JP4831696B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
更に具体的に説明すると、筆記具の筒状に形成された軸筒は、先端近傍の部分が縮径された縮径部となっている。そして、軸筒の縮径部には、当該縮径部に応じた内径を有する筒状に形成されたグリップ部材が被嵌されるようになっている。
このようなグリップ部材の材質としては、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)及びNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等のゴム、あるいは、熱可塑性エラストマー等の柔軟な弾性体からなるものが一般的である。
ここで、弾性体でグリップ部材を形成すると、把持の際に把持力でグリップ部材が変形しても、弾性力により元の形状に戻ろうとするので、反発力を使用者に感じさせ、優れたフィット感を使用者に与えることができない。
一方、ゲル状感触を有するシリコーンゴムをグリップ部材の材質として採用すれば、シリコーンゴムは、外力で変形させられると、ゆっくりと元の形状に戻る塑性変形的な弾性変形をするので、グリップ部材を把持した際に、弾性変形による反発力をほとんど生じさせず、使用者の把持力で、使用者の指先の形状に倣って変形し、これにより、優れたフィット感を使用者に与えることができる。(例えば、特許文献1参照)。
ここで、ゲル状感触を有するシリコーンゴム製のグリップ部材では、使用者は、ほとんど反発力を感じることができず、単に弾性体を成形したグリップ部材では、フィット感が損なわれてしまい、前述の要望を実現できない。
なお、極めて柔らかい弾性体でグリップ部材を形成し、これにより、フィット感を損なうことなく、適度な反発力を使用者に感じさせるようにすることが考えられるが、このような柔らかい弾性体でグリップ部材を形成すると、グリップ部材の耐久性が著しく損なわれ、製品として成立しないため、前述の要望を実現することはできない。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(第1発明)
(特徴点)
本発明の第1発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、本発明の第1発明は、筒状に形成された軸筒(3)を備え、この軸筒(3)における使用者が把持しやすい位置に柔軟な弾性体からなる筒状のグリップ部材(10,10A,10B,10C)が嵌め込まれている筆記具(1)であって、前記グリップ部材(10,10A,10B,10C)は、当該グリップ部材(10,10A,10B,10C)の外側に設けられる筒状の外皮部(11)と、この外皮部(11)の内側に設けられるとともに、当該外皮部(11)よりも柔らかい材質からなる内皮部(12)とが一体的に形成されているものであることを特徴とする。
(特徴点)
本発明の第2発明は、前述した本発明の第1発明において、次の特徴点を付加したものである。
すなわち、本発明の第2発明は、前記外皮部(11)に肉厚の薄くなった薄肉部(11A) が部分的に形成され、前記内皮部(12)は、前記外皮部(11)の内側における少なくとも前記薄肉部(11A) の裏側に設けられていることを特徴とするものである。
(第3発明)
(特徴点)
本発明の第3発明は、前述した本発明の第2発明において、次の特徴点を付加したものである。
(第4発明)
(特徴点)
本発明の第4発明は、前述した本発明の第3発明において、次の特徴点を付加したものである。
(第5発明)
(特徴点)
本発明の第5発明は、前述した本発明の第4発明において、次の特徴点を付加したものである。
すなわち、本発明の第5発明は、前記グリップ部材(10,10A,10B,10C)における、前記軸筒(3)の中心軸に対する中心角を略三等分する三つの角度位置(α、β、γ)のうち、一の角度位置(α)に前記内皮部(12)が内部に設けられている前記膨出部(13)が形成され、他の角度位置(β、γ)には、前記内皮部(12)が内部に設けられている前記膨出部(13)が形成されていないことを特徴とする。
