JP2005036188A - 樹脂組成物の硬化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ホルムアルデヒド発散量が充分に低減され、また、スチレン臭気の発生が抑制されることにより、化学物質の発散に対する衛生上の支障を生じるおそれが充分に抑制されて、建築分野等における建築材料の仕上げ材用途、塗料やゲルコート剤、ライニング材等の被覆用途として好適であるラジカル硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を硬化させる方法を提供する。
【解決手段】 重合体及び重合性単量体を含むラジカル硬化性樹脂、コバルト石鹸並びにβ−ジケトンを含有する樹脂組成物をアセチルアセトンパーオキサイドを含む硬化剤で硬化させる方法であって、該重合性単量体は、重合体100重量部に対して、スチレンを20〜80重量部、及び、(メタ)アクリレート系単量体を20〜80重量部含んでなり、該コバルト石鹸は、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、コバルト量換算で0.015〜0.25重量部である樹脂組成物の硬化方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物の硬化方法に関する。より詳しくは、建築分野等における建築材料の仕上げ材用途、塗料やゲルコート剤、ライニング材等の被覆用途として有用な不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等のラジカル硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を硬化させる方法に関する。
ラジカル硬化性樹脂は、建築分野等における建築材料の仕上げ材用途、塗料やゲルコート剤、ライニング材等の被覆用途として用いられ、例えば、常温で硬化する常温硬化システムに適応できるものが広く採用されている。このようなラジカル硬化性樹脂としては、常温でラジカル重合可能であり、硬化物が靱性、強度、耐久性等の性能を有することから、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂が多くの実績があり、その他にもウレタン(メタ)アクリレート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは、床材、化粧板、家具材、防食材、防水材、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)等の他、WPC(Wood Plastic Combination)、バスタブ(浴槽)、人大(人工大理石)、包装品等の様々な分野において用いられている。
ところで、建築材料に対するシックハウス対策として建築基準法等の一部改正があり、居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置に関する技術的基準の整備に関し、発散により衛生上の支障を生じるおそれのある化学物質としてホルムアルデヒドが挙げられている。例えば、内装仕上げ材の発散速度に関し、夏季においてその表面積1平方メートルにつき毎時0.12ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散するものが第一種ホルムアルデヒド発散建築材料(内装の仕上げには、用いないものとする)等とされることから、ホルムアルデヒドの発散量を基準値より低くして、内装仕上げ材等の分野において建築基準に適合させることができる技術が求められている。
従来の硬化性樹脂に関する技術としては、不飽和ポリエステル、スチレン及び(メタ)アクリレート系不飽和単量体からなり、スチレンの不飽和基モル数を特定した化粧板塗料用不飽和ポリエステル樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これは、スチレン臭気を発生しないことを目的としたものである。また、エポキシ化合物(A)と、(メタ)アクリル酸(B)との反応物からなるエポキシ(メタ)アクリレート(I)、及び、重合性(メタ)アクリル系モノマー(II)を含んでなる硬化性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この硬化性樹脂組成物は、低臭気性等において優れた性能を示し、各種の用途に有用なものである。
また、ケトンパーオキサイド(アセチルアセトンパーオキサイドを含む)、特定のフェノール系酸化防止剤、アセチルアセトン及び金属石鹸を使用することにより、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂の硬化物を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。これは、貯蔵安定性を向上させることを目的とする技術である。また、アセチルアセトンパーオキサイド、特定のパーオキシエステル、アセチルアセトン及び金属石鹸を用いることにより、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂を硬化する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この硬化方法は、硬化後に残存するスチレンモノマーを低下させることを目的とするものである。
更に、不飽和ポリエステル樹脂からなる樹脂液中に、有機系硬化促進剤を含むポリエステル化粧合板に関し、実施例において、硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド、及び、硬化促進剤としてN−ピロジノアセトアセトアミドを用いた樹脂液が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この樹脂液は、着色がなく硬化が充分となるとともに、スチレン臭気の極めて少ないポリエステル化粧合板を得ることを目的とするものである。しかしながら、これらの技術においては、建築基準法等の一部改正等に充分に対応することができるように、ホルムアルデヒド等の発散量をより低く抑制することができるようにしたり、スチレン臭気の発生を抑制したりすることにより、樹脂組成物の硬化過程や硬化物において衛生上の支障を生じるおそれが充分に抑制され、各種の用途に好適なものとなるようにするための工夫の余地があった。
