JP4870535B2 - インサート用部品、樹脂成形体並びに樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
インサート用部品、樹脂成形体並びに樹脂成形体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4870535B2 JP4870535B2 JP2006324187A JP2006324187A JP4870535B2 JP 4870535 B2 JP4870535 B2 JP 4870535B2 JP 2006324187 A JP2006324187 A JP 2006324187A JP 2006324187 A JP2006324187 A JP 2006324187A JP 4870535 B2 JP4870535 B2 JP 4870535B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- insert
- insert part
- hole
- resin
- resin molded
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
しかしながら、金属製インサートナットと樹脂成形物とでは、材料特性が異なるため、樹脂成形物に対するインサートナットの引き抜き強度、空回りするトルクで評価される回転抑制強度(回転トルク)などの接合強度が十分ではなかった。
また、金属製インサートナットを用いて電子情報機器等を組み立てた場合、電子情報機器・家電製品を解体、リサイクルする際に、インサートナットなどの金属と樹脂との分別の手間及びコストがかかる。
また、インサートナットが金属製であれば電子情報機器等の重量増加を招き、大きな軽量化を図ることができない。
また、金属製インサートナットに一般的に使用される快削黄銅や快削アルミには鉛やカドミウムが含まれているので有害物質を含有しない部品が望まれている。
プラスチック成形パネル1に用いられているインサートナット2は、合成樹脂により作製されているため、再資源時に、インサートナットとインサートナットが取り付けられたハウジングなどの樹脂成形物とを分別する必要がない。よって、分別コスト及び手間を軽減することがでる。また、樹脂製のインサートナットであるため軽量化に寄与する。また、樹脂製のインサートナットであれば鉛、カドミウム等の有害物質を含まないため環境に対する負荷も小さい。また、このインサートナット2は、インサート成形時にプラスチック成形パネル1の母材が食い込むアンカー溝5又はアンカー突起を有している。アンカー溝等はインサート成形に伴なう母材結合を補完し、抜けと空回りを適切に防止している。
しかしながら、インサートナット2の成形材料としては、インサート成形時の熱により変形しない耐熱性を有するプラスチックが用いられ、例えば、PEI(ポリエーテルイミド)やPPS(ポリフェニルサルファイド)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の高融点のエンジニアリング・プラスチックが用いられている。
このため、インサート成形時に、インサートナット自体が溶融せずに、パネルの要所を形成する溶融樹脂がアンカー溝5に流入し固化することにより、インサートナット2がパネルに固定されている。よって、ナットのパネルに対する引き抜き強度及び空回りするトルクで評価される回転抑制強度(回転トルク)が不十分となる可能性が高い。
このインサートナットによれば、雌ねじを有する金属製軸部2の外周部が合成樹脂で作製されているので、亜鉛ダイキャストで成形できる従来の形状の突起は勿論のこと、亜鉛ダイキャストで形成できなかった形状の突起も軸部の外周部に形成することができるため、樹脂成形物に対して強固に取り付けられる。また、雌ねじを有する軸部2が金属製であるため、締結対象部材を強固に連結固定することができる。
しかしながら、このインサートナットは上述したように分別の手間及びコストがかかる。また、軸部2が金属製であるため上述したように環境に対する負荷が大きい。また、このインサートナットであっても引き抜き強度及び空回りするトルクで評価される回転抑制強度(回転トルク)が十分でないと考えられる。
(1) 樹脂成形物に形成された穴部内への固着用の熱可塑性樹脂製インサート用部品であって、該インサート用部品は、前記穴部に該インサート用部品を超音波振動を付与しながら圧入することにより溶融し、該インサート用部品を前記樹脂成形物の前記穴部の内側面への固着を可能とする溶融固着可能部を側面に備えるものであり、かつ、前記インサート用部品は、内面に雌ねじが形成された本体部と、前記本体部の側面に設けられた溶融固着可能部を構成する複数の環状突出部と、前記本体部の側面と前記環状突出部間により形成された環状凹部であり、前記インサート用部品の前記樹脂成形物の穴部への圧入時における前記溶融固着可能部からの溶融物を収納可能な溶融樹脂収納部と、前記溶融固着可能部を構成する前記複数の環状突出部の側面に形成された易溶融性凸部とを備えることを特徴とするインサート用部品。
(2) 前記インサート用部品は、ナットである上記(1)に記載のインサート用部品。
(4) 前記環状突出部部分における直径をD1、前記本体部の直径をD2としたとき、D1−D2は、0.1mm〜2mmである上記(3)に記載のインサート用部品。
(5) 前記樹脂成形物の前記穴部の内径をD0、前記環状突出部部分における直径をD1、前記本体部の直径をD2としたとき、D1−D2は、0.1mm〜2mmであり、かつ、D1−D0は、0.05〜1mmであり、D0−D2は、0.05〜1mmである上記(3)に記載のインサート用部品。
(7) 前記溶融固着可能部は、該溶融固着可能部の側面に形成された角部もしくは尖端部を有している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のインサート用部品。
(8) 前記易溶融性凸部を含む前記溶融固着可能部における直径がD1、該易溶融性凸部を含まない前記溶融固着可能部部分における直径をD3としたとき、D1−D3は、0.05〜0.5mmである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のインサート用部品。
(9) 前記易溶融性凸部は、複数の環状凸部により構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のインサート用部品。
(10) 前記易溶融性凸部は、断面形状が略三角形状である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のインサート用部品。
(12) 前記インサート用部品は、強化材もしくは充填材を含有した熱可塑性樹脂により形成されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のインサート用部品。
