以下、図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する幾つかの実施形態において互いに共通する部材については同一符号を付しており、それらについて繰り返しとなる説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態における画像形成装置1の全体的な一構成例を示す概略図である。画像形成装置1はカラープリンタ装置である場合を例示している。画像形成装置1は、直接或いはネットワークを介して図示しないコンピュータに接続されており、そのコンピュータから画像形成の対象となる画像データを入力し、その画像データに基づいて用紙などに画像形成を行うように構成されている。
図1に示すように、画像形成装置1は、用紙などの転写材を1枚ずつ給紙する給紙部2と、給紙部2から給紙された転写材に対して画像形成を行うカラー画像形成部3と、カラー画像形成部3で形成された各色の画像を転写材に定着させる定着部4と、コントローラ10とを備えている。給紙部2は、画像形成装置1の下部に設けられており、給紙カセット5と、給紙カセット5の前方側の上部に設けられる給紙ローラ2aと、給紙ローラ2aのさらに下流側に設けられる搬送ローラ2bを備えている。給紙カセット5は複数枚の転写材を積載して収容しており、給紙ローラ2aは給紙カセット5に収容された転写材のうち最上面の転写材9に接触し、その転写材9を搬送ローラ2bに向けて供給する。搬送ローラ2bは、給紙ローラ2aによって給紙される転写材9をカラー画像形成部3に対して搬送する。転写材9はカラー画像形成部3を所定の搬送路6に沿ってベルトレスで搬送され、カラー画像形成部3においてカラー画像の形成が行われる。
カラー画像形成部3は、複数の画像形成部30a,30b,30c,30dを備えており、それぞれの画像形成部において異なる色のトナー像が転写材9に転写される。給紙部2から給紙された転写材9は、これら複数の画像形成部30a,30b,30c,30dを順次通過することにより、その一面に例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のトナー像が順に転写されてカラー画像が形成される。カラー画像形成部3で転写材9に転写された画像(トナー像)は定着部4で熱と圧力が加えられることにより転写材9に定着する。その後、転写材9は、画像形成装置1の上部に設けられた排出口7から排出され、載置部8に載置される。
コントローラ10は、CPU11とメモリ12とを備えており、上述した給紙部2、カラー画像形成部3及び定着部4の各部を制御する制御手段として機能する。
図2は、カラー画像形成部3及びコントローラ10の詳細な構成例を示す図である。尚、図例では説明の便宜上、構成を簡略化しており、複数の画像形成部30a,30b,30c,30dが水平に一列に並んだ状態を示している。
コントローラ10におけるCPU11は制御手段としての主たる機能を実現する。このCPU11は所定のプログラムを実行することにより、上述した給紙部2の動作を制御する給紙制御部13、複数の画像形成部30a,30b,30c,30dのうち最も上流側に位置する第1画像形成部30aを制御する第1制御部14、最も上流側から2番目に位置する第2画像形成部30bを制御する第2制御部15、最も上流側から3番目に位置する第3画像形成部30cを制御する第3制御部16、最も下流側に位置する第4画像形成部30dを制御する第4制御部17、および、画像の位置ずれを補正するための補正演算を行うデータ処理部18として機能する。メモリ12は、CPU11によって使用されるプログラムや変数、演算式などの各種データを記憶すると共に、コンピュータから入力する画像形成の対象となる画像データを一時的に記憶する記憶手段である。
複数の画像形成部30a,30b,30c,30dのそれぞれは、使用するトナーの色以外は同じ構成となっている。すなわち、各画像形成部30a,30b,30c,30dは、像担持体として設けられた感光体31と、感光体31を回転駆動するモータ33と、回転する感光体31に対してレーザ露光又はLED露光を行うことにより感光体31の表面に画像(潜像)の書き込みを行う画像書き込み部32と、感光体31に書き込まれた画像(潜像)をトナーにより顕像化する現像部34と、現像部34によって顕像化されたトナー像を転写材9に転写する転写ローラ35と、搬送路6において感光体31及び転写ローラ35の上流側に設けられた検知センサ36(36a,36b,36c,36d)と、ベルトレスで搬送される転写材9を感光体31と転写ローラ35の間の転写位置に案内するためのガイド部材39とを備えている。また現像部34は、感光体31の表面に対してトナーを供給するための回転するトナー供給部38と、トナー供給部38を回転駆動するモータ37とを備えている。
各画像形成部30a,30b,30c,30dにおける画像書き込み部32、モータ33、現像部34及び転写ローラ35は、それぞれに対応する第1〜第4制御部14,15,16,17によって制御される。第1制御部14を例に挙げて説明すると、第1制御部14は、第1画像形成部30aのモータ33を駆動することにより感光体31を回転させ、画像書き込み部32に対して画像の書き込みに使用する画像データを供給すると共に、感光体31に対する画像の書き込み開始を指示する。画像書き込み部32は、第1制御部14から指示されるタイミングで感光体31への画像の書き込みを開始し、感光体31の主走査方向(軸方向)への画像の書き込み動作を感光体31の副走査方向(周方向)に繰り返し行うことにより、供給された画像データに基づく画像を一定の速度で回転する感光体31の表面に書き込んでいく。また第1制御部14は、現像部34のモータ37を駆動制御することによりトナー供給部38による感光体31へのトナーの供給開始タイミングを調整する。また第1制御部14は、転写ローラ35も制御する。尚、第2制御部15、第3制御部16及び第4制御部17もそれぞれに対応する画像形成部30b,30c,30dに対して同様の制御を行う。
検知センサ36は、それぞれの画像形成部30a,30b,30c,30dにおいてベルトレスで搬送されてくる転写材9の先端9aを検知する検知手段であり、転写材9の先端9aを検知するとオンして検知信号を出力する。
図3は、カラー画像形成部3における各部の位置関係を説明する図である。尚、図3ではモータ33及び現像部34の図示を省略している。図3に示すように第1画像形成部30aの検知センサ36aは搬送路6における所定位置P10に設置されている。この位置P10は、第1画像形成部30aの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P12よりも上流側にあり、第1画像形成部30aの画像書き込み部32によって感光体31に画像が書き込まれる画像書き込み位置Paに対応する位置P11よりも更に上流側に設定されている。
また第2画像形成部30bの検知センサ36bは、第1画像形成部30aの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P12よりも下流側であり、かつ、第2画像形成部30bの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P22よりも上流側の所定位置P20に配置されている。この位置P20は、第2画像形成部30bの画像書き込み部32によって感光体31に画像が書き込まれる画像書き込み位置Pbに対応する位置P21よりも更に上流側に設定されている。
また第3画像形成部30cの検知センサ36cは、第2画像形成部30bの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P22よりも下流側であり、かつ、第3画像形成部30cの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P32よりも上流側の所定位置P30に配置されている。この位置P30は、第3画像形成部30cの画像書き込み部32によって感光体31に画像が書き込まれる画像書き込み位置Pcに対応する位置P31よりも更に上流側に設定されている。
さらに第4画像形成部30dの検知センサ36dは、第3画像形成部30cの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P32よりも下流側であり、かつ、第4画像形成部30dの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P42よりも上流側の所定位置P40に配置されている。この位置P40は、第4画像形成部30dの画像書き込み部32によって感光体31に画像が書き込まれる画像書き込み位置Pdに対応する位置P41よりも更に上流側に設定されている。
したがって、搬送路6に沿って搬送される転写材9は、検知センサ36aによってその先端9aが検知された後に第1画像形成部30aによる感光体31の画像書き込み位置Paに対応する位置P11を通過して転写ローラ35による転写位置P12に導かれる。第1画像形成部30aの転写位置P12で1色目のトナー像が転写された転写材9は、次に第2画像形成部30bに向かって進み、検知センサ36bによってその先端9aが検知された後に第2画像形成部30bによる感光体31の画像書き込み位置Pbに対応する位置P21を通過して転写ローラ35による転写位置P22に導かれる。そして第2画像形成部30bの転写位置P22で2色目のトナー像が転写された転写材9は、以後同様に第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dに順次搬送され、3色目及び4色目のトナー像が順に転写される。