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、本発明における第1発明よれば、グリップ部材の外側に筒状の外皮部を設け、且つ、この外皮部の内側に柔らかい材質の内皮部を設けたので、適度に硬い外皮部で内皮部を覆うことにより、優れたフィット感を使用者に与えることができるほど、内皮部を柔らかくしても、内皮部の損傷や摩耗が未然に防止され、グリップ部材の耐久性を充分確保することができる。しかも、外皮部の厚さを充分に薄くすれば、外皮部を硬い弾性体で形成しても、内皮部の柔らかさが損なわれることがなくなる。従って、グリップ部材の耐久性を充分確保することができ、且つ、優れたフィット感を使用者に与えることができるようになり、以上により、前記目的が達成される。
本発明の第2発明によれば、上記した本発明の第1発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、本発明の第2発明によれば、前述したように、前記外皮部の内側における少なくとも前記薄肉部の裏側に、柔らかい材質の内皮部を設けたので、適度に硬い部材で外皮部を形成することにより、前述したように、内皮部を柔らかくしても、グリップ部材の耐久性を充分確保することができる。しかも、外皮部の肉厚を薄くしたので、グリップ部材の肉厚を拡張することなく、外皮部の肉厚を減らした分だけ、柔らかな内皮部の肉厚を増すことができ、これにより、内皮部の肉厚の確保が可能となり、その柔軟性を確実に発揮させることができ、この点からも、グリップ部材の耐久性、及び、優れたフィット感の両方を実現することができる。
本発明の第3発明によれば、上記した本発明の第2発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、本発明の第3発明によれば、グリップ部材の表面に外側へ膨らんだ膨出部(13)を設け、外皮部における膨出部に相当する部分に薄肉部を形成し、この薄肉部の内部に内皮部を形成したので、全体にわたってグリップ部材の肉厚を厚くすることが不可能であっても、膨出部に相当する部分の肉厚を厚くすれば、柔らかな内皮部の肉厚を増すことができ、これにより、内皮部の肉厚を充分確保することが可能となり、内皮部の柔軟性を確実に発揮させることができ、従って、グリップ部材の耐久性、及び、優れたフィット感の両方を実現することができる。
本発明の第4発明によれば、上記した本発明の第3発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、本発明の第4発明によれば、一部分がグリップ部材の少なくとも一方の端面に臨むように内皮部を形成したので、合成樹脂を金型で成形することで、グリップ部材を製造する際に、金型におけるグリップ部材の端面を成形する成形面に、内皮部を形成する合成樹脂を注入することができ、これにより、二種類の異なる合成樹脂を、順次、金型内に射出する二色射出成形法でグリップ部材を製造しても、外皮部の表面に内皮部が露出することがなく、従って、優れたフィット感を付与しつつ、グリップ部材の耐久性を確保することができる。
本発明の第5発明によれば、上記した本発明の第4発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、本発明の第5発明によれば、グリップ部材に膨出部を設けるにあたり、軸筒の中心軸に対する中心角を略三等分する三つの角度位置のうち、一の角度位置に対応する位置に膨出部を設け、残りの二つの角度位置には、膨出部を設けないこととしたので、三つの角度位置のうち、一の角度位置には、内皮部が配置された柔軟な部位が形成され、残り二つの角度位置には、外皮部を主体とした比較的硬い部位が形成される。
図1及び図2は、本実施形態を示すものである。図1は、本実施形態に係る筆記具を示す斜視図、図2は、本実施形態に係るグリップ部分を示す断面図である。
本実施形態に係る筆記具1は、図1に示すように、内蔵されたリフィル(図示略)が軸方向に移動可能に保持され、その後端部分に設けられた押しボタン2を押圧すると、内蔵されたリフィルのペン先(図示略)が内部から繰り出されるように形成されたノック式のボールペンである。