(13) 前記インサート用部品は、内側に形成された前記雌ねじを有し、かつ、該雌ねじは緩み止め形状を備えている上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のインサート用部品。
(14) 前記インサート用部品は、内側に形成された前記雌ねじを有し、かつ、該雌ねじには緩み止め剤が被覆されている上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のインサート用部品。
(15) 穴部を有する樹脂成形物と、該穴部内に固着された熱可塑性樹脂製のインサート用部品とを備える樹脂成形体であって、前記インサート用部品は、上記(1)ないし(14)のいずれかに記載のインサート用部品であり、該インサート用部品は、前記超音波付与により溶融した溶融固着可能部により、前記穴部内側面に固着されていることを特徴とする樹脂成形体。
(16) 前記樹脂成形体は、樹脂製筐体である上記(15)に記載の樹脂成形体。
(17) 前記(15)または(16)に記載のインサート用部品が固着された樹脂成形体の製造方法であって、前記インサート用部品と、前記穴部が形成された樹脂成形物とを準備する工程と、該インサート用部品を該穴部に固着する埋設工程とを備え、該埋設工程は、該穴部に該インサート用部品を超音波振動を付与しながら圧入することにより前記インサート用部品の溶融固着可能部を溶融し該穴部の内側面に固着させることにより行われるものであることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
(18) 前記樹脂成形体の製造方法は、前記埋設工程の前に前記インサート用部品の前記溶融固着可能部に接合用プライマーを塗布する塗布工程を備えている上記(17)に記載の樹脂成形体の製造方法。
図1は、本発明の実施例であるインサート用部品の正面図、図2は、図1に示すインサート用部品の上面図、図3は、図1に示すインサート用部品の縦断面図、図4は、図3に示す縦断面図の拡大図、図26は、本発明の実施例のインサート用部品の超音波振動圧入方法を説明するための説明図である。
本発明のインサート用部品1は、樹脂成形物56(図26参照)に形成された穴部58内に固着される熱可塑性樹脂製のインサート用部品1であって、インサート用部品1は、穴部58にインサート用部品1を超音波振動を付与しながら圧入することにより溶融し、インサート用部品1を樹脂成形物56の穴部58の内側面に固着するための溶融固着可能部3を側面に備えている。
樹脂成形物56は、例えば、パソコンなどの電子情報機器関連樹脂成形品、テレビ等の家電製品関連樹脂成形部品、インテークマニホールド、エアクリーナー、フューエルタンク、キャニスター等自動車関連樹脂成形部品などが挙げられる。
本発明の実施例において樹脂成形物56に形成された穴部58は、図27,図28に示すように、樹脂成形物56に形成されたボス57内の非貫通穴若しくは貫通穴である。また、穴部としては、ボスを形成せずに樹脂成形物に形成された非貫通穴若しくは貫通穴であってもよい。
特に、この実施例のインサート用部品は、インサートナットであり、内面に雌ねじ6が形成された本体部2と、本体部2の側面に設けられた溶融固着可能部3を構成する複数の環状突出部4と、溶融樹脂収納部7を備えている。溶融樹脂収納部7は、本体部2の側面と複数の環状突出部4間により形成されている。そして、溶融樹脂収納部7は、インサート用部品の樹脂成形物の穴部への圧入時における溶融固着可能部3からの溶融物を収納可能となっている。
また、この実施例では、雌ねじ6は、本体部2の内面全体に形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、内面の一部にのみ形成されるものであってもよい。そして、この実施例における雌ねじ6は、全体が標準ねじとなっている。
また、インサート用部品1は、内側に雌ねじが形成され、雌ねじは、緩み止め形状を有していてもよい(図示せず)。これにより、樹脂材料特有の性質からくるクリープ及び応力緩和により締結力が時間とともに低下しても雄ねじの緩みを防止することができる。緩み止め形状は、例えば、雌ねじの全体もしくは一部を非標準ねじとすることにより形成される。具体的に、緩み止め形状は、雌ねじの一部もしくは全体のピッチを、標準ピッチに対して、拡大ピッチまたは縮小ピッチ、あるいは不等ピッチにすることにより形成される。また、緩み止め形状は、雌ねじの一部もしくは全体の雌ねじ山形状を標準山形状に対して山が高く(内径が小さく)若しくは標準山形状に対して谷が浅く(内径が小さい)、また、嵌合相手の有効径における雌ねじ山の幅を標準山形状に対して広くすることにより形成されていてもよい。
また、インサート用部品1は、内側に雌ねじが形成され、雌ねじはナイロック・ファスナー・コーポレーション社製のNYLOK(登録商標)、ロックタイト社製のロックタイト等の緩み止め剤(ロック剤)により被覆されていてもよい。
導入用小径部5は、インサート用部品1(本体部2)の穴部58への挿入側部分に形成される。この実施例では、導入用小径部5は、インサート用部品1のいずれかの端部もしくは両端部に設けられる。特に、この実施例のように、導入用小径部5は、インサート用部品1の両端部に設けることが好ましい。
導入用小径部5は、インサート用部品1の端部に向かって縮径するテーパー部である。導入用小径部5を有することによりインサート用部品1をボス等に仮置きしたとき部品1が安定するため作業効率が高くなる。なお、導入用小径部5は、インサート用部品1を穴部58に安定した状態で仮置きすることができるものであればいかなる形状であってもよく、例えば、インサート用部品1の挿入部側に形成された環状リブであってもよい。
溶融固着可能部3は、穴部58にインサート用部品1を超音波振動を付与しながら圧入する際に溶融可能な部分である。
この実施例では、溶融固着可能部3は、穴部58にインサート用部品1を超音波振動を付与しながら圧入する際に溶融可能な複数の環状突出部4により構成されている。
この実施例では、環状突出部4は、図3に示すように、断面が略四角形状となっている。そして、この実施例では、環状突出部4は、本体部側面にそれぞれが平行となるように、3つ形成されている。環状突出部は、インサート用部品の大きさにもよるが、2〜5程度形成されていることが好ましい。
具体的には、インサート用部品1は、突出部4部分における直径をD1、本体部2の直径をD2としたとき、D1−D2は、0.1mm〜2mmであることが好ましい。また、樹脂成形物57の穴部58の内径をD0としたとき、D1−D0は、0.05〜1mmであることが好ましく、D0−D2は、0.05〜1mmであることが好ましい。
この程度のサイズ差であれば、穴部に対するインサート用部品の圧入抵抗が適度に小さくなり、超音波振動圧入する際にインサート用部品が割れたり、潰れたりすることがない。