図2に戻り、本実施形態では、第1画像形成部30aに設けられた検知センサ36aは、転写材9の先端9aを検知した検知信号SG1を第1制御部14と第2制御部15に出力する。また第2画像形成部30bに設けられた検知センサ36bは、転写材9の先端9aを検知した検知信号SG2を第2制御部15と第3制御部16に出力する。また第3画像形成部30cに設けられた検知センサ36cは、転写材9の先端9aを検知した検知信号SG3を第3制御部16と第4制御部17に出力する。さらに第4画像形成部30dに設けられた検知センサ36dは、転写材9の先端9aを検知した検知信号SG4を第4制御部17に出力する。
第1〜第4制御部14,15,16,17は、それぞれタイマ14a,15a,16a,17aを内蔵している。第1制御部14は、第1画像形成部30aに設けた検知センサ36aが転写材9の先端9aを検知したタイミングに基づいてその転写材9における画像形成すべき基準位置が転写位置P12に到達するタイミングを予測する。すなわち、転写材9が一定の定常速度Vで搬送されると仮定し、第1制御部14は、検知センサ36aが転写材9の先端9aを検知したタイミングでタイマ14aのカウント動作を開始し、そのタイマ14aが所定時間をカウントアップしたときに転写材9の画像形成すべき基準位置が転写位置P12に到達したと予測する。そして第1制御部14は、この予測したタイミングに基づいて画像書き込み部32に対する画像の書き込み開始を指示する。また第2制御部15、第3制御部15及び第4制御部についても同様であり、それぞれの検知センサ36b,36c,36dが転写材9を検知したタイミングに基づいてそれぞれのタイマ15a,16a,17aを作動させて転写材9の基準位置がそれぞれの転写位置P22,P32,P42に到達するタイミングを予測し、その予測したタイミングに基づいてそれぞれの画像形成部30b,30c,30dにおける画像書き込み部32に対して画像の書き込み開始を指示する。
図4は、転写材9が一定の定常速度Vで搬送されると仮定した場合の各制御部14,15,16,17による画像書き込み制御を示すタイミングチャートである。図4に示すように、第1制御部14は、検知信号SG1を検知したタイミングT10でタイマ14aを作動させ、転写材9上の画像形成すべき基準位置が第1画像形成部30aの画像書き込み位置Paに対応する位置P11に到達するタイミングT11で画像書き込み部32による感光体31への画像書き込みを指示する。これにより第1画像形成部30aの画像書き込み部32は画像データに基づいて感光体31への1色目の画像の書き込みを開始する。また第2制御部15は、検知信号SG2を検知したタイミングT20でタイマ15aを作動させ、転写材9上の画像形成すべき基準位置が第2画像形成部30bの画像書き込み位置Pbに対応する位置P21に到達するタイミングT21で画像書き込み部32による感光体31への画像書き込みを指示する。これにより第2画像形成部30aの画像書き込み部32は画像データに基づいて感光体31への2色目の画像の書き込みを開始する。また第3制御部16は、検知信号SG3を検知したタイミングT30でタイマ16aを作動させ、転写材9上の画像形成すべき基準位置が第3画像形成部30cの画像書き込み位置Paに対応する位置P31に到達するタイミングT31で画像書き込み部32による感光体31への画像書き込みを指示する。これにより第3画像形成部30cの画像書き込み部32は画像データに基づいて感光体31への3色目の画像の書き込みを開始する。さらに第4制御部17は、検知信号SG4を検知したタイミングT40でタイマ17aを作動させ、転写材9上の画像形成すべき基準位置が第4画像形成部30dの画像書き込み位置Pcに対応する位置P41に到達するタイミングT41で画像書き込み部32による感光体31への画像書き込みを指示する。これにより第4画像形成部30dの画像書き込み部32は画像データに基づいて感光体31への4色目の画像の書き込みを開始する。
転写材9が各画像形成部30a,30b,30c,30dを一定の定常速度Vで搬送されると仮定した場合には、図4のような制御を行うことにより、転写材9上の画像形成すべき基準位置に対して正確にそれぞれの画像が転写され、各画像の位置ずれは発生しない。
ところが、各画像形成部30a,30b,30c,30dにおいて検知センサ36が転写材9の先端9aを検知した後、その転写材9が感光体31と転写ローラ35の間の転写位置に到達するまでの間に転写材9の搬送速度が変化することがある。例えば、第1画像形成部30aにおいて検知センサ36aが転写材9の先端9aを検知した後、その転写材9が第1画像形成部30aの感光体31と転写ローラ35の間の転写位置P12に到達するまでの間に転写材9の搬送速度が変化し、転写材9が転写位置P12に到達する時間が所定時間よりも遅延し、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dではそのような遅延がなかったとした場合、転写材9上に転写される各色の画像の位置は図5に示すような位置となる。すなわち、第1画像形成部30aで転写される1色目の画像G1は転写材9が遅延したことにより転写材9上の画像形成すべき基準位置に対してずれΔX1だけ外れた位置に転写され、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dで転写される2色目〜4色目の画像G2,G3,G4は転写材9上の画像形成すべき基準位置に転写されるため、位置ずれΔX1が発生する。
本実施形態では、このような位置ずれを防止するため、第1〜第3画像形成部30a,30b,30cのそれぞれにおいて転写ローラ35を挟んで搬送路6の上流側と下流側に設けられている一対の検知センサ36を用いて転写材9が各画像形成部30a,30b,30cを通過する通過時間を算出し、この通過時間に基づいてそれよりも下流側に位置する第2〜第4画像形成部30b,30c,30dにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整する。
CPU11のデータ処理部18は、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整するための補正演算を行う処理部である。データ処理部18は、例えば第1画像形成部30aにおける転写位置P12の上流側に配置された検知センサ36aで転写材9が検知されてからその下流側に配置された検知センサ36bで転写材9が検知されるまでの転写材9の通過時間T12に基づいて、転写材9が定常速度Vで搬送された場合の理想的な通過時間とのずれ量ΔT1を算出する。このずれ量ΔT1は、図3に示した検知センサ36a〜36bの間の通過時間のずれ量である。ところが、第1画像形成部30aの転写位置P12の上流側には転写材9の搬送速度を変化させる要因のひとつとなるガイド部材39が配置されていること、および、検知センサ36aから転写位置P12までの距離が転写位置P12から検知センサ36bまでの距離よりも大きいことなどから、このずれ量ΔT1は、検知センサ36aから転写位置P12の間に発生するずれ量にほぼ一致する。したがって、図5に示した位置ずれΔX1は、転写材9が第1画像形成部30aを通過するのに要する通過時間T12のずれ量ΔT1に応じて変化する。そこでデータ処理部18は、第1画像形成部30aを転写材9が通過する通過時間T12のずれ量ΔT1に基づいて第2制御部15におけるタイマ15aのカウントアップ値を補正することによって、第2画像形成部30bにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整し、第2画像形成部30aにおいて転写材9に転写される2色目のトナー像を1色目のトナー像が転写された位置に合致させるのである。
また第3及び第4画像形成部30c,30dにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングの調整についても上記と同様である。データ処理部18は、第2画像形成部30bにおける転写位置P22の上流側に配置された検知センサ36bで転写材9が検知されてからその下流側に配置された検知センサ36cで転写材9が検知されるまでの転写材9の通過時間T23に基づいて、転写材9が定常速度Vで搬送された場合の理想的な通過時間とのずれ量ΔT2を算出し、第3制御部16におけるタイマ16aのカウントアップ値を補正することによって、第3画像形成部30cにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整する。ただし、この場合には、第3画像形成部30cよりも上流側で発生した全てのずれ量、すなわち、第1画像形成部30aを通過する通過時間T12のずれ量ΔT1と、第2画像形成部30bを通過する通過時間T23のずれ量ΔT2との双方に基づいて第3画像形成部30cにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整することが好ましい。またデータ処理部18は、第3画像形成部30cにおける転写位置P32の上流側に配置された検知センサ36cで転写材9が検知されてからその下流側に配置された検知センサ36dで転写材9が検知されるまでの転写材9の通過時間T34に基づいて、転写材9が定常速度Vで搬送された場合の理想的な通過時間とのずれ量ΔT3を算出し、第4制御部17におけるタイマ17aのカウントアップ値を補正することによって、第4画像形成部30dにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整する。この場合にも、第4画像形成部30dよりも上流側で発生した全てのずれ量、すなわち、第1画像形成部30aを通過する通過時間T12のずれ量ΔT1、第2画像形成部30bを通過する通過時間T23のずれ量ΔT2および第3画像形成部30cを通過する通過時間T34のずれ量ΔT3に基づいて第4画像形成部30dにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整することが好ましい。