軸筒3は、使用者の衣服に設けられたポケットに差し込まれた際に、ポケットの布地を挟持するためのクリップ部材5が、その後端部分に一体化されたものとなっている。
このような軸筒3の後端部分の内部には、リフィルのペン先を突没させるために、図示しない引き込み機構が収納されている。引き込み機構は、押しボタン2の押圧操作により、リフィルのペン先が繰り出された後、再度、押しボタン2が押圧操作されるまで、この繰り出し状態を維持するものである。また、引き込み機構は、繰り出し状態において押しボタン2が押圧されると、リフィルのペン先を後退させて、軸筒3の内部に引き込ませる機能をも備えている。
一方、口先部材4は、その底面が開口され、その内周面4Aにネジ溝が螺旋状に形成され、これにより、当該内周面4Aが雌ネジ部となっている。そして、口先部材4は、軸筒3側の縮径部3Bに形成された雄ネジ部である先端部分3Cに、雌ネジ部である内周面4Aを螺合させることにより、当該軸筒3に取り付けられている。
このうち、外皮部11は、肉厚の薄くなった薄肉部11A と、肉厚の厚い厚肉部11B とが形成されたものとなっている。これにより、外皮部11は、肉厚の薄くなった薄肉部11A が部分的に形成されたものとなっている。
一方、内皮部12は、肉厚の厚い厚肉部12A が外皮部11の薄肉部11A に対応して形成されるとともに、肉厚の薄い薄肉部12B が外皮部11の薄肉部11A に対応して形成されたものとなっている。これにより、外皮部11の内側における少なくとも薄肉部11A の裏側には、内皮部12が設けられていることとなっている。
一方、内皮部12は、膨出部13に相当する外皮部11の薄肉部11A の内部に厚肉部12A が形成されたものとなっている。
また、内皮部12は、図2(B)に示すように、その両方の端部がそれぞれグリップ部材10の対応する端面に臨むように形成されている。
この際、グリップ部材10には、軸筒3の中心軸に対する中心角を略二等分する角度位置にそれぞれ配置される一対の膨出部13が形成されている。
そして、一対の膨出部13は、図2(A)に示すように、軸筒3の縮径部3Bを挟むように対向配置されている。
換言すると、グリップ部材10には、図2(A)の如く、軸筒3の中心軸に対する中心角を略三等分する三つの角度位置α、β、γのうち、一の角度位置αに、内皮部12の厚肉部12A が内部に設けられている膨出部13が形成され、他の角度位置β、γには、膨出部13が形成されておらず、角度位置β、γにおける外皮部11の内部には、内皮部12の厚肉部12A が設けられていない。これにより、三つの角度位置α、β、γのうち、一の角度位置αには、内皮部12の厚肉部12A が配置された柔軟な部位が形成され、残り二つの角度位置β、γには、外皮部11を主体とした比較的硬い部位が形成されている。
すなわち、グリップ部材10の外側に筒状の外皮部11を設け、且つ、この外皮部11の内側全体に柔らかい材質の内皮部12を設けたので、適度に硬い外皮部11で内皮部12を覆うことにより、優れたフィット感を使用者に与えることができるほど、内皮部12を柔らかくしても、内皮部12の損傷や摩耗が未然に防止され、グリップ部材10の耐久性を充分確保することができる。しかも、外皮部11の厚さを充分に薄くすれば、外皮部11を硬い弾性体で形成しても、内皮部12の柔らかさが損なわれることがなくなる。従って、グリップ部材10の耐久性を充分確保することができ、且つ、グリップ部材10により筆記具1に優れたフィット性を付与でき、優れたフィット感を使用者に与えることができる。
また、その端部がグリップ部材10の端面に臨むように内皮部12を形成したので、合成樹脂を金型で成形することで、グリップ部材10を製造する際に、金型におけるグリップ部材10の端面を成形する成形面に開口されるゲートから、内皮部12を形成する合成樹脂を注入することができ、これにより、二種類の異なる合成樹脂を、順次、金型内に射出する二色射出成形法でグリップ部材10を製造しても、外皮部11の表面に内皮部12が露出することによるグリップ部材10の耐久性の阻害が防止され、従って、優れたフィット感を付与しつつ、グリップ部材10の耐久性を確保することができる。