このような構成により、インサート用部品1を超音波振動圧入する際に、環状突出部4の半径方向外端側部分4c及び穴部58の内面が溶融し、溶融した樹脂が溶融していない半径方向内端側部分4dの挿入開始側と反対側部分に固着する(例えば、内端側部分4dの上面に固着する。)。このため、インサート用部品1の樹脂成形物56に対する空回りするトルクにより評価される回転抑制強度(回転トルク)とともに引き抜き強度が高くなる。
また、上述し、図4,図26に示すように、インサート用部品1は、突出部4部分における直径をD1、本体部2の直径をD2としたとき、D1−D2は、0.1mm〜2mmであることが好ましい。また、樹脂成形物57の穴部58の内径をD0としたとき、D1−D0は、0.05〜1mmであることが好ましく、D0−D2は、0.05〜1mmであることが好ましい。このような構成を有していることにより、溶融樹脂収納部7は適当な溶融樹脂の逃げ場所となる。
そして、この実施例における易溶融性凸部10は、凸部10aと凸部10aの間に形成された凹部10bにより形成されている。易溶融性凸部10の凸部10a上端は、環状突出部9の直径を規定する。そして、この実施例では、易溶融性凸部の凸部10aは、複数の環状凸部10aにより構成されている。そして、隣り合う凸部10a間に、溝部(凹部)10bが形成されている。
この実施例における易溶融性凸部10は、インサート用部品8の側面(環状突出部9の表面)にリング状パターンのローレット部を設けることにより形成されている。凸部10aの断面形状は、三角形状となっている。三角形状の凸部10aの頂角は、20°〜150°、特に、45°〜135°であることが好ましい。本発明のように凸部10aが環状リブである場合には、頂角は、40°〜80°、特に、50°〜70°であることが好ましい。
そして、溶融固着可能部が上述した易溶融性凸部を備える場合には、易溶融性凸部を含む溶融固着可能部における直径がD1、易溶融性凸部を含まない溶融固着可能部部分における直径をD3としたとき、D1−D3は、0.05〜0.5mmであることが好ましい。このようなサイズであれば、易溶融性凸部10は、超音波振動圧入の際に溶融し易くなる。
この実施例における溶融固着可能部16は、インサート用部品14の側面に形成され、穴部58にインサート用部品14を超音波振動を付与しながら圧入する際に溶融可能な突出部16aを備えている。具体的には、この溶融固着可能部16は、インサート用部品14の側面に設けられた縦方向に延びる複数の突出部(リブ)16aにより形成されている。そして、突出部(リブ)16aの間には溝部(凹部)16bが形成されている。リブは、突出方向に向かって(言い換えれば、リブの先端に向かって)幅が狭くなっていることが好ましい。この実施例では、突出部16aの断面形状は、三角形状となっている。また、溝部16bの断面形状は、三角形状となっている。突出部16aの断面形状としては、略三角形状に限定されず、上述したような四角形や、五角形などの多角形、半円形、半楕円形状等であってもよい。
溶融固着可能部16が突出部16aを備えていることにより、特に、突出部16aの断面形状が略三角形状であることにより、インサート用部品14に加えられる超音波振動が突出部16aに集中するため、超音波が低エネルギーであっても凸部及び相手材料(ボス57内面)を効率よく溶融させることができる。このため、インサート用部品と穴部樹脂との相互溶融が進み、強固な界面接合強度を得ることができる。
また、インサート用部品14の側面に凹凸構造が形成されていることにより突出部16aが溶融した溶融樹脂が溝部16bに流入することが可能となるため、溶融樹脂が穴部58の奥や表面側へはみ出すことを防止することができる。また、凹凸構造をしていることにより、溶融樹脂が外面全体に均一に行き渡り易くなるため、インサート用部品の外面全体でボス径のバラツキを吸収し、インサート用部品が強固に固着される。
この程度のサイズであれば、穴部に対するインサート用部品の圧入抵抗が適度に小さくなり、超音波振動圧入する際にインサート用部品が割れたり、潰れたりすることがない。また、このような構成を有していることにより、溶融樹脂収納部16bは適当な溶融樹脂の逃げ場所となる。
また、上述したインサート用部品14のように、インサート用部品の側面のほぼ全体に形成された溶融固着可能部を有する場合に、溶融固着可能部の形態としては、図13に示すインサート用部品21のように、複数の環状リブ(突出部)22aにより形成されていてもよい。環状リブ22aの間には環状の溝部(凹部)22bが形成されている。そして、具体的に、インサート用部品21の側面には突出部22aと突出部22aの間に形成された凹部22bとからなる凹凸構造が形成されている。この凹凸構造は、インサート用部品21の側面にリング状パターンのローレット部を設けることにより形成されている。突出部22aの断面形状は、三角形状となっている。
以上のような形状であっても溶融固着可能部が縦方向に延びる複数の突出部である場合と同様の効果を有する。射出成形用の金型構造の観点からは、シンプルな形状であることが好ましく、溶融固着可能部が縦方向に延びる複数の突出部により形成されている場合、溶融固着可能部が複数の環状突出部により形成されている場合が好ましい。このような形状であれば金型のコスト削減につながる。
また、溶融固着可能部31としては、図17に示す実施例のインサート用部品30が側面に備える突出部32,33により構成されていてもよい。
この実施例のインサート用部品30では、インサート用部品30の側面(本体部31の側面)の一端側部分に形成された第1の環状突出部32と、他端側部分に形成された第2の環状突出部33とを備えている。そして、環状突出部32と環状突出部33との間には、溶融樹脂収納部34が形成されている。溶融樹脂収納部34は、インサート用部品30の本体部31の側面と2つの環状突出部間により形成されている。
また、インサート用部品の成形材料としては、穴部58に対する接合強度向上の観点から、樹脂成形物56の成形材料と相溶性のある樹脂を選択することが好ましい。言い換えれば、本発明のインサート用部品は、インサート用部品を形成する熱可塑性樹脂と相溶性を有する樹脂材料により形成された樹脂成形物への固着用のものであることが好ましい。
インサート用部品の成形材料としては、具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミドMXD6(PA−MXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリフタルアミド(PPA)などのポリアミド系樹脂およびその変性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)・ポリブチレンテレフタレート(PBT)・ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、ポリアリレート(PAR)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、ポリ乳酸(PLA)のうちの1つあるいは複数の組合せからなる材料を主成分とすることが好ましい。
