以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
この画像形成装置1は、画像形成処理を実行する画像形成装置本体2と、ロール紙給紙装置を収容している筐体3とを有している。また、画像形成装置1は、複写機能、プリンタ機能およびスキャナ機能を有しており、いわゆる複合機としての画像形成装置の機能を果たすものである。
図2は、図1に示した画像形成装置1のA−A断面を示している。
図2に示すように、筐体3には、ロール紙40を収容するロール紙給紙装置20と、ロール紙41を収容するロール紙給紙装置30とが収容されている。
ここで、ロール紙40,41は、例えばA0からA3までの各サイズのロール紙であり、それぞれ異なるサイズのロール紙であってもよいし、同一サイズのロール紙であってもよい。ここでは、ロール紙40はA0サイズのロール紙であり、ロール紙41はA1サイズのロール紙であるとする。
ロール紙給紙装置20は、収容されているロール紙40から用紙を引き出し、この引き出した用紙を画像形成装置本体2の画像形成部10に向けて搬送する搬送ローラ部50と、その下流側に配設され搬送ローラ部50によって送り出された用紙を切断するカッタ60とを有している。同様に、ロール紙給紙装置30も、搬送ローラ部42およびカッタ43を有している。
筐体3には、ロール紙給紙装置20近傍の所定の位置、好ましくは搬送ローラ部50の配設位置近傍に対応する所定の位置に、ロール紙給紙装置20近傍(搬送ローラ部50の後述する搬送ローラ近傍)の温度を検知する温度センサ70が配設されている。温度センサ70によって検知された温度を示す検知温度(温度値)は、後述する制御部110に入力される。同様に、筐体3にはロール紙給紙装置30近傍の所定の位置に温度センサ80が配設されている。
ここで、ロール紙給紙装置20と画像形成装置本体2との間の搬送路には、搬送ローラ部50によって搬送された用紙を画像形成装置本体2側に向けて送り出す紙送りローラ4が配設されている。また、ロール紙給紙装置30と画像形成装置本体2との間の搬送路には、搬送ローラ部42によって搬送された用紙を画像形成装置本体2側に向けて送り出す紙送りローラ5が配設されている。なお、ロール紙給紙装置30から給紙される用紙は、紙送りローラ5および紙送りローラ4を介して画像形成装置本体2側に向けて搬送されるようになっている。
画像形成装置本体2において、スキャナ部11は大型図面等の原稿(長尺原稿)の画像を走査し、この走査結果を画像形成部10へ出力する。また、筐体3側から搬送されてきた用紙は、画像形成装置本体2内に配設された紙送りローラ6を介して画像形成部10へ搬送される。
画像形成部10は、感光体12、現像器13および転写部14を有しており、スキャナ部11による走査の結果に基づいて静電潜像を感光体12に形成し、次に現像器13によってその静電潜像をトナー像として形成(現像)し、さらに転写部14によってそのトナー像を紙送りローラ6を介して搬送されてきた用紙に転写する。すなわち、画像形成部10は、いわゆる電子写真プロセスを実行する。
このようにして用紙に転写されたトナー像は、その用紙が定着器15を通過するときに、この定着器15によって当該用紙に定着される。そしてトナー像が定着された用紙は、排出ローラ16を介して排出口17に排出される。
図3は、ロール紙給紙装置20の搬送ローラ部50の構成を示している。
図3に示すように、搬送ローラ部50は、モータ51、ギア列52、搬送ローラ53およびアイドラローラ54を有している。
搬送ローラ53はシャフトを有するゴムローラである。モータ51は、ギア列52を介して搬送ローラ53と接続され、搬送ローラ53を駆動する。本実施の形態では、モータ51は、パルス制御により回転制御されるステッピングモータとしている。アイドラローラ54は、搬送ローラ53に対して図示しない付勢手段により押圧するように配設されている。
図4は、画像形成装置1におけるロール紙給紙装置の制御系の構成を示している。
制御系100はロール紙給紙装置20に対応し、制御系200はロール紙給紙装置30に対応する。
制御系100において、制御部110は、CPU(中央演算処理装置)111、ROM(読み出し専用メモリ)112およびRAM(随時書き込み読み出しメモリ)113を有しており、これらの構成要素を用いて、画像形成装置本体2側に設けられるコントローラ300の制御の下、モータドライバ120およびカッタ60を制御する。また、制御部110は、温度センサ70が検知したロール紙給紙装置20近傍(つまり搬送ローラ53近傍)の検知温度を取得し、この検知温度を基にカッタ60によるロール紙の切断タイミングを制御する。