特開2002−371232号公報 特開2001−240632号公報 特開平11−209446号公報 特開平9−110949号公報 特開2003−276013号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ホルムアルデヒド発散量が充分に低減され、また、スチレン臭気の発生が抑制されることにより、化学物質の発散に対する衛生上の支障を生じるおそれが充分に抑制されて、建築分野等における建築材料の仕上げ材用途、塗料やゲルコート剤、ライニング材等の被覆用途として好適であるラジカル硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を硬化させる方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、ラジカル硬化性樹脂を含有する樹脂組成物の硬化方法について種々検討したところ、床材や化粧板等の各種の分野に用いられるラジカル硬化性樹脂としては、重合性単量体を含み、これがラジカル重合することにより硬化するものが好適であることに着目した。この場合、重合性単量体としてスチレンを用いることが好適であるが、スチレンの含有量が硬化過程や硬化後のホルムアルデヒド発散量と関連することを見いだし、スチレンと(メタ)アクリレートとを併用することにより、スチレンの含有量を低減してホルムアルデヒド発散量を抑制し、スチレン臭気も抑制すると同時に、床材や化粧板等の各種の分野において硬化物が充分な基本性能を発揮することができることを見いだした。スチレンの含有量がホルムアルデヒド発散量と関連するのは、硬化過程や硬化後にスチレンが酸化し、ホルムアルデヒドとベンズアルデヒドとに分解するためと考えられる。また、促進剤としてコバルト石鹸を一定量以上用いることが硬化性を高め、その結果としてホルムアルデヒド発散量を抑制することを見いだした。
また、このようなラジカル硬化性樹脂を硬化剤としてアセチルアセトンパーオキサイドを用いて硬化させるか、又は、促進助剤としてβ−ジケトンを用いて硬化させると、ホルムアルデヒド発散量が低減し、これらを併用することにより効果的に低減できることから、ホルムアルデヒド発散量の低減効果を更に充分に高めることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。なお、β−ジケトンとしては、アセチルアセトン及び/又はN,Nジメチルアセトアセタミドを用いた場合の効果が高く、これらの組み合わせが最も有効である。このような樹脂組成物の硬化方法は、平成15年7月1日に施行された改正建築基準法における「シックハウス対策に係る建築基準法等の一部を改正する法律」を受け、建築分野等における建築材等の最終製品が、ホルムアルデヒド発散量を充分に低減することを可能とするものである。
すなわち本発明は、重合体及び重合性単量体を含むラジカル硬化性樹脂、コバルト石鹸並びにβ−ジケトンを含有する樹脂組成物をアセチルアセトンパーオキサイドを含む硬化剤で硬化させる方法であって、上記重合性単量体は、重合体100重量部に対して、スチレンを20〜80重量部、及び、(メタ)アクリレート系単量体を20〜80重量部含んでなり、上記コバルト石鹸は、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、コバルト量換算で0.015〜0.25重量部である樹脂組成物の硬化方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明におけるラジカル硬化性樹脂は、重合体及び重合性単量体を含むものであり、用いる重合性単量体は、スチレン及び(メタ)アクリレート系単量体を必須とすることになる。また、重合体としては、重合性単量体との組合せで常温でラジカル重合が可能なものが好適であり、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂等の1種又は2種以上を用いることができ、上記重合体が、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、アクリル樹脂及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の重合体である形態は、本発明の好ましい形態の1つである。より好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂であり、硬質不飽和ポリエステル樹脂であっても、軟質不飽和ポリエステル樹脂であってもよいが、後述する空乾性付与剤を用いる場合には、その作用効果を充分に向上させることができることから、硬質不飽和ポリエステル樹脂を用いることが好適である。
上記重合性単量体としては、上述したようにスチレン及び(メタ)アクリレート系単量体を必須とするものであればよく、必要に応じてその他の重合性単量体を含んでいてもよい。
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の1官能アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート等の分子内に環状構造を有する1官能(メタ)アクリレート;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等の1種又は2種以上を用いることができる。中でも、低臭気性及び硬化物の物性の点から、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートが好ましい。