また、樹脂成形物の成形材料としては、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミドMXD6(PA−MXD6)などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン(PP)、ポリスチレン(PS)、PC−ABSアロイ等が好ましい。また、電子情報機器関連樹脂成形品としては、ABS樹脂、PC、PC−ABSアロイを用いることが好ましく、家電製品関連樹脂成型品としては、PP、PS等が好ましく、自動車関連樹脂成形部品としては、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミドMXD6(PA−MXD6)が好ましい。特に、樹脂成形物56がポリアミド系樹脂である場合、インサート用部品の成形材料もポリアミド系樹脂であることが好ましい。
本発明のインサート用部品は、上述した成形材料を用いて射出成形等の公知方法により作成されることが好ましい。
本発明の他の実施例であるインサート用部品35について説明する。
この実施例のインサート用部品35は、上述したインサート用部品と異なり、非対称形状のものである。そして、この実施例のインサート部品35では、溶融固着可能部37の側面は、樹脂成形物の穴部内への圧入方向に対して、インサート用部品35の中心軸方向に傾斜する傾斜面となっている。
溶融固着可能部の挿入側部分(下端側)は、挿入側と反対側部分(上端側)より長時間溶融条件にさらされるため、挿入側と反対側の部分より多くの樹脂が溶融しそれが挿入側へはみ出す可能性が高い。よって、本発明のような構成を有することにより挿入側へ樹脂がはみ出すことを抑制することができる。具体的に、インサート用部品35(溶融固着可能部37)は、挿入部側に向かって縮径していることが好ましく、特に、挿入部側に向かってテーパー状に縮径していることが好ましい。このような構成によりインサート用部品と穴部との嵌め合いが良くなるため引き抜き強度及び空回りするトルクで評価される回転抑制強度(回転トルク)などの接合強度が高くなる。
この実施例のインサート用部品35は、溶融固着可能部37より、インサート用部品の樹脂成形物の穴部内への圧入方向に対して後端側に設けられ、溶融固着可能部から流出した溶融樹脂が前記樹脂成形物の穴部より流出するのを規制する溶融樹脂流出規制部39を備えている。つまり、インサート用部品35の後端(上端)に設けられた拡径部により、溶融樹脂流出規制部39が構成されている。
本体部36は、図18に示すように、挿入開始側から開始側と反対側までほぼ同一直径となっている。具体的に、本体部36は、略円筒形状となっている。本体部36の内側には雌ねじ6が形成されている。
溶融固着可能部37は、本体部36の側面(インサート用部品35の側面)に設けられた環状突出部38を備えている。環状突出部38は、本体部36の側面に複数設けられている。実施例では、環状突出部38は、ほぼ平行となるように3つ設けられている。そして、環状突出部(溶融固着可能部)38の直径は、挿入開始側に向かって縮径している。環状突出部38は、2〜5形成されていることが好ましい。
突出部38は、図18,図22に示すように、半径方向外端側部分に角部もしくは尖端部を有していることが好ましい。本発明の実施例では環状突出部38の半径方向外端側部分に角部を備えている。このような構成をしていることによりインサート用部品35に加えられる超音波振動が角部もしくは尖端部に集中するため、超音波が低エネルギーであっても突出部及び相手材料(ボス62内面)を効率よく溶融させることができる。このため、インサート用部品と穴部樹脂との相互溶融が進み、強固な界面接合強度を得ることができる。
このようにすることにより、突出部38が穴部59内に固着される部分の穴部63の内径より小さくなっており、突出部38の半径方向外端側部分38cは超音波振動を用いた圧入により溶融し、突出部38の半径方向内端側部分38dは超音波振動を用いた圧入により溶融せず溶融樹脂が固着することによりインサート用部品の引き抜きを抑制するための引き抜き抑制部となる。また、このような構成により、インサート用部品35を超音波振動圧入する際に、突出部38の半径方向外端側部分38c及び穴部63の内面が溶融し、溶融した樹脂が溶融していない半径方向内端側部分38dの挿入開始側と反対側部分に固着する(例えば、内端側部分38dの間に溶融樹脂が流入して固着する)。このため、インサート用部品35の樹脂成形物61に対する空回りするトルクにより評価される回転抑制強度(回転トルク)とともに引き抜き強度が高くなる。なお、インサート用部品に設けられた突出部のすべてがこのような構成をしていてもよく、一部の突出部がこのような構成をしていてもよい。
このような構成を有していることにより、インサート用部品35の側面と穴部内面とが強固に固着するものとなる。なお、樹脂成形物61のボス62の穴部63の形状が図29に示すように略円錐台形状の場合における穴部63の内径D0とは、具体的には、突出部38の上端に対応する部分における内径をいう。
本発明の実施例の半径方向内端側部分38dの挿入開始側の反対側部分はインサート用部品の樹脂成形物に対する引き抜きを抑制するための引き抜き抑制面が形成されている。突出部38の内端側部分38dの挿入開始側と反対側部分は、インサート用部品35の中心軸とほぼ直交するようにもしくはインサート用部品35の挿入開始側の反対側に傾いていることが好ましい。具体的に、突出部38の内端側部分38dの挿入開始側と反対側部分は平面もしくはインサート用部品35の挿入開始側の反対側に傾いた傾斜面となっていることが好ましい。本発明の実施例では、内端側部分38dの挿入開始側の反対側部分(環状突出部35の上面)は平面となっている。このような構成により、インサート用部品35の樹脂成形物61に対する引き抜き強度が大きくなる。引き抜き抑制部は、溶融樹脂が固着されることによりインサート用部品35の引き抜き強度が高まる形状であればいかなる形状であってもよい。
溶融樹脂収納部40は、インサート用部品35の側面に設けられている。具体的に、収納用凹部40は、環状突出部38同士の間、環状突出部38と拡径部39との間、環状突出部38と導入用小径部41との間に形成されている。溶融樹脂収納部40は、インサート用部品35の側面に形成された環状の溝部である。溶融樹脂収納部40を有することにより、溶融樹脂が樹脂成形物61に形成された穴部63の外にはみ出すことを適切に防止することができる。
拡径部39は、インサート用部品35は挿入開始側の反対側に設けられ穴部63より大径であり超音波振動を付与されることにより溶融した樹脂が穴部63の外へ漏れ出さないようにするためのものである。本発明の実施例では、拡径部39は、フランジ部となっている。
導入用小径部(小径突出部)41は、本発明の実施例では本体部36の先端部に形成された環状リブである。導入用小径部41を有することによりインサート用部品35を穴部63に安定した状態で仮置きすることができる。