制御部110において、ROM112は、(1)ロール紙給紙装置20近傍(搬送ローラ53近傍)の温度の変化に応じてカッタ60によるロール紙の切断タイミングを制御するために参照される、後述する温度補正テーブル、(2)基準温度における搬送ローラの外径、モータのステップ角、ギア列による減速比などのパラメータ、またはこれらのパラメータを基に得られる後述するロール紙の送り出し長さ、(3)切断タイミングを制御するための後述する処理手順(図8参照)に対応する制御プログラムを含む所定の処理プログラムを記憶している。
RAM113は、温度センサ70から出力された検知温度(温度値)を記憶する記憶領域と、CPU111による切断タイミングを求めるなど所定のデータ処理のときに使用されるワーク領域とが割り当てられている。
CPU111は、次の(1)〜(3)の給紙に関する処理を含む所定のデータ処理を実行する。
(1)コントローラ300から指定される原稿サイズ(主走査方向の長さおよび副走査方向の長さ)と温度センサ70からの検知温度とROM112に記憶されているロール紙の送り出し長さ情報(または上記各パラメータ)とを基に切断タイミングを求める。
(2)モータドライバ120に対し、モータ駆動の開始指示を示す開始指示信号を出力する。
(3)モータドライバ120からのパルス信号の数に基づきモータドライバ120に対しモータ駆動の停止指示を示す停止指示信号を出力するとともにカッタ60に対し用紙を切断すべき旨の切断指示信号を出力する。
なお、制御部110は、モータドライバ120から出力されたパルス信号を受信した場合に、受信したパルス信号の数をカウントするカウンタ(図示せず)も有している。
モータドライバ120は、制御部110の制御に従って、モータ51に供給すべきパルス信号(モータを駆動するためのパルス信号)を生成し、このパルス信号をモータ51へ出力するとともに、制御部110へ出力する。
制御系200は、上述した制御系100の場合と同様の構成および機能を有しているので、ここでは、その構成および機能の詳細な説明については省略する。また、図4においては、制御系200の構成は省略している。
次に、制御部110の切断タイミングの決定について説明する。
ここで、切断タイミングを決定するということは、モータ51の回転駆動により回転する搬送ローラ53によって搬送されるロール紙40の送り出し長さ(以下「用紙長」という。)Lを決定することを意味する。この用紙長Lは、画像形成結果として出力されるカット後の用紙の長さ(副走査方向の長さ)に相当する。
本実施の形態では、ロール紙給紙装置20において、モータ51に供給されるパルス信号の数を基に用紙の長さを設定する場合を例に説明する。
モータ51に1パルスの信号が供給された場合。その1パルス当たりの搬送ローラ53によって搬送されるロール紙40の送り出し長さ(以下「単位用紙長」という。)αは、搬送ローラ53の外径をD、モータ51のステップ角をθ、ギア列52による減速比をnとした場合、次の数1を演算することで求められる。
(数1)
α=(D×π)×(θ/360)×(1/n)
ここで、パルス制御されるモータ51には所定の周波数(あるいは周期)のパルス信号が供給されるので、「1パルス当たり」は、「1周期当たり」すなわち「所定の単位時間当たり」と定義することができる。
従って1パルス当たりに搬送されるロール紙の単位用紙長αは、搬送ローラの外径を基に得られ、所定の単位時間当たりの搬送ローラの回転に応じて搬送されるロール紙の用紙長さ(単位用紙長)αであると言える。また単位用紙長αは、搬送ローラの回転により得られるものであるから、搬送ローラの回転情報であると言える。
さて、上記数1を演算して単位用紙長αが得られた場合に、用紙長Lを得るために必要なモータ51に供給すべきパルス信号の数(パルス数)Pは、次の数2を演算することで求められる。
(数2)
P=L/α
すなわち、上記数2を演算することにより求められたパルス数P分、モータ51が回転したときに搬送される用紙の用紙長Lが得られることになる。この場合、用紙長Lは画像形成結果として出力される用紙の目標とする長さ(以下「目標用紙長」という。)と一致することになる。
