価アルコールを製造する工程と、
本実施形態のポリエステル系多価アルコールと脂肪族炭素の誘導体であるイソシアネートとを公知の方法を用いて混合し、両末端のイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタンを製造する工程と、
上記両末端のポリイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタンとヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートと公知の方法を用いて混合し、本実施形態の脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート(本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A))を製造する工程とを含む。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法のその他の実施形態は、例えば、本実施形態のウレタン(メタ)アクリレート(A)と、本実施形態のその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)と、ニトロソ化合物と、トリメチルハイドロキノンと、必要に応じて含有されるラジカル重合開始剤、及びその他の添加剤とを、公知の方法を用いて混合することにより製造できる。その場合、本実施形態の樹脂組成物では、上記のウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量100質量部に対して、ニトロソ化合物を0.005〜5質量部混合することが好ましい。前記ラジカル重合性不飽和化合物(B)がスチレンを含むこと好ましい。
[硬化性樹脂組成物の硬化物]
ラジカル重合開始剤を含有する前述の硬化性樹脂組成物は、加熱等により硬化することができる。
硬化物は、65℃の圧縮降伏応力が3MPa以上であり、かつ23℃のシャルピー衝撃値が5kJ/m以上であることが好ましい。圧縮降伏応力、シャルピー衝撃値は後述に記載の評価方法で評価する。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[ウレタン(メタ)アクリレート(a1)の合成]
(合成例1)
「脂肪族ポリエステル系多価アルコールの合成」
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置に、アジピン酸400g、エチレングリコール200gを仕込み、200℃で12時間撹拌して反応させ、反応水100gのほか、目的とする「脂肪族ポリエステル系多価アルコール」を得た。
(合成例2)
「両末端のイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタンの合成」
合成例1で得られた「脂肪族ポリエステル系多価アルコール」反応物500gに、イソホロンジイソシアネート100gと、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.5gとを仕込み、80℃で3時間撹拌して反応させ、目的とする「両末端のイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタン」を得た。
(合成例3)
「脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート(ウレタン(メタ)アクリレート(A))の合成」
合成例2で得られた「両末端のイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタン」反応物600gに、2−ヒドロキシエチルアクリレート50gを滴下しながら撹拌し、滴下終了後4時間撹拌して反応させて、本実施態様のウレタンクリレート(A)として、重量平均分子量19,500の脂肪族ポリエステル系ウレタンアクリレートを得た。本合成例で得られた脂肪族ポリエステル系ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート(a1)とした。得られたウレタンメタクリレート(a1)650gに、スチレン650gを加え、スチレン含有ウレタンメタクリレート(a1)の組成物を調整した。
[ウレタン(メタ)アクリレート(a2)の合成]
(合成例4)
「脂肪族ポリエステル系多価アルコールの合成」
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置に、アジピン酸300g、2−メチル−1,3−プロパンジオール200gを仕込み、200℃で12時間撹拌して反応させ、目的とする「脂肪族ポリエステル系多価アルコール」を得た。
(合成例5)
「両末端のイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタンの合成」
合成例4で得られた「脂肪族ポリエステル系多価アルコール」反応物500gに、イソホロンジイソシアネート100gと、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.5gとを仕込み、80℃で3時間撹拌して反応させ、目的とする「両末端のイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタン」を得た。
(合成例6)
「脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート(ウレタン(メタ)アクリレート(A))の合成」
合成例5で得られた「両末端のイソシアナト基を含む脂肪族ポリエステル系ウレタン」反応物600gに、2−ヒドロキシエチルアクリレート50gを滴下しながら撹拌し、滴下終了後4時間撹拌して反応させて、本実施態様のウレタンクリレート(A)として、重量平均分子量18,500の脂肪族ポリエステル系ウレタンアクリレートを得た。本合成例で得られた脂肪族ポリエステル系ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート(a2)とした。得られたウレタンメタクリレート(a2)650gに、スチレン650gを加え、スチレン含有ウレタンメタクリレート(a2)の組成物を調整した。
「ウレタン(メタ)アクリレート(a1)とウレタン(メタ)アクリレート(a2)の重量平均分子量の評価方法」
ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。