上記その他の重合性単量体としては、例えば、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等の1種又は2種以上が挙げられる。
上記重合性単量体の好適な形態としては、25℃における粘度が100mPa・s以下のものである。粘度が100mPa・sを超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が充分なものとはならないおそれがある。
上記重合性単量体において、スチレン及び(メタ)アクリレート系単量体の含有量としては、重合性単量体の全量100質量%に対して、スチレン及び(メタ)アクリレート系単量体の合計量が70質量%以上であることが好ましい。70質量%未満であると、粘度低減効果や耐水性等の硬化後の物性を充分に向上させることができないおそれがある。より好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%であり、特に好ましくは、100質量%、すなわち重合性単量体としてスチレン及び(メタ)アクリレート系単量体のみを用いることである。
なお、スチレン及び(メタ)アクリレート系単量体の質量割合としては、上記重合体100重量部に対して、スチレンが20〜80重量部、(メタ)アクリレート系単量体が20〜80重量部であることが適当である。
スチレンが20重量部未満であると、粘度低減効果や耐水性等の硬化後の物性を充分に向上させることができないおそれがあり、80重量部を超えると、硬化過程や硬化後において、スチレン臭気を充分に抑制したり、ホルムアルデヒド発散量を充分に低減したりすることができないおそれがある。スチレンの好ましい上限は70重量部、下限は30重量部であり、好適な範囲としては、30〜70重量部である。
一方、(メタ)アクリレート系単量体が20重量部未満であると、一方の必須成分スチレンが作業性確保のため多く必要となり、ホルムアルデヒド発散量を充分に低減できないおそれがある。80重量部を超えると、重合体との共重合性が低下したり、得られる硬化物の物性(耐熱性、耐水性)が低下するおそれがある。(メタ)アクリレート系単量体の好ましい上限は70重量部、下限は30重量部であり、好適な範囲としては、30〜70重量部である。
本発明における樹脂組成物において、不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解したものであり、必要に応じて安定剤や各種添加剤を混合して得ることができる。
上記不飽和ポリエステルは、多塩基酸成分(d)と、グリコール成分(e)及び/又はエポキシ化合物成分(f)とを縮合反応して得ることができる。
上記不飽和ポリエステルに用いられる多塩基酸成分(d)としては、グリコール成分(e)及び/又はエポキシ化合物成分(f)に含まれる水酸基及び/又はエポキシ基と反応してエステル結合を生成することができる置換基を2つ以上有する化合物であればよく、不飽和多塩基酸を必須とし、その一部を飽和多塩基酸に置き換えて使用してもよい。
上記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸等のα,β―不飽和多塩基酸;ジヒドロムコン酸等のβ,γ―不飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル等が挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記飽和多塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族飽和多塩基酸;ヘット酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環式飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステル等が挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。特に好ましい多塩基酸は、耐水性、耐熱性にバランスのとれたイソフタル酸、テレフタル酸である。
上記不飽和ポリエステルに用いられるグリコール成分(e)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、3−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、4,5−ノナンジオール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。特に好ましいグリコールとして、耐候性をはじめとする性能、コストのバランスのとれたネオペンチルグリコールが挙げられる。
上記不飽和ポリエステルに用いられるエポキシ化合物成分(f)としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、3,4−エポキシ−1−ブテン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等を用いることができる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明においては、上記不飽和ポリエステルが、飽和酸成分としてイソフタル酸及び/又はテレフタル酸を用い、グリコール成分としてネオペンチルグリコールを用いてなる形態であることが好ましく、このような形態もまた、本発明の1つである。
上記不飽和ポリエステルの原料の一部を、以下に示すアリル基等の不飽和結合を有する化合物に置き換えて製造してもよく、この場合には、いわゆる空気硬化型ポリエステルとすることができる。具体的には、少なくとも前述の通常の多塩基酸成分(d)の全量又は一部を、以下に示すアリル基等の不飽和結合を有する不飽和多塩基酸に置き換えるか、上述した通常のグリコール成分(e)及び/若しくはエポキシ化合物成分(f)の全量又は一部を、以下に示すアリル基等の不飽和結合を有するグリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分に置き換えればよい。