このため、筆記具1を把持する際に、グリップ部材10の二つの硬い部位にそれぞれ人差し指及び親指を当てるとともに、膨出部13が形成されている柔らかい部位を中指に載せれば、人差し指及び親指でグリップ部材10の比較的硬い部位を押さえることができ、これにより、筆記具1を確実に把持することができるようになる。そのうえ、中指のペンだこができやすい部分に、グリップ部材10の柔らかい部位が当たって、グリップ部材10の膨出部13が中指にフィットする形状に容易に変形するようになるので、この点からも、優れたフィット感を使用者に与えることができる。そして、筆記具1の確実な把持、及び、優れたフィット感の付与により、筆記を長時間の行っても、握り部が滑ったり、指が痛くなったりすることがなく、筆記による疲労を最低限に抑制することができる。
例えば、グリップ部材としては、軸筒3の縮径部3Bを挟むように対向配置されている一対の膨出部13が形成されたグリップ部材10に限らず、図3に示すように、一の膨出部13のみが形成されているグリップ部材10A でもよい。
このようなグリップ部材10A を採用した筆記具によっても、前記実施形態と同様の作用、効果を達成することができる。
さらに、グリップ部材としては、外皮部11の内側に全体的的に設けられた筒状の内皮部12を備えたグリップ部材10に限らず、図4及び図5に示すように、外皮部11の内側における少なくとも薄肉部11A の裏側にのみ設けられている、換言すると、膨出部13の内部にのみ設けられている内皮部12を備えたグリップ部材10B, 10Cでもよい。
このようなグリップ部材は、グリップ部材の端面に内皮部が達していないので、前記実施形態で説明した金型では製造することができない。そこで、グリップ部材の内側面を成形する成形面にゲートが開口された金型を採用し、このゲートから内皮部12を形成する合成樹脂を注入すれば、金型の構造が多少複雑になるが、膨出部13の内部にのみ内皮部12が設けられているグリップ部材でも射出成形で製造することができる。
また、筆記具としては、ノック式のボールペンに限らず、キャップ式のボールペンでもよく、さらには、シャープペンシル、サインペン及び万年筆等、他の種類の筆記具でもよく、本発明は、指で挟持されるための形態を備えた筆記具全般に適用できる。
3 軸筒
4 口先部材
10,10A,10B,10C グリップ部材
11 外皮部
11A 薄肉部
12 内皮部
13 膨出部
α、β、γ 角度位置
Claims (4)
- 筒状に形成された軸筒を備え、この軸筒における使用者が把持しやすい位置に柔軟な弾性体からなる筒状のグリップ部材が嵌め込まれている筆記具であって、
前記グリップ部材は、当該グリップ部材の外側に設けられる筒状の外皮部と、この外皮部の内側に設けられるとともに、当該外皮部よりも柔らかい材質からなる内皮部とが一体的に形成されているものであり、
前記外皮部には、肉厚の薄くなった薄肉部が部分的に形成され、
前記内皮部は、前記外皮部の内側における少なくとも前記薄肉部の裏側に設けられていることを特徴とする筆記具。 - 前記グリップ部材の表面には、外側へ膨らんだ膨出部が形成され、
前記外皮部は、前記膨出部に相当する部分に薄肉部が形成され、
前記内皮部は、前記膨出部に相当する前記外皮部の薄肉部の内部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の筆記具。 - 前記内皮部は、その一部分が前記グリップ部材の少なくとも一方の端面に臨むように形成されていることを特徴とする請求項2記載の筆記具。
- 前記グリップ部材は、前記軸筒の中心軸に対する中心角を略三等分する三つの角度位置のうち、一の角度位置に前記内皮部が内部に設けられている前記膨出部が形成され、他の角度位置には、前記内皮部が内部に設けられている前記膨出部が形成されていないことを特徴とする請求項3記載の筆記具。
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