図6は、画像の位置ずれを補正するための各制御部14,15,16,17による画像書き込み制御を示すタイミングチャートである。尚、図6において、第1画像形成部30aの感光体31への画像の書き込みタイミングは図4のタイミングチャートと同じである。図6に示すように、第2制御部15は、検知センサ36bの検知信号SG2を検知したタイミングT20でタイマ15aを作動させ、予め定められたカウントアップ値(時間)になるまでのカウント動作を開始する。これと並行してデータ処理部18は、第2制御部15が検知センサ36bの検知信号SG2を検知したことに応答して補正演算を行い、その補正演算の結果に基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正する。これにより、タイマ15aのカウント動作が延長又は短縮され、第2画像形成部30bにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。同様に、第3制御部16は、検知センサ36cの検知信号SG3を検知したタイミングT30でタイマ16aを作動させ、予め定められたカウントアップ値(時間)になるまでのカウント動作を開始する。データ処理部18は、タイマ16aのカウント動作と並行して補正演算を行い、その補正演算の結果に基づいてタイマ16aのカウントアップ値を補正する。これにより、タイマ16aのカウント動作が延長又は短縮され、第3画像形成部30cにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。さらに第4制御部17は、検知センサ36dの検知信号SG4を検知したタイミングT40でタイマ17aを作動させ、予め定められたカウントアップ値(時間)になるまでのカウント動作を開始する。データ処理部18は、タイマ17aのカウント動作と並行して補正演算を行い、その補正演算の結果に基づいてタイマ17aのカウントアップ値を補正する。これにより、タイマ17aのカウント動作が延長又は短縮され、第4画像形成部30dにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。
図7は第1制御部14によって行われる第1画像形成部30aに対する画像書き込み制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。第1制御部14は、給紙制御部13によって転写材9の給紙が開始されると、検知センサ36aから検知信号SG1を入力するまで待機し(ステップS10)、検知信号SG1を検出すると(ステップS10でYES)、タイマ14aのカウント動作を開始する(ステップS11)。このときタイマ14aのカウントアップ値は、転写材9が定常速度Vで搬送された場合に転写材9上の画像形成すべき基準位置が位置P11(図3参照)に到達するのに要する時間に設定される。そしてタイマ14aのカウント値がカウントアップ値に達するまで待機し(ステップS12)、カウント値がカウントアップ値に達すると、第1制御部14は第1画像形成部30aの画像書き込み部32に対して画像の書き込み開始を指示する(ステップS13)。これにより、第1画像形成部30aの画像書き込み部32は、画像データに基づいて一定速度で回転する感光体31の表面に1色目の画像の書き込みを開始する。感光体31に書き込まれた画像は画像書き込み位置Paから転写位置P12に回転するまでの所定位置でトナー像となり、そのトナー像は転写位置P12で転写材9に転写される。第1制御部14は、1色目の画像データに基づく画像の書き込み動作が終了すると(ステップS14)、第1画像形成部30aにおける画像の書き込み制御を終了する。
次に、図8及び図9は、第2制御部15及びデータ処理部18によって行われる第2画像形成部30bに対する画像書き込み制御の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図8は主として第2制御部15によって行われる処理を、図9は主としてデータ処理部18によって行われる処理を示している。まず図8に示すように、第2制御部15は、検知センサ36aから検知信号SG1を入力するまで待機し(ステップS20)、検知信号SG1を検出すると(ステップS20でYES)、その検知信号SG1を検出した検出タイミングT10をメモリ12などに保存しておく(ステップS21)。続いて第2制御部15は、検知センサ36bから検知信号SG2を入力するまで待機し(ステップS22)、検知信号SG2を検出すると(ステップS22でYES)、タイマ15aのカウント動作を開始する(ステップS23)。このときタイマ15aのカウントアップ値は、転写材9が定常速度Vで搬送された場合に転写材9上の画像形成すべき基準位置が位置P21(図3参照)に到達するのに要する時間に設定される。そして第2制御部15は、タイマ15aのカウント値がカウントアップ値に達するまでカウント動作を継続させる(ステップS24)。
一方、第2制御部15は、検知信号SG2を検出すると(ステップS22でYES)、上述のステップS23,S24と並行して、ステップS30〜S34の処理を行う。すなわち、検知信号SG1を検出した検出タイミングT10と、検知信号SG2を検出した検出タイミングT20とから転写材9が第1画像形成部30aを通過するのに要した通過時間T12を算出する(ステップS30)。例えば、通過時間T12=T20−T10である。そして第2制御部15は、算出した通過時間T12をデータ処理部18に出力する(ステップS31)。これにより、データ処理部18による処理が開始され、データデータ処理部18において補正演算が行われる(ステップS32)。
図9は、データ処理部18による補正演算処理(ステップS32)の詳細を示すフローチャートである。データ処理部18は、第2制御部15から転写材9の通過時間T12を入力すると(ステップS40)、メモリ12から通過時間T12に関する理論値(すなわち、転写材9が定常速度Vで搬送される場合の通過時間)を取得し(ステップS41)、通過時間T12とその理論値とのずれ量ΔT1を算出する(ステップS42)。そしてデータ処理部18は、ずれ量ΔT1に基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成する(ステップS43)。つまり、ずれ量ΔT1が検出されると、図5に示したように1色目のトナー像は転写材9の基準位置に対してΔX1ずれた位置に転写されていることになるため、データ処理部18は、2色目のトナー像をΔX1ずれた位置に転写させるべく、タイマ15aの最終的なカウントアップ値を補正するためのデータを生成するのである。そしてデータ処理部18は、そのカウント補正データを第2制御部15に対して出力する(ステップS44)。
図8に戻り、第2制御部15は、データ処理部18において上述の補正演算処理が行われた結果、データ処理部18からカウント補正データを取得する(ステップS33)。そして第2制御部15は、カウント補正データに基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正する(ステップS34)。これにより、ステップS24で継続されているタイマ15aのカウントアップ値が補正されることとなり、第2制御部15は、タイマ15aのカウント値が補正されたカウントアップ値に達するまでカウント動作を継続させる(ステップS24)。そしてタイマ15aのカウント値が補正されたカウントアップ値に達すると、第2制御部15は第2画像形成部30bの画像書き込み部32に対して画像の書き込み開始を指示する(ステップS25)。これにより、第2画像形成部30bの画像書き込み部32は、画像データに基づいて一定速度で回転する感光体31の表面に2色目の画像の書き込みを開始する。感光体31に書き込まれた画像は画像書き込み位置Pbから転写位置P22に回転するまでの所定位置でトナー像となり、そのトナー像は転写位置P22で転写材9に転写される。このとき、例えば1色目のトナー像が、図5に示したように転写材9の基準位置に対してΔX1ずれた位置に転写されているとすると、2色目のトナー像はそのずれた位置の1色目のトナー像に合わせて転写されるようになる。そして第2制御部15は、2色目の画像データに基づく画像の書き込み動作が終了すると(ステップS26)、第2画像形成部30bにおける画像の書き込み制御を終了する。
次に、図10及び図11は、第3制御部16及びデータ処理部18によって行われる第3画像形成部30cに対する画像書き込み制御の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図10は主として第3制御部16によって行われる処理を、図11は主としてデータ処理部18によって行われる処理を示している。図10に示すように、第3制御部16は、検知センサ36bから検知信号SG2を入力するまで待機し(ステップS50)、検知信号SG2を検出すると(ステップS50でYES)、その検知信号SG2を検出した検出タイミングT20をメモリ12などに保存しておく(ステップS51)。続いて第3制御部16は、検知センサ36cから検知信号SG3を入力するまで待機し(ステップS52)、検知信号SG3を検出すると(ステップS52でYES)、タイマ16aのカウント動作を開始する(ステップS53)。このときタイマ16aのカウントアップ値は、転写材9が定常速度Vで搬送された場合に転写材9上の画像形成すべき基準位置が位置P31(図3参照)に到達するのに要する時間に設定される。そして第3制御部16は、タイマ16aのカウント値がカウントアップ値に達するまでカウント動作を継続させる(ステップS54)。
一方、第3制御部16は、検知信号SG3を検出すると(ステップS52でYES)、上述のステップS53,S54と並行して、ステップS60〜S64の処理を行う。すなわち、検知信号SG2を検出した検出タイミングT20と、検知信号SG3を検出した検出タイミングT30とから転写材9が第2画像形成部30bを通過するのに要した通過時間T23を算出する(ステップS60)。例えば、通過時間T23=T30−T20である。そして第3制御部16は、算出した通過時間T23をデータ処理部18に出力する(ステップS61)。これにより、データ処理部18による処理が開始され、データデータ処理部18において補正演算が行われる(ステップS62)。