ここで、目標用紙長とは、等倍率での画像形成の場合では、例えばA0サイズやA1サイズの長尺原稿の長さ(副走査方向に相当する方向の長さ)のことである。
ところで、上記数1を演算することにより求められる単位用紙長αは、一定温度の環境下では定数として考えてもよいが、実際には環境(温度)の差による熱膨張に起因する搬送ローラ53の外径の変化や、摩擦係数の変化により一定数ではなくなる。
そのため、環境変化が発生した状態にあっては、実際に画像形成結果として出力される複数の用紙のそれぞれの用紙長Lは一定とはならず、ばらついてしまう。
すなわち、温度によっては「用紙長L≠目標用紙長」の関係が成立する場合も有り得、また例えば3枚の長尺原稿を複写する場合に、それぞれの複写時の温度が異なっているときは「第1の用紙長L≠第2の用紙長L≠第3の用紙長L」の関係が成立する場合も有り得ることになる。
そこで、本実施の形態では、筐体3内部に設けられた温度センサ70によってロール紙給紙装置20近傍(特に搬送ローラ53近傍)の温度を検知し、その検知温度を基に単位用紙長αに対し補正値を加え、補正後の単位用紙長αを基にパルス数Pを求めるようにしている。
すなわち、用紙長Lを得るために必要なパルス数Pは、単位用紙長αに対する補正値つまり温度補正値をδとした場合、次の数3を演算することで求められる。
(数3)
P=L/(α−δ)
この数3に示す如く、上記数2を演算して得られるべくパルス数Pを温度補正値δを用いて補正する、すなわち切断タイミングを補正することで、用紙長Lを所望の長さに設定することができる。結果的に、画像形成結果として出力される用紙の長さは目標用紙長となる。
ここで、切断タイミングとは、パルス数P分のパルス信号が供給されたモータの回転動作(回転駆動動作)が終了した時点(モータの回転に従動して回転する搬送ローラの回転動作が終了した時点)を意味する。
この切断タイミングでカッタ60がロール紙を切断すると、切断後の用紙の用紙長Lは目標用紙長となる。
なお、これ以降の説明においては、切断タイミングはモータに供給されるパルス信号のパルス数(パルス数P)であるとして説明する。しかしその本来の意味は、上述した如く、パルス数P分のパルス信号に基づいたモータの回転動作(搬送ローラの回転動作)が終了した時点である。
ところで、単位用紙長αを一定値としていた場合には、目標用紙長が長くなるほど用紙長Lは目標用紙長との差が大きくなる(大きなバラツキを発生する)のに対し、温度の環境の変化に応じて単位用紙長αを補正し、この補正後の単位用紙長αを用いてパルス数Pつまり切断タイミングを補正した場合では、目標用紙長が長くなったとしても、用紙長Lのバラツキを抑制し用紙長Lを目標用紙長とすることができる。
例えば3枚の長尺原稿を複写する場合に、それぞれの複写時の温度が異なっていたとしても「目標用紙長=第1の用紙長L=第2の用紙長L=第3の用紙長L」の関係を満足することが可能となる。
以上のことから、温度補正値(温度補正情報)δは、検知温度の状態での1パルス当たり(所定の単位時間当たり)の搬送ローラの回転に応じて搬送されるロール紙の用紙長さ(単位用紙長α)を、基準温度の状態での1パルス当たり(所定の単位時間当たり)の搬送ローラの回転に応じて搬送されるロール紙の用紙長さ(単位用紙長α)に補正するための補正値であると言える。
図5は、各環境(各温度)状態での用紙の用紙長Lとパルス数Pとの関係を表している情報(グラフ)を示している。
ここで、符号L0で示される線分は常温時での用紙の用紙長とパルス数との関係を示し、符号L1で示される線分は低温時での用紙の用紙長とパルス数との関係を示し、符号L2で示される線分は高温時での用紙の用紙長とパルス数との関係を示す。
また、常温時での1パルス当たりに搬送される用紙の単位用紙長をα0、低温時での1パルス当たりに搬送される用紙の単位用紙長をα1、高温時での1パルス当たりに搬送される用紙の単位用紙長をα2とする。
さらに、各用紙長L0n(=α0×Pn)、L1n(=α1×Pn)およびL2n(=α2×Pn)は、温度補正値を用いずに同一パルス数P=Pn分だけモータ51が回転したときに搬送される用紙の長さ(用紙長)を意味する。