上記不飽和結合を有する不飽和多塩基酸成分としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、α−テルピネン−無水マレイン酸付加物、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物(エンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、ロジン、エステルガム、乾性油脂肪酸、半乾性油、脂肪酸等があげられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記不飽和結合を有するグリコール成分及び/又はエポキシ化合物成分としては、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールエタンモノアリルエーテル、トリメチロールエタンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記不飽和ポリエステル樹脂において、不飽和ポリエステル及び重合性単量体の質量比としては、不飽和ポリエステル/重合性単量体が、(20〜80)/(80〜20)であることが好ましい。重合性単量体の質量比が80質量%を超えると、得られる樹脂の耐薬品性及び靭性が充分なものとならないおそれがあり、20質量%未満であると、硬化物の表面性を充分に向上することができず、また、粘度が大きいために作業性に優れたものとはならないおそれがある。
上記不飽和ポリエステル樹脂においてはまた、安定剤として、ハイドロキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、クレゾール、t一ブチルハイドロキノン、フェルダジル、DPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)等の安定ラジカルを使用することができる。
上記ラジカル硬化性樹脂としてはまた、上述したように、重合体としてビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂等を用いることができ、重合性単量体と混合することにより、それぞれ、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、アクリル樹脂等とすることができる。
上記ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応物に、重合性単量体を混合して得ることができる。
上記不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が好適である。
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系樹脂、ノボラック系樹脂、レゾール系樹脂、ビスフェノールF系樹脂、水素化ビスフェノールA系の脂肪族系のエポキシ樹脂等が好適である。また、ビスフェノールA系樹脂やビスフェノールF系樹脂としては、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFと脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物とを反応させて得られる反応生成物であることが好ましい。
上記脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、脂肪族2官能アルコールのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物のものであり、エポキシ当量が300以下であることが好ましく、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ジ)グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が好適である。
上記重合性単量体としては、上述したものと同様である。
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ポリオールと、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応物に、重合性単量体を混合して得ることができる。
上記ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカ−ボネ−トポリオール、ポリブタジエンポリオール等が好適であり、数平均分子量が200〜3000であるものが好ましい。より好ましくは、数平均分子量が400〜2000のものである。ポリエーテルポリオールとは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイドの他に、ビスフェノールAやビスフェノールFにアルキレンオキサイドを付加させたポリオールも使用することができる。ポリエステルポリオールとは、二塩基酸成分と多価アルコール成分との縮合重合体、又は、ポリカプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合体である。
上記ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート及びその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等が好適である。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類や、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類等が好適である。
上記重合性単量体としては、上述したものと同様である。
上記アクリル樹脂は、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルの重合体に重合性単量体を混合して得ることができる。