装置:昭和電工(株)製、高速GPC装置GPC SYSTEM−21
カラム:昭和電工(株)製、Shodex KF−802(2本)
オーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
流速:1ml/分
検出器:示差屈折。
(合成例7)
「ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)(その他のラジカル重合性不飽和化合物(B))の合成」
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置に、アラルダイトAER−2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポキシ当量189)1890gと、ビスフェノールA 570g、及びトリエチルアミン12.3gを仕込み、窒素雰囲気下、150℃で2時間反応させた。反応終了後90℃まで冷却し、反応物に、メタクリル酸430g、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド9g、ハイドロキノン0.9g、及びスチレン1000gを加え、空気を吹き込みながら90℃で20時間反応させ、酸価が10mgKOH/gになった時点で反応を終了し、スチレンで希釈されたビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)を得た。このスチレンで希釈されたビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)に、さらにスチレン1912gを加え、スチレン含有ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)組成物を調整した。
(合成例8)
「ノボラック系ビニルエステル(b2)(その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合成」
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置に、エピクロンN−740(DIC株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂:エポキシ当量180)912gと、メタクリル酸623gと、触媒としてのトリフェニルホスフィン5.8gと、重合禁止剤としてのハイドロキノン1.0gとを仕込み、空気を吹き込みながら90℃で20時間反応させ、酸価が15mgKOH/gになった時点で反応を終了し、ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)を得た。得られたノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)1541gに、スチレン1541gを加え、スチレン含むノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)組成物を調整した。
[実施例1〜9、比較例1〜2]
合成例で得られたスチレン含有ウレタン(メタ)アクリレート(a1)組成物と、スチレン含有ウレタン(メタ)アクリレート(a2)組成物、スチレン含有ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)組成物、スチレン含有ノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)組成物を用いた。ウレタン(メタ)アクリレート(a1)又はウレタン(メタ)アクリレート(a2)と、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)又はノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)と、スチレンとを、表1に示す質量比になるように、攪拌機で混合し、実施例1〜9、比較例1〜2の硬化性樹脂組成物を得た。表1の各成分の質量部は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量100質量部に対するものである。
実施例1〜9、比較例1〜2の硬化性樹脂組成物について、以下の硬化方法より硬化し、硬化物を得た。
「硬化物の製造方法」
実施例1〜9、比較例1〜2の硬化性樹脂組成物に促進剤として金属含有率8%のオクチル酸コバルト0.3質量部を加え攪拌機で混合した。ついで、メチルエチルケトンパーオキサイド系のラジカル重合開始剤1.0質量部を加え攪拌機で混合した。専用の型に流し込み、23℃で12時間養生後に80℃で180分間のアフターキュアを実施した。
得られた硬化物を以下に示す方法により、耐衝撃性と高温時の強度の評価を行った。その結果を表1に示す。
「硬化物の耐衝撃性と高温時の強度の評価方法」
<シャルピー衝撃値>
JIS K 7111に準じて試験を行った。試験体は長さ90.0±1.0mm、幅・厚さ15.0±0.2mmの樹脂注型体とする。また、U字のノッチ加工を行った。試験温度は23℃であった。試験機は、Zwick GmbH & Co.KG社製の「HIT25P」を使用した。ハンマーは5Jを使用した。20kJ/m以上の場合には、東洋精機社製の「UNIVERSAL IMPACT TESTER」を使用した。ハンマーは25Jを使用した。
<圧縮降伏値>
JIS K7181に準じて試験を行った。試験体は長さ25.4±0.3mm、幅・厚さ12.7±0.3mmの樹脂注型体とする。試験速度は1mm/分、試験温度は65℃であった。試験機は、INSTRON社製の「59R5583型」を使用した。
Figure 2020040052