図11は、データ処理部18による補正演算処理(ステップS62)の詳細を示すフローチャートである。データ処理部18は、第3制御部16から転写材9の通過時間T23を入力すると(ステップS70)、メモリ12から通過時間T23に関する理論値(すなわち、転写材9が定常速度Vで搬送される場合の通過時間)を取得し(ステップS71)、通過時間T23とその理論値とのずれ量ΔT2を算出する(ステップS72)。そしてデータ処理部18は、ずれ量ΔT1とずれ量ΔT2に基づいてタイマ16aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成する(ステップS73)。例えば、転写材9が第1画像形成部30aを通過する際にずれ量ΔT1が検出され、第2画像形成部30bを通過する際のずれ量ΔT2がほぼ0であったとすると、1色目のトナー像と2色目のトナー像は、転写材9の基準位置に対してΔX1ずれた位置に転写されていることになるため、データ処理部18は、3色目のトナー像をそのΔX1ずれた位置に転写させるべく、タイマ15aの最終的なカウントアップ値を補正するためのデータを生成する。そしてデータ処理部18は、そのカウント補正データを第3制御部16に対して出力する(ステップS74)。
図10に戻り、第3制御部16は、データ処理部18において上述の補正演算処理が行われた結果、データ処理部18からカウント補正データを取得する(ステップS63)。そして第3制御部16は、カウント補正データに基づいてタイマ16aのカウントアップ値を補正する(ステップS64)。これにより、ステップS54で継続されているタイマ16aのカウントアップ値が補正されることとなり、第3制御部16は、タイマ16aのカウント値が補正されたカウントアップ値に達するまでカウント動作を継続させる(ステップS54)。そしてタイマ16aのカウント値が補正されたカウントアップ値に達すると、第3制御部16は第3画像形成部30cの画像書き込み部32に対して画像の書き込み開始を指示する(ステップS55)。これにより、第3画像形成部30cの画像書き込み部32は、画像データに基づいて一定速度で回転する感光体31の表面に3色目の画像の書き込みを開始する。感光体31に書き込まれた画像は画像書き込み位置Pcから転写位置P32に回転するまでの所定位置でトナー像となり、そのトナー像は転写位置P32で転写材9に転写される。このとき、例えば1色目のトナー像と2色目のトナー像が共に転写材9の基準位置に対してΔX1ずれた位置に転写されているとすると、3色目のトナー像もまたそのずれた位置に合わせて転写されるようになる。そして第3制御部16は、3色目の画像データに基づく画像の書き込み動作が終了すると(ステップS56)、第3画像形成部30cにおける画像の書き込み制御を終了する。
次に、図12及び図13は、第4制御部17及びデータ処理部18によって行われる第4画像形成部30dに対する画像書き込み制御の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図12は主として第4制御部17によって行われる処理を、図13は主としてデータ処理部18によって行われる処理を示している。図12に示すように、第4制御部17は、検知センサ36cから検知信号SG3を入力するまで待機し(ステップS80)、検知信号SG3を検出すると(ステップS80でYES)、その検知信号SG3を検出した検出タイミングT30をメモリ12などに保存しておく(ステップS81)。続いて第4制御部17は、検知センサ36dから検知信号SG4を入力するまで待機し(ステップS82)、検知信号SG4を検出すると(ステップS82でYES)、タイマ17aのカウント動作を開始する(ステップS83)。このときタイマ17aのカウントアップ値は、転写材9が定常速度Vで搬送された場合に転写材9上の画像形成すべき基準位置が位置P41(図3参照)に到達するのに要する時間に設定される。そして第4制御部17は、タイマ17aのカウント値がカウントアップ値に達するまでカウント動作を継続させる(ステップS84)。
一方、第4制御部17は、検知信号SG4を検出すると(ステップS82でYES)、上述のステップS83,S84と並行して、ステップS90〜S94の処理を行う。すなわち、検知信号SG3を検出した検出タイミングT30と、検知信号SG4を検出した検出タイミングT40とから転写材9が第3画像形成部30cを通過するのに要した通過時間T34を算出する(ステップS90)。例えば、通過時間T34=T40−T30である。そして第4制御部17は、算出した通過時間T34をデータ処理部18に出力する(ステップS91)。これにより、データ処理部18による処理が開始され、データデータ処理部18において補正演算が行われる(ステップS92)。
図13は、データ処理部18による補正演算処理(ステップS92)の詳細を示すフローチャートである。データ処理部18は、第4制御部17から転写材9の通過時間T34を入力すると(ステップS100)、メモリ12から通過時間T34に関する理論値(すなわち、転写材9が定常速度Vで搬送される場合の通過時間)を取得し(ステップS101)、通過時間T34とその理論値とのずれ量ΔT3を算出する(ステップS102)。そしてデータ処理部18は、ずれ量ΔT1とずれ量ΔT2とずれ量ΔT3とに基づいてタイマ17aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成する(ステップS103)。例えば、転写材9が第1画像形成部30aを通過する際にずれ量ΔT1が検出され、第2画像形成部30b及び第3画像形成部30cを通過する際のずれ量ΔT2及びΔT3がほぼ0であったとすると、1色目のトナー像と2色目のトナー像と3色目のトナー像はそれぞれ転写材9の基準位置に対してΔX1ずれた位置に転写されていることになるため、データ処理部18は、4色目のトナー像をそのΔX1ずれた位置に転写させるべく、タイマ17aの最終的なカウントアップ値を補正するためのデータを生成する。そしてデータ処理部18は、そのカウント補正データを第4制御部17に対して出力する(ステップS104)。
図12に戻り、第4制御部17は、データ処理部18において上述の補正演算処理が行われた結果、データ処理部18からカウント補正データを取得する(ステップS93)。そして第4制御部17は、カウント補正データに基づいてタイマ17aのカウントアップ値を補正する(ステップS94)。これにより、ステップS84で継続されているタイマ17aのカウントアップ値が補正されることとなり、第4制御部17は、タイマ17aのカウント値が補正されたカウントアップ値に達するまでカウント動作を継続させる(ステップS84)。そしてタイマ17aのカウント値が補正されたカウントアップ値に達すると、第4制御部17は第4画像形成部30dの画像書き込み部32に対して画像の書き込み開始を指示する(ステップS85)。これにより、第4画像形成部30dの画像書き込み部32は、画像データに基づいて一定速度で回転する感光体31の表面に4色目の画像の書き込みを開始する。感光体31に書き込まれた画像は画像書き込み位置Pdから転写位置P42に回転するまでの所定位置でトナー像となり、そのトナー像は転写位置P42で転写材9に転写される。このとき、例えば1色目のトナー像、2色目のトナー像及び3色目のトナー像が共に転写材9の基準位置に対してΔX1ずれた位置に転写されているとすると、4色目のトナー像もまたそのずれた位置に合わせて転写されるようになる。そして第4制御部17は、4色目の画像データに基づく画像の書き込み動作が終了すると(ステップS56)、第4画像形成部30dにおける画像の書き込み制御を終了する。
以上のような処理を行うことにより、各画像形成部30a,30b,30c,30dにおいて検知センサ36が転写材9の先端9aを検知した後に転写材9の搬送速度が変化した場合であっても、各色の画像の位置ずれを低減することができる。例えば、第1画像形成部30aにおいて検知センサ36aが転写材9の先端9aを検知した後、転写材9の搬送速度が変化して転写材9が転写位置P12に到達する時間が所定時間よりも遅延し、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dではそのような遅延がなかったとした場合でも、上述した制御を行うことにより、転写材9上に転写される各色の画像の位置は図14に示すように一致させることができるようになる。すなわち、この場合は、第1画像形成部30aで転写される1色目の画像G1は転写材9が遅延したことにより転写材9上の画像形成すべき基準位置に対してずれΔX1だけ外れた位置に転写されるが、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dで転写される2色目〜4色目の画像G2,G3,G4を1色目の画像G1に合わせて転写させることができるため、各画像同士の位置ずれ(色ずれ)を低減することができる。
以上のように本実施形態では、第1〜第4画像形成部30a,30b,30c,30dのうちの一の画像形成部を通過する転写材9の通過時間に基づいてその画像形成部において転写されたトナー像の位置ずれを把握し、それよりも下流側に配置された画像形成部ではその位置ずれに応じて感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整しているので、下流側で転写材9に転写されるトナー像の位置を上流側でずれたトナー像の位置に一致させることができるようになっている。
また本実施形態において上述したように感光体31への画像の書き込み開始タイミングの調整を行う際には、それに伴って現像部34の起動タイミングを調整することが好ましい。すなわち、現像部34の寿命はトナー供給部38の走行距離によって定まるため、感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整することに伴って、現像部34の起動タイミングを調整することにより、現像部34を効率的に稼働させることができるので、現像部34の長寿命化を図ることができる。