上記重合性単量体としては、上述したものと同様であるが、耐熱性を上げるためにエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能ビニル単量体を用いることが好ましい。
上記アクリル樹脂は、(メタ)アクリレート及びスチレンを必須とする限り、重合体に酸やエポキシ基の官能基を導入するために、アクリル酸やグリシジルメタクリル酸を共重合させたものや、更にその官能基に反応させて重合性官能基を持たせた重合体を使用することも可能である。
本発明に用いるコバルト石鹸は、重合体及び重合性単量体を含むラジカル硬化性樹脂の硬化を促進するための促進剤として用いられるものであり、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトが挙げられる。コバルト石鹸の使用量としては、ラジカル硬化性樹脂計100重量部に対して、コバルト量換算で0.015〜0.25重量部とすることが好ましい。コバルト量が0.015重量部未満であると、樹脂の硬化が遅く、また、硬化が不充分となり、硬化物が持つ本来の強度物性が得られないばかりか、残留モノマー(単量体)が多く残ることにより、成形物から発散するホルムアルデヒドが多くなる。また、添加量が0.25重量部を超えると、樹脂の硬化が速く、作業時間が取れない、硬化物の色調が悪くなる等好ましくない。好ましい上限は0.1部、下限は0.02部であり、好適な範囲は、0.02〜0.1重量部である。
本発明において、β−ジケトンは、ラジカル硬化性樹脂の硬化を促進させるための促進助剤として用いられるものであり、例えば、下記一般式(2)〜(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005036188
上記一般式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、炭素数が1〜6のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、炭素数が1〜6のアルコキシ基又は置換アルコキシ基を表す。nは、1〜5の整数を表す。mは、2〜7の整数を表す。
これらの中でも、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、N−ピロジニノアセトアセタミド、N,Nジメチルアセトアセタミドを用いることが好ましい。より好ましくは、アセチルアセトン及び/又はN,Nジメチルアセトアセタミドである。なお、後述する他の促進助剤と併用してもよい。
上記β−ジケトンの使用量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、上限は3重量部、下限は0.01重量部とすることが好ましい。3重量部を超えても、用いる量に比べてラジカル硬化性樹脂の硬化のための促進助剤としての効果を充分に発揮できないおそれがある。0.01重量部未満であると、硬化の立ち上がり時間を充分に短縮させることができないおそれがあり、また、ホルムアルデヒド発散量を充分に低減させることができないおそれがある。より好ましい上限は0.5重量部、下限は0.1重量部である。また、好ましい範囲は、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部であり、より好ましい範囲は、0.1〜0.5重量部である。
本発明における樹脂組成物としては、更に空乾性付与剤(空気乾燥性付与剤)を用いることが好ましい。
上記空乾性付与剤とは、ラジカル硬化性樹脂が硬化する際に樹脂組成物から形成される被膜や成形物の表面に析出し、空気との遮断層を該表面に形成することにより、空気中の酸素がラジカル硬化性樹脂のラジカル重合を阻害することを防止してラジカル硬化性樹脂の乾燥性を向上させる作用を有するものである。これを用いることにより、硬化物のホルムアルデヒド発散量を更に充分に低減させることが可能となる。このような空乾性付与剤としては、例えば、以下の(1)〜(3)に記載するワックス類等が挙げられる。
(1)天然ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等の植物系ワックス;密蝋、ラノリン、鯨蝋等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス等が挙げられる。
(2)合成ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス;動物性油脂の誘導体;カルボキシル基含有単量体とオレフィンとの共重合体;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス;ステアリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸オクタデシル等の炭素数12以上の脂肪酸及びその誘導体;アルキルフェニールや高級アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したアルコール類等が挙げられる。
(3)その他のものとしては、例えば、天然ワックスや合成ワックス等の配合ワックス等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記ワックス類に、他の成分を含んでもよい。
これらの中でも、パラフィンワックスを用いることが好ましい。
なお、樹脂組成物を常温で硬化させる場合には、上記空乾性付与剤としては、JIS K2235に分類される融点が40〜80℃であるものを用いることが好ましい。これにより、樹脂組成物の施工において、硬化途中の樹脂組成物から形成される被膜や成形物の表面に析出しやすくなることから、空気との遮断層が充分に形成され、本発明の作用効果を充分に発揮することができることとなる。