表1に示すように、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)とビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とを含む実施例1〜4、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)とを含む実施例5〜7、ウレタン(メタ)アクリレート(a2)とビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とを含む実施例8と9は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を含まない比較例1と比較して65℃圧縮降伏値がそれほど高くないが、3MPa以上であり、その同時に、23℃シャルピー衝撃値が高く、5kJ/m以上であった。通常、高温特性と耐衝撃性が相反する性能であるが、本実施形態の樹脂組成物の硬化物において高温特性と耐衝撃性をバランスよく達成することができた。ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)とノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)のいずれも含まない比較例2は、23℃シャルピー衝撃値が100kJ/m以上であったが、65℃圧縮降伏値が低く、3MPa以下であった。
[実施例10〜15]
合成例で得られたスチレン含有ウレタン(メタ)アクリレート(a1)組成物と、スチレン含有ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)組成物を用いた。表2に示す質量比になるように、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)と、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)と、スチレンと、ニトロソ化合物と、その他の添加剤とを、表2に示す質量比で攪拌機を用いて混合し、実施例10〜13の硬化性樹脂組成物を得た。表2の各成分の質量部は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)の合計量100質量部に対するものである。
Figure 2020040052
実施例10〜13のニトロソ化合物含有樹脂組成物について、以下に示す方法により、80℃での保存安定性の評価を行った。その結果を表2に示す。また、実施例10〜13の硬化性樹脂組成物について、それらの硬化物は、実施例1〜9と同様に、耐衝撃性と高温時の強度をバランスよく達成することができた。
表2に示すように、本実施形態の樹脂組成物が更にトリメチルハイドロキノンとニトロソ化合物とを含む実施例10〜12は、ニトロソ化合物のみを含む実施例13と比較して80℃での高温安定性が良好であった。
「80℃保存安定性の評価方法」
容量105mlのブリキ製の押し蓋式丸缶に樹脂組成物を80g入れ、気層の温度が80℃に設定された恒温乾燥器内に丸缶を静置した。なお、本実施形態の樹脂組成物の製造工程においてウレタン(メタ)アクリレート(A)とその他のラジカル重合性不飽和化合物(B)とニトロソ化合物と重合禁止剤との混合が終了した時点を、本実施形態の樹脂組成物の製造終了とし、製造終了後の本実施形態の樹脂組成物の温度を25℃にして丸缶に収容し、製造終了から6時間以内に丸缶を恒温乾燥器内に静置した。
製造終了後1日毎(24時間毎)に丸缶を傾けて、試験体がゲル化(流動性が無くなる状態)しているか否かを聴覚により調べ、試験体がゲル化するまでの日数を計測した。

Claims (11)

  1. ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)と、を含み、
    前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートであり、
    前記脂肪族ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、15,000〜30,000であり、
    前記その他のラジカル重合性不飽和化合物(B)が、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)及びノボラック系ビニルエステル樹脂(b2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、下記の式(I)で表す化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2020040052
    (式中RはHまたはCH、Rはヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート由来の炭素数1〜炭素数12のアルキレン基、Rはポリイソシアネート由来の炭素数1〜炭素数12のアルキレン基、Rはジカルボン酸由来の炭素数1〜炭素数12のアルキレン基、Rはジオール由来の炭素数1〜12のアルキレン基、m、nはそれぞれ独立に1〜100の整数である。)
  3. 前記ビスフェノール系ビニルエステル樹脂(b1)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はその変性物由来のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を構成するジイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を構成する水酸基を含有するアクリレート化合物が2−ヒドロキシエチルアクリレートであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と前記ラジカル重合性不飽和化合物(B)の質量比(A)/(B)=5/95〜40/60であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記ラジカル重合性不飽和化合物(B)は、更に、スチレンを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 更に、トリメチルハイドロキノンを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 更に、ニトロソ化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 前記ニトロソ化合物が、N−ニトロソ−N−メチルアニリン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−N−シクロヘキシルアニリンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物であって、
    65℃の圧縮降伏応力が3MPa以上であり、かつ
    23℃のシャルピー衝撃値が5kJ/m以上である硬化物。
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