さて、高温、常温、低温の各温度の状態において、同一パルス数P=Pn分だけモータ51が回転したときは、搬送ローラ53によって搬送されるロール紙40の用紙RPは、図6に示すように、低温時では用紙長L1、常温時では用紙長L0、高温時では用紙長L2となり、低温時での用紙長L1は常温時での用紙長L0とは長さLaだけ短く、また高温時での用紙長L2は常温時での用紙長L0とは長さLbだけ長くなっている。ここで、用紙長L0は目標用紙長に相当する長さであるとする。
このように各環境(高温、常温、低温などの各温度)によって上記用紙RPの用紙長L1,L2は、用紙長L0(目標用紙長)に対し、例えば長さLa、長さLbの誤差のように「ばらつく」ことになる。しかも、常温時での目標用紙長が長いほど、つまり用紙RPの用紙長L0が長いほど、それらの長さLa、長さLbの各値が大きくなる。
これは、温度の変化に応じて搬送ローラの外径Dが変化し、その搬送ローラの外径Dが変化することに起因して単位用紙長αが変化するにも関わらず、上記数2に示す如く、その単位用紙長αを一定値としてパルス数Pを求めていることに原因がある。
すなわち、上述したように基準温度(例えば常温時)よりも高い温度での搬送ローラの外径は、その基準温度での搬送ローラの外径と比較して大きくなる。その結果、モータ51に1パルスの信号が供給された場合に、1パルス当たりに搬送される用紙における高温度時の単位用紙長α2は、基準温度時の単位用紙長α0よりも長くなる。これにより、用紙長L2が用紙長L0よりも長くなる。
一方、基準温度(例えば常温時)よりも低い温度での搬送ローラの外径は、その基準温度での搬送ローラの外径と比較して小さくなり、その結果、低温時の単位用紙長α1は基準温度時の単位用紙長α0よりも短くなり、結果的に用紙長L1は用紙長L0よりも短くなる。
そこで、本実施の形態では、温度の変化に応じて単位用紙長αを補正し、この補正後の単位用紙長αを用いてパルス数Pを求めるようにしている。これは、温度の変化に応じて変化する搬送ローラの外径Dの値を反映したパルス数P、換言すれば、温度の変化に応じて変化する単位用紙長αの値を反映したパルス数Pを求めることを意味する。
具体的には、例えば、低温時の用紙長L1と常温時の用紙長L0とが等しくなるようにしたいときは、次の数4を演算して得られる温度補正値δ1を用い、また、高温時の用紙長L2と常温時の用紙長L0とが等しくなるようにしたいときは、次の数5を演算して得られる温度補正値δ2を用いればよい。
(数4)
(α1+δ1)=α0、つまり、δ1=α0−α1
(数5)
(α2+δ2)=α0、つまり、δ2=α0−α2
ここで、α0、α1、α2の各単位用紙長は、実測して得られた用紙長L0,L1,L2と既知であるパルス数Pとを基に求めることができる。
例えば図5に示した例では、単位用紙長α0は、実測値である用紙長L0(=L0n)を既知値であるパルス数P(=Pn)で除算することで求めることができる。他の単位用紙長についても、単位用紙長α0の場合と同様にして求めることができる。
このようにして求められた各単位用紙長を、上記数4および数5に代入して演算することで、温度補正値δ1および温度補正値δ2を求めることができる。
ここで、このようにして求められた温度補正値を用いて、実際のパルス数を求める方法について説明する。
例えば図5に示した例では、高温時において常温時の場合と同等の用紙長L0nを得るには、L0n=α2×P2となればよいので、必要なパルス数P2はP2=L0n/α2となる。
ここで、上記数5より、α2=α0−δ2が得られるので、高温時でのパルス数P2は温度補正値δ2を用いて、P2=L0n/(α0−δ2)となる。
同様に、低温時において常温時の場合と同等の用紙長L0nを得るのに必要なパルス数P1は温度補正値δ1を用いて、P1=L0n/(α0−δ1)となる。なお、パルス数P1は、図5において、符号L1で示される線分を延長した線分と用紙長L0nとの交点に対応するパルス数である(P1>Pn>P2の関係が成立)。
従って、用紙長Lを得るために必要なパルス数Pは、温度補正値δを用いた場合、上記数3で表されることになる。
ところで、常温時、低温時、高温時の各温度と、上述したようにして求められた各温度補正値とが対応付けされた情報は、例えばテーブル形式で制御部110内のROM112に予め記憶されることになる。
図7は、各温度と各温度補正値とが対応付けられた温度補正テーブルの一例を示している。
ここでは、例えば、高温は29[℃]以上、常温は15〜28[℃]、低温は14[℃]以下、とする。また15〜28[℃]の範囲の温度を基準温度とする。なお、これらの温度値は一例であって、その値に限定されるものではない。