上記空乾性付与剤の使用量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、上限は1重量部、下限は0.001重量部(10ppm)とすることが好ましい。1重量部を超えると、樹脂組成物中に充分に溶解することができず、基材等との密着性が充分とはならないおそれがある。0.001重量部未満であると、優れた遮断性及び硬化性を発揮することができず、硬化物からのホルムアルデヒド発散量を低減できないおそれがある。より好ましい上限は0.3重量部、下限は0.01重量部(100ppm)である。また、好ましい範囲は、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部であり、より好ましい範囲は、0.01〜0.3重量部である。
上記樹脂組成物としてはまた、必要に応じて、好適に常温で硬化させるためのコバルト石鹸以外の促進剤や、β−ジケトン以外の促進助剤等を含んでいてもよい。
他の促進剤としては、例えば、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸カルシウム等の金属石鹸類等が挙げられる。
なお、促進剤の使用総量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、金属分で0.012重量部以上、0.5重量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.02重量部以上、0.25重量部以下である。
他の促進助剤としては、例えば、ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシ)−4−メチルアニリン等のアミン類等のβ−ケトエステル、β−ケトアミド類等が好適である。
促進助剤の使用総量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、5重量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.03重量部以上、1.0重量部以下である。なお、この使用総量は、β−ジケトンを含む促進助剤の総量である。
上記樹脂組成物としては更に、必要に応じて、充填剤、揺変剤、繊維強化材、重合禁止剤、消泡剤、増粘剤、無機骨材、不活性粉体、紫外線吸収剤、低収縮剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、顔料やトナー等の着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。
上記添加剤において、充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム(ATH)、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、クレー、タルク、ガラスパウダー、ミルドファイバー、クリストバライト、マイカ、シリカ、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、ガラス粉末等の無機充填剤;有機充填剤等の1種又は2種以上が挙げられる。充填剤の使用量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、20重量部以上、300重量部以下であることが好ましい。また、上記樹脂組成物としては、これらの充填剤を用いることにより、注型(人大)、塗床材に好適に利用することができる。この場合、ATHやシリカを用いることがより好ましく、使用量としては、120重量部以上、200重量部以下であることが好適である。
上記揺変剤としては、例えば、ヒュームドシリカ等が挙げられる。揺変剤の使用量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上、5重量部以下であることが好ましい。なお、揺変剤を用いることにより、樹脂組成物を、防水ライニング用材料や塗料、ゲルコート等の技術に好適に利用することができる。
上記繊維強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックからなる繊維等の無機繊維;アラミド、ポリエステル、ビニロン、フェノール、テフロン(登録商標)等の有機繊維;天然繊維等が挙げられる。中でも、ガラス繊維が好ましい。繊維強化材の使用量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、5重量部以上、70重量部以下であることが好ましい。なお、繊維強化材を用いることにより、樹脂組成物を、防水ライニング用材料、繊維強化プラスチック(FRP)材料等に好適に利用することができる。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ベンゾキノン、メチル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン類;t−ブチルカテコール等のカテコール類;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−メトキシフェノール等のフェノール類;フェノチアジン等が好適である。
上記消泡剤としては、シリコン系等の他、市販の高分子系消飽剤その他添加剤を用いることができる。
上記増粘剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の多価金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の多価金属水酸化物;多官能イソシアネート等が好適である。
上記無機骨材としては、珪砂、シリカ、クレー、ベントナイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム等の無機粉体等が好適である。不活性粉体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂硬化物、ゴム、木材等の粉体及び/又は粉砕物等が好適である。また、上記樹脂組成物においては、無機骨材及び/又は不活性粉体を用いることにより、特にレジンモルタルパテ材用途に好適に使用することができることとなる。