以上のように易溶融性突出部を有していることにより上述したように溶融樹脂が突出部全体に均一に行き渡り易くなるため、インサート用部品の外面全体でボス径のバラツキを吸収し、インサート用部品が穴部内側面に強固に固着される。
そして、易溶融性凸部を含む溶融固着可能部における直径がD1、易溶融性凸部を含まない溶融固着可能部部分における直径をD3としたとき、D1−D3は、0.05〜0.5mmであることが好ましい。このようなサイズであれば、易溶融性凸部45は、超音波振動圧入の際に溶融し易くなる。
突出部50aの断面形状は、三角形状となっている。三角形状の突出部50aの頂角は、45°〜135°、特に、50°〜130°であることが好ましい。D1,D2,D3,D0の関係は、上記と同様であることが好ましい。
また、インサート用部品の側面に易溶融性突出部が形成されている場合は、易溶融性突出部の深さはできるだけ浅いことが好ましい。これは、本発明のインサート用部品35と穴部59は溶着によって強固に固着されるためであり、凹凸の深さを浅くすることにより溶融樹脂を凹部へ均一に充填し、接合面積を十分にとることにより接合強度を大きくすることができるからである。
また、本発明のインサート用部品の溶融固着可能部を構成する突出部は、インサート用部品の外周面を連続するように形成された環状突出部に限定されるものではない。例えば、突出部は、インサート用部品の外周面において円周上に沿って配置された複数の突出部により構成されていてもよい。側面に設けられ円周上に配置された複数の円弧状の突出部により構成されていてもよい(図示せず)。なお、インサート用部品の環状突出部は断面形状が四角形以外の多角形、例えば、断面形状が三角形状、五角形状等であってもよい。また、インサート用部品の環状突出部は上述したインサート用部品1の環状突出部と同様の構成であってもよい。また、突出部の断面形状が多角形の場合は、挿入開始側の反対側に向かって半径方向外側に突出する形状となっていることが好ましい。
本発明の樹脂成形体55は、穴部58を有する樹脂成形物56と、穴部58内に固着されたインサート用部品1とを備える樹脂成形体55であって、インサート用部品1は上述したインサート用部品1であり、インサート用部品1は、超音波付与により溶融した溶融固着可能部3により、穴部内側面に固着されている。
樹脂成形物56、インサート用部品1としては、上述した通りである。樹脂成形物56には、図26,図27に示すように、ボス57が形成され、ボス57内には穴部58が形成されている。ボス57内部は挿入開始側から挿入開始側の反対側までほぼ同一内径となっている。
樹脂成形体55においては、図28に示すように、樹脂成形物56のボス内側面とインサート用部品1の側面とは互いに固着し合っている。
具体的に、本発明の実施例の樹脂成形体55を構成するインサート用部品1は溶融固着可能部3を構成する環状突出部4の半径方向外端側部分4cが溶融し穴部内側面に固着するとともに、溶融樹脂が環状突出部4の溶融していない半径方向内端側部分4dの挿入開始側の反対側(内端側部分4cの間)にて固着している。このため、インサート用部品1は樹脂成形物56に対して十分に高い回転抑制強度(回転トルク)とともに高い引き抜き強度を有する。インサート用部品としては、インサート用部品1の代わりに、インサート用部品8,11,14、18,21,23,25,28,30を用いてもよい。
樹脂成形物61には、図29に示すように、ボス62が形成され、ボス62には、インサート用部品35の挿入開始側と反対側に縮径する略円錐台形状の穴部63が形成されている。
樹脂成形体60においては、図29に示すように、樹脂成形物61のボス内側面とインサート用部品35の側面とは互いに固着し合っている。
具体的に、本発明の実施例の樹脂成形体60を構成するインサート用部品35は溶融固着可能部37を構成する突出部38の半径方向外端側部分38cが溶融しインサート用部品35の側面が穴部内側面に固着するとともに、溶融樹脂が突出部38の溶融していない半径方向内端側部分38dの挿入開始側の反対側(内端側部分38cの間)にて固着している。このため、インサート用部品35は樹脂成形物61に対して十分に高い回転抑制強度(回転トルク)とともに高い引き抜き強度を有する。インサート用部品としては、インサート用部品35の代わりに、インサート用部品42,47を用いてもよい。なお、樹脂成形物の穴部の形状としては、穴部58のようなものであってもよい。
図26から図30は、本発明の実施例である樹脂成形体の製造方法について説明するための説明図である。
本発明の製造方法は、上述したインサート用部品1,35が固着された樹脂成形体55,60の製造方法であって、インサート用部品1,35と、穴部58,63が形成された樹脂成形物56,61とを準備する工程と、インサート用部品1,35を穴部58,63に固着する埋設工程とを備え、埋設工程は、穴部58,63にインサート用部品1,35を超音波振動を付与しながら圧入することによりインサート用部品1,35の溶融固着可能部3,37を溶融し穴部58,63の内側面に固着させることにより行われるものである。
インサート用部品1,35と樹脂成形物56,61は上述したとおりであるため上記説明を参照する。
そして、図27に示すように、インサート用部品1、35の端部を、ホーン(ポンチ)54により超音波振動を加えながら押圧してインサート用部品1,35を穴部58,63内に嵌め込む。図27に示すように、超音波振動を付与しながら押圧することにより溶融固着可能部3,37の環状突出部4,38及び穴部58,63の内側面とが相互に溶融しインサート用部品1,35が穴部側面に強固に固着される。溶融固着可能部3,37は、上述したように穴部内側面に固着される。
以上のように本発明の製造方法によれば、インサート用部品1,35と穴部58,63とが強固に固着するためインサート用部品1,35の樹脂成形物56,61に対する引き抜き強度及び空回りするトルクで評価される回転抑制強度(回転トルク)が高くなる。
(実施例1)
図1に示すようなインサートナットを以下のように作製した。
成形材料としてガラスファイバー50重量%含有ポリアミドを用いて射出成形により実施例1のインサートナットを作製した。
実施例1のインサートナットは側面に3段の環状突出部を備えている。環状突出部の間には環状凹部が形成されている。環状突出部の直径は、3.5mmであり、環状凹部の直径は、2.8mm、環状突出部の軸方向の長さ(幅)は、0.5mmであり、環状凹部の軸方向の長さ(幅)は、0.3mmである。また、インサートナットに形成された雌ねじのサイズは、M2である。また、インサートナットの軸方向の長さは、3.1mmである。
図18に示すようなインサートナットを以下のように作製した。
成形材料としてガラスファイバー50重量%含有ポリアミドを用いて射出成形により実施例2のインサートナットを作製した。