そして、制御部110は、温度センサ70からの検知温度と図7に示す温度補正テーブル400とに基づき単位用紙長αに対する補正を行い、最終的にパルス数Pの補正を行うことになる。
例えば、ロール紙給紙装置20からロール紙40の用紙が給紙される場合では、制御部110は、温度センサ70によって検知された検知温度が30[℃]であったときは、温度補正テーブル400を参照して温度補正値δ2を抽出し、この温度補正値δ2に基づき単位用紙長αを補正するとともに、補正後の単位用紙長αを基にパルス数Pを求める。
次に、ロール紙給紙装置20の制御部110によるロール紙の切断タイミングの制御処理について、図8を参照して説明する。
図8は、その切断タイミングの制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
ここでは、複写する場合(複写機能の場合)を例に挙げて説明する。最初に、操作者が、原稿台に例えばA0サイズの原稿(長尺原稿)をセットした後、操作部により複写開始操作を行うと、コントローラ300は、原稿のサイズに対応したロール紙が選択されるべく、A0サイズのロール紙40が収容されているロール紙給紙装置20に対応する制御部110に対し当該ロール紙40の給紙指示(給紙指令)を出力する。
この場合、コントローラ300は、例えば、原稿サイズを示す情報を含めて給紙指示を制御部110へ出力する。例えば、原稿(長尺原稿)を走査するときに検出された長尺原稿の幅方向の長さ(主走査方向の長さ)に対応する当該長尺原稿の副走査方向の長さを示す情報を含めて給紙指示を制御部110へ出力する。
ロール紙給紙装置20の制御部110は、コントローラ300から給紙指示があるか否かを判断し(ステップS101)、給紙指示がない場合にはその指示があるまで待機し、給紙指示がある場合は温度センサ70から出力された検知温度(温度情報)つまり温度値を取得する(ステップS102)。
次に、制御部110は、取得した検知温度と図7に示した温度補正テーブル400とに基づいて温度補正値δを求め(ステップS103)、この温度補正値δを用いて環境(温度)変化に応じたパルス数Pを求める(ステップS104)。
ここで、具体例を挙げて説明する。基準温度(常温時=15〜28[℃])における単位用紙長α0を示す情報が制御部110内のROM112に記憶されているものとする。制御部110は、温度センサ70から取得した温度値が例えば30[℃]である場合、温度補正テーブル400からその温度値(30[℃])に対応する温度補正値δ2を抽出する。そして、制御部110は、この温度補正値δ2、ROM112から読み出した単位用紙長α0、コントローラ300から取得した原稿(A0サイズの長尺原稿)の副走査方向の長さ(目標用紙長であり、用紙長L0でもある)の各値を上記数3に代入して演算することでパルス数P2を求める。
このようにして環境の変化に応じたパルス数Pを求めた制御部110は、モータドライバ120に対しモータ駆動の開始指示を示す開始指示信号を出力する(ステップS105)。
その開始指示信号を受信したモータドライバ120は、制御部110の制御の下、所定の周波数のパルス信号をモータ51へ供給する。このパルス信号は、制御部110にも入力されるようになっている。
なお、モータドライバ120が制御部110からのモータ駆動の停止指示信号を受信するまで所定の周波数のパルス信号をモータ51へ供給し続けると、モータ51は入力されたパルス信号を基に回転動作(ステップ角に応じた回転動作)を行う。これに伴ってギア列52を介して搬送ローラ53が回転し、ロール紙40が搬送されることになる。
ところで、開始指示信号をモータドライバ120へ出力した制御部110は、モータドライバ120から出力されたパルス信号を受信(取得)した場合に(ステップS106)、受信したパルス信号の数(パルス数)をカウントアップする(ステップS107)。
次に、制御部110は、そのカウント値が上記ステップ104で求めたパルス数P2に達したか否かを判断し(ステップS108)、カウント値がパルス数P2に達していない場合には上記ステップS106に戻り、一方、カウント値がパルス数P2に達した場合はモータドライバ120に対しモータ駆動の停止指示を示す停止指示信号を出力するとともに(ステップS109)、カッタ60に対し用紙を切断すべき旨の切断指示信号を出力する(ステップS110)。