本発明における樹脂組成物においては、樹脂組成物を調整する工程や調整した後の工程において、樹脂組成物の原料や調製された樹脂組成物をバブリングしてもよい。これにより、例えば、原料等にホルムアルデヒドが混入したり、樹脂組成物の調整工程や調整した後の工程においてホルムアルデヒドが生成したりしても、樹脂組成物の硬化物におけるホルムアルデヒド発散量を充分に低減することができ、本発明の作用効果を更に充分に発揮することが可能となる。
本発明におけるアセチルアセトンパーオキサイドを含む硬化剤において、アセチルアセトンパーオキサイドと併用してもよい硬化剤としてはケトンパーオキサイドがあり、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、ジエチルケトンパーオキサイド、メチルプロピルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、エチルアセトアセテートパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド等の一種又は二種以上が挙げられる。なお、ケトンパーオキサイド以外の他の硬化剤を併用してもよい。
ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、アセチルアセトンパーオキサイド単独では硬化が遅いので、メチルエチルケトンパーオキサイドやクメンヒドロキシパーオキサイドと併用するのが好ましい。このような硬化剤として、パーキュアNA(日本油脂社製)、硬化剤TW(化薬アクゾ社製)がある。
アセチルアセトンパーオキサイドを用いることにより、ホルムアルデヒド発散量を低減させるという本発明の作用効果を更に充分に発揮することができる。なお、アセチルアセトンパーオキサイドを含む製品としては、パーキュア−AL(商品名、日本油脂社製)、パーキュア−AH(商品名、日本油脂社製)、トリゴノックス40(商品名、化薬アクゾ社製)、トリゴノックス40R(商品名、化薬アクゾ社製)、トリゴノックス40PR(商品名、化薬アクゾ社製)、ルパゾール224(商品名、ルシドール吉富社製)等が挙げられる。
上記アセチルアセトンパーオキサイドの使用量としては、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、上限は3重量部、下限は0.5重量部とすることが好ましい。3重量部を超えても、用いる量に比べて、ラジカル硬化性樹脂の硬化剤としての効果が充分に発揮されないおそれがあり、0.5重量部未満であると、樹脂組成物が充分に硬化しないおそれがあり、また、ホルムアルデヒド発散量を充分に低減させることができないおそれがある。より好ましい上限は2重量部、下限は1重量部である。また、好ましい範囲は、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、0.5〜3重量部であり、より好ましい範囲は、1〜2重量部である。
本発明の樹脂組成物の硬化方法において、樹脂組成物の製造方法としては、上述した重合体及び重合性単量体を含むラジカル硬化性樹脂、コバルト石鹸並びにβ−ジケトンが含まれることになる限り特に限定されず、例えば、施工直前にこれらや添加剤等を混合して樹脂組成物を作成したり、予めコバルト石鹸やβ−ジケトン等の促進剤、促進助剤を除いて樹脂組成物を調整し、施工する直前に該促進剤、促進助剤を混合し、硬化剤を配合することにより硬化させることができる。なお、樹脂組成物の施工方法としては、ハンドレイアップ、スプレーアップ、フローコーター法、フィルム法、ロールコーター法、刷毛塗り法、スプレー法等が好適である。
また硬化条件において、硬化温度としては、常温で行うことが好ましい。より好ましくは、−10〜60℃であり、更に好ましくは、10〜40℃である。ゲル化時間としては、1〜180分であることが好ましい。より好ましくは、5〜60分である。
本発明の樹脂組成物の硬化方法においては、樹脂組成物の硬化過程や硬化後のホルムアルデヒドの発生を充分に抑制することが可能となる。樹脂組成物の硬化物におけるホルムアルデヒド発散量としては、1.0mg/L以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5mg/L以下であり、更に好ましくは、0.1mg/L以下である。
本発明の樹脂組成物の硬化方法は、上述のような構成であるので、ホルムアルデヒドの発散量が充分に低減され、また、スチレン臭気の発生が抑制されることにより、化学物質の発散に対する衛生上の支障を生じるおそれが充分に抑制されて、建築分野等における建築材料の仕上げ材等として、床材、化粧板、家具材、防食材、防水材、繊維強化プラスチック等の他、WPC、バスタブ、人大、包装品等の様々な分野において好適である樹脂組成物の硬化方法とすることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
合成例1
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール(NPG)364部、エチレングリコール(EG)106部、ヘキサヒドロイソフタル酸(IPA)322部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら210℃で酸価が10になるまで反応させた。100℃まで冷却し、無水マレイン酸(MA)294部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、215℃まで昇温して攪拌下で10時間エステル化反応を行うことにより酸価9の実施例1の不飽和ポリエステルを得た。
次に、この不飽和ポリエステル100部に対し、MMA/スチレン=33/33部(重量比)、ハイドロキノン0.1部を加えることにより、粘度5.1ポイズの実施例1の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
合成例2〜5
用いた原料の種類及び量を表1のとおりとしたこと以外は、合成例1と同様にして、それぞれ、実施例2(合成例2)、比較例1(合成例3)、比較例2(合成例4)、及び、比較例3(合成例5)に用いる不飽和ポリエステル樹脂を得た。
合成例6
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール(NPG)208部、プロピレングリコール(PG)84部、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)200部、無水マレイン酸(MA)167部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、215℃まで昇温して攪拌下で12時間エステル化反応を行うことにより、実施例4の不飽和ポリエステルを得た。
次に、この不飽和ポリエステル100部に対し、MMA/スチレン=33/33部(重量比)、ハイドロキノン0.1部を加えることにより、粘度3.7ポイズの実施例4の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
合成例7
合成例6と同様にして表1の原料を用い、実施例3の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
実施例1〜4、比較例1〜3
合成例で調製した不飽和ポリエステル及び重合性単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂に、硬化剤、促進剤及び促進助剤を添加混合し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のそれぞれについて、下記ホルムアルデヒド定量法を用いてホルムアルデヒド発散量を測定した。結果を表1に示す。不飽和ポリエステル、重合性単量体、硬化剤、促進剤及び促進助剤の種類、添加量等については、表1に示した。
(ホルマリン定量)
1:試験板の作製
長さ75mm、幅50mmのガラス板片面に樹脂をウェット0.5mm厚で刷毛塗りし、常温硬化後、2日常温で養生し試験板とした。
2:試験方法
・密閉可能な内蓋付の容量900mlのガラス瓶を用意する。
・ガラス瓶に50gの水を入れる。
・図1のように、ガラス瓶内の内蓋に1枚の試験板を針金の先端に付けたクリップで支持する。一方、別のガラス瓶には、空試験用として試験板は装着しない。
・ガラス瓶に蓋をして、放散試験を開始する。
1回の放散試験の時間は24時間とし、JIS K5601−4−1に従いアセチルアセトン吸光光度法によって、ホルマリン濃度を測定した。
Figure 2005036188
上記表1における記載は、下記のとおりである。
NPG:ネオペンチルグリコール
PG:プロピレングリコール
EG:エチレングリコール
HHPA:ヘキサヒドロ無水フタル酸
PA:無水フタル酸
IPA:イソフタル酸
MA:マレイン酸
なお、表1において、促進剤、促進助剤及び硬化剤の単位は、不飽和ポリエステル及び重合性単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂100質量%に対する質量割合(単位:質量%)である。
実施例5〜9、比較例4〜5
実施例1の不飽和ポリエステル及び重合性単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂に、硬化剤、促進剤及び促進助剤を添加混合し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のそれぞれについて、上記ホルムアルデヒド定量法を用いてホルムアルデヒド発散量を測定した。結果を表2に示す。不飽和ポリエステル、重合性単量体、硬化剤、促進剤及び促進助剤の種類、添加量等については、表2に示した。
Figure 2005036188
上記表2における記載は、下記のとおりである。
PEMA:フェノキシエチルメタクリレート
DMAA:N,Nジメチルアセトアセタミド
パーキュアAL:アセチルアセトンパーオキサイドを34質量%含有する日本油脂社製の有機過酸化物
パーメックN:メチルエチルケトンパーオキサイドを55質量%含有する日本油脂社製の有機過酸化物
なお、表2において、促進剤、促進助剤及び硬化剤の単位は、不飽和ポリエステル及び重合性単量体を含む不飽和ポリエステル樹脂100質量%に対する質量割合(単位:質量%)である。
実施例におけるホルムアルデヒド発散量の測定時に用いたガラス瓶内の形態を例示する概念図である。
符号の説明
1:900mlガラス瓶
2:クリップ
3:試験板
4:水50g

Claims (3)

  1. 重合体及び重合性単量体を含むラジカル硬化性樹脂、コバルト石鹸並びにβ−ジケトンを含有する樹脂組成物をアセチルアセトンパーオキサイドを含む硬化剤で硬化させる方法であって、
    該重合性単量体は、重合体100重量部に対して、スチレンを20〜80重量部、及び、(メタ)アクリレート系単量体を20〜80重量部含んでなり、
    該コバルト石鹸は、ラジカル硬化性樹脂100重量部に対して、コバルト量換算で0.015〜0.25重量部である
    ことを特徴とする樹脂組成物の硬化方法。
  2. 前記重合体は、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、アクリル樹脂及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の重合体である
    ことを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の硬化方法。
  3. 前記不飽和ポリエステルは、飽和酸成分としてイソフタル酸及び/又はテレフタル酸を用い、グリコール成分としてネオペンチルグリコールを用いてなる
    ことを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物の硬化方法。
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