実施例2のインサートナットは、図18に示すように、側面に設けられた3段の環状突出部と、上端部に設けられた拡径部と、下端部に設けられた導入用小径部とを備えている。また、拡径部と環状突出部の間、環状凹部同士の間、環状凹部と導入用小径部の間には環状凹部が形成されている。環状突出部の上端及び下端の直径は、上端側の環状突出部から順に、3.5mm及び3.4mm、3.4mm及び3.3mm、3.3mm及び3.2mmであり、環状突出部の軸方向の長さ(幅)は、0.5mmである。環状凹部の直径は、2.8mmである。また、拡径部と環状突出部との距離は、0.3mmであり、環状突出部同士の距離は、0.3mmであり、環状突出部と導入用小径部との距離は、0.2mmである。また、導入用小径部の軸方向の長さ(幅)は、0.3mmである。また、雌ねじのサイズは、M2である。また、インサートナットの軸方向の長さは、3.1mmである。
図9に示すようなストレートパターンのローレット部が形成されたインサートナットを以下のように作製した。
成形材料として、ガラスファイバー50重量%含有ポリアミドを用いて射出成形により実施例3のインサートナットを作製した。
実施例3のインサートナットのローレット部に外接する円の直径は、3.5mmであり、ローレット部の谷(溝)に内接する円の直径は3.15mmである。また、雌ねじのサイズはM2である。またインサートナットの全長は、3.1mm、ローレット形成部分の縦の長さは、2.1mmである。ローレット部の突出部の頂角は、120°である。
図13に示すようなリング状パターンのローレット部が形成されたインサート用部品を以下のように作製した。
成形材料として、ガラスファイバー50重量%含有ポリアミドを用いて射出成形により実施例4のインサートナットを作製した。
実施例4のインサートナットのローレット部に外接する円の直径は、3.5mmであり、ローレット部の谷(溝)に内接する円の直径は、3.15mmである。また、雌ねじのサイズはM2である。またインサートナットの全長は、3.1mm、ローレット形成部分の縦の長さは、2.1mmである。ローレット部の突出部の頂角は、60°である。
比較例1は、実施例1と構成が同じで成形材料が異なるものである。成形材料として快削黄銅を用いて比較例1のインサートナットを切削加工により作製した。
比較例2は、実施例2と構成が同じで成形材料が異なるものである。成形材料として快削黄銅を用いて比較例2のインサートナットを切削加工により作製した。
比較例3は、実施例3と構成が同じで成形材料が異なるものである。成形材料として快削黄銅を用いて比較例3のインサートナットを切削加工により作製した。
比較例4は、実施例4と構成が同じで成形材料が異なるものである。成形材料として快削黄銅を用いて比較例4のインサートナットを切削加工により作製した。
成形材料としてABS樹脂(製品名GR−0510G、電気化学工業)を用いて射出成形により図27に示すようなボスを有する台座付きボスを作製した(実施例1,3,4及び比較例1,3,4埋設用の樹脂成形物)。樹脂成形物のボス内孔は、円柱状空間であり、ボス内径3.0mmであり、ボス内孔深さ3.5mmである。
成形材料としてABS樹脂(製品名GR−0510G、電気化学工業)を用いて射出成形により図29に示すようなボスを有する台座付きボスを作製した(実施例2及び比較例2埋設用の樹脂成形物)。樹脂成形物のボス内孔は略円錐台形状であり、ボスの上端内径は3.0mmであり、ボスの下端内径は2.8mmであり、ボス内孔深さ3.5mmである。
以上のように作製された実施例1ないし4及び比較例1ないし4のインサートナットを樹脂成形物のボス孔内に超音波振動溶着して樹脂成形体を作製した。溶着条件は、ホーン下降速度30mm/s、周波数19.15kHz、加圧力0.13Mpaであった。
(引張試験)
ボスの台座を固定してM2ねじ(六角穴付きボルト)を雌ねじの全長にわたって嵌合させた状態でねじの頭部をねじの軸方向に引っ張ったところ表1(図31)に示すような結果となった。引張試験機としては、オートグラフAG−1(島津制作所)が用いられた。
(トルク試験)
ボスの台座を固定して、鉄の座面板を介して12.9級のM2ねじ(六角穴付きボルト)を雌ねじの全長にわたって嵌合させた状態でねじの頭部を回転させたところ表1(図31)に示すような結果となった。トルク試験は回転速度は20rpmで行った。なお、樹脂インサートナットの場合には、雌ねじが剪断するおそれがあるため、ねじを接着剤で完全に固定した。
実験の結果、実施例1ないし4の樹脂製インサートナットは、比較例1ないし4の金属製のインサートナットと比較して引き抜き強度及び回転トルクが十分に大きいものとなった。
3 溶融固着可能部
56 樹脂成形物
58 穴部
Claims (18)
- 樹脂成形物に形成された穴部内への固着用の熱可塑性樹脂製インサート用部品であって、該インサート用部品は、前記穴部に該インサート用部品を超音波振動を付与しながら圧入することにより溶融し、該インサート用部品を前記樹脂成形物の前記穴部の内側面への固着を可能とする溶融固着可能部を側面に備えるものであり、かつ、
前記インサート用部品は、内面に雌ねじが形成された本体部と、前記本体部の側面に設けられた溶融固着可能部を構成する複数の環状突出部と、前記本体部の側面と前記環状突出部間により形成された環状凹部であり、前記インサート用部品の前記樹脂成形物の穴部への圧入時における前記溶融固着可能部からの溶融物を収納可能な溶融樹脂収納部と、前記溶融固着可能部を構成する前記複数の環状突出部の側面に形成された易溶融性凸部とを備えることを特徴とするインサート用部品。 - 前記インサート用部品は、ナットである請求項1に記載のインサート用部品。
- 前記インサート用部品は、前記環状突出部部分における直径が前記樹脂成形物の前記穴部の内径より大きく、前記本体部の直径が、前記樹脂成形物の前記穴部の内径より小さいものである請求項1または2に記載のインサート用部品。
- 前記環状突出部部分における直径をD1、前記本体部の直径をD2としたとき、D1−D2は、0.1mm〜2mmである請求項3に記載のインサート用部品。
- 前記樹脂成形物の前記穴部の内径をD0、前記環状突出部部分における直径をD1、前記本体部の直径をD2としたとき、D1−D2は、0.1mm〜2mmであり、かつ、D1−D0は、0.05〜1mmであり、D0−D2は、0.05〜1mmである請求項3に記載のインサート用部品。