これにより、その停止指示信号を受信したモータドライバ120はモータ51へのパルス信号の供給を停止するので、モータ51の回転動作が停止しこれに伴って搬送ローラ53の回転動作も停止する。
そして、制御部110から切断指示信号を受信したカッタ60がA0サイズのロール紙40を切断する。すなわち、搬送ローラ53によって送り出されたロール紙の用紙が原稿(A0サイズの長尺原稿)の副走査方向の長さ(すなわち目標用紙長)に達すると、その用紙は、ロール紙給紙装置20内のカッタ60によって切断される。このようにして切断された用紙は、最終的に画像形成装置本体2の排出口17から排出されることになる。
その結果、30[℃]の温度の状態において画像形成処理が行われた場合の画像形成結果として、図9に示すように用紙長L0(目標用紙長)の用紙RPが得られることになる。
また、温度センサ70から取得した温度値が例えば20[℃]あるいは10[℃]の温度値であった場合も、上記同様にしてパルス数Pが決定される。すなわち、温度値20[℃]のときは、補正なし(温度補正値=0)でパルス数P0が求められ、また、温度値10[℃]のときは、温度補正値δ1でパルス数P1が求められる。これらのパルス数P0,P1分のパルス信号がモータ51に供給され、その後切断されることにより、いずれの場合も画像形成結果として、図9に示すように用紙長L0(目標用紙長)の用紙RPが得られることになる。
ここで、常温、低温、高温の各温度に対応する各パルス数P0,P1,P2においては、「P1>P0>P2」の関係が成立している。
上述したように、本実施の形態では、制御部110が、検知温度(温度値)と搬送ローラ53の回転情報(単位用紙長α)と回転情報に関する温度補正情報(温度補正値δ)とに基づいて切断タイミング(パルス数Pすなわちパルス数P分のパルス信号が供給されるモータの回転動作が終了する時点)を求め、この求めた切断タイミングを示す情報(パルス数P)を基にカッタ60に対しロール紙を切断すべく制御する。
具体的には、制御部110は、検知温度(例えば10[℃])が基準温度(例えば15〜28[℃])と比較して低い場合には、当該検知温度の状態での切断タイミング(例えばパルス数P1)を当該基準温度の状態での切断タイミング(例えばパルス数P0)よりも遅くし(P1>P0の関係)、一方、検知温度(例えば30[℃])が基準温度(例えば15〜28[℃])と比較して高い場合は、当該検知温度の状態での切断タイミング(例えばパルス数P2)を当該基準温度の状態での切断タイミング(例えばパルス数P0)よりも早くする(P2<P0の関係)。
このような制御により、温度など環境の変化に伴って搬送ローラの外径が変化した場合であっても、ロール紙が切断された後の用紙の長さ(用紙長)を、目標用紙長(例えば長尺原稿の副走査方向の長さ)に設定することができ、その用紙長のバラツキを抑制することが可能となる。
以上の説明は画像形成装置の複写機能の場合の処理について説明したが、プリントする場合(プリント機能能の場合)も、複写機能の場合と同様の処理が行われる。
この場合、例えば、画像形成装置とコンピュータなど文書処理装置とを通信回線を介して接続し、画像形成装置は、文書処理装置からの文書情報を受け取って、この文書情報を基に画像形成処理を実行することになる。
そのとき、コントローラは、受け取った文書情報に含まれる属性情報の一部である原稿サイズ(縦の長さ及び横の長さ、または主走査方向の長さおよび副走査方向の長さ)を認識し、この原稿サイズに対応したロール紙が選択されるべく、該当するロール紙給紙装置に対応する制御系の制御部に対して、原稿サイズを示す情報を含めて給紙指示(給紙指令)を出力する。
なお、本実施の形態では、検知温度に対応する温度補正値を温度補正テーブルから抽出し、この抽出した温度補正値と目標用紙長と基準温度における単位用紙長を上記数3に代入して演算することによりパルス数Pを求めるようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、次のようにしてもよい。
すなわち、常温、低温、高温の各温度の状態において、モータに供給すべきパルス信号のパルス数Pを所定のパルス数間隔で変化させたときの、実際の切断後の用紙の用紙長Lをサンプリング(実測)する。そして各温度毎に、切断後の用紙の用紙長Lとパルス数Pとの関係をプロットし特性を求める。その用紙長Lとパルス数Pとの関係を示す情報(グラフ)の一例を図10に示す。