尚、上記においては、第1画像形成部30aにおいて転写材9が転写位置P12に到達する時間が所定時間よりも遅延し、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dではそのような遅延がなかったとした場合を例示したが、例えば、第1画像形成部30aでは転写材9の遅延が生じず、第2画像形成部30bで転写材9の遅延が生じる場合もある。このような場合には、1色目のトナー像は転写材9上の基準位置に転写されるのに対し、2色目のトナー像は基準位置に対してΔX2の位置ずれが発生する。したがって、このような場合には、第2画像形成部30bよりも下流側に位置する第3画像形成部30c及び第4の画像書き込み開始タイミングを調整する際に、1色目のトナー像が転写された位置と2色目のトナー像が転写された位置の中間位置を狙って3色目及び4色目のトナー像を転写させるように調整することもできる。図15はこの場合において転写材9上に転写される各色の画像の位置を示す図である。図15に示すように2色目以降で位置ずれが発生した場合には、それよりも下流側で転写される画像G3,G4を上流側で転写された複数の画像G1,G2の中間位置に転写することにより、色ずれが目立つことを抑制することができるようになる。
(第2の実施の形態)
上述した第1の実施の形態では、第1画像形成部30aにおける転写材9の通過時間T12に基づいて第2画像形成部30bにおける画像書き込みタイミングを調整しているが、第2画像形成部30bの画像書き込みタイミングを調整する際には第2画像形成部30bを通過する転写材9の通過時間については考慮していない。また第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dの画像書き込みタイミングを調整する場合についても同様である。そのため、転写材9が第1画像形成部30aを通過する通過時間T12にずれ量ΔT1が発生し、第2画像形成部30bを通過する通過時間T23にずれ量ΔT2が発生し、第3画像形成部30cを通過する通過時間T34にずれ量ΔT3が発生し、第4画像形成部30dを通過する通過時間T45にずれ量ΔT4が発生する場合、第1の実施の形態で説明した制御を適用した場合であっても、転写材9に転写される各画像にはそれぞれのずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4に応じた位置ずれが発生する。図16は、この位置ずれを示す図であり、1色目の画像G1はずれ量ΔT1により転写材9の基準位置からΔX1ずれた位置に転写され、2色目の画像G2はずれ量ΔT2により1色目の画像G1が転写された位置からΔX2ずれた位置に転写され、3色目の画像G3はずれ量ΔT3により2色目の画像G2が転写された位置からΔX3ずれた位置に転写され、4色目の画像G4はずれ量ΔT4により3色目の画像G3が転写された位置からΔX4ずれた位置に転写される。
本実施形態では、図16のような位置ずれを低減するための制御方法について説明する。尚、本実施形態においても画像形成装置1の構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。第1〜第4画像形成部30a,30b,30c,30dのそれぞれは、使用するトナーの色以外は同じ構成であるため、各画像形成部30a,30b,30c,30dを通過する転写材9の通過時間に理論値とのずれ量を発生する場合、それぞれのずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4に一定の相関関係が成立する場合がある。例えば、ΔT2=k1×ΔT1(ただし、k1は定数)の関係が成立する場合、ずれ量ΔT2とΔT1との相関が高いと言え、この場合、検知センサ36a,36bの出力に基づいて実際に計測して算出されるずれ量ΔT1からずれ量ΔT2を推定することが可能である。同様に、ΔT3=k2×ΔT1(又はΔT3=k2×ΔT2)(ただし、k2は定数)の関係が成立する場合、ずれ量ΔT3とΔT1(又はΔT2)との相関が高いと言え、この場合、実際に計測して算出されるずれ量ΔT1(又はΔT2)からずれ量ΔT3を推定することが可能である。さらに、ΔT4=k3×ΔT1(又はΔT4=k3×ΔT3)(ただし、k3は定数)の関係が成立する場合、ずれ量ΔT4とΔT1(又はΔT3)との相関が高いと言え、この場合、実際に計測して算出されるずれ量ΔT1(又はΔT3)からずれ量ΔT4を推定することが可能である。
そこで本実施形態では、第1〜第4画像形成部30a,30b,30c,30dのそれぞれを通過する転写材9の通過時間のずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4同士の相関が高い場合には、上流側の画像形成部を転写材9が通過した通過時間のずれ量から下流側の画像形成部を転写材9が通過する通過時間のずれ量を推定し、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dのそれぞれにおいて画像の書き込み開始タイミングを調整する際に、その推定したずれ量に基づいてタイマ15a,16a,17aのカウントアップ値を補正するように構成される。
例えば第2制御部15におけるタイマ15aのカウントアップ値を補正する際、データ処理部18は、第1画像形成部30aを転写材9が通過した通過時間T12に基づいて、転写材9が定常速度Vで搬送された場合の理想的な通過時間とのずれ量ΔT1を算出し、そのずれ量ΔT1を例えば上記演算式に代入して演算を行うことにより、第2画像形成部30bにおける転写材9の通過時間T23のずれ量ΔT2を推定する。そしてデータ処理部18は、第1画像形成部30aにおいて実際に発生したずれ量ΔT1と、演算によって推定したずれ量ΔT2に基づいて第2制御部15におけるタイマ15aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを算出する。そして第2制御部15はこのカウント補正データに基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正することにより、第2画像形成部30bにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整し、第2画像形成部30aにおいて転写材9に転写される2色目のトナー像を1色目のトナー像が転写された位置に合致させる。
また第3制御部16におけるタイマ16aのカウントアップ値を補正する際、データ処理部18は、第2画像形成部30bを転写材9が通過した通過時間T23に基づいて、転写材9が定常速度Vで搬送された場合の理想的な通過時間とのずれ量ΔT2を算出する。また第1画像形成部30aで発生したずれ量ΔT1を上記演算式に代入して演算を行うことにより、第3画像形成部30cにおける転写材9の通過時間T34のずれ量ΔT3を推定する。そしてデータ処理部18は、第1画像形成部30a及び第2画像形成部30bにおいて実際に発生したずれ量ΔT1及びΔT2と、演算によって推定したずれ量ΔT3に基づいて第3制御部16におけるタイマ16aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを算出し、第3画像形成部30cにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整する。
さらに第4制御部17におけるタイマ17aのカウントアップ値を補正する際、データ処理部18は、第3画像形成部30cを転写材9が通過した通過時間T34に基づいて、転写材9が定常速度Vで搬送された場合の理想的な通過時間とのずれ量ΔT3を算出する。また第1画像形成部30aで発生したずれ量ΔT1を上記演算式に代入して演算を行うことにより、第4画像形成部30dにおける転写材9の通過時間T45のずれ量ΔT4を推定する。そしてデータ処理部18は、第1画像形成部30a、第2画像形成部30b及び第3画像形成部30cにおいて実際に発生したずれ量ΔT1,ΔT2及びΔT3と、演算によって推定したずれ量ΔT4に基づいて第4制御部17におけるタイマ17aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを算出し、第4画像形成部30dにおける感光体31への画像の書き込み開始タイミングを調整する。
尚、ずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4同士の相関が高いかどうかは、画像形成装置1に対して予め設定されるものとし、「相関が高い」と設定される場合にはそれに伴い、上述の定数k1,k2,k3が予めメモリ12に格納される。また相関が高いかどうかの設定および定数k1,k2,k3の設定値はユーザによって自由に設定変更が可能な構成とすることが好ましい。
図17は、本実施形態においてデータ処理部18で行われる補正演算処理の詳細を示すフローチャートである。尚、この処理は、第1の実施の形態で説明した図8のフローチャートのステップS32の処理に相当し、第2画像形成部30bに対する画像書き込み制御の処理手順の一例を示している。データ処理部18は、第2制御部15から転写材9の通過時間T12を入力すると(ステップS110)、メモリ12から通過時間T12に関する理論値(すなわち、転写材9が定常速度Vで搬送される場合の通過時間)を取得し(ステップS111)、通過時間T12とその理論値とのずれ量ΔT1を算出する(ステップS112)。そしてデータ処理部18は、ずれ量ΔT1とずれ量ΔT2の相関が高いか否かを判定する(ステップS113)。ここで「相関が高い」と設定されている場合には、YESと判定され、メモリ12から演算式を読み出して演算を行うことにより、ずれ量ΔT1からずれ量ΔT2を推定し(ステップS114)、実際に計測して算出したずれ量ΔT1と、相関関係に基づいて推定したずれ量ΔT2とに基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成する(ステップS115)。例えば、ずれ量ΔT1が検出されているとすると、図5に示したように1色目のトナー像は転写材9の基準位置に対してΔX1ずれた位置に転写されていることになるため、データ処理部18は、第2画像形成部30bにおける転写材9の遅延や早着を考慮して2色目のトナー像をΔX1ずれた位置に転写させるべく、タイマ15aの最終的なカウントアップ値を補正するためのデータを生成するのである。
一方、ステップS113で「相関が高い」と設定されていない場合、データ処理部18はNOと判定する。この場合、ずれ量ΔT1から第2画像形成部30bにおけるずれ量ΔT2を推定することはできないため、データ処理部18は、第2画像形成部30bにおけるずれ量ΔT2を0と仮定し(ステップS116)、実際に計測して算出したずれ量ΔT1に基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成する(ステップS117)。したがって、この場合は、第1の実施の形態と同様の制御が行われることになる。
そしてデータ処理部18は、上記のようにして生成したカウント補正データを第2制御部15に対して出力する(ステップS118)。この結果、第2制御部15は、タイマ15aのカウントアップ値を補正してカウント動作を行うこととなり、第2画像形成部30bにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。そしてずれ量の相関が高い場合には、第2画像形成部30bにおける転写材9の遅延や早着による2色目のトナー像の位置ずれを低減することができる。
また第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dに対する画像書き込み制御についても図17と同様の処理手順を行うことにより、ずれ量の相関が高い場合には、第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dのそれぞれにおける転写材9の遅延や早着による3色目及び4色目のトナー像の位置ずれを低減することができる。
したがって、本実施形態では、転写材9に転写される各画像には、図16のようにずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4に応じた位置ずれは発生せず、図14に示したように最上流の画像形成部30aで転写された位置に各画像を一致させることができるようになる。
上記においては、ずれ量を推定する際の演算式における定数k1,k2,k3を予めメモリ12に格納しておく場合を例示したが、画像形成装置1において実際に計測して算出されるずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3をメモリ12に蓄積していき、ユーザの使用状態などに応じて最適な定数k1,k2を逐次算出するように構成しても良い。図18は、メモリ12に格納される蓄積データ12aの一例を示す図である。図18に示すように、例えば画像形成装置1において印刷ジョブが実行される都度、ずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3に関するデータを蓄積して最新のn個(ただし、nは自然数)のデータを保持し、データ処理部18がそのn個のデータに基づいて定数k1,k2の値を補正するように構成すれば、実際の使用環境などに応じた最適な定数k1及びk2を決定することができる。本実施形態の場合には、第4画像形成部30dにおける実際のずれ量ΔT4は算出されないので、定数k3を最適な値に決定することはできないが、少なくとも定数k1,k2については最適な値を決定することができる。
また上記においては、ずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4同士の相関が高いかどうかを画像形成装置1に予め設定しておく場合を例示したが、図18に示したように蓄積データ12aをメモリ12に格納することにより、ずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3同士の関係についてはその蓄積データ12aから相関が高いか否かを判定することができるようになる。したがって、データ処理部18は、図17のフローチャートにおけるステップS113の判定を行う際、メモリ12に格納された蓄積データ12aを解析することによって相関が高いか否かを判定するように構成しても良い。
尚、本実施形態においても感光体31への画像の書き込み開始タイミングの調整を行う際には、それに伴って現像部34の起動タイミングを調整することが好ましい。
(第3の実施の形態)
本実施形態は、上述した第2の実施の形態の更なる改良に関するものであり、上流側の画像形成部を転写材9が通過した通過時間のずれ量から下流側の画像形成部を転写材9が通過する通過時間のずれ量を推定する際、より正確にずれ量を推定することができる構成例について説明する。
転写材9が各画像形成部30a,30b,30c,30dを通過するのに要する通過時間は、転写材9の種類(例えば普通紙、薄紙、厚紙など)に応じて変化し、そのずれ量も転写材9の種類に応じて変化する。そこで本実施形態では、例えば第1画像形成部30aにおけるずれ量ΔT1に基づいて第2画像形成部30bにおけるずれ量ΔT2を推定する際に用いる演算式を転写材9の種類に応じて用意しておき、メモリ12に格納しておく。一例を挙げると、転写材9が普通紙の場合の演算式をΔT2=ka1×ΔT1(ただし、ka1は定数)とし、薄紙の場合の演算式をΔT2=kb1×ΔT1(ただし、kb1は定数)とし、厚紙の場合の演算式をΔT2=kc1×ΔT1(ただし、kc1は定数)としてメモリ12に格納する。また、第3画像形成部30cにおけるずれ量ΔT3を推定する際に用いる演算式、および第4画像形成部30dにおけるずれ量ΔT4を推定する際に用いる演算式についても同様、転写材9の種類に応じて用意しておき、メモリ12に格納しておく。尚、ここではA4サイズやA3サイズなど、転写材9のサイズも転写材9の種類に含まれる。
データ処理部18は、上流側の画像形成部を転写材9が通過した通過時間のずれ量から下流側の画像形成部を転写材9が通過する通過時間のずれ量を推定する際、印刷ジョブ実行時にユーザによって指定された転写材9の種類に応じてメモリ12から演算式を読み出し、転写材9の種類に適合した演算を行うことにより、ずれ量の推定値をより正確なものとする。そしてデータ処理部18は、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dのそれぞれにおける画像の書き込み開始タイミングを調整する際、その推定したずれ量に基づいてタイマ15a,16a,17aのカウントアップ値を補正するように構成される。
図19は、本実施形態においてデータ処理部18で行われる補正演算処理の詳細を示すフローチャートである。尚、この処理は、第1の実施の形態で説明した図8のフローチャートのステップS32の処理に相当し、第2画像形成部30bに対する画像書き込み制御の処理手順の一例を示している。データ処理部18は、第2制御部15から転写材9の通過時間T12を入力すると(ステップS120)、メモリ12から通過時間T12に関する理論値(すなわち、転写材9が定常速度Vで搬送される場合の通過時間)を取得し(ステップS121)、通過時間T12とその理論値とのずれ量ΔT1を算出する(ステップS122)。そしてデータ処理部18は、ユーザによって指定された転写材9の種類を判定し(ステップS123)、その転写材9の種類に応じた演算式をメモリ12から取得する(ステップS124)。そして取得した演算式に基づいて演算を行うことにより、実際に計測して算出されたずれ量ΔT1から転写材9の種類に応じたずれ量ΔT2を推定する(ステップS125)。そしてデータ処理部18は、計測して算出したずれ量ΔT1と、転写材9の種類に応じて推定したずれ量ΔT2とに基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成し(ステップS126)、そのカウント補正データを第2制御部15に対して出力する(ステップS127)。この結果、第2制御部15は、タイマ15aのカウントアップ値を補正してカウント動作を行うこととなり、第2画像形成部30bにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。そして第2画像形成部30bを通過する転写材9の種類に応じた転写材9の遅延や早着による2色目のトナー像の位置ずれを低減することができる。
また第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dに対する画像書き込み制御についても図19と同様の処理手順を行うことにより、第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dのそれぞれにおいて転写材9の種類に応じた転写材9の遅延や早着による3色目及び4色目のトナー像の位置ずれを低減することができる。
以上のように本実施形態では、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dにおける画像の書き込み開始タイミングを調整する際、転写材9の種類に応じた調整を行うので、より正確な調整が可能である。
尚、本実施形態においても画像形成装置1において実際に計測して算出されるずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3を転写材9の種類ごとにメモリ12に蓄積していき、その蓄積したデータから各演算式における最適な定数ka1,kb1,kc1などを逐次算出するように構成しても良い。
また本実施形態においても感光体31への画像の書き込み開始タイミングの調整を行う際には、それに伴って現像部34の起動タイミングを調整することが好ましい。
(第4の実施の形態)
本実施形態は、上述した第2の実施の形態および第3の実施の形態の更なる改良に関するものであり、上流側の画像形成部を転写材9が通過した通過時間のずれ量から下流側の画像形成部を転写材9が通過する通過時間のずれ量を推定する際、より正確にずれ量を推定することができる構成例について説明する。
図20は、本実施形態における画像形成装置1の全体的な一構成例を示す概略図である。尚、図20において図1と同一の構成部材には同一符号を付している。この画像形成装置1は装置内部に温度を計測する温度センサ21と、湿度を計測する湿度センサ22とを備えており、これら温度センサ21及び湿度センサ22の出力はコントローラ10に与えられる。
転写材9が各画像形成部30a,30b,30c,30dを通過するのに要する通過時間は、温度又は湿度に応じて変化し、そのずれ量も温度又は湿度に応じて変化する。そこで本実施形態では、例えば第1画像形成部30aにおけるずれ量ΔT1に基づいて第2画像形成部30bにおけるずれ量ΔT2を推定する際に用いる演算式を、温度センサ21によって測定される温度及び湿度センサ22によって測定される湿度に応じた関数として用意しておき、メモリ12に格納しておく。一例を挙げると、演算式をΔT2=k(Temp,Hum)×ΔT1(ただし、k(Temp,Hum)は温度と湿度の関数であり、Tempは温度センサ21が測定した温度、Humは湿度センサ22が測定した湿度である。)としてメモリ12に格納する。また、第3画像形成部30cにおけるずれ量ΔT3を推定する際に用いる演算式、および、第4画像形成部30dにおけるずれ量ΔT4を推定する際に用いる演算式についても同様であり、温度センサ21によって測定される温度及び湿度センサ22によって測定される湿度に応じた関数としてメモリ12に格納しておく。
データ処理部18は、上流側の画像形成部を転写材9が通過した通過時間のずれ量から下流側の画像形成部を転写材9が通過する通過時間のずれ量を推定する際、温度センサ21から温度を読み出すと共に、湿度センサ22から湿度を読み出し、メモリ12から取得した演算式にそれらの温度と湿度を代入して演算を行うことにより、ずれ量の推定値を温度及び湿度に応じたより正確な値とすることができる。そしてデータ処理部18は、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dのそれぞれにおける画像の書き込み開始タイミングを調整する際、その推定したずれ量に基づいてタイマ15a,16a,17aのカウントアップ値を補正するように構成される。
図21は、本実施形態においてデータ処理部18で行われる補正演算処理の詳細を示すフローチャートである。尚、この処理は、第1の実施の形態で説明した図8のフローチャートのステップS32の処理に相当し、第2画像形成部30bに対する画像書き込み制御の処理手順の一例を示している。データ処理部18は、第2制御部15から転写材9の通過時間T12を入力すると(ステップS130)、メモリ12から通過時間T12に関する理論値(すなわち、転写材9が定常速度Vで搬送される場合の通過時間)を取得し(ステップS131)、通過時間T12とその理論値とのずれ量ΔT1を算出する(ステップS132)。そしてデータ処理部18は、温度センサ21から温度を読み出し(ステップS133)、湿度センサ22から湿度を読み出す(ステップS134)。そして温度及び湿度に応じた演算式を決定し(ステップS135)、その演算式に基づいて演算を行うことにより、実際に計測して算出されたずれ量ΔT1から温度及び湿度に応じたずれ量ΔT2を推定する(ステップS136)。そしてデータ処理部18は、計測して算出したずれ量ΔT1と、温度及び湿度に応じて推定したずれ量ΔT2とに基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成し(ステップS137)、そのカウント補正データを第2制御部15に対して出力する(ステップS138)。この結果、第2制御部15は、タイマ15aのカウントアップ値を補正してカウント動作を行うこととなり、第2画像形成部30bにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。そして第2画像形成部30bを通過する転写材9の遅延や早着による2色目のトナー像の位置ずれを低減することができる。
また第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dに対する画像書き込み制御についても図21と同様の処理手順を行うことにより、第3画像形成部30c及び第4画像形成部30dのそれぞれにおいて温度や湿度に応じた転写材9の遅延や早着による3色目及び4色目のトナー像の位置ずれを低減することができる。
以上のように本実施形態では、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dにおける画像の書き込み開始タイミングを調整する際、温度センサ21が検知する温度及び湿度センサ22が検知する湿度に応じた調整を行うので、より正確な調整が可能である。尚、本実施形態では、温度センサ21が検知する温度と湿度センサ22が検知する湿度の双方に基づいて第2〜第4画像形成部30b,30c,30dのそれぞれにおける画像の書き込み開始タイミングを調整する場合について例示したが、これに限定するものではなく、温度センサ21が検知する温度と湿度センサ22が検知する湿度のいずれか一方に基づいてタイミング調整を行う場合であっても正確な調整が可能である。
尚、本実施形態においても画像形成装置1において実際に計測して算出されるずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3を温度又は湿度に応じてメモリ12に蓄積していき、その蓄積したデータから演算式における最適な関数k(Temp,Hum)を逐次設定するように構成しても良い。
また本実施形態においても感光体31への画像の書き込み開始タイミングの調整を行う際には、それに伴って現像部34の起動タイミングを調整することが好ましい。また第3の実施の形態で説明したように、本実施形態においても更に転写材9の種類に応じた調整を行うように構成することが好ましい。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。図22は、本実施形態におけるカラー画像形成部3及びコントローラ10の詳細な構成例を示す図である。尚、図例では説明の便宜上、構成を簡略化しており、複数の画像形成部30a,30b,30c,30dが水平に一列に並んだ状態を示している。また図22では、第1の実施の形態で説明した部材と同様の部材について同一符号を付している。
本実施形態の画像形成装置1が第1の実施の形態で説明した画像形成装置と異なる点は、次の2つである。まず第1に、転写材9の先端9aを検知する検知センサ36が第1画像形成部30aと第2画像形成部30bの2箇所にしか設けられていない点である。第2に、転写材9の搬送路6において第4画像形成部30dの下流側に転写材9の所定位置に転写された画像を読み取る画像読取部25を備えている点である。
2つの検知センサ36のうち、検知センサ36aは搬送路6の最上流に位置する第1画像形成部30aの転写位置P12(図3参照)の上流側に配置され、検知センサ36bはその転写位置P12の下流側に配置されている。したがって、本実施形態では、第2〜第4制御部15,16,17において画像書き込み開始タイミングをカウントするタイマ15a,16a,17aが作動するタイミングは、検知センサ36a及び36bのいずれか一方で転写材9の先端9aが検知されたタイミングである。
また本実施形態では、転写材9が各画像形成部30a,30b,30c,30dを通過する際の通過時間のずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4のうち、実際に計測して算出可能なずれ量はΔT1のみである。そのため、メモリ12には、ずれ量ΔT1から他のずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4のそれぞれを算出するための初期的な演算式が予め格納される。この演算式は、例えば画像形成装置30aの特性や代表的な転写材9の特性などにより決定される。
図23は、本実施形態において画像の位置ずれを補正するための各制御部14,15,16,17による画像書き込み制御を示すタイミングチャートである。尚、図23では、検知センサ36bの検知信号SG2に応答して第2〜第4制御部15,16,17のタイマ15a,16a,17aが作動する場合を例示している。図23に示すように、第1制御部14は、検知信号SG1を検知したタイミングT10でタイマ14aを作動させ、転写材9上の画像形成すべき基準位置が第1画像形成部30aの転写位置P12に到達するタイミングT11で画像書き込み部32による感光体31への画像書き込みを指示する。これにより第1画像形成部30aの画像書き込み部32は画像データに基づいて感光体31への1色目の画像の書き込みを開始する。第2制御部15は、検知センサ36bの検知信号SG2を検知したタイミングT20でタイマ15aを作動させ、予め定められたカウントアップ値(時間)になるまでのカウント動作を開始する。また第3制御部16及び第4制御部17も、検知センサ36bの検知信号SG2を検知したタイミングT20でタイマ16a及び17aを作動させ、予め定められたカウントアップ値(時間)になるまでのカウント動作を開始する。そしてこれと並行して、データ処理部18は、第2制御部15が検知センサ36bの検知信号SG2を検知したことに応答して補正演算を行い、その補正演算の結果に基づいてタイマ15a,16a及び17aのそれぞれのカウントアップ値を補正する。これにより、タイマ15a,16a及び17aにおけるそれぞれのカウント動作が延長又は短縮され、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。
図24は、本実施形態においてデータ処理部18で行われる補正演算処理の詳細を示すフローチャートである。尚、この処理は、第1の実施の形態で説明した図8のフローチャートのステップS32の処理に相当する。データ処理部18は、第2制御部15から転写材9の通過時間T12を入力すると(ステップS140)、メモリ12から通過時間T12に関する理論値(すなわち、転写材9が定常速度Vで搬送される場合の通過時間)を取得し(ステップS141)、通過時間T12とその理論値とのずれ量ΔT1を算出する(ステップS142)。そしてデータ処理部18は、メモリ12からずれ量ΔT2を推定するための初期的な演算式を読み出し、その演算式に基づいて演算を行うことにより、実際に計測して算出されたずれ量ΔT1からずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4を推定する(ステップS143)。そしてデータ処理部18は、計測して算出したずれ量ΔT1と、推定したずれ量ΔT2とに基づいてタイマ15aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成し(ステップS144)、そのカウント補正データを第2制御部15に対して出力する(ステップS145)。またデータ処理部18は、計測して算出したずれ量ΔT1と、推定したずれ量ΔT2及びΔT3に基づいてタイマ16aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成し(ステップS146)、そのカウント補正データを第3制御部16に対して出力する(ステップS147)。さらにデータ処理部18は、計測して算出したずれ量ΔT1と、推定したずれ量ΔT2,ΔT3及びΔT4に基づいてタイマ17aのカウントアップ値を補正するためのカウント補正データを生成し(ステップS148)、そのカウント補正データを第4制御部17に対して出力する(ステップS149)。この結果、第2〜第4制御部15,16,17はそれぞれのタイマ15a,16a,17aのカウントアップ値を補正してカウント動作を行うこととなり、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dにおける画像の書き込み開始タイミングが調整される。そして第2〜第4画像形成部30b,30c,30dのそれぞれを通過する転写材9の遅延や早着による2色目〜4色目のトナー像の位置ずれを低減することができる。
ところが、本実施形態の場合、ずれ量ΔT1からずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4を推定する際に使用する演算式を初期的な演算式のままで使用していると、ユーザの使用する転写材の種類や、画像形成装置1における各部の経年変化などにより、ずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4の推定値の誤差が次第に大きくなっていく可能性がある。
そこで本実施形態では、ずれ量ΔT1からずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4を推定するための演算式を適宜更新するために、通常の印刷ジョブとは別に実行される位置調整モードを備えており、ユーザが画像形成装置1を位置調整モードで実行することにより、データ処理部18がメモリ12の演算式を書き換えるように構成される。
位置調整モードでは、第1〜第4画像形成部30a,30b,30c,30dのそれぞれにおいてユーザが実際に使用する転写材9に対してそれぞれの基準位置に調整パターンを転写する。図25は、位置調整モードで転写材9に転写される調整パターンの一例を示す図である。例えば第1画像形成部30aでは、転写材9の先端9aから所定の距離に設定された第1基準位置Pyに対して転写材9の副走査方向(搬送方向と直角の方向)に直線状の第1調整パターンGyを転写する。第2画像形成部30bでは、転写材9の先端9a(又は第1基準位置Py)から所定の距離に設定された第2基準位置Pmに対して転写材9の副走査方向に直線状の第2調整パターンGmを転写する。また第3画像形成部30cでは、転写材9の先端9a(又は第2基準位置Pm)から所定の距離に設定された第3基準位置Pcに対して転写材9の副走査方向に直線状の第3調整パターンGcを転写する。さらに第4画像形成部30dでは、転写材9の先端9a(又は第3基準位置Pc)から所定の距離に設定された第4基準位置Pkに対して転写材9の副走査方向に直線状の第4調整パターンGkを転写する。
そして第4画像形成部30dの下流側に設置された画像読取部25が各画像形成部30a,30b,30c,30dによって転写材9に転写された各調整パターンGy,Gm,Gc,Gkを読み取る。そしてデータ処理部18が、画像読取部25によって読み取られた各調整パターンGy,Gm,Gc,Gkと、各基準位置Py,Pm,Pc,Pkとのずれ量を算出し、そのずれ量に基づいて、ずれ量ΔT1からずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4を推定するための演算式を最適な演算式に修正し、メモリ12の演算式を書き換える。
したがって、画像形成装置1において上記のような位置調整モードによる演算式の修正を定期的に実行することにより、ユーザの使用する転写材の種類や、画像形成装置1における各部の経年変化などの影響による誤差を小さくすることができ、実際に計測して算出されるずれ量ΔT1からずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4を正確に推定することができるようになる。
尚、本実施形態においても感光体31への画像の書き込み開始タイミングの調整を行う際には、それに伴って現像部34の起動タイミングを調整することが好ましい。また本実施形態においても、温度や湿度或いは転写材9の種類に応じて最適な演算式を選択するように構成することがより好ましい。
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。図26は、本実施形態におけるカラー画像形成部3及びコントローラ10の詳細な構成例を示す図である。尚、図例では説明の便宜上、構成を簡略化しており、複数の画像形成部30a,30b,30c,30dが水平に一列に並んだ状態を示している。また図26では、第1の実施の形態で説明した部材と同様の部材について同一符号を付している。
本実施形態の画像形成装置1が第1の実施の形態で説明した画像形成装置と異なる点は、第4画像形成部30dにおける感光体31と転写ローラ35の間の転写位置よりも更に下流側に転写材9の先端9aを検知する検知センサ36eを備えている点である。
したがって、本実施形態では、搬送路6の最下流にある第4画像形成部30dを転写材9が通過する際の通過時間のずれ量ΔT4を実際に計測して算出することが可能である。それ故、画像形成装置1において実際に計測して算出されるずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4の全てをメモリ12に蓄積していくことができる。図27は、本実施形態においてメモリ12に格納される蓄積データ12bの一例を示す図である。図27に示すように、例えば画像形成装置1において印刷ジョブが実行される都度、ずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4に関するデータを蓄積して最新のn個(ただし、nは自然数)のデータを保持しておく。そして第2の実施の形態で説明したずれ量を推定する際に用いる演算式の定数k1,k2,k3を、このn個のデータに基づいて補正するように構成すれば、実際の使用環境などに応じた最適な定数k1,k2及びk3を決定することができる。その結果、ずれ量ΔT1から他のずれ量ΔT2,ΔT3,ΔT4を推定する際の精度が向上し、第2〜第4画像形成部30b,30c,30dにおける画像の書き込み開始タイミングの調整を高精度に行うことができるようになる。
また図27に示したような蓄積データ12bをメモリ12に格納することにより、ずれ量ΔT1,ΔT2,ΔT3,ΔT4同士の相関が高いか否かをその蓄積データ12bに基づいて判定することができるようになる。したがって、データ処理部18は、各ずれ量の相関が高いか否かを判定する際、メモリ12に格納された蓄積データ12bを解析することによって判定を行うように構成することもできる。
尚、本実施形態においても感光体31への画像の書き込み開始タイミングの調整を行う際には、それに伴って現像部34の起動タイミングを調整することが好ましい。また本実施形態においても、温度や湿度或いは転写材9の種類に応じて最適な定数k1,k2及びk3を選択するように構成することがより好ましい。
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施の形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。
例えば、検知センサ36は、複数の画像形成部30a,30b,30c,30dのうち、少なくとも一の画像形成部におけるトナー像の転写位置の上流側と下流側とに配置されていれば良い。この場合、その一の画像形成部よりも下流側に設けられた画像形成部の画像の書き込み開始タイミングを適切に調整することができ、画像の位置ずれを低減することができる。したがって、例えば1色目のトナー像が色ずれの目立たない色であれば、2色目以降のトナー像の位置ずれを低減するように構成することもできる。
また上記実施形態においては、画像形成装置1の一例として、転写材9に対して複数色の画像を形成するカラープリンタ装置を例示したが、本発明はこれに限定するものではない。つまり、本発明における画像形成装置は、プリンタ専用装置に限定するものではなく、例えば複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと呼ばれる画像形成装置であっても構わない。