- 前記溶融固着可能部の側面は、前記樹脂成形物の前記穴部内への圧入方向に対して、前記インサート用部品の中心軸方向に傾斜する傾斜面となっている請求項1ないし4のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記溶融固着可能部は、該溶融固着可能部の側面に形成された角部もしくは尖端部を有している請求項1ないし6のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記易溶融性凸部を含む前記溶融固着可能部における直径がD1、該易溶融性凸部を含まない前記溶融固着可能部部分における直径をD3としたとき、D1−D3は、0.05〜0.5mmである請求項1ないし7のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記易溶融性凸部は、複数の環状凸部により構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記易溶融性凸部は、断面形状が略三角形状である請求項1ないし9のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記インサート用部品は、該インサート用部品を形成する熱可塑性樹脂と相溶性を有する樹脂により形成された前記樹脂成形物に固着されるものである請求項1ないし10のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記インサート用部品は、強化材もしくは充填材を含有した熱可塑性樹脂により形成されている請求項1ないし11のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記インサート用部品は、内側に形成された前記雌ねじを有し、かつ、該雌ねじは緩み止め形状を備えている請求項1ないし12のいずれかに記載のインサート用部品。
- 前記インサート用部品は、内側に形成された前記雌ねじを有し、かつ、該雌ねじには緩み止め剤が被覆されている請求項1ないし12のいずれかに記載のインサート用部品。
- 穴部を有する樹脂成形物と、該穴部内に固着された熱可塑性樹脂製のインサート用部品とを備える樹脂成形体であって、前記インサート用部品は、請求項1ないし14のいずれかに記載のインサート用部品であり、該インサート用部品は、前記超音波付与により溶融した溶融固着可能部により、前記穴部内側面に固着されていることを特徴とする樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体は、樹脂製筐体である請求項15に記載の樹脂成形体。
- 前記請求項15または16に記載のインサート用部品が固着された樹脂成形体の製造方法であって、前記インサート用部品と、前記穴部が形成された樹脂成形物とを準備する工程と、該インサート用部品を該穴部に固着する埋設工程とを備え、該埋設工程は、該穴部に該インサート用部品を超音波振動を付与しながら圧入することにより前記インサート用部品の溶融固着可能部を溶融し該穴部の内側面に固着させることにより行われるものであることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
- 前記樹脂成形体の製造方法は、前記埋設工程の前に前記インサート用部品の前記溶融固着可能部に接合用プライマーを塗布する塗布工程を備えている請求項17に記載の樹脂成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006324187A JP4870535B2 (ja) | 2006-11-30 | 2006-11-30 | インサート用部品、樹脂成形体並びに樹脂成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006324187A JP4870535B2 (ja) | 2006-11-30 | 2006-11-30 | インサート用部品、樹脂成形体並びに樹脂成形体の製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008138739A JP2008138739A (ja) | 2008-06-19 |
JP2008138739A5 JP2008138739A5 (ja) | 2010-01-14 |
JP4870535B2 true JP4870535B2 (ja) | 2012-02-08 |
Family
ID=39600429
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006324187A Active JP4870535B2 (ja) | 2006-11-30 | 2006-11-30 | インサート用部品、樹脂成形体並びに樹脂成形体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4870535B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104321545A (zh) * | 2012-06-13 | 2015-01-28 | 迈进有限公司 | 嵌入套管及嵌入螺母 |
JPWO2018117233A1 (ja) * | 2016-12-22 | 2018-12-20 | 株式会社ヤマシナ | 保持金具 |
Families Citing this family (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010229904A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-10-14 | Mitsubishi Electric Corp | ポンプ及びヒートポンプ式給湯装置及びポンプの製造方法 |
JP4969602B2 (ja) * | 2009-04-07 | 2012-07-04 | 三菱電機株式会社 | ポンプ及びヒートポンプ式給湯装置及びポンプの製造方法 |
ES2404340T3 (es) * | 2010-12-16 | 2013-05-27 | Helmholtz-Zentrum Geesthacht Zentrum für Material- und Küstenforschung GmbH | Procedimiento para fabricar piezas metálicas moldeadas con superficie estructurada |
JP5923015B2 (ja) * | 2012-08-30 | 2016-05-24 | Ntn株式会社 | 油圧式オートテンショナの製造方法 |
JP6268405B2 (ja) * | 2012-06-13 | 2018-01-31 | 株式会社アドバネクス | インサートナット |
JP6268406B2 (ja) * | 2012-06-13 | 2018-01-31 | 株式会社アドバネクス | インサートカラー |
JP6086367B2 (ja) * | 2013-06-20 | 2017-03-01 | Best・Nature株式会社 | 筒体の接続構造体の接続方法及び圧入用樹脂製雌ネジ体 |
DE102013112014A1 (de) * | 2013-10-31 | 2015-04-30 | Dr. Ing. H.C. F. Porsche Aktiengesellschaft | Einschlagbuchse, Kraftfahrzeugstruktur sowie Verfahren und Werkzeug zum Herstellen der Kraftfahrzeugstruktur |