なお、図10において、符号L10で示される線分は常温時での用紙の用紙長とパルス数との関係を示し、符号L11で示される線分は低温時での用紙の用紙長とパルス数との関係を示し、符号L12で示される線分は高温時での用紙の用紙長とパルス数との関係を示す。
ここで、目標用紙長に相当する用紙長L0を得たい場合、制御部110は、温度センサ70から取得した温度値を基に、図10に示す特性から対応する線分を特定し、この特定した線分を用いて用紙長L0のときのパルス数を求める。
具体的には、常温では線分L10が特定され、この線分L10を用いて用紙長L0に対応するパルス数P0が求められる。同様に、低温では線分L11が特定され、この線分L11を用いて用紙長L0に対応するパルス数P1が求められる。高温では線分L12が特定され、この線分L12を用いて用紙長L0に対応するパルス数P2が求められる。
このように、モータに供給されるべきパルス信号のパルス数は、常温ではパルス数P0でよいのに対し、低温ではパルス数P1でパルス数P0よりも多くなり、高温ではパルス数P2でパルス数P0よりも少なくなる。換言すれば、温度の変化に応じて切断タイミングを変化させていることになる。
また、本実施の形態では、図7に示す温度補正テーブル400は、高温、常温、低温の3つの温度状態とこれに対応する各温度補正値とを対応付けた情報であるが、本発明はこれに限定されることなく、次のようにしてもよい。
すなわち、4以上の温度状態のそれぞれにおける用紙の用紙長Lをサンプリングし、このサンプリングの結果を基に温度補正テーブルを作成する。そして、これを用いて単位用紙長αを補正するようにする。これにより、切断後の用紙の用紙長の精度を高めることができ、その用紙長のバラツキをより一層抑制することができる。
例えば、0〜40[℃]の温度範囲について0.5[℃]、1[℃]、5[℃]など所定の温度値間隔で、それぞれの温度値の温度状態において同一のパルス数P分のパルス信号をモータに供給した場合の切断後の用紙の用紙長Lをサンプリング(実測)する。また、例えば20〜25[℃]を基準温度(常温)とし、また基準となる単位用紙長を単位用紙長α0とする。
そして上述したようにして、サンプリングした用紙長Lとパルス数Pとを基に温度値に対応する単位用紙長αが得られるので、各温度値に対応する各単位用紙長αと単位用紙長α0とを基に当該各温度値に対応する各温度補正値δを求める。そして、各温度値と各温度補正値とを対応付けして図7に示したような温度補正テーブルを作成する。
さらに、本実施の形態では、モータはステッピングモータとしているが、本発明はこれに限定されることなく、モータは、DCモータなど搬送ローラを駆動できるモータであれば、その種類は問わない。
この場合、例えば、DCモータの回転軸にエンコーダを設ける、あるいは搬送ローラのシャフトにエンコーダを設ける。そして、これらのエンコーダから出力されるパルス信号がロール紙給紙装置の制御部に入力されるようにする。
ところで、エンコーダから出力されるパルス信号のパルス数と搬送ローラの外径とを基に、エンコーダから出力される1パルス当たりの、搬送ローラによって搬送される用紙の用紙長(単位用紙長)αを知ることができる。この場合も、基本的には上記数1〜数5を適用することができる。
従って、DCモータの回転軸にエンコーダを設ける場合、上記制御部110は、モータの1回転当たりのエンコーダから出力されるパルス信号の数を、温度の変化に応じて変化するようにDCモータの回転を制御すればよい。
一方、搬送ローラのシャフトにエンコーダを設ける場合、上記制御部110は、搬送ローラの1回転当たりのエンコーダから出力されるパルス信号の数を、温度の変化に応じて変化するようにDCモータの回転を制御すればよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ロール紙給紙装置近傍に設けた温度センサが検知した検知温度に応じて単位用紙長を補正するとともに、この補正後の単位用紙長と目標用紙長(例えば長尺原稿の副走査方向の長さ)とを基にモータへ提供すべきパルス信号のパルス数を求める(切断タイミングを求める)ようにしているので、ロール紙を切断した後の切断後の用紙の長さを、目標用紙長とすることができ、その用紙の長さのバラツキを抑制することができる。