BR112016027798B1 (pt) * | 2014-05-28 | 2021-11-03 | Woodwelding Ag | Método para unir dois objetos, máquina para executar o método e conjunto |
US10668668B2 (en) * | 2014-11-04 | 2020-06-02 | Woodwelding Ag | Bonding objects together |
JP6483451B2 (ja) * | 2015-01-28 | 2019-03-13 | 矢崎総業株式会社 | カラー固定構造及びカラー固定方法 |
JP6447527B2 (ja) * | 2016-01-22 | 2019-01-09 | 株式会社デンソー | 樹脂成形体 |
JP7155052B2 (ja) * | 2019-03-14 | 2022-10-18 | 株式会社東芝 | 半導体装置 |
JP7439485B2 (ja) * | 2019-12-10 | 2024-02-28 | 富士電機株式会社 | 半導体モジュール |
JP7462888B2 (ja) | 2020-06-11 | 2024-04-08 | 第一工業株式会社 | 埋設型連結具および埋設型連結具装着部品 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58124809A (ja) * | 1982-01-18 | 1983-07-25 | 日本ドライブイツト株式会社 | 固着具 |
JPS628691U (ja) * | 1985-06-28 | 1987-01-19 | ||
US5391031A (en) * | 1992-05-22 | 1995-02-21 | Unimation, Inc. | Method and insert for connecting components to plastic members |
JPH07127622A (ja) * | 1993-10-30 | 1995-05-16 | Suzuki Motor Corp | 部品取付用金具 |
JP2003260739A (ja) * | 2002-03-08 | 2003-09-16 | Kyowa Sangyo Kk | 結合物品と、結合物品の結合方法 |
-
2006
- 2006-11-30 JP JP2006324187A patent/JP4870535B2/ja active Active
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104321545A (zh) * | 2012-06-13 | 2015-01-28 | 迈进有限公司 | 嵌入套管及嵌入螺母 |
JPWO2018117233A1 (ja) * | 2016-12-22 | 2018-12-20 | 株式会社ヤマシナ | 保持金具 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008138739A (ja) | 2008-06-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4870535B2 (ja) | インサート用部品、樹脂成形体並びに樹脂成形体の製造方法 | |
JP6468282B2 (ja) | ソーラパネル用フロートの連結構造 | |
JP6876605B2 (ja) | 物体の相互結合方法 | |
KR101947217B1 (ko) | 중공 원통형 나사 부품 및 그 제조 방법 | |
WO2015162998A1 (ja) | 繊維強化樹脂接合体、中間体及び締結棒 | |
JP2011521181A (ja) | インサートキット及び装着方法 | |
US6967047B2 (en) | Composite article with highly filled plastic component | |
JP2020200924A (ja) | ボールジョイント、および、ボールジョイントの製造方法 | |
JPH05200876A (ja) | 超音波挿入スタッド及びその締結方法 | |
KR101966471B1 (ko) | 열가소성 재료를 포함하는 물품을 위한 마찰 용접 조인트 | |
JP4577115B2 (ja) | 樹脂部品および樹脂部品の接合方法 | |
JP2005319793A (ja) | 複合構成部材 | |
JP2016210154A (ja) | 金属部品と樹脂の接合方法及び金属部品と樹脂の一体成形品 | |
JP2005259690A (ja) | 封口板端子部の接合方法および接合構造 | |
JP6275126B2 (ja) | 熱可塑性材料を含む物品のための摩擦溶接継手 | |
JP2010069658A (ja) | 複合構造体およびその製造方法 | |
US11236776B2 (en) | Retainer | |
JP2005054722A (ja) | 送風機 | |
CN110446594A (zh) | 用于连接至构件的附件 | |
JP5126142B2 (ja) | 油路構成部材及びその製造方法 | |
JP2000326414A (ja) | パイプと樹脂キャップの接合構造 | |
JP2013072374A (ja) | 金属−樹脂複合容器 | |
US20230241844A1 (en) | Connector element and method of bonding such connector element to a substrate | |
JPH029620A (ja) | 熱可塑性樹脂成形品に対する金属インサート方法及び金属インサートの施された成形品 | |
JP4971476B2 (ja) | コネクタパイプを有するブロー成形中空体及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091118 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091118 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110201 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110404 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111115 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111117 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4870535 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |